説明

紡織繊維を有する繊維束を特にコーミングのために繊維分類または繊維選択する装置

【課題】コーマ・スライバの生産性を大幅に向上させる。
【解決手段】供給デバイスの下流には、回転可能に取り付けられ、中断することなく回転する第1、第2のローラが設けられている。ローラには、繊維束の挟持デバイスがそれぞれ設けられている。挟持デバイスは、ローラの外周の領域に互いに間隔をおいて分布させられている。コーミングされた繊維材料を除去するために、スライバファンネルを備える取出しローラが設けられ、スライバファンネルの下流が牽伸システムとなっている。スライバファンネルと牽伸システムの間で、繊維材料は、断面の幅aが高さbよりも大きい繊維構造体17の形態にされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維分類デバイス、特にコーミング・デバイスに対して供給手段によって供給される紡織繊維を有する繊維束を特にコーミングのために繊維分類または繊維選択する装置であって、繊維束の自由端から所定の距離の所で繊維束を挟持する挟持デバイスが設けられ、例えば、短い繊維、ネップ、ごみなどの、挟持されていない構成要素を自由端からゆるめ、除去するために、繊維束の挟持部位から自由端にコーミング作用を生じさせる機械的手段が設けられ、コーミングされた繊維材料を除去するために、スライバ形成要素を備える少なくとも1つの取出し手段が設けられ、スライバ形成要素の下流が牽伸システムとなっている装置に関する。
【背景技術】
【0002】
実際に、コーミング機械は、綿繊維または羊毛繊維をそれに含まれる天然の夾雑物から分離し、繊維スライバの繊維を平行にするのに用いられている。その目的のために、「繊維タフト」として知られている一定の部分長さの繊維が、ジョーの前方に突出する様に、事前に準備された繊維束がニッパ装置のジョーの間に挟持される。ニードル針布または歯付き針布によってコーミング・セグメントで満たされた回転式のコーミング・ローラのコーミング・セグメントにより、この繊維タフトはコーミングされてきれいにされる。取出しデバイスは、通常、互いに逆方向に回転する2個のローラから成り、これらのローラによって、コーミングされた繊維タフトが把持されて前方に搬送される。公知の綿コーミング工程は不連続工程である。ニップ動作中に、全てのアセンブリおよびそれらの駆動手段およびギヤは、加速、減速され、また、ある場合には繰り返し反転させられる。大きなニップ速度は、大きな加速を結果としてもたらす。特に、ニッパの運動、ニッパの移動のためのギヤの運動、剥ぎ取りローラのピルグリムステップ運動のためのギヤの運動の結果として、大きな加速力が引き起こされる。引き起こされる力および応力は、ニップ速度が大きいほど大きくなる。公知のフラット・コーミング機械は、そのニップ速度により性能限界に達し、それによって、生産性の向上が妨げられている。さらに、不連続な動作様式によれば機械全体に振動が引き起こされ、それによって、動的な交互応力が発生する。
【0003】
特許文献1には、例えば、8つのコーミングヘッドが同時に順々に動作するコーミング機械が開示されている。それらのコーミングヘッドは、コーミングヘッドに隣接して配置された側部駆動手段によって駆動され、側部駆動手段は、縦方向シャフトによって、コーミングヘッドの個々の要素に、それらを駆動できるように連結されたギアユニットを有している。個々のコーミングヘッドで形成された繊維スライバは、次の牽伸システムへと搬送テーブル上を順に移送され、牽伸システムで牽伸され、その後、共通のコーミング機械スライバを形成するように組み合わされる。その後、牽伸システムで作製された繊維スライバは、ファンネルホイール(巻取器プレート)によってケンス内に堆積させられる。コーミング機械の複数のコーミングヘッドの各々は、送給デバイス、ピボット運動可能に取り付けられ定位置に配置されたニッパアセンブリ、ピボット運動可能に取り付けられ定位置に配置されたニッパアセンブリ、回転可能に取り付けられ、ニッパアセンブリによって供給された繊維タフトをコーミングするためのコームセグメントを有するサーキュラーコーム、トップコーム、および、定位置に配置され、コーミングされた繊維束をニッパアセンブリから剥ぎ取るための剥ぎ取り装置を有している。ここでは、ニッパアセンブリに供給されるラップリボンは、送給シリンダを介して剥ぎ取りローラ対に送給されている。開かれたニッパから突出する繊維タフトが、コーミングされたスライバウェブまたは繊維ウェブの後端上に通され、そこで、剥ぎ取りローラの前方への運動によって、剥ぎ取りローラの挟持ニップに入る。ラップリボンの保持力によって、またはニッパによって保持されていない繊維は、ラップリボンの構成物から剥ぎ取られる。この剥ぎ取り動作中に、繊維タフトは、付加的に、トップコームの針によって引っ張られる。トップコームは、剥ぎ取られた繊維束の後方部分をコーミングして取り出し、ネップ、不純物なども引き止める。構造的な条件として、可動なニッパアセンブリと可動な剥ぎ取りローラの間に空間を必要とするトップコームは、それに空気を吹き付けることによって定常的に清掃しておく必要がある。繊維束へと突き通し、繊維束から取り除くために、トップコームは、駆動する必要がある。最後に、ガタガタ動くこの部位への清掃効果は、最適なものではない。ラップリボンと、剥ぎ取りローラの剥ぎ取り速度との速度差のために、剥ぎ取られる繊維タフトは、特定の長さに引き出される。剥ぎ取りローラ対に続いているのは案内ローラ対である。この剥ぎ取り動作中、剥ぎ取られる、または引き出される繊維束の先行端は、繊維ウェブの後続端と重ねられ、または二重にされる。剥ぎ取り動作と継ぎ合わせ動作が終わると直ぐに、ニッパは後方位置に戻り、この後方位置では、ニッパは閉じ、コーミングを行うために、繊維束タフトが、ニッパからサーキュラーコームのコームセグメントへと突出させられる。ここで、ニッパアセンブリがその前方位置に元通りに戻る前に、剥ぎ取りローラと案内ローラは反転動作を行い、それによって、繊維ウェブの後続端が、特定の量だけ後方に移動させられる。これは、継ぎ合わせ動作のために必要な重なりを実現するために必要である。このようにして、繊維材料の機械的なコーミングが行われる。このコーミング機械の不都合は、特に、必要な装備が多量であり、また、時間当たりの製造速度が低いことである。全部で8つの送給デバイス、定位置の8つのニッパアセンブリ、コームセグメントを備える8つのサーキュラーコーム、8つのトップコーム、および8つの剥ぎ取りデバイスを有する8つの個別のコーミングヘッドが設けられている。特別な問題は、コーミングヘッドの、不連続な動作の仕方にある。追加の不都合が、大きな質量の加速、および反転運動の結果として生じ、その結果は、動作速度を高くすることが不可能であるということである。最後に、機械の相当の振動が、コーミングされたスライバの堆積に不均一性を生じさせるという結果を生じさせる。さらに、隔たり、すなわち、下側ニッパ板のニッパリップと、剥ぎ取りシリンダの挟持点との間の距離が、構造的および空間的に制限される。剥ぎ取りローラと、繊維束を搬出する案内ローラの回転速度は、上流の遅いコーミング工程に合わせられ、それによって制限される。他の不都合は、各繊維束が、剥ぎ取りローラ対によって、続いて案内ローラ対によって挟持され搬送されることである。剥ぎ取りローラの回転のために、挟持点は、連続的に変化し、すなわち、挟持を行うローラと繊維束との間で連続的な相対運動が生じる。全ての繊維束は、定位置の1つの剥ぎ取りローラ対と、定位置の1つの案内ローラ対を続いて通過しなければならず、それによって、製造速度にさらに大幅な制限が生じさせられる。個々のコーミングヘッドで作製された繊維スライバFは、より具体的には示されていないデバイスによって、搬送テーブルT上に送り出され、続いて配置された次の牽伸システムSに搬送される。繊維スライバは、牽伸システムSにおいて牽伸され、続いて、共通のコーミング繊維スライバFBを形成するように組み合わされる。牽伸システムへの搬送テーブル上での8つの繊維スライバの搬送速度は、上流の遅いコーミング工程に合わせられ、これによって制限され、すなわち、比較的遅い速度で進行する。特に、8つの繊維スライバにむらを生じさせることなく、速い、大幅に高くなった搬送速度を実現することは、この搬送デバイスでは不可能である。
【0004】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1586682号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の基礎となる課題は、上述の不都合を回避し、特に、時間当たりの製造量(生産性)を大幅に増やし、改善されたコーマ・スライバを容易に得ることができる、冒頭に記載した種類の装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題は、請求項1の特徴とする構成によって解決される。
すなわち、1番目の発明によれば、繊維分類デバイスに対して供給手段によって供給される紡織繊維を有する繊維束を繊維分類または繊維選択する装置であって、前記繊維束の自由端から所定の距離の所で前記繊維束を挟持する挟持デバイスが設けられ、挟持されていない構成要素を前記自由端からゆるめ、除去するために、前記繊維束の挟持部位から前記自由端にコーミング作用を生じさせる機械的手段が設けられ、コーミングされた繊維材料を除去するために、スライバ形成要素を備える少なくとも1つの取出し手段が設けられ、スライバ形成要素の下流が牽伸システムとなっている装置において、前記供給手段(8;10,11)の下流に、回転可能に取り付けられ、中断することなく高速で回転する少なくとも2つのローラ(12,13)が設けられ、該ローラ(12,13)には、前記繊維束(16;301〜303)用の前記挟持デバイス(18,19,20;21,22,23)が設けられ、該挟持デバイス(18,19,20;21,22,23)は、前記ローラの外周の領域に互いに間隔をおいて分布させられており、少なくとも1つの前記スライバ形成要素(28;28a,28b;29,29a,29b)と前記牽伸システム(50)の間で、コーミングされた繊維材料(17;17a,17b,17’,17’’,171)が、断面の幅(a)が高さ(b)よりも大きい繊維構造体の形態で存在していることを特徴とする装置が提供される。
【0007】
コーミングすべき繊維束を、回転する少なくとも2つのローラ上で挟持し移動させる機能を設けることによって、公知の装置とは異なり、大きな質量の加速および反転運動なしで、高い動作速度(ニップ速度)が達成される。特に、動作の仕方が連続的である。2つの高速ローラを用いた場合、時間当たりの製造速度(生産性)が非常に大幅に高められ、これは、以前は、当該技術分野において可能だとは考えられていなかった。さらなる利点は、複数の挟持デバイスを備えるローラの回転運動が、複数の繊維束が単位時間毎に第1のローラに、また、第2のローラに著しく高速に供給されることにつながることである。特に、ローラの高い回転速度によって、製造を大幅に増大させることができる。
【0008】
繊維束を形成するために、送給ローラによって前方に押される繊維スライバが、一端で挟持デバイスによって挟持され、ターニングロータの回転運動によって剥ぎ取られる。挟持された端部には、短い繊維が含まれ、自由な領域には長い繊維が含まれる。長い繊維が、送給ニップに挟持された繊維材料から分離力によって引き出され、短い繊維は、送給ニップでの保持力によって後に残る。続いて、繊維束がターニングロータからコーミングロータ上に移送されると、繊維束の両端が反転させられる。コーミングロータ上の挟持デバイスは、長い繊維の端部を把持し挟持し、その結果、短い繊維の領域は、挟持デバイスから突き出し、むき出しにされ、したがって、コーミングして除去することができる。
【0009】
繊維束は、公知の装置とは異なり、複数の挟持デバイスによって保持され、回転によって搬送される。したがって、特定の挟持デバイスでの挟持点は、繊維束が第1または第2のローラにそれぞれ移送されるまで不変に保たれる。挟持デバイスと繊維束との間の相対運動は、繊維束が第1および第2のローラによってそれぞれ把持され、加えて、挟持が完了するまで開始されない。複数の挟持デバイスを、繊維束のために利用可能であるので、特に有利なやり方で、繊維束を第1および第2のローラにそれぞれ順に、単一の供給デバイスの結果として生じる望ましくない時間遅れを生じることなく、迅速に連続して供給することができる。特別な利点は、第1のローラ(ターニングロータ)上に供給された繊維束が連続的に搬送されることである。繊維束、およびこれと協働する挟持要素の速度は同一である。挟持要素は、搬送される繊維材料の方向への運動中に閉じ、開く。少なくとも1つの第2のローラ(コーミングロータ)は、少なくとも1つの第1のローラ(ターニングロータ)の下流に配置されている。本発明による装置によって、大幅に高められた生産性が実現される。他の特別な利点は、スライバの重さが重く(例えば、20ktex)、スライバの断面がほぼ円形であり、複数の継ぎ合わせ部があるにもかかわらず、ロータ・コーミング機械の高い最高の動作速度で、作製されたコーミングされた繊維スライバの牽伸が非常に容易に行われることである。繊維構造体が平坦な構成であることによって、それを、牽伸システムの送給ローラのローラニップ内に問題無く導入することができる。特に、牽伸が、特に、牽伸工程中に、繊維が、繊維構造体の2つの縁領域においてもしっかりと把持されることによって、非常に大幅に改善される。繊維構造体の中央領域と2つの縁領域の間での、高さの違いが解消される。下流の牽伸システムの動作速度は、もちろん、高い送給速度に合わせられる。
【0010】
請求項2から41は、本発明の有利なさらなる態様を含んでいる。
2番目の発明によれば、1番目の発明において、前記繊維分類デバイスは、コーミング・デバイスであり、コーミングのために前記繊維束を繊維分類または繊維選択する。
3番目の発明によれば、1番目または2番目の発明において、前記挟持されていない構成要素は、短い繊維、ネップ、またはごみである。
4番目の発明によれば、1番目から3番目のいずれかの発明において、前記繊維構造体は、平坦なスライバである。
5番目の発明によれば、1番目から4番目のいずれかの発明においてコーミングされた繊維材料が、前記取出し手段で、または、前記取出し手段の後で分割され、各部分が前記スライバ形成要素を通過してそれぞれ繊維スライバを形成する。
6番目の発明によれば、5番目の発明において、分割される前記繊維材料は繊維ウェブである。
7番目の発明によれば、5番目または6番目の発明において、前記取出し手段は継ぎ合わせローラである。
8番目の発明によれば、1番目から7番目のいずれかの発明において前記スライバ形成要素と前記牽伸システムの間に、繊維スライバの幅を引き伸ばす装置が設けられている。
9番目の発明によれば、1番目から8番目のいずれかの発明において、コーミングされた繊維材料を、本質的に薄い断面を有する繊維構造体へと形成し直すデバイスが、前記取出し手段の後に設けられている。
10番目の発明によれば、1番目から9番目のいずれかの発明において、ウェブの分割が、継ぎ合わせローラ上で行われる。
11番目の発明によれば、1番目から10番目のいずれかの発明において、ウェブの分割が、継ぎ合わせローラの直ぐ下流で行われる。
12番目の発明によれば、1番目から11番目のいずれかの発明において、機械的な手段がウェブの分割に用いられる。
13番目の発明によれば、1番目から12番目のいずれかの発明において、空気圧による手段がウェブの分割に用いられる。
14番目の発明によれば、1番目から13番目のいずれかの発明において、継ぎ合わせローラが、分離要素を有している。
15番目の発明によれば、14番目の発明において、前記分離要素は、前記継ぎ合わせローラ上に取り付けられた分離ブレードである。
16番目の発明によれば、1番目から15番目のいずれかの発明において、ウェブの分割後に形成された少なくとも2つの繊維スライバが、前記牽伸システム内へ、そして前記牽伸システム内を通される。
17番目の発明によれば、1番目から16番目のいずれかの発明において、繊維スライバが、幅方向に引き伸ばされて、薄い繊維ウェブにされる。
18番目の発明によれば、1番目から17番目のいずれかの発明において、湾曲させられた案内手段が、1つまたは複数の繊維スライバの断面に影響を与えるために設けられている。
19番目の発明によれば、1番目から18番目のいずれかの発明において、横方向の制限のための要素が、案内手段に結び付けられている。
20番目の発明によれば、1番目から19番目のいずれかの発明において、ウェブの幅方向の、少なくとも1つのエクスパンダが、前記牽伸システムの上流に配置されている。
21番目の発明によれば、1番目から20番目のいずれかの発明において、案内要素の、繊維構造体との接触面が、凸状に湾曲させられている。
22番目の発明によれば、1番目から21番目のいずれかの発明において、接触面が動かされない。
23番目の発明によれば、1番目から22番目のいずれかの発明において、接触面が動かされる。
24番目の発明によれば、1番目から23番目のいずれかの発明において、前記スライバ形成要素の送り出しローラの円周面の形状が、繊維スライバの幅を引き伸ばすのに用いられる。
25番目の発明によれば、1番目から24番目のいずれかの発明において、カレンダローラの円周面の形状が、繊維スライバの幅を引き伸ばすのに用いられる。
26番目の発明によれば、1番目から25番目のいずれかの発明において、送り出しローラまたはカレンダローラが、凸状に形成されている。
27番目の発明によれば、26番目の発明において、前記送り出しローラまたは前記カレンダローラは、樽型ローラである。
28番目の発明によれば、1番目から27番目のいずれかの発明において、前記スライバ形成要素がスライバファンネルを有しており、該スライバファンネルの出口領域から、平坦な繊維構造体が排出される。
29番目の発明によれば、1番目から28番目のいずれかの発明において、前記スライバ形成要素がスライバファンネルを有しており、該スライバファンネルの出口領域が、実質的に長方形の断面を有している。
30番目の発明によれば、1番目から29番目のいずれかの発明において、スライバファンネルの出口領域が、送り出しローラ間のローラニップ内に配置されている。
31番目の発明によれば、1番目から30番目のいずれかの発明において、スライバファンネルを離れる繊維構造体が、実質的に長方形の断面を有している。
32番目の発明によれば、1番目から31番目のいずれかの発明において、ウェブファンネルの出口が、縁が鋭くなった構成である。
33番目の発明によれば、1番目から32番目のいずれかの発明において、ウェブファンネルの出口が、スロット状の構成である。
34番目の発明によれば、1番目から33番目のいずれかの発明において、スロット状の出口が複数の横方向領域に配置されている。
35番目の発明によれば、1番目から34番目のいずれかの発明において繊維構造体が、断面が実質的に長方形の状態で、前記牽伸システム内へと、そして前記牽伸システム内を通される。
36番目の発明によれば、1番目から35番目のいずれかの発明において、スライバの形成部に続いて、スタッファーボックスが、前記牽伸システムの上流または下流に設けられている。
37番目の発明によれば、1番目から36番目のいずれかの発明において、前記繊維構造体のための少なくとも1つの搬送要素が、前記スライバ形成要素と前記牽伸システムの間に設けられている。
38番目の発明によれば、1番目から37番目のいずれかの発明において、少なくとも2つの前記取出し手段と、少なくとも2つの前記スライバ形成要素が設けられている。
39番目の発明によれば、1番目から38番目のいずれかの発明において、回転可能に取り付けられ、中断することなく高速で回転する少なくとも2つの前記ローラ(12;13)は、ターニングロータ(12)とコーミングロータ(13)を有する。
40番目の発明によれば、1番目から39番目のいずれかの発明において、ターニングロータ(12)とコーミングロータ(13)の回転方向が、互いに反対方向(それぞれ12aと13a)である。
41番目の発明によれば、1番目から40番目のいずれかの発明において、供給された繊維束(301,302)を吸い込むために、少なくとも1つの吸い込みデバイス(31,32,33,34;35,36,37,38)が、前記供給手段(8;10,11;27a,27b,28a,28b)による第1の前記ローラ(12)上への繊維束(301)の移送領域、および、前記第1のローラ(12)から第2の前記ローラ(13)上への繊維材料(302)の取出し領域の少なくとも一方で、前記挟持デバイス(18,19,20;21,22,23)に結び付けられている。
【0011】
コーミングされた繊維材料(繊維ウェブ)は、取出し手段(継ぎ合わせローラ)で、または取出し手段の後で分割するのが好ましく、各部分は、スライバ形成要素を通過してそれぞれ繊維スライバを形成する。ウェブを分割することによって、比較的大きな直径を有する1つの繊維スライバではなく、比較的小さな直径をそれぞれ有する少なくとも2つの繊維スライバが作製される。少なくとも2つの繊維スライバは、比較的平坦で幅の広い繊維構造体を形成する。特に、以下の利点が達成される。
・個々のスライバの重量が、5〜10ktexの通例の重さに減らされる
・牽伸システムへの各スライバの送給長さが異なることによって継ぎ合わせ点が平坦化され、任意構成として、継ぎ合わせ点間の間隔に適用することができる
・スライバが偏心的な構成であることによって、継ぎ合わせ点が平坦化される
・個々のスライバが、牽伸システムに入る前にダブリングされる
・隣り合った比較的軽量のスライバは、重い単一のスライバよりも、牽伸システムで処理するのが容易である
・スライバを形成するためのファンネルが、機械の横方向に、所望されるように(例えば、外側に、または中央に)配置される。
【0012】
スライバ形成要素と牽伸システムの間に、繊維スライバの幅を引き伸ばす(広げる)装置を設けるのが好ましい。幅を引き伸ばすことによって、同時に、繊維スライバの高さが縮められ、平坦で幅の広い繊維構造体の構成が得られ、それによって、特に有利に牽伸を行うことが可能になる。
【0013】
コーミングされた繊維材料を、本質的に薄い断面を有する繊維構造体へと形成し直すデバイスを、取出し手段(継ぎ合わせローラ)の後に設けるのが有利である。特に、出口断面がほぼ長方形のスライバファンネルによって、断面がほぼ円形の繊維スライバを平坦で幅の広い繊維構造体に形成し直すのが容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面に示す例示的な実施形態を参照して本発明をより詳細に説明する。
【0015】
図1によれば、コーミング前処理機1は、スライバが送給されラップを送り出す紡績室機械と、互いに平行に配置された2つの送給テーブル4a,4b(クリール)とを有しており、各送給テーブル4a,4bの下には、繊維スライバ(不図示)を収容する2列のケンス5a,5bが配置されている。ケンス5a,5bから引き出された繊維スライバは、方向を変えられた後、コーミング前処理機1の、順に配置された2つの牽伸システム6a,6b内を通る。牽伸システム6aから、形成された繊維スライバウェブが、ウェブ・テーブル7上を案内され、牽伸システム6bの出口の所で順に積み上げられ、そこで作製された繊維スライバウェブと一緒に運び出される。牽伸システム6a,6bによって、いずれにしても、複数の繊維スライバが、ラップを形成するように組み合わされ、一緒に牽伸される。牽伸された複数のラップ(この例では2つのラップを示す)は、順に重ねて配置することによってダブリングされる。このように形成されたラップは、下流のロータ・コーミング機械2の供給デバイス(送給要素)内に直接導入される。繊維材料の流れは中断されない。コーミングされた繊維ウェブは、ロータ・コーミング機械2の出口の所に送り出され、ファンネルを通されてコーマ・スライバ、すなわちコーミングされたスライバを形成し、下流のスライバ堆積デバイス3内に堆積させられる。参照符号Aは動作方向を示している。
【0016】
オートレベラ牽伸システム50(図2参照)を、ロータ・コーミング機械2とスライバ堆積デバイス3との間に配置することができる。それによって、コーマ・スライバが牽伸される。
【0017】
他の構成によれば、2つ以上のロータ・コーミング機械2が設けられる。例えば、2つのロータ・コーミング機械2aおよび2bがある場合、送り出された2つのコーマ・スライバ17を、下流のオートレベラ牽伸システム50に一緒に通し、牽伸された1つのコーマ・スライバとしてスライバ堆積デバイス3内に堆積させることができる。
【0018】
スライバ堆積デバイス3は、回転式の巻取器ヘッド3aを有しており、巻取器ヘッド3aによって、コーマ・スライバをケンス3b内に、または、ケンスなしの繊維スライバ束の形態(不図示)で堆積させることができる。
【0019】
図2は、送給ローラ10と送給トラフ11を備える供給デバイス8を有し、第1のローラ12(ターニングロータ)、第2のローラ13(コーミング・ローラ)、取出しローラ14を備える取出しデバイス9、および回転式カードトップコーミングアセンブリ15を有するロータ・コーミング機械2を示している。ローラ10,12,13,14の回転方向が、曲線矢印10a,12a,13a,14aによってそれぞれ示されている。入ってくる繊維ラップが参照符号16によって示されており、送り出される繊維ウェブが参照符号17によって示されている。ローラ10,12,13,14は順に配置されている。矢印Aは動作方向を示している。
【0020】
第1のローラ12には、その外周の領域に、複数の第1の挟持デバイス18が備えられており、挟持デバイス18は、ローラ12の幅を横切って延び(図3参照)、それぞれが上側ニッパ19(把持要素)と下側ニッパ20(対向要素)を有している。挟持デバイス18の、ローラ12の中心点またはピボット軸線側の一端領域で、各上側ニッパ19は、ローラ12に取り付けられたピボット軸受24aに回転可能に取り付けられている。下側ニッパ20は、ローラ12に、固定されるように、または可動なように取り付けられている。上側ニッパ19の自由端はローラ12の外周に面している。上側ニッパ19と下側ニッパ20は、繊維束16,301,302を把持し(挟持し)、また放すことができるように協働する(図12)。
【0021】
第2のローラ13には、その外周の領域に、2つの部分からなる複数の挟持デバイス21が備えられており、挟持デバイス21はローラ13の幅を横切って延び(図3参照)、それぞれが上側ニッパ22(把持要素)と下側ニッパ23(対向要素)からなっている。挟持デバイス21の、ローラ13の中心点またはピボット軸線側の一端領域で、各上側ニッパ22は、ローラ13に取り付けられたピボット軸受24bに回転可能に取り付けられている。下側ニッパ23は、ローラ13に、固定されるように、または可動なように取り付けられている。上側ニッパ22の自由端はローラ13の外周に面している。上側ニッパ22と下側ニッパ23は、繊維束301,302を把持し(挟持し)、また放すことができるように協働する。ローラ12の場合、ローラ外周周りに、送給ローラ10と第2のローラ13の間で挟持デバイス18が閉じられ(挟持デバイス18が繊維束(不図示)を一端で挟持する)、第2のローラ13と送給ローラ10との間で挟持デバイス18が開かれる。ローラ13では、ローラ外周周りに、第1のローラ12とドッファ14の間で挟持デバイス21が閉じられ(挟持デバイス21が繊維束(不図示)を一端で挟持する)、ドッファ14と第1のローラ12との間で挟持デバイス21が開かれる。参照符号50は、牽伸システム、例えばオートレベラ牽伸システムを示している。牽伸システム50は、巻取器ヘッド3aの上方に配置されるのが有利である。参照符号45は、被駆動上昇搬送機、例えばコンベヤベルトを示している。上方に傾斜した金属シートなどを搬送の目的で用いることも可能である。
【0022】
図3によれば、固定された2つのカムディスク25および26が設けられており、それらの周りを、第1の挟持デバイス18を有するローラ12と、第2の挟持デバイス21を有するローラ13が、矢印12aおよび13aの方向にそれぞれ回転させられる。付勢された上側ニッパ19および22が、カムディスク25,26の外周とローラ12,13の内周面の間の中間空間内に配置されている。カムディスク25,26の周りのローラ12,13の回転によって、上側ニッパ19,22はピボット軸線24a,24bを中心としてそれぞれ回転させられる。このようにして、第1の挟持デバイス18と第2の挟持デバイス21の開閉が行われる。
【0023】
図4Aによれば、コーミングされた繊維スライバの、送り出しローラ29a,29bから出てくる繊維スライバ17*は、直径dの、実質的に円形の断面を有している。繊維スライバ17*は、自身の弾性のために、ローラニップを過ぎた後に拡大し、すなわち、繊維スライバ17*の直径が、スライバファンネル28の出口の断面に比べて大きくなる。図4Bによれば、2つの繊維スライバ17a,17bを有する繊維構造体17があり、繊維構造体17の幅aは、その高さbよりも大きい。図4Bによる繊維構造体17は、ウェブの分割(図5,6参照)に続いて形成される。図4Cによれば、繊維構造体17は、平坦な2つのスライバ17’,17’’から構成されており、幅aが高さbより大きい。図4Cによる繊維スライバ17は、ウェブの幅方向のエクスパンダ(図12参照)によって作製される。図4Dによれば、繊維構造体17は、平坦なスライバ171から構成されており、幅aが高さbより大きい。図4Dによる繊維構造体17は、同様に、ウェブの幅方向のエクスパンダ(図12参照)によって形成することができる。
【0024】
図5は、ウェブの分割に続く2つの繊維スライバ17a,17bの作製を示している。ドッファローラ14からのコーミングされた繊維材料は、ほぼ中央で分割され、各部分が、進行方向Bに見て、送り出しローラ29a1,29b1および29a2,29b2をそれぞれ備える各スライバファンネル28aおよび28bを通過する。その後、繊維スライバ17a,17bは、再び合流させられ、図4Bに示す繊維構造体17を形成する。
【0025】
図6によれば、円形の2つの開口部を有する静止した案内要素34が、ドッファローラ14(継ぎ合わせローラ)の下流に配置されている。案内要素34に関連して、送り出しローラ対29a2,29b2が、中央に、すなわち、対称的に配置されており、送り出しローラ対29a1,29b1が、横方向にずれて、すなわち、非対称的に配置されている。送り出しローラギア35が、送り出しローラ対29a1,29b1と29a2,29b2の間に配置されており、これらを一緒に駆動する。各スライバファンネル28aおよび28bは、それらの下流に配置された、自身の送り出しローラ対29a1,29b1と29a2,29b2をそれぞれ有している。
【0026】
図7によれば、共通の送り出しローラ対29a,29bが、2つのスライバファンネル28a,28bの下流に配置されている。
【0027】
図8によれば、取出しローラ14(継ぎ合わせローラ)は、中央に配置された分離ブレード36を有しており、分離ブレード36によって、ウェブの分割が、継ぎ合わせ工程の間に直接行われる(図5参照)。
【0028】
図9によれば、(それぞれ方向29I,29IIに回転する)送り出しローラ29a,29bが、スライバファンネル28の下流に配置されている。スライバファンネル28は、動作方向Aに円錐状に収束するように構成されている。入口領域281の高さzは、出口領域282の高さy(図9B参照)より大きい。図9Bに示すように、出口領域282の幅xは、その高さyより大きい。平坦な出口領域282によって、ファンル28aから出てくる繊維構造体17は、平坦なスライバの形態の平坦な構造にされる。平坦なスライバ17の2つの縁部の高さbは、中央領域の高さよりも大きい。このような構造は、送り出しローラ29aが溝付きローラの形態になっており、送り出しローラ29bが舌状部付きローラの形態になっている、図10によるデバイスによっても実現することができる。コーミングされた繊維材料が、スライバファンネル28を通過し、続いて、ローラ29a,29bの間のローラニップを通過すると、中央領域に比べて厚い両縁部を有する繊維構造体が作製される。したがって、縁の繊維が、牽伸システム50においてしっかりと把持され、一様な牽伸が行われる。
【0029】
ウェブの幅方向のエクスパンダ30の正面図が、図11に詳細に示されている。ここでは、ウェブの幅方向のエクスパンダ30は、弾性ロッド37から形成されており、弾性ロッド37には、その端部領域E1およびE2に補強部が設けられている。補強部の領域であるこれらの端部領域には、ピン38a,38bがそれぞれ設けられ、ピン38a,38bは、両側で、保持デバイス40a,40bの各スロット39a,39bに嵌っている。各保持デバイスには、横方向の2つのウェブが設けられ、これらのウェブにスロット39a,39bが配置されている。ボルト38a,38bは、両側で、スロット39a,39bを介してウェブを通り抜けている。保持デバイス40a,40bには、さらに、一方で複数のウェブを互いに連結し、他方でナット41a,41bを受け止めるのに用いられている交差部材が設けられている。ナットは、交差部材に固定されるように連結されている。弓状の状態に移行させるために、ねじ付きピン42a,42bが、中央に向かうようにねじられ、それによって、ねじ付きピン42a,42bがそれらの端部で当接しているピン38a,38bが内側に移動させられる。ウェブの幅方向のエクスパンダの断面形状によって選択された曲げ強度のために、ロッドは、一方向にのみ、すなわち、繊維ウェブの搬送方向に対して横方向の平面内でのみ、湾曲することができる。曲率半径Rは、ねじ付きピン42a,42bの相応の回転によって調節することができる。この移動中、保持デバイスがハウジングの領域にしっかりと固定され、または取り付けられているので、各保持デバイスのピンは、スロット内を動く。湾曲の半径Rの大きさの調節に応じて、案内面43上を案内される繊維ウェブの幅Bに影響を与えることができる。これは、半径Rが小さく設定されるほど、繊維ウェブが、発生する張力のために引っぱられ、それによって、幅aが大きくされることを意味している。矢印G,H,I,Kは、ボルト38a,38bが、各スロット39a,39b内で動かされる方向を示している。
【0030】
図12は、送り出しローラ29a,29b(29bのみが示されている)から出たコーミングされた繊維スライバ17が、幅の広い繊維構造体を形成するように幅方向に引き伸ばされている平面図を示している。繊維構造体は、湾曲要素37上に載っている。参照符号44a,44bは、調節可能な横方向の案内部を示しており、これらの案内部は、方向C,DおよびE,Fにそれぞれ移動可能であり、それによって、繊維構造体17の幅aを制限する。
【0031】
図13によれば、下流の2つのカレンダローラ29a,29bを備えるスライバファンネル28がスライバ形成要素としてコンベヤベルト45と取出しローラ14の間に配置されている。加圧ローラ27が取出しローラ14に結び付けられている。さらに、カレンダローラ67が、加圧要素として、コンベヤベルト45の上側案内ローラ45bの近くに設けられている。上側案内ローラ45bと、牽伸システム50の送給ローラの間には、ウェブの幅方向のエクスパンダ30が配置されており、エクスパンダ30の、湾曲させられ研磨されているのが好ましい表面上を、コーミングされた繊維スライバが進行する。コンベヤベルト45と牽伸システム50の間に配置された、スライバを幅方向に引き伸ばす装置30によって、コーミングされた繊維スライバは幅を広げられて、幅aが高さbよりも大きい薄い繊維構造体または繊維ウェブにされる。繊維スライバ17は、続いて、牽伸システム50内へと案内され、牽伸システム50内を案内される。
【0032】
図14によれば、スライバ堆積デバイス3の上方で牽伸システム50が鉛直に配置され、ターニングロータ12とコーミングロータ13が、上り傾斜を有するように配置された実施形態が提供されている。牽伸システム50は、取出しローラ14の下方に配置されている。取出しローラ(時計回りに回転する)に結び付けられているのは、反時計回りに回転するストリッピングローラ27である。所定の挟持ラインを有するストリッピングローラ27は、繊維スライバを形成するために、繊維材料を取出しローラ14から除去し、スライバファンネル28内へと鉛直下方(方向B)に案内するために用いられている。牽伸システム50は、スライバファンネル28の鉛直下方に配置されている。牽伸システム50の鉛直下方には、2つの送り出しローラ32a,32bを備えるスライバファンネル31がある。図14に示す構成は、3つのボトムローラI,II,III(Iは、ボトム送り出しローラ、IIはボトム中間ローラ、IIIはボトム送給ローラ)と、3つのトップローラ51〜53から構成されているスリーオーバースリーの牽伸システム50を示している。繊維スライバ17の牽伸が牽伸システム50において行われる。この牽伸は、事前牽伸と主牽伸からなっている。ローラ対53/IIIと52/IIによって、事前牽伸ゾーンが形成され、ローラ対52/IIと51/Iによって、主牽伸ゾーンが形成されている。ボトム送り出しローラIは、サーボモータ(不図示)によって駆動される。ボトム送給ローラIIIとボトム中間ローラIIは、主モータ(不図示)によってそれぞれ駆動され、したがって、送り出し速度を決めている。ローラI,II,III,51〜53の回転方向が、曲線矢印によって示されている。繊維スライバ17は、牽伸システム内を方向Aに進行する。スライバを幅方向に引き伸ばす装置30は、送り出しローラ29a,29bと、牽伸システム50の送給ローラ対53/IIIの間に配置されている。
【0033】
図16は、コーミングされた繊維材料を収容するスタッファーボックス46の模式的側面図である。スタッファーボックス46は、牽伸システム50の上流または下流でスライバの形成後に繊維同士の結び付きを強めるために用いることができる。
【0034】
図15によれば、回転可能に取り付けられ挟持デバイス19,20および22,23をそれぞれ有するローラ12および13に、吸い込み路52および56(吸い込み開口部)がそれぞれ付加的に備えられ、吸い込み路52,56は、供給デバイス8とローラ12の間の送り出し領域、および、ローラ12と13の間の送り出し領域で、搬送されている繊維の整列と運動に影響を与える。そのようにして、供給デバイス8から第1のローラ12上への繊維材料の取り込み、および、第2のローラ13への送り出しの時間が大幅に短縮され、その結果、ニップ速度を上げることができる、吸い込み開口部52,56は、ローラ12および13内にそれぞれ配置されており、これらのローラと一緒に回転する。少なくとも1つの吸い込み開口部が、各挟持デバイス19,20および22,23(ニッパデバイス)に結び付けられている。吸い込み開口部52,56は、把持要素(上側ニッパ)と対向要素(下側ニッパ)の間にそれぞれ配置されている。ロータ12,13の内部には、減圧領域53〜55および57〜59が、吸い込み開口部52,56の所の吸い込み流によってそれぞれ生成されている。減圧は、流れ発生機械に接続することによって生じさせることができる。個々の吸い込み開口部52,56での吸い込み流は、選択された特定の角度位置でのみローラの周面上に作用するように、減圧領域と吸い込み開口部との間で切り替えることができる。切り替えの目的で、開口部55と59を相応の角度位置にそれぞれ有する弁または弁パイプ54,58を用いることもできる。吸い込み流の解除は、把持要素(上側ニッパ)の運動によって行ってもよい。さらに、減圧領域を、相応の角度位置にのみ配置することも可能である。
【0035】
加えて、吹き付け空気の流れを、供給デバイス8の領域、および/または、ローラ間の移送領域に生じさせることができる。吹き付け空気流源(吹き付けノズル39)は、送給ローラ10内に配置されており、供給デバイスの通気性の表面、または空気通過開口部を通って外方に向かって第1のローラの方向に作用する。また、供給デバイス8の領域において、吹き付け空気流を発生するための要素を、供給デバイス8の直下または直上の定位位置に配置することもできる。ローラ12,13の間の移送領域では、吹き付け空気流源を、第1のローラ12のロータ外周の所の、各ニッパデバイスの直下または直上に配置することができる。吹き付け空気を発生するために、圧縮空気ノズルまたはエアブレイドを用いてもよい。
【0036】
吸い込み流Bは、偏向だけでなく、ラップと、供給デバイス8の領域における剥ぎ取られるべき繊維タフトとの間の分離工程も促進することができ、それらに必要な時間を短縮することができる。
【0037】
追加の空気案内要素60と側面スクリーン61,62の設置の結果として、流れの方向、およびロータ周りに運ばれて引き離される空気に影響を与えることができる。そのようにして、整列のための時間をさらに短縮することができる。特に、第1のローラ12と供給デバイス8の間の、ラップの上方のスクリーン要素と、ローラの両側のスクリーン要素は有用であることが証明されている。
【0038】
コーミングされて取り出された繊維部分303は、第2のローラ13から継ぎ合わせローラ14上に送られる。
【0039】
本発明によるロータ・コーミング機械を用いることによって、コーミングすべき繊維材料の機械的なコーミングを行うことができ、すなわち、機械的な手段がコーミングに用いられる。コーミングすべき繊維材料の、空気圧によるコーミングは行われず、すなわち、空気流、例えば、吸い込み空気流、および/または、吹き付け空気流は用いられない。
【0040】
本発明によるロータ・コーミング機械には、中断することなく高速で回転し、挟持デバイスを有するローラが設けられている。回転を中断され、ステップ状に回転し、または、停止状態と回転状態を交互に繰り返すローラは用いられない。
【0041】
周速度は、例えば、送給ローラで約0.2〜1.0m/sec、第1のローラ12で約2.0〜6.0m/sec、第2のローラ13で約2.0〜6.0m/sec、ドッファで約0.4〜1.5m/sec、そして、回転式カードトップアセンブリで約1.5〜4.5m/secである。第1のローラ12と第2のローラ13の直径は、例えば、約0.3m〜0.8mである。
【0042】
本発明によるロータ・コーミング機械2を用いることで、2000nips/min以上、例えば、3000から5000nips/minが達成される。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】コーミング前処理機、ロータ・コーミング機械、および繊維スライバ堆積デバイスを有する、繊維材料をコーミングするためのデバイスの模式的な斜視図である。
【図2】2つのローラおよび2つのコーミング要素を有する、本発明によるロータ・コーミング機械の模式的な側面図である。
【図3】2つのカムディスクを有する、図2によるロータ・コーミング機械の斜視図である。
【図4A】コーミングされた繊維材料の繊維スライバの断面を示す図である。
【図4B】幅を広げ高さを縮めることによる、繊維構造体の形成を模式的に示す図である。
【図4C】幅を広げ高さを縮めることによる、繊維構造体の形成を模式的に示す図である。
【図4D】幅を広げ高さを縮めることによる、繊維構造体の形成を模式的に示す図である。
【図5】ウェブの分割後の、2つの繊維スライバの作製を模式的に示す図である。
【図6】静止したウェブ案内板と、非対称的に配置された送り出しローラ対を用いてウェブを分割するための構成を示す図である。
【図7】共通の送り出しローラ対が下流に配置された2つのスライバファンネルを示す図である。
【図8】分離ブレードを備える継ぎ合わせローラを示す図である。
【図9A】(断面が)細長い出口開口部を備えるスライバファンネルの側面図である。
【図9B】(断面が)細長い出口開口部を備えるスライバファンネルの正面図である。
【図10】凸状に湾曲した外周面をそれぞれ有する溝付きローラと舌状部付きローラからなる送り出しローラ対の部分断面図である。
【図11】調節可能な横方向案内部を備える、ウェブを幅方向に引き伸ばす装置の正面図である。
【図12】調節可能な横方向案内部を備える、ウェブを幅方向に引き伸ばす装置の平面図である。
【図13】上流の上昇搬送機と下流の牽伸システムの間にウェブの幅方向のエクスパンダを備える実施形態を示す図である。
【図14】繊維スライバ堆積デバイスの上方で鉛直に配置された牽伸システムと、牽伸システムの上流の、ウェブのエクスパンダを備える実施形態を示す図である。
【図15】吸い込みデバイスが挟持デバイスに結び付けられている、図2と同様のロータ・コーミング機械を示す図である。
【図16】スタッファーボックスの模式的な側面図である。
【符号の説明】
【0044】
8 供給デバイス
10 送給ローラ
11 送給トレイ
12,13 ローラ
18,21 挟持デバイス
19,22 上側ニッパ
20,23 下側ニッパ
28 スライバファンネル
30 エクスパンダ
50 牽伸システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維分類デバイスに対して供給手段によって供給される紡織繊維を有する繊維束を繊維分類または繊維選択する装置であって、前記繊維束の自由端から所定の距離の所で前記繊維束を挟持する挟持デバイスが設けられ、挟持されていない構成要素を前記自由端からゆるめ、除去するために、前記繊維束の挟持部位から前記自由端にコーミング作用を生じさせる機械的手段が設けられ、コーミングされた繊維材料を除去するために、スライバ形成要素を備える少なくとも1つの取出し手段が設けられ、スライバ形成要素の下流が牽伸システムとなっている装置において、
前記供給手段(8;10,11)の下流に、回転可能に取り付けられ、中断することなく高速で回転する少なくとも2つのローラ(12,13)が設けられ、該ローラ(12,13)には、前記繊維束(16;301〜303)用の前記挟持デバイス(18,19,20;21,22,23)が設けられ、該挟持デバイス(18,19,20;21,22,23)は、前記ローラの外周の領域に互いに間隔をおいて分布させられており、少なくとも1つの前記スライバ形成要素(28;28a,28b;29,29a,29b)と前記牽伸システム(50)の間で、コーミングされた繊維材料(17;17a,17b,17’,17’’,171)が、断面の幅(a)が高さ(b)よりも大きい繊維構造体の形態で存在していることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記繊維分類デバイスは、コーミング・デバイスであり、コーミングのために前記繊維束を繊維分類または繊維選択することを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記挟持されていない構成要素は、短い繊維、ネップ、またはごみであることを特徴とする、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記繊維構造体は、平坦なスライバであることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
コーミングされた繊維材料が、前記取出し手段で、または、前記取出し手段の後で分割され、各部分が前記スライバ形成要素を通過してそれぞれ繊維スライバを形成することを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
分割される前記繊維材料は繊維ウェブであることを特徴とする、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記取出し手段は継ぎ合わせローラであることを特徴とする、請求項5または6に記載の装置。
【請求項8】
前記スライバ形成要素と前記牽伸システムの間に、繊維スライバの幅を引き伸ばす装置が設けられていることを特徴とする、請求項1から7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
コーミングされた繊維材料を、本質的に薄い断面を有する繊維構造体へと形成し直すデバイスが、前記取出し手段の後に設けられていることを特徴とする、請求項1から8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
ウェブの分割が、継ぎ合わせローラ上で行われることを特徴とする、請求項1から9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
ウェブの分割が、継ぎ合わせローラの直ぐ下流で行われることを特徴とする、請求項1から10のいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
機械的な手段がウェブの分割に用いられることを特徴とする、請求項1から11のいずれか1項に記載の装置。
【請求項13】
空気圧による手段がウェブの分割に用いられることを特徴とする、請求項1から12のいずれか1項に記載の装置。
【請求項14】
継ぎ合わせローラが、分離要素を有していることを特徴とする、請求項1から13のいずれか1項に記載の装置。
【請求項15】
前記分離要素は、前記継ぎ合わせローラ上に取り付けられた分離ブレードであることを特徴とする、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
ウェブの分割後に形成された少なくとも2つの繊維スライバが、前記牽伸システム内へ、そして前記牽伸システム内を通されることを特徴とする、請求項1から15のいずれか1項に記載の装置。
【請求項17】
繊維スライバが、幅方向に引き伸ばされて、薄い繊維ウェブにされることを特徴とする、請求項1から16のいずれか1項に記載の装置。
【請求項18】
湾曲させられた案内手段が、1つまたは複数の繊維スライバの断面に影響を与えるために設けられていることを特徴とする、請求項1から17のいずれか1項に記載の装置。
【請求項19】
横方向の制限のための要素が、案内手段に結び付けられていることを特徴とする、請求項1から18のいずれか1項に記載の装置。
【請求項20】
ウェブの幅方向の、少なくとも1つのエクスパンダが、前記牽伸システムの上流に配置されていることを特徴とする、請求項1から19のいずれか1項に記載の装置。
【請求項21】
案内要素の、繊維構造体との接触面が、凸状に湾曲させられていることを特徴とする、請求項1から20のいずれか1項に記載の装置。
【請求項22】
接触面が動かされないことを特徴とする、請求項1から21のいずれか1項に記載の装置。
【請求項23】
接触面が動かされることを特徴とする、請求項1から22のいずれか1項に記載の装置。
【請求項24】
前記スライバ形成要素の送り出しローラの円周面の形状が、繊維スライバの幅を引き伸ばすのに用いられることを特徴とする、請求項1から23のいずれか1項に記載の装置。
【請求項25】
カレンダローラの円周面の形状が、繊維スライバの幅を引き伸ばすのに用いられることを特徴とする、請求項1から24のいずれか1項に記載の装置。
【請求項26】
送り出しローラまたはカレンダローラが、凸状に形成されていることを特徴とする、請求項1から25のいずれか1項に記載の装置。
【請求項27】
前記送り出しローラまたは前記カレンダローラは、樽型ローラであることを特徴とする、請求項26に記載の装置。
【請求項28】
前記スライバ形成要素がスライバファンネルを有しており、該スライバファンネルの出口領域から、平坦な繊維構造体が排出されることを特徴とする、請求項1から27のいずれか1項に記載の装置。
【請求項29】
前記スライバ形成要素がスライバファンネルを有しており、該スライバファンネルの出口領域が、実質的に長方形の断面を有していることを特徴とする、請求項1から28のいずれか1項に記載の装置。
【請求項30】
スライバファンネルの出口領域が、送り出しローラ間のローラニップ内に配置されていることを特徴とする、請求項1から29のいずれか1項に記載の装置。
【請求項31】
スライバファンネルを離れる繊維構造体が、実質的に長方形の断面を有していることを特徴とする、請求項1から30のいずれか1項に記載の装置。
【請求項32】
ウェブファンネルの出口が、縁が鋭くなった構成であることを特徴とする、請求項1から31のいずれか1項に記載の装置。
【請求項33】
ウェブファンネルの出口が、スロット状の構成であることを特徴とする、請求項1から32のいずれか1項に記載の装置。
【請求項34】
スロット状の出口が複数の横方向領域に配置されていることを特徴とする、請求項1から33のいずれか1項に記載の装置。
【請求項35】
繊維構造体が、断面が実質的に長方形の状態で、前記牽伸システム内へと、そして前記牽伸システム内を通されることを特徴とする、請求項1から34のいずれか1項に記載の装置。
【請求項36】
スライバの形成部に続いて、スタッファーボックスが、前記牽伸システムの上流または下流に設けられていることを特徴とする、請求項1から35のいずれか1項に記載の装置。
【請求項37】
前記繊維構造体のための少なくとも1つの搬送要素が、前記スライバ形成要素と前記牽伸システムの間に設けられていることを特徴とする、請求項1から36のいずれか1項に記載の装置。
【請求項38】
少なくとも2つの前記取出し手段と、少なくとも2つの前記スライバ形成要素が設けられていることを特徴とする、請求項1から37のいずれか1項に記載の装置。
【請求項39】
回転可能に取り付けられ、中断することなく高速で回転する少なくとも2つの前記ローラ(12;13)は、ターニングロータ(12)とコーミングロータ(13)を有することを特徴とする、請求項1から38のいずれか1項に記載の装置。
【請求項40】
ターニングロータ(12)とコーミングロータ(13)の回転方向が、互いに反対方向(それぞれ12aと13a)であることを特徴とする、請求項1から39のいずれか1項に記載の装置。
【請求項41】
供給された繊維束(301,302)を吸い込むために、少なくとも1つの吸い込みデバイス(31,32,33,34;35,36,37,38)が、前記供給手段(8;10,11;27a,27b,28a,28b)による第1の前記ローラ(12)上への繊維束(301)の移送領域、および、前記第1のローラ(12)から第2の前記ローラ(13)上への繊維材料(302)の取出し領域の少なくとも一方で、前記挟持デバイス(18,19,20;21,22,23)に結び付けられていることを特徴とする、請求項1から40のいずれか1項に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−13563(P2009−13563A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−168489(P2008−168489)
【出願日】平成20年6月27日(2008.6.27)
【出願人】(590002323)ツリュツラー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディトゲゼルシャフト (85)
【Fターム(参考)】