説明

索道システム

【課題】制御タイヤを駆動する支持ローラが搬送ケーブルから受ける振動及び衝撃を低減する策動システムを提供する。
【解決手段】2つのターミナル駅において搬送ケーブル20が偏向プーリ2を介して案内される。搬器3は、搬送ケーブル20に結合でき、搬器3は、経路に沿って搬送ケーブル20に結合され、駅内は走行装置によって案内レール4に沿って案内される。乗客はそこで乗降車する。駅内における搬器3の移動は制御タイヤ51、52、53によって制御され、これらの制御タイヤ51、52、53の駆動力は、搬送ケーブル20用の少なくとも1つの支持ローラ6から引き出され、この支持ローラ6は駅に配置される。搬送ケーブル20用の支持ローラ6は剛的に固定された軸に弾性的に取り付けられ、その支持ローラ6を介して、搬送ケーブル20から制御タイヤ51、52、53の駆動力が少なくとも1つの駆動ベルトにより引き出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送ケーブルを有する索道システムに関する。システムの2つのターミナル駅において、上記搬送ケーブルは、その偏向プーリ、すなわちヘッド・ホイールを介して案内される。上記システムにはかご形、箱形、椅子形などの搬器が含まれる。搬器は上記搬送ケーブルに結合でき、クランプ装置および走行装置を備えるように構成される。上記搬器は、経路に沿って搬送ケーブルに結合され、駅への入口で搬送ケーブルから分離され、駅内は走行装置によって案内レールに沿って案内され、その後乗客が乗降車し、駅からの出口で搬送ケーブルに再連結される。駅内における上記搬器の移動は、制御タイヤすなわち、減速タイヤ、搬送タイヤおよび加速タイヤによって実現され、それらのタイヤはギア機構によって互いに駆動式に(drivingly)結合される。これにより、搬送ケーブルからの分離後、上記搬器が減速タイヤによって減速され、さらに、搬送タイヤによって低速度で乗客用の乗降車領域を通過し、そこで乗客が乗降車する。次いで加速タイヤによって搬器が加速された後、上記搬器は搬送ケーブルに再連結され、駅から送り出される。これらの制御タイヤの駆動は、搬送ケーブルによって、その搬送ケーブル用の少なくとも1つの支持ローラを介して行われる。支持ローラは各駅に配置される。
【0002】
(関連出願の相互参照)
本願は、合衆国法典第35巻第119条に基づき、2010年10月18日に出願されたオーストリア特許出願第A1729/2010号の優先権を主張する。この先行出願の全体は参照によりここに取り入れられる。
【背景技術】
【0003】
上記したタイプの索道システムでは、制御タイヤの駆動力が搬送ケーブルから、その搬送ケーブル用の少なくとも1つの支持ローラを介して引き出され、この少なくとも1つの支持ローラが荷重支承構造体に剛的に固定された軸に取り付けられている。しかしながら、搬送ケーブルの垂直運動により、少なくとも1つの支持ローラのところでその搬送ケーブルに様々な荷重が生じ、それによってケーブルの摩耗が進む。さらに、その支持ローラを介して、搬送ケーブルによって引き起こされる振動および衝撃が駅の荷重支承構造体へと進むため、荷重支承構造体は適度に強化されるように設計する必要がある。荷重支承構造体上に必要であれば設けられる、駆動力を引き出さない他の支持ローラは、例えばロッカなどに取り付けることによって荷重支承構造体に対して高さが調節可能であることから上述の欠点は生じない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の目的は、上記した一般的なタイプの従来から知られている装置および方法の上述した不利な点を克服し、制御タイヤのための駆動力を引き出す少なくとも1つの支持ローラにより、搬送ケーブルを介して荷重支承構造体へと進む荷重、振動および衝撃をかなり低減する索道システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前述およびその他の目的のために、本発明に従って索道システムが提供される。上記索道システムは、
2つのターミナル駅の間に延び、該駅でそれぞれのヘッド・ホイールの周りに案内される搬送ケーブルと、
上記搬送ケーブルに結合するためのクランプ装置および走行装置(running gear)をそれぞれ有する搬器であって、上記駅間の途中は上記搬送ケーブルに結合され、上記駅に入るときに上記搬送ケーブルから分離される搬器と、
上記搬器を上記走行装置によって上記駅の端から端まで案内し、上記搬器に乗客が乗降車するのを可能にし、その後上記搬器をその駅から出すために上記搬送ケーブルに再度結合するように配設される案内レールと、
減速タイヤ、搬送タイヤ、および加速タイヤを含み、ギア機構によって互いに駆動式に結合される、上記駅に配設された、該駅における上記搬器の動きを実現する複数の制御タイヤであって、上記搬器が、上記搬送ケーブルから分離された後上記減速タイヤによって減速され、上記搬送タイヤによって比較的低速度で動かされ上記乗客のための乗降車領域を通過し、上記加速タイヤによって加速され、その後上記搬送ケーブルに再連結されるように配設された制御タイヤと、
支持ローラであって、上記駅で上記搬送ケーブルを支持し、かつ上記支持ローラと上記制御タイヤの間を連結する該制御タイヤを駆動するための少なくとも1つの駆動ベルトを支持するように配設され、剛的に固定された軸に弾性的に取り付けられた支持ローラと、を備える。
【0006】
つまり、上記の目的は、本発明により、搬送ケーブル用の支持ローラのうちの少なくとも1つが剛的に固定された軸に弾性的に取り付けられ、その支持ローラを介して少なくとも1つの駆動ベルトにより搬送ケーブルから制御タイヤの駆動力が引き出されるために達成される。
【0007】
弾性スリーブが、旋回軸上に配設されたリング軸受と上記搬送ケーブル用の支持リングとの間に存在すると好ましい。上記リング軸受の外側軸受リングはこの場合、上記少なくとも1つの駆動ベルトのための支持面を有するように構成することができ、あるいは、上記搬送ケーブル用の支持リングは、上記少なくとも1つの駆動ベルトが配置される延長部を有するように構成することができる。他の実施形態によると、環状弾性スリーブが、荷重支承構造体に固定された旋回軸に取り付けられ、そのスリーブの径方向外側に、上記搬送ケーブル用かつ上記少なくとも1つの駆動ベルト用の支持軸受および支持リングが配置される。
【0008】
本発明の特徴とみなされるその他の特徴については、添付の特許請求の範囲に記載されている。
【0009】
本発明を索道システムで実施されるものとして本明細書で例示、説明するが、本発明を記載した詳細に限定することは意図していない。これに対して様々な変更および構造的な変更を本発明の趣旨から逸脱することなく特許請求の範囲の均等物の範囲内で行うことができるためである。
【0010】
ただし、本発明の構造および動作方法については、その追加の目的および利点と共に、特定の実施形態についての以下の説明を添付の図面を併せて読むことにより最もよく理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明による空中索道システムのターミナル駅の1つの等角投影図である。
【図2】図1の概観に関し、図1の詳細Aの拡大側面図である。
【図3A】本発明によるケーブルローラの第1の実施形態の、図2の断面線II−IIに沿った断面図である。
【図3B】本発明によるケーブルローラの第2の実施形態の、図2の断面線II−IIに沿った断面図である。
【図3C】本発明によるケーブルローラの第3の実施形態の、図2の断面線II−IIに沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、各図面の図を詳細に参照していく。最初に、特に図1を参照すると、荷重支承構造体10を備えるターミナル駅が示されている。荷重支承構造体10はピラー(pillar)1および1aによって支持される。荷重支承構造体10には、略垂直軸上に偏向プーリ2が取り付けられる。偏向プーリ2はヘッド・ホイールとも呼ばれ、偏向プーリ2を介して搬送ケーブル20が案内される。索道システムの運行中、搬送ケーブル20は、好ましくは頂上駅に配置された駆動モータによって、例えば6m/秒の速度で循環される。搬送ケーブル20には、搬器3、本例ではゴンドラを結合することができる。搬器3は、経路中は搬送ケーブル20に結合されている。搬器3は、駅の入口で搬送ケーブル20から切り離され、走行装置31により、案内レール4に沿って駅を通過する。搬器3は、駅の出口で搬送ケーブル20に再連結される。案内レール4は、その2つの自由端において、入口漏斗(inlet funnel)41を備えるように構成される。搬器3の移動方向は矢印で示されている。
【0013】
駅を通過する搬器3の動きは、制御タイヤ51、52および53により支援される。これらの制御タイヤは荷重支承構造体10に取り付けられ、ギア機構によって互いに駆動式に結合される。制御タイヤ51の第1のグループは、駅への入口に配置されて減速タイヤとして働く。これらのタイヤによって、搬送ケーブル20から分離された搬器3の速度は、例えば6m/秒から例えば0.3m/秒まで減速される。次に続く制御タイヤ52の第2のグループは搬送タイヤであり、これらのタイヤによって搬器3は、乗客が乗降車する駅の乗降車領域を、例えば速度0.3m/秒で案内される。加速タイヤとして働く制御タイヤ5の第3のグループは、搬器3の速度を例えば6m/秒まで戻すように加速する。その後、駅からの出口で搬器3は搬送ケーブル20へと結合され、その速度で循環する。
【0014】
搬送ケーブル20は、多数の支持ローラ6を介して案内される。多数の支持ローラ6は、荷重支承構造体10に取り付けられ、搬送ケーブル20により回転される。制御タイヤ51、52および53は、搬送ケーブル20用の少なくとも他の支持ローラ6aと捻って結合されることによって駆動される。
【0015】
図2から分かるように、本発明による索道システムでは、少なくとも1つの駆動ベルト62が設けられることにより、制御タイヤ51、52および53のための駆動力が搬送ケーブル20から引き出される。駆動ベルト62は、搬送ケーブル20用の2つの支持ローラ6aと、さらに2つの偏向ローラ63と、さらに制御タイヤ51aのうちの1つと、に配置される。支持ローラ6aはこの場合、荷重支承構造体10に剛的(rigidly)に固定された旋回軸61に取り付けられる。制御タイヤ51は、伝動ベルト50によって互いに駆動式に結合される。この伝動ベルト50により、制御タイヤ51、52および53の回転速度を変化させることができる。伝動ベルト62が配置された上記制御タイヤ51aは、この場合、他の全ての制御タイヤ51、52および53のための、または少なくとも1つのグループの制御タイヤ51、52および53のための駆動装置として働く。
【0016】
図2に示されているように、複数のグループの支持ローラ6aは、制御タイヤ51、52および53のための駆動装置として働くこともできる。同様に、制御タイヤ51、52および53のための駆動力は、搬送ケーブル20用の単一の支持ローラ6aから引き出すこともできる。
【0017】
搬送ケーブル20からの振動および衝撃が支持ローラ6aおよび旋回軸61を介して荷重支承構造体10へと進入するのを防止することによって、荷重支承構造体10を適度に強化した設計とする必要があるため、制御タイヤ51、52および53のための駆動力を引き出す上記支持ローラ6aは、減衰要素60を備えるように構成される。
【0018】
図3Aに示される支持ローラ6aの第1の実施形態では、旋回軸61が支持軸受64を支承する。支持軸受64は外側軸受リング64aを備えるよう構成され、支持軸受64によって支持ローラ6aが荷重支承構造体10に回転可能に取り付けられる。さらに、支持軸受64の径方向外側には、弾性変形可能な材料で形成されたスリーブ60が設けられる。弾性スリーブ60の外側には、搬送ケーブル20用の支持リング65がある。さらに、外側軸受リング64a上には搬送ホイール66が取り付けられ、搬送ホイール66には、制御タイヤ51、52、53用の複数の駆動ベルト62が配置される。
【0019】
弾性スリーブ60があることにより、搬送ケーブル20によって伝達される振動および衝撃は可能な限り減衰され、その結果、荷重支承構造体10へは進まない。
【0020】
図3Bに示される支持ローラ6aの第2の実施形態は、搬送ケーブル20用の支持リング65が軸方向に延長部65aを備えるよう構成され、この延長部に制御タイヤ51、52、53用の駆動ベルト62が配置される点において、図3Aの実施形態と異なる。
【0021】
図3Cに示されている支持ローラ6aの第3の実施形態は、弾性スリーブ60が旋回軸61と支持軸受64との間に配置される点において、図3Bの実施形態と異なる。この例では、搬送ケーブル20用の支持リングとして働く外側軸受リング65は、軸方向に延長部65aを備えるよう構成されており、この延長部65aに、制御タイヤ51、52および53用の駆動ベルト62が配置される。
【0022】
図3Bおよび図3Cによる実施形態でもやはり、弾性スリーブ60によって、搬送ケーブル20から伝達される振動および衝撃が荷重支承構造体10へと進むことが防止される。
【0023】
図1に示されているように、索道駅には2つの支持ローラ6aが設けられ、支持ローラを介して制御タイヤ51、52および53の駆動力が搬送ケーブル20から引き出される。ただし、制御タイヤ51、52、53は、搬送ケーブル20から複数のグループの支持ローラ6aを介して駆動することも可能である。このために、制御タイヤ51、52、53は複数のグループに分割可能であり、各グループは、それぞれ個別の支持ローラ6aまたは複数のグループの支持ローラ6aを介して駆動される。この駆動システムはそれ自体が弾性を有するため、全ての制御タイヤ51、52、53は互いに駆動式に結合されてもよい。
【0024】
本願による索道システムでは、このように、支持ローラ6、6aを介して搬送ケーブルが駅内を案内される。支持ローラ6は、例えばロッカ(rocker)などに取り付けられることによって、荷重支承構造体10に対して高さを調節可能である。制御タイヤ51、52、53の動きが引き出される支持ローラ6aは、荷重支承構造体10に剛的に固定された軸に対して弾性的に取り付けられる。これにより、搬送ケーブル20から生じる振動および衝撃が支持ローラ6aを介して荷重支承構造体10へと進むことが防止される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つのターミナル駅の間に延び、前記駅においてそれぞれのヘッド・ホイールの周りを案内される搬送ケーブルと、
それぞれ前記搬送ケーブルに結合するためのクランプ装置および走行装置を有する搬器であって、前記2つの駅間では前記搬送ケーブルに結合され、前記駅に入ると前記搬送ケーブルから分離される搬器と、
前記駅を通って前記走行装置により前記搬器を案内し、前記搬器への乗客の乗降車を可能にするよう配設される案内レールであって、当該駅から出るために前記搬器が前記搬送ケーブルに再結合される案内レールと、
前記駅に配設されて前記駅において前記搬器を動かす複数の制御タイヤであって、ギア機構によって互いに駆動式に結合された減速タイヤ、搬送タイヤ、および加速タイヤを含み、前記搬送ケーブルから分離された後に前記減速タイヤによって前記搬器が減速され、前記搬送タイヤによって前記搬器が比較的低速度で動かされて前記乗客のための乗降車領域を通過し、前記加速タイヤによって前記搬器が加速されて前記搬送ケーブルに再連結されるように配設された制御タイヤと、
前記駅で前記搬送ケーブルを支持するように、且つ少なくとも1つの駆動ベルトを支持するように配設された支持ローラであって、前記少なくとも1つの駆動ベルトは前記制御タイヤを駆動するために前記支持ローラと前記制御タイヤとの間で連結されており、剛的に固定された軸に弾性的に取り付けられた支持ローラと、を備える、索道システム。
【請求項2】
旋回軸上に配設されたリング軸受と前記搬送ケーブル用の支持リングとの間に配設された弾性スリーブを備える、請求項1に記載の索道システム。
【請求項3】
前記リング軸受の外側軸受リングが、前記少なくとも1つの駆動ベルトのための支持面を有するように構成される、請求項2に記載の索道システム。
【請求項4】
前記搬送ケーブル用の前記支持リングが、前記少なくとも1つの駆動ベルトが配置される延長部を有するように形成される、請求項2に記載の索道システム。
【請求項5】
前記駅内の荷重支承構造体に固定された旋回軸に取り付けられた、弾性材料を含む環状スリーブを備え、
前記環状スリーブの径方向外側に、前記搬送ケーブル用の、および前記少なくとも1つの駆動ベルト用の支持軸受および支持リングが配設される、請求項1に記載の索道システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図3C】
image rotate


【公開番号】特開2012−86835(P2012−86835A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−220227(P2011−220227)
【出願日】平成23年10月4日(2011.10.4)
【出願人】(500579431)インノヴァ・パテント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (31)