説明

紫外光への長期の暴露に対する安定性を有する不透明な着色および白色モノフィラメント

本発明は、高レベルの紫外光へ暴露された後でも引張強さを保持する不透明で白色のモノフィラメントを開示する。本発明のモノフィラメントは、3〜6ヶ月のフロリダの日光に相当する日光にさらされた後でも脆くならない。本発明のモノフィラメントは、かなりの程度で日光にさらされている環境下で保存または販売されるブラシ、ろ過媒体、モノフィラメント布帛、かつら用の人工毛髪、人形の毛髪、およびモノフィラメントが使用され得る他の用途において有用であり得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、参照によってその全体が本明細書に援用される2006年12月22日に出願された米国仮特許出願第60/876,839号明細書の利益を主張する。
【0002】
本発明は、歯ブラシにおいて使用することができる不透明で白色のモノフィラメントに関する。さらに詳しくは、本発明は、化学物質、光、または熱で開始される分解に対して増強された耐性を有する不透明で白色のモノフィラメントに関する。
【背景技術】
【0003】
歯ブラシの剛毛として使用するために製造されるフィラメントは、製造方法と同様に知られている。例えば、このような剛毛および製造方法は、米国特許第6,090,488号明細書、米国特許第5,500,975号明細書、および米国特許第5,533,227号明細書に記載されている。歯ブラシ用途のためのモノフィラメントの製造では、通常、ポリエステルおよびナイロンが使用される。ナイロンモノフィラメントは、特に、優れた機械特性、摩耗性能、スプレー耐性(splaying resistance)、および耐薬品性を有する。一般に、歯ブラシの製造において有用なタイプのフィラメントを組み込んだ歯ブラシおよび他の物品は包装され、要素への暴露を制限する条件下で販売される。特に歯ブラシの場合、このような物品の保存および使用は、通常は制御された条件下で熱、日光および風雨への暴露から保護される。従って、通常、歯ブラシ用途で使用されるモノフィラメントは、その耐用年数の間、すなわち保存、出荷、販売、および使用の間、過度の紫外光に暴露されない。さらに、モノフィラメントポリマーの種類を選択すると、モノフィラメントにおいて観察される劣化の程度に影響を与えることができ、従って、全てのモノフィラメントが有用でなくなる程度まで紫外光の影響を受けやすいというわけではない。
【0004】
しかしながら、特定のモノフィラメントは紫外線放射への長期の暴露の後に脆くなることがあり、その結果、これらの物理特性および機械特性は、例えば口腔衛生などのその意図される目的のために使用されている間に、折れたり壊れたりする程度まで劣化する。モノフィラメントの観察される脆性は、フィラメントの強度および可撓性の損失に起因し得る。この特性の損失によって、これらは、可撓性および強度が望ましい歯ブラシ用途または他の用途で使用するためには望ましくないとされる。強度および可撓性のこの損失は、異常に高いレベルの紫外線放射に暴露(すなわち、紫外線暴露のレベルが歯ブラシにとって普通でない)されたときのモノフィラメントの分解に起因し得る。
【0005】
例えば、従来のナイロン66、ナイロン6、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン614、およびナイロン1010モノフィラメントは、長期の紫外線放射に暴露されたときに脆くなり得る。この暴露は、米国フロリダの日光などの非常に陽射しの強い領域への暴露に相当し得る。この度合いの暴露は、特定のアジアおよび極東アジア諸国では習慣的であるように、品目が屋外環境で保存され、市場に出され、そして/あるいは販売されて、直射日光にさらされる世界の一部の領域において遭遇され得る。TiO2、BaSO4、CaO、ZnO、およびZnSは、モノフィラメントを含むプラスチック物品の不透明度を増大させるために光遮蔽剤として一般に使用される無機白色顔料である。しかしながら、驚くことに、不透明で白色のモノフィラメントは、このような条件下で天然または半透明フィラメントと比べて強度および可撓性の損失の影響をより受けやすいことが分かった。不透明または白色モノフィラメントによる光の透過は低減され、紫外線放射の影響も同様に低減されることが予想され得るので、これは予想外のことである。
【0006】
プラスチック物品の紫外線安定性を改善するための従来のアプローチは、プラスチックと、物品に紫外線安定性を付与し得る成分とをブレンドすることである。種々の紫外線安定剤が様々なメカニズムによって作用し、紫外線保護製品を提供する。例えば、紫外線吸収剤(または紫外線吸収剤に転換することができる化合物)、紫外線消光剤、紫外線捕獲剤、および光遮蔽剤は紫外線暴露の影響に対して増大した安定性を付与することができ、本明細書では、集合的に紫外線安定剤として考えるものとする。いくつかの無機化合物は光遮蔽剤の役割を果たすことができるが、機械特性の損失が観察され得る。紫外線安定剤として従来知られている有機化合物は、紫外光への暴露からの分解に対する耐性を付与することができる。従来知られている紫外線安定剤としては、例えば、p−tert−ブチルフェニルサリチラート、p−オクチルフェニルサリチラート、p,p’−イソプロピリデン−ビス(フェノールサリチラート)、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシ−ベンゾフェノン、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’−tert−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、ニッケルN,N−ジ−n−ブチルジチオカルバマート、および2,2’−チオビス(p−tert−オクチルフェノラート)ニッケルが挙げられる。
【0007】
しかしながら、歯ブラシまたはパーソナルケアにおいて使用され得る他の品目の場合、典型的な工程条件下での限られた堅牢性および移行に関する懸念から、特定の有機紫外線安定剤の使用は望ましくないとされ得る。歯ブラシの剛毛用途において紫外線安定剤として使用するための最適な候補は、
(a)290〜410nmの範囲の紫外線からの有効な保護を提供し、
(b)紫外線放射に長期間暴露された後でも有効な保護を提供し、
(c)高温加工に対する優れた熱安定性を有し、
(d)モノフィラメントポリマーと相溶性であり、加工中の移行が全くないかあるいは少ししかなく、
(e)低揮発性を有し、
(f)低毒性を有するかあるいは毒性を全く有さず、必要であれば、直接的または間接的な食品との接触が予想される使用のために適切であり、
(g)良好な耐薬品性を有し、
(h)モノフィラメントの物理特性または機械特性に対して実質的に悪影響をもたらさず、そして
(i)加水分解および水抽出に対して十分な耐性を有さなければならない。
【0008】
有機紫外線安定剤は、口腔ケアまたはパーソナルケア用途で使用するために推奨されない複雑な化学構造を有する化合物を含有し得る。そのため、従来の有機紫外線安定剤を含むフィラメントは、このような用途において有用ではないかもしれない。
【0009】
紫外光への長期の暴露の後に望ましい特性を保持するために全てのモノフィラメントが紫外線減衰成分を必要とするわけではないが、モノフィラメントによっては、その望ましい特性を損失し得るものもある。従って、歯ブラシなどのパーソナルケア製品、または紫外線放射へ暴露されたときに劣化し得る他のこのような製品において安全に使用できる非有機系の紫外線安定剤を含むことが望ましいこともある。特に、実質的に分解またはフィラメント強度の損失を起こさずに高熱、湿度、および日光への長期の暴露の条件に耐えることができる、不透明または白色の着色を有するモノフィラメントを使用することが望ましいこともある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本明細書には、(i)ハンドルと、(ii)ハンドルの末端のブラシヘッドと、(iii)複数の不透明な白色合成モノフィラメントとを含むブラシが開示されており、モノフィラメントは約0.5重量%以下の紫外線減衰成分を含み、そしてモノフィラメントは、ASTM G26に従って試験したときに平均してその初期の強度および可撓性の少なくとも約65%を保持する。
【0011】
また、本明細書には、(i)ハンドルと、(ii)ハンドルの末端のブラシヘッドと、(iii)複数の不透明な着色合成モノフィラメントとを含むブラシも開示されており、モノフィラメントは約0.5重量%以下の紫外線減衰成分を含み、そしてモノフィラメントは、ASTM G26に従って試験したときに平均してその初期の強度および可撓性の少なくとも約70%を保持する。本明細書におけるさらにもう1つの開示は不透明な着色合成モノフィラメントであり、モノフィラメントは約0.5重量%以下の紫外線減衰成分を含み、そしてモノフィラメントは、ASTM G26に従って試験したときにその初期の強度および可撓性の少なくとも約70%を保持する。
【0012】
本明細書におけるもう1つの開示は不透明な白色合成モノフィラメントであり、モノフィラメントは約0.5重量%以下の紫外線減衰成分を含み、そしてモノフィラメントは、ASTM G26に従って試験したときにその初期の強度および可撓性の少なくとも約70%を保持する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
一実施形態では、本発明は、高レベルの紫外線放射への長期の暴露の後でも、引張強さの保持によって明らかであるように、分解に耐える不透明な白色または着色モノフィラメントである。
【0014】
本発明のモノフィラメントは合成モノフィラメントであり、従来の方法によって、ナイロンおよびナイロンコポリマー、ポリエステル、ならびにポリオレフィンなどのプラスチック材料から得ることができる。
【0015】
より具体的には、ナイロン66、ナイロン612、ナイロン610、ナイロン614、ナイロン6、およびナイロン1010またはこれらのブレンドなどのナイロンが本発明の実施において有用であり得る。
【0016】
あるいは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、おびポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(PCT)などのポリエステルが本発明の実施において有用であり得る。
【0017】
ポリオレフィンも本発明の実施において有用であり得る。相溶性であるポリマーをブレンドする(そのブレンドが最終高分子製品に増強または改変されたポリマー特性を提供することができる)ことは従来どおりであり得る。
【0018】
歯ブラシまたは同様の用途のためのモノフィラメントとして有用であることが知られている高分子材料のブレンドは、本発明の教示の範囲内であると考えられる。
【0019】
好ましいポリマーは10,000を超える分子量(MW)を有し、通常、ポリアミド(ナイロン6,12、ナイロン6,10、ナイロン6、ナイロン10,10、ナイロン6,6、ナイロン6,14、ここでポリアミドは、ホモポリマー、コポリマー、またはこれらのブレンドである)、ポリエステル(ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート)、およびポリプロピレンまたはポリブチレンなどのポリオレフィン、もしくはこれらのブレンドからなる。
【0020】
本発明のモノフィラメントは、モノフィラメントを透過する紫外光のレベルを低下させる少なくとも1つの紫外線減衰成分を含む。紫外線減衰成分は、乳白剤または顔料であり得る。特に、本発明のモノフィラメントは、紫外光に長期に暴露されたときに前記モノフィラメントの分解を低減するように設計された少なくとも1種の紫外線減衰顔料を含む。このような顔料の例としては、二酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、硫化亜鉛(ZnS)、および酸化セリウム(CeO2)粒子、またはこれらのいずれかの混合物が挙げられる。好ましくは、顔料はTiO2またはZnOであり、最も好ましくは、顔料はTiO2である。粒子による紫外線減衰の程度は、粒径、粒子設計、および粒子組成などの因子に依存し得る。二酸化チタン、酸化亜鉛、および酸化セリウムのナノ粒子は、本発明のモノフィラメントに対する紫外線放射の効果を減衰させる際に有用であり得る。顔料ナノ粒子は、重量百分率を基準として非ナノサイズの紫外線減衰顔料粒子と同じ量でほぼ2倍の紫外線減衰を提供できることが分かっている。
【0021】
本発明の目的のために、本発明の実施において有用な顔料の粒径は400nm未満であり、約50nm〜約400nmの範囲であり得る。本発明の目的のためのナノ粒子は、約200nm以下、好ましくは約75〜約180nm、より好ましくは約75〜約160nmの平均粒径を有する粒子である。本発明の目的のための「標準」サイズの顔料粒子は、約200nmよりも大きい顔料粒子である。
【0022】
200nm以下のサイズを有する本発明の紫外線減衰顔料は、本発明の実施において、より有効であるように設計されることを必要とし得る。このような紫外線減衰ナノ粒子の表面は、例えば、アルミナ、シリカ、またはアニオン(例えば、硫酸イオン、塩化物イオン、硝酸イオン、およびリン酸イオンなど)で改変することができる。
【0023】
本発明のモノフィラメントは、約0.5重量%以下の紫外線減衰顔料を含む。好ましくは、前記顔料は、モノフィラメントの重量を基準として約0.1〜約0.5重量%の量でモノフィラメント中に含まれる。より好ましくは、前記モノフィラメントは、約0.1〜約0.4重量%の前記顔料を含む。任意で、様々な不透明な着色を提供するために他の顔料がモノフィラメント中に含まれてもよい。Pigment Black 7、CI77266、Channel Black、Pigment Blue 15、CI74160、Phthalocyanine Blue、Pigment Green 7、CI74260、Phthalocyanine Green、Pigment Red 101、CI77491、Iron Oxide、Pigment Violet 15、CI77007、Ultramarine Violet、Pigment Yellow 100、CI19140、およびFD&C Yellow #5 Lakeなどの既知の顔料を用いて、例えば、青色、緑色、黄色、オレンジ色、赤色または他の色を得ることができる。
【0024】
これらの顔料は、個々に紫外線減衰顔料と混ぜ合わせることもできるし、あるいは様々な組み合わせで使用することもできるが、ただしこのような顔料は、歯ブラシおよび/または他の消費ブラシ用途で使用するために安全であると考えられることを条件とする。このような他の任意的な顔料は、所望の着色を提供できる有効量で含まれ得るが、好ましくは、任意的な顔料および紫外線減衰顔料を合わせた全体の重量百分率は、モノフィラメント組成物の0.75重量%以下である。
【0025】
本発明のモノフィラメントは0.003インチの最小直径および0.020インチからの最大直径を有し、従来または既知の方法(例えば、スピナレットプレートを用いて単軸または2軸押出機および/または一連のスタティックミキサーから溶融高分子材料を押出してフィラメントを製造し、フィラメントを急冷し、フィラメントを延伸し、フィラメントをアニーリングし、そしてフィラメントを綛にする(例えば、フィラメント束)を用いて製造することができる。フィラメントは延伸されて、使用される高分子材料の特性に応じて400Kpsi〜2,000Kpsiの曲げ弾性率を有するフィラメントを提供することができる。
【0026】
フィラメントは、様々な着色剤または色濃縮物をブレンドすることによってどんな色ででも製造することができる。また、様々な毛管形状を通して押し出すことによって、中空、3室、4室、4葉状および六角形などの様々な断面形状を製造することができる。本発明のフィラメントは、クレー、テフロン(登録商標)微粉末、金属粉末、研磨砂、金属粒子、および抗菌成分など(しかしこれらに限定されない)の様々な添加剤を含むことができる。
【0027】
フィラメントを綛にした後、この綛は特定の長さの片に切断される。切断片は、標準的なタフティング方法を用いて、歯ブラシまたは他のブラシために使用することができる。
【0028】
歯ブラシに加えて、本発明のモノフィラメントは、研磨フィラメント、化粧品(例えば、化粧用ブラシ)、ペイントブラシ、毛筆、ろ過媒体、モノフィラメント布帛、かつら用の人工毛髪、人形の毛髪、およびモノフィラメントが使用され得る他の用途などの用途において使用することができる。
【0029】
本発明のモノフィラメントは、破断荷重によって測定されるように、紫外線放射への長期の暴露の後に、特定の従来のモノフィラメントよりも少ない強度および/または可撓性の損失を示す。本発明の目的のために、「紫外線放射への長期の暴露」は、サンプルモノフィラメントが、ASTM G26に従って、約50%未満の相対湿度条件下で500〜800時間の範囲の期間、紫外線放射に暴露された(これは、12週間の日光への暴露に近似されるはずである)ことを意味する。本発明のモノフィラメントは、破断荷重(BL)の%損失(本明細書では、「測定BL(BLm)から初期BL(BLi)を差し引き、これをBLiで除して100%をかけた値」であると定義される)が35%以下の絶対値であることを示す。言い換えると、本明細書に記載される条件下で測定される破断荷重によって例示されるように、本発明の不透明な白色モノフィラメントはその強度の少なくとも約65%以上を保持する。好ましくは、モノフィラメントは、その強度の少なくとも約70%、より好ましくはその強度の少なくとも約75%を保持する。
【0030】
別の実施形態では、紫外線減衰顔料を含み、そしてさらに着色顔料を含む本発明の着色紫外線減衰モノフィラメントは、本明細書に記載される手順に従って決定される場合に25%の絶対値以下である破断荷重の%損失を有する。
【0031】
さらに別の実施形態では、モノフィラメントの先端は、当該技術分野で既知の方法(例えば、モノフィラメントの端部を熱い苛性溶液中に浸漬し、モノフィラメントを溶液から取り出した後、モノフィラメント上に残留する苛性を中和し、そしてモノフィラメント洗浄することによって、端部でテーパー状の直径を有するモノフィラメントを得るなど)によって、テーパー状にするあるいは角度を付けることができる。
【実施例】
【0032】
実施例1
ナイロン6,10樹脂(中国江蘇省無錫のDuPont Xingda Filaments Co.,Ltd.から市販されている)に、0.413重量%のTiO2(DuPont DPX−Opt 1)をブレンドして、白色ブレンドを得た。樹脂がその表面に粉末を吸収し、粉末がより均一に分配されるように、特定の割合の湿潤剤(約0.06〜0.10%の食品との接触のある白色油であった)を塗布した。
【0033】
直径0.08mmの円形孔を有する120孔スピナレットプレートを紡績機に取り付けてナイロンブレンドを215〜320℃の範囲の温度で押出し、水浴(浴の温度は12〜35℃の範囲)中で急冷した。80〜100℃の範囲の温度の加熱浴から引き出した後、得られたストランドを延伸して、均一な直径および望ましい強度を有するフィラメントを得た。延伸比は、3.2〜4.6の範囲である。巻取りフレームにおいて15MPaの飽和水蒸気で25〜60分間、固定フィラメントを熱硬化させた。フィラメントを検査し、巻き付けて長い綛にするか、あるいはより小さい片に切断した。
【0034】
26日間にわたって試験中にサンプルに水をスプレーしなかったことを除いてASTM G26に従って、30cm長さの一組のフィラメントサンプルを試験した。
【0035】
Instron試験機を用いて、10個のサンプルの平均破断荷重を得た。表1は、紫外線暴露試験の結果を示す。市販のフィラメントを入手し、比較のために同じ分析手順に従って試験した。結果は同様に表1に示される。比較フィラメントは、従来の二酸化チタン顔料を0.33重量%含む白色の不透明ナイロン610フィラメントである。
【0036】
【表1】

【0037】
データは、実施例1のフィラメントの破断荷重の損失率が同じ期間の比較例よりも低いであることを示しており、これは、紫外線放射への暴露によって生じる風化作用に対して、本発明のフィラメントが従来のフィラメントよりも堅牢性であることを示す。
【0038】
実施例2
実施例1に記載されるものと同じ方法および試験条件を用いて、TiO2の添加率を0.231%に調整することによって、実施例2の白色フィラメントを製造した。市販のフィラメントを比較のために試験し、結果は表1に示される。
【0039】
実施例3
0.0999重量%のTiO2と一緒に青色顔料(フタロシアニンブルー、0.005%)を添加したことを除いて実施例1に記載されるものと同じ方法および試験条件を用いて、実施例3の青色の不透明フィラメントを製造し、表1に示される以下の結果を得た。同じ青色顔料を比較サンプルで用いた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.ハンドルと、
b.ハンドルの末端のブラシヘッドと、
c.複数の不透明な白色合成モノフィラメントと
を含むブラシであって、前記モノフィラメントが、約0.5重量%以下の紫外線減衰成分を含み、そして前記モノフィラメントが、ASTM G26に従って試験したときに平均してその初期の強度および可撓性の少なくとも約65%を保持するブラシ。
【請求項2】
複数の合成モノフィラメントを含む、請求項1に記載のブラシにおいて使用するための房であって、前記モノフィラメントが、約0.5重量%以下の紫外線減衰成分を含み、そして前記モノフィラメントが、ASTM G26に従って試験したときにその初期の強度および可撓性の少なくとも約65%を保持する房。
【請求項3】
前記ブラシが、歯ブラシ、ペイントブラシ、化粧用ブラシ、または毛筆である請求項1に記載のブラシ。
【請求項4】
約0.5重量%以下の紫外線減衰成分を含み、ASTM G26に従って試験したときにその初期の強度および可撓性の少なくとも約65%を保持する不透明な白色合成モノフィラメント。
【請求項5】
前記モノフィラメントが、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン614、ナイロン1010、ポリエステル、ポリオレフィン、またはこれらのブレンドからなる群から選択されるポリマーを含む請求項4に記載のモノフィラメント。
【請求項6】
前記紫外線減衰成分が、400nm以下の粒径を有する顔料である請求項4または5に記載のモノフィラメント。
【請求項7】
前記紫外線減衰顔料が、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、および酸化セリウムからなる群から選択される請求項6に記載のモノフィラメント。
【請求項8】
前記紫外線減衰顔料が、約200nm以下の粒径を有する請求項7に記載のモノフィラメント。
【請求項9】
請求項4〜8のいずれか一項に記載のモノフィラメントを含む研磨フィラメント、化粧品、ペイントブラシ、毛筆、ろ過媒体、モノフィラメント布帛、かつら用の人工毛髪、または人形の毛髪。
【請求項10】
(i)ハンドルと、
(ii)ハンドルの末端のブラシヘッドと、
(iii)複数の不透明な着色合成モノフィラメントと
を含むブラシであって、前記モノフィラメントが、約0.5重量%以下の紫外線減衰成分を含み、そして前記モノフィラメントが、ASTM G26に従って試験したときに平均してその初期の強度および可撓性の少なくとも約70%を保持するブラシ。
【請求項11】
複数の合成モノフィラメントを含む、請求項10に記載のブラシにおいて使用するための房であって、前記モノフィラメントが、約0.5重量%以下の紫外線減衰成分を含み、そして前記モノフィラメントが、ASTM G26に従って試験したときにその初期の強度および可撓性の少なくとも約70%を保持する房。
【請求項12】
前記ブラシが、歯ブラシ、ペイントブラシ、化粧用ブラシ、または毛筆である請求項10に記載のブラシ。
【請求項13】
約0.5重量%以下の紫外線減衰成分を含み、ASTM G26に従って試験したときにその初期の強度および可撓性の少なくとも約70%を保持する不透明な着色合成モノフィラメント。
【請求項14】
前記モノフィラメントが、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン614、ナイロン1010、ポリエステル、ポリオレフィン、またはこれらのブレンドからなる群から選択されるポリマーを含む請求項13に記載のモノフィラメント。
【請求項15】
前記紫外線減衰成分が、400nm以下の粒径を有する顔料である請求項13または14に記載のモノフィラメント。
【請求項16】
前記紫外線減衰顔料が、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、および酸化セリウムからなる群から選択される請求項15に記載のモノフィラメント。
【請求項17】
前記紫外線減衰顔料が、約200nm以下の粒径を有する請求項16に記載のモノフィラメント。
【請求項18】
請求項13〜17のいずれか一項に記載のモノフィラメントを含む研磨フィラメント、化粧品、ペイントブラシ、毛筆、ろ過媒体、モノフィラメント布帛、かつら用の人工毛髪、または人形の毛髪。

【公表番号】特表2010−512957(P2010−512957A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−542951(P2009−542951)
【出願日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【国際出願番号】PCT/US2007/026222
【国際公開番号】WO2008/079364
【国際公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】