説明

紫外吸収に関与しないヒドロキシ基を有するベンゾトリアゾ−ル系紫外線吸収剤のビニル系モノマ−への誘導

【課題】より経済的な方法で、在来のベンゾトリアゾ−ル系紫外線吸収剤を、共重合反応およびグラフト反応に適用しやすいビニル系モノマ−に誘導すること。
【解決手段】紫外吸収に関与しないヒドロキシ基を別に有するベンゾトリアゾ−ル系紫外線吸収剤のうちから安価に得られるものを選択し、これらをアクリロイル化あるいはメタクリロイル化することにより課題を解決しようとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明ははじめに6種類のC−位にヒドロキシメチル基を有するベンゾトリアゾ−ル系紫外線吸収剤、すなわち、2−(2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)−6−ヒドロキシメチル−4−メチルフェノ−ル、2−(2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)−4−tert−ブチル−6−ヒドロキシメチルフェノ−ル、2−(2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)−6−ヒドロキシメチル−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−フェノ−ル、2−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)−6−ヒドロキシメチル−4−メチルフェノ−ル、4−tert−ブチル−2−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)−6−ヒドロキシメチルフェノ−ルおよび2−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)−6−ヒドロキシメチル−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノ−ルのそれぞれと、塩化アクリロイルおよび塩化メタクリロイルのそれぞれを脱塩酸縮合させることによる12(6×2)種類のビニル系モノマ−の合成と、それらとアクリル酸エチルとの共重合に関する(共重合する場合と共重合しない場合の両方が含まれる)。詳しくはアクリル酸3−(2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル(Ia)、アクリル酸3−(2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)−5−tert−ブチル−2−ヒドロキシベンジル(Ib)、アクリル酸3−(2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)−2−ヒドロキシ−5−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)ベンジル(Ic)、アクリル酸3−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル(Id)、アクリル酸5−tert−ブチル−3−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−2−ヒドロキシベンジル(Ie)、アクリル酸3−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)−2−ヒドロキシ−5−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)ベンジル(If)、メタクリル酸3−(2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル(IIIa)、メタクリル酸3−(2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)−5−tert−ブチル−2−ヒドロキシベンジル(IIIb)、メタクリル酸4−(2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)−2−ヒドロキシ−5−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)ベンジル(IIIc)、メタクリル酸3−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル(IIId)、メタクリル酸5−tert−ブチル−3−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)−2−ヒドロキシベンジル(IIIe)およびメタクリル酸3−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)−2−ヒドロキシ−5−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)ベンジル(IIIf)の合成と、得られた化合物とアクリル酸エチルとの共重合に関する(共重合する場合と共重合しない場合の両方が含まれる)。
【0002】
つぎに、2種類のC−位にヒドロキシ基を有するベンゾトリアゾ−ル系紫外線吸収剤、すなわち、4−(2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)レゾルシノ−ルおよび4−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)レゾルシノ−ルのそれぞれと、塩化アクリロイルおよび塩化メタクリロイルのそれぞれを脱塩酸縮合させることによる4(2×2)種類のビニル系モノマ−の合成と、それらとアクリル酸エチルとの共重合に関する(共重合する場合と共重合しない場合の両方が含まれる)。詳しくはアクリル酸4−(2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)−3−ヒドロキシフェニル(Va)、アクリル酸4−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)−3−ヒドロキシフェニル(Vb)、メタクリル酸4−(2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)−3−ヒドロキシフェニル(VIIa)およびメタクリル酸4−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)−3−ヒドロキシフェニル(VIIb)の合成と、得られた化合物とアクリル酸エチルとの共重合に関する(共重合する場合と共重合しない場合の両方が含まれる)。
【背景技術】
【0003】
光劣化防止機能を有するビニル系モノマーともいえる化合物においては、光劣化の予防あるいは停止を担う構造を含むものを先ず合成し、あとでアクリロイル、メタクリロイルなどの不飽和基を導入することにより合成されている。このようにビニル系モノマ−であり、かつそれがベンゾトリアゾ−ル系紫外線吸収剤であると言える化合物についての研究を、合成法とともに羅列することが本研究における背景技術について述べることになるであろう。2−(2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)−4−メチルフェノ−ルとN−ヒドロキシメチルアクリルアミドを濃硫酸中低温で縮合させてN−[3−(2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル]アクリルアミド(IX)に誘導している。そしてこのものはオクタデシルアクリレ−トと共重合させている(特許文献1)。2−(2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)−4−(2−ヒドロキシエチル)フェノ−ルは2−イソシアナ−トエチルメタクリレ−トと反応させて N−[2−(メタクリロイルオキシ)エチル]カルバミド酸3−(2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)−4−ヒドロキシフェネチル(X)としている(非特許文献1)。1−(2H−べンゾトリアゾ−ル−2−イル)−2,3−ジヒドロキシナフタレンあるいは1−(2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)−2,7−ジヒドロキシナフタレンは塩化メタクリロイルと脱塩酸縮合させて1−(2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)−2−ヒドロキシ−3−(メタクリロイルオキシ)ナフタレン(XI)あるいは1−(2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)−2−ヒドロキシ−7−(メタクリロイルオキシ)ナフタレン(XII)にそれぞれ誘導している(非特許文献2および特許文献2)。2−アミノ−6−(2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノ−ルと塩化アクリロイルを脱塩酸縮合させてN−[3−(2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)−2−ヒドロキシ−5−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル]アクリルアミド(XIIIa)を得ている。塩化アクリロイルの代わりに塩化メタクリロイルを用いて同じく脱塩酸縮合させてN−[3−(2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)−2−ヒドロキシ−5−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル]メタクリルアミド(XIIIb)を得ている(特許文献3)。4−[4−(2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)−3−ヒドロキシフェノキシ]酪酸とグリシジルメタクリレ−トの反応はヒドロキノンの存在下テトラメチルアムモニウムクロリド触媒を用いて進行し4−[4−(2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)−3−ヒドロキシフェノキシ]酪酸2−ヒドロキシ−3−(メタクリロイルオキシ)プロピル(XIV)を得ている(特許文献4)。2−(5−アミノ−2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)−4,6−ジクミルフェノ−ルと塩化メタクリロイルを脱塩酸縮合させてN−[2−(3,5−ジクミル−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾ−ル−5−イル]メタクリルアミド(XV)を得ている(特許文献5)。そして、5−(2−ニトロフェニルアゾ)−2,2′,4,4′−テトラヒドロキシベンゾフェノンと塩化アクリロイルの脱塩酸縮合物(XVI)を還元的閉環させることにより4−アクリロイルオキシ−5′−(2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)−2,2′,4′−トリヒドロキシベンゾフェノン(XVII)としている(特許文献6)。このものだけは前駆物質であるアゾ色素の段階でアクリロイル基を導入し、生成したものを還元することにより得ている。最後に、本研究においても用いられている4−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)レゾルシノ−ルについては、これとグリシジルメタクリレ−トを硝酸アンモニウム触媒を用いて反応させ、メタクリル酸3−[4−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)−3−ヒドロキシフェノキシ]−2−ヒドロキシプロピル(XVIII)としている(特許文献7)。ここで得られているIX,X,XI,XII,XIIIa,XIIIb,XIV,XV,XVIIおよびXVIIIに関しては、それらの構造式から重合および共重合が可能であると考えられるが、これらに関する詳細な報告は殆どない。断片的なものをあげると、例えば、XVは2−(ジメチルアミノ)エチルメタクリレ−トと共重合させて顔料用の高分子紫外線吸収剤としている(特許文献5)。
【化5】

【化6】

【化7】

【化8】

【化9】

【化10】

【化11】

【化12】

【化13】

【0004】
【特許文献1】Ger.Offen.2734149;C.A.,88,191776(1978).
【非特許文献1】C.Arnold Jr.and C.L.Renschler,Poly.Mater.Sci.Eng.,55,850(1986).
【非特許文献2】K.F.Shuhaibar,F.A.Rasoul,H.Pasch and A.Mobascher,Angew.Makromol.Chem.,193,147(1991)
【特許文献2】U.S.US 5032657;C.A.115,184177(1991).
【特許文献3】Jpn.Kokai Tokkyo Koho JP 6281376;C.A.,109,7508(1988).
【特許文献4】Jpn.Kokai Tokkyo Koho JP 03139590;C.A.,115,233839(1991).
【特許文献5】Jpn.Kokai Tokkyo Koho JP 63248863;C.A.,110,175213(1989).
【特許文献6】Brit.UK Patent Appl.GB 2232667;C.A.,114,230105(1991).
【特許文献7】Eur.Pat.Appl.,EP 343996;C.A.,113,138553(1990).
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
背景技術において述べられたビニル系モノマ−は、他のモノマ−との共重合あるいは既製ポリマ−へのグラフト反応によって高分子光劣化防止剤に誘導されうる。すなわち、その最適添加量をモノマ−の段階にある対象基質に加えて共重合させる、あるいは同じく最適添加量を既製ポリマ−にグラフト反応させることから始まって最終的には高分子光劣化防止剤になる。以上のことは本研究における究極の目的を述べているが、実際の研究が予想通りの結果になるか否かについては多分に疑問がある。共重合あるいはグラフト反応において立体障害のある中間ラジカルが容易に次の反応をおこなうとは考えにくいことである。すなわち、共重合はしないだろう、あるいはグラフト反応はしないだろうという疑問が常に先行する。過去にIXおよびXVについての共重合は報告されているが、他のX,XI,XII,XIIIa,XIIIb,XIV,XVIIおよびXVIIIについては如何なる結果が得られるかの予想は困難である。ここで得られた16種類の化合物についても、立体障害が最も少ないと考えられるにもかかわらず、共重合についての予想は困難である。容易に合成しうることから経済的であるという課題は解決されるだろうけれども、共重合については参考になる文献がない。16種類の化合物のすべてをアクリル酸エチルとのラジカル共重合(2,2′−アゾビスイソブチロニトリルを開始剤とする溶液重合)というひとつの範囲に限って研究した。共重合の相手が変われば、そして共重合条件が変われば結果は変わると考えられる。そしてここに得られた結果がこの種の化合物の共重合に関する基礎的研究に対して幾らかの参考資料になればよしとすべきであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
より経済的であることを先ず考慮して、本発明者が始めて合成した4−アルキル−2−(2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)−6−ヒドロキシメチルフェノ−ルおよび4−アルキル−2−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)−6−ヒドロキシメチルフェノ−ル(特許文献8)のヒドロキシメチル基のヒドロキシ基を利用することを考えた。すなわち、6種類のC−位にヒドロキシメチル基を有するベンゾトリアゾ−ル系紫外線吸収剤を選択し、これらと塩化アクリロイルあるいは塩化メタクリロイルを脱塩酸縮合させることにより対応するアクリレ−トあるいはメタクリレ−トとした。そしてこれらについては、アクリル酸エチルとノラジカル共重合について試みた。さらに比較的古くから知られ、そして合成されている4−(2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)レゾルシノ−ルおよび4−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)レゾルシノ−ルを選択し、これらと塩化アクリロイルあるいは塩化メタクリロイルを脱塩酸縮合させることにより対応するアクリレ−トあるいはメタクリレ−トとした。これらについても同じように、アクリル酸エチルとの共重合について試みた。
【0007】
【特許文献8】特開平7−101943号公報
【発明の効果】
【0008】
本発明者らが合成した光劣化防止機能を有するビニル系モノマ−は、安易な方法でしかも経済性を持って合成しうることを特長とするものである。X,XIVおよびXVIIIについてはそれらのUVスペクトルにおける吸収極大が長波長部に存在する特長を有すると述べられているが、経済性を持って合成しうるという特長はないと考えられる。更なる発明の効果としては、この種のビニル系モノマ−の共重合に関して狭い範囲ではあるが基礎的な知見を与えたことである。背景技術において述べたようにこの種のビニル系モノマ−の共重合に関しては断片的な報告だけである。IXとオクタデシルアクリレ−トの共重合について,そしてXVと2−(ジエチルアミノ)エチルメタクリレ−トの共重合について述べられているだけである。この意味においてここに得られたもののアクリル酸エチルとの共重合は新規な知見である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下の実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は該実施例に限られるものではない。得られたものはすべて新規化合物であるので元素分析値を付してある。また、得られたコポリマ−については元素分析実験値特に窒素分析実験値から共重合の割合について判断した。そして、コポリマ−の融点は毛細管中で加熱したさいの見かけを示すもので概略値である。
【実施例1】
【0010】
2−(2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)−6−ヒドロキシメチル−4−メチルフェノ−ル4.0g(0.0157mol)、トリエチルアミン3.81g(0.0376mol)およびトルエン220mlを混合し、室温でかきまぜながらこれに塩化アクリロイル2.27g(0.0251mol)のトルエン溶液を4〜5時間かけて滴下した。滴下後、12時間室温でかきまぜてから1時間還流煮沸して反応させた。反応後、熱水洗してからトルエン溶液を減圧濃縮して析出結晶を濾過しとった。必要であれば少量のメタノ−ルで洗浄してから水とアセトンの混合溶媒を用いて、あるいはメタノ−ルを用いて、あるいはその両者を順次用いて再結晶して微黄褐色のIa2.99gを得た。収率62%、融点111〜112.5℃。元素分析実験値(%)C65.72,H4.70,N13.89;C1715に対する計算値(%)C66.01,H4.89,N13.59。IRスペクトル(KBr)認められない(νO−H),1720cm−1(νC=O)。UVスペクトル(CHCl)λmax(εmax)302nm(14500),342nm(17300)。
【0011】
1.00g(0.01mol)のアクリル酸エチルに対し20mol%のIa,1mol%の2,2′−アゾビスイソブチロニトリルおよび3倍重量のトルエンを混合し、窒素ガス下70℃で5時間共重合させた。反応後、メタノ−ルに加えて分離し、必要であれば温メタノ−ルで洗浄してからトルエン−石油エ−テルで再沈殿精製して可塑性のある微黄色固体状のIIaを得た。融点75〜90℃,[η]=0.21dl・g−1(toluene,30℃)。元素分析実験値特に窒素分析実験値より計算したn/m=3.7。IRスペクトル(フィルム)認められない(νO−H),1730cm−1(2種類のνC=Oの重なり)。
【実施例2】
【0012】
2−(2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)−6−ヒドロキシメチル−4−メチルフェノ−ル4.0g(0.0157mol)の代わりに2−(2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)−4−tert−ブチル−6−ヒドロキシメチルフェノール4.67g(0.0157mol)を用い、他は実施例1と同様にして2−(2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)−4−tert−ブチル−6−ヒドロキシメチルフェノ−ルを塩化アクリロイルと反応させた。同様に処理して微黄色のIb2.99gを得た。収率54%、融点107〜108℃。元素分析実験値(%)C68.07,H5.78,N12.25;C2021に対する計算値(%)C68.36,H6.02,N11.96。IRスペクトル(KBr)認められない(νO−H),1730cm−1(νC=O)。UVスペクトル(CHCl)λmax(εmax)303nm(15100),340nm(18300)。
【0013】
20mol%のIaの代わりに20mol%のIbを用い、他は実施例1と同様にしてIbをアクリル酸エチルと共重合させた。反応後、同様に処理して可塑性のある微黄色固体状のIIbを得た。融点65〜95℃,[η]=0.23dl・g−1(toluene,30℃)。元素分析実験値特に窒素分析実験値より計算したn/m=3.8。IRスペクトル(フィルム)認められない(νO−H),1730cm−1(2種類のνC=Oの重なり)。
【実施例3】
【0014】
2−(2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)−6−ヒドロキシメチル−4−メチルフェノール4.0g(0.0157mol)の代わりに 2−(2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)−6−ヒドロキシメチル−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノ−ル5.55g(0.0157mol)を用い、他は実施例1と同様にして2−(2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)−6−ヒドロキシメチル−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェ−ルを塩化アクリロイルと反応させた。同様に処理して白色のIc3.54gを得た。収率55%、融点107〜108℃。元素分析実験値(%)C70.44,H6.89,N10.60;C2429に対する計算値(%)C70.73,H7.17,N10.31。IRスペクトル(KBr)認められない(νO−H),1730cm−1(νC=O)。UVスペクトル(CHCl)λmax(εmax)303nm(15600),342nm(17500)。
【0015】
20mol%のIaの代わりに20mol%のIcを用い、他は実施例1と同様にしてIcをアクリル酸エチルと共重合させた。反応後、同様に処理して可塑性のある微黄色固体状のIIcを得た。融点55〜90℃,[η]=0.22dl・g−1(toluene,30℃)。元素分析実験値特に窒素分析実験値より計算したn/m=4.0。IRスペクトル(フィルム)認められない(νO−H),1730cm−1(2種類のνC=Oの重なり)。
【実施例4】
【0016】
2−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)−6−ヒドロキシメチル−4−メチルフェノ−ル4.55g(0.0157mol)、トリエチルアミン3.81g(0.0376mol)およびトルエン260mlを混合し、室温でかきまぜながらこれに塩化アクリロイル2.27g(0.0251mol)のトルエン溶液を4〜5時間かけて滴下した。滴下後、12時間室温でかきまぜてから1時間還流煮沸して反応させた。反応後、熱水洗してからトルエン溶液を減圧濃縮して析出結晶を濾過しとった。必要であれば少量のメタノ−ルで洗浄してから水とアセトンの混合溶媒を用いて、あるいはメタノールを用いて、あるいはその両者を順次用いで再結晶して微黄色のIg2.76gを得た。収率51%、融点115〜116.5℃。元素分析実験値(%)C59.25,H3.94,N12.27;C1714ClNに対する計算値(%)C59.39,H4.11,N12.22。IRスペクトル(KBr)認められない(νO−H),1730cm−1(νC=O)。UVスペクトル(CHCl)λmax(εmax)310nm(15000),348nm(20700)。
【0017】
20mol%のIaの代わりに20mol%のIdを、3倍重量のトルエンの代わりに4倍重量のトルエンを用い、他は実施例1と同様にしてIdをアクリル酸エチルと共重合させた。反応後、同様に処理して可塑性のある白色固体状のIIdを得た。融点45〜85℃,[η]=0.07dl・g−1(toluene,30℃)。元素分析実験値特に窒素分析実験値より計算したn/m=3.8。IRスペクトル(フィルム)認められない(νO−H),1735cm−1(2種類のνC=Oの重なり)。
【実施例5】
【0018】
2−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)−6−ヒドロキシメチル−4−メチルフェノ−ル4.55g(0.0157mol)の代わりに4−tert−ブチル−2−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)−6−ヒドロキシメチルフェノ−ル5.21g(0.0157mol)を用い、他は実施例4と同様にして4−tert−ブチル−2−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)−6−ヒドロキシメチルフェノ−ルを塩化アクリロイルと反応させた。同様に処理して殆ど白色のIe4.26gを得た。収率70%、融点127〜128℃。元素分析実験値(%)C61.97,H4.97,N11.12;C2020ClNに対する計算値(%)C62.25,H5.23,N10.89。IRスペクトル(KBr)認められない(νO−H),1730cm−1(νC=O)。UVスペクトル(CHCl)λmax(εmax)311nm(14100),347nm(19800)。
【0019】
20mol%のIaの代わりに20mol%のIeを、3倍重量のトルエンの代わりに4倍重量のトルエンを用い、他は実施例1と同様にしてIeをアクリル酸エチルを共重合させた。反応後、同様に処理して可塑性のある微黄色固体状のIIeを得た。融点50〜85℃,[η]=0.08dl・g−1(toluene,30℃)。元素分析実験値特に窒素分析実験値より計算したn/m=4.5。IRスペクトル(フイルム)認められない(νO−H),1730cm−1(2種類のνC=Oの重なり)。
【実施例6】
【0020】
2−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)−6−ヒドロキシメチル−4−メチルフェノ−ル4.55g(0.0157mol)の代わりに2−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)−6−ヒドロキシメチル−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノ−ル6.09g(0.0157mol)を用い、他は実施例4と同様にして2−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)−6−ヒドロキシメチル−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノ−ルを塩化アクリロイルと反応させた。同様に処理して白色のIf4.59gを得た。収率66%、融点105〜106℃。元素分析実験値(%)C64.93,H6.41,N9.80;C2428ClNに対する計算値(%)C65.22,H6.39,N9.51。IRスペクトル(KBr)認められない(νO−H),1725cm−1(νC=O)。UVスペクトル(CHCl)λmax(εmax)310nm(10500),349nm(13600)。
【0021】
20mol%のIaの代わりに20mol%のIfを、3倍重量のトルエンの代わりに4倍重量のトルエンを用い、他は実施例1と同様にしてIfをアクリル酸エチルと共重合させた。反応後、同様に処理して可塑性の或る微黄色固体状のIIfを得た。融点45〜75℃,[η]=0.08dl・g−1(toluene,30℃)。元素分析実験値特に窒素分析実験値より計算したn/m=5.1。IRスペクトル(フィルム)認められない(νO−H),1730cm−1(2種類のνC=Oの重なり)。
【実施例7】
【0022】
2−(2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)−6−ヒドロキシメチル−4−メチルフェノ−ル4.0g(0.0157mol)、トリエチルアミン3.81g(0.0376mol)およびトルエン220mlを混合し、室温でかきまぜながらこれに塩化メタクリロイル2.62g(0.0251mol)のトルエン溶液を4〜5時間かけて滴下した。滴下後、12時間室温でかきまぜてから1時間還流煮沸して反応させた。反応後、熱水洗してからトルエン溶液を減圧濃縮して析出結晶を濾過しとった。必要であれば少量のメタノ−ルで洗浄してから水とアセトンの混合溶媒を用いて、あるいはメタノ−ルを用いて、あるいはその両者を順次用いて再結晶して微黄色のIIIa3.21gを得た。収率63%、融点123〜124℃。元素分析実験値(%)C66.64,H5.04,N13.23;C1817に対する計算値(%)C66.86,H5.30,N13.00。IRスペクトル(KBr)認められない(νO−H),1720cm−1(νC=O)。UVスペクトル(CHCl)λmax(εmax)302nm(18500),342nm(21700)。
【0023】
20mol%のIaの代わりに20mol%のIIIaを用い、他は実施例1と同様にしてIIIaをアクリル酸エチルと共重合させた。しかし、IIIaの大部分が回収された。
【実施例8】
【0024】
2−(2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)−6−ヒドロキシメチル−4−メチルフェノ−ル4.0g(0.0157mol)の代わりに2−(2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)−4−tert−ブチル−6−ヒドロキシメチルフェノ−ル4.67g(0.0157mol)を用い、他は実施例7と同様にして2−(2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)−4−tert−ブチル−6−ヒドロキシメチルフェノ−ルを塩化メタクリロイルと反応させた。同様に処理して白色のIIIb2.98gを得た。収率52%、融点136〜137℃。元素分析実験値(%)C68.81,H6.09,N11.86;C2123に対する計算値(%)C69.02,H6.34,N11.50。IRスペクトル(KBr)認められない(νO−H),1720cm−1(νC=O)。UVスペクトル(CHCl)λmax(εmax)303nm(16400),340nm(19600)。
【0025】
20mol%のIaの代わりに20mol%のIIIbを用い、他は実施例1と同様にしてIIIbをアクリル酸エチルと共重合させた。反応後、同様に処理して可塑性のある白色固体状のIVbを得た。融点80〜100℃,[η]=0.08dl・g−1(toluene,30℃)。元素分析実験値特に窒素分析実験値より計算したn/m=3.7。IRスペクトル(フイルム)認められない(νO−H),1730cm−1(2種類のνC=Oの重なり)。
【実施例9】
【0026】
2−(2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)−6−ヒドロキシメチル−4−メチルフェノ−ル4.0g(0.0157mol)の代わりに2−(2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)−6−ヒドロキシメチル−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノ−ル5.55g(0.0157mol)を用い、他は実施例7と同様にして2−(2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)−6−ヒドロキシメチル−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノ−ルを塩化メタクリロイルと反応させた。同様に処理して微黄色のIIIc3.44gを得た。収率52%、融点85〜86℃。元素分析実験値(%)C70.95,H7.20,N10.26;C2531に対する計算値(%)C71.23,H7.41,N9.97。IRスペクトル(KBr)認められない(νO−H),1720cm−1(νC=O)。UVスペクトル(CHCl)λmax(εmax)303nm(15500),343nm(17100)。
【0027】
20mol%のIaの代わりに20mol%のIIIcを用い、他は実施例1と同様にしてIIIcをアクリル酸エチルと共重合させた。反応後、同様に処理して可塑性のある白色固体状のIVcを得た。融点50〜95℃,[η]=0.20dl・g−1(toluene,30℃)。元素分析実験値特に窒素分析実験値より計算したn/m=5.3。IRスペクトル(フィルム)認められない(νO−H),1730cm−1(2種類のνC=Oの重なり)。
【実施例10】
【0028】
2−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)−6−ヒドロキシメチル−4−メチルフェノ−ル4.55g(0.0157mol)、トリエチルアミン3.81g(0.0376mol)およびトルエン260mlを混合し、室温でかきまぜながらこれに塩化メタクリロイル2.62g(0.0251mol)のトルエン溶液を4〜5時間かけて滴下した。滴下後、12時間室温でかきまぜてから1時間還流煮沸して反応させた。反応後、熱水洗してからトルエン溶液を減圧濃縮して析出結晶を濾過しとった。必要であれば少量のメタノ−ルで洗浄してから水とアセトンの混合溶媒を用いて、あるいはメタノ−ルを用いて、あるいはその両者を順次用いて再結晶して微黄色のIIId3.31gを得た。収率59%、融点103〜104℃。元素分析実験値(%)C60.16,H4.32,N11.98;C1816ClNに対する計算値(%)C60.42,H4.51,N11.74。IRスペクトル(KBr)認められない(νO−H),1730cm−1(νC=O)。UVスペクトル(CHCl)λmax(εmax)310nm(14100),349nm(19300)。
【0029】
20mol%のIaの代わりに20mol%のIIIdを、3倍重量のトルエンの代わりに4倍重量のトルエンを用い、他は実施例1と同様にしてIIIdをアクリル酸エチルと共重合させた。しかし、IIIdの大部分が回収された。
【実施例11】
【0030】
2−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)−6−ヒドロキシメチル−4−メチルフェノ−ル4.55g(0.0157mol)の代わりに4−tert−ブチル−2−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)−6−ヒドロキシメチルフェノ−ル5.21g(0.0157mol)を用い、他は実施例10と同様にして4−tert−ブチル−2−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)−6−ヒドロキシメチルフェノ−ルを塩化メタクリロイルと反応させた。同様に処理して微黄色のIIIe3.24gを得た。収率52%、融点134〜135℃。元素分析実験値(%)C62.82,H5.39,N10.75;C2122ClNに対する計算値(%)C63.07,H5.55,N10.51。IRスペクトル(KBr)認められない(νO−H),1720cm−1(νC=O)。UVスペクトル(CHCl)λmax(εmax)311nm(15200),347nm(20700)。
【0031】
20mol%のIaの代わりに20mol%のIIIeを、3倍重量のトルエンの代わりに4倍重量のトルエンを用い、他は実施例1と同様にしてIIIeをアクリル酸エチルと共重合させた。しかし、IIIeの大部分が回収された。
【実施例12】
【0032】
2−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)−6−ヒドロキシメチル−4−メチルフェノ−ル4.55g(0.0157mol)の代わりに2−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)−6−ヒドロキシメチル−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノ−ル6.09g(0.0157mol)を用い、他は実施例10と同様にして2−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)−6−ヒドロキシメチル−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノ−ルを塩化メタクリロイルと反応させた。同様に処理して微黄色のIIIf3.59gを得た。収率50%、融点147〜148℃。このものは結晶化の遅い化合物であり融点の不正確さは免れない。また、酢酸エチル−n−ヘキサン混合溶媒を用いるカラムクロマトグラフィ−でも分離精製しうる。元素分析実験値(%)C65.57,H6.42,N9.47;C2530ClNに対する計算値(%)C65.85,H6.63,N9.22。IRスペクトル(KBr)認められない(νO−H),1735cm−1(νC=O)。UVスペクトル(CHCl)λmax(εmax)310nm(13800),348nm(14000)。
【0033】
20mol%のIaの代わりに20mol%のIIIfを、3倍重量のトルエンの代わりに4倍重量のトルエンを用い、他は実施例1と同様にしてIIIfをアクリル酸エチルと共重合させた。しかし、IIIfの大部分が回収された。
【実施例13】
【0034】
4−(2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)レゾルシノ−ル3.57g(0.0157mol)、トリエチルアミン3.81g(0.0376mol)およびトルエン180mlを混合し、室温でかきまぜながらこれに塩化アクリロイル2.27g(0.0251mol)のトルエン溶液を4〜5時間かけて滴下した。滴下後,12時間室温でかきまぜてから1時間還流煮沸して反応させた。反応後、熱水洗してからトルエン溶液を減圧濃縮して析出結晶を濾過しとった。必要であれば少量のメタノ−ルで洗浄してから水とアセトンの混合溶媒を用いて、あるいはメタノ−ルを用いて、あるいはその両者を順次用いて再結晶して微黄色のVa3.60gを得た。収率82%、融点147〜148℃。元素分析実験値(%)C63.83,H3.67,N15.22;C1511に対する計算値(%)C64.05,H3.94,N14.94。IRスペクトル(KBr)認められない(νO−H),1740cm−1(νC=O)。UVスペクトル(CHCl)λmax(εmax)300nm(12600),334nm(23400)。
【0035】
1.00g(0.01mol)のアクリル酸エチルに対し20mol%のVa,1mol%の2,2′−アゾビスイソブチロニトリルおよび3倍重量のトルエンを混合し、窒素ガス下70℃で5時間共重合させた。反応後、メタノ−ルに加えて分離し、必要であれば温メタノ−ルで洗浄してからトルエン−石油エ−テルで再沈殿精製して可塑性のある微黄色固体状のVIaを得た。融点45〜75℃,[η]=0.12dl・g−1(toluene,30℃)。元素分析実験値特に窒素分析実験値より計算したn/m=2.9。IRスペクトル(フィルム)認められない(νO−H),1760cm−1(Vaに由来するνC=O),1730cm−1(アクリル酸エチルに由来するνC=O)。
【実施例14】
【0036】
4−(2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)レゾルシノール3.57g(0.0157mol)の代わりに4−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)レゾルシノ−ル4.11g(0.0157mol)、トルエン180mlの代わりにトルエン250mlを用い、他は実施例13と同様にして4−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)レゾルシノ−ルを塩化アクリロイルと反応させた。同様に処理しで微黄色のVb4.04gを得た。収率82%、融点137〜138℃。元素分析実験値(%)C56.83,H3.07,N13.55;C1510ClNに対する計算値(%)C57.06,H3.19,N13.31。IRスペクトル(KBr)認められない(νO−H),1750cm−1(νC=O)。UVスペクトル(CHCl)λmax(εmax)304nm(10600),341nm(24500)。
【0037】
20mol%のVaの代わりに20mol%のVbを、3倍重量のトルエンの代わりに4倍重量のトルエンを用い、他は実施例13と同様にしてVbをアクリル酸エチルと共重合させた。反応後、同様に処理して可塑性のある白色固体状のVIbを得た。融点50〜65℃,[η]=0.12dl・g−1(toluene,30℃)。元素分析実験値特に窒素分析実験値より計算したn/m=3.4。IRスペクトル(フィルム)認められない(νO−H),1760cm−1(Vbに由来するνC=O),1740cm−1(アクリル酸エチルに由来するνC=O)。
【実施例15】
【0038】
4−(2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)レゾルシノ−ル3.57g(0.0157mol)、トリエチルアミン3.81g(0.0376mol)およびトルエン180mlを混合し、室温でかきまぜながらこれに塩化メタクリロイル2.62g(0.0251mol)のトルエン溶液を4〜5時間かけて滴下した。滴下後、12時間室温でかきまぜてから1時間還流煮沸して反応させた。反応後、熱水洗してからトルエン溶液を減圧濃縮して析出結晶を濾過しとった。必要であれば少量のメタノ−ルで洗浄してから水とアセトンの混合溶媒を用いて、あるいはメタノ−ルを用いて、あるいはその両者を順次用いて再結晶して微黄色のVIIa2.55gを得た。収率55%、融点116〜117℃。元素分析実験値(%)C64.78,H4.19,N14.49;C1613に対する計算値(%)C65.08,H4.44,N14.23。IRスペクトル(KBr)認められない(νO−H),1730cm−1(νC=O)。UVスペクトル(CHCl)λmax(εmax)300nm(13400),334nm(25900)。
【0039】
20mol%のVaの代わりに20mol%のVIIaを用い、他は実施例13と同様にしてVIIaをアクリル酸エチルと共重合させた。反応後、同様に処理して可塑性のある白色固体状のVIIIaを得た。融点55〜95℃,[η]=0.14dl・g−1(toluene,30℃)。元素分析実験値特に窒素分析実験値より計算したn/m=3.2。IRスペクトル(フィルム)認められない(νO−H),1760cm−1(VIIaに由来するνC=O),1730cm−1(アクリル酸エチルに由来するνC=O)。
【実施例16】
【0040】
4−(2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)レゾルシノ−ル3.57g(0.0157mol)の代わりに4−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)レゾルシノ−ル4.11g(0.0157mol)、トルエン180mlの代わりにトルエン250mlを用い、他は実施例15と同様にして4−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)レゾルシノ−ルを塩化メタクリロイルと反応させた。同様に処理して殆ど白色のVIIb4.22gを得た。収率82%、融点137〜138℃。元素分析実験値(%)C58.01,H3.40,N12.99;C1612ClNに対する計算値(%)C58.28,H3.67,N12.74。IRスペクトル(KBr)認められない(νO−H),1740cm−1(νC=O)。UVスペクトル(CHCl)λmax(εmax)309nm(16200),327nm(18700)。
【0041】
20mol%のVaの代わりに20mol%のVIIbを、3倍重量のトルエンの代わりに4倍重量のトルエンを用い、他は実施例13と同様にしてVIIbをアクリル酸エチルと共重合させた。しかし、VIIbの大部分が回収された。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本研究で得られた16種類のビニル系モノマ−の合成においては、得られた粗製品を少量のメタノ−ルで洗浄してから、次にメタノ−ルで再結晶するということで目的物を純粋にすることができた。すなわち、経済性という点で問題が無くなり産業上の利用可能性にまで言及することが出来たのである。過去の報告においては、この種のビニル系モノマ−を合成し、それが他の適当なモノマ−と共重合することだけが簡単に述べられており、組織的な研究であるとはいえない。本研究を少しでも組織的な研究に近づけるために、合成したビニル系モノマ−とアクリル酸エチルとの共重合という限られた範囲について研究したものである。しかし、結果は不首尾であった。参考になる過去の文献が少ないことにもよるだろう。本研究においてはIa,Ib,Ic,Id,Ie,If,IIIb,IIIc,Va,VbおよびVIIaからはコポリマ−が得られ、他からはコポリマ−は得られなかった。後者にはクロル原子を含むものが多いことから立体障害も考えたが結局理解不可能であった。現段階ではこれらの結果をまとめて説明することは出来ない。本研究で用いた光劣化防止機能を有するビニル系モノマ−に限定しても、共重合の相手が変われば、そして共重合条件が変われば結果は異なるであろう。他の同類のビニル系モノマ−をも含めての多様な共重合反応についての結果が将来出揃った時点で、この種の共重合に関して初めてまとめることが出来るであろう。ここでは、得られた[η]の値から判断して、Ia,Ib,Ic,IIIc,Va,VbおよびVIIaに産業上の利用可能性があるものと考えている。
【図面の簡単な説明】
【0043】
ベンゾトリアゾ−ル系紫外線吸収剤の多くにはνO−HがIRスペクトルには認められない。同じことは本研究で得られたビニル系モノマ−およびそれらからのコポリマ−にも見られる。IaのIRスペクトル(KBr)およびIIaのIRスペクトル(フイルム)を代表として示す。また、Ic,IIIcおよびVaのUVスペクトルを代表として示す。
【図1】本発明の化合物IaのIRスペクトル
【図2】本発明の化合物IIaのIRスペクトル
【図3】本発明の化合物IcのUVスペクトル
【図4】本発明の化合物IIIcのUVスペクトル
【図5】本発明の化合物VaのUVスペクトル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2−(2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)−6−ヒドロキシメチル−4−メチルフェノ−ル、2−(2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)−4−tert−ブチル−6−ヒドロキシメチルフェノ−ル、2−(2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)−6−ヒドロキシメチル−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノ−ル、2−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)−6−ヒドロキシメチル−4−メチルフェノ−ル、4−tert−ブチル−2−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)−6−ヒドロキシメチルフェノ−ルおよび2−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)−6−ヒドロキシメチル−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノールのそれぞれと、塩化アクリロイルを脱塩酸縮合させることによるアクリル酸3−(2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル(Ia)、アクリル酸3−(2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)−5−tert−ブチル−2−ヒドロキシベンジル(Ib)、アクリル酸3−(2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)−2−ヒドロキシ−5−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)ベンジル(Ic)、アクリル酸3−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル(Id)、アクリル酸5−tert−ブチル−3−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)−2−ヒドロキシベンジル(Ie)およびアクリル酸3−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)−2−ヒドロキシ−5−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)ベンジル(If)の合成、並びに得られた化合物のそれぞれとアクリル酸エチルとの共重合によるコポリマ−(IIa,IIb,IIc,IId,IIeおよびIIf)の生成
【化1】

【請求項2】
2−(2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)−6−ヒドロキシメチル−4−メチルフェノ−ル、2−(2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)−4−tert−ブチル−6−ヒドロキシメチルフェノ−ル、2−(2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)−6−ヒドロキシメチル−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノ−ル、2−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)−6−ヒドロキシメチル−4−メチルフェノ−ル、4−tert−ブチル−2−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)−6−ヒドロキシメチルフェノ−ルおよび2−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)−6−ヒドロキシメチル−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノ−ルのそれぞれと、塩化メタクリロイルを脱塩酸縮合させることによるメタクリル酸3−(2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル(IIIa)、メタクリル酸3−(2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)−5−tert−ブチル−2−ヒドロキシベンジル(IIIb)、メタクリル酸3−(2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)−2−ヒドロキシ−5−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)ベンジル(IIIc)、メタクリル酸3−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル(IIId)、メタクリル酸5−tert−ブチル−3−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)−2−ヒドロキシベンジル(IIIe)およびメタクリル酸3−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)−2−ヒドロキシ−5−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)ベンジル(IIIf)の合成、並びに得られた化合物のうちのIIIbおよびIIIcのそれぞれとアクリル酸エチルとの共重合によるコポリマ−(IVbおよびIVc)の生成
【化2】

【請求項3】
4−(2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)レゾルシノ−ルおよび4−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)レゾルシノ−ルのそれぞれと、塩化アクリロイルを脱塩酸縮合させることによるアクリル酸4−(2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)−3−ヒドロキシフェニル(Va)およびアクリル酸4−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)−3−ヒドロキシフェニル(Vb)の合成、並びに得られた化合物のそれぞれとアクリル酸エチルとの共重合によるコポリマ−(VIaおよびVIb)の生成
【化3】

【請求項4】
4−(2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)レゾルシノ−ルおよび4−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)レゾルシノ−ルのそれぞれと、塩化メタクリロイルを脱塩酸縮合させることによるメタクリル酸4−(2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)−3−ヒドロキシフェニル(VIIa)およびメタルクリル酸4−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)−3−ヒドロキシフェニル(VIIb)の合成、並びに得られた化合物のうちのVIIaとアクリル酸エチルとの共重合によるコポリマ−(VIIIa)の生成
【化4】


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−270076(P2009−270076A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−148623(P2008−148623)
【出願日】平成20年5月9日(2008.5.9)
【出願人】(301000675)シプロ化成株式会社 (33)
【Fターム(参考)】