説明

紫外線によるシワ防止効果評価方法とシワ防止効果表示皮膚外用剤

【課題】簡便で優れた紫外線によるシワ防止効果評価方法とシワ防止効果表示皮膚外用剤を提供する。
【解決手段】
コラーゲンゲルおよび/または摘出皮膚および/または再構成皮膚に紫外線防止製品または紫外線防止成分を直接または間接に塗布してから紫外線を照射した際の硬度および/または弾力性を測定して、紫外線により引き起こされるコラーゲンの弾力性低下に対する防止効果を評価する方法ならびにその結果に基づき、紫外線によるコラーゲンの弾力性低下すなわち紫外線によるシワに対する防止効果を表示することができることを特徴とする化粧品、医薬部外品、医薬品等の皮膚外用剤。また、簡便で優れたシワ防止効果評価方法に基づくシワ防止効果表示物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線によるシワ防止効果評価方法とシワ防止効果表示皮膚外用剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
皮膚は体のなかでは最も大きな器官である。そのなかで真皮は表皮の内側にある1.0〜3.0mmの層で、コラーゲン線維とエラスチン線維、プロテオグリカン(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸など)などの細胞外マトリックスでできており、皮膚に弾力性と強さを与えている。真皮の乾燥重量の約70%のコラーゲン線維と1〜2%を占めるエラスチン線維による三次元ネットワーク構造により皮膚の弾力性が保たれている。
【0003】
日光を長期間浴びると、長波長紫外線(UVA;320nm〜400nmまたはUVA;315nm〜400nmまたはUVA;315nm〜380nm)の作用によって真皮のコラーゲン線維が変性し、皮膚の弾力性が低下し、しわが生じる原因になる。UVAの皮膚への影響についてヘアレスマウスを用いて研究した結果、日常的に浴びるUVA量を2か月間ヘアレスマウスに照射すると、皮膚の弾力性が半永久的に低下することを明らかにした(非特許文献1〜3参照)。
【0004】
コラーゲンは代謝回転が遅いタンパク質であり、皮膚のコラーゲンのターンオーバーの半減期は14.8年(95%信頼区間;9.4−22.3年)と算出されている(非特許文献4参照)。したがって、長期間のUVA曝露によってコラーゲンに障害が蓄積して、弾力性が低下するといえる。
【0005】
このように、UVAによる皮膚の弾力性の低下には、長期間のUVA曝露が必要なため、皮膚外用剤のシワ防止効果のin vivoでの評価は困難である。そこで、コラーゲン線維モデルの弾力性と硬化因子を用いてシワ防止成分ならびにシワ防止皮膚外用剤を短期間で簡便に評価することを考えた。なお、シワは、しわ、皺、小ジワ、こじわ、小皺、リンクル、wrinkleと同義である。
【0006】
現在、国内外のUVA防止効果の測定法としては、照射2時間後以降に皮膚の即時黒化を求める方法(in vivo法)、テープに塗布した試料の吸収曲線から求める方法(in vitro法)があるが、中波長紫外線(UVB)とは異なり、真皮まで到達するUVAによって引き起こされる主要な光老化(紫外線による皮膚の障害・ダメージ)である皮膚の弾力性低下に対する防止効果を評価できるUVA防止効果評価法はないのが現状である。
【0007】
UVAによる即時黒化は320nmから増加し、340nm〜350nmをピークにして、長波長側の400nmまでゆるやかに低下する(非特許文献5参照)。しかしながら、コラーゲンの弾力性を低下させる波長は、即時黒化を引き起こす波長とは異なるので、現在用いられている皮膚の即時黒化(持続型即時黒化)を指標にしたUVA防止効果評価方法(in vivo法)で開発された紫外線防止製品が皮膚の弾力性低下をどの程度防止する効果があるかを評価し、表示することはできない。
【0008】
すなわち、従来からの即時黒化(持続型即時黒化)を用いたUVA防止効果評価法では、紫外線防止製品の日光曝露による皮膚弾力性低下に対する防止効果、すなわち紫外線によるシワに対する防止効果を評価することは不可能であり、紫外線防止製品の日光曝露による皮膚弾力性低下に対する防止効果を知るためには、新たな方法が必要であることがわかった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】 前田憲寿著 Recent Research Developments in Photochemistry and Photobiology Vol 6 35−47 Transworld Research Network India 2002
【非特許文献2】 前田憲寿著 Proceeding of Japanese Photomedicine and Photobiology 73−75 1999
【非特許文献3】 前田憲寿著 Photochemitry and Photobiology 54 737−740 1991
【非特許文献4】 Nicole Verzijl著 The Journal of Biological Chemistry 275 39027−39031 2000
【非特許文献5】 Christopher Irwin著 Photochemitry and Photobiology 57 504−507 1993
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
日常的に太陽光線を浴びる顔などでは、紫外線の影響により皮膚が硬くなり、弾力性が低下して、シワができやすくなる。このような光老化部位では真皮のコラーゲン線維が質的に変化している。一般的にUVAは、皮膚に対する急性の障害はないが、長期間曝露するとコラーゲンに障害が蓄積して、弾力性を低下させる。従来、上記したUVAの防止効果の指標としてPA(Protection Grade of UVA)が紫外線防止化粧品に表示されている。PAは持続型即時黒化を指標にしたUVA防止効果PFA(Protection Factor of UVA)に基づき設定されている。しかしながら、紫外線が引き起こすコラーゲン弾力性低下スペクトルと持続型即時黒化スペクトルは異なるので、PA表示では紫外線が引き起こす皮膚のコラーゲンの弾力性低下に対する防止効果、すなわちシワに対する防止効果を推察することができない。
【0011】
本発明の目的は、紫外線によるコラーゲンの弾力性低下を短期間で簡便に評価する方法と、その評価結果に基づいたシワ防止効果指標を提供することにある。
【0012】
本発明の他の目的は、短期間で簡便に評価できる紫外線によるコラーゲンの弾力性低下すなわち紫外線によるシワに対する防止効果評価結果に基づいたシワ防止効果表示成分(シワ防止効果表示組成物)を提供することにある。
【0013】
本発明の更に他の目的は、短期間で簡便に評価できる紫外線によるコラーゲンの弾力性低下すなわち紫外線によるシワに対する防止効果評価結果に基づいたシワ防止効果表示化粧品を提供することにある。
【0014】
本発明の更に他の目的は、短期間で簡便に評価できる紫外線によるコラーゲンの弾力性低下すなわち紫外線によるシワに対する防止効果評価結果に基づいたシワ防止効果表示医薬部外品を提供することにある。
【0015】
本発明の更に他の目的は、短期間で簡便に評価できる紫外線によるコラーゲンの弾力性低下すなわち紫外線によるシワに対する防止効果評価結果に基づいたシワ防止効果表示医薬品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明者は、上記の課題に鑑み鋭意検討を重ねた結果、本願において本発明者は、以下に述べる研究成果から、上記の課題を解決することが可能であることを見出した。さらに、特許調査・文献調査を行った結果、本発明と同種・類似の特許・文献はなく、本発明に新規性・進歩性があることを見出した。
【0017】
紫外線に引き起こされるコラーゲン弾力性低下の作用波長の解析と弾力性低下のメカニズムについて研究を行った。10nmバンドパスフィルタを用いて、300nm〜380nmの紫外線をコラーゲンゲルと摘出皮膚、再構成皮膚に同エネルギー量ずつ照射し、異なる測定機器で硬度・弾力性を測定した。次に、コラーゲンゲルに紫外線を照射したときの酢酸可溶性コラーゲンとジチロシンを測定した。さらに、ヘアレスマウスに長期間紫外線を照射した光老化モデル皮膚においても、同様に酢酸可溶性コラーゲンとジチロシンを測定した。
【0018】
コラーゲン弾力性低下の作用波長を解析した結果、弾力性低下を引き起こす作用波長は320nm付近の紫外線であり、300nmと350nm以上のUVAには弾力性低下の作用はなかった。また、紫外線を照射すると酸可溶性コラーゲンが減少し、酸不溶性コラーゲンが増加し、その不溶性分画にジチロシンが増加していた。紫外線を照射した摘出皮膚のコラーゲンにもジチロシンが増加していた。ヘアレスマウスに長期間紫外線を照射した光老化モデル皮膚でin vivoでも調べた結果、酢酸可溶性コラーゲンが減少し、不溶性コラーゲンが増加し、ジチロシンも増加していた。
【0019】
320nm付近の紫外線によってコラーゲン中にジチロシンが形成されることによって、コラーゲンの弾力性が低下し、光老化皮膚に特徴的な弾力性低下を引き起こすことがわかった。また、日本の紫外線防止化粧品に表示されているPA(Protection Grade of UVA)は持続型即時黒化を指標にしたUVA防止効果PFA(Protection Factor of UVA)に基づき設定されているが、紫外線が引き起こすコラーゲン弾力性低下スペクトルと持続型即時黒化スペクトルは異なるので、持続型即時黒化を指標にしたPA表示では紫外線が引き起こす皮膚のコラーゲンへの悪影響に対する防止効果、すなわちシワ防止効果を推察することはできない。
【0020】
コラーゲンゲルに紫外線防止製品を直接または間接に塗布してから紫外線を照射して硬度または弾力性を測定してUVAにより引き起こされるシワを評価する方法を鋭意研究して開発した。また、その結果に基づき紫外線(UVBとUVA)、特にUVAにより引き起こされるシワに対する防止効果を短期間で簡便に評価する優れた方法を開発した。さらに、コラーゲンゲルに紫外線を照射したときの酢酸可溶性やジチロシンを測定しても同様に評価できる方法も開発した。
【0021】
紫外線によってコラーゲン中にジチロシンが増加するにつれて、皮膚の弾力がなくなり、しわやたるみが増加して、皮膚の光老化が進行する。本発明は、コラーゲンゲルや摘出皮膚および/または再構成皮膚に紫外線防止化粧品または紫外線防止製品を直接または間接に塗布してから硬度および/または弾力性を測定して、その結果に基づき紫外線(UVBとUVA)、特にUVAにより引き起こされるシワに対する防止効果を定量できることを確認して、産業界の要請に対応する紫外線防止製品の評価方法とその評価結果に基づく表示方法を提供することにより上記の課題を解決することが可能であることを見出した。したがって、以下に示す発明を提供することができる。
【0022】
請求項1において、コラーゲンゲルおよび/または摘出皮膚および/または再構成皮膚に紫外線防止製品または紫外線防止成分を直接または間接に塗布してから紫外線を照射した際の硬度および/または弾力性を測定して、紫外線により引き起こされるコラーゲンの弾力性低下に対する防止効果を評価する方法を提供する。
【0023】
請求項2において、コラーゲンゲルおよび/または摘出皮膚および/または再構成皮膚に紫外線防止製品または紫外線防止成分を直接または間接に塗布してから紫外線を照射した際の硬度および/または弾力性を測定することによる、紫外線により引き起こされるコラーゲンの弾力性低下に対する防止効果の評価結果に基づき、紫外線によるコラーゲンの弾力性低下すなわち紫外線によるシワに対する防止効果を表示することを特徴とする化粧品、医薬部外品、医薬品等の皮膚外用剤を提供する。
【0024】
請求項3において、コラーゲンゲルおよび/または摘出皮膚および/または再構成皮膚に紫外線防止製品または紫外線防止成分を直接または間接に塗布してから紫外線を照射した際の硬度および/または弾力性を測定することによる、紫外線により引き起こされるコラーゲンの弾力性低下に対する防止効果の評価結果に基づき、シワに対する防止効果を特徴とする化粧品、医薬部外品、医薬品等の皮膚外用剤を提供する。
【0025】
請求項4において、コラーゲンゲルおよび/または摘出皮膚および/または再構成皮膚に紫外線防止製品または紫外線防止成分を直接または間接に塗布してから紫外線を照射した際のジチロシンおよび/または酸不溶性コラーゲンを測定して、紫外線により引き起こされるコラーゲンの弾力性低下に対する防止効果を評価する方法を提供する。
【0026】
請求項5において、コラーゲンゲルおよび/または摘出皮膚および/または再構成皮膚に紫外線防止製品または紫外線防止成分を直接または間接に塗布してから紫外線を照射した際のジチロシンおよび/または酸不溶性コラーゲンを測定することによる、紫外線により引き起こされるコラーゲンの弾力性低下に対する防止効果の評価結果に基づき、紫外線によるコラーゲンの弾力性低下すなわち紫外線によるシワに対する防止効果を表示することを特徴とする化粧品、医薬部外品、医薬品等の皮膚外用剤を提供する。
【0027】
請求項6において、コラーゲンゲルおよび/または摘出皮膚および/または再構成皮膚に紫外線防止製品または紫外線防止成分を直接または間接に塗布してから紫外線を照射した際のジチロシンおよび/または酸不溶性コラーゲンを測定することによる、紫外線により引き起こされるコラーゲンの弾力性低下に対する防止効果の評価結果に基づき、シワに対する防止効果を特徴とする化粧品、医薬部外品、医薬品等の皮膚外用剤を提供する。
【0028】
請求項7において、紫外線防止製品または紫外線防止成分を塗布していない測定値と紫外線防止製品または紫外線防止成分を塗布した測定値との間の差、または紫外線防止製品または紫外線防止成分を塗布していない測定値の紫外線防止製品または紫外線防止成分を塗布した測定値に対する倍数から、この紫外線防止製品または紫外線防止成分の紫外線によるコラーゲンの弾力性低下すなわち紫外線によるシワに対する防止効果(指数)を求め、数値および/または記号および/または字句で表示することを特徴とする化粧品、医薬部外品、医薬品等の皮膚外用剤を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態について説明する。本発明で用いられる機器類を以下に記す。紫外線照射装置としてクリニカル・サプライ株式会社製DERMARAY200、浜松ホトニクス株式会社製LIGHT THING CURE LC6(150Wキセノンランプ L8253)を用いた。なお、紫外線照射に用いる機器は紫外線を放射する機器であれば、上記に挙げた機器に限定されるものではなく、太陽光シミュレーター等の他機器が利用可能である。
【0030】
硬度計、弾力計としてインテグラル株式会社製Cutometer MPA580、サン科学株式会社製RHEOTEX SD−700、ヤマキ電気株式会社モデラスを用いた。なお、測定に用いる機器は弾力性、硬度を測定する機器であれば、上記に挙げた機器に限定されるものではなく、利用可能である。
【0031】
Cutometer MPA580(陰圧吸引法)はプローブを皮表に押し当て、その内圧を減じて皮膚を隆起させ、その皮膚高の変位量を0.01mm単位で測定することができ、急激な減圧、急激な解放を繰り返して変位の量を調べる機器である。一定陰圧で皮膚を吸引した時の吸引高さ(Uf)と、圧を解除した時の皮膚の戻り率(Ur,Ua)により、皮膚の硬さと弾力性が測定できる。紫外線を長期間浴びた光老化部位では、被覆正常部に比べて、グラフの高さが低く、また、最高値から最低値までの差が小さく、光老化部位は皮膚の硬さが硬く、弾力性が低い。Ur/Ufは瞬発的な戻り率、Ua/Ufは総合的な戻り率を表している。
【0032】
RHEOTEX SD−700は、ゼリー、寒天、果物等の食品を初め、医薬品、化粧品、その他多くの工業製品の物理的性状を測定する。測定部位が一定の深さまで到達した時にアダプターが加える荷重によって硬さを測定することができる。
【0033】
モデラスは、一定の外力で検体にわずかの変形(凹み)を与えて、その力を撤去した後の凹んだ検体が元に復元する応答挙動を測定し、弾性データを計算する。表面から約1.5mmまでの「かたさ」を計測している。弾力の表示値は約0近くでプリン程度の柔らかさ、約100近くで消しゴム程度のかたさを表わしている。
【0034】
UVA、UVBの照射は、DERMARAY200を使用し、UVAはFL20S・BL/DMRランプ10本、UVBはTL20W/12RSブロードバンドUVBランプ5本で、DERMARAY200のUVA強度(365nm)は8.20mW/cmであり、UVB強度(305nm)は0.53mW/cmであった。摘出皮膚とコラーゲンゲルと再構成皮膚に100分間、200分間、300分間UVAまたはUVBを照射した。未照射の摘出皮膚とコラーゲンゲルと再構成皮膚には、アルミオイルで覆った摘出皮膚とコラーゲンゲルと再構成皮膚に、100分間、200分間、300分間同様に照射したものを用いた。なお、照射強度、照射エネルギー量は上記に縛られることなく、自由に設定することができる。
【0035】
それぞれのエネルギー量は、100分間照射すると、UVB 3.2J/cm、UVA 49J/cm、200分間照射すると、UVB6.4J/cm、UVA 98J/cm、300分間照射すると、UVB9.6J/cm、UVA147J/cmであった。本照射量は真夏に1日2時間日光を浴びたとすると、紫外線の被曝量は、UVB量が0.75J/cm、UVA量が15J/cmであり、角層で50%減弱され、さらに真皮に到達するのは、浴びた紫外線量の5%と考えると、真夏に1日2時間日光浴びたとすると、真皮には、UVB量が0.01875J/cm、UVA量が0.375J/cmと推定される。1日2時間の日光を夏期に30日間を4年間浴びたとすると、真皮には、UVB量が2.25J/cm、UVA量が45J/cmと算出される。1日2時間の日光を夏期に30日間を8年間浴びたとすると、真皮には、UVB量が4.5J/cm、UVA量が90J/cmと算出される。1日2時間の日光を夏期に30日間を12年間浴びたとすると、真皮には、UVB量が6.75J/cm、UVA量が135J/cmと算出される。これらの算出結果をもとに、照射量を決定した。
【0036】
摘出皮膚の硬さと弾力性の測定には、1cm×1cmにカットした摘出した皮膚を用いた。ディッシュに摘出皮膚を置き、PBSを真皮が浸るぐらいまで入れ、DERMARAY200でUVAを49J/cm、147J/cm照射した。UVBも同様に3.2J/cm、9.6J/cm照射した。Cutometer MPA580(測定条件はPressure:380mbar、Probe aperture:2mm、on−time:2seconds、off−time:3seconds、repetitions:3、pretime:5)、RHEOTEX SD−700(測定条件はDistance:1.0mm、Weight:15g)、モデラスにより硬さと弾力性を測定した。なお摘出皮膚はヒト、豚、ラット、マウス等のいずれを用いてもよく、皮膚の大きさは適当な大きさにカットして実験に用いる。
【0037】
コラーゲンゲルの硬さと弾力性の測定には、35mmディッシュに10倍濃度のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)、炭酸水素ナトリウム(NaHCO)、精製水、コラーゲン溶液(0.3%)を加えて作成したコラーゲンゲルを用いた。DERMARAY200でUVAを49J/cm、98J/cm、147J/cm照射した。UVBも同様に3.2J/cm、6.4J/cm、9.6J/cm照射した。Cutometer MPA580、RHEOTEX SD−700、モデラスによりコラーゲンゲルの硬さと弾力性を測定した。コラーゲンの濃度は0.001%から100%(純粋コラーゲン)まで用いてもよい。線維芽細胞を培養したコラーゲンゲルでも同様の結果を得ており、線維芽細胞を培養したコラーゲンゲルを用いてもよい。コラーゲンはヒト、豚、牛、魚等から得ることができ、いずれを用いてもよい。
【0038】
再構成皮膚の硬さと弾力性の測定には、表皮層と真皮層からなる三次元皮膚モデルを用いた。再構成皮膚にDERMARAY200でUVAを49J/cm、98J/cm、147J/cm照射した。UVBも同様に3.2J/cm、6.4J/cm、9.6J/cm照射した。Cutometer MPA580、RHEOTEX SD−700、モデラスにより再構成皮膚の硬さと弾力性を測定した。再構成皮膚は自作の三次元皮膚モデルを用いても市販の三次元皮膚モデルを用いてもよい。
【0039】
シワ防止製品の効果を、シワ防止製品を塗布したコラーゲンゲルにUVAとUVBを照射して調べた。35mmディッシュに10倍濃度のPBS、NaHCO、精製水、コラーゲン溶液(0.3%)を加え、コラーゲンゲルを作成した。UVAを49J/cm、98J/cm、147J/cm照射し、Cutometer MPA580、RHEOTEX SD−700、モデラスを用いて、シワ防止製品を塗布したコラーゲンゲルの硬さと弾力性を測定し、シワ防止製品を塗布していないコラーゲンゲルの硬さと弾力性と比較した。評価は摘出皮膚と再構成皮膚を用いても同様にできる。摘出皮膚とコラーゲンゲルと再構成皮膚へのシワ防止製品の塗布方法は、直接またはラップや石英板等の紫外線透過性のフィルムを通して間接に行うこともできるし、紫外線吸収成分を添加したコラーゲンゲルを用いてもよい。また、塗布量は2mg/cmまたは2μL/cmとしたが、0.1mg/cm〜20mg/cmまたは0.1μL/cm〜20μL/cmの範囲で任意に設定してもよい。
【0040】
UVAを照射したコラーゲンゲルの酢酸可溶性と酢酸不溶性の測定方法について記す。UVAを照射(147J/cm)したコラーゲンゲルと未照射のコラーゲンゲルを5mmデルマパンチで5個ずつ採取した。0.5M酢酸を入れ、酢酸可溶性コラーゲンと酢酸不溶性コラーゲンに分け、遠心型濃縮機で水分を除去後、6M塩酸で加水分解した。塩酸処理液200μLを2M NaOH 300μLでpH2に調製した。UVAを照射したコラーゲンゲルの酢酸不溶性分画の塩酸加水分解物、UVAを照射したコラーゲンゲルの酢酸可溶性分画の塩酸加水分解物、未照射のコラーゲンゲルの酢酸可溶性分画の塩酸加水分解物の蛍光強度を高速液体クロマトグラフィーで測定した。測定条件は、カラムにCAPCELL PAK C18 UG120(C18カラム)4.6mmx250mm、5μmを使用し、流量を0.8mL/min、注入量を5μLとした。検出波長を吸光度210nm、蛍光強度 Ex:283nm、Em:415nmとした。移動相については、移動相Aを0.5%酢酸、移動相Bをメタノールとし、A:B=96:4とした。なお、不溶性コラーゲンの測定法については、上記に挙げた方法・測定条件に限定されるものではなく、その他の酸やグアニジン塩酸塩、尿素等のタンパク質可溶化剤が利用可能である。また、蛍光測定については、上記に挙げた方法・波長・測定条件に限定されるものではない。さらに、酸不溶性コラーゲン量と酸可溶性コラーゲン量は、分光光度計やマイクロプレートリーダーを用いて吸収度やアミノ酸量を測定したり、塩酸加水分解前の重量・タンパク質量や吸収度・蛍光強度を測定したりして比較することもできる。
【0041】
コラーゲンゲル中のジチロシン(チロシンダイマー)の測定方法について記す。UVAを照射(147J/cm)したコラーゲンゲルと未照射のコラーゲンゲルを5mmデルマパンチで5個ずつ採取し、6Mの塩酸で加水分解(110℃、24時間)した。一方、L−チロシンを精製水で希釈して0.01mg/mLのチロシン水溶液にUVAを照射(147J/cm)した。ジチロシンは、チロシンにホースラディッシュペルオキシダーゼと過酸化水素水を反応させて合成した。すなわち、0.2Mのホウ酸塩バッファ(pH9.5)50mL中に15μg/mLのホースラディッシュペルオキシダーゼ、5.25mM過酸化水素、5mMのL−チロシンを溶解し、37℃で反応させた。塩酸で中和後、C18カートリッジでジチロシンを吸着させ、未反応のチロシンとホースラディッシュペルオキシダーゼ、過酸化水素を2mLの精製水で洗浄して除去した。ジチロシンは5mLの20%のメタノールで溶出した。ジチロシン溶液とUVAを照射したチロシン溶液、UVAを照射したコラーゲンゲルの塩酸加水分解物、UVA未照射のコラーゲンゲルの塩酸加水分解物のジチロシン量を高速液体クロマトグラフィーで測定した。測定条件は、カラムはCAPCELL PAK C18 UG120(C18カラム)4.6mmx250mm、5μmを使用し、流量を0.8mL/min、注入量を5μLとした。検出波長を吸光度 210nm、蛍光強度 Ex:283nm、Em:415nmとした。移動相については、移動相Aを0.5%酢酸、移動相Bをメタノールとし、A:B=96:4とした。なお、チロシンダイマーの測定法については、上記に挙げた方法・測定条件に限定されるものではなく、その他の波長での蛍光測定方法や抗ジチロシン抗体等のチロシンダイマーに対する抗体を用いた免疫学的測定方法が利用可能である。
【発明の効果】
【0042】
コラーゲンゲルおよび/または摘出皮膚および/または再構成皮膚に紫外線防止製品または紫外線防止成分を直接または間接に塗布してから紫外線を照射して硬度および/または弾力性を測定する方法は、短期間で簡便に紫外線(UVBとUVA)により引き起こされるシワに対する防止効果を評価することができ、その結果に基づき紫外線(UVBとUVA)、特にUVAにより引き起こされるシワに対する防止効果を表示することができることを特徴とする化粧品、医薬部外品、医薬品等の皮膚外用剤を提供することができる。紫外線防止製品または紫外線防止成分のみならず、メーキャップ化粧品、スキンケア化粧品、ヘアケア・ボディケア化粧品、ボディソープ、ハンドソープ、クレンジング材、乳液、化粧水、美容液、パック、洗顔フォーム、固形石鹸、液体石鹸、クリーム状石鹸、シャンプー、リンス、シェービングクリーム等の化粧品、医薬部外品、医薬品に広く使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本発明において、評価され得る化粧水、乳液、クリーム、ファンデーション等の剤型のシワ防止製品ならびに紫外線防止成分は、本発明評価系において調べることが可能な限り特に限定されない。よって、以下に紫外線防止成分を列挙するが、これらの紫外線防止成分に本発明で用いられる化粧品、医薬部外品、医薬品等の皮膚外用剤に配合可能な紫外線防止成分が限定されるものでないことは勿論である。
【0044】
すなわち、サリチル酸ホモメンチル、2−シアノ−3,3−ジフェニルプロパ−2−エン酸2−エチルヘキシエステル(別名オクトクリレン)、ジパラメトキシケイ皮酸モノ−2−エチルヘキサン酸グリセリル、パラアミノ安息香酸及びそのエステル、4−tert−ブチル−4‘−メトキシジベンゾイルメタン(表示名称t−ブチルジベンゾイルメタン)、4−(2−β−グルコピラノシロキサン)プロポキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、サリチル酸オクチル、2,5−ジイソプロピルケイ皮酸メチル、2−[4−(ジエチルアミノ)−2−ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルエステル、シノキサート、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノン、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノンジスルホン酸ナトリウム、ジヒドロキシベンゾフェノン、ジメチルジエチルベンザルマロネート、1−(3,4−ジメトキシフェニル)−4,4−ジメチル−1,3−ペンタンジオン、ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリジンプロピオン酸2−エチルヘキシル、テトラヒドロキシベンゾフェノン、テレフタリリデンジカンフルスルホン酸、2,4,6−トリス[4−(2−エチルヘキシルオキシカルボニル)アニリノ]−1,3,5−トリアジン、トリメトキシケイ皮酸メチルビス(トリメチルシロキシ)シリルイソペンチル、ドロメトリゾールトリシロキサン、パラジメチルアミノ安息香酸アミル、パラジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル(表示名称ジメチルPABAエチルヘキシル)、パラメトキシケイ皮酸イソプロピル・ジイソプロピルケイ皮酸エステル混合物、パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル(表示名称メトキシケイヒ酸エチルヘキシル)、2,4−ビス−[{4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ}−フェニル]−6−(4−メトキシフェニル)1,3,5−トリアジン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン(表示名称オキシベンゾン−3)、ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸及びその三水塩(表示名称オキシベンゾン−4)、ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸ナトリウム、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸、フェルラ酸、2,2’−メチレンビス(6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール)、チノソープS、メギゾリルXL、メギゾリルSX等を挙げることができる。
【0045】
さらに、紫外線散乱成分として、酸化チタン、被覆酸化チタン、微粒子酸化チタン、酸化亜鉛、被覆酸化亜鉛、微粒子酸化亜鉛、酸化鉄、酸化セリウム、リン酸セリウム、アロフェン、メソポーラスシリカ等を挙げることができる。酸化チタンと酸化亜鉛の被覆材としてシリカや水酸化アルミニウム、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、酸化アルミ、ステアリン酸、界面活性剤、シラン化合物、酸化ジルコニウム等が挙げられる。
【0046】
以下、実施例を挙げて本発明を更に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0047】
摘出した豚皮膚を1cm×1cmにカットした。摘出皮膚を10個用意し、例数5で以下に記した評価を行い、平均値と標準偏差を求めた。ファンデーションを塗布した摘出皮膚と塗布していない摘出皮膚をディッシュに置き、PBSを真皮が浸るぐらいまで入れた。塗布量は2mg/cmとした。Cutometer MPA580を用いて真皮の硬さ(Uf; 値が低いほうが硬い)を測定した後に、DERMARAY200を用いてUVAを150J/cm照射した。照射後にもう一度Cutometer MPA580を用いて真皮の硬さ(Uf)を測定した。その結果、照射前のファンデーションを塗布していない摘出皮膚の硬さ(Uf)は0.35±0.01、照射後のファンデーションを塗布していない摘出皮膚の硬さ(Uf)は0.15±0.01であった。照射前のファンデーションを塗布した摘出皮膚の硬さ(Uf)は0.35±0.01、照射後のファンデーションを塗布した摘出皮膚の硬さ(Uf)は0.33±0.01であった。ファンデーションを塗布した摘出皮膚の硬さ(Uf)は塗布していない摘出皮膚の硬さ(Uf)に比べて有意に低く、UVAにより引き起こされるコラーゲンの弾力性低下(シワ)に対する防止効果を示した。また、ファンデーションを塗布していない摘出皮膚とファンデーションを塗布した摘出皮膚について、照射後の硬さ(Uf)と照射前の硬さ(Uf)の差(0.20、0.02)を求め、それを照射前の硬さ(Uf)で除した値(0.57、0.06)から、ファンデーションの効果を算出した。この場合、ファンデーションを塗布していない摘出皮膚の値(0.57)は、ファンデーションを塗布した摘出皮膚の値(0.06)の6.3倍なので、このファンデーションのUVAにより引き起こされるシワに対する防止効果(指数)は9.5となる。また、数値を記号表示すると、例えば、1.5〜3.9を+または☆、4.0〜6.9を++または☆☆、7.0〜9.9を+++または☆☆☆、10.0〜を++++または☆☆☆☆とすると、本製品のシワに対する防止効果(指数)は、+++または☆☆☆となる。さらに、数値を字句で表示すると、例えば、1.5〜3.9を「紫外線によるシワを防ぐ効果が弱い。Weak」、4.0〜6.9を「紫外線によるシワを防ぐ効果がある。Moderate」、7.0〜9.9を「紫外線によるシワを防ぐ効果が強い。Strong」、10.0〜を「紫外線によるシワを防ぐ効果が非常に強い。Very strong」とすると、本製品のシワに対する防止効果は、「紫外線によるシワを防ぐ効果が強い。Strong」となる。
【実施例2】
【0048】
コラーゲンゲルを8個用意し、例数4で以下に記した評価を行い、平均値と標準偏差を求めた。紫外線防止化粧品を塗布したコラーゲンゲルと塗布していないコラーゲンゲルについて、RHEOTEX SD−700を用いて硬度を測定した後に、DERMARAY200でUVAを100J/cm照射した。塗布量は2mg/cmとした。照射後にもう一度RHEOTEX SD−700を用いてコラーゲンゲルの硬度を測定した。その結果、照射前の紫外線防止化粧品を塗布していないコラーゲンゲルの硬度は3.2±0.1に対し、照射後の紫外線防止化粧品を塗布していないコラーゲンゲルの硬度は、6.4±0.2であり、照射前の紫外線防止化粧品を塗布したコラーゲンゲルの硬度は、3.3±0.1、照射後の紫外線防止化粧品を塗布したコラーゲンゲルの硬度は4.1±0.1であった。紫外線防止化粧品を塗布したコラーゲンゲルの硬度は塗布していないコラーゲンゲルの硬度に比べて有意に低く、UVAにより引き起こされるコラーゲンの弾力性低下(シワ)に対する防止効果を示した。また、紫外線防止化粧品を塗布していないコラーゲンゲルと紫外線防止化粧品を塗布したコラーゲンゲルについて、照射後の硬度と照射前の硬度の差(3.2、0.8)を求め、それを照射前の硬度で除した値(1.0、0.24)から、紫外線防止化粧品の効果を算出した。この場合、紫外線防止化粧品を塗布していないコラーゲンゲルの値(1.0)は、紫外線防止化粧品を塗布したコラーゲンゲルの値(0.24)の4.2倍なので、この紫外線防止化粧品のUVAにより引き起こされるシワに対する防止効果(指数)は、4.2となる。また、数値を記号表示すると、例えば、1.5〜3.9を+または☆、4.0〜6.9を++または☆☆、7.0〜9.9を+++または☆☆☆、10.0〜を++++または☆☆☆☆とすると、本製品のシワに対する防止効果(指数)は、++または☆☆となる。さらに、数値を字句で表示すると、例えば、1.5〜3.9を「紫外線によるシワを防ぐ効果が弱い。Weak」、4.0〜6.9を「紫外線によるシワを防ぐ効果がある。Moderate」、7.0〜9.9を「紫外線によるシワを防ぐ効果が強い。Strong」、10.0〜を「紫外線によるシワを防ぐ効果が非常に強い。Very strong」とすると、本製品のシワに対する防止効果は、「紫外線によるシワを防ぐ効果がある。Moderate」となる。
【実施例3】
【0049】
再構成皮膚を6個用意し、例数3で以下に記した評価を行い、平均値と標準偏差を求めた。乳液(医薬部外品)を塗布した再構成皮膚と塗布していない再構成皮膚をディッシュに置き、PBSを真皮モデルが浸るぐらいまで入れた。塗布量は2mg/cmとした。Cutometer MPA580を用いて弾力性(Ur/Uf)を測定した後に、DERMARAY200でUVAを50J/cm照射した。照射後にもう一度Cutometer MPA580を用いて弾力性(Ur/Uf)を測定した。その結果、照射前の乳液(医薬部外品)を塗布していない再構成皮膚の弾力性(Ur/Uf)は、0.67±0.03、照射後の乳液(医薬部外品)を塗布していない再構成皮膚の弾力性(Ur/Uf)は0.48±0.02であった。照射前の乳液(医薬部外品)を塗布した再構成皮膚の弾力性(Ur/Uf)は0.68±0.01、照射後の乳液(医薬部外品)を塗布した再構成皮膚の弾力性(Ur/Uf)は0.57±0.02であった。乳液(医薬部外品)を塗布した再構成皮膚の弾力性(Ur/Uf)は、塗布していない再構成皮膚の弾力性(Ur/Uf)に比べて有意に高く、UVAにより引き起こされるコラーゲンの弾力性低下(シワ)に対する防止効果を示した。また、乳液(医薬部外品)を塗布していない再構成皮膚と乳液(医薬部外品)を塗布した再構成皮膚について、照射後の弾力性(Ur/Uf)と照射前の弾力性(Ur/Uf)の差(0.19、0.11)を求め、それを照射前の弾力性(Ur/Uf)で除した値(0.28、0.16)から、乳液(医薬部外品)の効果を算出した。この場合、乳液(医薬部外品)を塗布していない再構成皮膚の値(0.28)は乳液(医薬部外品)を塗布した再構成皮膚の値(0.16)の1.8倍なのでは、この乳液(医薬部外品)のUVAにより引き起こされるシワに対する防止効果(指数)は、1.8となる。また、数値を記号表示すると、例えば、1.5〜3.9を+または☆、4.0〜6.9を++または☆☆、7.0〜9.9を+++または☆☆☆、10.0〜を++++または☆☆☆☆とすると、本製品のシワに対する防止効果(指数)は、+または☆となる。さらに、数値を字句で表示すると、例えば、1.5〜3.9を「紫外線によるシワを防ぐ効果が弱い。Weak」、4.0〜6.9を「紫外線によるシワを防ぐ効果がある。Moderate」、7.0〜9.9を「紫外線によるシワを防ぐ効果が強い。Strong」、10.0〜を「紫外線によるシワを防ぐ効果が非常に強い。Very strong」とすると、本製品のシワに対する防止効果は、「紫外線によるシワを防ぐ効果が弱い。Weak」となる。
【実施例4】
【0050】
線維芽細胞を培養したコラーゲンゲルを8個用意し、例数4で以下に記した評価を行い、平均値と標準偏差を求めた。紫外線防止成分を塗布した線維芽細胞を培養したコラーゲンゲルと塗布していない線維芽細胞を培養したコラーゲンゲルについて、モデラスを用いて硬度を測定した後に、DERMARAY200でUVAを20J/cm照射した。塗布量は2mg/cmとした。照射後にもう一度モデラスを用いて硬度を測定した。その結果、照射前の紫外線防止成分を塗布していない線維芽細胞を培養したコラーゲンゲルの硬度は、3.1±0.4、照射後の紫外線防止成分を塗布していない線維芽細胞を培養したコラーゲンゲルの硬度は、10.5±0.9であった。照射前の紫外線防止成分を塗布した線維芽細胞を培養したコラーゲンゲルの硬度は3.0±0.3、照射後の紫外線防止成分を塗布した線維芽細胞を培養したコラーゲンゲルの硬度は4.5±0.6であった。紫外線防止成分を塗布した線維芽細胞を培養したコラーゲンゲルの硬度は塗布していない線維芽細胞を培養したコラーゲンゲルの硬度に比べて有意に低く、UVAにより引き起こされるコラーゲンの弾力性低下(シワ)に対する防止効果を示した。また、紫外線防止成分を塗布していない線維芽細胞を培養したコラーゲンゲルと紫外線防止成分を塗布した線維芽細胞を培養したコラーゲンゲルについて、照射後の硬度と照射前の硬度の差(7.4、1.5)を求め、それを照射前の硬度で除した値(2.4、0.5)から、紫外線防止成分の効果を算出した。この場合、紫外線防止成分を塗布していない線維芽細胞を培養したコラーゲンゲルの値(2.4)は紫外線防止成分を塗布した線維芽細胞を培養したコラーゲンゲルの値(0.5)の4.8倍なのでは、この紫外線防止成分のUVAにより引き起こされるシワに対する防止効果(指数)は4.8となる。また、数値を記号表示すると、例えば、1.5〜3.9を+または☆、4.0〜6.9を++または☆☆、7.0〜9.9を+++または☆☆☆、10.0〜を++++または☆☆☆☆とすると、本製品のシワに対する防止効果(指数)は、++または☆☆となる。さらに、数値を字句で表示すると、例えば、1.5〜3.9を「紫外線によるシワを防ぐ効果が弱い。Weak」、4.0〜6.9を「紫外線によるシワを防ぐ効果がある。Moderate」、7.0〜9.9を「紫外線によるシワを防ぐ効果が強い。Strong」、10.0〜を「紫外線によるシワを防ぐ効果が非常に強い。Very strong」とすると、本製品のシワに対する防止効果は、「紫外線によるシワを防ぐ効果がある。Moderate」となる。
【実施例5】
【0051】
コラーゲンゲルを8個用意し、例数4で以下に記した評価を行い、平均値と標準偏差を求めた。サンスクリーンを塗布したコラーゲンゲルと塗布していないコラーゲンゲルにUVAを400J/cm照射した。塗布量は2mg/cmとした。照射後にHPLCを用いてジチロシン量を測定した。その結果、照射後のサンスクリーンを塗布していないコラーゲンゲルのジチロシン量は2.1±0.2であり、照射後のサンスクリーン品を塗布したコラーゲンゲルのジチロシン量は0.2±0.1であった。サンスクリーンを塗布したコラーゲンゲルのジチロシン量は塗布していないコラーゲンゲルのジチロシン量に比べて有意に低く、UVAにより引き起こされるコラーゲンの弾力性低下(シワ)に対する防止効果を示した。また、サンスクリーンを塗布していないコラーゲンゲルと塗布したコラーゲンゲルのジチロシン量から、サンスクリーンの効果を算出した。この場合、サンスクリーンしていないコラーゲンゲルの値(2.1)はサンスクリーンを塗布したコラーゲンゲルの値は(0.2)の10.5倍なのでは、このサンスクリーンをUVAにより引き起こされるシワに対する防止効果(指数)は、10.5となる。また、数値を記号表示すると、例えば、1.5〜3.9を+または☆、4.0〜6.9を++または☆☆、7.0〜9.9を+++または☆☆☆、10.0〜を++++または☆☆☆☆とすると、本製品のシワに対する防止効果(指数)は、++++または☆☆☆☆となる。さらに、数値を字句で表示すると、例えば、1.5〜3.9を「紫外線によるシワを防ぐ効果が弱い。Weak」、4.0〜6.9を「紫外線によるシワを防ぐ効果がある。Moderate」、7.0〜9.9を「紫外線によるシワを防ぐ効果が強い。Strong」、10.0〜を「紫外線によるシワを防ぐ効果が非常に強い。Very strong」とすると、本製品のシワに対する防止効果は、「紫外線によるシワを防ぐ効果が非常に強い。Very strong」となる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明により算出される効果(指数)は、紫外線によるコラーゲンの弾力性低下を短期間で簡便に知ることができ、ひいては紫外線によって引き起こされるシワに対する防止効果を的確に表示することができる優れた表示物であり、紫外線防止効果を有する紫外線防止を有する化粧品・医薬部外品・医薬品等の皮膚外用剤に用いることができる。それらの皮膚外用剤に本発明が具備する機能を付与することができる。機能を具備する方法は、特に制限されず、皮膚外用剤の容器・外箱・印刷物・タッグ・POP(Point of purchase advertising)広告、宣伝等に使用することができる。
【0053】
本発明の紫外線防止製品、紫外線防止成分の形態は、固体、液体、気体を問わず、特に制限されない。また、本発明の紫外線防止製品、紫外線防止成分の用途は、特に制限されないが、ヒトの皮膚に直接触れるもの、特に紫外線に曝露する可能性のある用品が好適である。
【0054】
皮膚外用剤(化粧料、医薬部外品、医薬品を含む)としては、例えば、化粧水、乳液、クリーム、ファンデーション、口紅、サンスクリーン、パック、制汗剤、ボディパウダー、ベビーパウダー、浴用剤、石鹸、ボディソープ、洗顔料等の皮膚化粧料、ヘアートリートメント、ヘアリキッド、整髪料、育毛料等の頭髪化粧料などの化粧料、軟膏や貼付剤などが挙げられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コラーゲンゲルおよび/または摘出皮膚および/または再構成皮膚に紫外線防止製品または紫外線防止成分を直接または間接に塗布してから紫外線を照射した際の硬度および/または弾力性を測定して、紫外線により引き起こされるコラーゲンの弾力性低下に対する防止効果を評価する方法。
【請求項2】
コラーゲンゲルおよび/または摘出皮膚および/または再構成皮膚に紫外線防止製品または紫外線防止成分を直接または間接に塗布してから紫外線を照射した際の硬度および/または弾力性を測定することによる、紫外線により引き起こされるコラーゲンの弾力性低下に対する防止効果の評価結果に基づき、紫外線によるコラーゲンの弾力性低下すなわち紫外線によるシワに対する防止効果を表示することを特徴とする化粧品、医薬部外品、医薬品等の皮膚外用剤。
【請求項3】
コラーゲンゲルおよび/または摘出皮膚および/または再構成皮膚に紫外線防止製品または紫外線防止成分を直接または間接に塗布してから紫外線を照射した際の硬度および/または弾力性を測定することによる、紫外線により引き起こされるコラーゲンの弾力性低下に対する防止効果の評価結果に基づき、シワに対する防止効果を特徴とする化粧品、医薬部外品、医薬品等の皮膚外用剤。
【請求項4】
コラーゲンゲルおよび/または摘出皮膚および/または再構成皮膚に紫外線防止製品または紫外線防止成分を直接または間接に塗布してから紫外線を照射した際のジチロシンおよび/または酸不溶性コラーゲンを測定して、紫外線により引き起こされるコラーゲンの弾力性低下に対する防止効果を評価する方法。
【請求項5】
コラーゲンゲルおよび/または摘出皮膚および/または再構成皮膚に紫外線防止製品または紫外線防止成分を直接または間接に塗布してから紫外線を照射した際のジチロシンおよび/または酸不溶性コラーゲンを測定することによる、紫外線により引き起こされるコラーゲンの弾力性低下に対する防止効果の評価結果に基づき、紫外線によるコラーゲンの弾力性低下すなわち紫外線によるシワに対する防止効果を表示することを特徴とする化粧品、医薬部外品、医薬品等の皮膚外用剤。
【請求項6】
コラーゲンゲルおよび/または摘出皮膚および/または再構成皮膚に紫外線防止製品または紫外線防止成分を直接または間接に塗布してから紫外線を照射した際のジチロシンおよび/または酸不溶性コラーゲンを測定することによる、紫外線により引き起こされるコラーゲンの弾力性低下に対する防止効果の評価結果に基づき、シワに対する防止効果を特徴とする化粧品、医薬部外品、医薬品等の皮膚外用剤。
【請求項7】
紫外線防止製品または紫外線防止成分を塗布していない測定値と紫外線防止製品または紫外線防止成分を塗布した測定値との間の差、または紫外線防止製品または紫外線防止成分を塗布していない測定値の紫外線防止製品または紫外線防止成分を塗布した測定値に対する倍数から、この紫外線防止製品または紫外線防止成分の紫外線によるコラーゲンの弾力性低下すなわち紫外線によるシワに対する防止効果(指数)を求め、数値および/または記号および/または字句で表示することを特徴とする化粧品、医薬部外品、医薬品等の皮膚外用剤。

【公開番号】特開2012−177670(P2012−177670A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−57204(P2011−57204)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(311002702)
【Fターム(参考)】