説明

紫外線センサ素子、および紫外線センサ

【課題】比較的安価で、かつ高品質なものが市場に提供されている材料を紫外線受光層に利用するとともに、紫外線受光層中に高抵抗層を具備しなくても十分な紫外線受光感度および速度を有する、ショットキー型紫外線センサ素子、およびそれを用いた紫外線センサを提供する。
【解決手段】紫外線センサ素子1であって、Nbが0.01wt%以上0.10wt%以下でドープされたSrTiO単結晶からなり、第1面および前記第1面に対向する第2面を有する基板2と、前記第1面上に形成され、紫外線を受光する第1電極3と、前記第2面上に形成される第2電極4とを備えた紫外線センサ素子。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ショットキー型の紫外線センサ素子、およびそれを用いた紫外線センサに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、火炎検知や気象観測などの目的のため、長時間にわたって紫外線のみを感知し、紫外線の定量的な測定を行うことのできる紫外線センサの需要が高まってきている。こうしたニーズが高まるなか、窒化ガリウム固溶体(AlGaN、InGaNなど)や酸化亜鉛固溶体(ZnMgO)などを用いた様々な紫外線センサが提案されている。
【0003】
特許文献1では、紫外線受光層に酸化ガリウム(Ga)単結晶基板を用いたショットキー型紫外線センサを開示している。このGa単結晶の紫外線センサは、波長280nm以下の紫外線をセンシングする。また、特許文献2では、紫外線受光層に酸化亜鉛(ZnO)単結晶基板を用いたショットキー型紫外線センサを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−130012号公報
【特許文献2】特開2007−201393号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1および2の紫外線センサに使用されているGaやZnOの単結晶基板はそれ自体が高価である。その上、高品質な単結晶基板を大量に入手することは容易ではない。こうした問題点は、紫外線センサの量産化を目指す上で障害となる。
【0006】
また、一般的な紫外線センサの紫外線受光層中には、紫外線センサの受光感度および速度を実用化することが可能なレベルに引き上げるために、高抵抗層を設ける必要がある。紫外線受光層中の高抵抗層は、紫外線受光層をアニールするなどの手段によって、形成させる。こうした高抵抗層が不要であれば、紫外線センサの製造工程数を削減することが可能である。
【0007】
本発明は、以上のような実情に鑑みてなされたものであり、比較的安価で、かつ高品質なものが市場に提供されている材料を紫外線受光層に利用するとともに、紫外線受光層中に高抵抗層を具備しなくても十分な紫外線受光感度および速度を有する、ショットキー型紫外線センサ素子、およびそれを用いた紫外線センサを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の側面は、紫外線センサ素子であって、Nbが0.01wt%以上0.10wt%以下でドープされたSrTiO単結晶からなり、第1面および前記第1面に対向する第2面を有する基板と、前記第1面上に形成され、紫外線を受光する第1電極と、前記第2面上に形成される第2電極とを備えた紫外線センサ素子である。
【0009】
本発明の第2の側面は、上記の紫外線センサ素子であって、前記SrTiO単結晶の第1面は、(001)面方位に優先的に配向している紫外線センサ素子である。
【0010】
本発明の第3の側面は、上記の紫外線センサ素子と、前記第2電極が接合されるベース基板とを備え、前記第2電極がアルミニウムからなり、前記第2電極と前記ベース基板とがカーボンからなる導電性接合層で接合される紫外線センサである。
【0011】
本発明の第4の側面は、上記の紫外線センサであって、前記ベース基板と一体化されたパッケージ(部材)を備え、前記パッケージは、前記紫外線センサ素子を内部に含み、かつ前記紫外線センサ素子に紫外線を入射させる受光窓を備える紫外線センサである。
【0012】
本発明の第5の側面は、上記の紫外線センサであって、前記パッケージの内部雰囲気は、アルゴン、窒素、乾燥空気から選ばれる1種または2種以上のガス、または真空である紫外線センサである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の紫外線センサ素子の一例を示す概略断面図である。
【図2】本発明の紫外線センサ素子を備えた紫外線センサの一例を示す概略断面図である。
【図3】本発明の紫外線センサの分光応答特性を示す図である。
【図4】本発明の紫外線センサの線形性を示す図である。
【図5】本発明の紫外線センサの耐久性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
【0015】
図1は、本発明の紫外線センサ素子の一例を示す概略断面図である。本発明に係る紫外線センサ素子1は、NbドープSrTiO単結晶基板2、NbドープSrTiO単結晶基板の第1面上に形成される第1電極3、およびNbドープSrTiO単結晶基板の第1面上に対向する第2面上に形成される第2電極4を備える。
【0016】
紫外線受光層としてのNbドープSrTiO単結晶基板2のNbドープ量は、0.01wt%以上0.10wt%以下が好ましく、特に0.01wt%以上0.05wt%以下が好ましい。NbドープSrTiO単結晶基板2のNbドープ量が0.01wt%未満では、単結晶内の電気抵抗が増大し、センサ素子の感度が低下する。また、Nbドープ量が0.10wt%超では、単結晶内部の光電変換能力を持つ領域の厚さが不十分となって、センサ素子の感度が低下する。
【0017】
NbドープSrTiO単結晶基板2の第1面の面方位は、(001)面に優先的に配向していることが好ましい。(001)面はSrTiO単結晶のへき開面であり平滑性のよい表面が得られ、電極に用いられる貴金属との格子定数の相性もよい。そのために、NbドープSrTiO単結晶基板2の第1面上に形成される電極には欠陥が少ない。
【0018】
NbドープSrTiOは高い誘電率を有するために、紫外線受光層であるNbドープSrTiO単結晶基板自体が光電変換能力を備える。この光電変換能力は誘電率の平方根に比例する。本発明の紫外線センサ素子では、紫外線受光層にNbドープSrTiO単結晶の基板を用いることから、この基板自体に備わる光電変換能力を持つ領域の厚さは大きくなる。そのために、NbドープSrTiO単結晶基板2を用いて作製した紫外線センサ素子1は、従来から知られている高抵抗層を具備しなくても、高い感度を得ることができる。このようなNbドープSrTiO単結晶基板2は、安価かつ高品質であるという点で、入手性に優れている。
【0019】
図2は、本発明の紫外線センサ素子を備えた紫外線センサの一例を示す概略断面図である。本発明に係る紫外線センサ5は、ベース基板6と一体化されたパッケージ7の内部に上記紫外線センサ素子1を備える。パッケージ7は紫外線耐性を持つ材料から構成される。第2電極4とベース基板6との間には、第2電極4とベース基板6とを接合するための導電性接合層(図示しない)を備える。こうして、紫外線センサ素子1の第2電極4はベース基板6と接合する。導電性接合層は、カーボン系や銀系からなる導電性接着剤から形成される。このようにハーメチックシールなどのパッケージ7で紫外線センサ素子1を気密封止することにより、紫外線センサ素子1は、空気中の汚染物質や湿度などの環境条件に伴う物理的および化学的損傷から、保護される。
【0020】
パッケージ7は、紫外線センサ素子1に紫外線を入射させるための受光窓8を備える。例えば、受光窓8は、ベース基板6と対向するようなパッケージ7の一部分に配置される。受光窓8を通過した紫外線は、紫外線センサ素子1の紫外線受光面である第1電極3に照射される。こうして、紫外線センサ5は、紫外線センサ素子1の第1面上に形成される第1電極3で紫外線を受光する。ただし、パッケージ7に区画される受光窓8の配置構成は特には限定されず、紫外線センサ5が第1電極3で紫外線を受光さえすればよい。
【0021】
紫外線センサ素子1の第1面上に形成される第1電極3は、ボンディングワイヤ9を介して、陽極端子10と接続する。陽極端子10は、ベース基板6に対して絶縁性を確保してベース基板6を貫通している。第1電極3と陽極端子10との接続が良好でない場合は、ボンディングワイヤ9と接合する第1電極3の接合部分の膜厚を部分的に大きくすることや、ボンディングワイヤ9と第1電極3との間にカーボンペーストのような導電性接合部材を備えることで、ボンディングワイヤ9を第1電極3に接合させてもよい。また、陰極端子11は、紫外線センサ素子1の第2面上の第2電極4と接合しているベース基板6に接続する。陽極端子10および陰極端子11は、電流計12を介して、接続される。電流計12は、外部から入射した紫外線によって紫外線受光層で発生する微弱電流を測定する。こうして、紫外線センサ5は紫外線をセンシングする。
【0022】
パッケージの内部は、紫外線がパッケージの受光窓を通過して紫外線センサ素子の受光面に到達するまでに、オゾンなどの活性酸素種の発生が抑制される雰囲気で満たされればよい。内部雰囲気は、例えば、アルゴン、窒素、乾燥空気から選ばれる1種または2種以上のガスや、真空などが挙げられる。パッケージの内部雰囲気は、既知の雰囲気調整手段(図示しない)により、調整することができる。なお、パッケージ内部が活性酸素種の発生を抑制させない雰囲気で満たされる場合、紫外線の通過により、パッケージの内部には酸素活性種が充満する。こうした酸素活性種は紫外線センサの構成部材を酸化させ、その結果、紫外線センサは劣化し、センサ特性は低下する。したがって、紫外線センサ素子は、本発明の紫外線センサのように、パッケージで囲まれるとよい。
【0023】
また、パッケージに配置される受光窓は、紫外線を透過し、かつ紫外線耐性を持つ材料から構成されればよく、例えばサファイアやオゾンレス石英などが挙げられる。こうした雰囲気や受光窓は、所定の波長領域の紫外線を吸収、または透過させることができる。こうして、パッケージの内部雰囲気や受光窓を状況に応じて換えることにより、紫外線センサは波長選択性を持つことが可能となる。
【0024】
導電性を有するNbドープSrTiO単結晶基板の紫外線受光面に形成される第1電極であるショットキー電極は、従来からのショットキー用電極材料を用いることができ、例えば金や白金からなる材料が挙げられる。例えば上記第1面が(001)面に優先的に配向しているNbドープSrTiO単結晶基板を紫外線センサ素子に用いる場合、第1電極には金からなる材料を用いることが格子定数の観点から好ましい。また、第1電極の形成には、真空蒸着法やスパッタリング法、めっきのような、既存の薄膜形成プロセスを用いることができる。第1電極の膜厚は、一般的なショットキー用電極材料の膜厚と同等でよい。
【0025】
NbドープSrTiO単結晶基板の非受光面に形成される第2電極であるオーミック電極は、従来からのオーミック用電極材料を用いることができ、例えばアルミニウムやチタンからなる材料が挙げられる。例えばカーボン系で構成される導電性接合層を紫外線センサに用いる場合、第2電極にはアルミニウムからなる材料を用いることが接触抵抗の点から好ましい。第1電極と同様に第2電極の形成には、真空蒸着法やスパッタリング法、めっきのような、既存の薄膜形成プロセスを用いることができる。第2電極の膜厚は、第2電極表面が鏡面であればよく、例えば一般的なオーミック用電極材料の膜厚と同等でよい。
【実施例】
【0026】
以下に、具体的な実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。ただし、本発明はこれらにより何ら制限されるものではない。
【0027】
[実施例1]
<紫外線センサ素子の作製>
Nbが0.05wt%でドープされ、第1面が(001)面方位に優先的に配向しているNbドープSrTiO単結晶バルク基板(Nb(0.05wt%):SrTiO単結晶基板 (100) 10mm×10mm×0.5mmt 両面研磨 9分割ブレーク溝つき、信光社製)を寸法3.3mm×3.3mm×0.5mmtに切断した。この切断した試料をNbドープSrTiO単結晶基板として用いた。その後、空気中で紫外線(低圧水銀ランプ(岩崎電気製))により30分露光し、オゾン洗浄を行うことにより、NbドープSrTiO単結晶バルク基板の研磨面を洗浄・改質した。
【0028】
洗浄・改質したNbドープSrTiO単結晶バルク基板の第1面上に、スパッタリング法によって金薄膜を形成した。スパッタ条件は、スパッタリング形成装置(JFE1200イオンコーター、日本電子製)、ターゲットー試料間距離40mm、電流密度:10mA、真空度:5Pa、スパッタリングガス:Arとし、スパッタ時間1分後、2分放置した。この一連の操作を3回し、膜厚が20nmの金薄膜を第1面上に形成した。つまり、スパッタ処理時間内に一定時間のインターバルを挟みながら、間欠的に薄膜を形成した。スパッタ処理時に、金がNbドープSrTiO単結晶バルク基板の側面(第1面に垂直な面)に付着しないように、マスクを用いて薄膜形成を行った。こうして、膜厚が薄く、均一である、センサにとって良好な第1電極を得た。
【0029】
NbドープSrTiO単結晶バルク基板の第1面に対向する第2面上に、真空蒸着法によって第2電極であるAl薄膜を形成した。Al薄膜の膜厚はおおよそ数十nmであり、薄膜面は鏡面化した。こうして、紫外線センサ素子を得た。
【0030】
<紫外線センサの作製>
ベース基板(TO−5ベース、フジ電科製)と第2電極であるAl薄膜とを、導電性カーボンペースト(ドータイト、CX−12、藤倉化成製)により接合した。ベース基板に接合された紫外線センサ素子の第1電極である金薄膜と陽極端子に接合した金製のボンディングワイヤ(30μφ、田中電子工業製)とを導電性接合部材である導電性カーボンペースト(ドータイト、CX−12、藤倉化成製)で接合することによって紫外線センサを作製した。
【0031】
<特性評価>
本実施例で作製した紫外線センサの特性評価を以下の項目で行った。
【0032】
(分光応答特性)
本実施例で作製した紫外線センサの分光応答度を以下の条件で測定した。その結果、紫外線センサへの紫外線の入射波長が280nmのとき、最大分光応答度3.90mA/Wを示した。測定結果を図3に示す。
【0033】
分光器:分光蛍光光度計、RF−502、島津製作所
波長:250nm〜800nm
スリット幅:7μm
電流計:エレクトロメータ、R8240、アドバンテスト
バイアス電圧:なし
ダーク電流:2.51×10−12
【0034】
分光応答特性の測定結果を基に、本発明の紫外線センサと他の材料で作製した紫外線センサとを比較する。
【0035】
特許文献1に記載されるGaセンサは、波長280nm以下の紫外線に対する感度を持つ。一方で、本発明のNbドープSrTiO単結晶基板からなる紫外線センサは、波長380nm以下の紫外線から感度を示した。本発明の紫外線センサが感度を示す波長域は、Gaセンサに比べて、約100nmだけ長波長側にシフトした。すなわち、Gaセンサとは感度波長域が異なり、センサとしての性質が異なることがわかった。
【0036】
また、特許文献2に記載されるZnOセンサおよび本発明の紫外線センサは、感度波長域の大幅な差異は見られないものの、最大分光応答度を示す波長域が異なった。具体的には、ZnOセンサはUV−A(波長315nm〜400nm)の波長域で強い感度を示すのに対して、本発明の紫外線センサはUV−B(波長315nm〜280nm)の波長域で強い感度を示した。また、本発明の紫外線センサは、ZnOセンサに比べて、約3倍の分光応答度を示すことから、応答特性に関して優れていることがわかった。
【0037】
[実施例2]
<紫外線センサ素子の作製>
NbドープSrTiO単結晶基板として、Nbが0.05wt%でドープされ、第1面が(001)面方位に優先的に配向しているNbドープSrTiO単結晶バルク基板(Nb(0.05wt%):SrTiO単結晶基板 (100) 10mm×10mm×0.5mmt 両面研磨 溝なし、信光社製)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、紫外線センサ素子を作製した。
【0038】
<紫外線センサの作製>
ベース基板(銅張積層板、サンハヤト製)と第2電極であるAl薄膜とを、導電性カーボンペースト(ドータイト、CX−12、藤倉化成製)により接合した。ベース基板に接合された紫外線センサ素子の第1電極である金薄膜と陽極端子であるアルミニウム箔(アルミニウムはく、住軽アルミ箔製)とを導電性接合部材である導電性カーボンペースト(ドータイト、CX−12、藤倉化成製)で接合することによって紫外線センサを作製した。この紫外線センサを窒素雰囲気下に設置した。なお、本実施例ではパッケージを用いていないが、本実施例で作製した紫外線センサを窒素雰囲気下に設置すること、および窒素で満たされるパッケージ内部に紫外線センサ素子を設置することは、同様の効果をもたらす。
【0039】
<特性評価>
本実施例で作製した紫外線センサの特性評価を以下の項目で行った。
【0040】
(線形性)
本実施例で作製した紫外線センサの線形性を以下の条件で測定した。このとき、紫外線センサに到達する紫外線の波長は254nmであった。測定結果を図4に示す。ただし、照射線照度が11.6mW/cmのとき、減光フィルタはセットしなかった。
【0041】
光源:低圧水銀ランプ(QGL110U−3、岩崎電気製)
光源と紫外線センサとの距離:50mm
照度計:紫外線照度計・光量計、UV−M03A、オーク製作所
ダイヤモンド紫外線モニタ、EVUV−200、岩崎電気
減光フィルタ:メッシュフィルタ(岩崎電気製)
【0042】
波長254nmの紫外線照射下で、照射される紫外線の照度と紫外線センサの出力電流とは、非常に良好な線形関係を示すことがわかった。
【0043】
(耐久性)
本実施例で作製した紫外線センサの耐久性を以下の条件で測定した。測定結果を図5に示す。
【0044】
光源:低圧水銀ランプ(QGL110U−3、岩崎電気製)
光源と紫外線センサとの距離:50mm
照射時間:74.5h
水銀輝線照度:185nmのとき1.37mW/cm
254nmのとき9.72mW/cm
365nmのとき0.30mW/cm
400nmのとき1.54mW/cm
【0045】
紫外線センサに紫外線を長時間照射しても、紫外線センサの出力電圧はほぼ一定の値を示した。作製した紫外線センサは、経時変化が無視できるほど小さく、耐久性に優れていることがわかった。
【0046】
以上より、本発明に係るショットキー型の紫外線センサ素子、およびそれを用いた紫外線センサは、比較的安価で、かつ高品質なものが市場に提供されているNbドープSrTiO単結晶基板を紫外線受光層に利用し、紫外線受光層中に高抵抗層を具備しなくても十分な紫外線受光感度および速度を有した。こうした紫外線センサは、可視光に対しては感度を持たずに波長380nm以下の紫外線のみに感度を持つ、特徴ある分光応答度を示した。さらには、NbドープSrTiO単結晶基板が安価であることや、高抵抗層を形成する工程が不要なことから、従来の紫外線センサよりも非常に安価に製造することができた。
【符号の説明】
【0047】
1 紫外線センサ素子
2 NbドープSrTiO単結晶基板
3 第1電極
4 第2電極
5 紫外線センサ
6 ベース基板
7 パッケージ
8 受光窓
9 ボンディングワイヤ
10 陽極端子
11 陰極端子
12 電流計

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外線センサ素子であって、
Nbが0.01wt%以上0.10wt%以下でドープされたSrTiO単結晶からなり、第1面および前記第1面に対向する第2面を有する基板と、
前記第1面上に形成され、紫外線を受光する第1電極と、
前記第2面上に形成される第2電極と
を備えた紫外線センサ素子。
【請求項2】
請求項1に記載の紫外線センサ素子であって、
前記SrTiO単結晶の第1面は、(001)面方位に優先的に配向している紫外線センサ素子。
【請求項3】
請求項1または2に記載の紫外線センサ素子と、前記第2電極が接合されるベース基板とを備え、
前記第2電極がアルミニウムからなり、前記第2電極と前記ベース基板とがカーボンからなる導電性接合層で接合される紫外線センサ。
【請求項4】
請求項3に記載の紫外線センサであって、
前記ベース基板と一体化されたパッケージ(部材)を備え、
前記パッケージは、前記紫外線センサ素子を内部に含み、かつ前記紫外線センサ素子に紫外線を入射させる受光窓を備える紫外線センサ。
【請求項5】
請求項4に記載の紫外線センサであって、
前記パッケージの内部雰囲気は、アルゴン、窒素、乾燥空気から選ばれる1種または2種以上のガス、または真空である紫外線センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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