説明

紫外線処理装置及び紫外線照射装置

【課題】紫外線処理装置の周囲で大きな気流が発生しても、その影響を受けることなく、被処理物表面に紫外線を均一に照射することができ、被処理物の表面を均一に処理することができる紫外線処理装置、及び、紫外線照射装置を提供することにある。
【解決手段】本願発明の紫外線処理装置は、鉛直方向の下方に開口を有するランプハウス1と、ランプハウス1内に収容された紫外線ランプ2及びガス噴出孔30を有する不活性ガス供給管3と、被処理物Wを搬送する搬送機構4と、被処理物Wを処理するためのチャンバー5とを備え、被処理物Wを搬送しながら紫外線を照射する紫外線処理装置において、ランプハウス1より搬送方向の上流側に被処理物Wが搬入される前方緩和室6が連結され、ランプハウス1より搬送方向の下流側に被処理物Wが搬出される後方緩和室7が連結され、チャンバー5には、搬送されてくる被処理物Wに対して鉛直方向の下方の位置に、排気管8が接続されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線処理装置及び紫外線照射装置に関する。特に、半導体基板や液晶基板などの製造工程において半導体基板や液晶基板の洗浄等を行う紫外線処理装置、及び、紫外線処理装置に利用される紫外線照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体基板や液晶基板の製造工程において、シリコンウエハやガラス基板の表面に付着した有機化合物等の汚れを除去する方法として、紫外線を用いたドライ洗浄方法が広く利用されている。
特に、紫外線ランプであるエキシマランプから放射される真空紫外線を用いたオゾン等の活性酸素による洗浄方法において、より効率良く短時間で洗浄する洗浄装置が種々提案されている。従来のこのような技術としては、例えば、特開2008−43925号公報などが知られている。
【0003】
図6には、同文献に開示される従来の紫外線処理装置と同様の構成を示す。
従来の紫外線処理装置では、鉛直方向の下方に開口10を有するランプハウス1内には、紫外線ランプであるエキシマランプ2が配置されており、さらに、ランプハウス1内には、ガス噴出孔30を有する不活性ガス供給管3が配置されている。図面では開口10を破線で示している。
ランプハウス1の開口10の下方には、搬送機構であるローラコンベア4によってワークWがチャンバー5内に搬送され、ワークWによって、開放されたランプハウス1内を擬似的に閉鎖空間とすると同時にエキシマランプ2より照射される紫外線によってワークWの表面を処理するものである。
【0004】
ワークWの表面を処理する際には、ワークWの表面近傍には、酸素が必要であり、酸素に紫外線が照射されてオゾン等の活性酸素を生成し、ワークWの表面近傍に活性酸素が存在し、この状態でワークWの表面に紫外線が照射されることにより、ワークWの表面を最適に処理するものである。
【0005】
しかしながら、ワークWの表面近傍の酸素濃度が高すぎると、酸素によって紫外線が吸収され、ワークWの表面に紫外線が到達せず、ワークWの表面を最適に処理することができず、ランプハウス1内のガス噴出孔30から不活性ガスを噴出することにより、ランプハウス1の開口10とワークWとの間の空間を最適な酸素濃度にして、ワークWの表面に紫外線を到達させるものである。
【0006】
ランプハウス1の開口10とワークWとの間の空間を最適な酸素濃度に保つために、従来の紫外線処理装置では、ランプハウス1は、ランプハウス1よりワークWの搬送方向の上流側と下流側に板状の張り出し部11,12が形成されており、それぞれの張り出し部11,12とチャンバー5との間に隙間Kを作り、この隙間Kを利用して、ワークWをチャンバー5内に搬入し、チャンバー5外に搬出する構造であり、この隙間Kとランプハウス1内に噴出される不活性ガスの噴出量によって、ランプハウス1の開口10の下方にワークWが搬送されてきたときに、ランプハウス1の開口10とワークWとの間の空間の酸素濃度を最適範囲に制御するものである。
なお、チャンバー5は、搬送されてくる基板Wに対して鉛直方向の下方の位置に排気管8が接続されており、チャンバー5内のガスを装置外に排気するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−43925号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このような紫外線処理装置は、その周囲に別の処理を行う装置が配置されることがある。
例えば、ウエットエッチング装置では、化学薬品を用いてワークをエッチングするものであるが、エッチングの際に、化学薬品とワークが反応して反応ガスが発生し、この反応ガスを確実に排気するために、ウエットエッチング装置では排気能力が高くなっており、ウエットエッチング装置の周辺では、大きな気流が発生するものである。
【0009】
つまり、紫外線処理装置の周囲にウエットエッチング装置が配置された場合、紫外線処理装置の周囲にも気流が発生し、ランプハウス1の周辺に気流が発生することになる。
【0010】
ランプハウス1の周辺に所定以上の大きな気流が発生すると、隙間Kから外気がランプハウス1方向に流れ込み、ランプハウス1の開口10とワークWとの間の空間に酸素が流れ込むものである。
【0011】
この結果、ランプハウス1の開口10とワークWとの間の空間に外気が流れ込み、その外気が流れ込む方向によって、その空間の酸素濃度が均一にならず、酸素濃度が高い部分では紫外線の吸収が大きくなり、反対に酸素濃度が低い部分では紫外線の吸収が小さく、酸素濃度の不均一によってワークW表面に紫外線が均一に照射されず、ワークW表面を均一に処理することができないという問題があった。
【0012】
本発明は、以上のような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、紫外線処理装置の周囲で大きな気流が発生しても、その影響を受けることなく、被処理物表面に紫外線を均一に照射することができ、被処理物の表面を均一に処理することができる紫外線処理装置、及び、紫外線照射装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の紫外線処理装置は、鉛直方向の下方に開口を有するランプハウスと、該ランプハウス内に収容された紫外線ランプ及びガス噴出孔を有する不活性ガス供給管と、被処理物を搬送する搬送機構と、チャンバーとを備え、被処理物を搬送しながら紫外線を照射する紫外線処理装置において、前記ランプハウスより搬送方向の上流側に被処理物が搬入される前方緩和室が連結され、前記ランプハウスより搬送方向の下流側に被処理物が搬出される後方緩和室が連結され、前記前方緩和室と前記後方緩和室は、鉛直方向の下方に開口が形成されており、前記チャンバーには、排気管が接続されていることを特徴とする。
【0014】
請求項2に記載の紫外線照射装置は、鉛直方向の下方に開口を有するランプハウスと、該ランプハウス内に収容された紫外線ランプ及びガス噴出孔を有する不活性ガス供給管と、被処理物を搬送する搬送機構とを備え、被処理物を搬送しながら紫外線を照射する紫外線照射装置において、前記ランプハウスより搬送方向の上流側に被処理物が搬入される前方緩和室が連結され、前記ランプハウスより搬送方向の下流側に被処理物が搬出される後方緩和室が連結され、前記前方緩和室と前記後方緩和室は、鉛直方向の下方に開口が形成されており、前記前方緩和室と前記後方緩和室には、それぞれ排気管が接続されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の紫外線処理装置によれば、ランプハウスより搬送方向の上流側に被処理物が搬入される前方緩和室が連結され、ランプハウスより搬送方向の下流側に被処理物が搬出される後方緩和室が連結され、前方緩和室と後方緩和室は鉛直方向の下方に開口が形成されており、チャンバーには排気管が接続されている構造であるので、紫外線処理装置の周辺に所定以上の大きな気流が発生し、ランプハウス方向に外気が流入しようとしても、前方緩和室と後方緩和室に流入した外気の圧力は、前方緩和室と後方緩和室という部屋に拡散することで緩和されて弱まり、さらに、前方緩和室と後方緩和室内でランプハウスの開口から噴出された不活性ガスと衝突して滞留することになり、また、チャンバー内に流入した外気はチャンバーに接続された排気管で外部に排気されるので、ランプハウスの開口と被処理物との間の空間に外気が侵入することを防止でき、紫外線ランプと被処理物との間の酸素濃度を均一に保つことができ、被処理物表面に紫外線が均一に照射され、被処理物の表面を均一に処理することができるものである。
【0016】
本発明の紫外線照射装置によれば、ランプハウスより搬送方向の上流側に被処理物が搬入される前方緩和室が連結され、ランプハウスより搬送方向の下流側に被処理物が搬出される後方緩和室が連結され、前方緩和室と後方緩和室は鉛直方向の下方に開口が形成されて、それぞれの緩和室には、それぞれ排気管が接続されているので、紫外線照射装置の周辺に所定以上の大きな気流が発生し、ランプハウス方向に外気が流入しようとしても、前方緩和室と後方緩和室に流入した外気の圧力は、前方緩和室と後方緩和室という部屋に拡散することで緩和されて弱まり、さらに、前方緩和室と後方緩和室内でランプハウスの開口から噴出された不活性ガスと衝突して滞留し、この滞留した外気は排気管から強制的に排気されるので、ランプハウスの開口と被処理物との間の空間に外気が侵入することを防止でき、紫外線ランプと被処理物との間の酸素濃度を均一に保つことができ、被処理物表面に紫外線が均一に照射され、被処理物の表面を均一に処理することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の紫外線処理装置のランプの管軸と直交する方向の断面図である。
【図2】図1に示す紫外線処理装置の斜視図である。
【図3】本発明の紫外線照射装置のランプの管軸と直交する方向の断面図である。
【図4】図2に示す紫外線処理装置の斜視図である。
【図5】紫外線処理装置における酸素濃度を測定した実験結果データ説明図である。
【図6】従来の紫外線処理装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本願発明の紫外線処理装置のランプの管軸と直交する方向の断面図である。
図2は、図1における紫外線処理装置の斜視図である。
図2では、ランプハウス内の構造物として、エキシマランプ2と側壁11,12を破線で示し、不活性ガス供給管3とローラコンベア4は省略している。
図1において、Wは洗浄が行われる被処理物としての基板である。基板Wは、例えばガラス、半導体、合成樹脂、セラミックス、金属等で形成した薄板からなり、平面形状としては、四角形あるいは円形等である。
この基板Wは、搬送手段として、例えばローラコンベア4により同図に矢印で示した方向に搬送され、チャンバー5内に搬入され、チャンバー5内で基板Wの表面がドライ洗浄される。このために、ローラコンベア4による搬送経路の所定の位置にランプハウス1が設けられている。
【0019】
ランプハウス1は、鉛直方向の下方に開口10を有しており、内部に紫外線ランプであるエキシマランプと2と、ガス噴出孔30を有する不活性ガス供給管3が配置されている。
【0020】
図面ではエキシマランプ2が1つ描かれているが、複数設けられていてもよい。
また、ランプハウス1の開口10を形成する下端部は基板Wに対して非接触状態で対面しており、ローラコンベア4による基板Wの搬送高さを調整することによって、基板Wの表面とランプハウス1との間に微小隙間を持たせている。
図面では開口10を破線で示している。
【0021】
ランプハウス1には、その上部に不活性ガスとしての窒素ガス(N2 ガス)を乾燥状態で供給する不活性ガス供給管3が配置されており、ガス噴出孔30からランプハウス1内には所定の圧力でドライ窒素ガスが供給され、内部は酸素を含まない雰囲気下に置かれる。これによって、基板Wの表面近傍に至るまでの間でエキシマランプ2から照射される紫外線が減衰するのを抑制している。
【0022】
ランプハウス1より搬送方向の上流側に基板Wが搬入される前方緩和室6が連結され、ランプハウス1より搬送方向の下流側に基板Wが搬出される後方緩和室7が連結されている。
前方緩和室6は、基板Wに対向する方向であって、鉛直方向の下方に開口60を有するものであって、前方緩和室6の上壁61はエキシマランプ2より上方側に位置している。図面では開口60を破線で示している。
後方緩和室7は、基板Wに対向する方向であって、鉛直方向の下方に開口70を有するものであって、後方緩和室7の上壁71はエキシマランプ2より上方側に位置している。図面では開口70を破線で示している。
また、前方緩和室6と後方緩和室7の内部は、構造物が全く存在しない、単なる直方体空間となっており、前方緩和室6と後方緩和室7の内部空間の大きさは、それぞれ0.15〜0.2mである。
【0023】
図1に示すように、ランプハウス1の鉛直方向に伸びる側壁11によって、前方緩和室6の開口60とランプハウス1の開口10が形成されるものであり、ランプハウス1の鉛直方向に伸びる側壁12によって、ランプハウス1の開口10と後方緩和室7の開口70が形成されるものである。
【0024】
チャンバー5は、搬送されてくる基板Wに対して鉛直方向の下方の位置に排気管8が接続されており、チャンバー5内のガスを装置外に排気するものである。
【0025】
前方緩和室6の開口60を形成する下端部は基板Wに対して非接触状態で対面しており、後方緩和室7の開口70を形成する下端部も基板Wに対して非接触状態で対面している。
前方緩和室6の開口60を形成する下端部とチャンバー5の上端部との間には、隙間Kが形成されており、後方緩和室7の開口70を形成する下端部とチャンバー5の上端部との間には、隙間Kが形成されており、これらの隙間Kを利用して、基板Wをチャンバー5内に搬入・搬出するものである。
【0026】
このような紫外線処理装置では、隙間Kが形成されているために、紫外線処理装置の周辺に所定以上の大きな気流が発生すると、この隙間Kから外気がランプハウス1内に向かって流入してくる。
その際、流入してきた外気は、前方緩和室6の開口60と後方緩和室7の開口70を通り前方緩和室6と後方緩和室7流入し、さらに、ランプハウス1の開口10からはランプハウス1外に向けて不活性ガスが流出しているので、前方緩和室6と後方緩和室7に流入した外気の圧力は、前方緩和室6と後方緩和室7という部屋に拡散することで緩和されて弱まり、さらに、前方緩和室6と後方緩和室7内で不活性ガスと衝突して滞留することになり、ランプハウス1の開口10と基板Wとの間の空間に流入することを防止できるものである。
【0027】
さらには、紫外線処理装置の周辺に所定以上の大きな気流が発生すると、隙間Kから外気がチャンバー5内に流入してくる。
その際、チャンバー5には、排気管8が接続されており、この排気管8は搬送されてくる基板Wに対して鉛直方向の下方の位置に設けられているので、チャンバー5内では、排気されるガスの流れが、ランプハウス1から遠ざかる方向に向かって流れるものであり、チャンバー5内に流入してきた外気は、ランプハウス1内には流れ込むことがなく、外部に排気される。
【0028】
つまり、前方緩和室6と後方緩和室7とチャンバーに5流入した外気は、ランプハウス1の開口10と基板Wとの間の空間には侵入することがなく、エキシマランプと基板Wとの間の酸素濃度を均一に保つことができ、基板Wの表面に紫外線が均一に照射され、基板Wの表面を均一に処理することができるものである。
【0029】
次に、チャンバーを有しないランプハウスのみからなる紫外線照射装置の例を示す。
図3は、本願発明の紫外線照射装置のランプの管軸と直交する方向の断面図である。
図4は、図3における紫外線処理装置の斜視図である。
図4では、ランプハウス内の構造物として、エキシマランプ2と側壁11,12を破線で示し、不活性ガス供給管3とローラコンベア4は省略している。
図3、図4に示す紫外線照射装置は、図1、図2に示す紫外線処理装置からチャンバーを取り除き、ランプハウスに連結された前方緩和室と後方緩和室に排気管が接続された構造であり、ランプハウスと、そのランプハウス内に収容された紫外線ランプ及び不活性ガス供給間の構造は同じである。
Wは洗浄が行われる被処理物としての基板であり、図1に示す基板と同様のものである。
この基板Wは、搬送手段として、例えばローラコンベア4により同図に矢印で示した方向に搬送され、ランプハウス1と対向する位置で基板Wの表面がドライ洗浄される。
【0030】
図3、図4に示す紫外線照射装置は、上述した紫外線処理装置と同様の構造部分の説明は省略し、構造上の違いがある部分を以下に説明する。
【0031】
前方緩和室6には排気管81が接続されており、後方緩和室7には排気管82が接続されている。
【0032】
このような紫外線照射装置では、周辺に所定以上の大きな気流が発生すると、この隙間Kから外気がランプハウス1内に向かって流入してくる。
その際、流入してきた外気は、前方緩和室6の開口60と後方緩和室7の開口70を通り前方緩和室6と後方緩和室7流入し、さらに、ランプハウス1の開口10からはランプハウス1外に向けて不活性ガスが流出しているので、前方緩和室6と後方緩和室7に流入した外気の圧力は、前方緩和室6と後方緩和室7という部屋に拡散することで緩和されて弱まり、さらに、前方緩和室6と後方緩和室7内で不活性ガスと衝突して滞留することになる。
【0033】
さらに、前方緩和室6と後方緩和室7に流入して滞留した外気は、不活性ガスと共に排気管81、82によって、装置外に確実に排気される。
【0034】
つまり、前方緩和室6と後方緩和室7に流入した外気は、ランプハウス1の開口10と基板Wとの間の空間には侵入することがなく、エキシマランプ2と基板Wとの間の酸素濃度を均一に保つことができ、基板Wの表面に紫外線が均一に照射され、基板Wの表面を均一に処理することができるものである。
【0035】
次に、図1に示す本発明の紫外線処理装置と図6に示す従来の紫外線処理装置を用いて、エキシマランプが消灯している状態で、ランプハウスのエキシマの直下であって、基板が通る位置での酸素濃度を調べる実験を行った。
【0036】
この実験では、表1に示す構成を満たす紫外線処理装置を用いた。
また、この実験では、それぞれの装置において、基板を搬入・搬出する隙間に向けて外気を強制的に流し、その時の風速と酸素濃度を測定した。実験結果を、図5に示す。
【0037】
【表1】

【0038】
図5では、それぞれの風速において、左側の棒グラフaが従来の紫外線処理装置における酸素濃度を示し、右側の棒グラフbが本願発明の紫外線処理装置における酸素濃度を示すものである。
図5の実験結果からわかるように、風速が1.8m/s以下では、本願発明の紫外線処理装置と従来の紫外線処理装置では、酸素濃度の違いに差はほとんど見られなかった。
しかしながら、風速が3.6m/sとなると、従来の紫外線処理装置では酸素濃度が9.0%となり、急激に酸素濃度が上昇し、ランプハウス1の開口10と基板Wとの間の空間に外気が流れ込んできていることがわかる。一方、本願発明の紫外線処理装置では酸素濃度は1.0%であり、ランプハウス1の開口10と基板Wとの間の空間に外気が流れ込むことを防止できていることがわかる。
紫外線処理装置の周囲にウエットエッチング装置が配置された場合、紫外線処理装置の周囲では、通常、風速2〜3m/sの気流が発生するものであり、本願発明の紫外線処理装置では、ランプハウス1の開口10と基板Wとの間の空間に外気が流れ込むことを防止できる効果がある。
【0039】
さらに、風速が5.5m/sとなると、従来の紫外線処理装置では酸素濃度が14.0%となり、ランプハウス1の開口10と基板Wとの間の空間に外気が大量に流れ込んできていることがわかる。一方、本願発明の紫外線処理装置では酸素濃度は2.5%であり、ランプハウス1の開口10と基板Wとの間の空間に外気が流れ込むことを十分に防止できていることがわかる。
【符号の説明】
【0040】
1 ランプハウス
10 ランプハウスの開口
2 エキシマランプ
3 不活性ガス供給管
30 ガス噴出孔
4 ローラコンベア
5 チャンバー
6 前方緩和室
60 前方緩和室の開口
61 前方緩和室の上壁
7 後方緩和室
70 後方緩和室の開口
71 後方緩和室の上壁
8 排気管
81 排気管
82 排気管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉛直方向の下方に開口を有するランプハウスと、該ランプハウス内に収容された紫外線ランプ及びガス噴出孔を有する不活性ガス供給管と、被処理物を搬送する搬送機構と、チャンバーとを備え、被処理物を搬送しながら紫外線を照射する紫外線処理装置において、
前記ランプハウスより搬送方向の上流側に被処理物が搬入される前方緩和室が連結され、前記ランプハウスより搬送方向の下流側に被処理物が搬出される後方緩和室が連結され、
前記前方緩和室と前記後方緩和室は、鉛直方向の下方に開口が形成されており、
前記チャンバーには、排気管が接続されていることを特徴とする紫外線処理装置。
【請求項2】
鉛直方向の下方に開口を有するランプハウスと、該ランプハウス内に収容された紫外線ランプ及びガス噴出孔を有する不活性ガス供給管と、被処理物を搬送する搬送機構とを備え、被処理物を搬送しながら紫外線を照射する紫外線照射装置において、
前記ランプハウスより搬送方向の上流側に被処理物が搬入される前方緩和室が連結され、前記ランプハウスより搬送方向の下流側に被処理物が搬出される後方緩和室が連結され、
前記前方緩和室と前記後方緩和室は、鉛直方向の下方に開口が形成されており、
前記前方緩和室と前記後方緩和室には、それぞれ排気管が接続されていることを特徴とする紫外線照射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−243913(P2011−243913A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−117158(P2010−117158)
【出願日】平成22年5月21日(2010.5.21)
【出願人】(000102212)ウシオ電機株式会社 (1,414)
【Fターム(参考)】