説明

紫外線分析計

【課題】簡易な構成で、スネーキング現象による測定値への影響を回避することができる紫外線分析計を提供する。
【解決手段】低圧水銀ランプ3は測定セル2に隣接して配置され、測定セル2内の試料に紫外光を照射し、その透過光量を検出器4が検出する。そして、図示しない演算部によりオゾンガス濃度に換算して出力部や表示部に出力することができるようになっている。低圧水銀ランプ3の電源である光源用電源5は、スイッチ6の動作によりオン/オフされるようになっており、制御部7が予め定めた周期でスイッチ6を開閉するようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外光源からの紫外線を試料に照射し、試料中の測定対象成分を分析する紫外線分析計に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、大気中のオゾンガス濃度や河川水の水質測定などを目的として、試料に紫外線を照射して、紫外線吸収分析法、紫外線吸光光度法あるいは紫外線蛍光分析法などにより、試料中の測定対象成分を分析する紫外線分析計が知られている。
このような紫外線分析計においては、紫外光源として低圧水銀ランプを好適に用いることができる。この低圧水銀ランプは、一定の光量の紫外光を連続的に放つことができるものであるが、連続点灯中に突然光束が揺らぎ光量が乱れる、いわゆるスネーキングと呼ばれる現象が生ずる場合がある。
このため、例えば特許文献1には、検出器の出力を基準電圧と比較して光源光量に乱れが生じているか否かを検出するようにし、光源光量に乱れが生じているときは、紫外光源を一定時間消灯し、その後、再点灯する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平5−90349
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されたような紫外線分析計の場合、分析中にスネーキング現象が発生していることを光源光量の乱れにより検知してから紫外光源を一定時間消灯し、その後、再点灯するため、測定値への影響の回避が不十分であった。また、光源光量の変化を検出するための回路が必要となり、装置構成が複雑化するという問題があった。
【0005】
そこで、本発明の解決課題は、簡易な構成で、スネーキング現象による測定値への影響を回避することができる紫外線分析計を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を達成するため、本発明は以下の構成を採用した。
測定セルに導入した試料に紫外光源からの紫外線を照射し、試料中の測定対象成分を分析する紫外線分析計において、前記紫外光源の電源を予め定めた周期でオン/オフさせることを特徴とする紫外線分析計。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、紫外光源の電源を予め定めた周期でオン/オフさせるため、紫外光源にスネーキング現象が生じることを未然に防止することができる。このため、簡単な構成で、スネーキング現象による測定値への影響を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態が適用される紫外線分析計の一例であるオゾンガス測定装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図に沿って本発明の実施形態を説明する。
図1は、本実施形態が適用される紫外線分析計の一例である大気中のオゾンガス濃度を測定するオゾンガス測定装置の概略図である。1はオゾンガス測定装置、2は試料が導入される測定セル、3は紫外光源である低圧水銀ランプ、4は測定セル2を透過した光を検出する検出器、5は光源用電源、6は光源用電源をオン/オフさせるスイッチ、7はスイッチ6を制御する制御部である。また、オゾンガス測定装置1は、図示しない演算部、入力部、出力部、表示部などを備え、制御部7は装置全体の制御部を兼ねることもできる。
【0010】
ここで説明するオゾンガス測定装置1は、紫外線吸光光度法により、大気中のオゾンガス濃度を測定するものである。オゾンガスが紫外線の254nm付近で、最大の吸収帯をもっていることを利用して、オゾンガスの吸光度を光電的に測定し、ランベルトベールの法則によってオゾンガス濃度を求めるものである。
【0011】
測定セル2には、図示しないダストフィルター等を介して試料である大気が導入されるようになっている。低圧水銀ランプ3は測定セル2に隣接して配置され、測定セル2内の試料に紫外光を照射し、その透過光量を検出器4が検出する。そして、図示しない演算部によりオゾンガス濃度に換算して出力部や表示部に出力することができるようになっている。
【0012】
低圧水銀ランプ3の電源である光源用電源5は、スイッチ6の動作によりオン/オフされるようになっており、制御部7が予め定めた周期でスイッチ6を開閉するようになっている。これにより、低圧水銀ランプ3は周期的に点灯/消灯するため、スネーキング現象の発生を未然に防止することができる。
【0013】
スイッチ6は、光源用電源5をオン/オフさせ、低圧水銀ランプ3を点灯/消灯させることができるものであればよく、例えば、各種のリレーを用いることができる。
また、スイッチ6の周期的な開閉は、タイマーにより制御することができる。スイッチ6の開閉周期は、予め、いくつかの条件(周囲温度、製造ロット、経時変化など)の下で低圧水銀ランプ3を連続点灯させ、スネーキング現象が発生するまでの時間を計測しておくことにより定めることができる。
【0014】
次に、本実施形態の動作を説明する。オゾンガス測定装置1の電源を投入し、校正等を行った後、測定セル2に試料ガスである大気を導入する。制御部7によりスイッチ6は閉とされ、光源用電源5はオンとなり、低圧水銀ランプ3が点灯する。このとき、予め定めた周期で光源用電源5をオン/オフさせることができるよう、制御部7のタイマーがスタートする。
【0015】
低圧水銀ランプ3からの紫外光は測定セル2内の試料に照射され、試料中のオゾン分子により吸収される。検出器4は測定セル2を透過してきた紫外光の光量(オゾンガスの吸光度)を検出して演算部へ送る。演算部では所定の演算処理を行い、オゾン濃度の測定値として出力部や表示部に出力する。
【0016】
制御部7のタイマーにより計測された時間が、予め定めた周期に応じた時間に到達すると、スイッチ6は開とされ、光源用電源5はオフとなり、低圧水銀ランプ3が消灯する。このとき、制御部7は、出力部や表示部にホールド信号が出力されるよう制御する。
なお、低圧水銀ランプ3の消灯時間は短くても、スネーキング現象の未然防止ができるため、演算部により、出力部や表示部へ出力される濃度測定値に影響が出ないように演算処理することもできる。
【0017】
以上のように、この実施の形態によれば、紫外光源の電源を予め定めた周期でオン/オフさせるため、紫外光源にスネーキング現象が生じることを未然に防止することができる。このため、簡単な構成で、スネーキング現象による測定値への影響を回避することができる。
【0018】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、実施の形態の任意の構成要素の変形、省略、付加が可能であり、例えば、紫外線吸収分析法や紫外線蛍光分析法などにより、試料中の測定対象成分を分析する紫外線分析計に適用することができる。
【符号の説明】
【0019】
1:オゾンガス測定装置
2:測定セル
3:低圧水銀ランプ
4:検出器
5:光源用電源
6: スイッチ
7:制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定セルに導入した試料に紫外光源からの紫外線を照射し、試料中の測定対象成分を分析する紫外線分析計において、前記紫外光源の電源を予め定めた周期でオン/オフさせることを特徴とする紫外線分析計。

【図1】
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【公開番号】特開2013−96794(P2013−96794A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−238760(P2011−238760)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000219451)東亜ディーケーケー株式会社 (204)
【Fターム(参考)】