説明

紫外線吸収フィルム

【課題】410nm以下の光を十分に遮蔽することができる紫外線吸収フィルムの提供。
【解決手段】本発明の紫外線吸収フィルムは、下記一般式(I)で表される紫外線吸収剤を含有し、410nm以下の波長の光の透過率が5%以下であることを特徴とする。バインダーをさらに含有し、前記バインダーが、ポリメタクリル酸エステル、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリル酸、及びこれらの共重合体のいずれかを含有する態様等が好ましい。
【化7】


(式中、R及びRは、水素原子及びメチル基のいずれかを表す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光からの紫外線及び蛍光灯等の照明器具から発生する紫外線をカットして写真、液晶表示ディスプレーなどの褪色を防ぐ紫外線吸収フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
人体に有害な太陽光からの紫外線、飛来昆虫を誘引する原因となる蛍光灯、白熱灯、ハロゲン電球、水銀灯等の照明器具から発生する紫外線を遮蔽する目的で紫外線吸収剤を含む窓張り用フィルムが上市されている。また、特定の機能素材の紫外線による劣化を防止するための紫外線カット機能フィルムが存在する。しかしながら、410nm付近までの波長の光をカットしようとすると、黄色味を帯びたり、フィルム表面に紫外線吸収剤が析出して脱落すること(ブリードアウト)が発生していた。
黄色味を帯びるのを改善するために、蛍光増白剤を使用した技術(例えば、特許文献1及び2)や、ブリードアウトを防止するために、反応型紫外線吸収剤を使用した技術(例えば、特許文献3及び4)が挙げられるが、410nm以下の光を十分に遮蔽する紫外線吸収フィルムは未だ存在せず、410nm以下の光を十分に遮蔽する紫外線吸収フィルムの開発が望まれていた。
【0003】
【特許文献1】特開2002−150827号公報
【特許文献2】特開2003−112391号公報
【特許文献3】特開2000−85059号公報
【特許文献4】特開2005−187662号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであり、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、410nm以下の光を十分に遮蔽することができる紫外線吸収フィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 下記一般式(I)で表される紫外線吸収剤を含有し、410nm以下の波長の光の透過率が5%以下であることを特徴とする紫外線吸収フィルムである。
【化3】

(式中、R及びRは、水素原子及びメチル基のいずれかを表す。)
<2> バインダーをさらに含有し、前記バインダーが、ポリメタクリル酸エステル、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリル酸、及びこれらの共重合体の少なくともいずれかを含有する前記<1>に記載の紫外線吸収フィルムである。
<3> 下記一般式(II)で表される高分子型紫外線吸収剤をさらに含有する前記<1>から<2>のいずれかに記載の紫外線吸収フィルムである。
【化4】

(式中、Rは水素原子及びメチル基のいずれかを表し、R及びRは、水素原子、アルキル基及びアリール基のいずれかを表し、Rはベンゾフェノン基及びベンゾトリアゾール基のいずれかを表し、l、m及びnは任意の正数を表す。)
<4> アルキル基はシクロアルキル基である前記<3>に記載の紫外線吸収フィルムである。
<5> 一般式(I)で表される紫外線吸収剤の質量とバインダーの質量との比率(紫外線吸収剤の質量/バインダーの質量)が、0.25〜0.60である前記<2>から<4>のいずれかに記載の紫外線吸収フィルムである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によると、従来における諸問題を解決でき、410nm以下の光を十分に遮蔽することができる紫外線吸収フィルムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
(紫外線吸収フィルム)
本発明の紫外線吸収フィルムは、紫外線吸収剤を含有してなり、更に必要に応じて、その他の成分を含有する。
また、前記紫外線吸収フィルムは、410nm以下の波長の光の透過率が5%以下であること以外は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ベースフィルムと、ベースフィルム上に形成された紫外線吸収層とを備えてなる。
【0008】
<紫外線吸収剤>
下記一般式(I)で表されるものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【化5】

なお、一般式(I)中、R及びRは、水素原子及びメチル基のいずれかを表す。
前記一般式(I)で表される紫外線吸収剤の具体例としては、例えば、Uvinul 3050(BASF社製)等が挙げられる。ここで、Uvinul 3050(BASF社製)の構造式は、一般式(I)において、R=R=Hの場合である。
【0009】
<その他の成分>
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、バインダー、高分子型紫外線吸収剤などが挙げられる。
【0010】
<<バインダー>>
前記バインダーとしては、例えば、ポリメタクリル酸エステル、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリル酸、及びこれらの共重合体の少なくともいずれかを含有するものが挙げられ、さらに具体的には、ダイヤナールBR−80(三菱レイヨン株式会社製)等が挙げられる。ここで、ダイヤナールBR−80(三菱レイヨン株式会社製)は、ポリメチルメタクリレートである。
また、前記紫外線吸収剤の質量と前記バインダーの質量との比率(前記紫外線吸収剤の質量/前記バインダーの質量)は、0.25〜0.60であることが好ましく、0.30〜0.60であることがより好ましく、0.40〜0.55であることが特に好ましい。
前記紫外線吸収剤の質量と前記バインダーの質量との比率(前記紫外線吸収剤の質量/前記バインダーの質量)が、0.25未満であると、コストが増大してしまい、0.60を超えると、紫外線吸収剤がブリードアウトしてしまう。
【0011】
<<<ポリメタクリル酸エステル>>>
前記ポリメタクリル酸エステルのモノマー成分としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、sec−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、アミルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、クロロベンジルメタクリレート、オクチルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、スルフォプロピルメタクリレート、N−エチル−N−フェニルアミノエチルメタクリレート、2−(3−フェニルプロピルオキシ)エチルメタクリレート、ジメチルアミノフェノキシエチルメタクリレート、フルフリルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、フェニルメタクリレート、クレジルメタクリレート、ナフチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、トリエチレングリコールモノメタクリレート、ジプロピレングリコールモノメタクリレート、2−メトキシエチルメタクリレート、3−メトキシブチルメタクリレート、2−アセトキシエチルメタクリレート、2−アセトアセトキシエチルメタクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート、2−iso−プロポキシエチルメタクリレート、2−ブトキシエチルメタクリレート、2−(2−メトキシエトキシ)エチルメタクリレート、2−(2−エトキシエトキシ)エチルメタクリレート、2−(2−ブトキシエトキシ)エチルメタクリレート、ω−メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(付加モル数n=6)、アクリルメタクリレート、メタクリル酸ジメチルアミノエチルメチルクロライド塩などを挙げることができる。
【0012】
<<<ポリアクリル酸エステル>>>
前記ポリアクリル酸エステルのモノマー成分としては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、sec−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、アミルアクリレート、ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、tert−オクチルアクリレート、2−クロロエチルアクリレート、2−ブロモエチルアクリレート、4−クロロブチルアクリレート、シアノエチルアクリレート、2−アセトキシエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ベンジルアクリレート、メトキシベンジルアクリレート、2−クロロシクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、フルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、フェニルアクリレート、5−ヒドロキシペンチルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、3−メトキシブチルアクリレート、2−エトキシブチルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、2−iso−プロポキシアクリレート、2−ブトキシエチルアクリレート、2−(2−メトキシエトキシ)エチルアクリレート、2−(2−メトキシエトキシ)エチルアクリレート、2−(2−ブトキシエトキシ)エチルアクリレート、ω―メトキシポリエチレングリコールアクリレート(付加モル数n=9)、1−ブロモー2−メトキシエチルアクリレート、1,1−ジクロロー2−エトキシエチルアクリレート、などが挙げられる。
【0013】
<<高分子型紫外線吸収剤>>
前記高分子型紫外線吸収剤としては、下記一般式(II)で表されるものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【化6】

なお、一般式(II)中、Rは水素原子及びメチル基のいずれかを表し、R及びRは、水素原子、アルキル基及びアリール基のいずれかを表し、Rはベンゾフェノン基及びベンゾトリアゾール基のいずれかを表し、l、m及びnは任意の正数を表す。
前記高分子型紫外線吸収剤の具体例としては、例えば、Uva935TF(BASF社製)等が挙げられる。
【0014】
<<<アルキル基>>>
前記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1−エチルプロピル基、1,1−ジメチルプロピル基、1,2−ジメチルプロピル基、2,2−ジメチルプロピル基、ヘキシル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、1,1−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基等の直鎖状、分枝鎖状もしくは環状のアルキル基等が挙げられる。
【0015】
<<<アリール基>>>
前記アリール基としては、例えばフェニル基、トリル基、キシリル基、エチルフェニル基、ベンジル基、フェネチル基などを挙げることができる。
【0016】
<透過率>
前記透過率は、紫外線吸収フィルムの吸収スペクトルを島津製作所製紫外可視分光光度計にて測定した。
【0017】
<ベースフィルム>
ベースフィルムとしては、公知の透明なフィルムを使用することができる。その具体例としては、PET(ポリエチレンテレフタレート)、TAC(トリアセチルセルロース)、ポリアリレート、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、セロファン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール等の各種樹脂フィルム等を好適に使用することができる。ベースフィルムの厚さは、25〜200μm程度が好ましい。
【0018】
<紫外線吸収層>
紫外線吸収層は、例えば、前記紫外線吸収剤と、前記バインダーと、前記高分子型紫外線吸収剤とを含有する。この紫外線吸収層は、前記紫外線吸収剤と、前記バインダーと、前記高分子型紫外線吸収剤とを混合し、さらにこれらを適当な溶媒に溶解させて紫外線吸収層用塗料とし、この紫外線吸収層用塗料をベースフィルムの表面に塗工した後、乾燥させて形成される。紫外線吸収層用塗料をベースフィルムの表面に塗工する方法としては、メイヤバーコーティング法、ブレードコーティング法、グラビアコーティング法、ディップコーティング法、ダイコーティング法、スロットコーティング法等が挙げられる。塗布膜の厚さは40μm程度が好ましい。
【実施例】
【0019】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
【0020】
ここで、透過率は、フィルムの吸収スペクトルを、同じベースフィルムをリファレンスとして島津製作所製紫外可視分光光度計にて測定した。
【0021】
(実施例1)
下記組成の混合液をPETフィルム(富士フイルム(株)製、商品名:フジペット、膜厚188μm、可視光透過率90%)上に、バーコーターを用いて塗工し、120℃で7分間の乾燥条件下で乾燥させ、膜厚40μmの紫外線吸収層を形成し、紫外線吸収フィルムを作製した。なお、実施例1においては、紫外線吸収剤の質量/バインダーの質量=Uvinul 3050(BASF製)の質量/ダイヤナールBR−80(三菱レイヨン製)の質量=20/40=0.5であった。
【0022】
メチルエチルケトン 80質量部
メトキシプロピルアセテート 20質量部
ダイヤナールBR−80(三菱レイヨン製) 40質量部
Uvinul 3050(BASF製) 20質量部
Uva935TF(BASF製) 2質量部
合計 162質量部
【0023】
実施例1で得られたフィルムの吸収スぺクトルを測定した。結果を図1に示す。図1において、410nmの波長の光の透過率が4.0%であった。以上より、410nm以下の光を十分に遮蔽する(410nm以下の波長の光の透過率を5%以下にする)ことができることが判った。また、紫外線吸収剤のブリードアウトは観察されなかった(表1における◎)。
【0024】
(実施例2)
ダイヤナールBR−80(三菱レイヨン製)の添加量40質量部を48質量部に変え、Uvinul 3050(BASF製)の添加量20質量部を12質量部に変えて、紫外線吸収剤の質量/バインダーの質量=Uvinul 3050(BASF製)の質量/ダイヤナールBR−80(三菱レイヨン製)の質量=12/48=0.25にし、膜厚を40μmから67μmに変えた以外は、実施例1と同様にして、紫外線吸収フィルムを作製し、得られたフィルムの吸収スぺクトルを測定した。なお、実施例1の紫外線吸収フィルムにおける紫外線吸収剤の塗布量と実施例2の紫外線吸収フィルムにおける紫外線吸収剤の塗布量は同一であった。
【0025】
実施例2で得られたフィルムの吸収スぺクトルを測定した結果、410nmの波長の光の透過率が4.0%であった。以上より、410nm以下の光を十分に遮蔽する(410nm以下の波長の光の透過率を5%以下にする)ことができることが判った。また、紫外線吸収剤のブリードアウトは観察されなかった(表1における◎)。
【0026】
(実施例3)
ダイヤナールBR−80(三菱レイヨン製)の添加量40質量部を46.2質量部に変え、Uvinul 3050(BASF製)の添加量20質量部を13.8質量部に変えて、紫外線吸収剤の質量/バインダーの質量=Uvinul 3050(BASF製)の質量/ダイヤナールBR−80(三菱レイヨン製)の質量=13.8/46.2=0.3にし、膜厚を40μmから58μmに変えた以外は、実施例1と同様にして、紫外線吸収フィルムを作製し、得られたフィルムの吸収スぺクトルを測定した。なお、実施例1の紫外線吸収フィルムにおける紫外線吸収剤の塗布量と実施例3の紫外線吸収フィルムにおける紫外線吸収剤の塗布量は同一であった。
【0027】
実施例3で得られたフィルムの吸収スぺクトルを測定した結果、410nmの波長の光の透過率が3.8%であった。以上より、410nm以下の光を十分に遮蔽する(410nm以下の波長の光の透過率を5%以下にする)ことができることが判った。また、紫外線吸収剤のブリードアウトは観察されなかった(表1における◎)。
【0028】
(実施例4)
ダイヤナールBR−80(三菱レイヨン製)の添加量40質量部を42.9質量部に変え、Uvinul 3050(BASF製)の添加量20質量部を17.1質量部に変えて、紫外線吸収剤の質量/バインダーの質量=Uvinul 3050(BASF製)の質量/ダイヤナールBR−80(三菱レイヨン製)の質量=17.1/42.9=0.4にし、膜厚を40μmから47μmに変えた以外は、実施例1と同様にして、紫外線吸収フィルムを作製し、得られたフィルムの吸収スぺクトルを測定した。なお、実施例1の紫外線吸収フィルムにおける紫外線吸収剤の塗布量と実施例4の紫外線吸収フィルムにおける紫外線吸収剤の塗布量は同一であった。
【0029】
実施例4で得られたフィルムの吸収スぺクトルを測定した結果、410nmの波長の光の透過率が3.9%であった。以上より、410nm以下の光を十分に遮蔽する(410nm以下の波長の光の透過率を5%以下にする)ことができることが判った。また、紫外線吸収剤のブリードアウトは観察されなかった(表1における◎)。
【0030】
(実施例5)
ダイヤナールBR−80(三菱レイヨン製)の添加量40質量部を38.7質量部に変え、Uvinul 3050(BASF製)の添加量20質量部を21.3質量部に変えて、紫外線吸収剤の質量/バインダーの質量=Uvinul 3050(BASF製)の質量/ダイヤナールBR−80(三菱レイヨン製)の質量=21.3/38.7=0.55にし、膜厚を40μmから38μmに変えた以外は、実施例1と同様にして、紫外線吸収フィルムを作製し、得られたフィルムの吸収スぺクトルを測定した。なお、実施例1の紫外線吸収フィルムにおける紫外線吸収剤の塗布量と実施例5の紫外線吸収フィルムにおける紫外線吸収剤の塗布量は同一であった。
【0031】
実施例5で得られたフィルムの吸収スぺクトルを測定した結果、410nmの波長の光の透過率が3.9%であった。以上より、410nm以下の光を十分に遮蔽する(410nm以下の波長の光の透過率を5%以下にする)ことができることが判った。また、紫外線吸収剤のブリードアウトは観察されなかった(表1における◎)。
【0032】
(実施例6)
ダイヤナールBR−80(三菱レイヨン製)の添加量40質量部を37.5質量部に変え、Uvinul 3050(BASF製)の添加量20質量部を22.5質量部に変えて、紫外線吸収剤の質量/バインダーの質量=Uvinul 3050(BASF製)の質量/ダイヤナールBR−80(三菱レイヨン製)の質量=22.5/37.5=0.6にし、膜厚を40μmから36μmに変えた以外は、実施例1と同様にして、紫外線吸収フィルムを作製し、得られたフィルムの吸収スぺクトルを測定した。なお、実施例1の紫外線吸収フィルムにおける紫外線吸収剤の塗布量と実施例6の紫外線吸収フィルムにおける紫外線吸収剤の塗布量は同一であった。
【0033】
実施例6で得られたフィルムの吸収スぺクトルを測定した結果、410nmの波長の光の透過率が3.9%であった。以上より、410nm以下の光を十分に遮蔽する(410nm以下の波長の光の透過率を5%以下にする)ことができることが判った。また、紫外線吸収剤のブリードアウトが観察されたが、実用上問題ないレベルであった(表1における〇)。
【0034】
(実施例7)
ダイヤナールBR−80(三菱レイヨン製)の添加量40質量部を34.3質量部に変え、Uvinul 3050(BASF製)の添加量20質量部を25.7質量部に変えて、紫外線吸収剤の質量/バインダーの質量=Uvinul 3050(BASF製)の質量/ダイヤナールBR−80(三菱レイヨン製)の質量=25.7/34.3=0.75にし、膜厚を40μmから31μmに変えた以外は、実施例1と同様にして、紫外線吸収フィルムを作製し、得られたフィルムの吸収スぺクトルを測定した。なお、実施例1の紫外線吸収フィルムにおける紫外線吸収剤の塗布量と実施例7の紫外線吸収フィルムにおける紫外線吸収剤の塗布量は同一であった。
【0035】
実施例7で得られたフィルムの吸収スぺクトルを測定した結果、410nmの波長の光の透過率が3.8%であった。以上より、410nm以下の光を十分に遮蔽する(410nm以下の波長の光の透過率を5%以下にする)ことができることが判った。また、紫外線吸収剤のブリードアウトが観察された(表1における△)。
【0036】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】図1は、実施例1で作製された紫外線吸収フィルムの分光透過率を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(I)で表される紫外線吸収剤を含有し、410nm以下の波長の光の透過率が5%以下であることを特徴とする紫外線吸収フィルム。
【化1】

(式中、R及びRは、水素原子及びメチル基のいずれかを表す。)
【請求項2】
バインダーをさらに含有し、前記バインダーが、ポリメタクリル酸エステル、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリル酸、及びこれらの共重合体の少なくともいずれかを含有する請求項1に記載の紫外線吸収フィルム。
【請求項3】
下記一般式(II)で表される高分子型紫外線吸収剤をさらに含有する請求項1から2のいずれかに記載の紫外線吸収フィルム。
【化2】

(式中、Rは水素原子及びメチル基のいずれかを表し、R及びRは、水素原子、アルキル基及びアリール基のいずれかを表し、Rはベンゾフェノン基及びベンゾトリアゾール基のいずれかを表し、l、m及びnは任意の正数を表す。)
【請求項4】
アルキル基はシクロアルキル基である請求項3に記載の紫外線吸収フィルム。
【請求項5】
一般式(I)で表される紫外線吸収剤の質量とバインダーの質量との比率(紫外線吸収剤の質量/バインダーの質量)が、0.25〜0.60である請求項2から4のいずれかに記載の紫外線吸収フィルム。

【図1】
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【公開番号】特開2009−263474(P2009−263474A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−113605(P2008−113605)
【出願日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】