説明

紫外線吸収剤組成物

【課題】使用時の紫外線吸収剤の析出や長期使用によるブリードアウトの生じることがなく、長波紫外線吸収能に優れ、かつこの吸収能を長期間維持して耐光性に優れる紫外線吸収剤組成物の提供。
【解決手段】下記一般式(1)で表される化合物と特定の構造を有する化合物の少なくとも1種とを含むことを特徴とする紫外線吸収剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線吸収剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から紫外線吸収剤を種々の樹脂などと共用して紫外線吸収性を付与することが行われている。紫外線吸収剤として無機系紫外線吸収剤と有機系紫外線吸収剤を用いる場合がある。無機系紫外線吸収剤(例えば、特許文献1〜3等を参照)では、耐候性や耐熱性などの耐久性に優れている反面、吸収波長が化合物のバンドギャップによって決定されるため選択の自由度が少なく、400nm付近の長波紫外線(UV−A)領域まで吸収できるものはなく、長波紫外線を吸収するものは可視域まで吸収を有するため着色を伴ってしまう。
これに対して、有機紫外線吸収剤は、吸収剤の構造設計の自由度が高いために、吸収剤の構造を工夫することによって様々な吸収波長のものを得ることができる。
【0003】
これまでにも様々な有機系紫外線吸収剤を用いた系が検討されており、特許文献4にはトリアジン系の紫外線吸収剤が開示されている。特許文献5には特定の位置にアルコキシ基及びヒドロキシ基を有するトリスアリール−s−トリアジンが記載されている。
また、特許文献6〜10には紫外線吸収剤と酸化防止剤とを含有する組成物、及び2種の紫外線吸収剤を含有する組成物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−339033号公報
【特許文献2】特開平5−345639号公報
【特許文献3】特開平6−56466号公報
【特許文献4】特表2002−524452号公報
【特許文献5】特許第3965631号公報
【特許文献6】特表2006−501339号公報
【特許文献7】特表2009−525370号公報
【特許文献8】特表2008−115281号公報
【特許文献9】特開2007−70578号公報
【特許文献10】特表2004−532306号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、極大吸収波長(λmax)が長波紫外線領域にあるものは耐光性が悪く、紫外線遮蔽効果が時間とともに減少していってしまう。
更に近年開発の進む太陽電池等に適用される材料は、屋外で長時間太陽光の下に曝すことが必要であり、長期経時での紫外線の暴露により、その性能が劣化することは避けられなかった。このため、UV−A領域まで遮蔽効果を示し、かつこれまで以上の耐光性に優れた紫外線吸収剤として使用し得る化合物が求められている。
本発明の目的は、上記の問題点を解決するものであり、使用時の紫外線吸収剤の析出や長期使用によるブリードアウトが生じにくく、長波紫外線吸収能に優れ、かつ吸収能を長期間維持することができ、耐光性に優れる紫外線吸収剤組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、後述する一般式(1)で表される紫外線吸収剤が、長波紫外線吸収能に優れ、しかも該紫外線吸収剤を樹脂等に混ぜて組成物として用いた場合には該紫外線吸収剤の析出や長期使用によるブリードアウトが生じにくくいことを見出した。本発明者らは、更に優れた耐光性を得るために紫外線吸収剤について更に詳細に検討を重ねた結果、一般式(1)で表される紫外線吸収剤単独で用いた場合よりも一般式(TS−I)〜(TS−V)のいずれかで表される特定の化合物と組み合わせて用いることによって、その性能が更に長期にわたって持続し得ることを見出した。一般式(1)で表される紫外線吸収剤は、他の添加剤の添加によりブリードアウトなどにより性能の低下が懸念されるものであり、他の添加剤との併用は望ましいとは考えられなかった。また、この特定の化合物との併用に関しても、ブリードアウトなどにより性能の低下が懸念されることから、特に好適であることは当業者が容易に想起するものでない。
本発明は、このような知見に基づきなされるに至ったものである。
【0007】
前記課題は、以下の手段によって解決された。
【0008】
[1]
下記一般式(1)で表される化合物と、下記一般式(TS−I)〜(TS−V)のいずれかで表される化合物のうち少なくとも1種とを含む紫外線吸収剤組成物。
【0009】
【化1】

【0010】
[R1a、R1b、R1c、R1d及びR1eは、互いに独立して、水素原子又はヒドロキシ基を除く1価の置換基を表し、置換基のうち少なくとも1つは、ハメット則のσp値が正である置換基を表す。また置換基同士で結合して環を形成しても良い。R1g、R1h、R1i、R1j、R1k、R1m、R1n及びR1pは、互いに独立して、水素原子又は1価の置換基を表す。また置換基同士で結合して環を形成しても良い。]
【0011】
【化2】

【0012】
〔一般式(TS−I)中、R91は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルキルカルボニル基、アルケニルカルボニル基、アルキルオキシカルボニル基、アルケニルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ホスフィノトリル基、ホスフィニル基、又は−Si(R97)(R98)(R99)を表す。ここで、R97、R98、及びR99は互いに同一でも異なってもよく、それぞれ独立にアルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、又はアリールオキシ基を表す。X91は−O−、−S−又は−N(−R100)−を表す。ここで、R100はR91と同義である。R92、R93、R94、R95、及びR96は互いに同一でも異なってもよく、それぞれ独立に水素原子又は置換基を表す。R91とR92、R100とR96、R91とR100は互いに結合して5〜7員環を形成していてもよい。更に、R92とR93、R93とR94が互いに結合して、5〜7員環又はスピロ環、ビシクロ環を形成してもよい。但し、R91、R92、R93、R94、R95、R96、及びR100のすべてが水素原子であることはなく、R91、R92、R93、R94、R95、R96、及びR100を含め、(TS−I)の総炭素数は9以上である。
一般式(TS−II)中、R101、R102、R103、及びR104は各々独立に、水素原子、アルキル基、又はアルケニル基を表し、R101とR102、R103とR104は結合し、5〜7員環を形成してもよい。X101は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキルオキシ基、アルケニルオキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アルケニルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基、アルキルオキシカルボニルオキシ基、アルケニルオキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アルキルスルホニル基、アルケニルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキル若しくはアルケニルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、スルファモイル基、カルバモイル基、ヒドロキシ基、又はオキシラジカル基を表す。X102は5〜7員環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。
一般式(TS−III)中、R105及びR106は各々独立に、水素原子、脂肪族基、アシル基、脂肪族オキシカルボニル基、芳香族オキシカルボニル基、脂肪族スルホニル基、又は芳香族スルホニル基を表し、R107は脂肪族基、脂肪族オキシ基、芳香族オキシ基、脂肪族チオ基、芳香族チオ基、アシルオキシ基、脂肪族オキシカルボニルオキシ基、芳香族オキシカルボニルオキシ基、置換アミノ基、複素環基、又はヒドロキシ基を表し、R105とR106、R106とR107、R105とR107は互いに結合し、5〜7員環を形成してもよいが、2,2,6,6−テトラアルキルピペリジン骨格を形成する場合を除く。但し、R105及びR106の両方が水素原子であることはなく、R105とR106の総炭素数は7以上である。
一般式(TS−IV)中、R111及びR112は各々独立に脂肪族基を表し、該脂肪族基は更に置換基を有してもよい。R111とR112は互いに結合し、5〜7員環を形成してもよい。nは0、1、又は2を表す。但し、R111とR112の総炭素数は10以上である。
一般式(TS−V)中、R121及びR122は各々独立に脂肪族オキシ基、又は芳香族オキシ基を表し、R123は脂肪族基、芳香族基、脂肪族オキシ基、又は芳香族オキシ基を表し、mは0又は1を表す。R121とR122、R121とR123は互いに結合し、5〜8員環を形成してもよい。但し、R121、R122、R123の総炭素数は10以上である。]
[2]
前記一般式(1)における1価の置換基が、ハロゲン原子、置換又は無置換の炭素数1〜20のアルキル基、シアノ基、カルボキシル基、置換又は無置換のアルコキシカルボニル基、置換又は無置換のカルバモイル基、置換又は無置換のアルキルカルボニル基、ニトロ基、置換又は無置換のアミノ基、ヒドロキシ基、炭素数1〜20のアルコキシ基、置換又は無置換のアリールオキシ基、置換又は無置換のスルファモイル基、チオシアネート基、又は置換又は無置換のアルキルスルホニル基であり、置換基を有する場合の置換基がハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、シアノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルカルボニル基、ニトロ基、アミノ基、ヒドロキシ基、炭素数1〜20のアルコキシ基、アリールオキシ基、スルファモイル基、チオシアネート基、又はアルキルスルホニル基である、上記[1]に記載の紫外線吸収剤組成物。
[3]
前記一般式(1)におけるR1cが、ハメット則のσp値が正である置換基である、上記[1]又は[2]に記載の紫外線吸収剤組成物。
[4]
前記一般式(1)におけるR1a、R1c及びR1eが水素原子を表し、R1b及びR1dが互いに独立して水素原子又はハメット則のσp値が正である置換基を表し、R1b及びR1dのうち少なくとも1つは、ハメット則のσp値が正である置換基である、上記[1]又は[2]に記載の紫外線吸収剤組成物。
[5]
前記ハメット則のσp値が、0.1〜1.2の範囲である、上記[1]〜[4]のいずれか1項に記載の紫外線吸収剤組成物。
[6]
前記ハメット則のσp値が正である置換基が、COOR、CONR、シアノ基、トリフルオロメチル基、ハロゲン原子、ニトロ基及びSOM[R及びRは各々独立に、水素原子又は1価の置換基を表す。Mは水素原子又はアルカリ金属を表す。]より選択される基である、上記[1]〜[5]のいずれか1項に記載の紫外線吸収剤組成物。
[7]
前記ハメット則のσp値が正である置換基がCOOR[Rは、水素原子又は1価の置換基を表す。]である、上記[1]〜[4]、又は[6]のいずれか1項に記載の紫外線吸収剤組成物。
[8]
前記一般式(1)におけるR1cがシアノ基である、上記[1]〜[3]、[5]〜[7]のいずれか1項に記載の紫外線吸収剤組成物。
[9]
前記一般式(1)におけるR1h又はR1nが水素原子である、上記[1]〜[8]のいずれか1項に記載の紫外線吸収剤組成物。
[10]
前記一般式(1)におけるR1g、R1h、R1i、R1j、R1k、R1m、R1n及びR1pが水素原子である、上記[1]〜[9]のいずれか1項に記載の紫外線吸収剤組成物。
[11]
一般式(1)で表される化合物のpKaが−5.0〜−7.0の範囲である、上記[1]〜[10]のいずれか1項に記載の紫外線吸収剤組成物。
[12]
一般式(1)で表される化合物の含有量が、紫外線吸収剤組成物の全質量に対して、0質量%より大きく30質量%以下である、上記[1]〜[11]のいずれか1項に記載の紫外線吸収剤組成物。
[13]
一般式(TS−I)〜(TS−V)のいずれかで表される化合物の総含有量が、紫外線吸収剤組成物の全質量に対して、0質量%より大きく30質量%以下である、上記[1]〜[12]のいずれか1項に記載の紫外線吸収剤組成物。
[14]
上記[1]〜[13]のいずれか1項に記載の紫外線吸収剤組成物と、樹脂とを含有する樹脂組成物。
[15]
上記[1]〜[13]のいずれか1項に記載の紫外線吸収剤組成物と、バインダー成分とを含有する塗料。
[16]
上記[15]に記載の塗料を硬化してなる膜。
[17]
基材上に、上記[15]に記載の塗料を硬化してなる膜を有する、紫外線吸収部材。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、使用時の紫外線吸収剤の析出や長期使用によるブリードアウトが生じにくく、長波紫外線吸収能に優れ、かつ吸収能を長期間維持することができ、耐光性に優れる紫外線吸収剤組成物を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の紫外線吸収剤組成物は、下記一般式(1)で表される化合物と、下記一般式(TS−I)〜(TS−V)のいずれかで表される化合物のうち少なくとも1種とを含む。
【0015】
【化3】

【0016】
[R1a、R1b、R1c、R1d及びR1eは、互いに独立して、水素原子又はヒドロキシ基を除く1価の置換基を表し、置換基のうち少なくとも1つは、ハメット則のσp値が正である置換基を表す。また置換基同士で結合して環を形成しても良い。R1g、R1h、R1i、R1j、R1k、R1m、R1n及びR1pは、互いに独立して、水素原子又は1価の置換基を表す。また置換基同士で結合して環を形成しても良い。]
【0017】
【化4】

【0018】
〔一般式(TS−I)中、R91は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルキルカルボニル基、アルケニルカルボニル基、アルキルオキシカルボニル基、アルケニルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ホスフィノトリル基、ホスフィニル基、又は−Si(R97)(R98)(R99)を表す。ここで、R97、R98、及びR99は互いに同一でも異なってもよく、それぞれ独立にアルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、又はアリールオキシ基を表す。X91は−O−、−S−又は−N(−R100)−を表す。ここで、R100はR91と同義である。R92、R93、R94、R95、及びR96は互いに同一でも異なってもよく、それぞれ独立に水素原子又は置換基を表す。R91とR92、R100とR96、R91とR100は互いに結合して5〜7員環を形成していてもよい。更に、R92とR93、R93とR94が互いに結合して、5〜7員環又はスピロ環、ビシクロ環を形成してもよい。但し、R91、R92、R93、R94、R95、R96、及びR100のすべてが水素原子であることはなく、R91、R92、R93、R94、R95、R96、及びR100を含め、(TS−I)の総炭素数は9以上である。
一般式(TS−II)中、R101、R102、R103、及びR104は各々独立に、水素原子、アルキル基、又はアルケニル基を表し、R101とR102、R103とR104は結合し、5〜7員環を形成してもよい。X101は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキルオキシ基、アルケニルオキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アルケニルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基、アルキルオキシカルボニルオキシ基、アルケニルオキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アルキルスルホニル基、アルケニルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキル若しくはアルケニルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、スルファモイル基、カルバモイル基、ヒドロキシ基、又はオキシラジカル基を表す。X102は5〜7員環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。
一般式(TS−III)中、R105及びR106は各々独立に、水素原子、脂肪族基、アシル基、脂肪族オキシカルボニル基、芳香族オキシカルボニル基、脂肪族スルホニル基、又は芳香族スルホニル基を表し、R107は脂肪族基、脂肪族オキシ基、芳香族オキシ基、脂肪族チオ基、芳香族チオ基、アシルオキシ基、脂肪族オキシカルボニルオキシ基、芳香族オキシカルボニルオキシ基、置換アミノ基、複素環基、又はヒドロキシ基を表し、R105とR106、R106とR107、R105とR107は互いに結合し、5〜7員環を形成してもよいが、2,2,6,6−テトラアルキルピペリジン骨格を形成する場合を除く。但し、R105及びR106の両方が水素原子であることはなく、R105とR106の総炭素数は7以上である。
一般式(TS−IV)中、R111及びR112は各々独立に脂肪族基を表し、該脂肪族基は更に置換基を有してもよい。R111とR112は互いに結合し、5〜7員環を形成してもよい。nは0、1、又は2を表す。但し、R111とR112の総炭素数は10以上である。
一般式(TS−V)中、R121及びR122は各々独立に脂肪族オキシ基、又は芳香族オキシ基を表し、R123は脂肪族基、芳香族基、脂肪族オキシ基、又は芳香族オキシ基を表し、mは0又は1を表す。R121とR122、R121とR123は互いに結合し、5〜8員環を形成してもよい。但し、R121、R122、R123の総炭素数は10以上である。]
【0019】
以下、本発明について詳細に説明する。
まず、本明細書において脂肪族基は、アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基、置換アルキニル基、アラルキル基及び置換アラルキル基を意味する。アルキル基は分岐を有していてもよく、また環を形成していてもよい。アルキル基の炭素原子数は1〜20であることが好ましく、1〜18であることが更に好ましい。置換アルキル基のアルキル部分は、上記アルキル基と同様である。アルケニル基は分岐を有していてもよく、また環を形成していてもよい。アルケニル基の炭素原子数は2〜20であることが好ましく、2〜18であることが更に好ましい。置換アルケニル基のアルケニル部分は、上記アルケニル基と同様である。アルキニル基は分岐を有していてもよく、また環を形成していてもよい。アルキニル基の炭素原子数は2〜20であることが好ましく、2〜18であることが更に好ましい。置換アルキニル基のアルキニル部分は、上記アルキニル基と同様である。アラルキル基及び置換アラルキル基のアルキル部分は、上記アルキル基と同様である。アラルキル基及び置換アラルキル基のアリール部分は下記アリール基と同様である。
【0020】
置換アルキル基、置換アルケニル基、置換アルキニル基及び置換アラルキル基のアルキル部分の置換基の例としては、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキル基[直鎖、分岐、環状の置換若しくは無置換のアルキル基を表す。それらは、アルキル基(好ましくは炭素数1〜30のアルキル基、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチル、n−オクチル、エイコシル、2−クロロエチル、2−シアノエチル、2−エチルヘキシル)、シクロアルキル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換又は無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル、シクロペンチル、4−n−ドデシルシクロヘキシル)、ビシクロアルキル基(好ましくは、炭素数5〜30の置換若しくは無置換のビシクロアルキル基、つまり、炭素数5〜30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル)、更に環構造が多いトリシクロ構造なども包含するものである。以下に説明する置換基の中のアルキル基(例えばアルキルチオ基のアルキル基)もこのような概念のアルキル基を表す。]、
【0021】
アルケニル基[直鎖、分岐、環状の置換若しくは無置換のアルケニル基を表す。それらは、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜30の置換又は無置換のアルケニル基、例えば、ビニル、アリル、プレニル、ゲラニル、オレイル)、シクロアルケニル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換若しくは無置換のシクロアルケニル基、つまり、炭素数3〜30のシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル)、ビシクロアルケニル基(置換若しくは無置換のビシクロアルケニル基、好ましくは、炭素数5〜30の置換若しくは無置換のビシクロアルケニル基、つまり二重結合を一個持つビシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イル、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−イル)を包含するものである。]、アルキニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換のアルキニル基、例えば、エチニル、プロパルギル、トリメチルシリルエチニル基)、
【0022】
アリール基(好ましくは炭素数6〜30の置換若しくは無置換のアリール基、例えばフェニル、p−トリル、ナフチル、m−クロロフェニル、o−ヘキサデカノイルアミノフェニル)、ヘテロ環基(好ましくは5又は6員の置換若しくは無置換の、芳香族若しくは非芳香族のヘテロ環化合物から一個の水素原子を取り除いた一価の基であり、更に好ましくは、炭素数3〜30の5若しくは6員の芳香族のヘテロ環基である。例えば、2−フリル、2−チエニル、2−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリル)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換若しくは無置換のアルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、t−ブトキシ、n−オクチルオキシ、2−メトキシエトキシ)、アリールオキシ基(好ましくは、炭素数6〜30の置換若しくは無置換のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ、2−メチルフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ、3−ニトロフェノキシ、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ)、シリルオキシ基(好ましくは、炭素数3〜20のシリルオキシ基、例えば、トリメチルシリルオキシ、t−ブチルジメチルシリルオキシ)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換若しくは無置換のヘテロ環オキシ基、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオキシ)、
【0023】
アシルオキシ基(好ましくはホルミルオキシ基、炭素数2〜30の置換若しくは無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数6〜30の置換若しくは無置換のアリールカルボニルオキシ基、例えば、ホルミルオキシ、アセチルオキシ、ピバロイルオキシ、ステアロイルオキシ、ベンゾイルオキシ、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ)、カルバモイルオキシ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換若しくは無置換のカルバモイルオキシ基、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ、モルホリノカルボニルオキシ、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ、N−n−オクチルカルバモイルオキシ)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換若しくは無置換アルコキシカルボニルオキシ基、例えばメトキシカルボニルオキシ、エトキシカルボニルオキシ、t−ブトキシカルボニルオキシ、n−オクチルカルボニルオキシ)、アリールオキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数7〜30の置換若しくは無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基、例えば、フェノキシカルボニルオキシ、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ)、アミノ基(好ましくは、アミノ基、炭素数1〜30の置換若しくは無置換のアルキルアミノ基、炭素数6〜30の置換若しくは無置換のアニリノ基、例えば、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、アニリノ、N−メチル−アニリノ、ジフェニルアミノ)、
【0024】
アシルアミノ基(好ましくは、ホルミルアミノ基、炭素数1〜30の置換若しくは無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数6〜30の置換若しくは無置換のアリールカルボニルアミノ基、例えば、ホルミルアミノ、アセチルアミノ、ピバロイルアミノ、ラウロイルアミノ、ベンゾイルアミノ、3,4,5−トリ−n−オクチルオキシフェニルカルボニルアミノ)、アミノカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換若しくは無置換のアミノカルボニルアミノ、例えば、カルバモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ、モルホリノカルボニルアミノ)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30の置換若しくは無置換アルコキシカルボニルアミノ基、例えば、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、t−ブトキシカルボニルアミノ、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ、N−メチル−メトキシカルボニルアミノ)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数7〜30の置換若しくは無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基、例えば、フェノキシカルボニルアミノ、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ、m−n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノ)、
【0025】
スルファモイルアミノ基(好ましくは、炭素数0〜30の置換若しくは無置換のスルファモイルアミノ基、例えば、スルファモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ)、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30の置換若しくは無置換のアルキルスルホニルアミノ、炭素数6〜30の置換若しくは無置換のアリールスルホニルアミノ、例えば、メチルスルホニルアミノ、ブチルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ、p−メチルフェニルスルホニルアミノ)、メルカプト基、アルキルチオ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換若しくは無置換のアルキルチオ基、例えばメチルチオ、エチルチオ、n−ヘキサデシルチオ)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜30の置換若しくは無置換のアリールチオ、例えば、フェニルチオ、p−クロロフェニルチオ、m−メトキシフェニルチオ)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数2〜30の置換又は無置換のヘテロ環チオ基、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオ)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜30の置換若しくは無置換のスルファモイル基、例えば、N−エチルスルファモイル、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル、N−アセチルスルファモイル、N−ベンゾイルスルファモイル、N−(N‘−フェニルカルバモイル)スルファモイル)、
【0026】
スルホ基、アルキル及びアリールスルフィニル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換又は無置換のアルキルスルフィニル基、6〜30の置換又は無置換のアリールスルフィニル基、例えば、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、フェニルスルフィニル、p−メチルフェニルスルフィニル)、アルキル及びアリールスルホニル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換又は無置換のアルキルスルホニル基、6〜30の置換又は無置換のアリールスルホニル基、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、フェニルスルホニル、p−メチルフェニルスルホニル)、アシル基(好ましくはホルミル基、炭素数2〜30の置換又は無置換のアルキルカルボニル基、、炭素数7〜30の置換若しくは無置換のアリールカルボニル基、炭素数4〜30の置換若しくは無置換の炭素原子でカルボニル基と結合しているヘテロ環カルボニル基、例えば、アセチル、ピバロイル、2−クロロアセチル、ステアロイル、ベンゾイル、p−n−オクチルオキシフェニルカルボニル、2−ピリジルカルボニル、2−フリルカルボニル)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは、炭素数7〜30の置換若しくは無置換のアリールオキシカルボニル基、例えば、フェノキシカルボニル、o−クロロフェノキシカルボニル、m−ニトロフェノキシカルボニル、p−t−ブチルフェノキシカルボニル)、アルコキシカルボニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換若しくは無置換アルコキシカルボニル基、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、n−オクタデシルオキシカルボニル)、カルバモイル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換若しくは無置換のカルバモイル、例えば、カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル、N−(メチルスルホニル)カルバモイル)、
【0027】
アリール及びヘテロ環アゾ基(好ましくは炭素数6〜30の置換若しくは無置換のアリールアゾ基、炭素数3〜30の置換若しくは無置換のヘテロ環アゾ基、例えば、フェニルアゾ、p−クロロフェニルアゾ、5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルアゾ)、イミド基(好ましくは、N−スクシンイミド、N−フタルイミド)、ホスフィノ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換若しくは無置換のホスフィノ基、例えば、ジメチルホスフィノ、ジフェニルホスフィノ、メチルフェノキシホスフィノ)、ホスフィニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換若しくは無置換のホスフィニル基、例えば、ホスフィニル、ジオクチルオキシホスフィニル、ジエトキシホスフィニル)、ホスフィニルオキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換若しくは無置換のホスフィニルオキシ基、例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ、ジオクチルオキシホスフィニルオキシ)、ホスフィニルアミノ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換若しくは無置換のホスフィニルアミノ基、例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ、ジメチルアミノホスフィニルアミノ)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換若しくは無置換のシリル基、例えば、トリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、フェニルジメチルシリル)が挙げられる。
【0028】
上記の官能基の中で、水素原子を有するものは、これを取り去り更に上記の基で置換されていても良い。そのような官能基の例としては、アルキルカルボニルアミノスルホニル基、アリールカルボニルアミノスルホニル基、アルキルスルホニルアミノカルボニル基、アリールスルホニルアミノカルボニル基が挙げられる。その例としては、メチルスルホニルアミノカルボニル、p−メチルフェニルスルホニルアミノカルボニル、アセチルアミノスルホニル、ベンゾイルアミノスルホニル基が挙げられる。
【0029】
置換アラルキル基のアリール部分の置換基の例は、下記置換アリール基の置換基の例と同様である。
【0030】
本明細書において芳香族基は、アリール基及び置換アリール基を意味する。またこれらの芳香族基は脂肪族環、他の芳香族環又は複素環が縮合していてもよい。芳香族基の炭素原子数は6〜40が好ましく、6〜30が更に好ましく、6〜20が更に好ましい。またその中でもアリール基としてはフェニル又はナフチルであることが好ましく、フェニルが特に好ましい。
【0031】
置換アリール基のアリール部分は、上記アリール基と同様である。置換アリール基の置換基の例としては、先に置換アルキル基、置換アルケニル基、置換アルキニル基及び置換アラルキル基のアルキル部分の置換基の例としてあげたものと同様である。
【0032】
本明細書において、複素環基は5員又は6員の飽和又は不飽和複素環を含むことが好ましい。複素環に脂肪族環、芳香族環又は他の複素環が縮合していてもよい。複素環のヘテロ原子の例にはB,N,O,S,Se及びTeが含まれる。ヘテロ原子としてはN,O及びSが好ましい。複素環は炭素原子が遊離の原子価(一価)を有する(複素環基は炭素原子において結合する)ことが好ましい。好ましい複素環基の炭素原子数は1〜40であり、より好ましくは1〜30であり、更に好ましくは1〜20である。飽和複素環の例には、ピロリジン環、モルホリン環、2−ボラ−1,3−ジオキソラン環及び1,3−チアゾリジン環が含まれる。不飽和複素環の例には、イミダゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾトリアゾール環、ベンゾセレナゾール環、ピリジン環、ピリミジン環及びキノリン環が含まれる。複素環基は置換基を有していても良い。置換基の例としては、先に置換アルキル基、置換アルケニル基、置換アルキニル基及び置換アラルキル基のアルキル部分の置換基の例としてあげたものと同様である。
【0033】
本発明において規定される極大吸収波長及び半値幅は、当業者が容易に測定することができる。測定方法に関しては、例えば日本化学会編「第4版実験化学講座7分光II」(丸善,1992年)180〜186ページなどに記載されている。具体的には、適当な溶媒に試料を溶解し、石英製又はガラス製のセルを用いて、試料用と対照用の2つのセルを使用して分光光度計によって測定される。用いる溶媒は、試料の溶解性と合わせて、測定波長領域に吸収を持たないこと、溶質分子との相互作用が小さいこと、揮発性があまり著しくないこと等が要求される。上記条件を満たす溶媒であれば、任意のものを選択する。
【0034】
分光吸収極大波長を確認するための溶液は、前記一般式(1)で表される紫外線吸収剤を有機或いは無機の溶媒又は水を単独或いはそれらの混合物を用いて溶解したものである。
有機溶媒としては、例えばアミド系溶媒(例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1−メチル−2−ピロリドン)、スルホン系溶媒(例えばスルホラン)、スルホキシド系溶媒(例えばジメチルスルホキシド)、ウレイド系溶媒(例えばテトラメチルウレア)、エーテル系溶媒(例えばジオキサン、テトラヒドロフラン、シクロペンチルメチルエーテル)、ケトン系溶媒(例えばアセトン、シクロヘキサノン)、炭化水素系溶媒(例えばトルエン、キシレン、n−デカン)、ハロゲン系溶媒(例えばテトラクロロエタン,クロロベンゼン、クロロナフタレン)、アルコール系溶媒(例えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、シクロヘキサノール、フェノール)、ピリジン系溶媒(例えばピリジン、γ−ピコリン、2,6−ルチジン)、エステル系溶媒(例えば酢酸エチル、酢酸ブチル)、カルボン酸系溶媒(例えば酢酸、プロピオン酸)、ニトリル系溶媒(例えばアセトニトリル)、スルホン酸系溶媒(例えばメタンスルホン酸)、アミン系溶媒(例えばトリエチルアミン、トリブチルアミン)等を用いることができる。
無機溶媒としては、例えば硫酸、リン酸等を用いることができる。
【0035】
前記一般式(1)で表される紫外線吸収剤の溶解性の点から、アミド系溶媒、スルホン系溶媒、スルホキシド系溶媒、ウレイド系溶媒、エーテル系溶媒、ケトン系溶媒、ハロゲン系溶媒、炭化水素系溶媒、アルコール系溶媒、エステル系溶媒、又はニトリル系溶媒が好ましい。
【0036】
測定のための前記一般式(1)で表される紫外線吸収剤の濃度は、分光吸収の極大波長が確認できる濃度であれば特に制限されず、好ましくは1×10−7〜1×1013mol/Lの範囲である。
測定のための温度は特に制限されず、好ましくは0℃〜80℃である。
分光吸収測定装置としては、特に制限されず、通常の分光吸収測定装置(例えば、U−4100スペクトロフォトメーター、商品名、日立ハイテクノロジーズ(株)製)を用いることができる。
【0037】
本発明の紫外線吸収剤組成物は、前記一般式(1)で表される紫外線吸収剤の少なくとも1種と、前記一般式(TS−I)〜(TS−V)のいずれかで表される化合物の少なくとも1種とを含む。前記一般式(TS−I)〜(TS−V)のいずれかで表される化合物は、種々の樹脂などと併用することで樹脂の分解を防止する光安定剤として機能することができる。このような化合物を前記一般式(1)で表される紫外線吸収剤と共に含有する本発明の紫外線吸収剤組成物においては、組成物自体の光安定性を向上させるだけでなく、前記紫外線吸収剤も安定化し、前記紫外線吸収剤が有する長波紫外線吸収能を更に長期間に亘って維持することができる。
【0038】
<一般式(1)で表される化合物>
【0039】
【化5】

【0040】
[R1a、R1b、R1c、R1d及びR1eは、互いに独立して、水素原子又はヒドロキシ基を除く1価の置換基を表し、置換基のうち少なくとも1つは、ハメット則のσp値が正である置換基を表す。また置換基同士で結合して環を形成しても良い。R1g、R1h、R1i、R1j、R1k、R1m、R1n及びR1pは、互いに独立して、水素原子又は1価の置換基を表す。また置換基同士で結合して環を形成しても良い。]
【0041】
1a、R1b、R1c、R1d、R1eは、互いに独立して、水素原子又はヒドロキシ基を除く1価の置換基を表し、置換基のうち少なくとも1つは、ハメット則のσp値が正である置換基を表す。
1a、R1b、R1c、R1d、R1eが表す置換基のうち1〜3個がハメット則のσp値が正である置換基を表すことが好ましく、1〜2個がハメット則のσp値が正である置換基を表すことがより好ましい。
【0042】
前記一般式(1)における1価の置換基(以下置換基Aともいう)としては、例えば、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、置換又は無置換の炭素数1〜20のアルキル基(例えばメチル、エチル)、炭素数6〜20のアリール基(例えばフェニル、ナフチル)、シアノ基、カルボキシル基、置換又は無置換のアルコキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル)、アリールオキシカルボニル基(例えばフェノキシカルボニル)、置換又は無置換のカルバモイル基(例えばカルバモイル、N−フェニルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル)、置換又は無置換のアルキルカルボニル基(例えばアセチル)、アリールカルボニル基(例えばベンゾイル)、ニトロ基、置換又は無置換のアミノ基(例えばアミノ、ジメチルアミノ、アニリノ、置換スルホアミノ基)、アシルアミノ基(例えばアセトアミド、エトキシカルボニルアミノ)、スルホンアミド基(例えばメタンスルホンアミド)、イミド基(例えばスクシンイミド、フタルイミド)、イミノ基(例えばベンジリデンアミノ)、ヒドロキシ基、炭素数1〜20のアルコキシ基(例えばメトキシ)、置換又は無置換のアリールオキシ基(例えばフェノキシ)、アシルオキシ基(例えばアセトキシ)、アルキルスルホニルオキシ基(例えばメタンスルホニルオキシ)、アリールスルホニルオキシ基(例えばベンゼンスルホニルオキシ)、スルホ基、置換又は無置換のスルファモイル基(例えばスルファモイル、N−フェニルスルファモイル)、アルキルチオ基(例えばメチルチオ)、アリールチオ基(例えばフェニルチオ)、チオシアネート基、置換又は無置換のアルキルスルホニル基(例えばメタンスルホニル)、アリールスルホニル基(例えばベンゼンスルホニル)、炭素数6〜20のヘテロ環基(例えばピリジル、モルホリノ)などを挙げることができる。
これらが置換基を有する場合の置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、シアノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルカルボニル基、ニトロ基、アミノ基、ヒドロキシ基、炭素数1〜20のアルコキシ基、アリールオキシ基、スルファモイル基、チオシアネート基、又はアルキルスルホニル基を挙げることができる。
また、置換基は更に置換されていても良く、置換基が複数ある場合は、同じでも異なっても良い。その際、置換基の例としては、上述の1価の置換基Aを挙げることができる。
また置換基同士で結合して環を形成しても良い。
【0043】
置換基同士で結合して形成される環としては、ベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、トリアジン環、ピリダジン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、オキサゾール環、オキサジアゾール環、チアゾール環、チアジアゾール環、フラン環、チオフェン環、セレノフェン環、シロール環、ゲルモール環、ホスホール環等が挙げられる。
【0044】
前記一般式(1)における1価の置換基としては、ハロゲン原子、置換又は無置換の炭素数1〜20のアルキル基、シアノ基、カルボキシル基、置換又は無置換のアルコキシカルボニル基、置換又は無置換のカルバモイル基、置換又は無置換のアルキルカルボニル基、ニトロ基、置換又は無置換のアミノ基、ヒドロキシ基、置換又は無置換の炭素数1〜20のアルコキシ基、置換又は無置換のアリールオキシ基、置換又は無置換のスルファモイル基、チオシアネート基、又は置換又は無置換のアルキルスルホニル基が好ましく、OR(Rは、水素原子又は1価の置換基を表す。)、アルキル基、アミド基がより好ましく、OR、アルキル基が更に好ましい。
は、水素原子又は1価の置換基を表し、1価の置換基としては前記置換基Aを挙げることができる。中でも炭素数1〜20の直鎖又は分岐鎖アルキル基を表すことが好ましい。炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖アルキル基が更に好ましく、炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖アルキル基としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、t−ペンチル、n−ヘキシル、i−ヘキシル、t−ヘキシルを挙げることができ、メチル又はエチルが好ましく、メチルが特に好ましい。
【0045】
前記一般式(1)におけるハメット則のσp値が正である置換基のσ値は、好ましくは0.1〜1.2の範囲である。ハメット則のσp値が正である置換基として、例えばCOOR、CONR、シアノ基、トリフルオロメチル基、ハロゲン原子、ニトロ基及びSOMを好適に挙げることができ、なかでもCOORが好ましい。なお、R、Rは、水素原子又は1価の置換基を表し、Mは、水素原子又はアルカリ金属を表す。
【0046】
前記一般式(1)において、R1h又はR1nが、水素原子であることが好ましく、R1g、R1h、R1i、R1j、R1k、R1m、R1n及びR1pが、水素原子であることがより好ましい。また、pKaは、−5.0〜−7.0の範囲であることが好ましい。
以下に、本発明の好ましい態様について、更に説明する。
【0047】
本発明における好ましい第一の態様として、R1a、R1c、R1eのうち少なくとも1つが、ハメット則のσp値が正である置換基を表す態様を挙げることができる。
1cがハメット則のσp値が正である置換基を表すことがより好ましい。
1cがハメット則のσp値が正である置換基であり、R1a、R1b、R1d、R1eは水素原子を表すことが更に好ましい。
1cがハメット則のσp値が正である置換基を表す場合、電子求引性基によりLUMOが安定化されるため、励起寿命が短くなり、耐光性が向上するため好ましい。これにより一般式(1)で表される化合物は、特に耐光性に優れ、該化合物を含む塗料用組成物は耐光性向上に優れたものとなる効果を有する。
また、好ましい第ニの態様として、R1a、R1c及びR1eが、水素原子を表し、R1b及びR1dが、互いに独立して、水素原子又はハメット則のσp値が正である置換基を表し、少なくとも1つは、ハメット則のσp値が正である置換基である態様を挙げることができる。
これにより、一般式(1)で表される化合物は、特に溶剤溶解性が優れ、該化合物を含む塗料用組成物を適用した塗膜からの析出防止に優れたものとする効果を有する。
溶剤溶解性とは、酢酸エチル、メチルエチルケトン、トルエンなどの有機溶剤への溶解性を意味し、塗料用組成物を適用した塗膜からの析出防止の点で、使用する溶剤に対し、10質量%以上溶解することが好ましく、30質量%以上溶解することがより好ましい。
【0048】
<好ましい第一の態様>
第一の態様においては、前記一般式(1)におけるハメット則のσp値が正である置換基として、好ましくは、σ値が0.1〜1.2の電子求引性基である。σ値が0.1以上の電子求引性基の具体例としては、COOR(Rは、水素原子又は1価の置換基を表し、水素原子、アルキル基が挙げられ、好ましくは炭素数1〜20の直鎖又は分岐鎖アルキル基であり、炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖アルキル基がより好ましい。)、CONR(Rは、水素原子又は1価の置換基を表す。)、シアノ基、ハロゲン原子、ニトロ基、SOM(Mは、水素原子又はアルカリ金属を表す。)、アシル基、ホルミル基、アシルオキシ基、アシルチオ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ジアルキルホスホノ基、ジアリールホスホノ基、ジアルキルホスフィニル基、ジアリールホスフィニル基、ホスホリル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アシルチオ基、スルファモイル基、チオシアネート基、チオカルボニル基、イミノ基、N原子で置換したイミノ基、カルボキシ基(又はその塩)、少なくとも2つ以上のハロゲン原子で置換されたアルキル基(例えばトリフルオロメチル基)、少なくとも2つ以上のハロゲン原子で置換されたアルコキシ基、少なくとも2つ以上のハロゲン原子で置換されたアリールオキシ基、アシルアミノ基、少なくとも2つ以上のハロゲン原子で置換されたアルキルアミノ基、少なくとも2つ以上のハロゲン原子で置換されたアルキルチオ基、σ値が0.2以上の他の電子求引性基で置換されたアリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、アゾ基、セレノシアネート基などが挙げられる。ハメットのσp値については、Hansch,C.;Leo,A.;Taft,R.W.Chem.Rev.1991,91,165−195に詳しく記載されている。
【0049】
前記一般式(1)におけるハメット則のσp値が正である置換基として、より好ましくは、COOR、CONR、シアノ基、トリフルオロメチル基、ハロゲン原子、ニトロ基、SOMである[R、Rは、互いに独立して、水素原子又は1価の置換基を表す。Mは、水素原子又はアルカリ金属を表す]。この中でもCOOR又はシアノ基がより好ましく、COOR、であることが更に好ましい。優れた耐光性と溶解性を有するためである。
【0050】
、Rとしては水素原子又は1価の置換基を表し、1価の置換基としては前記置換基Aを挙げることができる。中でも炭素数1〜20の直鎖又は分岐鎖アルキル基が好ましく、炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖アルキル基がより好ましい。炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、t−ペンチル基、n−ヘキシル基、i−ヘキシル基、t−ヘキシル基、n−オクチル基、t−オクチル基、i−オクチル基を挙げることができ、メチル基又はエチル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
【0051】
前記一般式(1)で表される化合物において、R1cがCOOR、CONR、シアノ基、トリフルオロメチル基、ハロゲン原子、ニトロ基、SOMのいずれかであることが好ましく、COOR又はシアノ基よりが好ましく、シアノ基が更に好ましい。
【0052】
また、本発明において、R1g、R1h、R1i、R1j、R1k、R1m、R1n及びR1pが1価の置換基を表す場合は、R1g、R1h、R1i、R1j、R1k、R1m、R1n及びR1pのうち少なくとも1つが、前記ハメット則のσp値が正である置換基を表すことがより好ましく、R1g、R1h、R1i及びR1jのうち少なくとも1つが、前記ハメット則のσp値が正(好ましくは0.1〜1.2)である置換基を表すことがより好ましく、R1hが前記ハメット則のσp値が正である置換基を表すことが更に好ましい。R1c及びR1hが前記ハメット則のσp値が正(好ましくは0.1〜1.2)である置換基を表すことが特に好ましい。優れた耐光性を有するためである。
本発明において、R1h又はR1nがそれぞれ独立に水素原子、COOR、CONR、シアノ基、トリフルオロメチル基、ハロゲン原子、ニトロ基、SOMのいずれかであることが好ましく、R1h又はR1nが水素原子であることがより好ましく、R1h及びR1nが水素原子であることが更に好ましく、R1g、R1h、R1i、R1j、R1k、R1m、R1n及びR1pが水素原子を表すことが特に好ましい。優れた耐光性を示すためである。
【0053】
前記一般式(1)で表される化合物において、R1cがハメット則のσp値が正(好ましくは0.1〜1.2)である置換基であって、R1g、R1h、R1i、R1j、R1k、R1m、R1n及びR1pは水素原子を表すことが好ましく、R1cがCOOR、CONR、シアノ基、トリフルオロメチル基、ハロゲン原子、ニトロ基、SOMのいずれかであって、R1g、R1h、R1i、R1j、R1k、R1m、R1n及びR1pは水素原子であることがより好ましい。優れた耐光性を示すためである。
【0054】
好ましい第一の様態において、前記一般式(1)で表される化合物は下記一般式(1)−1で表される化合物であることが好ましい。
【0055】
【化6】

【0056】
前記一般式(1)−1において、R1a、R1c、及びR1eは、互いに独立して、水素原子又はヒドロキシ基を除く1価の置換基を表すが、R1a、R1c、及びR1eのうち少なくとも1つは、ハメット則のσp値が正である置換基を表す。
【0057】
前記一般式(1)−1で表される化合物は、下記一般式(1)−2で表される化合物であることが、より優れた耐光性を示すため、より好ましい。下記一般式(1)−2において、R1cがハメット則のσp値が正である置換基を表す。
【0058】
【化7】

【0059】
前記一般式(1)−2において、R1cがハメット則のσp値が正である置換基を表す。
【0060】
前記一般式(1)−2で表される化合物は、溶解性を向上させることができ、高度な溶解性と耐光性を両立できるため、下記一般式(1)−3で表される化合物であることが更に好ましい。
【0061】
【化8】

【0062】
前記一般式(1)−3において、Rは水素原子又は1価の置換基を表す。
【0063】
前記一般式(1)−3において、Rは表す1価の置換基としては前記置換基Aを挙げることができる。中でも炭素数1〜20の直鎖又は分岐鎖アルキル基が好ましく、炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖アルキル基がより好ましい。炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、t−ペンチル基、n−ヘキシル基、i−ヘキシル基、t−ヘキシル基、n−オクチル基、t−オクチル基、i−オクチル基を挙げることができ、メチル基又はエチル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。分子量を小さくすることができるため、紫外線吸収剤として使用した場合により少量で紫外線吸収効果を発揮できるためである。
【0064】
前記一般式(1)で表される化合物はpKaが−5.0〜−7.0の範囲であることが好ましい。更に−5.2〜−6.5の範囲であることがより好ましく、−5.4〜−6.0の範囲であることが特に好ましい。
【0065】
<好ましい第二の態様>
好ましい第二の態様として、R1a、R1c及びR1eが、水素原子を表し、R1b及びR1dが、互いに独立して、水素原子又はハメット則のσp値が正である置換基を表し、少なくとも1つは、ハメット則のσp値が正である置換基である態様を挙げることができる。
1a、R1c及びR1eが、水素原子を表し、R1b及びR1dが、互いに独立して、水素原子又はハメット則のσp値が正である置換基を表し、少なくとも1つは、ハメット則のσp値が正である置換基である第ニの態様においては、前記一般式(1)におけるハメット則のσp値が正である置換基として、より好ましくは、COOR、CONR、シアノ基、トリフルオロメチル基、ハロゲン原子、ニトロ基、又はSOMである[R、Rは、互いに独立して、水素原子又は1価の置換基を表す。Mは、水素原子又はアルカリ金属を表す]。R、Rの1価の置換基としては、前述のように前記置換基Aを挙げることができる。
前記一般式(1)におけるハメット則のσp値が正である置換基として、より好ましくは、COOR又はシアノ基であり、COORであることが更に好ましい。ハメット則のσp値が正である置換基がシアノ基である場合、優れた耐光性を示すためである。また、ハメット則のσp値が正である置換基がCOORである場合、優れた溶解性を示すためである。
は水素原子又はアルキル基を表すことが好ましく、炭素数1〜20の直鎖又は分岐鎖アルキル基がより好ましく、炭素数1〜15の直鎖又は分岐鎖アルキル基が更に好ましい。
【0066】
は、溶媒に対する溶解性の観点からは、炭素数5〜15の分岐鎖アルキル基がより好ましい。
分岐鎖アルキル基は2級炭素原子又は3級炭素原子を有し、2級炭素原子又は3級炭素原子を1〜5個含むことが好ましく、1〜3個含むことが好ましく、1又は2個含むことが好ましく、2級炭素原子及び3級炭素原子を1又は2個含むことがより好ましい。また、不斉炭素を1〜3個含むことが好ましい。
は、溶媒に対する溶解性の観点からは、2級炭素原子及び3級炭素原子を1又は2個含み、不斉炭素を1又は2個含む炭素数5〜15の分岐鎖アルキル基であることが特に好ましい。
これは、化合物構造の対称性がくずれ、溶解性が向上するためである。
【0067】
一方、紫外線吸収能の観点からは、炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖アルキル基がより好ましい。
炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、t−ペンチル基、n−ヘキシル基、i−ヘキシル基、t−ヘキシル基、n−オクチル基、t−オクチル基、i−オクチル基を挙げることができ、メチル基又はエチル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
【0068】
また、本発明において、R1g、R1h、R1i、R1j、R1k、R1m、R1n及びR1pが1価の置換基を表す場合は、R1g、R1h、R1i、R1j、R1k、R1m、R1n及びR1pのうち少なくとも1つが、前記ハメット則のσp値が正である置換基を表すことがより好ましく、R1g、R1h、R1i及びR1jのうち少なくとも1つが、前記ハメット則のσp値が正(好ましくは0.1〜1.2)である置換基を表すことがより好ましく、R1hが前記ハメット則のσp値が正である置換基を表すことが更に好ましい。R1b又はR1d、及びR1hが前記ハメット則のσp値が正(好ましくは0.1〜1.2)である置換基を表すことが特に好ましい。優れた耐光性を有するためである。
本発明において、R1h又はR1nがそれぞれ独立に水素原子、COOR、CONR、シアノ基、トリフルオロメチル基、ハロゲン原子、ニトロ基、SOMのいずれかであることが好ましく、R1h又はR1nが水素原子であることがより好ましく、R1h及びR1nが水素原子であることが更に好ましく、R1g、R1h、R1i、R1j、R1k、R1m、R1n及びR1pが水素原子を表すことが特に好ましい。優れた耐光性を示すためである。
【0069】
前記一般式(1)で表される化合物において、R1b又はR1d、がハメット則のσp値が正(好ましくは0.1〜1.2)である置換基であって、R1g、R1h、R1i、R1j、R1k、R1m、R1n及びR1pは水素原子を表すことが好ましく、R1b又はR1d、がCOOR、CONR、シアノ基、トリフルオロメチル基、ハロゲン原子、ニトロ基、SOMのいずれかであって、R1g、R1h、R1i、R1j、R1k、R1m、R1n及びR1pは水素原子であることがより好ましい。優れた耐光性を示すためである。
【0070】
好ましい第二の様態において前記一般式(1)で表される化合物は好ましくは下記一般式(1)−4で表される。
【0071】
【化9】

【0072】
前記一般式(1)−4において、R1b及びR1dは互いに独立して、水素原子又はハメット則のσp値が正である置換基を表し、少なくとも1つは、ハメット則のσp値が正である置換基である。
【0073】
好ましい第二の様態において、前記一般式(1)で表される化合物は好ましくは下記一般式(1)−5で表される。
【0074】
【化10】

【0075】
前記一般式(1)−5において、Rは水素原子又は1価の置換基を表す。
【0076】
前記一般式(1)−5において、Rは、溶媒に対する溶解性の観点から、炭素数5〜15の分岐鎖アルキル基であることが好ましく、該分岐鎖アルキル基は2級炭素原子又は3級炭素原子を有することが好ましく、2級炭素原子又は3級炭素原子を1〜5個含むことがより好ましく、1〜3個含むことが更に好ましく、1又は2個含むことが特に好ましく、2級炭素原子及び3級炭素原子をそれぞれ1又は2個含むことが最も好ましい。また、不斉炭素を1〜3個含むことが好ましい。Rは、溶媒に対する溶解性の観点からは、2級炭素原子及び3級炭素原子を1又は2個含み、不斉炭素を1又は2個含む炭素数5〜15の分岐鎖アルキル基であることが特に好ましい。その理由としては、化合物構造の対称性がくずれ、溶解性が向上するためである。
【0077】
前記一般式(1)で表される化合物はpKaが−5.0〜−7.0の範囲であることが好ましい。更に−5.2〜−6.5の範囲であることがより好ましく、−5.4〜−6.0の範囲であることが特に好ましい。
【0078】
前記一般式(1)で表される化合物の具体例を以下に示すが、本発明はこれに限定されない。
なお、下記の具体例中Meはメチル基を表し、Etはエチル基を表し、Buはt−ブチル基を表し、Phはフェニル基を表し、−C13はn−ヘキシルを表す。
【0079】
【化11】

【0080】
【化12】

【0081】
【化13】

【0082】
【化14】

【0083】
【化15】

【0084】
【化16】

【0085】
【化17】

【0086】
【化18】

【0087】
【化19】

【0088】
【化20】

【0089】
前記一般式(1)で表される化合物は、構造とその置かれた環境によって互変異性体を取り得る。本発明においては代表的な形の一つで記述しているが、本発明の記述と異なる互変異性体も本発明の化合物に含まれる。
【0090】
前記一般式(1)で表される化合物は、同位元素(例えば、H、H、13C、15N、17O、18Oなど)を含有していてもよい。
【0091】
前記一般式(1)で表される化合物は、任意の方法で合成することができる。
例えば、公知の特許文献や非特許文献、例えば、特開平7−188190号公報、特開平11−315072、特開2001−220385号公報、「染料と薬品」第40巻12号(1995)の325〜339ページなどを参考にして合成できる。具体的には、例示化合物(16)はサリチルアミドと3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾイル クロリドと2−ヒドロキシベンズアミジン塩酸塩とを反応させることにより合成できる。また、サリチルアミドとサリチル酸と3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンズアミジン塩酸塩とを反応させることによっても合成できる。
【0092】
本発明における前記化合物は、有機材料を光・酸素又は熱による損傷に対して安定化させるのに特に適している。中でも前記一般式(1)で表される化合物は、光安定剤、とりわけ紫外線吸収剤として好適に用いることができる。
【0093】
前記一般式(1)で表される化合物は特定の位置にハメット則のσp値が正である置換基を有するため、電子求引性基によりLUMOが安定化されるため、励起寿命が短くなり、優れた耐光性を有するという特徴を有する。紫外線吸収剤として用いた際にも、既知のトリアジン系化合物を用いた場合は、長時間使用した場合は分解して黄変するなど悪影響を及ぼす。
それに対して、前記一般式(1)で表される化合物は優れた耐光性を有するため長時間使用した場合でも分解せず黄変することがないという効果が得られる。
【0094】
前記一般式(1)で表される化合物の極大吸収波長は、特に限定されないが、好ましくは250〜400nmであり、より好ましくは280〜380nmである。半値幅は好ましくは20〜100nmであり、より好ましくは40〜80nmである。
本発明の紫外線吸収剤組成物は、着色を抑制するために可視域に吸収がないことが好ましい。
【0095】
<一般式(TS−I)〜(TS−V)で表される化合物>
次に、本発明に用いられる一般式(TS−I)〜(TS−V)で表される化合物について説明する。
【0096】
一般式(TS−I)〜(TS−V)における基が脂肪族部位を含む場合には、その脂肪族部位は直鎖、分岐鎖又は環状で飽和であっても不飽和であってもよく、例えばアルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニルを表し、これらは無置換であっても置換基を有していてもよい。また、アリール部位を含む場合には、そのアリール部位は、単環であっても縮合環であってもよく、無置換であっても置換基を有していてもよい。また、複素環部位を含む場合には、その複素環部位は環内にヘテロ原子(例えば、窒素原子、イオウ原子、酸素原子)を持つものであり、飽和環であっても、不飽和環であってもよく、単環であっても縮合環であってもよく、無置換であっても置換基を有していてもよく、環状のヘテロ原子で結合しても、炭素原子で結合してもよい。
【0097】
前記置換基とは、置換可能な基であればよく、例えば脂肪族基、アリール基、複素環基、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、脂肪族オキシ基、アリールオキシ基、複素環オキシ基、脂肪族オキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、複素環オキシカルボニル基、カルバモイル基、脂肪族スルホニル基、アリールスルホニル基、複素環スルホニル基、脂肪族スルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、複素環スルホニルオキシ基、スルファモイル基、脂肪族スルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、複素環スルホンアミド基、脂肪族アミノ基、アリールアミノ基、複素環アミノ基、脂肪族オキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、複素環オキシカルボニルアミノ基、脂肪族スルフィニル基、アリールスルフィニル基、脂肪族チオ基、アリールチオ基、ヒドロキシ基、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、脂肪族オキシアミノ基、アリールオキシアミノ基、カルバモイルアミノ基、スルファモイルアミノ基、ハロゲン原子、スルファモイルカルバモイル基、カルバモイルスルファモイル基、ホスフィニル基、ホスホリル基等を挙げることができる。
【0098】
[一般式(TS−I)で表される化合物]
【0099】
【化21】

【0100】
〔一般式(TS−I)中、R91は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルキルカルボニル基、アルケニルカルボニル基、アルキルオキシカルボニル基、アルケニルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ホスフィノトリル基、ホスフィニル基、又は−Si(R97)(R98)(R99)を表す。ここで、R97、R98、及びR99は互いに同一でも異なってもよく、それぞれ独立にアルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、又はアリールオキシ基を表す。X91は−O−、−S−又は−N(−R100)−を表す。ここで、R100はR91と同義である。R92、R93、R94、R95、及びR96は互いに同一でも異なってもよく、それぞれ独立に水素原子又は置換基を表す。R91とR92、R100とR96、R91とR100は互いに結合して5〜7員環を形成していてもよい。更に、R92とR93、R93とR94が互いに結合して、5〜7員環又はスピロ環、ビシクロ環を形成してもよい。但し、R91、R92、R93、R94、R95、R96、及びR100のすべてが水素原子であることはなく、R91、R92、R93、R94、R95、R96、及びR100の総炭素数は9以上である。]
【0101】
前記一般式(TS−I)について更に詳細に述べる。
91は水素原子、アルキル基(シクロアルキル基、ビシクロアルキル基、トリシクロアルキル基等の環状アルキル基等の環状アルキル基を含む、例えば、メチル基、i−プロピル基、s−ブチル基、ドデシル基、メトキシエトキシ基、ベンジル基)、アルケニル基(シクロアルケニル基、ビシクロアルケニル基を含む、例えば、アリル基)、アリール基(例えば、フェニル基、p−メトキシフェニル基)ヘテロ環基(例えば2−テトラヒドフリル基、ピラニル基)、アシル基(例えばアセチル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、アクリロイル基)、アルキル若しくはアルケニルオキシカルボニル基(例えばメキシカルボニル基、ヘキサデシルオキシカルボニル基)、アリールオキシカルボニル基(例えばフェノキシカルボニル基、p−メトキシフェノキシカルボニル基)、アルキルスルホニル基(例えばメタンスルホニル基、ブタンスルホニル基)、アリールスルホニル基(例えばベンゼンスルホニル基、p−トルエンスルホニル基)、ホスフィノトリル基(例えばジメトキシホスフィノ基、ジフェノキシホスフィノ基)、ホスフィニル基(例えばジエチルホスフィニル基、ジフェニルホスフィニル基)、又は−Si(R97)(R98)(R99)を表す。ここで、R97、R98、R99は同一でも異なってもよく、それぞれアルキル基(例えばメチル基、エチル基、t−ブチル基、ベンジル基)、アルケニル基(例えばアリル基)、アリール基(例えばフェニル基)、アルコキシ基(例えばメトキシ基、ブトキシ基)、アルケニルオキシ基(例えばアリルオキシ基)、又はアリールオキシ基(例えばフェノキシ基)を表す。
91は水素原子、アルキル基、アルキルカルボニル基、アルケニルカルボニル基、アルキルオキシカルボニル基、アルケニルオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、又は−Si(R97)(R98)(R99)であることが好ましい。R91が水素原子でない場合はR91の炭素数は1〜30が好ましく、1〜20がより好ましく、1〜10が更に好ましい。R97、R98、R99はアルキル基であることが好ましい。より優れた耐光性を得ることが出来ることから、R91は水素原子であることが最も好ましい。
【0102】
91は、−O−、−S−又は−N(−R100)−を表す。ここで、R100はR91と同義であり、好ましい範囲も同様である。より優れた耐光性を得ることが出来ることから、X91は−O−であることが最も好ましい。
【0103】
92、R93、R94、R95、及びR96は各々同一でも異なってもよく、それぞれ、水素原子又は置換基を表し、置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基(シクロアルキル基、ビシクロアルキル基、トリシクロアルキル基等の環状アルキル基を含む。)、アルケニル基(シクロアルケニル基、ビシクロアルケニル基、トリシクロアルケニル基等の環状アルケニル基を含む。)、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ、アミノ基(アニリノ基を含む。)、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリールアゾ基、ヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基が例として挙げられる。
【0104】
その中でも好ましい置換基としてはアルキル基(例えばメチル基、t−ブチル基、t−ヘキシル基、ベンジル基)、アルケニル基(アリール基)、アリール基(例えばフェニル基)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基)、アリールオキシカルボニル基(例えばフェノキシカルボニル基)、アルキル若しくはアルケニルスルホニル基(例えばメタンスルホニル基、ブタンスルホニル基)、アリールスルホニル基(例えば、ベンゼンスルホニル基、p−ヒドロキシベンゼンスルホニル基)又は−X91−R91である。
【0105】
92、R93、R94、R95、及びR96は好ましくは水素原子、又はアルキル基である。R92、R93、R94、R95、及びR96が水素原子でない場合は、これらの炭素数は1〜30が好ましく、1〜20がより好ましく、1〜10が更に好ましい。
【0106】
91とR92、R100とR96、R91とR100は互いに結合して5〜7員環(例えばクロマン環、モルホリン環)を形成していてもよい。更に、R92とR93、R93とR94が互いに結合して、5〜7員環(例えばクロマン環、インダン環)又はスピロ環、ビシクロ環を形成してもよい。但し、R91、R92、R93、R94、R95、R96、R100のすべてが水素原子であることはなく、総炭素数は9以上であり、好ましくは総炭素数16以上である。
【0107】
本発明に用いられる前記一般式(TS−I)で表される化合物は、特公昭63−50691号公報の一般式(I)、特公平2−37575号公報の一般式(IIIa)(IIIb)(IIIc)、同2−50457号公報の一般式、同5−67220号公報の一般式、同5−70809の一般式(IX)、同6−19534号公報の一般式、特開昭62−227889号公報の一般式(I)、同62−244046号公報の一般式(I)(II)、特開平2−66541号公報の一般式(I)(II)、同2−139544号公報の一般式(II)(III)、同2−194062号公報の一般式(I)、同2−212836号公報の一般式(B)、(C)、(D)、同3−200758号公報の一般式(III)、同3−48845号公報の一般式(II)(III)、同3−266836号公報の一般式(B)、(C)、(D)、同3−969440号公報の一般式(I)、同4−330440号公報の一般式(I)、同5−297541号公報の一般式(I)、同6−130602号公報の一般式、国際公開WO91/11749号パンフレットの一般式(1)、(2)、(3)、独国特許出願公開第4008785A1号明細書の一般式(I)、米国特許第4931382号明細書の一般式(II)、欧州特許第203746B1号明細書の一般式(a)、欧州特許第264730B1号明細書の一般式(I)等で表される化合物を包含する。
【0108】
前記一般式(TS−I)は、下記一般式(TS−IA)〜(TS−IH)で表されることがより優れた耐光性を得ることが出来ることから好ましく、これらのなかでも、樹脂に添加して使用した場合に、樹脂中での拡散性があることから紫外線吸収剤及び樹脂に対してより効果を及ぼしやすいため、一般式(TS−IE)又は(TS−IG)が特に好ましく、一般式(TS−IG)で表されることがより好ましい。
【0109】
【化22】

【0110】
前記一般式(TS−IA)〜(TS−IH)において、R91〜R97は一般式(TS−I)で定義したものと同じであり、好ましい範囲も同様である。Ra1〜Ra6は各々独立に水素原子又は脂肪族基を表し、X92及びX93は各々独立に2価の連結基を表す。2価の連結基としては、例えば、アルキレン基、オキシ基、スルホニル基を表す。式中、同一分子中の同記号は同じであっても異なっていてもよい。
【0111】
【化23】

【0112】
【化24】

【0113】
【化25】

【0114】
【化26】

【0115】
【化27】

【0116】
【化28】

【0117】
【化29】

【0118】
【化30】

【0119】
【化31】

【0120】
[一般式(TS−II)で表される化合物]
【0121】
【化32】

【0122】
〔一般式(TS−II)中、R101、R102、R103、及びR104は各々独立に、水素原子、アルキル基、又はアルケニル基を表し、R101とR102、R103とR104は結合し、5〜7員環を形成してもよい。X101は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキルオキシ基、アルケニルオキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アルケニルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基、アルキルオキシカルボニルオキシ基、アルケニルオキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アルキルスルホニル基、アルケニルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキル若しくはアルケニルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、スルファモイル基、カルバモイル基、ヒドロキシ基、又はオキシラジカル基を表す。X102は5〜7員環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。]
【0123】
前記一般式(TS−II)中、R101、R102、R103、R104は各々独立に、水素原子、アルキル基(シクロアルキル基、ビシクロアルキル基、トリシクロアルキル基等の環状アルキル基を含む。)、アルケニル基(シクロアルケニル基、ビシクロアルケニル基、トリシクロアルケニル基等の環状アルケニル基を含む。)を表し、R101とR102、R103とR104は結合し、5〜7員環を形成してもよい。
101は水素原子、アルキル基(シクロアルキル基、ビシクロアルキル基、トリシクロアルキル基等の環状アルキル基を含む。)、アルケニル基(シクロアルケニル基、ビシクロアルケニル基、トリシクロアルケニル基等の環状アルケニル基を含む。)基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アルキル若しくはアルケニルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基、アルキルオキシカルボニルオキシ基、アルケニルオキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アルキル若しくはアルケニルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキル若しくはアルケニルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、スルファモイル基、カルバモイル基、ヒドロキシ基又はオキシラジカル基を表す。
102は5〜7員環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。
【0124】
前記一般式(TS−II)を更に詳細に述べる。
式中、R101、R102、R103、R104は、水素原子、アルキル基(例えばメチル基、エチル基)、アルケニル基(例えばアリル基)であるが、好ましくはアルキル基である。
101は、水素原子、アルキル基(例えばメチル基、エチル基)、アルケニル基(例えば、アリル基)、アルキルオキシ基(例えばメトキシ基、オクチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基)、アルケニルオキシ基(例えばアリルオキシ基)、アルキルオキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル基、ヘキサデシルオキシカルボニル基)、アルケニルオキシカルボニル基(例えば、アリルオキシカルボニル基)、アリールオキシカルボニル基(例えばフェノキシカルボニル基、p−クロロフェノキシカルボニル基)、アシル基(例えばアセチル基、ピバロイル基、メタクリロイル基)、アシルオキシ基(例えばアセトキシ基、ベンゾイルオキシ基)、アルキルオキシカルボニルオキシ基(例えば、メトキシカルボニルオキシ基、オクチルオキシカルボニルオキシ基)、アルケニルオキシカルボニルオキシ基(例えば、アリルオキシカルボニルオキシ基)、アリールオキシカルボニルオキシ基(例えばフェノキシカルボニルオキシ基)、アルキルスルホニル基(例えばメタンスルホニル基、ブタンスルホニル基)、アルケニルスルホニル基(例えば、アリルスルホニル基)、アリールスルホニル基(例えばベンゼンスルホニル基、p−トルエンスルホニル基)、アルキルスルフィニル基(例えばメタンスルフィニル基、オクタンスルフィニル基)、アルケニルスルフィニル基(例えば、アリルスルフィニル基)、アリールスルフィニル基(例えばベンゼンスルフィニル基、p−トルエンスルフィニル基)、スルファモイル基(例えばジメチルスルファモイル基)、カルバモイル基(例えばジメチルカルバモイル基、ジエチルカルバモイル基)、ヒドロキシ基又はオキシラジカル基を表す。
102は5〜7員環(例えばピペリジン環、ピペラジン環)を形成するのに必要な非金属原子群を表す。
【0125】
前記一般式(TS−II)においては、更に好ましくは、R103、R104、R105、R106が共に炭素数1〜3のアルキル基であり、X101がオキシラジカル、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数3〜12のアルケニル基、炭素数5〜12のシクロアルキル基、炭素数2〜14のアシル基、又は炭素数6〜20のアリール基であり、X102がシクロヘキサン環を形成するものである。
【0126】
前記一般式(TS−II)は下記一般式(TS−IIa)又は一般式(TS−IIb)で表されることが好ましく、一般式(TS−IIa)で表されることがより好ましい。
【0127】
【化33】

【0128】
一般式(TS−IIa)及び一般式(TS−IIb)中、X101は前記一般式(TS−II)におけるX101と同義である。R200は1価の置換基を表す。L101はk価の連結基を表し、kは2〜4の整数を表す。
【0129】
101は前記一般式(TS−II)におけるX101と同義であり、好ましい範囲も同様である。
200は1価の置換基を表し、該1価の置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基(シクロアルキル基、ビシクロアルキル基、トリシクロアルキル基等の環状アルキル基を含む。)、アルケニル基(シクロアルケニル基、ビシクロアルケニル基、トリシクロアルケニル基等の環状アルケニル基を含む。)、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ、アミノ基(アニリノ基を含む。)、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリールアゾ基、ヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基、オキシラジカルが例として挙げられる。
200は好ましくはヒドロキシル基、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、オキシラジカルであり、ヒドロキシル基がより好ましい。
【0130】
kは2〜4の整数を表し、2であることが好ましい。
101はk価の連結基を表し、2価の連結基を表すことが好ましい。
101は−OC(=O)−(CH2−C(=O)O−を表すことが好ましい。pは1〜20の整数を表し、好ましくは1〜10の整数である。
【0131】
一般式(TS−IIb)は下記一般式(TS−IIb−2)で表されることが更に好ましい。
【0132】
【化34】

【0133】
一般式(TS−IIb−2)において、X101は前記一般式(TS−II)におけるX101と同義であり、nは1〜20の整数を表す。
【0134】
一般式(TS−IIb−2)において、X101の好ましい範囲は、前記一般式(TS−II)におけるX101の好ましい範囲と同様である。nは、樹脂に添加して使用した場合に、樹脂中での拡散性を向上させ、紫外線吸収剤及び樹脂に対してより効果を及ぼしやすく、かつ耐ブリードアウト性が向上するため、好ましくは1〜10の整数であり、より好ましくは1〜8の整数である。
【0135】
本発明に用いられる前記一般式(TS−II)で表される化合物は、特公平2−32298号公報の一般式(I)、同3−39296号公報の一般式(I)、同3−40373号公報の一般式、特開平2−49762号公報の一般式(I)、同2−208653号公報の一般式(II)、同2−217845号公報の一般式(III)、米国特許第4906555号明細書の一般式(B)、欧州特許出願公開第309400A2号明細書の一般式、同第309401A1号明細書の一般式、同第309402A1号明細書の一般式等で表される化合物を包含する。
【0136】
前記一般式(TS−II)で表される化合物の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。nは構造単位の繰り返し数を表す。
【0137】
【化35】

【0138】
【化36】

【0139】
【化37】

【0140】
【化38】

【0141】
【化39】

【0142】
【化40】

【0143】
[一般式(TS−III)で表される化合物]
【0144】
【化41】

【0145】
〔一般式(TS−III)中、R105及びR106は各々独立に、水素原子、脂肪族基、アシル基、脂肪族オキシカルボニル基、芳香族オキシカルボニル基、脂肪族スルホニル基、又は芳香族スルホニル基を表し、R107は脂肪族基、脂肪族オキシ基、芳香族オキシ基、脂肪族チオ基、芳香族チオ基、アシルオキシ基、脂肪族オキシカルボニルオキシ基、芳香族オキシカルボニルオキシ基、置換アミノ基、複素環基、又はヒドロキシ基を表し、R105とR106、R106とR107、R105とR107は互いに結合し、5〜7員環を形成してもよいが、2,2,6,6−テトラアルキルピペリジン骨格を形成する場合を除く。但し、R105及びR106の両方が水素原子であることはなく、R105とR106の総炭素数は7以上である。]
【0146】
前記一般式(TS−III)中、R105、R106は水素原子、脂肪族基、アシル基、脂肪族オキシカルボニル基、芳香族オキシカルボニル基、脂肪族スルホニル基、芳香族スルホニル基を表し、R107は脂肪族基、脂肪族オキシ基、芳香族オキシ基、脂肪族チオ基、芳香族チオ基、アシルオキシ基、脂肪族オキシカルボニルオキシ基、芳香族オキシカルボニルオキシ基、置換アミノ基、複素環基、ヒドロキシ基を表し、可能な場合にはR105とR106、R106とR107、R105とR107は互いに結合し、5〜7員環を形成してもよいが、2,2,6,6−テトラアルキルピペリジン骨格を形成する場合を除く。但し、R105、R106の両方が水素原子であることはなく、総炭素数は7以上である。
【0147】
前記一般式(TS−III)を更に詳細に述べる。
式中、R105、R106は水素原子、脂肪族基(例えばメチル基、エチル基、t−ブチル基、オクチル基、メトキシエトキシ基)、アシル基(例えばアセチル基、ピバロイル基、メタクリロイル基)、脂肪族オキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル基、ヘキサデシルオキシカルボニル基)、芳香族オキシカルボニル基(例えばフェノキシカルボニル基)、脂肪族スルホニル基(例えばメタンスルホニル基、ブタンスルホニル基)、芳香族スルホニル基(例えば、フェニルスルホニル基)を表し、R107は脂肪族基(例えばメチル基、エチル基、t−ブチル基、オクチル基、メトキシエトキシ基)、脂肪族オキシ基(例えばメトキシ基、オクチルオキシ基)、芳香族オキシ基(例えばフェノキシ基、p−メトキシフェノキシ基)、脂肪族チオ基(例えばメチルチオ基、オクチルチオ基)、芳香族チオ基(例えばフェニルチオ基、p−メトキシフェニルチオ基)、アシルオキシ基(例えばアセトキシ基、ピバロイルオキシ基)、脂肪族オキシカルボニルオキシ基(例えばメトキシカルボニルオキシ基、オクチルオキシカルボニルオキシ基)、芳香族オキシカルボニルオキシ基(例えばフェノキシカルボニルオキシ基)、置換アミノ基(置換基としては置換可能ならばよく、例えば脂肪族基、芳香族基、アシル基、脂肪族スルホニル基、芳香族スルホニル基等の置換したアミノ基)、複素環基(例えばピペリジン環、チオモルホリン環)、ヒドロキシ基を表し、可能な場合にはR105とR106、R106とR107、R105とR107は互いに結合し、5〜7員環(例えばピペリジン環、ピラゾリジン環)を形成してもよい。但し、R105、R106の両方が水素原子であることはなく、総炭素数は7以上である。
【0148】
本発明に用いられる前記一般式(TS−III)で表される化合物は、特公平6−97332号公報の一般式(I)、特公平6−97334号公報の一般式(I)、特開平2−148037号公報の一般式(I)、同2−150841号公報の一般式(I)、同2−181145号公報の一般式(I)、同3−266836号公報の一般式(I)、同4−350854号公報の一般式(IV)、同5−61166号公報の一般式(I)等で表される化合物を包含する。
前記一般式(TS−III)で表される化合物としては、下記一般式(TS−IIIA)〜(TS−IIID)のいずれかで表される化合物であることが好ましい。
【0149】
【化42】

【0150】
前記一般式(TS−IIIA)〜(TS−IIID)において、R105〜R106は前記一般式(TS−III)で定義したものと同じであり、好ましい範囲も同様である。Rb1〜Rb3はR105と同義であり、好ましい範囲も同様である。Rb4、Rb5、Rb6は脂肪族基を表す。X103は5〜7員環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。
【0151】
前記一般式(TS−III)で表される化合物の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0152】
【化43】

【0153】
【化44】

【0154】
[一般式(TS−IV)で表される化合物]
【0155】
【化45】

【0156】
〔一般式(TS−IV)中、R111及びR112は各々独立に脂肪族基を表し、該脂肪族基は更に置換基を有してもよい。R111とR112は互いに結合し、5〜7員環を形成してもよい。nは0、1、又は2を表す。但し、R111とR112の総炭素数は10以上である。]
【0157】
前記一般式(TS−IV)中、R111、R112は脂肪族基を表し、該脂肪族基は更に置換基を有してもよい。該置換基としては、アルケニル基、アシル基、アルキルカルボニル基、アルケニルカルボニル基、アルキルオキシカルボニル基、アルケニルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基などが挙げられる。また、これらの置換基は更に別の置換基により置換されていてもよく、該別の置換基としてはハロゲン原子、アルキル基(シクロアルキル基、ビシクロアルキル基、トリシクロアルキル基等の環状アルキル基を含む。)、アルケニル基(シクロアルケニル基、ビシクロアルケニル基、トリシクロアルケニル基等の環状アルケニル基を含む。)、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ、アミノ基(アニリノ基を含む。)、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリールアゾ基、ヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基が例として挙げられる。
111、R112の具体例としては、例えば、メチル基、メトキシカルボニルエチル基、ドデシルオキシカルボニルエチル基などが挙げられる。
111とR112は互いに結合し、5〜7員環(例えばテトラヒドロチオフェン環、チオモルホリン環)を形成してもよい。
nは0又は2を表すことが好ましく、0を表すことがより好ましい。
本発明に用いられる前記一般式(TS−IV)で表される化合物は、特公平2−44052号の一般式(I)、特開平3−48242号公報の一般式(T)、同3−266836号公報の一般式(A)、同5−323545号公報の一般式(I)、(II)、(III)、同6−148837号公報の一般式(I)、米国特許第4933271号明細書の一般式(I)等で表される化合物を包含する。
【0158】
前記一般式(TS−IV)で表される化合物の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0159】
【化46】

【0160】
[一般式(TS−V)で表される化合物]
【0161】
【化47】

【0162】
〔一般式(TS−V)中、R121及びR122は各々独立に脂肪族オキシ基、又は芳香族オキシ基を表し、R123は脂肪族基、芳香族基、脂肪族オキシ基、又は芳香族オキシ基を表し、mは0又は1を表す。R121とR122、R121とR123は互いに結合し、5〜8員環を形成してもよい。但し、R121、R122、R123の総炭素数は10以上である。]
【0163】
前記一般式(TS−V)中、R121、R122は脂肪族オキシ基(例えばメトキシ基、t−オクチルオキシ基)、芳香族オキシ基(例えばフェノキシ基、2,4−ジ−t−ブチルフェノキシ基)を表し、R123は脂肪族基(例えばメチル基、エチル基、t−オクチル基)、芳香族基(例えばフェニル基、4−t−ブチルフェニル基)、脂肪族オキシ基(例えばメトキシ基、t−オクチルオキシ基)、芳香族オキシ基(例えばフェノキシ基、4−t−ブチルフェノキシ基)を表す。mは0又は1を表し、0を表すことが好ましい。R121とR122、R121とR123は互いに結合し、5〜8員環を形成してもよい。但し、R121、R122、R123の総炭素数は10以上である。
本発明に用いられる前記一般式(TS−V)で表される化合物は、特開平3−25437号公報の一般式(I)、同3−142444号公報の一般式(I)、米国特許第4749645号明細書の一般式、同第4980275号明細書の一般式等で表される化合物を包含する。
【0164】
前記一般式(TS−V)で表される化合物の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0165】
【化48】

【0166】
【化49】

【0167】
前記一般式(TS−I)〜(TS−V)のいずれかで表される化合物として好ましくは、前記一般式(TS−I)、(TS−II)又は(TS−V)のいずれかで表される化合物であり、より好ましくは前記一般式(TS−I)又は(TS−II)で表される化合物である。
一般式(TS−I)で表される化合物と一般式(1)で表される化合物の組み合わせが特に好ましい理由は、(TS−I)で表される化合物のX91と一般式(1)で表される化合物の2つのフェノール性水酸基が効果的な水素結合性のネットワークをつくることで近づきやすくなり、より高い効果が得られるためである。特に好ましくは、一般式(TS−IE)及び一般式(TS−IG)である。これらの化合物は、一般式(1)で表される化合物の2つのフェノール性水酸基とのネットワーク形成能が高く、より、効果を及ぼしやすいためである。更に、一般式(1)で表される化合物として、一般式(1)−3又は一般式(1)−5で表される化合物とを組み合わせることがより好ましい。理由は、−COOR基の適度な疎水性により、一般式(TS−IE)及び一般式(TS−IG)がより近づきやすくなっているためである。
一般式(TS−II)で表される化合物と一般式(1)で表される化合物の組み合わせが特に好ましい理由は、一般式(1)で表される化合物の2つのフェノール性水酸基が一般式(TS−II)で表される化合物の窒素原子と水素結合性のネットワークをつくり、一般式(TS−II)で表される化合物の材料の表面からの揮散を防止し、より長時間効果を持続させることが出来るためである。
特に好ましくは前記一般式(TS−II)で表される化合物である。特に前記一般式(TS−II)で表される化合物としては、(TS−IIb−2)で表される化合物であることが好ましい。一般式(TS−IIb−2)で表される化合物は、ラジカルトラップ能にすぐれる反面、表面からの揮散が著しいことが問題となっていたが、一般式(1)で表される化合物との組み合わせでは、表面からの揮散が防止されるため高い効果がより持続するため好ましい。更に、一般式(1)で表される化合物として、一般式(1)−3又は一般式(1)−5で表される化合物とを組み合わせることがより好ましい。理由は、−COOR基の適度な疎水性により、一般式(TS−IIb−2)で表される化合物がより近づきやすくなり,ネットワークの効果が強くなることでより揮散を防止できるためである。
【0168】
本発明の紫外線吸収剤組成物は、前記一般式(TS−I)〜(TS−V)のいずれかで表される化合物を二種以上含んでもよい。前記一般式(TS−I)〜(TS−V)のいずれかで表される化合物が二種以上含まれる場合、同一の群から二種以上併用しても良いし(例えば、前記一般式(TS−II)で表される化合物を二種類使用する場合)、複数の群に亘って二種以上併用しても良い(例えば、前記一般式(TS−I)で表される化合物と前記一般式(TS−II)で表される化合物をそれぞれ一種類ずつ使用する場合)。好ましくは、複数の群に亘って二種以上併用する場合である。
【0169】
<その他の紫外線吸収剤>
本発明の紫外線吸収剤組成物は、異なる構造を有する二種類以上の前記一般式(1)で表される化合物を併用してもよいし、前記一般式(1)で表される化合物とそれ以外の構造を有する一種類以上の紫外線吸収剤(紫外線安定剤)を併用してもよい。二種類(好ましくは三種類)の紫外線吸収剤を併用すると、広い波長領域の紫外線を吸収することができる。また、二種類以上の紫外線吸収剤を併用すると、紫外線吸収剤の分散状態が安定化するという作用もある。前記一般式(1)以外の構造を有する紫外線吸収剤として任意のものを使用できる。例えば、大勝靖一監修「高分子添加剤の開発と環境対策」(シーエムシー出版、2003年)第2章、東レリサーチセンター調査研究部門編集「高分子用機能性添加剤の新展開」(東レリサーチセンター、1999年)2.3.1、などに記載されている紫外線吸収剤が挙げられる。例えば、紫外線吸収剤の構造として知られているトリアジン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、メロシアニン系、シアニン系、ジベンゾイルメタン系、桂皮酸系、アクリレート系、安息香酸エステル系シュウ酸ジアミド系などの化合物が挙げられる。例えば、ファインケミカル、2004年5月号、28〜38ページ、東レリサーチセンター調査研究部門発行「高分子用機能性添加剤の新展開」(東レリサーチセンター、1999年)96〜140ページ、大勝靖一監修「高分子添加剤の開発と環境対策」(シーエムシー出版、2003年)54〜64ページなどに記載されている。
一般式(1)以外の構造を有する紫外線吸収剤として好ましくは、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリチル酸系、アクリレート系、トリアジン系の化合物である。より好ましくはベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、トリアジン系の化合物である。特に好ましくはベンゾトリアゾール系、トリアジン系の化合物である。
【0170】
前記ベンゾトリアゾール系化合物としては、その有効吸収波長が約270〜380nmで、下記一般式(IIa)、(IIb)又は(IIc)のいずれかで表される化合物が好ましい。
【0171】
【化50】

【0172】
[前記一般式(IIa)中、
は、水素原子、1〜24個の炭素原子を有するアルキル、アルキル部分に1〜4個の炭素原子を有するフェニルアルキル、5〜8個の炭素原子を有するシクロアルキル、又は下記一般式:
【0173】
【化51】

【0174】
(式中、R及びRは、互いに独立して1〜5個の炭素原子を有するアルキルを表す。Rは、C2n+1−m基と一緒になって、5〜12個の炭素原子を有するシクロアルキル基を形成してもよい。mは1又は2を表す。nは2〜20の整数を表す。Mは、−COOR(ここで、Rは、水素原子、1〜12個の炭素原子を有するアルキル、アルキル部分及びアルコキシ部分に1〜20個の炭素原子を有するアルコキシアルキル、又はアルキル部分に1〜4個の炭素原子を有するフェニルアルキルである。)を表す。)で表される基であり、
【0175】
は、水素原子、ハロゲン原子、1〜18個の炭素原子を有するアルキル、及びアルキル部分に1〜4個の炭素原子を有するフェニルアルキルであり、
は、水素原子、塩素原子、1〜4個の炭素原子を有するアルキル若しくはアルコキシ、又は−COOR(ここで、Rは先に規定される通りである。)である。
但し、R及びRのうちの少なくとも1つは、水素原子以外である。]
【0176】
[前記一般式(IIb)中、
Tは、水素原子又は1〜6個の炭素原子を有するアルキルであり、
は、水素原子、塩素原子、又は1〜4個の炭素原子を有するアルキル若しくはアルコキシであり、
nは1又は2であり、
nが1のときTは、塩素原子、−OT、又は式:
【0177】
【化52】

【0178】
であり、
また、nが2のときTは、式:
【0179】
【化53】

【0180】
、又は−O−T−O−の基である。(ここで、Tは、水素原子、1〜18個の炭素原子を有しそして非置換であるか、又は1〜3個のヒドロキシル基によって若しくは−OCOTによって置換されるアルキル、3〜18個の炭素原子を有し、−O−又は−NT−によって連続的炭素−炭素結合が1回又は数回中断され、そして非置換であるか、又はヒドロキシル若しくは−OCOTによって置換されるアルキル、5〜12個の炭素原子を有しそして非置換であるか、又はヒドロキシル及び/又は1〜4個の炭素原子を有するアルキルによって置換されるシクロアルキル、2〜18個の炭素原子を有しそして非置換であるか、又はヒドロキシルによって置換されるアルケニル、アルキル部分に1〜4個の炭素原子を有するフェニルアルキル、又は、−CHCH(OH)−T若しくは
【0181】
【化54】

【0182】
であり、
及びTは、互いに独立して、水素原子、1〜18個の炭素原子を有するアルキル、3〜18個の炭素原子を有しそして−O−又は−NT−によって連続的炭素−炭素結合が1回又は数回中断されるアルキル、5〜12個の炭素原子を有するシクロアルキル、フェニル、1〜4個の炭素原子を有するアルキルによって置換されるフェニル、3〜8個の炭素原子を有するアルケニル、アルキル部分に1〜4個の炭素原子を有するフェニルアルキル、又は2〜4個の炭素原子を有するヒドロキシアルキルであり、
【0183】
は、水素原子、1〜18個の炭素原子を有するアルキル、5〜12個の炭素原子を有するシクロアルキル、3〜8個の炭素原子を有するアルケニル、フェニル、1〜4個の炭素原子を有するアルキルによって置換されるフェニル、アルキル部分に1〜4個の炭素原子を有するフェニルアルキルであり、
【0184】
は、水素原子、1〜18個の炭素原子を有するアルキル、非置換であるか、又はヒドロキシルによって置換されるフェニル、アルキル部分に1〜4個の炭素原子を有するフェニルアルキル、又は−CHOTであり、
は、1〜18個の炭素原子を有するアルキル、3〜8個の炭素原子を有するアルケニル、5〜10個の炭素原子を有するシクロアルキル、フェニル、1〜4個の炭素原子を有するアルキルによって置換されるフェニル、又は、アルキル部分に1〜4個の炭素原子を有するフェニルアルキルであり、
【0185】
は、2〜8個の炭素原子を有するアルキレン、4〜8個の炭素原子を有するアルケニレン、4個の炭素原子を有するアルキニレン、シクロヘキシレン、2〜8個の炭素原子を有しそして−O−によって連続的炭素−炭素結合が1回又は数回中断されるアルキレン、又は−CHCH(OH)CHO−T11−OCHCH(OH)CH−、若しくは−CH−C(CHOH)−CH−であり、
【0186】
10は、2〜20個の炭素原子を有しそして−O−によって連続的炭素−炭素結合が1回若しくは数回中断されることができるアルキレン、又はシクロヘキシレンであり、
【0187】
11は、2〜8個の炭素原子を有するアルキレン、2〜18個の炭素原子を有しそして−O−によって連続的炭素−炭素結合が1回若しくは数回中断されるアルキレン、1,3−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキシレン、1,3−フェニレン、若しくは1,4−フェニレンであり、又は、T10、及びTは、2個の窒素原子と一緒になって、ピペラジン環になる。)]
【0188】
[前記一般式(IIc)中、R’は、C〜C12アルキルであり、そしてkは1〜4の数である。]
【0189】
前記一般式(IIa)〜(IIc)のいずれかで表される化合物の代表例としては、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−ドデシル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−オクチルオキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミジルメチル)−5’−メチルベンジル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’−sec−ブチル−5’−t−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ビス−(α,α−ジメチルベンジル)−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル)−5−クロロ−ベンゾトリアゾール、2−(3’−t−ブチル−5’−[2−(2−エチルヘキシルオキシ)−カルボニルエチル]−2’−ヒドロキシフェニル)−5−クロロ−ベンゾトリアゾール、2−(3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−メトキシカルボニルエチル)フェニル)−5−クロロ−ベンゾトリアゾール、2−(3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−メトキシカルボニルエチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’−t−ブチル−5’−[2−(2−エチルヘキシルオキシ)カルボニルエチル]−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’−ドデシル−2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−イソオクチルオキシカルボニルエチル)フェニルベンゾトリアゾール、2,2’−メチレン−ビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−ベンゾトリアゾール−2−イルフェノール]、2−[3’−t−ブチル−5’−(2−メトキシカルボニルエチル)−2’−ヒドロキシフェニル]−2H−ベンゾトリアゾールとポリエチレングリコール300とのエステル交換生成物;
【0190】
【化55】

【0191】
(式中、R=3’−tert−ブチル−4’−ヒドロキシ−5’−2H−ベンゾトリアゾール−2−イルフェニル、2−[2’−ヒドロキシ−3’−(α,α−ジメチルベンジル)−5’−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−フェニル]ベンゾトリアゾール;2−[2’−ヒドロキシ−3’−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−5’−(α,α−ジメチルベンジル)−フェニル]ベンゾトリアゾール等を挙げることができる。
【0192】
前記トリアジン系化合物としては、その有効吸収波長が約270〜380nmで、下記一般式(III)で表される化合物が好ましい。
【0193】
【化56】

【0194】
[前記一般式(III)中、
uは1又は2であり、そしてrは1〜3の整数であり、
置換基Yは、互いに独立して、水素原子、ヒドロキシル、フェニル若しくはハロゲン、ハロゲノメチル、1〜12個の炭素原子を有するアルキル、1〜18個の炭素原子を有するアルコキシ、−COO−(C〜C18アルキル)によって置換される1〜18個の炭素原子を有するアルコキシである。
【0195】
uが1のときYは、1〜18個の炭素原子を有するアルキル、非置換であるか、又はヒドロキシル、ハロゲン、1〜18個の炭素原子を有するアルキル若しくはアルコキシによって置換されるフェニル;
1〜12個の炭素原子を有しそして−COOH、−COOY、−CONH、−CONHY、−CONY10、−NH、−NHY、−NY10、−NHCOY11、シアノ基、及び/又は−OCOY11によって置換されるアルキル;
4〜20個の炭素原子を有し、1個以上の酸素原子によって連続的炭素−炭素結合が中断されそして非置換であるか、又はヒドロキシル若しくは1〜12個の炭素原子を有するアルコキシによって置換されるアルキル、3〜6個の炭素原子を有するアルケニル、グリシジル、非置換であるか、又はヒドロキシル、1〜4個の炭素原子を有するアルキル及び/又は−OCOY11によって置換されるシクロヘキシル、アルキル部分に1〜5個の炭素原子を有しそして非置換であるか、又はヒドロキシル、塩素及び/又はメチルによって置換されるフェニルアルキル、−COY12若しくは−SO13である。
【0196】
また、uが2のときYは、2〜16個の炭素原子を有するアルキレン、4〜12個の炭素原子を有するアルケニレン、キシリレン、3〜20個の炭素原子を有し、1個以上の−O−原子によって連続的炭素−炭素結合が中断され、及び/又はヒドロキシルによって置換されるアルキレン、−CHCH(OH)CH−O−Y15−OCHCH(OH)CH、−CO−Y16−CO−、−CO−NH−Y17−NH−CO−、又は−(CH)−CO−Y18−OCO−(CH)である。
【0197】
(ここで、
mは、1、2又は3であり、
は、1〜18個の炭素原子を有するアルキル、3〜18個の炭素原子を有するアルケニル、3〜20個の炭素原子を有し、1個以上の酸素若しくは硫黄原子又は−NT−によって連続的炭素−炭素結合が中断され、及び/又はヒドロキシルによって置換されるアルキル、1〜4個の炭素原子を有しそして−P(O)(OY14)、−NY10、若しくは−OCOY11及び/又はヒドロキシルによって置換されるアルキル、3〜18個の炭素原子を有するアルケニル、グリシジル、又はアルキル部分に1〜5個の炭素原子を有するフェニルアルキルであり、
及びY10は、互いに独立して、1〜12個の炭素原子を有するアルキル、3〜12個の炭素原子を有するアルコキシアルキル、4〜16個の炭素原子を有するジアルキルアミノアルキル、若しくは5〜12個の炭素原子を有するシクロヘキシルであり、又は、Y及びY10は、一緒になって3〜9個の炭素原子を有するアルキレン、オキサアルキレン又はアザアルキレンであってもよく、
11は、1〜18個の炭素原子を有するアルキル、2〜18個の炭素原子を有するアルケニル、又はフェニルであり、
12は、1〜18個の炭素原子を有するアルキル、2〜18個の炭素原子を有するアルケニル、フェニル、1〜12個の炭素原子を有するアルコキシ、フェノキシ、1〜12個の炭素原子を有するアルキルアミノ、又はフェニルアミノであり、
13は、1〜18個の炭素原子を有するアルキル、フェニル、又はアルキル基に1〜8個の炭素原子を有するアルキルフェニルであり、
14は、1〜12個の炭素原子を有するアルキル、又はフェニルであり、
15は、2〜10個の炭素原子を有するアルキレン、フェニレン、又は−フェニレン−M−フェニレン−(ここで、Mは、−O−、−S−、−SO−、−CH−又は−C(CH)−である。)であり、
16は、2〜10個の炭素原子を有するアルキレン、オキサアルキレン又はチアアルキレン、フェニレン、又は2〜6個の炭素原子を有するアルケニレンであり、
17は、2〜10個の炭素原子を有するアルキレン、フェニレン、又はアルキル部分に1〜11個の炭素原子を有するアルキルフェニレンであり、そして
18は、2〜10個の炭素原子を有するアルキレン、又は4〜20個の炭素原子を有しそして酸素によって連続的炭素−炭素結合が1回若しくは数回中断されるアルキレンである。)]
【0198】
前記一般式(III)で表される化合物の代表例としては、2−(4−ブトキシ−2−ヒドロキシフェニル)−4,6−ジ(4−ブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−ブトキシ−2−ヒドロキシフェニル)−4,6−ジ(2,4−ジブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジ(4−ブトキシ−2−ヒドロキシフェニル)−6−(4−ブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジ(4−ブトキシ−2−ヒドロキシフェニル)−6−(2,4−ジブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2−ヒドロキシ−4−プロピルオキシフェニル)−6−(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−4,6−ビス(4−メチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−トリデシルオキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−ブチルオキシプロポキシ)フェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−オクチルオキシプロピルオキシ)フェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[4−(ドデシルオキシ/トリデシルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−ドデシルオキシプロポキシ)フェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシ)フェニル−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−(3−ブトキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシフェニル)−4−(4−メトキシフェニル)−6−フェニル−1,3,5−トリアジン、2−{2−ヒドロキシ−4−[3−(2−エチルヘキシル−1−オキシ)−2−ヒドロキシ−プロピルオキシ]フェニル}−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−(2−エチルヘキシル)オキシ)フェニル−4,6−ジ(4−フェニル)フェニル−1,3,5−トリアジン等を挙げることができる。
【0199】
前記ベンゾフェノン系化合物としては、その有効吸収波長が約270〜380nmである化合物が好ましく、その代表例としては2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−デシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノントリヒドレート、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクタデシロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ジエチルアミノ−2’−ヘキシルオキシカルボニルベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、1,4−ビス(4−ベンジルオキシ−3−ヒドロキシフェノキシ)ブタン等を挙げることができる。
【0200】
前記サリチル酸系化合物としては、その有効吸収波長が約290〜330nmである化合物が好ましく、その代表例としてはフェニルサリシレート、4−t−ブチルフェニルサリシレート、4−オクチルフェニルサリシレート、ジベンゾイルレゾルシノール、ビス(4−t−ブチルベンゾイル)レゾルシノール、ベンゾイルレゾルシノール、2,4−ジ−t−ブチルフェニル 3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシサリシレート、ヘキサデシル 3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシサリシレートなどを挙げることができる。
【0201】
前記アクリレート系化合物としては、その有効吸収波長が約270〜350nmである化合物が好ましく、その代表例としては2−エチルヘキシル 2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、エチル 2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、イソオクチル 2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、ヘキサデシル 2−シアノ−3−(4−メチルフェニル)アクリレート、メチル 2−シアノ−3−メチル−3−(4−メトキシフェニル)シンナメート、ブチル 2−シアノ−3−メチル−3−(4−メトキシフェニル)シンナメート、メチル 2−カルボメトキシ−3−(4−メトキシフェニル)シンナメート2−シアノ−3−(4−メチルフェニル)アクリル酸塩、1,3−ビス(2’−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリロイル)オキシ)−2,2−ビス(((2’−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリロイル)オキシ)メチル)プロパン、N−(2−カルボメトキシ−2−シアノビニル)−2−メチルインドリン等を挙げることができる。
【0202】
前記シュウ酸ジアミド系化合物としては、その有効吸収波長が約250〜350nmであるものが好ましく、その代表例としては4,4’−ジオクチルオキシオキサニリド、2,2’−ジオクチルオキシ−5,5’−ジ−t−ブチルオキサニリド、2,2’−ジドデシルオキシ−5,5’−ジ−t−ブチルオキサニリド、2−エトキシ−2’−エチルオキサニリド、N,N’−ビス(3−ジメチルアミノプロピル)オキサミド、2−エトキシ−5−t−ブチル−2’−エチルオキサニリド、2−エトキシ−2’−エチル−5,4’−ジ−t−ブチルオキサニリド等を挙げることができる。
【0203】
本発明の紫外線吸収剤組成物において、用いられる前記一般式(1)で表される紫外線吸収剤と前記一般式(TS−I)〜(TS−V)のいずれかで表される化合物との混合質量比率は、混合比率は、特に限定はされないが、耐光性とブリードアウト抑制効果のバランスの観点から、好ましくは1:0.05〜1:5、更に好ましくは1:0.5〜1:2、より好ましくは1:1である。
【0204】
本発明の紫外線吸収剤組成物において、一般式(1)で表される紫外線吸収剤は、所望の性能を付与するために必要な任意の量を含有させることができる。一般式(1)で表される紫外線吸収剤の含有量としては紫外線吸収剤組成物中0質量%より大きく30質量%以下であることが好ましく、0質量%より大きく10質量%以下であることがより好ましく、0.05質量%以上5%質量以下であることが更に好ましい。含有量が上記の範囲であれば十分な紫外線遮蔽効果が得られ、ブリードアウトを抑制することができるため好ましい。
また、前記一般式(TS−I)〜(TS−V)のいずれかで表される化合物の総含有量は、紫外線吸収剤組成物全体に対して、好ましくは0質量%より大きく30質量%以下であり、より好ましくは0質量%以上10質量%以下であり、特に好ましくは0.05質量%以上5質量%以下である。含有量が上記の範囲であれば耐候性向上とブリードアウト抑制が両立できるため好ましい。
【0205】
本発明に用いられる前記一般式(1)で表される化合物及び前記一般式(TS−I)〜(TS−V)のいずれかで表される化合物は、それぞれ単独で存在していてもよいが、あらかじめあるいは組成物中で結合を形成することで、互いに連結していてもよい。また、それぞれ重合性基を結合させることでモノマーとし、これを重合させることで前記一般式(1)で表される化合物と前記一般式(TS−I)〜(TS−V)のいずれかで表される化合物とを構造単位として含む共重合体となってもよく、また別のモノマーを併用して共重合体となってもよい。好ましくは、それぞれ単量体として組成物になっていたものが、所望の時に重合を行って共重合体を形成する場合である。
【0206】
本発明の紫外線吸収剤組成物は、いずれの形態のものであってもよい。例えば、液体分散物、溶液、高分子材料などが挙げられる。また、本発明の紫外線吸収剤組成物は、前記一般式(1)で表される化合物及び前記(TS−I)〜(TS−V)のいずれかで表される化合物の他に、目的に応じてその他の成分として適宜任意の化合物を含有することができる。
本発明の紫外線吸収剤組成物は、樹脂とともに使用されることが好ましい。すなわち本発明の樹脂組成物は、前記紫外線吸収剤組成物と樹脂とを含有する。なお、本明細書では、本発明の樹脂組成物を「紫外線吸収剤組成物」と呼ぶ場合がある。
【0207】
本発明の紫外線吸収剤組成物は、分散媒体に分散された分散物の状態が好適である。以下、本発明の紫外線吸収剤分散物について説明する。
本発明の紫外線吸収剤組成物を分散する媒体はいずれのものであってもよい。例えば、水、有機溶剤、樹脂、樹脂の溶液などが挙げられる。これらを単独で用いてもよいし、組み合わせて使用してもよい。
【0208】
本発明に用いられる分散媒体の有機溶剤としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、オクタンなどの炭化水素系、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系、ジエチルエーテル、メチル−t−ブチルエーテルなどのエーテル系、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール系、アセトン、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系、メチルエチルケトンなどのケトン系、アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル系、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド系、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド系、トリエチルアミン、トリブチルアミンなどのアミン系、酢酸、プロピオン酸などのカルボン酸系、塩化メチレン、クロロホルムなどのハロゲン系、テトラヒドロフラン、ピリジンなどのヘテロ環系、などが挙げられる。これらを任意の割合で組み合わせて使用することもできる。
【0209】
本発明に用いられる分散媒体の樹脂としては、従来公知の各種成形体、シート、フィルム等の製造に従来から使用されている熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸エステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、スチレン−アクリロニトリル系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、エチレン−酢酸ビニル系共重合体、エチレン−ビニルアルコール系樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)、液晶ポリエステル樹脂(LCP)、ポリアセタール樹脂(POM)、ポリアミド樹脂(PA)、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂及びポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)等が挙げられ、これらは一種又は二種以上のポリマーブレンドあるいはポリマーアロイとして使用される。また、これらの樹脂は、ナチュラル樹脂にガラス繊維、炭素繊維、半炭化繊維、セルロース系繊維、ガラスビーズ等のフィラーや難燃剤等を含有させた熱可塑性成形材料としても使用される。また、必要に応じて従来使用されている樹脂用の添加剤、例えば、ポリオレフィン系樹脂微粉末、ポリオレフィン系ワックス、エチレンビスアマイド系ワックス、金属石鹸等を単独であるいは組み合わせて使用することもできる。
【0210】
熱可塑性樹脂とともに用いる場合、紫外線吸収剤は、熱可塑性樹脂の重合過程で添加してもよく、重合後に添加しても良い。重合後の熱可塑性樹脂に溶融状態で添加する場合、紫外線吸収剤は単体で添加してもよく、また溶媒等に分散した状態で添加しても良い。この際使用する溶媒は混練する樹脂を劣化させず、紫外線吸収剤を分散させるものであればよい。
【0211】
こうした溶融混合は、一軸あるいは二軸押し出し機などの溶融混合設備を使用して、重合体の溶融温度以上の温度で、紫外線吸収剤を添加することにより可能である。分散液を使用した場合は分散液を加圧下で添加した後、有機溶媒を除去することにより、実行可能である。
【0212】
紫外線吸収剤は製膜時に熱可塑性樹脂の溶融状態に添加し混練してもよい。この方法は、熱履歴を少なくすることで熱可塑性樹脂の劣化を抑えることができるため好ましい方法である。
【0213】
溶融重合可能な熱可塑性樹脂、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートといった熱可塑性ポリエステルの場合には、紫外線吸収剤の分散液を重合前、若しくは重合中に添加しても良い。紫外線吸収剤は単体で添加してもよくまたあらかじめ溶媒で分散した状態で添加してもよい。この場合の溶媒は重合体の原料であるものが好ましい。重合反応は通常の重合体の重合条件に準じて実施すればよい。
【0214】
上記の方法で得られた0.5〜50質量%の比較的高い濃度で紫外線吸収剤を含有する熱可塑性樹脂をマスターバッチとして、更に紫外線吸収剤未添加の熱可塑性樹脂に混練させることでも、目的とする紫外線吸収剤含有ポリマーを得ることができる。
【0215】
熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等が挙げられ、これらはナチュラル樹脂のほかガラス繊維、炭素繊維、半炭化繊維、セルロース系繊維、ガラスビーズ等のフィラーや難燃剤を含有させた熱硬化性成形材料としても使用することができる。
【0216】
本発明の紫外線吸収剤組成物である分散物には、分散剤、泡防止剤、保存剤、凍結防止剤、界面活性剤などを合わせて用いることもできる。その他に任意の化合物を合わせて含んでいてもよい。例えば、染料、顔料、赤外線吸収剤、香料、重合性化合物、ポリマー、無機物、金属などが挙げられる。
【0217】
本発明の紫外線吸収剤組成物である分散物を得るための装置として、大きな剪断力を有する高速撹拌型分散機、高強度の超音波エネルギーを与える分散機などを使用できる。具体的には、コロイドミル、ホモジナイザー、毛細管式乳化装置、液体サイレン、電磁歪式超音波発生機、ポールマン笛を有する乳化装置などがある。本発明で使用するのに好ましい高速撹拌型分散機は、ディゾルバー、ポリトロン、ホモミキサー、ホモブレンダー、ケデイーミル、ジェットアジターなど、分散作用する要部が液中で高速回転(500〜15,000rpm。好ましくは2,000〜4,000rpm)するタイプの分散機である。本発明で使用する高速撹拌型分散機は、ディゾルバーないしは高速インペラー分散機とも呼ばれ、特開昭55−129136号公報にも記載されているように、高速で回転する軸に鋸歯状のプレートを交互に上下方向に折り曲げたインペラーを着装して成るものも好ましい一例である。
【0218】
疎水性化合物を含む乳化分散物を調製する際には、種々のプロセスに従うことができる。例えば、疎水性化合物を有機溶媒に溶解するときは、高沸点有機物質、水非混和性低沸点有機溶媒又は水混和性有機溶媒の中から任意に選択された一種、又は二種以上の任意の複数成分混和物に溶解し、次いで界面活性化合物の存在化で、水中あるいは親水性コロイド水溶液中に分散せしめる。疎水性化合物を含む水不溶性相と水性相との混合方法としては、撹拌下に水性相中に水不溶性相を加えるいわゆる順混合法でも、その逆の逆混合法でもよい。
【0219】
本発明の紫外線吸収剤組成物である分散物中における前記紫外線吸収剤組成物の含有量は、使用目的と使用形態によって異なるため一義的に定めることはできないが、使用する目的に応じて任意の濃度であってよい。好ましくは紫外線吸収剤分散物の全量に対して0.001〜50質量%であり、より好ましくは0.01〜20質量%である。更に好ましくは0.05〜15質量%である。
【0220】
また、本発明の紫外線吸収剤組成物は、液体状の媒体に溶解された溶液の状態が好適である。以下、本発明の紫外線吸収剤組成物の溶液について説明する。
本発明の紫外線吸収剤組成物を溶解する液体はいずれのものであってもよい。例えば、水、有機溶剤、樹脂、樹脂の溶液などが挙げられる。有機溶剤、樹脂、樹脂の溶液の例としては、上述の分散媒体として記載したものが挙げられる。これらを単独で用いてもよいし、組み合わせて使用してもよい。
【0221】
本発明の紫外線吸収剤組成物の溶液は、その他に任意の化合物を合わせて含んでいてもよい。例えば、染料、顔料、赤外線吸収剤、香料、重合性化合物、ポリマー、無機物、金属などが挙げられる。本発明の紫外線吸収剤組成物以外は必ずしも溶解していなくてもよい。
【0222】
本発明の紫外線吸収剤組成物の溶液における前記紫外線吸収剤組成物の含有量は、使用目的と使用形態によって異なるため一義的に定めることはできないが、使用する目的に応じて任意の濃度であってよい。好ましくは溶液の全量に対して0.001〜30質量%であり、より好ましくは0.01〜20質量%である。更に好ましくは0.05〜15質量%である。あらかじめ高濃度で溶液を作製しておき、所望の時に希釈して使用することもできる。希釈溶媒としては上述の溶媒から任意に選択できる。
【0223】
本発明の紫外線吸収剤組成物を用いた高分子材料の調製には、高分子組成物が用いられる。ここで用いられる高分子組成物は、後述する高分子物質に本発明の紫外線吸収剤組成物を添加してなる。
本発明の紫外線吸収剤組成物は、様々な方法で高分子物質に含有させることができる。本発明の紫外線吸収剤組成物が高分子物質との相溶性を有する場合は、本発明の紫外線吸収剤組成物を高分子物質に直接添加することができる。高分子物質との相溶性を有する補助溶媒に、本発明の紫外線吸収剤組成物を溶解し、その溶液を高分子物質に添加してもよい。本発明の紫外線吸収剤組成物を高沸点有機溶媒やポリマー中に分散し、その分散物を高分子物質に添加してもよい。
【0224】
高沸点有機溶媒の沸点は、180℃以上であることが好ましく、200℃以上であることが更に好ましい。高沸点有機溶媒の融点は、150℃以下であることが好ましく、100℃以下であることが更に好ましい。高沸点有機溶媒の例には、リン酸エステル、ホスホン酸エステル、安息香酸エステル、フタル酸エステル、脂肪酸エステル、炭酸エステル、アミド、エーテル、ハロゲン化炭化水素、アルコール及びパラフィンが含まれる。リン酸エステル、ホスホン酸エステル、フタル酸エステル、安息香酸エステル及び脂肪酸エステルが好ましい。
本発明の紫外線吸収剤組成物の添加方法については、特開昭58−209735号、同63−264748号、特開平4−191851号、同8−272058号の各公報及び英国特許第2016017A号明細書を参考にできる。
【0225】
本発明の紫外線吸収剤組成物を用いた高分子材料における前記紫外線吸収剤組成物の含有量は、使用目的と使用形態によって異なるため一義的に定めることはできないが、使用する目的に応じて任意の濃度であってよい。好ましくは高分子材料中、0.001〜20質量%であり、より好ましくは0.01〜15質量%である。
【0226】
また、本発明の紫外線吸収剤組成物は、高分子材料に好ましく用いられる。以下、本発明の樹脂組成物(紫外線吸収剤組成物)に使用される高分子材料について説明する。
本発明においては、本発明の紫外線吸収剤組成物のみで実用的には十分な紫外線遮蔽効果が得られるものの、更に厳密を要求する場合には隠蔽力の強い白色顔料、例えば酸化チタンなどを併用してもよい。また、外観、色調が問題となる時、あるいは好みによって微量(0.05質量%以下)の着色剤を併用することができる。また、透明あるいは白色であることが重要である用途に対しては蛍光増白剤を併用してもよい。蛍光増白剤としては市販のものや特開2002−53824号公報記載の一般式[1]や具体的化合物例1〜35などが挙げられる。
【0227】
前記高分子組成物に用いられる高分子物質について説明する。高分子物質としては、天然又は合成ポリマー若しくはコポリマーである。例えば以下のものが挙げられる。<1> モノオレフィン及びジオレフィンのポリマー、例えばポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリブテ−1−エン、ポリ−4−メチルペンテ−1−エン、ポリビニルシクロヘキサン、ポリイソプレン又はポリブタジエン、並びにシクロオレフィン、例えばシクロペンテン又はノルボルネンのポリマー、ポリエチレン(所望により架橋され得る)、例えば高密度ポリエチレン(HDPE)、高密度及び高分子量ポリエチレン(HDPE−HMW)、高密度及び超高分子量ポリエチレン(HDPE−UHMW)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、(VLDPE)及び(ULDPE)。
【0228】
ポリオレフィン、すなわち前の段落において例示したモノオレフィンのポリマー、好ましくはポリエチレン及びポリプロピレンは、異なる方法によりそしてとりわけ以下の方法により調製され得る:a)ラジカル重合(通常は高圧下において及び高められた温度において)。b)通常、周期表のIVb、Vb、VIb又はVIII群の金属の一つ又はそれ以上を含む触媒を使用した触媒重合。これらの金属は通常、一つ又はそれ以上の配位子、典型的にはπ−又はσ−配位し得るオキシド、ハロゲン化物、アルコレート、エステル、エーテル、アミン、アルキル、アルケニル及び/又はアリールを有する。これらの金属錯体は遊離形態であるか、又は基材に、典型的には活性化塩化マグネシウム、チタン(III)クロリド、アルミナ又は酸化ケイ素に固定され得る。これらの触媒は、重合媒体中に可溶又は不溶であり得る。該触媒は重合においてそのまま使用され得、又は他の活性化剤、典型的には金属アルキル、金属ヒドリド、金属アルキルハライド、金属アルキルオキシド又は金属アルキルオキサンであって、該金属が周期表のIa、IIa及び/又はIIIa群の元素であるものが使用されることができる。該活性化剤は、他のエステル、エーテル、アミン又はシリルエーテル基で都合良く変性され得る。これらの触媒系は、通常、フィリップス、スタンダード・オイル・インディアナ、チグラー(−ナッタ)、TNZ(デュポン)、メタロセン又はシングルサイト触媒(SSC)と命名される。
【0229】
<2> 前記<1>項で言及されたポリマーの混合物、例えばポリプロピレンとポリイソブチレン、ポリプロピレンとポリエチレン(例えば、PP/HDPE、PP/LDPE)の混合物、及び異なる型のポリエチレンの混合物(例えば、LDPE/HDPE)。
【0230】
<3> モノオレフィン及びジオレフィンの互いの又は他のビニルモノマーとのコポリマー、例えばエチレン/プロピレンコポリマー、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)及びそれの低密度ポリエチレン(LDPE)との混合物、プロピレン/ブテ−1−エンコポリマー、プロピレン/イソブチレンコポリマー、エチレン/ブテ−1−エンコポリマー、エチレン/ヘキセンコポリマー、エチレン/メチルペンテンコポリマー、エチレン/ヘプテンコポリマー、エチレン/オクテンコポリマー、エチレン/ビニルシクロヘキサンコポリマー、エチレン/シクロオレフィンコポリマー(例えば、COC(Cyclo-Olefin Copolymer)のようなエチレン/ノルボルネン)、1−オレフィンが現場で生成されるエチレン/1−オレフィンコポリマー、プロピレン/ブタジエンコポリマー、イソブチレン/イソプレンコポリマー、エチレン/ビニルシクロヘキセンコポリマー、エチレン/アルキルアクリレートコポリマー、エチレン/アルキルメタクリレートコポリマー、エチレン/酢酸ビニルコポリマー又はエチレン/アクリル酸コポリマー及びそれらの塩(アイオノマー)、並びにエチレンとプロピレン及びへキサジエン、ジシクロペンタジエン又はエチリデン−ノルボルネンのようなジエンとのターポリマー;及びそのようなコポリマーの互いの及び1)で上述したポリマーとの混合物、例えばポリプロピレン/エチレン−プロピレンコポリマー、LDPE/エチレン−酢酸ビニルコポリマー(EVA)、LDPE/エチレン−アクリル酸コポリマー(EAA)、LLDPE/EVA、LLDPE/EAA及び交互の又はランダムのポリアルキレン/一酸化炭素コポリマー及びそれらの他のポリマー、例えばポリアミドとの混合物。
【0231】
<4> 水素化変性物(例えば粘着付与剤)を含む炭化水素樹脂(例えば炭素原子数5ないし9)及びポリアルキレン及びデンプンの混合物。
前記<1>ないし<4>項のホモポリマー及びコポリマーは、シンジオタクチック、アイソタクチック、ヘミ−アイソタクチック又はアタクチックを含むいずれの立体構造をも有し得;アタクチックポリマーが好ましい。ステレオブロックポリマーもまた含まれる。
【0232】
<5> ポリスチレン、ポリ(p−メチルスチレン)、ポリ(α−メチルスチレン)。<6> スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンの全ての異性体、とりわけp−ビニルトルエン、エチルスチレン、プロピルスチレン、ビニルビフェニル、ビニルナフタレン、及びビニルアントラセンの全ての異性体、及びそれらの混合物を含む芳香族ビニルモノマーから誘導された芳香族ホモポリマー及びコポリマー。ホモポリマー及びコポリマーはシンジオタクチック、アイソタクチック、ヘミ−アイソタクチック又はアタクチックを含むいずれの立体構造をも有し得;アタクチックポリマーが好ましい。ステレオブロックポリマーもまた含まれる。
【0233】
<6a> エチレン、プロピレン、ジエン、ニトリル、酸、マレイン酸無水物、マレイミド、酢酸ビニル及び塩化ビニル又はそのアクリル誘導体及び混合物から選択される上述された芳香族ビニルモノマー及びコモノマーを含むコポリマー、例えば、スチレン/ブタジエン、スチレン/アクリロニトリル、スチレン/エチレン(共重合体)、スチレン/アルキルメタクリレート、スチレン/ブタジエン/アルキルアクリレート、スチレン/ブタジエン/アルキルメタクリレート、スチレン/マレイン酸無水物、スチレン/アクリロニトリル/メチルアクリレート;スチレンコポリマー及び他のポリマー、例えばポリアクリレート、ジエンポリマー又はエチレン/プロピレン/ジエンターポリマーの高耐衝撃性の混合物;及びスチレン/ブタジエン/スチレン、スチレン/イソプレン/スチレン、スチレン/エチレン/ブチレン/スチレン又はスチレン/エチレン/プロピレン/スチレンのようなスチレンのブロックコポリマー。
【0234】
<6b> 前記<6>項で言及されたポリマーの水素化から誘導された水素化芳香族ポリマー、とりわけアタクチックポリスチレンを水素化することにより調製され、しばしばポリビニルシクロヘキサン(PVCH)として言及されるポリシクロヘキシルエチレン(PCHE)を含む。
<6c> 前記<6a>項で言及されたポリマーの水素化から誘導された水素化芳香族ポリマー。
ホモポリマー及びコポリマーはシンジオタクチック、アイソタクチック、ヘミ−アイソタクチック又はアタクチックを含むいずれの立体構造をも有し得;アタクチックポリマーが好ましい。ステレオブロックポリマーもまた含まれる。
【0235】
<7> スチレン又はα−メチルスチレンのような芳香族ビニルモノマーのグラフトコポリマー、例えばポリブタジエンにスチレン、ポリブタジエン−スチレン又はポリブタジエン−アクリロニトリルコポリマーにスチレン;ポリブタジエンにスチレン及びアクリロニトリル(又はメタクリロニトリル);ポリブタジエンにスチレン、アクリロニトリル及びメチルメタクリレート;ポリブタジエンにスチレン及びマレイン酸無水物;ポリブタジエンにスチレン、アクリロニトリル及びマレイン酸無水物又はマレイミド;ポリブタジエンにスチレン及びマレイミド;ポリブタジエンにスチレン及びアルキルアクリレート又はメタクリレート;エチレン/プロピレン/ジエンターポリマーにスチレン及びアクリロニトリル;ポリアルキルアクリレート又はポリアルキルメタクリレートにスチレン及びアクリロニトリル;アクリレート/ブタジエンコポリマーにスチレン及びアクリロニトリル、並びにそれらの前記<6>項に列挙されたコポリマーとの混合物、例えばABS、SAN、MBS、ASA又はAESポリマーとして既知であるコポリマー混合物。
【0236】
<8> ポリクロロプレン、塩素化ゴム、イソブチレン−イソプレンの塩素化及び臭素化コポリマー(ハロブチルゴム)、塩素化又はスルホ塩素化ポリエチレン、エチレン及び塩素化エチレンのコポリマー、エピクロロヒドリンホモ−及びコポリマー、とりわけハロゲン含有ビニル化合物のポリマー、例えばポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ボリフッ化ビニリデン、並びに塩化ビニル/塩化ビニリデン、塩化ビニル/酢酸ビニル又は塩化ビニリデン/酢酸ビニルコポリマーのようなそれらのコポリマー、のようなハロゲン含有ポリマー。
【0237】
<9> α,β−不飽和酸及びから誘導されたポリマー、及びポリアクリレート及びポリメタクリレートのようなその誘導体;ブチルアクリレートで耐衝撃改善されたポリメチルメタクリレート、ポリアクリルアミド及びポリアクリロニトリル。
【0238】
<10> 前記<9>項で言及されたモノマーの互いの又は他の不飽和モノマーとのコポリマー、例えばアクリロニトリル/ブタジエンコポリマー、アクリロニトリル/アルキルアクリレートコポリマー、アクリロニトリル/アルコキシアルキルアクリレート又はアクリロニトリル/ビニルハライドコポリマー又はアクリロニトリル/アルキルメタクリレート/ブタジエンターポリマー。
【0239】
<11> 不飽和アルコール及びアミンから誘導されたポリマー又はそれらのアシル誘導体又はアセタール、例えばポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルステアレート、ポリビニルベンゾエート、ポリビニルマレエート、ポリビニルブチラール、ポリアリルフタレート又はポリアリルメラミン;並びに前記<1>項で言及されたオレフィンとそれらのコポリマー。
【0240】
<12> ポリアルキレングリコール、ボリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド又はビスグリシジルエーテルとそれらのコポリマーのような環式エーテルのホモポリマー及びコポリマー。
【0241】
<13> ポリオキシメチレン及びコモノマーとしてエチレンオキシドを含むポリオキシメチレンのようなポリアセタール;熱可塑性ポリウレタン、アクリレート又はMBSで変性されたポリアセタール。
<14> ポリフェニレンオキシド及びスルフィド、及びポリフェニレンオキシドとスチレンポリマー又はポリアミドとの混合物。
<15> 一方はヒドロキシル基末端を有するポリエーテル、ポリエステル及びポリブタジエンと、他方は脂肪族又は芳香族のポリイソシアナートから誘導されたポリウレタン、並びにそれらの前駆体。
【0242】
<16> ジアミシとジカルボン酸から及び/又はアミノカルボン酸又は対応するラクタムから誘導されたポリアミド及びコポリアミド、例えばポリアミド4、ポリアミド6、ポリアミド6/6、6/10、6/9、6/12、4/6、12/12、ポリアミド11、ポリアミド12、m−キシレンジアミン及びアジピン酸から開始した芳香族ポリアミド;へキサメチレンジアミン及びイソフタル酸及び/又はテレフタル酸から及び変性剤としてのエラストマーを用いて又は用いずに調製されたポリアミド、例えばポリ−2,4,4−トリメチルヘキサメチレンテレフタルアミド又はポリ−m−フェニレンイソフタルアミド:及び上述されたポリアミドとポリオレフィン、オレフィンコポリマー、アイオノマー又は化学的に結合されたか又はグラフトされたエラストマーとのブロックコポリマー;又は例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール又はポリテトラメチレングリコールのようなポリエーテルとのブロックコポリマー;並びにEPDM又はABSで変性されたポリアミド又はコポリアミド;及び加工の間に縮合されたポリアミド(RIMポリアミド系)。
【0243】
<17> ポリ尿素、ポリイミド、ボリアミド−イミド、ポリエーテルイミド、ポリエステルイミド、ポリヒダントイン及びポリベンズイミダゾール。
【0244】
<18> ジカルボン酸とジオールから及び/又はヒドロキシカルボン酸又は対応するラクトンから誘導されたポリエステル、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ−1,4−ジメチロールシクロヘキサンテレフタレート、ポリアルキレンナフタレート(PAN)及びポリヒドロキシベンゾエート、並びにヒドロキシル末端ポリエーテルから誘導されたブロックコポリエーテルエステル;及びまたポリカーボネート又はMBSで変性されたポリエステル。米国特許第5,807,932号明細書(2欄、53行)で定義されたようなポリエステル及びポリエステルコポリマーは、参照としてここに組込まれる。
【0245】
<19> ポリカーボネート及びポリエステルカーボネート。
<20> ポリケトン。
<21> ポリスルホン、ポリエーテルスルホン及びポリエーテルケトン。
<22> 一成分としてのアルデヒドと他成分としてのフェノール、尿素及びメラミンとから誘導された架橋ポリマー、例えばフェノール/ホルムアルデヒド樹脂、尿素/ホルムアルデヒド樹脂及びメラミン/ホルムアルデヒド樹脂。
<23> 乾性及び非乾性アルキド樹脂。
【0246】
<24> 飽和及び不飽和ジカルボン酸と多価アルコールと架橋剤としてのビニル化合物とから誘導された不飽和ポリエステル樹脂、及び更に低燃性のそのハロゲン含有変性体。<25> 置換アクリレート、例えばエポキシアクリレート、ウレタンアクリレート又はポリエステルアクリレートから誘導された架橋性アクリル樹脂。
<26> メラミン樹脂、尿素樹脂、イソシアネート、イソシアヌレート、ポリイソシアネート又はエポキシ樹脂を用いて架橋されたアルキド樹脂、ポリエステル樹脂及びアクリレート樹脂。
【0247】
<27> 脂肪族、脂環式、複素環式又は芳香族グリシジル化合物から誘導された架橋エポキシ樹脂、例えば、促進剤を用いて又は用いずに、無水物又はアミンのような慣例の硬化剤で架橋されている、ビスフェノールA及びビスフェノールFのグリシジルエーテル生成物。
<28> 天然ポリマー、例えばセルロース、ゴム、ゼラチン及び化学的に変性されたそれらの同族列の誘導体、例えばセルロースアセテート、セルロースプロピオネート及びセルロースブチレート、又はセルロースエーテル、例えばメチルセルロース;並びにロジン及びそれらの誘導体。
【0248】
<29> 上述のポリマーの配合物(ポリブレンド)、例えばPP/EPDM、ポリアミド/EPDM又はABS、PVC/EVA、PVC/ABS、PVC/MBS、PC/ABS、PBTP/ABS、PC/ASA、PC/PBT、PVC/CPE、PVC/アクリレート、POM/熱可塑性PUR、PC/熱可塑性PUR、POM/アクリレート、POM/MBS、PPO/HIPS、PPO/PA6.6及びコポリマー、PA/HDPE、PA/PP、PA/PPO、PBT/PC/ABS又はPBT/PET/PC。
【0249】
<30> 純粋なモノマー状化合物又は前記化合物の混合物である天然及び合成有機材料、例えば鉱油、動物及び植物脂肪、油及びワックス、又は合成エステル(例えばフタレート、アジペート、ホスフェート又はトリメリテート)をベースとする油、脂肪及びワックス、及び更に何れかの質量比の合成エステルと鉱油との混合物、代表的には繊維紡糸組成物として使用される混合物、並びに前記材料の水性エマルジョン。
【0250】
<31> 天然又は合成ゴムの水性エマルジョン、例えば天然ラテックス又はカルボキシル化スチレン/ブタジエンコポリマーのラテックス。
<32> ポリシロキサン類、例えば、アメリカ合衆国特許第4259467号明細書に記載された軟質、親水性のポリシロキサン、及び、例えば、アメリカ合衆国特許第4355147号明細書に記載された硬質ポリオルガノシロキサン。
【0251】
<33> 不飽和アクリルポリアセトアセテート樹脂と又は不飽和アクリル樹脂と組み合わせたポリケチミン。前記不飽和アクリル樹脂はウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ペンダント不飽和基を持つビニル若しくはアクリルコポリマー、及びアクリル化されたメラミンを包含する。前記ポリケチミンは、酸触媒の存在下で、ポリアミンとケトンから製造される。
<34> エチレン性不飽和モノマー又はオリゴマー及び多不飽和脂肪族オリゴマーを含む輻射線硬化性組成物。
<35> LSE−4103[商品名、モンサント(Monsanto)社製]のようなエポキシ官能性の共エーテル化された高固形分メラミン樹脂により架橋された光安定化エポキシ樹脂のようなエポキシメラミン樹脂。
【0252】
本発明の紫外線吸収剤組成物に用いられる高分子物質は、合成ポリマーである場合が好ましく、ポリオレフィン、アクリル系ポリマー、ポリエステル、ポリカーボネート、セルロースエステルがより好ましい。中でも、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(4−メチルペンテン)、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、トリアセチルセルロースが特に好ましい。
本発明の紫外線吸収剤組成物に用いられる高分子物質は、熱可塑性樹脂であることが好ましい。
【0253】
本発明の紫外線吸収剤組成物が使用される高分子材料は、上記の高分子物質及び紫外線吸収剤組成物に加えて、必要に応じて酸化防止剤、光安定剤、加工安定剤、老化防止剤、相溶化剤等の任意の添加剤を適宜含有してもよい。
【0254】
本発明の紫外線吸収剤組成物が使用される高分子材料は前記高分子物質を用いてなる。当該高分子材料は、前記高分子物質のみから形成されたものでもよく、また、前記高分子物質を任意の溶媒に溶解して形成されたものでもよい。
本発明の紫外線吸収剤組成物が使用される高分子材料は、合成樹脂が使用される全ての用途に使用可能であるが、特に日光又は紫外線を含む光に晒される可能性のある用途に特に好適に使用できる。具体例としては、例えばガラス代替品とその表面コーティング材、住居、施設、輸送機器等の窓ガラス、採光ガラス及び光源保護ガラス用のコーティング材、住居、施設、輸送機器等の内外装材及び内外装用塗料、蛍光灯、水銀灯等の紫外線を発する光源用部材、精密機械、電子電気機器用部材、各種ディスプレイから発生する電磁波等の遮断用材、食品、化学品、薬品等の容器又は包装材、農工業用シート又はフィルム材、印刷物、染色物、染顔料等の退色防止剤、日焼け止めクリーム、シャンプー、リンス、整髪料等の化粧品、スポーツウェア、ストッキング、帽子等の衣料用繊維製品及び繊維、カーテン、絨毯、壁紙等の家庭用内装品、プラスチックレンズ、コンタクトレンズ、義眼等の医療用器具、光学フィルタ、プリズム、鏡、写真材料等の光学用品、テープ、インク等の文房具、標示板、標示器等とその表面コーティング材等を挙げることができる。
【0255】
当該高分子材料の形状としては、平膜状、粉状、球状粒子、破砕粒子、塊状連続体、繊維状、管状、中空糸状、粒状、板状、多孔質状などのいずれの形状であってもよい。シート状である場合は、基材シートと、該基材シートの少なくとも片面に表面層を有する多層シートであることも好ましい。
【0256】
当該高分子材料は、本発明の紫外線吸収剤組成物を含有しているため、優れた耐光性(紫外光堅牢性)を有しており、紫外線吸収剤の析出や長期使用によるブリードアウトが生じることがない。また、当該高分子材料は、優れた長波紫外線吸収能を有するので、紫外線吸収フィルタや容器として用いることができ、紫外線に弱い化合物などを保護することもできる。例えば、前記高分子物質を押出成形又は射出成形などの任意の方法により成形することで、当該高分子材料からなる成形品(例えば容器や多層シートなど)を得ることができる。また、別途作製した成形品に前記高分子物質の溶液を塗布・乾燥することで、当該高分子材料からなる紫外線吸収膜がコーティングされた成形品を得ることもできる。
【0257】
積層構造を有する成形品、例えば多層シートは押出成形法(共押出)により製造できる。押出機の種類にも特に限定はなく、単軸押出機、二軸押出機など従来公知の押出機はいずれも使用可能である。具体的には、基材シート、表面層、あるいはその他の層を構成する成形材料を、各押出機に備えられたホッパーから押出機内(加熱シリンダー)に供給し、これを加熱混練しながら軟化させ、各層を構成する成形材料を一つの共通ダイに送り込み、当該ダイから押し出されたフィルム状の成形品を、冷却しつつ引き取り装置に巻き取り、所定の形状に切断することで、基材シート上に表面層を有する成形品(多層シート)が得られる。多層シート、例えば共押出によって製造される多層シートはそのいずれかの層に紫外線吸収剤を含有させることにより耐光性を向上できることが知られている。例えば特開2011−88884号公報に記載されている下記一般式(B)の化合物を含有させることで耐光性を向上させることができ、下記式(B−1)の化合物がより好ましく用いられ、本発明の紫外線吸収剤組成物も好ましく用いられる。
【0258】
【化57】

【0259】
上記一般式(B)において、R1a、R1b、R1c、R1d、R1eは、互いに独立して、水素原子、又はOHを除く1価の置換基を表し、置換基のうち少なくとも1つは、ハメット則のσp値が正である置換基を表す。また置換基同士で結合して環を形成しても良い。R1f、R1g、R1h、R1i、R1jは、互いに独立して、水素原子又はOHを除く1価の置換基を表す。また置換基同士で結合して環を形成しても良い。R1k、R1m、R1n、R1pは、互いに独立して、水素原子又は1価の置換基を表す。また置換基同士で結合して環を形成しても良い。
【0260】
本発明の紫外線吸収剤組成物が使用される高分子材料を紫外線吸収フィルタや紫外線吸収膜として用いる場合、高分子物質は透明であることが好ましい。透明高分子材料の例としては、セルロースエステル(例、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース(TAC)、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース、ニトロセルロース)、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル(例、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−1,2−ジフェノキシエタン−4,4’−ジカルボキシレート、ポリブチレンテレフタレート)、ポリスチレン(例、シンジオタクチックポリスチレン)、ポリオレフィン(例、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン)、ポリメチルメタクリレート、シンジオタクチックポリスチレン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルイミド及びポリオキシエチレンなどが挙げられる。好ましくはセルロースエステル、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリオレフィン、アクリル樹脂である。これらの樹脂は加工方法に応じて変性された樹脂であることも好ましく、例えば共押出により多層シートを得る場合であれば、シリコーン変性されたポリカーボネートが好ましく用いられる。本発明の高分子材料は透明支持体として用いることもでき、透明支持体の透過率は80%以上であることが好ましく、86%以上であることが更に好ましい。
【0261】
本発明の紫外線吸収剤組成物は、任意のバインダー成分と組み合わせて塗料とすることができる。バインダー成分として好ましくは、塩化ゴム樹脂系、フェノール樹脂系、アルキド樹脂系、アミノアルキド樹脂系、尿素樹脂系、ビニル樹脂系、アクリル樹脂系、ポリエステル樹脂系、エポキシ樹脂系、ポリウレタン樹脂系、シリコーン樹脂系、ケイ素樹脂系、フッ素樹脂系、シラザン樹脂系、メラミン樹脂系などの樹脂であることが好ましく、アクリルシリコーン樹脂系、アクリルウレタン樹脂系などの複合樹脂であることも好ましい。
【0262】
本発明の紫外線吸収剤組成物を用いた塗料は、用途に応じて、鉄鋼、非鉄金属、軽金属、木、ガラス、コンクリート、樹脂、ゴム、皮革、紙、皮膚などの任意の基材に塗設し、被膜を形成し、所望の部材とすることができる。好ましい基材の例としては、木、ガラス、樹脂、ゴム、紙を挙げることができ、樹脂又はゴムがより好ましい。
【0263】
基材として用いる樹脂としては、いかなる樹脂を用いてもよいが、好ましくは、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂(好ましくはポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂)などを挙げることができ、シリコーン変性ポリカーボネート樹脂のような変性樹脂や、エチレン−酢酸ビニル共重合体のような共重合体や、ポリマーアロイなどであることも好ましい。
【0264】
本発明の紫外線吸収剤組成物を用いた塗料における紫外線吸収剤組成物の含有量(質量%)は好ましくは0.01質量%〜20質量%であり、より好ましくは0.01質量%〜10質量%であり、更に好ましくは0.05質量%〜10質量%であり、特に好ましくは0.05質量%〜5質量%である。
本発明の紫外線吸収剤組成物を用いた塗料を塗設することによって形成される被膜における紫外線吸収剤組成物の含有量は含有量(質量%)は好ましくは0.01質量%〜20質量%であり、より好ましくは0.05質量%〜20質量%であり、更に好ましくは0.05質量%〜15質量%であり、最も好ましくは、0.1〜15質量%である。
【0265】
被膜は、用途に応じて、任意の厚みで塗設することができるが、最終的な被膜の厚みとして、好ましくは0.1〜10000μm、より好ましくは0.1〜2000μmであり、更に好ましくは1〜1000μm、さらに好ましくは5〜1000μmであり、さらに好ましくは5〜200μmである。これら塗料を塗布する方法は任意であるが、スプレー法、ディッピング法、ローラーコート法、フローコーター法、流し塗り法、電着コート法、粉末流動塗装法、はけによる塗布、ブレードによる塗布などがある。
塗布後の乾燥は、塗料成分によって異なるが、自然乾燥、加熱乾燥(概ね室温〜120℃で10〜90分程度)を行うことができる。
なお、バインダー成分が、熱硬化型である場合は、加熱(一般的には100℃以上10分)することにより、紫外線や電子線硬化などの光硬化型である場合は、所望の光や電子線を照射することで、塗膜を硬化させる。
【0266】
本発明の塗料用組成物による被膜は、どのような形態で塗設されてもよく、いわゆる下塗り、中塗りなどとして被膜を形成してもよい。好ましくは上塗り塗装として被塗装体を紫外線の悪影響から守るために塗設される。
【0267】
本発明の紫外線吸収剤組成物を用いた塗料の形態としては、粉体塗料、水溶性塗料、エマルジョン塗料、非水ディスパージョン塗料、ゾル系塗料、多液系塗料、調合ペイントなどが挙げられる。
【0268】
本発明の紫外線吸収剤組成物を用いた塗料は、塗料に一般的に使用されている任意の添加剤を含有してもよく、添加剤としては、例えば、顔料、硬化剤、希釈剤、アクリル樹脂、シリコーン樹脂などのレベリング剤、シリコーン系、アクリル系等のはじき防止剤、皮はり防止剤、揺変剤、消泡剤、色分かれ防止剤、平滑剤、湿潤剤、分散剤、増粘剤、沈降防止剤、重合防止剤、構造粘性付与剤、静電塗装性改良剤、タレ防止剤、硬化促進剤、酸化防止剤、光安定剤、防汚剤、難燃剤、塗布助剤などを挙げることができる。
【0269】
本発明は、紫外線吸収剤組成物を含有する塗料を硬化してなる膜にも関する。また、本発明は、基材上に、紫外線吸収剤組成物を含有する塗料を硬化してなる膜を有する、紫外線吸収部材にも関する。
【実施例】
【0270】
以下、本発明を実施例に基づき更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0271】
本発明を実施例によって更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されない。
合成例1(例示化合物(1)の調製)
サリチルアミド160.0gにアセトニトリル600mLとDBU(ジアザビシクロウンデセン(1,8−diazabicyclo[5.4.0]undec−7−ene))356.2gを添加し溶解させた。この溶液に4−(クロロホルミル)安息香酸メチル231.7gを添加し、室温で24時間攪拌した。この反応液に水1800mLと35%塩酸170mLを添加し、得られた固体を濾過、水洗浄して合成中間体Aを343.0g得た(収率98%)。
【0272】
【化58】

【0273】
合成中間体A200.0gにアセトニトリル1200mLと硫酸98.1gを添加し、90℃で4時間攪拌した。この反応液にトリエチルアミン600mLを添加し、室温まで冷却した。得られた固体を濾過、水洗浄して合成中間体Bを182.3g得た(収率97%)。
【0274】
【化59】

【0275】
【化60】

【0276】
(X−2の合成)
3つ口フラスコに、アセトキシム39.5g(1.1モル当量)、DMF(N,N−ジメチルホルムアミド)600mL、カリウム−t−ブトキシド60.6g(1.1モル当量)を入れて室温で30分攪拌した。その後、内温を0℃とし、そこへ化合物(X−1)60g(1.0モル当量)をゆっくり滴下した。滴下後、内温を25℃まで昇温し、その温度で1時間攪拌した。
反応混合物を塩化アンモニウム水溶液と酢酸エチルで抽出・分液操作を行い、得られた有機相に飽和食塩水を加えて洗浄し分液した。こうして得られた有機相を、ロータリーエバポレータで濃縮して得られた残留物を化合物(X−2)の粗生成物として得た。
【0277】
(X−3の合成)
3つ口フラスコに、上記で得られた化合物(X−2)の粗生成物を全量を入れ、エタノール700mLと1Mの塩酸水500mLを加えて、反応混合物を内温80℃まで昇温しその温度で3時間攪拌した。
反応混合物を内温25℃まで冷却し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と酢酸エチルで抽出・分液操作を行い、得られた有機相に飽和食塩水を加えて洗浄し分液した。こうして得られた有機相を、ロータリーエバポレータで濃縮して得られた残留物を化合物(X−3)の粗生成物として得た。
【0278】
(X−4の合成)
3つ口フラスコに、フラスコ内を窒素ガスで満たした後に10%Pd−C(和光純薬工業社製)を6.5g添加し、エタノールを2,000mL、上記で得られた化合物(X−3)の粗成生物を全量加えて加熱・還流した。そこへギ酸55mL(3モル当量)をゆっくり滴下し、この温度で5時間攪拌した。その後反応混合物を内温25℃まで冷却し、セライトろ過を行い炉別した母液に1,5−ナフタレンジスルホン酸を105g加えて、内温を70℃まで昇温し、30分攪拌した。その後、徐々に室温まで冷却して結晶を濾別し化合物(X−4)を100g得た。収率は化合物(X−1)を出発物質として72%であった。得られた結晶は、淡茶色であった。H NMR(重DMSO):δ6.95−6.98(1H)、δ7.02−7.04(1H)、δ7.40−7.51(3H)、δ7.90−7.95(1H)、δ8.75(1H)、δ8.85−8.88(2H)、δ9.03(2H)、δ10.89(1H)
【0279】
化合物(X−4)5.5gにメタノール50mLと28%ナトリウムメトキシドメタノール溶液3.8gを添加した。この溶液に合成中間体B5.0gを添加し、60℃で3時間攪拌した。この反応液を室温まで冷却した後、塩酸を0.2mL添加した。得られた固体を濾過、水とメタノールで洗浄して例示化合物(1)を6.8g得た(収率95%)。MS:m/z 400(M+)H NMR(CDCl):δ7.04−7.12(4H),δ7.53−7.57(2H),δ8.24−8.27(2H),δ8.51−8.53(4H),δ12.91(2H) λmax=353nm(EtOAc)
【0280】
合成例2(例示化合物(m−2)の調製)
サリチル酸300gをトルエン600mLに懸濁させ、塩化チオニル258gとDMF7mLを加え、50℃で2時間攪拌した(溶液A)。サリチルアミド299.0gにアセトニトリル900mLとDBU(ジアザビシクロウンデセン(1,8−diazabicyclo[5.4.0]undec−7−ene))660gを添加し溶解させた溶液に、調製した溶液Aを5℃条件下で滴下し、その後、室温下で24時間攪拌した。この反応液に35%塩酸300mLを添加し、室温で2時間攪拌した。得られた固体を濾過、水洗浄して合成中間体Cを504g得た(収率90%)。
【0281】
【化61】

【0282】
合成中間体C140gにトルエン1400mLとp−トルエンスルホン酸一水和物10.5gを添加し、150℃で6時間攪拌した。60℃まで冷却後、この反応液にトリエチルアミン14mLを添加し、室温まで冷却した。得られた固体を濾過、水洗浄して合成中間体Dを122g得た(収率94%)。
【0283】
【化62】

【0284】
イソフタロニトリル401gにメタノール8000mLと28%ナトリウムメトキシドメタノール溶液309gを加え、室温で3時間攪拌した。この反応液に塩化アンモニウム428gを加え、室温で24時間攪拌した。この反応液をロータリーエバポレーターで濃縮し、得られた固体をメタノールと酢酸エチルで洗浄して、水で再結晶することにより合成中間体Eを310g得た(収率55%)。
【0285】
【化63】

【0286】
合成中間体E42gにメタノール1000mLと28%ナトリウムメトキシドメタノール溶液44gを加えた。この懸濁液に室温下で合成中間体Dを50g添加し、室温で2時間、60℃で2時間攪拌した。この反応液に35%塩酸2mLを加え、得られた固体をメタノールと水で洗浄することにより例示化合物(m−2)を74g得た(収率96%)。MS:m/z 367(M+)H NMR(CDCl):δ7.07−7.14(4H),δ7.56−7.60(2H),δ7.75−7.79(1H),δ7.96−7.98(1H),δ8.51−8.53(2H),δ8.67−8.69(1H),δ8.80(1H),δ12.76(1H)λmax=354nm(EtOAc)
【0287】
合成例3(例示化合物(m−1)の調製)
例示化合物(m−2)100gにメタノール1000mLを加え、60℃で塩化水素ガスを24時間バブリングしながら攪拌した。室温まで冷却後、得られた固体をメタノールと水で洗浄することにより例示化合物(m−1)を99g得た(収率91%)。MS:m/z 400(M+)H NMR(CDCl):δ4.03(3H),δ7.05−7.13(4H),δ7.53−7.58(2H),δ7.69−7.73(1H),δ8.34−8.36(1H),δ8.54−8.56(2H),δ8.62−8.64(1H),δ9.12(1H),δ12.93(1H)λmax=353nm(EtOAc)
【0288】
合成例4(例示化合物(m−20)の調製)
例示化合物(m−2)25gに2−エチルヘキサノール200gと硫酸13gを添加し、還流条件下で16時間攪拌した。室温まで冷却後、得られた固体をメタノールと水で洗浄して例示化合物(m−20)を31g得た(収率92%)。MS:m/z 498(M+)H NMR(CDCl):δ0.90−0.94(3H),δ1.00−1.04(3H),δ1.38−1.63(8H),δ1.77−1.83(1H),δ4.30−4.39(2H),δ7.04−7.12(4H),δ7.53−7.55(2H),δ7.57−7.58(1H),δ7.71−7.73(1H),δ8.34−8.36(2H),δ8.54−8.65(1H),δ9.16(1H),δ12.94(2H)λmax=354nm(EtOAc)
【0289】
合成例5(例示化合物(m−21)の調製)
例示化合物(m−2)25gに3,5,5−トリメチル−1−ヘキサノール200gと硫酸13gを添加し、還流条件下で16時間攪拌した。室温まで冷却後、得られた固体をメタノールと水で洗浄して例示化合物(m−21)を32g得た(収率91%)。MS:m/z 512(M+)H NMR(CDCl):δ0.88−0.93(9H),δ1.07−1.08(3H),δ1.14−1.92(1H),δ1.32−1.37(1H),δ1.67−1.88(3H),δ4.40−4.45(2H),δ6.99−7.06(4H),δ7.48−7.53(2H),δ7.64−7.68(1H),δ8.29−8.32(1H),δ8.46−8.57(3H),δ9.08(1H),δ12.86(2H)λmax=354nm(EtOAc)
【0290】
合成例6(例示化合物(21)の調製)
例示化合物(1)10gに2−エチルヘキサノール31.6g、NaOMe0.13gとキシレン100mLを添加し、減圧下90℃で6時間攪拌した。この反応液に水と酢酸エチルを添加して攪拌し、分液した有機相を濃縮した。得られた残渣をヘキサン/イソプロピルアルコール(体積比で1:10)で晶析することで例示化合物(21)を11.7g得た(収率95%)。MS:m/z 498(M+)
【0291】
合成例7(例示化合物(24)の調製)
例示化合物(1)10gにファインオキソコール180N(日産化学化学工業製)9.8g、NaOMe0.13gとキシレン100mLを添加し、減圧下90℃で6時間攪拌した。この反応液に水と酢酸エチルを添加して攪拌し、分液した有機相を濃縮した。得られた残渣をヘキサン/イソプロピルアルコール(体積比で1:10)で晶析することで例示化合物(24)を14.5g得た(収率92%)。MS:m/z 638(M+)
NMR(CDCl):δ0.75−1.90(35H),δ4.30−4.32(2H),δ7.05−7.12(4H),δ7.52−7.58(2H),δ8.25−8.27(2H),δ8.53−8.56(4H),δ12.92(2H)λmax=354nm(EtOAc)
【0292】
<pKaの測定法>
例示化合物(1)を吸光度が1となるようにアセトニトリルに溶解させ、この溶液に70%過塩素酸(酢酸溶媒)を滴下し、pHを変化させていった。その際の溶液吸収スペクトルを測定し、λmaxにおける吸光度から各pHにおけるトリアジンフリー体とプロトン付加体の比率を計算した。その値が等しくなる点よりpKaの値を求めた。ここで、トリアジンフリー体とは、例示化合物(1)そのものを表し、プロトン付加体とは、例示化合物(1)のトリアジン環の窒素原子にプロトンが付加したものを表す。同様にして例示化合物(2)、(3)、(21)、(24)、(m−1)、(m−2)、(m−3)、(m−21)、(m−25)及び(m−20)についてpKaの値を求めた。吸収スペクトルは、島津製作所製分光光度計UV−3600(商品名)を用いて測定した。pHは、東亜電波工業製pHメーター計HM60G(商品名)を用いて測定した。なお、吸光度はそれぞれの化合物の極大吸収波長で測定した値である。結果を表1に示す。
【0293】
【表1】

【0294】
[紫外線吸収剤組成物の耐光性評価]
例示化合物(2)(紫外線吸収剤)と例示化合物(TI−53)とを質量比1:1で混合し、紫外線吸収剤組成物試料101を調製した。同様にして、下記表2及び表3に示す組み合わせで試料102〜131を調製した。
【0295】
比較例に用いる紫外線吸収剤として、下記A1及びA2を用いた。
【0296】
【化64】

【0297】
上記化合物は市販で入手可能なものであり、例A1はCiba社製 Tinuvin1577FF、例A2はCYTEC社製 CYASORB UV-1164である。
得られた試料を、一般式(1)で表される化合物の濃度が6.2×10−5mol/Lとなる量で酢酸エチルに溶解し,酢酸エチル溶液を調製した。得られた酢酸エチル溶液に対して、メタルハライドランプ(約290nm以下カットフィルター存在下)(商品名:アイスーパーUVテスター、岩崎電気製)で照度90mW/cm、温度63℃、湿度50%の条件で光照射し、化合物の残存率が試験前の90%になるまでの時間の相対値を求めた(比較例1を100とした)。紫外線吸収剤の残存率は次式に従い計算した。
残存率(%)=100×(光照射後の吸光度)/(光照射前の吸光度)
なお、吸光度はそれぞれの化合物の波長300nm以上における極大吸収波長で測定した値である。吸光度は、U−4100スペクトロフォトメーター(商品名)(日立ハイテクノロジーズ(株)製)で測定した。結果を表2及び表3に示す。
【0298】
【表2】

【0299】
【表3】

【0300】
[紫外線吸収剤組成物を含有する樹脂組成物の作製と耐光性評価]
塩化メチレンにポリメタクリル酸メチル(PMMA)樹脂(商品名:ダイヤナール(登録商標)BR−80、三菱レイヨン社製)を22質量%溶解し、バインダー溶液を調製した。次に、当該バインダー溶液に前述の紫外線吸収剤組成物試料101〜111、114、115、123〜127を下記表4に示す量(バインダー溶液の全質量に対する質量%)で添加し塗布液を調製した。ガラスを基材とし、その上に上記塗布液を200μmのブレードにより塗布し、10分間100℃で乾燥させ、膜厚50μmの被膜を形成して、フィルム試料201〜211、214、215、223〜227を作製した。これらのフィルム試料に対して、メタルハライドランプ(約290nm以下カットフィルター存在下)(商品名:アイスーパーUVテスター、岩崎電気社製)で照度90mW/cm、温度63℃、湿度50%の条件で光照射し、紫外線吸収剤の残存率が試験前の90%になるまでの時間の相対値をそれぞれ比較した。残存率は次式に従い計算した。
残存率(%)=100×(照射後の吸光度)/(照射前の吸光度)
なお、吸光度はそれぞれの化合物の波長300nm以上における極大吸収波長で測定した値である。吸光度は、U−4100スペクトロフォトメーター(商品名)(日立ハイテクノロジーズ(株)製)で測定した。結果を表4に示す。
【0301】
【表4】

【0302】
[紫外線吸収剤組成物を含有する樹脂組成物からなる成形板の作製と耐光性評価]
ポリメタクリル酸メチル(PMMA)樹脂(商品名:ダイヤナール(登録商標)BR−80、三菱レイヨン社製)と紫外線吸収剤組成物試料を下記表5の添加量で混合し,ベント式押出機で230℃にて溶融混合し、常法によって成形用ペレットを作製した。このペレットを80℃で3時間乾燥処理した後、射出成形機で厚さ1mmの成形板を作製した。これらの成形板に対して、メタルハライドランプ(約290nm以下カットフィルター存在下)(商品名:アイスーパーUVテスター、岩崎電気社製)で照度90mW/cm、温度63℃、湿度50%の条件で光照射し、紫外線吸収剤の残存率が試験前の90%になるまでの時間の相対値をそれぞれ比較した。残存率は次式に従い計算した。
残存率(%)=100×(照射後の吸光度)/(照射前の吸光度)
なお、吸光度はそれぞれの化合物の波長300nm以上における極大吸収波長で測定した値である。吸光度は、U−4100スペクトロフォトメーター(商品名)(日立ハイテクノロジーズ(株)製)で測定した。結果を下記表5に示す。
【0303】
【表5】

【0304】
成形板試料326は添加した試料の析出によってヘイズが生じたため,試験できなかった。
【0305】
[紫外線吸収剤組成物を塗布したPETフィルムの作製と耐光性評価]
塩化メチレンにポリメタクリル酸メチル(PMMA)樹脂(商品名:ダイヤナール(登録商標)BR−80、三菱レイヨン社製)を22質量%溶解し、バインダー溶液を調製した。次に、当該バインダー溶液に前述の紫外線吸収剤組成物試料101〜111、114、115、123、124、127、129、131を下記表6に記載の濃度(バインダー溶液に対する質量%)で添加し塗布液を調製した。厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを基材とし、その上に上記塗布液を200μmのブレードにより塗布し、10分間100℃で乾燥させ、膜厚25μmの被膜を形成して、フィルム試料401〜420を作製した。これらのフィルム試料に対して、メタルハライドランプ(約290nm以下カットフィルター存在下)(商品名:アイスーパーUVテスター、岩崎電気社製)で照度90mW/cm、温度63℃、湿度50%の条件で500時間光照射し基材の黄変を目視で判断した。
黄変が著しい場合を×、弱い黄変が発生している場合を△、目視で黄変が判断できない場合を○と判断した。
結果を下記表6に示す。
【0306】
【表6】

【0307】
[紫外線吸収剤組成物を塗布したPENフィルムの作製と耐光性評価]
塩化メチレンにポリメタクリル酸メチル(PMMA)樹脂(商品名:ダイヤナール(登録商標)BR−80、三菱レイヨン社製)を22質量%溶解し、バインダー溶液を調製した。次に、当該バインダー溶液に前述の紫外線吸収剤組成物試料101〜111、114、115、123〜126、128、130、131を下記表7に記載の濃度(バインダー溶液に対する質量%)で添加し塗布液を調製した。厚さ63μmのポリエチレンナフタレート(帝人デュポンフィルム社製テオネックスQタイプ)を基材とし、その上に上記塗布液を200μmのブレードにより塗布し、10分間100℃で乾燥させ、膜厚25μmの被膜を形成して、フィルム試料501〜520を作製した。これらのフィルム試料に対して、メタルハライドランプ(約290nm以下カットフィルター存在下)(商品名:アイスーパーUVテスター、岩崎電気社製)で照度90mW/cm、温度63℃、湿度50%の条件で500時間光照射し基材の黄変を目視で判断した。
黄変が著しい場合を×、弱い黄変が発生している場合を△、目視で黄変が判断できない場合を○と判断した。
結果を下記表7に示す。
【0308】
【表7】

【0309】
(被膜への溶解性試験)
塩化メチレンにポリメタクリル酸メチル(PMMA)樹脂(商品名:ダイヤナール(登録商標)BR−80、三菱レイヨン社製)を22質量%溶解し、バインダー溶液を調製した。次に、当該バインダー溶液に下記表8に記載の紫外線吸収剤と化合物を表8に記載の質量比で含有する紫外線吸収剤組成物試料をバインダー溶液に対する質量%で、1.0質量%添加し、塗布液を調整した。ガラスを基材とし、その上に上記塗布液を200μmのブレードにより塗布し、10分間100℃で乾燥させ、膜厚20μmの被膜を形成した。得られた被膜を室温暗所で120時間静置したのち顕微鏡で紫外線吸収剤の結晶を観察した。
結晶が全く見られないものを◎、顕微鏡でのみ結晶が見られたものを○、目視で結晶が確認できたものを△とした。
【0310】
【表8】

【0311】
本発明の紫外線吸収剤組成物を使用した溶液、フィルム、成形板ともに、比較例に比して長期に耐光性に優れ、かつ被膜中への溶解性に優れることが確認できた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表される化合物と、下記一般式(TS−I)〜(TS−V)のいずれかで表される化合物のうち少なくとも1種とを含む紫外線吸収剤組成物。
【化1】


[R1a、R1b、R1c、R1d及びR1eは、互いに独立して、水素原子又はヒドロキシ基を除く1価の置換基を表し、置換基のうち少なくとも1つは、ハメット則のσp値が正である置換基を表す。また置換基同士で結合して環を形成しても良い。R1g、R1h、R1i、R1j、R1k、R1m、R1n及びR1pは、互いに独立して、水素原子又は1価の置換基を表す。また置換基同士で結合して環を形成しても良い。]
【化2】


〔一般式(TS−I)中、R91は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルキルカルボニル基、アルケニルカルボニル基、アルキルオキシカルボニル基、アルケニルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ホスフィノトリル基、ホスフィニル基、又は−Si(R97)(R98)(R99)を表す。ここで、R97、R98、及びR99は互いに同一でも異なってもよく、それぞれ独立にアルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、又はアリールオキシ基を表す。X91は−O−、−S−又は−N(−R100)−を表す。ここで、R100はR91と同義である。R92、R93、R94、R95、及びR96は互いに同一でも異なってもよく、それぞれ独立に水素原子又は置換基を表す。R91とR92、R100とR96、R91とR100は互いに結合して5〜7員環を形成していてもよい。更に、R92とR93、R93とR94が互いに結合して、5〜7員環又はスピロ環、ビシクロ環を形成してもよい。但し、R91、R92、R93、R94、R95、R96、及びR100のすべてが水素原子であることはなく、R91、R92、R93、R94、R95、R96、及びR100を含め、(TS−I)の総炭素数は9以上である。
一般式(TS−II)中、R101、R102、R103、及びR104は各々独立に、水素原子、アルキル基、又はアルケニル基を表し、R101とR102、R103とR104は結合し、5〜7員環を形成してもよい。X101は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキルオキシ基、アルケニルオキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アルケニルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基、アルキルオキシカルボニルオキシ基、アルケニルオキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アルキルスルホニル基、アルケニルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキル若しくはアルケニルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、スルファモイル基、カルバモイル基、ヒドロキシ基、又はオキシラジカル基を表す。X102は5〜7員環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。
一般式(TS−III)中、R105及びR106は各々独立に、水素原子、脂肪族基、アシル基、脂肪族オキシカルボニル基、芳香族オキシカルボニル基、脂肪族スルホニル基、又は芳香族スルホニル基を表し、R107は脂肪族基、脂肪族オキシ基、芳香族オキシ基、脂肪族チオ基、芳香族チオ基、アシルオキシ基、脂肪族オキシカルボニルオキシ基、芳香族オキシカルボニルオキシ基、置換アミノ基、複素環基、又はヒドロキシ基を表し、R105とR106、R106とR107、R105とR107は互いに結合し、5〜7員環を形成してもよいが、2,2,6,6−テトラアルキルピペリジン骨格を形成する場合を除く。但し、R105及びR106の両方が水素原子であることはなく、R105とR106の総炭素数は7以上である。
一般式(TS−IV)中、R111及びR112は各々独立に脂肪族基を表し、該脂肪族基は更に置換基を有してもよい。R111とR112は互いに結合し、5〜7員環を形成してもよい。nは0、1、又は2を表す。但し、R111とR112の総炭素数は10以上である。
一般式(TS−V)中、R121及びR122は各々独立に脂肪族オキシ基、又は芳香族オキシ基を表し、R123は脂肪族基、芳香族基、脂肪族オキシ基、又は芳香族オキシ基を表し、mは0又は1を表す。R121とR122、R121とR123は互いに結合し、5〜8員環を形成してもよい。但し、R121、R122、R123の総炭素数は10以上である。]
【請求項2】
前記一般式(1)における1価の置換基が、ハロゲン原子、置換又は無置換の炭素数1〜20のアルキル基、シアノ基、カルボキシル基、置換又は無置換のアルコキシカルボニル基、置換又は無置換のカルバモイル基、置換又は無置換のアルキルカルボニル基、ニトロ基、置換又は無置換のアミノ基、ヒドロキシ基、炭素数1〜20のアルコキシ基、置換又は無置換のアリールオキシ基、置換又は無置換のスルファモイル基、チオシアネート基、又は置換又は無置換のアルキルスルホニル基であり、置換基を有する場合の置換基がハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、シアノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルカルボニル基、ニトロ基、アミノ基、ヒドロキシ基、炭素数1〜20のアルコキシ基、アリールオキシ基、スルファモイル基、チオシアネート基、又はアルキルスルホニル基である、請求項1に記載の紫外線吸収剤組成物。
【請求項3】
前記一般式(1)におけるR1cが、ハメット則のσp値が正である置換基である、請求項1又は2に記載の紫外線吸収剤組成物。
【請求項4】
前記一般式(1)におけるR1a、R1c及びR1eが水素原子を表し、R1b及びR1dが互いに独立して水素原子又はハメット則のσp値が正である置換基を表し、R1b及びR1dのうち少なくとも1つは、ハメット則のσp値が正である置換基である、請求項1又は2に記載の紫外線吸収剤組成物。
【請求項5】
前記ハメット則のσp値が、0.1〜1.2の範囲である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の紫外線吸収剤組成物。
【請求項6】
前記ハメット則のσp値が正である置換基が、COOR、CONR、シアノ基、トリフルオロメチル基、ハロゲン原子、ニトロ基及びSOM[R及びRは各々独立に、水素原子又は1価の置換基を表す。Mは水素原子又はアルカリ金属を表す。]より選択される基である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の紫外線吸収剤組成物。
【請求項7】
前記ハメット則のσp値が正である置換基がCOOR[Rは、水素原子又は1価の置換基を表す。]である、請求項1〜4、又は6のいずれか1項に記載の紫外線吸収剤組成物。
【請求項8】
前記一般式(1)におけるR1cがシアノ基である、請求項1〜3、5〜7のいずれか1項に記載の紫外線吸収剤組成物。
【請求項9】
前記一般式(1)におけるR1h又はR1nが水素原子である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の紫外線吸収剤組成物。
【請求項10】
前記一般式(1)におけるR1g、R1h、R1i、R1j、R1k、R1m、R1n及びR1pが水素原子である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の紫外線吸収剤組成物。
【請求項11】
一般式(1)で表される化合物のpKaが−5.0〜−7.0の範囲である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の紫外線吸収剤組成物。
【請求項12】
一般式(1)で表される化合物の含有量が、紫外線吸収剤組成物の全質量に対して、0質量%より大きく30質量%以下である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の紫外線吸収剤組成物。
【請求項13】
一般式(TS−I)〜(TS−V)のいずれかで表される化合物の総含有量が、紫外線吸収剤組成物の全質量に対して、0質量%より大きく30質量%以下である、請求項1〜12のいずれか1項に記載の紫外線吸収剤組成物。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の紫外線吸収剤組成物と、樹脂とを含有する樹脂組成物。
【請求項15】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の紫外線吸収剤組成物と、バインダー成分とを含有する塗料。
【請求項16】
請求項15に記載の塗料を硬化してなる膜。
【請求項17】
基材上に、請求項15に記載の塗料を硬化してなる膜を有する、紫外線吸収部材。

【公開番号】特開2012−126882(P2012−126882A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−164687(P2011−164687)
【出願日】平成23年7月27日(2011.7.27)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】