説明

紫外線吸収性ポリマーを含む組成物

【課題】紫外線吸収性ポリマーを含む組成物を提供すること。
【解決手段】紫外線吸収性部分を含む第1の側基と、少なくとも1つのシロキサン結合および/または中程度の長さの炭素鎖を含む第2の側基とを有する紫外線吸収性ポリマーが、開示されている。この紫外線吸収性ポリマーを包含するパーソナルケア組成物が、提供されている。

【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔発明の分野〕
本発明は、改良された日焼け止め化合物、およびこれらの日焼け止め化合物を包含する局所的に許容される組成物に関する。
【0002】
〔発明の背景〕
長期間にわたる例えば太陽からのUV線への曝露は、光皮膚病(light dermatoses)および紅斑の形成につながり得るだけでなく、例えば黒色腫といった皮膚がんのリスクを増加させ、例えば皮膚の弾性の損失やしわといった皮膚の老化を加速させることにつながり得る。
【0003】
多数の日焼け止め化合物が商業的に入手可能であり、これらは紫外光から身体を遮蔽する能力が異なる。例えば、種々の日焼け止め化合物が、紫外スペクトルの異なる紫外部、例えば、UV−A範囲(約320〜400nm)およびUV−B範囲(約280〜約320nm)の両方に当てはまる波長、もしくはこれらのスペクトル範囲の両方のいくらかの組み合わせに当てはまる波長を有する紫外光を吸収または遮断し得る。
【0004】
表皮を貫通する日焼け止め分子の透過を減らすために、高分子量を有する日焼け止め分子を使用することが提案されて来た。しかしながら、高分子量の日焼け止め化合物については、限られた数の選択肢しか存在しない。そのために、出願人は、局所用の日焼け止め組成物中に包含されるのに好適な、新しいポリマーの日焼け止め化合物(紫外線吸収性ポリマー)を有することが望ましいであろうことを認識して来た。UV吸収性ポリマーが、配合されたときに、良好な広げ易さ(good spreadibility)、低い光沢感(low gloss)、べとべとした手ざわりが無いこと、防水作用(waterproofing)、高いSPF、高いPFA、および好都合なPFA/SPF比(広域スペクトル保護作用)のうちの1つまたはそれ以上を付与することができる組成物を提供することもまた、望ましいであろう。出願人は、UV吸収性部分を含む第1の側基と、少なくとも1つのシロキサン結合および/または中程度の長さの炭素鎖を含む第2の側基とを含むUV吸収性ポリマーが、単独で使用されるにしろ、または他のUV吸収性ポリマーとブレンドされるにしろ、特別な利点を提供することを発見した。
【0005】
〔発明の概要〕
ある一つの側面において、本発明は、下記の化学構造を有するUV吸収性ポリマーを特色としており、
【化1】

ここで、
は、UV吸収性部分、例えばUV−A吸収性部分、好ましくはUV吸収性トリアゾール、を含む第1の側基であり、
は、a)少なくとも1つの、例えば1〜約50の、シロキサン結合、b)中程度の数(intermediate number)の炭素原子、例えば7〜16の炭素原子を有する飽和もしくは不飽和の炭化水素部分、またはc)これらの組み合わせ、を含む第2の側基であり、
各R’は、独立して、H、またはC〜C12アルキルであり、
nは、1〜6000であり、
mは、2〜6300である。ある一つの実施形態において、UV吸収性ポリマーは、少なくとも約2000の重量平均分子量を有し、少なくとも約5モル%のRを含む。他の実施形態において、Rは、UV吸収性部分を含まない。
【0006】
他の側面において、本発明は、水と、下記の化学構造を有するUV吸収性ポリマーとを含む水性組成物を特色としており、
【化2】

ここで、
は、UV吸収性部分、例えばUV−A吸収性部分、好ましくはUV吸収性トリアゾール、を含む第1の側基であり、
は、a)少なくとも1つの、例えば1〜約50の、シロキサン結合、b)中程度の数の炭素原子、例えば7〜16の炭素原子を有する飽和もしくは不飽和の炭化水素部分、またはc)これらの組み合わせ、を含む第2の側基であり、
各R’は、独立して、H、またはC〜C12アルキルであり、
nは、1〜6000であり、
mは、2〜6300である。ある一つの実施形態において、UV吸収性ポリマーは、少なくとも約2000の重量平均分子量を有し、少なくとも約5モル%のRを含む。他の実施形態において、Rは、UV吸収性部分を含まない。
【0007】
他の側面において、本発明は、UV線から哺乳類の皮膚または毛髪を保護する方法に関し、この方法は、本発明のUV吸収性ポリマーを皮膚または毛髪に局所的に適用することを含む。
【0008】
他の側面において、本発明は、UV−A吸収性部分を包含する第1のUV吸収性ポリマーと、UV−B吸収性部分を包含する第2のUV吸収性ポリマーとを含む組成物を特色とする。このブレンドは、少なくとも約40%の2つのポリマーの質量パーセント範囲にわたって、相乗的なSPF保護作用と相乗的なPFA保護作用との両方を提供することができる。
【0009】
他の側面において、本発明は、UV−A吸収性部分を包含する第1のUV吸収性ポリマーと、UV−B吸収性部分を包含する第2のUV吸収性ポリマーとを含む組成物を特色とし、第1のUV吸収性ポリマーは、0.3を超えるPFA/SPF比を有し、UV−B吸収体を有する第2のUV吸収性ポリマーは、0.3未満のPFA/SPF比を有する。
【0010】
他の側面において、本発明は、1)炭素鎖(C−C)の主鎖を有していて、UV−A吸収性部分を包含する第1のUV吸収性ポリマーと、2)シロキサン主鎖を有していて、UV−B吸収性部分を包含する第2のUV吸収性ポリマーとを含む組成物を特色とする。
【0011】
他の側面において、本発明は、1)C−C主鎖、第1のUV吸収性部分を包含する第1の側基、および少なくとも1つのシロキサン基を含む第2の側基を有する第1のUV吸収性ポリマーであって、第2の側基がUV吸収性部分を含まない、第1のUV吸収性ポリマーと、2)少なくとも1つのシロキサン、および第2のUV吸収性部分を包含する第2のUV吸収性ポリマーとを含む組成物を特色とする。
【0012】
〔発明の詳細な説明〕
当業者は、本明細書中の説明に基づいて、本発明をその最大限まで利用できるであろう。下記の特定の実施形態は、単なる例示と解釈されるべきであり、たとえいかなる方法においても、開示の残部を限定するものと解釈されるべきではない。
【0013】
他に定めない限り、本明細書中で使用される全ての技術的および科学的用語は、本発明が所属する技術分野における通常の知識を有する者により一般に理解されているのと同じ意味を有する。また、本明細書中で言及される全ての公報、特許出願、特許、およびその他の参照文献は、参照により組み込まれる。他に指示しない限り、本明細書中で使用される全てのアルキル基、アルケニル基、およびアルコキシ基は、直鎖、環状鎖、または分岐した鎖の基であり得る。他に指示しない限り、本明細書中で使用される用語「分子量」は、重量平均分子量(M)をさしている。本明細書中で使用される用語「質量比」は、ある1つの構成成分の質量百分率と第2の構成成分の質量百分率との比、例えば、2つのUV吸収性ポリマー;重合反応で互いを反応させるのに使用される2つのモノマー;または、重合後にポリマー中に存在する2つの繰り返し単位の比をさしている。質量比は、合計100%になる百分率の比(例えば、90%/10%)か、または「比の形式(ratio format)」(例えば、9:1)のいずれかで表現されることができる。
【0014】
<UV吸収性ポリマー>
本発明の実施形態は、紫外線吸収性ポリマー(すなわち、「UV吸収性ポリマー」)を包含する組成物に関する。紫外スペクトル(290nm〜400nm)のいずれかの部分に当てはまる放射線を吸収し、好ましくは、前述で規定された紫外スペクトル内の少なくとも1つの波長に対して、少なくとも約1000mol−1cm−1の吸光係数、例えば、10,000または100,000または1,000,000mol−1cm−1を超える吸光係数を有するポリマーが、「UV吸収性ポリマー」により意味される。
【0015】
ある一つの好ましい実施形態において、UV吸収性ポリマーは、次の化学構造を有する。
−(A)−(B)
UV吸収性ポリマーは全般的に、第1の繰り返し単位であるAをnモル、および第2の繰り返し単位であるBをmモル包含する。そのために、本発明のUV線吸収性ポリマーは、少なくとも2つの繰り返し単位を有するコポリマーである。ポリマーは全般的に、共有結合で結合した炭素原子の主鎖(例えば、炭素鎖またはC−C主鎖)を包含し、この主鎖から側基が結び付いている。
【0016】
「主鎖」とは全般的に、隣接する繰り返し単位に共有結合で結合したポリマー中の繰り返し単位の部分をさしていることが、当業者により理解されるであろう。そのような部分が複数存在する場合には、主鎖は、最大数の連続的で共有結合的に結合した原子を有するポリマー分子の部分である。共有結合的に結合した原子のその他のより小さい基は、主鎖から分岐した側基とみなされる。
【0017】
ある一つの実施形態において、UV吸収性ポリマーは、下記の化学構造で表されてもよい。
【化3】

この実施形態において、第1の繰り返し単位は全般的に、第1の側基であるRを包含し、このRは、例えば、連結基、例えば上述で示されているようなエステル連結基を介して、C−C主鎖に連結されている。
【0018】
C−C主鎖は全般的に、少なくとも約7個の炭素原子、好ましくは約7〜約7000個の炭素原子、より好ましくは約10〜約5000個の炭素原子、さらにより好ましくは約100〜約4000個の炭素原子、さらにより好ましくは約200〜約3000個の炭素原子からなる。
【0019】
第1の側基であるRは、第1のUV吸収性部分(本明細書中では、「UV吸収性発色団」、「UV発色団」、または単に「発色団」とも称される)を包含する。第1のUV吸収性部分は、紫外スペクトルにおいて吸収する。
【0020】
ある一つの特に好ましい実施形態において、第1のUV吸収性部分は、UV−A吸収性部分である。「UV−A吸収性部分」により、この部分が、紫外スペクトルのUV−A部分(320nm〜400nm)において相当の吸光度を有することが意味される。例えば、特定の化学部分(chemical moiety)を包含する化合物がフィルムの形態に鋳造されたときに、少なくとも約1000mol−1cm−1、好ましくは少なくとも約2000mol−1cm−1、より好ましくは少なくとも約4000mol−1cm−1の、この波長範囲内の少なくとも1つの波長について測定されたモル吸光係数を生じることができる。好ましい実施形態において、スペクトルのこの部分内の少なくとも40%の波長の中のモル吸光係数が、少なくとも約1000mol−1cm−1である。
【0021】
UV−A吸収性である部分の例としては、トリアゾール、例えばベンゾトリアゾール;カンファー、例えばベンジリデンカンファーおよびその誘導体(例えば、L’Orealから入手可能なECAMSULEまたはMexoryl SXとしても知られているテレフタリリデンジカンファースルホン酸(terephthalylidene dicamphor sulfonic acid));ジベンゾイルメタンおよびそれらの誘導体を包含する。
【0022】
特に好ましい実施形態において、UV吸収性部分は、UV吸収性トリアゾールおよび/またはUV吸収性ベンゾイルメタンである。さらに特に好ましい実施形態において、光安定性と強いUV−A吸光度との両方を提供するために、UV吸収性部分は、UV吸収性トリアゾールである。
【0023】
2個の炭素原子および3個の窒素原子を備えた五員複素環を含有するUV吸収性部分が、「UV吸収性トリアゾール」により意味される。UV吸収性トリアゾールとしては、例えば、式Iまたは式IIの化合物を包含する。
【化4】

【化5】

ここで、
各R14は、独立して、水素、C〜C20アルキル、アルコキシ、アシル、アルキルオキシ、アルキルアミノ、およびハロゲンからなる群より選択され、
15およびR22の各々は、独立して、水素、C〜C20アルキル、アルコキシ、アシル、アルキルオキシ、およびアルキルアミノからなる群より選択されるが、R15およびR22の少なくとも一方は水素ではなく、
21は、C〜C20アルキル、アルコキシ、アシル、アルキルオキシ、およびアルキルアミノから選択される。
【0024】
式Iにおいて、R15基またはR21基のいずれかは、UV吸収性トリアゾールをC−C主鎖に接続する(エステル)連結基に直接結合されるように配向されてもよい。式IIにおいて、R15基またはR22基のいずれかは、UV吸収性トリアゾールをC−C主鎖に接続する(エステル)連結基に直接結合されるように配向されてもよい。
【0025】
式Iおよび式IIの単量体の化合物は、米国特許第5,869,030号に記述されており、限定されるものではないが、メチレンビス−ベンゾトリアゾールイルテトラメチルブチルフェノール(methylene bis-benzotriazolyl tetramethylbutylphenol)(TINSORB M, Ciba Specialty Chemicals Corporation, Greensboro, North Carolina, USA)を包含する。その他の単量体のUV吸収性ジベンゾイルメタンとしては、Parsippany, NJのBASFからUVINUL A Plusとして商業的に入手可能である2−(4−ジエチルアミノ−2ヒドロキシベンゾール)−安息香酸ヘキシルエステル(2-(4-diethyl amino-2 hydroxybenzol)-benzoic acid hexylkester)を包含する。
【0026】
ある一つの好ましい実施形態において、UV吸収性トリアゾールは、R14がハロゲン、好ましくは塩素であり、R15がブチル基であり、R21が−CHCHCO17である式Iの化合物(これは、これを重合に対して好適にするために、酸の形態に転換されてもよく、続いてエチレン的(ethylenically)に不飽和の形態に転換されてもよい)である。そのようなUV吸収性トリアゾールは、オクチル−3−[3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル]プロピオネート(octyl-3-[3-tert-butyl-4-hydroxy-5-(5-chhloro-2H-benzotriazol-2-yl)phenyl]propionate)およびその異性体である2−エチルヘキシル−3−[3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル]プロピオネート(2-Ethylhexyl-3-[3-tert-butyl-4-hydroxy-5-(5-chhloro-2H-benzotriazol-2-yl)phenyl]propionate)のブレンドとして、Ciba Inc. (BASF Corporation)からTINUVIN 109として入手可能である。UV吸収性トリアゾールの他の好適な例は、TINUVIN 213(これもまたCiba Inc.から入手可能である)として商業的に入手可能な、2−[3’−tert−ブチル−5’−(2−メトキシカルボニルエチル)−2’−ヒドロキシフェニル]−2H−ベンゾトリアゾールとポリエチレングリコール300とのエステル交換反応生成物である。
【0027】
UV吸収性ジベンゾイルメタンとしては、式IIIにより表され得るものを包含する。
(III)
【化6】

ここで、R19およびR20は、独立して、オプションでC〜CアルキルまたはC〜Cアルコキシであり、m9は、0〜3であり、m10は1〜3である。R19基およびR20基のいずれかは、UV吸収性ジベンゾイルメタンをC−C主鎖に接続させる(エステル)連結基に直接結合されるように配向されてもよい。
【0028】
そのような単量体のジベンゾイルメタン化合物組成物の例および合成は、米国特許第4,489,057号に開示されており、限定されるものではないが、4−(1,1−ジメチルエチル)−4’−メトキシジベンゾイルメタン(avobenzone、およびPARSOL 1789, Roche Vitamins and Fine Chemicals, Nutley, New Jersey, USAとして販売されているもの)、2−2−メチルジベンゾイルメタン、4−メチル−ジベンゾイルメタン、4−イソプロピルジベンゾイルメタン、4−tert−ブチルジベンゾイルメタン、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、2,4−ジメチルベンゾイルメタン、2,5−ジメチルベンゾイルメタン、4,4’−ジイソプロピルベンゾイルメタン、2−メチル−5−イソプロピル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、2−メチル−5−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、2,4−ジメチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、および2,6−ジメチル−4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタンを包含する。
【0029】
他の実施形態において、第1の紫外吸収性部分は、UV−B吸収性部分である。「UV−B吸収性部分」により、この部分が、紫外スペクトルのUV−B部分(290nm〜320nm)において相当の吸光度を有することが意味される。ある一つの実施形態において、UV−B吸収性部分と見なすための判定基準は、波長範囲が290nm〜320nmであることを除いて、UV−A吸収性部分について上述で記述されたものと同様である。
【0030】
好適なUV−B吸収性部分の例としては、4−アミノ安息香酸およびそのアルカンエステル;アントラニル酸およびそのアルカンエステル;サリチル酸およびそのアルカンエステル;ヒドロキシ桂皮酸、そのアルカンエステル;ジヒドロキシ−、ジカルボキシ−、およびヒドロキシカルボキシベンゾフェノン、ならびにそのアルカンエステルまたは酸ハロゲン化物誘導体;ジヒドロキシ−、ジカルボキシ−、およびヒドロキシカルボキシカルコン、ならびにそのアルカンエステルまたは酸ハロゲン化物誘導体;ジヒドロキシ−、ジカルボキシ−、およびヒドロキシカルボキシクマリン、ならびにそのアルカンエステルまたは酸ハロゲン化物誘導体;ベンザルマロネート(ベンジリデンマロネート);ベンズイミダゾール誘導体(例えば、フェニルベンジルイミダゾールスルホン酸(phenyl benzilimazole sulfonic acid)PBSA)、ベンゾキサゾール誘導体、ならびに、ポリマー鎖内での共重合可能なその他の好適に官能性が付与された種を包含する。
【0031】
特に好適なUV−B吸収性部分としては、UV吸収性ベンゾフェノン、およびUV吸収性ジフェニルシアノアクリレート誘導体を包含する。ベンゾフェノン誘導体の例としては、例えば、米国特許第5,776,439号により教示されるような、紫外線からの皮膚の保護作用を提供することが当技術分野で知られているものを包含する。好ましい化合物としては、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン(「オキシベンゾン」)、および2−2’ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン(2-2'dihyroxy-4-methoxybenzophenone)(「ジオキシベンゾン」)、およびジエチルアミンヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾエート(「ヒドロキシベンゾフェノン」)を包含する。ジフェニルシアノアクリレート誘導体の例としては、2−エチルヘキシル2−シアノ−3,3−ジフェニル−2−プロペノエート(2-ethylhexyl 2-cyano-3,3-diphenyl-2-propenoate)(「オクトクリレン(octocrylene)」)およびその誘導体を包含する。
【0032】
ある一つの実施形態において、UV吸収性ポリマーは、単一のUV吸収性部分を包含する。この実施形態において、単一のUV吸収性部分は、好ましくはUV−A吸収性部分であり、最も好ましくはUV吸収性トリアゾールである。
【0033】
UV吸収性部分に加えて、UV吸収性ポリマーの第1の繰り返し単位であるAは全般的に、官能基R’を包含し、このR’は、例えば、水素原子、アルキル基(例えば、C〜C12)などであってよい。ある一つの実施形態において、R’は、約100未満、例えば約50未満、例えば約30未満の分子量を有する。ある一つの好ましい実施形態において、R’はメチル基である。R’基はUV吸収性部分を含まないことが好ましい。
【0034】
第1の繰り返し単位であるAの分子量は、約150〜約1000、好ましくは約200〜約700、より好ましくは約200〜約500であってよい。
【0035】
分子当たりの第1の繰り返し単位の数であるnは、(例えば平均で)約1〜約6000、好ましくは約2〜約3500、より好ましくは約5〜約2500、さらにより好ましくは約10〜約1500であってよい。
【0036】
紫外線吸収性ポリマーは全般的に、mモルの第2の繰り返し単位であるBを包含する。第2の繰り返し単位であるBは全般的に、第2の側基Rを包含し、このRは、例えば、エステル連結基を介して、C−C主鎖に連結される。
【0037】
分子当たりの第2の繰り返し単位の数であるmは、(例えば平均で)約2〜約6300、好ましくは約3〜約4000、より好ましくは約10〜約3000、さらにより好ましくは約20〜約2000であってよい。
【0038】
ある一つの実施形態において、第2の側基は、UV吸収性ポリマーの全体にわたって存在するUV吸収性部分(R)の相互間に適切な量のスペースを提供するのに役立つ「スペーサー基」である。この実施形態において、第2の側基はUV吸収性部分を含まない。そのために、第2の側基は、組成物中のその他の構成成分(例えば、疎水性の構成成分)との均質混合を促進するのにも役立ち得る。
【0039】
好ましくは、スペーサー基は、ポリマーの疎水性特性を維持するのに十分である。しかしながら、スペーサー基は、溶解、分散、乳化するのが困難になるような異常な疎水性をポリマーに与えてはならず、あるいは、美容上許容されるキャリアにおけるUV吸収性ポリマーの相安定性を与えなければならない。そのために、第2の繰り返し単位であるBの第2の側基であるRは、以下のいずれか、または両方を包含してもよく、すなわち、(i)少なくとも1つのシロキサン(−Si−O−)結合、例えば1〜約50のシロキサン結合、好ましくは約1〜約20のシロキサン結合、より好ましくは約1〜約20のシロキサン結合、さらにより好ましくは約1〜約16のシロキサン結合、さらにより好ましくは2〜15のシロキサン結合、さらにより好ましくは2〜10のシロキサン結合、最も好ましくは2〜5のシロキサン結合である。
【0040】
本発明のある一つの好ましい実施形態において、シロキサン結合は直線的に配列されており、他の実施形態においては、シロキサン結合は分岐されている。シロキサン結合は、有機官能基、例えば、アルキル基、例えばメチル基で終端してもよく、(ii)炭化水素部分、例えば中程度の数の炭素原子を有する炭化水素部分である。好適な例としては、C〜C16炭化水素部分、例えばC〜C16アルキル基を包含する。本発明のある一つの好ましい実施形態において、そのような炭化水素部分は直線的に配列されており、他の実施形態においては、炭化水素部分は分岐されている。
【0041】
第2の繰り返し単位であるBもまた、第2の官能基R’を包含し、このR’は、第1の繰り返し単位Aの第1の官能基R’と同じでもよいし、あるいは異なってもよい。すなわち、第2の官能基R’は、例えば、水素原子、アルキル基(例えば、C〜C12)などであってよい。ある一つの実施形態において、R’は、約100未満、例えば約50未満、例えば約30未満の分子量を有する。ある一つの好ましい実施形態において、R’は、メチル基である。R’基はUV吸収性部分を含まないことが好ましい。
【0042】
第2の繰り返し単位であるBの分子量は、約100〜約1000、好ましくは約100〜約500、より好ましくは約100〜約250であってよい。
【0043】
本発明で有用なUV吸収性ポリマーは、好ましくは紫外吸収性部分に「富んでいる」。そのために、それらのUV吸収性ポリマーは局所用の日焼け止めへの配合に非常に好適である。紫外吸収性部分に「富んでいる」により、繰り返し単位の合計であるn+mに対する第1の繰り返し単位であるnのモル百分率が、約10%〜約100%の範囲にありうることが意味される(百分率が100%の場合には、スペーサー基が全く無い、すなわち、この場合、UV吸収性ポリマーは、C−C主鎖と1つ以上のUV吸収性部分を備えた側基とを含むが、UV吸収性部分を含まない側基を含まないホモポリマーであってよいことに注意すること)。ある好ましい実施形態において、繰り返し単位の合計であるn+mに対する第1の繰り返し単位であるnのモル百分率は、約5%〜約90%または10%〜約90%の範囲にあり、ある実施形態においては、例えば約25%〜約70%である。ある実施形態において、繰り返し単位の合計であるn+mに対する第1の繰り返し単位であるnのモル百分率は、約25%〜約40%、例えば30%〜40%である。
【0044】
ある一つの実施形態において、紫外吸収性ポリマーは、上述で記載された繰り返し単位Aおよび繰り返し単位B以外の繰り返し単位を包含しない。他の実施形態において、紫外線吸収性ポリマーは、1つ以上の追加の繰り返し単位を包含する。これらの繰り返し単位は、追加の紫外吸収性基、シロキサン基、炭化水素基、もしくは他の有機部分、または、例えばエステル連結基を介してC−C主鎖に連結され得るようなそのような基の組み合わせを有する繰り返し単位を包含してもよい。追加の紫外吸収性基は、繰り返し単位A上に存在する第1の紫外吸収性基と同様のスペクトル範囲にわたって吸収してもよい。そのようなUV吸収性基の例としては、ベンゾトリアゾール誘導体、およびベンゾフェノン誘導体を包含する。他の実施形態において、追加の紫外吸収性基は、第1の紫外吸収性基とは異なるスペクトル範囲にわたって吸収してもよい。
【0045】
繰り返し単位A、繰り返し単位B、および追加の繰り返し単位は、様々に配列されてよい。例えば、繰り返し単位は、様々な数の繰り返し単位のブロックが交互になるように配列されてもよく、あるいは、ランダムに配列されてもよい。
【0046】
紫外線吸収性ポリマーの分子量は、皮膚への、したがって身体への吸収の可能性を減らす程度に十分高い。本発明のある一つの実施形態において、紫外線吸収性ポリマーの分子量は、約2000を超える。他の実施形態において、分子量は、皮膚への吸収の可能性を減らすのに十分高いが、溶解、分散、乳化すること、あるいは美容上許容されるキャリアにおいてUV吸収性ポリマーを相安定性にすることが困難になるほど高くはない。そのために、UV吸収性ポリマーの分子量は、約2000を超えてもよいが、ポリマーが架橋結合されるようになるほど高くはない。好ましくは、ポリマーは架橋結合されない。UV吸収性ポリマーの分子量は、約2000〜約1,000,000、好ましくは約50,000〜約750,000、より好ましくは約50,000〜約500,000であってよい。ある一つの実施形態において、ポリマーは、直鎖ポリマーである(すなわち、R、R、およびR’の存在以外には測定できるほどの分岐を包含しない)。
【0047】
皮膚を貫通する低分子量の種の透過の可能性を減らすために、紫外線吸収性ポリマーは、約5%未満、例えば約1%未満、例えば約0.1%未満の、低分子量の種の(質量または数)割合を有してもよい。「低分子量の種」により、約2000未満の分子量を有するような種が意味される。
【0048】
耐水性および広げ易さを向上させるために、UV吸収性ポリマーは、ある実施形態においては低い水への溶解度を有してもよい。例えば、ある実施形態において、紫外線吸収性ポリマーは、約3重量%未満、好ましくは約1重量%未満の水への溶解度を有してもよい。「水への溶解度」により、ポリマーが100グラムの脱イオン水に配置され攪拌されて、澄んだ溶液が得られ、視覚的に均質な状態、好ましくは室温で24時間透明な状態を維持することができるポリマーの最大の(ポリマーと水との合計に対する)重量百分率が意味される。
【0049】
さらに、ある実施形態において、UV吸収性ポリマーは望ましくは、イオン化可能な部分を含まず、イオン化可能な部分とは一般に、水性系中のポリマーの分散を促進するためにいわゆる「ポリマーラテックス」組成物中に存在するものである。この実施形態においては存在しなくてもよいイオン化可能な部分の例としては、アニオン性のもの、例えば、硫酸塩、スルホン酸塩、カルボン酸塩、リン酸塩、ホスホン酸塩;カチオン性のもの、例えば、アンモニウム(モノ−、ジ−、およびトリアルキルアンモニウム種を包含する)、ピリジニウム、イミダゾリニウム(imidazolinium)、アミジニウム(amidinium)、ポリ(エチレンイミニウム(poly(ethyleneiminium);双性イオンのもの、例えば、アンモニオアルキルスルホン酸塩(ammonioalkylsulfonate)、アンモニオアルキルカルボン酸塩(ammonioalkylcarboxylate)、アンホ酢酸塩(amphoacetate)を包含する。イオン化可能な部分を含まないUV吸収性ポリマーは、より耐久性があって撥水性のコーティングを皮膚の上に形成し、広げ易さを向上させ得る。
【0050】
紫外線吸収性ポリマーは、例えば約37℃よりも下の融点またはガラス転移温度を有してもよい。
【0051】
UV吸収性ポリマーは、このポリマーを人体のための日焼け止めとして使用するのに好適にするように十分高いUV中の吸光度を有することがさらに望ましい。ある一つの実施形態において、ポリマーは、好適な溶媒(例えば、DMSO、エチルアセテート、テトラヒドロフランなど)中に溶解され、薄いフィルムの形態に広げられるか、または鋳造されたときに、UVスペクトル中、より好ましくはUV−Aスペクトル中の少なくとも1つの波長について測定されたモル吸光係数が、少なくとも約1000mol−1cm−1、例えば少なくとも約2000mol−1cm−1、例えば少なくとも約4000mol−1cm−1であるか、または、10,000もしくは100,000もしくは1,000,000mol−1cm−1でさえある。
【0052】
本発明のポリマーは、例えば、当技術分野で既知の方法により合成され得る。例えば、好適なポリマーは、追加重合(addition polymerization)、例えば、好適なエチレン的に不飽和のモノマーのフリーラジカル追加重合を介して、形成されてもよい。結果として得られるポリマーは、その繰り返し単位の交互、ブロック、ランダム、グラフト、星形、またはその他の立体配置を有し得る。
【0053】
例えば、本発明のポリマーは、紫外吸収性部分を包含する第1のエチレン的に不飽和の化合物(モノマー)を、例えばある実施形態では少なくとも1つのシロキサン結合を包含する、第2の化合物(モノマー)と反応させることにより作製されてもよい。他の実施形態において、第2のエチレン的に不飽和のモノマーは、炭化水素部分、例えば、中程度の数の炭素原子を有する炭化水素部分を包含する。この反応は、開始剤、例えば、AIBN(アゾビスイソブチロニトリル)、もしくはWilmington, DelawareのE.I. DuPontからVAZO(登録商標)VA-40として入手可能な1,1’−アゾビス(シアノシクロヘキサン)、またはその他の好適な開始剤の存在下で起き得る。ある一つの実施形態において、第1のエチレン的に不飽和の化合物は、UV−A吸収性部分を包含する。UV−A吸収性部分は、ベンゾトリアゾールであってよい。好適なベンゾトリアゾールモノマーの例としては、2’ヒドロキシ−5’−メタクリルオキシエチルフェニル−2H−ベンゾトリアゾール(2’hydroxy-5’-methacryloxyethylphenyl-2H-benzotriazol)だけでなく、下記の例15および例19に記載されているメタクリレート化されたベンゾトリアゾールをも包含する。他の実施形態において、第1のエチレン的に不飽和の化合物としては、ジベンゾイルメタンを包含する。ある一つのそのような好適なモノマーは、下記の発明例10に示されるメタクリレート化されたジベンゾイルメタンである。
【0054】
第2のエチレン的に不飽和の化合物は、シロキサン結合、例えば、アクリルオキシアルキルポリジメチルシロキサンを包含してもよい。そのようなモノマーのある一つの好適な例は、モノメタクリルオキシプロピルポリジメチルシロキサン(mPDMS)、例えば、平均11個のシロキサン結合を有するmPDMSである。好適であり得るシロキサンを包含するその他のモノマーとしては、C1638Si、2−プロペン酸,2−メチル−,3−[3,3,3−トリメチル−1,1−ビス[(トリメチルシリル)オキシ]−1ジシロキサンイル]プロピルエステル(2-Propenoic acid, 2-methyl-, 3-[3,3,3-trimethyl-1,1-bis[(trimethylsilyl)oxy]-1 disiloxanyl]propyl ester)(「TRIS」モノマーとしても知られる)を包含する。mPDMSおよびTRISは、Morrisville, PennsylvaniaのGelest Inc.から商業的に入手可能である。
【0055】
他の実施形態において、第2のエチレン的に不飽和の化合物は、エチレン的に不飽和のオルガノシランである。「エチレン的に不飽和のオルガノシラン」により、少なくとも1つの末端Si−0−R結合を包含し、Rが官能基であって、例えば官能基の中でもアルキル、アリール、アラルキルである、種々の化合物のいずれかが意味される。ある一つの特に好適なエチレン的に不飽和のオルガノシランは、Midland, MichiganのDow CorningからZ-6030として商業的に入手可能な、メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(共通のシリコン原子から、3個のシロキサン結合を有する)である。
【0056】
他の実施形態において、第2のエチレン的に不飽和の化合物は、炭化水素部分、例えば、中程度の数の炭素原子を有するものを包含する。好適な例としては、C〜C16アルキルが結び付いているアクリレートまたはメタクリレートを包含する。例としては、Cアクリレート、例えばイソオクチルアクリレートHC=CHCO(CH2)CH(CH;C12メタクリレート、例えばラウリルメタクリレート,HC=C(CH)CO(CH11CHなどを包含する。イソオクチルアクリレートおよびラウリルメタクリレートは、St. Louis, MissouriのSigma-Aldrichから商業的に入手可能である。
【0057】
代替的に、UV吸収性ポリマーは、ポリマーに対する側基の重合後追加(post-polymerization addition)により作製されてもよい。例えば、無水マレイン酸官能性を有するアクリルポリマーが合成され、これに例えばavobenzoneといったUV−モノマーとそのポリマーの反応が続き、これにより、エステル結合を介してUV吸収性部分を化学的に結び付けてもよい。好適な無水マレイン酸コポリマーとしては、例えば、Chevron Phillipsから商業的に入手可能なPA-18(オクタデセン/無水マレイン酸コポリマー(octadecene/maleic anhydride copolymer))、または、ISPから商業的に入手可能なGantrez ANコポリマー(PVM/MAコポリマー)を包含する。代替的に、メタクリル酸((meth)acrylic acid)のN−ヒドロキシ琥珀酸アミドエステルが、出発モノマーとして使用されることがある。
【0058】
本発明のポリマーは、例えば、以下に記載される好適な美容上許容されるキャリアとポリマーとを組み合わせることにより使用されてもよい。本発明のポリマーをそのような組成物に組み込むことにより、向上されたSPF(主に、UV−B吸光度)、向上されたPFA(主に、UV−A吸光度)、またはこれら両方の向上を提供し得る。
【0059】
<局所用組成物>
ある一つの実施形態において、組成物、例えば、人体(例えば、皮膚または毛髪といったケラチン性表面(keratinaceous surfaces))、特には皮膚への適用のための局所用/美容用の使用に好適な組成物が提供される。この組成物は、本明細書中に記載されている発明のUV吸収性ポリマーを包含する。本発明のUV吸収性ポリマーの濃度は、組成物の0.001重量%〜約100重量%、好ましくは約0.1%〜約50%、より好ましくは約0.5%〜約40%で変化してよい。
【0060】
本発明において有用な組成物は、特に、紫外線からの皮膚の保護のための使用を含めた、種々の美容用の使用のために使用され得る。このように、この組成物は、広く様々な送達形態に作製され得る。これらの形態としては、限定されるものではないが、エマルジョン(W/O、O/W、またはマルチエマルジョン(multiple emulsions))、分散系、溶液、または水溶性もしくは水不溶性基質(例えば、有機質もしくは無機質の粉末、繊維、またはフィルムといった基質)上のコーティングを包含する。好適な製品形態としては、ローション、クリーム、ジェル、スティック、スプレー、軟膏、ムース、および化粧品/パウダーを包含する。組成物は、例えばレクリエーションもしくはデイリーユーズ(daily-use)の日焼け止め、モイスチュアライザー(moisturizers)、化粧品/メーキャップ、クレンザー/トナー、アンチエージング製品(anti-aging products)、またはこれらの組み合わせといった、様々な最終用途のために利用されてもよい。
【0061】
本発明の組成物は、例えば美容用処方の分野における通常の知識を有する熟練者によりよく知られている方法論を使用して調製されてもよい。
【0062】
ある好ましい実施形態において、本発明の組成物は水を包含し、それゆえ「水性組成物」である。あるさらなる好ましい実施形態において、組成物は、水相および油相を包含するエマルジョンである。組成物は、UV吸収性ポリマーが安定化され、好ましくは乳化されている水の連続相を包含することが特に好ましい。油相は、エマルジョン中で、約1ミクロン〜約1000ミクロン、より好ましくは約1ミクロン〜約100ミクロンの平均直径を有する分離した液滴またはユニットの形態で存在するようになっていてもよい。代替の実施形態において、組成物は、水が安定化され、好ましくは乳化されている油の連続相を包含する。
【0063】
組成物中に包含される水の百分率は、10%〜約99%、好ましくは約20%〜約80%、より好ましくは約30%〜約70%の範囲にわたり得る。
【0064】
<第2のUV吸収性ポリマー>
ある一つの特に好ましい実施形態において、組成物は、第2の紫外線吸収性ポリマーを包含する。「第2の紫外線吸収性ポリマー」により、上述で記載されたUV吸収性ポリマーと(化学式、例えば化学式または繰り返し単位の量に関して)化学的に異なる化合物が意味される。大まかに言えば、第2のUV吸収性ポリマーは、種々の化学主鎖のうちの1つ(例えば、シロキサンまたはC−C)と、分子の1つ以上の端部に在るか、または主鎖からぶらさがっている(pending)かのいずれかである1つ以上のUV吸収性部分(UV−Aおよび/またはUV−B)とを有してよい。第2のUV吸収性ポリマーは、少なくとも2、より好ましくは少なくとも約10の繰り返し単位を有してよい。
【0065】
ある一つの実施形態において、本発明のUV吸収性ポリマーと第2のUV吸収性ポリマーとの相乗作用を向上させるために、第2のUV吸収性ポリマーの分子量は、本発明のUV吸収性ポリマーに類似する。そのために、第2のUV吸収性ポリマーは、少なくとも2000、例えば少なくとも約5000、例えば少なくとも約10,000の分子量を有してよい。ある一つの実施形態において、第2のUV吸収性ポリマーは、約5000〜約200,000の分子量を有する。さらに、第2のUV吸収性ポリマーは、上述で詳述されているような、本発明のUV吸収性ポリマーに類似した溶解度特性(例えば、約3重量%未満、好ましくは約1重量%未満の水への溶解度)を有してよい。
【0066】
出願人は驚くべきことに、第1のUV吸収性ポリマーが第2のUV吸収性ポリマーと組み合わされ、かつ第1のUV吸収性ポリマーおよび第2のUV吸収性ポリマーが特定の特徴を有していると、UV吸光度が向上されることを見出した。
【0067】
例えば、本発明のある一つの側面において、本発明の組成物は、UV−A吸収性部分を包含する第1のUV吸収性ポリマーと、UV−B吸収性部分を包含する第2のUV吸収性ポリマーとを包含する。UV−B吸収性部分は、UV−A吸収性部分とは異なる。第1のUV吸収性ポリマーおよび第2のUV吸収性ポリマーは、(以下に規定される)少なくとも約40%の第1および第2のUV吸収性ポリマーの質量パーセント範囲にわたって、相乗的なSPFおよび相乗的なPFAの保護作用の両方を提供することができるように特徴付けられる。好ましい実施形態において、第1のUV吸収性ポリマーおよび第2のUV吸収性ポリマーは、少なくとも約60%の質量パーセント範囲にわたって、相乗的なSPFおよび相乗的なPFAの保護作用の両方を提供することができるように特徴付けられる。
【0068】
特定の組み合わせの2つのUV吸収性ポリマーが相乗的なSPF保護作用を提供するかどうか判定するために、下記の対数的なSPF処理手順が使用され得る。(a)第1のUV吸収性ポリマー、(b)第2のUV吸収性ポリマー、ならびに(c)第1のUV吸収性ポリマーおよび第2のUV吸収性ポリマーの特定のブレンドについて、SPFが決定される。SPFは、試験されるべきポリマーまたは組成物でフィルムを形成し、以下に記載されるインビトロ・サンプロテクション・テスト法(IN-VITRO SUN PROTECTION TEST METHOD)を使用して評価することにより決定される。
【0069】
特には、個々のUV吸収性ポリマー(ポリマーAおよびポリマーB)のそれぞれのSPFが、ブレンドのSPFの対数がブレンドされていないポリマー構成成分の対数の合計よりも大きくなるようになっていて、ポリマー構成成分のそれぞれが、両方のUV吸収性ポリマーの質量の合計に対するそれらそれぞれの質量割合により重み付けされている場合、UV吸収性ポリマーの特定のブレンドが、相乗的なSPF保護作用を提供する。このように、相乗作用のための条件は以下のように定められる。すなわち、
Log SPFブレンド > XA Log SPFA + XB LOG SPFB
例えば、ポリマーAのLog SPFが1であり、ポリマーBのLog SPFが1.2であり、2つのポリマーのブレンド(40%ポリマーA、60%ポリマーB)が、
[(0.4)x(1)] + [(0.6)x(1.2)] = 1.12
を超えるLog SPFを有すると、この特定のブレンドは相乗的なSPFを提供する。
【0070】
同様に、相乗的なPFAが同じように決定される。すなわち、
Log PFAブレンド > XA Log PFAA + XB LOG PFAB
である場合、この特定のブレンドは、相乗的なPFA保護作用を提供する。
【0071】
PFAは、SPFのように、以下に記載されるインビトロ・サンプロテクション・テスト法に従って決定される。
【0072】
2つのUV吸収性ポリマーが単一相(溶媒系を伴うか、または2つのポリマー以外の成分を含まないかのいずれか)になるようにブレンドされることができ、このブレンドが、相乗的なSPFおよび相乗的なPFAの保護作用の両方を提供する場合、ポリマーAおよびポリマーBの特定のブレンドは、「相乗的なSPFおよび相乗的なPFAの保護作用の両方を提供することができる」。
【0073】
「溶媒系」により、ある範囲の濃度にわたって両方のUV吸収性ポリマーを同時に溶解することができる、溶媒もしくは溶媒のブレンド、油、可塑剤などが意味される。
【0074】
さらに、ポリマーAおよびポリマーBが、2つのポリマーの少なくとも3つの異なる質量比(好ましくは、少なくとも4つの異なる質量比、より好ましくは少なくとも約5つの異なる質量比−測定される質量比の各々は、少なくとも10%、例えば80%/20、および70%/30だけ間隔をあけられることが好ましい)について、相乗的なSPFおよび相乗的なPFAの保護作用の両方を提供することができ、かつ、ポリマーAの最小濃度およびポリマーAの最大濃度が少なくとも約40%だけ引き離されている場合、この2つのポリマーは、少なくとも約40%の2つのポリマーの質量パーセント範囲にわたって、相乗的なSPFおよび相乗的なPFAの保護作用の両方を提供することができる。同じように、少なくとも3つの異なる質量比が、少なくとも約60%だけ引き離されている場合、UV吸収性ポリマーは、少なくとも約60%の2つのポリマーの質量パーセント範囲にわたって、相乗的なSPFおよび相乗的なPFAの保護作用の両方を提供することができる」。相乗作用の判定の目的のために、「約X%」により意味されるのは、X%の+/−1%の範囲内である。
【0075】
ある好ましい実施形態において、(a)第1のUV吸収性ポリマーは、本発明に従うUV吸収性ポリマーであり、すなわち、第1のUV吸収性ポリマーが、C−C主鎖を含み、UV−A吸収性部分を包含する第1の側基を包含し、さらにシロキサン結合および/または中程度の数の炭素原子のいずれかを包含する第2の「スペーサー」側基を包含し、さらに(b)第2のUV吸収性ポリマーは、UV−A吸収性部分とは異なるUV−B吸収性分を包含する。
【0076】
好ましい実施形態において、第2のUV吸収性ポリマーもまた、少なくとも1つのシロキサン(Si−O−)結合を包含し、この結合は、好ましくはシロキサン主鎖の一部になっている。ある一つの実施形態において、シロキサン主鎖は、少なくとも約10のシロキサン結合、例えば、少なくとも約50のシロキサン結合を有している。ある一つの好ましい実施形態において、第2のUV吸収性ポリマーは、ジメチコジエチルベンザルマロネート(dimethicodiethyl benzal malonate)であり、これは、Polysilicone-15として既知のフィルターのような、ベンジリデンマロネートシリコーンとしても知られている。好適なベンジリデンマロネートシリコーンの例としては、Bernasconiらの米国特許第6,193,959号に記載されているものを包含する。特に好適なベンジリデンマロネートとしては、Heerlen, NetherlandsのDSM (Royal DSM N.V.)から商業的に入手可能なPARSOL SLXを包含する。
【0077】
出願人は、広い範囲の質量比にわたって相乗作用を示すブレンドを利用することにより、不透過性(non-penetrating)の日焼け止め、およびUV−AおよびUV−B保護作用の両方にわたる向上された保護作用の利点を有する組成物を提供できることを見出した。
【0078】
他の実施形態において、組成物は、第1のUV吸収性ポリマーおよび第2のUV吸収性ポリマーであって、少なくとも約40%の2つのポリマーの質量パーセント範囲にわたって相乗的なSPFおよび相乗的なPFAの保護作用の両方を提供することができる第1のUV吸収性ポリマーおよび第2のUV吸収性ポリマーを包含し、この組成物はさらに、相乗作用増進性溶媒系を包含する。「相乗作用増進性溶媒系(Synergy-promoting solvent system)」とは、UV吸収性ポリマーを溶解するために使用されると、UV吸収性ポリマーが相乗的なブレンドを提供するようになる溶媒系を意味する。相乗作用増進性溶媒系に加えて、組成物は、パーソナルケア組成物に好適な1つ以上のその他の分類の成分を有してもよい。
【0079】
相乗作用増進性溶媒系は、UV吸収性ポリマーの両方を溶解するように選択され得る。そのために、溶媒系の構成成分は、UV吸収性ポリマーに類似した溶解度パラメータを有し得る。ある一つの実施形態において、相乗作用増進性溶媒系は、紫外線を吸収せず、約3〜約8、より好ましくは約3〜約6、さらにより好ましくは4〜6)である比誘電率(すなわち、20℃で測定された静的誘電率(static permittivity))を有する溶媒または可塑剤を包含するか、このような溶媒または可塑剤から本質的になるか、またはこのような溶媒または可塑剤からなる。好適な溶媒の例は、本明細書中に参照により組み込まれる米国特許出願公開公報US20090098367(名称「Compositions Having Elongated Particles With Varying Charges and Aspect Ratios」)の段落[0060]に記載されている。
【0080】
ある実施形態において、溶媒は、ベンゾエートエステル、例えば、アルキルベンゾエートエステル、特には、C12〜C24ベンゾエートエステル、例えば、C12〜C15ベンゾエートエステル(例えば、Elmwood Park, NJのFinetex Inc.から商業的に入手可能な約3.8の比誘電率を有するFINSOLV TN);ジブチルアジパート(例えば、Ambler, PennsylvaniaのCognis Corporationから商業的に入手可能な約5.1の比誘電率を有するCETIOL B)、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド(caprylic/capric triglycerides)(約3.8の比誘電率を有する)、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される。
【0081】
他の側面において、本発明の組成物は、UV−A吸収性部分を包含する第1のUV吸収性ポリマーと、UV−B吸収性部分を包含する第2のUV吸収性ポリマーとを包含し、第1のUV吸収性ポリマーは、0.3を超えるPFA/SPF比を有し、第2のUV吸収性ポリマーは、0.3未満のPFA/SPF比を有する。これらの要求を満たす第1のUV吸収性ポリマーと第2のUV吸収性ポリマーとを選択することにより、0.3または0.3前後のPFA/SPFを有し、それ故、広域スペクトル保護作用を提供する組成物に到達することができる。
【0082】
第1のUV吸収性ポリマーは、本発明のUV吸収性ポリマーであってよい。しかしながら、第1のUV吸収性ポリマーには、シロキサン主鎖を有する場合、および/または、本発明のUV吸収性ポリマーとは異なるスペーサー基を有する場合、および/または、スペーサー基が欠如している場合がある。
【0083】
さらに、SPFおよびPFAの両方の規模を向上させ、さらに広域スペクトル保護作用を有する組成物を提供するためには、出願人は、組成物が、0.3を超えるPFA/SPF比を備えていてUV−A吸収体を有する第1のUV吸収性ポリマー、および0.3未満のPFA/SPF比を備えていてUV−B吸収体を有する第2の吸収性ポリマーを包含するだけでなく、2つのUV吸収性ポリマーが、それらが組成物中で存在する特定の質量比において相乗的なSPFおよびPFA保護作用の両方を提供することが望ましいことを見出した。このように、0.3から遠く離れた比を有するという犠牲を払うことなく、SPFおよびPFAの規模が向上される。関連する実施形態において、組成物はさらに、相乗作用増進性溶媒系を包含する。
【0084】
他の側面において、組成物は、C−C主鎖を有し、かつUV−A吸収性部分を包含する第1のUV−A吸収性ポリマーと、シロキサン主鎖を有し、かつUV−B吸収性部分を包含する第2のUV吸収性ポリマーとを包含する。
【0085】
第1のUV吸収性ポリマーは、2つ以上のエチレン的に不飽和のモノマーを反応させることにより形成され得る。そのために、第1のUV吸収性ポリマーは、UV−A吸収性部分を包含する第1の側基を有してもよい。第1のUV吸収性ポリマーはさらに、第2の側基、例えばスペーサー基を包含してもよい。ある一つの実施形態において、第1のUV吸収性ポリマーは、本発明のUV吸収性ポリマーである。
【0086】
第2のUV吸収性ポリマーは、様々な立体配置を有してよい。ある一つの実施形態において、UV吸収性部分は、ポリマーの端部に存在する。特に望ましい実施形態において、第2のUV吸収性ポリマーは、UV−B吸収性部分を包含する側基を包含する。
【0087】
出願人は驚くべきことに、C−C主鎖およびUV−A吸収体を有する第1のUV吸収性ポリマーと、シロキサン主鎖およびUV−B吸収体を有する第2のUV吸収性ポリマーとの組み合わせは、SPFおよびPFAにおいて広く根拠のある相乗作用(broad based synergy)を提供するが、主鎖の種類およびUV吸収体の種類の様々な他の組み合わせ(例えば、C−C主鎖およびUV−B吸収性部分を有するUV吸収性ポリマーと組み合わされたC−C主鎖およびUV−A吸収体を有するUV吸収性ポリマー)は、この望ましい特徴を提供し得ないことを見出した。
【0088】
他の側面において、組成物は、第1のUV吸収性ポリマーであって、C−C主鎖、第1のUV吸収体を包含する第1の側基、および少なくとも1つのシロキサン基を含む第2の側基を有し、第2の側基がUV発色団を含まない第1のUV吸収性ポリマーと、第2のUV吸収性ポリマーであって、少なくとも1つのシロキサン(例えば、必ずしも要求されるわけではないが、その主鎖に位置する)、および第1のUV吸収性部分とは異なる第2のUV吸収性部分を包含する第2のUV吸収性ポリマーとを包含する。
【0089】
理論により縛られることを望むものではないが、出願人は、第1のUV吸収性ポリマーの第2の側基中に存在するシロキサンが、第2のUV吸収性ポリマー中に存在するシロキサンとの混合性(blending)を向上させ、そのため、向上されたUV線を吸収する能力を提供するものと考える。
【0090】
ある一つの好ましい実施形態において、第2の吸収性ポリマーは、少なくとも1つのシロキサン(Si−O−Si)結合を包含し、この結合は、例えば、シロキサン主鎖の一部であってよい。ある一つの実施形態において、シロキサン主鎖は、少なくとも約10のシロキサン結合、例えば少なくとも約50のシロキサン結合を有する。ある一つの好ましい実施形態において、第2のUV吸収性ポリマーは、UV吸収性基として、ベンジリデンマロネート(benzilydene malonate)を包含する。ある一つの特に好適な例は、「Polysilicone- 15」として既知のフィルターのような、ベンジリデンマロネートシリコーンとしても知られている、ジメチコジエチルベンザルマロネートである。好適なベンジリデンマロネートシリコーンの例としては、Bernasconiらの米国特許第6,193,959号に記載されているものを包含する。特に好適なベンジリデンマロネートとしては、Heerlen, NetherlandsのDSM (Royal DSM N.V.)から商業的に入手可能な「PARSOL SLX」を包含する。
【0091】
他の実施形態において、第2のUV吸収性ポリマーは、米国特許第6,962,692号、同第6,899,866号、および/または同第6,800,274号に開示されているポリマー日焼け止めに存在するような、2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸官能基を包含し、この官能基としては、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール,3−[(2−シアノ−1−オキソ−3,3−ジフェニル−2−プロペニル)オキシ]−2,2−ジメチルプロピル2−オクチルドデシルエステル(2,2-dimethyl-1,3-propanediol, 3-[(2-cyano-1-oxo-3,3-diphenyl-2-propenyl)oxy]-2,2-dimethylpropyl 2-octyldodecyl ester)と重合されたヘキサン二酸を包含する。このポリマーは、低分子量(2000未満)を有し、Chicago, IllinoisのHallStar Companyから商業的に入手可能な商品名「POLYCRYLENE」の下で販売されている。
【0092】
他の実施形態において、組成物はさらに、例えば二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄を含めた無機酸化物といった、1つ以上の無機紫外部スクリーニング化合物を包含する。
【0093】
ある一つの実施形態において、組成物は、単量体の日焼け止めを含まない。他の実施形態において、組成物はさらに、1つ以上の追加のUV−Aおよび/またはUV−B吸収体を含んでもよい。そのような吸収剤/反射剤(absorbing/reflecting agents)の例としては、限定されるものではないが、「単量体の」有機UVフィルター:メトキシシンナメート誘導体、例えば、オクチルメトキシシンナメート、およびイソアミルメトキシシンナメート;カンファー誘導体、例えば、4−メチルベンジリデンカンファー、カンファーベンザルコニウムメトサルフェート(camphor benzalkonium methosulfate)、およびテレフタリリデンジカンファースルホン酸;サリチラート誘導体、例えば、オクチルサリチラート、トロラミンサリチラート、およびホモサラート(homosalate);スルホン酸誘導体、例えば、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸;ベンゾン誘導体(benzone derivatives)、例えば、ジオキシベンゾン、スルイソベンゾン、およびオキシベンゾン;安息香酸誘導体、例えば、アミノ安息香酸、およびオクチルジメチルパラ−アミノ安息香酸;オクトクリレンおよびその他のβ,β−ジフェニルアクリレート;ジオクチルブタミドトリアゾン(dioctyl butamido triazone);オクチルトリアゾン;ブチルメトキシジベンゾイルメタン;ドラマトリアゾールトリシロキサン(drometrizole trisiloxane);ならびに、アントラニル酸メンチル(menthyl anthranilate)を包含する。
【0094】
本明細書中で有用なその他の好適なUV吸収体/反射体は、Sagarin, Cosmetics Science and Technology, Chapter VIIIの189頁以下参照、およびICI Handbookの1672頁において見出されることができる。そのような化合物のリストは、米国特許第4,919,934号にも開示されている。
【0095】
ある実施形態において、組成物は、光安定性を向上させるのに好適な1つ以上の化合物を包含してもよい。光安定化剤(Photostabilizers)としては、例えば、ナフタレンジカルボン酸のジエステルまたはポリエステルを包含する。ナフタレンジカルボン酸のジエステルおよびポリエステルの例は、式(X)または式(XI)の化合物である。
【化7】

【化8】

ここで、
16およびR23は、独立して、C〜C22アルキル、HO−R18−OH構造を有するジオール、およびHO−R17−(−O−R18−)m5−OH構造を有するポリグリコールからなる群より選択され、
17およびR18は、独立して、C〜Cアルケニルであり、
m5およびm6は、独立して、1〜約100の範囲にそれぞれある。そのようなナフタレンジカルボン酸のジエステルまたはポリエステルの合成を含めた例は、米国特許第5,993,789号に記載されており、限定されるものではないが、ジエチルヘキシルナフタレート(diethylhexyl naphthalate)(HALLBRITE TQ, C.P. Hall Company, Bedford Park, Illinois, USA)を包含する。日焼け止め組成物におけるそのような化合物の使用を開示している、Bonda, et al., Allured’s Cosmetic & Toiletries Magazine, 115(6):37-45 (2000)を参照のこと。ある一つの実施形態において、ナフタレンジカルボン酸のジエステルまたはポリエステルは、組成物全体の約0.1重量%〜約30重量%(例えば、約1重量%〜約10重量%)の範囲にわたる場合がある。好適であり得るその他の光安定化剤としては、光安定化剤の中でも、ブチルオクチルサリチラート、ベモトリザノール(bemotrizanol)、ジエチルヘキシルシリンジリデンマロネート(diethylhexyl syringylidenemalonate)、トリス(テトラメチルヒドロキシピペリジノール)シトレート(tris(tetramethylhydroxypiperidinol) citrate)、ポリエステル−8、オクトクリレン、エチルベンジリデンカンファー(ethylbenzilidene camphor)、オキシベンゾン、アミドオイル、アリールアキルベンゾエート(arylakylbenzoates)を包含する。
【0096】
ある一つの実施形態において、組成物はさらに、アルキルベンゾエート誘導体を含む。アルキルベンゾエート誘導体の例は、式(XII)または式(XIII)の化合物である。
【化9】

ここで、m7は、5、7、または9であり、nは、4、6、または8である。
【化10】

ここで、m8は、5または7であり、pは、4または6である。
【0097】
式(XII)および式(XIII)の化合物は、例えば、米国特許第5,783,173号に記載されているような、典型的なエステル化反応およびエステル交換反応により形成され得る。そのような長い分岐した鎖のアルキルベンゾエートの例は、米国特許第5,783,173号に列挙されており、限定されるものではないが、ブチルオクチルサリチラート(HALLBRITE BHB, C.P. Hall Company, Bedford Park, Illinois, USA)を包含する。ある一つの実施形態において、アルキルベンゾエート誘導体は、組成物全体の約0.1重量%〜約30重量%(例えば、約1重量%〜約10重量%)の範囲にわたることができる。
【0098】
本発明の組成物はさらに、1つ以上のその他の美容上の活性剤(cosmetically active agent(s))を含んでもよい。「美容上の活性剤」は、皮膚に対して美容上または治療上の効果を有する化合物、例えば、しわ、もしくはざ瘡を処置する薬剤、または皮膚を明るくする薬剤である。ある一つの実施形態において、薬剤は、限定されるものではないが、ヒドロキシ酸;ベンゾイルペルオキシド;硫黄レゾルシノール(sulfur resorcinol);D−パンテノール;ヒドロキノン;抗炎症剤;皮膚淡色化剤(skin lightening agents);抗菌剤および抗真菌剤、例えば、ミコナゾール、ケトコナゾール、およびエルビアル(elubial);ビタミン、例えば、アスコルビン酸;トコフェロールおよびトコトリエノール、例えば、トコフェリルアセテート(tocopheryl acetate);レチノイド、例えば、レチノール、レチナール、レチニルパルミテート(retinyl palmitate)、レチニルアセテート(retinyl acetate)、およびレチノイン酸;ホルモン、例えば、エストロゲン、およびジヒドロキシアンドロステンジオン;2−ジメチルアミノエタノール;リポ酸;アミノ酸、例えば、プロリン、およびチロシン;ラクトビオン酸(lactobionic acid);セルフタンニング剤(self-tanning agent)、例えば、ジヒドロキシアセトン;ジメチルアミノエタノール;アセチル−コエンザイムA;ナイアシン;リボフラビン;チアミン;リボース;電子トランスポータ、例えば、NADH、およびFADH2;植物学的抽出物、例えば、イチョウ、バルバドスアロエ、およびダイズ;ならびにこれらの誘導体からなる群より選択される。美容上の活性剤は、典型的には、組成物の約0.001重量%〜約20重量%、例えば、組成物の約0.01重量%〜約10重量%、例えば、約0.1重量%〜約5重量%の量で、本発明の組成物中に存在するであろう。
【0099】
ヒドロキシ酸の例としては、限定されるものではないが、(i)アルファ−ヒドロキシ酸、例えば、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、および酒石酸、(ii)ベータ−ヒドロキシ酸、例えば、サリチル酸、および/または(iii)ポリヒドロキシ酸を包含する。欧州特許出願公開第273,202号を参照のこと。
【0100】
アスコルビン酸の誘導体の例としては、限定されるものではないが、アスコルビルパルミテート(ascorbyl palmitate)、マグネシウムアスコルビルホスフェート(magnesium ascorbyl phosphate)、ナトリウムアスコルビルホスフェート、亜鉛アスコルビルホスフェート、アスコルビルグルコシド、アスコルビン酸ナトリウム(sodium ascorbate)、およびアスコルビルポリペプチドを包含する。ヒドロキノンの誘導体の例としては、限定されるものではないが、アルブチンを包含する。
【0101】
本発明の組成物はまた、抗酸化薬(例えば、アスコルビン酸、トコフェロール、ポリフェノール、トコトリエノール、BHA、およびBHT)、キレート化剤(例えば、EDTA)、および防腐剤(例えば、パラベン)のうちの1つ以上を含んでもよい。好適な抗酸化薬、防腐剤、およびキレート化剤の例は、ICI Handbookのp.1612〜13、1626、および1654〜55に列挙されている。加えて、本明細書中で有用な局所用組成物は、従来の美容用補助薬、例えば、染料、乳白剤(例えば、二酸化チタン)、顔料、および芳香剤を含有することができる。
【0102】
組成物中の1つ以上のUV吸収性化合物は、「美容上許容される局所用キャリア」、すなわち、その他の成分をその中に分散または溶解させ、局所的に使用するための安全性を与える許容される性質を持つことができる局所用の使用のためのキャリアと組み合わされてもよい。そのために、組成物はさらに、美容化学の分野で既知の種々の機能性成分、例えば、機能性成分の中でも、乳化剤、皮膚軟化薬/油/ワックス、湿潤剤、増粘剤、乳白剤、芳香剤、染料、共溶媒のうちのいずれかを包含してもよい。さらに、組成物は、局所用の使用のためには適さない組成物を与え得る成分を本質的には含まなくてよい。そのために、組成物は、例えば揮発性の溶媒といった溶媒を本質的に含まなくてよく、特には、ケトン、キシレン、トルエンなどの揮発性の有機溶媒を本質的に含まなくてよい。「本質的に含まない」により、そのような成分が、約2%未満、好ましくは約1%未満、より好ましくは約0.5%未満の濃度で、個々に、または組み合わせて存在し、最も好ましくはそのような化合物が含まれないことが意味される。
【0103】
ある実施形態において、組成物は、約4.0〜約8.0、好ましくは約5.5〜約7.0のpHを有する。
【0104】
ある一つの特に注目すべき実施形態において、組成物は、例えば水中油エマルジョンの形態(in an oil in water emulsion)といったようにUV吸収性ポリマーを安定化するために、好適な乳化剤を包含する。例えば、非イオン性乳化剤といった好適な乳化剤としては、パーソナルケア製品中で一般に使用されるもの、例えば、アルキル/脂肪アルコール、アルキル/脂肪エステル、アルキル/脂肪グルコシド、アルコキシル化されたエステル脂肪酸などを包含する。他の実施形態において、組成物は、UV吸収性ポリマーを広げる、および/または可溶化するのを助ける1つ以上の油またはその他の疎水性化合物を包含する。好適な疎水性化合物としては、鉱油、ワセリン、野菜または動物由来の油(トリグリセリドなど)を含めた油;非炭化水素系油(non-hydrocarbon based oils)、例えば、ジメチコーン、およびその他のシリコーン油やシリコーンガム;芳香油;ポリエチレンワックスを含めたワックス、および必ずしもグリセロールのエステルではない脂肪エステルのその他の混合物を包含する。
【0105】
本発明の組成物は、哺乳類に局所的に投与することにより、例えば、人間の皮膚または毛髪の上に組成物を直接重ねるか、または広げることにより、使用されることができる。
【0106】
本発明の組成物は、通常の知識を有する熟練者によりよく知られている方法論を使用して調製され得る。本発明のポリマー、方法、および組成物の詳細な例は、以下に記載される。
【0107】
本発明の種々の実施形態に従う組成物は、先行技術の組成物と比較したときに、1つ以上の重要な利点を与える。ある実施形態に従うと、組成物は、C−C主鎖を有するUV吸収性ポリマーを包含し、これらは多くの場合、シロキサン主鎖を備えるものに対して種々の利点を与える。これらの利点としては、限定されるものではないが、調製する上でのより大きな柔軟性(エマルジョン、溶液、バルク、溶液)、および/または開始経路、および/またはより大きな分子量を生成する能力ならびに分子量およびその分配を目的に合わせる能力、および/または未反応のモノマーの混入の削減を包含する。
【0108】
その他の潜在的な利点としては、ペンダントUV吸収性発色団、およびシロキサン側基の配置および順序を目的に合わせる能力を包含し、これにより、(a)ポリマー中の十分に高いUV発色団レベルを達成すること、これにより、最終的な局所用日焼け止め組成物に必要とされるポリマーの濃度を削減すること、それ故、種々の日焼け止め処方スキームを生み出すこと、の望ましい組み合わせを達成する可能性を向上させる。
【0109】
出願人はまた、驚くべきことに、本発明のある実施形態に従うUV吸収性ポリマーが、皮膚透過を減らすのに必要な適切な分子量で作製され得ることを見出した。そのようなUV吸収性ポリマーはまた、これまで通り、配合するのに十分に簡単であり、皮膚上への十分な広げ易さを有し、経済的に生成されることができながらも、(親水性過ぎる特性を有するポリマー格子またはポリマーに共通し得るような)不十分な撥水性を避けるように十分に疎水性に作製されることもできる。
【0110】
さらにまた、本発明のある実施形態に従うと、C−C主鎖であるUV吸収性ポリマーは、その他のUV吸収性材料とブレンドされて、所望のバランスのUVA/UVB保護作用を生み出す能力を持つ。そのようなブレンドもまた、シリコーン油の形態の追加のシリコーンをその配合が包含することを必ずしも要求することなく、より優れた美観(aesthetics)で配合され得る。そのような配合は、高程度に広げることを達成するだけでなく、UV吸収性ポリマーの低い水への溶解度に起因して防水性をも達成する。
【0111】
下記の実施例が、本発明をさらに説明する。
【0112】
<例1〜3:UV吸収性ポリマーの調製>
本発明にしたがって下記のUV吸収性ポリマーを、下記のプロセスにしたがって合成した。すなわち、UV吸収性基である2−(2’ヒドロキシ−5’−メタクリルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールを含有し、292グラム/モルの分子量を有するエチレン的に不飽和のモノマー(ここでは「NORBLOC」と称される)を、エチルアセテート溶媒中に溶解し、100mLの三つ口丸底フラスコに加えた。次に、第2のエチレン的に不飽和のモノマーであるモノメタクリルオキシプロピルポリジメチルシロキサン(mPDMS−分子当たり10のシロキサン繰り返し単位を包含し、分子量が約900グラム/モルである)25グラムを加えた。
【0113】
還流の下で、反応混合物を、完全に溶解されるまで65℃(±15℃)で攪拌し、30分間窒素でパージした。次に、アゾビスイソブチロニトリン(Azobisisobutyronitrine)(AIBN;分子量146.21g/mol)を、シリンジを用いて加えた。反応物(reaction)を16〜18時間攪拌し、NORBLOCの消失をTLCによりモニターした。反応が完了したら、100〜200mLのトルエンを混合物に加え、攪拌しながら80℃まで加熱した。反応物を周囲温度まで冷却し、500mLの氷冷メタノールを加えてポリマーを沈殿させた。500mLの氷冷メタノールによる沈殿物の洗浄をさらに2回実施し、未反応のモノマーを除去した。沈殿物をエチルアセテート中に溶解し、ロータリーエバポレーション(rotary evaporation)により濃縮し、24時間減圧下に置いた。
【0114】
3つのポリマー例1〜3をNORBLOCおよびAIBNの量を変更することにより別々に調製した。使用した溶媒の量は、それぞれ4、7、および10gであった。反応物(reactants)(すなわち、NORBLOCおよびmPDMS)の重量百分率は以下の表1に示すとおりである。
【表1】

表2は、同じ例についての反応物について計算したモル比を示している。
【表2】

【0115】
ポリマーをゲル浸透クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography)により、様々な尺度の分子量と多分散性について分析した。この結果を以下の表3に示す。
【表3】

【0116】
<例4〜8:UV吸収性ポリマーおよびNORBLOCホモポリマーの調製>
本発明に従うUV吸収性ポリマーを、溶媒の質量を変更した(例4については5グラム、例5〜8については30mL)ことを除いて例1〜3と同様に調製した。AIBNおよびNORBLOCの量もまた変更した。例8をホモポリマー(mPMDS無し)として調製した。反応物のモルパーセントを以下の表5に与える。
【表4】

【0117】
<例9:5重量パーセントの発色団でのUV吸光度−UV吸収性ポリマーおよびNORBLOCホモポリマーの比較>
例6、例5のUV吸収性ポリマー、および例8のホモポリマーをそれぞれ別々にTHF中に溶解した。ポリマーの濃度は、各ケースにおいて、溶液中の発色団の全濃度が5%となるように選んだ。各溶液を以下に記載する「インビトロ・サンプロテクション・テスト法」に従ってテストした。
【0118】
<インビトロ・サンプロテクション・テスト法>
PMMAプレート(基質)にいずれのテスト材料をも適用することなく、このプレートのベースライン透過率を測定した。テストサンプルをポリマーのサンプルを提供することにより調製した。(ブレンドもまたこの方法によりテストされてよい。ポリマーは、いずれの追加の添加物も無しで、溶媒系有りで、あるいは、溶媒および/または追加の成分を包含してもよいパーソナルケア組成物の一部としてテストされることができる。)
【0119】
各サンプルを別々に、基質の平方センチメートル当たり溶液2マイクロリットルの適用密度を用いて、PMMAプレート(Helioscience, Marseille, Franceから入手可能)に適用し、オペレータの指で均一な薄い層になるようにこすり付け、乾燥させた。このような3つのサンプルを各テスト材料について行った。次に、サンプルを、較正したLabsphere(登録商標)UV-1000S UV transmission analyzer(Labsphere, North Sutton, N.H., USA)を用いて吸光度を測定する前に、15分間乾燥させた。SPFおよびPFA指数(UVAに基づく生物学的保護作用ファクター)を算出するのに吸光度測定値を使用した。
【0120】
SPFおよびPFAは、本技術分野で既知の方法を用いて算出した。SPFの算出のための以下の式(1)を参照のこと。
【数1】

ここで、
E(λ)=紅斑作用スペクトル(Erythema action spectrum)
I(λ)=UV源から受けるスペクトル照射量
A0(λ)=UV曝露前のテスト製品層の平均単色吸光度
dλ=波長ステップ(1nm)
【0121】
PFA(すなわち、UVAPF)の算出は、波長範囲が320nm〜400nmであることを除いて同様に算出される。
【0122】
図1は、例5および例6のUV吸収性ポリマーおよび例8のホモポリマーについての吸光度スペクトルを示している。
【0123】
PFAおよびSPFを算出し、以下の表6に示す。
【表5】

【0124】
この結果は、例5および例6のコポリマー(それぞれが「スペーサー」繰り返し単位であるmPDMSを包含している)が、非常に驚くべきことに、各サンプルが同量の合計発色団を含有していたにもかかわらず、例8のホモポリマーよりも高いSPFおよびPFAを有していたことを示している。このように、コモノマーとしてmPDMSを使用することにより、そのようなスペーサーが無いポリマーに比較して、UV吸光度における驚くべき有益な改善が達成されることが明らかである。
【0125】
<例10>
下記の予言的な例は、本発明のUV吸収性ポリマーを合成するために提供される。ポリマーは、UV吸収性基がジベンゾイルメタンであることを除いて、例4〜7のポリマーと同様である。
ステップ1−フェノールの保護作用:このステップでは、avobenzoneが、フェノール性ヒドロキシル基を保護するためにジヒドロピランと反応させられる。
【化11】

ステップ2−ベータジケトンを調製するためのカップリング反応(縮合):このステップでは、エノラートの溶液を作製し、酸塩化物を滴下して(dropwise)加えることにより、ベータジケトンが調製される。ベータジケトンに対して過剰なエノラートが使用される。
【化12】

ステップ3−THPエーテルの保護解除(Deprotection)
【化13】

ステップ4−フェノールのメタクリル化(Methacrylation):このステップでは、メタクリル酸無水物(methacrylic anhydride)でのエステル化(esterifaction)により、メタクリレート化されたジベンゾイルメタン(エチレン的に不飽和のモノマー)が調製される。
【化14】

ステップ5−重合:ジベンゾイルメタンおよびmPDMSのアクリルコポリマーが、例1〜4に関して上述で記載されたポリマーを合成するための方法と同じように(AIBNで開始される重合(AIBN initiated polymerization)、冷メタノールの追加を介した沈殿(precipitation addition via cold methanol))調製される。
【0126】
<例11>
例3のUV吸収性ポリマーを第2のUV吸収性ポリマーPARSOL SLXとブレンドした。例3のポリマー、PARSOL SLX、およびこれらの2つの種々のブレンドをSPFおよびPFAについてテストした。テストサンプルには追加の成分(例えば、溶媒、油など)を加えなかった。以下の表7はその結果を示している。
【表6】

【0127】
この結果は、日焼け止めの合計量について制御したときに、例3およびPARSOL SLXのブレンドが、いずれかのポリマー単独よりも有意に優れた性能を示したことを示している。このことは、驚くべきことに、C−C主鎖、UV−A側基、シロキサンを包含するスペーサー側基を有し、イオン化可能な部分を含まない本発明に従うUV吸収性ポリマーとUV−B吸収性部分を有するシロキサン主鎖ポリマーとの種々のブレンドにより、相乗的なUV吸光度が提供されることを示している。この結果は、さらに、特に望ましいが典型的には達成が困難である、高い値のSPF(例えば20を超える)、高いPFA(例えば5を超える)、および高いPFA/SPF比(例えば0.2を超える)の組み合わせを提供することができることを示している。
【0128】
<例12>
表8において以下に示される下記のパーソナルケア組成物を美容化学の技術分野で既知の乳化技術を用いて作製した。この組成物は、油中水エマルジョン(water in oil emulsion)(外相として水(water as the exterior phase))であり、2つのUV吸収性ポリマー、UV吸収性ポリマーを乳化するのに役立つ乳化剤(SIMUSOL, MONTANOV)、湿潤剤(グリセリン)、防腐剤、増粘剤(SIMULGELポリマー)およびPH調節剤(pH adjusters)を包含していた。
【0129】
グリセリン、パラベン、およびフェノキシエタノールを加えた水で主容器を満たした。次に、この容器を徐々に75℃まで加熱した。例6のポリマーを、PARSOL SLXおよびDC 246、SIMUSOL、MONTANOV、ならびにcocoate BGと混合することにより油相プレミックスを作製した。次に、油相プレミックスをゆっくりと75℃まで加熱した。2つの容器が75℃に達したら、油相プレミックスを主容器に加えた。これらを15分間混合し、75℃に保った。15分後、SIMULGELを加え、この容器を75℃に維持しながら5分間混合した。次に、容器を30℃までゆっくりと冷却し、クエン酸または水酸化ナトリウムを用いてpHを5〜6の間に調節した。
【0130】
【表7】

【0131】
この組成物は、良好な広げ易さを有し、いずれのもろい鱗状の残渣をも皮膚上に残さなかった。
【0132】
<例13A:UV吸収性ポリマーの調製>
下記の本発明のUV吸収性ポリマーを下記のプロセスにしたがって合成した。4.6グラムの第1のエチレン的に不飽和のモノマーであるイソオクチルアクリレート(HC=CHCO(CHCH(CH)(分子量184.3グラム/モル)と、8グラムのNORBLOCとを、追加の漏斗を備えた500mLの三つ口丸底フラスコに加えた。次に、50mLのエチルアセテートを加えた。7.4グラムのイソオクチルアクリレートと10mLのエチルアセテートとを、フラスコに取り付けた追加の漏斗へ加えた。
【0133】
還流の下、反応混合物を完全に溶解されるまで65℃(±15℃)で攪拌し、30分間窒素でパージした。200mgのアゾビスイソブチロニトリン(AIBN;146.21g/mol)を5mLのエチルアセテート中に溶解し、次に、シリンジを用いて加えた。次に、イソオクチルアクリレート/エチルアセテート溶液を、反応溶液中に、90分の期間にわたって滴下して加えた。反応物を16〜18時間攪拌し、NORBLOCの消失をTLCによりモニターした。反応が完了したら、反応物を25℃まで冷却した。500mLの氷冷メタノールを加え、コポリマーを沈殿させた。さらに2回洗浄を行い、未反応のモノマーを除去した。沈殿物を24時間減圧下に置いた。生成物収率は、重量パーセントで75%(15g)であった。NORBLOCとイソオクチルアクリレートとの質量比は、40%/60%=2:3であった。
【0134】
<例13B:UV吸収性ポリマーの調製>
例13Aと同様の合成を行ったが、反応物および溶媒の量を、例13Aにおいて列挙した量の約10倍まで拡大した。氷冷メタノールを加える前に、200〜400mLのエチルアセテート溶媒を、ロータリーエバポレータを用いて除去した。1リットルの氷冷メタノールを加えてコポリマーを沈殿させた。引き続き、上述のように洗浄を行った。収率は75%(150グラムのポリマー)であった。NORBLOCとイソオクチルアクリレートとの質量比は、40%/60%=2:3であった。
【0135】
<例14>
溶媒系中のUV吸収性ポリマーの4つの別々の組み合わせのブレンドを調製した。各ケースにおいて、ブレンドは、90重量%の溶媒と、10重量%の2つのUV吸収性ポリマーの混合物とから構成されていた。このブレンドを、FINSOLV TNおよびFINSOLV TPPからなる溶媒系中に2つのUV吸収性ポリマーを溶解することにより調製した。溶媒系は、98.89%FINSOLV TN、および1.11%FINSOLV TPPであった。UV吸収性ポリマーを溶解した後、結果として得られた溶液は、FINSOLV TNが89%、FINSOLV TPP(これ自体が3つのベンゾエートエステルのブレンドである)が1%、およびUV吸収性ポリマーの合計が10%であった。同様に、溶媒系中の単一のポリマーの溶液もまた調製した。UVポリマーの選択および質量比を以下の表9中に示すように変更した。
【表8】

【0136】
相乗作用についてテストするために、ブレンド中の各々のUV吸収ポリマーの質量パーセントを用いて、log SPF*およびlog PFA*を算出した。以前記述したように、log SPF > log SPF*ならば、相乗作用を、イエスについては「Y」、ノーについては「N」として、上記の表に記録した。同様の算出をlog PFA*について行った。
【0137】
例6およびPARSOL SLXのブレンドは、テストした質量パーセント範囲(80%の濃度範囲)の全体にわたって、SPFおよびPFAの両方で相乗作用を提供した。
【0138】
例13AおよびPARSOL SLXのブレンドは、テストした濃度範囲(80%の濃度範囲)の全体にわたってSPFおよびPFAの両方で相乗作用を提供した。
【0139】
例6およびPOLYCRYLENEのブレンドは、30%の濃度範囲(90〜60)にわたってだけはPFA相乗作用を提供したが、一方、SPFについては、一つの特定の濃度(例14h;90%例6、10%PC)で相乗作用が同定されただけだった。
【0140】
例13AおよびPOLYCRYLENEのブレンドは、テストした2つの濃度についてPFA相乗作用を提供したが、一方、SPFでは相乗作用を提供しなかった。
【0141】
<例15:UV吸収性モノマーの調製>
TINUVIN 213(Ciba, Inc)の酸形態を下記のように調製した。すなわち、40.0gのTINUVIN 213を、攪拌棒と追加の漏斗とを備えた2リットルの丸底フラスコに加えた。1リットルのメタノールを加え、均質になるまで攪拌した。17gのKOHを含有する400mLのdHOを、追加の漏斗を通して滴下して加え、黄色の溶液を暗い琥珀オレンジ色にした。反応物を24時間攪拌し、TLCによりモニターした。反応が完了した後、約900mLの溶媒をロータリーエバポレーションにより蒸留除去した。リトマス紙によりpHが1に達するまで1NのHCl(aq)を加え、白色沈殿物を沈殿させた。白色沈殿物をろ過し、1NのHCl(aq)各1Lで3回洗浄した。次に、これを1LのCHCl中に再溶解させ、有機抽出を1NのHCl(aq)各600mLで2回実施した。有機層を採集し、無水NaSO上で乾燥させ、ろ過し、ロータリーエバポレーションにより濃縮し、50℃において一晩減圧下で乾燥させ、約90%の収率でTINUVIN 213の酸形態を形成した。
【0142】
エチレン的に不飽和のUV吸収性モノマーを、下記のようにTINUVIN 213の酸形態から調製した。すなわち、フリードリヒ冷却器(Freidrich condenser)および攪拌棒を備えた500mLの三つ口丸底フラスコを減圧下、ヒーティングガン(heating gun)で10分間乾燥させた。9.55g(0.028mol)のTINUVIN 213酸(上述で調製した)、200mLのジエチルエーテル、および1.3mLのDMFを丸底に加えた。2.75mL(0.037mol)の塩化チオニルをこの混合物にゆっくりと加えた。少量のビルスマイヤー塩を除いて均質になるまで(2〜3時間)混合物を攪拌した。7gの無水NaCOを加え、続いて、18.33g(0.141mol)の2−ヒドロキシエチルメタクリレート(2-hydroxythyl methacrylate)(HEMA)をゆっくりと加えた。反応は一晩中進行し、TLCでモニターした。反応が完全に進んだら、炭酸ナトリウムをろ過除去し、溶液を1Lの分液漏斗に加えた。50mLのEtOAcと100mLのヘキサンとを漏斗に加えた。2%のNaCl(aq)溶液各300mLで5回、有機洗浄を実施し、水性相を捨てた。次に、5%のNaCO(aq)溶液各300mLを2回加え、あらゆる残存する出発材料を沈殿させた。沈殿物をろ過除去し、塩基性の水性洗浄(basic aqueous wash)の間に沈殿物が形成されなくなるまで、このプロセスを繰り返した。これにより、黄色の有機層を採集し、無水NaSO上で乾燥させ、ろ過し、ロータリーエバポレーションにより濃縮した。黄色の物質を最小限の量のヘプタン中に再溶解し、室温で一晩静置して再結晶化させた。フラスコを48時間に至るまで冷却器中に配置することにより再結晶化をさらに亢進させ、約40%の収率で、メタクリレート化された形態のTINUVIN 213を形成した。
【0143】
<例16:UV吸収性ポリマーの調製>
本発明に従うUV吸収性ポリマーを下記のように調製した。すなわち、例15で調製したTINUVIN 213メタクリレート4.0gと、Z-6030シラン(Midland, MichiganのDow Corningから入手可能である)5.0gと、AIBN開始剤1.0gと、エチルアセテート(EtOAc)65mLとを、フリードリヒ冷却器および攪拌棒を備えた100mLの丸底フラスコに加えた。この混合物を10分間窒素でパージし、24時間65℃での還流の下、加熱した。次に、EtOAcをロータリーエバポレーションにより蒸留除去し、4.2gのCETIOL B(Monheim, GermanyのCognis Corporationから入手可能なジブチルアジパート)を丸底に加え、70wt%のUV吸収性ポリマー、30wt%CETIOL Bを得た。
【0144】
<例17:UV吸収性ポリマーの調製>
Z-6030シランを5.0グラムのラウリルメタクリレートに置き換えたことを除いて、例16と同一の方法で本発明に従うUV吸収性ポリマーを調製し、70wt%のUV吸収性ポリマー、30wt%CETIOL Bを再び得た。
【0145】
<例18:UV吸収性ポリマーの調製>
Z-6030シランを5.0グラムのイソオクチルアクリレートに置き換えたことを除いて、例16と同一の方法で本発明に従うUV吸収性ポリマーを調製し、70wt%のUV吸収性ポリマー、30wt%CETIOL Bを再び得た。
【0146】
<例19:UV吸収性モノマーの調製>
下記のように、TINUVIN 109(Ciba, Inc)の酸形態を調製した。すなわち、21.21gのTINUVIN 109を、攪拌棒と追加の漏斗とを備えた1リットルの丸底フラスコに加えた。300mLのエタノールを加え、均質になるまで攪拌した。10mLの50wt%NaOH(aq)と90mLの脱イオン水を含有する100mLの水性NaOHを、追加の漏斗を通して滴下して加え、黄色の溶液を暗い琥珀オレンジ色にした。反応物を24時間攪拌し、TLCによりモニターした。反応が完了した後、約200mLの溶媒をロータリーエバポレーションにより蒸留除去した。リトマス紙によりpHが1に達するまで1NのHCl(aq)を加え、白色沈殿物を沈殿させた。白色沈殿物をろ過し、1NのHCl(aq)各500mLで3回洗浄した。次に、これを500mLのCHCl中に再溶解させ、有機抽出を1NのHCl(aq)各300mLで2回実施した。有機層を採集し、無水NaSO上で乾燥させ、ろ過し、ロータリーエバポレーションにより濃縮し、50℃において一晩減圧下で乾燥させ、約90%の収率でTINUVIN 109の酸形態を形成した。
【0147】
エチレン的に不飽和のUV吸収性モノマーを、下記のようにTINUVIN 109の酸形態から調製した。すなわち、フリードリヒ冷却器および攪拌棒を備えた500mLの三つ口丸底フラスコを減圧下、ヒーティングガンで10分間乾燥させた。6.78g(0.020mol)のTINUVIN 109酸(上述で調製した)、150mLのジエチルエーテル、および3mLのDMFを丸底に加えた。2.09mL(0.0286mol)の塩化チオニルをこの混合物にゆっくりと加えた。少量のビルスマイヤー塩を除いて均質になるまで(2〜3時間)混合物を攪拌した。7gの無水NaCOを加え、続いて、7.8g(0.06mol)の2−ヒドロキシエチルメタクリレート(2-hydroxythyl methacrylate)(HEMA)をゆっくりと加えた。反応は一晩中進行し、TLCでモニターした。反応が完全に進んだら、炭酸ナトリウムをろ過除去し、溶液を1Lの分液漏斗に加えた。50mLのEtOAcと100mLのヘキサンとを漏斗に加えた。2%のNaCl(aq)溶液各300mLで5回、有機洗浄を実施し、水性相を捨てた。次に、5%のNaCO(aq)溶液各300mLを2回加え、あらゆる残存する出発材料を沈殿させた。沈殿物をろ過除去し、塩基性の水性洗浄の間に沈殿物が形成されなくなるまで、このプロセスを繰り返した。これにより、黄色の有機層を採集し、無水NaSO上で乾燥させ、ろ過し、ロータリーエバポレーションにより濃縮した。黄色の物質を最小限の量のヘプタン中に再溶解し、室温で一晩静置して再結晶化させた。フラスコを48時間に至るまで冷却器中に配置することにより再結晶化をさらに亢進させ、約40%の収率で、融点が約42℃である、メタクリレート化された形態のTINUVIN 109を形成した。
【0148】
<例20:UV吸収性ポリマーの調製>
本発明に従うUV吸収性ポリマーを下記のように調製した。すなわち、例19で調製したTINUVIN 109メタクリレート4.0gと、Z-6030シラン(Midland, Michigan のDow Corningから入手可能である)5.0gと、AIBN開始剤1.0gと、エチルアセテート(EtOAc)65mLとを、フリードリヒ冷却器および攪拌棒を備えた100mLの丸底フラスコに加えた。この混合物を10分間窒素でパージし、次に、24時間65℃での還流の下、加熱した。次に、EtOAcをロータリーエバポレーションにより蒸留除去し、4.2gのCETIOL B(Monheim, GermanyのCognis Corporationから入手可能なジブチルアジパート)を丸底に加え、70wt%のUV吸収性ポリマー、30wt%CETIOL Bを得た。[40%TINUVIN 109、50%シラン、10%開始剤]
【0149】
<例21:UV吸収性ポリマーの調製>
Z-6030シランを5.0グラムのラウリルメタクリレートに置き換えたことを除いて、例20と同一の方法で本発明に従うUV吸収性ポリマーを調製し、70wt%のUV吸収性ポリマー、30wt%CETIOL Bを再び得た。
【0150】
<例22:UV吸収性ポリマーの調製>
Z-6030シランを5.0グラムのイソオクチルアクリレートに置き換えたことを除いて、例20と同一の方法で本発明に従うUV吸収性ポリマーを調製し、70wt%のUV吸収性ポリマー、30wt%CETIOL Bを再び得た。
【0151】
<例23:UV吸光度−異なるUV吸収性発色団を有するUV吸収性ポリマーの比較>
例20のUV吸収性ポリマーおよび例6のUV吸収性ポリマーを別々に、各々が20重量%の濃度になるようにCETIOL B中に溶解した。ポリマーの各々が、40重量%のUV吸収性発色団を含有していたので、各サンプルは、8重量%(20%x40%)の発色団を含有していた。各々のUV線を吸収する能力を比較するために、両方の物質に対してインビトロ・サンプロテクション・テスト法を実施した。この結果を以下の表10に示す。
【表9】

この結果は、CETIOL Bにおいてテストしたときに、UV吸収性発色団としてTINUVIN 109を包含した例20のポリマーが、UV吸収性部分としてNORBLOCを有した例6のポリマーに比較して、より優れたUV−A吸収性の性質を有していたことを示している。例20のポリマーについてのPFA/SPFの比は0.89であったのに対して、例8のポリマーについてのPFA/SPF比はたった0.40であった。このことは、UV吸収性部分としてTINUVIN 109を選ぶことにより、さらに高いレベルのUV−A保護作用を達成することができることを示唆している。さらに、このことは、TINUVIN 109を選ぶことにより、高いSPFを達成したままでいながらも、望ましい最小限のPFA/SPFの比(0.33)を満足することができるに違いないことを示唆している。
【0152】
<例24>
UV吸収性ポリマーを包含する組成物を調製した。この組成物は、以下の表11に示した成分から構成した。
【表10】

PEMULEN TR-1は、Cleveland, OhioのNoveon Inc.から入手可能である。
ARLACEL 165は、Chicago, IllinoisのUniqema Inc.から入手可能である。
AMPHISOL Kは、Parsippany, NJのDSM Nutritional Productsから入手可能である。CETIOL BおよびLANETTE 16は、Monheim, GermanyのCognis Care Chemicalsから入手可能である。
FINSOLV TNは、Elmwood Park, NJのFinetex Inc.から入手可能である。
MYGLIOL 812は、Witten, GermanyのSasol Germany GmbHから入手可能である。
SPECTRAGARDは、Philadelphia, PennsylvaniaのInolex Chemical Companyから入手可能である。
【0153】
水およびPEMULENを混合し、85℃に加熱することにより、水相をまず調製することによって例24の組成物を作製した。少量の水酸化ナトリウムを加え、PEMULENを中和して、pHを5.5〜6.0にした。次に、残りの成分(COSMEDIA ATHおよびSPECTRAGARDを除く)を一緒に混合することにより油相を調製し、これを水相に加え、3500rpmにセットしたミキサーを5分間使用して2つの相を均質化した。次に、COSMEDIA ATHをゆっくりと加え、混合物を30℃まで冷却させた。次に、SPECTRAGARDを加え、穏やかに混合し、室温まで冷却させた。例24の組成物は、秀でた広げ易さおよび美観を示した。
【0154】
本発明が、その詳細な説明と組み合わせて記載されているが、前述の記載は例示を意図するものであり、本発明の範囲を限定するものではなく、本発明は、付属の特許請求の範囲により規定されるものと理解される。その他の側面、利点、および改良が請求項の範囲内に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0155】
【図1】図1は、例5および例6のUV吸収性ポリマー、ならびに例8のホモポリマーについての吸光度スペクトルを示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
UV吸収性ポリマーにおいて、
下記の化学構造を有し、
【化1】

ここで、
は、UV吸収性トリアゾールを含む第1の側基であり、
は、a)1〜約50のシロキサン結合、b)7〜16の炭素原子を有する飽和もしくは不飽和の炭化水素部分、またはc)これらの組み合わせ、を含む第2の側基であり、Rは、UV吸収性部分を含まず、
各R’は、独立して、H、またはC〜C12アルキルであり、
nは、1〜6000であり、
mは、2〜6300であり、
前記UV吸収性ポリマーは、少なくとも約2000の重量平均分子量を有し、少なくとも約5モル%のRを含む、UV吸収性ポリマー。
【請求項2】
請求項1に記載のUV吸収性ポリマーにおいて、
R’がメチルである、UV吸収性ポリマー。
【請求項3】
請求項1に記載のUV吸収性ポリマーにおいて、
nが約2〜約3500である、UV吸収性ポリマー。
【請求項4】
請求項1に記載のUV吸収性ポリマーにおいて、
mが約3〜約4000である、UV吸収性ポリマー。
【請求項5】
請求項1に記載のUV吸収性ポリマーにおいて、
約2000〜約1,000,000の重量平均分子量を有する、UV吸収性ポリマー。
【請求項6】
請求項1に記載のUV吸収性ポリマーにおいて、
が下記の式を有するUV吸収性部分を含み、
(I)
【化2】

または、(II)
【化3】

ここで、
各R14は、独立して、水素、C〜C20アルキル、アルコキシ、アシル、アルキルオキシ、アルキルアミノ、およびハロゲンからなる群より選択され、
15およびR22の各々は、独立して、水素、C〜C20アルキル、アルコキシ、アシル、アルキルオキシ、およびアルキルアミノからなる群より選択され、R15およびR22の少なくとも一方は水素ではなく、
21は、C〜C20アルキル、アルコキシ、アシル、アルキルオキシ、およびアルキルアミノから選択される、UV吸収性ポリマー。
【請求項7】
請求項6に記載のUV吸収性ポリマーにおいて、
14がハロゲンである、UV吸収性ポリマー。
【請求項8】
請求項6に記載のUV吸収性ポリマーにおいて、
前記UV吸収性トリアゾールは、R14がハロゲンであり、R15がブチル基であり、かつR21が−CHCHCO17である式Iの化合物である、UV吸収性ポリマー。
【請求項9】
請求項1に記載のUV吸収性ポリマーにおいて、
イオン化可能な部分を含まない、UV吸収性ポリマー。
【請求項10】
請求項1に記載のUV吸収性ポリマーにおいて、
は、モノメタクリルオキシプロピルポリジメチルシロキサンmPDMSに由来する、UV吸収性ポリマー。
【請求項11】
請求項1に記載のUV吸収性ポリマーにおいて、
は、メタクリルオキシプロピルトリメトキシシランZ-6030に由来する、UV吸収性ポリマー。
【請求項12】
請求項1に記載のUV吸収性ポリマーにおいて、
は、2−(2’ヒドロキシ−5’−メタクリルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールである、UV吸収性ポリマー。
【請求項13】
水性組成物において、
下記の化学構造を有するUV吸収性ポリマーを含み、
【化4】

ここで、
は、UV吸収性部分を含む第1の側基であり、
は、a)少なくとも1つのシロキサン結合、b)7〜16の炭素原子を有する飽和もしくは不飽和の炭化水素部分、またはc)これらの組み合わせ、を含む第2の側基であり、
各R’は、独立して、H、またはC〜C12アルキルであり、
nは、1〜6000であり、
mは、2〜6300であり、
前記UV吸収性ポリマーは、少なくとも約2000の重量平均分子量を有し、少なくとも約5モル%のRを含む、水性組成物。
【請求項14】
請求項1に記載の水性組成物において、
前記UV吸収性ポリマーは、イオン化可能な部分を含まない、水性組成物。
【請求項15】
請求項1に記載の水性組成物において、
前記UV吸収性ポリマーは、約3%未満の水への溶解度を有する、水性組成物。
【請求項16】
請求項1に記載の水性組成物において、
前記UV吸収性ポリマーは、約2000〜約1,000,000の重量平均分子量を有する、水性組成物。
【請求項17】
請求項1に記載の水性組成物において、
前記UV吸収性ポリマーは、約10〜約90モル%のRを含む、水性組成物。
【請求項18】
請求項1に記載の水性組成物において、
がUV−A吸収性部分を含む、水性組成物。
【請求項19】
請求項1に記載の水性組成物において、
がUV吸収性トリアゾールを含む、水性組成物。
【請求項20】
請求項1に記載の水性組成物において、
がUV吸収性部分を含まない、水性組成物。
【請求項21】
請求項1に記載の水性組成物において、
は、モノメタクリルオキシプロピルポリジメチルシロキサンmPDMSに由来する、水性組成物。
【請求項22】
請求項1に記載の水性組成物において、
は、メタクリルオキシプロピルトリメトキシシランZ-6030に由来する、水性組成物。
【請求項23】
請求項1に記載のUV吸収性ポリマーにおいて、
は、2−(2’ヒドロキシ−5’−メタクリルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールである、UV吸収性ポリマー。
【請求項24】
請求項1に記載の水性組成物において、
約0.5重量%〜約80重量%の前記UV吸収性ポリマーを含む、水性組成物。
【請求項25】
請求項1に記載の水性組成物において、
美容上許容される局所用キャリアをさらに含む、水性組成物。
【請求項26】
請求項1に記載の水性組成物において、
第2のUV吸収性ポリマーをさらに含む、水性組成物。
【請求項27】
請求項14に記載の水性組成物において、
前記第2のUV吸収性ポリマーは、UV−B吸収性部分を含む、水性組成物。
【請求項28】
請求項1に記載の水性組成物において、
約3〜約8の比誘電率を有する溶媒を含む溶媒系をさらに含む、水性組成物。
【請求項29】
UV線から哺乳類の皮膚または毛髪を保護する方法において、
請求項1に記載の組成物を前記皮膚または毛髪に局所的に適用すること、
を含む、方法。
【請求項30】
水性組成物において、
下記の化学構造を有するUV吸収性ポリマーを含み、
【化5】

ここで、
は、UV吸収性部分を含む第1の側基であり、
は、a)少なくとも1つのシロキサン結合、b)7〜16の炭素原子を有する炭化水素部分、またはc)これらの組み合わせ、を含む第2の側基であり、
各R’は、独立して、H、またはC〜C12アルキルであり、
nは、1〜6000であり、
mは、2〜6300であり、
前記UV吸収性ポリマーは、少なくとも約2000の重量平均分子量を有し、少なくとも約5モル%のRを含む、水性組成物。
【請求項31】
請求項1に記載の水性組成物において、
前記UV吸収性ポリマーは、イオン化可能な部分を含まない、水性組成物。
【請求項32】
請求項1に記載の水性組成物において、
前記UV吸収性ポリマーは、約3%未満の水への溶解度を有する、水性組成物。
【請求項33】
請求項1に記載の水性組成物において、
前記UV吸収性ポリマーは、約2000〜約1,000,000の重量平均分子量を有する、水性組成物。
【請求項34】
請求項1に記載の水性組成物において、
前記UV吸収性ポリマーは、約10〜約90モル%のRを含む、水性組成物。
【請求項35】
請求項1に記載の水性組成物において、
がUV−A吸収性部分を含む、水性組成物。
【請求項36】
請求項1に記載の水性組成物において、
がUV吸収性トリアゾールを含む、水性組成物。
【請求項37】
請求項1に記載の水性組成物において、
がUV吸収性部分を含まない、水性組成物。
【請求項38】
請求項1に記載の水性組成物において、
は、モノメタクリルオキシプロピルポリジメチルシロキサンmPDMSに由来する、水性組成物。
【請求項39】
請求項1に記載の水性組成物において、
は、メタクリルオキシプロピルトリメトキシシランZ-6030に由来する、水性組成物。
【請求項40】
請求項1に記載のUV吸収性ポリマーにおいて、
は、2−(2’ヒドロキシ−5’−メタクリルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールである、UV吸収性ポリマー。
【請求項41】
請求項1に記載の水性組成物において、
約0.5重量%〜約80重量%の前記UV吸収性ポリマーを含む、水性組成物。
【請求項42】
請求項1に記載の水性組成物において、
美容上許容される局所用キャリアをさらに含む、水性組成物。
【請求項43】
請求項1に記載の水性組成物において、
第2のUV吸収性ポリマーをさらに含む、水性組成物。
【請求項44】
請求項14に記載の水性組成物において、
前記第2のUV吸収性ポリマーは、UV−B吸収性部分を含む、水性組成物。
【請求項45】
請求項1に記載の水性組成物において、
約3〜約8の比誘電率を有する溶媒を含む溶媒系をさらに含む、水性組成物。
【請求項46】
UV線から哺乳類の皮膚または毛髪を保護する方法において、
請求項1に記載の組成物を前記皮膚または毛髪に局所的に適用すること、
を含む、方法。

【図1】
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【公開番号】特開2010−13644(P2010−13644A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−153367(P2009−153367)
【出願日】平成21年6月29日(2009.6.29)
【出願人】(598039367)ジョンソン・アンド・ジョンソン・コンシューマー・カンパニーズ・インコーポレイテッド (79)
【氏名又は名称原語表記】Johnson & Johnson Consumer Companies,Inc.
【住所又は居所原語表記】Grandview Road,Skillman,New Jersey 08558,United States of America
【Fターム(参考)】