説明

紫外線照射方法及び紫外線照射装置

【課題】 本発明は、ゴムローラのような円柱体又は円筒体に対して円周方向の紫外線積算照射量が均一であり、且つ効率良く連続的に紫外線が照射されて、量産性に優れ低コストで、表面硬度の均一性が優れ、更に動摩擦係数が低減されたゴムローラを安定して紫外線照射する方法及び紫外線照射装置を提供する。
【解決手段】 管状の紫外線ランプを中心に配置し、その同心円上に複数のゴムローラのような円柱体又は円筒体を配置し、更にその外側の同心円上に円筒状又は円弧状の反射板を配置して、円柱体又は円筒体を回転させながら紫外線を照射する方法及びその手段を備えた紫外線照射装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円柱体又は円筒体に紫外線を照射する方法及び紫外線照射装置に関するものであり、特にLBP(Laser Beam Printer)、複写機及びファクシミリ等のOA機器における、電子写真プロセスを利用した画像形成装置に用いる円柱状又は円筒状の弾性ローラ(帯電ローラ、現像ローラ等)に紫外線を照射する方法及び紫外線照射装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の画像形成装置は高速化、高耐久化に伴い、画像形成装置に使用される円柱状又は円筒状の弾性部材も、高精度、高耐久化が要求されてきている。
【0003】
画像形成装置に使用される帯電ローラは帯電部材のうち最も一般的なものであり、感光体ドラムに接触して帯電処理を行うものである。
【0004】
帯電ローラに関して、画像形成装置に帯電ローラを用いてハーフトーン画像による画像耐久試験を行った場合、画像耐久をしていくと共にトナー及びトナーに付着している外添剤等により帯電ローラ表面が汚れるという問題がある。その結果、帯電ローラ表面のひどく汚れた部分を起点に白スジといった画像不良が生じる。これは帯電ローラ表面が汚れる事により感光体ドラムに均一な帯電処理ができなくなるからである。
【0005】
ローラ表面が汚れる原因の一つとして、感光体ドラムとローラ表面との動摩擦係数(摩擦抵抗)が大きい事が考えられる。動摩擦係数が大きい場合トナー及び外添剤に外力がかかりローラ表面に付着しやすくなるため、ローラ表面の動摩擦係数を下げる事は非常に重要である。
【0006】
これに対して、従来ゴムローラに紫外線照射をしてゴムローラ表面を改質させる方法が検討されている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)。ゴムローラに紫外線を照射する事により、ゴムローラ表面の硬度を上げて摩擦係数を下げ、感光体に対する粘着力を低減する事ができる。
【0007】
その結果、感光体への汚染をより効果的に防止する事ができる(例えば、特許文献1参照)。更に、ゴムローラ表面を表面粗さの小さい鏡面状とした平滑な表面に、紫外線を照射して酸化被膜を形成する事で摩擦係数の低減とローラ使用時の抵抗変化の抑制が可能である(例えば、特許文献2参照)。
【0008】
ここで、ゴムローラの紫外線照射方法としてゴムローラを90°毎に5分間、紫外線を照射して4回回転させてローラ全周に酸化被膜を形成させる事があるが(例えば、特許文献2参照)、紫外線強度は距離に依存するためこの場合、円柱体であるゴムローラが一定の回転をしていないため酸化被膜の形成が均一でない可能性がある。
【0009】
それ以外の方法として紫外線光源に対して1本のゴムローラのみを所定の時間、回転させる方法やゴムローラをコンベアで搬送しながら紫外線をローラの上下から照射する方法等があるが(例えば、特許文献3参照)、いずれの場合でもローラ円周方向の紫外線積算照射量の均一性、又はローラを連続的に照射する量産性に劣る事が予想される。
【特許文献1】特開平8-292640号公報
【特許文献2】特開平11-149201号公報
【特許文献3】特開2003-345088号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前記で述べたように、ゴムローラに紫外線照射する場合、ローラ円周方向の紫外線積算照射量の均一にする事と紫外線光源に対してより多くのローラを均一に連続的に照射して量産性を上げる事は非常に重要である。
【0011】
従って、発明は前記の課題に鑑みてなされたものであり、ゴムローラのような円柱体又は円筒体に対して円周方向の紫外線積算照射量が均一であり、且つ効率良く連続的に紫外線が照射されて、量産性に優れ低コストで、表面硬度の均一性が優れ、更に動摩擦係数が低減されたゴムローラを安定して紫外線照射する方法及び紫外線照射装置を提供する事である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討し、紫外線光源として管状の紫外線ランプを中心に配置して、その同心円上にゴムローラような円柱体又は円筒体を複数配置して、更にその外側の同心円上に円筒状又は円弧状の反射板を配置して、円柱体又は円筒体を回転させながら紫外線を照射する事により、円柱体又は円筒体に対して円周方向の紫外線積算照射量が均一で、また効率良く紫外線が照射されて連続的に照射する事により量産性が向上する事、更には紫外線照射装置の小型化が可能である事を見出し、本発明を完成した。
【0013】
すなわち、本発明は、円柱体又は円筒体に紫外線を照射する方法において、管状の紫外線ランプを中心に配置し、その同心円上に複数の円柱体又は円筒体を配置し、更にその外側の同心円上に円筒状又は円弧状の反射板を配置して、円柱体又は円筒体を回転させながら紫外線を照射する事を特徴とする紫外線照射方法である。
【0014】
なお、反射板に用いられる材質としては高純度アルミニウムで表面に光沢アルマイト処理が施されたものである事が好ましい。
【0015】
更に、本発明は、円柱体又は円筒体が電子写真用部材である事を特徴とする上記の紫外線照射方法である。
【0016】
また、本発明は、上記の紫外線照射方法により加硫ゴム表面を改質する事を特徴とする紫外線照射方法である。
【0017】
更に、本発明は、上記の紫外線照射方法に用いるための紫外線照射装置であり、管状の紫外線ランプを中心に備え、その同心円上に複数の円柱体又は円筒体を保持する手段と回転させる手段を備え、更にその外側の同心円上に円筒状又は円弧状の反射板を備えた事を特徴とする紫外線照射装置である。
【発明の効果】
【0018】
本発明の紫外線照射装置を用いた紫外線照射方法は、ゴムローラのような円柱体又は円筒体に対して円周方向の紫外線積算照射量が均一であり、且つ効率良く紫外線が照射されており、更に連続的に照射して量産する事も容易である。その結果、低コストで、表面硬度の均一性が優れ、更に動摩擦係数が低減されたゴムローラを安定して得られる。また、紫外線照射装置としての小型化も可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明をゴムローラの例で更に詳細に説明する。
【0020】
まず、芯金上にゴム層が設けられたゴムローラの成形方法としては、円筒金型に同心に軸状の芯金を保持する2つの円筒駒を組み、ゴム材料を注入後加熱することにより材料を硬化させてゴムローラを成形する射出成形、ゴム材料をチューブ状に押出した後、芯金にチューブ状のゴム材料を被せる、或いは芯金とゴム材料を一体に押出して円筒状のゴムローラを成形する押出成形、トランスファー成形、プレス成形等があるが、特に限定されるものではない。製造時間の短縮を考えるとゴム材料を芯金と一体に押出してゴムローラを成形する押出成形が好ましい。
【0021】
ゴムローラの加熱方法に関しては、加熱状態の円筒状または平面状の部材に回転させながら押し当てても良く、更にこれと共に熱風炉、加硫缶、熱盤、遠・近赤外線、誘導加熱等のいずれの方法を併用しても良く、140℃以上220℃以下の範囲の温度で10分以上120分以下の時間で加熱して、ゴムローラ表面が加硫している事が好ましい。
【0022】
又、加熱後に所望のローラ形状、ローラ表面粗さにするために回転砥石を用いた乾式研磨をする場合もある。
【0023】
ここで、図1には押出機の模式図を示す。押出機1はクロスヘッド2を備える。クロスヘッドは芯金送りローラ3によって送られた芯金4を後ろから挿入でき、芯金と同時に円筒状のゴム材料を一体に押出す事ができる。ゴム材料を芯金の周囲に円筒状に成形した後に、端部を切断・除去処理5を行い、ゴムローラ6とした。
【0024】
前記のゴムローラの芯金として使用する材質は、ニッケルメッキやクロムメッキしたSUM材等の鋼材を含むステンレススチール棒、リン青銅棒、アルミニウム棒、耐熱樹脂棒が好ましい。又、芯金上に設けられたゴム層は導電性の弾性層であり、ポリマーとしては、天然ゴム、ブタジエンゴム、ヒドリンゴム、スチレン-ブタジエンゴム、ニトリルゴム、エチレン-プロピレンゴム、ブチルゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム、フッソゴム、塩素ゴム、熱可塑エラストマー等のいずれでも良く、ポリマー中に分散させる導電粉としてはカーボンブラック、導電性カーボン等のカーボン類、及び金属粉、導電性の繊維、或いは酸化スズ等の半導電性金属酸化物粉体、更にこれらの混合物等のいずれでも良い。
【0025】
次に、本発明のゴムローラ表面に紫外線を照射する方法及び紫外線照射装置について説明する。
【0026】
ここで、図2には紫外線照射装置の模式図と紫外線照射時の装置断面図を示す。まず、複数のゴムローラ6をローラ保持部材9A、Bで保持して、管状の紫外線ランプ7を中心に同心円上に配置する。更にその外側の同心円上に円筒状又は円弧状の反射板8を配置する。この時、ゴムローラ同士が接触しないように考慮して配置する。
【0027】
また、紫外線を照射する際にはゴムローラを一定の回転数で回転させて紫外線を照射する。回転させる手段としては、例えばモーター10を使用して、モーターの動力がベルト11によりローラ保持部材に伝えられてゴムローラが回転する。
【0028】
ゴムローラの配置される数は管状の紫外線ランプの外径、ゴムローラの外径から決定される。更に、管状の紫外線ランプとゴムローラの距離は任意に設定でき、紫外線積算照射量やランプからの輻射による熱の影響を考慮して決定される。
【0029】
管状の紫外線ランプは、高出力低圧水銀ランプ、無電極低圧水銀ランプ、エキシマランプ、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプのいずれでも良いが、表面処理の効果に応じて適宜選択すれば良い。又、管状の紫外線ランプ形状については好ましくは円筒型のものが良いが、U字型のものを縦に配置しても良い。本発明では、高出力低圧水銀ランプを用いており、主に254nmの波長を代表とする紫外線である。ここで、本発明で用いた紫外線ランプ(低圧水銀ランプ)の分光分布を図3に示す。尚、紫外線の積算照射量は、下記で定義される。
【0030】
紫外線積算照射量(mJ/cm2)=紫外線強度(mW/cm2)×照射時間(sec)
紫外線の積算照射量については、表面処理の効果に応じて適宜選択すれば良い。その調節は、照射時間、ランプ出力、ランプとローラとの距離のいずれでも行う事が可能であり、所望の積算照射量が得られるように決めればよい。又、照射時間内で積算照射量に勾配をつけても良い。
【0031】
今回、254nmの波長を代表とする紫外線に関しては、紫外線の積算照射量をウシオ電機株式会社製のUIT-150-A、UVD-S254の紫外線強度計、積算照射量計を用いて測定した。
【0032】
また、反射板の材質としては、アルミニウム、ステンレス、鉄を用い反射面は鏡面加工、又は反射率を向上させるコート処理、表面処理が施される事が望ましい。好ましくは、材質が99.9%以上の高純度アルミニウムで表面に反射率90%以上の光沢アルマイト処理を施す事が良い。ここで、ステンレスに鏡面加工を施した反射板の場合は紫外線の反射率が約80%で、高純度アルミニウムの表面に光沢アルマイト処理を施した反射板の場合は紫外線の反射率が90%以上である。反射板とゴムローラの距離は任意に設定でき、紫外線積算照射量や反射板からの輻射による熱の影響を考慮して決定される。
【0033】
この紫外線照射装置を連続ラインとして使用する場合には、図4に示すようにゴムローラを流して紫外線照射しても良い。この場合、管状の紫外線ランプを中心にローラが自転と公転を同時に行い、ロータリー方式で連続的に紫外線が照射される。
【0034】
また、ゴムローラを紫外線照射装置に搬入・搬出する場合には、反射板を扉として開閉して図5に示すようなチャッキング搬送ハンド12で行われる。また、ゴムローラを複数本同時に紫外線を照射した後に、図6に示すようなチャッキング搬送冶具13により上又は下から搬入・搬出を行っても良い。
【0035】
また、更なる高機能化のために、ゴムローラ成形後、紫外線照射前にゴムローラ表面に表面処理剤を含浸・浸透させて、その後紫外線照射を行って表面硬化・表面改質をしても良い。表面処理剤としては、シリコーン系、フッ素系、ウレタン系、アクリル系、ウレタン変性アクリル系、シリコーン変性ウレタン系が用いられる。表面処理剤を含浸・浸透させる方法としては、円筒状のリングヘッドを用いたリング塗布方法、浸漬方法、スプレー塗布方法等のいずれの方法でも良い。
【0036】
本発明の実施の形態であるゴムローラの紫外線照射方法により得られたゴムローラは、LBP(Laser Beam Printer)、複写機及びファクシミリ等の画像形成装置の電子写真用部材として用いられる。ここで、帯電ローラとして用いた場合の使用形態を図7に示した。
【0037】
画像形成装置は、回転ドラム型・転写方式の電子写真装置であって、14は像担持体としての電子写真感光体(感光ドラム)であり、時計方向に所定の周速度(プロセススピード)をもって回転駆動される。感光ドラムは、その回転過程で帯電手段としての電源E1から帯電バイアスを印加した帯電ローラ15により周面が所定の極性・電位(本実施例では-600V)に一様帯電処理され、次いで露光系16により目的の画像情報に対応したネガ画像露光(原稿像のアナログ露光、デジタル走査露光)を受けて周面に目的画像情報の静電潜像が形成される。
【0038】
次いで、その静電潜像がマイナストナーによる反転現像方式のトナー現像ローラ17によりトナー画像として現像される。そしてそのトナー画像が感光ドラムと転写手段としての転写ローラ18との間の転写部に不図示の給紙手段から所定のタイミングで転写材が給送され、転写ローラに対して電源E2から約+2〜3KVの転写バイアスが印加され感光ドラム面の反転現像されたトナー像が転写材に対して順次転写されていく。
【0039】
トナー画像の転写を受けた転写材は、感光ドラム面から分離されて不図示の定着手段へ導入されて像定着処理を受ける。トナー画像転写後の感光ドラム面は、クリーニング手段19で転写残りトナー等の付着汚染物の除去処理を受けて清浄面化されて繰り返して作像に供される。
【0040】
以上説明したように、本発明の実施の形態であるゴムローラの紫外線照射方法によれば、ローラ円周方向の紫外線積算照射量が均一であり、且つ効率良く紫外線が照射されて、更に連続的に照射して量産する事も容易である。その結果、低コストで、表面硬度の均一性が優れ、更に動摩擦係数が低減されたゴムローラを得る事ができる。
【0041】
また、本発明における動摩擦係数の測定は、一端がロードセル或いはテンションゲージに接続されるとともに他端に一定荷重Wが与えられたシート状体(例えば、ステンレス等の金属フィルムやPET等のプラスチックフィルム)を、軸固定したローラの表面に所定の巻付け角度θ(実施例では90°)で接触させておき、該ローラを矢印方向に一定速度で回転させることによりシート状体を該ローラ表面で摺動させるときの張力Tを検出するようにしたローラ摩擦係数測定機で評価した。このとき検出した張力Tを、次のオイラーの式に適用して動摩擦係数μを求めた。
【0042】
μ=(1/θ)・ln(T/W)

μ:動摩擦係数
θ:巻付け角(ラジアン)
W:荷重(g)
T:張力(g)

今回の動摩擦係数測定は、プラスチックフィルム(厚み25μm、幅30mm)を用い、総荷重Wは100g、ローラ回転数は115ppmの条件で測定を行った。
【0043】
硬度の測定は、マイクロ硬度計MD-1型(ともに高分子計器株式会社製)を用いて行った。ローラの円周方向で60°毎に5箇所、長手方向で3箇所の合計15箇所を測定して、得られた測定値の平均値をローラ硬度とした。また、バラツキは得られた測定値より算出した。
【0044】
また、すべての測定は、23.5℃/60%の環境において行ったものである。
【実施例】
【0045】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0046】
[実施例1]
〈ゴムローラの作製〉
以下の原料をオープンロールで30分間混練した。

エピクロルヒドリンゴム 100質量部
(商品名「エピクロマーCG102」:ダイソー(株)製)
MTカーボン 5質量部
(商品名「HTC#20」:新日化カーボン製)
酸化亜鉛 5質量部
ステアリン酸 1質量部。
【0047】
更に、加硫促進剤(DM:ジ-2-ベンゾチアゾリルジスルフィド)1質量部、加硫促進剤(TS:テトラメチルチウラムモノスルフィド)0.5質量部及び加硫剤としてイオウ1.2質量部を加えて、15分間オープンロールで混練して未加硫ゴム組成物を作製した。次いで、外径φ6mm、長さ258mmのステンレス棒の芯金を用意した。ここで、図1に模式的に示す押出機を用いて芯金とゴム材料とを一体に押出してゴムローラを成形した。その後160℃、2時間の加熱加硫を行い、更に回転砥石を用いた乾式研磨、端部の切断・除去処理により、厚み1.25mm、長さ232mmのゴムローラを得た(ゴムローラ外径φ8.5mm)。
【0048】
〈紫外線照射方法〉
前記、6本のゴムローラを図2の模式的に示す紫外線照射装置を用いて、低圧水銀ランプ(ハリソン東芝ライティング製)による紫外線照射を5分間行った。ここで、製作されたゴムローラの構成を図8に示す。
【0049】
低圧水銀ランプに関しては、主に254nmの波長を代表とする紫外線で、この時の紫外線積算照射量は約6000mJ/cm2であった(紫外線強度は20mW/cm2)。また、反射板は鏡面加工を施したステンレスを使用した(紫外線の反射率は約80%)。
【0050】
ローラの動摩擦係数を測定した結果、0.25であり、ローラ硬度を測定した結果、56.1であった。また、ローラ硬度の1本内のバラツキ、6本中のバラツキは共に±0.5kg以内であった。短時間で6本のゴムローラが均一に照射され、1本内の硬度バラツキ、また6本中の硬度バラツキも非常に小さいものであった。
【0051】
又、このゴムローラを図6に示す電子写真方式の画像形成装置に帯電ローラとして組込み、感光ドラムの両端に500gづつの荷重を負荷した状態で圧接し、23.5℃/60%の環境でハーフトーン画像による連続6000枚の耐久画像評価を行った。この評価において、本実施例のゴムローラ(帯電ローラ)はローラ表面上の汚れは若干確認されたものの汚れによる不良画像もなく、良好な画像を得ることができた。結果を表1に示す。
【0052】
[実施例2]
〈ゴムローラの作製〉
前記の実施例1と同様な方法でゴムローラを得た(ゴムローラ外径φ8.5mm)。
【0053】
〈紫外線照射方法〉
反射板に光沢アルマイト処理を施した高純度アルミニウム(紫外線の反射率は90%以上)を使用した以外は、前記の実施例1と同様な方法で、6本のゴムローラを図2の模式的に示す紫外線照射装置を用いて、低圧水銀ランプ(ハリソン東芝ライティング製)による紫外線照射を4分30秒間行った。ここで、製作されたゴムローラの構成を図8に示す。
【0054】
低圧水銀ランプに関しては、主に254nmの波長を代表とする紫外線で、この時の紫外線積算照射量は約6000mJ/cm2であった(紫外線強度は22mW/cm2)。
【0055】
ローラの動摩擦係数を測定した結果、0.24であり、ローラ硬度を測定した結果、56.7であった。また、ローラ硬度の1本内のバラツキ、6本中のバラツキは共に±0.5kg以内であった。短時間で6本のゴムローラが均一に照射され、1本内の硬度バラツキ、また6本中の硬度バラツキも非常に小さいものであった。
【0056】
又、このゴムローラを図6に示す電子写真方式の画像形成装置に帯電ローラとして組込み、感光ドラムの両端に500gづつの荷重を負荷した状態で圧接し、23.5℃/60%の環境でハーフトーン画像による連続6000枚の耐久画像評価を行った。この評価において、本実施例のゴムローラ(帯電ローラ)はローラ表面上の汚れは若干確認されたものの汚れによる不良画像もなく、良好な画像を得ることができた。結果を表1に示す。
【0057】
[実施例3]
〈ゴムローラの作製〉
前記の実施例1と同様な方法でゴムローラを得た(ゴムローラ外径φ8.5mm)。
【0058】
〈紫外線照射方法〉
ゴムローラ表面にシリコーン変性ウレタン系の表面処理剤を円筒状のリングヘッドを用いたリング塗布方法により含浸・浸透を行った。その後、6本のゴムローラを前記の実施例2と同様な方法で紫外線照射を行った。紫外線照射は4分30秒間で波長254nmの紫外線積算照射量は約6000mJ/cm2であった。
【0059】
ローラの動摩擦係数を測定した結果、0.21であり、ローラ硬度を測定した結果、57.1であった。また、ローラ硬度の1本内のバラツキ、6本中のバラツキは共に±0.5kg以内であった。短時間で6本のゴムローラが均一に照射され、1本内の硬度バラツキ、また6本中の硬度バラツキも非常に小さいものであった。
【0060】
又、このゴムローラを図6に示す電子写真方式の画像形成装置に帯電ローラとして組込み、感光ドラムの両端に500gづつの荷重を負荷した状態で圧接し、23.5℃/60%の環境でハーフトーン画像による連続6000枚の耐久画像評価を行った。この評価において、本実施例のゴムローラ(帯電ローラ)はローラ表面上の汚れも確認されず汚れによる不良画像もなく、良好な画像を得ることができた。結果を表1に示す。
【0061】
[実施例4]
〈ゴムローラの作製〉
前記の実施例1と同様な方法でゴムローラを得た(ゴムローラ外径φ8.5mm)。
【0062】
〈紫外線照射方法〉
ゴムローラ表面にフッ化アルキル基含有のシリコーン表面処理剤を円筒状のリングヘッドを用いたリング塗布方法により含浸・浸透を行った。その後、2灯のU字型の管状低圧水銀ランプ(ハリソン東芝ライティング製)を中心に縦配置して、その周りにゴムローラを24本配置して、更にその外側に光沢アルマイト処理を施した高純度アルミニウム(紫外線の反射率は90%以上)の反射板を配置して、ゴムローラを30rpmで回転させ紫外線照射を4分30秒間行った。
【0063】
低圧水銀ランプに関しては、主に254nmの波長を代表とする紫外線で、この時の紫外線積算照射量は約9000mJ/cm2であった(紫外線強度は35mW/cm2)。
【0064】
ローラの動摩擦係数を測定した結果、0.23であり、ローラ硬度を測定した結果、57.5であった。また、ローラ硬度の1本内のバラツキ、24本中のバラツキは共に±0.5kg以内であった。短時間で24本のゴムローラが均一に照射され、1本内の硬度バラツキ、また24本中の硬度バラツキも非常に小さいものであった。
【0065】
又、このゴムローラを図6に示す電子写真方式の画像形成装置に帯電ローラとして組込み、感光ドラムの両端に500gづつの荷重を負荷した状態で圧接し、23.5℃/60%の環境でハーフトーン画像による連続6000枚の耐久画像評価を行った。この評価において、本実施例のゴムローラ(帯電ローラ)はローラ表面上の汚れも確認されず汚れによる不良画像もなく、良好な画像を得ることができた。
【0066】
[比較例]
〈ゴムローラの作製〉
前記の実施例1と同様な方法でゴムローラを得た(ゴムローラ外径φ8.5mm)。
【0067】
〈紫外線照射方法〉
低圧水銀ランプ(ハリソン東芝ライティング製)に対して平行にゴムローラを1本配置して、ゴムローラを90°毎に1分30秒間、紫外線照射して4回回転させてトータル6分間、紫外線照射を行った。
【0068】
低圧水銀ランプに関しては、主に254nmの波長を代表とする紫外線で、90°回転毎の各紫外線積算照射量は約1800mJ/cm2であった(紫外線強度は20mW/cm2)。また、反射板は鏡面加工を施したステンレスを使用した。
【0069】
ローラの動摩擦係数を測定した結果、1.00以上で測定が困難であった。また、ローラ硬度を測定した結果、55.5であった。ローラ硬度の1本内のバラツキは±0.5kg以上で1.0kg程度あった。
【0070】
このゴムローラを図6に示す電子写真方式の画像形成装置に帯電ローラとして組込み、感光ドラムの両端に500gづつの荷重を負荷した状態で圧接し、23.5℃/60%の環境でハーフトーン画像による連続6000枚の耐久画像評価を行った。この評価において、本比較例のゴムローラ(帯電ローラ)はローラ表面上の汚れによる不良画像の発生、更にはローラ表面上の汚れまたは紫外線照射ムラによるものと考えられるローラ周期の濃度ムラが発生してしまった。結果を表1に示す。
【0071】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】押出機の模式図
【図2】(a)本発明の紫外線照射装置の模式図 (b)紫外線照射時の装置断面図
【図3】低圧水銀ランプの分光分布
【図4】本発明の紫外線照射装置におけるゴムローラの流れの一例を示す図
【図5】本発明の紫外線照射装置におけるゴムローラ搬送方法の一例を示す図
【図6】本発明の紫外線照射装置におけるゴムローラ搬送方法の一例を示す図
【図7】画像形成装置の概略を示す構成図
【図8】本発明における実施例1により作製されたゴムローラの断面図
【図9】本発明における実施例2により作製されたゴムローラの断面図
【符号の説明】
【0073】
1 押出機
2 押出機のクロスヘッド
3 芯金送りローラ
4 芯金
5 切断・除去処理
6 ゴムローラ
7 管状の紫外線ランプ
8 反射板
9A ローラ上保持部材
9B ローラ下保持部材
10 モーター
11 ベルト
12 ゴムローラチャッキング搬送ハンド
13 ゴムローラチャッキング搬送冶具
14 電子写真感光体(感光ドラム)
15 帯電ローラ(帯電手段)
16 露光系
17 現像ローラ(現像手段)
18 転写ローラ(転写手段)
19 クリーニング手段
E1、E2、E3 バイアス印加用電源
20 ゴム層
21 紫外線照射処理層
22 表面処理剤の塗膜層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円柱体又は円筒体に紫外線を照射する方法において、管状の紫外線ランプを中心に配置し、その同心円上に複数の円柱体又は円筒体を配置し、更にその外側の同心円上に円筒状又は円弧状の反射板を配置して、円柱体又は円筒体を回転させながら紫外線を照射する事を特徴とする紫外線照射方法。
【請求項2】
前記反射板の材質が高純度アルミニウムで表面に光沢アルマイト処理が施された事を特徴とする請求項1に記載の紫外線照射方法。
【請求項3】
前記円柱体又は円筒体が電子写真用部材である事を特徴とする請求項1または2に記載の紫外線照射方法。
【請求項4】
第1〜3請求項記載の紫外線照射方法が加硫ゴム表面を改質する事を特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の紫外線照射方法。
【請求項5】
円柱体又は円筒体に紫外線を照射するための装置において、管状の紫外線ランプを中心に備え、その同心円上に複数の円柱体又は円筒体を保持する手段と回転させる手段を備え、更にその外側の同心円上に円筒状又は円弧状の反射板を備えた事を特徴とする紫外線照射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−23220(P2007−23220A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−210108(P2005−210108)
【出願日】平成17年7月20日(2005.7.20)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】