説明

紫外線照射装置

【課題】紫外線ランプの交換作業を容易としつつ、該紫外線ランプの取り外し時の破損を防止することができる紫外線照射装置を提供する。
【解決手段】装置本体3に、直管形の紫外線ランプ2を備え、前記装置本体3に設けた照射開口から紫外線を照射する紫外線照射装置1において、前記紫外線ランプ2と前記照射開口の間に遮光板30を進入させて紫外線を遮光するシャッタ機構6と、前記照射開口の周囲を囲む着脱自在な枠体41とを備え、前記枠体41に、前記紫外線ランプ2を固定するランプ固定部42と、前記シャッタ機構6が閉じたときに係合し該シャッタ機構6に保持される係合保持溝71とを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直管形紫外線ランプを内蔵した紫外線照射装置に係り、特に、紫外線ランプの交換を容易にするための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、紙やプラスチック等の表面に紫外線硬化剤を被着し、この紫外線硬化剤に紫外線照射装置で紫外線を照射して硬化する紫外線硬化技術が知られている。この技術は液晶パネルの封止や、光学レンズ部品の接着、光ディスクの接着、プリント基板の部品仮止め等に広く応用されている。また、液晶パネルやプリント基板の大型化に伴い広い範囲に一斉に高出力に紫外線を照射することが求められており、そのため、紫外線照射装置の光源には、通常、高出力及び長尺化した直管形紫外線ランプである高圧水銀ランプやメタルハライドランプ等の放電ランプが使用されている。
【0003】
係る紫外線ランプにおいては、消灯後の再点灯時に出力が安定化するまで待ち時間が発生する。そのため、この種の紫外線照射装置では、対象物となるワークへの紫外線照射をカットするシャッタ機構を内蔵し、運転中に対象物への紫外線照射が不要となったときに、紫外線ランプを点灯させたままシャッタ機構により対象物への紫外線照射をカット可能にしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−244763号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記紫外線ランプは、例えば、装置本体の底面に設けた照射開口から装置本体内に導入されて固定される。しかしながら、装置本体を低位置に配置し、或いは、ワークに近づけて配置した場合には、底面側の作業スペースが狭くなり光源の取り出し/導入がし難いという問題がある。
そこで、照射開口に設ける窓材の枠体に上記紫外線ランプを載置するように取付け、該枠体を装置本体に対して水平方向にスライドさせて着脱自在に構成すれば、該枠体を装置本体から取り外すことにより紫外線ランプを容易に取り出せるため該紫外線ランプの交換作業が非常に容易なものとなる。
【0006】
しかしながら、装置本体に上記シャッタ機構を内蔵した場合、シャッタ機構が閉じた状態では、紫外線ランプと枠体の間にシャッタ材が位置するため、この状態で枠体を取り外すと紫外線ランプがシャッタ材に衝突して破損する虞がある。これを防止するために、消灯時にシャッタ機構を必ず開いた状態とする制御を採用することが考えられるが、例えば、紫外線ランプが点灯中に寿命により自然消灯したときには上記の制御が作動せずシャッタが閉じたままになる場合がある。この場合に、紫外線ランプ交換のために枠体を不意に取り外すと該紫外線ランプがシャッタ材に衝突して破損してしまう。また、シャッタ機構の開閉を目視で確認すれば良いが、通常、窓材には、所望の波長の光だけを透過するためのフィルタが設けられているため、シャッタ機構を外部から視認し難いといった問題がある。
【0007】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、紫外線ランプの交換作業を容易としつつ、該紫外線ランプの取り外し時の破損を防止することができる紫外線照射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、装置本体に、直管形の紫外線ランプを備え、前記装置本体に設けた照射開口から紫外線を照射する紫外線照射装置において、前記紫外線ランプと前記照射開口の間に遮光部材を進入させて紫外線を遮光するシャッタ機構と、前記照射開口の周囲を囲む着脱自在な枠体とを備え、前記枠体に、前記紫外線ランプを固定する固定部と、前記シャッタ機構が閉じたときに係合し該シャッタ機構に保持される係合保持部とを設けたことを特徴とする。
【0009】
また本発明は、上記発明において、前記装置本体に前記枠体を引き出し可能に保持するレール部材を設けたことを特徴とする。
【0010】
また本発明は、上記発明において、前記枠体が前記照射開口を覆う窓材を支持する枠部材であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、着脱自在な枠体に、直管形の紫外線ランプを固定する固定部と、シャッタ機構が閉じたときに係合し該シャッタ機構に保持される係合保持部とを設ける構成としたため、枠体を着脱することで簡単に紫外線ランプを装置本体から取り出すことができ交換作業が容易となる。また、シャッタ機構が閉じた状態においては、該シャッタ機構に枠体が係合し保持されるため、紫外線ランプを不意に遮蔽板に衝突させてしまうことがない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係る紫外線照射装置の構成を示す図である。
【図2】図1におけるA矢視図である。
【図3】反射体の構成を示す斜視図である。
【図4】枠体の構成を示す斜視図である。
【図5】枠体の引き出し構成を示す図である。
【図6】本発明の変形例に係る紫外線照射装置の構成を示す図である。
【図7】本発明の別の変形例に係る紫外線照射装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は本実施形態に係る紫外線照射装置1の内部の構成を示す図であり、図2は図1のA矢視図である。
紫外線照射装置1は、対象物の照射面であるワーク面の上方に対向して設置される装置本体3を備え、この装置本体3は、紫外線ランプ2を内蔵し、広いワーク面に対して高出力の紫外光を略均一に照射する。
【0014】
装置本体3は、略箱型の金属製の筐体を有し、その内部に、紫外線ランプ2を囲む反射体4と、該反射体4を冷却する冷却機構8と、紫外線ランプ2の紫外光を遮光するシャッタ機構6とを備えている。
紫外線ランプ2は、例えば高圧水銀ランプやメタルハライドランプ等の放電ランプであり、比較的大きなワーク面に略均一に紫外光を照射すべく、長尺の直管形のランプが使用され、ワーク面に略平行に延在するように配置される。
【0015】
図3は、反射体4の斜視図である。
反射体4は、底面が開放した箱形状に構成され、その内面には、紫外線ランプ2の周囲に長手方向に亘って複数の反射板12が設けられている。反射体4の内部には冷却水が循環する循環路が形成されており、この循環路の入口及び出口が反射体4の一端側に形成され、これら入口及び出口に注水用及び排水用のニップル13が設けられている。ニップル13のそれぞれには注水用及び排水用のホース15が接続され、図示せぬ循環ポンプでホース15を介して導入/排出された冷却水が反射体4の内部を循環して水冷する。
【0016】
冷却機構8は、反射体4を上記のように水冷する水冷機構18に加え、反射体4を空冷する循環空冷機構20とを備えている。
循環空冷機構20は、紫外線ランプ2を冷却する冷却風を発生させる2つのシロッコファン22と、水冷機構18からの冷却水で循環空気を冷却するラジエータ23と、シロッコファン22の夫々からラジエータ23に冷却風を導く導風管25とを備えている。ラジエータ23の吹出口23Aと、反射体4の上面4Aに全長に亘ってスリット状に設けた吹込口7(図3参照)とが風洞26によって接続されており、該風洞26から反射体4に流れ込む冷却風によって紫外線ランプ2が冷却される。
【0017】
シャッタ機構6は、反射体4の下方を覆って遮光することで、紫外線ランプ2を点灯させたままワーク面への紫外光照射を一時的に非照射状態とするものであり、図2に示すように、一対の遮光板30と、これら遮光板30を駆動する主駆動機構31及び従動機構32(図1)を有している。
遮光板30は、紫外線ランプ2の長手方向に延在する板状部材であり、その両端部が図1に示すように主駆動機構31及び従動機構32に支持され、これら主駆動機構31及び従動機構32により揺動され、図2に実線で示すように紫外線ランプ2と光透過窓40(後述)の間に進入した閉位置(遮光位置)と、想像線で示すように紫外線ランプ2の側方に避けた開位置(非遮光位置)とのいずれかのポジションに配置される。
【0018】
主駆動機構31は、図2に示すように、駆動モータ33と、この駆動モータ33の出力軸を介して接続された一対の回転体34と、それぞれの回転体34の端部に連結された支持アーム36とを備え、それぞれの支持アームの36の先端に上記遮光板30の一端部が取付けられている。
また従動機構32は、図1に示すように、主駆動機構31の回転体34に従動するシャフト軸37に連結される一対の支持アーム38を備え、これら支持アーム38の先端に上記遮光板30の他端部が取付けられている。
そして、主駆動機構31の駆動モータ33によって支持アーム36が回転駆動されるとともに、これに従動して従動機構32の支持アーム38が回転駆動されることで遮光板30が駆動される。
【0019】
また、遮光板30のそれぞれには、図2に示すように、閉位置に配置されたときに相互に隙間を空けてオーバーラップするラップ部30Aが設けられている。これにより、遮光板30が閉じて遮光されている間も隙間を通じて冷却風を循環できるから、継続して紫外線ランプ2の空冷が可能になる。なお、遮光板30が閉じたときには余分な電力消費及び発熱を抑えるために紫外線ランプ2の出力が低下される。
【0020】
紫外線ランプ2及び反射体4の下方には、図1に示すように、窓材として石英ガラス製の光透過窓40が配置されている。光透過窓40は、紫外線ランプ2の長手方向に延びた略矩形状に形成され、この光透過窓40を紫外光が透過してワーク面の所定領域に照射される。この光透過窓40の表面には、所望の波長の光だけを透過するためのフィルタが設けられており、装置本体3の底面に設けた枠体41に支持されている。
【0021】
図4は、枠体41の構成を示す図である。
枠体41は、装置本体3の照射開口を囲む部材であり、該照射開口を覆う光透過窓40を底面40Aで保持した略トレー状の窓枠部材として構成されている。この光透過窓40の両端側には、それぞれランプ固定部42が設けられている。ランプ固定部42の各々は、光透過窓40から所定高さ位置で紫外線ランプ2の端部を支持するランプ支持アーム43が設けられている。各ランプ支持アーム43には、U字溝43Aが形成されており、このU字溝43Aには、紫外線ランプ2の端部の充電部44が嵌め込まれ、抑え部材45で抑えられて脱落不能に固定される。
図3に示すように、上記反射体4の両端面には、ランプ固定部42を避ける凹状切欠部5が形成されており、ランプ支持アーム43で支持された紫外線ランプ2は反射体4の内部に配置される。またランプ固定部42には、それぞれ接続端子46が設けられており、各接続端子46には紫外線ランプ2の両端部から引き出したリード線47が接続され外部から電力が供給される。
【0022】
図5に示すように、装置本体3の底面両側のそれぞれには、上記枠体41の側面を保持する断面L字状のレール部材50が設けられている。各レール部材50は、ラッチ(掛金)51により装置本体3に結合されるとともに、装置本体3にスライダー52により結合されており、ラッチ51の結合を解除したときには、スライダー52により装置本体3から図中矢印B方向に降下して保持される。この状態で、枠体41の図中手前側に設けた摘み48を摘んで図中矢印C方向に引き出すことで、該枠体41とともに紫外線ランプ2が装置本体3から取り出される。
なお、この図において、符号60は、底面に上記反射体4が取付けられて保持する保持板材60を示す。この保持板材60は、装置本体3の左右の内側面に設けられたレール部材61(片方は図示せず)により支持されており、該保持板材60を図中矢印SD方向に引き出すことで、反射体4が簡単に取り出されるようになっている。
【0023】
前掲図2に示すように、シャッタ機構6が備える主駆動機構31は、支持アーム36のそれぞれの先端部に係合突起70が突設されており、また、枠体41のランプ固定部42には、遮光板30が閉位置に配置されたときに、それぞれの係合突起70が嵌り込む係合保持溝(係合保持部)71が形成されている。従動機構32の支持アーム38にも同様に係合突起70が突設されており、該従動機構32側のランプ固定部42にも係合保持溝71が形成されている。
【0024】
係る構成により、遮光板30が閉じるに伴い、シャッタ機構6の支持アーム36、38の係合突起70が枠体41のランプ固定部42の係合保持溝71に嵌り込み、該枠体41が支持アーム36、38に保持される。
したがって、遮光板30が閉じた状態においては、枠体41のレール部材50を支えるラッチ51の結合を解除したとしても、枠体41がシャッタ機構6に必ず支持されて保持されるため、該枠体41が降下して紫外線ランプ2が遮光板30に衝突することが防止される。
【0025】
このように、本実施形態によれば、装置本体3の照射開口の周囲を囲む着脱自在な枠体41に、紫外線ランプ2を固定するランプ固定部42とともに、シャッタ機構6が閉じたときに係合し該シャッタ機構6に保持される係合保持部としての係合保持溝71を設けたため、枠体41を着脱することで簡単に紫外線ランプ2を装置本体3から取り出すことができ、該紫外線ランプ2の交換作業が容易となる。
また、シャッタ機構6が閉じた状態においては、該シャッタ機構6に枠体41が係合し保持されるため、紫外線ランプ2を不意に遮蔽板に衝突させてしまうこともない。
【0026】
また本実施形態によれば、装置本体3に、枠体41を引き出し可能に保持するレール部材50を設ける構成としたため、装置本体3から枠体41の取り出しが容易となる。また、照射開口の直下に近接してワークが位置する場合でも、枠体41を引き出し式としたため該ワークに邪魔されずに紫外線ランプ2の交換を行うことができる。
【0027】
また本実施形態によれば、照射開口を覆う光透過窓40を支持する窓枠部材を枠体41としたため、紫外線ランプ2の交換作業とともに光透過窓40の清掃などのメンテナンスも容易となる。
【0028】
なお、上述した実施の形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変形および応用が可能であることは勿論である。
例えば、上述した実施形態では、シャッタ機構6の支持アーム36、38のそれぞれに係合突起70を突設し、該係合突起70を枠体41のランプ固定部42に引っ掛けて保持する構成とした。
この構成に限らず、例えば図6に示す紫外線照射装置100のように、遮光板30が閉じたときに支持アーム36、38の先端部の上側に位置するようにランプ固定部42に引掛ピン80を設け、この引掛ピン80が支持アーム36の上面36Aに引っ掛かり枠体41を保持する構成としても良い。
また例えば、図7に示す紫外線照射装置200のように、枠体41に、ランプ固定部42とは別体に、シャッタ機構6の支持アーム36、38のそれぞれに設けた係合突起70が遮光板30を閉じたときに引っ掛かる引掛金具85を設ける構成としても良い。
【符号の説明】
【0029】
1、100、200 紫外線照射装置
2 紫外線ランプ
3 装置本体
4 反射体
6 シャッタ機構
12 反射板
30 遮光板(遮光部材)
36、38 支持アーム
40 光透過窓
41 枠体
42 ランプ固定部(固定部)
50 レール部材
51 ラッチ
52 スライダー
70 係合突起
71 係合保持溝(係合保持部)
80 引掛ピン
85 引掛金具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体に、直管形の紫外線ランプを備え、前記装置本体に設けた照射開口から紫外線を照射する紫外線照射装置において、
前記紫外線ランプと前記照射開口の間に遮光部材を進入させて紫外線を遮光するシャッタ機構と、
前記照射開口の周囲を囲む着脱自在な枠体とを備え、
前記枠体に、前記紫外線ランプを固定する固定部と、前記シャッタ機構が閉じたときに係合し該シャッタ機構に保持される係合保持部とを設けたことを特徴とする紫外線照射装置。
【請求項2】
前記装置本体に、前記枠体を引き出し可能に保持するレール部材を設けたことを特徴とする請求項1に記載の紫外線照射装置。
【請求項3】
前記枠体が前記照射開口を覆う窓材を支持する枠部材であることを特徴とする請求項1又は2に記載の紫外線照射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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