説明

紫外線照射装置

【課題】 紫外線照射によって硬化する紫外線硬化型接着剤を使用して部品の接着固定動作を行う場合に接着剤に対する紫外線の照射動作を正確に行うことが出来る装置を提供するものである。
【解決手段】 紫外線発生装置から出射される紫外線を光ファイバ2を通して紫外線硬化型接着剤に照射させることによって部品の接着を行うように構成し、前記光ファイバ2の紫外線出射端部にキャップ6を固定することによって紫外線の照射範囲を絞る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線硬化型接着剤にて部品の接着固定を行う場合に使用される紫外線照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光ディスクに記録されている信号を光ピックアップ装置と呼ばれる光学装置から放射されるレーザー光を利用して読み出す再生動作や光ディスクへの信号の記録動作を行うことが出来る光ディスク装置が一般に普及している。
【0003】
前述した光ピックアップ装置には対物レンズ等の小型の光学部品が組み込まれるが、斯かる光学部品のハウジング等への固定動作は接着剤を利用して行われている。斯かる光学部品の接着に使用される接着剤としては、特許文献1に記載されているように紫外線を照射することによって硬化する紫外線硬化型の接着剤が一般的に使用されている。
【0004】
光ピックアップ装置に組み込まれている光学部品、例えば対物レンズをレンズホルダーと呼ばれる部品に接着固定する場合、対物レンズをレンズホルダーに設けられているレンズ固定枠に載置させた状態にて紫外線硬化型の接着剤を固定枠と対物レンズの鍔部との間の隙間に塗布し、該対物レンズの位置調整を行った後に紫外線を接着剤に照射させるという作業が行われる。斯かる作業によって紫外線を接着剤に照射すると該接着剤が硬化するので対物レンズをレンズホルダーに固定することが出来る。
【0005】
紫外線硬化型接着剤に対して紫外線を照射することによって該紫外線を硬化させて対物レンズ等の部品の固定位置への接着固定動作を行うことが出来るが、斯かる接着剤の硬化に利用される紫外線は紫外線発生装置から放射さる紫外線を光ファイバと呼ばれる光導体を利用して行われる。(特許文献2参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−99969号公報
【特許文献2】特開2004−26898号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図4は前述した対物レンズの接着固定動作を説明するための図である。同図において、1は紫外線を生成する紫外線発生装置、2は該紫外線発生装置から生成放射される紫外線を導く光ファイバであり、その先端部2aから紫外線が前方外部に放射するように構成されている。
【0008】
3は光ピックアップ装置に組み込まれる対物レンズであり、図示したようにレンズホルダー4に設けられている枠部4aに鍔部3aが載置されている。5は前記対物レンズ3の鍔部3aとレンズホルダー4の間の隙間に塗布されている紫外線硬化型の接着剤である。
【0009】
対物レンズ2及び接着剤5を図示したように設置した状態において、対物レンズ2の位置調整を行い、調整動作の完了後紫外線発生装置1から生成放射される紫外線を光ファイバ2を通してその先端部2aに導き、その先端部2aから前方外部に放射される紫外線を前記接着剤5に照射させる作業が行われる。斯かる作業によって接着剤5が硬化することによって対物レンズ3のレンズホルダー4への固定動作が行われることになる。
【0010】
前述したように紫外線硬化型接着剤を利用した対物レンズ3のレンズホルダー4への固定動作は行われるが、従来の光ファイバから照射される紫外線の照射動作について図3を参照にして説明する。
【0011】
図3に示すように光ファイバ2の先端には小径部2bが形成されており、該小径部2bの先端部2aから紫外線Vが図示したように放射される。前記光ファイバ2及び小径部2bの内部には、紫外線発生装置から生成放射される紫外線を先端部2aに導く導光体2cが設けられている。斯かる光ファイバ2の内部に設けられる導光体2cとしては、例えば石英等の透明な材料が使用される。
【0012】
光ファイバ2の内部に設けられている導光体2cによって先端部2aまで導かれる紫外線の強度分布は均一ではなく、中心部から外周方向に向かって強度が弱くなるという特性を有するとともに先端部2aから外部に照射される紫外線Vは図示したように拡散するという特性がある。
【0013】
このようにして光ファイバ2の先端部2aから外部に照射される紫外線Vは、図3に示すように拡散するため、その中心部、即ち最も照射強度が高い位置を正確に確認することが出来ない。その結果、接着剤に対する照射状態が一定にならないので、紫外線硬化型接着剤に対する照射状況の相違によって硬化範囲や硬化速度に大きなバラツキが発生することになる。従って、光ピックアップ装置の品質にバラツキが発生するだけでなく、不良品の発生頻度が多くなるという問題がある。
【0014】
本発明は、斯かる問題を解決することが出来る紫外線照射装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、紫外線発生装置から出射される紫外線を光ファイバを通して紫外線硬化型接着剤に照射させることによって部品の接着を行うように構成し、前記光ファイバの紫外線出射端部にキャップを固定することによって紫外線の照射範囲を絞るようにしたことを特徴とするものである。
【0016】
また、本発明は、キャップの出射面中央に出射孔を形成したことを特徴とするものである。
【0017】
そして、本発明は、キャップを光ファイバに対して着脱可能にしたことを特徴とするものである。
【0018】
また、本発明は、出射孔の孔径を変更することによって紫外線の照射範囲を選択可能にしたことを特徴とするものである。
【0019】
そして、本発明は、キャップに光ファイバの紫外線出射端部に形成されている小径部が挿入される円柱孔を形成したことを特徴とするものである。
【0020】
更に、本発明は、キャップの紫外線出射面に小径の円柱状出射部を形成したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明の紫外線照射装置は、紫外線発生装置から生成放射される紫外線を照射位置に導く光ファイバの紫外線出射端部にキャップを固定することによって紫外線の照射範囲を絞
るようにしたので、紫外線の照射位置を正確に設定することが出来る。従って、本発明によれば、紫外線硬化型接着剤に対する紫外線の照射動作を正確に行うことが出来るので、紫外線硬化型接着剤を使用して部品の固定動作を行う場合に精度の高い接着固定動作を効率的、且つ正確に行うことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る紫外線照射装置の一実施例を示す分解斜視図である。
【図2】本発明に係る紫外線照射装置の一実施例を示す斜視図である。
【図3】従来の紫外線照射装置を示す斜視図である。
【図4】紫外線照射装置の使用事例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
光ディスクに記録されている信号の読み出し動作等を行う光ピックアップ装置に組み込まれている対物レンズの紫外線硬化型接着剤を利用した接着固定動作を行う場合に利用される紫外線照射装置を提供する。
【実施例1】
【0024】
図1は本発明の実施例を示すものであり、図3に示した従来の紫外線照射装置と同一の部材には同一の符号を付している。
【0025】
6は光ファイバ2の小径部2bに対して着脱可能に設けられているキャップであり、前記小径部2bが挿入される円柱孔6aが形成されているとともに紫外線の出射面には小径の円柱状出射部6bが形成されている。そして、前記キャップ6の中央部には出射孔6cが形成されている。
【0026】
図2は前記キャップ6を光ファイバ2に装着した状態を示すものであり、図1に示した状態において、キャップ6を矢印方向から装着させることによって光ファイバ2の先端部に装着させることが出来る。
【0027】
図示したように光ファイバ2に設けられている小径部2bがキャップ6に形成されている円柱孔6a内に挿入されることによって該キャップ6を光ファイバ2の先端部に装着させることが出来る。斯かる状態において、紫外線発生装置から生成放射された紫外線は、光ファイバ2に設けられている導光体2cを通して先端部2aまで導かれる。
【0028】
前記先端部2aまで導かれた紫外線は、キャップ6の中央部に設けられている出射孔6cを通して外部に図示したように紫外線Vとして放射されることになる。このようにして紫外線Vが外部に対して放射されるが、斯かる放射動作は小径の出射孔6cを通して行われるので、出射範囲を絞ることが出来る。そして、前記出射孔6cはキャップ6の中央部に設けられているので、紫外線の中央部、即ち紫外線強度の高い部分の紫外線が外部に照射されるので、紫外線を効率良く利用することが出来るだけでなく、紫外線照射対象位置に対して正確に紫外線を照射させることが出来る。
【0029】
前述したように光ファイバ2の先端に対して出射孔6cが設けられているキャップ6を着脱可能にしたので、出射孔6cの孔径の異なるキャップ6を使い分けることによって紫外線の照射範囲を選択することが出来る。従って、紫外線硬化型接着剤を使用して固定する対象部品の大小や接着固定位置の変化に対応したキャップを使用することによって接着剤に対する紫外線の照射動作を正確、且つ容易に行うことが出来る。
【0030】
また、キャップ6の紫外線出射面に小径の円柱状出射部6bを設けたので、紫外線照射対象部に対して紫外線が照射される位置の調整を正確、且つ容易に行うことが出来る。そ
して、前記円柱状出射部6bの長さを選択することによって、紫外線の対象位置が奥まった位置にあっても容易に紫外線の照射動作を行うことが出来るという利点を本発明は有している。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明は、光ピックアップ装置に実施した場合について説明したが、紫外線硬化型接着剤を利用して部品の接着固定動作を行う場合には、接着対象部品の大小に関係なく利用することが出来る。
【符号の説明】
【0032】
2 光ファイバ
2a 先端部
2b 小径部
2c 導光体
6 キャップ
6a 円柱孔
6b 円柱状出射部
6c 出射孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外線発生装置から出射される紫外線を光ファイバを通して紫外線硬化型接着剤に照射させることによって部品の接着を行うように構成された紫外線照射装置であり、前記光ファイバの紫外線出射端部にキャップを固定することによって紫外線の照射範囲を絞るようにしたことを特徴とする紫外線照射装置。
【請求項2】
キャップの出射面中央に出射孔を形成したことを特徴とする請求項1に記載の紫外線照射装置。
【請求項3】
キャップを光ファイバに対して着脱可能にしたことを特徴とする請求項2に記載の紫外線照射装置。
【請求項4】
出射孔の孔径を変更することによって紫外線の照射範囲を選択可能にしたことを特徴とする請求項3に記載の紫外線照射装置。
【請求項5】
キャップに光ファイバの紫外線出射端部に形成されている小径部が挿入される円柱孔を形成したことを特徴とする請求項3に記載の紫外線照射装置。
【請求項6】
キャップの紫外線出射面に小径の円柱状出射部を形成したことを特徴とする請求項5に記載の紫外線照射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−109812(P2013−109812A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−256081(P2011−256081)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(504464070)三洋オプテックデザイン株式会社 (315)
【Fターム(参考)】