説明

紫外線照射装置

【課題】紫外線照射装置の清掃部の清掃能力を長時間に亘って維持することが可能な紫外線照射装置を提供する。
【解決手段】実施形態の紫外線照射装置100は、内部に被処理水Aを満たすことが可能な処理槽1と、被処理水Aに面するように設けられる紫外線透過部31と、光取出口24を備え、紫外線を光取出口24から出光させて、紫外線透過部31を介して、被処理水Aに照射する紫外線照射ユニット2と、清掃部51と移動機構52を有し、移動機構52により紫外線透過部31の被処理水A側の表面を清掃部51で清掃可能な清掃機構5と、清掃開始前及び終了後の清掃部51と光取出口24とを最短距離で結んだ直線B上に、少なくとも一部が介在するように配置された第1の遮光部41aと、を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明の実施形態は、紫外線光源を用いて地下水、水道水、下水、海水、養殖用水、または、再生水等の流体の殺菌、不活化、または、有機物分解等の光処理を行う紫外線照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
紫外線照射装置の一例として、紫外線光源を使用して、処理槽内の被処理水に紫外線を照射し、被処理水を光処理する装置がある。
【0003】
紫外線処理装置を長時間使用すると、被処理水に含有される不純物(鉄、マンガン、カルシウム、マグネシウム等)、油分、浮遊物質等の付着物が、被処理水に接する箇所に次第に堆積する。この付着物は紫外線を吸収し、紫外線照射装置の光処理能力を低下させるため、ワイパー等の清掃部を設けて定期的に除去する必要がある。
【0004】
しかし、長時間使用すると、清掃部の清掃能力が低下し、付着物の除去が不十分となる課題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実公平7−5909号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、紫外線照射装置の清掃部の清掃能力を長時間に亘って維持することが可能な紫外線照射装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を達成するために、実施形態の紫外線照射装置は、内部に被処理水を満たすことが可能な処理槽と、前記被処理水に面するように設けられる紫外線透過部と、光取出口を備え、紫外線を前記光取出口から出光させて、前記紫外線透過部を介して、前記被処理水に照射する紫外線照射ユニットと、清掃部と移動機構を有し、前記移動機構により前記紫外線透過部の前記被処理水側の表面を前記清掃部で清掃可能な清掃機構と、清掃開始前及び終了後の前記清掃部と前記光取出口とを最短距離で結んだ直線上に、少なくとも一部が介在するように配置された第1の遮光部と、を具備する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】紫外線照射装置に関する第1の実施形態について説明するための分解斜視図である。
【図2】図1の組み立て状態を説明するための断面図である。
【図3】図2の清掃部の動作及び配置を説明するための概略図である。
【図4】紫外線照射装置に関する第2の実施形態について説明するための断面図である。
【図5】紫外線照射装置に関する第3の実施形態について説明するための断面図である。
【図6】紫外線照射装置に関する第4の実施形態について説明するための断面図である。
【図7】図6の清掃部の動作及び配置を説明するための概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、発明を実施するための実施形態について説明する。
【0010】
(第1の実施形態)
第1の実施形態の紫外線照射装置を、図面を参照して説明する。図1は分解斜視図で、図2は図1の組み立て状態の断面図である。
【0011】
図1および図2において、100は、被処理水を充填する処理槽1と、紫外線を照射する紫外線照射ユニット2と、から構成される紫外線照射装置である。被処理水は、例えば地下水、水道水、下水、海水、養殖用水、または、再生水等で、紫外線を照射することで、流体の殺菌、不活化、または、有機物分解等の光処理を行う。
【0012】
処理槽1は、例えば、ステンレス等の耐腐食性の金属で形成された本体部11と、本体部11の一方の開口面11aを気密に塞ぐ底部12とから構成され、内部には被処理水を充填する内部空間14が形成されている。処理槽1の大きさは、例えば、外径が150mmから400mm、内径が140mmから390mm、高さが150mmから700mmである。本体部11と底部12との接合は、水漏れしないように、例えば、溶接により直接接合するか、予め一体的に成型するか、または、パッキンを介在させてネジ等により固定する方法を採る。
【0013】
処理槽1内への被処理水の導入は、例えば、ポンプ(図示無)を用いて被処理水を揚水し、処理槽1の底部12の孔に接続された流入管15に送水することにより行われる。処理槽1の内部空間14に充填された被処理水Aは、処理槽1の上部近傍に設けた孔に接続された排出管16を介して、処理槽1の外部に排水される。流入管15及び排出管16は、例えば、ステンレス、鉄、または銅等の金属管、ポリ塩化ビニルやポリエチレン等のプラスチック管、または、金属とプラスチックから成る複合管等を使用する。
【0014】
処理槽1の上部11b側には、処理槽1内の被処理水Aに紫外線を照射する紫外線照射ユニット2が配置される。紫外線照射ユニット2は、例えば、ステンレスやアルミ等の金属製の筐体21内に、リフレクタ22と、リフレクタ22によって形成された空間内に配置された紫外線光源23と、紫外線光源23からの紫外線およびリフレクタ22で反射された紫外線を筐体21の外部に取り出すための光取出口24と、紫外線光源23を点灯するための点灯回路25とを、収納した構成である。
【0015】
紫外線光源23は、例えば、例えば石英ガラスからなる紫外線透過性の円筒形状のバルブで、バルブの発光空間内には、例えば、不活性ガスとそれに水銀と鉄を主成分とする放電媒体が封入される。ランプの外径φは15±1mm程度、長さLは240mm程度である。このときの点灯回路25は、例えば、周波数2.45GHzのマイクロ波を照射するマグネトロンを使用し、マイクロ波を紫外線光源23に導くことにより、バルブ内に封入された放電媒体が放電し、波長180nm〜400nmの紫外線を発生させる構成である。これに伴い、リフレクタ22は、紫外線を反射し、マイクロ波を通過するよう、例えば、表面に反射膜を形成したガラスで構成されている。
【0016】
光取出口24には、例えば、紫外線光源23からの光を拡散または集光させる光学機能や、紫外線光源23や点灯回路25から発生するノイズを遮断する機能を持たせることが出来る。また、装置構成を簡略化するため、前記の部材の設置を省略し、筐体21に開口部を設けた構成にすることも可能である。
【0017】
紫外線照射ユニット2への被処理水の飛散防止と、紫外線照射ユニット2が破損した際の破損部材による被処理水の汚染防止を目的として、紫外線透過部31と遮光部41を組み合わせた保護部材を、処理槽1と紫外線照射ユニット2との間に配置する。
【0018】
紫外線透過部31は、例えば、光処理を行うための紫外線波長の透過率が高い石英ガラスやソーダガラスが使用された紫外線透過窓であり、紫外線照射ユニット2からの紫外線が透過され、被処理水Aに照射される配置である。
【0019】
紫外線透過部31の周囲には、遮光部41が、例えば、パッキンを介して接続される。遮光部41は、処理槽1の上部11bに気密に固定される。遮光部41は、例えば、ステンレス製で、処理槽1の蓋部材としても機能する。本体部11と遮光部41との接合は、水漏れしないように、例えば、溶接により直接接合するか、予め一体的に成型するか、または、パッキンを介在させてネジ等により固定する方法を採る。
【0020】
紫外線透過部31の片側面は、処理槽1に貯水される被処理水Aに面する。処理槽1内の被処理水Aの水面位置は、例えば、流入管15による被処理水の流水速度や、排出管16の排水速度に応じて変化すると共に、水面は振動する。そのため、被処理水Aの水面と紫外線透過部31が接液する以外に、両者の間に空気層が介在しているものの、被処理水Aの一部が飛散して紫外線透過部31に水滴が付着する場合や、被処理水Aの蒸気が紫外線透過部31で結露して水滴が付着する場合がある。
【0021】
被処理水Aには、不純物成分(鉄、マンガン、カルシウム、マグネシウム等)、油分、浮遊物質等が含まれるため、紫外線処理装置100を長時間稼動すると、これらの物質が、紫外線透過部31の被処理水A側に徐々に付着する。特に、前述した不純物成分は、紫外線や熱と反応して、スケールの生成を促進する。スケールは、紫外線照射ユニット2からの紫外線を吸収するため、紫外線照射装置の光処理能力を低下させる一因となる。
【0022】
紫外線透過部31の被処理水A側には、その表面のスケール、油分、浮遊物質等の付着物を清掃する清掃機構5が設けられる。清掃機構5は、例えば、紫外線透過部31の表面を摺動して清掃する清掃部51と、清掃部51を移動させる移動機構52と、から構成される。
【0023】
清掃部51は、例えば、紫外線透過部31の表面に接する清掃具51aと、清掃具51aを保持する支持フレーム51bと、から構成される。清掃具51aは、例えば、フッ素樹脂、シリコン樹脂、合成樹脂等の弾性体や、金属製のブラシが使用される。支持フレーム51bは、例えば、ステンレス、フッ素樹脂、シリコン樹脂、合成樹脂で形成され、中央に凹部を設けた部材で、凹部に清掃具51aを挟持して保持する構成である。
【0024】
支持フレーム51bの両端には、貫通孔が設けられており、紫外線透過部31の長軸方向に沿って配置・固定された一対の移動軸52a、52bが挿入されている。第1の移動軸52aは、例えば、ボールネジ軸で、一端は固定部材52cで遮光部41に固定され、他端は遮光部41に固定されたモーター52dの回転軸に接続されている。モーター52dを回転させると、第1の移動軸52aであるボールネジ軸が回転し、清掃具51aを挿入した支持フレーム51bを紫外線透過部31の長軸方向に沿って移動させることができる。第2の移動軸52bは、例えば、支持フレーム51bの孔との摩擦係数を低減した金属棒で、第1の移動軸52aの回転により移動する支持フレーム51bの移動を補助する。第2の移動軸52bは、固定部材52e、52fにより、遮蔽部41に固定される。
【0025】
清掃部51の動作及び配置を、図3を用いて説明する。
【0026】
図3(a)は、清掃を開始する前の清掃部51の配置を示す図で、例えば、紫外線照射ユニット2が紫外線を照射し、処理槽1内の被処理水Aの光処理を行っている状態である。一方、清掃部51は、清掃部51と紫外線照射ユニット2の光取出口24とを最短距離で結んだ直線B上に、第1の遮光部41aの少なくとも一部が介在する位置で、待機している状態である。
【0027】
次に清掃を開始すると、図3(b)に示すように、清掃部51は、図3(a)の待機位置から、紫外線透過部31上に移動する。その後、清掃部51は、清掃具51aと紫外線透過部31が接する状態で、図3(b)から図3(e)に示すように、紫外線透過部31上を往復移動し、紫外線透過部31の表面のスケール、油分、浮遊物質等の付着物を擦ることにより除去する。図3では、清掃部51を一往復させた構成を示したが、紫外線透過部31表面の汚れの状況により、複数回繰り返すことも可能である。
【0028】
清掃終了後は、図3(e)に示すように、清掃部51は、紫外線透過部31の表面から、第1の遮光部41aの表面に移動する。その後、清掃部51は、図3(f)に示すように、清掃部51と紫外線照射ユニット2の光取出口24とを最短距離で結ぶ直線B上に、第1の遮光部41aの少なくも一部が介在する位置で停止し、次回の掃除が開始されるまで待機する構成である。
【0029】
本実施形態では、清掃の開始前及び終了後において、紫外線照射ユニット2の光取出口24から照射される紫外線が、第1の遮光部41aにより遮光され、清掃部51の紫外線透過部31側に照射される紫外線量を低減することができる。その結果、清掃の開始前及び終了後において、被処理水に含有される不純物(鉄、マンガン、カルシウム、マグネシウム等)が紫外線や熱と反応して生成されるスケールが、清掃部51、特に、紫外線透過部31の表面に接する清掃具51a上に付着することを抑制する。清掃の開始前及び終了後における清掃部51の待機時間は、清掃に要する時間に対して長いため、清掃具51a表面へのスケールの堆積を抑制することができる。これにより、清掃具51aの表面は、初期の奇麗な状態を維持することができ、紫外線透過部31上の汚れを除去することができる。また、清掃具51aの表面に付着したスケールが、清掃の際に、紫外線透過部31に転写して汚染することを防止するので、清掃能力を長時間に亘って維持できる。
【0030】
清掃具51aや支持フレーム51bに合成樹脂等を使用した場合には、紫外線照射による清掃具51aや支持フレーム51bの紫外線劣化及び変形を抑制することができる。これにより、清掃具51aが紫外線透過部31と密着している状態を維持することが可能で、紫外線透過部31の表面をムラなく清掃することができる。
【0031】
(第2の実施形態)
図4は、紫外線照射装置に関する第2の実施形態について説明するためのものである。この第2の実施形態の各部について、第1の実施形態の紫外線照射装置の各部と同一部分は同一符号で示す。
【0032】
図4は、清掃の開始前及び終了後の清掃部51の配置を示す図で、例えば、紫外線照射ユニット2が紫外線を照射し、処理槽1内の被処理水Aの光処理を行っている状態である。第1の遮光部41aの設置条件は、第1の実施形態と同様であるが、第2の実施形態では、第1の遮光部41aと対向する位置に第2の遮光部42を設け、清掃部51は、清掃の開始前及び終了後において、第1の遮光部41と第2の遮光部42との間に配置される構成である。
【0033】
清掃時は、第1の実施形態と同様に、清掃部51は上記の待機位置から、紫外線透過部31の被処理水A側に移動し、紫外線透過部31上を往復移動することにより、紫外線透過部31の表面のスケール、油分、浮遊物質等の付着物を除去する。
【0034】
上述した第2の実施形態においては、第2の遮光部42を設けたことにより、例えば、紫外線照射装置2から照射された紫外線Cのうち、処理槽1の底面で反射された紫外線Dが、清掃部51へ照射されることを抑制する。その結果、
第1の実施形態に対して、清掃具51a表面へのスケール生成や、清掃具51aや支持フレーム51bの紫外線劣化・変形を更に抑制でき、清掃能力を長時間に亘って維持することができる。
【0035】
また、第1の遮光部41aと第2の遮光部42とを連結する第3の遮光部43を設けることにより、第3の遮光部43側からの紫外線を遮光でき、更に、清掃具51a表面へのスケール生成や、清掃具51aや支持フレーム51bの紫外線劣化・変形を更に抑制でき、清掃能力を長時間に亘って維持することができる。
【0036】
(第3の実施形態)
図5は、紫外線照射装置に関する第3の実施形態について説明するためのものである。
図5は、清掃時の清掃部51の配置を示す図である。清掃部51と紫外線光源23が略平行に配置されている構成であり、両者が垂直に配置される第2の実施形態と異なる。その他の構成は、第2の実施形態と同様である。
【0037】
紫外線照射ユニット2が稼働している状態で、清掃を実施する場合、第2の実施形態では、清掃部51の中央部は紫外線光源23と常に接近しているので、清掃部51の中央部において、紫外線光源23からの紫外線及び熱の照射量が局所的に高くなる。その結果、清掃部51の中央部が局所的にスケールで汚染されたり、紫外線劣化や変形を生じる。
【0038】
一方、上述した第3の実施形態では、清掃部51と紫外線光源23は略平行に配置されているので、清掃部51の全域に亘って紫外線光源23との距離を均一化できる。その結果、清掃部51への紫外線及び熱の照射量の軸方向分布を、第2の実施形態の場合に対して均一化できるので、清掃中の清掃部51の局所的な清掃能力の低下を抑制でき、更に、長時間にわたって清掃能力を維持することができる。
【0039】
(第4の実施形態)
図6は、紫外線照射装置に関する第4の実施形態について説明するためのものである。
【0040】
処理槽1は、例えば、ステンレス等の耐腐食性の金属で形成された本体部11と、本体部11の両端部を気密に塞ぐ底部12a、12bとから構成され、内部には被処理水を充填する内部空間14が形成されている。処理槽1の大きさは、例えば、外径が150mmから400mm、内径が140mmから390mm、高さが150mmから1600mmである。本体部11と底部12a、12bとの接合は、水漏れしないように、例えば、溶接により直接接合するか、予め一体的に成型するか、または、パッキンを介在させてネジ等により固定する方法を採る。
【0041】
処理槽1内への被処理水の導入は、例えば、ポンプ(図示無)を用いて被処理水を揚水し、処理槽1の本体部11の一部に設けた孔に接続された流入管15に送水することにより行われる。処理槽1の内部空間14に充填された被処理水Aは、処理槽1の本体部11に設けた孔に接続された排出管16を介して、処理槽1の外部に排水される。流入管15及び排出管16は、例えば、ステンレス、鉄、または銅等の金属管、ポリ塩化ビニルやポリエチレン等のプラスチック管、または、金属とプラスチックから成る複合管等を使用する。
【0042】
処理槽の底部12aと12bには、夫々中央部に孔が設けられており、紫外線照射ユニット2である紫外線光源23を内部に挿入した紫外線透過部31の両端を、パッキン等を用いて気密に保持している。
【0043】
紫外線光源23は、例えば、熱陰極ランプで、石英ガラスからなる紫外線透過性の円筒形状のバルブに、アルゴンと水銀を封入し、その両端にエミッタを塗布した熱陰極を配置した構成である。バルブの端部には、熱陰極に給電する口金が装着され、これに外部配置した点灯回路25から電圧を印加すると、光取出口24であるバルブ表面から、波長185nmや254nm等の紫外線が発生する構成である。ランプの外径φは8mm〜35mm程度、長さLは150mm〜1600mm程度である。
【0044】
紫外線光源23の周囲に配置される紫外線透過部31は、例えば、円筒状の石英ガラスで、紫外線光源23が破損した際の被処理水の汚染防止を防止する保護管であり、その外周面は、処理槽1内の被処理水Aに接液している。また、紫外線光源23と紫外線透過部31の間には、例えば、空気層を設けて、紫外線光源23の管壁温度が低下して発光効率が低下しないように、保温している。
【0045】
紫外線透過部31には、例えば、その一端の内壁に、紫外線光源23からの紫外線を遮光可能な第1の遮光部41が設けられる。第1の遮光部41は、例えば、金属製の円筒体や、金属または金属酸化物を被着したもので、紫外線透過部31の内壁に固定されている。
【0046】
紫外線透過部31の被処理水A側には、その表面のスケール、油分、浮遊物質等の付着物を清掃する清掃機構5が設けられる。清掃機構5は、例えば、紫外線透過部31の表面を摺動して清掃する清掃部51と、清掃部51を移動させる移動機構52と、から構成される。
【0047】
清掃部51は、例えば、紫外線透過部31の表面に接する清掃具51aと、清掃具51aを保持する支持フレーム51bと、から構成される。清掃具51aは、例えば、フッ素樹脂、シリコン樹脂、合成樹脂等の弾性体や、金属製のブラシを、リング状に形成したものである。支持フレーム51bは、例えば、ステンレス、フッ素樹脂、シリコン樹脂、合成樹脂で、リング状の清掃具51aの外周を保持する構成である。
【0048】
支持フレーム51bの一部に、貫通孔が設けられており、紫外線透過部31の長軸方向に沿って配置された移動軸52aが挿入されている。移動軸52aは、例えば、ボールネジ軸で、一端に接続されたモーター52dを回転させると、移動軸52aが回転し、清掃具51aを挿入した支持フレーム51bが紫外線透過部31の長軸方向に沿って移動させることができる。
【0049】
清掃部51の動作及び配置を、図7を用いて説明する。
【0050】
図7(a)は、清掃の開始前または終了後の状態図で、例えば、紫外線照射ユニット2である紫外線光源23が紫外線を照射し、処理槽1内の被処理水Aの光処理を行っている状態である。清掃部51は、清掃部51と紫外線光源23の光取出口24であるバルブ表面とを最短距離で結ぶ直線B上に、第1の遮光部41の少なくとも一部が介在する位置に配置され、待機している状態である。
【0051】
図7(b)は、清掃を実施している状態図で、清掃部51は、清掃具51aと紫外線透過部31の外壁が接する状態で、紫外線透過部31上を往復移動し、紫外線透過部31の表面のスケール、油分、浮遊物質等の付着物を擦ることにより除去する。
【0052】
上述した第4の実施形態では、清掃の開始前及び終了後において、紫外線光源23の光取出口24であるバルブからの紫外線を、第1の遮光部41により遮光し、清掃部51の紫外線透過部31側に照射される紫外線量を低減することができる。その結果、第1の実施形態と同様に、清掃具51a表面へのスケール生成や、清掃具51aや支持フレーム51bの紫外線劣化・変形を抑制することが可能で、清掃部51の清掃能力を長時間にわたって維持することができる。
【0053】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
【0054】
例えば、処理槽1の形状は、楕円形や方形形状等の任意の形状とすることができる。また、底部12や蓋部となる遮光部41の形状も、半球形状等の曲線形状等、任意の形状とすることができる。
【0055】
流入管15の個数や形状は、処理槽1の大きさや形状、被処理水の深さに応じて調整をすることができる。流入管15の設置個所は、図示した処理槽1の底部12以外に、処理槽1の本体部11や処理槽の遮光部41の一部にも設置することができる。また、流入管15の水量を微調整するための水量計や水量調整機、または、被処理水の水温や濁度を検出するセンサーを設けることができる。
【0056】
紫外線光源23は、被処理水Aに対して光処理を行うのに適切な波長域の紫外線を発光させることができる光源であればよいので、メタルハライドランプ、低圧水銀ランプ、中圧ランプ、高圧ランプ、HIDランプ、UV−LED、または、レーザーダイオード等に置き換えが可能である。
【0057】
点灯回路25は、夫々の光源に適した構成とすることができ、また、点灯回路25の全部または一部を紫外線照射ユニット2の筐体21の外部に配置することも可能である。
【0058】
紫外線照射ユニット2は、図2の構成において、例えば、筐体21の一部に空気を筐体21内に導入及び排出するための開口部を設けて、排気用または吸気用のブロアにより筐体21内に空気を循環させて、紫外線光源23や点灯回路25を空冷させる構成も可能である。
【0059】
紫外線透過部31は、例えば、処理槽1の本体部11または底部12の一部にも設けることが出来る。
【0060】
第1の遮光部41は、清掃開始前及び終了後の清掃部51と紫外線照射ユニット2の光取出口24とを結ぶ最短距離の直線B上に介在させるのに加えて、清掃部51と光取出口24とを結ぶその他領域も遮光し、遮光面積を増やすことも可能である。その他に、清掃部51と光取出口24とを結ぶ全領域を遮光する構成でも良い。遮光面積を増やすことで、清掃部51の紫外線透過部31側及び側面への紫外線照射量を低減でき、更に、清掃部51上へのスケール生成や、清掃部51の紫外線劣化・変形等を抑制することが可能となる。
【0061】
第1の遮光部41は、図2の構成において、例えば、紫外線透過部31の被処理水A側または紫外線照射ユニット2側の表面に、紫外線を吸収する金属、金属酸化物等の遮光膜を形成する構成でも良い。また、図6の構成においては、第1の遮光部41は、紫外線光源23の外表面、紫外線透過部31の被処理水A側の表面、または、紫外線光源23と紫外線透過部31の間において両方に離間するように配置した構成でも良いし、紫外線光源23の端部に装着する口金部を第1の遮光部41として使用することも可能である。
【0062】
第1の遮光部41、第2の遮光部42、及び第3の遮光部43は、紫外線を遮光できる配置、形状、材質であれば良い。
【0063】
清掃部51は、清掃具51aを支持フレーム51bで保持した構成以外に、両者を一体的にした構成でも良い。また、清掃部51は、紫外線透過部31の表面のスケール、油分、浮遊物質等の付着物を除去できる配置、形状、材質であれば良い。例えば、清掃具51aは、液体を高圧噴射可能なノズルや、付近で超音波振動させることが可能な超音波振動子であっても良い。
【0064】
紫外線透過部31や清掃部51は、その表面へのスケールの付着を抑制するため、部材の表面にフッ素コートした材料を使用しても良い。
【0065】
清掃部51を複数設けて、個々を連動させて清掃することも可能である。
【0066】
清掃部51の移動機構52は、平行移動以外に、清掃部51の一端を回転軸として回動する構成も可能である。
【0067】
清掃部51の移動機構52は、モーター駆動以外に、例えば、エアーシリンダー方式や、手動方式等の形態を採ることができる。
【0068】
清掃の開始前及び終了後の清掃部51の待機位置は、排出管16の近傍以外に、排出管16と最も離間する位置や、両者の中間位置に配置する構成等でも良い。
【0069】
処理槽1内に、被処理水Aを介して紫外線照射ユニット2の光出力を検出する紫外線センサーを設けても良い。紫外線センサーの出力の変化により、紫外線照射ユニット2の光出力の低下、または、被処理水Aの濁度の変化を検出できる以外に、紫外線透過部31の汚れを推定することが可能で、紫外線センサーと連動させて、清掃部51の稼働を制御しても良い。また、紫外線透過部31が汚れる期間を経験的に取得し、例えば、タイマー制御を用いて、数時間、1日、または、1か月の頻度で定期的に、清掃部51を稼働させても良い。
【0070】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0071】
1 処理槽
15 流入管
16 排出管
2 紫外線照射ユニット
23 紫外線光源
24 光取出口
25 点灯回路
31 紫外線透過部
41 第1の遮光部
5 清掃機構
51 清掃部
52 移動機構
A 被処理水
B 清掃部と紫外線照射装置の光取出口とを最短距離で結ぶ直線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に被処理水を満たすことが可能な処理槽と、
前記被処理水に面するように設けられる紫外線透過部と、
光取出口を備え、紫外線を前記光取出口から出光させて、前記紫外線透過部を介して、前記被処理水に照射する紫外線照射ユニットと、
清掃部と移動機構を有し、前記移動機構により前記紫外線透過部の前記被処理水側の表面を前記清掃部で清掃可能な清掃機構と、
清掃開始前及び終了後の前記清掃部と前記光取出口とを最短距離で結んだ直線上に、少なくとも一部が介在するように配置された第1の遮光部と、を具備する紫外線照射装置。
【請求項2】
前記第1の遮光部と対向するように配置された第2の遮光部を更に備え、前記清掃部は、清掃開始前及び終了後に、前記第1の遮光部と前記第2の遮光部との間に配置される請求項1に記載の紫外線照射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−34979(P2013−34979A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−175560(P2011−175560)
【出願日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(000111672)ハリソン東芝ライティング株式会社 (995)
【Fターム(参考)】