説明

紫外線照射装置

【課題】接続する装置の数量によって紫外線照射量を調整でき、既存の施設や狭い場所でも設置できる紫外線照射装置を提供する。
【解決手段】実施形態の紫外線照射装置は、通水胴と、紫外線照射部材と、一対の突縁部とを備える。通水胴は、円筒形状に形成され、処理対象となる処理水を通水するための一対の開口部を有する。紫外線照射部材は、1または複数設けられ、通水胴の内部に、一方の開口部から他方の開口部に向かう第1方向と交差する第2方向に向けて設けられ、第1方向に通過する処理水に対して紫外線を照射する。一対の突縁部は、通水胴の一対の開口部の周縁からそれぞれ開口外部に向けて突出形成され、継手として機能する。複数の紫外線照射部材を備えた場合、紫外線照射部材は、第2方向を含む平面上に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、紫外線照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上下水道(水道水または地下水等)の処理水の殺菌・消毒、工業用水の脱臭・脱色、あるいはパルプの漂白、さらには医療機器の殺菌等を行うためにオゾンや塩素等の薬品が用いられている。そして、従来の消毒装置では、オゾンや薬品を処理水に均一に溶けこますために、滞留槽やスプレーポンプ等の攪拌装置が必需品で、水質や水量の変化に対し即対応できなかった。これに対し、紫外線には、殺菌・消毒・脱色、工業用水の脱臭・脱色、あるいはパルプの漂白等の作用があり、さらに、水質や水量の変化に対し、ランプの出力を調整することで即対応することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第7385204号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のような紫外線を用いた紫外線照射装置は、例えば、円筒形状の通水胴に円管で構成されたランプハウジングが十字接合され、当該ランプハウジング内部に、紫外線ランプを収納した石英ガラスで形成された紫外線照射管が複数本取り付けられているものなどがある。しかしながら、このような紫外線照射装置では、予め定められた本数の紫外線照射管が取り付けられているため、紫外線照射量を調整することができなかった。また、このような紫外線照射装置では、通水胴の配管の径が処理施設の主配管の径と異なるため、拡大管や縮小管が必要になり過大な設置スペースが必要になるという問題があった。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、接続する装置の数量によって紫外線照射量を調整でき、既存の施設や狭い場所でも設置できる紫外線照射装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の紫外線照射装置は、通水胴と、紫外線照射部材と、一対の突縁部とを備える。通水胴は、円筒形状に形成され、処理対象となる処理水を通水するための一対の開口部を有する。紫外線照射部材は、1または複数設けられ、前記通水胴の内部に、一方の前記開口部から他方の前記開口部に向かう第1方向と交差する第2方向に向けて設けられ、前記第1方向に通過する前記処理水に対して紫外線を照射する。一対の突縁部は、前記通水胴の前記一対の開口部の周縁からそれぞれ開口外部に向けて突出形成され、継手として機能する。複数の前記紫外線照射部材を備えた場合、前記紫外線照射部材は、前記第2方向を含む平面上に設けられている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、第1の実施形態にかかる紫外線照射装置の構成図である。
【図2】図2は、図1のA−A断面図である。
【図3】図3は、紫外線照射管の構成図である。
【図4】図4は、紫外線ランプの寸法に関する説明図である。
【図5】図5は、JIS規格で規定されている配管の寸法および流速3.0m/secにおける流量を示す図である。
【図6】図6は、第2の実施形態にかかる紫外線照射装置の構成図である。
【図7】図7は、図6のB−B断面図である。
【図8】図8は、第3の実施形態にかかる紫外線照射装置の構成図である。
【図9】図9は、装置接続管の一例を示す構成図である。
【図10】図10は、装置接続継手の一例を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態にかかる紫外線照射装置の構成図である。図2は、図1のA−A断面図である。第1の実施形態の紫外線照射装置100は、処理水の殺菌、消毒、不活化等を行うものであり、通水胴20と、紫外線照射管4と、フランジ継手3とを主に備えている。
【0009】
通水胴20は、対向する一対の開口部(給水口と排水口)を有する円筒形状に形成された部材であり、処理を施す処理水がA方向(図1)に向かって通過するものである。本実施形態では、処理水が流入する側の開口部と給水口とし、処理水が流出する側の開口部を排水口と称する。なお、図1では、A方向に処理水が流れる場合を説明するが、A方向と反対方向に処理水が流れるようにしてもよい。
【0010】
また、通水胴20は、円筒形状の対向する側面(壁面)に3つずつ、合計6つの貫通孔が形成されている。この6の貫通孔には、貫通穴が形成されたブッシング5a、5b、5cが貫通して固定されている。
【0011】
紫外線照射管4は、紫外線ランプ7と石英ガラス管6とから主に構成されており、紫外線照射装置100に3本備えられている。紫外線照射管4それぞれは、4a、4b、4cと表記する。なお、本実施形態では、紫外線照射管を3本備えた構成としているが、1本、2本、もしくは4本以上備えた構成としてもよい。
【0012】
紫外線ランプ7は、通水胴20を通過する処理水に紫外線を照射するランプである。本実施形態の紫外線ランプ7は、紫外線を発光する発光部の長さ(発光長)が、通水胴20の内径に対して−10%〜+10%以内の長さのものが備えられている。また、紫外線ランプ7は、波長が200nm〜300nmの範囲の紫外線を発光するものである。石英ガラス管6は、石英ガラスによって形成され、紫外線ランプ7を収納する保護管である。
【0013】
紫外線照射管4a、4b、4cは、給水口から排水口に向かうA方向と交差する平面上(A方向と交差する方向を含む平面上)に平行に設けられている。具体的には、紫外線照射管4a、4b、4cは、A方向と直交する平面上に3本が平行に並ぶように配置されている。すなわち、紫外線照射管4a、4b、4cは、図1に示すように断面線A−A上に縦に一列に並んで配置されている。そして、紫外線照射管4a、4b、4cは、両端部が、通水胴20の側面に対向して設けられた6つの貫通孔それぞれに固定されているブッシング5a、5b、5cに挿入されて、取り付けられている。
【0014】
また、ブッシング5a、5b、5cの外側の端部近傍には、図示していないOリング用の三角溝が形成されており、この三角溝にOリングをはさみ、Oリング押さえ8(図3参照)で固定することにより、紫外線照射管4a、4b、4cは通水胴20に水密固定されている。
【0015】
フランジ継手3は、紫外線照射装置100を水処理施設等の配管や他の紫外線照射装置と接続するための継手として機能する一対の突縁部である。また、フランジ継手3は、開口部が形成された円形形状で板状の接続継手であり、通水胴20の一対の開口部の周縁それぞれから開口外部に向けて突出形成されている。フランジ継手3aは、通水胴20の給水口側に形成されており、フランジ継手3bは、通水胴20の排水口側に形成されている。また、フランジ継手3は、内径が通水胴20の内径と同じか小さく、外径が通水胴20の外径より大きい。
【0016】
次に、紫外線照射管4の詳細について説明する。図3は、紫外線照射管の構成図である。紫外線照射管4は、上述した石英ガラス管6と紫外線ランプ7に加え、さらに、Oリング押さえ8と、キャップ9と、位置決めコマ10とが備えられている。そして、図3に示すように、紫外線ランプ7は、両端部に電力が供給されるための電線11が接続されている。
【0017】
Oリング押さえ8は、上述したOリングを押さえるものである。位置決めコマ10は、紫外線ランプ7の両端に取り付けられており、紫外線ランプ7を石英ガラス管6の中心に位置するように保持するものである。
【0018】
キャップ9は、石英ガラス管6の両端部に取り付けられており、石英ガラス管6の両端部を保護するとともに、紫外線ランプ7から照射された紫外線の外部漏洩を防止するものである。そして、キャップ9には、紫外線ランプ7へ電力を供給する電線11が通る導線穴が形成されている。
【0019】
次に、紫外線照射装置100に使用される紫外線ランプ7の選定方法を説明する。図4は、紫外線ランプの寸法に関する説明図である。図4(a)は、中圧紫外線ランプの寸法例を示す図である。図4(b)は、紫外線ランプの寸法箇所の説明図である。図4(b)では、紫外線ランプ7の全長(L)と、発光長(Li)と、管直径(d)を示している。
【0020】
放電入力電力Pi(W)は、紫外線ランプ7へ供給される電力値である。そして、図4(a)に示すように、放電入力電力Piが大きいほど、紫外線ランプ7の発光部の長さである発光長Li(図4(b)参照)が長くなり、発光される紫外線出力(200−280nm出力)UVC(W)も大きくなる。
【0021】
一方、水処理施設等で使用される配管の径は、一般的に処理流量と配管における圧力損失軽減を考慮して、通水流速が2.5m/sec〜3.0m/sec程度になるように選定される。図5は、JIS規格で規定されている配管の寸法および流速3.0m/secにおける流量を示す図である。
【0022】
本実施形態による紫外線照射装置100では、図4(a)に示した紫外線ランプ7と図5に示した配管規格の関係から、通水胴20を図5に記載された規格品を使用する。そして、通水胴20の内径と発光長Liが同等な紫外線ランプ7の組合せで紫外線照射装置100を構成する。
【0023】
ここで、具体的な紫外線ランプ7の選定の例を示す。例えば、図5における呼称250Aの配管の内径(254.4mm)と同じ内径の通水胴20を使用する場合、図4(a)を参照し、通水胴20の内径と最も近い長さの発光長LiであるランプA(発光長Li:249mm)を選定する。
【0024】
また、例えば、図5における呼称500Aの配管の内径(489.0mm)と同じ内径の通水胴20を使用する場合、図4(a)を参照し、通水胴20の内径と最も近い長さの発光長LiであるランプC(発光長Li:500mm)を選定する。
【0025】
また、例えば、図5における呼称1000Aの配管の内径(987.4mm)と同じ内径の通水胴20を使用する場合、図4(a)を参照し、通水胴20の内径と最も近い長さの発光長LiであるランプF(発光長Li:1065mm)を選定する。
【0026】
以上のように構成された本実施形態の紫外線照射装置100では、まず、フランジ継手3aが接続された給水口から処理水が流入し、通水胴20をA方向に向かって流れていく。そして、A方向と直交する平面上に平行に並べて配置された紫外線照射管4の紫外線ランプ7から照射された紫外線光により、処理水内に含まれる細菌が、殺菌・消毒・不活化される。その後、処理が施された処理水が、フランジ継手3bが接続された排水口から流出する。
【0027】
このように、第1の実施形態の紫外線照射装置100は、既存の水処理施設の配管に接続可能なフランジ継手3を通水胴20の両端に備え、当該配管の径に適合する径の通水胴20を利用することにより、既存の水処理施設に容易に導入するこができる。また、紫外線照射装置100は、紫外線照射管4a、4b、4cを、給水口から排水口へと向かう方向と直交する平面上に平行に並べて配置したため、装置が簡易な構成となり、狭い場所でも設置することができる。
【0028】
また、紫外線照射装置100は、フランジ継手3を他の紫外線照射装置に接続可能であるため、接続する紫外線照射装置の数量によって紫外線照射量を調整でき、必要な紫外線照射量を処理水に照射させることができる。
【0029】
また、紫外線照射装置100は、発光部の長さ(発光長)が、通水胴20の内径と同等な紫外線ランプ7により構成されているので、紫外線が無駄なく処理水へ照射される。このため、処理水に含まれる微生物や有機物、無機物の被処理対象物質の消毒(殺菌)、または酸化処理を効率よく行うことができる。
【0030】
(第2の実施形態)
第1の実施形態の紫外線照射装置は、円筒形状の通水胴により構成されていたが、本実施形態の紫外線照射装置は、一部が矩形形状に形成された通水胴により構成されている。
【0031】
図6は、第2の実施形態にかかる紫外線照射装置の構成図である。図7は、図6のB−B断面図である。第2の実施形態の紫外線照射装置200は、処理水の雑菌、消毒、不活化等を行うものであり、通水胴30と、紫外線照射管4と、フランジ継手3とを主に備えている。
【0032】
通水胴30は、対向する一対の開口部(給水口と排水口)を有する円筒形状に形成された部材であり、処理を施す処理水がA方向(図6)に向かって通過するものである。また、通水胴30は、当該一対の開口部が円形形状で形成された状態のままで、A方向における中央付近に矩形形状に形成された矩形形状部30aを有している。本実施形態では、処理水が流入する側の開口部を給水口とし、処理水が流出する側の開口部を排水口と称する。なお、図6では、A方向に処理水が流れる場合を説明するが、A方向と反対方向に処理水が流れるようにしてもよい。
【0033】
また、通水胴30は、開口部に垂直で、かつ矩形形状部30aにおける対向する側面に3つずつ、合計6つの貫通孔が形成されている。この6の貫通孔には、貫通穴が形成されたブッシング5a、5b、5cが貫通して固定されている。また、通水胴30は、矩形形状部30aの貫通孔が形成された対向する側面間の内寸が、紫外線ランプ7の発光部の長さ(発光長)と同じ長さで形成されている。
【0034】
また、通水胴30の給水口側の端部31aおよび排水口側の端部31bの開口部(一対の開口部)は、外径が、通水胴30の矩形形状部30aにおける対向する側面間の内寸(幅:図7のW)、または当該内寸と直交する内寸、すなわち貫通孔が形成されていない対向する側面間の内寸(高さ:図7のH)のうち、いずれか短い方の内寸以下で形成されている。また、端部31aおよび端部31bの開口部(一対の開口部)は、内径が紫外線ランプ7の発光部の長さ(発光長)以下で形成されている。
【0035】
紫外線照射管4は、紫外線ランプ7と石英ガラス管6とから主に構成されており、第1の実施形態と同様であるため説明を省略する。なお、本実施形態の紫外線ランプ7は、上述したように、発光長が、通水胴30の幅と同じ長さで、かつ端部31aおよび端部31bの内径以上となっている。
【0036】
フランジ継手3は、紫外線照射装置200を水処理施設等の配管や他の紫外線照射装置と接続するための継手として機能する一対の突縁部である。また、フランジ継手3は、開口部が形成された円形形状で板状の接続継手であり、通水胴30の一対の開口部の周縁それぞれから開口外部に向けて突出形成されている。フランジ継手3aは、通水胴30の給水口側の端部31aに形成されており、フランジ継手3bは、通水胴30の排水口側の端部31bに形成されている。また、フランジ継手3は、内径が端部31aおよび端部31bの内径と同じもしくは小さく、外径が端部31aおよび端部31bの外径より大きい。
【0037】
ここで、紫外線照射管4の詳細、および紫外線ランプ7の選定方法は、第1の実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0038】
以上のように構成された本実施形態の紫外線照射装置200では、まず、フランジ継手3aが接続された給水口から処理水が流入し、通水胴30における端部31a、矩形形状部30a、および端部31bをA方向に向かって流れていく。そして、A方向と直交する平面上に平行に並べて配置された紫外線照射管4の紫外線ランプ7から照射された紫外線光により、処理水内に含まれる細菌が、殺菌・消毒・不活化される。その後、処理が施された処理水が、フランジ継手3bが接続された排水口から流出する。
【0039】
このように、第2の実施形態の紫外線照射装置200は、既存の水処理施設の配管に接続可能なフランジ継手3を端部31aおよび端部31bに備え、当該配管の径に適合する径の通水胴30を利用することにより、既存の水処理施設に容易に導入するこができる。また、紫外線照射装置200は、紫外線照射管4a、4b、4cを、給水口から排水口へと向かう方向と直交する平面上に平行に並べて配置したため、装置が簡易な構成となり、狭い場所でも設置することができる。
【0040】
また、紫外線照射装置200は、フランジ継手3を他の紫外線照射装置に接続可能であるため、接続する紫外線照射装置の数量によって紫外線照射量を調整でき、必要な紫外線照射量を処理水に照射させることができる。
【0041】
また、紫外線照射装置200は、発光部の長さ(発光長)が、通水胴30の幅と同じ長さの紫外線ランプ7により構成されているので、紫外線がより無駄なく処理水へ照射される。このため、処理水に含まれる微生物や有機物、無機物の被処理対象物質の消毒(殺菌)、または酸化処理を効率よく行うことができる。
【0042】
(第3の実施形態)
第1の実施形態の紫外線照射装置は、他の紫外線照射装置と接続可能な一つの紫外線照射装置であったが、本実施形態の紫外線照射装置では、複数の紫外線照射装置を接続して構成されている。
【0043】
図8は、第3の実施形態にかかる紫外線照射装置の構成図である。第3の実施形態の紫外線照射装置50は、通水胴の内径が異なる3種類の紫外線照射装置51、52、53と、紫外線照射装置51と紫外線照射装置52とを接続する装置接続管54と、紫外線照射装置52と紫外線照射装置53とを接続する装置接続管55とを主に備えている。
【0044】
ここで、紫外線照射装置51、52、53は、第1の実施形態の紫外線照射装置100と同様の構成および機能であるため、説明を省略する。また、以下では、紫外線照射装置51、52、53の構成部材を紫外線照射装置100と同様の符号で説明する。なお、本実施形態の紫外線照射装置51、52、53は、フランジ継手3の対向する両端部近傍に、ボルトで固定するためのボルト穴が貫通して設けられている。
【0045】
また、紫外線照射装置50は、紫外線照射装置51、52、53をそれぞれ2つずつ、合計6つ備えている。そして、紫外線照射装置51、52、53は、通水胴20の内径が異なっている。まず、紫外線照射装置51の通水胴20は、配管70の内径と同じ内径で形成されている。また、紫外線照射装置52の通水胴20は、紫外線照射装置51の通水胴20の内径より大きい内径で形成されている。また、紫外線照射装置53の通水胴20は、紫外線照射装置52の通水胴20の内径より大きい内径で形成されている。
【0046】
装置接続管54は、紫外線照射装置51と紫外線照射装置52との間に配置され、両装置を接続している。また、装置接続管55は、紫外線照射装置52と紫外線照射装置53との間に設けられ、両装置を接続している。
【0047】
ここで、装置接続管54、55の構成について詳細に説明する。図9は、装置接続管の一例を示す構成図である。装置接続管54、55は、小径管60と、フランジ継手56と、フランジ継手57とを備えて構成されている。なお、図9では、P1の部分が装置接続管54、55の側面図であり、P2の部分が装置接続管54、55の断面図となっている。
【0048】
小径管60は、対向する一対の開口部を有する円筒形状に形成された管部材である。
【0049】
フランジ継手56は、小径管60の一方の開口部に接続され、継手として機能する突縁部である。また、フランジ継手56は、開口部が形成された円形形状で板状の接続継手であり、小径管60の一方の開口部の周縁からそれぞれ開口外部に向けて突出形成されている。また、フランジ継手56は、紫外線照射装置51、52のフランジ継手3aまたはフランジ継手3bに接続可能となっている。また、フランジ継手56は、対向する両端部近傍に、ボルトで固定するためのボルト穴58が貫通して同一周上に等間隔で複数個設けられている。
【0050】
フランジ継手57は、小径管60の他方の開口部に接続され、継手として機能する突縁部である。また、フランジ継手57は、開口部が形成された円形形状で板状の接続継手であり、小径管60の他方の開口部の周縁からそれぞれ開口外部に向けて突出形成されている。また、フランジ継手57は、紫外線照射装置52、53のフランジ継手3aまたはフランジ継手3bに接続可能となっている。また、フランジ継手57は、対向する両端部近傍に、ボルトで固定するためのボルト穴59が貫通して同一周上に等間隔で複数個設けられている。
【0051】
そして、装置接続管54のフランジ継手56は、紫外線照射装置51のフランジ継手3と同様のサイズ(外径および内径が同一)である。また、装置接続管54のフランジ継手57は、開口部の内径が紫外線照射装置51の通水胴20の内径(フランジ継手3の内径)と同一で、外径が紫外線照射装置52のフランジ継手3の外径と同一のサイズである。また、装置接続管55のフランジ継手56は、紫外線照射装置52のフランジ継手3と同様のサイズである。さらに、装置接続管55のフランジ継手57は、開口部の内径が紫外線照射装置52の通水胴20の内径(フランジ継手3の内径)と同一で、外径が紫外線照射装置53のフランジ継手3の外径と同一のサイズである。
【0052】
次に、装置接続管54、55、および紫外線照射装置51、52、53の配置について説明する。図8に示すように、紫外線照射装置50は、まず、配管70に紫外線照射装置51が配置され、装置接続管54、紫外線照射装置52、装置接続管55、紫外線照射装置53が順に配置される。その後、これと逆順で配置される。すなわち、紫外線照射装置53に紫外線照射装置53が配置され、装置接続管55、紫外線照射装置52、装置接続管54、紫外線照射装置51、配管70の順に配置される。
【0053】
そして、配管70の端部に設けられたフランジ継手と紫外線照射装置51のフランジ継手3a、紫外線照射装置51のフランジ継手3bと装置接続管54のフランジ継手56、装置接続管54のフランジ継手57と紫外線照射装置52のフランジ継手3a、紫外線照射装置52のフランジ継手3bと装置接続管55のフランジ継手56、装置接続管55のフランジ継手57と紫外線照射装置53のフランジ継手3a、紫外線照射装置53のフランジ継手3bと紫外線照射装置53のフランジ継手3aは、それぞれボルト穴に貫通されたボルトによって固定して接続されている。
【0054】
以上のように構成された本実施形態の紫外線照射装置50では、まず、配管70から流れてきた処理水が紫外線照射装置51に流入し、順に装置接続管54、紫外線照射装置52、装置接続管55、紫外線照射装置53、紫外線照射装置53、装置接続管55、紫外線照射装置52、装置接続管54、紫外線照射装置51へ流れ、配管70に流出される。このとき、紫外線照射装置51、52、53を処理水が通過する際、A方向と直交する平面上に平行に並べて配置された紫外線照射管4の紫外線ランプ7から照射された紫外線光により、処理水内に含まれる細菌が、殺菌・消毒・不活化される。
【0055】
このように、第3の実施形態の紫外線照射装置50は、既存の水処理施設の配管70に接続可能なフランジ継手3を通水胴20の両端に備え、配管70の径に適合する径の通水胴20を利用した紫外線照射装置51を備えることにより、既存の水処理施設に容易に導入するこができる。また、紫外線照射装置50の紫外線照射装置51、52、53は、紫外線照射管4a、4b、4cを、給水口から排水口へと向かう方向と直交する平面上に平行に並べて配置したため、装置が簡易な構成となり、狭い場所でも複数設置することができる。
【0056】
また、紫外線照射装置50は、装置接続管54、55を介して複数の紫外線照射装置51、52、53が接続可能であるため、接続する紫外線照射装置の数量によって紫外線照射量を調整でき、必要な紫外線照射量を処理水に照射させることができる。
【0057】
また、紫外線照射装置50の紫外線照射装置51、52、53は、発光長が、通水胴20の内径と同等な紫外線ランプ7により構成されているので、紫外線が無駄なく処理水へ照射される。このため、処理水に含まれる微生物や有機物、無機物の被処理対象物質の消毒(殺菌)、または酸化処理を効率よく行うことができる。
【0058】
また、紫外線照射装置50は、処理流量が小さくても大きな紫外線照射量が必要な場合、紫外線出力の大きい紫外線ランプ7を備えた紫外線照射装置53を設置できるので、使用する紫外線ランプ7の本数を軽減することができ、その結果、簡易な構成が実現でき、省スペースで低コストの装置を製造することができる。
【0059】
また、紫外線照射装置50は、処理水の入口側(給水口側)で擬似拡大管、処理水の出口側(排水口側)で擬似縮小管が形成されているので、流路の急拡大および急縮小に伴う圧力損失を低減できるとともに、紫外線照射装置内での処理水の偏りが軽減され、効率のよい紫外線照射が実現できる。
【0060】
(第3の実施形態の変形例1)
第3の実施形態の紫外線照射装置では、装置接続管を介して複数の紫外線照射装置を接続する構成となっていたが、装置接続管の代わりに、小径管を設けない装置接続継手を介して複数の紫外線照射装置を接続する構成としてもよい。本変形例では、紫外線照射装置51、52、53、および紫外線照射装置50の構成については、第3の実施形態と同様である。また、以下では、装置接続管の代わりに設けた装置接続継手の構成について説明する。
【0061】
図10は、装置接続継手の一例を示す構成図である。本変形例の装置接続継手64は、紫外線照射装置51と紫外線照射装置52との間、または紫外線照射装置52と紫外線照射装置53との間に設けられ、両装置を接続している。
【0062】
図10に示すように、装置接続継手64は、フランジ継手66と、フランジ継手67とを備えて構成されている。なお、図10では、P3の部分が装置接続継手64の側面図であり、P4の部分が装置接続継手64の断面図となっている。
【0063】
フランジ継手66は、継手として機能する突縁部である。フランジ継手66は、開口部が形成された円形形状で板状の接続継手であり、当該開口部の周縁からそれぞれ開口外部に向けて突出形成されている。また、フランジ継手66は、紫外線照射装置51、52のフランジ継手3aまたはフランジ継手3bに接続可能となっている。また、フランジ継手66は、対向する両端部近傍に、ボルトが貫通しないように下穴を形成したメネジタップ68が同一周上に等間隔で複数個設けられている。
【0064】
フランジ継手67は、フランジ継手66と同一板材で形成され、上記同様、継手として機能する突縁部である。また、フランジ継手67は、開口部が形成された円形形状で板状の接続継手であり、当該開口部の周縁からそれぞれ開口外部に向けて突出形成されている。また、フランジ継手67は、紫外線照射装置52、53のフランジ継手3aまたはフランジ継手3bに接続可能となっている。また、フランジ継手67は、対向する両端部近傍に、ボルトで固定するためのボルト穴69が同一周上に等間隔に複数個貫通して設けられている。さらに、フランジ継手67は、ボルト穴69の内部側に、メネジタップ68に接続される孔部が形成されており、この孔部は貫通していない。また、フランジ継手67は、フランジ継手66より大きい径で形成されており、同一中心軸で接続されている。
【0065】
そして、装置接続継手64のフランジ継手66は、紫外線照射装置51のフランジ継手3、または紫外線照射装置52のフランジ継手3と同様のサイズ(外径および内径)である。また、装置接続継手64のフランジ継手67は、開口部の内径が紫外線照射装置51、または紫外線照射装置52の通水胴20の内径(フランジ継手3の内径)と同一で、外径が紫外線照射装置52、または紫外線照射装置53のフランジ継手3の外径と同一のサイズである。
【0066】
また、紫外線照射装置51のフランジ継手3bまたは紫外線照射装置52のフランジ継手3bと、装置接続継手64のフランジ継手66との接続は、ボルトがフランジ継手66のメネジタップ68にネジ止め固定され、フランジ継手57の孔部で係止されることで固定される。また、紫外線照射装置52のフランジ継手3aまたは紫外線照射装置53のフランジ継手3aと、装置接続継手64のフランジ継手67との接続は、ボルトによって固定される。本変形例の効果は、第3の実施形態と同様である。
【0067】
(第3の実施形態の変形例2)
第3の実施形態の紫外線照射装置では、装置接続管を介して通水胴の内径が異なる複数の紫外線照射装置を接続する構成となっていたが、通水胴の内径が同一の複数の紫外線照射装置を接続する場合は、装置接続管のような接続部材を介さず接続する構成としてもよい。
【0068】
すなわち、第1の実施形態にかかる紫外線照射装置100を複数接続する場合、フランジ継手3aと、他の紫外線照射装置のフランジ継手3aまたはフランジ継手3bとを接続する。そして、フランジ継手3bと、他の紫外線照射装置のフランジ継手3aまたはフランジ継手3bとを接続する。これにより、必要な紫外線照射量に合わせて複数の紫外線照射装置100を接続できる。なお、接続方法は、ボルトで固定してもよいし溶接接着してもよい。
【0069】
また、第3の実施形態、第3の実施形態の変形例1、第3の実施形態の変形例2は、第1の実施形態の紫外線照射装置100を複数接続する構成となっているが、第2の実施形態の紫外線照射装置200を複数接続する構成としてもよい。
【0070】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0071】
3(3a、3b) フランジ継手
4(4a、4b、4c) 紫外線照射管
5a、5b、5c ブッシング
6 石英ガラス管
7 紫外線ランプ
8 Oリング押さえ
9 キャップ
10 位置決めコマ
11 電線
20、30 通水胴
30a 矩形形状部
31a、31b 端部
50、51、52、53、100、200 紫外線照射装置
54、55 装置接続管
56、57、66、67 フランジ継手
58、59、69 ボルト穴
60 小径管
64 装置接続継手
68 メネジタップ
70 配管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理対象となる処理水を通水するための一対の開口部を有する円筒形状の通水胴と、
前記通水胴の内部に、一方の前記開口部から他方の前記開口部に向かう第1方向と交差する第2方向に向けて設けられ、前記第1方向に通過する前記処理水に対して紫外線を照射する1または複数の紫外線照射部材と、
前記通水胴の前記一対の開口部の周縁からそれぞれ開口外部に向けて突出形成され、継手として機能する一対の突縁部と、を備え、
複数の前記紫外線照射部材を備えた場合、前記紫外線照射部材は、前記第2方向を含む平面上に設けられていることを特徴とする紫外線照射装置。
【請求項2】
前記通水胴は、さらに、前記一対の開口部が円形形状で形成された状態で前記紫外線照射部材が設けられた部分を矩形形状に形成した矩形形状部を有することを特徴とする請求項1に記載の紫外線照射装置。
【請求項3】
前記紫外線照射部材は、両端部が前記通水胴の前記矩形形状部における対向する側面に固定されていることを特徴とする請求項2に記載の紫外線照射装置。
【請求項4】
前記紫外線照射部材は、前記平面上に平行に設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の紫外線照射装置。
【請求項5】
前記紫外線照射部材は、紫外線を発光する発光部の長さが、前記通水胴の内径に対して−10%〜+10%以内の長さであることを特徴とする請求項1に記載の紫外線照射装置。
【請求項6】
前記矩形形状部は、前記対向する側面間の第1内寸が、前記紫外線照射部材における紫外線を発光する発光部の長さと同等であり、
前記一対の開口部は、外径が前記矩形形状部の前記第1内寸、または前記第1内寸と交差する第2内寸のうちいずれか短い方の内寸以下で、かつ内径が前記発光部の長さ以下であることを特徴とする請求項3に記載の紫外線照射装置。
【請求項7】
前記紫外線照射部材は、波長が200nm〜300nmの範囲の紫外線を発光することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の紫外線照射装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一つに記載された紫外線照射装置を、前記一対の突縁部により、複数接続したことを特徴とする紫外線照射装置。
【請求項9】
前記通水胴の前記開口部の内径が異なる2つの紫外線照射装置間に配置され、一方の前記紫外線照射装置の前記開口部の内径を、他方の前記紫外線照射装置の前記開口部の内径に合わせて、前記2つの紫外線照射装置を接続する装置接続部材をさらに備えることを特徴とする請求項8に記載の紫外線照射装置。
【請求項10】
前記装置接続部材は、
一対の開口部を有する円筒形状の管部材と、
前記管部材の一方の前記開口部の周縁からそれぞれ開口外部に向けて突出形成され、継手として機能する第1突縁部と、
前記管部材の他方の前記開口部の周縁からそれぞれ開口外部に向けて突出し、かつ前記第1突縁部の外径と異なる外径で形成され、継手として機能する第2突縁部と、を備えることを特徴とする請求項9に記載の紫外線照射装置。
【請求項11】
第1開口部が形成され、前記第1開口部の周縁からそれぞれ開口外部に向けて突出形成され、継手として機能する第1突縁部と、
第2開口部が形成され、前記第2開口部の周縁からそれぞれ開口外部に向けて突出し、かつ前記第1突縁部の外径と異なる外径で形成され、継手として機能する第2突縁部と、を備えることを特徴とする請求項9に記載の紫外線照射装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2013−59742(P2013−59742A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−200836(P2011−200836)
【出願日】平成23年9月14日(2011.9.14)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】