紫外線照射装置
【課題】 本発明が解決しようとする課題は、基板処理部の端部領域における紫外線照度の低下を抑制することで、照射エリアの大面積化を図ることが可能な紫外線照射装置を提供する。
【解決手段】 実施形態の紫外線照射装置は、紫外線処理される基板Aが配置される基板処理部1と、基板処理部1と面するように格子状に配置された複数の紫外線照射ユニット21を有する紫外線照射部2と、を具備する紫外線照射装置において、紫外線照射部2は、第1の紫外線照射ユニット21Aと、前記第1の紫外線照射ユニット21Aに対して基板処理部1の位置における紫外線照度のピーク値Pが高く、かつ、ピーク値Pの50%の値以上を照射する照射面積Sが狭い第2の紫外線照射ユニット21Bとを備え、紫外線照射部2の配列の少なくとも一部の行または列においてその中央領域に第1の紫外線照射ユニット21Aを、その端部領域に第2の紫外線照射ユニット21Bを配列する。
【解決手段】 実施形態の紫外線照射装置は、紫外線処理される基板Aが配置される基板処理部1と、基板処理部1と面するように格子状に配置された複数の紫外線照射ユニット21を有する紫外線照射部2と、を具備する紫外線照射装置において、紫外線照射部2は、第1の紫外線照射ユニット21Aと、前記第1の紫外線照射ユニット21Aに対して基板処理部1の位置における紫外線照度のピーク値Pが高く、かつ、ピーク値Pの50%の値以上を照射する照射面積Sが狭い第2の紫外線照射ユニット21Bとを備え、紫外線照射部2の配列の少なくとも一部の行または列においてその中央領域に第1の紫外線照射ユニット21Aを、その端部領域に第2の紫外線照射ユニット21Bを配列する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、紫外線照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
紫外線照射装置は、紫外線処理、例えば、印刷関連でのインク乾燥、半導体装置関連の微細露光、液晶関連の接着材硬化や液晶の配光膜形成等に使用されている。近年、紫外線処理対象の基板の大型化が進んでおり、紫外線照射装置の紫外線照射エリアの大面積化が求められている。
【0003】
この種の紫外線照射装置は、複数の紫外線照射ユニットを面方向に格子状に配列し、これらの紫外線照射ユニットから放射される紫外線を、所定の距離を介して配置される基板に照射し、紫外線処理を行う構成である。
【0004】
この種の紫外線照射装置では、隣り合う紫外線照射ユニットからの紫外線照度分布を合成することで、基板が設置される基板処理部上における紫外線照度の均斉度の向上を図っているが、基板処理部上の端部領域では光合成が不十分となり、紫外線照度が低下する。そのため、紫外線照射部上の端部領域では、基板処理に必要な紫外線照度または均斉度を満足できず、大型の基板を処理することが出来ない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−76033号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、基板処理部の端部領域における紫外線照度の低下を抑制することで、照射エリアの大面積化を図ることが可能な紫外線照射装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を達成するために、実施形態の紫外線照射装置は、紫外線処理される基板が配置される基板処理部と、前記基板処理部と面するように格子状に配置された複数の紫外線照射ユニットを有する紫外線照射部と、を具備する紫外線照射装置において、前記紫外線照射部は、第1の紫外線照射ユニットと、前記第1の紫外線照射ユニットに対して前記基板処理部の位置における紫外線照度のピーク値Pが高く、かつ、ピーク値Pの50%の値以上を照射する照射面積Sが狭い第2の紫外線照射ユニットと、を備え、前記紫外線照射部の配列の少なくとも一部の行または列において、その中央領域に前記第1の紫外線照射ユニットを、その端部領域に前記第2の紫外線照射ユニットを配列した。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】紫外線照射装置に関する第1の実施形態について説明するための分解斜視図である。
【図2】図1の組み立て状態を説明するための外観斜視図である。
【図3】図1と図2の紫外線照射ユニットの断面図と紫外線照度の分布を説明するための図である。
【図4】図2の紫外線照射装置におけるy方向の断面図と、紫外線照度の分布について説明するための図である。
【図5】図2の紫外線照射装置におけるx方向の断面図と、紫外線照度の分布について説明するための図である。
【図6】紫外線照射装置に関する第2の実施形態について紫外線照射ユニットの配置を説明するための紫外線照射装置の上面図である。
【図7】紫外線照射装置に関する第3の実施形態について紫外線照射ユニットの配置を説明するための紫外線照射装置の上面図である。
【図8】図7の紫外線照射装置におけるy方向の断面図と紫外線照度の分布を説明するための図である
【図9】図7と図8の紫外線照射ユニットの構造を説明するための分解斜視図である。
【図10】図7と図8の紫外線照射ユニットの断面図と紫外線照度の分布を説明するための図である。
【図11】紫外線照射装置に関する第4の実施形態について紫外線照射ユニットの配置を説明するための紫外線照射装置の上面図である。
【図12】図11の紫外線照射装置におけるx方向の断面図と紫外線照度の分布を説明するための図である。
【図13】紫外線照射ユニットのその他の配置例を説明するための紫外線照射装置の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、発明を実施するための実施形態について説明する。
【0010】
(第1の実施形態)
第1の実施形態の紫外線照射装置を、図面を参照して説明する。図1は分解斜視図で、図2は図1の組み立て状態の外観斜視図、図3は図1と図2で使用する紫外線照射ユニットの断面図と紫外線照度の分布を示す図、図4と図5は紫外線照射装置の断面図と紫外線照度の分布を示す図である。
【0011】
図1および図2において、100は、例えば、印刷関連でのインク乾燥、半導体装置関連の微細露光、液晶関連の接着材硬化や液晶の配光膜形成等の紫外線処理を行う紫外線照射装置である。紫外線照射装置100は、紫外線処理される基板Aが配置されて紫外線照射が行われる基板処理部1と、この基板処理部1に面して配置され、基板Aに対して紫外線を照射する紫外線照射部2とから構成される。
【0012】
基板処理部1は、基板Aを配置することができる基板配置部11を備える。基板配置部11は、例えば、ステンレス製の直方体のステージで、幅X1が300mmから3000mm、長さY1が3000mmから3500mmである。基板配置部11には、例えば、複数の孔12が設けられており、その孔12の内部に、上下に可動し、また、基板Aを点接触で保持することができる内部搬送部13が装備されている。
【0013】
基板配置部11の上面への基板Aの供給は、例えば、図2に示すように内部搬送部13を基板配置部11より上方に突出させた状態で、外部から基板Aを供給する外部搬送機構(図示無)との間で基板Aの受け渡しを行い、その後、基板Aを保持した内部搬送部13を下方に移動させることで行われる。一方、紫外線処理後の基板Aの搬出は、内部搬送部13を基板配置部11内から上方に移動させて、これにより基板Aを持ち上げた後、基板Aと基板配置部11との隙間に外部搬送機構の基板保持部を挿入して、基板Aの受け渡しを行った後、外部搬送機構にて外部に搬出される。
【0014】
基板処理部1の基板配置部11から、例えば、距離L1が800mm〜1500mm離間した上方に、複数の紫外線照射ユニット21が面方向に格子状に配置される。
【0015】
紫外線照射ユニット21の構造を図3を用いて説明する。紫外線照射ユニット21は、例えば、ステンレスやアルミ等の金属製の筐体211内に、一対のリフレクタ212a、212bと、リフレクタ212aと212bの間の空間に配置される紫外線光源213と、紫外線光源213からの紫外線およびリフレクタ212a、212bで反射された紫外線を筐体211の外部に取り出すための照射部214と、紫外線光源213を点灯するための点灯回路215とを、収納した構成である。
【0016】
紫外線光源213は、例えば、石英ガラスからなる紫外線透過性の円筒形状のバルブで、バルブの発光空間内には、例えば、不活性ガスとそれに水銀と鉄を主成分とする放電媒体が封入される。ランプの外径φは15±1mm程度、長さLは240mm程度である。このときの点灯回路215は、例えば、周波数2.45GHzのマイクロ波を照射するマグネトロンを使用し、マイクロ波を紫外線光源213に導くことにより、バルブ内に封入された放電媒体が放電し、波長180〜400nmの紫外線を発生させる構成である。
【0017】
リフレクタ212a、212bは、紫外線光源213からの紫外線を反射し、マイクロ波を通過するよう、例えば、表面に反射膜を形成した一対のガラス板で構成される平板状の反射板である。
【0018】
照射部214には、例えば、紫外線光源213からの光を拡散または集光させる光学機能や、紫外線光源213や点灯回路215から発生するノイズを遮断する機能を持たせることが出来る。また、装置構成を簡略化するため、前記の部材の設置を省略し、筐体211に開口部を設けた構成にすることも可能である。
【0019】
紫外線照射ユニット21の配光特性は、例えば、リフレクタ212aと212bとの間の角度αを変化させることにより、調整することができる。一例として、角度αを90°、100°、110°の3種類に変化させた場合の、紫外線照度の分布の変化を図3を用いて説明する。
【0020】
紫外線光源213の管径方向で、y方向の紫外線照度の分布は、図3(a)に示すように、角度αが小さいほど、紫外線照度のピーク値Pは高くなり、また、各ピーク値Pの50%の値以上を照射するy方向の長さは短くなる。
【0021】
一方、紫外線光源213の管軸方向で、x方向の紫外線照度の分布は、図3(b)に示すように、角度αが小さいほど、紫外線照度のピーク値Pは高くなるものの、各ピーク値Pの50%の値以上を照射するx方向の長さはほとんど変化しない。
【0022】
各角度αにおいて、各紫外線照度のピーク値Pの50%の値を照射する範囲を図3(c)に示す。この範囲の内部面積がピーク値Pの50%の値以上を照射できる照射面積Sであり、角度αが小さいほど、狭くなり、集光的な配光分布となる。
【0023】
図1及び図2の紫外線照射装置100において、図3の角度αが110°の第1の紫外線照射ユニット21Aと、αが100°の第2の紫外線照射ユニット21Bの2種類が使用される。前述したように、第1の紫外線照射ユニット21Aの配光特性に対して、第2の紫外線照射ユニット21Bの配光特性は、紫外線照度のピーク値Pが高く、かつ、紫外線照度のピーク値Pの50%の値以上を照射できる照射面積Sが狭い構成である。
【0024】
これらの紫外線照射ユニット21Aと21Bが、列xが6個、及び、行yが6個の格子状に配置され、外周部の全てに第2の紫外線照射ユニット21Bが配置され、その他の中央領域に第1の紫外線照射ユニット21Aが配置されている。また、各紫外線照射ユニット21A、21Bのx方向の隙間間隔d1〜d5、及び、y方向の隙間間隔k1〜k5は、それぞれ、略一定の間隔に調整されている。
【0025】
これらの紫外線照射ユニット21A、21Bは、設置板22、例えば、ステンレス製の基板上に設置される。設置板22の各紫外線照射ユニット21A、21Bの照射部214に相当する位置に、開口部23が設けられており、これらの開口部23を介して、各紫外線照射ユニット21A、21Bからの紫外線が、基板処理部1へ導かれる。
【0026】
設置板22の下部の周囲には、周囲へ漏れる紫外線量を低減するため、例えば、外部リフレクタが24a、24b、24c、24dが配置される。外部リフレクタ24a、24b、24c、24dは、例えば、ステンレス製で、内部側の表面は、紫外線の反射率を高めるの表面処理が施こされている。外部リフレクタ24a、24b、24c、24dと設置板22との間の角度は、例えば、90°〜120°で傾斜させた構成で、紫外線照射ユニット21A、21Bの光を反射させて、基板処理部1上の紫外線照度および均斉度を向上させている。
【0027】
列x=3におけるy方向の紫外線照射装置100の断面図と、基板処理部1上の紫外線照度の分布を図4に示す。第1の実施形態の紫外線照度分布を実線B1で示す。また、比較用としてy=1〜6の全てを第1の紫外線照射ユニット21Aとした場合の、紫外線照度の分布を点線C1で示す。第1の実施形態では、y方向の両端に、中央領域に配置される第1の紫外線照射ユニット21Aに対して、紫外線照度のピーク値Pが高く、また、各ピーク値Pの50%の値以上を照射する照射面積Sが狭い第2の紫外線照射ユニット21Bを配置したことにより、両端部の紫外線照度を高めることができる。その結果、基板Aの紫外線処理に必要な紫外線照度D1及び均斉度を確保できる領域の幅WB1を、比較用のWC1より大きくすることができる。
【0028】
行y=3におけるx方向の紫外線照射装置の断面図と、基板処理部1上の紫外線照度の分布を図5に示す。第1の実施形態では、x方向の両端に、中央に配置される第1の紫外線照射ユニット21A対して、紫外線照度のピーク値Pが高く、また、各ピーク値Pの50%の値以上を照射する照射面積Sが狭い第2の紫外線照射ユニット21Bを配置したことにより、両端部の紫外線照度を高めることができる。その結果、基板Aの紫外線処理に必要な紫外線照度D1及び均斉度を確保できる領域の幅WB1を、比較用のWC1より大きくすることができる。
【0029】
上述したように、第1の実施形態の紫外線照射装置100は、基板Aが設置される基板処理部1上の端部領域における紫外線照度の低下を抑制し、紫外線処理に必要な紫外線照度D1及び均斉度を確保できる領域を拡大させることが出来、基板Aの大型化対応が可能となる。
【0030】
(第2の実施形態)
図6は、紫外線照射装置に関する第2の実施形態について説明するためのもので、紫外線照射ユニット21のその他の配置例を説明するための、紫外線照射装置100の上面図である。この第2の実施形態の各部について、第1の実施形態の紫外線照射装置の各部と同一部分は同一符号で示す。
【0031】
第2の実施形態の紫外線照射装置100の基本構成は、第1の実施形態と同様であるが、第1の紫外線照射ユニット21Aと第2の紫外線照射ユニット21Bの配置が異なる。
【0032】
図6(a)は、第2の紫外線照射ユニット21Bを行y=1と行y=6の2列に配置し、その間の4列の行y=2〜5に第1の紫外線照射ユニット21Aを配置した構成である。図6(b)は、第2の紫外線照射ユニット21Bを、格子状の4隅のみに配置し、その他を第1の紫外線照射ユニット21Aとした構成である。
【0033】
上述した第2の実施形態では、第1の実施形態と同様に、全て第1の紫外線照射ユニット21Aを配置した場合に対して、基板Aが設置される基板処理部1上の端部領域における紫外線照度の低下を抑制することが出来る。その結果、紫外線処理に必要な紫外線照度および均斉度を確保できる領域を拡大でき、基板Aの大型化対応が可能となる。また、第2の紫外線照射ユニット21Bの個数を削減したことにより、紫外線照度の調整を省略化することができる。
【0034】
(第3の実施形態)
図7と図8は紫外線照射装置に関する第3の実施形態について説明するためのもので、図7は紫外線照射ユニットの配置を示す紫外線照射装置100の上面図、図8は紫外線照射装置100の断面図と紫外線照度の分布を説明するための図である。
【0035】
第3の実施形態では、3種類の紫外線照度の分布を有する紫外線照射ユニット21D、21E、21Fを使用している。
【0036】
図9は、紫外線照射ユニット21の分解斜視図を説明するための図である。紫外線照射ユニット21は、筐体211内に、紫外線光源213として多数のUV−LEDを実装して電気配線した点灯基板215aと、点灯基板に電力を供給し発光を制御する点灯回路215bと、を収納した構成である。紫外線光源213であるUV−LEDは、LEDチップ基板213aと、LEDチップ基板上に実装された発光部213bと、発光部213bを覆うレンズ213cとから構成される。紫外線照射ユニット21の紫外線照度の分布は、例えば、UV−LEDの個数や配置間隔の調整以外に、UV−LEDのレンズ213cの形状、または、発光部213bの光を反射させるリフレクタ構造をLEDチップ基板213aに一体的に形成して、その反射形状を変化させることで、調整することができる。
【0037】
第3の実施形態で使用する3種類の紫外線照射ユニット21D、21E、21Fの紫外線照度の分布を図10に示す。第1の紫外線照射ユニット21Dの紫外線照度の分布は、x方向及びy方向で同様な紫外線照度の分布を有している。第2の紫外線照射ユニット21Eの照度分布は、上述した調整法で、紫外線照射ユニット21Dに対して、紫外線照度のピーク値Pを高くし、また、各ピーク値Pの50%の値以上を照射するx方向の長さを維持し、y方向の長さは短くするように集光させた分布である。第3の紫外線照射ユニット21Fの照度分布は、紫外線照射ユニット21Eの照度分布を、x−y方向で90°回転させた分布で、x方向のみを集光させた分布である。
【0038】
これらの紫外線照射ユニット21D、21E及び21Fは、図7に示すように、列xが6個、及び、行yが6個の格子状の配置される。
【0039】
列x=2〜5において、各列の中央領域y=2〜5に第1の紫外線照射ユニット21Dを配置し、その端部領域y=1とy=6に、第1の紫外線照射ユニット21Dに対して、紫外線のピーク値Pが高く、かつ、各ピーク値Pの50%の値以上を照射する照射面積Sが狭い第2の紫外線照射ユニット21Eを配置する。列x=1とx=6は、各列の中央領域y=2〜5に第3の紫外線照射ユニット21Fを配置し、その端部領域y=1とy=6に、第2の紫外線照射ユニット21Eを配置しているが、全て、集光の向きは異なるものの、紫外線のピーク値Pと各ピーク値Pの50%の値以上を照射する照射面積Sは同一となる。
【0040】
一方、行y=2〜5において、各行の中央領域x=2〜5に第1の紫外線照射ユニット21Dが配置され、その端部領域x=1とx=6に、第1の紫外線照射ユニット21Dに対して、紫外線のピーク値Pが高く、かつ、各ピーク値Pの50%の値以上を照射する照射面積Sが狭い第3の紫外線照射ユニット21Fが配置される。行y=1とy=6は、全て第2の紫外線照射装置21Eが使用され、紫外線のピーク値Pと各ピーク値Pの50%の値以上を照射する照射面積Sは同一である。
【0041】
各紫外線照射ユニット21のx方向の隙間間隔は、x方向の両端の間隔d1およびd5を、中央部の間隔d2、d3、d4に対して短くするように設定している。一方、y方向の隙間間隔は、y方向の両端の間隔k1およびk5を、中央部の間隔k2、k3、k4に対して短くするように設定している。
【0042】
列x=3におけるy方向の紫外線照射装置100の断面図と、基板配置部11上の紫外線照度の分布を図8に示す。第3の実施形態の紫外線照度分布を実線B2で示す。また、比較用として紫外線照射ユニット21Dと21Eの種類と配置は同一で、隙間間隔d1〜d5及び隙間間隔k1〜k5を、各々、全て同一にしたときの、紫外線照度の分布を点線C2で示す。
【0043】
第3の実施形態では、中央y=2〜5の第1の紫外線照射ユニット21Dの両端x=1、6に、集光させた紫外線照度の分布を有する第2の紫外線照射ユニット21Eを配置したことに加えて、両端の第1の紫外線照射ユニット21Dと第2の紫外線照射ユニット21Eの間隔k1及びk5を、中央の間隔k2〜k4より小さくしたことで、紫外線照度の均斉度を向上させることが出来る。一方に、x方向においても、図示しないが、図8と同様な効果が得られ、紫外線照度の均斉度を向上させることが出来る。
【0044】
上述したように、第3の実施形態の紫外線照射装置100は、基板Aが設置される基板処理部1上の端部領域における紫外線照度の低下を抑制し、紫外線処理に必要な紫外線照度D2を確保できる領域WB2を拡大させつつ、光均斉度を向上させることが出来る。
【0045】
(第4の実施形態)
図11と図12は紫外線照射装置に関する第4の実施形態について説明するためのもので、図11は紫外線照射ユニット21の配置を示す紫外線照射装置100の上面図、図12は紫外線照射装置100の断面図と紫外線照度の分布を説明するための図である。
【0046】
第4の実施形態では、同構成の紫外線照射ユニット21として、例えば、図10に示す第1の紫外線ユニット21Dを使用している。ここで、同構成の紫外線照射ユニット21とは、同じ設計であるが、材料バラツキまたは製造バラツキ等の要因による、紫外線照射ユニット21の電気的または光学的な特性バラツキを許容することを意味している。
【0047】
第1の紫外線照射ユニット21Dを、図11に示すように、列xが4個、及び、行yが4個の格子状の配置している。第1の紫外線照射ユニット21Dの隙間間隔は、x方向については両端の隙間間隔d1およびd3を中央部の隙間間隔d2に対して短くし、また、y方向については両端の隙間間隔k1およびk3を中央の隙間間隔k2に対して短くしている。
【0048】
行y=2におけるx方向の紫外線照射装置100の断面図と、基板処理部1上の紫外線照度の分布を図12に示す。第4の実施形態の紫外線照度分布を実線B3で示す。また、比較用として第1の紫外線照射ユニット21Dを用い、隙間間隔d1〜d3及び隙間間隔k1〜k3を、各々、全て同一にしたときの、紫外線照度の分布を点線C3で示す。
【0049】
第4の実施形態では、中央の隙間間隔d2またはk2に対して、各々、その両端d1とd3、または、k1とk3の隙間間隔を狭くしたことにより、中央部の紫外線照度を低くして、両端部の紫外線照度を向上させる分布とすることが出来る。
【0050】
第4の実施形態では、基板Aの周囲においてのみ紫外線処理が必要な工程、例えば、液晶パネル製造における2枚の基板の周囲を接着する封止材の紫外線硬化工程において使用することができる。また、基板Aの中央と外周部で別々の紫外線処理を同時に行う場合、例えば、液晶関連で、基板Aの外周部では前述した封止工程を行い、基板Aの中央部では液晶の配光膜形成を行う行程の同時処理にも使用することが出来る。この場合、前者の工程に必要な紫外線照度は、後者の工程の紫外線照度に対して、高くするような紫外線照度分布が求められので、これに対応できると同時に、大型の基板Aの設置が可能となる。また、上述した紫外線照度分布を得るために、紫外線照射装置100に使用する一部の紫外線照射ユニット21Dの点灯電力を高める必要がないため、紫外線照射装置100の省電力化及び長寿命化が可能となる。
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
【0051】
基板処理部1の基板配置部11は、基板Aを面接触で保持する以外に、例えば、線接触または点接触等で保持する構成も採ることができる。また、基板Aの供給方式は、紫外線照射装置100の前面からフォークリフト方式で出し入れする以外に、例えば、ウォーキングビーム方式や、ベルト方式により、基板Aを前から後ろ方向に移動させる方式も採ることができる。
【0052】
紫外線照射ユニット21に使用する紫外線光源213は、基板Aの紫外線処理を行うのに適切な波長域の紫外線を発光させることができる光源であればよいので、メタルハライドランプ、低圧水銀ランプ、中圧ランプ、高圧ランプ、HIDランプ、または、レーザーダイオード等に置き換えが可能である。
【0053】
点灯回路215は、夫々の光源に適した構成とすることができ、また、点灯回路215の全部または一部を紫外線照射ユニット21の筐体211の外部に配置することも可能である。
【0054】
紫外線照射ユニット21の配光特性の調整方法は、リフレクタ212a、212bの角度以外に、紫外線光源213の配置位置や、紫外線照射ユニット21の照射部214に、例えば、光学シート等を設けて、シート構成を拡散シートや集光シートに変更する方法を採ることができる。
【0055】
また、配光特性が異なる紫外線照射ユニット21を別個に用意する以外に、例えば、基本構成は同構成でリフレクタ212a、212bや紫外線光源213の配置位置を調整できる調整機構を備えた紫外線照射ユニット21を使用しても良い。また、これらの調整機構を電子制御できる制御手段を外部に設けて、配光を自動制御させても良い。
【0056】
紫外線照射ユニット21の配置数は、列4個及び行4個、列6個及び行6個の構成を示したが、基板Aの大きさに応じて、列数及び行数を変化させることができる。また、列数と行数が同数である必要がなく、どちらか一方を大きくした配置とすることも出来る。
【0057】
紫外線照射部2に使用する紫外線照射ユニット21の種類は、2種類と3種類の例を示したが、それ以上の種類とすることができる。
【0058】
また、同一の行または列に、2種類の紫外線照射ユニットを配置した構成例を示したが、例えば、図13に示すように、同一の行または列に3種類の紫外線照射ユニット21A、21B、21Cを配置することも可能である。この場合、中央に第1の紫外線照射ユニット21Aが配置され、その両端に第1の紫外線照射ユニット21Aに対して、紫外線照度のピーク値Pが高く、かつ、ピーク値Pの50%の値以上を照射する照射面積Sが狭い第2の紫外線照射ユニット21Bが配置される。この第2の紫外線照射ユニット21Bの更に両端には、第2の紫外線照射ユニット21Bに対して、紫外線照度のピーク値Pが高く、かつ、ピーク値Pの50%の値以上を照射する照射面積Sが狭い第3の紫外線照射ユニット21Cが配置される構成である。更に、4種類以上の紫外線照射ユニットも使用することができる。
【0059】
紫外線照射ユニット21の隙間間隔d、kを変化させる個数は、2個の例を示したが、それ以上とし、同様な配置手段を講じることも出来る。
【0060】
紫外線照射ユニット21は、例えば、筐体211の一部に空気を筐体211内に導入及び排出するための開口部を設けて、排気用または吸気用のブロアにより筐体211内に空気を循環させて、紫外線光源213や点灯回路215を空冷させる構成も可能である。
【0061】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0062】
100 紫外線処理装置
1 基板処理部
11 基板配置部
12 孔
13 内部搬送部
2 紫外線照射部
21 紫外線照射ユニット
21A 第1の紫外線照射ユニット
21B 第2の紫外線照射ユニット
21C 第3の紫外線照射ユニット
212a、212b リフレクタ
213 紫外線光源
215 点灯回路
22 設置板
23 開口部
24a〜24d 外部リフレクタ
A 基板
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、紫外線照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
紫外線照射装置は、紫外線処理、例えば、印刷関連でのインク乾燥、半導体装置関連の微細露光、液晶関連の接着材硬化や液晶の配光膜形成等に使用されている。近年、紫外線処理対象の基板の大型化が進んでおり、紫外線照射装置の紫外線照射エリアの大面積化が求められている。
【0003】
この種の紫外線照射装置は、複数の紫外線照射ユニットを面方向に格子状に配列し、これらの紫外線照射ユニットから放射される紫外線を、所定の距離を介して配置される基板に照射し、紫外線処理を行う構成である。
【0004】
この種の紫外線照射装置では、隣り合う紫外線照射ユニットからの紫外線照度分布を合成することで、基板が設置される基板処理部上における紫外線照度の均斉度の向上を図っているが、基板処理部上の端部領域では光合成が不十分となり、紫外線照度が低下する。そのため、紫外線照射部上の端部領域では、基板処理に必要な紫外線照度または均斉度を満足できず、大型の基板を処理することが出来ない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−76033号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、基板処理部の端部領域における紫外線照度の低下を抑制することで、照射エリアの大面積化を図ることが可能な紫外線照射装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を達成するために、実施形態の紫外線照射装置は、紫外線処理される基板が配置される基板処理部と、前記基板処理部と面するように格子状に配置された複数の紫外線照射ユニットを有する紫外線照射部と、を具備する紫外線照射装置において、前記紫外線照射部は、第1の紫外線照射ユニットと、前記第1の紫外線照射ユニットに対して前記基板処理部の位置における紫外線照度のピーク値Pが高く、かつ、ピーク値Pの50%の値以上を照射する照射面積Sが狭い第2の紫外線照射ユニットと、を備え、前記紫外線照射部の配列の少なくとも一部の行または列において、その中央領域に前記第1の紫外線照射ユニットを、その端部領域に前記第2の紫外線照射ユニットを配列した。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】紫外線照射装置に関する第1の実施形態について説明するための分解斜視図である。
【図2】図1の組み立て状態を説明するための外観斜視図である。
【図3】図1と図2の紫外線照射ユニットの断面図と紫外線照度の分布を説明するための図である。
【図4】図2の紫外線照射装置におけるy方向の断面図と、紫外線照度の分布について説明するための図である。
【図5】図2の紫外線照射装置におけるx方向の断面図と、紫外線照度の分布について説明するための図である。
【図6】紫外線照射装置に関する第2の実施形態について紫外線照射ユニットの配置を説明するための紫外線照射装置の上面図である。
【図7】紫外線照射装置に関する第3の実施形態について紫外線照射ユニットの配置を説明するための紫外線照射装置の上面図である。
【図8】図7の紫外線照射装置におけるy方向の断面図と紫外線照度の分布を説明するための図である
【図9】図7と図8の紫外線照射ユニットの構造を説明するための分解斜視図である。
【図10】図7と図8の紫外線照射ユニットの断面図と紫外線照度の分布を説明するための図である。
【図11】紫外線照射装置に関する第4の実施形態について紫外線照射ユニットの配置を説明するための紫外線照射装置の上面図である。
【図12】図11の紫外線照射装置におけるx方向の断面図と紫外線照度の分布を説明するための図である。
【図13】紫外線照射ユニットのその他の配置例を説明するための紫外線照射装置の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、発明を実施するための実施形態について説明する。
【0010】
(第1の実施形態)
第1の実施形態の紫外線照射装置を、図面を参照して説明する。図1は分解斜視図で、図2は図1の組み立て状態の外観斜視図、図3は図1と図2で使用する紫外線照射ユニットの断面図と紫外線照度の分布を示す図、図4と図5は紫外線照射装置の断面図と紫外線照度の分布を示す図である。
【0011】
図1および図2において、100は、例えば、印刷関連でのインク乾燥、半導体装置関連の微細露光、液晶関連の接着材硬化や液晶の配光膜形成等の紫外線処理を行う紫外線照射装置である。紫外線照射装置100は、紫外線処理される基板Aが配置されて紫外線照射が行われる基板処理部1と、この基板処理部1に面して配置され、基板Aに対して紫外線を照射する紫外線照射部2とから構成される。
【0012】
基板処理部1は、基板Aを配置することができる基板配置部11を備える。基板配置部11は、例えば、ステンレス製の直方体のステージで、幅X1が300mmから3000mm、長さY1が3000mmから3500mmである。基板配置部11には、例えば、複数の孔12が設けられており、その孔12の内部に、上下に可動し、また、基板Aを点接触で保持することができる内部搬送部13が装備されている。
【0013】
基板配置部11の上面への基板Aの供給は、例えば、図2に示すように内部搬送部13を基板配置部11より上方に突出させた状態で、外部から基板Aを供給する外部搬送機構(図示無)との間で基板Aの受け渡しを行い、その後、基板Aを保持した内部搬送部13を下方に移動させることで行われる。一方、紫外線処理後の基板Aの搬出は、内部搬送部13を基板配置部11内から上方に移動させて、これにより基板Aを持ち上げた後、基板Aと基板配置部11との隙間に外部搬送機構の基板保持部を挿入して、基板Aの受け渡しを行った後、外部搬送機構にて外部に搬出される。
【0014】
基板処理部1の基板配置部11から、例えば、距離L1が800mm〜1500mm離間した上方に、複数の紫外線照射ユニット21が面方向に格子状に配置される。
【0015】
紫外線照射ユニット21の構造を図3を用いて説明する。紫外線照射ユニット21は、例えば、ステンレスやアルミ等の金属製の筐体211内に、一対のリフレクタ212a、212bと、リフレクタ212aと212bの間の空間に配置される紫外線光源213と、紫外線光源213からの紫外線およびリフレクタ212a、212bで反射された紫外線を筐体211の外部に取り出すための照射部214と、紫外線光源213を点灯するための点灯回路215とを、収納した構成である。
【0016】
紫外線光源213は、例えば、石英ガラスからなる紫外線透過性の円筒形状のバルブで、バルブの発光空間内には、例えば、不活性ガスとそれに水銀と鉄を主成分とする放電媒体が封入される。ランプの外径φは15±1mm程度、長さLは240mm程度である。このときの点灯回路215は、例えば、周波数2.45GHzのマイクロ波を照射するマグネトロンを使用し、マイクロ波を紫外線光源213に導くことにより、バルブ内に封入された放電媒体が放電し、波長180〜400nmの紫外線を発生させる構成である。
【0017】
リフレクタ212a、212bは、紫外線光源213からの紫外線を反射し、マイクロ波を通過するよう、例えば、表面に反射膜を形成した一対のガラス板で構成される平板状の反射板である。
【0018】
照射部214には、例えば、紫外線光源213からの光を拡散または集光させる光学機能や、紫外線光源213や点灯回路215から発生するノイズを遮断する機能を持たせることが出来る。また、装置構成を簡略化するため、前記の部材の設置を省略し、筐体211に開口部を設けた構成にすることも可能である。
【0019】
紫外線照射ユニット21の配光特性は、例えば、リフレクタ212aと212bとの間の角度αを変化させることにより、調整することができる。一例として、角度αを90°、100°、110°の3種類に変化させた場合の、紫外線照度の分布の変化を図3を用いて説明する。
【0020】
紫外線光源213の管径方向で、y方向の紫外線照度の分布は、図3(a)に示すように、角度αが小さいほど、紫外線照度のピーク値Pは高くなり、また、各ピーク値Pの50%の値以上を照射するy方向の長さは短くなる。
【0021】
一方、紫外線光源213の管軸方向で、x方向の紫外線照度の分布は、図3(b)に示すように、角度αが小さいほど、紫外線照度のピーク値Pは高くなるものの、各ピーク値Pの50%の値以上を照射するx方向の長さはほとんど変化しない。
【0022】
各角度αにおいて、各紫外線照度のピーク値Pの50%の値を照射する範囲を図3(c)に示す。この範囲の内部面積がピーク値Pの50%の値以上を照射できる照射面積Sであり、角度αが小さいほど、狭くなり、集光的な配光分布となる。
【0023】
図1及び図2の紫外線照射装置100において、図3の角度αが110°の第1の紫外線照射ユニット21Aと、αが100°の第2の紫外線照射ユニット21Bの2種類が使用される。前述したように、第1の紫外線照射ユニット21Aの配光特性に対して、第2の紫外線照射ユニット21Bの配光特性は、紫外線照度のピーク値Pが高く、かつ、紫外線照度のピーク値Pの50%の値以上を照射できる照射面積Sが狭い構成である。
【0024】
これらの紫外線照射ユニット21Aと21Bが、列xが6個、及び、行yが6個の格子状に配置され、外周部の全てに第2の紫外線照射ユニット21Bが配置され、その他の中央領域に第1の紫外線照射ユニット21Aが配置されている。また、各紫外線照射ユニット21A、21Bのx方向の隙間間隔d1〜d5、及び、y方向の隙間間隔k1〜k5は、それぞれ、略一定の間隔に調整されている。
【0025】
これらの紫外線照射ユニット21A、21Bは、設置板22、例えば、ステンレス製の基板上に設置される。設置板22の各紫外線照射ユニット21A、21Bの照射部214に相当する位置に、開口部23が設けられており、これらの開口部23を介して、各紫外線照射ユニット21A、21Bからの紫外線が、基板処理部1へ導かれる。
【0026】
設置板22の下部の周囲には、周囲へ漏れる紫外線量を低減するため、例えば、外部リフレクタが24a、24b、24c、24dが配置される。外部リフレクタ24a、24b、24c、24dは、例えば、ステンレス製で、内部側の表面は、紫外線の反射率を高めるの表面処理が施こされている。外部リフレクタ24a、24b、24c、24dと設置板22との間の角度は、例えば、90°〜120°で傾斜させた構成で、紫外線照射ユニット21A、21Bの光を反射させて、基板処理部1上の紫外線照度および均斉度を向上させている。
【0027】
列x=3におけるy方向の紫外線照射装置100の断面図と、基板処理部1上の紫外線照度の分布を図4に示す。第1の実施形態の紫外線照度分布を実線B1で示す。また、比較用としてy=1〜6の全てを第1の紫外線照射ユニット21Aとした場合の、紫外線照度の分布を点線C1で示す。第1の実施形態では、y方向の両端に、中央領域に配置される第1の紫外線照射ユニット21Aに対して、紫外線照度のピーク値Pが高く、また、各ピーク値Pの50%の値以上を照射する照射面積Sが狭い第2の紫外線照射ユニット21Bを配置したことにより、両端部の紫外線照度を高めることができる。その結果、基板Aの紫外線処理に必要な紫外線照度D1及び均斉度を確保できる領域の幅WB1を、比較用のWC1より大きくすることができる。
【0028】
行y=3におけるx方向の紫外線照射装置の断面図と、基板処理部1上の紫外線照度の分布を図5に示す。第1の実施形態では、x方向の両端に、中央に配置される第1の紫外線照射ユニット21A対して、紫外線照度のピーク値Pが高く、また、各ピーク値Pの50%の値以上を照射する照射面積Sが狭い第2の紫外線照射ユニット21Bを配置したことにより、両端部の紫外線照度を高めることができる。その結果、基板Aの紫外線処理に必要な紫外線照度D1及び均斉度を確保できる領域の幅WB1を、比較用のWC1より大きくすることができる。
【0029】
上述したように、第1の実施形態の紫外線照射装置100は、基板Aが設置される基板処理部1上の端部領域における紫外線照度の低下を抑制し、紫外線処理に必要な紫外線照度D1及び均斉度を確保できる領域を拡大させることが出来、基板Aの大型化対応が可能となる。
【0030】
(第2の実施形態)
図6は、紫外線照射装置に関する第2の実施形態について説明するためのもので、紫外線照射ユニット21のその他の配置例を説明するための、紫外線照射装置100の上面図である。この第2の実施形態の各部について、第1の実施形態の紫外線照射装置の各部と同一部分は同一符号で示す。
【0031】
第2の実施形態の紫外線照射装置100の基本構成は、第1の実施形態と同様であるが、第1の紫外線照射ユニット21Aと第2の紫外線照射ユニット21Bの配置が異なる。
【0032】
図6(a)は、第2の紫外線照射ユニット21Bを行y=1と行y=6の2列に配置し、その間の4列の行y=2〜5に第1の紫外線照射ユニット21Aを配置した構成である。図6(b)は、第2の紫外線照射ユニット21Bを、格子状の4隅のみに配置し、その他を第1の紫外線照射ユニット21Aとした構成である。
【0033】
上述した第2の実施形態では、第1の実施形態と同様に、全て第1の紫外線照射ユニット21Aを配置した場合に対して、基板Aが設置される基板処理部1上の端部領域における紫外線照度の低下を抑制することが出来る。その結果、紫外線処理に必要な紫外線照度および均斉度を確保できる領域を拡大でき、基板Aの大型化対応が可能となる。また、第2の紫外線照射ユニット21Bの個数を削減したことにより、紫外線照度の調整を省略化することができる。
【0034】
(第3の実施形態)
図7と図8は紫外線照射装置に関する第3の実施形態について説明するためのもので、図7は紫外線照射ユニットの配置を示す紫外線照射装置100の上面図、図8は紫外線照射装置100の断面図と紫外線照度の分布を説明するための図である。
【0035】
第3の実施形態では、3種類の紫外線照度の分布を有する紫外線照射ユニット21D、21E、21Fを使用している。
【0036】
図9は、紫外線照射ユニット21の分解斜視図を説明するための図である。紫外線照射ユニット21は、筐体211内に、紫外線光源213として多数のUV−LEDを実装して電気配線した点灯基板215aと、点灯基板に電力を供給し発光を制御する点灯回路215bと、を収納した構成である。紫外線光源213であるUV−LEDは、LEDチップ基板213aと、LEDチップ基板上に実装された発光部213bと、発光部213bを覆うレンズ213cとから構成される。紫外線照射ユニット21の紫外線照度の分布は、例えば、UV−LEDの個数や配置間隔の調整以外に、UV−LEDのレンズ213cの形状、または、発光部213bの光を反射させるリフレクタ構造をLEDチップ基板213aに一体的に形成して、その反射形状を変化させることで、調整することができる。
【0037】
第3の実施形態で使用する3種類の紫外線照射ユニット21D、21E、21Fの紫外線照度の分布を図10に示す。第1の紫外線照射ユニット21Dの紫外線照度の分布は、x方向及びy方向で同様な紫外線照度の分布を有している。第2の紫外線照射ユニット21Eの照度分布は、上述した調整法で、紫外線照射ユニット21Dに対して、紫外線照度のピーク値Pを高くし、また、各ピーク値Pの50%の値以上を照射するx方向の長さを維持し、y方向の長さは短くするように集光させた分布である。第3の紫外線照射ユニット21Fの照度分布は、紫外線照射ユニット21Eの照度分布を、x−y方向で90°回転させた分布で、x方向のみを集光させた分布である。
【0038】
これらの紫外線照射ユニット21D、21E及び21Fは、図7に示すように、列xが6個、及び、行yが6個の格子状の配置される。
【0039】
列x=2〜5において、各列の中央領域y=2〜5に第1の紫外線照射ユニット21Dを配置し、その端部領域y=1とy=6に、第1の紫外線照射ユニット21Dに対して、紫外線のピーク値Pが高く、かつ、各ピーク値Pの50%の値以上を照射する照射面積Sが狭い第2の紫外線照射ユニット21Eを配置する。列x=1とx=6は、各列の中央領域y=2〜5に第3の紫外線照射ユニット21Fを配置し、その端部領域y=1とy=6に、第2の紫外線照射ユニット21Eを配置しているが、全て、集光の向きは異なるものの、紫外線のピーク値Pと各ピーク値Pの50%の値以上を照射する照射面積Sは同一となる。
【0040】
一方、行y=2〜5において、各行の中央領域x=2〜5に第1の紫外線照射ユニット21Dが配置され、その端部領域x=1とx=6に、第1の紫外線照射ユニット21Dに対して、紫外線のピーク値Pが高く、かつ、各ピーク値Pの50%の値以上を照射する照射面積Sが狭い第3の紫外線照射ユニット21Fが配置される。行y=1とy=6は、全て第2の紫外線照射装置21Eが使用され、紫外線のピーク値Pと各ピーク値Pの50%の値以上を照射する照射面積Sは同一である。
【0041】
各紫外線照射ユニット21のx方向の隙間間隔は、x方向の両端の間隔d1およびd5を、中央部の間隔d2、d3、d4に対して短くするように設定している。一方、y方向の隙間間隔は、y方向の両端の間隔k1およびk5を、中央部の間隔k2、k3、k4に対して短くするように設定している。
【0042】
列x=3におけるy方向の紫外線照射装置100の断面図と、基板配置部11上の紫外線照度の分布を図8に示す。第3の実施形態の紫外線照度分布を実線B2で示す。また、比較用として紫外線照射ユニット21Dと21Eの種類と配置は同一で、隙間間隔d1〜d5及び隙間間隔k1〜k5を、各々、全て同一にしたときの、紫外線照度の分布を点線C2で示す。
【0043】
第3の実施形態では、中央y=2〜5の第1の紫外線照射ユニット21Dの両端x=1、6に、集光させた紫外線照度の分布を有する第2の紫外線照射ユニット21Eを配置したことに加えて、両端の第1の紫外線照射ユニット21Dと第2の紫外線照射ユニット21Eの間隔k1及びk5を、中央の間隔k2〜k4より小さくしたことで、紫外線照度の均斉度を向上させることが出来る。一方に、x方向においても、図示しないが、図8と同様な効果が得られ、紫外線照度の均斉度を向上させることが出来る。
【0044】
上述したように、第3の実施形態の紫外線照射装置100は、基板Aが設置される基板処理部1上の端部領域における紫外線照度の低下を抑制し、紫外線処理に必要な紫外線照度D2を確保できる領域WB2を拡大させつつ、光均斉度を向上させることが出来る。
【0045】
(第4の実施形態)
図11と図12は紫外線照射装置に関する第4の実施形態について説明するためのもので、図11は紫外線照射ユニット21の配置を示す紫外線照射装置100の上面図、図12は紫外線照射装置100の断面図と紫外線照度の分布を説明するための図である。
【0046】
第4の実施形態では、同構成の紫外線照射ユニット21として、例えば、図10に示す第1の紫外線ユニット21Dを使用している。ここで、同構成の紫外線照射ユニット21とは、同じ設計であるが、材料バラツキまたは製造バラツキ等の要因による、紫外線照射ユニット21の電気的または光学的な特性バラツキを許容することを意味している。
【0047】
第1の紫外線照射ユニット21Dを、図11に示すように、列xが4個、及び、行yが4個の格子状の配置している。第1の紫外線照射ユニット21Dの隙間間隔は、x方向については両端の隙間間隔d1およびd3を中央部の隙間間隔d2に対して短くし、また、y方向については両端の隙間間隔k1およびk3を中央の隙間間隔k2に対して短くしている。
【0048】
行y=2におけるx方向の紫外線照射装置100の断面図と、基板処理部1上の紫外線照度の分布を図12に示す。第4の実施形態の紫外線照度分布を実線B3で示す。また、比較用として第1の紫外線照射ユニット21Dを用い、隙間間隔d1〜d3及び隙間間隔k1〜k3を、各々、全て同一にしたときの、紫外線照度の分布を点線C3で示す。
【0049】
第4の実施形態では、中央の隙間間隔d2またはk2に対して、各々、その両端d1とd3、または、k1とk3の隙間間隔を狭くしたことにより、中央部の紫外線照度を低くして、両端部の紫外線照度を向上させる分布とすることが出来る。
【0050】
第4の実施形態では、基板Aの周囲においてのみ紫外線処理が必要な工程、例えば、液晶パネル製造における2枚の基板の周囲を接着する封止材の紫外線硬化工程において使用することができる。また、基板Aの中央と外周部で別々の紫外線処理を同時に行う場合、例えば、液晶関連で、基板Aの外周部では前述した封止工程を行い、基板Aの中央部では液晶の配光膜形成を行う行程の同時処理にも使用することが出来る。この場合、前者の工程に必要な紫外線照度は、後者の工程の紫外線照度に対して、高くするような紫外線照度分布が求められので、これに対応できると同時に、大型の基板Aの設置が可能となる。また、上述した紫外線照度分布を得るために、紫外線照射装置100に使用する一部の紫外線照射ユニット21Dの点灯電力を高める必要がないため、紫外線照射装置100の省電力化及び長寿命化が可能となる。
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
【0051】
基板処理部1の基板配置部11は、基板Aを面接触で保持する以外に、例えば、線接触または点接触等で保持する構成も採ることができる。また、基板Aの供給方式は、紫外線照射装置100の前面からフォークリフト方式で出し入れする以外に、例えば、ウォーキングビーム方式や、ベルト方式により、基板Aを前から後ろ方向に移動させる方式も採ることができる。
【0052】
紫外線照射ユニット21に使用する紫外線光源213は、基板Aの紫外線処理を行うのに適切な波長域の紫外線を発光させることができる光源であればよいので、メタルハライドランプ、低圧水銀ランプ、中圧ランプ、高圧ランプ、HIDランプ、または、レーザーダイオード等に置き換えが可能である。
【0053】
点灯回路215は、夫々の光源に適した構成とすることができ、また、点灯回路215の全部または一部を紫外線照射ユニット21の筐体211の外部に配置することも可能である。
【0054】
紫外線照射ユニット21の配光特性の調整方法は、リフレクタ212a、212bの角度以外に、紫外線光源213の配置位置や、紫外線照射ユニット21の照射部214に、例えば、光学シート等を設けて、シート構成を拡散シートや集光シートに変更する方法を採ることができる。
【0055】
また、配光特性が異なる紫外線照射ユニット21を別個に用意する以外に、例えば、基本構成は同構成でリフレクタ212a、212bや紫外線光源213の配置位置を調整できる調整機構を備えた紫外線照射ユニット21を使用しても良い。また、これらの調整機構を電子制御できる制御手段を外部に設けて、配光を自動制御させても良い。
【0056】
紫外線照射ユニット21の配置数は、列4個及び行4個、列6個及び行6個の構成を示したが、基板Aの大きさに応じて、列数及び行数を変化させることができる。また、列数と行数が同数である必要がなく、どちらか一方を大きくした配置とすることも出来る。
【0057】
紫外線照射部2に使用する紫外線照射ユニット21の種類は、2種類と3種類の例を示したが、それ以上の種類とすることができる。
【0058】
また、同一の行または列に、2種類の紫外線照射ユニットを配置した構成例を示したが、例えば、図13に示すように、同一の行または列に3種類の紫外線照射ユニット21A、21B、21Cを配置することも可能である。この場合、中央に第1の紫外線照射ユニット21Aが配置され、その両端に第1の紫外線照射ユニット21Aに対して、紫外線照度のピーク値Pが高く、かつ、ピーク値Pの50%の値以上を照射する照射面積Sが狭い第2の紫外線照射ユニット21Bが配置される。この第2の紫外線照射ユニット21Bの更に両端には、第2の紫外線照射ユニット21Bに対して、紫外線照度のピーク値Pが高く、かつ、ピーク値Pの50%の値以上を照射する照射面積Sが狭い第3の紫外線照射ユニット21Cが配置される構成である。更に、4種類以上の紫外線照射ユニットも使用することができる。
【0059】
紫外線照射ユニット21の隙間間隔d、kを変化させる個数は、2個の例を示したが、それ以上とし、同様な配置手段を講じることも出来る。
【0060】
紫外線照射ユニット21は、例えば、筐体211の一部に空気を筐体211内に導入及び排出するための開口部を設けて、排気用または吸気用のブロアにより筐体211内に空気を循環させて、紫外線光源213や点灯回路215を空冷させる構成も可能である。
【0061】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0062】
100 紫外線処理装置
1 基板処理部
11 基板配置部
12 孔
13 内部搬送部
2 紫外線照射部
21 紫外線照射ユニット
21A 第1の紫外線照射ユニット
21B 第2の紫外線照射ユニット
21C 第3の紫外線照射ユニット
212a、212b リフレクタ
213 紫外線光源
215 点灯回路
22 設置板
23 開口部
24a〜24d 外部リフレクタ
A 基板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外線処理される基板が配置される基板処理部と、前記基板処理部と面するように格子状に配置された複数の紫外線照射ユニットを有する紫外線照射部と、を具備する紫外線照射装置において、
前記紫外線照射部は、第1の紫外線照射ユニットと、前記第1の紫外線照射ユニットに対して前記基板処理部の位置における紫外線照度のピーク値Pが高く、かつ、ピーク値Pの50%の値以上を照射する照射面積Sが狭い第2の紫外線照射ユニットと、を備え、前記紫外線照射部の配列の少なくとも一部の行または列において、その中央領域に前記第1の紫外線照射ユニットを、その端部領域に前記第2の紫外線照射ユニットを、配列した紫外線照射装置。
【請求項2】
前記紫外線照射部は、更に、その少なくとも一部の行または列において、中央領域から端部領域に行くに従い、隣り合う紫外線照射ユニットの間隔が狭くなるように、配列されてなる請求項1に記載の紫外線照射装置。
【請求項3】
紫外線処理される基板が配置される基板処理部と、前記基板処理部と面するように格子状に配置された複数の紫外線照射ユニットを有する紫外線照射部と、を具備する紫外線照射装置において、
前記紫外線照射部は、その行または列の少なくとも一部において、中央領域から端部領域に行くに従い、隣り合う紫外線照射ユニットの間隔が狭くなるように、配列されてなる紫外線照射装置。
【請求項1】
紫外線処理される基板が配置される基板処理部と、前記基板処理部と面するように格子状に配置された複数の紫外線照射ユニットを有する紫外線照射部と、を具備する紫外線照射装置において、
前記紫外線照射部は、第1の紫外線照射ユニットと、前記第1の紫外線照射ユニットに対して前記基板処理部の位置における紫外線照度のピーク値Pが高く、かつ、ピーク値Pの50%の値以上を照射する照射面積Sが狭い第2の紫外線照射ユニットと、を備え、前記紫外線照射部の配列の少なくとも一部の行または列において、その中央領域に前記第1の紫外線照射ユニットを、その端部領域に前記第2の紫外線照射ユニットを、配列した紫外線照射装置。
【請求項2】
前記紫外線照射部は、更に、その少なくとも一部の行または列において、中央領域から端部領域に行くに従い、隣り合う紫外線照射ユニットの間隔が狭くなるように、配列されてなる請求項1に記載の紫外線照射装置。
【請求項3】
紫外線処理される基板が配置される基板処理部と、前記基板処理部と面するように格子状に配置された複数の紫外線照射ユニットを有する紫外線照射部と、を具備する紫外線照射装置において、
前記紫外線照射部は、その行または列の少なくとも一部において、中央領域から端部領域に行くに従い、隣り合う紫外線照射ユニットの間隔が狭くなるように、配列されてなる紫外線照射装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−94737(P2013−94737A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−240235(P2011−240235)
【出願日】平成23年11月1日(2011.11.1)
【出願人】(000111672)ハリソン東芝ライティング株式会社 (995)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月1日(2011.11.1)
【出願人】(000111672)ハリソン東芝ライティング株式会社 (995)
【Fターム(参考)】
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