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紫外線硬化型インクジェットプリント用基材、紫外線硬化型インクジェットプリント物およびその製造方法
説明

紫外線硬化型インクジェットプリント用基材、紫外線硬化型インクジェットプリント物およびその製造方法

【課題】インクジェットプリントにより付与された紫外線硬化型インク滴の接地境界面における硬化を促進させ、基材表面との密着性に優れた画像を形成することができる、紫外線硬化型インクジェットプリント用基材、および紫外線硬化型インクジェットプリント物を提供する。
【解決手段】本発明は、紫外線硬化型インクを用いるインクジェットプリント用基材であって、紫外線硬化型インクを付与する面の積分分光反射率が、360〜450nm波長領域において100以上であることを特徴とする、紫外線硬化型インクジェットプリント用基材である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線硬化型インクジェットプリントに適した基材と、紫外線硬化型インクジェットプリント物およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インクジェット技術の向上および多様化によって、紙以外の素材へのインクジェットプリントが普及しており、様々な素材において意匠性や景観性を向上させたインクジェットプリント物が提案されている。
【0003】
さらに、インクジェットプリントに用いられるインクとしては、従来使用される溶剤系インクや水系インクのほか、近年では、紫外線硬化型インクの使用も多く提案されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、紫外線硬化型インクを用いたインクジェットプリントにより、画像が形成された建築板が開示されている。
【0005】
紫外線硬化型インクは、紫外線を照射することによって硬化する。このとき、基材表面に付与された紫外線硬化型インク滴は、直接紫外線が当たるインク滴表面は比較的硬化が進行しやすいが、一方、インク滴内部や特に基材との接地境界面に照射される紫外線量は、インク滴表面部分よりも減少し、硬化が遅れる傾向があり、照射される紫外線量が不十分な場合には未硬化状態のままとなるおそれがある。さらに、紫外線硬化型インク中に含有される顔料の濃度が高い場合や、形成される画像の退色を防止するなどの目的で、紫外線硬化型インク中に紫外線吸収剤が配合されている場合には、顔料や紫外線吸収剤が紫外線を吸収してしまい、硬化性がさらに低下する。
【0006】
このように、付与された紫外線硬化型インク滴の硬化性(硬化のしやすさ)は、インク滴の表面と、基材との接地境界面とで異なり、特に基材との接地境界面における硬化性が悪くなる傾向にある。付与された紫外線硬化型インク滴の、基材との接地境界面における硬化が不十分であると、紫外線硬化型インクと基材との密着性が低下し、紫外線硬化型インクによって形成される画像の品位が低下するおそれがある。
【0007】
上記問題を解決する手段として、紫外線照射時間を長くすることが考えられるが、紫外線を長時間照射すると、紫外線硬化型インクが劣化する傾向があり、特に、紫外線照射量の多くなるインク滴表面の劣化が問題となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010−194462号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、これらの問題に鑑みてなされたものであり、インクジェットプリントにより付与された紫外線硬化型インク滴の、基材との接地境界面における硬化を促進させ、基材との密着性に優れた画像を形成することができる、紫外線硬化型インクジェットプリント用基材と、紫外線硬化型インクジェットプリント物およびその製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、紫外線硬化型インクを用いるインクジェットプリント用基材であって、紫外線硬化型インクを付与する面の積分分光反射率が、360〜450nm波長領域において100以上であることを特徴とする、紫外線硬化型インクジェットプリント用基材である。
また、本発明は、紫外線硬化型インクにより画像が形成されている面(画像形成面)を有し、該画像形成面の紫外線硬化型インクが付与されていない部分における表面の積分分光反射率が、360〜450nm波長領域において100以上であることを特徴とする、紫外線硬化型インクジェットプリント物である。
また、本発明は、基材の少なくとも一面に対し、基材表面の積分分光反射率を、360〜450nm波長領域において100以上に調整する工程と、積分分光反射率を調整した基材表面に、インクジェットプリントにより紫外線硬化型インクを付与する工程と、付与した紫外線硬化型インクを硬化させる工程と、を含んでなる、紫外線硬化型インクジェットプリント物の製造方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、付与された紫外線硬化型インク滴の接地境界面における硬化を促進させ、紫外線硬化型インクとの密着性に優れた画像を形成することができる、紫外線硬化型インクジェットプリント用基材、および紫外線硬化型インクジェットプリント物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、紫外線硬化型インクを用いたジェットプリントに使用する基材であることを前提とする。これを以下、紫外線硬化型インクジェットプリント用基材という。
【0013】
本発明に係る紫外線硬化型インクジェットプリント用基材は、紫外線硬化型インクを付与する面の積分分光反射率が、360〜450nm波長領域において100以上であることを特徴とする。ここで、積分分光反射率を検討する波長領域を360〜450nmと規定したのは、紫外線硬化型インクの硬化に用いられる光源との関係からである。紫外線硬化型インクの硬化には、光源として、メタルハライドランプが多く使用されている。メタルハライドランプは、出力波長が200〜450nmと広範囲であり、更には、360〜450nmの長波長域の出力が高いことが特徴である。そのため、紫外線硬化型インクの硬化には、特に360〜450nm波長領域の光を反射することが重要となる。
【0014】
基材表面が上記積分分光反射率を有すると、基材表面に付与した紫外線硬化型インク滴に対して紫外線(本明細書において紫外線とは、紫外線硬化型インクを硬化するために光源から出力された光という意味を含む)を照射した場合、基材表面が紫外線を反射することにより、紫外線硬化型インク滴の接地境界面および内部に照射される紫外線量を増加させることができ、紫外線硬化型インク滴の接地境界面および内部の硬化を促進させることが可能となる。
【0015】
紫外線硬化型インクを付与する面の積分分光反射率が360〜450nm波長領域において100未満であると、基材表面が反射する紫外線量が少なく、上述した効果が得られないおそれがある。上述した積分分光反射率は、150以上であることが好ましく、さらには200以上であることが好ましい。
【0016】
本発明に用いられる基材としては、鋼板、アルミ、ステンレス等の金属板、アクリル、ポリカーボネート、ABS、ポリプロピレン、ポリエステル、塩化ビニル等のプラスチック板またはフィルム、窯業板、コンクリート、木材、ガラスなど、特に限定するものではなく、用途に応じて適宜選定すればよい。
【0017】
前記基材表面には、少なくとも紫外線硬化型インクを付与する面に、塗装加工が施されていることが好ましい。前記塗装加工は、基材本来の色を隠蔽し、かつ上述した表面反射率を得ることを目的とする。
【0018】
前記塗装加工に用いられる塗料の種類としては、水系塗料、溶剤系塗料、紫外線硬化系塗料、粉体塗料などがあげられ、対象基材の種類や性状、塗装方法などによって、適宜選定すればよい。
【0019】
前記塗料は、少なくとも樹脂および顔料によって構成されることが好ましい。
前記塗料を構成する樹脂としては、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂などがあげられ、特に限定するものではないが、紫外線硬化型インクの受容能力に優れる点で、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂が好ましい。
【0020】
また、前記塗料に含まれる顔料は、二酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、シリカなどの白色顔料を少なくとも1種以上配合する必要がある。なかでも、隠蔽性に優れ、コスト面で有利な、二酸化チタンや炭酸カルシウムが好ましい。
【0021】
前記塗料への前記白色顔料の配合量としては塗料100重量部中10〜50重量部であることが好ましい。配合量が10重量部未満であると、塗装面が、上述した積分分光反射率を有することができないおそれがある。また、配合量が50重量部を超えると、塗料の乾燥が激しくなるなどして塗装安定性が低下し、さらには形成された塗膜の強度が低下するなど、耐久性に影響を及ぼすおそれがある。
【0022】
前記塗料には、上述した白色顔料以外の着色顔料も、上述した積分分光反射率に影響しない範囲で、1種または複数組み合わせて配合してもよい。白色顔料以外の着色顔料を塗料に配合することで、塗料層の色、特に白度のバラツキを軽減することができる。なかでも、黒色顔料を配合することが好ましい。黒色顔料は、着色力に優れ、波長毎の光反射特性も比較的均質であるため、少量の配合で白度のバラツキを軽減する効果が得られるとともに、積分分光反射率が大きく低下する可能性も低い顔料と言える。黒色顔料としては、例えば、カーボンブラック、ペリレンブラックなどがあげられる。
【0023】
前記塗料には、必要に応じて、造膜助剤、硬化剤、レベリング剤、消泡剤、増粘剤などの各種添加剤を配合することもできる。ただし、紫外線吸収剤は、上述した積分分光反射率を低下させる可能性が高く、好ましくない。
【0024】
前記塗料の塗装方法としては、特に限定するものではなく、スプレー、ロールコーター、ナイフコーター、フローコーターといった公知の方法から、基材の種類や性状などに応じて適宜選定すればよい。
【0025】
前記塗料の塗布量としては、用いる基材や塗料にもよるが、10〜100g/m(乾燥塗布量)が好ましい。10g/m未満であると、塗料による隠蔽性が低くなることより、満足する積分分光反射率を得ることができず、紫外線硬化型インクとの密着性が不良となりやすい。また、100g/mより多いと、塗料層に亀裂が生じやすくなるなど、塗装上の問題が生じやすくなる。
【0026】
塗布した塗料の乾燥手段としては、特に限定するものではなく、公知の熱処理などによって乾燥させることができる。
【0027】
基材表面(塗料層)の積分分光反射率は、例えば、塗料中の顔料配合量を調整したり、塗料の塗布量を調整したりすることによって、調整することができる。また、基材表面が上述した積分分光反射率を有しているか否かについては、測色計を用いた測定によって容易に確認可能である。
【0028】
なお、本発明にかかる紫外線硬化型インクジェットプリント用基材には、基材表面に形成され、特定の積分分光反射率を有する塗料層を有していれば、その他の塗料層が積層されていてもかまわない。その他の塗料層としては、例えば、基材耐水性の向上等を目的としたシーラー塗装、基材隠蔽性の向上を目的とした塗料層(下塗り塗料層)、などがあげられ、基材や用途などに応じて適宜設計すればよい。
【0029】
次いで、本発明の紫外線硬化型インクジェットプリント用基材を用いてなるインクジェットプリント物と、その製造方法について説明する。
【0030】
本発明の紫外線硬化型インクジェットプリント用基材を用いてなるインクジェットプリント物は、本発明の紫外線硬化型インクジェットプリント用基材に対し、インクジェットプリント装置を用いて、紫外線硬化型インクを付与し、さらに硬化させることにより得ることができる。
【0031】
前記紫外線硬化型インクは、顔料、反応性モノマーおよび/または反応性オリゴマー、光重合開始剤、さらに必要に応じて増粘剤などの添加剤などにより構成されている。
【0032】
前記紫外線硬化型インクに使用可能な顔料としては、有機、無機を問わず、任意のものから選択することができる。無機顔料としては、例えば、酸化物類、水酸化物類、硫化物類、フェロシアン化物類、クロム酸塩類、炭酸塩類、ケイ酸塩類、リン酸塩類、炭素類(カーボンブラック)および金属粉類などがあげられる。また有機顔料としては、例えば、ニトロソ類、染付レーキ類、アゾレーキ類、不溶性アゾ類、モノアゾ類、ジスアゾ類、縮合アゾ類、ベンゾイミダゾロン類、フタロシアニン類、アントラキノン類、ペリレン類、キナクリドン類、ジオキサジン類、イソインドリン類、アゾメチン類およびピロロピロール類などがあげられる。前記顔料は、インクジェットプリント物の用途などに応じて適宜選定すればよい。
【0033】
前記紫外線硬化型インク中の顔料重量濃度は、紫外線硬化型インク100重量部中0.5〜20重量部であることが好ましく、0.5〜15重量部であることがより好ましい。なお、ここでいう顔料重量濃度とは、紫外線硬化型インクの不揮発成分に対しての顔料濃度のことである。顔料重量濃度が0.5重量部未満の場合には、着色が不十分となるおそれがある。また、顔料重量濃度が20重量部を超えると、顔料が紫外線を吸収および/または反射することによって、基材との接地境界面まで到達する紫外線量が減少し、紫外線硬化型インクが硬化不十分となるおそれがある。さらに、顔料重量濃度が高いと、紫外線硬化型インクの粘度が高くなり、インクジェットプリンタのノズルから紫外線硬化型インクが吐出できないおそれがある。
【0034】
紫外線硬化型インクに使用する反応性モノマーとしては、硬化した紫外線硬化型インクの耐久性に優れる点で、2官能の反応性モノマーが好ましい。2官能の反応性モノマーとしては、例えば、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリテトラメチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパンアクリル酸安息香酸エステル、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール(200)ジアクリレート、ポリエチレングリコール(400)ジアクリレート、ポリエチレングリコール(600)ジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジアクリレート、ビスフェノールAジアクリレートなどの2官能アクリレートがあげられ、単独または2種以上を組み合わせて使用することができる。なかでも、難黄変性である点で、炭化水素からなる脂肪族反応性モノマー、具体的には、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレートが好ましい。
【0035】
前記反応性モノマーは、紫外線硬化型インク100重量部中に50〜85重量部含まれることが好ましい。50重量部未満であると、紫外線硬化型インクの粘度が高くなり吐出不良となるおそれがあり、85重量部を超えると、硬化に必要な他の成分が不足し、紫外線硬化型インクが硬化不良となるおそれがある。
【0036】
紫外線硬化型インクに使用する反応性オリゴマーとしては、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、シリコーンアクリレート、ポリブタジエンアクリレートがあげられ、単独または2種以上を組み合わせて使用することができる。なかでも、強じん性、柔軟性および付着性に優れる点で、ウレタンアクリレートが好ましい。ウレタンアクリレートのなかでは、難黄変性である点で、炭化水素からなる脂肪族ウレタンアクリレートがさらに好ましい。
【0037】
前記反応性オリゴマーは、紫外線硬化型インク100重量部中に1〜40重量部含まれることが好ましく、5〜40重量部がより好ましく、10〜30重量部がさらに好ましい。反応性オリゴマー含有量が1〜40重量部の範囲であれば、硬化した紫外線硬化型インクが、強じん性、柔軟性、密着性に優れたものとなる。
【0038】
前記紫外線硬化型インクに使用する光重合開始剤としては、ベンゾイン類、ベンジルケタール類、アミノケトン類、チタノセン類、ビスイミダゾール類、ヒドロキシケトン類およびアシルホスフィンオキサイド類があげられ、単独または2種以上を組み合わせて使用することができる。なかでも、高反応性であり、難黄変性である点で、ヒドロキシケトン類およびアシルホスフィンオキサイド類が好ましく、また、紫外線硬化型インクの硬化安定性に優れる点でアシルホスフィンオキサイド類が好ましい。特に、アシルホスフィンオキサイドは、360〜450nm波長領域の光に対し、安定した重合開始性を有している。そのため、本発明かかる紫外線硬化型インクジェットプリント物を製造する際に、インクの光重合開始剤としてアシルホスフィンオキサイドを使用することは、本発明にかかる紫外線硬化型インクジェットプリント用基材の能力を十分に発揮できる点からも好ましい。
【0039】
前記光重合開始剤の添加量は、紫外線硬化型インク100重量部中1〜15重量部であることが好ましく、3〜10重量部であることがより好ましい。1重量部未満では重合が不完全で紫外線硬化型インクが未硬化となるおそれがある。一方、15重量部を超えて添加しても、それ以上の硬化率や硬化スピードの効率向上が期待できず、コスト高となる。
【0040】
その他、前記紫外線硬化型インクには、必要に応じて、顔料を分散させる目的で分散剤を添加してもよい。分散剤としては、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、両性イオン界面活性剤および高分子系分散剤などがあげられ、単独もしくは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0041】
さらに、光重合開始剤の開始反応を促進させるための増感剤、熱安定剤、酸化防止剤、防腐剤、消泡剤、浸透剤、樹脂バインダー、樹脂エマルション、還元防止剤、レベリング剤、pH調整剤、顔料誘導体、重合禁止剤、紫外線吸収剤および光安定剤などの添加剤を加えてもよい。
【0042】
前記紫外線硬化型インクは、使用する上記原材料を混合し、さらにその混合物をロールミル、ボールミル、コロイドミル、ジェットミルまたはビーズミルなどの分散機を使って分散させ、その後、濾過を行うことで得ることができる。なかでも、短時間かつ大量に分散できることから、ビーズミルが好ましい。
【0043】
前記紫外線硬化型インクの粘度は、50℃において1〜20mPa・sであることが好ましく、2〜15mPa・sであることがより好ましい。粘度が1mPa・s未満であると、吐出量の調整が難しく、紫外線硬化型インクの吐出が不安定になるおそれがあり、20mPa・sを超えると紫外線硬化型インクの吐出ができないおそれがある。
【0044】
前記紫外線硬化型インクの表面張力は、25℃において20〜30dyne/cmであることが好ましい。20dyne/cmより小さいと、濡れ性が良くなりすぎて、付与した紫外線硬化型インクが滲むおそれあり、また、プリンタヘッドへの紫外線硬化型インクの供給が困難になる。30dyne/cmを超えると、基材表面で紫外線硬化型インクがはじかれ、画像が不鮮明になるおそれがある。
【0045】
前記紫外線硬化型インクの表面張力が上述した好ましい範囲の表面張力よりも高い場合には、濡れ剤を使用して調整することが好ましい。使用される濡れ剤としては、シリコーン系、アクリル系、フッ素系があげられ、この中でも十分に表面張力を下げることが可能なシリコーン系、フッ素系が好ましい。
【0046】
前記紫外線硬化型インクの付与量は、1〜100g/mであることが好ましく。1〜50g/mであることがより好ましい。付与量が1g/m未満であると、十分な画像表現が困難となるおそれがあり、100g/mを超えると、紫外線硬化型インクが硬化不良となるおそれがある。
【0047】
前記紫外線硬化型インクを吐出するインクジェットプリント装置については特に限定するものではなく、例えば、荷電変調方式、マイクロドット方式、帯電噴射制御方式およびインクミスト方式などの連続方式、ステムメ方式、パルスジェット方式、バブルジェット(登録商標)方式、静電吸引方式などのオン・デマンド方式などを用いることができる。さらに、シリアル型、ライン型などといったプリント方式についても、特に限定しない。
【0048】
前記インクジェットプリント装置において紫外線硬化型インクを吐出する場合、インクジェットプリント装置に装備されたヘッドに加熱装置を装備し、紫外線硬化型インクを加熱することにより紫外線硬化型インクの粘度を低くして吐出してもよい。紫外線硬化型インクの加熱温度としては25〜150℃が好ましく、30〜70℃がより好ましい。25℃未満の場合、紫外線硬化型インクの粘度を低くすることができないおそれがあり、150℃を超えると紫外線硬化型インクが硬化してしまうおそれがある。紫外線硬化型インクの加熱温度は、反応性モノマーおよび/または反応性オリゴマーの熱に対する硬化性を考慮して定められ、熱により硬化が開始する温度よりも低く設定する。
【0049】
前記紫外線硬化型インクを硬化させるための紫外線照射条件としては、メタルハライドランプ等の紫外線ランプの出力が、50〜280W/cmであることが好ましく、80〜200W/cmであることがより好ましい。紫外線ランプの出力が50W/cm未満であると、紫外線のピーク強度および積算光量不足により紫外線硬化型インクが十分に硬化しないおそれがあり、280W/cmを超えると、基材が紫外線ランプの熱により変形または溶融するおそれや、硬化した紫外線硬化型インクが劣化するおそれがある。
【0050】
紫外線照射時間については、0.1〜20秒が好ましく、0.5〜10秒がより好ましい。紫外線照射時間が20秒より長いと、インクジェットプリント用基材が紫外線ランプの熱により変形または溶融するおそれや、硬化した紫外線硬化型インクが劣化するおそれがあり、0.1秒より短いと、照射される紫外線量が少なく、紫外線硬化型インクが十分に硬化しないおそれがある。
【0051】
紫外線照射により紫外線硬化型インクを硬化させた後で、さらにその上にクリア塗装を施してもよい。クリア塗装とは、光沢などの外観調整、耐候性の向上のためにインクジェットプリント後に施す塗装をいう。クリア塗装に用いられる塗料(クリア塗料)としては、水系、溶剤系いずれでも構わないが、作業性や安全性の点で水系塗料であることが好ましい。
【0052】
前記クリア塗料は、顔料、樹脂、さらに必要に応じて添加剤などで構成される。なお、樹脂および添加剤については基材表面の塗装加工に用いる塗料のところで説明したものと同様のものが使用できる。
【実施例】
【0053】
次に、本発明について実施例をあげて説明するが、本発明は必ずしもこれらの実施例に限定されるものではない。
【0054】
[実施例1]
窯業基材に、下記処方からなるシーラー塗料をエアスプレーにて総乾燥塗布量が50g/mになるよう塗布し、その後、80℃で30分間乾燥させた。

<シーラー塗料処方>
樹脂エマルション スーパーE 100重量部
(樹脂分19.7%、アクリル系樹脂、菊水化学工業(株)製)
水 10重量部
【0055】
次いで、塗料Aを作製した。下記材料を10分間攪拌した後、100メッシュで濾過することによって塗料Aを得た。

<塗料A処方>
樹脂エマルション ヨドゾールAD176 100重量部
(樹脂分49.0%、アクリル系樹脂、ヘンケルテクノロジーズジャパン(株)製)
造膜助剤 キョーワノールM 10重量部
(2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート、協和発酵ケミカル(株)製)
白色顔料分散体 LIOFAST WHITE H201 20重量部
(顔料分60%、二酸化チタン、トーヨーケム(株)製)
白色顔料 セタカーブED 20重量部
(顔料分75%、炭酸カルシウム、備北粉化工業(株)製)
水 10重量部

得られた塗料Aを、エアスプレーにて総乾燥塗布量50g/mになるよう塗装し、その後、80℃で10分間乾燥させることにより、実施例1の紫外線硬化型インクジェットプリント用基材を得た。
【0056】
[実施例2]
実施例1の塗料Aに代わり、下記処方からなる塗料Bを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2の紫外線硬化型インクジェットプリント用基材を得た。

<塗料B処方>
樹脂エマルション ヨドゾールAD176 100重量部
(樹脂分49.0%、アクリル系樹脂、ヘンケルテクノロジーズジャパン(株)製)
造膜助剤 キョーワノールM 10重量部
(2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート、協和発酵ケミカル(株)製)
白色顔料分散体 LIOFAST WHITE H201 18.5重量部
(顔料分60%、二酸化チタン、トーヨーケム(株)製)
白色顔料 セタカーブED 20重量部
(顔料分75%、炭酸カルシウム、備北粉化工業(株)製)
黒色顔料分散体 LIOFAST BLACK M232 1.5重量部
(顔料分31%、カーボンブラック、トーヨーケム(株)製)
水 10重量部
【0057】
[実施例3]
実施例1の塗料Aに代わり、下記処方からなる塗料Cを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例3の紫外線硬化型インクジェットプリント用基材を得た。

<塗料C処方>
樹脂エマルション ヨドゾールAD176 100重量部
(樹脂分49.0%、アクリル系樹脂、ヘンケルテクノロジーズジャパン(株)製)
造膜助剤 キョーワノールM 10重量部
(2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート、協和発酵ケミカル(株)製)
白色顔料分散体 LIOFAST WHITE H201 17重量部
(顔料分60%、二酸化チタン、トーヨーケム(株)製)
白色顔料 セタカーブED 20重量部
(顔料分75%、炭酸カルシウム、備北粉化工業(株)製)
黒色顔料分散体 LIOFAST BLACK M232 3重量部
(顔料分31%、カーボンブラック、トーヨーケム(株)製)
水 10重量部

[比較例1]
実施例1の塗料Aに代わり、下記処方からなる塗料Dを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1の紫外線硬化型インクジェットプリント用基材を得た。

<塗料D処方>
樹脂エマルション ヨドゾールAD176 100重量部
(樹脂分49.0%、アクリル系樹脂、ヘンケルテクノロジーズジャパン(株)製)
造膜助剤 キョーワノールM 10重量部
(2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート、協和発酵ケミカル(株)製)
白色顔料分散体 LIOFAST WHITE H201 15重量部
(顔料分60%、二酸化チタン、トーヨーケム(株)製)
白色顔料 セタカーブED 20重量部
(顔料分75%、炭酸カルシウム、備北粉化工業(株)製)
黒色顔料分散体 LIOFAST BLACK M232 5重量部
(顔料分31%、カーボンブラック、トーヨーケム(株)製)
水 10重量部
【0058】
[積分分光反射率の測定]
得られた実施例および比較例の紫外線硬化型インクジェットプリント用基材について、基材表面の、360nm〜450nm領域における積分分光反射率を、CM−3600d(コニカミノルタ(株)製)にて測定した。測定条件を下記に示す。

<積分分光反射率測定条件>
測定機:CM−3600d(コニカミノルタ(株)製)
測定条件:反射/透過 反射
正反射光処理 SCI(正反射光含む)
測定径 LAV(25.4mm)
UV条件 100%FULL
【0059】
[評価:インク密着性]
得られた実施例および比較例の紫外線硬化型インクジェットプリント用基材について、インクの密着性について評価した。
紫外線硬化型インクとしては、下記処方からなる材料を、ビーズミル分散機を用いて分散させた後、濾過を行うことにより得たブラックインクを使用した。

<ブラックインク処方>
顔料分散液(顔料分:20%) 10重量部
(顔料:NIPex 35、カーボン、デグサジャパン(株)製、分散媒:SR9003、PO変性ネオペンチルグリコールジアクリレート、サートマージャパン(株)製)
反応性オリゴマー 25重量部
(CN985B88、2官能脂肪族ウレタンアクリレート88%、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート12%、サートマージャパン(株)製)
反応性モノマー 58.5重量部
(SR238F、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、サートマージャパン(株)製)
光重合開始剤 3重量部
(イルガキュア184、ヒドロキシケトン類、ビーエーエスエフジャパン(株)製)
光重合開始剤 3重量部
(イルガキュア819、アシルホスフィンオキサイド類、ビーエーエスエフジャパン(株)製)
濡れ剤(R−08、フッ素系濡れ剤、DIC(株)製) 0.5重量部

ブラックインクの顔料重量濃度はブラックインク100重量部中2重量部であり、50℃におけるインク粘度は11.5mPa・sであり、25℃における表面張力は26.2dyne/cmであった。
得られたインクを、実施例および比較例の紫外線硬化型インクジェットプリント用基材に対し、インクジェットプリント装置を用いて付与した。インクジェットプリント条件を下記に示す。

<インクジェットプリント条件>
ノズル径 70(μm)
印加電圧 50(V)
パルス幅 15(μs)
駆動周波数 5(KHz)
解像度 180(dpi)
ヘッド加熱温度 60(℃)
インク付与量 5(g/m

付与したインクに対し、下記条件で紫外線照射することにより、紫外線硬化型インクを硬化させた。

<紫外線照射条件>
ランプ種類 メタルハライドランプ
出力 100(W/cm)
照射時間 0.5(秒)
照射高さ 10(cm)
プリントから照射までの時間 5(秒)

以上のようにしてインクジェットプリントを行った基材に対し、JIS K5600−5−6で規定されるクロスカット法を実施した。その後、下記評価基準に従って、各紫外線硬化型インクジェットプリント用基材の、インク密着性について評価した。

○:インク剥離が、0%以上、5%未満である
△:インク剥離が、5%以上、10%未満である
×:インク剥離が10%以上である
【0060】
実施例および比較例の紫外線硬化型インクジェットプリント用基材について、各基材の積分分光反射率および評価結果について、表1にまとめる。



















【0061】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外線硬化型インクを用いるインクジェットプリント用基材であって、紫外線硬化型インクを付与する面の積分分光反射率が、360〜450nm波長領域において100以上であることを特徴とする、紫外線硬化型インクジェットプリント用基材。
【請求項2】
紫外線硬化型インクを付与する面に、少なくとも1種以上の白色顔料を含有する塗料層が設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の紫外線硬化型インクジェットプリント用基材。
【請求項3】
前記塗料層が、さらに少なくとも1種以上の黒色顔料を含有することを特徴とする、請求項2に記載の紫外線硬化型インクジェットプリント用基材。
【請求項4】
前記塗料層に、紫外線吸収剤が含有されていないことを特徴とする、請求項2または3に記載の紫外線硬化型インクジェットプリント用基材。
【請求項5】
紫外線硬化型インクにより画像が形成されている面(画像形成面)を有し、該画像形成面の紫外線硬化型インクが付与されていない部分における表面の積分分光反射率が、360〜450nm波長領域において100以上であることを特徴とする、紫外線硬化型インクジェットプリント物。
【請求項6】
基材の少なくとも一面に対し、基材表面の積分分光反射率を、360〜450nm波長領域において100以上に調整する工程と、積分分光反射率を調整した基材表面に、インクジェットプリントにより紫外線硬化型インクを付与する工程と、付与した紫外線硬化型インクを硬化させる工程と、を含んでなる、紫外線硬化型インクジェットプリント物の製造方法。

【公開番号】特開2013−86354(P2013−86354A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−228840(P2011−228840)
【出願日】平成23年10月18日(2011.10.18)
【出願人】(000107907)セーレン株式会社 (462)
【Fターム(参考)】