説明

紫外線硬化型インク組成物及びこれを用いた記録方法

【課題】初期の着色度が小さく、かつ、インクの硬化性及び硬化膜の耐擦過性に優れた、紫外線硬化型インク組成物及びこれを用いた記録方法を提供する。
【解決手段】重合性化合物及び光重合開始剤を含有する紫外線硬化型インク組成物であって、前記重合性化合物が、該インク組成物の総量に対し、40〜90質量%の下記一般式(I):
CH2=CR1−COOR2−O−CH=CH−R3 ・・・(I)
(式中、R1は水素原子又はメチル基であり、R2は炭素数2〜20の2価の有機残基であり、R3は水素原子又は炭素数1〜11の1価の有機残基である。)
で表されるモノマーAを含み、前記光重合開始剤が、該インク組成物の総量に対し、7〜12質量%のアシルフォスフィンオキサイドを含み、かつ、前記アシルフォスフィンオキサイドがモノアシルフォスフィンオキサイドを含む、紫外線硬化型インク組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線硬化型インク組成物及びこれを用いた記録方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紙などの被記録媒体に、画像データ信号に基づき画像を形成する記録方法として、種々の方式が利用されてきた。このうち、インクジェット方式は、安価な装置であり、必要とされる画像部のみにインクを吐出し被記録媒体上に直接画像を形成するため、インクを効率良く使用でき、ランニングコストが安い。さらに、インクジェット方式は騒音が小さいため、記録方法として優れている。
【0003】
近年、インクジェット方式の記録方法において、良好な耐水性、耐溶剤性、及び耐擦過性などを与えることのできるインク組成物として、紫外線を照射すると硬化する紫外線硬化型インク組成物が使用されている。
【0004】
例えば、特許文献1、2には、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチル等の重合性モノマーと、α−アミノアルキルフェノン等の光重合開始剤と、を含む活性エネルギー線硬化型インクジェット印刷用インクが開示されている。
【0005】
また、特許文献3には、樹枝状ポリマー、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチル等の重合性モノマー、及びアシルフォスフィンオキサイド等の光重合開始剤を含む光硬化型インク組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4204333号明細書
【特許文献2】特許第3461501号明細書
【特許文献3】特開2009−57548号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1、2に開示のインクは、可視光に極めて近い領域(350〜400nm)に発光ピークを有する紫外線を照射することで硬化させた場合、硬化性、並びに硬化膜の耐擦過性及び初期の着色度に問題が生じる。
【0008】
また、特許文献3に開示のインク組成物は、可視光に極めて近い領域に発光ピークを有する紫外線を照射することで硬化させた場合、硬化性、並びに硬化膜の耐擦過性及び初期の着色度の点で改善の余地がある。
【0009】
そこで、本発明は、初期の着色度が小さく、かつ、インクの硬化性及び硬化膜の耐擦過性に優れた、紫外線硬化型インク組成物及びこれを用いた記録方法を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討した。その結果、重合性化合物及び光重合開始剤を含有し、前記重合性化合物が、所定量のアクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルを含み、前記光重合開始剤が、所定量のアシルフォスフィンオキサイドを含み、かつ、前記アシルフォスフィンオキサイドがモノアシルフォスフィンオキサイドを含む紫外線硬化型インク組成物により、上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成した。
【0011】
すなわち、本発明は下記のとおりである。
[1]
重合性化合物及び光重合開始剤を含有する紫外線硬化型インク組成物であって、前記重合性化合物が、該インク組成物の総量に対し、40〜90質量%の下記一般式(I):
CH2=CR1−COOR2−O−CH=CH−R3 ・・・(I)
(式中、R1は水素原子又はメチル基であり、R2は炭素数2〜20の2価の有機残基であり、R3は水素原子又は炭素数1〜11の1価の有機残基である。)
で表されるモノマーAを含み、前記光重合開始剤が、該インク組成物の総量に対し、7〜12質量%のアシルフォスフィンオキサイドを含み、かつ、前記アシルフォスフィンオキサイドが少なくとも、モノアシルフォスフィンオキサイドを含む、紫外線硬化型インク組成物。
[2]
前記モノマーAが、アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルである、[1]に記載の紫外線硬化型インク組成物。
[3]
前記光重合開始剤が、該インク組成物の総量に対し、0.5〜5質量%のチオキサントン化合物をさらに含む、[1]又は[2]に記載の紫外線硬化型インク組成物。
[4]
前記チオキサントン化合物が、2,4−ジエチルチオキサントンである、[3]に記載の紫外線硬化型インク組成物。
[5]
前記アシルフォスフィンオキサイドが、モノアシルフォスフィンオキサイドを含むか、又は、モノアシルフォスフィンオキサイドとビスアシルフォスフィンオキサイドとを含む、[1]〜[4]のいずれかに記載の紫外線硬化型インク組成物。
[6]
発光ピーク波長が350〜400nmの範囲にある紫外線を、300mJ/cm2未満の照射エネルギーで照射することにより硬化可能である、[1]〜[5]のいずれかに記載の紫外線硬化型インク組成物。
[7]
前記重合性化合物として、フェノキシエチル(メタ)アクリレートを、インク組成物の総量に対して10〜50質量%含む、[1]〜[6]のいずれか1項に記載の紫外線硬化型インク組成物。
[8]
前記モノアシルフォスフィンオキサイドを該インク組成物の総量に対し1質量%以上含む、[1]〜[7]のいずれか1項に記載の紫外線硬化型インク組成物。
[9]
[1]〜[8]のいずれかに記載の紫外線硬化型インク組成物を用いた記録方法であって、前記紫外線硬化型インク組成物を被記録媒体に付着させ、付着させた紫外線硬化型インク組成物に、発光ダイオードを用いて、発光ピーク波長が350〜400nmの範囲にある紫外線を300mJ/cm2未満の照射エネルギーで照射する、記録方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に制限されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
【0013】
本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びそれに対応するメタクリレートのうち少なくともいずれかを意味し、「(メタ)アクリル」はアクリル及びそれに対応するメタクリルのうち少なくともいずれかを意味する。
【0014】
本明細書において、「硬化性」とは、光を感応して硬化する性質をいう。「耐擦過性」とは、記録物上の硬化膜(画像面)に傷がつきにくい性質をいう。なお、耐擦過性の程度と硬化膜の強度とは比例する。「色安定性」とは、CIE Lab(L*a*b*表色系)におけるL*a*b*が、印刷後経時的に見ても印刷直後のL*a*b*から殆ど変化しない性質をいう。「吐出安定性」とは、ノズルの目詰まりがなく常に安定したインク滴をノズルから吐出させる性質をいう。
【0015】
[紫外線硬化型インク組成物]
本発明の一実施形態は、紫外線硬化型インク組成物に係る。当該紫外線硬化型インク組成物は、重合性化合物及び光重合開始剤を含有し、前記重合性化合物が、該インク組成物の総量に対し、40〜90質量%の後述するモノマーAを含み、前記光重合開始剤が、該インク組成物の総量に対し、7〜12質量%のアシルフォスフィンオキサイドを含み、かつ、前記アシルフォスフィンオキサイドがモノアシルフォスフィンオキサイドを含む。
以下、本実施形態の紫外線硬化型インク組成物(以下、単に「インク組成物」ともいう。)に含まれるか、又は含まれ得る添加剤(成分)を説明する。
【0016】
〔重合性化合物〕
本実施形態のインク組成物に含まれる重合性化合物は、後述する光重合開始剤の作用により紫外線照射時に重合し、印刷されたインクを硬化させることができる。
【0017】
(モノマーA)
本実施形態において必須の重合性化合物であるモノマーAは、ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類であり、下記一般式(I)で示される。
CH2=CR1−COOR2−O−CH=CH−R3 ・・・(I)
(式中、R1は水素原子又はメチル基であり、R2は炭素数2〜20の2価の有機残基であり、R3は水素原子又は炭素数1〜11の1価の有機残基である。)
【0018】
インク組成物がモノマーAを含有することにより、インクの硬化性を良好なものとすることができる。
【0019】
上記の一般式(I)において、R2で表される炭素数2〜20の2価の有機残基としては、炭素数2〜20の直鎖状、分枝状又は環状のアルキレン基、構造中にエーテル結合及び/又はエステル結合による酸素原子を有する炭素数2〜20のアルキレン基、炭素数6〜11の置換されていてもよい2価の芳香族基が好適である。これらの中でも、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、及びブチレン基などの炭素数2〜6のアルキレン基、オキシエチレン基、オキシn−プロピレン基、オキシイソプロピレン基、及びオキシブチレン基などの構造中にエーテル結合による酸素原子を有する炭素数2〜9のアルキレン基が好適に用いられる。
【0020】
上記の一般式(I)において、R3で表される炭素数1〜11の1価の有機残基としては、炭素数1〜10の直鎖状、分枝状又は環状のアルキル基、炭素数6〜11の置換されていてもよい芳香族基が好適である。これらの中でも、メチル基又はエチル基である炭素数1〜2のアルキル基、フェニル基及びベンジル基などの炭素数6〜8の芳香族基が好適に用いられる。
【0021】
上記の有機残基が置換されていてもよい基である場合、その置換基は、炭素原子を含む基及び炭素原子を含まない基に分けられる。まず、上記置換基が炭素原子を含む基である場合、当該炭素原子は有機残基の炭素数にカウントされる。炭素原子を含む基として、以下に限定されないが、例えばカルボキシル基、アルコキシ基等が挙げられる。次に、炭素原子を含まない基として、以下に限定されないが、例えば水酸基、ハロ基が挙げられる。
【0022】
上記のモノマーAとしては、以下に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1−メチル−2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸1−メチル−3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1−ビニロキシメチルプロピル、(メタ)アクリル酸2−メチル−3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1,1−ジメチル−2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸1−メチル−2−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸6−ビニロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸p−ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸m−ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸o−ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(イソプロペノキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(イソプロペノキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(イソプロペノキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(イソプロペノキシエトキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールモノビニルエーテル、及び(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコールモノビニルエーテルが挙げられる。
【0023】
これらの中でも、低粘度で、引火点が高く、かつ、硬化性に優れるため、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチル、すなわち、アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチル及びメタクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルのうち少なくともいずれかが好ましく、アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルがより好ましい。(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルとしては、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル及び(メタ)アクリル酸2−(1−ビニロキシエトキシ)エチルが挙げられ、アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルとしては、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル及びアクリル酸2−(1−ビニロキシエトキシ)エチルが挙げられる。なお、アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルの方が、メタクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルに比べて硬化性の面で優れている。
【0024】
モノマーAの含有量は、インク組成物の総量(100質量%)に対し、40〜90質量%の範囲であり、60〜90質量%の範囲であることが好ましく、60〜80質量%の範囲であることがより好ましい。含有量が上記範囲内であると、インクの硬化性及び硬化膜の耐擦過性に優れる。
【0025】
モノマーAの製造方法としては、以下に限定されないが、(メタ)アクリル酸と水酸基含有ビニルエーテルとをエステル化する方法(製法B)、(メタ)アクリル酸ハロゲン化物と水酸基含有ビニルエーテルとをエステル化する方法(製法C)、(メタ)アクリル酸無水物と水酸基含有ビニルエーテルとをエステル化する方法(製法D)、(メタ)アクリル酸エステルと水酸基含有ビニルエーテルとをエステル交換する方法(製法E)、(メタ)アクリル酸とハロゲン含有ビニルエーテルとをエステル化する方法(製法F)、(メタ)アクリル酸アルカリ(土類)金属塩とハロゲン含有ビニルエーテルとをエステル化する方法(製法G)、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルとカルボン酸ビニルとをビニル交換する方法(製法H)、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルとアルキルビニルエーテルとをエーテル交換する方法(製法I)が挙げられる。
【0026】
これらの中でも、本実施形態に所望の効果を一層発揮することができるため、製法Eが好ましい。
【0027】
(モノマーA以外の重合性化合物)
また、上記のモノマーA以外に、従来公知の、単官能、2官能、及び3官能以上の多官能といった種々のモノマー及びオリゴマーも使用可能である(以下、「その他の重合性化合物」という。)。上記モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸及びマレイン酸等の不飽和カルボン酸やそれらの塩又はエステル、ウレタン、アミド及びその無水物、アクリロニトリル、スチレン、種々の不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、並びに不飽和ウレタンが挙げられる。また、上記オリゴマーとしては、例えば、直鎖アクリルオリゴマー等の上記のモノマーから形成されるオリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレート、オキセタン(メタ)アクリレート、脂肪族ウレタン(メタ)アクリレート、芳香族ウレタン(メタ)アクリレート及びポリエステル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0028】
また、他の単官能モノマーや多官能モノマーとして、N−ビニル化合物を含んでいてもよい。N−ビニル化合物としては、N−ビニルフォルムアミド、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、及びアクリロイルモルホリン、並びにそれらの誘導体などが挙げられる。
【0029】
その他の重合性化合物のうち、(メタ)アクリル酸のエステル、即ち(メタ)アクリレートが好ましい。
【0030】
上記(メタ)アクリレートのうち、単官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、イソアミル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル−ジグリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、ラクトン変性可とう性(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、及びジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレートが挙げられる。これらの中では、添加剤との相溶性が良いため、フェノキシエチル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0031】
上記(メタ)アクリレートのうち、2官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのEO(エチレンオキサイド)付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのPO(プロピレンオキサイド)付加物ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、及びポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。これらの中では、強靭な塗膜が得られ、かつ低粘度であるため、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートが好ましい。
【0032】
上記(メタ)アクリレートのうち、3官能以上の多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレート、カウプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート、及びカプロラクタム変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが挙げられる。これらの中では、強靭な塗膜が得られ、かつ硬化性が良好であるため、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートが好ましい。
【0033】
また、これらの中でも、その他の重合性化合物は単官能(メタ)アクリレートを含むことが好ましい。この場合、インク組成物が低粘度となり、光重合開始剤その他の添加剤の溶解性に優れ、かつ、インクジェット記録時の吐出安定性が得られやすい。さらに塗膜の強靭性、耐熱性、及び耐薬品性が増すため、単官能(メタ)アクリレートと2官能(メタ)アクリレートとを併用することがより好ましい。
【0034】
さらに、上記単官能(メタ)アクリレートは、芳香環骨格、飽和脂環骨格、及び不飽和脂環骨格からなる群より選択される1種以上の骨格を有することが好ましい。上記その他の重合性化合物が上記骨格を有する単官能(メタ)アクリレートであることにより、インク組成物の粘度を低下させることができる。
【0035】
芳香環骨格を有する単官能(メタ)アクリレートとして、例えば、フェノキシエチル(メタ)アクリレート及び2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレートが挙げられる。また、飽和脂環骨格を有する単官能(メタ)アクリレートとして、例えば、イソボルニル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート及びジシクロペンタニル(メタ)アクリレートが挙げられる。また、不飽和脂環骨格を有する単官能(メタ)アクリレートとして、例えば、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0036】
これらの中でも、粘度及び臭気を低下させることができるため、フェノキシエチル(メタ)アクリレート及びイソボルニル(メタ)アクリレートのうち少なくとも一方が好ましく、フェノキシエチル(メタ)アクリレートがより好ましい。
【0037】
本実施形態のインク組成物がモノマーA以外の重合性化合物を含む場合、当該重合性化合物の含有量は、インク組成物の総量(100質量%)に対し、好ましくは10質量%以上であり、より好ましくは20質量%以上である。また、好ましくは55質量%以下であり、より好ましくは45質量%以下であり、さらに好ましくは40質量%以下である。また、特に重合性化合物としてフェノキシエチル(メタ)アクリレーとを含有する場合、その含有量は、インク組成物の総量(100質量%)に対し、好ましくは10質量%以上であり、より好ましくは20質量%以上である。また、好ましくは50質量%以下であり、より好ましくは40質量%以下である。フェノキシエチル(メタ)アクリレートの含有量が多いほど、添加剤の溶解性に優れ、かつ、塗膜の強靭性、耐熱性、及び耐薬品性に優れる。また、フェノキシエチル(メタ)アクリレートの含有量が少ないほど、インク組成物中の他の成分を多くすることができる。
【0038】
上記の重合性化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0039】
〔光重合開始剤〕
本実施形態のインク組成物に含まれる光重合開始剤は、紫外線の照射による光重合によって、被記録媒体の表面に存在するインクを硬化させて印字を形成するために用いられる。放射線の中でも紫外線(UV)を用いることにより、安全性に優れ、且つ光源ランプのコストを抑えることができる。
【0040】
(アシルフォスフィンオキサイド)
本実施形態における光重合開始剤は、アシルフォスフィンオキサイドを含む。これにより、インクの硬化性に優れ、且つ硬化膜の初期着色度が小さくなる。
【0041】
このアシルフォスフィンオキサイドとして、特に限定されないが、例えば、2、4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリエチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリフェニルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、及びビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイドが挙げられる。
【0042】
アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤の市販品としては、例えば、DAROCUR TPO(2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド)、IRGACURE 819(ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド)、及びCGI 403(ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド)が挙げられる。
【0043】
また、上記のアシルフォスフィンオキサイドは、モノアシルフォスフィンオキサイドを含む。これにより、光重合開始剤が十分に溶解して光硬化が起こるとともに、インクの硬化性に優れる。
【0044】
このモノアシルフォスフィンオキサイドとして、特に限定されないが、例えば、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリエチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリフェニルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイドが挙げられる。これらの中でも、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイドであることが好ましい。
【0045】
モノアシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤の市販品としては、例えば、DAROCUR TPO(2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド)が挙げられる。
【0046】
本実施形態における光重合開始剤は、重合性化合物への溶解性及び塗膜の内部硬化性に優れ、且つ初期着色度が小さくなるため、モノアシルフォスフィンオキサイドであるか、又は、モノアシルフォスフィンオキサイドとビスアシルフォスフィンオキサイドとの混合物であることが好ましい。
なお、上記のビスアシルフォスフィンオキサイドとして、特に限定されないが、例えば、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイドが挙げられる。これらの中でも、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイドであることが好ましい。
【0047】
アシルフォスフィンオキサイドの含有量は、インク組成物の総量(100質量%)に対し、7〜12質量%の範囲であり、9〜12質量%の範囲であることが好ましく、10〜11質量%の範囲であることがより好ましい。含有量が上記範囲内であると、インクの硬化性に優れ、且つ硬化膜の初期着色度が小さい。
【0048】
また、モノアシルフォスフィンオキサイドの含有量は、アシルフォスフィンオキサイドの総量(100質量%)に対し、10質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましい。含有量が上記範囲内であると、インクの硬化性に優れ、且つ硬化膜の初期着色度が小さい。
さらに、本実施形態のインク組成物は、アシルフォスフィンオキサイド以外の他の光重合開始剤をさらに含んでもよい。他の光重合開始剤としては、例えば、アルキルフェノン系光重合開始剤、チタノセン系アルキルフェノン系光重合開始剤、オキシムエステル系光重合開始剤、オキシフェニル酢酸エステル系光重合開始剤などが上げられる。
【0049】
〔重合促進剤〕
本実施形態のインク組成物は、重合促進剤をさらに含んでもよい。重合促進剤としては、特に限定されないが、例えば、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、及び2,4−ジエチルチオキサントン等のチオキサントン化合物、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン、2−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4−ジメチルアミノ安息香酸(n−ブトキシ)エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、及びトリフェニルアミン等のアミン化合物が挙げられる。
【0050】
これらの中でも、硬化膜の初期着色度が小さくなるため、チオキサントン化合物が好ましい。このチオキサントン化合物の中でも、アシルフォスフィンオキサイドへの増感効果と、重合性化合物に対する溶解性、および安全性に優れるため、2,4−ジエチルチオキサントンが好ましい。
【0051】
チオキサントン化合物の市販品としては、例えば、KAYACURE DETX−S(2,4−ジエチルチオキサントン)(日本化薬社(Nippon Kayaku Co., Ltd.)製商品名)ITX(BASF社製)、Quantacure CTX(Aceto Chemical社製)が挙げられる。
【0052】
チオキサントン化合物の含有量は、インク組成物の総量(100質量%)に対し、0.5〜5質量%の範囲であることが好ましく、0.5〜4質量%の範囲であることがより好ましく、0.5〜2質量%の範囲であることがさらに好ましい。含有量が上記範囲内であると、インクの硬化性に優れ、硬化膜の初期着色度が小さくなり、且つ色安定性に優れる。
【0053】
〔色材〕
本実施形態のインク組成物は、色材をさらに含んでもよい。色材は、顔料及び染料のうち少なくとも一方を用いることができる。
【0054】
(顔料)
本実施形態において、色材として顔料を用いることにより、インク組成物の耐光性を向上させることができる。顔料は、無機顔料及び有機顔料のいずれも使用することができる。
【0055】
無機顔料としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック 7)類、酸化鉄、酸化チタンを使用することができる。
【0056】
有機顔料としては、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、アゾレーキ、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等の多環式顔料、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート等)、染色レーキ(塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料が挙げられる。
【0057】
更に詳しくは、ブラックインクとして使用されるカーボンブラックとしては、No.2300、No.900、MCF88、No.33、No.40、No.45、No.52、MA7、MA8、MA100、No.2200B等(以上、三菱化学社(Mitsubishi Chemical Corporation)製商品名)、Raven 5750、Raven 5250、Raven 5000、Raven 3500、Raven 1255、Raven 700等(以上、コロンビアカーボン(Carbon Columbia)社製商品名)、Rega1 400R、Rega1 330R、Rega1 660R、Mogul L、Monarch 700、Monarch 800、Monarch 880、Monarch 900、Monarch 1000、Monarch 1100、Monarch 1300、Monarch 1400等(キャボット社(CABOT JAPAN K.K.)製商品名)、Color Black FW1、Color Black FW2、Color Black FW2V、Color Black FW18、Color Black FW200、Color B1ack S150、Color Black S160、Color Black S170、Printex 35、Printex U、Printex V、Printex 140U、Special Black 6、Special Black 5、Special Black 4A、Special Black 4等(以上、デグッサ(Degussa)社製商品名)が挙げられる。
【0058】
ホワイトインクに使用される顔料としては、C.I.ピグメント ホワイト 6、18、21が挙げられる。
【0059】
イエローインクに使用される顔料としては、C.I.ピグメント イエロー 1,2,3,4,5,6,7,10,11,12,13,14,16,17,24,34,35,37,53,55,65,73,74,75,81,83,93,94,95,97,98,99,108,109,110,113,114,117,120,124,128,129,133,138,139,147,151,153,154,167,172,180が挙げられる。
【0060】
マゼンタインクに使用される顔料としては、C.I.ピグメント レッド 1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,14,15,16,17,18,19,21,22,23,30,31,32,37,38,40,41,42,48(Ca),48(Mn),57(Ca),57:1,88,112,114,122,123,14
4,146,149,150,166,168,170,171,175,176,177,178,179,184,185,187,202,209,219,224,245,又はC.I.ピグメント ヴァイオレット 19,23,32,33,36,38,43,50が挙げられる。
【0061】
シアンインクに使用される顔料としては、C.I.ピグメント ブルー 1,2,3,15,15:1,15:2,15:3,15:34,15:4,16,18,22,25,60,65,66,又はC.I.バット ブルー 4,60が挙げられる。
【0062】
また、マゼンタ、シアン及びイエロー以外の顔料としては、例えば、C.I.ピグメント グリーン 7,10,又はC.I.ピグメント ブラウン 3,5,25,26,又はC.I.ピグメント オレンジ 1,2,5,7,13,14,15,16,24,34,36,38,40,43,63が挙げられる。
【0063】
上記顔料は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0064】
上記の顔料を使用する場合、その平均粒子径は2μm以下が好ましく、30〜300nmがより好ましい。平均粒子径が上記の範囲内にあると、インク組成物における吐出安定性や分散安定性などの信頼性に一層優れるとともに、優れた画質の画像を形成することができる。ここで、本明細書における平均粒子径は、動的光散乱法により測定される。
【0065】
(染料)
本実施形態において、色材として染料を用いることができる。染料としては、特に限定されることなく、酸性染料、直接染料、反応性染料、及び塩基性染料が使用可能である。前記染料として、例えば、C.I.アシッドイエロー 17,23,42,44,79,142、C.I.アシッドレッド52,80,82,249,254,289、C.I.アシッドブルー9,45,249、C.I.アシッドブラック1,2,24,94、C.I.フードブラック1,2、C.I.ダイレクトイエロー1,12,24,33,50,55,58,86,132,142,144,173、C.I.ダイレクトレッド1,4,9,80,81,225,227、C.I.ダイレクトブルー1,2,15,71,86,87,98,165,199,202、C.I.ダイレクドブラック19,38,51,71,154,168,171,195、C.I.リアクティブレッド14,32,55,79,249、C.I.リアクティブブラック3,4,35が挙げられる。
【0066】
上記染料は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0067】
色材の含有量は、良好な発色性を有し、色材自身の光吸収による塗膜の硬化阻害を低減できるため、インク組成物の総量に対して、1〜20質量%が好ましい。
【0068】
〔分散剤〕
本実施形態のインク組成物が顔料を含む場合、顔料分散性をより良好なものとするため、分散剤をさらに含んでもよい。分散剤として、特に限定されないが、例えば、高分子分散剤などの顔料分散液を調製するのに慣用されている分散剤が挙げられる。その具体例として、ポリオキシアルキレンポリアルキレンポリアミン、ビニル系ポリマー及びコポリマー、アクリル系ポリマー及びコポリマー、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、アミノ系ポリマー、含珪素ポリマー、含硫黄ポリマー、含フッ素ポリマー、及びエポキシ樹脂のうち一種以上を主成分とするものが挙げられる。高分子分散剤の市販品として、味の素ファインテクノ(株)製のアジスパーシリーズ(商品名)、アベシア社(Avecia Co.)から入手可能なソルスパーズシリーズ(Solsperse 36000等、商品名)、BYKChemie社製のディスパービックシリーズ(商品名)、楠本化成(株)製のディスパロンシリーズ(商品名)が挙げられる。
【0069】
〔レベリング剤〕
本実施形態のインク組成物は、印刷基材への濡れ性が良好となるため、レベリング剤(界面活性剤)をさらに含んでもよい。レベリング剤としては、特に限定されないが、例えば、シリコーン系界面活性剤として、ポリエステル変性シリコーンやポリエーテル変性シリコーンを用いることができ、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン又はポリエステル変性ポリジメチルシロキサンを用いることが特に好ましい。具体例としては、BYK−347、BYK−348、BYK−UV3500、3510、3530、3570(ビックケミー・ジャパン社(BYK Japan KK)製商品名)を挙げることができる。
【0070】
〔重合禁止剤〕
本実施形態のインク組成物は、インク組成物の保存安定性を良好なものとするため、重合禁止剤をさらに含んでもよい。重合禁止剤としては、特に限定されないが、例えば、IRGASTAB UV10及びUV22(BASF社製商品名)、ハイドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ、関東化学社(KANTO CHEMICAL CO., INC)製商品名)を用いることができる。
【0071】
〔その他の添加剤〕
本実施形態のインク組成物は、上記に挙げた添加剤以外の添加剤(成分)を含んでもよい。このような成分としては、特に制限されないが、例えば従来公知の、浸透促進剤、及び湿潤剤(保湿剤)、並びにその他の添加剤があり得る。上記のその他の添加剤として、例えば従来公知の、定着剤、防黴剤、防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、キレート剤、pH調整剤、及び増粘剤が挙げられる。
【0072】
また、後述するように、本実施形態のインク組成物は、発光ピーク波長が350〜400nmの範囲にある紫外線を、300mJ/cm2未満の照射エネルギーで照射することにより硬化可能である。
【0073】
[被記録媒体]
本実施形態の紫外線硬化型インク組成物は、後述する記録方法によって、被記録媒体上に吐出されること等により、記録物が得られる。この被記録媒体として、例えば、吸収性又は非吸収性の被記録媒体が挙げられる。下記実施形態の記録方法は、水溶性インク組成物の浸透が困難な非吸収性被記録媒体から、水溶性インク組成物の浸透が容易な吸収性被記録媒体まで、様々な吸収性能を持つ被記録媒体に幅広く適用できる。ただし、当該インク組成物を非吸収性の被記録媒体に適用した場合は、紫外線を照射し硬化させた後に乾燥工程を設けること等が必要となる場合がある。
【0074】
吸収性被記録媒体としては、特に限定されないが、例えば、水性インクの浸透性が高い電子写真用紙などの普通紙、インクジェット用紙(シリカ粒子やアルミナ粒子から構成されたインク吸収層、あるいは、ポリビニルアルコール(PVA)やポリビニルピロリドン(PVP)等の親水性ポリマーから構成されたインク吸収層を備えたインクジェット専用紙)から、水性インクの浸透性が比較的低い一般のオフセット印刷に用いられるアート紙、コート紙、キャスト紙等が挙げられる。
【0075】
非吸収性被記録媒体としては、特に限定されないが、例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のプラスチック類のフィルムやプレート、鉄、銀、銅、アルミニウム等の金属類のプレート、又はそれら各種金属を蒸着により製造した金属プレートやプラスチック製のフィルム、ステンレスや真鋳等の合金のプレート等が挙げられる。
【0076】
[記録方法]
本発明の一実施形態は、記録方法に係る。上記実施形態の紫外線硬化型インク組成物は、本実施形態の記録方法に用いることができる。当該記録方法は、インクジェット方式に適用することができる。当該記録方法は、被記録媒体上に、上記インク組成物を吐出する吐出工程と、上記吐出工程により吐出されたインク組成物に紫外線を照射して、上記インク組成物を硬化する硬化工程と、を含む。このようにして、被記録媒体上で硬化したインク組成物により、塗膜(硬化膜)が形成される。
【0077】
〔吐出工程〕
吐出工程において、被記録媒体上にインク組成物が吐出され、インク組成物が被記録媒体に付着する。インク組成物の吐出の際、インク組成物の粘度を、好ましくは15mPa・s以下、より好ましくは3〜10mPa・sとすることが好ましい。インク組成物の粘度が、インク組成物の温度を室温として、あるいは、インク組成物を加熱しない状態として上記のものであれば、インク組成物の温度を室温として、あるいはインク組成物を加熱せずに吐出させればよい。一方、インク組成物を所定の温度に加熱することによって粘度を好ましいものとして吐出させてもよい。このようにして、良好な吐出安定性が実現される。
【0078】
本実施形態の放射線硬化型インク組成物は、通常のインクジェット記録用インクで使用される水性インク組成物より粘度が高いため、吐出時の温度変動による粘度変動が大きい。かかるインクの粘度変動は、液滴サイズの変化及び液滴吐出速度の変化に対して大きな影響を与え、ひいては画質劣化を引き起こし得る。したがって、吐出時のインクの温度はできるだけ一定に保つことが好ましい。
【0079】
〔硬化工程〕
次に、上記硬化工程においては、被記録媒体上に吐出され付着したインク組成物が、紫外線(光)の照射によって硬化する。これは、インク組成物に含まれる光重合開始剤が紫外線の照射により分解して、ラジカル、酸、及び塩基などの開始種を発生し、重合性化合物の重合反応が、その開始種の機能によって促進されるためである。あるいは、紫外線(光)の照射によって、重合性化合物の重合反応が開始するためである。このとき、インク組成物において光重合開始剤と共に増感色素が存在すると、系中の増感色素が活性放射線を吸収して励起状態となり、光重合開始剤と接触することによって光重合開始剤の分解を促進させ、より高感度の硬化反応を達成させることができる。
【0080】
紫外線源としては、水銀ランプやガス・固体レーザー等が主に利用されており、紫外線硬化型インク組成物の硬化に使用される光源としては、水銀ランプ、メタルハライドランプが広く知られている。その一方で、現在環境保護の観点から水銀フリー化が強く望まれており、GaN系半導体紫外発光デバイスへの置き換えは産業的、環境的にも非常に有用である。さらに、紫外線発光ダイオード(UV−LED)及び紫外線レーザダイオード(UV−LD)は小型、高寿命、高効率、低コストであり、紫外線硬化型インクジェット用光源として期待されている。これらの中でも、UV−LEDが好ましい。
【0081】
ここで、発光ピーク波長が、好ましくは350〜400nmの範囲、より好ましくは370〜400nmの範囲にあるUV−LEDを用いて、好ましくは300mJ/cm2未満、より好ましくは200mJ/cm2未満の照射エネルギーで硬化可能であるような紫外線硬化型インク組成物を用いることが好ましい。この場合、低コストで、かつ高い印刷速度が得られる。このようなインク組成物は、上記波長範囲の紫外線照射により分解する光重合開始剤、及び上記波長範囲の紫外線照射により重合を開始する重合性化合物のうち少なくともいずれかを含むことにより得られる。
【0082】
このように、上記2つの実施形態によれば、初期の着色度が小さく、且つインクの硬化性(硬化速度)、並びに硬化膜の耐擦過性に優れ、さらには色安定性にも優れた、紫外線硬化型インク組成物及びこれを用いた記録方法を提供することができる。さらに、本実施形態の紫外線硬化型インク組成物は、350〜400nmに発光ピークを有する紫外線の照射による光硬化において、特に所望の効果を発揮することができる。
【実施例】
【0083】
以下、本発明の実施形態を実施例及び比較例によってさらに具体的に説明するが、本実施形態はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0084】
[使用成分]
下記の実施例及び比較例において使用した成分は、以下の通りである。
〔重合性化合物〕
・アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル(VEEA、日本触媒社(Nippon Shokubai Co., Ltd.)製商品名、表1ではVEEAと略記した。)
・ジプロピレングリコールジアクリレート(APG−100、新中村化学工業社(SHIN-NAKAMURA CHEMICAL CO., LTD.)製商品名、表1ではDPGDAと略記した。)
・トリメチロールプロパントリアクリレート(A−TMPT、新中村化学工業社製商品名、表1ではTMPTAと略記した。)
・フェノキシエチルアクリレート ビスコート#192(大阪有機化学社(OSAKA ORGANIC CHEMICAL INDUSTRY LTD.)製商品名、表1ではPEAと略記した。)
〔光重合開始剤〕
・IRGACURE 819(BASF社製商品名、表1では819と略記した。)
・DAROCUR TPO(BASF社製商品名、表1ではTPOと略記した。)
・IRGACURE 907(BASF社製商品名、表1では907と略記した。)
・IRGACURE 369(BASF社製商品名、表1では369と略記した。)
・IRGACURE 1870(BASF社製商品名、表1では1870と略記した。)
〔重合促進剤〕
・KAYACURE DETX−S(日本化薬社製商品名、表1ではDETX−Sと略記した。)
〔顔料〕
・IRGALITE BLUE GLVO(カラーインデックス名:ピグメント ブルー 15:4、BASF社製商品名、表1ではシアンと略記した。)
・CROMOPHTAL PinkPT(SA) GLVO(カラーインデックス名:C.I.ピグメント レッド 122、BASF社製商品名、表1ではマゼンタと略記した。)
・IRGALITE YELLOW LBG(カラーインデックス名:C.I.ピグメント イエロー 13、BASF社製商品名、表1ではイエローと略記した。)
・MICROLITH−WA Black C−WA(カラーインデックス名:C.I.ピグメントブラック 7、BASF社製商品名、表1ではブラックと略記した。)
〔分散剤〕
・Solsperse 36000(LUBRIZOL社製商品名、表1ではSOl36000と略記した。)
〔レベリング剤〕
・シリコーン系表面調整剤 BYK−UV3500(BYK社製商品名、表1ではUV3500と略記した。)
〔重合禁止剤〕
・MEHQ(関東化学社製商品名、表1ではMEHQと略記した。)
【0085】
[実施例1〜18、比較例1〜15]
下記表1〜4に記載の成分を、表1〜4に記載の組成(単位:質量%)となるように添加し、これを高速水冷式撹拌機により撹拌することにより、各色(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)の紫外線硬化型インク組成物を得た。
【0086】
【表1】

【0087】
【表2】

【0088】
【表3】

【0089】
【表4】

【0090】
〔評価項目〕
(1.インクの硬化性)
まず、プリンター(品番PX−G5000、セイコーエプソン社製)を用いて、実施例1〜18、比較例1〜15で得られた各紫外線硬化型インク組成物を、PETフィルム上にベタ印刷した(解像度720dpi×720dpi)。ベタ印刷は解像度で規定される印刷の最小単位である全ての画素に対してインクの付着を行う印刷である。
【0091】
次に、LEDを搭載した紫外線照射装置(社内試作品)を用いて、ベタ印刷後のPETフィルムに向けて紫外線を照射し(中心波長395nm,300mW/cm2)、画像を形成した(記録物を得た。)。
積算光量(照射エネルギー)[mJ/cm2]は、光源から照射される被照射表面における照射強度[mW/cm2]を測定し、これと照射継続時間[s]との積から求めた。
照射強度の測定は、紫外線強度計UM−10、受光部UM−400(いずれもコニカミノルタセンシング社(KONICA MINOLTA SENSING, INC.)製)を用いて行った。
また、タックフリーといえるか否かは、下記の条件で判断した。すなわち、綿棒にインクが付着するか否か、又は被記録媒体上のインク硬化物に擦り傷が付くか否かで判断した。その際、使用した綿棒は、ジョンソン・エンド・ジョンソン(Johnson & Johnson)社製のジョンソン綿棒であった。擦る回数は往復10回とし、擦る強さは100g荷重とした。なお、硬化性評価時のインク塗膜(硬化膜)の膜厚は2μmとした。
評価基準は下記のとおりである。評価基準のうちAA、A、及びBが実用上許容される基準である。評価結果を下記表5〜8に示す。
AA:タックフリー時の積算光量が150mJ/cm2未満。
A:タックフリー時の積算光量が150mJ/cm2以上200mJ/cm2未満。
B:タックフリー時の積算光量が200mJ/cm2以上300mJ/cm2未満。
C:タックフリー時の積算光量が300mJ/cm2以上400mJ/cm2未満。
D:タックフリー時の積算光量が400mJ/cm2以上。
【0092】
(2.硬化膜の耐擦過性)
上記で得られた記録物を20℃で16時間保った後、学振型摩擦堅牢試験機AB−301(テスター産業社製)を用いて、荷重500g,摩擦回数100回の条件で、摩擦用白綿布(カナキン3号)を取り付けた摩擦子と記録物とを擦り合わせ、画像の表面状態を目視にて観察した。
評価基準は下記のとおりである。評価基準のうちAA、A、及びBが実用上許容される基準である。評価結果を下記表5〜8に示す。
AA:画像の表面に全く傷が付いていなかった。
A:画像の表面に5箇所未満の傷が付いていた。
B:画像の表面に5箇所以上10箇所以下の傷が付いていた。
C:画像の表面の半分程度に傷が付いていた。
D:画像の表面のほぼ全面に傷が付いていた。
【0093】
(3.硬化膜の初期の着色度)
CIE Lab(L*a*b*表色系)を用いて、上記で得られた記録物の色を測色した。実施例4に記載したインク組成物より得られた記録物(画像)の色を基準とし、下記式より色差(ΔE)を求めた。測色は、印刷してから1時間後の記録物について行った。
ΔE=(Δa*^2+Δb*^2+ΔL*^2)^(1/2)
なお、実施例5、6、及び7については、実施例4に記載されたインク組成中のシアン顔料を、それぞれマゼンタ顔料、イエロー顔料、及びブラック顔料に置き換えて作製したインク組成物(実施例として示していない。)より得られた記録物の色から、ΔEを求めた。
評価基準は下記のとおりである。評価基準のうちAA、A、及びBが実用上許容される基準である。評価結果を下記表5〜8に示す。
AA:ΔEが1.0未満。
A:ΔEが1.0以上1.5未満。
B:ΔEが1.5以上2.0未満。
C:ΔEが2.0以上2.5未満。
D:ΔEが2.5以上。
【0094】
(4.硬化膜の色安定性)
CIE Lab(L*a*b*表色系)を用いて、上記で得られた記録物の色を測色した。具体的には、印刷後24時間放置した記録物を測色することで、印刷直後(初期)の記録物の色との差異(ΔE)を下記式より求めた。
ΔE=(Δa*^2+Δb*^2+ΔL*^2)^(1/2)
評価基準は下記のとおりである。評価基準のうちAA、A、及びBが実用上許容される基準である。評価結果を下記表5〜8に示す。
AA:ΔEが1.0未満。
A:ΔEが1.0以上1.5未満。
B:ΔEが1.5以上2.0未満。
C:ΔEが2.0以上2.5未満。
D:ΔEが2.5以上。
【0095】
【表5】

【0096】
【表6】

【0097】
【表7】

【0098】
【表8】

【0099】
上記表7中、比較例3、4のインク組成物については、光重合開始剤の溶解性が悪く溶解させるのに長時間を要し好ましくなかった。
【0100】
上記表5〜8より、重合性化合物が所定量のVEEAを含み、光重合開始剤が、所定量のアシルフォスフィンオキサイドを含み、かつ、前記アシルフォスフィンオキサイドがモノアシルフォスフィンオキサイドを含む紫外線硬化型インク組成物が、その硬化性に優れ、硬化膜の初期着色度が小さく、且つ硬化膜の耐擦過性及び色安定性に優れることが明らかとなった。中でも、実施例13〜18を見ると、重合促進剤として0.5〜5質量%のチオキサントン化合物を含む紫外線硬化型インク組成物は、その硬化性、並びに硬化膜の初期着色度の低さ及び色安定性に極めて優れることも明らかとなった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重合性化合物及び光重合開始剤を含有する紫外線硬化型インク組成物であって、
前記重合性化合物が、該インク組成物の総量に対し、40〜90質量%の下記一般式(I):
CH2=CR1−COOR2−O−CH=CH−R3 ・・・(I)
(式中、R1は水素原子又はメチル基であり、R2は炭素数2〜20の2価の有機残基であり、R3は水素原子又は炭素数1〜11の1価の有機残基である。)
で表されるモノマーAを含み、
前記光重合開始剤が、該インク組成物の総量に対し、7〜12質量%のアシルフォスフィンオキサイドを含み、前記アシルフォスフィンオキサイドが少なくとも、モノアシルフォスフィンオキサイドを含む、紫外線硬化型インク組成物。
【請求項2】
前記モノマーAが、アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルである、請求項1に記載の紫外線硬化型インク組成物。
【請求項3】
前記光重合開始剤が、該インク組成物の総量に対し、0.5〜5質量%のチオキサントン化合物をさらに含む、請求項1又は2に記載の紫外線硬化型インク組成物。
【請求項4】
前記チオキサントン化合物が、2,4−ジエチルチオキサントンである、請求項3に記載の紫外線硬化型インク組成物。
【請求項5】
前記アシルフォスフィンオキサイドが、モノアシルフォスフィンオキサイドを含むか、又は、モノアシルフォスフィンオキサイドとビスアシルフォスフィンオキサイドとを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の紫外線硬化型インク組成物。
【請求項6】
発光ピーク波長が350〜400nmの範囲にある紫外線を、300mJ/cm2未満の照射エネルギーで照射することにより硬化可能である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の紫外線硬化型インク組成物。
【請求項7】
前記重合性化合物として、フェノキシエチル(メタ)アクリレートを、インク組成物の総量に対して10〜50質量%含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の紫外線硬化型インク組成物。
【請求項8】
前記モノアシルフォスフィンオキサイドを該インク組成物の総量に対し1質量%以上含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の紫外線硬化型インク組成物。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の紫外線硬化型インク組成物を用いた記録方法であって、 前記紫外線硬化型インク組成物を被記録媒体に付着させ、付着させた紫外線硬化型インク組成物に、発光ダイオードを用いて、発光ピーク波長が350〜400nmの範囲にある紫外線を300mJ/cm2未満の照射エネルギーで照射する、記録方法。

【公開番号】特開2012−117027(P2012−117027A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−25920(P2011−25920)
【出願日】平成23年2月9日(2011.2.9)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】