説明

紫外線硬化型樹脂組成物、光学フィルム、および表示装置

【課題】4級アンモニウム塩のブリードアウトを抑制でき、かつ、帯電防止機能を得ることができる紫外線硬化型樹脂組成物を提供する。
【解決手段】ハードコート層は、紫外線硬化型樹脂組成物を硬化して得られる。紫外線硬化型樹脂組成物は、4級アンモニウム塩基および(メタ)アクリロイル基を有するモノマーおよび/またはオリゴマー(A)と、ヒドロキシ基および(メタ)アクリロイル基を有し、ヒドロキシ基当量が500g/mol以下であるモノマーおよび/またはオリゴマー(B)と、光重合開始剤とを含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線硬化型樹脂組成物、それを用いてハードコート層が形成された光学フィルム、およびそれを備える表示装置に関する。詳しくは、帯電防止機能を有するハードコート層を形成できる紫外線硬化型樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ディスプレイ用表面処理フィルム(ハードコートフィルム)には、傷付き防止の硬度を付与するために、ハードコート層が形成されている。このハードコート層は、通常、プラスチック基材表面に紫外線硬化型アクリル系樹脂組成物を塗布し、乾燥、硬化することにより形成される。しかしながら、プラスチック基材およびハードコート層(アクリル硬化膜)は、帯電しやすく、塵や埃が付着しやすい。このため、ディスプレイ用表面処理フィルムに対する帯電性を改善することが強く望まれている。
【0003】
そこで、従来、ディスプレイ用表面処理フィルムの帯電性を改善すべく、4級アンモニウム塩基を分子中に有する化合物を含有する紫外線硬化型樹脂組成物を用いて、ハードコート層を形成する技術が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−92073号公報(段落[0009]、段落[0010]参照)
【特許文献2】特開2005−200658号公報(段落[0013]、段落[0014]参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、4級アンモニウム塩基を分子中に有する化合物を含有する紫外線硬化型樹脂組成物を用いてハードコート層を形成した場合、4級アンモニウム塩がブリードアウトすることがある。特に、湿熱環境下において4級アンモニウム塩のブリードアウトが顕著となる傾向がある。このようにブリードアウトが発生すると、ハードコート層のヘイズ値の上昇を招くことになる。
【0006】
したがって、本発明の目的は、帯電防止機能を得ることができ、かつ、4級アンモニウム塩のブリードアウトを抑制できる紫外線硬化型樹脂組成物、それを用いてハードコート層が形成された光学フィルム、およびそれを備える表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の課題を解決するために、第1の発明は、
4級アンモニウム塩基および(メタ)アクリロイル基を有するモノマーおよび/またはオリゴマー(A)と、
ヒドロキシ基および(メタ)アクリロイル基を有し、ヒドロキシ基当量が500g/mol以下であるモノマーおよび/またはオリゴマー(B)と、
光重合開始剤と
を含有する紫外線硬化型樹脂組成物である。
【0008】
第2の発明は、
基材と、
基材上に形成されたハードコート層と
を備え、
ハードコート層は、紫外線硬化型樹脂組成物を硬化して得られ、
紫外線硬化型樹脂組成物は、
4級アンモニウム塩基および(メタ)アクリロイル基を有するモノマーおよび/またはオリゴマー(A)と、
ヒドロキシ基および(メタ)アクリロイル基を有し、ヒドロキシ基当量が500g/mol以下であるモノマーおよび/またはオリゴマー(B)と、
光重合開始剤と
を含有する光学フィルムである。
【0009】
ここで、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基およびメタアクリロイル基のいずれかを意味するものである。また、オリゴマーとは、分子量500以上60000以下の分子をいう。
【0010】
本発明では、4級アンモニウム塩基および(メタ)アクリロイル基を有するモノマーおよび/またはオリゴマー(A)において、4級アンモニウム塩基が、帯電防止機能をハードコート層に付与する。また、(メタ)アクリロイル基が、他のモノマーまたはオリゴマーなどの分子と結合を形成する。これにより、4級アンモニウム塩のブリードアウトが抑制される。
【0011】
ヒドロキシ基および(メタ)アクリロイル基を有し、ヒドロキシ基当量が500g/mol以下であるモノマーおよび/またはオリゴマー(B)において、ヒドロキシ基がイオン伝導性のパスとして機能する。これにより、モノマーおよび/またはオリゴマー(A)に含まれる4級アンモニウム塩基の帯電防止機能をアシストする。また、ヒドロキシ基が、系の極性を高めるため、モノマーおよび/またはオリゴマー(A)に対するモノマーおよび/またはオリゴマー(B)の相溶性が向上する。これにより、上述のブリードアウトの抑制効果がアシストされる。また、ヒドロキシ基当量を500g/mol以下にすることで、帯電防止機能を得るためのモノマーおよび/またはオリゴマー(A)の配合量を減らすことができるため、ハードコート層の硬度低下を抑制することができる。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように、本発明によれば、帯電防止機能を得ることができ、かつ、4級アンモニウム塩のブリードアウトを抑制できるハードコート層を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明の第1の実施形態に係る光学フィルムの一構成例を示す断面図である。
【図2】図2は、本発明の第2の実施形態に係る光学フィルムの一構成例を示す断面図である。
【図3】図3は、本発明の第3の実施形態に係る光学フィルムの一構成例を示す断面図である。
【図4】図4は、ロール方式のエンボス転写装置の一構成例を示す概略図である。
【図5】図5は、本発明の第4の実施形態に係る液晶表示装置の一構成例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態について図面を参照しながら以下の順序で説明する。
1.第1の実施形態(平滑な表面を有するハードコート層を形成した光学フィルムの例)
2.第2の実施形態(ハードコート層上に低屈折率層を形成した光学フィルムの例)
3.第3の実施形態(凹凸表面を有するハードコート層を形成した光学フィルムの例)
4.第4の実施形態(表示装置の表面に光学フィルムを用いた例)
【0015】
<1.第1の実施形態>
[光学フィルムの構成]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る光学フィルムの一構成例を示す断面図である。図1に示すように、光学フィルム1は、基材11と、この基材11上に形成された帯電防止ハードコート層12を備える。
【0016】
(基材)
基材11は、例えばフィルム状を有する。ここで、フィルムにはシートも含まれるものと定義する。基材11の材料としては、例えば、公知の高分子材料を用いることができる。公知の高分子材料としては、具体的には例えば、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエステル(TPEE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド(PI)、ポリアミド(PA)、アラミド、ポリエチレン(PE)、ポリアクリレート、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリプロピレン(PP)、ジアセチルセルロース、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、エポキシ樹脂、尿素樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、シクロオレフィン系樹脂(例えばゼオノア(登録商標))、スチレン・ブタジエン共重合体(SBC)などが挙げられる。基材11の厚さは、生産性の観点から、38〜100μmであることが好ましいが、この範囲に特に限定されるものではない。
【0017】
(帯電防止ハードコート層)
帯電防止ハードコート層12の表面抵抗値は、1010Ω/□以上1012Ω/□以下であることが好ましい。1010Ω/□未満であると、膜硬度が低下する、または耐ブリードアウト性が低下する傾向がある。1010Ω/□未満の表面抵抗を得るためには、モノマーおよび/またはオリゴマー(A)と、モノマーおよび/またはオリゴマー(B)との配合量を多くする必要がある。これらの配合量を多くすると、上述のように膜硬度が低下する、または耐ブリードアウト性が低下する傾向がある。一方、1012Ω/□を超えると、帯電防止機能が低下し、防塵特性が不十分となる傾向がある。帯電防止ハードコート層12のマルテンス硬度は、260N/mm2以上600N/mm2以下であることが好ましい。260N/mm2未満であると、鉛筆硬度が2H未満となり、ハードコートとしての機能が低下する傾向がある。一方、600N/mm2を超えると、硬化膜の可撓性が低下する傾向がある。帯電防止ハードコート層12の鉛筆硬度は、好ましくは2H以上、より好ましくは3H以上である。
【0018】
帯電防止ハードコート層12は、紫外線硬化型樹脂組成物を基材11上に塗布し、硬化することにより形成されるものである。紫外線硬化型樹脂組成物は、モノマーおよび/またはオリゴマー(A)と、モノマーおよび/またはオリゴマー(B)と、光重合開始剤とを含有する。モノマーおよび/またはオリゴマー(A)は、1個または2個以上の4級アンモニウム塩基と、1個または2個以上の(メタ)アクリロイル基とを有する。モノマーおよび/またはオリゴマー(B)は、1個または2個以上のOH基(ヒドロキシ基)と、1個または2個以上の(メタ)アクリロイル基とを有し、そのOH基当量が500g/mol以下である。紫外線硬化型樹脂組成物が、膜硬度向上の観点から、OH基当量が上記範囲外の多官能アクリルモノマーおよび/またはオリゴマー(C)をさらに含有することが好ましい。また、紫外線硬化型樹脂組成物が、高硬化度の観点から、無機酸化物フィラーをさらに含有することが好ましい。また、紫外線硬化型樹脂組成物が、防汚性付与の観点から、防汚剤をさらに含有することが好ましい。また、紫外線硬化型樹脂組成物が、基材11への濡れ性向上のために、公知のレベリング剤をさらに含有することが好ましい。レベリング剤の配合量は、固形分の0.01質量%以上5質量%以下であることが好ましい。0.01質量%未満であると、濡れ性の向上が不十分になる傾向がある。5質量%を超えると、塗膜硬度が低下する傾向がある。更に、必要に応じて、紫外線硬化型樹脂組成物が、光安定剤、難燃剤および酸化防止剤などを含有するようにしてもよい。
【0019】
以下、モノマーおよび/またはオリゴマー(A)、モノマーおよび/またはオリゴマー(B)、モノマーおよび/またはオリゴマー(C)、光重合開始剤、無機酸化物フィラー、および防汚剤について順次説明する。
【0020】
(モノマーおよび/またはオリゴマー(A))
1個または2個以上の4級アンモニウム塩基および1個または2個以上の(メタ)アクリロイル基を有するモノマーおよび/またはオリゴマー(A)は、その分子内の4級アンモニウム塩基により、帯電防止機能を帯電防止ハードコート層12に付与する。また、モノマーおよび/またはオリゴマー(A)は、(メタ)アクリロイル基を有しているので、紫外線照射によりマトリクス樹脂などと一体化する。これにより、4級アンモニウム塩のブリードアウトが抑止される。ここで、マトリックス樹脂は、例えば、モノマーおよび/またはオリゴマー(A)、および/またはモノマーおよび/またはオリゴマー(B)などの重合体である。
【0021】
4級アンモニウム塩基および(メタ)アクリロイル基を有するモノマーおよび/またはオリゴマー(A)の配合量は、固形分100質量部に対して1質量部以上15質量部以下であることが好ましい。配合量が1質量部未満であると、例えば表面抵抗は1013Ω/□以上となり、帯電防止機能が低下し、防塵特性が不十分となる傾向がある。一方、配合量が15質量部を超えると、帯電防止ハードコート層12の硬度が低下する傾向がある。また、湿熱環境下において、4級アンモニウム塩がブリードアウトすることがある。ここで、固形分とは、硬化後の帯電防止ハードコート層12を構成する全ての成分、例えば溶剤および粘度調整剤以外の全ての成分をいう。具体的には例えば、モノマーおよび/またはオリゴマー(A)と、モノマーおよび/またはオリゴマー(B)と、光重合開始剤とを固形分という。また、モノマーおよび/またはオリゴマー(C)、無機酸化物フィラーおよびレベリング剤をさらに含有している場合には、これらの成分も固形分という。なお、固形分の合計の配合量は100質量部とする。
【0022】
1個の4級アンモニウム塩基と、1個の(メタ)アクリロイル基とを有するモノマーおよび/またはオリゴマー(A)の好適な例として、下記の式(1)〜(13)に示す公知の材料が挙げられる。
【0023】
メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド(共栄社化学株式会社製、商品名:DQ−100)
【化1】

【0024】
アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド(株式会社興人製、商品名:DMAEA−Q)
【化2】

【0025】
アクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムクロライド(株式会社興人製、商品名:DMAPAA−Q)
【化3】

【0026】
メタクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムクロライド
【化4】

【0027】
アクリロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロライド
【化5】

【0028】
メタクリロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロライド
【化6】

【0029】
メタクリロイルアミノプロピルジメチルベンジルアンモニウムクロライド
【化7】

【0030】
メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムメチルサルフェート
【化8】

【0031】
メタクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムメチルサルフェート
【化9】

【0032】
メタクリロイルオキシエチルジメチルエチルアンモニウムエチルサルフェート
【化10】

【0033】
メタクリロイルアミノプロピルジメチルエチルアンモニウムエチルサルフェート
【化11】

【0034】
メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムp−トルエンスルホネート
【化12】

【0035】
メタクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムp−トルエンスルホネート
【化13】

【0036】
(モノマーおよび/またはオリゴマー(B))
1個または2個以上のOH基と、1個または2個以上の(メタ)アクリロイル基とを有するモノマーおよび/またはオリゴマー(B)では、その分子内におけるOH基がイオン伝導性パスとして機能する。したがって、上述のモノマーおよび/またはオリゴマー(A)の帯電防止機能をアシストする。
【0037】
また、OH基が系の極性を高めるため、モノマーおよび/またはオリゴマー(A)のマトリクスなどに対するモノマーおよび/またはオリゴマー(B)の相溶性が高まる。このような相溶性の高まりによって、(メタ)アクリルモノマーおよび/またはオリゴマー(A)と、(メタ)アクリルモノマーおよび/またはオリゴマー(B)との間の結合が増加する。これにより、上述のブリードアウトの抑制効果がアシストされる。ここで、系とは、塗膜全体、すなわち固形分全体を意味する。
【0038】
モノマーおよび/またはオリゴマー(B)の配合量は、モノマーおよび/またはオリゴマー(A)の配合量に応じて、例えば表面抵抗が1012Ω/□以下となると共に、耐ブリードアウト性が得られるように適宜選択することが好ましい。OH基がイオン伝導性パスとして機能するため、モノマーおよび/またはオリゴマー(B)の配合量が多いほど表面抵抗値は低くなる。また、モノマーおよび/またはオリゴマー(B)の配合量が多いほど系の極性が高まるため、耐ブリードアウト性が向上する。
【0039】
具体的には、モノマーおよび/またはオリゴマー(B)の配合量は、モノマーおよび/またはオリゴマー(A)の配合量7質量部に対して20質量部以上40質量部以下であることが好ましい。20質量部未満であると、表面抵抗値が1013Ω/□以上に上昇する、または耐ブリードアウト性が低下する傾向がある。一方、40質量部を超えると、膜硬度が低下する傾向がある。
【0040】
モノマーおよび/またはオリゴマー(B)におけるOH基当量は、500g/mol以下である。OH基当量が500g/molを超えると、所望の表面抵抗値を得るために必要なモノマーおよび/またはオリゴマー(A)の配合量が多くなり、帯電防止ハードコート層12の硬度が低下する。また、OH基当量が500g/molを超えると、系の極性が低くなり、耐ブリードアウト性が低下する。このため、湿熱環境下において4級アンモニウム塩がブリードアウトすることがある。ここで、OH基当量とは、モノマーおよび/またはオリゴマー(B)1g中に含まれるOH基モル数の逆数であり、下記の式により求められる。
OH基当量=(モノマーおよび/またはオリゴマー(B)の分子量)/(1モル中に含まれるOH基モル数)[g/mol]
【0041】
1個のOH基と、1個の(メタ)アクリロイル基とを有し、OH基当量が500g/mol以下であるモノマーおよび/またはオリゴマー(B)の好適な例として、下記の式(14)〜(16)に示す公知の材料が挙げられる。
【0042】
共栄社化学株式会社製、商品名:HOA、OH基当量=116g/mol
【化14】

【0043】
日本化成株式会社製、商品名:4HBA、OH基当量=144g/mol
【化15】

【0044】
大阪有機化学工業株式会社製、商品名:HPA、OH基当量=130g/mol
【化16】

【0045】
1個のOH基と、2個の(メタ)アクリロイル基とを有し、OH基当量が500g/mol以下であるモノマーおよび/またはオリゴマー(B)の好適な例として、下記の式(17)〜(18)に示す公知の材料が挙げられる。
【0046】
共栄社化学株式会社製、商品名:G−101P、OH基当量=228g/mol
【化17】

【0047】
共栄社化学株式会社製、商品名:G−201P、OH基当量=214g/mol
【化18】

【0048】
3個のOH基と、2個の(メタ)アクリロイル基とを有し、OH基当量が500g/mol以下であるモノマーおよび/またはオリゴマー(B)の好適な例として、下記の式(19)に示す公知の材料が挙げられる。
【0049】
共栄社化学株式会社製、商品名:80MFA、OH基当量=116g/mol
【化19】

【0050】
2個のOH基と、2個の(メタ)アクリロイル基とを有し、OH基当量が500g/mol以下であるモノマーおよび/またはオリゴマー(B)の好適な例として、下記の式(20)〜(21)に示す公知の材料が挙げられる。
【0051】
共栄社化学株式会社製、商品名:3000A、OH基当量=242g/mol
【化20】

【0052】
共栄社化学株式会社製、商品名:70PA、OH基当量=166g/mol
【化21】

【0053】
1個のOH基と、3個の(メタ)アクリロイル基とを有し、OH基当量が500g/mol以下であるモノマーおよび/またはオリゴマー(B)の好適な例として、下記の式(22)に示す公知の材料が挙げられる。
【0054】
ペンタエリスリトールトリアクリレート、OH基当量=298g/mol
【化22】

【0055】
上記以外のモノマーおよび/またはオリゴマー(B)の好適な例として、共栄社化学株式会社製の40EM、200PA、3002M、3002A、3000MKなどを挙げることができる。
【0056】
(モノマーおよび/またはオリゴマー(C))
膜硬度向上の観点から、多官能アクリルモノマーおよび/またはオリゴマー(C)をさらに配合することが好ましい。多官能アクリルモノマーおよび/またはオリゴマー(C)は、2個または3個以上の(メタ)アクリロイル基を有し、その分子内にアクリロイル基およびメタアクリロイル基の両方の官能基を有していてもよい。多官能アクリルモノマーおよび/またはオリゴマー(C)としては、例えば、2個または3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能ウレタンアクリレート、多官能エポキシアクリレート、多官能ポリエステルアクリレート、多官能共重合系アクリレートなどのオリゴマーを挙げることができる。多官能ウレタンアクリレートとしては、例えば、サートマー社製CNシリーズ(2〜6官能ウレタンアクリレート;CN968、CN9006、CN9010など)、共栄社化学株式会社製UAシリーズ(多官能ウレタンアクリレート;UA−510Hなど)、ダイセル・サイテック株式会社製2〜6官能ウレタンアクリレート(EBECRYL1290、EBECRYL1290K、EBECRYL8301など)を挙げることができる。
【0057】
固形分全体のアクリレート由来OH基当量は、1300g/mol以下であることが好ましい。OH基当量が小さいほど、表面抵抗値は低くなる。また、OH基当量が小さいほど、系の極性が高まるため、耐ブリードアウト性がよい。1300g/molを超えると、所望の表面抵抗値を得るために必要な4級アンモニウム塩の配合量、すなわちモノマーおよび/またはオリゴマー(A)の配合量が多くなり、帯電防止ハードコート層12の硬度が低下する傾向にある。また、1300g/molを超えると、系の極性が低くなり、耐ブリードアウト性が低下する。このため、湿熱環境下において4級アンモニウム塩がブリードアウトすることがある。ここで、固形分全体のアクリレート由来OH基当量とは、固形分1g中に含まれるアクリレート由来OH基モル数の逆数であり、下記の式により求められる。
固形分全体のアクリレート由来OH基当量=(固形分全体の分子量)/(1モル中に含まれるアクリレート由来OH基モル数)[g/mol]
【0058】
(光重合開始剤)
光重合開始剤としては、例えば、公知の材料を適宜選択できる。公知の材料としては、例えば、ベンゾフェノン誘導体、アセトフェノン誘導体、アントラキノン誘導体などを単独で、または併用して用いることができる。重合開始剤は、固形分中0.1〜10質量%混合して使用することが好ましい。0.1質量%未満であると、光硬化性が低下し、実質的に工業生産に適さない。一方、10質量%を超えると、照射光量が小さい場合に、塗膜に臭気が残る傾向にある。
【0059】
(無機酸化物フィラー)
無機酸化物フィラーは、帯電防止ハードコート層12の硬度を向上するためのものである。無機酸化物フィラーの材料としては、例えば、シリカ、アルミナ、ジルコニア、五酸化アンチモン、酸化亜鉛、酸化錫、酸化インジウム錫(Indium Tin Oxide:ITO)、酸化インジウム、アンチモンドープ酸化錫(Antimony-doped tin oxide:ATO)、酸化アルミニウム亜鉛(Alminum Zinc Oxide:AZO)などを用いることが好ましい。無機酸化物フィラー表面は、末端に(メタ)アクリロイル基、ビニル基、またはエポキシ基などの官能基を有する有機系分散剤で表面処理されていることが好ましい。有機系分散剤としては、例えば、上記官能基を末端に有するシランカップリング剤が好適である。末端アクリロイル基を含有するシランカップリング剤としては、例えば、信越化学工業株式会社製KBM−5103を挙げることができる。末端メタクリロイル基を含有するシランカップリング剤としては、例えば、信越化学工業株式会社製KBM−502、KBM−503、KBE−502、KBE−503を挙げることができる。末端ビニル基を含有するシランカップリング剤としては、例えば、信越化学工業株式会社製KA−1003、KBM−1003、KBE−1003を挙げることができる。末端エポキシ基を含有するシランカップリング剤としては、例えば、信越化学工業株式会社製KBM−303、KBM−403、KBE−402、KBE−403を挙げることができる。シランカップリング剤の他、有機カルボン酸を用いるようにしてもよい。このように表面処理することで、後述する塗膜の硬化工程でフィラーは、その周囲にあるモノマーおよび/またはオリゴマー(A)やモノマーおよび/またはオリゴマー(B)などと一体化し、帯電防止ハードコート層12の硬度や可撓性が向上する。無機酸化物フィラーの平均粒径は、例えば、1〜100nmの範囲から選択される。無機酸化物フィラーの配合量は、固形分中10〜70質量%であることが好ましい。10質量%未満であると、膜硬度の向上効果が不十分となる傾向がある。一方、70質量%を超えると、硬化膜の可撓性が低下する傾向がある。
【0060】
(防汚剤)
防汚剤としては、1個以上の(メタ)アクリロイル基、ビニル基、またはエポキシ基を有するシリコーンオリゴマーおよび/またはフッ素含有オリゴマーを用いることが好ましい。光学フィルムに耐アルカリ性を付与する場合、フッ素含有オリゴマーを用いることが好ましい。上述のシリコーンオリゴマーおよび/またはフッ素含有オリゴマーの配合量は、固形分中0.01質量%以上5質量%以下であることが好ましい。0.01質量%未満であると、防汚機能が不十分となる傾向がある。5質量%を超えると、膜硬度が低下する傾向がある。防汚剤としては、例えば、DIC株式会社製RS−602、RS−751−K、サートマー社製CN4000、ダイキン工業株式会社製オプツールDAC−HP、信越化学工業株式会社製X−22−164E、チッソ株式会社製FM−7725、ダイセル・サイテック株式会社製EBECRYL350、デグサ社製TEGORad2700などが好適である。
【0061】
[光学フィルムの製造方法]
次に、本発明の第1の実施形態に係る光学フィルムの製造方法の一例について説明する。
【0062】
(塗料調製工程)
まず、例えば、モノマーおよび/またはオリゴマー(A)と、モノマーおよび/またはオリゴマー(B)と、光重合開始剤と、必要に応じて溶剤とを混合し、紫外線硬化型樹脂組成物を調製する。
【0063】
溶剤としては、使用する樹脂原料を溶解すると共に、基材11との濡れ性が良好で、かつ、基材11を白化させないものが好ましく、例えば、アセトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸イソプロピル、ギ酸ブチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸第二ブチル、酢酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸第二アミル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、酪酸エチル、乳酸メチルなどのケトン類またはカルボン酸エステル類よりなる溶剤、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノールなどのアルコール類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソランなどのエーテル類を挙げることができる。これらの溶剤は単一でも2成分以上の混合物でもよく、さらに、上記に例示したもの以外の溶剤を樹脂組成物の性能が損なわれない範囲で加えることもできる。
【0064】
(塗工工程)
次に、例えば、調製した紫外線硬化型樹脂組成物を基材11上に塗工する。塗工方法は、特に限定されるものではなく公知の塗工方法を用いることができる。公知の塗工方法としては、例えば、マイクログラビアコート法、ワイヤーバーコート法、ダイレクトグラビアコート法、ダイコート法、ディップ法、スプレーコート法、リバースロールコート法、カーテンコート法、コンマコート法、ナイフコート法、スピンコート法などが挙げられる。
【0065】
(乾燥工程)
次に、必要に応じて、基材11上に塗工された紫外線硬化型樹脂組成物を乾燥させることにより、溶剤を揮発させる。乾燥条件は特に限定されるものではなく、自然乾燥であっても、乾燥温度や乾燥時間などの調整による人工的乾燥であってもよい。但し、乾燥時に塗料表面に風を当てる場合、塗膜表面に風紋が生じないようすることが好ましい。また、乾燥温度および乾燥時間は塗料中に含まれる溶剤の沸点によって適宜決定することが可能である。その場合、乾燥温度および乾燥時間は、基材11の耐熱性を配慮し、熱収縮により基材11の変形が起きない範囲で選定することが好ましい。
【0066】
(硬化工程)
次に、例えば紫外線照射により、基材11上にて塗工された紫外線硬化型樹脂組成物を硬化させる。これにより、基材11上に帯電防止ハードコート層12が形成される。紫外線の積算照射量は、紫外線硬化型樹脂組成物の硬化特性、紫外線硬化型樹脂組成物や基材11の黄変抑制などを考慮して適宜選択することが好ましい。また、照射の雰囲気としては、例えば、窒素、アルゴンなどの不活性ガスの雰囲気が挙げられる。
以上により、目的とする光学フィルムが得られる。
【0067】
上述したように、第1の実施形態によれば、紫外線硬化型樹脂組成物は、モノマーおよび/またはオリゴマー(A)と、モノマーおよび/またはオリゴマー(B)と、光重合開始剤とを含有する。モノマーおよび/またはオリゴマー(A)は、4級アンモニウム塩基と、(メタ)アクリロイル基とを有する。モノマーおよび/またはオリゴマー(B)は、ヒドロキシ基と、(メタ)アクリロイル基とを有し、OH基当量は500g/mol以下である。これらの成分を含有する紫外線硬化型樹脂組成物を基材11に塗布後、硬化することで、帯電防止機能と高硬度性とに共に優れ、かつ、4級アンモニウム塩のブリードアウトを抑制できる帯電防止ハードコート層12を形成することができる。例えば、上記成分の配合量などを適宜調整することで、表面抵抗値1012Ω/□以下の帯電防止機能(防塵機能)と、マルテンス硬度260N/mm2以上の高硬度性とを得ることができる。また、4級アンモニウム塩のブリードアウトを抑制することで、帯電防止ハードコート層12のヘイズ値の上昇を抑制することができる。すなわち、外観不良の発生や光学特性の劣化を抑制することができる。
【0068】
<2.第2の実施形態>
図2は、本発明の第2の実施形態に係る光学フィルムの一構成例を示す断面図である。図2に示すように、この光学フィルムは、帯電防止ハードコート層12上に低屈折率層13をさらに備える点において、第1の実施形態とは異なっている。なお、上述の第1の実施形態と同様の部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0069】
帯電防止ハードコート層12が、基材11より屈折率の大きい高屈折率層の機能を兼ねることが好ましい。このようにすると、高屈折率層と低屈折率層との積層構造による高い反射防止性能と、帯電防止ハードコート性能との両方を簡便に得ることができる。
【0070】
低屈折率層13は、例えば以下のようにして形成される。
まず、低屈折率層13を形成するための紫外線硬化型樹脂組成物を溶剤に溶解または分散させ、紫外線硬化型樹脂組成物を含有する組成物を含有する塗液を調整する。紫外線硬化型樹脂組成物は、例えば、フッ素含有付加重合性モノマーおよび/またはそのオリゴマーと、中空または多孔質シリカ微粒子と、重合開始剤とを含有する。
【0071】
フッ素含有付加重合性モノマーおよび/またはそのオリゴマーは、例えば、オプツールAR110(商品名:ダイキン工業社製)の構成成分として含有させることが好ましい。オプツールAR110は、官能基含有含フッ素モノマー、架橋基含有含フッ素モノマー、および密着性基含有モノマーを組み合わせて形成された、非晶性フッ素樹脂材料組成物である。この非晶性フッ素樹脂は、低屈折率性と耐擦傷性とを両立させ、異種材料との密着性、樹脂材料の汎用塗料への溶解性、さらには樹脂材料を溶剤に溶解させた塗液の塗布性が最適化されている。重合開始剤は、帯電防止ハードコート層12と同様のものを用いることができる。
【0072】
中空または多孔性シリカ微粒子は、低屈折率層13の屈折率を低減させる。中空または多孔性シリカ微粒子の平均粒子径は、例えば100nm以下である。これらの微粒子の表面は、末端に(メタ)アクリロイル基、ビニル基、またはエポキシ基を有する有機系分散剤で表面処理されていることが好ましい。この場合、塗液層の硬化工程で有機系分散剤が周囲の(メタ)アクリロイル基含有モノマーおよび/またはオリゴマーと重合し、中空または多孔質シリカ微粒子を含んで全体が一体化するので、低屈折率層13の強度や可撓性が向上する。
【0073】
紫外線硬化型樹脂組成物に、さらに、2個以上、好ましくは3個以上の(メタ)アクリロイル基と親水基とを有するモノマーおよび/またはそのオリゴマーが含まれていることが好ましい。モノマー1分子につき2個以上の(メタ)アクリロイル基が含まれていると、重合に際して高分子鎖間に架橋構造が形成されるので、低屈折率層13の機械的強度および硬度が向上する。
【0074】
紫外線硬化型樹脂組成物に、上記成分に加えて、(メタ)アクリロイル基と親水基とを有するモノマーおよび/またはそのオリゴマーが含まれていることが好ましい。親水基は、例えば、ヒドロキシ基、カルボキシル基、および/またはアミノ基などである。親水基を有するモノマーおよび/またはオリゴマーはその親水基によって水分と親和し、はじきや分離を抑え、白化を防止する。1分子について2個以上の(メタ)アクリロイル基を有し、かつ親水基を有するモノマーとして、例えば、ペンタエリスリトールトリアクリレートが挙げられる。
【0075】
溶剤が、炭素数4の1価アルコール、例えばtert−ブチルアルコール(2−メチル−2−プロパノール)を主たる溶剤として含んでいることが好ましい。これらを用いた場合、イソプロピルアルコールなどを用いる場合に比べて、塗液層から溶剤が蒸発するのに要する時間が長くなる。このため、レベリング効果によって中空または多孔質シリカ微粒子が紫外線硬化型樹脂組成物中で均一に分散する時間が確保され、紫外線硬化型樹脂組成物層の表面平坦性が向上する。
【0076】
次に、塗布法、印刷法、または浸積法などによって紫外線硬化型樹脂組成物を帯電防止ハードコート層12上に被着させた後、所定の温度で溶剤を蒸発させ、紫外線硬化型樹脂組成物の層を形成する。次に、この層に紫外線を照射して硬化させることにより、帯電防止ハードコート層12上に低屈折率層13が形成される。
【0077】
この第2の実施形態では、帯電防止ハードコート層12上に低屈折率層13を形成しているので、入射光の反射率を低減することができる。したがって、第2の実施形態に係る光学フィルムを表示装置の表示面に適用した場合には、視認性を更に向上することができる。
【0078】
<3.第3の実施形態>
[光学フィルムの構成]
図3は、本発明の第3の実施形態に係る光学フィルムの一構成例を示す断面図である。図3に示すように、第3の実施形態に係る光学フィルムは、基材21の表面に凹凸面を形成し、この凹凸面上に帯電防止ハードコート層22を形成している点において、第1の実施形態のものとは異なっている。この光学フィルムは、基材の凹凸形状に倣った凹凸形状の表面を有し、この凹凸面により反射光を散乱させる防眩性フィルムである。この表面の凹凸形状は、3次元的に不規則(ランダム)な凹凸形状であることが好ましい。モアレの発生を抑制することができるからである。ここで、3次元的に不規則とは、光学フィルムの面内方向に凹凸が不規則に形成されていると共に、光学フィルムの厚さ方向(凹凸の高さ方向)にも凹凸が不規則に形成されていることをいう。
【0079】
光学フィルム表面の最大頻度の突起高さが、0.1μm以上5μm以下の範囲内であることが好ましい。0.1μm未満であると、防眩性が不十分となる。一方、5μmを超えると、光学フィルムにざらつき感、粒々感がでてしまう。更には、防眩性が強くなりすぎてしまい、白茶けた防眩性フィルムとなってしまう。光学フィルム表面の最大頻度の突起高さよりも大きな突起は、最大頻度の突起高さの中心値から+1μm以内であることが好ましい。この範囲外の場合、光学フィルムにざらつき感、粒々感がでてしまう。更には、防眩性が強くなりすぎてしまい、白茶けた光学フィルムとなってしまう。光学フィルム表面の凹凸の横方向長さRSmが55μm以上500μm以下であることが好ましい。この範囲外の場合、防眩性が低下する傾向がある。
【0080】
(基材)
基材21は、不規則(ランダム)な凹凸形状を表面に有することが好ましい。基材表面の最大頻度の突起高さは、好ましくは0.5μm以上10μm以下の範囲内である。0.5μm未満であると、帯電防止ハードコート層22の硬度を確保しつつ、防眩性を得ることが困難となる。10μmを超えると、光学フィルムにざらつき感、粒々感がでてしまう。更には、防眩性が強くなりすぎてしまい、白茶けた防眩性フィルムとなってしまう。基材表面の最大頻度の突起高さよりも大きな突起は、最大頻度の突起高さの中心値から+3μm以内、好ましくは+2μm以内である。中心値+3μm以内であると、光学フィルムのざらつき感、粒々感が抑制されると共に、優れた防眩性を得ることができる。基材表面の凹凸の横方向長さRSmが、55μm以上500μm以下である。この範囲外の場合、防眩性が低下する傾向がある。
【0081】
(ハードコート層)
帯電防止ハードコート層22は、基材21の表面、すなわち光学フィルムや表示装置などの表面に耐擦傷性と防眩性とを併せて付与するためのものであり、基材21より硬い高分子樹脂層である。ハードコート層表面には、基材21の凹凸に倣って連続的な波面が形成されていることが好ましい。このようなハードコート層表面により光を拡散することにより、適度な防眩性を発現することができるからである。帯電防止ハードコート層22の凹部および凸部の位置はそれぞれ、基材21の凹部および凸部の位置と対応していることが好ましい。
【0082】
帯電防止ハードコート層22は、紫外線硬化型樹脂組成物を基材21上に塗布し、硬化することにより形成されるものである。紫外線硬化型樹脂組成物は、第1の実施形態と同様のものを用いることができる。紫外線硬化型樹脂組成物は、基材表面の凹凸に対する形状追随性を付与する観点から、好ましくは粘度調整剤、さらに好ましくは粘度調整剤と無機酸化物フィラーとをさらに含有している。粘度調整剤と無機酸化物フィラーとを含有する場合には、無機酸化物フィラーと粘度調整剤とが水素結合または配位結合を形成していることが好ましい。粘度調整剤としては、ヒドロキシ基(OH基)、カルボキシル基(COOH基)、ウレア基(−NH−CO−NH−)、アミド基(−NH−CO−)およびアミノ基(NH2)基から選ばれる少なくとも1種の官能基を2個以上有する分子を用いることが好ましい。公知のタレ止め剤、沈降防止剤を用いることも可能である。粘度調整剤としては、例えば、ビックケミー・ジャパン株式会社製BYK−405、BYK−410、BYK−411、BYK−430、BYK−431、共栄社化学株式会社製ターレン1450、ターレン2200A、ターレン2450、フローレンG−700、フローレンG−900などが好適である。粘度調整剤の配合量は、全塗料100質量部に対して0.001質量部以上5質量部以下であることが好ましい。最適な配合量は、無機酸化物フィラーの材料種および配合量、粘度調整剤の材料種、所望のハードコート膜厚などに応じて適宜選択することが好ましい。
【0083】
無機酸化物フィラーは、その表面にOH基を有することが好ましい。これにより、溶剤が蒸発する過程で、無機酸化物フィラー表面のOH基と、粘度調整剤の有する官能基とが、水素結合または配位結合し、塗液の粘度が上昇し、好ましくは塗液がゲル化する。このように粘度が上昇することで、塗液が基材11の凹凸形状に追随し、塗液表面に基材21の凹凸形状に倣った凹凸形状が形成される。
【0084】
[光学フィルムの製造方法]
次に、本発明の第3の実施形態に係る光学フィルムの製造方法の一例について説明する。
第3の実施形態に係る光学フィルムの製造方法は、基材21の表面に原盤の凹凸形状を形状転写する点において、第1の実施形態とは異なっている。凹凸形状の転写は、生産性の観点から、ロール方式による連続転写であることが好ましい。
【0085】
図4は、ロール方式のエンボス転写装置の一構成例を示す概略図である。図4に示すように、このエンボス転写装置は、エンボスロール31と、バックロール32とを備える。エンボスロール31としては、例えば、誘導発熱ジャケットロール、熱媒循環ロール、ヒーター内蔵ロールなどの加熱ロールを用いることができる。ロール表面のエンボス加工の方法としては、例えば、ブラスト加工、エッチング加工を用いることができる。ブラスト加工としては、例えば、サンドブラスト加工、ビーズブラスト加工などを挙げることができる。表面処理としては、長期間使用の磨耗耐久性に優れる点で、硬質クロムメッキやセラミックス溶射が好ましい。
【0086】
バックロール32は、基材表面に微細なエンボスを転写するために高い圧力を必要とすることから、例えばJIS−D80度以上のゴム硬度を持ったゴム層、またはそれに相当する硬度の樹脂層を鉄ロール表面に施し、表面を研磨仕上げすることが好ましい。バックロール32の鉄ロール内部で冷媒循環して冷却する、または冷却ロールもしくは冷却ノズルを用いて、ゴム層もしくは樹脂層の表面を冷却することが好ましい。バックロール32のゴム層、または樹脂層が、エンボス処理中にエンボスロール31から連続的に伝熱されて、温度が上昇し、基材21が軟化すること、または溶けてしまうことを防ぐことができ、連続的なエンボス転写が可能になるからである。
第3の実施形態において、上記以外のことは第1の実施形態と同様である。
【0087】
第3の実施形態では、基材21の凹凸面上に紫外線硬化型樹脂組成物を塗布、硬化することにより、基材21の凹凸形状に倣った凹凸形状を表面に有する帯電防止ハードコート層22を形成することができる。光学フィルムは、このようにして形成された凹凸形状を表面に有するので、光学フィルム表面にて入射光を散乱させることができる。したがって、光学フィルムに防眩性を付与することができる。
【0088】
<第4の実施形態>
[液晶表示装置の構成]
図5は、本発明の第4の実施形態に係る液晶表示装置の一構成を示す断面図である。図5に示すように、この液晶表示装置は、光を出射するバックライト42と、バックライト42から出射された光を時間的空間的に変調して画像を表示する液晶パネル41とを備える。液晶パネル41の両面にはそれぞれ、偏光子41a、41bが設けられている。液晶パネル41の表示面側の偏光子41bには、光学フィルム1が設けられている。
以下、液晶表示装置を構成するバックライト42、液晶パネル41、および光学フィルム1について順次説明する。
【0089】
(バックライト)
バックライト42としては、例えば直下型バックライト、エッジ型バックライト、平面光源型バックライトを用いることができる。バックライト42は、例えば、光源、反射板、光学フィルムなどを備える。光源としては、例えば、冷陰極蛍光管(Cold Cathode Fluorescent Lamp:CCFL)、熱陰極蛍光管(Hot Cathode Fluorescent Lamp:HCFL)、有機エレクトロルミネッセンス(Organic ElectroLuminescence:OEL)、無機エレクトロルミネッセンス(IEL:Inorganic ElectroLuminescence)および発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)などが用いられる。
【0090】
(液晶パネル)
液晶パネル41としては、例えば、ツイステッドネマチック(Twisted Nematic:TN)モード、スーパーツイステッドネマチック(Super Twisted Nematic:STN)モード、垂直配向(Vertically Aligned:VA)モード、水平配列(In-Plane Switching:IPS)モード、光学補償ベンド配向(Optically Compensated Birefringence:OCB)モード、強誘電性(Ferroelectric Liquid Crystal:FLC)モード、高分子分散型液晶(Polymer Dispersed Liquid Crystal:PDLC)モード、相転移型ゲスト・ホスト(Phase Change Guest Host:PCGH)モードなどの表示モードのものを用いることができる。
【0091】
液晶パネル41の両面には、例えば偏光子41a、41bがその透過軸が互いに直交するようにして設けられる。偏光子41a、41bは、入射する光のうち直交する偏光成分の一方のみを通過させ、他方を吸収により遮へいするものである。偏光子41a、41bとしては、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)系フィルムに、ヨウ素錯体や二色性染料を一軸方向に配列させたものを用いることができる。偏光子41a、41bの両面には、トリアセチルセルロース(TAC)フィルムなどの保護層を設けることが好ましい。このように保護層を設ける場合、この保護層が光学フィルム1の基材を兼ねる構成とすることが好ましい。このような構成とすることで、偏光子41a、41bを薄型化できるからである。
【0092】
(光学フィルム)
光学フィルム1は、上述した第1〜第3の実施形態のいずれかのものと同様であるので説明を省略する。
【0093】
第4の実施形態によれば、液晶表示装置の表示面に光学フィルム1を設けているので、液晶パネル41の表示面に耐擦傷性や帯電防止性を向上することができる。また、光学フィルム1の表面に凹凸形状を形成した場合には、液晶パネル41の表示面に対して防眩性をさらに付与することができる。
【実施例】
【0094】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0095】
(実施例1)
まず、基材としてTACフィルム(富士フイルム株式会社製、フィルム厚:80μm)を準備した。次に、下記配合の紫外線硬化型樹脂組成物をTACフィルム上にコイルバーで塗工した。塗工後、紫外線硬化型樹脂組成物を80℃で2分間乾燥させた。次に、窒素雰囲気下で350mJ/cm2の紫外線を照射して、膜厚7μmの帯電防止ハードコート層を有する光学フィルムを得た。
【0096】
(配合)
4−ヒドロキシブチルアクリレート 36.75質量部
(日本化成株式会社社製、商品名:4−HBA、OH基当量=144g/mol)
多官能ウレタンアクリルオリゴマー 12.25質量部
(共栄社化学株式会社製、商品名:UA−510H)
メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド 5質量部
(共栄社化学社製、商品名:DQ−100)
平均粒径25nmのシリカフィラー(アクリル変性) 40質量部
(日揮触媒化成株式会社製、OSCALシリーズの粒径25nm品。粒子表面を末端アクリロイル基を含有するシランカップリング剤(信越化学工業株式会社製、商品名:KBM−5103)で処理した。)
光重合開始剤 5質量部
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名:Irgacure184)
防汚添加剤 1質量部
(DIC株式会社製、商品名:RS−602)
イソプロピルアルコール(IPA) 75質量部
酢酸ブチル 75質量部
【0097】
(実施例2)
下記配合の紫外線硬化型樹脂組成物を用いる以外は実施例1と同様にして、膜厚7μmのハードコート層を有する光学フィルムを得た。
【0098】
(配合)
4−ヒドロキシブチルアクリレート 32.67質量部
(日本化成株式会社社製、商品名:4−HBA、OH基当量=144g/mol)
多官能ウレタンアクリルオリゴマー 16.33質量部
(共栄社化学株式会社製、商品名:UA−510H)
メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド 5質量部
(共栄社化学社製、商品名:DQ−100)
平均粒径25nmのシリカフィラー(アクリル変性) 40質量部
(日揮触媒化成株式会社製、OSCALシリーズの粒径25nm品。粒子表面を末端アクリロイル基を含有するシランカップリング剤(信越化学工業株式会社製、商品名:KBM−5103)で処理した。)
光重合開始剤 5質量部
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名:Irgacure184)
防汚添加剤 1質量部
(DIC株式会社製、商品名:RS−602)
イソプロピルアルコール(IPA) 75質量部
酢酸ブチル 75質量部
【0099】
(実施例3)
下記配合の紫外線硬化型樹脂組成物を用いる以外は実施例1と同様にして、膜厚7μmのハードコート層を有する光学フィルムを得た。
【0100】
(配合)
プロピレングリコールジグリシジルエーテルのアクリル酸付加物 31.46質量部
(共栄社化学株式会社製、商品名:70PA、OH基当量=166g/mol)
多官能ウレタンアクリルオリゴマー 10.49質量部
(共栄社化学株式会社製、商品名:UA−510H)
メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド 11質量部
(共栄社化学社製、商品名:DQ−100)
平均粒径25nmのシリカフィラー(アクリル変性) 40質量部
(日揮触媒化成株式会社製、OSCALシリーズの粒径25nm品。粒子表面を末端アクリロイル基を含有するシランカップリング剤(信越化学工業株式会社製、商品名:KBM−5103)で処理した。)
光重合開始剤 5質量部
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名:Irgacure184)
防汚添加剤 2.05質量部
(DIC株式会社製、商品名:RS−602)
イソプロピルアルコール(IPA) 75質量部
酢酸ブチル 75質量部
【0101】
(実施例4)
下記配合の紫外線硬化型樹脂組成物を用いる以外は実施例1と同様にして、膜厚7μmのハードコート層を有する光学フィルムを得た。
【0102】
(配合)
モノヒドロキシアクリルメタクリレート 31.46質量部
(共栄社化学株式会社製、商品名:G−201P、OH基当量=214g/mol)
多官能ウレタンアクリルオリゴマー 10.49質量部
(共栄社化学株式会社製、商品名:UA−510H)
メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド 11質量部
(共栄社化学社製、商品名:DQ−100)
平均粒径25nmのシリカフィラー(アクリル変性) 40質量部
(日揮触媒化成株式会社製、OSCALシリーズの粒径25nm品。粒子表面を末端アクリロイル基を含有するシランカップリング剤(信越化学工業株式会社製、商品名:KBM−5103)で処理した。)
光重合開始剤 5質量部
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名:Irgacure184)
防汚添加剤 2.05質量部
(DIC株式会社製、商品名:RS−602)
イソプロピルアルコール(IPA) 75質量部
酢酸ブチル 75質量部
【0103】
(実施例5)
下記配合の紫外線硬化型樹脂組成物を用いる以外は実施例1と同様にして、膜厚7μmのハードコート層を有する光学フィルムを得た。
【0104】
(配合)
モノヒドロキシアクリルメタクリレート 18.975質量部
(共栄社化学株式会社製、商品名:G−201P、OH基当量=214g/mol)
4−ヒドロキシブチルアクリレート 5質量部
(日本化成株式会社社製、商品名:4−HBA)
多官能ウレタンアクリルオリゴマー 18.975質量部
(共栄社化学株式会社製、商品名:UA−510H)
メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド 11質量部
(共栄社化学社製、商品名:DQ−100)
平均粒径25nmのシリカフィラー(アクリル変性) 40質量部
(日揮触媒化成株式会社製、OSCALシリーズの粒径25nm品。粒子表面を末端アクリロイル基を含有するシランカップリング剤(信越化学工業株式会社製、商品名:KBM−5103)で処理した。)
光重合開始剤 5質量部
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名:Irgacure184)
防汚添加剤 1.05質量部
(DIC株式会社製、商品名:RS−602)
イソプロピルアルコール(IPA) 75質量部
酢酸ブチル 75質量部
【0105】
(実施例6)
下記配合の紫外線硬化型樹脂組成物を用いる以外は実施例1と同様にして、膜厚7μmの帯電防止ハードコート層を有する光学フィルムを得た。
【0106】
(配合)
モノヒドロキシアクリルメタクリレート 6.49質量部
(共栄社化学株式会社製、商品名:G−201P、OH基当量=214g/mol)
4−ヒドロキシブチルアクリレート 20質量部
(日本化成株式会社社製、商品名:4−HBA、OH基当量=144g/mol)
多官能ウレタンアクリルオリゴマー 19.46質量部
(共栄社化学株式会社製、商品名:UA−510H)
メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド 7質量部
(共栄社化学社製、商品名:DQ−100)
粒径25nmのシリカフィラー(アクリル変性) 40質量部
(日揮触媒化成株式会社製、OSCALシリーズの粒径25nm品。粒子表面を末端アクリロイル基を含有するシランカップリング剤(信越化学工業株式会社製、商品名:KBM−5103)で処理した。)
光重合開始剤 5質量部
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名:Irgacure184)
防汚添加剤 2.05質量部
(DIC株式会社製、商品名:RS−602)
イソプロピルアルコール(IPA) 75質量部
酢酸ブチル 75質量部
【0107】
(実施例7)
下記配合の紫外線硬化型樹脂組成物を用いる以外は実施例1と同様にして、膜厚7μmの帯電防止ハードコート層を有する光学フィルムを得た。
【0108】
(配合)
モノヒドロキシアクリルメタクリレート 5.24質量部
(共栄社化学株式会社製、商品名:G−201P、OH基当量=214g/mol)
4−ヒドロキシブチルアクリレート 25質量部
(日本化成株式会社社製、商品名:4−HBA、OH基当量=144g/mol)
多官能ウレタンアクリルオリゴマー 15.71質量部
(共栄社化学株式会社製、商品名:UA−510H)
メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド 7質量部
(共栄社化学社製、商品名:DQ−100)
粒径25nmのシリカフィラー(アクリル変性) 40質量部
(日揮触媒化成株式会社製、OSCALシリーズの粒径25nm品。粒子表面を末端アクリロイル基を含有するシランカップリング剤(信越化学工業株式会社製、商品名:KBM−5103)で処理した。)
光重合開始剤 5質量部
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名:Irgacure184)
防汚添加剤 2.05質量部
(DIC株式会社製、商品名:RS−602)
イソプロピルアルコール(IPA) 75質量部
酢酸ブチル 75質量部
【0109】
(実施例8)
下記配合の紫外線硬化型樹脂組成物を用いる以外は実施例1と同様にして、膜厚7μmの帯電防止ハードコート層を有する光学フィルムを得た。
【0110】
(配合)
モノヒドロキシアクリルメタクリレート 3.24質量部
(共栄社化学株式会社製、商品名:G−201P、OH基当量=214g/mol)
4−ヒドロキシブチルアクリレート 25質量部
(日本化成株式会社社製、商品名:4−HBA、OH基当量=144g/mol)
多官能ウレタンアクリルオリゴマー 15.71質量部
(共栄社化学株式会社製、商品名:UA−510H)
メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド 9.71質量部
(共栄社化学社製、商品名:DQ−100)
粒径25nmのシリカフィラー(アクリル変性) 40質量部
(日揮触媒化成株式会社製、OSCALシリーズの粒径25nm品。粒子表面を末端アクリロイル基を含有するシランカップリング剤(信越化学工業株式会社製、商品名:KBM−5103)で処理した。)
光重合開始剤 5質量部
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名:Irgacure184)
防汚添加剤 2.05質量部
(DIC株式会社製、商品名:RS−602)
イソプロピルアルコール(IPA) 75質量部
酢酸ブチル 75質量部
【0111】
(実施例9)
下記配合の紫外線硬化型樹脂組成物を用いる以外は実施例1と同様にして、膜厚7μmのハードコート層を有する光学フィルムを得た。
【0112】
(配合)
4−ヒドロキシブチルアクリレート 66.75質量部
(日本化成株式会社社製、商品名:4−HBA、OH基当量=144g/mol)
多官能ウレタンアクリルオリゴマー 22.25質量部
(共栄社化学株式会社製、商品名:UA−510H)
メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド 5質量部
(共栄社化学社製、商品名:DQ−100)
光重合開始剤 5質量部
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名:Irgacure184)
防汚添加剤 1質量部
(DIC株式会社製、商品名:RS−602)
イソプロピルアルコール(IPA) 75質量部
酢酸ブチル 75質量部
【0113】
(比較例1)
下記配合の紫外線硬化型樹脂組成物を用いる以外は実施例1と同様にして、膜厚7μmのハードコート層を有する光学フィルムを得た。
【0114】
(配合)
プロピレングリコールジグリシジルエーテルのアクリル酸付加物 39.71質量部
(共栄社化学株式会社製、商品名:70PA、OH基当量=166g/mol)
多官能ウレタンアクリルオリゴマー 13.24質量部
(共栄社化学株式会社製、商品名:UA−510H)
平均粒径25nmのシリカフィラー(アクリル変性) 40質量部
(日揮触媒化成株式会社製、OSCALシリーズの粒径25nm品。粒子表面を末端アクリロイル基を含有するシランカップリング剤(信越化学工業株式会社製、商品名:KBM−5103)で処理した。)
光重合開始剤 5質量部
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名:Irgacure184)
防汚添加剤 2.05質量部
(DIC株式会社製、商品名:RS−602)
イソプロピルアルコール(IPA) 75質量部
酢酸ブチル 75質量部
【0115】
(比較例2)
下記配合の紫外線硬化型樹脂組成物を用いる以外は実施例1と同様にして、膜厚7μmのハードコート層を有する光学フィルムを得た。
【0116】
(配合)
ペンタエリスリトールテトラアクリレート 36.75質量部
(新中村化学工業株式会社製、商品名:A−TMMT、OH基を実質含有していないアクリレート)(ここで、「OH基を実質含有していない」とは、不純物として微量に含有されているOH基以外には、OH基を含有していないことを意味する。)
多官能ウレタンアクリルオリゴマー 12.25質量部
(共栄社化学株式会社製、商品名:UA−510H)
メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド 5質量部
(共栄社化学社製、商品名:DQ−100)
平均粒径25nmのシリカフィラー(アクリル変性) 40質量部
(日揮触媒化成株式会社製、OSCALシリーズの粒径25nm品。粒子表面を末端アクリロイル基を含有するシランカップリング剤(信越化学工業株式会社製、商品名:KBM−5103)で処理した。)
光重合開始剤 5質量部
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名:Irgacure184)
防汚添加剤 1質量部
(DIC株式会社製、商品名:RS−602)
イソプロピルアルコール(IPA) 75質量部
酢酸ブチル 75質量部
【0117】
(比較例3)
下記配合の紫外線硬化型樹脂組成物を用いる以外は実施例1と同様にして、膜厚7μmのハードコート層を有する光学フィルムを得た。
【0118】
(配合)
ジペンタエリスリトールペンタアクリレート 36.75質量部
(サートマー社製、商品名:SR399、OH基当量=525g/mol)
多官能ウレタンアクリルオリゴマー 12.25質量部
(共栄社化学株式会社製、商品名:UA−510H)
メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド 5質量部
(共栄社化学社製、商品名:DQ−100)
平均粒径25nmのシリカフィラー(アクリル変性) 40質量部
(日揮触媒化成株式会社製、OSCALシリーズの粒径25nm品。粒子表面を末端アクリロイル基を含有するシランカップリング剤(信越化学工業株式会社製、商品名:KBM−5103)で処理した。)
光重合開始剤 5質量部
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名:Irgacure184)
防汚添加剤 1質量部
(DIC株式会社製、商品名:RS−602)
イソプロピルアルコール(IPA) 75質量部
酢酸ブチル 75質量部
【0119】
(比較例4)
下記配合の紫外線硬化型樹脂組成物を用いる以外は実施例1と同様にして、膜厚7μmのハードコート層を有する光学フィルムを得た。
【0120】
(配合)
ジペンタエリスリトールペンタアクリレート 33質量部
(サートマー社製、商品名:SR399、OH基当量=525g/mol)
多官能ウレタンアクリルオリゴマー 11質量部
(共栄社化学株式会社製、商品名:UA−510H)
メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド 10質量部
(共栄社化学社製、商品名:DQ−100)
平均粒径25nmのシリカフィラー(アクリル変性) 40質量部
(日揮触媒化成株式会社製、OSCALシリーズの粒径25nm品。粒子表面を末端アクリロイル基を含有するシランカップリング剤(信越化学工業株式会社製、商品名:KBM−5103)で処理した。)
光重合開始剤 5質量部
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名:Irgacure184)
防汚添加剤 1質量部
(DIC株式会社製、商品名:RS−602)
イソプロピルアルコール(IPA) 75質量部
酢酸ブチル 75質量部
【0121】
(比較例5)
下記配合の紫外線硬化型樹脂組成物を用いる以外は実施例1と同様にして、膜厚7μmのハードコート層を有する光学フィルムを得た。
【0122】
(配合)
モノヒドロキシアクリルメタクリレート 3.99質量部
(共栄社化学株式会社製、商品名:G−201P、OH基当量=214g/mol)
4−ヒドロキシブチルアクリレート 20質量部
(日本化成株式会社社製、商品名:4−HBA、OH基当量=144g/mol)
多官能ウレタンアクリルオリゴマー 11.96質量部
(共栄社化学株式会社製、商品名:UA−510H)
メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド 17質量部
(共栄社化学社製、商品名:DQ−100)
平均粒径25nmのシリカフィラー(アクリル変性) 40質量部
(日揮触媒化成株式会社製、OSCALシリーズの粒径25nm品。粒子表面を末端アクリロイル基を含有するシランカップリング剤(信越化学工業株式会社製、商品名:KBM−5103)で処理した。)
光重合開始剤 5質量部
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名:Irgacure184)
防汚添加剤 2.05質量部
(DIC株式会社製、商品名:RS−602)
イソプロピルアルコール(IPA) 75質量部
酢酸ブチル 75質量部
【0123】
上述のようにして得られた実施例1〜9、比較例1〜5の光学フィルムに対して、以下の評価を行った。
【0124】
(表面抵抗)
三菱化学株式会社製のHiresta−UP(プローブ:URS、印加電圧:1000V)を用いて、帯電防止ハードコート層の表面抵抗を評価した。
【0125】
(膜硬度)
マルテンス硬度および鉛筆硬度により帯電防止ハードコート層の硬度を評価した。
マルテンス硬度は、株式会社フィッシャー・インストルメンツ製のPICODENTOR HM500で評価した(荷重5mN)。
鉛筆硬度は、JIS K5400に準拠し、500g加重で評価した。
【0126】
(ヘイズ、全光透過率)
光学フィルムのHAZE(JIS K7136)、および全光線透過率(JIS K7361)を、株式会社村上色彩技術研究所製のHM−150で評価した。
【0127】
(密着性)
JIS K5400の碁盤目(1mm間隔×100マス)セロハンテープ(ニチバン株式会社製 CT24)剥離試験により、帯電防止ハードコート層の密着性を評価した。
【0128】
(ブリードアウト)
光学フィルムを60℃90%Rh環境下で100時間保存後、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライドのブリードアウトがあるか否かを目視により観察した。すなわち、光学フィルムが白化しているか否かを目視により確認し、白化している場合にはブリードアウトが発生していると判断した。
【0129】
(防汚特性)
防汚特性は、純水接触角、指紋払拭性、および油性マジック(ゼブラ株式会社マッキー黒)のはじき・払拭性により評価した。なお、純粋接触角は、接触角計(協和界面科学株式会社製、商品名:CA−XE型)を用いて測定した。
【0130】
表1に、実施例1〜9、比較例1〜5の光学フィルムの構成を示す。
【表1】

【0131】
表2に、実施例1〜9、比較例1〜5の光学フィルムの評価結果を示す。
【表2】

【0132】
表1および表2から以下のことがわかる。
実施例1〜8では、DQ−100(モノマーおよび/またはオリゴマー(A))と、4HBA、70PA、またはG−201P(モノマーおよび/またはオリゴマー(B))とを配合しているので、1012Ω/□程度の表面抵抗値を得ることができる。また、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド(DQ−100)のブリードアウトが抑制されている。
実施例9では、ブリードアウトもなく、1012Ω/□程度の表面抵抗値を得ることができるが、シリカフィラーを配合していないため、硬度が低下している。
比較例1では、DQ−100(モノマーおよび/またはオリゴマー(A))を配合していないので、ブリードアウトはないが、表面抵抗が1012Ω/□を超えている。
比較例2では、ブリードアウトはないが、表面抵抗が1012Ω/□を超えている。これは、OH基を有しているアクリルモノマーが配合されていないため、OH基によるイオン伝導性のパスがハードコート層に形成されなかったためと推測される。
比較例3では、ブリードアウトはないが、表面抵抗が1012Ω/□を超えている。これは、OH基当量が500g/molを超えるアクリルモノマーでは、配合量5質量%のDQ−100をサポートするだけの、OH基によるイオン伝導性のパスが十分に形成されていなかったためと推測される。すなわち、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド(DQ−100)の帯電防止機能が十分にアシストされていなかったためと推測される。
比較例4では、1012Ω/□程度の表面抵抗値を得ることができるが、ブリードアウトが生じてしまっている。これは、OH基当量が500g/molを超えるアクリルモノマーでは、ブリードアウトを抑制できるほどには、系の極性を高めることができなかったためと推測される。
比較例5では、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド(DQ−100)の配合量が、固形分100質量部に対して15質量%を超えているため、ブリードアウトが発生してしまっている。
【0133】
(実施例10)
まず、エッチング加工で作製した原盤から形状転写(エンボス)によりTACフィルム(富士フイルム株式会社製、フィルム厚:80μm)表面に凹凸を形成した。次に、この凹凸表面を触針式表面粗さ測定器((株)小阪研究所製サーフコーダET4000)で評価した。その結果、Ra(算術平均粗さ)=0.903μm、Rz(十点平均粗さ)=2.907μm、RSm(粗さ曲線要素の平均長さ)=65μmであった。
【0134】
次に、下記配合の紫外線硬化型樹脂組成物をTACフィルムの凹凸面上にコイルバーで塗工した。塗工後、紫外線硬化型樹脂組成物を80℃で1.5分乾燥させた。次に、窒素雰囲気下で350mJ/cm2の紫外線を照射して、膜厚7μmの帯電防止ハードコート層を有する光学フィルムを得た。
【0135】
(配合)
モノヒドロキシアクリルメタクリレート 5.24質量部
(共栄社化学株式会社製、商品名:G−201P、OH基当量=214g/mol)
4−ヒドロキシブチルアクリレート 25質量部
多官能ウレタンアクリルオリゴマー 15.71質量部
(共栄社化学株式会社製、商品名:UA−510H)
メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド 7質量部
(共栄社化学社製、商品名:DQ−100)
粒径25nmのシリカフィラー(アクリル変性) 40質量部
(日揮触媒化成株式会社製、OSCALシリーズの粒径25nm品。粒子表面を末端アクリロイル基を含有するシランカップリング剤(信越化学工業株式会社製、商品名:KBM−5103)で処理した。)
光重合開始剤 5質量部
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名:Irgacure184)
防汚添加剤 2.05質量部
(DIC株式会社製、商品名:RS−602)
粘度調整剤 0.075質量部
(共栄社化学株式会社製、商品名:G−700)
イソプロピルアルコール(IPA) 75質量部
酢酸ブチル 74.925質量部
【0136】
次に、光学フィルムを黒板に粘着シートを介して貼り付け、蛍光灯の映り込みを確認した。その結果、蛍光灯の輪郭はぼやけ、防眩性の発現が確認された。また、触針式表面粗さ測定器で凹凸表面を評価した。その結果、Ra=0.056μm、Rz=0.204μm、RSm=99μmであった。また、上記紫外線硬化型樹脂組成物の溶媒蒸発過程で、系が高粘度化して基材の凹凸形状に倣い適度な滑らかさが形成されることがわかった。
【0137】
(実施例11)
まず、ブラスト加工で作製した原盤から形状転写(エンボス)によりTACフィルム表面に凹凸を形成した。次に、この凹凸表面を触針式表面粗さ測定器((株)小阪研究所製サーフコーダET4000)で評価した。その結果、Ra=0.509μm、Rz=2.638μm、RSm=85μmであった。
【0138】
次に、実施例10と同様の配合の紫外線硬化型樹脂組成物をTACフィルムの凹凸面上にコイルバーで塗工した。塗工後、紫外線硬化型樹脂組成物を80℃で1.5分乾燥させた。次に、窒素雰囲気下で350mJ/cm2の紫外線を照射して、膜厚7μmの帯電防止ハードコート層を有する光学フィルムを得た。
【0139】
次に、光学フィルムを黒板に粘着シートを介して貼り付け、蛍光灯の映り込みを確認した。その結果、蛍光灯の輪郭はぼやけ、防眩性の発現が確認された。また、上記紫外線硬化型樹脂組成物の溶媒蒸発過程で、系が高粘度化して基材の凹凸形状に倣い適度な滑らかさが形成されることがわかった。
【0140】
(実施例12)
粘度調整剤(共栄社化学株式会社製、商品名:G−700)の配合量0.125質量部に増やして、酢酸ブチル配合量を74.875質量部に減らし、帯電防止ハードコート層の膜厚を10μmとした以外は、実施例10と同様にして光学フィルムを得た。
次に、この凹凸表面を触針式表面粗さ測定器((株)小阪研究所製サーフコーダET4000)で評価した。その結果、実施例12の光学フィルムは、実施例10とほぼ同等の表面形状、すなわち防眩性を有していることがわかった。
【0141】
(実施例13)
粘度調整剤(共栄社化学株式会社製、商品名:G−700)の配合量を0.025質量部に減らして、酢酸ブチル配合量を74.975質量部に増やし、帯電防止ハードコート層の膜厚を4μmとした以外は、実施例10と同様にして光学フィルムを得た。
次に、この凹凸表面を触針式表面粗さ測定器((株)小阪研究所製サーフコーダET4000)で評価した。その結果、実施例13の光学フィルムは、実施例10とほぼ同等の表面形状、すなわち防眩性を有していることがわかった。
【0142】
実施例12、13から以下のことがわかる。
粘度調整剤(G−700)の配合量を増やすと、形状追随性が高まる傾向にある。すなわち、実施例10と同等の防眩性(表面形状)を得るためには、ハードコート膜厚を実施例10よりも厚くする必要がある。一方、粘度調整剤(G−700)の配合量を減らすと、形状追随性が弱まる傾向にある。すなわち、実施例10と同等の防眩性(表面形状)を得るためには、ハードコート膜厚を実施例10よりも薄くする必要がある。
以上の点から、所望のハードコート膜厚に応じて、粘度調整剤(G−700)の配合量を選択することが好ましいことがわかる。
【0143】
(実施例14)
粘度調整剤を共栄社化学株式会社製の商品名:G−700からビックケミー・ジャパン株式会社製の商品名:BYK−410に変更する以外は、実施例10と同様にして、膜厚7μmの帯電防止ハードコート層を有する光学フィルムを得た。
【0144】
実施例14の光学フィルムを繰り返し作製したところ、塗布後の乾燥過程でシリカフィラーの凝集物が発生する場合があった。これは、シリカフィラーとBYK−410とのネットワーク形成力がシリカフィラーとG−700とのそれよりも強く、シリカフィラーの凝集が発生する場合があったためと考えられる。
【0145】
(実施例15)
シリカフィラーの配合量を50質量部に増やし、モノヒドロキシアクリルメタクリレートを2.74質量部、および多官能ウレタンアクリルオリゴマーの配合量を8.21質量部に変更した。これ以外のことは、実施例10と同様にして、膜厚9μmのハードコート層を有する光学フィルムを得た。
次に、この凹凸表面を触針式表面粗さ測定器((株)小阪研究所製サーフコーダET4000)で評価した。その結果、実施例15の光学フィルムは、実施例10とほぼ同等の表面形状、すなわち防眩性を有していることがわかった。
【0146】
(実施例16)
シリカフィラーの配合量を10質量部に減らし、モノヒドロキシアクリルメタクリレートを12.74質量部、および多官能ウレタンアクリルオリゴマーの配合量を38.21質量部に変更した。これ以外のことは、実施例10と同様にして、膜厚4μmのハードコート層を有する光学フィルムを得た。
次に、この凹凸表面を触針式表面粗さ測定器((株)小阪研究所製サーフコーダET4000)で評価した。その結果、実施例16の光学フィルムは、実施例10とほぼ同等の表面形状、すなわち防眩性を有していることがわかった。
【0147】
実施例15、16から以下のことがわかる。
シリカフィラーの配合量を増やすと、形状追随性が高まる傾向にある。すなわち、実施例10と同等の防眩性(表面形状)を得るためには、ハードコート膜厚を実施例10よりも厚くする必要がある。一方、シリカフィラーの配合量を減らすと、形状追随性が弱まる傾向にある。すなわち、実施例10と同等の防眩性(表面形状)を得るためには、ハードコート膜厚を実施例10よりも薄くする必要がある。
以上の点から、所望のハードコート膜厚に応じて、シリカフィラーの配合量を選択することが好ましいことがわかる。
【0148】
以上、本発明の実施形態および実施例について具体的に説明したが、本発明は、上述の実施形態および実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
【0149】
例えば、上述の実施形態および実施例において挙げた構成、方法、形状、材料および数値などはあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる構成、方法、形状、材料および数値などを用いてもよい。
【0150】
また、上述の全ての実施形態の各構成は、本発明の主旨を逸脱しない限り、互いに組み合わせることが可能である。
【0151】
また、上述の実施形態では、本発明を表示装置に対して適用する場合を例として説明したが、本発明はタッチパネルなどに対しても適用することも可能である。
【0152】
また、上述の第3の実施形態に係る光学フィルムを、アンチニュートンリング(Anti Newton-Ring:ANR)フィルムとして表示装置に用いるようにしてもよい。このようにANRフィルムとして用いることで、ニュートンリングの発生を抑制する、もしくは気にならない程度までニュートンリングの発生を低減することが可能である。
【0153】
また、上述の実施形態では、本発明に係る光学フィルムを液晶表示装置に適用する場合を例として説明したが、本発明に係る光学フィルムは液晶表示装置以外の各種表示装置に対しても適用可能である。例えば、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、プラズマディスプレイ(Plasma Display Panel:PDP)、エレクトロルミネッセンス(Electro Luminescence:EL)ディスプレイ、表面伝導型電子放出素子ディスプレイ(Surface-conduction Electron-emitter Display:SED)などの各種表示装置に対しても本発明に係る光学フィルムは適用可能である。
【符号の説明】
【0154】
1 光学フィルム
11、21 基材
12、22 帯電防止ハードコート層
13 低屈折率層
31 エンボスロール
32 バックロール
41 液晶パネル
41a、41b 偏光子
42 バックライト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
4級アンモニウム塩基および(メタ)アクリロイル基を有するモノマーおよび/またはオリゴマー(A)と、
ヒドロキシ基および(メタ)アクリロイル基を有し、ヒドロキシ基当量が500g/mol以下であるモノマーおよび/またはオリゴマー(B)と、
光重合開始剤と
を含有する紫外線硬化型樹脂組成物。
【請求項2】
上記モノマーおよび/またはオリゴマー(A)の配合量は、固形分100質量部に対して1質量部以上15質量部以下である請求項1記載の紫外線硬化型樹脂組成物。
【請求項3】
多官能アクリルモノマーおよび/またはオリゴマー(C)をさらに含有する請求項1記載の紫外線硬化型樹脂組成物。
【請求項4】
固形分全体のアクリレート由来ヒドロキシ基当量が、1300g/mol以下である請求項1記載の紫外線硬化型樹脂組成物。
【請求項5】
無機酸化物フィラーをさらに含有する請求項1記載の紫外線硬化型樹脂組成物。
【請求項6】
粘度調整剤をさらに含有する請求項1記載の紫外線硬化型樹脂組成物。
【請求項7】
防汚剤をさらに含有する請求項1記載の紫外線硬化型樹脂組成物。
【請求項8】
基材と、
上記基材上に形成されたハードコート層と
を備え、
上記ハードコート層は、紫外線硬化型樹脂組成物を硬化して得られ、
上記紫外線硬化型樹脂組成物は、
4級アンモニウム塩基および(メタ)アクリロイル基を有するモノマーおよび/またはオリゴマー(A)と、
ヒドロキシ基および(メタ)アクリロイル基を有し、ヒドロキシ基当量が500g/mol以下であるモノマーおよび/またはオリゴマー(B)と、
光重合開始剤と
を含有する光学フィルム。
【請求項9】
上記基材が、凹凸形状の表面を有し、
上記ハードコート層が、上記基材の凹凸形状に倣った凹凸形状の表面を有し、
上記紫外線硬化型樹脂組成物が、粘度調整剤および無機酸化物フィラーをさらに含有し、
上記無機酸化物フィラーと上記粘度調整剤とが水素結合または配位結合している請求項8記載の光学フィルム。
【請求項10】
上記ハードコート層の表面抵抗が、1012Ω/□以下であり、
上記ハードコート層のマルテンス硬度が、260N/mm2以上600N/mm2以下である請求項8記載の光学フィルム。
【請求項11】
請求項8〜10のいずれか1項に記載の光学フィルムを備える表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−285480(P2010−285480A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−138489(P2009−138489)
【出願日】平成21年6月9日(2009.6.9)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】