説明

紫外線硬化型樹脂組成物、硬化物及び物品

【課題】硬化性に優れ、硬化時の収縮が小さく、硬化物の透明性、基材との接着性かつ柔軟性に優れる光学透明接着剤を得ることが出来る紫外線硬化型樹脂組成物を提供する。
【解決手段】(1)2つ以上の基材を貼り合わせる接着剤用紫外線硬化型樹脂組成物であって、重量平均分子量が1500〜30000である(メタ)アクリルポリマー(A)、(メタ)アクリル当量が200g/eq.以上で2個以上のアクリロイル基を有する(メタ)アクリレート化合物(B)及び光重合開始剤(C)を含有することを特徴とする紫外線硬化型樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学基材の貼り合わせに有用な紫外線硬化型樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ等の表示装置とタッチパッドのような位置入力装置を組み合わせたタッチパネルが広く利用されている。このタッチパネルは、表示装置、透明電極が形成されたガラス板又は樹脂製フィルム、ガラス又は樹脂製の透明保護板を貼り合せた構造を有している。
【0003】
タッチパネルにおける、表示装置、透明電極が形成されたガラス板又はフィルム、ガラス又は樹脂製の透明保護板との貼り合せには、両面粘着シートを用いる技術があるが、気泡が入りやすいという問題があった。両面粘着シートに代わる技術として光硬化型樹脂組成物で貼り合せる技術が提案されている(特許文献1〜3)。
【0004】
一方で、表示装置の薄型化や大画面化が進んでいる。例えば、透明保護板が薄くなると、光硬化型樹脂組成物で貼り合わせる際の硬化収縮によって、タッチパネルが変形してしまう問題があった。また、披接着体の材質がガラス/アクリル樹脂、ガラス/ポリカーボネート樹脂と異なる場合、熱膨張や吸湿性の違いから、耐湿熱試験において接着面が剥がれたり、ガラスが割れたりする問題があった。これら問題を解決するためには、硬化時の収縮を抑え、基材への接着性および柔軟性に優れた硬化物を与える光硬化型樹脂組成物が求められるが、特許文献1〜4では満足するものが得られていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2010/027041号
【特許文献2】特開2010−248387号公報
【特許文献3】特表2011−511851号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、硬化性に優れ、硬化時の収縮が小さく、硬化物の透明性、基材との接着性かつ柔軟性に優れる光学透明接着剤を得ることが出来る紫外線硬化型樹脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の重量平均分子量を有する(メタ)アクリルポリマー及び特定の(メタ)アクリル当量を有し2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート化合物を含有する紫外線硬化型樹脂組成物が、上記の課題が達成されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明は、次の(1)〜(7)に関するものである。
(1)2つ以上の基材を貼り合わせる接着剤用紫外線硬化型樹脂組成物であって、重量平均分子量が1500〜30000である(メタ)アクリルポリマー(A)、(メタ)アクリル当量が200g/eq.以上で2個以上のアクリロイル基を有する(メタ)アクリレート化合物(B)及び光重合開始剤(C)を含有することを特徴とする紫外線硬化型樹脂組成物。
(2)重量平均分子量が1500〜30000である(メタ)アクリルポリマー(A)が、メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる1種以上を重合させて得られる(メタ)アクリレートポリマーであることを特徴とする(1)に記載の紫外線硬化型樹脂組成物。
(3)(メタ)アクリル当量が200g/eq.以上で2個以上のアクリロイル基を有する(メタ)アクリレート化合物(B)が、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリテトラメチレングリコールジアクリレートからなる群から選ばれる1種以上である(1)または(2)のいずれか一項に記載の紫外線硬化型樹脂組成物。
(4)組成物全体に対して、重量平均分子量が1500〜30000である(メタ)アクリルポリマー(A)が70〜95重量%、(メタ)アクリル当量が200g/eq.以上で2個以上のアクリロイル基を有する(メタ)アクリレート化合物(B)が10〜30重量%及び光重合開始剤(C)が3〜12重量%含有する(1)〜(3)のいずれか1項に記載の紫外線硬化型樹脂組成物。
(5)硬化収縮率が3.0%以下である(1)〜(3)のいずれか1項に記載の紫外線硬化型樹脂組成物。
(6)(1)ないし(5)のいずれか1項に記載の紫外線硬化型樹脂組成物に活性エネルギー線を照射して得られる硬化物。
(7)(1)ないし(5)のいずれか1項に記載の紫外線硬化型樹脂組成物を用いてなることを特徴とするタッチパネル。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、硬化性に優れ、硬化時の収縮が小さく、硬化物の透明性、基材との接着性かつ柔軟性に優れる光学透明接着剤を得ることが出来る紫外線硬化型樹脂組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の紫外線硬化型樹脂組成物は、特定の重量平均分子量を有する(メタ)アクリルポリマー、特定の(メタ)アクリル当量を有し2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート化合物及び光重合開始剤を含有する。
【0011】
本発明の組成物に含有される(メタ)アクリルポリマー(A)としては、アクリル系又はメタクリル系モノマーを原料として重合させたポリマー、又は、該モノマー以外の他の重合性モノマーと該モノマーとの共重合体が挙げられ、溶液重合、懸濁重合、塊状重合等の通常の方法によって製造できる。
特に好ましい製造方法としては、高温で連続的にラジカル重合を行って製造することが好ましい。具体的には、以下のプロセスによって製造するものである。まず、アクリル系又はメタクリル系モノマー(及び、必要により該モノマー以外の他の重合性モノマー)に対して微量の重合開始剤と微量の溶剤を混合させる。そして、150℃以上の温度において、10分以上高圧下で反応させる。その後、分離機で未反応成分と反応して得られた(メタ)アクリルポリマーに分離して、得ることができる。
ここで、重合開始剤が混入していると、保存安定性に劣る恐れがあるため、溶剤を留去しながら反応を行うか、(メタ)アクリルポリマーを分離して得た後に溶剤を留去することが好ましい。
【0012】
(メタ)アクリルポリマー(A)の原料として使用されるアクリル系又はメタクリル系モノマーとしては、(メタ)アクリル酸、α−エチルアクリル酸;メチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルブチル(メタ)アクリレート、1,3−ジメチルブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、3−エトキシプロピル(メタ)アクリレート、3−エトキシブチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、α−(ヒドロキシメチル)エチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニルエチル(メタ)アクリレート等のエステル系(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用することができる。
【0013】
共重合させてもよい他の重合性モノマーとしては、不飽和二重結合を有する公知の化合物を用いることができ、例えば、スチレン、3−ニトロスチレン、4−メトキシスチレン;α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、ビニルトルエン、α−エチルスチレン、α−ブチルスチレン、α−ヘキシルスチレン等のアルキルスチレン類;4−クロロスチレン、3−クロロスチレン、3−ブロモスチレン等のハロゲン化スチレン類;クロトン酸、α−メチルクロトン酸、α−エチルクロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、グルタコン酸等の不飽和二重結合を有するカルボン酸類が挙げられる。
【0014】
これらのうち、組成物の他の成分への溶解性、硬化物の接着性の面から、アクリル系又はメタクリル系モノマーとしてはメチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート等のC1〜C10アルキル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の水酸基を有するC1〜C10アルキル(メタ)アクリレートが好ましく、他の重合性モノマーとしてはスチレン等が好ましい。
【0015】
本発明においては、(メタ)アクリルポリマー(A)の重量平均分子量としては、1500〜30000であり、好ましくは3000〜20000、特に好ましくは5000〜15000である。重量平均分子量が1500未満の場合は、硬化物の接着性が劣る傾向にあり、一方、30000を越える場合には、他のモノマーに溶解しにくくなったり白濁したりするため好ましくない。
【0016】
(メタ)アクリルポリマー(A)は、市販品として容易に入手することもできる。例えば、東亞合成(株)製「ARUFONシリーズ」が挙げられ、UP−1170やUH−2190として入手できる。
【0017】
(A)成分の本発明の光硬化型透明接着剤組成物中における重量割合は通常20重量%〜95重量%であり、50重量%〜95重量%が好ましく、70重量%〜95重量%程度がより好ましく、70重量%〜90重量%が特に好ましい。20重量%より少ないと接着性が劣り、95重量%より多いと硬化性が悪くなる。
【0018】
本発明の組成物に含有される(メタ)アクリル当量が200g/eq.以上で2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート化合物(B)としては、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート(日本化薬(株)社製カヤラッド HX−220、(メタ)アクリル当量:270)、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート(日本化薬(株)社製カヤラッド HX−620、(メタ)アクリル当量:384、日本化薬(株)社製カヤラッド HX−220、(メタ)アクリル当量:270)、ポリプロピレングリコールジアクリレート(日立化成工業(株)社製FANCRYL FA−P240A、(メタ)アクリル当量:267)、ポリプロピレングリコールジアクリレート(日立化成工業(株)社製FANCRYL FA−P270A、(メタ)アクリル当量:412)、ポリプロピレングリコールジアクリレート(日立化成工業(株)社製FANCRYL FA−P2100A、(メタ)アクリル当量:555)、ポリプロピレングリコールジアクリレート(日立化成工業(株)社製FANCRYL FA−P2200A、(メタ)アクリル当量:1055)、ポリテトラメチレングリコールジアクリレート(日油(株)社製ブレンマーADT−250、(メタ)アクリル当量:207)、ポリテトラメチレングリコールジメタクリレート(例えば、日立化成工業(株)社製FANCRYL FA−PTG9A、(メタ)アクリル当量:379)、ポリエチレンオキサイド変性ビスフェノールAジアクリレート(例えば、日立化成工業(株)社製FANCRYL FA−321A、(メタ)アクリル当量:388)が挙げられるが、光学部材への密着性からカプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート(日本化薬(株)社製カヤラッド HX−620、(メタ)アクリル当量:384、日本化薬(株)社製カヤラッド HX−220、(メタ)アクリル当量:270)、ポリプロピレングリコールジアクリレート(日立化成工業(株)社製FANCRYL FA−P270A、(メタ)アクリル当量:412)、ポリプロピレングリコールジアクリレート(日立化成工業(株)社製FANCRYL FA−P2100A、(メタ)アクリル当量:555)、ポリプロピレングリコールジアクリレート(日立化成工業(株)社製FANCRYL FA−P2200A、(メタ)アクリル当量:1055)ポリテトラメチレングリコールジメタクリレート(例えば、日立化成工業(株)社製FANCRYL FA−PTG9A、(メタ)アクリル当量:379)が特に好ましい。中でも、硬化収縮率が小さく、柔軟性に優れることから、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート(日本化薬(株)社製カヤラッド HX−620、(メタ)アクリル当量:384)、ポリプロピレングリコールジアクリレート(日立化成工業(株)社製FANCRYL FA−P270A、(メタ)アクリル当量:412)、ポリプロピレングリコールジアクリレート(日立化成工業(株)社製FANCRYL FA−P2100A、(メタ)アクリル当量:555)、ポリプロピレングリコールジアクリレート(日立化成工業(株)社製FANCRYL FA−P2200A、(メタ)アクリル当量:1055)が特に好ましい。
ここで、本発明の組成物に含有される上記(メタ)アクリレート化合物(B)の(メタ)アクリル当量は300g/eq.以上が好ましく、400g/eq.以上が特に好ましい。
【0019】
(B)成分の本発明の光硬化型透明接着剤組成物中における重量割合は通常5〜40重量%、10重量%〜30重量%程度が好ましい。5重量%より少ないと硬化性が劣り、40重量%より多いと収縮が大きくなる。
【0020】
本発明の組成物に含有される光重合開始剤(C)としては、特に限定はされないが、例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(イルガキュアー184;BASF製)、2−ヒドロキシ−2−メチル−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノールオリゴマー(ONE;ランバルティ製)、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(イルガキュアー2959;BASF製)、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン(イルガキュアー127;BASF製)、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン(イルガキュアー651;BASF製)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(ダロキュア1173;BASF製)、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン(イルガキュアー907;BASF製)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド等を挙げることができる。透明性から1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(イルガキュアー184;BASF製)、2−ヒドロキシ−2−メチル−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノールオリゴマー(エサキュアKIP−150;ランバルティ製)、フェニルグルコキシル酸メチルエステル(ダロキュアMBF;BASF製)が好ましい。また、接着剤内部硬化性を良好にする観点から2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド(スピードキュアTPO;LAMBSON社製)が好ましい。
【0021】
本発明の紫外線硬化型樹脂組成物においては、これら(C)成分は、1種または2種以上を任意の割合で混合して使用することができる。(C)成分の本発明の光硬化型透明接着剤組成物中における重量割合は通常1〜15重量%、好ましくは2〜12重量%であり、特に好ましくは3〜12重量%である。
【0022】
更に、光重合開始助剤となりうるアミン類等を上記の光重合開始剤と併用することもできる。使用しうるアミン類等としては、安息香酸2−ジメチルアミノエチルエステル、ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステルまたはp−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル等が挙げられる。該アミン類等の光重合開始助剤を使用する場合、本発明の接着用樹脂組成物中の含有量は通常0.005〜5重量%、好ましくは0.01〜3重量%である。
【0023】
本発明の組成物には、本発明の特性を損なわない範囲で(B)以外の(メタ)アクリレート化合物(D)を含有することができる。(B)以外の(メタ)アクリレート化合物(D)としては、(メタ)アクリロイル基を1個以上有する(メタ)アクリレートを好適に使用することができる。尚、本発明において(メタ)アクリレートとはメタクリレート又はアクリレートを意味し、その種類は特に限定されないが、(D−1)ウレタン(メタ)アクリレート、(D−2)エポキシ(メタ)アクリレート、(D−3)(メタ)アクリレートモノマー等を用いることができる。
ここで、(メタ)アクリレートモノマーは、(メタ)アクリレートのうち、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレートを除いたものを言う。
【0024】
本発明の組成物に含有されることができるウレタン(メタ)アクリレート(D−1)は多価アルコール、ポリイソシアネート及びヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートを反応させることによって得られる。
【0025】
多価アルコールとしては、例えば、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1、5−ペンタンジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1、6−ヘキサンジオール等の炭素数1〜10のアルキレングリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等のトリオール、トリシクロデカンジメチロール、ビス−〔ヒドロキシメチル〕−シクロヘキサン等の環状骨格を有するアルコール等、これら多価アルコールと多塩基酸(例えば、コハク酸、フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テレフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、テトラヒドロ無水フタル酸等)との反応によって得られるポリエステルポリオール、多価アルコールとε−カプロラクトンとの反応によって得られるカプロラクトンアルコール、ポリカーボネートポリオール(例えば1,6−ヘキサンジオールとジフェニルカーボネートとの反応によって得られるポリカーボネートジオール等)又はポリエーテルポリオール(例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、エチレンオキサイド変性ビスフェノールA等)等が挙げられる。基材への密着性の観点から分子量が2000以上のポリプロピレングリコールが特に好ましい。
有機ポリイソシアネートとしては、例えばイソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート又はジシクロペンタニルイソシアネート等が挙げられる。
【0026】
又、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートとしては、例えばヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシC2〜C4アルキル(メタ)アクリレート、ジメチロールシクロヘキシルモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシカプロラクトン(メタ)アクリレート等を使用することができる。
【0027】
前記反応は、例えば、以下のようにして行う。即ち、多価アルコールにその水酸基1当量あたり有機ポリイソシアネートをそのイソシアネート基が好ましくは1.1〜2.0当量、さらに好ましくは1.1〜1.5当量になるように混合し、反応温度を好ましくは70〜90℃で反応させ、ウレタンオリゴマーを合成する。次いで、ウレタンオリゴマーのイソシアネート基1当量あたり、ヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物をその水酸基が好ましくは1〜1.5当量となるように混合し、70〜90℃で反応させて目的とするウレタン(メタ)アクリレートを得ることができる。
【0028】
ウレタン(メタ)アクリレート(D−1)の重量平均分子量としては500〜25000程度が好ましく、700〜10000がより好ましく、800〜5000が特に好ましい。重量平均分子量が500より小さいと収縮が大きくなり、25000より大きいと硬化性が乏しくなる。
【0029】
本発明の紫外線硬化型樹脂組成物においては、これら(D−1)成分は、1種または2種以上を任意の割合で混合して使用することができる。(D−1)成分の本発明の紫外線硬化型樹脂組成物中における重量割合は通常5〜90重量%、好ましくは20〜80重量%、より好ましくは25〜50重量%である。
【0030】
本発明の組成物には、本発明の特性を損なわない範囲でエポキシ(メタ)アクリレート(D−2)を使用することができる。エポキシ(メタ)アクリレートは、硬化性の向上や硬化物の硬度や硬化速度を向上させる機能がある。また、エポキシ(メタ)アクリレートとしては、グリシジルエーテル型エポキシ化合物と、(メタ)アクリル酸を反応させることにより得られたものであればいずれも使用できるが、好ましく使用されるエポキシ(メタ)アクリレートを得るためのグリシジルエーテル型エポキシ化合物としては、ビスフェノールA或いはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル、ビスフェノールF或いはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールA或いはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールF或いはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ブタンジオールジグリシジルエーテル、へキサンジオールジグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル等を挙げることができる。
【0031】
エポキシ(メタ)アクリレートは、これらグリシジルエーテル型エポキシ化合物と、(メタ)アクリル酸を、下記のような条件で反応させることにより得られる。
【0032】
グリシジルエーテル型エポキシ化合物のエポキシ基1当量に対して、(メタ)アクリル酸を0.9〜1.5モル、より好ましくは0.95〜1.1モルの比率で反応させる。反応温度は80〜120℃が好ましく、反応時間は10〜35時間程度である。反応を促進させるために、例えばトリフェニルフォスフィン、TAP、トリエタノールアミン、テトラエチルアンモニウムクロライド等の触媒を使用するのが好ましい。又、反応中、重合を防止するために重合禁止剤として、例えば、パラメトキシフェノール、メチルハイドロキノン等を使用することもできる。
【0033】
本発明において好適に使用することができるエポキシ(メタ)アクリレートとしては、ビスフェノールA型のエポキシ化合物より得られた、ビスフェノールA型エポキシ(メタ)アクリレートである。本発明において、エポキシ(メタ)アクリレート(G)の重量平均分子量としては500〜10000が好ましい。
【0034】
本発明の紫外線硬化型樹脂組成物においては、これら(D−2)成分は、1種または2種以上を任意の割合で混合して使用することができる。(D−2)成分の本発明の紫外線硬化型樹脂組成物中における重量割合は通常5〜90重量%、好ましくは20〜80重量%、より好ましくは25〜50重量%である。
ここで、硬化物に柔軟性を持たせる観点でエポキシ(メタ)アクリレートを使用する場合は、本発明の紫外線硬化型樹脂組成物中における重量割合は20重量%以下が好ましく、10重量%以下がより好ましく、5重量%以下が特に好ましい。
【0035】
(B)以外の(メタ)アクリレート(D)として用いうる(メタ)アクリレートである(メタ)アクリレートモノマー(D−3)は特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリロイル基を1つ有するものとして、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、モルホリン(メタ)アクリレート、フェニルグリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリシクロデカン(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレンオキサイド変性ノニルフェニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエンオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート(例えば、日立化成工業(株)社製FANCRYL FA−511A)、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート(例えば、日立化成工業(株)社製FANCRYL FA−512A)、ジシクロペンテニルオキシメタクリレート(例えば、日立化成工業(株)社製FANCRYL FA−512M)、ジシクロペンタニルアクリレート(例えば、日立化成工業(株)社製FANCRYL FA−513A)、ジシクロペンタニルメタクリレート(例えば、日立化成工業(株)社製FANCRYL FA−513M)、1−アダマンチルアクリレート(例えば、出光興産(株)社製Adamantate AA)、2−メチル−2−アダマンチルアクリレート(例えば、出光興産(株)社製Adamantate MA)、2−エチル−2−アダマンチルアクリレート(例えば、出光興産(株)社製Adamantate EA)、1−アダマンチルメタクリレート(例えば、出光興産(株)社製Adamantate AM)、エチレンオキシド変性フェノキシ化リン酸(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ブトキシ化リン酸(メタ)アクリレート及びエチレンオキシド変性オクチルオキシ化リン酸(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0036】
(メタ)アクリレートモノマー(D−3)として用いうる(メタ)アクリロイル基を2個有する(メタ)アクリレートモノマーとしては、シクロヘキサン−1,4−ジメタノールジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサン−1,3−ジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレート(例えば、日本化薬(株)社製、KAYARAD R−684、トリシクロデカンジメチロールジアクリレート等)、ジオキサングリコールジ(メタ)アクリレート(例えば、日本化薬(株)社製、KAYARAD R−604、ジオキサングリコールジアクリレート)、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)ジアクリレート、アルキレンオキサイド変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)ジアクリレート、ヒドロキシシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド変性ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート及びエチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0037】
本発明の組成物には、本発明の特性を損なわない範囲で(メタ)アクリロイル基を1個又は2個有する(メタ)アクリレート以外の(メタ)アクリレートモノマーを含有することができる。例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールオクタントリ(メタ)アクリレート等のトリメチロールC2〜C10アルカントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリプロポキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリエトキシポリプロポキシトリ(メタ)アクリレート等のトリメチロールC2〜C10アルカンポリアルコキシトリ(メタ)アクリレート、トリス[(メタ)アクロイルオキシエチル]イソシアヌレ−ト、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等のアルキレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートペンタエリスリトールポリエトキシテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールポリプロポキシテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0038】
本発明の紫外線硬化型樹脂組成物においては、これら(D−3)成分は、1種または2種以上を任意の割合で混合して使用することができる。(D−3)成分の本発明の紫外線硬化型樹脂組成物中における重量割合は通常5〜90重量%、好ましくは20〜80重量%、より好ましくは25〜50重量%である。
【0039】
本発明の紫外線硬化型樹脂組成物には、必要に応じて酸化防止剤、有機溶剤、シランカップリング剤、重合禁止剤、レベリング剤、帯電防止剤、表面潤滑剤、蛍光増白剤、光安定剤(例えば、ヒンダードアミン化合物等)、充填剤等の添加剤を加えてもよい。
【0040】
酸化防止剤の具体例としては、例えば、BHT、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、ペンタエリスリチル・テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート、オクチル化ジフェニルアミン、2,4−ビス[(オクチルチオ)メチル−O−クレゾール、イソオクチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ジブチルヒドロキシトルエン等が挙げられる。
【0041】
有機溶剤の具体例としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、ジメチルスルホン、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、キシレン等が挙げられる。
【0042】
シランカップリング剤の具体例としては、例えば、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプロプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、N−(2−(ビニルベンジルアミノ)エチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン等のシラン系カップリング剤;イソプロピル(N−エチルアミノエチルアミノ)チタネート、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、チタニウムジ(ジオクチルピロフォスフェート)オキシアセテート、テトライソプロピルジ(ジオクチルフォスファイト)チタネート、ネオアルコキシトリ(p−N−(β−アミノエチル)アミノフェニル)チタネート等のチタン系カップリング剤;Zr−アセチルアセトネート、Zr−メタクリレート、Zr−プロピオネート、ネオアルコキシジルコネート、ネオアルコキシトリスネオデカノイルジルコネート、ネオアルコキシトリス(ドデカノイル)ベンゼンスルフォニルジルコネート、ネオアルコキシトリス(エチレンジアミノエチル)ジルコネート、ネオアルコキシトリス(m−アミノフェニル)ジルコネート、アンモニウムジルコニウムカーボネート、Al−アセチルアセトネート、Al−メタクリレート、Al−プロピオネート等のジルコニウム、或いはアルミニウム系カップリング剤等が挙げられる。
【0043】
重合禁止剤の具体例としては、パラメトキシフェノール、メチルハイドロキノン等が挙げられる。
【0044】
光安定剤の具体例としては、例えば、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルアルコール、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアルコール、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル(メタ)アクリレート(アデカ(株)製、LA−82)、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシラート、テトラキス(2,2,6,6−トトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシラート、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールおよび3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンとの混合エステル化物、デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1−ウンデカンオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)カーボネート、2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−〔2−〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル〕−4−〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル−メタアクリレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)〔〔3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル〕メチル〕ブチルマロネート、デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1(オクチルオキシ)−4−ピペリジニル)エステル,1,1−ジメチルエチルヒドロペルオキシドとオクタンの反応生成物、N,N’,N″,N″′−テトラキス−(4,6−ビス−(ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ)−トリアジン−2−イル)−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン、ジブチルアミン・1,3,5−トリアジン・N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−1,6−ヘキサメチレンジアミンとN−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物、ポリ〔〔6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル〕〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕ヘキサメチレン〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕〕、コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールの重合物、2,2,4,4−テトラメチル−20−(β−ラウリルオキシカルボニル)エチル−7−オキサ−3,20−ジアザジスピロ〔5・1・11・2〕ヘネイコサン−21−オン、β−アラニン,N,−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)−ドデシルエステル/テトラデシルエステル、N−アセチル−3−ドデシル−1−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)ピロリジン−2,5−ジオン、2,2,4,4−テトラメチル−7−オキサ−3,20−ジアザジスピロ〔5,1,11,2〕ヘネイコサン−21−オン、2,2,4,4−テトラメチル−21−オキサ−3,20−ジアザジシクロ−〔5,1,11,2〕−ヘネイコサン−20−プロパン酸ドデシルエステル/テトラデシルエステル、プロパンジオイックアシッド,〔(4−メトキシフェニル)−メチレン〕−ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)エステル、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールの高級脂肪酸エステル、1,3−ベンゼンジカルボキシアミド,N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)等のヒンダートアミン系、オクタベンゾン等のベンゾフェノン系化合物、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミド−メチル)−5−メチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ペンチルフェニル)ベンゾトリアゾール、メチル3−(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートとポリエチレングリコールの反応生成物、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−ドデシル−4−メチルフェノール等のベンゾトリアゾール系化合物、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート系、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−〔(ヘキシル)オキシ〕フェノール等のトリアジン系化合物等が挙げられるが、特に好ましくは、ヒンダートアミン系化合物である。
【0045】
充填剤の具体例としては、例えば、結晶シリカ、溶融シリカ、アルミナ、ジルコン、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素、ジルコニア、フォステライト、ステアタイト、スピネル、チタニア、タルク等の粉体またはこれらを球形化したビーズ等が挙げられる。
【0046】
各種添加剤の組成物中に存在する場合、各種添加剤の光硬化型透明接着剤組成物中における重量割合は、0.01〜3重量%、好ましくは0.01〜1重量%、より好ましくは0.02〜0.5重量%である。
【0047】
本発明の紫外線硬化型樹脂組成物は、前記した各成分を常温〜80℃で混合溶解して得ることができ、必要により夾雑物をろ過等の操作により取り除いてもよい。本発明の接着用樹脂組成物は、塗布性を考え、25℃の粘度が300〜15000mPa・sの範囲となるように、成分の配合比を適宜調節することが好ましい。
【0048】
本発明の紫外線硬化型樹脂組成物の硬化物の硬化収縮率は3.0%以下であることが好ましく、2.0%以下であることが特に好ましい。これにより、紫外線硬化型樹脂組成物が硬化する際に、樹脂硬化物に蓄積される内部応力を低減することができ、基材と紫外線硬化型樹脂組成物の硬化物からなる層との界面に歪みができることを有効に防止することができる。
また、ガラス等の基材が薄い場合には、硬化収縮率が大きい場合には硬化時の反りが大きくなるころから、表示性能に大きな悪影響を及ぼすため、当該観点からも、硬化収縮率は少ない方が好ましい。
【0049】
本発明の紫外線硬化型樹脂組成物の硬化物の400nm〜800nmでの透過率が90%以上であることが好ましい。透過率が90%未満である場合、光が透過し難く、表示装置に使用した場合に視認性が低下してしまうためである。
また、硬化物の400〜450nmでの透過率が高いと視認性の向上が一層期待できることから、400〜450nmでの透過率が90%以上であることが好ましい。
【0050】
本発明の樹脂組成物は、一般式(1)で示される構造を有する化合物、ウレタン(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイル基を1個有する(メタ)アクリレートを含有しており、リワーク性にも優れる。
通常、リワークするために、張り合わされた基材を加熱した後、ワイヤーを用いて接着剤層を切り進むことによって基材と接着剤層の剥離を行う。その際に剥離を容易にするために溶剤を使用するが、本発明においては、組成物の成分が剥離性に優れるため、溶剤としてイソプロピルアルコール等のアルコール類を使用しても容易に剥離を行うことができる。
【0051】
本発明の紫外線硬化型樹脂組成物は、片方の基材に、スリットコーター、ロールコーター、スピンコーター、スクリーン印刷法等の塗工装置を用いて、塗布した樹脂の膜厚が10〜300μmとなるように塗布し、もう片方の基材を貼り合わせ、透明基材側から紫外〜近紫外(波長200〜400nm付近)の光線を照射して硬化させることで接着させることができる。照射量は約50〜3000mJ/cm2が好ましく、特に好ましくは、100〜2000mJ/cm2程度である。紫外〜近紫外の光線照射による硬化には、紫外〜近紫外の光線を照射するランプであれば光源を問わない。例えば、低圧、高圧若しくは超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、(パルス)キセノンランプ、または無電極ランプ等が挙げられる。
【0052】
本発明の紫外線硬化型樹脂組成物は2以上の光学基材を貼り合わせるのに好適に使用することができる。光学基材としては、下記の透明板、シート、板、表示体、タッチパネルが例として挙げられる。
【0053】
また、本発明の紫外線硬化型樹脂組成物は、タッチパネルにおいて、複数の透明板を張り合わせる接着剤として好適に使用することができる。
透明板の材質としては、様々な材料が使用できるが、具体的には、PET、PC、PMMA、PCとPMMAの複合体、ガラス、COC、COP、プラスチック(アクリル樹脂等)、偏光板、レンズ、プリズム、TAC、ITOガラス等を使用することができる。
【0054】
本発明の紫外線硬化型樹脂組成物は、タッチパネルとシート又は板を貼り合わせる接着剤としても使用することができる。
ここで、シートとしては、アイコンシート、化粧シート、保護シートが挙げられ、板としては化粧板、保護板が挙げられる。そして、シートないし板の材質としては、透明板の材質として列挙したものが適用できる。また、タッチパネル面の材質としては、ガラス、PET、PC、PMMA、PCとPMMAの複合体、COC、COPが挙げられる。
【0055】
本発明の紫外線硬化型樹脂組成物は、液晶表示装置の表示体と光学機能材料とを貼り合わせるためにも好適に使用することができる。表示体としては、ガラスに偏光板を貼り付けてあるLCD、ELディスプレイ、EL照明、電子ペーパーやプラズマディスプレイ等の表示装置が挙げられる。また、光学機能材料としては、アクリル板、PC板、PET板、PEN板等の透明プラスチック板、強化ガラス、タッチパネル入力センサーが挙げられる。
【0056】
透明板を張り合わせる接着材として使用した場合に、視認性向上のために硬化物の屈折率が1.45〜1.55であることが好ましい。
当該屈折率の範囲内であれば、透明板として使用される基材との屈折率の差を低減させることができ、光の乱反射を抑えて光損失を低減させることが可能となる。
【0057】
本発明の紫外線硬化型樹脂組成物で張り合わせた表示体と光学機能材料とを含む表示パネルは、例えば、テレビ、小型ゲーム機、携帯電話、パソコンなどの電子機器に組み込むことができる。
【実施例】
【0058】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら制限されるものではない。
【0059】
実施例1〜6、比較例1〜2を表1に示した組成からなる紫外線硬化型樹脂組成物を調整した。
【0060】
【表1】

【0061】
なお、表1中に略称で示した各成分は下記の通りである。
UP−1170:アクリルポリマー、重量平均分子量8000、東亜合成(株)社製
UH−2190:アクリルポリマー、重量平均分子量6000、東亜合成(株)社製
HX−220:カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、(メタ)アクリル当量:270、日本化薬(株)社製
HX−620:カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、(メタ)アクリル当量:384、日本化薬(株)社製
FA−P270A:ポリプロピレングリコールジアクリレート、(メタ)アクリル当量:412、日立化成工業(株)社製
FA−P2100A:ポリプロピレングリコールジアクリレート、(メタ)アクリル当量:555、日立化成工業(株)社製
FA−P2200A:ポリプロピレングリコールジアクリレート、(メタ)アクリル当量:1055、日立化成工業(株)社製
FA−PTG9A:ポリテトラメチレングリコールジアクリレート、(メタ)アクリル当量:379、日立化成工業(株)社製
TPGDA:トリプロピレングリコールジアクリレート、(メタ)アクリル当量:150、サートマー社製
SR−495B:カプロラクトン変性ヒドロキエチルルアクリレート、(メタ)アクリル当量:344、サートマー社製
イルガキュアー184:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、BASF社製
【0062】
得られた本発明の紫外線硬化型樹脂組成物を用いて以下評価を行った。
【0063】
(硬化性)厚さ1mmのスライドガラス2枚で、得られた紫外線硬化型樹脂組成物の膜厚が200μmとなるように貼り合わせ、ガラス越しに高圧水銀灯(80W/cm、オゾンレス)で2000mJ/cmの紫外線照射を行い、硬化状態を確認した。
○・・・完全に硬化していた
△・・・半硬化状態
×・・・未硬化
【0064】
(硬化収縮率)フッ素系離型剤を塗布した厚さ1mmのスライドガラス2枚で、得られた紫外線硬化型樹脂組成物の膜厚が200μmとなるように貼り合わせ、ガラス越しに高圧水銀灯(80W/cm、オゾンレス)で2000mJ/cmの紫外線照射を行い、硬化させ膜比重測定用の硬化物を作製した。これを、JIS K7112 B法に準拠し、硬化物の比重(DS)を測定した。また、25℃で樹脂組成物の液比重(DL)を測定し、次式より硬化収縮率を算出した。
硬化収縮率(%)=(DS−DL)÷DS×100
◎・・・1.0%未満
○・・・1.0%以上、3.0%未満
×・・・3.0%以上
【0065】
(接着性)厚さ0.8mmのスライドガラスと厚さ0.8mmのアクリル板を、得られた紫外線硬化型樹脂組成物の膜厚が200μmとなるように貼り合わせ、ガラス越しに高圧水銀灯(80W/cm、オゾンレス)で2000mJ/cmの紫外線照射を行い、評価用サンプルを作製した。これを、85℃、85%RH環境下、500時間放置し、目視にて剥がれを確認した。
○・・・剥がれなし
×・・・剥がれあり
【0066】
(柔軟性)得られた紫外線硬化型樹脂組成物を充分に硬化させ、JIS K7215に準じて、デュロメータE硬さを測定し、柔軟性を評価した。
◎・・・10未満
○・・・10以上、20未満
△・・・20以上、40未満
×・・・40以上
【0067】
(透明性)フッ素系離型剤を塗布した厚さ1mmのスライドガラス2枚で、得られた紫外線硬化型樹脂組成物の膜厚が200μmとなるように貼り合わせ、ガラス越しに高圧水銀灯(80W/cm、オゾンレス)で2000mJ/cmの紫外線照射を行い、透明性測定用の硬化物を作製した。透明性は分光光度計(U−3310、日立ハイテクノロジーズ(株))を用いて、400〜800nmの透過率を測定した。
○・・・透過率98%以上
×・・・透過率98%未満
【0068】
表1の結果より、特定の重量平均分子量を有する(メタ)アクリルポリマー、(メタ)アクリル当量が200g/eq.以上で2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート化合物を含有する実施例1〜6の本発明の樹脂組成物は、硬化性に優れ、硬化時の収縮が小さく、硬化物の透明性、基材との接着性かつ柔軟性に優れる光学透明接着剤を得ることが出来た。一方で、比較例1のように(メタ)アクリル当量が200未満で2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート化合物や比較例2のように(メタ)アクリル当量が200以上で1個の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート化合物では本発明の課題を達成することができなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つ以上の基材を貼り合わせる接着剤用紫外線硬化型樹脂組成物であって、重量平均分子量が1500〜30000である(メタ)アクリルポリマー(A)、(メタ)アクリル当量が200g/eq.以上で2個以上のアクリロイル基を有する(メタ)アクリレート化合物(B)及び光重合開始剤(C)を含有することを特徴とする紫外線硬化型樹脂組成物
【請求項2】
重量平均分子量が1500〜30000である(メタ)アクリルポリマー(A)が、メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる1種以上を重合させて得られる(メタ)アクリレートポリマーであることを特徴とする請求項1に記載の紫外線硬化型樹脂組成物。
【請求項3】
(メタ)アクリル当量が200g/eq.以上で2個以上のアクリロイル基を有する(メタ)アクリレート化合物(B)が、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリテトラメチレングリコールジアクリレートからなる群から選ばれる1種以上である請求項1または請求項2のいずれか一項に記載の紫外線硬化型樹脂組成物。
【請求項4】
組成物全体に対して、重量平均分子量が1500〜30000である(メタ)アクリルポリマー(A)が70〜95重量%、(メタ)アクリル当量が200g/eq.以上で2個以上のアクリロイル基を有する(メタ)アクリレート化合物(B)が10〜30重量%及び光重合開始剤(C)が3〜12重量%含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の紫外線硬化型樹脂組成物。
【請求項5】
硬化収縮率が3.0%以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の紫外線硬化型樹脂組成物。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の紫外線硬化型樹脂組成物に活性エネルギー線を照射して得られる硬化物。
【請求項7】
請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の紫外線硬化型樹脂組成物を用いてなることを特徴とするタッチパネル。

【公開番号】特開2013−100413(P2013−100413A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−245158(P2011−245158)
【出願日】平成23年11月9日(2011.11.9)
【出願人】(000004086)日本化薬株式会社 (921)
【Fターム(参考)】