説明

紫外線硬化型樹脂組成物およびその硬化物

【課題】透明性、低吸水性に優れ、かつ反りの少ない高耐久性を有する紫外線硬化型樹脂組成物である高密度光ディスク用保護コート剤とその硬化物を提供することを可能にしたものであり、青色レーザーを用いて読み取り及び/又は書き込みを行う光ディスクに極めて有用である。
【解決手段】下記一般式(1)
【化1】

(式中Rは水素原子又はメチル基を示す。)
で示される化合物(A)、光重合開始剤(B)、及び化合物(A)以外のエチレン性不飽和化合物(C)を含有し、B型粘度計で測定した25℃の粘度が100〜5000mPa・Sである紫外線硬化型樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線硬化型樹脂組成物及びその硬化物に関し、特に硬化物の吸水率、硬化収縮率が低く、透明性、耐久性に優れた次世代高密度光ディスクに関する。
【背景技術】
【0002】
今日、実用化されている光ディスク記録媒体として一般的なものとしてCD(コンパクトディスク)、MO(光磁気ディスク)、CD−R(追記型コンパクトディスク)、CD−RW(書き換え型コンパクトディスク)等がある。これらは、1.2mmのポリカーボネート基板上に記録膜、反射膜を形成し、外的要因からこれらを保護する目的で紫外線硬化型のコート剤の保護層が設けられている。また近年、さらなる記憶容量の向上のためにポリカーボネートの厚さを従来の厚さの半分の0.6mmにし、2枚の基板を貼り合わせる事でポリカーボネート基板の複屈折の問題やレーザースポット径を小さくするといった課題をクリアーしたDVD−R、DVD−RW、DVD−RAM、DVD+R、DVD+RW等が実用化されている。これらは、何れも0.6mmのポリカーボネート基板上に記録膜、反射膜等を形成し、上記と同様に保護、接着の目的で紫外線硬化型の保護層あるいは接着剤層が設けられている。
【0003】
しかしながら、デジタル放送時代の大容量化に対応する記録媒体として、DVD記録媒体では未だ容量不足である。そこで、次世代の高密度光ディスクとして基板上に記録層と、100μmの透明層を積層し、ポリカーボネート基板からではなく、透明カバー層側から青色レーザー光により書き込み、読み取りを行うタイプの光ディスクが提案(特許文献1)、実用化されている。
【0004】
このカバー層の形成方法としては、100μmの透明フィルムを貼り合わせる方法と紫外線硬化型樹脂を用いて記録膜上に100μmの層を形成する方法とがあり、紫外線硬化型樹脂層の形成方法としては2P法、スピンコーター法とが提案されている。このような記録膜上に形成する紫外線硬化樹脂としては、例えば、特許文献2、特許文献3に記載されている組成物などの2P剤が提案されている。また、特許文献4、特許文献5、特許文献6に記載されている組成物などの保護コート剤が提案されている。
【0005】
【特許文献1】特開平11−273147号公報
【特許文献2】特開平5−059139号公報
【特許文献3】特開平5−132534号公報
【特許文献4】特開平3−131605号公報
【特許文献5】特開平3−172358号公報
【特許文献6】特開平2003−268263号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、これらの紫外線硬化型樹脂組成物は硬化収縮率が大きいため、高密度光ディスクの透明カバー層に使用すると反りを発生し、さらに耐久性試験後にはより大きな反りが発生してしまうとの課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、前記の課題を解決すべく鋭意検討の結果、上記課題を解決するのに適する樹脂組成物を見出したものである。
すなわち本発明は、
(1)下記一般式(1)
【0008】
【化1】

【0009】
(式中Rは水素原子又はメチル基を示す。)
で示される化合物(A)、光重合開始剤(B)、及び化合物(A)以外のエチレン性不飽和化合物(C)を含有し、B型粘度計で測定した25℃の粘度が100〜5000mPa・Sである紫外線硬化型樹脂組成物、
(2)エチレン性不飽和化合物(C)が分子量400〜10000のウレタンアクリレート及び/又は分子量500〜10000のエポキシアクリレートである請求項1に記載の紫外線硬化型樹脂組成物、
(3)光ディスク用保護コート剤である、請求項1又は請求項2に記載の紫外線硬化型樹脂組成物、
(4)請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の紫外線硬化型樹脂組成物を硬化して得られる硬化物、
(5)硬化物の吸水率(測定温度25℃)が2.0%以下で、硬化収縮率が6%以下である請求項4に記載の紫外線硬化型樹脂組成物の硬化物、
(6)硬化物の膜厚50〜150μmにおける青色レーザーの透過率が70%以上である請求項4又は請求項5に記載の硬化物、
(7)請求項4乃至請求項6のいずれか一項に記載の紫外線硬化型樹脂組成物の硬化物層を有する光ディスク、
(8)記録光及び/又は再生光が入射する側に当該紫外線硬化型樹脂組成物の硬化物層が構成されている請求項7に記載の光ディスクに関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の紫外線硬化型樹脂組成物及びその硬化物は、透明性、低吸水性に優れ、かつ反りの少ない高耐久性を有する高密度光ディスク用保護コート剤とその硬化物を提供することを可能にしたものであり、青色レーザーを用いて読み取り及び/又は書き込みを行う光ディスクに極めて有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明は、透明性、低吸水性に優れ、かつ反りの少ない高耐久性を有する高密度光ディスク用保護コート剤とその硬化物を提供するものであるが、その他光ファイバ、光スイッチング素子等の光学用途に関わる材料にも適用することができる。以下、本発明について詳細に説明する。
【0012】
本発明の紫外線硬化型樹脂組成物は、下記一般式(1)
【0013】
【化2】

【0014】
(式中Rは水素原子又はメチル基を示す。)で示される化合物(A)、光重合開始剤(B)、及び化合物(A)以外のエチレン性不飽和化合物(C)を含有し、B型粘度計で測定した25℃の粘度が100〜5000mPa・Sである紫外線硬化型樹脂組成物である。
【0015】
本発明の紫外線硬化型樹脂組成物に含有される化合物(A)は、硬化物の低吸水率性能及び低収縮率性能に寄与するものであり、例えば、ペンタシクロペンタデカンジメチロールと(メタ)アクリル酸とを酸触媒の存在下で脱水縮合させる方法により得ることができる。ペンタシクロペンタデカンジメタノールは、例えば特開2001−10999に開示されている方法で得ることができる。
本発明の紫外線硬化型樹脂組成物に含有される化合物(A)は、ペンタシクロペンタデカンジメチロール部位が前記一般式(I)中の上の図で示される左右対称型の構造と前記一般式(I)中の下の図で示される左右非対称型の構造がある。
【0016】
本発明の紫外線硬化型樹脂組成物中の化合物(A)の含有量としては5〜98重量部が好ましく、特に好ましくは10〜96重量部である。
【0017】
本発明の紫外線硬化型樹脂組成物に含有される光重合開始剤(B)としては、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(イルガキュアー184;チバ・スペシャリティ・ケミカルズ製)、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン(イルガキュア651;チバ・スペシャリティ・ケミカルズ製)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(ダロキュア1173;チバ・スペシャリティ・ケミカルズ製)、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン(イルガキュアー907;チバスペシャリティーケミカルズ製)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド等が挙げられる。これらの光重合開始剤は1種類でも複数でも任意の割合で混合して使用することができ、アミン類等の光重合開始助剤と併用することも可能である。
本発明の紫外線硬化型樹脂組成物中の光重合開始剤(B)の含有量としては0.5〜20重量部が好ましく、特に好ましくは1〜10重量部である。
【0018】
本発明で使用しうるアミン類等の光重合開始助剤としては、例えば、ジエタノールアミン、2−ジメチルアミノエチルベンゾエート、ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル等が挙げられる。光重合開始助剤を併用する場合、本発明の紫外線硬化型脂組組成物中の含有量としては0.05〜5重量部が好ましく、特に好ましくは0.1〜3重量部である。
【0019】
本発明の紫外線硬化型樹脂組成物で用いうるエチレン性不飽和化合物(C)としては、例えば、アクリレートモノマー、アクリレートオリゴマー等を挙げることができ、それらは任意に使用しても良い。
【0020】
エチレン性不飽和化合物(C)としてのアクリレートモノマーは、分子中に1個の(メタ)アクリレート基を有する単官能モノマーと分子中に2個以上の(メタ)アクリレート基を有する多官能モノマーに分類できる。
分子中に1個の(メタ)アクリレート基を有する単官能モノマーとしては、例えばトリシクロデカン(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエンオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、フェニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、モルフォリン(メタ)アクリレート、フェニルグリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0021】
また、分子中に2個以上の(メタ)アクリレート基を有する(メタ)アクリレートモノマー(C)としては、例えばネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバルアルデヒド変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリス[(メタ)アクリロキシエチル]イソシアヌレート、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0022】
これらアクリレートモノマーは1種、2種以上でも任意の割合で混合使用してもかまわない。アクリレートモノマーを使用する場合、本発明の紫外線硬化型樹脂組成物中の含有量としては、1〜90重量部が好ましく、特に好ましくは5〜85重量部である。
【0023】
本発明の紫外線硬化型樹脂組成物は、B型粘度計で測定した25℃の粘度が100〜5000mPa・Sのものが望ましい。
【0024】
エチレン性不飽和化合物(C)としてのアクリレートオリゴマーとしては、例えば、分子量400〜10000のウレタンアクリレート、500〜10000のエポキシアクリレートを挙げることができる。
【0025】
分子量400〜10000のウレタン(メタ)アクリレートは、下記多価アルコールと有機ポリイソシアネートとヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物との反応によって得られる。
多価アルコールとして、例えば、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、トリシクロデカンジメチロール、ビス−[ヒドロキシメチル]−シクロヘキサン等、また前記多価アルコールと多塩基酸(例えば、コハク酸、フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テレフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、テトラヒドロ無水フタル酸等)との反応によって得られるポリエステルポリオール、及び前記多価アルコールとε−カプロラクトンとの反応によって得られるカプロラクトンアルコール、及びポリカーボネートポリオール(例えば、1,6−ヘキサンジオールとジフェニルカーボネートとの反応によって得られるポリカーボネートジオール等)、及びポリエーテルポリオールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、エチレンオキサイド変性ビスフェノールA等があげられる。
有機ポリイソシアネートとしては、例えばイソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4'−ジイソシアネート、ジシクロペンタニルイソシアネート等が挙げられる。
ヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物としては、例えばヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ジメチロールシクロヘキシルモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシカプロラクトン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
分子量400〜10000のウレタン(メタ)アクリレートを使用する場合、本発明の紫外線硬化型樹脂組成物中の含有量としては1〜90重量部が好ましく、特に好ましくは3〜85重量部である。
【0026】
本発明の紫外線硬化型樹脂組成物で使用する分子量500〜10000のエポキシアクリレートとしては、特に制限はないが、ビスフェノール型エポキシアクリレートを用いることが好ましく、例えば、油化シェルエポキシ社製エピコート802、1001、1004等のビスフェノールA型エポキシ樹脂、及びエピコート4001P、4002P、4003P等のビスフェノールF型エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応によって得られるエポキシアクリレートが挙げられる。また、上記を水添した脂環式エポキシアクリレートも使用しても良い。分子量500〜10000のエポキシアクリレートを使用する場合、本発明の紫外線硬化型樹脂組成物中の含有量としては1〜90重量部が好ましく、特に好ましくは3〜85重量部である。
【0027】
本発明の紫外線硬化型樹脂組成物には、必要に応じて高分子ポリマーとして、ポリエステル系、ポリカーボネート系、ポリアクリル系、ポリウレタン系、ポリビニル系樹脂を含有することもできる。さらに、有機溶剤、シランカップリング剤、重合禁止剤、レベリング剤、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、表面潤滑剤、充填剤などの添加剤も併用することができる。
【0028】
本発明の紫外線硬化型樹脂組成物は、前記した各成分を攪拌混合により20〜80℃で混合溶解して得ることができ、組成物を得た後、濾過してもよい。また、本発明の硬化物は、下記の方法により紫外線、可視光線などの光線を本発明の紫外線硬化型樹脂組成物に照射する事により得ることができる。
【0029】
本発明の紫外線硬化型樹脂組成物の光照射硬化は、紫外〜近紫外の光線を照射するランプであれば光源を問わない。例えば、低圧、高圧又は超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、(パルス)キセノンランプ、また無電極ランプなどが挙げられる。
【0030】
本発明の紫外線硬化型樹脂組成物は、硬化する際の硬化収縮率が6%以下で、その硬化物の吸水率(測定温度25℃)が2.0%以下であることが好ましい。
【0031】
本発明の紫外線硬化型樹脂組成物を用いた光ディスク用保護コート剤は、膜厚が50〜100μmとなるようにできれば塗工方法は問わないが、塗工方法として、例えば、スピンコート法、2P法、ロールコート法、スクリーン印刷法等が挙げられる。
【0032】
また、次世代の高密度光ディスクには読み取り及び/又は書き込みに400nm前後の青色レーザーが使用されることから、膜厚50〜150μmの硬化物において400〜500nm付近の透過率が70%以上であることが好ましい。
更には、本発明による光ディスクにおいては、記録光及び/又は再生光が入射する側に当該紫外線硬化型樹脂組成物の硬化物層が構成されているものが好適なものとして挙げられる。
【実施例】
【0033】
以下、本発明について実施例を用いて詳細に説明する。
【0034】
合成例
還流冷却器、攪拌機、温度計、温度調節装置、及び水分離機を備えた反応器に、ペンタシクロペンタデカンジメチロール39.4g(0.15mol)、アクリル酸25.9g(0.36mol)、パラトルエンスルホン酸0.518g、ハイドロキノン0.197g、トルエン22.9g、シクロヘキサン9.8g仕込み、反応温度95〜105℃で生成水を溶媒と共沸留去しながら反応させ、生成水が5.4mlに達したところで反応の終点とした。反応混合物にトルエン83.8g及びシクロヘキサン35.9gを加え、25重量%苛性ソーダ水溶液で中和した後、15重量%食塩水30gで3回洗浄した。溶媒を減圧留去して淡黄色液状の下記構造式(A−1)を54.2g(収率97.5%)得ることができた。
【0035】
【化3】

【0036】
このようにして、合成例で得られた化合物を使用して、以下の実施例及び比較例をおこなった。表1中の部は、重量部である。表1に示した組成からなる紫外線硬化型樹脂組成物を常法により調製した。
【0037】
表1

実施例1 実施例2 実施例3 比較例1 比較例2
成分(A) (部)
A−1 100 60 70
成分(C) (部)
UX−6101 10 20 20 50
R−604 30 80
PEG−400DA 50
LA 10
成分(B) (部)
イルガキュアー184 5 5 5 5
BP−100 5
EPA 3

粘度(mPa・S/25℃)2045 3500 2300 1700 2000
収縮率(%) 4.8 5.3 5.0 7.1 6.7
吸水率(%) 0.3 0.5 0.5 1.0 3.1
透過性(%) 80 80 80 80 80
反り ○ ○ ○ × ×
耐久性 ○ ○ ○ ○ ×
【0038】
なお、表中に示した各組成の略号は下記の通りである。
UX−6101:ポリエステル系ウレタンアクリレート(分子量;2700±500)、日本化薬社製
R−604:ヒドロキシピバルアルデヒド変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、日本化薬社製
PEG−400DA:ポリエチレングリコールジアクリレート、日本化薬社製
LA:ラウリルアクリレート、日本油脂社製
イルガキュアー184:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、チバ・スペシャルティーケミカル社製 光重合開始剤
BP−100:ベンゾフェノン、日本化薬社製
EPA:4−ジメチルアミノエチルベンゾエート、日本化薬社製
【0039】
本発明において、粘度はB型粘度計で測定したものを基準とした。
本発明において、硬化収縮率とは、25℃における硬化前の液比重と硬化して得られる25℃における膜比重から下記の数式(1)から算出した値とした。
【0040】
(数式1)
硬化収縮率=(膜比重−液比重)/膜比重×100 (1)
【0041】
本発明において吸水率とは、JIS K−7209 7.2.1に準拠の方法により得られた値とした。
また、透過率の測定は、ポリカ基盤にスピンコートで樹脂を100±10μmの厚さで塗布し、UV硬化後、ポリカの基盤をリファレンスとして405nmの透過率を測定することにより行った。
【0042】
本発明において反りの評価は、アルミをスパッタしたDVD基板を使用した。表1記載の組成物を各々スピンコーターによりアルミスパッタされたDVD基板上に塗布し、平均膜厚が100μmの塗膜とした。その塗膜をUV照射機(日本電池社製CS−30L、80w/cm高圧水銀灯)のランプ高さを10cmに設定し、積算光量1000mj/cmのエネルギー量で硬化させた。得られた試験片を24時間放置後、ガラス板上に載せ、反りの評価を行った。
○・・・ほとんど反りが認められない。
△・・・試験片の片側を指で押さえると、反対側が持ち上がるが2mm以下である。
×・・・試験片の片側を指で押さえると、反対側が5mm以上持ち上がる。
【0043】
本発明において耐久性の評価は、反りの評価に用いた試験片を使用し80℃、85%RH環境下、500時間放置した。目視による反射膜の状態を観察した。
○・・・接着直後から反射膜に変化が見られない。
△・・・反射膜に変色又は、ピンホールが少し見られる。
×・・・反射膜に変色又は、ピンホールが大きく見られる。
【0044】
本発明の紫外線硬化型樹脂組成物及びその硬化物は、透明性、低吸収性に優れ、かつ反りの少ない高耐久性を有する高密度光ディスク用保護コート剤とその硬化物を提供することを可能にしたものであり、青色レーザーを用いて読み取り及び/又は書き込みを行う光ディスクに極めて有用である。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明の紫外線硬化型樹脂組成物及びその硬化物は、主として、光ディスク用保護コート剤とその硬化物を提供するものであるが、その他、光ファイバ、光スイッチング素子等の光学用途に関わる材料にも適用することができる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)
【化1】


(式中Rは水素原子又はメチル基を示す。)
で示される化合物(A)、光重合開始剤(B)、及び化合物(A)以外のエチレン性不飽和化合物(C)を含有し、B型粘度計で測定した25℃の粘度が100〜5000mPa・Sである紫外線硬化型樹脂組成物。
【請求項2】
エチレン性不飽和化合物(C)が分子量400〜10000のウレタンアクリレート及び/又は分子量500〜10000のエポキシアクリレートである請求項1に記載の紫外線硬化型樹脂組成物。
【請求項3】
光ディスク用保護コート剤である、請求項1又は請求項2に記載の紫外線硬化型樹脂組成物。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の紫外線硬化型樹脂組成物を硬化して得られる硬化物。
【請求項5】
硬化物の吸水率(測定温度25℃)が2.0%以下で、硬化収縮率が6%以下である請求項4に記載の紫外線硬化型樹脂組成物の硬化物。
【請求項6】
硬化物の膜厚50〜150μmにおける青色レーザーの透過率が70%以上である請求項4又は請求項5に記載の硬化物。
【請求項7】
請求項4乃至請求項6のいずれか一項に記載の紫外線硬化型樹脂組成物の硬化物層を有する光ディスク。
【請求項8】
記録光及び/又は再生光が入射する側に当該紫外線硬化型樹脂組成物の硬化物層が構成されている請求項7に記載の光ディスク。

【公開番号】特開2008−24724(P2008−24724A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−330498(P2004−330498)
【出願日】平成16年11月15日(2004.11.15)
【出願人】(000004086)日本化薬株式会社 (921)
【Fターム(参考)】