説明

紫外線硬化型樹脂組成物

【課題】 樹脂組成物が、掻き取り後の凹部分の平滑性、遮蔽性および硬化性に優れる紫外線硬化型樹脂組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】 数平均分子量が1,000〜10,000であって、分子内に(メタ)アクリロイル基を少なくとも1個有するウレタンオリゴマー(A)、数平均分子量1,000未満の(メタ)アクリレートモノマー(B)、黒色顔料(C)および光重合開始剤(D)を必須成分として含有し、該黒色顔料(C)の平均一次粒子径が400nm以下であり、(A)、(B)、(C)および(D)の合計に基づいて(D)の含有量が1〜10重量%であることを特徴とする紫外線硬化型樹脂組成物を使用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、黒色顔料を含有した紫外線硬化型樹脂組成物に関する。さらに詳しくは、塗布面の平滑性、樹脂レンズの凹部分への流れ込み性、および黒色顔料の分散安定性に優れる紫外線硬化型樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からプロジェクションテレビジョン等の投写スクリーンに使用されるレンチキュラーレンズは、シリンドリカルレンズが多数並んで形成されたもので、シリンドリカルレンズ間の凹部には、室内灯や太陽光等による外光反射を抑えて映像コントラストを向上させるため、光吸収性のブラックストライプが設けられている。このようなブラックストライプには、十分な遮蔽性や外観の黒さが要求される。
ブラックストライプは、金型でシリンドリカルレンズ形状を付与した透明樹脂レンズの凹部分に、黒色顔料を分散させた紫外線硬化型樹脂組成物を流し込み、この凹部より上部にはみ出た紫外線硬化型樹脂組成物を掻き取った後に、紫外線を照射して硬化させることにより形成される。
【0003】
黒色顔料を導入した紫外線硬化型樹脂組成物としては、例えば、黒色顔料を含有した様々な樹脂組成物が塗料やインキとして知られている。そして、黒色顔料としては、カーボンブラックを分散させた樹脂ビーズなどが知られている。
しかし、単純に樹脂ビーズ等の平均一次粒子径の大きい黒色顔料を樹脂組成物に分散しただけでは、はみ出た樹脂の掻き取り後に平滑な塗布面が得られない。
また、十分な遮蔽性を得るには樹脂ビーズの添加量を高くする必要があり、そうすると今度はレンズの凹部分への入り込み性が悪くなる。
【0004】
塗布面の平滑性および遮蔽性を解決するために、黒色顔料の平均一次粒子径を小さくしたものが提案されている(例えば特許文献1)。
しかし、黒色顔料の平均一次粒子径を小さくすると、黒色顔料の紫外線硬化型樹脂組成物中での黒色顔料の紫外線硬化型樹脂組成物に対する分散安定性が悪化し、黒色顔料の凝集が起こる問題が発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−36775号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明は、塗工面の平滑性、樹脂レンズの凹部分への入り込み性、および分散安定性に優れる黒色顔料を含有した紫外線硬化型樹脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記の目的を達成するべく検討を行った結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、数平均分子量が1,000〜10,000であって、分子内に(メタ)アクリロイル基を少なくとも1個有するウレタンオリゴマー(A)、数平均分子量1,000未満の(メタ)アクリレートモノマー(B)、黒色顔料(C)および光重合開始剤(D)を必須成分として含有し、該黒色顔料(C)の平均一次粒子径が400nm以下であり、(A)、(B)、(C)および(D)の合計に基づいて(D)の含有量が1〜10重量%であることを特徴とする紫外線硬化型樹脂組成物(Q)である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の紫外線硬化型樹脂組成物(Q)は、平均一次粒子径が400nm以下の黒色顔料(C)を含んでいるため、掻き取り後の凹部分の平滑性に優れ、かつ遮蔽性に優れる。
また、紫外線照射することで硬化することが出来るため、ブラックストライプの形成が可能である。
本発明は塗工面の平滑性、遮蔽性、樹脂レンズの凹部分への流れ込み性、および黒色顔料の分散安定性に優れる黒色顔料を含有した紫外線硬化型樹脂組成物を提供することが出来る。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、数平均分子量が1,000〜10,000であって分子内に(メタ)アクリロイル基を少なくとも1個有するウレタンオリゴマー(A)、数平均分子量1,000未満の(メタ)アクリレートモノマー(B)、黒色顔料(C)、および光重合開始剤(D)を必須成分とすることを特徴とした紫外線硬化型樹脂組成物(Q)である。
【0010】
本発明のウレタンオリゴマー(A)は、紫外線硬化型樹脂組成物(Q)の樹脂粘度を調整し塗工時の液垂れを防止するために必須成分である。
ウレタンオリゴマー(A)は、ポリイソシアネート(以下、PIと略記することがある。)(Aa)とポリオール(Ab)と水酸基含有(メタ)アクリレート(Ac)との反応生成物からなる。
【0011】
本発明におけるポリイソシアネート(Aa)には、炭素数(NCO基中のCを除く、以下同じ)6〜20の芳香族PI(Aa−1)、炭素数2〜18の脂肪族PI(Aa−2)、炭素数4〜45の脂環式PI(Aa−3)、炭素数8〜15の芳香脂肪族PI(Aa−4)、および(Aa−1)〜(Aa−4)のヌレート化物(Aa−5)などが挙げられる。これらは2種類以上組み合わせても良い。
【0012】
炭素数(NCO基中のCを除く、以下同じ)6〜20の芳香族PI(Aa−1)としては、例えば、1,3−および/または1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−および/または2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、4, 4’−および/または2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、m−およびp−イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネート、4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトビフェニ ル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、1,5−ナフチレンジイソシアネート、およびm−およびp−イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネート;および3官能以上のPI(トリイソシアネート等)、例えば粗製TDI、粗製MDI(ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート)および4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネート等が挙げられる。
【0013】
炭素数2〜18の脂肪族PI(Aa−2)としては、例えばエチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ヘプタメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、ノナメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,2,4−および/または2,4,4 −トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、2,6−ジイソシアナトエチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネートおよびトリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI);および3官能以上のPI(トリイソシアネート等)、例えば1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、1,8−ジイソシアネート−4−イソシアネートメチルオクタン、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネートおよびリジンエステルトリイソシアネート(リジンとアルカノールアミンの反応生成物のホスゲン化物、例えば2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート、2−および/または3−イソシアナトプロピル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート)等が挙げられる。
【0014】
炭素数4〜45の脂環式PI(Aa−3)としては、例えばイソホロンジイソシアネート(IPDI)、2,4−および/または2,6−メチルシクロヘキサンジイソシアネート(水添TDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(水添MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキシレン−1,2−ジカルボキシレートおよび2,5−および/または2,6−ノルボルナンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート(DDI);および3官能以上のPI(トリイソシアネート等)、例えばビシクロヘプタントリイソシアネート等が挙げられる。
【0015】
炭素数8〜15の芳香脂肪族PI(Aa−4)としては、例えば、m−および/またはp−キシリレンジイソシアネート(XDI)、ジエチルベンゼンジイソシアネートおよびα,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)等が挙げられる。
【0016】
本発明におけるポリオール(Ab)には、2価のアルコール(Ab−1)、および3価〜8価またはそれ以上の多価アルコール(Ab−2)が挙げられる。
2価のアルコール(Ab−1)としては、例えば、炭素数2〜12の脂肪族2価アルコール[(ジ)アルキレングリコール(エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−、2,3−、1,3−および1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールおよび3−メチルペンタンジオール等]、炭素数6〜10の脂環式骨格を有する2価アルコール[1,3−および1,4−シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール等]、炭素数8〜20の芳香脂肪族2価アルコール[キシリレングリコール、ビス(ヒドロキシエチル)ベンゼン等]等が挙げられる。
【0017】
3価〜8価またはそれ以上の多価アルコール(Ab−2)としては、例えば、(シクロ)アルカンポリ オールおよびそれらの分子内もしくは分子間脱水物[グリセリン、トリメチロー ルプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールおよびジペンタエリスリト ール、1,2 ,6−ヘキサントリオール、エリスリトール、シクロヘキサントリオール、マンニトール、キシリトール、ソルビタン、ジグリセリンその他のポリグリセリン等]、糖類およびその誘導体[ショ糖、グルコース、フラクトース、マンノース、ラクトース、グルコシド(メチルグルコシド等)等];ポリエーテルポリオール[上記2価アルコール、もしくは3価〜8価またはそれ以上の多価アルコールのアルキレンオキサイド(以下AOと略記)付加物(分子量150〜Mn20,000)、ポリテトラメチレングリコール(Mn400〜10,000)等]、ポリエステルポリオール(Mn200〜20,000)、Mn200〜10,000の、ポリカプロラクトン、ポリカーボネート、ポリブタジエン、水添ポリブタジエン、ポリイソプレンポリオールおよび水添ポリイソプレンポリオール、並びにこれらのポリエステルポリオール、ポリカプロラクトン、ポリカーボネート、ポリブタジエン、水添ポリブタジエン、ポリイソプレンポリオールおよび水添ポリイソプレンポリオールのAO1〜300モル付加物が含まれる。
【0018】
水酸基含有(メタ)アクリレート(Ac)としては、例えば、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート[2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなど]、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート[ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートなど]、アルキロール(メタ)アクリルアミド[N−メチロール(メタ)アクリルアミドなど]などが挙げられる。
【0019】
ポリイソシアネート(Aa)とポリオール(Ab)、および水酸基含有(メタ)アクリレート(Ac)との反応におけるNCO/OH当量比は特に限定されないが、貯蔵安定性の観点から好ましくは1/0.5〜1/10、さらに好ましくは1/0.7〜1/5、とくに好ましくは1/1〜1/2である。
【0020】
ポリイソシアネート(Aa)とポリオール(Ab)、および水酸基含有(メタ)アクリレート(Ac)とを反応させてなるウレタンオリゴマー(A)の製造においては、ウレタン化触媒を用いてもよい。ウレタン化触媒には、金属化合物(有機ビスマス化合物、有機スズ化合物、有機チタン化合物等)および4級アンモニウム塩が含まれる。
【0021】
ウレタン化触媒の使用量は、(Aa)と(Ab)および(Ac)の合計重量に基づいて通常1%以下、反応性および透明性の観点から好ましくは0.001〜0.5%、さらに好ましくは、0.05〜0.2%である。
【0022】
ポリイソシアネート(Aa)とポリオール(Ab)、および水酸基含有(メタ)アクリレート(Ac)のウレタン化反応の条件は、特に限定されず、通常40〜100℃、反応性および該混合物の安定性の観点から好ましくは60〜95℃で、2〜20時間反応させてウレタンオリゴマー(A)を製造することができる。また、必要により溶剤(酢酸エチル、メチルエチルケトン、トルエン等)で希釈して反応させてもよい。 溶剤の使用量は、(Aa)と(Ab)および(Ac)の合計重量に基づいて通常5,000%以下、下限は混合物の取り扱い性の観点から好ましくは10%、上限は反応速度の観点から好ましくは1,000%である。
【0023】
ウレタン化反応は、常圧、減圧または加圧のいずれでも行うことができる。ウレタン化反応の進行状況は、例えば反応系のNCO%および水酸基価を測定することにより判断することができる。
【0024】
ウレタンオリゴマー(A)の数平均分子量(以後、Mnと略称することがある。)は、レンズ凹部への流れ込み性と塗工時の液垂れ防止の観点から好ましくは1,000〜10,000、さらに好ましくは1,300〜9,000、とくに好ましくは1,500〜8,000である。
Mnが1,000未満であると塗工時の液垂れの問題、および温度によるバラツキが大きい問題があり、10,000を超えるとレンズ凹部への流れ込み性に問題がある。
なお、本発明におけるMnはゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)法による数平均分子量を示す。
【0025】
GPCの測定条件の一例を下に示す。
測定機器:HLC−8320GPC(東ソー(株)製)
カラム:TSK−GEL G2000HXL/G3000HXL/G4000HXL
(東ソー(株)製)
内部標準:TSK Standard Polystyrene A−5000(東ソー(株)製)
溶媒:THF
【0026】
本発明における(メタ)アクリレートモノマー(B)は、紫外線硬化性の観点から必須成分である。(メタ)アクリレートモノマー(B)の数平均分子量1,000未満であり、好ましくは数平均分子量100〜950である。
(メタ)アクリレートモノマー(B)の数平均分子量が1,000を超えると紫外線硬化型樹脂組成物(Q)の樹脂粘度が高くなりレンズ凹部への流れ込み性が悪くなる。
【0027】
(メタ)アクリレートモノマー(B)には、1個の(メタ)アクリロイル基含有モノマー(b−1)、2個の(メタ)アクリロイル基含有モノマー(b−2)、および3個〜6個またはそれ以上の(メタ)アクリロイル基含有モノマー(b−3)が挙げられる。これらは2種類以上組み合わせても良い。
【0028】
1個の(メタ)アクリロイル基含有モノマー(b−1)としては、例えば脂肪族(メタ)アクリレート[メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等]、脂環含有(メタ)アクリレート[シクロヘキシル(メタ)アクリレート等]、芳香環含有(メタ)アクリレート[ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等]、複素環含有化合物[テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルモルホリン等]および[アルキル(炭素数1〜20)]フェノール(炭素数6〜30)のAO1〜10モル付加物の(メタ)アクリレート[例えばフェノールのプロピレンオキサイド(以下POと略記)8モル付加物の(メタ)アクリレート、ノニルフェノールのエチレンオキサイド(以下EOと略記)8モル付加物の(メタ)アクリレート等]等が挙げられる。
【0029】
2個の(メタ)アクリロイル基含有モノマー(b−2)としては、例えば脂肪族ジ(メタ)アクリレート[エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等]、脂環含有ジ(メタ)アクリレート[ジメチロールシクロトリデカンジアクリレート等]およびビスフェノールのAO2〜10モル付加物のジ(メタ)アクリレート[例えばビスフェノールAのEO2モル、ビスフェノールA、−Fおよび−SのPO4モル付加物の各ジ(メタ)アクリレート等]等が挙げられる。
【0030】
3個〜6個またはそれ以上の(メタ)アクリロイル基含有モノマー(b−3)としては、例えば多価(3価〜6価またはそれ以上)アルコール(炭素数3〜40)のポリ(メタ)アクリレート、例えばトリメチロールプロパン(以下TMPと略記)トリ(メタ)アクリレート、グリセリン(以下GRと略記)トリ(メタ)アクリレート、TMP−PO3モル付加物のトリ(メタ)アクリレート、TMP−EO3モル付加物のトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(以下PEと略記)トリ(メタ)アクリレート、PE−テトラ(メタ)アクリレート、PE−EO4モル付加物のテトラ(メタ)アクリレート、ジPE−ペンタ(メタ)アクリレートおよびジPE−ヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記(b−1)〜(b−3)のうち、レンズとの密着性の観点から好ましいのは(B−1)および/または(B−2)である。
(メタ)アクリレートモノマー(B)のうち、活性水素原子を有するものはウレタン化反応終了後に加え、活性水素原子を有しないものはウレタン化反応時および/または反応終了後のいずれの段階で加えてもよい。
【0031】
本発明の紫外線硬化型樹脂組成物中の(メタ)アクリレートモノマー(B)の含有量は、硬化物の強度および硬化性の観点から、通常25〜85重量%、好ましくは30〜80重量%、特に好ましくは35〜70重量%である。含有量が25重量%以上であれば光硬化性に優れ、85%以下であれば塗工時の液垂れを防止できる。
【0032】
ブラックストライプとして十分な遮蔽性を発揮するためには、黒色顔料(C)を必須成分とし、さらに掻き取り後の凹部の平滑性を発揮するために黒色顔料(C)の平均一次粒子径を400nm以下にする必要があり、さらに好ましくは50〜350nm、特に好ましくは100〜300nmである。
【0033】
黒色顔料(C)としては、カーボンブラック(c1)、チタンブラック、Cu、Fe、Mn、Cr、Co、Ni、Zn、Mg、Ca、Ba、Pd、Ag、Cd、Sn、Sb、Pb、Si及びAl等の各種金属酸化物、複合酸化物、金属硫化物、金属硫酸鉛又は金属炭酸塩等の無機顔料があげられる。これらのうち、価格および安全性の観点から、好ましくはカーボンブラック(c1)およびチタンブラック、特に好ましくはカーボンブラック(c1)である。
【0034】
カーボンブラック(c1)としては、例えばチャンネルブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック、ランプブラックなど公知のカーボンブラックが挙げられる。これらのうち、遮蔽性の観点からチャンネルブラックが好ましい。
【0035】
本発明における紫外線硬化型樹脂組成物(Q)中の黒色顔料(C)の平均一次粒径は、透過型電子顕微鏡で拡大した写真を撮影して測定することができる。
【0036】
紫外線硬化型樹脂組成物(Q)中の黒色顔料(C)を分散する方法としては、公知の混合装置等により均一分散することにより得られる。混合装置としては、例えば、プラネタリーミキサー、ビーズミル、3本ロール及び2本ロール等が使用できる。撹拌混合時間としては、例えば、黒色顔料(C)に含まれる凝集物の大部分がなくなるまでの時間等であり、適宜決定する。紫外線硬化型樹脂組成物(Q)は、必要により、濾過により凝集物等を除去してもよい。
【0037】
紫外線硬化型樹脂組成物(Q)の固形分の重量に基づく黒色顔料(C)の含有量は、0.5〜10重量%が好ましく、さらに好ましくは1〜8重量%である。
0.5重量%以上であれば遮蔽性が良好に発揮でき発揮でき、10重量%以下であれば光硬化性が良好に発揮できる。
【0038】
ウレタンオリゴマー(A)および(メタ)アクリレートモノマー(B)中の(メタ)アクリロイル基を紫外線硬化させるため、紫外線硬化型樹脂組成物(Q)は光重合開始剤(D)を必須成分とする。
【0039】
光重合開始剤(D)としては例えば、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンゾフェノン、メチルベンゾイルフォーメート、イソプロピルチオキサントン、4,4−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、3,3−ジメチル−4−メトキシ−ベンゾフェノン、アントラキノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、tert−ブチルアントラキノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、4−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルフォリノ−1−プロパノン、2−クロロチオキサントン、ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、ジイソプロピルチオキサントン、ミヒラーズケトン、ベンジル−2,4,6−(トリハロメチル)トリアジン、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9ーアクリジニル)ヘプタン、1,5−ビス(9−アクリジニル)ペンタン、1,3−ビス(9−アクリジニル)プロパン、ジメチルベンジルケタール、トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、トリブロモメチルフェニルスルホン及び2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン等が挙げられる。
光重合開始剤(D)は1種で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0040】
光重合開始剤(D)は、市販のものが容易に入手することができ、例えば2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルフォリノ−1−プロパノンとしては、イルガキュア907、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オンとしては、イルガキュア369(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)等が挙げられる。
【0041】
紫外線硬化型樹脂組成物(Q)の固形分の重量に基づく光重合開始剤(D)の含有量は、通常1〜10重量%であり、好ましくは1.5〜7重量%、さらに好ましくは2〜5重量%である。
1重量%以上であれば光硬化反応性がさらに良好に発揮でき、10重量%以下であればレンズとの密着性が良好に発揮できる。

【0042】
紫外線硬化型樹脂組成物(Q)は、必要によりさらにその他の成分(E)を含有していてもよい。
その他成分(E)としては、例えば、増感剤、シランカップリング剤、蛍光増白剤、黄変防止剤、酸化防止剤、及び消泡剤等が挙げられる。
【0043】
光重合開始剤(D)の重量に基づく増感剤(E1)の含有量は、通常0.1〜100重量%、好ましくは0.5〜80重量%、特に好ましくは1〜70重量%である。
【0044】
紫外線硬化型樹脂組成物(Q)の25℃での粘度は、通常800〜10,000mPa・s、好ましくは1,000〜9,000mPa・s、さらに好ましくは1,300〜7,000mPa・sである。800mPa・s以上であれば、凹部への流し込み時の液だれが抑制でき、10,000mPa・s以下であれば、凹部への流れ込み性に優れる。
【0045】
粘度を調整する方法としては、ウレタンオリゴマー(A)の分子量を調整する方法、ウレタンオリゴマー(A)の添加量を調整する方法、および(メタ)アクリレートモノマー(B)の分子量を調整する方法等が挙げられる。これらのうち、調整の容易さの観点からウレタンオリゴマー(A)の分子量を調整する方法、およびウレタンオリゴマー(A)の添加量を調整する方法が好ましい。
【0046】
本発明のレンズシート用ブラックストライプ(R)の形成方法としては、金型により凸凹のシリンドリカルレンズ形状を付与した透明レンズシート上の凹部に、本発明の紫外線硬化型樹脂組成物(Q)を塗布することで流し込み、凹部より上部の紫外線硬化型樹脂組成物(Q)を掻き取った後に、紫外線を照射し光硬化することで形成される。これらの操作は複数回行っても良い。
【0047】
紫外線硬化型樹脂組成物(Q)の塗布としては、ロールコーティング、グラビアコーティング、カーテンフローコーティング、かけ流しコーティング、ホイーラーもしくはスピンナーによる回転コーティング、もしくはスプレーコーティング等、またはシルクスクリーン印刷等公知の方法を用いて行うことができる。
紫外線硬化型樹脂組成物(Q)の掻き取りとしては、掻き取りブレード等の公知の方法を用いて行うことができる。
【0048】
本発明の紫外線硬化性樹脂組成物(Q)を紫外線により硬化させる場合は、種々の紫外線照射装置[例えば、紫外線照射装置[型番「VPS/I600」、フュージョンUVシステムズ(株)製]を使用できる。使用するランプ光源としては、例えば高圧水銀灯、メタルハライドランプ、LED等が挙げられる。紫外線の照射量(mJ/cm2)は、組成物の硬化性および硬化物の可撓性の観点から好ましくは10〜10,000、さらに好ましくは100〜5,000である。
【実施例】
【0049】
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下、特に定めない限り、%は重量%、部は重量部を示す。
【0050】
<製造例1>
<ウレタンオリゴマー(A−1)の製造方法>
攪拌機および空気導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAのPO2モル付加物277部を投入し、撹拌下、減圧しながら70℃で加熱し脱水した。脱水後、酢酸エチル500部を投入し均一にした後に、50℃以下まで温度を下げた。
ついでイソホロンジイソシアネート(IPDI)[商品名:VESTANAT IPDI、BASFジャパン(株)製]135部、キシリレンジイソシアネート(XDI)[商品名:タケネート500、三井武田ケミカル(株)製]65部、およびウレタン化触媒としてビスマス系触媒[商品名:ネオスタンU−600、日東化成(株)製]0.4部加え、撹拌下、75℃で10時間反応させることにより両末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを得た。
得られたウレタンプレポリマーに2−ヒドロキシエチルアクリレート[BHEA、日本触媒(株)製]23部加え、空気を通気しながら、75℃、4時間反応させた後、50℃以下まで温度を下げ、酢酸エチルを減圧除去することで両末端にアクリロイル基を有するウレタンオリゴマー(A−1)を得た。このウレタンオリゴマー(A−1)のMnは、3,300であった。
【0051】
<製造例2>
<ウレタンオリゴマー(A−2)の製造方法>
撹拌装置および温度計を取り付けたガラス製の反応容器に、ポリオキシテトラメチレングリコール[PTMG−1000、三菱化学(株)製]27.3部を仕込み、水分が500ppmであることを確認した後、ここに、IPDIを18.6部、触媒としてビスマストリ(2−エチルヘキサノエート)(2−エチルヘキサン酸50%溶液)0.5部を仕込み、攪拌して均一溶液とした。均一溶液にした後、50℃に昇温した。容器内の温度が110℃に温度調整しながら、ウレタン化反応を6時間行った。
ウレタン化反応の終点はイソシアネート含量で規定し、イソシアネート含量が1.20%以下になったのを確認した後、重合禁止の目的で酸素濃度を8%に調整した窒素と酸素の混合気体を液中に通気し、ヒドロキシエチルアクリレートを4.6部加え、75℃で2時間反応した。ウレタン化反応の終点はイソシアネート含量で規定し、イソシアネート含量が0.01%以下になったのを確認し、ウレタンアクリレートオリゴマー(A−2)を得た。このウレタンオリゴマー(A−2)のMnは1,700であった。
【0052】
<製造例3>
<ウレタンオリゴマー(A−3)の製造方法>
攪拌機および空気導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAのPO2モル付加物を200部、PTMG−1000を77部投入し、撹拌下、減圧しながら70℃で加熱し脱水した。脱水後、酢酸エチル500部を投入し均一にした後に、50℃以下まで温度を下げた。
ついでIPDIを135部、XDIを65部、およびウレタン化触媒を0.4部加え、撹拌下、75℃で10時間反応させることにより両末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを得た。
得られたウレタンプレポリマーに2−ヒドロキシエチルアクリレートを23部加え、75℃、4時間反応させた後、50℃以下まで温度を下げ、酢酸エチルを減圧除去することで両末端にアクリロイル基を有するウレタンオリゴマー(A−3)を得た。このウレタンオリゴマー(A−3)の数平均分子量(Mn)は4,500であった。
【0053】
<製造例4>
<カーボンブラックのメチルエチルケトン分散液(C−1)の製造方法>
メチルエチルケトン740部にポリエステル酸アミドアミン塩のキシレン溶液[商品名:ディスパロンDA−703−50、固形分濃度50%、楠本化成(株)製]60部を溶解させた。ここに、カーボンブラック[商品名:三菱カーボンブラック#25、三菱化学(株)製]200部を投入し、ホモミキサーにより分散させた。この溶液を0.5mmのジルコニアビーズを充填したダイノミルで15時間湿式分散させ、カーボンブラックのメチルエチルケトン溶液(C−1)を得た。固形分濃度は23%で、平均一次粒子径は340nmであった。
【0054】
<比較製造例1>
<ウレタンオリゴマー(A’−1)の製造方法>
ビスフェノールAのPO2モル付加物の部数を313部、IPDIを28部、XDIを152部およびヒドロキシエチルアクリレートを8部に変更した以外は、製造例1と同様の条件でウレタンオリゴマー(A’−1)を得た。このウレタンオリゴマー(A’−1)のMnは15,500であった。
【0055】
<比較製造例2>
<ウレタンオリゴマー(A’−2)の製造方法>
ビスフェノールAのEO2モル付加物の部数を320部に変更、および2−ヒドロキシエチルアクリレートの部数を90部に変更した以外は、製造例1と同様にしてウレタンオリゴマー(A’−2)を得た。このウレタンオリゴマー(A’−2)のMnは500であった。
【0056】
<実施例1>
攪拌機の付いた容器に、製造例1で作成したウレタンオリゴマー(A−1)35部、2−フェノキシエチルアクリレート(B−1)[ライトアクリレートPO−A:共栄社化学(株)製、GPCによるMn:192]30部、ビスフェノールAのEO4モル付加物ジアクリレート(B−2)[ネオマーBA−641:三洋化成工業(株)製、GPCによるMn512]35部、および1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン[イルガキュア184:BASFジャパン(株)製](D−1)5部および2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド[ルシリンTPO:BASFジャパン(株)製](D−2)1部を投入し50℃で均一溶解させた。
ついで、黒色顔料として製造例4で合成したカーボンブラックのメチルエチルケトン分散液(C−1):固形分濃度23%、平均一次粒子径340nm)]13部を加え、3時間撹拌し均一にした後に、メチルエチルケトンを減圧除去することで本発明の紫外線硬化型樹脂組成物(Q−1)を得た。
【0057】
<実施例2〜5および比較例1〜5>
表1に記載の原料と配合部数で、実施例1と同様にして、本発明の紫外線硬化型樹脂組成物(Q−2)〜(Q−5)、および比較ための紫外線硬化型樹脂組成物(Q’−1)〜(Q’−5)を得た。
【0058】
【表1】

【0059】
但し、表1中の配合原料の記号は以下のものを表す。
(B−3):ジペンタエリストールのアクリル化物(DA−600;三洋化成工業(株)製;Mn512)
(B’−1):ビスフェノールAのEO20モル付加物のジアクリレート化合物(ニューフロンティアBPE−20;第一工業(株)社製;Mn1,220)
(C’−1):カーボンブラック含有ポリ(メタ)アクリル酸エステル粒子[ガンツパールGMB−04S:ガンツ化成(株)製、平均一次粒子径 3.5μm)]
【0060】
<性能評価>
実施例1〜5で作成した本発明の樹脂組成物(Q−1)〜(Q−5)、および比較例1〜5で作成した比較のための樹脂組成物(Q’−1)〜(Q’−5)の25℃での粘度、O.D値(遮蔽性)、黒色顔料の分散安定性、レンズ凹部への流れ込み性、およびレンズ凹部の掻き取り後の平滑性を以下の方法で測定した。
【0061】
<粘度>
樹脂組成物をBL型粘度計(TVB-10:東機産業(株)製)を用いて、ローターNo3を用いて25℃の粘度を測定した。
【0062】
<O.D値(遮蔽性)>
樹脂組成物を厚さ100μmのPETフィルム「A4300、東洋紡(株)製」上にアプリケーターで膜厚60μmになるよう塗工した。
さらにその上から空気が噛み込まないように同じPETフィルムをのせ、樹脂組成物を挟みこんだ。PETフィルム側から紫外線照射装置[型番「VPS/I600」、フュージョンUVシステムズ(株)製]により、紫外線を1000mJ/cm照射して、硬化させ、硬化膜を作成した。
これをJIS−K7105に準拠し、全光線透過率測定装置[商品名「haze−garddual」BYK gardner(株)製]を用いて全光線透過率(%)を測定した。下記数式(1)の計算式よりOD値を算出した。
【0063】
OD値=−log10T (1)
【0064】
なお、Tは全光線透過率(%)を表す。
【0065】
<黒色顔料の分散安定性>
紫外線硬化型樹脂組成物を厚さ1.2mのスライドガラス「S1225、松浪硝子工業(株)製」上にアプリケーターで膜厚10μmになるよう塗工した。さらにその上から空気が噛み込まないように同じスライドガラスをのせ、樹脂組成物を挟みこんだ。
これを顕微分光器(MCPD2000:大塚電子製)を用いて、塗膜形成直後と30分放置後のそれぞれのサンプルを形状測定顕微鏡(超深度形状測定顕微鏡VK−8550、株式会社キーエンス製)を用いて、倍率1000倍で観察し、凝集物の有無を確認した。
具体的には、スライドガラスで樹脂組成物はさんだ直後と、30分放置後で、それぞれの50μm四方の領域での粒径5μm以上の粒子数を数える。そして、直後の粒子数と30分放置後の粒子数を比較し、その増加比率を計算する。
【0066】
黒色顔料の分散安定性を以下の判定基準で評価した。
○:粒子数の増加率が5%未満
×:粒子数の増加率が5%以上

【0067】
<レンズ凹部への流れ込み性>
ピッチ幅50μmで深さが100μmとなるように溝を平行に刻んで微細に凹凸形状を付与した15cm四方の透明レンズシートに、紫外線硬化型樹脂組成物を塗布し、金属へらではみ出た過剰の樹脂組成物を掻き取った。中央の5cm四方において、凹部に樹脂組成物を充填した状態を形状測定顕微鏡(超深度形状測定顕微鏡VK−8550、株式会社キーエンス製)を用いて、倍率1000倍で観察し、以下の基準で評価した。
○:凹部全てに紫外線硬化型樹脂組成物が充填されている。
×:凹部の一部に紫外線硬化型樹脂組成物が入り込んでいないことが認められる。
【0068】
<レンズ凹部の掻き取り後の平滑性>
上記の流れ込み性試験に使用した透明レンズシートに、紫外線硬化型樹脂組成物を塗布した。さらに、金属へらで表面からはみ出た過剰の樹脂を2回掻き取った跡に、超高圧水銀灯で1000mJを照射し、ブラックストライプを形成した。
このフィルムの端部より2.5cm内側の10cm四方の凹部分の樹脂の平滑性を、形状測定顕微鏡を用いて、倍率1000倍でJIS B0601:2001の付属書2に記載された中心線平均粗さ(Ra)を5箇所測定し、これらの平均値から、以下の基準で評価した。
○:中心線平均粗さRaが0.3μm以下
×:Raが0.3μmを超える
【0069】
<硬化性>
紫外線硬化型樹脂組成物を厚さ100μmのPETフィルム上にアプリケーターで膜厚60μmになるよう塗工した。樹脂側から紫外線照射装置により、紫外線を1000mJ/cm照射して、硬化させ、硬化膜にタックがあるかどうかで判断した。
○:タック無し
×:タック有り
【0070】
実施例および比較例で得た紫外線硬化型樹脂組成物の評価結果を表1に示す。
【0071】
表1から明らかなように、本発明の実施例1〜5の樹脂組成物をレンズシート用ブラックストライプに用いると、レンズ凹部に樹脂組成物を充填したものの平滑性が良好である。また黒色顔料の分散安定性が良好で、レンズ凹部への流れ込み性に優れるため生産性に優れることがわかる。
一方、分子量が高いウレタンオリゴマー(A’−1)を用いた比較例1および分子量が低いウレタンオリゴマー(A’−2)を用いた比較例2は25℃での粘度が高いためレンズ凹部への流れ込み性に問題がある。また、分子量の高い(メタ)アクリレート(B’−1)を用いた比較例3も、同様に25℃粘度が高いためレンズ凹部への流れ込み性に問題がある。
平均一次粒子径の大きい黒色顔料を用いた比較例4では、レンズ凹部の平滑性に問題があることが分かる。また、光重合開始剤の添加量が少ない比較例5では、硬化性が悪いことが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明の紫外線硬化型樹脂組成物をブラックストライプとして用いると、凹部への入り込み性に優れ、かつレンズ凹部の平滑性が良好であり、黒色顔料の分散安定性が良好であることから生産に優れことから、レンズシート用のブラックストライプやブラックマトリックスとして好適である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
数平均分子量が1,000〜10,000であって、分子内に(メタ)アクリロイル基を少なくとも1個有するウレタンオリゴマー(A)、数平均分子量1,000未満の(メタ)アクリレートモノマー(B)、黒色顔料(C)および光重合開始剤(D)を必須成分として含有し、該黒色顔料(C)の平均一次粒子径が400nm以下であり、(A)、(B)、(C)および(D)の合計に基づいて(D)の含有量が1〜10重量%であることを特徴とする紫外線硬化型樹脂組成物(Q)。
【請求項2】
該黒色顔料(C)がカーボンブラック(C1)である請求項1記載の紫外線硬化型樹脂組成物(Q)。
【請求項3】
(A)、(B)、(C)および(D)の合計重量に基づいて、該黒色顔料(C)の含有量が0.5〜10重量%である請求項1または2記載の紫外線硬化型樹脂組成物(Q)。
【請求項4】
該光重合開始剤(D)が、350〜420nmの間に吸収ピークを有するものを少なくとも1種類含む請求項1〜3いずれか記載の紫外線硬化型樹脂組成物(Q)。
【請求項5】
請求項1〜4いずれか記載の紫外線硬化型樹脂組成物(Q)の硬化物を遮光材料としてレンズシートに組み込んだレンズシート用ブラックストライプ(R)。

【公開番号】特開2012−214639(P2012−214639A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−81148(P2011−81148)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000002288)三洋化成工業株式会社 (1,719)
【Fターム(参考)】