説明

紫外線硬化型粘着剤組成物、粘着剤層、粘着シートおよびその製造方法

【課題】芳香族系低分子量ポリマーおよび金属ナノ粒子が安定に混合され、複雑な工程を経ずに、所望の接着物性が得られ、かつ低ヘイズ値の粘着剤層を形成することができる粘着剤組成物を提供すること。
【解決手段】アクリル系モノマーを含有するモノマー成分;ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる重量平均分子量が500以上4000以下の芳香族系低分子ポリマー;および光重合開始剤、を含有し、粘着層とした時のヘイズ値が10%以下であることを特徴とする紫外線硬化型粘着剤組成物。さらに平均粒径20nm以下の金属ナノ粒子を含有する紫外線硬化型粘着剤組成物であることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、様々に応用され得る、芳香族系低分子ポリマー、および金属ナノ粒子を含有する紫外線硬化型粘着剤組成物、当該粘着剤組成物から形成された粘着剤層、ならびに当該粘着剤層を、支持体の少なくとも片面に有する粘着シートおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
幅広い応用範囲のある粘着剤やポリマー組成物に、芳香族系低分子ポリマーや各種のナノ粒子を混合することで、粘着剤やポリマー組成物の機械的強度を始めとする物性の改良を行う試みがなされている。ナノ粒子の混合に関しては、ナノ粒子の表面処理を行ったり、各種の分散機にて組成物を処理したりすることにより、ナノ粒子を組成物中に均一に分散させる方法が一般に採用されている。
【0003】
例えば、30nm以下のコロイド状シリカゲルに各種のシランカップリング剤を加えてシリカ表面を修飾処理してポリマー溶液と混合して粘接着剤を作成し、微粒子の存在で体積収縮率を小さくすることで、接着力自体を高くする効果の発現が期待されている(特許文献1)。
【0004】
また、ナノ粒子を拡散粘着剤として混合してコントラスト向上や視野角を大きくすることが提案されているが、ここでの具体的な安定分散方法は明らかではない(特許文献2)。
【0005】
あるいは、200nm以下の金属酸化物粒子を、表面改質剤としての長鎖脂肪族酸やオルガノシラン類などで表面処理して、モノマーなどに分散させ、接着剤シロップを作成する方法も開示されている(特許文献3)。
【0006】
酸性官能基を生成しない有機溶媒を用いて、水酸基を有するモノマーを共重合したアクリル系ポリマーに0.2μm以下の酸化亜鉛微粒子を混合し、塗布した紫外線遮蔽性粘着剤も提案されている(特許文献4)。
【0007】
しかし、表面処理する方法を用いて作成したナノ粒子を各種の組成物に分散させた場合には、ポリマーの種類によってはナノ粒子が凝集して複合物が白濁し、ヘイズが発生する場合があり、そのポリマーの組成に合わせて、溶剤の種類や表面改質剤、あるいはカップリング剤の種類を適時変更する必要があった。さらに、実際には、各種検討を行い、最適化するというスクリーニングの煩雑さがあった。また、場合により、汎用性のある溶媒が使用できないなどの弊害があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−255706号公報
【特許文献2】特開2005−301213号公報
【特許文献3】特開2003−513122号公報
【特許文献4】特開2005−213482号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明は、芳香族系低分子ポリマーが安定に混合され、複雑な工程を経ずに、低ヘイズ値の粘着剤層を形成することができる粘着剤組成物を提供することを目的とする。さらに、本発明は、芳香族系低分子ポリマーおよび金属ナノ粒子が安定に混合され、複雑な工程を経ずに、所望の接着物性が得られ、かつ低ヘイズ値であり、屈折率が向上した粘着剤層を形成することができる粘着剤組成物を提供することを目的とする。
【0010】
また本発明は、前記粘着剤組成物により形成された粘着剤層、前記粘着剤層を有する粘着シートおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、下記紫外線硬化型粘着剤組成物を見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち本発明は、アクリル系モノマーを含有するモノマー成分;ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる重量平均分子量が500以上4000以下の芳香族系低分子ポリマー;および光重合開始剤、を含有し、粘着層とした時のヘイズ値が10%以下であることを特徴とする紫外線硬化型粘着剤組成物、に関する。
【0013】
上記紫外線硬化型粘着剤組成物は、モノマー成分100重量部に対して、芳香族系低分子ポリマー10〜100重量部;光重合開始剤0.05〜1.5重量部を含有してなることが好ましい。
【0014】
上記紫外線硬化型粘着剤組成物において、さらに、平均粒径20nm以下の金属ナノ粒子を含有してなることが好ましい。
【0015】
上記紫外線硬化型粘着剤組成物において、モノマー成分100重量部に対して、平均粒径20nm以下の前記金属ナノ粒子10〜100重量部を含有してなることが好ましい。
【0016】
上記紫外線硬化型粘着剤組成物において、金属ナノ粒子の平均粒径が5〜20nmであることが好ましい。
【0017】
上記紫外線硬化型粘着剤組成物において、アクリル系モノマーが、一般式:CH=C(R)COOR(但し、Rは、水素原子またはメチル基、Rは、炭素数4から15のアルキル基を表す)で表されるアルキル(メタ)アクリレートであることが好ましい。
【0018】
また本発明は、前記いずれかに記載の紫外線硬化型粘着剤組成物からなる、ヘイズ値が10%以下であることを特徴とする粘着剤層、に関する。
【0019】
また本発明は、支持体の少なくとも片側に、前記いずれかに記載の紫外線硬化型粘着剤組成物を塗工する工程、次いで、塗工された紫外線硬化型粘着剤組成物に紫外線を照射して、当該粘着剤組成物を硬化して粘着剤層を形成する工程、を有することを特徴とする粘着シートの製造方法、に関する。
【0020】
上記粘着シートの製造方法において、紫外線照射を、少なくとも5J/cmの積算光量で行なうことが好ましい。
【0021】
上記粘着シートの製造方法において、紫外線硬化型粘着剤組成物は、金属ナノ粒子の分散液と芳香族系低分子ポリマーの溶液を混合して乾燥して得られた固形物を、モノマー成分に溶解して調製したものであることが好ましい。
【0022】
また本発明は、前記いずれかの製造方法により得られる粘着シートの製造方法、に関する。
【発明の効果】
【0023】
本発明の紫外線硬化型粘着剤組成物から得られる粘着シートの粘着剤層は、芳香族系低分子ポリマーが安定に混合されており、機械的特性がより増強され、かつ低ヘイズ値であり、屈折率および接着力にも優れている。紫外線硬化型粘着剤組成物が、芳香族系低分子ポリマーに加えて金属ナノ粒子を含有する場合、芳香族系低分子ポリマーおよび金属ナノ粒子が安定に混合され、機械的特性が特に増強され、かつ低ヘイズ値であり、屈折率が極めて優れている為、幅広い用途に使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の紫外線硬化型粘着剤組成物は、アクリル系モノマーを含有するモノマー成分を含有してなり、当該モノマー成分を紫外線により硬化させることにより、粘着剤層を形成するものである。アクリル系モノマーは、粘着剤を構成する材料のなかでも、物性や組成変更が容易であり、透明性、耐久性に優れる。
【0025】
アクリル系モノマーは、少なくともアクリロイル基またはメタクリロイル基を有する化合物であり、例えば、アルキル(メタ)アクリレートがあげられる。なお、アルキル(メタ)アクリレートは、アルキルアクリレートおよび/またはアルキルメタクリレートを意味し、本発明において、「(メタ)」はこの意味である。
【0026】
アルキル(メタ)アクリレートにおける、アルキル基としては、炭素数1から20までの無置換のアルキル基または置換されたアルキル基があげられる。炭素数1から20までの無置換のアルキル基または置換されたアルキル基は、直鎖、分岐鎖のアルキル基、あるいは環状のシクロアルカンを指す。置換されたアルキル基の場合は、置換基としては、炭素数3−8個のアリール基または炭素数3−8個のアリールオキシ基であることが好ましい。アリール基としては、限定はされないが、フェニル基が好ましい。
【0027】
このようなアルキル(メタ)アクリレートの例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、s−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、へキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、n−トリデシル(メタ)アクリレート、n−テトラデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートなどがあげられる。これらは単独で用いてもよく、または2種以上を組み合わせて使用できる。
【0028】
前記アルキル(メタ)アクリレートのなかでも、一般式:CH=C(R)COOR(但し、Rは、水素原子またはメチル基、Rは、炭素数4から15のアルキル基を表す)で表されるアルキル(メタ)アクリレートを用いるのが、粘着性と金属ナノ粒子の分散安定性の面で好ましい。特に、アルキル(メタ)アクリレートとしては、ブチル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0029】
本発明において、前記アルキル(メタ)アクリレートは、粘着剤組成物の硬化性の観点から、モノマー成分の全量に対して、50重量%以上を用いることが好ましく、さらには60重量%以上であることが好ましい。
【0030】
モノマー成分は、全量が、前記アルキル(メタ)アクリレートとすることもできるが、さらに、CH=C(R)COOROH(但し、Rは、水素原子またはメチル基、Rは、炭素数2から10のアルキレン基を表す)で示される水酸基含有モノマーが含まれていてもよい。前記アルキレン基は、直鎖状、分岐鎖条または環状のいずれでもよい。すなわち、このモノマーは、炭素数2以上および水酸基1個のヒドロキシアルキル基を含むモノマーである。
【0031】
このような水酸基含有モノマーとして、例えば、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、12−ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレート等などのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;4−ヒドロキシメチルシクロへキシル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキルシクロアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。前記水酸基含有モノマーのなかでも、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、が好ましい。
【0032】
モノマー成分として、水酸基含有モノマーを含有する場合には、モノマー成分の全量に対して、0.2〜10重量%の割合で用いられる。水酸基含有モノマーの割合は、好ましくは、0.2〜7重量%、より好ましくは、0.5〜5重量%である。水酸基含有モノマーの使用割合が多すぎると硬化安定性が損なわれるおそれがあり、一方、得られるポリマーの架橋反応による耐熱性の向上の点からは、水酸基含有モノマーの使用割合が少なすぎると好ましくない。
【0033】
また本発明のモノマー成分は、本発明の目的を損なわない範囲で、前記アクリル系モノマーの他に、他の共重合モノマーを単独でまたは組み合わせて用いてもよい。しかし、本発明において、前記(メタ)アクリル系ポリマーは実質的に酸成分を含有しない。ここで、「実質的に酸成分を含有しない」とは、全ポリマー中、全く含まないか、含まれていても0.1重量%未満であることを指す。他の共重合モノマーは、モノマー成分の全量に対して、50重量%以下、さらには40重量%以下の割合で用いるのが好ましい。
【0034】
ここで、他の共重合モノマーとしては、(メタ)アクリロイル基の他に、ビニル基等の重合性の不飽和二重結合を有する化合物を用いることができる。共重合モノマーの具体例としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、スチレン、α−メチルスチレン、N−ビニルカプロラクタムなどのビニル系モノマー;グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロへキシルメチル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基含有モノマー;(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシエチレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシポリプロピレングリコールなどのグリコール系アクリルエステルモノマー;(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、フッ素(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレートや2−メトキシエチルアクリレートなどのアクリル酸エステル系モノマー;アミド基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、イミド基含有モノマー、N−アクリロイルモルホリン、ビニルエーテルモノマーなども使用することができる。
【0035】
さらに、ケイ素原子を含有するシラン系モノマーなどがあげられる。シラン系モノマーとしては、例えば、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、4−ビニルブチルトリメトキシシラン、4−ビニルブチルトリエトキシシラン、8−ビニルオクチルトリメトキシシラン、8−ビニルオクチルトリエトキシシラン、10−メタクリロイルオキシデシルトリメトキシシラン、10−アクリロイルオキシデシルトリメトキシシラン、10−メタクリロイルオキシデシルトリエトキシシラン、10−アクリロイルオキシデシルトリエトキシシランなどがあげられる。
【0036】
また、モノマー成分としては、得られる粘着剤層の凝集力を向上させるために、多官能モノマーを含有することができる。多官能モノマーは、粘着剤の品質や、品質の維持に影響を及ぼすことなく、高い凝集強さを達成することができる。多官能モノマーとしては、例えば、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,8−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート等の2官能性モノマー;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の3官能以上のモノマー、他に、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸と多価アルコールとのエステル化物等に係る多官能のアクリル系モノマーがあげられる。
【0037】
また多官能モノマーとしては、ビニル基等の不飽和二重結合を2個以上有する多官能性モノマーや、ポリエステル、エポキシ、ウレタンなどの骨格にモノマー成分と同様の官能基として(メタ)アクリロイル基、ビニル基等の不飽和二重結合を2個以上付加したポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレートなどを用いることもできる。
【0038】
前記多官能モノマーの使用割合は、モノマー成分の全量に対して、0〜10重量%であり、用いる場合には、0.01〜10重量%であるのが好ましく、さらには0.05〜5重量%であるのが好ましい。多官能モノマーの使用割合が多すぎると得られる粘着剤層の凝集力が強くなりすぎ、接着性が低下するおそれがある。
【0039】
本発明の粘着剤組成物は、前記モノマー成分に加えて、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる重合平均分子量が500以上4000以下の芳香族系低分子ポリマー、および光重合開始剤を含有する。さらに、本発明の粘着剤組成物は、必要に応じて平均粒径20nm以下の金属ナノ粒子を含有する。金属ナノ粒子を含有する場合、得られる粘着剤層の屈折率が特に向上するため好ましい。
【0040】
芳香族系低分子ポリマーを構成するモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリロイル基またはビニル基等の不飽和二重結合を有する重合性の官能基を有し、かつ芳香族環を有する芳香族環含有モノマーがあげられる。芳香族環含有モノマーの具体例としては、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノールエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、2−ナフトエチル(メタ)アクリレート、2−(4−メトキシ−1−ナフトキシ)エチル(メタ)アクリレート、フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリスチリル(メタ)アクリレート等があげられる。この他、スチレンやαメチルスチレンなどのスチレン誘導体、ビニルトルエンやαビニルトルエンなどが挙げられる。
【0041】
重合平均分子量は、500以上4000以下であり、好ましくは、700以上3000以下であり、より好ましくは1000以上2000以下である。分子量がこの範囲をはずれる場合にはいずれも、透明性が得られず、さらには金属ナノ粒子の安定化効果が少なく、金属ナノ粒子が凝集する場合がある。
【0042】
低分子の重合体を合成する方法としては、通常のラジカル重合にてメルカプタンやαメチルスチレンダイマーを用いて分子量を調整する方法、遷移金属、配位子の存在下で、重合開始剤を用いるリビングラジカル重合法、アニオン重合法など任意の方法を採用することができる。
【0043】
芳香族低分子ポリマーの含有量は、モノマー成分100重量部に対して、固形分として、10〜100重量部であることが好ましく、さらに好ましくは10〜80重量部であり、さらに好ましくは10〜70重量部、さらに好ましくは10〜60重量部である。含有量がこの量より少ないと屈折率は向上せず、金属ナノ粒子は凝集する場合があり、また多過ぎるとモノマー成分を硬化して得られるアクリル系ポリマーの物性を変化させる為、好ましくない。
【0044】
本発明の粘着剤組成物に含まれる金属ナノ粒子は、限定はされないが、例えばシリカ、あるいは各種金属酸化物が包含される。金属ナノ粒子の具体例としては、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化錫、酸化インジウム、酸化カドミウム、酸化アンチモン、セリア、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化ゲルマニウム、酸化インジウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、チタン酸カリウム、ウォラストナイト、セピオライト、針状酸化スズ、針状水酸化マグネシウム、層状粘度鉱物、およびそれらの組合せであり得る。金属ナノ粒子は、通常、分散液として用いられる。
【0045】
金属ナノ粒子の形状は、球形状、直方体形状、またはそれらの異形形状などのバルク形状、針形状、または板形状であり得る。
【0046】
金属ナノ粒子の平均粒径は、20nm以下であり、好ましくは5〜20nmであり、より好ましくは5〜10nmである。針形状または板形状の場合は、最大長の長さが20nm以下であり、好ましくは5〜20nmであり、より好ましくは5〜10nmである。ここで平均粒径の測定は、MALVERN社製「ZetasizerNANO ZS型」を用いた動的光散乱法にて行い、数平均粒径で表示した。
【0047】
これらの金属ナノ粒子において、必須ではないが、金属ナノ粒子はその表面をシランカップリング剤などの分散安定剤で処理されることで、安定化されてもよい。
【0048】
分散安定剤としては、オクチルメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ―グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシランなどのシランカップリング剤、ラウリン酸、オレイン酸などの長鎖脂肪酸、各種の有機物で変性されたシリコーン化合物などを挙げることができる。
【0049】
前記分散安定剤は、単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよいが、全体としての金属ナノ粒子を処理するのに必要な量は、金属ナノ粒子100重量部に対し、1〜80重量部である。
【0050】
本発明の粘着剤組成物中、さらに金属ナノ粒子を含有する場合、その使用量は、モノマー成分100重量部に対して、固形分として10〜100重量部であり、好ましくは10〜80重量部であり、さらに好ましくは10〜70重量部、さらに好ましくは10〜60重量部である。含有量がこの量より少ないと金属ナノ粒子の特性を発揮できず、多すぎるとモノマー成分を硬化して得られるアクリル系ポリマーの物性を変化させるために好ましくない。
【0051】
本発明で用いる光重合開始剤としては、光重合を開始するものであれば特に制限されず、通常用いられる光重合開始剤を用いることができる。例えば、ベンゾインエーテル系、アセトフェノン系、α‐ケトール系、光活性オキシム系、ベンゾイン系、ベンジル系、ベンゾフェノン系、ケタール系、チオキサントン系などを用いることができる。
【0052】
具体的には、ベンゾインエーテル系としては、例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、アニソールメチルエーテルなどがあげられる。アセトフェノン系としては、例えば、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトン、4−フェノキシジクロロアセトン、4−t−ブチルジクロロアセトフェノンなどがあげられる。α‐ケトール系としては、例えば、2−メチル−2−ヒドロキシプロピオフェノン、1−[4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オンなどがあげられる。光活性オキシム系としては、例えば、1−フェニル−1,1−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)−オキシムなどがあげられる。ベンゾイン系としては、例えば、ベンゾインなどがあげられる。ベンジル系としては、例えば、ベンジルなどがあげられる。ベンゾフェノン系としては、例えば、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、3,3´−メチル−4−メトキシベンゾフェノン、ポリビニルベンゾフェノン、α−ヒドロキシシクロへキシルベンゾフェノンなどがあげられる。ケタール系としては、例えば、ベンジルメチルケタールなどがあげられる。チオキサントン系としては、例えば、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、ドデシルチオキサントンなどがあげられる。光重合開始剤は、1種を単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
【0053】
光重合開始剤の使用量は、モノマー成分100重量部に対して、0.05〜1.5重量部であり、好ましくは0.1〜1重量部である。
【0054】
さらに本発明の粘着剤組成物には、その他の公知の添加剤を含有していてもよく、たとえば、着色剤、顔料などの粉体、染料、界面活性剤、可塑剤、粘着性付与剤、表面潤滑剤、レベリング剤、軟化剤、酸化防止剤、老化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、無機または有機の充填剤、金属粉、粒子状、箔状物などを使用する用途に応じて適宜添加することができる。
【0055】
上記粘着剤組成物の調製法は前記各成分を含有していれば特に制限されないが、まず、金属ナノ粒子の分散液と芳香族系低分子ポリマーの溶液を混合して乾燥して得られた固形物を調製したのち、当該固形分を、モノマー成分に溶解して調製することが、工程の簡略化の点から好ましい。金属ナノ粒子の分散液の分散媒は水または有機溶媒であり、芳香族系低分子ポリマーの溶液は、トルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトン等の有機溶媒溶液として用いられる。金属ナノ粒子の分散液と芳香族系低分子ポリマーの溶液の混合物からは、通常、室温にて熱をかけずに溶媒を除去することにより乾燥して固形物を得る。なお、粘着剤組成物の調製にあたり、光重合開始剤、その他の添加剤についての配合時期は、いずれでもよいが、通常は、前記固形分をモノマー成分に溶解した後に配合するのが好ましい。
【0056】
本発明の粘着シートは、支持体の少なくとも片側に、前記粘着剤組成物を塗工する工程、次いで、塗工された紫外線硬化型粘着剤組成物に紫外線を照射して、当該粘着剤組成物を硬化して粘着剤層を形成する工程、を施すことにより得られる。
【0057】
前記粘着剤組成物の塗工方式は、当該粘着剤組成物の粘度や目的とする厚みによって適宜に選択される。具体的には、例えば、ロールコート、キスロールコート、グラビアコート、リバースコート、ロールブラッシュ、スプレーコート、ディップロールコート、バーコート、ナイフコート、エアーナイフコート、カーテンコート、リップコート、ダイコーターなどによる押出しコート法などの方法があげられる。
【0058】
前記粘着剤組成物の塗工は、硬化して得られる粘着剤層の厚みが、1〜100μm程度、好ましくは2〜50μm、より好ましくは2〜40μm、さらに好ましくは5〜35μmになるように行う。
【0059】
次いで、塗工された粘着剤組成物に紫外線を照射して、当該粘着剤組成物を硬化して粘着剤層を形成する。紫外線照射には、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、メタルハライドランプなどを用いることができる。紫外線の照射条件は、前記粘着剤組成物を硬化しうる条件であれば、任意の適切な条件を採用できる。紫外線照射は積算光量で5J/cm以上であることが好ましく、より好ましくは15J/cm以上である。また、特に金属ナノ粒子を含有する粘着剤組成物の場合は、30J/cm以上であることがより好ましく、さらに好ましくは60J/cm以上である。前記紫外線照射量は、硬化を目的とした従来の紫外線照射量と比較するとかなり多い。理由は定かではないが、大量の紫外線を照射することで、材料の変化や重合率や温度変化などで何らかの作用が生じるためであると推察される。かかる大量の紫外線照射量で、粒径の小さな金属ナノ粒子および芳香族低分子ポリマーを含有する粘着剤組成物に、紫外線を照射することにより、ヘイズ値が小さく制御できると推察される。一方、紫外線照射の積算光量は、粘着剤層の劣化の点から、150J/cm以下であるのが好ましい。
【0060】
また、紫外線照射にあたっては、塗工された粘着剤組成物を、さらに支持体で覆った状態で行なうことが好ましい。即ち、2枚の支持体の間に、粘着剤組成物が挟まれ、粘着剤組成物の硬化に係る、モノマー成分の重合を阻害する酸素のない状態で、紫外線照射をすることが好ましい。なお、2枚の支持体の間に、粘着剤組成物が挟まれた状態を形成することは、公知・慣用の手段が用いられる。例えば、支持体に前記方法で粘着剤組成物を塗工した後、粘着剤組成物をある程度硬化させた後に、もう1枚の支持体を硬化した粘着剤組成物に設ける方法や、2枚の支持体の間に、直接、粘着剤組成物を設ける方法等があげられる。
【0061】
前記支持体としては、各種基材を用いることができるが、前述の通り、2枚の支持体の間に、粘着剤組成物を挟んで紫外線を照射する場合には、支持体としては、酸素を透過させない性質を有するものが好ましく、また、紫外線によるモノマー成分の光重合を阻害しない透過性を有する透明フィルムが好ましく用いられる。また、当該支持体としては、粘着剤層を形成したのち、他の基材への転写等が容易なことから剥離処理したフィルムが好ましく用いられる。剥離処理したフィルムとしては、シリコーン剥離ライナーが好ましく用いられる。
【0062】
前記支持体の構成材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステルフィルムなどのプラスチックフィルム、紙、布、不織布などの多孔質材料、ネット、発泡シート、金属箔、およびこれらのラミネート体などの適宜な薄葉体などをあげることができるが、表面平滑性に優れる点からプラスチックフィルムが好適に用いられる。
【0063】
そのプラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフイルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルムなどがあげられる。
【0064】
前記フィルムの厚みは、通常5〜200μm、好ましくは5〜100μm程度である。前記セパレーターには、必要に応じて、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル系もしくは脂肪酸アミド系の離型剤、シリカ粉などによる離型および防汚処理や、塗布型、練り込み型、蒸着型などの帯電防止処理もすることもできる。特に、前記フィルムの表面にシリコーン処理、長鎖アルキル処理、フッ素処理などの剥離処理を適宜おこなうことにより、前記粘着剤層からの剥離性をより高めることができる。
【0065】
前記得られた粘着シートは、粘着剤層のヘイズ値が10%以下であり、8%以下であることが好ましく、さらには5%以下であるのが好ましい。ヘイズ値が10%を超える場合には、例えば、光学部材に積層された際に透過率が大きく低下し、好ましくない。ヘイズ値が10%以下であるということは、後述する実施例の結果が示すとおり、アクリル系モノマー成分の重合体中に芳香族系低分子ポリマーが安定に混合されていることを意味する。さらに、金属ナノ粒子が配合されている場合であっても、得られた粘着剤層に白濁がなく、金属ナノ粒子が均一に分散されているということを意味する。従って本発明の粘着剤ではヘイズ値は大きくならず、透過率の低下も殆どない。金属ナノ粒子が配合されている場合において、かかるヘイズ値は、粒径の小さな金属ナノ粒子および芳香族低分子ポリマーを含有する粘着剤組成物に、紫外線を照射することにより、特に紫外線を大量に照射することによって達成できる。
【0066】
なお、上記で得られた粘着シートは、支持体から剥離して、他の基材に転写して用いることができる。他の基材としては、例えば、光学部材などがあげられる。光学部材としては、液晶表示装置等の画像表示装置の形成に用いられるものが使用され、その種類は特に制限されない。例えば、光学部材としては偏光板があげられる。偏光板は偏光子の片面または両面には透明保護フィルムを有するものが一般に用いられる。
【0067】
また光学部材としては、例えば反射板や反透過板、前記位相差板(1/2や1/4等の波長板を含む)、視覚補償フィルム、輝度向上フィルムなどの液晶表示装置等の形成に用いられることのある光学層となるものがあげられる。これらは単独で光学フィルムとして用いることができる他、前記偏光板に、実用に際して積層して、1層または2層以上用いることができる。
【実施例】
【0068】
以下に、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。なお、各例中の部および%はいずれも重量基準である。以下に特に規定のない室温放置条件は全て23℃65%RH(1時間あるいは1週間)である。実施例等における評価項目は下記のようにして測定を行った。
【0069】
<重量平均分子量の測定>
芳香族系低分子ポリマーの重量平均分子量は、GPC(ゲル・パーミエー
ション・クロマトグラフィー)により測定した。サンプルは、試料をテトラヒドロフランに溶解して0.1重量%の溶液とし、これを一晩静置した後、0.45μmのメンブレンフィルターで濾過した濾液を用いた。
・分析装置:東ソー社製、HLC−8120GPC
・カラム:東ソー社製、G3000HXL+2000HXL+G1000HXL
・カラムサイズ;各7.8mmφ×30cm 計90cm
・流量:0.8ml/min
・検出器:示差屈折計(RI)
・カラム温度:40℃
・注入量:100μl
・溶離液:テトラヒドロフラン
・検出器:示差屈折計
・標準試料:ポリスチレン
【0070】
実施例1
n−ブチルアクリレート100部、4−ヒドロキシブチルアクリレート1部、光重合開始剤(チバ・ジャパン社製,イルガキュア651)0.05部、光重合開始剤(チバ・ジャパン社製,イルガキュア184)0.4部を混合し、充分に窒素置換した後、高圧水銀ランプ(UVAの照度:0.271W/cm)を間欠的に5分間照射し、粘調なシロップを得た。このシロップでのモノマーの重合率は12.5%であった。このシロップに、トリメチロールプロパントリアクリレート1.0部、スチレン低分子量ポリマー(SX−85、重量平均分子量Mw=1550、ヤスハラケミカル社製)20部を配合して、均一に混合して紫外線硬化型粘着剤組成物を調整した。当該紫外線硬化型粘着剤組成物を、シリコーン処理を施した、38μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(DIAFOIL MRN38,三菱化学ポリエステルフィルム社製)の片面に硬化後の粘着剤層の厚さが30μmになるように塗工し、空気中の酸素による重合阻害を防止するために、その上から同様のシリコーン処理したPETフィルムを設けた後、フィルムを介して、メタルハライドランプによって紫外線を積算光量15J/cmで照射した。その後、片面のPETフィルムを剥離した状態で、150℃で3分間加熱処理して、粘着シートを作製した。紫外線照射は、フュージョンUVコンベア(CV−110Q−G,電源VPS−6)にて、Dバルブ、石英フィルターで行い、光量はUVパワーパックのUVA(320−390nm)、UVB(280−320nm)、UVC(250−260nm)、UVV(395−445nm)の積算量で表した。
【0071】
実施例2
実施例1において、スチレン低分子量ポリマー(SX−100、Mw=2000、ヤスハラケミカル社製)に代えたこと以外は実施例1と同様にして粘着シートを作製した。
【0072】
実施例3
実施例1において、紫外線の照射量を積算光量5J/cmに代えたこと以外は実施例1と同様にして粘着シートを作製した。
【0073】
実施例4
平均粒径7nmのジルコニア分散液(NZD−3JF95−E,住友大阪セメント社製)15部(固形分)と、トルエンに溶解したスチレン低分子量ポリマー(ピコラスチックA75,Mw1320,イーストマンケミカル社製)22.5部(固形分)を混合して、室温(23℃)にて乾燥させて固体成分とした。n−ブチルアクリレート100部、4−ヒドロキシブチルアクリレート1部、トリメチロールプロパントリアクリレート0.5部、上記の固体成分、光重合開始剤(チバ・ジャパン社製,イルガキュア651)0.5部、光重合開始剤(チバ・ジャパン社製,イルガキュア184)0.2部を混合して、紫外線硬化型粘着剤組成物を調製した。当該紫外線硬化型粘着剤組成物を、シリコーン処理を施した、38μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(DIAFOIL MRN38,三菱化学ポリエステルフィルム社製)の片面に硬化後の粘着剤層の厚さが30μmになるように塗工し、その上から同様のPETフィルムを設けた後、フィルムを介して、メタルハライドランプによって紫外線を積算光量105J/cmで照射した。その後、片面のPETフィルムを剥離した状態で、150℃で3分間加熱処理して、粘着シートを作成した。紫外線照射は、フュージョンUVコンベア(CV−110Q−G,電源VPS−6)にて、Dバルブ、石英フィルターで行い、光量はUVパワーパックのUVA(320−390nm)、UVB(280−320nm)、UVC(250−260nm)、UVV(395−445nm)の積算量で表した。
【0074】
実施例5
実施例4において、紫外線の積算光量30J/cmに代えたこと以外は実施例4と同様にして粘着シートを作製した。
【0075】
比較例1
実施例1において、スチレン低分子量ポリマー(Mw=6000)に代えたこと以外は実施例1と同様にして粘着シートを作製した。
【0076】
比較例2
実施例4において、スチレン低分子量ポリマーを用いなかったこと以外は実施例4と同様にして粘着シートを作製した。
【0077】
比較例3
実施例4において、平均粒径7nmのジルコニア分散液(NZD−3JF95−E,住友大阪セメント社製)の代わりに、平均粒径40nmのジルコニア分散液(NZ110−F1510,住友大阪セメント社製)を用いたこと以外は実施例4と同様にして粘着シートを作製した。
【0078】
比較例4
実施例3において、スチレン低分子量ポリマーを用いなかったこと以外は実施例3と同様にして粘着シートを作製した。
【0079】
上記実施例および比較例で得られた、粘着シート(サンプル)について以下の評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0080】
<ヘイズ>
実施例および比較例で得た幅10mmの粘着シートサンプルを、厚さ25μmのPETフィルム(ルミラー25−S10,東レ社製)に貼り付け、25℃の雰囲気温度で、村上色彩技術研究所製反射・透過率計HR−100型にて、D−65光を用いてJISK−7136に準じて測定した。
【0081】
<屈折率>
実施例および比較例で得られたサンプルに、25℃の雰囲気で、ナトリウムD線を照射し、アッベ屈折率計(ATAGO社製DR−M2)にて屈折率を測定した。
【0082】
<接着力>
実施例および比較例で得られたサンプルの粘着剤層面に、厚さ25μmのPETフィルム(ルミラー25−S10,東レ社製)を貼り付け、幅20mm×長さ約100mmに裁断したものから、サンプルにおけるシリコーン処理を施したPETフィルムを剥離してから、厚さ0.5mmの無アルカリガラス板(コーニング社製、1737)に、2kgのロール一往復で貼付け、次いで50℃、0.5MPaで30分間オートクレーブ処理して完全に密着させた後、23℃湿度50%の条件に3時間放置後、剥離角度90°、剥離速度300mm/分で剥離接着を測定した。
【0083】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクリル系モノマーを含有するモノマー成分;
ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる重量平均分子量が500以上4000以下の芳香族系低分子ポリマー;および
光重合開始剤、を含有し、
粘着層とした時のヘイズ値が10%以下であることを特徴とする紫外線硬化型粘着剤組成物。
【請求項2】
モノマー成分100重量部に対して、
芳香族系低分子ポリマー10〜100重量部;
光重合開始剤0.05〜1.5重量部を含有してなることを特徴とする請求項1記載の紫外線硬化型粘着剤組成物。
【請求項3】
さらに、平均粒径20nm以下の金属ナノ粒子を含有してなることを特徴とする請求項1または2記載の紫外線硬化型粘着剤組成物。
【請求項4】
モノマー成分100重量部に対して、平均粒径20nm以下の前記金属ナノ粒子10〜100重量部を含有してなることを特徴とする請求項3記載の紫外線硬化型粘着剤組成物。
【請求項5】
金属ナノ粒子の平均粒径が5〜20nmであることを特徴とする請求項3または4記載の紫外線硬化型粘着剤組成物。
【請求項6】
アクリル系モノマーが、
一般式:CH=C(R)COOR(但し、Rは、水素原子またはメチル基、Rは、炭素数4から15のアルキル基を表す)で表されるアルキル(メタ)アクリレートであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の紫外線硬化型粘着剤組成物。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の紫外線硬化型粘着剤組成物からなる、ヘイズ値が10%以下であることを特徴とする粘着剤層。
【請求項8】
支持体の少なくとも片側に、請求項1〜6のいずれかに記載の紫外線硬化型粘着剤組成物を塗工する工程、次いで、塗工された紫外線硬化型粘着剤組成物に紫外線を照射して、当該粘着剤組成物を硬化して粘着剤層を形成する工程、を有することを特徴とする粘着シートの製造方法。
【請求項9】
紫外線照射を、少なくとも5J/cmの積算光量で行なうことを特徴とする請求項8記載の粘着シートの製造方法。
【請求項10】
紫外線硬化型粘着剤組成物は、金属ナノ粒子の分散液と芳香族系低分子ポリマーの溶液を混合して乾燥して得られた固形物を、モノマー成分に溶解して調製したものであることを特徴とする請求項8または9記載の粘着シートの製造方法。
【請求項11】
請求項8〜10のいずれかに記載の製造方法により得られる粘着シート。

【公開番号】特開2011−6660(P2011−6660A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−113212(P2010−113212)
【出願日】平成22年5月17日(2010.5.17)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】