説明

紫外線硬化性組成物

【課題】
耐擦傷性及び成形性(硬化被膜の伸び)に優れた紫外線硬化性組成物を提供することである。
【解決手段】
トリ−〜ヘキサ−イソシアネート(A)1モルと水酸基を有するジ(メタ)アクリレート及び/又は水酸基を有するトリ(メタ)アクリレート(B)1〜6.5モルとの反応によって得られる(メタ)アクリロイル基含有ウレタンオリゴマー(C)を含有することを特徴とする紫外線硬化性組成物を用いる。1分子中に(メタ)アクリロイル基を2〜3個含有する(メタ)アクリロイル基含有ウレタンオリゴマー(D)をさらに含有することが好ましい。さらに、ポリマー(E)、フィラー(F)、モノ−又はジ−(メタ)アクリレート(G)等を含有してもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は紫外線硬化性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、成形用プラスチックフィルムの保護層として使用する紫外線硬化性組成物として、分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレート、分子中に2個の(メタ)アクリロイル基を有するウレタン(メタ)アクリレート及び/又はエポキシ(メタ)アクリレートと一次粒径が1nm以上200nm以下のコロイダルシリカとを含有するものが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−24168号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の紫外線硬化性組成物では、硬化被膜の耐擦傷性と成形性(硬化被膜の伸び)との両立が困難であり、耐擦傷性を優先する用途では成形性が悪く、また成形性を優先する用途では、耐擦傷性が劣る問題がある。
すなわち、本発明の目的は、耐擦傷性及び成形性(硬化被膜の伸び)に優れた紫外線硬化性組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の紫外線硬化性組成物の特徴は、トリ−〜ヘキサ−イソシアネート(A)1モルと水酸基を有するジ(メタ)アクリレート及び/又は水酸基を有するトリ(メタ)アクリレート(B)1〜8モルとの反応によって得られる(メタ)アクリロイル基含有ウレタンオリゴマー(C)を含有する点を要旨とする。
【0006】
また、本発明の成形用プラスチックフィルムの特徴は、上記の紫外線硬化性組成物をプラスチックベースフィルムにコーティングして得る点を要旨とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の紫外線硬化性組成物は、耐擦傷性及び成形性(硬化被膜の伸び)に著しく優れている。
したがって、本発明の紫外線硬化性組成物を用いると、耐擦傷性と成形性に優れた成形用プラスチックフィルムが得られる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<トリ−〜ヘキサ−イソシアネート(A)>
トリ−〜ヘキサ−イソシアネート(A)としては、ジイソシアネート(J)の変成体{ヌレート体、ビュレット体及びアダクト体等}(A1)及びこの変性体とジオールとの反応物(A2)及びポリオールとジイソシアネート(J)との反応物(A3)が含まれる。
【0009】
ジイソシアネート(J)としては、脂肪族ジイソシアネート(J1)、芳香族ジイソシアネート(J2)、脂環式ジイソシアネート(J3)及びこれらジイソシアネートとジオールとの反応により得られるジイソシアネートプレポリマー(J4)が含まれる。
【0010】
脂肪族ジイソシアネート(J1)としては、炭素数6〜8のアルキレンジイソシアネート等が用いられ、1,4−ジイソシアナトブタン及びヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)等が挙げられる。
【0011】
芳香族ジイソシアネート(J2)としては、炭素数8〜15のアリレンジイソシアネート等が用いられ、パラフェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、キシリレンジイソシアネート及び1,5−ナフタレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0012】
脂環式ジイソシアネート(J3)としては、炭素数12〜15のシクロアルキレンジイソシアネート等が用いられ、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4'−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水素添加MDI)、トランス1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、水素添加TDI及び水素添加1,5−ナフタレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0013】
ジイソシアネートとジオールとの反応により得られるジイソシアネートプレポリマー(J4)としては、ジオール(y)モルに対して、ジイソシアネートを(y+1)モル反応させて得られるジイソシアネートプレポリマーが含まれる。この反応は、通常の方法(反応比率、反応条件等)が適用できる。
【0014】
ジオールとしては、ヒドロキシ基を2個有する化合物であれば制限なく使用でき、炭素数2〜10のジオール(エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール及びシクロヘキサンジメチロール等)及び活性水素化合物(上記のジオール及びビスフェノールA等)にアルキレンオキシド(炭素数2〜3)を付加したジオール(付加数1〜80)(炭素数2〜10のジオールのアルキレンオキシド付加物、及びビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物)等が用いられる。ジオールとしてこれらの他に、ジオールとジカルボン酸とから製造される末端にヒドロキシ基を有する直鎖ポリエステル等も使用することもできる。ジカルボン酸としては、カルボキシ基を2個有する化合物であれば制限なく使用でき、炭素数2〜10のジカルボン酸等が用いられ、シュウ酸、テレフタル酸、イソフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、グルタル酸及びアゼライン酸等が挙げられる。
【0015】
これらのジイソシアネート(J)のうち、脂肪族ジイソシアネート(J1)及び脂環式ジイソシアネート(J3)が好ましく、さらに好ましくは、HDI及び水素添加MDI、特に好ましくはHDIである。
【0016】
ジイソシアネート(J)の変成体とジオールとの反応物(A2)としては、ジオール(y)モルに対して、ジイソシアネート(J)の変成体を(y)〜(y+1)モル反応させて得られる反応物が含まれる。この反応は、通常の方法(反応比率、反応条件等)が適用できる。
【0017】
ポリオールとジイソシアネート(J)との反応物(A3)としては、ポリオール(y)モルに対して、ジイソシアネート(J)を(y+1)〜(6y)モル反応させて得られる反応物が含まれる。この反応は、通常の方法(反応比率、反応条件等)が適用できる。
【0018】
ポリオールとしては、炭素数3〜15のポリオール(グリセリン、トリメチロールプロパン、ジメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール及びトリペンタエリスリトール等)、及びポリオールのアルキレンオキシド(炭素数2〜3)付加体(グリセリンのエチレンオキシド3〜100モル付加体、グリセリンのプロピレンオキシド3〜100モル付加体、トリメチロールプロパンのエチレンオキシド3〜100モル付加体、トリメチロールプロパンのプロピレンオキシド3〜100モル付加体、ジトリメチロールプロパンのエチレンオキシド4〜100モル付加体、ジメチロールプロパンのプロピレンオキシド4〜100ル付加体、ペンタエリスリトールのエチレンオキシド4〜100モル付加体、ペンタエリスリトールのプロピレンオキシド4〜16モル付加体、ジペンタエリスリトールのエチレンオキシド6〜100モル付加体、ジペンタエリスリトールのプロピレンオキシド4〜100モル付加体、トリペンタエリスリトールのエチレンオキシド8〜100モル付加体、トリペンタエリスリトールのプロピレンオキシド8〜100モル付加体、イソシアヌール酸のエチレンオキシド3〜100モル付加体及びイソシアヌール酸のプロピレンオキシド3〜100モル付加体)等が用いられる。
【0019】
トリ−〜ヘキサ−イソシアネート(A)のうち、ジイソシアネート(J)の変成体(A1)とジオールとの反応物(A2)及びポリオールとジイソシアネート(J)との反応物(A3)が好ましく、さらに好ましくは脂肪族又は脂環式のジイソシアネートの変成体(ヌレート体及びビュレット体が好ましい)と脂肪族ジオール又は脂肪族ジオールのアルキレンオキシド付加体との反応物及び脂肪族又は脂環式のジイソシアネートと脂肪族ポリオール又は脂肪族ポリオールのアルキレンオキシド付加体との反応物、特に好ましくはHDI又は水素添加MDIの変成体と脂肪族ジオール又はこのアルキレンオキシド付加体との反応物及びHDI又は水素添加MDIと脂肪族ポリオール又はこのアルキレンオキシド付加体との反応物、最も好ましくは水素添加MDIのヌレート体又は水素添加MDIのビュレット体と脂肪族ジオールのアルキレンオキシド付加体との反応物及び水素添加MDIと脂肪族ポリオールのアルキレンオキシド付加体との反応物である。
【0020】
水酸基を有するジ(メタ)アクリレート及び/又は水酸基を有するトリ(メタ)アクリレート(B)としては、水酸基を3〜4個有するポリオール又はこのポリオールのアルキレンオキシド(炭素数2〜3)付加体から少なくとも1個の水酸基を残し、他の水酸基を(メタ)アクリロイル基で封鎖したもであれば制限なく使用でき、モノヒドロキシジ(メタ)アクリレート{グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート及びイソシアヌル酸エチレンオキシド付加体のジ(メタ)アクリレート等}、ジヒドロキシジ(メタ)アクリレート{ジグリセリンジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート等}及びモノヒドロキシトリ(メタ)アクリレート{ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート及びジグリセリントリ(メタ)アクリレート}及びこれらの混合物等が用いられる。
ここで(メタ)アクリレートとは、アクリレート及び/又はメタクリレートを意味し、(メタ)アクリロイル基は、アクリロイル基及び/又はメタクリロイル基を意味する。
【0021】
水酸基を有するジ(メタ)アクリレート及び/又は水酸基を有するトリ(メタ)アクリレート(B)のうち、ジヒドロキシジ(メタ)アクリレート、モノヒドロキシトリ(メタ)アクリレート及びこれらの混合物が好ましく、さらに好ましくはモノヒドロキシトリ(メタ)アクリレート及びモノヒドロキシトリ(メタ)アクリレートとジヒドロキシジ(メタ)アクリレートとの混合物、特に好ましくはペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート及びペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートとペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートとの混合物である{ジヒドロキシジ(メタ)アクリレートとの混合物を使用する場合、ジヒドロキシジ(メタ)アクリレートの含有量(モル%)は、モノヒドロキシトリ(メタ)アクリレートとジヒドロキシジ(メタ)アクリレートとの混合物のモル数に基づいて、1〜30が好ましく、さらに好ましくは3〜20、特に好ましくは5〜15である。}。
【0022】
トリ−〜ヘキサ−イソシアネート(A)と水酸基を有するジ(メタ)アクリレート及び/又は水酸基を有するトリ(メタ)アクリレート(B)のと反応は、公知の方法{例えば特開2007−204567号公報}等が適用できる。
【0023】
トリ−〜ヘキサ−イソシアネート(A)と水酸基を有するジ(メタ)アクリレート及び/又は水酸基を有するトリ(メタ)アクリレート(B)との反応において、水酸基を有するジ(メタ)アクリレート及び/又は水酸基を有するトリ(メタ)アクリレート(B)の使用量(モル)は、トリ−〜ヘキサ−イソシアネート(A)1モルに対し、1〜6.5が好ましく、さらに好ましくは1.5〜6である。
【0024】
(メタ)アクリロイル基含有ウレタンオリゴマー(C)の数平均分子量は、1000〜10000が好ましく、さらに好ましくは1300〜9000、特に好ましくは1500〜8000である。数平均分子量がこの範囲にあると、耐擦傷性及び成形性に優れる。
なお、数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィにより、分子量既知のポリスチレンを標準物質として測定される。
【0025】
<(メタ)アクリロイル基含有ウレタンオリゴマー(D)>
本発明の紫外線硬化性組成物には、1分子中に(メタ)アクリロイル基を2〜3個含有する(メタ)アクリロイル基含有ウレタンオリゴマー(D)を含有することが好ましい。(メタ)アクリロイル基含有ウレタンオリゴマー(D)を含有すると、成形性がさらに良好となる。
【0026】
(メタ)アクリロイル基含有ウレタンオリゴマー(D)としては、ジイソシアネート(J)とジオール又はトリオールとの反応によって得られたウレタンプレポリマー又はジイソシアネートのヌレート体と水酸基を有するモノ(メタ)アクリレートとの反応によって得られたウレタンプレポリマーが含まれる。
【0027】
(メタ)アクリロイル基含有ウレタンオリゴマー(D)の重量平均分子量は、800〜30000が好ましく、さらに好ましくは1000〜20000、特に好ましくは1500〜10000である。この範囲にあると成形性がさらに良好となる。
【0028】
なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィにより、分子量既知のポリスチレンを標準物質として測定される。
【0029】
1分子中に(メタ)アクリロイル基を2〜3個含有する(メタ)アクリロイル基含有ウレタンオリゴマー(D)は市場から容易に入手でき、日本合成化学工業株式会社製のUV−2000B、UV−3000B、UV−3200B、UV−3500BA、UV−3520TL、UV−6100B,UV−6300又はUV−7000B;サートマージャパン株式会社製のCN962、CN963、CN964、CN965、CN980、CN981、CN982、CN983、CN996、CN9001、CN9002、CN9788、CN9893、CN978、CN9782又はCN9783;東亞合成株式会社製のM−1100、M−1200、M−1210、M−1310又はM−1600;根上工業株式会社製のUN−9000PEP、UN−9200A、UN−7600、UN−333、UN−1255、UN−6060PTM、UN−6060P又はSH−500B;コグニスジャパン株式会社の製フォトマー6008等が挙げられる。
【0030】
(メタ)アクリロイル基含有ウレタンオリゴマー(D)を含有する場合、用途・目的により好ましい範囲は異なるが、(メタ)アクリロイル基含有ウレタンオリゴマー(D)の含有量(重量%)は、(メタ)アクリロイル基含有ウレタンオリゴマー(C)及び(メタ)アクリロイル基含有ウレタンオリゴマー(D)の重量に基づいて、3〜90が好ましく、さらに好ましくは5〜85、特に好ましくは10〜80である。また、(メタ)アクリロイル基含有ウレタンオリゴマー(C)の含有量(重量%)は、(メタ)アクリロイル基含有ウレタンオリゴマー(C)及び(メタ)アクリロイル基含有ウレタンオリゴマー(D)の重量に基づいて、10〜97が好ましく、さらに好ましくは15〜95、特に好ましくは20〜90である。
【0031】
<ポリマー(E)>
本発明の紫外線硬化性組成物には、ポリマー(E)を含有することができる。ポリマー(E)を含有すると、成形性がさらに良好となる。
【0032】
ポリマー(E)としては、特開2009−114302号公報に記載されたポリマー等が使用でき、ビニルポリマー(E1)、ポリエステル(E2)及びポリウレタン(E3)等が含まれる。
【0033】
ポリマー(E)のうち、ビニルポリマー(E1)、ポリウレタン(E3)及びこれらの混合物が好ましく、さらに好ましくはビニルポリマー(E1)とポリウレタン(E3)との混合物及びポリウレタン(E3)、特に好ましくはポリウレタン(E3)である。
【0034】
ポリマー(E)の重量平均分子量は、10,000〜2,000,000が好ましく、さらに好ましくは30,000〜1,500,000、特に好ましくは50,000〜1,000,000である。この範囲であると、紫外線硬化型組成物の成形性がさらに良好となる。
【0035】
ポリマーを(E)を含有する場合、この含有量(重量%)は、本発明の紫外線硬化性組成物{溶剤(T)を含む場合、溶剤(T)を除く}の重量に基づいて、1〜40が好ましく、さらに好ましくは3〜30、特に好ましくは5〜20である。この範囲であると紫外線硬化型組成物の成形性がさらに良好となる。
【0036】
<フィラー(F)>
本発明の紫外線硬化性組成物には、フィラー(F)を含有することができる。フィラー(F)を含有すると、耐擦傷性がさらに良好となる。
【0037】
フィラー(F)としては、無機フィラー(F1)及び有機フィラー(F2)等が含まれる。
【0038】
無機フィラー(F1)としては、シリカ、酸化チタン、タルク、クレー、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、硫酸バリウム、マイカ、珪藻土シリカ、水酸化アルミニウム、アルミナ、酸化ジルコニウム、水酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化亜鉛、五酸化アンチモン、酸化インジウム及びアンチモン酸亜鉛等が挙げられる。また、これらの金属酸化物をスズ、アンチモン、リン又はガリウム等でドープしたものも使用できる。
【0039】
無機フィラー(F1)は、溶剤等に分散された無機フィラーゾル分散液の形態であってもよい。このような無機フィラーゾル分散液は、市場から容易に入手でき、たとえば、オルガノシリカゾルシリーズ及びセルナックスシリーズ(日産化学工業株式会社製、「セルナックス」は同社の登録商標である。)等が挙げられる。
【0040】
有機フィラー(F2)としては、アクリル樹脂フィラー、スチレン樹脂フィラー、アクリル・スチレン樹脂フィラー、ウレタン樹脂フィラー及びシリコーン樹脂フィラー等が挙げられる。
【0041】
有機フィラー(F2)としては、分散媒に分散された分散液の形態であってもよい。このような分散液は、公知の方法{たとえば特開2007−99897号公報等}により調製できる。なお、有機フィラー(F2)は、このような分散液から分散媒を乾燥等により除去して使用することもできる。
【0042】
これらのフィラー(F)のうち、無機フィラー、アクリル樹脂フィラー、アクリル・スチレン樹脂フィラー及びこれらの混合物が好ましく、さらに好ましくは無機フィラー、アクリル樹脂フィラー及びこれらの混合物、特に好ましくは無機フィラーである。無機フィラー(F1)のうち、シリカ、アルミナ及び金属酸化物が好ましく、さらに好ましくはシリカ及び金属酸化物、特に好ましくはシリカ、酸化スズ及び酸化亜鉛である。
【0043】
フィラー(F)の体積平均粒子径は、1nm〜5μmが好ましく、さらに好ましくは3nm〜1μm、特に好ましくは5nm〜500nmである。この範囲であると、耐擦傷性がさらに良好となる。
なお、体積平均粒子径は、測定試料を適当な分散媒(例えば、水、メタノール及びこれらの混合物)に分散させ、JIS Z8825−1−2001「粒子径解析−レーザー回折法−第1部」:測定原理に記載された測定原理を有するレーザー回折式粒度分布測定装置(例えば株式会社島津製作所製SALD−1100、株式会社堀場製作所製LA−950、日機装株式会社製マイクロトラック粒度分布測定装置UPA−ST150等、「マイクロトラック」はリーズ、アンド、ノースラップ、カンパニーの登録商標である。)等により測定される。
【0044】
本発明の紫外線硬化性組成物を透明性が要求される用途に適用する場合、フィラー(F)の体積平均粒子径(nm)は、1〜400が好ましく、さらに好ましくは3〜200、特に好ましくは5〜100である。この範囲であると、成形体の透明性さらに良好となる。
【0045】
フィラー(F)を含有する場合、フィラー(F)の含有量(重量%)は、本発明の紫外線硬化性組成物{溶剤(T)を含む場合、溶剤(T)を除く}の重量に基づいて、1〜40が好ましく、さらに好ましくは3〜30、特に好ましくは5〜25である。この範囲であると、耐擦傷性がさらに良好となる。
【0046】
<モノ(メタ)アクリレート及び/又はジ(メタ)アクリレート(G)>
本発明の紫外線硬化性組成物には、モノ(メタ)アクリレート及び/又はジ(メタ)アクリレート(G)を含有することができる。モノ(メタ)アクリレート及び/又はジ(メタ)アクリレート(G)を含有すると、耐擦傷性がさらに良好となる。
モノ(メタ)アクリレート及び/又はジ(メタ)アクリレート(G)としては、特開2004−352781号公報に記載のモノ(メタ)アクリレート及び/又はジ(メタ)アクリレート等が使用できる。
【0047】
モノ(メタ)アクリレート及び/又はジ(メタ)アクリレート(G)のうち、環状構造を有するモノ(メタ)アクリレート及び/又はジ(メタ)アクリレートが好ましく、さらに好ましくは環状構造を有するモノ(メタ)アクリレート又はトリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレート、特に好ましくは(メタ)アクリロイルモルホリン又はトリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレートである。
【0048】
モノ(メタ)アクリレート及び/又はジ(メタ)アクリレート(G)を含有する場合、モノ(メタ)アクリレート及び/又はジ(メタ)アクリレート(G)の含有量(重量%)は、本発明の紫外線硬化性組成物{溶剤(T)を含む場合、溶剤(T)を除く}の重量に基づいて、1〜60が好ましく、さらに好ましくは3〜40、特に好ましくは5〜25である。この範囲であると、耐擦傷性と成形性がさらに良好となる。
【0049】
<ポリアルキレンオキシド化合物(H)、これとジイソシアネートとの反応物(K)>
本発明の紫外線硬化性組成物には、一般式(1)で表されるポリオキシアルキレン化合物(H)及び/又はポリオキシアルキレン化合物(H)とジイソシアネート(J)との反応物(K)を含有することができる。これらを含有すると、指紋拭き取り性等を付与することができる。
【0050】

{R-(OX)ni-}mQ (1)

【0051】
Qは非還元性の二又は三糖類のm個の水酸基から水素原子を除いた反応残基、OXはオキシアルキレン基、Rはアルキル基、共重合性二重結合含有基基及び/又は水素原子、niは0〜100の整数、mは2〜4の整数、iは1〜mの整数を表し、m個のniは同じでも異なってもよいが少なくとも1個は1以上であり、OXの総数(Σni×m)は20〜100の整数である。
【0052】
非還元性の二又は三糖類のm個の水酸基から水素原子を除いた反応残基(Q)を構成することができる二又は三糖類としては、蔗糖(サッカロース)、トレハロース、イソトレハロース、イソサッカロース、ゲンチアノース、ラフィノース、メレチトース及びプランテオース等が含まれる。これらのうち、指紋拭き取り性の観点から、蔗糖、トレハロース、ゲンチアノース、ラフィノース及びプランテオースが好ましく、さらに好ましくはトレハロース及び蔗糖であり、供給性及びコスト等の観点から特に好ましくは蔗糖である。これらは単独で、または混合して用いてもよい。
【0053】
炭素数2〜4のオキシアルキレン基(OX)としては、オキシエチレン、オキシプロピレン、オキシブチレン及びこれらの混合等が含まれる。これらのうち、指紋拭き取り性の観点から、オキシプロピレン及びオキシエチレンが好ましく、さらに好ましくはオキシプロピレンである。
【0054】
ni個のOXは、同じでも異なっていてもよく、また、m個の(OX)niは同じでも異なってもよい。OX内に複数種類のオキシアルキレン基を含む場合、これらのオキシアルキレン基の結合順序(ブロック状、ランダム状及びこれらの組合せ)及び含有割合には制限ない。
【0055】
Rのうち、アルキル基としては、炭素数1〜4のアルキル基が含まれ、メチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル及びiso−ブチル等が挙げられる。また、共重合性二重結合含有基としては、(メタ)アクリロイル含有基及び炭素数2〜3のアルケニル基等が含まれる。
【0056】
(メタ)アクリロイル含有基としては、(メタ)アクリロイル基、3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル、2−(メタ)アクリロイルオキシ−1−ヒドロキシメチルエチル及び(メタ)アクリロイルオキシエチルアミノカルボニル等が含まれる。
【0057】
炭素数2〜3のアルケニル基としては、ビニル、2−プロペニル及び1−プロペニルが挙げられる。
【0058】
これらのRのうち、アルキル基及びアルケニルが好ましく、さらに好ましくはメチル、エチル、iso−プロペニル及び2−プロペニル、特に好ましくはメチル、エチル及び2−プロペニル、最も好ましくはメチル及びエチルである。m個のRは同じでも異なっていてもよい。
【0059】
m個のR中に、アルキル基及び/又は共重合性二重結合含有基を含む場合、すべてのRのうち、水素原子の数は、mが4のとき0〜3が好ましく、さらに好ましくは0〜2、特に好ましくは0又は1であり、mが3のとき、0〜3が好ましく、さらに好ましくは0又は1であり、mが2のとき、0又は1が好ましい。
【0060】
niは、0〜100の整数が好ましく、さらに好ましくは2〜98の整数、特に好ましくは5〜95の整数、最も好ましくは7〜90の整数である。この範囲であると指紋拭き取り性がさらに良好となる。
【0061】
mは、2〜4の整数が好ましく、さらに好ましくは3又は4、特に好ましくは3である。この範囲であると指紋拭き取り性がさらに良好となる。このmは、非還元性の二又は三糖類の1級水酸基の数に対応する。
【0062】
iは、1〜mの整数を表し、m個のniは同じ値でも異なった値でもよいが少なくとも1つのniは1以上である。すなわち、たとえば、m=4のとき、niは、n1、n2、n3、n4であることを意味する。
【0063】
OXの総数(Σni×m)は、20〜100の整数が好ましく、さらに好ましくは25〜95の整数、特に好ましくは30〜90の整数、最も好ましくは35〜85の整数である。この範囲であると指紋拭き取り性がさらに良好となる。
【0064】
ポリオキシアルキレン化合物(H)としては、たとえば、国際特許出願パンフレットWO2004/101103(再公表2004−101103号公報)に記載されたもの等が好ましく例示できる。
【0065】
ジイソシアネートのうち、指紋拭き取り性等の観点から、HDI、IPDI、MDI、1,5−ナフタレンジイソシアネート、水素添加MDI及びこれらジイソシアネートとジオールとの反応により得られるジイソシアネートプレポリマーが好ましく、さらに好ましくはHDI、IPDI及びこれらジイソシアネートとジオールとの反応により得られるジイソシアネートプレポリマーである。ジオールのうち、指紋拭き取り性の観点から、炭素数2〜10のジオール、炭素数2〜10のジオールのアルキレンオキシド(炭素数2〜3)付加物(付加数1〜50)が好ましく、さらに好ましくは炭素数2〜10のジオールである。
【0066】
反応物(K)において、ジイソシアネート(J)の使用量(モル部)としては、ポリオキシアルキレン化合物(H)1モル部に対して、0.1〜0.8が好ましく、さらに好ましくは0.15〜0.75、特に好ましくは0.2〜0.7、最も好ましくは0.25〜0.65である。
【0067】
ポリオキシアルキレン化合物(H)及び反応物(K)は、公知の方法{国際特許出願パンフレットWO2004/101103(再公表2004−101103号公報)、特開2007−92040号公報、特開平2004−224945号公報等}で容易に得ることができる。
【0068】
ポリオキシアルキレン化合物(H)及び/又は反応物(K)を含有する場合、これらの含有量(重量%)は、本発明の紫外線硬化性組成物{溶剤(T)を含む場合、溶剤(T)を除く}の重量に基づいて、0.01〜10が好ましく、さらに好ましくは0.1〜5、特に好ましくは0.5〜3である。この範囲であると、紫外線硬化性組成物としての性能(耐擦傷性び加工性等)を悪化させることなく、指紋拭き取り性をさらに良好とすることができる。
【0069】
<光ラジカル重合開始剤(P)>
本発明の紫外線硬化性組成物には、光ラジカル重合開始剤(P)を使用することが好ましい。光ラジカル重合開始剤(P)としては、紫外線(波長200〜400nm程度)を受けることによりラジカルを発生する化合物であれば制限なく使用でき、ベンゾイル基含有ラジカル開始剤、モルフォニル基含有ラジカル開始剤、リン原子含有ラジカル開始剤及びイオウ原子含有ラジカル開始剤等が使用できる。
【0070】
ベンゾイル基含有ラジカル開始剤としては、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−[4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)ベンジル]フェニル]−2−メチルプロパン−1−オン及びベンゾフェノン等が挙げられる。
【0071】
モルフォニル基含有ラジカル開始剤としては、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン及び2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン等が挙げられる。
【0072】
リン原子含有ラジカル開始剤としては、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド及び2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド等が挙げられる。
【0073】
イオウ原子含有ラジカル開始剤としては、2,4−ジエチルチオキサントン及びイソプロピルチオキサントン等が挙げられる。
【0074】
これらの光ラジカル重合開始剤(P)は単独で用いてもよいし、また2種類以上を併用してもよい。これらの光ラジカル重合開始剤(P)のうち、ベンゾイル基含有ラジカル開始剤、モルフォニル基含有ラジカル開始剤及びリン原子含有ラジカル開始剤が好ましく、さらに好ましくはベンゾイル基含有ラジカル開始剤及びモルフォニル基含有ラジカル開始剤である。
【0075】
光ラジカル重合開始剤(P)を含有する場合、この含有量(重量%)は、(メタ)アクリロイル基含有ウレタンオリゴマー(C)と、必要により含有される他の紫外線硬化性化合物{(メタ)アクリロイル基含有ウレタンオリゴマー(D)並びにモノ(メタ)アクリレート及び/又はジ(メタ)アクリレート(G)}の重量に基づいて、1〜15が好ましく、さらに好ましくは2〜12、特に好ましくは3〜10である。この範囲であると、紫外線硬化性組成物の硬化性がさらに良好となる。
【0076】
本発明の紫外線硬化性組成物には、レベリング性をさらに向上させる目的で、さらにポリオキシアルキレン変性シリコーン(S)を含むことができる。ポリオキシアルキレン変性シリコーン(S)としては、分岐型ポリオキシアルキレン変性シリコーン(S1)、末端変性型ポリオキシアルキレン変性シリコーン(S2)及びブロック型ポリオキシアルキレン変性シリコーン(S3)等が含まれる。
【0077】
分岐型ポリオキシアルキレン変性シリコーン(S1)としては、SH3746[HLB=10]、SH8428[HLB=0]、SH3771[HLB=14]、BY16−036[HLB=9]、BY16−027[HLB=7]、SH8400[HLB=8]、SH3749[HLB=7]、SH3748[HLB=5]、SF8410[HLB=6]、L−77[HLB=10]、L−7001[HLB=7]、L−7002[HLB=7]、L−7604[HLB=13]、Y−7006[HLB=7]、FZ−2101[HLB=9]、FZ−2104[HLB=14]、FZ−2105[HLB=11]、FZ−2110[HLB=1]、FZ−2118[HLB=12]、FZ−2120[HLB=6]、FZ−2123[HLB=8]、FZ−2130[HLB=7]、FZ−2161[HLB=18]、FZ−2162[HLB=15]、FZ−2163[HLB=13]、FZ−2164[HLB=8]、FZ−2166[HLB=5]及びFZ−2191[HLB=5]{以上、東レダウコーニング株式会社製};KF−351[HLB=12]、KF−352[HLB=7]、KF−353[HLB=10]、KF−354L[HLB=16]、KF−355A[HLB=12]、KF−615A[HLB=10]、KF−945[HLB=4]、KF−618[HLB=11]、KF−6011[HLB=12]及びKF−6015[HLB=4]{以上、信越化学工業株式会社製};TSF4440[HLB=12]、TSF4445[HLB=7]、TSF4446[HLB=7]、TSF4452[HLB=7]、TSF4453[HLB=6]及びTSF4460[HLB=1]{以上、東芝シリコーン株式会社製};並びにTEGOPREN5000シリーズ[HLB=3〜15]{以上、DEGUSSA社製}等が挙げられる。
【0078】
末端変性型ポリオキシアルキレン変性シリコーン(S2)としては、L−720[HLB=7]及びFZ−2122[HLB=1]{東レダウコーニング株式会社製}等が挙げられる。
【0079】
ブロック型ポリオキシアルキレン変性シリコーン(S3)としては、SF8427[HLB=10]及びBY16−004[HLB=0]{以上、東レダウコーニング株式会社製};KF−6004[HLB=5]{以上、信越化学工業株式会社製};FZ−2203[HLB=1]、FZ−2207[HLB=3]及びFZ−2208[HLB=7]{以上、日本ユニカー株式会社製};並びにTEGOPREN3000シリーズ[HLB=1〜5]{以上、DEGUSSA社製}等が挙げられる。
【0080】
これらのポリオキシアルキレン変性シリコーンのうち、指紋の拭き取り性の観点等から、分岐型ポリエーテル変性シリコーン(S1)が好ましい。これらのポリオキシアルキレン変性シリコーン(S)は1種又は2種以上の混合物として用いることができるが、2種以上の混合物として用いる場合、分岐型ポリオキシアルキレン変性シリコーン(S1)を含むことが好ましい。
【0081】
ポリオキシアルキレン変性シリコーン(S)の親水親油バランス(グリフィンのHLB)は、20以下が好ましく、さらに好ましくは15以下、特に好ましくは10以下、最も好ましくは5以下である。これらの範囲であると、指紋拭き取り性がさらに良好となり好ましい。なお、グリフィンのHLBは、新・界面活性剤入門(三洋化成工業株式会社発行)の127〜129頁に記載された界面活性剤の有機性と無機性の比から計算する方法で求めることが出来る。
【0082】
ポリオキシアルキレン変性シリコーン(S)を含有する場合、この含有量(重量%)は、本発明の紫外線硬化性組成物{溶剤(T)を含む場合、溶剤(T)除く}の重量に基づいて、0.01〜2が好ましく、さらに好ましくは0.03〜1、特に好ましくは0.05〜0.5である。
【0083】
<溶剤(T)>
本発明の紫外線硬化性組成物には、取扱性(コーティング性等)をさらに向上させること等を目的として、さらに必要に応じて溶剤(T)を含有させることができる。
【0084】
溶剤(T)としては、(メタ)アクリロイル基含有ウレタンオリゴマー(C)並びに必要により他の成分{(メタ)アクリロイル基含有ウレタンオリゴマー(D)、ポリマー(E)、ポリオキシアルキレン化合物(H)、反応物(K)、モノ(メタ)アクリレート及び/又はジ(メタ)アクリレート(G)、並びに/又は光ラジカル重合開始剤(P)等}を均一に溶解できる{他の成分としてフィラー(F)を含む場合、フィラー(F)を均一に分散できる}溶剤であればよく、ケトン(アセトン、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトン等)、グリコールエーテル(メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル及びプロピレングリコールモノエチルエーテル等)、グリコールエステル(メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート及びプロピレングリコールエチルエーテルアセテート等)、アルコール(メタノール、エタノール、プロパノール及びブタノール等)及び芳香族炭化水素(トルエン及びキシレン等)が含まれる。これらの溶剤は単独または混合して用いられる。
【0085】
溶剤(T)を含有する場合、溶剤(T)の含有量(重量%)は、紫外線硬化性組成物の粘度、塗工方法、乾燥後の膜厚等によって適宜決定される。
【0086】
<光増感剤(U)>
本発明の紫外線硬化性組成物には、硬化性をさらに向上させる目的で、さらに光増感剤(U)を含有できる。
【0087】
光増感剤(U)としては、公知の光増感剤等が使用でき、アルキルアミノ光増感剤(U1)及びジアルキルアミノフェニル光増感剤(U2)等が含まれる。
【0088】
アルキルアミノ光増感剤(U1)としては、モノアルキルアミン(n−ブチルアミン及び2−エチルヘキシルアミン等)、ジアルキルアミン(ジn−ブチルアミン、ジエタノールアミン及びメチルデシルアミン等)、トリアルキルアミン(トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン及び2−ジメチルアミノエチル安息香酸等)等が挙げられる。
【0089】
ジアルキルアミノフェニル光増感剤(U2)としては、4,4'−ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4'−ジエチルアミノベンゾフェノン、ジメチルアミノ安息香酸エチル、ジメチルアミノ安息香酸2−(n−ブトキシ)エチル及びジメチルアミノ安息香酸イソアシル等が挙げられる。
【0090】
これらの他に、トリn−ブチルホスフィン等のりん化合物も使用できる。
これらの光増感剤のうち、トリアルキリアミン及びジアルキルアミノフェニル光増感剤(U2)が好ましく、さらに好ましくはジアルキルアミノフェニル増感剤、特に好ましくは4,4'−ジアルキルアミノベンゾフェノンである。
【0091】
光増感剤(U)を含有する場合、この含有量(重量%)は、光ラジカル重合開始剤(P)の重量に基づいて、0.1〜100が好ましく、さらに好ましくは、1〜50、特に好ましくは5〜50である。なお、光ラジカル重合開始剤(P)を含有しない場合、光増感剤(U)も含有しない。
【0092】
<紫外線吸収剤(V)>
本発明の紫外線硬化性組成物には、耐候性を向上させる目的で、紫外線吸収剤(光安定剤を含む)(V)を含有することができる。紫外線吸収剤(V)としては、ベンゾトリアゾール紫外線吸収剤(V1)、ヒンダードアミン紫外線吸収剤(V2)、ベンゾフェノン紫外線吸収剤(V3)、サリチル酸紫外線吸収剤(V4)及びトリアジン紫外線吸収剤(V5)等が含まれる。
【0093】
ベンゾトリアゾール紫外線吸収剤(V1)としては、2−(2'−ヒドロキシ−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール及び2−(2'−ヒドロキシ−5'−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
【0094】
ヒンダードアミン紫外線吸収剤(V2)としては、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドリキシフェニル]メチル]ブチルマロネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバケート及びビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート等が挙げられる。
【0095】
ベンゾフェノン紫外線吸収剤(V3)としては、2,4−ジヒドロベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシベンゾフェノン及び2,2'−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等が挙げられる。
【0096】
サリチル酸紫外線吸収剤(V4)としては、フェニルサリシレート、p−tert−ブチルフェニルサリシレート及びp−オクチルフェニルサリシレート等が挙げられる。
【0097】
トリアジン紫外線吸収剤(V5)としては、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−ドデシルオキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−トリデシルオキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン及び2,4−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−6−(2−ヒドロキシ−4−イソオクチルオキシフェニル−1,3,5−トリアジン等が挙げられる。
【0098】
これらの紫外線吸収剤は単独で用いてもよいし、また2種類以上を併用してもよく、2種以上併用する場合、ヒンダードアミン紫外線吸収剤(V2)とトリアジン紫外線吸収剤(V5)との併用が好ましい。これらの紫外線吸収剤(V)のうち、ベンゾトリアゾール紫外線吸収剤(V1)、ヒンダードアミン紫外線吸収剤(V2)及びトリアジン紫外線吸収剤(V5)が好ましく、さらに好ましくはヒンダードアミン紫外線吸収剤(V2)及びトリアジン紫外線吸収剤(V5)である。
【0099】
紫外線吸収剤(V)を含有する場合、この含有量(重量%)は、本発明の紫外線硬化性組成物{溶剤(T)を含む場合、溶剤(T)を除く}の重量に基づいて、0.1〜10が好ましく、さらに好ましくは0.3〜8、特に好ましくは0.5〜5である。
【0100】
<他の添加剤>
本発明の紫外線硬化性組成物には、必要に応じて、他の添加剤(たとえば、染料、顔料、熱安定剤、密着促進剤、消泡剤、垂れ防止剤及び/又は難燃剤等)を添加することができる。
他の添加剤を含有する場合、他の添加剤の含有量(重量%)は、各添加剤の特性を発揮でき、本発明の効果を阻害しない範囲で添加することができ、本発明の紫外線硬化性組成物{溶剤(T)を含む場合、溶剤(T)を除く}の重量に基づいて、0.01〜50が好ましく、さらに好ましくは0.05〜30、特に好ましくは0.1〜10である。
【0101】
本発明の紫外線硬化性組成物に、(メタ)アクリロイル基含有ウレタンオリゴマー(C)以外に、(メタ)アクリロイル基含有ウレタンオリゴマー(D)、ポリマー(E)、フィラー(F)ポリオキシアルキレン化合物(H)、反応物(J)、モノ(メタ)アクリレート及び/又はジ(メタ)アクリレート(G)、光ラジカル重合開始剤(P)、光増感剤(U)、紫外線吸収剤(V)及び/又は他の添加剤を含有する場合、本発明の紫外線硬化性組成物は、各構成成分を均一混合・分散することにより容易に得られ、製造方法に制限はない。
【0102】
ポリマー(E)を使用する場合、ポリマー(E)を溶剤(T)に均一溶解させてポリマー溶液を得てから、(メタ)アクリロイル基含有ウレタンオリゴマー(C)及び必要により他の成分{(メタ)アクリロイル基含有ウレタンオリゴマー(D)、フィラー(F)、ポリオキシアルキレン化合物(H)、反応物(K)、モノ(メタ)アクリレート及び/又はジ(メタ)アクリレート(G)、光ラジカル重合開始剤(P)、光増感剤(U)、紫外線吸収剤(V)及び/又は他の添加剤等}とポリマー溶液とを均一混合することが好ましい。
【0103】
フィラー(F)を使用する場合、フィラー(F)を溶剤(H)に均一分散させて分散液を調製してから、(メタ)アクリロイル基含有ウレタンオリゴマー(C)及び必要により他の成分{(メタ)アクリロイル基含有ウレタンオリゴマー(D)、ポリマー(E)、ポリオキシアルキレン化合物(H)、反応物(K)、モノ(メタ)アクリレート及び/又はジ(メタ)アクリレート(G)、光ラジカル重合開始剤(P)、光増感剤(U)、紫外線吸収剤(V)及び/又は他の添加剤等}と分散液とを混合することが好ましい。
【0104】
フィラー(F)を分散混合するための分散機としては均一に分散できれば特に制限はないが、たとえば、ディゾルバー、2軸ミキサー、3軸ミキサー、プラネタリーミキサー、3軸プラネタリーミキサー、3本ロール、ボールミル及びビーズミル等が挙げられる。これらのうち、ディゾルバー、2軸ミキサー、3軸ミキサー及び3軸プラネタリーミキサーが好ましく、さらに好ましくはディゾルバー、3軸ミキサー及び3軸プラネタリーミキサー、特に好ましくはディゾルバー及び3軸プラネタリーミキサーである。
【0105】
分散混合の温度(℃)としては均一分散できれば特に制限はないが、10〜60が好ましく、さらに好ましくは15〜50、特に好ましくは20〜40である。
【0106】
分散混合の時間(分)としては均一分散できれば特に制限はないが、10〜600が好ましく、さらに好ましくは20〜300、特に好ましくは30〜180である。
【0107】
均一混合・分散の温度(℃)としては均一混合できれば特に制限はないが、25〜60が好ましく、さらに好ましくは30〜50、特に好ましくは35〜45である。
【0108】
本発明の紫外線硬化性組成物は、各種プラスチックの保護層に適用でき、特に成型用プラスチックフィルムの保護層として好適である。
保護層は、プラスチックベース(成型用のプラスチックベースフィルム)に、本発明の紫外線硬化性組成物をコーティングし、必要により加熱乾燥した後、紫外線照射することにより形成される。
コーティング方法としては、ロールコート法、ディップ法、スプレー法、フローコート法及びスクリーン印刷法等が適用できる。
【0109】
加熱乾燥する場合、加熱乾燥温度(℃)としては、30〜120程度が好ましく、さらに好ましくは40〜110、特に好ましくは50〜100である。加熱温度はこの範囲で段階的に変化(たとえば昇温)させてもかまわない。
加熱乾燥時間(分)としては、0.5〜30程度が好ましく、さらに好ましくは1〜20である。
【0110】
紫外線の照射量(mJ/cm)としては、100〜2,000程度が好ましく、さらに好ましくは200〜1,000である。
【0111】
本発明の紫外線硬化性組成物を成型用プラスチックフィルムに適用する場合、紫外線硬化性組成物のコーティング層の厚み(μm)としては、0.1〜100程度が好ましく、さらに好ましくは1〜30である。
【0112】
成形用のプラスチックベースフィルムの材質としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース及びポリメチルメタクリレート等が挙げられる。これらのうち、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート及びポリメチルメタクリレートが好ましい。
【0113】
成形用のプラスチックベースフィルムの厚さ(μm)は、10〜5000程度が好ましく、さらに好ましくは50〜2000である。
【0114】
成形方法としては、成形同時加飾方法であるインモールド成形(転写成形)及びインサート成形等が適用できる。インモールド成形(転写成形)やインサート成形の具体的方法は、特開平10−58895号公報及び特開2007−291380等に記載されている。
【0115】
本発明の成型用プラスチックフィルムをインモールド成形やインサート成形によって成形する場合、紫外線硬化性樹脂の硬化膜上又はプラスチックベースフィルムを介した反対面上に印刷等で加飾処理や密着向上処理することができる。
【実施例】
【0116】
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれに限定されない。なお、特記しない限り、部は重量部、%は重量%を意味する。
【0117】
イソシアネート基含有率はJIS K1603−1:2007のA法(電位差滴定法)に準拠して測定した。
【0118】
水酸基価はJIS K1557−1:2007のA法(電位差滴定)に準拠して測定した。
【0119】
加熱残分はJIS K5601−1−2:1999に準拠して、105℃、1時間の条件で測定した(皿:直径70mm、縁の高さ15mm、循風乾燥器)。
【0120】
(メタ)アクロイル基含有ウレタンオリゴマーを合成する際、イソシアネートの分子量は次式のようにイソシアネート含有率より、また、ジオール又はポリオールの分子量は次式のように水酸基価より、算出した。
【0121】
(イソシアネートの分子量)=42÷(イソシアネート含有率÷100)×官能基数
(ジオール又はポリオールの分子量)=56100×官能基数÷(水酸基価)
【0122】
<製造例1>
冷却管、撹拌装置、温度計を取り付けた反応容器に、1,6ヘキサンジイソシアネートのイソシアヌレート体(商品名:デュラネートTPA−100、旭化成株式会社製、「デュラネート」は旭化成ケミカルズ株式会社の登録商標である。)545部(1mol)、ポリエチレングリコール(商品名:PEG−600、三洋化成工業株式会社製)295部(0.5mol)、ジブチルスズジラウレート(反応触媒)0.05部及びメチルエチルケトン210部(加熱残分が80%となる理論値)を攪拌下30分間環流させた後、30℃以下まで冷却し、ペンタエリスリトールトリアクリレートを主成分としたアクリレート(商品名:ライトアクリレートPE−3A、共栄社化学株式会社製、ペンタエリスリトールのテトラ−、トリ−、ジ−アクリレートの混合物(重量比でそれぞれ35:60:5))826部(トリアクリレート1.7mol、ジアクリレート0.2mol、ヒドロキシ基の当量2.0mol)及びヒドロキノンモノメチルエーテル(重合禁止剤)0.5部をメチルエチルケトン207部(加熱残分が80%となる理論値)に溶解した溶液を、攪拌下30分間で滴下し、さらにイソシアネート基含有率が0.2%となるまで環流を継続した。その後30℃以下まで冷却し、目開き45μmのステンレス製金網でろ過し、ろ液の加熱残分を測定し、80%となるようメチルエチルケトンで調整した後、アクリロイル基含有ウレタンオリゴマー(c1)のメチルエチルケトン溶液を得た。アクリロイル基含有ウレタンオリゴマー(c1)の数平均分子量は2900であった。
【0123】
<製造例2>
「1,6ヘキサンジイソシアネートのイソシアヌレート体545部」を「1,6ヘキサンジイソシアネートのビュレット体(商品名:デュラネート24A−100、旭化成株式会社製)536部(1mol)」に変更したこと、「ポリエチレングリコール498部」を「ポリプロピレングリコール(商品名:ニューポールPP−1000、三洋化成工業株式会社製、「ニューポール」は同社の登録商標である。)505部(0.5mol)」に変更したこと以外、製造例1と同様にして(メチルエチルケトンは加熱残分で80%となる理論量)、アクリロイル基含有ウレタンオリゴマー(c2)のメチルエチルケトン溶液を得た。アクリロイル基含有ウレタンオリゴマー(c2)の数平均分子量は3500であった。
【0124】
<製造例3>
「1,6ヘキサンジイソシアネートのイソシアヌレート体545部」を「1,6ヘキサンジイソシアネート(商品名:タケネート700、三井武田ケミカル株式会社製、「タケネート」は三井化学株式会社の登録商標である。)504部(3mol)」に変更したこと、「ポリエチレングリコール498部」を「プロピレンオキシド変性グリセリン(商品名:ニューポールGP−600、三洋化成工業株式会社製)602部(1mol)」に変更したこと、「ペンタエリスリトールトリアクリレートを主成分としたアクリレート826部」を「1239部(トリアクリレート2.5mol、ジアクリレート0.3mol、ヒドロキシ基として3.0mol)」に変更したこと以外、製造例1と同様にして(メチルエチルケトンは加熱残分で80%となる理論量)、アクリロイル基含有ウレタンオリゴマー(c3)のメチルエチルケトン溶液を得た。アクリロイル基含有ウレタンオリゴマー(c3)の数平均分子量は2100であった。
【0125】
<製造例4>
「1,6ヘキサンジイソシアネートのイソシアヌレート体545部」を「1,6ヘキサンジイソシアネート(商品名:タケネート700、三井武田ケミカル株式会社製)504部(3mol)」に変更したこと、「ポリエチレングリコール498部」を「プロピレンオキシド変性グリセリン(商品名:ニューポールGP−4000、三洋化成工業株式会社製)3990部(1mol)」に変更したこと、「ペンタエリスリトールトリアクリレートを主成分としたアクリレート826部」を「1239部(トリアクリレート2.5mol、ジアクリレート0.3mol、ヒドロキシ基として3.0mol)」に変更したこと以外、製造例1と同様にして(メチルエチルケトンは加熱残分で80%となる理論量)、アクリロイル基含有ウレタンオリゴマー(c4)のメチルエチルケトン溶液を得た。アクリロイル基含有ウレタンオリゴマー(c4)の数平均分子量は5600であった。
【0126】
<製造例5>
加熱、攪拌、冷却、滴下、加圧及び減圧の可能な反応容器に、蔗糖{商品名;スクロース、和光純薬工業株式会社製、1級}342部(1mol)及びジメチルホルムアミド(DMF){三菱ガス化学株式会社製}1000部を均一混合した後、窒素ガスを用いて、ゲージ圧で0.4MPaになるまで加圧し0.02MPaになるまで排出する操作(加圧窒素置換)を3回繰り返した。その後、攪拌しつつ100℃まで昇温し、同温度にてプロピレンオキシド(PO)4350部(75mol)を4時間かけて滴下した後、同温度にて30分間攪拌を続けて残存するPOを反応させた。次いで120℃まで加熱し、同温度に保持しながら0.01〜0.1MPaの減圧下にてDMFを留去し、次いで90℃に冷却し、イオン交換水20部を加えた後、キョーワード700{協和化学工業株式会社製合成無機吸着剤、「キョワード」は同社の登録商標である。}100部を加え、同温度にて1時間攪拌した。次いで同温度にてNo.2濾紙{東洋濾紙株式会社製}を用いて濾過してキョーワード700を取り除き、さらに0.01〜0.02MPaの減圧下120℃にて1時間脱水して、ポリオキシアルキレン化合物(h1)(蔗糖/PO75モル)を得た。
【0127】
<製造例6>
加熱、冷却、攪拌及び密閉が可能な耐圧反応容器に、製造例5で得たポリオキシアルキレン化合物(h1)469部(0.1モル)を仕込み、1.3〜2.7Paの減圧下100℃にて1時間脱水した。ついで50℃まで冷却後、1,6ヘキサンジイソシアネート{商品名:タケネート700、三井武田ケミカル株式会社製}12部(0.07モル)を加え、製造例5と同様の方法で窒素置換を3回繰り返した。その後、攪拌しつつ1時間で120℃まで昇温し、同温度にて12時間攪拌を続けた後にイソシアネート基含有率が0.2%となるのを確認して、反応物(k1)を得た。
【0128】
<実施例1>
攪拌羽及びモーター付ステンレス製配合槽に、製造例1で作成した(メタ)アクリロイル基含有ウレタンオリゴマー(c1)のメチルエチルケトン溶液106.3部(加熱残分として85部)、(メタ)アクリロイル基含有ウレタンオリゴマー(d1){2官能ウレタンオリゴマー、商品名:CN9783、サートマージャパン株式会社製}15部、製造例5で得たポリアルキレンオキシド化合物(h1)0.2部、製造例6で得た反応物(k1)1部、光ラジカル開始剤(p1){1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン}5部、及び溶剤{メチルエチルケトン}227部(加熱残分が30%となる理論値)仕込み、40℃で1時間混合し、その後加熱残分を測定し加熱残分が30%となるよう溶剤(t1){メチルエチルケトン}で調整し、保留粒子径2μmのろ紙{東洋濾紙株式会社製、PF020}でろ過することにより本発明の紫外線硬化性組成物(1)を得た。
【0129】
<実施例2〜7>
「(メタ)アクリロイル基含有ウレタンオリゴマー(c1)のメチルエチルケトン溶液106.3部」、「(メタ)アクリロイル基含有ウレタンオリゴマー(d1)15部」、「溶剤{メチルエチルケトン}227部」を、表1に示したもの及び使用量(部)に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の紫外線硬化性組成物(2)〜(7)を得た。
なお、表1の記載は加熱残分としての値を示した。
【0130】
【表1】



【0131】
表1中、c1、c2、c3、c4、c5、d1、d2、d3、g1、e1、h1、k1、s1、f1、f2及びp1は以下の通りである。
【0132】
c1:製造例1で作成したアクリロイル基含有ウレタンオリゴマー{テトライソシアネート(1mol)とジアクリレート(0.2モル)及びトリアクリレート(1.7モル)の反応物、数平均分子量2900}
c2:製造例2で作成したアクリロイル基含有ウレタンオリゴマー{テトライソシアネート(1mol)とジアクリレート(0.2モル)及びトリアクリレート(1.7モル)の反応物、数平均分子量3500}
c3:製造例3で作成したアクリロイル基含有ウレタンオリゴマー{トリイソシアネート(1mol)とジアクリレート(0.3モル)及びトリアクリレート(2.5モル)の反応物、数平均分子量2100}
c4:製造例4で作成したアクリロイル基含有ウレタンオリゴマー{トリイソシアネート(1mol)とジアクリレート(0.3モル)及びトリアクリレート(2.5モル)の反応物、数平均分子量5600}
c5:アクリロイル基含有ウレタンオリゴマー{根上工業株式会社製アートレジンUN−909、数平均分子量3000;トリイソシアネート(プレポリマー)1モルとペンタエリスリトールトリアクリレート及びペンタエリスリトールジアクリレート1〜6.5モルとを反応して得られるアクリロイル基含有ウレタンオリゴマー}
【0133】
d1:アクリロイル基を2個含有するアクリロイル基含有ウレタンオリゴマー{サートマージャパン株式会社製CN9783}
d2:アクリロイル基を3個含有するアクリロイル基含有ウレタンオリゴマー{コグニスジャパン株式会社製PHOTOMER6008}
d3:アクリロイル基を2個含有するアクリロイル基含有ウレタンオリゴマー{日本合成化学工業株式会社製紫光UV−7000B}
【0134】
g1:トリシクロデカンジメチロールジアクリレート(共栄社化学株式会社製ライトアクリレートDCP−A)
g2:アクリロイルモルホリン{株式会社興人製ACMO(「ACMO」は同社の登録商標である。)}
【0135】
e1:ポリウレタン{東洋紡績株式会社製バイロン3210、メチルエチルケトン溶液、加熱残分30%、「バイロン」は同社の登録商標である。}
【0136】
h1:製造例5で作成したポリアルキレンオキシド化合物
【0137】
k1:製造例6で作成したポリアルキレンオキシド化合物(h1)と1,6−ヘキサンジイソシアネートとの反応物
【0138】
s1:ポリオキシアルキレン変性シリコーン{東レダウコーニング株式会社製Fz−2110}
【0139】
f1:シリカ{日産化学工業株式会社製オルガノシリカゾルMEK−ST、メチルエチル分散液、加熱残分30%、体積平均粒子径15nm}
f2:リンドープ酸化スズ{日産化学工業株式会社製セルナックスCX−S204IP、イソプロピルアルコール溶液、体積平均粒子径12nm、「セルナックス」は同社の登録商標である。}
【0140】
p1:光ラジカル開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)
【0141】
<比較例1{特開2009−24168号公報に記載された実施例1に相当する}、比較例2>
「(メタ)アクリロイル基含有ウレタンオリゴマー(c1)のメチルエチルケトン溶液100部」、「(メタ)アクリロイル基含有ウレタンオリゴマー(d1)20部」、「溶剤{メチルエチルケトン}228部」を、表2に示したもの及び使用量(部)に変更したこと以外、実施例1と同様にして、比較用の紫外線硬化性組成物(1)及び(2)を得た。
なお、表2の記載は加熱残分としての値を示した。
【0142】
【表2】



【0143】
表2中、d1、f1及びp1は表1の場合と同じ意味である。
g2:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとペンタアクリレートの混合物{三洋化成工業株式会社製ネオマーDA600、「ネオマー」は同社の登録商標である。}
g3:ビスフェノールA型エポキシアクリレート{ダイセル・サイテック株式会社製Ebecryl600}
p2:2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド
【0144】
実施例及び比較例で得た紫外線硬化性組成物について、以下のようにして加工性、加工安定性、耐擦傷性、耐擦傷安定性、保管形状保持性及び実用性について評価し、これらの評価結果を表3に示した。
【0145】
<評価用試料の調製>
易接着処理ポリエステルフィルム{東洋紡績株式会社製、品番A4100、厚み100μm}を30cm(縦)×15cm(横)角に切り出し、塗工面をイソプロピルアルコールで拭き取り、イソプロピルアルコールを乾燥して、被塗工用のプラスチックベースフィルムを用意した。次いで、JIS K5101−4:2004「顔料試験方法−第4部:隠ぺい力−隠ぺい率試験紙法−4.装置及び器具、(d)バーコーター」と同等のバーコーター(No.12:ステンレス綱径0.30mm)を用いて、評価試料(紫外線硬化性組成物)を被塗工用のプラスチックベースフィルムに、テスター産業株式会社製自動塗工装置PI−1210を用い、100mm/秒の塗工速度で、プラスチックベースフィルムの縦方向へ塗工した後、塗工面が水平になるようにして塗工フィルムを、循風式乾燥機内で80℃で1分間加熱乾燥し、塗工面に紫外線(高圧水銀灯、300mJ/cm)を塗工面に対して垂直に照射した。
その後、耐擦傷性の評価及び指紋拭き取り性の評価用として、10cm×10cm角に切り出し、また、加工性の評価用として、5mm×120mmに切り出して、評価用試料を調製した。
【0146】
<耐擦傷性>
評価用試料について、 JIS K7105(1981)の「5.5光線透過率及び全光線反射率、(1)装置」に準処した装置(日本電色工業株式会社製NDH2000)を用い、23±2℃、相対湿度50±5%の環境下、ヘイズ(%)を測定した(初期値)後、JIS L0849:2004の摩耗試験器I形(クロックメーター)に準拠した装置{株式会社井元製作所製ラビングテスターB1052}の試料台に試料を取り付け、加重腕にスチールウール{日本スチールウール株式会社製ボンスターNo.0000「ボンスター」は同社の登録商標である}を取り付け、荷重500g/cmで10往復、硬化膜表面を摩耗した。摩耗した表面を日本薬局タイプIの脱脂綿で、スチールウール及び削り取られた硬化膜などのホコリを拭き取った後、再度、上記と同様にしてヘイズを測定した(摩耗後)。ヘイズ(摩耗後)−ヘイズ(初期値)を耐擦傷性とした。数値が小さいほど耐擦傷性に優れていることを意味する。
【0147】
<成形性>
評価用試料について、引っ張り試験機{島津製作所株式会社製 島津小型卓上試験機EZ−L、引っ張り速度100mm/分}につかみ間隔5cmで取り付け、23±2℃、相対湿度50±5%の環境下で、目視にて塗膜にクラックが発生するまで引き延ばし、クラックが発生したときの伸び(cm)から、(伸び)÷5×100を算出して、成型性とした。たとえば、クラックが発生した距離が6cmの場合、伸びは1cm(6−5cm)であり、20%(1cm÷5cm×100)と算出される。数値が大きいほど成形性に優れていることを意味する。
【0148】
<指紋拭き取り性>
評価用試料(各5枚)の塗工面に、無作為に5人の試験者の親指を押しつけて塗工面に指紋を付着させた後(1人/1枚)、指紋の付いた試料を試料台に取り付け、付着した指紋を株式会社井元製作所製ラビングテスターB1052の加重腕に日本薬局タイプIの脱脂綿を取り付け、500g/cmの荷重をかけながら試料台を移動させてて拭き取り、指紋の跡が見えなくなるまで試料台の往復回数を測定し、5回の平均を指紋拭き取り性とした(拭き取り性が30以上の場合は×を表示した。)。数値が小さいほど指紋拭き取り性に優れることを意味する。
【0149】
【表3】



【0150】
耐擦傷性を優先する用途(耐擦傷性0.5%以下、実施例1、2及び比較例1)において、本発明の紫外線硬化性組成物(実施例1、2)は、比較用の紫外線硬化性組成物(比較例1)に比較して、成形性及び指紋拭き取り性が著しく優れていた。
また、成形性を優先する用途(成型性20%以上、実施例3〜5及び比較例2)において、本発明の紫外線硬化性組成物(実施例3〜5)は、比較用の紫外線硬化性組成物(比較例2)に比較して、耐擦傷性及び指紋拭き取り性が著しく優れていた。
また、耐擦傷性を強く問わないような用途(耐擦傷性4程度、実施例6、7及び比較例2)において、本発明の紫外線硬化性組成物(実施例6、7)は、比較用の紫外線硬化性組成物(比較例2)に比較して、成形性及び指紋拭き取り性が極めて優れていた。
【産業上の利用可能性】
【0151】
本発明の紫外線硬化性組成物は、木材、石、ガラス、コンクリート、金属、プラスチック及び金属蒸着プラスチック等のコーティング剤として使用することができる。さらに、3次元造形用硬化性コーティング組成物として成形体にすることもできる。これらのうち、プラスチック及び金属蒸着プラスチック等のコーティング剤として適しており、特にプラスチックのコーティング剤として好適である。プラスチックのコーティング剤のうち、インモールド成形(転写整形)、インサート成形等に使用する熱成形フィルム用コーティング剤として最適である。
【0152】
プラスチック成形体としては、家電製品用成形体、車両用成形体及び建築材料用成形体等が含まれる。家電製品用成形体としては、テレビ、オーディオ又は携帯電話の外装材及び液晶等の保護板等が挙げられる。車両用成形体としては、ヘッドランプレンズ、ウインカーレンズ、サンルーフ、メーターカバー、バイクの風防及びヘルメットシールド等が挙げられる。建築材料用成形体としては、高速道路防音壁、間仕切り板及び採光窓等が挙げられる。これらの他に、額縁用プラスチック板、展示用パネル、光学レンズ、プラスチック容器及び装飾品等にも適用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トリ−〜ヘキサ−イソシアネート(A)1モルと、水酸基を有するジ(メタ)アクリレート及び/又は水酸基を有するトリ(メタ)アクリレート(B)1〜6.5モルとの反応によって得られる(メタ)アクリロイル基含有ウレタンオリゴマー(C)を含有することを特徴とする紫外線硬化性組成物。
【請求項2】
1分子中に(メタ)アクリロイル基を2〜3個含有する(メタ)アクリロイル基含有ウレタンオリゴマー(D)をさらに含有する請求項1に記載の紫外線硬化性組成物。
【請求項3】
さらに、ポリマー(E)を含有する請求項1又は2に記載の紫外線硬化性組成物。
【請求項4】
さらに、フィラー(F)を含有する請求項1〜3いずれかに記載の紫外線硬化性組成物。
【請求項5】
さらに、モノ(メタ)アクリレート及び/又はジ(メタ)アクリレート(G)を含有する請求項1〜4のいずれかに記載の紫外線硬化性組成物。
【請求項6】
さらに、一般式(1)で表されるポリオキシアルキレン化合物(H)及び/又はポリオキシアルキレン化合物(H)とジイソシアネート(J)との反応物(K)を含有する請求項1〜5のいずれかに記載の紫外線硬化性組成物。

{R-(OX)ni-}mQ (1)

Qは非還元性の二又は三糖類のm個の水酸基から水素原子を除いた反応残基、OXはオキシアルキレン基、Rはアルキル基、共重合性二重結合含有基及び/又は水素原子、niは0〜100の整数、mは2〜4の整数、iは1〜mの整数を表し、m個のniは同じでも異なってもよいが少なくとも1個は1以上であり、OXの総数(Σni×m)は20〜100の整数である。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の紫外線硬化性組成物をプラスチックベースフィルムにコーティングして得られる成形用プラスチックフィルム。



【公開番号】特開2011−219660(P2011−219660A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−91733(P2010−91733)
【出願日】平成22年4月12日(2010.4.12)
【出願人】(000106438)サンノプコ株式会社 (124)
【Fターム(参考)】