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紫外線硬化性組成物
説明

紫外線硬化性組成物

【課題】耐擦傷性に優れたクリア塗膜を与えることが可能で、かつ使用時の手垢や指紋などの皮脂汚れを目立たせずに意匠性を維持し、また、使用時に付着した手垢や指紋などの皮脂汚れを容易に除去可能な、紫外線硬化性組成物を提供。
【解決手段】紫外線硬化性化合物(A)と脂肪酸、脂肪酸エステルまたはそれらの誘導体(B)と変性ポリシロキサン化合物(C)とを含む紫外線硬化性組成物である。さらに好ましくは、前記紫外線硬化性化合物(A)が、1分子中に5つ以上の官能基を有する化合物(A1)と、1分子中に3官能あるいは4官能の官能基を有する化合物(A2)および/または1分子中に1官能あるいは2官能の官能基を有する化合物(A3)との混合物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線硬化性組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車や車両の内装材、GPS(全地球測位システム:Global Positioning System)、タッチパネル式操作パネルなどの車載機器、携帯電話、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、テレビ、パソコン、携帯用ゲーム機、炊飯器、冷蔵庫などの電気製品などの筐体において、各種プラスチック材料や金属材料が使用されており、その意匠性や耐久性を高めるために、各種プラスチック材料や金属材料に、光沢性の高い着色や塗装処理がされている。近年、これらの着色や塗装に対し高光沢性を得るため、透明性が高く、傷の付きにくい紫外線硬化型樹脂によるクリアコート層を施すことが求められている。
しかしながら、上記部材の使用時には、最表面のクリアコート層に人が接触するため、手垢や指紋などの皮膚汚れが付着し、光沢性を著しく損なってしまう欠点がある。また、付着したこれらの皮脂汚れが容易に除去できないという問題があった。
従来、汚れの防止技術として、フッ素系化合物やシリコン系化合物をコート層に含有させることにより、撥水性、撥油性を高め、汚れを付着させ難くする手法が開示されている(例えば、特許文献1、2、3参照。)。
しかしながら、汚れの付着を完全に防ぐということは非常に困難であり、特に皮脂付着による汚れを防ぐことは難しく、汚れが付着した場合、汚れの接触角が高くなって反射光が散乱し、更に目立ってしまうという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−104403号公報
【特許文献2】特開平11−269287号公報
【特許文献3】特開2007−160764号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的とするところは、耐擦傷性に優れたクリア塗膜を与えることが可能で、かつ使用時の手垢や指紋などの皮脂汚れを目立たせずに意匠性を維持し、また、使用時に付着した手垢や指紋などの皮脂汚れを容易に除去可能な、紫外線硬化性組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような課題は、下記(1)〜(8)に記載の本発明によって解決される。
(1) 紫外線硬化性化合物(A)と脂肪酸、脂肪酸エステルまたはそれらの誘導体(B)と変性ポリシロキサン化合物(C)とを含む紫外線硬化性組成物。
(2) 前記紫外線硬化性化合物(A)が、1分子中に5つ以上の官能基を有する化合物(A1)と、1分子中に3官能あるいは4官能の官能基を有する化合物(A2)および/または1分子中に1官能あるいは2官能の官能基を有する化合物(A3)との混合物である前記(1)項に記載の紫外線硬化性組成物。
(3) 前記紫外線硬化性化合物(A)の含有量が、(B)成分および(C)成分以外の紫外線硬化性組成物を硬化してなるクリアコート層を形成する有機固形成分のうち、80重量%以上である、前記(1)または(2)項に記載の紫外線硬化性組成物。
(4) 前記変性ポリシロキサン化合物(C)が、前記紫外線硬化性化合物(A)に対し
て重量比で0.0001以上0.1以下である、前記(1)〜(3)項のいずれか1項に
記載の紫外線硬化性組成物。
(5) 前記脂肪酸、脂肪酸エステルまたはそれらの誘導体(B)が、前記紫外線硬化性化合物(A)に対して重量比で0.01以上、20以下である、前記(1)〜(4)項のいずれか1項に記載の紫外線硬化性組成物。
(6) 前記紫外線硬化性化合物(A)の(A1):(A2):(A3)の重量比率が、20〜95:0〜50:5〜50である、前記(2)〜(5)項のいずれか1項に記載の紫外線硬化性組成物。
(7) 前記変性ポリシロキサン化合物(C)が、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、および/または、ポリエーテル変性ポリメチルアルキルシロキサンである前記(1)〜(6)項のいずれか1項に記載の紫外線硬化性組成物。
(8) 前記1分子中に1官能あるいは2官能の官能基を有する化合物(A3)が、2官能ウレタンアクリレートオリゴマーを含有する前記(2)〜(7)項のいずれか1項に記載の紫外線硬化性組成物。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、耐擦傷性に優れたクリア塗膜を与えることが可能で、かつ使用時の手垢や指紋などの皮脂汚れを目立たせずに意匠性を維持し、また、使用時に付着した手垢や指紋などの皮脂汚れを容易に除去可能な、紫外線硬化性組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明は、紫外線硬化性化合物(A)と脂肪酸、脂肪酸エステルまたはそれらの誘導体(B)と変性ポリシロキサン化合物(C)とを含む紫外線硬化性組成物を用いることで、耐擦傷性に優れたクリア塗膜を与えることが可能で、かつ使用時の手垢や指紋などの皮脂汚れを目立たせずに意匠性を維持し、また、使用時に付着した手垢や指紋などの皮脂汚れを容易に除去可能な、紫外線硬化性組成物を提供することができる。
ここで、クリア塗膜とは、透明または着色された樹脂製の筐体や、無塗装および塗装された金属製の筐体などの表面を傷や汚染から保護すると同時に、一定厚さの透明層を加えることで、高光沢性などの意匠性を付与するために設けられる塗膜である。
【0008】
本発明の紫外線硬化性組成物は、紫外線硬化性化合物(A)と脂肪酸、脂肪酸エステルまたはそれらの誘導体(B)と変性ポリシロキサン化合物(C)を含有している。
【0009】
紫外線硬化性化合物(A)は、紫外線を照射されることより硬化する化合物であり、紫外線硬化性のオリゴマーまたは紫外線硬化性のモノマーまたはその多量体であり、一般的な紫外線硬化性オリゴマーおよび紫外線硬化性モノマーおよびその多量体のうちのいずれか単独、または紫外線硬化性オリゴマーおよび紫外線硬化性モノマーの組み合わせである。
【0010】
上記紫外線硬化性オリゴマーおよび紫外線硬化性モノマーおよびその多量体のうち、1分子中に5つ以上の官能基を有する化合物(A1)は、紫外線硬化性組成物の硬化物であるクリアコート層に必要な特に耐擦傷性、耐摩耗性、基材追従密着性、透明性などを向上させるために使用されるものである。
【0011】
上記紫外線硬化性オリゴマーおよび紫外線硬化性モノマーおよびその多量体のうち、1分子中に3官能あるいは4官能の官能基を有する化合物(A2)は、おもに、紫外線硬化性組成物の取り扱いを容易にすることを目的に粘度を低下させるためと、紫外線硬化性組成物の硬化物であるクリアコート層に必要な諸物性のうち特に基材追従密着性、透明性などを向上させるために使用されるものである。1分子中に3官能あるいは4官能の官能基を有する化合物(A2)は、1分子中に3官能あるいは4官能の官能基を有する化合物を
それぞれ単独で用いても、1分子中に3官能官能基を有する化合物と4官能の官能基を有する化合物を併用しても構わない。
【0012】
上記紫外線硬化性オリゴマーおよび紫外線硬化性モノマーのうち、1分子中に1官能あるいは2官能の官能基を有する化合物(A3)は、おもに、紫外線硬化性組成物の取り扱いを容易にすることを目的に粘度を低下させるためと、紫外線硬化性組成物の硬化物であるクリアコート層に必要な諸物性のうち特に、耐基材追従密着性、透明性を向上させるために使用されるものである。1分子中に1官能あるいは2官能の官能基を有する化合物(A3)は、1分子中に1官能あるいは2官能の官能基を有する化合物をそれぞれ単独で用いても、1分子中に1官能官能基を有する化合物と2官能の官能基を有する化合物を併用しても構わない。
【0013】
また、前記化合物(A3)のうち、2官能ウレタンアクリレートオリゴマーは、紫外線硬化性組成物の硬化物であるクリアコート層に必要な諸物性のうち、耐基材追従密着性を向上させるために加え、使用時の手垢や指紋などの皮脂汚れを目立たせずに意匠性を維持し、また、使用時に付着した手垢や指紋などの皮脂汚れを容易に除去可能とする防汚性の持続性を担うために使用されるものである。
【0014】
紫外線硬化性オリゴマーとしては、例えば、ウレタンアクリレートオリゴマー、エポキシアクリレートオリゴマー、ポリエステルアクリレートオリゴマーなどが挙げられる。
ウレタンアクリレートオリゴマーは、例えば、ポリオールとジイソシアネートを反応させて得られるイソシアネート化合物と、水酸基を有するアクリレートモノマーの反応により得られる。
エポキシアクリレートオリゴマーは、例えば、低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラックエポキシ樹脂のオキシラン環とアクリル酸とのエステル化反応により得られる。
ポリエステルアクリレートオリゴマーは、例えば、多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーを得、次いで、その両末端の水酸基をアクリル酸でエステル化することにより得られる。
紫外線硬化性オリゴマーは、特にウレタンアクリレートオリゴマーが好ましく、更には高硬度を達成するための5官能以上の紫外線硬化性オリゴマーが、優れた硬度と基材追従密着性のバランスを達成する上で、より好ましい。
上記5官能以上の多官能の紫外線硬化性モノマーまたはその2量体以上の化合物としては、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタアクリレート、トリペンタエリスリトールオクタアクリレートなどが挙げられる。
なお、本発明において、「5官能」とは、一分子中の紫外線により重合反応する官能基、例えば、アクリル基、メタクリル基、ビニル基などの基の数が5である。
【0015】
紫外線硬化性モノマーは、例えば、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ぺンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールトリアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート、エトキシ化水添ビス
フェノールAジアクリレート、エトキシ化シクロヘキサンジメタノールジアクリレート、
トリシクロデカンジメタノールジアクリレートなどが挙げられる。
これらの中でも、特に環状構造を有する2官能アクリレートを用いることが望ましい。こうすることで、特にクリアコート層の硬度や耐擦傷性、耐熱性を高くすることができる。
【0016】
紫外線硬化性化合物(A1)としては、5官能以上の多官能の紫外線硬化性モノマーまたはその多量体が挙げられる。また、紫外線硬化性化合物(A1)は、5官能以上の多官能の紫外線硬化性モノマーおよびその多量体と、紫外線硬化性オリゴマーとの組み合わせでもよい。
紫外線硬化性化合物(A1)が、5官能以上の多官能の紫外線硬化性モノマーまたはその多量体であること、あるいは、5官能以上の多官能の紫外線硬化性モノマーまたはその多量体と紫外線硬化性オリゴマーとの組み合わせであることにより、クリアコート層に必要な耐擦傷性、耐摩耗性、耐衝撃性、加工性、柔軟性などが向上するため好ましい。
特に、紫外線硬化性化合物(A)としては、前記紫外線硬化性化合物(A)が、1分子中に5つ以上の官能基を有する化合物(A1)と、1分子中に3官能あるいは4官能の官能基を有する化合物(A2)および/または1分子中に1官能あるいは2官能の官能基を有する化合物(A3)との混合物であることが、塗工性が良く、硬化物の優れた耐擦傷性と基材追従密着性のバランスを達成できる点で好ましい。
特に、前記化合物(A1):(A2):(A3)の重量比率が、20〜95:0〜50:5〜50である時、紫外線硬化性組成物の取り扱いが容易で塗工性が良く、紫外線硬化性組成物の硬化物であるクリアコート層に必要な耐擦傷性、耐摩耗性、基材追従密着性、透明性などが良好となる。
化合物(A1)の重量比率が(A)全体の20未満では、耐擦傷性、耐摩耗性が低下し、化合物(A3)の重量比率が(A)全体の5未満では、基材追従密着性が低下する。また、化合物(A2)の重量比率が(A)全体の50を超えると、耐擦傷性、耐摩耗性が低下し、化合物(A3)の重量比率が(A)全体の50を超えると、耐擦傷性、耐摩耗性が低下したり、クリアコート層に肌荒れなどの外観不具合が生じたりする恐れがある。
【0017】
本発明の紫外線硬化型組成物は、脂肪酸、脂肪酸エステルまたはそれら誘導体(B)を含む。脂肪酸、脂肪酸エステルまたはそれら誘導体(B)としては、は、以下のものが挙げられ、これらは、1種単独であっても2種以上であってもよい。
上記脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リシノール酸、リノール酸、アラキジン酸、リグノセリン酸などが挙げられる。
上記脂肪酸エステルとしては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル(モノグリセリド)、有機酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、エトキシ化グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、トリオレイン、レシチン、などが挙げられる。具体的には、酢酸モノグリセリド、乳酸モノグリセリド、クエン酸モノグリセリド、ジアセチル酒石酸モノグリセリド、コハク酸モノグリセリド、ヒマシ油(リシノール酸トリグリセリド)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、トリステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、ジイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、ラウリン酸ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、イソステアリン酸ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、トリステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、トリオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット、テトラステアリン酸ポリオキシエチレンソルビット、硬化ヒマシ油(水添リシノール酸トリグリセリド)、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレンフィトステロール、ポリオキシエチレン水添ダイマージリノール酸エステル、ポリオキシエチレンコレステリルエーテル、ポリオキシエチレンデシルテトラデシルエーテルなどである。
【0018】
脂肪酸の誘導体および脂肪酸エステルの誘導体としては、脂肪酸の誘導体または脂肪酸エステルの誘導体の側鎖の一部または全部をメチル基から他の有機基に置き換えた構造のものである。有機基としては、ポリエーテル基、ポリアルキル基、アラルキル基、ポリエ
ステル基などが挙げられ、これらは、単独でもまたは2種類以上の組み合わせでもよい。これらのうち脂肪酸、脂肪酸エステルまたはそれら誘導体(B)としては、モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、トリステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、ジイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、ラウリン酸ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、イソステアリン酸ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、トリステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、トリオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット、テトラステアリン酸ポリオキシエチレンソルビット、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンフィトステロール、ポリオキシエチレンコレステリルエーテル、ポリオキシエチレン水添ダイマージリノール酸エステル、などのように、脂肪酸、脂肪酸エステルおよびまたはそれら誘導体のうち、分子内に炭素数12以上の炭化水素(直鎖または環状)を1つ以上、かつ、繰り返し単位が合計で10以上となるポリエーテル鎖を同じ分子内に有する構造のものが好適であり、さらに、分子内に炭素数16から18の直鎖の炭化水素を2つ以上、かつ、繰り返し単位が合計で20から80のポリエーテル鎖を同じ分子内に2つ以上有する構造のものが、特に好適である。
【0019】
脂肪酸エステルまたはそれらの誘導体(B)の配合量は、前記紫外線硬化性化合物(A)に対して重量比で0.01以上〜20以下が好ましく、0.1以上〜10以下の時、特に手垢や指紋などの皮脂汚れを容易に除去可能とする防汚性が高まる。0.01未満では効果が発現せず、20を超えると、表面への析出などの外観不良が発生したり、クリアコート層の耐擦傷性が低下したりする場合がある。
【0020】
本発明の紫外線硬化性組成物は、さらに、変性ポリシロキサン化合物(C)を含む。変性ポリシロキサン化合物(C)としては、ポリジメチルシロキサンを基本構造として有する化合物であり、ポリジメチルシロキサンの側鎖の一部または全部をメチル基から他の有機基に置き換えた構造のものである。有機基としては、ポリエーテル基、ポリアルキル基、アラルキル基、ポリエステル基などが挙げられ、これらは単独でもまたは2種類以上の組み合わせでもよい。
具体的には、変性ポリシロキサン化合物(C)としては、特にポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンや、ポリエーテル変性ポリメチルアルキルシロキサンが、特に好ましい。また、ポリエーテル基としては、エチレンオキサイドまたはポリプレンオキサイドの単独重合体もしくは、エチレンオキサイドまたはポリプレンオキサイドの共重合体で構成される。
【0021】
変性ポリシロキサン化合物(C)の配合量は、前記紫外線硬化性化合物(A)に対して重量比で0.0001以上0.1以下であることが好ましく、0.0005以上0.08以下のとき、特に、手垢や指紋などの皮脂汚れを目立たなくさせることや、皮脂汚れを容易に除去する拭き取り性を顕著に向上させる防汚性が顕著に高まり、または耐久性も高くなる。さらに、クリアコート層の平滑性が得られ易くなり、クリアコート層自体の耐擦傷性、透明性などが高くなる。
【0022】
ここで、皮脂とは、皮脂腺から分泌される脂質と汗腺から分泌される汗が混合して皮膚の表面に形成される膜である。皮脂膜の成分は、例えば脂肪酸7.9〜39.0%、トリグリセリド9.5〜49.4%、ジグリセリド・モノグリセリド2.3〜4.3%、ワックスエステル22.6〜29.5%、コレステロールエステル1.5〜2.6%、コレステロール1.2〜2.3%、スクアレン10.1〜13.9%という比率で構成されているが、85%以上(スクアレンとコレステロール以外のものは全て)は脂肪酸、もしくは脂肪酸エステル誘導体で構成されている。トリグリセリドは、グリセリンと3つの脂肪酸がエステル結合したもので、ジグリセリドはグリセリンと2つの脂肪酸がエステル結合したもの、モノグリセリドはグリセリンと1つの脂肪酸が結合したものである。ワックスエ
ステルは脂肪酸と高級アルコールがエステル結合したものである。また、コレステロールエステルは、コレステロールと脂肪酸がエステル結合したものである。
【0023】
また、クリアコート層を形成する紫外線硬化性化合物(A)の硬化物が、変性ポリシロキサン化合物(C)を含み脂肪酸、脂肪酸エステルまたはそれらの誘導体(B)を含まない場合、変性ポリシロキサン化合物(C)の単独の効果により、平滑な表面で透過率およびヘイズなどの光学特性が充分な硬化物が得られるものの、皮脂汚れの拭き取り性を変性ポリシロキサン化合物(C)を含まない場合に比べわずかに向上させるに過ぎず、手垢や指紋などの皮脂汚れを目立たなくさせることや、皮脂汚れを容易に除去する拭き取り性を顕著に向上させる効果は得られない。
【0024】
本発明では、クリアコート層を形成する紫外線硬化性化合物(A)の硬化物が、皮脂膜と親和性のある化合物として、脂肪酸、脂肪酸エステルまたはそれらの誘導体(B)と変性ポリシロキサン化合物(C)を同時に含有することによりクリアコート層の表面に付着する手垢や指紋などの皮脂汚れを目立たなくさせることや、皮脂汚れを容易に除去する拭き取り性を顕著に向上させる効果が高まり、また、平滑な表面として、透過率およびヘイズなどの光学特性を低下させることなく、皮脂汚れの拭き取り性を向上させる効果が高まる。
【0025】
本発明の紫外線硬化性組成物は、クリアコート層を構成する樹脂成分として、紫外線硬化性化合物(A)以外の有機固体成分を含有することができる。ここで、紫外線硬化性化合物(A)以外の有機固体成分とは、紫外線硬化する官能基をもたないポリマーのことであり、主としてクリアコート層の硬化収縮を抑えることや、紫外線硬化型組成物の粘度調整や液ダレ防止、光沢付与など、塗工性の向上や外観の向上、耐久性の向上などを目的に加えられるものである。
紫外線硬化する官能基をもたないポリマーとしては、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネートなどのセルロース系樹脂、アクリル系の単独重合樹脂や共重合樹脂およびアクリル系樹脂の側鎖に紫外線吸収性基や、水酸基、カルボキシル基などの極性基を有するグラフト変性型の樹脂などが例示される。
これら、紫外線硬化する官能基をもたないポリマーが、クリアコート層を形成するマトリックスの中で20重量%以下であれば、紫外線硬化性組成物の硬化物であるクリアコート層の耐擦傷性がよいものが得られ好ましい。
【0026】
本発明の紫外線硬化性組成物は、基材の表面に紫外線硬化性組成物を塗工し、次いで、紫外線硬化性組成物に紫外線を照射して硬化させることにより、基材の表面にクリアコート層として形成される。
【0027】
本発明の紫外線硬化性組成物は、紫外線硬化性化合物(A)および脂肪酸、脂肪酸エステルまたはそれらの誘導体(B)、変性ポリシロキサン化合物(C)を含有する。
【0028】
本発明の紫外線硬化性組成物は、光重合開始剤を含有することができる。光重合開始剤は、紫外線照射によって紫外線硬化性化合物の反応(重合)を開始させるために紫外線硬化性組成物に添加されるものである。
光重合開始剤は、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテルベンゾインイソプロピルエーテルなどのベンゾインまたはベンゾインアルキルエーテル類、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸などの芳香族ケトン類、ベンジルなどのアルファージカルボニル類、ベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタールなどのベンジルケタール類、アセトフェノン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキ
シ−2−メチル-プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−
2−モルホリノプロパノン−1などのアセトフェノン類、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノンなどのアントラキノン類、2,
4−ジメチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジイソプロピ
ルチオキサントンなどのチオキサントン類、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイドなどのフォスフィンオキサイド類、1−フェニル−1,2
−プロパンジオン−2−[o−エトキシカルボニル]オキシムなどのアルファーアシルオキシム類、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルなどのアミン類などを使用することができる。光重合開始剤は、表面硬化性に優れるものと内部硬化性に優れるもの、2種以上を併用することが望ましい。
【0029】
本発明の紫外線硬化性組成物は、上記成分のほかに必要に応じて帯電防止剤、表面調整剤、希釈溶剤、無機または有機フィラーなどを含有することができる。
【0030】
本発明の紫外線硬化性組成物は、上記成分が溶剤に分散または溶解された分散液または溶液であってもよい。
紫外線硬化性組成物に用いられる溶剤は、紫外線硬化性組成物を溶解分散し、塗工しやすくするために必要に応じて紫外線硬化性組成物に添加されるものである。
このようなものとしては例えば、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、イソホロンなどのケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸メトキシプロピルなどのエステル、エチルセロソルブなどのセロソルブ系溶剤、メトキシプロパノール、エトキシプロパノール、メトキシブタノールなどのグリコール系溶剤を単独または混合して使用できる。
【0031】
本発明における紫外線硬化性組成物の製造方法としては、上記化合物(A)、(B)、(C)、光重合開始剤および、その他必要に応じて添加する、帯電防止剤、表面調整剤、希釈溶剤、無機または有機フィラー、希釈溶剤などの各成分を秤量、混合し、均一な紫外線硬化性組成物となるように撹拌混合することにより作製するものである。
例えば、各成分を混合し、必要に応じて加温(60℃以下が望ましい)し、ディゾルバーなどの撹拌機や、ボールミルなどの分散装置を用いて均一になるまで、例えば1〜30分間程度、混合撹拌することにより調製することができる。
【0032】
本発明の紫外線硬化性組成物の用途としては、自動車や車両の内装材、GPS(全地球測位システム:Global Positioning System)、タッチパネル式操作パネルなどの車載機器、携帯電話、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、テレビ、パソコン、携帯用ゲーム機、炊飯器、冷蔵庫などの電気製品などに筐体として使用されている、各種プラスチック材料や金属材料へのクリアコート層である。
基材としては、ポリカーボネート、ABS(アクリルニトリルブタジエンスチレン共重合)樹脂、ポリカーボネート/ABS樹脂のアロイ樹脂、メチルメタクリレート(アクリル)樹脂、塩化ビニル樹脂、などの各種樹脂基材、焼付け塗装された金属基材、金属基材など特に制限されないが、金属基材に塗工する場合などは、プライマーを使用することが望ましい。プライマーとしては有色または無色のラッカー塗料など市販のものでよく、特に制限されることなく使用可能である。
【0033】
本発明の紫外線硬化性組成物をクリアコート層としての形成する塗工方法は、特に制限されないが、例えばスプレーコート法、フローコート法、カーテンコート法、ディップコート法、ダイコート法などの公知の方法を用いて、基材の表裏両面または片面に直接、またはプライマー層を介して紫外線硬化型組成物を塗工し、次いで、紫外線硬化性組成物に紫外線照射して硬化させることにより、クリアコート層を形成するものである。
例えば、紫外線硬化性組成物を樹脂基材上に塗布し、希釈溶剤を含む場合には、樹脂基材および雰囲気の温度を上げて十分に希釈溶剤を乾燥して塗膜を形成した後、紫外線照射して塗膜を硬化させることで、クリアコート層を形成させることができる。
紫外線照射は、例えば、一般の有電極型や無電極型の高圧水銀灯やメタルハライドランプなどが使用可能である。また、100KeV程度の低電圧の電子線照射装置も使用可能である。電子線を硬化手段とする場合は、光重合開始剤は不要となる。
【0034】
クリアコート層の厚みは、好ましくは1μm以上、50μm以下である。クリアコート層の厚みが、上記範囲内にありことにより、紫外線照射によって内部まで均一に硬化させることができ、また、クリアコート層と樹脂成形体との密着性がよく、塗膜の硬化収縮によるクラックなどが発生しない。
【0035】
基材に紫外線硬化型組成物を塗工する際、紫外線硬化型組成物の塗膜の厚みは特に制限されないが、クリアコート層として実用的な性能を得るためには1μm以上、50μm以下であることが好ましい。紫外線硬化型組成物の塗膜の厚みが、上記範囲内であることにより、紫外線照射によって内部まで均一に硬化させることができ、また、クリアコート層と基材との密着性が良好になり、塗膜の硬化収縮によるクラックなどが発生しにくい効果が得られる。
【実施例】
【0036】
以下、本発明を実施例および比較例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
原料は、以下のものを使用した。
<紫外線硬化性化合物(A)>
(A1−1)6官能ウレタンアクリレートオリゴマー(商品名:EB1290、ダイセルサイテック社製)《紫外線硬化性オリゴマー》
(A1−2)6官能ウレタンアクリレートオリゴマー(商品名:ビームセット577、荒川化学工業社製)《紫外線硬化性オリゴマー》
(A1−3)ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(商品名:A−DPH、新中村化学工業社製)《紫外線硬化性モノマー》
(A2−1)ペンタエリスリトールテトラアクリレート(商品名:A−TMMT、新中村化学工業社製)《紫外線硬化性モノマー》
(A2−2)ペンタエリスリトールトリアクリレート(商品名:A−TMM−3LMN、新中村化学工業製)《紫外線硬化性モノマー》
(A3−1)エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート(商品名:A−BPE−4、新中村化学工業社製)《紫外線硬化性モノマー》
(A3−2)2官能ウレタンアクリレートオリゴマー(商品名:EB8402、ダイセルサイテック社製)《紫外線硬化性オリゴマー》
【0037】
<脂肪酸、脂肪酸エステルまたはそれらの誘導体(B)>
(B1)ポリオキシエチレンヒマシ油 (商品名:C−40日本エマルジョン社製)
(B2)ラウリン酸ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油
(商品名:RWL−150、日本エマルジョン社製)
(B3)イソステアリン酸ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油
(商品名:エマレックスRWIS−10、日本エマルジョン社製)
(B4)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油
(商品名:エマノーンCH−60、花王社製)
(B5)イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル
(商品名:GWIS−110、日本エマルジョン社製)
(B6)トリステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル
(商品名:GWS320、日本エマルジョン社製)
(B7)ジイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル
(商品名:GWIS−260EX、日本エマルジョン社製)
(B8)ポリオキシエチレンフィトステロール
(商品名:ニッコールBPS−10、日光ケミカルズ社製)
(B9)ポリオキシエチレン水添ダイマージリノール酸エステル
(商品名:エマレックスDICD−30、日本エマルジョン社製)
(B10)テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット
(商品名:エマノーン460V、花王社製)
(B11)テトラステアリン酸ポリオキシエチレンソルビット
(商品名:ニッコールGS460、日光ケミカルズ社製)
<変性ポリシロキサン化合物(C)>
(C1)変性ポリシロキサン化合物(商品名:SH28PA、東レ・ダウコーング社製)(C2)変性ポリシロキサン化合物(商品名:グラノール450、共栄社化学社製)
(C3)変性ポリシロキサン化合物(商品名:BYK278、ビックケミー社製)
<光重合開始剤>
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン
(商品名:イルガキュア184、チバ・ジャパン社製)
【0038】
<実施例1>
紫外線硬化性化合物(A)として、EB1290/A−TMMT/A−BPE−4/EB8402/を50/10/25/15の重量比率で配合し、紫外線硬化性化合物(A)の濃度が20重量%となるように、プロピレングリコールモノメチルエーテル/イソブチルアルコールの50/50(重量比)混合希釈溶剤で希釈した。ここへ、光重合開始剤としてイルガキュア184を紫外線硬化性化合物比で5重量%添加した。これに(B)脂肪酸、脂肪酸エステルまたはそれらの誘導体としてポリオキシエチレンヒマシ油(C−40)を紫外線硬化性化合物比で5重量%添加し、さらに、(C)変性ポリシロキサン化合物としてSH28PAを紫外線硬化性化合物比で0.005重量%添加し、配合液を充分に攪拌して紫外線硬化性組成物とした後、密閉容器に保存した。
基材として、厚さ0.5mmの透明ポリカーボネート樹脂(PC 住友ベークライト社製「ポリカエース EC105」)準備し、バーコーターを用いて、ウェット膜厚が約50μmになるように前記作製した紫外線硬化性組成物を樹脂基材上に塗布した。
紫外線硬化性組成物を塗布した樹脂基材を50℃の熱風循環型オーブンに入れ、10分間乾燥した後、高圧水銀ランプ(ウシオ電機社製)を用い、紫外線を照射して塗膜を硬化させ、膜厚10μmのクリアコート層を有するポリカーボネート樹脂成形体を得た。
【0039】
<実施例2>
基材を、厚さ1mmの黒色アクリルニトリルブタジエンスチレン共重合樹脂板(ABS
住友ベークライト製「タフエース EAR802」)に変えたこと以外は、実施例1と同様にして膜厚10μmのクリアコート層を有するABS樹脂成形体を得た。
<実施例3>
紫外線硬化性化合物(A)として、577/EB8402を95/5の重量比率とし、脂肪酸、脂肪酸エステルまたはそれらの誘導体(B)としてラウリン酸ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(RWL−150)とし、変性ポリシロキサン化合物(C)としてBYK306を紫外線硬化性化合物比で0.01重量%添加した以外は、実施例1と同様にして膜厚10μmのクリアコート層を有する樹脂成形体を得た。
【0040】
<実施例4>
基材を、厚さ1mmの黒色ABS樹脂板(ABS 住友ベークライト製「タフエース EAR802」)に変えたこと以外は、実施例3と同様にして膜厚10μmのクリアコー
ト層を有するABS樹脂成形体を得た。
<実施例5>
紫外線硬化性化合物(A)として、A−DHP/A−TMMT/A−BPE4/EB8402/を20/50/25/5の重量比率とし、脂肪酸、脂肪酸エステルまたはそれらの誘導体(B)としてとし、イソステアリン酸ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(RWIS−10)を紫外線硬化性化合物比で0.1重量%の添加、(C)変性ポリシロキサン化合物としてグラノール450を紫外線硬化性化合物比で0.05重量%添加し、ウェット膜厚が約75μmになるように塗布した以外は、実施例1と同様にして膜厚15μmのクリアコート層を有する樹脂成形体を得た。
【0041】
<実施例6>
脂肪酸、脂肪酸エステルまたはそれらの誘導体(B)としてポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(CH−60)を紫外線硬化性化合物比で1量%添加した以外は実施例5と同様にして、膜厚15μmのクリアコート層を有する樹脂成形体を得た。
<実施例7>
紫外線硬化性化合物(A)として、EB1290/A−TMMT/A−BPE−4/EB8402の重量比率を30/25/25/20とし、脂肪酸、脂肪酸エステルまたはそれらの誘導体(B)としてイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル(GWIS−110)を紫外線硬化性化合物比で3重量%添加した以外は実施例5と同様にして、膜厚15μmのクリアコート層を有する樹脂成形体を得た。
【0042】
<実施例8>
紫外線硬化性化合物(A)として、577/A−TMM−3LMN/A−BPE4/EB8402の重量比率を70/20/5/5とし、脂肪酸、脂肪酸エステルまたはそれらの誘導体(B)としてトリステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル(GWS320)を紫外線硬化性化合物比で10重量%添加し、変性ポリシロキサン化合物(C)としてSH28PAを紫外線硬化性化合物比で0.1重量%添加し、ウェット膜厚が約25μmになるように塗布した以外は、実施例1と同様にして膜厚5μmのクリアコート層を有する樹脂成形体を得た。
<実施例9>
脂肪酸、脂肪酸エステルまたはそれらの誘導体(B)としてジイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル(GWIS−260EX)を紫外線硬化性化合物比で15重量%添加し、変性ポリシロキサン化合物(C)をグラノール450に変更した以外は、実施例8と同様にして、膜厚5μmのクリアコート層を有する樹脂成形体を得た。
【0043】
<実施例10>
脂肪酸、脂肪酸エステルまたはそれらの誘導体(B)としてポリオキシエチレンフィトステロール(BPS−10)を紫外線硬化性化合物比で20重量%添加し、変性ポリシロキサン化合物(C)をBYK306に変更した以外は、実施例8と同様にして、膜厚5μmのクリアコート層を有する樹脂成形体を得た。
<実施例11>
紫外線硬化性化合物(A)として、EB1290/A−DPH/A−TMM−3LMN/A−BPE4の重量比率を40/20/30/10とし、脂肪酸、脂肪酸エステルまたはそれらの誘導体(B)としてポリオキシエチレン水添ダイマージリノール酸エステル(DICD−30)を添加し、変性ポリシロキサン化合物(C)としてグラノール450を紫外線硬化性化合物比で0.0005重量%添加し、ウェット膜厚が約25μmになるように塗布した以外は、実施例1と同様にして膜厚5μmのクリアコート層を有する樹脂成形体を得た。
【0044】
<実施例12>
脂肪酸、脂肪酸エステルまたはそれらの誘導体(B)としてテトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット(460V)を添加し、基材を厚さ2.0mmの透明アクリル樹脂板(PMMA 住友化学社製「スミペックスE000」)とした以外は、実施例11と同様にして膜厚5μmのクリアコート層を有する樹脂成形体を得た。
<実施例13>
脂肪酸、脂肪酸エステルまたはそれらの誘導体(B)としてテトラステアリン酸ポリオキシエチレンソルビット(GS460)を添加し、基材を、厚さ188μmの透明ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET 東洋紡社製「コスモシャインA4300」)とした以外は、実施例11と同様にして膜厚5μmのクリアコート層を有する樹脂成形体を得た。
【0045】
<比較例1>
変性ポリシロキサン化合物(C)を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にして膜厚10μmのクリアコート層を有する樹脂成形体を得た。
<比較例2>
脂肪酸、脂肪酸エステルまたはそれらの誘導体(B)を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にして膜厚10μmのクリアコート層を有する樹脂成形体を得た。
【0046】
<比較例3>
脂肪酸、脂肪酸エステルまたはそれらの誘導体(B)と、変性ポリシロキサン化合物(C)を加えず、フッ素系添加剤メガファックF479(DIC社製)を紫外線硬化性化合物比で0.1重量%添加した以外は、実施例1と同様にして膜厚10μmのクリアコート層を有する樹脂成形体を得た。
<比較例4>
紫外線硬化性化合物(A)として、EB1290/A−TMMT/A−BPE−4/EB8402/を50/10/25/15の重量比率で配合したもの70重量%と、紫外線硬化性の官能基を有さないアクリル系共重合樹脂(バナレジンPSY1903、新中村化学工業社製)を30重量%に換えたこと以外は、実施例1と同様にして膜厚10μmのクリアコート層を有する樹脂成形体を得た。
【0047】
上記作製した樹脂成形体を用いて、以下の評価を行い、評価結果を表1、表2に示した。<外観、表面の曇り>
作製した樹脂成形体を用いて、暗室内で、3波長型蛍光灯(20W)の直下10cmの距離で目視観察し、クリアコート層表面の曇りや析出物の有無、表面の平滑性を確認した。
<光学特性>
作製した樹脂成形体を用いて、ヘイズメーター(商品名:NDH2000、日本電飾工業社製)を用いて、JIS K 7105に準拠して、全光線透過率(Tt)、ヘイズ(Hz)を測定した。
【0048】
<耐擦傷性>
作製した樹脂成形体のクリアコート層表面を、スチールウール#0000を直径10mmの保持具に取り付け、一定荷重(500g)、一定速度(6000mm/min)にて10往復した後、試料表面の傷の有無を目視により観察し、以下の基準により評価した。
A:傷が付かない/実用上優れる
B:数本の傷が付く/実用上充分
C:全体に傷が薄く付く/実用性あり
D:全体に深い傷が付く/実用上劣る
【0049】
<皮脂汚れの付着防止性>
皮脂膜の付着汚れ防止性I(付着汚れの目立たなさ/見えにくさ)
皮脂成分としてトリオレインを人差し指に付着させ、その指を作製した樹脂成形体のクリアコート層表面に一定荷重(1kg)で押し当てて再転写させた。トリオレインを転写させたクリアコート層表面を顕微鏡(キーエンス社製VK9700)より倍率200倍にて観察した。
トリオレインの付着状態により以下の基準により評価した。
A:指紋状に付着したトリオレインが、面積で70%以上、直径100μm以下の
液滴ではなく直径濡れ拡がっている状態(指紋が非常に見えにくい)
B:指紋状に付着したトリオレインが、面積で50%以上、直径100μm以下の
液滴ではなく直径濡れ拡がっている状態(指紋が見えにくい)
C:指紋状に付着したトリオレインが、面積で51%以上、直径100μm以下の
液滴の状態になっており、濡れ拡がっていない状態(指紋が見えやすい)
【0050】
皮脂汚れの付着防止性II(付着汚れ拭き取り試験後の目立たなさ/見えにくさ)
上記と同様にトリオレインをクリアコート層表面に転写させた後、ワイパー(商品名:ハンディワイパー、クラレ社製)を直径30mmの保持具に取り付け、一定荷重(1kg)、一定速度(6000m/min)にて50往復させ、その試験体の表面を暗室内で、3波長型蛍光灯(20W)の直下10cmの距離で目視観察し、トリオレインの付着状態を確認した。また、ヘイズメーター(商品名:NDH2000、日本電飾工業社製)を用いて、JIS K 7105に準拠して、試験前と比較したヘイズ値の増加(ΔH)を測定した。皮脂汚れの付着防止性IIは、透明基材の場合のみ実施した。
A:皮脂膜がほぼ完全に拭き取られており、ΔHが0.05%未満
B:皮脂膜がほぼ拭き取られており、ΔHが0.05%〜0.2%未満
C:皮脂膜がほとんど拭き取られておらず、白く曇っており、ΔHが0.2%以上
【0051】
皮脂汚れの付着防止性IIの耐久性
上記、皮脂汚れの付着防止性IIにおいて、評価結果がAまたはBであったものにつ
いて、同試験を20回連続で実施し、20回目の結果について以下の基準により評価し
た。
A:皮脂膜がほぼ完全に拭き取られており、ΔHが0.05%未満
(実用上優れる耐久性)
B:皮脂膜がほぼ拭き取られており、ΔHが0.05%〜0.2%未満
(実用的な耐久性)
C:皮脂膜がほとんど拭き取られておらず、白く曇っており、ΔHが0.2%以上

(実用的な耐久性が低いので適用できる用途が制限される)
【0052】
【表1】

【0053】
【表2】

【0054】
表1、表2の結果から明らかなように、本発明の紫外線硬化性組成物を用いた実施例1〜13では、紫外線硬化性化合物(A)と、脂肪酸、脂肪酸エステルまたはそれらの誘導体(B)と、変性ポリシロキサン化合物(C)が含有されており、良好な皮脂汚れの付着防止性(I)、皮脂汚れの付着汚れ防止性(II)を示しており、充分な皮脂汚れの付着防止効果を有していた。また、耐擦傷性および外観、全光線透過率、ヘイズも実用性能を維持していた。
一方、(C)成分を含まない比較例1では、クリアコート層の外観および耐擦傷性に問題があり、良好な皮脂汚れの付着汚れ防止性(II)が得られなかった。
また、(B)成分を含まない比較例2では、クリアコート層の外観に問題はなかったものの、良好な皮脂汚れの付着汚れ防止性が得られなかった。
(B)成分および(C)成分を含まず、フッ素系の添加剤を含む比較例3では、良好な皮脂汚れの付着防止性(I)と皮脂汚れの付着汚れ防止性(II)の耐久性が得られなかった。
紫外線硬化性化合物(A)の30重量%を、紫外線硬化性の官能基を有さないアクリル系共重合樹脂に変えた比較例4では、良好な皮脂汚れの付着汚れ防止性は得られたものの、ヘイズが上昇し外観に劣り、また耐擦傷性の点で実用性が低い結果となった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外線硬化性化合物(A)と脂肪酸、脂肪酸エステルまたはそれらの誘導体(B)と変性ポリシロキサン化合物(C)とを含む紫外線硬化性組成物。
【請求項2】
前記紫外線硬化性化合物(A)が、1分子中に5つ以上の官能基を有する化合物(A1)と、1分子中に3官能あるいは4官能の官能基を有する化合物(A2)および/または1分子中に1官能あるいは2官能の官能基を有する化合物(A3)との混合物である請求項1に記載の紫外線硬化性組成物。
【請求項3】
前記紫外線硬化性化合物(A)の含有量が、(B)成分および(C)成分以外の紫外線硬化性組成物を硬化してなるクリアコート層を形成する有機固形成分のうち、80重量%以上である、請求項1または2に記載の紫外線硬化性組成物。
【請求項4】
前記変性ポリシロキサン化合物(C)が、前記紫外線硬化性化合物(A)に対して重量比で0.0001以上0.1以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の紫外線硬化
性組成物。
【請求項5】
前記脂肪酸、脂肪酸エステルまたはそれらの誘導体(B)が、前記紫外線硬化性化合物(A)に対して重量比で0.01以上、20以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の紫外線硬化性組成物。
【請求項6】
前記紫外線硬化性化合物(A)の(A1):(A2):(A3)の重量比率が、20〜95:0〜50:5〜50である、請求項2〜5のいずれか1項に記載の紫外線硬化性組成物。
【請求項7】
前記変性ポリシロキサン化合物(C)が、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、および/または、ポリエーテル変性ポリメチルアルキルシロキサンである請求項1〜6のいずれか1項に記載の紫外線硬化性組成物。
【請求項8】
前記1分子中に1官能あるいは2官能の官能基を有する化合物(A3)が、2官能ウレタンアクリレートオリゴマーを含有する請求項2〜7のいずれか1項に記載の紫外線硬化性
組成物。

【公開番号】特開2011−52163(P2011−52163A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−204317(P2009−204317)
【出願日】平成21年9月4日(2009.9.4)
【出願人】(000002141)住友ベークライト株式会社 (2,927)
【Fターム(参考)】