説明

紫外線蛍光染料および可溶化剤を含有する冷媒組成物

本発明は、冷媒中の染料の溶液として、漏洩検出剤紫外線蛍光染料の導入を可能にする、冷媒と、紫外線(UV)蛍光染料と、可溶化剤とを含有する冷媒組成物に関する。さらに、本発明は、染料を導入する方法、染料を可溶化する方法、漏洩を検出する方法、および本明細書に記載の組成物を使用して、冷凍および熱を発生させる方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷媒中の染料の溶液として漏洩検出剤(leak detectant)紫外線蛍光染料の導入を可能にする、冷媒と、紫外線(UV)蛍光染料と、可溶化剤とを含有する冷媒組成物に関する。さらに、前記組成物は、潤滑剤を含有し得る。さらに、本発明は、染料を導入する方法、染料を可溶化する方法、漏洩を検出する方法、および本明細書に記載の組成物を使用して、冷凍および熱を発生させる方法に関する。
【0002】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2003年11月13日出願の米国仮特許出願第60/519,791号の優先権の利益を主張する。
【背景技術】
【0003】
ヒドロフルオロカーボン(HFC)冷媒は、成層圏のオゾン層の破壊の原因となることが分かっている、クロロフルオロカーボン(CFC)およびヒドロクロロフルオロカーボン(HCFC)冷媒の代替品として冷凍および空調産業によって採用されている。
【0004】
装置への冷媒の費用のかかる再装入を避け、大気への排出を低減するために、冷凍または空調装置における漏洩を検出する能力が非常に望まれている。空調装置内の可能性のある漏洩の位置が非常に多いため、漏洩の位置を同定する手段もまた必要とされている。
【0005】
紫外線(UV)蛍光染料が、CFC、HCFCおよびHFC冷凍装置および空調装置における漏洩検出剤として使用されている。手持ち式紫外線ライトを使用することによって、装置内の漏洩位置にて、染料を含有する、漏洩している冷媒を目視で検出することが可能となる。しかしながら、これらの紫外線蛍光染料の溶解性は、特に低温で、HFC−134a、広く使用されているHFC冷媒に対して低いレベルであることが見出されている。したがって、冷凍または空調装置中にこれらの染料を導入する方法は、難しく、費用および時間がかかっていた。米国特許公報(特許文献1)には、冷凍または空調装置の構成要素中に挿入することができる染料粉末、染料の固体ペレットまたはスラリーを使用する方法が記載されている。冷媒および潤滑剤が装置を循環するにしたがって、染料は溶解または分散され、装置全体に運ばれる。冷凍または空調装置中に染料を導入するための他の多くの方法が文献に記載されている。
【0006】
理想的には、紫外線蛍光染料は、冷媒自体に溶解することができ、そのため、冷凍または空調装置に導入するための特殊な方法が必要ない。本発明は、冷媒中の染料の溶液としてシステム中に導入することができる、冷媒および紫外線蛍光染料の組成物に関する。本発明の組成物は、染料を溶解状態で維持しながら、低温でさえ、染料含有冷媒の保存および輸送を可能にするだろう。
【0007】
【特許文献1】米国再発行特許第RE36,951号明細書
【特許文献2】米国特許出願第10/910,495号明細書
【特許文献3】米国特許第6,299,792号明細書
【特許文献4】国際公開第96/7721号パンフレット
【非特許文献1】The Journal of Fluorine Chemistry
【非特許文献2】Chemistry of Organic Fluorine Compounds、Milos Hudlicky編、The MacMillan Company出版、New York,N.Y.、1962年
【非特許文献3】1990 ASHRAE Handbook、Refrigeration Systems and Applications、第8章、タイトル“Lubricants in Refrigeration Systems”、p.8.1−8.21
【非特許文献4】“Synthetic Lubricants and High−Performance Fluids”、R.L.Shubkin、Marcel Dekker編、1993年
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、漏洩検出可能な冷媒組成物に関し、前記組成物は、少なくとも1つの冷媒と;少なくとも1つの紫外線蛍光染料と;少なくとも1つの可溶化剤と;任意選択的に、少なくとも1つの潤滑剤とを含み、前記潤滑剤は、圧縮冷凍または空調装置での使用に適している。
【0009】
本発明はさらに、圧縮冷凍または空調装置中に紫外線蛍光染料を導入する方法に関し、前記方法は、可溶化剤の存在下で紫外線蛍光染料を冷媒に溶解する工程と、前記圧縮冷凍または空調装置中にその混合物を導入する工程とを含む。
【0010】
本発明はさらに、紫外線蛍光染料を冷媒中に可溶化する方法に関し、前記方法は、可溶化剤の存在下で、紫外線蛍光染料を前記冷媒と接触させる工程を含む。
【0011】
以下の説明は、本発明のすべての態様を完全に定義することを意味する。
【0012】
本発明の冷媒は、ヒドロフルオロカーボン、フルオロエーテル、炭化水素、DME、CO、NH、およびその混合物からなる群から選択される。
【0013】
本発明のヒドロフルオロカーボン冷媒は、少なくとも1つの炭素原子、少なくとも1つの水素原子、少なくとも1つのフッ素原子を含有する。少なくとも1つのフッ素原子を含有し、炭素原子1〜6個を有し、かつ標準沸点−90℃〜80℃を有するヒドロフルオロカーボンが特に有用である。ヒドロフルオロカーボン冷媒は、本願特許出願人(フルオロプロダクツ部門)などの多くの供給元から市販されている製品であり、または米国,32602,フロリダ州ゲーンズビル,私書箱1466号のPCR社(PCR Inc.,P.O.Box 1466,Gainesville,Florida,32602,USA)などの受注生産化学合成会社から入手可能であり、さらに、(非特許文献1)または(非特許文献2)などの技術で開示されている合成プロセスによって得ることができる。代表的なヒドロフルオロカーボン冷媒としては、限定されないが:CHF(HFC−23)、CH(HFC−32)、CHF(HFC−41)、CHFCF(HFC−125)、CHFCHF(HFC−134)、CHFCF(HFC−134a)、CHFCHF(HFC143)、CFCH(HFC−143a)、CHFCH(HFC−152a)、CHFCH(HFC−161)、CHFCFCF(HFC−227ca)、CFCFHCF(HFC−227ea)、CHFCFCHF(HFC−236ca)、CHFCFCF(HFC−236cb)、CHFCHFCF(HFC−236ea)、CFCHCF(HFC−236fa)、CHFCFCHF(HFC−245ca)、CHCFCF(HFC−245cb)、CHFCHFCHF(HFC−245ea)、CHFCHFCF(HFC−245eb)、CHFCHCF(HFC−245fa)、CHFCFCHF(HFC−254ca)、CHCFCHF(HFC−254cb)、CHFCHFCHF(HFC−254ea)、CHCHFCF(HFC−254eb)、CHFCHCHF(HFC−254fa)、CHFCHCF(HFC−254fb)、CHCFCH(HFC−272ca)、CHCHFCHF(HFC−272ea)、CHFCHCHF(HFC−272fa)、CHCHCFH(HFC−272fb)、CHCHFCH(HFC−281ea)、CHCHCHF(HFC−281fa)、CHFCFCFCFH(HFC−338pcc)、CFCHFCHFCFCF(HFC−43−10mee)が挙げられる。
【0014】
本発明のヒドロフルオロカーボン冷媒はさらに、HFC−125/HFC−143a/HFC−134a(ASHRAEの指定によって知られている:R−404A)、HFC−32/HFC−125/HFC−134a(ASHRAEの名称によって知られている:R−407A、R−407B、およびR−407C)、HFC−32/HFC−125(R−410A)、およびHFC−125/HFC−143a(ASHRAEの指定によって知られている:R−507)などの、共沸性および共沸物様組成物を含み得る。
【0015】
本発明のフルオロエーテル冷媒は、少なくとも1つのエーテル基酸素原子も含有する、ヒドロフルオロカーボンに類似の化合物を含有し得る。フルオロエーテル冷媒としては、限定されないが、COCH、およびCOC(どちらも、ミネソタ州セントポール(St.Paul,Minnesota)の3M(商標)社から市販されている)が挙げられる。
【0016】
本発明の冷媒はさらに、二酸化炭素(CO)、アンモニア(NH)、ジメチルエーテル(DME)、または炭素および水素原子のみを含有する炭化水素冷媒を含み得る。かかる炭化水素冷媒としては、限定されないが、プロパン、プロピレン、シクロプロパン、n−ブタン、イソブタン、シクロブタン、n−ペンタン、イソ−ペンタン(2−メチルブタン)、ネオ−ペンタン(2,2−ジメチルプロパン)、シクロペンタンが挙げられる。炭化水素冷媒は、複数の炭化水素化合物の混合物であってもよい。
【0017】
「紫外線」染料とは、電磁スペクトルの紫外線または「近」紫外線領域の光を吸収する蛍光染料を意味する。波長10ナノメートル〜750ナノメートルを有する放射線を発する紫外線による照射下にて紫外線蛍光染料によって生成される蛍光は、目視で検出することができる。したがって、かかる紫外線蛍光染料を含有する冷媒が、冷凍または空調装置における特定の箇所から漏洩した場合には、適切な波長の光によって照らされると、漏洩箇所の蛍光が目に見える。かかる紫外線蛍光染料としては、限定されないが、ナフタルイミド類、ペリレン類、クマリン類、アントラセン類、フェナントラセン類、キサンテン類、チオキサンテン類、ナフトキサンテン類、フルオレセイン類、およびそれらの誘導体または混合物が挙げられる。前記紫外線蛍光染料の多くが当技術分野で記述されている。漏洩検出用途に最も好ましい紫外線染料は、ペリレン類およびナフタルイミド類である。長波紫外線ランプで照らされると、ペリレン類は、ブリリアントイエローを蛍光発光する。ナフタルイミド類は、紫外線および青色光に暴露されると、ブリリアントグリーンを蛍光発光する。
【0018】
本発明の潤滑剤は、クロロフルオロカーボン冷媒を使用した圧縮冷凍装置において従来から使用されている潤滑剤を含む。かかる潤滑剤およびその特性は、(非特許文献3)に開示されている。本発明の潤滑剤は、圧縮冷凍の潤滑の分野において「鉱油」として一般的に知られている潤滑剤を含み得る。鉱油は、パラフィン類(つまり、直鎖および分枝鎖炭素鎖、飽和炭化水素)、ナフテン類(つまり、環状パラフィン類)および芳香族(つまり、交互にある二重結合によって特徴付けられる、1つまたは複数の環を含有する不飽和、環状炭化水素)を含む。本発明の潤滑剤はさらに、圧縮冷凍の潤滑の分野において「合成油」として一般的に知られている潤滑剤を含む。合成油は、アルキルアリール(つまり、直鎖状および分枝鎖アルキルアルキルベンゼン類)、合成パラフィン類およびナフテン類、およびポリ−α−オレフィン類)を含む。本発明の従来の代表的な潤滑剤は、市販のBVM 100 N(BVA Oils社によって販売されているパラフィン系鉱油)、Suniso(登録商標)3GS(クロンプトン社(Crompton Co.)によって販売されているナフテン系鉱油)、Sontex(登録商標)372LT(Pennzoil社によって販売されているナフテン系鉱油)、Calumet(登録商標)RO−30(Calument Lubricants社によって販売されているナフテン系鉱油)、Zerol(登録商標)75およびZerol(登録商標)150(Shrieve Chemicals社によって販売されている直鎖状アルキルベンゼン類)およびHAB 22(新日本石油株式会社(Nippon Oil)によって販売されている分枝鎖アルキルベンゼン)である。
【0019】
本発明の潤滑剤はさらに、ヒドロフルオロカーボン冷媒と共に使用されるように設計されており、かつ圧縮冷凍および空調装置動作条件下にて本発明の冷媒と混和性である潤滑剤を含み得る。かかる潤滑剤およびその特性は、(非特許文献4)に開示されている。かかる潤滑剤としては、限定されないが、ポリオールエステル類(POE)、ポリアルキレングリコール類(PAG)、およびポリビニルエーテル類(PVE)が挙げられる。
【0020】
本発明の潤滑剤は、所定の圧縮機の要求条件および潤滑剤がさらされる環境を考慮することによって選択される。本発明の潤滑剤は好ましくは、40℃で少なくとも約7cs(センチストークス)の動粘度を有する。
【0021】
本発明の可溶化剤は、冷媒における紫外線染料の溶解性を高めることが見出されているいずれかの化合物を含む。本発明の可溶化剤としては、炭化水素、ジメチルエーテル、ポリオキシアルキレングリコールエーテル、アミド、ケトン、ニトリル、クロロカーボン、エステル、ラクトン、アリールエーテル、フルオロエーテル、1,1,1−トリフルオロアルカン、およびその混合物からなる群から選択される化合物が挙げられる。冷媒が炭化水素を含有する場合、可溶化剤は異なる炭化水素のみであることを理解されたい。
【0022】
本発明の炭化水素可溶化剤はさらに、他の官能基を持たず、5個以下の炭素原子および水素原子のみを含有する直鎖、分枝鎖もしくは環状アルカンまたはアルケンなどの炭化水素を含む。炭化水素可溶化剤としては、限定されないが、プロパン、プロピレン、シクロプロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン(2−メチルブタン)、ネオペンタン(2,2−ジメチルプロパン)、シクロペンタンおよびその混合物が挙げられる。冷媒が炭化水素である場合には、可溶化剤は同じ炭化水素ではないことを理解されたい。
【0023】
本発明の可溶化剤はさらに、ジメチルエーテル(DME)を含む。
【0024】
本発明のポリオキシアルキレングリコールエーテル可溶化剤は、式R[(ORORによって表されるポリオキシアルキレングリコールエーテルを含み、式中、xは、1〜3の整数であり;yは、1〜4の整数であり;Rは、水素、1〜6個の炭素原子およびy個の結合部位を有する脂肪族炭化水素基から選択され;Rは、炭素原子2〜4個を有する脂肪族ヒドロカルビレン基から選択され;Rは、水素、および炭素原子1〜6個を有する脂肪族および脂環式炭化水素基から選択され;RおよびRのうち少なくとも1つが前記炭化水素基であり;かつ前記ポリオキシアルキレングリコールエーテルが、約100〜約300原子質量単位の分子量を有する。R[(ORORによって表される本発明のポリオキシアルキレングリコールエーテル可溶化剤において、xは好ましくは、1〜2であり;yは好ましくは、1であり;RおよびRは好ましくは、水素、および炭素原子1〜4個を有する脂肪族炭化水素基から独立して選択され;Rは好ましくは、炭素原子2〜3個、最も好ましくは炭素原子3個を有する脂肪族ヒドロカルビレン基から選択され;ポリオキシアルキレングリコールエーテル分子量は、好ましくは約100〜約250原子質量単位、最も好ましくは約125〜約250原子質量単位である。炭素原子1〜6個を有するRおよびR炭化水素基は、直鎖状、分枝状または環状である。代表的なRおよびR炭化水素基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、t−ペンチル、シクロペンチル、およびシクロヘキシルが挙げられる。本発明のポリオキシアルキレングリコールエーテル可溶化剤上のヒドロキシル基が、構造の特定の圧縮冷凍装置材料(例えば、マイラー(Mylar)(登録商標))と不適合である場合には、RおよびRは好ましくは、炭素原子1〜4個、最も好ましくは炭素原子1個を有する脂肪族炭化水素基である。炭素原子2〜4個を有するR脂肪族ヒドロカルビレン基は、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、およびオキシブチレン基を含む、反復オキシアルキレン基−(OR−を形成する。1つのポリオキシアルキレングリコールエーテル可溶化剤分子におけるRを含むオキシアルキレン基は同一であるか、または1つの分子が、異なるRオキシアルキレン基を含有する。本発明のポリオキシアルキレングリコールエーテル可溶化剤は好ましくは、少なくとも1つのオキシプロピレン基を含有する。Rが、炭素原子1〜6個を有する脂肪族または脂環式炭化水素基、およびy個の結合部位である場合、基は、直鎖状、分枝状または環状である。2つの結合性部位を有する代表的なR脂肪族炭化水素基としては、例えば、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、シクロペンチレン基およびシクロヘキシレン基が挙げられる。結合性部位3または4個を有する代表的なR脂肪族炭化水素基としては、そのヒドロキシル基を除去することにより、多価アルコールから誘導される残留物、例えばトリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリトリトール、1,2,3−トリヒドロキシシクロヘキサンおよび1,3,5−トリヒドロキシシクロヘキサンが挙げられる。
【0025】
代表的なポリオキシアルキレングリコールエーテル可溶化剤としては、限定されないが:CHOCHCH(CH)O(HまたはCH)(プロピレングリコールメチル(またはジメチル)エーテル)、CHO[CHCH(CH)O](HまたはCH)(ジプロピレングリコールメチル(またはジメチル)エーテル)、CHO[CHCH(CH)O](HまたはCH)(トリプロピレングリコールメチル(またはジメチル)エーテル)、COCHCH(CH)O(HまたはC)(プロピレングリコールエチル(またはジエチル)エーテル)、CO[CHCH(CH)O](HまたはC)(ジプロピレングリコールエチル(またはジエチル)エーテル)、CO[CHCH(CH)O](HまたはC)(トリプロピレングリコールエチル(またはジエチル)エーテル)、COCHCH(CH)O(HまたはC)(プロピレングリコールn−プロピル(またはジ−n−プロピル)エーテル)、CO[CHCH(CH)O](HまたはC)(ジプロピレングリコールn−プロピル(またはジ−n−プロピル)エーテル)、CO[CHCH(CH)O](HまたはC)(トリプロピレングリコールn−プロピル(またはジ−n−プロピル)エーテル)、COCHCH(CH)OH(プロピレングリコールn−ブチルエーテル)、CO[CHCH(CH)O](HまたはC)(ジプロピレングリコールn−ブチル(またはジ−n−ブチル)エーテル)、CO[CHCH(CH)O](HまたはC)(トリプロピレングリコールn−ブチル(またはジ−n−ブチル)エーテル)、(CHCOCHCH(CH)OH(プロピレングリコールt−ブチルエーテル)、(CHCO[CHCH(CH)O](Hまたは(CH)(ジプロピレングリコールt−ブチル(またはジ−t−ブチル)エーテル)、(CHCO[CHCH(CH)O](Hまたは(CH)(トリプロピレングリコールt−ブチル(またはジ−t−ブチル)エーテル)、C11OCHCH(CH)OH(プロピレングリコールn−ペンチルエーテル)、COCHCH(C)OH(ブチレングリコールn−ブチルエーテル)、CO[CHCH(C)O]H(ジブチレングリコールn−ブチルエーテル)、トリメチロールプロパントリ−n−ブチルエーテル(CC(CHO(CHCH)およびトリメチロールプロパンジ−n−ブチルエーテル(CC(CHOC(CHCHCHOH)が挙げられる。
【0026】
本発明のアミド可溶化剤は、式RCONRおよびシクロ−[RCON(R)−]によって表されるアミドを含み、式中、R、R、RおよびRは独立して、炭素原子1〜12個を有する脂肪族および脂環式炭化水素基から選択され;Rは、炭素原子3〜12個を有する脂肪族ヒドロカルビレン基から選択され;かつ前記アミドは、約100〜約300原子質量単位の分子量を有する。前記アミドの分子量は、約160〜約250原子質量単位であることが好ましい。R、R、RおよびRは任意選択的に、置換炭化水素基、つまりハロゲン(例えば、フッ素、塩素)およびアルコキシド(例えば、メトキシ)から選択される非炭化水素置換基を含有する基を含み得る。R、R、RおよびRは任意選択的に、ヘテロ原子置換炭化水素基、つまり、そうでなければ炭素原子で構成される基鎖中に窒素(アザ−)、酸素(オキサ−)または硫黄(チア−)原子を含有する基を含み得る。一般に、3個以下の、好ましくは1個以下の非非炭化水素置換基およびヘテロ原子が、R1−3における炭素原子10個それぞれに対して存在し、かかるいずれかの非炭化水素置換基およびヘテロ原子の存在は、前述の分子量の制限を適用する際に考慮しなければならない。好ましいアミド可溶化剤は、炭素、水素、窒素および酸素からなる。代表的なR、R、RおよびR脂肪族および脂環式炭化水素基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、t−ペンチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシルおよびその配置異性体が挙げられる。アミド可溶化剤の好ましい実施形態は、前述の式シクロ−[RCON(R)−]におけるRが、ヒドロカルビレン基(CR、すなわち、式シクロ−[(CRCON(R)−]によって表され:分子量適用のための前述の値;nは、3〜5の整数であり;Rは、炭素原子1〜12個を含有する飽和炭化水素基であり;RおよびRは独立して、R1−3を定義する、先に示されている規定によって選択される(nそれぞれに対して)。式:シクロ−[(CRCON(R)−]によって表されるラクタムにおいて、すべてのRおよびはRは好ましくは、水素であるか、またはn個のメチレン単位の中で1つの飽和炭化水素基を含有し、Rは、炭素原子3〜12個を含有する飽和炭化水素基である。例えば、1−(飽和炭化水素基)−5−メチルピロリジン−2−オンである。
【0027】
代表的なアミド可溶化剤としては、限定されないが:1−オクチルピロリジン−2−オン、1−デシルピロリジン−2−オン、1−オクチル−5−メチルピロリジン−2−オン、1−ブチルカプロラクタム、1−シクロヘキシルピロリジン−2−オン、1−ブチル−5−メチルピペリド−2−オン、1−ペンチル−5−メチルピペリド−2−オン、1−ヘキシルカプロラクタム、1−ヘキシル−5−メチルピロリジン−2−オン、5−メチル−1−ペンチルピペリド−2−オン、1,3−ジメチルピペリド−2−オン、1−メチルカプロラクタム、1−ブチル−ピロリジン−2−オン、1,5−ジメチルピペリド−2−オン、1−デシル−5−メチルピロリジン−2−オン、1−ドデシルピロリド−2−オン、N,N−ジブチルホルムアミドおよびN,N−ジイソプロピルアセトアミドが挙げられる。
【0028】
本発明のケトン可溶化剤は、式RCORによって表されるケトンを含み、式中、RおよびRは独立して、炭素原子1〜12個を有する脂肪族、脂環式およびアリール炭化水素基から選択され、かつ前記ケトンは、約70〜約300原子質量単位の分子量を有する。前記ケトンにおけるRおよびRは好ましくは、炭素原子1〜9個を有する脂肪族および脂環式炭化水素基から独立して選択される。前記ケトンの分子量は好ましくは、約100〜200原子質量単位である。RおよびRは共に、ヒドロカルビレン基を形成し、連結され、5、6、もしくは7員環の環状ケトン、例えばシクロペンタノン、シクロヘキサノン、およびシクロヘプタノンを形成する。RおよびRは任意選択的に、置換炭化水素基、つまり、ハロゲン(例えば、フッ素、塩素)およびアルコキシド(例えば、メトキシ)から選択される非炭化水素置換基を含有する基を含む。RおよびR任意選択的に、ヘテロ原子−置換炭化水素基、つまり、そうでなければ炭素原子で構成される基鎖中に窒素(アザ−)、酸素(ケト−、オキサ−)または硫黄(チア−)原子を含有する基を含む。一般に、3個以下の、好ましくは1個以下の非炭化水素置換基およびヘテロ原子が、RおよびRにおける炭素原子10個それぞれに対して存在し、かかるいずれかの非炭化水素置換基およびヘテロ原子の存在は、前述の分子量の制限を適用する際に考慮しなければならない。一般式RCORにおける代表的なRおよびR脂肪族、脂環式およびアリール炭化水素基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、t−ペンチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシルおよびその配置異性体、ならびにフェニル、ベンジル、クメニル、メシチル、トリル、キシリルおよびフェネチルが挙げられる。
【0029】
代表的なケトン可溶化剤としては、限定されないが:2−ブタノン、2−ペンタノン、アセトフェノン、ブチロフェノン、ヘキサノフェノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、5−メチル−2−ヘキサノン、2−オクタノン、3−オクタノン、ジイソブチルケトン、4−エチルシクロヘキサノン、2−ノナノン、5−ノナノン、2−デカノン、4−デカノン、2−デカロン、2−トリデカノン、ジヘキシルケトンおよびジシクロヘキシルケトンが挙げられる。
【0030】
本発明のニトリル可溶化剤はさらに、式RCNによって表されるニトリルを含み、式中、Rは、炭素原子5〜12個を有する脂肪族、脂環式またはアリール炭化水素基から選択され、前記ニトリルは、約90〜約200原子質量単位の分子量を有する。前記ニトリル可溶化剤におけるRは好ましくは、炭素原子8〜10個を有する脂肪族および脂環式炭化水素基から選択される。前記ニトリル可溶化剤の分子量は、約120〜約140原子質量単位であることが好ましい。Rは任意選択的に、置換炭化水素基、つまり、ハロゲン(例えば、フッ素、塩素)およびアルコキシド(例えば、メトキシ)から選択される非炭化水素置換基を含有する基を含む。Rは任意選択的に、ヘテロ原子−置換炭化水素基、つまり、そうでなければ炭素原子で構成される基鎖中に窒素(アザ−)、酸素(ケト−、オキサ−)または硫黄(チア−)原子を含有する基を含む。一般に、3個以下の、好ましくは1個以下の非非炭化水素置換基およびヘテロ原子が、Rにおける炭素原子10個それぞれに対して存在し、かかるいずれかの非炭化水素置換基およびヘテロ原子の存在は、前述の分子量の制限を適用する際に考慮しなければならない。一般式RCNにおける代表的なR脂肪族、脂環式およびアリール炭化水素基としては、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、t−ペンチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシルおよびその配置異性体、ならびにフェニル、ベンジル、クメニル、メシチル、トリル、キシリルおよびフェネチルが挙げられる。
【0031】
代表的なニトリル可溶化剤としては、限定されないが:1−シアノペンタン、2,2−ジメチル−4−シアノペンタン、1−シアノヘキサン、1−シアノヘプタン、1−シアノオクタン、2−シアノオクタン、1−シアノノナン、1−シアノデカン、2−シアノデカン、1−シアノウンデカンおよび1−シアノドデカンが挙げられる。
【0032】
本発明のクロロカーボン可溶化剤は、式RClによって表されるクロロカーボンを含み、式中、xは、1または2の整数から選択され;Rは、炭素原子1〜12個を有する脂肪族および脂環式炭化水素基から選択され;かつ前記クロロカーボンは、約100〜約200原子質量単位の分子量を有する。前記クロロカーボン可溶化剤の分子量は、約120〜150原子質量単位であることが好ましい。一般式RClにおける代表的なR脂肪族および脂環式炭化水素基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、t−ペンチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシルおよびその配置異性体が挙げられる。
【0033】
代表的なクロロカーボン可溶化剤としては、限定されないが:3−(クロロメチル)ペンタン、3−クロロ−3−メチルペンタン、1−クロロヘキサン、1,6−ジクロロヘキサン、1−クロロヘプタン、1−クロロオクタン、1−クロロノナン、1−クロロデカン、および1,1,1−トリクロロデカンが挙げられる。
【0034】
本発明のエステル可溶化剤は、一般式RCOによって表されるエステルを含み、式中、RおよびRは独立して、直鎖状および環状、飽和および不飽和、アルキルおよびアリール基から選択される。好ましいエステルは、元素C、HおよびOから本質的になり、約80〜約550原子質量単位の分子量を有する。代表的なエステルとしては、限定されないが:(CHCHCHOOC(CH2−4OCOCHCH(CH(ジイソブチル2塩基エステル)、エチルヘキサノエート、エチルヘプタノエート、n−ブチルプロピオネート、n−プロピルプロピオネート、安息香酸エチル、ジ−n−プロピルフタレート、安息香酸エトキシエチルエステル、ジプロピルカーボネート、「Exxate700」(市販のCアルキルアセテート)、「Exxate800」(市販のCアルキルアセテート)、ジブチルフタレート、および酢酸t−ブチルが挙げられる。
【0035】
本発明のラクトン可溶化剤は、構造[B]、[C]、および[D]:
【0036】
【化1】

【0037】
によって表されるラクトンを含む。これらのラクトンは、6個の原子(B)、または好ましくは5個の原子(C)の環において官能基−CO−を含有し、構造[B]および[C]については、R〜Rは独立して、直鎖状、分枝状、環状、二環式、飽和および不飽和ヒドロカルビル基から選択される。R〜Rのそれぞれは、他のR〜Rと連結され、環を形成する。ラクトンは、構造[D]においてと同様に環外アルキリデン基を有し、式中、R〜Rは独立して、水素、または直鎖状、分枝状、環状、二環式、飽和および不飽和ヒドロカルビル基から選択される。R〜Rのそれぞれは、他のR〜Rと連結され、環を形成する。ラクトン可溶化剤は、約80〜約300原子質量単位、好ましくは約80〜約200原子質量単位の分子量範囲を有する。
【0038】
代表的なラクトン可溶化剤としては、限定されないが、表1に示される化合物が挙げられる。
【0039】
【表1】

【0040】
【表2】

【0041】
【表3】

【0042】
ラクトン可溶化剤は一般に、40℃で約7センチストークス未満の動粘度を有する。例えば、γ−ウンデカラクトンは、5.4センチストークスの動粘度を有し、シス−(3−ヘキシル−5−メチル)ジヒドロフラン−2−オンは、4.5センチストークスの動粘度を有する(どちらも40℃で)。ラクトン添加剤は市販されているか、または参照により本明細書に援用される、2004年8月7日出願の同時係属中の米国特許公報(特許文献2)に記載の方法によって製造される。
【0043】
本発明のアリールエーテル可溶化剤は、式RORによって表されるアリールエーテルを含み、式中、Rは、炭素原子6〜12個を有するアリール炭化水素基から選択され;Rは、炭素原子1〜4個を有する脂肪族炭化水素基から選択され;かつ前記アリールエーテルは、約100〜約150原子質量単位の分子量を有する。一般式RORにおける代表的なRアリール基としては、フェニル、ビフェニル、クメニル、メシチル、トリル、キシリル、ナフチルおよびピリジルが挙げられる。一般式RORにおける代表的なR脂肪族炭化水素基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチルおよびt−ブチルが挙げられる。代表的な芳香族エーテル可溶化剤としては、限定されないが:メチルフェニルエーテル(アニソール)、1,3−ジメチオキシベンゼン、エチルフェニルエーテルおよびブチルフェニルエーテルが挙げられる。
【0044】
本発明の1,1,1−トリフルオロアルカン可溶化剤はさらに、一般式CFによって表される1,1,1−トリフルオロアルカンを含み、式中、Rは、炭素原子約5〜約15個を有する脂肪族および脂環式炭化水素基、好ましくは第1級、直鎖状、飽和、アルキル基から選択される。代表的な1,1,1−トリフルオロアルカン可溶化剤としては、限定されないが:1,1,1−トリフルオロヘキサンおよび1,1,1−トリフルオロドデカンが挙げられる。
【0045】
本発明のフルオロエーテル可溶化剤は、一般式ROCFCFHによって表されるフルオロエーテルを含み、式中、Rは、炭素原子約5〜約15個を有する脂肪族および脂環式炭化水素基、好ましくは第1級、直鎖状、飽和、アルキル基から選択される。代表的なフルオロエーテル可溶化剤としては、限定されないが:C17OCFCFHおよびC13OCFCFHが挙げられる。
【0046】
本発明の可溶化剤は、単一の化合物として存在するか、または複数種の可溶化剤の混合物として存在する。可溶化剤の混合物は、同じ種類の化合物、例えば2種類のラクトンからの複数種の可溶化剤、またはラクトンおよびポリオキシアルキレングリコールエーテルなどの異なる種類からの複数種の可溶化剤を含有し得る。本発明において有用な可溶化剤の混合物はさらに、3種類以上の異なる可溶化剤を含有し得る。
【0047】
本発明の組成物は、所望の量の個々の成分を合わせる簡便な方法によって製造することができる。好ましい方法は、所望の成分の量を計量し、その後に、適切な容器中で成分を合わせる方法である。所望の場合には、攪拌を用いることができる。
【0048】
冷媒と、紫外線蛍光染料と、可溶化剤と、を含む本発明の組成物において、合わせた組成物の約1〜約50重量%、好ましくは約2〜約25重量%、最も好ましくは約5〜約15重量%が冷媒中の可溶化剤である。本発明の組成物において、紫外線蛍光染料は、冷媒中に約0.001重量%〜約1.0重量%、好ましくは0.005重量%〜約0.5重量%、最も好ましくは0.01重量%〜約0.25重量%の濃度で存在する。冷媒および潤滑剤は、満足の行く性能を得るために冷凍および空調装置で一般に使用される濃度で存在する。
【0049】
潤滑性およびシステムの安定性を高めるために、所望のように、一般に使用されている冷凍システム添加剤が任意選択的に、本発明の組成物に添加される。これらの添加剤は、冷凍圧縮機の潤滑の分野内で一般的に知られており、耐摩耗剤、極圧潤滑剤、腐食防止剤および酸化防止剤、金属表面不活性化剤、基補足剤、泡制御剤等が挙げられる。一般に、これらの添加剤は、潤滑剤組成物全体に対して少量でのみ存在する。それらは一般に、各添加剤約0.1重量%未満から約3重量%ほどの濃度で使用される。これらの添加剤は、個々のシステムの要求条件に基づいて選択される。かかる添加剤のいくつかの一般的な例としては、限定されないが、潤滑向上添加剤、例えばリン酸およびチオリン酸のアルキルまたはアリールエステルが挙げられる。これらは、ブチル化トリフェニルホスフェート(BTPP)、または他のアルキル化トリアリールホスフェートエステル、例えばアクゾケミカル社(Akzo Chemicals)からのSyn−0−Ad 8478、リン酸トリクレシルおよび関連する化合物など、EP潤滑性添加剤のトリアリールホスフェート系統のメンバーを含む。さらに、金属ジアルキルジチオホスフェート(例えば、亜鉛ジアルキルジチオホスフェートまたはZDDP、ルブリゾール(Lubrizol)1375)および化学物質のこの系統の他のメンバーを本発明の組成物において使用することができる。他の摩耗防止添加剤としては、天然物のオイルおよび非対称ポリヒドロキシル潤滑添加剤、例えばSynergol TMS(国際的潤滑剤)が挙げられる。同様に、酸化防止剤、基補足剤、および捕水剤などの安定剤を使用することができる。このカテゴリーの化合物としては、限定されないが、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)およびエポキシドが挙げられる。
【0050】
ケトンなどの可溶化剤は、不快な臭気を有し、その臭気は、臭気遮断剤(odor masking agent)および香りを添加することによって遮断することができる。臭気遮断剤および香りの一般的な例としては、Intercontinental Fragrance社によって販売されている、エバーグリーン(Evergreen)、フレッシュレモン(Fresh Lemon)、チェリー(Cherry)、シナモン(Cinnamon)、ペパーミント(Peppermint)、フローラル(Floral)またはオレンジピール(Orange Peel)、ならびにd−リモネンおよびピネンが挙げられる。かかる臭気遮断剤は、臭気遮断剤と可溶化剤とを合わせた量に対して、約0.001重量%から約15重量%もの濃度で使用することができる。
【0051】
本発明の組成物は任意選択的に、炭素原子6〜15個を含有する直鎖状または環状脂肪族または芳香族炭化水素約0.5〜約50重量%(可溶化剤の全重量に対して)をさらに含む。代表的な炭化水素としては、ヘキサン、オクタン、ノナン、デカン、アイソパー(Isopar)(登録商標)H(高純度C11−C12イソ−パラフィン系)、Aromatic 150(C−C11芳香族)、Aromatic 200(C−C15芳香族)およびNaptha 140が挙げられる。これらの炭化水素すべてが、米国のエクソンケミカル社(Exxon Chemical,USA)によって販売されている。
【0052】
本発明の組成物は任意選択的に、ポリマー添加剤をさらに含む。ポリマー添加剤は、フッ素化および非フッ素化アクリレートのランダムコポリマーであり、そのポリマーは、式CH=C(R)CO、CH=C(R)C、およびCH=C(R)CXRによって表される少なくとも1つのモノマーの反復単位を含み、式中、Xは、酸素または硫黄であり;R、R、およびRは独立して、HおよびC−Cアルキル基からなる群から独立して選択され;R、R、およびRは、CおよびFを含有する炭素鎖ベースの基からなる群から選択され、かつチオエーテル、スルホキシドまたはスルホン基の形でH、Cl、エーテル酸素、または硫黄をさらに含有し得る。かかるポリマー添加剤の例としては、参照により本明細書に援用される米国特許公報(特許文献3)に開示されている添加剤、例えば本願特許出願人によって販売されているゾニル(Zonyl)(登録商標)PHSが挙げられる。ゾニル(Zonyl)(登録商標)PHSは、CH=C(CH)COCHCH(CFCFF(ゾニル(Zonyl)(登録商標)フルオロメタクリレートまたはZFMとも呼ばれる;式中、mは、1〜12、主に2〜8である)40重量%およびラウリルメタクリレート(LMAとも呼ばれるCH=C(CH)CO(CH11CH)60重量%を重合することによって製造されるランダムポリマーである。
【0053】
本発明の組成物は任意選択的に、金属への潤滑剤の付着を低減するように、熱交換器において見られる金属銅、アルミニウム、鋼または他の金属の表面エネルギーを低減する添加剤約0.01〜30重量%(可溶化剤の全重量に対して)をさらに含有し得る。金属表面エネルギー減少剤の例としては、(特許文献4)に開示されている添加剤、例えば、そのすべてが本願特許出願人の製品である、ゾニル(Zonyl)(登録商標)FSA、ゾニル(Zonyl)(登録商標)FSPおよびゾニル(Zonyl)(登録商標)FSJが挙げられる。実際に、金属と潤滑剤(つまり、金属にしっかりと結合する化合物の代わりとなる)との付着力を低減することによって、潤滑剤は、金属表面上に層として残るのではなく、空調または冷凍システムにおける熱交換器および連結管材料をより滑らかに循環する。これによって、金属への熱伝達が高まり、潤滑剤が圧縮機に効率的に戻ることが可能となる。
【0054】
本発明はさらに、圧縮冷凍または空調装置中に紫外線蛍光染料を導入する方法に関し、前記方法は、冷媒に紫外線蛍光染料を溶解する工程と、前記圧縮冷凍または空調装置中に混合物を導入する工程とを含む。
【0055】
冷凍または空調装置としては、限定されないが、遠心冷却機(centrifugal chiller)、家庭用冷蔵庫/冷凍庫、住宅用空気調和装置、自動車用空気調和装置、冷蔵輸送車、ヒートポンプ、スーパーマーケットの食品クーラーおよびディスプレイケース、および冷蔵倉庫が挙げられる。
【0056】
本発明はさらに、冷媒中に紫外線蛍光染料を可溶化する方法に関し、前記方法は、可溶化剤の存在下で紫外線蛍光染料を前記触媒と接触させる工程を含む。
【0057】
本発明はさらに、漏洩を検出する方法に関し、前記方法は、冷媒と、紫外線蛍光染と、可溶化剤とを含有する組成物を使用する工程を含む。前記紫外線蛍光染料含有組成物を用いて、冷凍および空調装置の漏洩を検出する方法は、「ブラックライト」または「青色光」とも呼ばれることが多い、紫外線ランプを使用する工程を含む。特にこの目的のために設計されている、かかる紫外線ランプは、多くの供給元から市販されている。紫外線蛍光染料含有組成物を冷凍または空調装置に導入し、システムに循環させると、前記紫外線ランプで装置を照らし、漏洩箇所の付近で染料の蛍光を確認することによって、漏洩を見つけることができる。
【0058】
本発明はさらに、本発明の漏洩検出可能な冷媒組成物を使用する方法であって:
(i)冷却されるべき本体の付近で漏洩検出可能な冷媒組成物を蒸発させ、その後に前記組成物を凝縮させることによって、冷凍を発生させる工程;または
(ii)加熱されるべき本体の付近で漏洩検出可能な冷媒組成物を凝縮させ、その後に前記組成物を蒸発させることによって、熱を発生させる工程
を含む方法に関する。
【実施例】
【0059】
本発明の有用性を実証するために、溶解性試験をいくつかの組成物について行った。各実施例についての試験結果を以下に示す。すべての場合において使用された紫外線染料は、スペクトロニクス社(Spectronics Corporation)(ニューヨーク州ウェスベリー(Wesbury,NY))から入手したトレーサーライン(Tracerline)(登録商標)TP3860、染料濃縮物(潤滑剤中)である。
【0060】
(実施例1)
HFC−134aについてTP3860を使用して、異なる温度および濃度(重量%,wt%)で溶解性試験を行った。冷媒の試料を染料と混合し、沈殿物(ppt)が形成するまで温度を下げた。その結果を表2に示す。
【0061】
【表4】

【0062】
この結果から、HFC−134a中の紫外線染料の溶解性が限られていることが示されている。
【0063】
(実施例2)
CFC−12およびHFC−152a(1,1−ジフルオロエタン)両方におけるTP3860染料の溶解性を比較する溶解性試験を行った。さらに、可溶化剤、ジプロピレングリコールジメチルエーテル(DMM)を使用した、HFC−152a中の染料の溶解性もまた、決定した。2種類の冷媒を異なる濃度(重量%、wt%で示される濃度)でTP3860染料濃縮物と混合し、−26℃で制御された温度の冷凍庫に約4日間入れておいた。その結果を表3に示す。
【0064】
【表5】

【0065】
このデータから、可溶化剤を含むHFC−152a組成物の染色溶解性が向上したことが実証されている。
【0066】
(実施例3)
HFC−32とTP3860染料との混合物で、溶解性試験を−24℃で行った。さらに、HFC−32を最初に可溶化剤、n−ブタンと混合し、次いで溶解性を−24℃で決定した。その結果を表4に示す。
【0067】
【表6】

【0068】
この結果から、紫外線染料は、試験された3通りのすべての濃度でHFC−32単独には不溶性であるが、可溶化剤、n−ブタンを添加することによって、濃度0.1重量%および0.2重量%に関して溶解性が付与されることが示されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)少なくとも1つの冷媒と;
b)少なくとも1つの紫外線蛍光染料と;
c)少なくとも1つの可溶化剤と;
d)任意選択的に、少なくとも1つの潤滑剤と
を含有する、漏洩検出可能な冷媒組成物であって、前記潤滑剤が、圧縮冷凍または空調装置での使用に適していることを特徴とする冷媒組成物。
【請求項2】
前記冷媒が、ヒドロフルオロカーボン、フルオロエーテル、炭化水素、DME、CO、NH、およびその混合物の群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記紫外線蛍光染料が、ナフタルイミド類、ペリレン類、クマリン類、アントラセン類、フェナントラセン類、キサンテン類、チオキサンテン類、ナフトキサンテン類、フルオレセイン類、およびそれらの誘導体からなる群から選択される少なくとも1つであることを特徴とする請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記可溶化剤が、炭化水素、ジメチルエーテル、ポリオキシアルキレングリコールエーテル、アミド、ケトン、ニトリル、クロロカーボン、エステル、ラクトン、アリールエーテル、フルオロエーテル、1,1,1−トリフルオロアルカン、およびその混合物からなる群から選択され;かつ前記冷媒が炭化水素を含む場合に、前記可溶化剤が異なる炭化水素のみであることを特徴とする請求項1または2に記載の組成物。
【請求項5】
前記可溶化剤が、
a)式R[(OROR(式中、xは、1〜3の整数であり;yは、1〜4の整数であり;Rは、水素、1〜6個の炭素原子およびy個の結合部位を有する脂肪族炭化水素基から選択され;Rは、炭素原子2〜4個を有する脂肪族ヒドロカルビレン基から選択され;Rは、水素、および炭素原子1〜6個を有する脂肪族および脂環式炭化水素基から選択され;RおよびRのうち少なくとも1つが前記炭化水素基から選択される)によって表されるポリオキシアルキレングリコールエーテルであって;約100〜約300原子質量単位の分子量を有するポリオキシアルキレングリコールエーテル;
b)式RCONRおよびシクロ−[RCON(R)−](式中、R、R、RおよびRは独立して、炭素原子1〜12個を有する脂肪族および脂環式炭化水素基、および炭素原子6〜12個を有する多くとも1つの芳香族基から選択され;Rは、炭素原子3〜12個を有する脂肪族ヒドロカルビレン基から選択される)によって表されるアミドであって、約100〜約300原子質量単位の分子量を有するアミド;
c)RCOR(式中、RおよびRは独立して、炭素原子1〜12個を有する脂肪族、脂環式およびアリール炭化水素基から選択される)によって表されるケトンであって、約70〜約300原子質量単位の分子量を有するケトン;
d)式RCN(式中、Rは、炭素原子5〜12個を有する脂肪族、脂環式またはアリール炭化水素基から選択される)によって表されるニトリルであって、約90〜約200原子質量単位の分子量を有するニトリル;
e)式RCl(式中、xは、1または2の整数から選択され;Rは、炭素原子1〜12個を有する脂肪族および脂環式炭化水素基から選択される)によって表されるクロロカーボンであって、約100〜約200原子質量単位の分子量を有するクロロカーボン;
f)式ROR(式中、Rは、炭素原子6〜12個を有するアリール炭化水素基から選択され;Rは、炭素原子1〜4個を有する脂肪族炭化水素基から選択される)によって表されるアリールエーテルであって、約100〜約150原子質量単位の分子量を有するアリールエーテル;
g)式CF(式中、Rは、炭素原子約5〜約15個を有する脂肪族および脂環式炭化水素基から選択される)によって表される1,1,1−トリフルオロアルカン;
h)式ROCFCFH(式中、Rは、炭素原子約5〜約15個を有する脂肪族および脂環式炭化水素基から選択される)によって表されるフルオロエーテル;
i)構造[B]、[C]、および[D]:
【化1】

(式中、R〜Rは独立して、直鎖状、分枝状、環状、二環式、飽和および不飽和ヒドロカルビル基から選択される)によって表されるラクトンであって、その分子量が約100〜約300原子質量単位であるラクトン;および
i)一般式RCO(式中、RおよびRは独立して、直鎖状および環状、飽和および不飽和アルキルおよびアリール基から選択される)によって表されるエステルであって、約80〜約550原子質量単位の分子量を有するエステル
からなる群から選択されることを特徴とする請求項1または2に記載の組成物。
【請求項6】
前記冷媒がヒドロフルオロカーボンであり、かつ前記可溶化剤がジメチルエーテルであることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記潤滑剤の少なくとも1つが、鉱油、パラフィン類、ナフテン類、合成パラフィン類、アルキルベンゼン類、ポリ−α−オレフィン類、ポリアルキレングリコール類、ポリビニルエーテル類、およびポリオールエステル類からなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
圧縮冷凍または空調装置中に紫外線蛍光染料を導入する方法であって、可溶化剤の存在下で冷媒に紫外線蛍光染料を溶解する工程と、前記圧縮冷凍または空調装置中に混合物を導入する工程とを含むことを特徴とする方法。
【請求項9】
紫外線蛍光染料を冷媒に可溶化する方法であって、可溶化剤の存在下で前記紫外線蛍光染料を前記冷媒と接触させる工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項10】
漏洩を検出する方法であって、前記方法は圧縮冷凍または空調装置において請求項1に記載の組成物を使用する工程を含み、前記方法は前記装置を提供する工程と、前記装置の付近で前記組成物を検出するための適切な手段を提供する工程とを含むことを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項1に記載の漏洩検出可能な冷媒組成物を使用する方法であって:
(i)冷却されるべき本体の付近で漏洩検出可能な冷媒組成物を蒸発させ、その後に前記組成物を凝縮させることによって、冷凍を発生させる工程;または
(ii)加熱されるべき本体の付近で漏洩検出可能な冷媒組成物を凝縮させ、その後に前記組成物を蒸発させることによって、熱を発生させる工程
を含むことを特徴とする方法。

【公表番号】特表2007−511645(P2007−511645A)
【公表日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−539962(P2006−539962)
【出願日】平成16年11月12日(2004.11.12)
【国際出願番号】PCT/US2004/038041
【国際公開番号】WO2005/049761
【国際公開日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】