説明

紫外線遮蔽ゲル状組成物及びその製造方法並びに化粧料

【課題】紫外線遮蔽機能を有する樹脂粒子を、油中水型(W/O型)、水中油型(O/W型)の化粧料へは勿論のこと、水系化粧料へも適用することが可能であり、しかも品質を長期間に亘って安定化させることが可能な紫外線遮蔽ゲル状組成物及びその製造方法並びに化粧料を提供する。
【解決手段】本発明の紫外線遮蔽ゲル状組成物は、ポリアクリル酸ポリマーを0.01質量%以上かつ5質量%以下、水を30質量%以上かつ80質量%以下、エマルジョン型シリコーンを0.1質量%以上かつ5質量%以下、紫外線遮蔽剤含有樹脂粒子を1質量%以上かつ50質量%以下、アルコールを1質量%以上かつ40質量%以下含有してなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線遮蔽ゲル状組成物及びその製造方法並びに化粧料に関し、更に詳しくは、スキンケア化粧品、メイクアップ化粧品、ボディケア化粧品等の各種化粧品、特に、紫外線遮蔽能が必要とされるスキンケア化粧品のホワイトニング、メイクアップ化粧品のベースメイク、ボディケア化粧品のサンスクリーンに用いて好適な紫外線遮蔽ゲル状組成物及びその製造方法、並びに、この紫外線遮蔽ゲル状組成物を含有してなる化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポリアクリル酸ポリマーは、べたつき感がなく、さっぱり感、みずみずしさ、清涼感等の使用感のよさを付与できることから、ゲル状化粧料として汎用されている。
従来、このようなゲル状化粧料を用いた化粧品に紫外線遮蔽機能を付与するために、有機系紫外線吸収剤や無機系紫外線遮蔽剤が使用され、用途に応じて使い分けられている。
これら無機系紫外線遮蔽剤と有機系紫外線吸収剤とは、それぞれの種類に応じて遮蔽することができる紫外線の波長が異なるので、これらを適宜組み合わせて化粧料を処方することが好ましい。
【0003】
ところで、有機系紫外線吸収剤は、水に不溶であることから、その紫外線吸収効果を発揮させるためには特定の溶媒に溶かす必要があり、化粧品の処方の自由度を低下させるという問題点があった。
また、無機系紫外線遮蔽剤は、中でも、特にサンスクリーンに添加されて効果を発揮する酸化亜鉛は、両性酸化物であることから水に微量溶解する性質がある。そこで、この溶出した亜鉛イオンによる作用で体臭成分を吸収するデオドラント剤または収斂剤として利用されることもある一方、同時に溶出した亜鉛イオンが化粧品の他の成分である油剤、香料、色料、有機紫外線吸収剤、水溶性高分子等と反応して、粘度を変化させたり、異臭を発生させたり、あるいは変色、着色、ゲル化等を誘起する虞がある。そのために、化粧料中の水の含有率を高めることができず、したがって、化粧料としての処方の自由度を低下させるという問題点があった。
【0004】
さらに、無機系紫外線遮蔽剤と有機系紫外線吸収剤とを併用すると、金属イオンの影響により有機系紫外線吸収剤が再結晶化して、化粧料の変質、変色、使用感の低下等を引き起こすことから、無機系紫外線遮蔽剤と有機系紫外線吸収剤とを自由に混合して化粧料を処方することができないという問題点があった。
【0005】
そこで、上記の問題点を解決するために、全重量のうち無機系の紫外線遮蔽剤を1〜80質量%含み、粒径が30μm以下の紫外線遮蔽機能を有する球状樹脂粉体(特許文献1)、紫外線遮蔽機能を有する金属酸化物を樹脂モノマー中に分散させ、懸濁重合または乳化重合を行って得られた樹脂粉体(特許文献2)等が提案されている。これらは、無機系紫外線遮蔽剤を含む樹脂粉体とすることで、無機系紫外線遮蔽材が有機系紫外線吸収剤や化粧料の他の成分と直接接触するのを避けることができる化粧料を処方することができる。
また、有機系紫外線吸収剤をマイクロカプセルとすることで、特定の溶媒に溶かす必要のない化粧料が提案されている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3469641号公報
【特許文献2】特許第3205249号公報
【特許文献3】特開平07−267841号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の樹脂粒子やマイクロカプセルをゲル状化粧料に適用しようとした場合、ポリアクリル酸ポリマー等のゲル状化粧料の成分と樹脂粒子やマイクロカプセル等とを混合させる際の泡立ちがひどく、十分に混合させることができなかった。そのため、ゲル状化粧料に紫外線遮蔽剤を十分に添加させることができず、紫外線遮蔽能が高いゲル状化粧料が得られないという問題点があった。
また、無理やり混合させた場合、得られた化粧料は、品質の低下を生じ易く、長期間に亘って安定化させることができないという問題点があった。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、紫外線遮蔽機能を有する樹脂粒子を、油中水型(W/O型)、水中油型(O/W型)の化粧料へは勿論のこと、水系化粧料へも適用することが可能であり、しかも品質を長期間に亘って安定化させることが可能な紫外線遮蔽ゲル状組成物及びその製造方法並びに化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、有機系紫外線吸収剤や紫外線遮蔽能を有する金属酸化物粒子を含む紫外線遮蔽剤含有樹脂粒子とポリアクリル酸ポリマーとを混合する際に、エマルジョン型シリコーン及びアルコールを添加することで、混合時の泡立ちが抑制され、使用感がよく品質安定性に優れた紫外線遮蔽ゲル状組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明の紫外線遮蔽ゲル状組成物は、ポリアクリル酸ポリマーを0.01質量%以上かつ5質量%以下、水を30質量%以上かつ80質量%以下、エマルジョン型シリコーンを0.1質量%以上かつ5質量%以下、紫外線遮蔽剤含有樹脂粒子を1質量%以上かつ50質量%以下、アルコールを1質量%以上かつ40質量%以下含有してなることを特徴とする。
【0011】
さらに、前記ポリアクリル酸ポリマー以外の水溶性高分子を0.01質量%以上かつ5質量%以下含有してなることが好ましい。
前記エマルジョン型シリコーンは、シリコーン樹脂を10質量%以上かつ50質量%以下、ソルビタン脂肪酸エステルを0.5質量%以上かつ5質量%以下、グリセリン脂肪酸エステルを0.5質量%以上かつ5質量%以下、ショ糖脂肪酸エステルを0.1質量%以上かつ1質量%以下含有していることが好ましい。
【0012】
前記紫外線遮蔽剤含有樹脂粒子は、樹脂粒子中に、有機系紫外線吸収剤、紫外線遮蔽能を有する金属酸化物粒子のうちいずれか一方または双方を含有してなる平均粒子径が0.05μm以上かつ5μm以下の粒子であり、前記金属酸化物粒子は、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウム、酸化鉄の群から選択される1種または2種以上を含有してなる平均粒子径が0.003μm以上かつ0.1μm以下の粒子であり、前記紫外線遮蔽剤含有樹脂粒子は、前記有機系紫外線吸収剤の含有率が0.1質量%以上かつ80質量%以下、前記金属酸化物粒子の含有率が1質量%以上かつ80質量%以下であることが好ましい。
前記有機系紫外線吸収剤は、ジベンゾイルメタン系化合物、ベンゾフェノン誘導体、パラアミノ安息香酸誘導体、メトキシ桂皮酸誘導体、サリチル酸誘導体の群から選択される1種または2種以上であることが好ましい。
【0013】
本発明の紫外線遮蔽ゲル状組成物の製造方法は、ポリアクリル酸ポリマーが0.01質量%以上かつ5質量%以下、水が30質量%以上かつ80質量%以下、エマルジョン型シリコーンが0.1質量%以上かつ5質量%以下、紫外線遮蔽剤含有樹脂粒子が1質量%以上かつ50質量%以下、アルコールが1質量%以上かつ40質量%以下となるように、これらを混合して混合物とし、次いで、この混合物の水素イオン指数を6以上かつ8以下に調整することを特徴とする。
【0014】
本発明の化粧料は、本発明の紫外線遮蔽ゲル状組成物を含有してなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の紫外線遮蔽ゲル状組成物によれば、ポリアクリル酸ポリマー及び紫外線遮蔽剤含有樹脂粒子に、エマルジョン型シリコーン及びアルコールを添加するので、ポリアクリル酸ポリマーと紫外線遮蔽剤含有樹脂粒子とを、泡立ちも無く、十分に混合することができる。
したがって、紫外線遮蔽機能及び使用感に優れ、品質安定性にも優れた紫外線遮蔽ゲル状組成物を提供することができる。
【0016】
本発明の紫外線遮蔽ゲル状組成物の製造方法によれば、ポリアクリル酸ポリマー、水、エマルジョン型シリコーン、紫外線遮蔽剤含有樹脂粒子及びアルコールを混合して混合物とした後に、この混合物の水素イオン指数を6以上かつ8以下に調整するので、ポリアクリル酸ポリマーと紫外線遮蔽剤含有樹脂粒子とを、泡立ちも無く、十分に混合させることができる。
したがって、紫外線遮蔽機能及び使用感に優れ、品質安定性にも優れた紫外線遮蔽ゲル状組成物を容易に得ることができる。
【0017】
本発明の化粧料によれば、本発明の紫外線遮蔽ゲル状組成物を含有したので、紫外線遮蔽機能、透明感、使用感に優れ、品質安定性及び安全性にも優れた化粧料を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施例1〜5各々の紫外線遮蔽ゲル状組成物の分光透過率を示す図である。
【図2】本発明の実施例5の紫外線遮蔽ゲル状組成物を塗布してなる塗膜の分光透過率を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の紫外線遮蔽ゲル状組成物及びその製造方法並びに化粧料を実施するための形態について説明する。
なお、以下の実施の形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
【0020】
[紫外線遮蔽ゲル状組成物]
本実施形態の紫外線遮蔽ゲル状組成物は、ポリアクリル酸ポリマーを0.01質量%以上かつ5質量%以下、水を30質量%以上かつ80質量%以下、エマルジョン型シリコーンを0.1質量%以上かつ5質量%以下、紫外線遮蔽剤含有樹脂粒子を1質量%以上かつ50質量%以下、アルコールを1質量%以上かつ40質量%以下含有してなるゲル状組成物である。
この場合、ポリアクリル酸ポリマー、水、エマルジョン型シリコーン、紫外線遮蔽剤含有樹脂粒子、アルコール各々の成分の含有率の合計が100質量%を超えないように、各々の成分の含有率を調整する必要がある。
このゲル状組成物は、必要に応じて、pH調整剤、酸化防止剤、防腐剤等を適宜含有してもよい。
【0021】
次に、この紫外線遮蔽ゲル状組成物の各成分について詳細に説明する。
「ポリアクリル酸ポリマー」
このポリアクリル酸ポリマーは、下記の式(1)で表される構造を有しているもので、化粧料として使用可能であればよく、特に限定されない。
例えば、ペンタエリスチルアリルエーテル、スクロースアリルエーテルまたはプロピレンアリルエーテルにて架橋したアクリル酸の重合体であるカルボマーやアクリル酸、メタクリル酸またはこれらのエステルからなるモノマー1種以上とアクリル酸アルキル(C10−30)の共重合体をショ糖のアリルエーテルまたはペンタエリスリトールのアリルエーテルにて架橋した(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10−30))クロスポリマーが挙げられる。
【0022】
【化1】

【0023】
このポリアクリル酸ポリマーの平均分子量は、50万以上かつ1000万以下が好ましく、特に100万以上かつ500万以下が好ましい。
ここで、平均分子量が50万未満の場合には、粘性が不十分なものとなり、所望の粘性を有するゲルが得られないので好ましくなく、一方、平均分子量が1000万を超える場合には、水中にて凝集し沈降する場合があるので好ましくない。
このようなポリアクリル酸ポリマーとしては、例えば、B.F.Goodrich社製のCarbopol(登録商標)シリーズ(Carbopol 934、Carbopol 940、Carbopol 950、Carbopol 980、Carbopol 951、Carbopol 981、Carbopol Ultrez10、Carbopol ETD2020、Carbopol 1382、Carbopol 1342)を用いることができる。
【0024】
このポリアクリル酸ポリマーの、紫外線遮蔽ゲル状組成物の全体量に対する含有率は、0.01質量%以上かつ5質量%以下が好ましい。
ここで、ポリアクリル酸ポリマーの含有率が0.01質量%未満の場合には、ゲルとしての粘性が得られないので好ましくなく、また、含有率が5質量%を超えると、それ以上の増粘効果が無く、しかも凝集沈降が生じる虞があるので好ましくない。
【0025】
「水」
この水の、紫外線遮蔽ゲル状組成物の全体量に対する含有率は、30質量%以上かつ80質量%以下が好ましい。
ここで、水の含有率が30質量%未満の場合には、ポリアクリル酸ポリマーの特徴であるさっぱり感やみずみずしさ、清涼感等の感触が失われてしまうので好ましくなく、また、含有率が80質量%を超えると、水以外の成分を処方することが困難となり、処方の自由度が低下してしまうので好ましくない。
この水としては、化粧料に一般的に使用される水であればよく、特に限定されず、純水、イオン交換水、蒸留水、精製水、超純水、天然水、アルカリイオン水、深層水等のいずれを用いてもよい。
【0026】
「エマルジョン型シリコーン」
エマルジョン型シリコーンは、シリコーン樹脂を非イオン性界面活性剤等にてO/W型に乳化したものであればよく、特に限定されない。
このようなエマルジョン型シリコーンとしては、例えば、シリコーン樹脂に対して、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル及びショ糖脂肪酸エステル(油溶性ゲル化剤)を加えて乳化させたエマルジョン型シリコーンを用いることができる。
【0027】
このようなエマルジョン型シリコーンとしては、例えば、シリコーン樹脂を10質量%以上かつ50質量%以下、ソルビタン脂肪酸エステルを0.5質量%以上かつ5質量%以下、グリセリン脂肪酸エステルを0.5質量%以上かつ5質量%以下、ショ糖脂肪酸エステルを0.1質量%以上かつ1質量%以下含有していることが好ましい。上記範囲でエマルジョン型シリコーンを作製すると、エマルジョンとしての安定性が得られやすいので好ましい。
このようなエマルジョン型シリコーンの具体例としては、エマルジョン型シリコーン KM−72F(組成:シリコーン樹脂30質量%、ソルビタン脂肪酸エステル3質量%、グリセリン脂肪酸エステル1質量%、ショ糖脂肪酸エステル0.5質量%、水65.5質量%;粘度(25℃):1000〜3000mPa・s)が挙げられる。
【0028】
このエマルジョン型シリコーンの紫外線遮蔽ゲル状組成物の全体量に対する含有率は、0.1質量%以上かつ5質量%以下が好ましい。
ここで、このエマルジョン型シリコーンの含有率が0.1質量%未満では、消泡効果が得られないので好ましくなく、また、含有率が5.0質量%を超えると、それ以上の消泡効果を得られるわけではないので、過剰のエマルジョン型シリコーンが無駄となり、ポリアクリル酸ポリマーの特徴であるさっぱり感やみずみずしさ、清涼感といった感触が失われてしまうので好ましくない。
このエマルジョン型シリコーンを上記範囲で添加することにより、消泡効果が発揮され、混合時の撹拌による泡立ちが抑制されるとともに、紫外線遮蔽剤含有樹脂粒子の分散性を高め、ゲル化後の紫外線遮蔽ゲル状組成物の使用感を損ねないようにすることができる。
【0029】
「紫外線遮蔽剤含有樹脂粒子」
この紫外線遮蔽剤含有樹脂粒子は、樹脂粒子中に、有機系紫外線吸収剤、紫外線遮蔽能を有する金属酸化物粒子のうちいずれか一方または双方を含有してなる平均粒子径が0.05μm以上かつ5μm以下の粒子である。
次に、(1)有機系紫外線吸収剤を含有する紫外線遮蔽剤含有樹脂粒子(以下、有機系紫外線吸収剤含有樹脂粒子と略称する)、(2)紫外線遮蔽能を有する金属酸化物粒子を含有する紫外線遮蔽剤含有樹脂粒子(以下、金属酸化物粒子含有樹脂粒子と略称する)、(3)有機系紫外線吸収剤及び紫外線遮蔽能を有する金属酸化物粒子を含有する紫外線遮蔽剤含有樹脂粒子(以下、有機−無機紫外線吸収剤含有樹脂粒子と略称する)、それぞれについて説明する。
【0030】
(1)有機系紫外線吸収剤含有樹脂粒子
この有機系紫外線吸収剤含有樹脂粒子は、樹脂中に有機系紫外線吸収剤を含有してなる樹脂粒子である。
この有機系紫外線吸収剤含有樹脂粒子の平均粒子径は、0.05μm以上かつ5μm以下が好ましく、より好ましくは0.1μm以上かつ3μm以下、さらに好ましくは0.2μm以上かつ1μm以下である。
ここで、有機系紫外線吸収剤含有樹脂粒子の平均粒子径が0.05μm未満では、樹脂粒子同士が凝集し易くなり、したがって、この樹脂粒子を分散媒中に分散させた場合に分散性が低下し、紫外線遮蔽機能を十分に発現することができなくなるので好ましくない。一方、平均粒子径が5μmを超えると、化粧料として用いた場合に、肌における伸びや滑りが低下し、その結果、ざらつき感等が生じて肌触り等が悪化する等、使用感が悪くなるので好ましくない。
【0031】
(樹脂)
樹脂としては、有機系紫外線吸収剤を溶解させることができ、かつ、その重合体の透明度が高く、化粧料の原料として使用可能な樹脂モノマーであればよく、特に限定されない。
このような樹脂モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル樹脂、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アクリルスチレン共重合体、アクリルアミド共重合体、アクリルエポキシ共重合体、アクリルウレタン共重合体、アクリルポリエステル共重合体、シリコンアクリル共重合体、酢酸ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等のモノマーを用いることができる。これらの中でも(メタ)アクリル樹脂のモノマーが透明性に優れている点で好ましい。
【0032】
(メタ)アクリル樹脂のモノマーとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロロエチル、アクリル酸フェニル、α−クロロアクリル酸メチル、アクリル酸トリフルオロエチル、アクリル酸テトラフルオロプロピル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ステアリル等が挙げられる。
【0033】
また、この(メタ)アクリル樹脂のモノマーと組み合わせて重合させることができる樹脂モノマーとしては、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、o−エチルスチレン、m−エチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロロスチレン、3,4−ジクロロスチレン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル、N−ビニルピロビニル、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、ブタジエン、イソプレン等が挙げられる。
これらの樹脂モノマーは、1種のみを単独で重合して用いてもよく、2種以上を組み合わせて重合して用いてもよい。例えば、(メタ)アクリル樹脂のモノマーとそれ以外の樹脂モノマーを組み合わせる場合には、透明性の観点から、樹脂モノマー中の(メタ)アクリル樹脂のモノマーの含有率が10質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましい。
【0034】
(有機系紫外線吸収剤)
この有機系紫外線吸収剤としては、上記の樹脂モノマーに溶解させることができるものであればよく、特に限定されず、例えば、ジベンゾイルメタン系化合物、ベンゾフェノン誘導体、パラアミノ安息香酸誘導体、メトキシ桂皮酸誘導体、サリチル酸誘導体等が挙げられる。これらの有機系紫外線吸収剤は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0035】
この有機系紫外線吸収剤の有機系紫外線吸収剤含有樹脂粒子中における含有率は、0.1質量%以上かつ80質量%以下が好ましく、より好ましくは0.5質量%以上かつ50質量%以下、さらに好ましくは1質量%以上かつ30質量%以下である。
ここで、有機系紫外線吸収剤の有機系紫外線吸収剤含有樹脂粒子中における含有率が0.1質量%未満では、有機系紫外線吸収剤の量が少なすぎて、有機系紫外線吸収剤が有する紫外線遮蔽機能を十分に発現することができなくなり、その結果、紫外線遮蔽機能を十分に発現させようとすると、大量の有機系紫外線吸収剤含有樹脂粒子が必要となり、化粧料を作製する際の材料設計が極めて難しくなるので好ましくない。一方、含有率が80質量%を超えると、有機系紫外線吸収剤の量が樹脂に対して相対的に高くなり、その結果、樹脂中における有機系紫外線吸収剤の分散性が低下し、組成の均一性が損なわれるので、好ましくない。
【0036】
この有機系紫外線吸収剤含有樹脂粒子は、必要に応じて、この有機系紫外線吸収剤含有樹脂粒子に対して1質量%以上かつ20質量%以下のオルガノシロキサンにより表面処理したこととしてもよい。
このオルガノシロキサンとしては、ジアルキルアルコキシシラン化合物が挙げられ、中でも、オルガノポリシロキサン、あるいは、オルガノポリシロキサンをアルキル基、イソシアネート基、エポキシ基、アクリル基、アルキルケイ素化合物の群から選択された1種または2種以上により変性した変性オルガノポリシロキサンが好適に用いられ、特に、ジメチルポリシロキサン(シリコーンオイル)、このジメチルポリシロキサン(シリコーンオイル)を変性した変性ジメチルポリシロキサン(変性シリコーンオイル)が好適に用いられる。
この樹脂粒子の表面をオルガノシロキサンにより処理することにより、この有機系紫外線吸収剤含有樹脂粒子の成分である有機系紫外線吸収剤の純水等の溶媒中への溶出をさらに抑制することができる。
【0037】
(有機系紫外線吸収剤含有樹脂粒子の製造方法)
この有機系紫外線吸収剤含有樹脂粒子の製造方法は、上記の樹脂モノマーに上記の有機系紫外線吸収剤を、この有機系紫外線吸収剤の含有率が0.1質量%以上かつ80質量%以下となるように溶解させて樹脂モノマー溶解液とし、次いで、この樹脂モノマー溶解液を、この樹脂モノマー溶解液全質量に対して0.1質量%以上かつ10質量%以下の懸濁保護剤、及び0.1質量%以上かつ10質量%以下の架橋剤を含む純水中に懸濁または乳化させて懸濁液または乳化液とし、次いで、この懸濁液または乳化液に、この懸濁液または乳化液中の樹脂モノマーの全質量に対して0.01質量%以上かつ1質量%以下の重合開始剤を添加して懸濁重合または乳化重合を行い、有機系紫外線吸収剤含有樹脂粒子を生成する方法である。
【0038】
なお、平均粒子径が5μm以下の小さい有機系紫外線吸収剤含有樹脂粒子を作製する場合には、上記の樹脂モノマー溶解液に、この樹脂モノマー溶解液の全質量に対して0.01質量%以上かつ5質量%以下のシリコーン系消泡剤を添加すればよい。
【0039】
ここで、この有機系紫外線吸収剤含有樹脂粒子の製造方法について詳細に説明する。
まず、有機系紫外線吸収剤を樹脂モノマー中に溶解させ、樹脂モノマー溶解液とする。
なお、後述する懸濁液または乳化液のエマルジョン被膜強度を高めて懸濁重合または乳化重合の重合効率を高めるために、この樹脂モノマー溶解液の全質量に対して1質量%以上かつ50質量%以下の分散剤を添加してもよい。
分散剤としては、化粧料の原料として認められるものであり、樹脂モノマーとの親和性に富み、かつ疎水性の高いものがよい。
【0040】
このような分散剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム等のカルボン酸またはその塩、アルカンスルホン酸ナトリウム等のスルホン酸またはその塩、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸ナトリウム等の硫酸エステルまたはその塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸やポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸等のリン酸エステルまたはその塩、ラウリルリン酸ナトリウム等のフォスフォン酸またはその塩が挙げられる。
【0041】
分散剤の添加量は、上記の樹脂モノマー溶解液の全質量に対して、1質量%以上かつ50質量%以下が好ましい。その理由は、添加量が1質量%未満では、後述する懸濁液または乳化液のエマルジョン被膜強度が高くならず、その結果、懸濁重合または乳化重合の重合効率が低下するからであり、一方、50質量%を超えると、これ以上添加量を上げても重合効率を改善することができず、分散剤が無駄になるからである。
【0042】
有機系紫外線吸収剤を樹脂モノマー中に溶解させる方法としては、有機系紫外線吸収剤が樹脂モノマー中に溶解すればよく、特に限定されず、有機系紫外線吸収剤と樹脂モノマーとの相溶性を勘案して、適宜混合方法を選択すればよい。
混合の程度としては、目視にて観察した場合に固形分の沈殿が認められなくなるまで混合すればよい。この混合工程に用いられる混合装置としては、例えば、マグネチックスターラー、撹拌機等が挙げられる。
以上により、有機系紫外線吸収剤を樹脂モノマー中に溶解させた樹脂モノマー溶解液を得ることができる。
【0043】
次いで、この樹脂モノマー溶解液を、懸濁保護剤及び架橋剤を含む純水中に懸濁または乳化させる。
懸濁保護剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等の非イオン性界面活性剤、あるいはアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルフェニル硫酸エステル塩等の陰イオン性界面活性剤等が挙げられ、これらの中でも、陰イオン性界面活性剤が好ましく、この陰イオン性界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩が好ましい。
懸濁保護剤の添加量は、上記の樹脂モノマー溶解液の全質量に対して0.1質量%以上かつ10質量%以下が好ましく、より好ましくは0.1質量%以上かつ2質量%以下である。
【0044】
架橋剤としては、2個以上の不飽和二重結合を有する単量体であればよく、特に限定されるものではないが、多官能ビニル単量体や多官能(メタ)アクリル酸エステル酸誘導体等の中から適宜選択して用いることができる。
より具体的には、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、ジビニルナフタレン、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート等の(ポリ)アルキレングリコール系ジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0045】
また、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,8−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ( メタ)アクリレート、1,10− デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,12−ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ブチルエチルプロパンジオールジ(メタ)アクリレート、3−メチル−1,7−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、2−メチル−1,8−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート等のアルカンジオール系ジ(メタ)アクリレートも挙げられる。
【0046】
また、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタンジ(メタ)アクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタントリ(メタ)アクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシメチルプロパントリアクリレート、ジアリルフタレートおよびその異性体、トリアリルイソシアヌレートおよびその誘導体等も挙げられる。
これらの中でも特に(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレートが好ましい。
【0047】
架橋剤の添加量は、上記の樹脂モノマー溶解液の全質量に対して0.1質量%以上かつ10質量%以下が好ましく、より好ましくは1質量%以上かつ10質量%以下である。
【0048】
ここで、5μm以下の樹脂粒子を作製する場合には、上記の樹脂モノマー溶解液にシリコーン系消泡剤を添加し、このシリコーン系消泡剤添加樹脂モノマー溶解液を懸濁保護剤及び架橋剤を含む純水中に懸濁または乳化させて、分散粒子径が0.05μm以上かつ5μm以下の懸濁液または乳化液とする。
【0049】
シリコーン系消泡剤としては、オイル型、オイルコンパウンド型、溶液型、粉末型、固形型、エマルジョン型、自己乳化型等が挙げられ、これらの中でも、オイルコンパウンド型が好ましい。
このシリコーン系消泡剤の添加量は、上記の樹脂モノマー溶解液の全質量に対して0.01質量%以上かつ5質量%以下が好ましく、より好ましくは0.1質量%以上かつ1質量%以下である。
【0050】
シリコーン系消泡剤を上記の樹脂モノマー溶解液に対して0.01質量%以上かつ5質量%以下添加することにより、混合機、撹拌機、ホモミキサー、ホモジナイザー等の攪拌速度を大幅に上げることができ、その結果、樹脂粒子を50nm程度まで小さくすることができる。
したがって、より透明性にすぐれ、ざらつき感等がない使用感に優れた化粧料を提供することが可能である。
また、混合機、撹拌機、ホモミキサー、ホモジナイザー等の攪拌速度を大幅に上げることができ、その結果、有機系紫外線吸収剤含有樹脂粒子の製造効率及び収率を向上させることができるので、製造コストを大幅に削減することができる。
【0051】
次いで、上記の懸濁液または乳化液に重合開始剤を添加し、懸濁重合または乳化重合を行う。
重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、過酸化水素、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物、アゾビスジイソブチロニトリル、2,2−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジハイドロクロライド等のアゾ系開始剤等が挙げられるが、これらの中でも、集合を速やかに行うことができる点で過硫酸塩が好ましい。
重合開始剤の添加量は、上記の懸濁液または乳化液に対して0.01質量%以上かつ1質量%以下が好ましく、より好ましくは0.05質量%以上かつ0.5質量%以下である。
【0052】
重合方法としては、重合開始剤を添加した懸濁液または乳化液を、窒素雰囲気下にて、攪拌しながら加熱して所定の温度まで昇温させ、この所定の温度にて重合を開始させる方法が好ましい。
この重合を開始させる温度としては、50℃以上かつ80℃以下が好ましい。また、この温度における保持時間としては、1〜5時間程度が好ましく、未反応の残留モノマーが最小となる時間および重合状態、製造コストとの兼ね合いで適当な時間を選択すればよい。
その後、氷冷、水冷または自然冷却し、重合反応を停止させる。
【0053】
ここで、懸濁液または乳化液にシリコーン系消泡剤が添加されている場合には、これら懸濁保護剤、架橋剤、シリコーン系消泡剤及び重合開始剤の含有率を上記の範囲に限定することにより、得られた有機系紫外線吸収剤含有樹脂粒子の平均粒子径を0.05μm以上かつ5μm以下に制御することができる。
【0054】
次いで、得られた重合物から、残留しているモノマー、架橋剤、界面活性剤等の懸濁保護剤、重合開始剤等を除去するために、アルコールにて十分に洗浄したのち、純水にて洗浄する。
アルコールは、純水に可溶なもので容易に洗い流せるものであればよく、例えば、エタノール、2−プロパノール等があげられ、洗浄効率の点では、特に2−プロパノールが好ましい。
洗浄方法は、残留モノマー等を除去できれば特に限定されないが、加圧ろ過、吸引ろ過、フィルタープレス、遠心分離、限外ろ過、デカンテーション等が好適である。
洗浄の程度は、アルコールが極少量残留している程度でよく、例えば、2−プロパノールを用いて洗浄した場合には、2−プロパノール濃度計で1%以下、導電率計で20μS/cm以下になる程度まで行う。
【0055】
洗浄終了後、得られた重合物を80℃以上かつ100℃以下にて乾燥し、アルコールや純水を除去する。
乾燥方法としては、アルコールや純水を除去することのできる方法であればよく、特に限定されないが、大気圧中の乾燥、真空乾燥等が挙げられる。
【0056】
次いで、得られた乾燥物を解砕する。
解砕方法としては、特に限定されず、ピンミル、ハンマーミル、ジェットミル、インペラーミル等を用いることができる。
特に、化粧料に配合した際により高い透明性を得るためには、得られた乾燥物を0.05μm以上かつ5μm以下の粒子に解砕することが好ましい。この解砕工程を経ることにより、乾燥により凝集した各粒子を解砕し、化粧料に使用した場合の使用感を向上させることができる。
以上により、有機系紫外線吸収剤含有樹脂粒子を作製することができる。
【0057】
(2)金属酸化物粒子含有樹脂粒子
この金属酸化物粒子含有樹脂粒子は、樹脂中に紫外線遮蔽能を有する金属酸化物粒子を含有してなる樹脂粒子である。
【0058】
この金属酸化物粒子含有樹脂粒子の平均粒子径は、0.05μm以上かつ5μm以下が好ましく、より好ましくは0.1μm以上かつ3.0μm以下、さらに好ましくは0.2μm以上かつ1.0μm以下である。
ここで、金属酸化物粒子含有樹脂粒子の平均粒子径が0.05μm未満では、この金属酸化物粒子含有樹脂粒子同士が凝集し易くなり、したがって、この樹脂粒子を分散媒中に分散させた場合に分散性が低下し、紫外線遮蔽機能を十分に発現することができなくなるので好ましくない。一方、平均粒子径が5μmを超えると、化粧料として用いた場合に、肌における伸びや滑りが低下し、その結果、ざらつき感等が生じて肌触り等が悪化する等、使用感が悪くなるので好ましくない。
【0059】
この金属酸化物粒子含有樹脂粒子では、上述した(1)有機系紫外線吸収剤含有樹脂粒子と同様、必要に応じて、この金属酸化物粒子含有樹脂粒子に対して1質量%以上かつ20質量%以下のオルガノシロキサンにより表面処理したこととしてもよい。
この樹脂粒子の表面をオルガノシロキサンにより処理することにより、この樹脂粒子の成分である金属酸化物粒子の純水等の溶媒中への溶出を、さらに抑制することができる。
【0060】
(樹脂)
樹脂としては、上述した(1)有機系紫外線吸収剤含有樹脂粒子にて用いた樹脂と同様、金属酸化物粒子を分散させることができ、かつ、その重合体の透明度が高く、化粧料の原料として使用可能な樹脂モノマーであればよい。
この樹脂モノマーについては、上述した(1)有機系紫外線吸収剤含有樹脂粒子の樹脂の欄にて既に説明しているので、説明を省略する。
【0061】
(金属酸化物粒子)
金属酸化物粒子は、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウム、酸化鉄の群から選択される1種または2種以上を含む紫外線遮蔽能を有する粒子であり、その平均粒子径は0.003μm以上かつ0.1μm以下が好ましく、より好ましくは0.01μm以上かつ0.05μm以下、さらに好ましくは0.02μm以上かつ0.04μm以下である。
ここで、金属酸化物粒子の平均粒子径が0.003μm未満では、結晶化度が低下して紫外線遮蔽機能を発現しなくなるので好ましくなく、一方、平均粒子径が0.1μmを超えると、金属酸化物粒子の可視光線に対する散乱係数が大きくなるので透明性が著しく低下し、その結果、可視光線に対する光透過性が低下し、透明性が悪くなるので、好ましくない。
【0062】
この金属酸化物粒子は、オルガノシロキサンにより表面処理したものを用いてもよい。
このオルガノシロキサンとしては、ジアルキルアルコキシシラン化合物が挙げられ、中でも、オルガノポリシロキサン、あるいは、オルガノポリシロキサンをアルキル基、イソシアネート基、エポキシ基、アクリル基、アルキルケイ素化合物の群から選択された1種または2種以上により変性した変性オルガノポリシロキサンが好適に用いられ、特に、ジメチルポリシロキサン(シリコーンオイル)、このジメチルポリシロキサン(シリコーンオイル)を変性した変性ジメチルポリシロキサン(変性シリコーンオイル)が好適に用いられる。
この金属酸化物粒子の表面をオルガノシロキサンにより処理することにより、この金属酸化物粒子の成分である金属イオンの純水等の溶媒中への溶出をさらに抑制することができる。
【0063】
この金属酸化物粒子の金属酸化物粒子含有樹脂粒子における含有率は、1質量%以上かつ80質量%以下が好ましく、より好ましくは30質量%以上かつ80質量%以下、さらに好ましくは50質量%以上かつ80質量%以下である。
ここで、金属酸化物粒子の樹脂粒子における含有率が1質量%未満では、金属酸化物粒子の量が少なすぎて、金属酸化物粒子が有する紫外線遮蔽機能を十分に発現することができなくなり、したがって、紫外線遮蔽機能を十分に発現させようとすると、大量の金属酸化物粒子含有樹脂粒子が必要となり、化粧料を作製する際の材料設計が極めて難しくなる。一方、含有率が80質量%を超えると、金属酸化物粒子の量が樹脂に対して相対的に高くなり過ぎてしまい、その結果、樹脂中における金属酸化物粒子の分散性が低下し、組成の均一性が損なわれるので、好ましくない。
【0064】
この金属酸化物粒子含有樹脂粒子を水系の化粧料に用いる場合には、金属酸化物粒子は樹脂粒子の表面にて露出することなく樹脂粒子中に分散していることが好ましい。
すなわち、樹脂粒子中に分散した金属酸化物粒子が、この樹脂粒子中に完全に埋め込まれて内包状態となっており、しかも、この複合粒子の表面は、樹脂により完全に覆われた状態で金属酸化物粒子が全く露出していないことが好ましい。
例えば、金属酸化物として酸化亜鉛微粒子を用いる場合、酸化亜鉛微粒子は樹脂粒子中に完全に埋め込まれて内包状態となっているので、亜鉛が化粧料へ溶出するのを抑制することができ、水系化粧料の品質安定性を高めることができる。
【0065】
一方、この金属酸化物粒子含有樹脂粒子をW/O型やO/W型等の化粧料に用いる場合のように、水の量が少なく、また少量の亜鉛が溶出しても化粧料の品質安定性に影響を与えないような場合には、酸化亜鉛粒子が樹脂粒子中に完全に埋め込まれて内包状態となっていなくともよい。
【0066】
(金属酸化物粒子含有樹脂粒子の製造方法)
この金属酸化物粒子含有樹脂粒子の製造方法は、紫外線遮蔽能を有する金属酸化物粒子を、この金属酸化物粒子に対して1質量%以上かつ50質量%以下の分散剤を含む樹脂モノマー中に分散させて樹脂モノマー分散液とし、次いで、この樹脂モノマー分散液を、この樹脂モノマー分散液全質量に対して0.1質量%以上かつ10質量%以下の懸濁保護剤、及び0.1質量%以上かつ10質量%以下の架橋剤を含む純水中に懸濁または乳化させて懸濁液または乳化液とし、次いで、この懸濁液または乳化液に、この懸濁液または乳化液中の樹脂モノマー全質量に対して0.01質量%以上かつ1質量%以下の重合開始剤を添加して懸濁重合または乳化重合を行い、金属酸化物粒子含有樹脂粒子を生成する方法である。
【0067】
なお、平均粒子径が5μm以下の小さい金属酸化物粒子含有樹脂粒子を作製する場合には、上記の樹脂モノマー分散液に、この樹脂モノマー分散液の全質量に対して0.01質量%以上かつ5質量%以下のシリコーン系消泡剤を添加すればよい。
【0068】
ここで、この金属酸化物粒子含有樹脂粒子の製造方法について詳細に説明する。
まず、平均粒子径が0.003μm以上かつ0.1μm以下の紫外線遮蔽能を有する金属酸化物粒子を、分散剤を含む樹脂モノマー中に分散させ、樹脂モノマー分散液とする。
分散剤としては、化粧料の原料として使用でき、樹脂モノマーとの親和性に富み、疎水性の高いものがよい。すなわち、分散剤は、金属酸化物粒子を被覆することで樹脂モノマーに対する分散を促し、同時に金属酸化物粒子は、比較的短時間のうちに、ほとんどが単分散状態となり、その平均分散粒子径は0.003μm以上かつ0.1μm以下となる。
また、分散剤は、金属酸化物粒子に疎水性を付与するので、金属酸化物粒子が重合体の外に出ず、水相に移行することなく樹脂中に取り込まれるのを助ける。
このような分散剤としては、上述した(1)有機系紫外線吸収剤含有樹脂粒子を作製する際に用いた分散剤と全く同様のものを用いることができる。
【0069】
分散剤の添加量は、金属酸化物粒子の全質量に対して1質量%以上かつ50質量%以下が好ましい。添加量が1質量%未満では、金属酸化物粒子の表面を覆うには少なすぎて、金属酸化物粒子の分散を十分に行うことができず、一方、50質量%を超えると、分散性が飽和した状態となり、これ以上添加量を増加させても金属酸化物粒子の分散性がさらに向上することにはならず、分散剤が無駄になるので好ましくない。
【0070】
用いられる分散装置としては、分散系に十分な分散エネルギーを付与することのできるものであればよく、特に限定されるものではないが、例えば、ボールミル、サンドミル、超音波分散機、ホモジナイザー等が挙げられる。
分散時間としては、30分〜3時間程度が好ましいが、分散状態と製造コストとの兼ね合いで適切な時間を選べばよい。
【0071】
以上により、金属酸化物粒子の平均分散粒子径が0.003μm以上かつ0.1μm以下、好ましくは0.003μm以上かつ0.05μ以下、より好ましくは0.003μm以上かつ0.03μ以下の樹脂モノマー分散液を得ることができる。
ここで、樹脂モノマー分散液中の金属酸化物粒子の分散粒子径が0.1μmを超えると、金属酸化物粒子含有樹脂粒子の可視光線に対する散乱係数が大きくなり、その結果、透明性が低下し、場合によっては失透する虞があるので、好ましくない。
【0072】
この樹脂モノマー分散液を懸濁保護剤及び架橋剤を含む純水中に懸濁または乳化させて懸濁液または乳化液とする工程以降は、上述した(1)有機系紫外線吸収剤含有樹脂粒子の製造方法にて、樹脂モノマー溶解液の替わりに樹脂モノマー分散液を用いる以外は、全く同様であるから、説明を省略する。
以上により、金属酸化物粒子含有樹脂粒子を作製することができる。
【0073】
(3)有機−無機紫外線吸収剤含有樹脂粒子
この有機−無機紫外線吸収剤含有樹脂粒子は、樹脂中に、有機系紫外線吸収剤及び紫外線遮蔽能を有する金属酸化物粒子を含有してなる樹脂粒子である。
これら樹脂、有機系紫外線吸収剤及び紫外線遮蔽能を有する金属酸化物粒子については、上記(1)有機系紫外線吸収剤含有樹脂粒子及び(2)金属酸化物粒子含有樹脂粒子の欄にて詳述しているので、ここでは説明を省略する。
【0074】
この有機−無機紫外線吸収剤含有樹脂粒子における有機系紫外線吸収剤の含有率は0.1質量%以上かつ80質量%以下が好ましく、金属酸化物粒子の含有率は1質量%以上かつ80質量%以下が好ましい。
上記範囲とすることにより、化粧料を作製する際の材料設計が容易になり、組成の均一性を保つことができる。
【0075】
この有機−無機紫外線吸収剤含有樹脂粒子の平均粒子径は、0.05μm以上かつ5μm以下が好ましく、より好ましくは0.1μm以上かつ3μm以下、さらに好ましくは0.2μm以上かつ1μm以下である。
ここで、有機−無機紫外線吸収剤含有樹脂粒子の平均粒子径が0.05μm未満では、紫外線遮蔽能を有する金属酸化物粒子の平均粒子径が0.003μm以上かつ0.1μm以下であるから、この金属酸化物粒子を樹脂粒子の表面に露出することなく樹脂粒子中に分散させることが困難となるので好ましくなく、一方、平均粒子径が5μmを超えると、化粧料として用いた場合に、肌における伸びや滑りが低下し、その結果、ざらつき感等が生じて肌触り等が悪化する等、使用感が悪化する場合があるので好ましくない。
【0076】
この有機−無機紫外線吸収剤含有樹脂粒子では、上記(1)有機系紫外線吸収剤含有樹脂粒子及び(2)金属酸化物粒子含有樹脂粒子の欄と同様、必要に応じて、その表面を、その樹脂粒子に対して1質量%以上かつ20質量%以下のオルガノシロキサンにより処理したこととしてもよい。
この有機−無機紫外線吸収剤含有樹脂粒子の表面をオルガノシロキサンにより処理することにより、有機−無機紫外線吸収剤含有樹脂粒子の成分である金属酸化物粒子や有機系紫外線吸収剤の純水等の溶媒中への溶出をさらに抑制することができる。
【0077】
金属酸化物粒子は、上記(2)の欄で述べたとおり、樹脂粒子の表面に露出していないことが好ましいが、化粧料の品質に多大な影響を与えない程度であれば、露出しているものがあってもよい。
【0078】
これら有機系紫外線吸収剤及び金属酸化物粒子は、各材料が吸収または遮蔽することのできる波長帯域を考慮して、適宜組み合わせて用いればよい。
例えば、酸化亜鉛はn型の金属酸化物半導体であり、そのバンド構造におけるバンドギャップエネルギーEgは3.2eVである。そこで、この酸化亜鉛に、そのバンドギャップエネルギーEg以上のエネルギーを有する光が照射されると、電子がその光エネルギーを吸収して価電子帯から伝導帯へ励起される。酸化亜鉛の吸収端は380nm付近であるから、酸化亜鉛は、長波長紫外線(UVA)から中波長紫外線(UVB)の波長帯域を吸収することができる。
したがって、長波長紫外線(UVA)から中波長紫外線(UVB)の波長帯域を吸収することができる酸化亜鉛に対しては、長波長紫外線(UVA)を遮蔽することができる有機系紫外線吸収剤や中波長紫外線(UVB)を遮蔽することができる有機系紫外線吸収剤と組み合わせて用いるのが好ましい。
【0079】
また、酸化チタンは、そのバンド構造におけるバンドギャップエネルギーEgが3.0eV〜3.2eVにあるが、酸化チタンにおける電子の励起が間接遷移であることから、エネルギーギャップの値から想定される吸収波長よりはるかに低波長側である320nm付近から光の吸収が始まる。このように、酸化チタンは中波長紫外線(UVB)の波長帯域を遮蔽する効果が強いので、長波長紫外線(UVA)を遮蔽することができる有機系紫外線吸収剤と組み合わせて用いるのが好ましい。
【0080】
金属酸化物粒子と有機系紫外線吸収剤との組み合わせの例としては、380nm以下の波長帯域を遮蔽することのできる酸化亜鉛と、358nm〜360nmの波長帯域に極大吸収を有するジベンゾイルメタンとの組み合わせを挙げることができる。
これら酸化亜鉛及びジベンゾイルメタンを単純にモノマー中で混合した場合は、紫外線遮蔽機能が400nm付近から発現するので、好ましい。
【0081】
この様な効果が発現する理由としては、次のような理由が考えられる。
すなわち、樹脂粒子中を光が透過する場合、光は樹脂粒子中の金属酸化物粒子により散乱または反射されながら進むので、金属酸化物粒子を含まない樹脂粒子を透過する場合と比べてより長い距離を進むことになる。したがって、金属酸化物粒子と有機系紫外線吸収剤とを組み合わせて混合させた場合には、有機系紫外線吸収剤を単独で混合させた場合と比べて、樹脂粒子中の有機系紫外線吸収剤が光と接触する時間が長くなり、その吸収効果も高くなると考えられる。
【0082】
特に、樹脂粒子の平均粒子径を0.05μm以上かつ5μm以下とした場合には、狭い領域内で金属酸化物粒子と有機系紫外線吸収剤とが近接することとなるので、金属酸化物による散乱および反射と有機系紫外線吸収剤による吸収とがより多く繰り返されることにより、より高い紫外線吸収効果が得られる。
【0083】
(有機−無機紫外線吸収剤含有樹脂粒子の製造方法)
この有機−無機紫外線吸収剤含有樹脂粒子の製造方法は、紫外線遮蔽能を有する金属酸化物粒子を、この金属酸化物粒子に対して1質量%以上かつ50質量%以下の分散剤を含む樹脂モノマー中に分散させて樹脂モノマー分散液とし、次いで、この樹脂モノマー分散液に有機系紫外線吸収剤を0.1質量%以上かつ80質量%以下溶解させて樹脂モノマー溶解液とし、次いで、この樹脂モノマー溶解液を、この樹脂モノマー溶解液に対して0.1質量%以上かつ10質量%以下の懸濁保護剤及び0.1質量%以上かつ10質量%以下の架橋剤を含む純水中に懸濁または乳化させて懸濁液または乳化液とし、次いで、この懸濁液または乳化液に、この懸濁液または乳化液に対して0.01質量%以上かつ1質量%以下の重合開始剤を添加して懸濁重合または乳化重合を行い、有機−無機紫外線吸収剤含有樹脂粒子を生成する方法である。
なお、5μm以下の小さい樹脂粒子を作製する場合には、上記樹脂モノマー分散液にシリコーン系消泡剤を、上記樹脂モノマー分散液に対して0.01質量%以上かつ5質量%以下添加すればよい。
【0084】
ここで、この有機−無機紫外線吸収剤含有樹脂粒子の製造方法について説明する。
まず、平均粒子径が0.003μm以上かつ0.1μm以下の紫外線遮蔽能を有する金属酸化物粒子を分散剤を含む樹脂モノマー中に分散させ、樹脂モノマー分散液とする。
この樹脂モノマー分散液を作製する方法は、上述した(2)金属酸化物粒子含有樹脂粒子の欄の製造方法と全く同様であるので説明を省略する。
【0085】
次いで、この樹脂モノマー分散液に、上記の有機系紫外線吸収剤を0.1質量%以上かつ80質量%以下となるように溶解させることで、樹脂モノマー溶解液を得ることができる。有機系紫外線吸収剤を溶解させる方法は、上述した(1)有機系紫外線吸収剤含有樹脂粒子の製造方法の欄に記載された方法と全く同様であるので説明を省略する。
【0086】
次いで、この樹脂モノマー溶解液に懸濁保護剤及び架橋剤を含む純水中に懸濁または乳化させて懸濁液または乳化液とし、次いで、この懸濁液または乳化液に重合開始剤を添加して懸濁重合または乳化重合を行い、有機−無機紫外線吸収剤含有樹脂粒子を生成する。
この工程は、上記の(1)有機系紫外線吸収剤含有樹脂粒子の欄の樹脂モノマー溶解液の替わりに、上記の樹脂モノマー分散液に有機系紫外線吸収剤を溶解させた樹脂モノマー溶解液を用いる以外は、上記の(1)有機系紫外線吸収剤含有樹脂粒子の製造方法の欄の記載と全く同様であるので説明を省略する。
以上により、有機−無機紫外線吸収剤含有樹脂粒子を生成することができる。
【0087】
上述した紫外線遮蔽剤含有樹脂粒子以外の樹脂粒子としては、例えば、金属酸化物粒子含有樹脂粒子に有機系紫外線吸収剤含有樹脂を被覆させた2層構造の有機−無機樹脂粒子、あるいは有機系紫外線吸収剤含有樹脂粒子に金属酸化物粒子含有樹脂を被覆させた2層構造の有機−無機樹脂粒子等が挙げられる。
この有機−無機樹脂粒子のような2層構造にした場合にも、無機酸化物粒子と有機系紫外線吸収剤の相互作用により紫外線遮蔽機能が400nm付近から発現するので好ましい。
【0088】
また、金属酸化物粒子含有樹脂粒子と有機系紫外線吸収剤含有樹脂粒子のそれぞれ1種以上を混合して用いた場合にも、無機酸化物粒子と有機系紫外線吸収剤の相互作用により紫外線遮蔽機能が400nm付近から発現するので好ましい。
また、金属酸化物粒子や有機系紫外線吸収剤の水への溶出をさらに抑制させるために、樹脂だけの層を上記の樹脂粒子の最外層に被覆させてもよい。
【0089】
「アルコール」
アルコールとしては、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、ソルビトール等の炭素数1〜6の1価アルコールまたは多価アルコールが挙げられ、中でも1価アルコール、特にエタノールが好ましい。
このアルコールの紫外線遮蔽ゲル状組成物中における含有率は、1質量%以上かつ40質量%以下が好ましく、より好ましくは10質量%以上かつ30質量%以下である。
アルコールの含有率を上記範囲とすることで、紫外線遮蔽ゲル状組成物中における紫外線遮蔽剤含有樹脂粒子の分散性及び品質安定性を向上させることができる。
【0090】
本実施形態の紫外線遮蔽ゲル状組成物は、さらに、ポリアクリル酸ポリマー以外の水溶性高分子を0.01質量%以上かつ5質量%以下、より好ましくは0.1質量%以上かつ3質量%以下含有してなることとしてもよい。この場合、ポリアクリル酸ポリマー、水、エマルジョン型シリコーン、紫外線遮蔽剤含有樹脂粒子、アルコール、水溶性高分子の各々の成分の含有率の合計が100質量%を超えないように、各々の成分の含有率を調整する必要がある。
【0091】
ポリアクリル酸ポリマー以外の水溶性高分子としては、化粧料用途として使用できるものであれば特に限定されないが、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、カゼイン、カラギーナン、ガラクタン、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルデンプン、寒天、キサンタンガム、クインスシード、グアーガム、コラーゲン、ゼラチン、セルロース、デキストラン、デキストリン、トラガカントガム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒアルロン酸ナトリウムペクチン、プルラン、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられる。これらの水溶性高分子は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
水溶性高分子は、分散剤及び粘度調整剤としての役割を有し、添加することにより紫外線遮蔽剤含有樹脂粒子のポリアクリル酸ポリマー中における分散性及び分散安定性も向上する。
【0092】
本実施形態の紫外線遮蔽ゲル状組成物が水溶性高分子を含む場合のアルコールの含有率は、1質量%以上かつ40質量%以下が好ましく、より好ましくは10質量%以上かつ30質量%以下である。
ここで、本実施形態体の紫外線遮蔽ゲル状組成物が水溶性高分子を含む場合のアルコールの含有率を1質量%以上かつ40質量%以下とした理由は、含有率が1質量%未満では、アルコールの含有量が少なすぎてしまうために、水溶性高分子がアルコールに均一に浸潤できずに水分にて不均一に膨潤することとなり、その結果、紫外線遮蔽剤含有樹脂粒子の分散性が低下して取扱いが困難となり、さらには分散安定性が低下するので好ましくない。一方、含有率が40質量%を超えると、紫外線遮蔽ゲル状組成物全体の粘性が高くなり、紫外線遮蔽剤含有樹脂粒子の分散性が低下するとともに分散安定性も低下するので好ましくない。
【0093】
[紫外線遮蔽ゲル状組成物の製造方法]
本実施形態の紫外線遮蔽ゲル状組成物の製造方法は、ポリアクリル酸ポリマーが0.01質量%以上かつ5質量%以下、水が30質量%以上かつ80質量%以下、エマルジョン型シリコーンが0.1質量%以上かつ5質量%以下、紫外線遮蔽剤含有樹脂粒子が1質量%以上かつ50質量%以下、アルコールが1質量%以上かつ40質量%以下となるように、これらを混合して混合物とし、次いで、この混合物の水素イオン指数(pH)を6以上かつ8以下に調整する方法である。
この場合、ポリアクリル酸ポリマー、水、エマルジョン型シリコーン、紫外線遮蔽剤含有樹脂粒子、アルコールの各々の成分の含有率の合計が100質量%を超えないように、各々の成分の含有率を調整する必要がある。
【0094】
混合は、上記の紫外線遮蔽剤含有樹脂粒子を紫外線遮蔽ゲル状組成物中に十分に分散させることができる方法であれば、特に限定されず、例えば、ホモジナイザー、ホモミキサー、混合機、攪拌機等を用いることができる。
【0095】
この混合物の水素イオン指数(pH)を6以上かつ8以下に調整するには、この混合物に、化粧料に用いることができるアルカリ剤を添加すればよい。
アルカリ剤としては、例えば、水酸化ナトリウム水溶液等の無機アルカリ剤、トリエタノールアミン水溶液等の有機アルカリ剤が挙げられる。
この混合物の水素イオン指数(pH)を6以上かつ8以下にすることで、肌のpHと同等の紫外線遮蔽ゲル状組成物を得ることができる。
【0096】
[化粧料]
本実施形態の化粧料は、上述した紫外線遮蔽ゲル状組成物を含有してなる化粧料であり、紫外線遮蔽機能、使用感、品質安定性に優れたものである。
この化粧料は、上述した紫外線遮蔽ゲル状組成物を、従来では処方が困難であった化粧水や日焼け止めジェル等の水系化粧料に配合することにより、金属酸化物の溶出が抑制されるとともに、紫外線遮蔽能、透明感及び使用感に優れた水系化粧料を得ることができる。
【0097】
この化粧料を、化粧品の成分として用いることにより、紫外線遮蔽能、透明感及び使用感に優れたスキンケア化粧品、メイクアップ化粧品、ボディケア化粧品等の各種化粧品を提供することが可能である。特に、紫外線遮蔽能が必要とされるスキンケア化粧品のホワイトニング、メイクアップ化粧品のベースメイク、ボディケア化粧品のサンスクリーン等に好適である。
【0098】
以上説明したように、本実施形態の紫外線遮蔽ゲル状組成物によれば、ポリアクリル酸ポリマー及び紫外線遮蔽剤含有樹脂粒子に、エマルジョン型シリコーン及びアルコールを添加するので、ポリアクリル酸ポリマーと紫外線遮蔽剤含有樹脂粒子とを容易かつ均一に混合することができる。したがって、紫外線遮蔽機能及び使用感に優れ、品質安定性にも優れた紫外線遮蔽ゲル状組成物を提供することができる。
また、ポリアクリル酸ポリマー以外の水溶性高分子を含有した場合には、紫外線遮蔽剤含有樹脂粒子の紫外線遮蔽ゲル状組成物中における分散性及び分散安定性をさらに向上させることができる。
【0099】
エマルジョン型シリコーンが、シリコーン樹脂、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル及びショ糖脂肪酸エステルを含有している場合には、エマルジョンとしての安定性をさらに向上させることができる。
紫外線遮蔽剤含有樹脂粒子が、樹脂粒子中に、有機系紫外線吸収剤、紫外線遮蔽能を有する金属酸化物粒子のうちいずれか一方または双方を含有している場合には、これら有機系紫外線吸収剤及び紫外線遮蔽能を有する金属酸化物粒子のうちいずれか一方または双方が樹脂中に固定化されることとなり、よって、水との接触により金属イオンや有機系紫外線吸収剤が水中に溶出する虞がなくなる。したがって、金属イオンや有機系紫外線吸収剤の溶出に起因する化粧料の変質、変色、使用感の低下を防止することができ、品質を安定化させることができる。
この紫外線遮蔽剤含有樹脂粒子の平均粒子径が0.05μm以上かつ5μm以下であるので、肌に塗布したときの透明性が優れ、ざらつき感等がなく使用感に優れている。
【0100】
樹脂として(メタ)アクリル系樹脂を用いた場合には、より優れた透明性を維持することができる。
特に、酸化亜鉛等の紫外線遮蔽能を有する金属酸化物粒子と、長波長紫外線(UVA)を遮蔽することができる有機系紫外線吸収剤とを組み合わせて有機−無機紫外線吸収剤含有樹脂粒子とした場合、有機系紫外線吸収剤含有樹脂粒子と金属酸化物粒子含有樹脂粒子とを単に混合した場合と比べて、長波長側から紫外線(UV)を遮蔽することができる。
【0101】
本実施形態の紫外線遮蔽ゲル状組成物の製造方法によれば、ポリアクリル酸ポリマー、水、エマルジョン型シリコーン、紫外線遮蔽剤含有樹脂粒子及びアルコールを混合して得られた混合物のpHを6以上かつ8以下に調整するので、ポリアクリル酸ポリマーと紫外線遮蔽剤含有樹脂粒子とを容易かつ均一に混合させることができる。したがって、紫外線遮蔽機能及び使用感に優れ、品質安定性にも優れた紫外線遮蔽ゲル状組成物を容易に得ることができる。
また、紫外線遮蔽剤含有樹脂粒子の紫外線遮蔽ゲル状組成物中への分散性を高めることができるので、ゲル化後の使用感に優れたものを得ることができる。
【0102】
本実施形態の化粧料によれば、上述した紫外線遮蔽ゲル状組成物を含有しているので、紫外線遮蔽機能、透明感、使用感、品質安定性及び安全性に優れたスキンケア化粧品、メイクアップ化粧品、ボディケア化粧品等の各種化粧品を提供することができる。
特に、紫外線遮蔽能が必要とされるスキンケア化粧品のホワイトニング、メイクアップ化粧品のベースメイク、ボディケア化粧品のサンスクリーン等に用いた場合には、紫外線遮蔽能、透明感、使用感及び安全性に優れた化粧品を提供することができる。
【実施例】
【0103】
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0104】
[実施例1]
「樹脂モノマー溶解液の作製」
メタクリル酸メチル108質量部にジベンゾイルメタン(アボベンゾン、パルソール(登録商標)1789)12質量部を加え、完全に溶解させて、樹脂モノマー溶解液Aを作製した。
【0105】
「エマルジョンの作製」
上記の樹脂モノマー溶解液A105質量部に、純水229.5質量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5質量部、エチレングリコールジメタクリレート14.0質量部、シリコーン系消泡剤1.0質量部を混合し、ホモジナイザーを用いて攪拌し、エマルジョンを作製した。
【0106】
「樹脂粒子の作製」
上記のエマルジョン320.0質量部と、純水79.856質量部と、過硫酸カリウム0.144質量部とを混合し、攪拌機および温度計を備えた反応装置に移して窒素置換を1時間行った。
次いで、窒素置換後の反応溶液を加熱して65℃に昇温させ、この65℃にて3時間保持し、重合反応を行った。その後、氷冷して重合反応を停止させた。
得られた重合物を2−プロパノール及び純水で洗浄した後、90℃にて乾燥させ、ジベンゾイルメタンを10質量%含むポリメチルメタクリレート(PMMA)からなる有機系紫外線吸収剤含有樹脂粒子を作製した。
【0107】
「紫外線遮蔽ゲル状組成物の作製」
エマルジョン型シリコーンKM-72F(信越化学工業株式会社製)を1質量部と、純水を68.6質量部と、上記の有機系紫外線吸収剤含有樹脂粒子を10質量部と、ポリアクリル酸ポリマー Carbopol Ultrez10(B.F Goodrich社製)を0.4質量部と、エタノールを20質量部とを混合し、ホモジナイザーを用いて10,000回転で10分攪拌し、ポリアクリル酸ポリマー分散液を得た。
次いで、得られたポリアクリル酸ポリマー分散液を10質量%水酸化ナトリウム水溶液にてpH7に調整し、実施例1の紫外線遮蔽ゲル状組成物を得た。
【0108】
次いで、この紫外線遮蔽ゲル状組成物の分光透過率を、Spectrophotometer V-570 UV/VIS/NIR(日本分光株式会社製)を用いて測定した。この紫外線遮蔽ゲル状組成物の分光透過率を図1に示す。
この紫外線遮蔽ゲル状組成物を肌に塗布したところ、べたつき感がなく、さっぱりとした使用感が得られた。
【0109】
[実施例2]
紫外線遮蔽ゲル状組成物を作製する際に、純水を68.6質量部から77.6質量部に、有機系紫外線吸収剤含有樹脂粒子を10質量部から1質量部に、それぞれ変更した以外は、実施例1に準じて実施例2の紫外線遮蔽ゲル状組成物を作製した。
次いで、この紫外線遮蔽ゲル状組成物の分光透過率を実施例1に準じて測定した。この紫外線遮蔽ゲル状組成物の分光透過率を図1に示す。
この紫外線遮蔽ゲル状組成物を肌に塗布したところ、べたつき感がなく、さっぱりとした使用感が得られた。
【0110】
[実施例3]
紫外線遮蔽ゲル状組成物を作製する際に、純水を68.6質量部から73.6質量部に、有機系紫外線吸収剤含有樹脂粒子を10質量部から5質量部に、それぞれ変更した以外は、実施例1に準じて実施例3の紫外線遮蔽ゲル状組成物を作製した。
次いで、この紫外線遮蔽ゲル状組成物の分光透過率を実施例1に準じて測定した。この紫外線遮蔽ゲル状組成物の分光透過率を図1に示す。
この紫外線遮蔽ゲル状組成物を肌に塗布したところ、べたつき感がなく、さっぱりとした使用感が得られた。
【0111】
[実施例4]
紫外線遮蔽ゲル状組成物を作製する際に、純水を68.6質量部から63.6質量部に、有機系紫外線吸収剤含有樹脂粒子を10質量部から15質量部に、それぞれ変更した以外は、実施例1に準じて実施例4の紫外線遮蔽ゲル状組成物を作製した。
次いで、この紫外線遮蔽ゲル状組成物の分光透過率を実施例1に準じて測定した。この紫外線遮蔽ゲル状組成物の分光透過率を図1に示す。
この紫外線遮蔽ゲル状組成物を肌に塗布したところ、べたつき感がなく、さっぱりとした使用感が得られた。
【0112】
[実施例5]
紫外線遮蔽ゲル状組成物を作製する際に、純水を68.6質量部から58.6質量部に、有機系紫外線吸収剤含有樹脂粒子を10質量部から20質量部に、それぞれ変更した以外は、実施例1に準じて実施例5の紫外線遮蔽ゲル状組成物を作製した。
次いで、この紫外線遮蔽ゲル状組成物の分光透過率を実施例1に準じて測定した。この紫外線遮蔽ゲル状組成物の分光透過率を図1に示す。
この紫外線遮蔽ゲル状組成物を肌に塗布したところ、べたつき感がなく、さっぱりとした使用感が得られた。
【0113】
次いで、この紫外線遮蔽ゲル状組成物を2mg/cmの量にて石英板に塗布し、この塗膜の分光透過率及びSPF値を、SPFアナライザー UV−1000S(米国Labsphere社製)を用いて測定した。この分光透過率を図2に示す。なお、SPF値は39.3であった。
また、この紫外線遮蔽ゲル状組成物の粘度をB型粘度計(東機産業株式会社製)を用いて測定したところ、40,000mPa・sであった。さらに、この紫外線遮蔽ゲル状組成物を25℃にて2週間静置した後、その粘度をB型粘度計(東機産業株式会社製)を用いて測定したところ、40,000mPa・sであり、室温中に放置しても粘度が変化せず、かつ分散安定性に優れていることが確認された。
【0114】
[比較例1]
紫外線遮蔽ゲル状組成物を作製する際に、エマルジョン型シリコーンKM-72Fをオイルコンパウンド型シリコーンKS−66(信越化学工業株式会社製)に変更した以外は、実施例1に準じて比較例1の紫外線遮蔽ゲル状組成物を作製した。
この紫外線遮蔽ゲル状組成物は、攪拌中に泡立ちが始まり、回転数10,000rpmで撹拌したところ、5分しか撹拌することができなかったが、外観は均一であった。
この紫外線遮蔽ゲル状組成物を肌に塗布したところ、肌に少しべたつき、オイル感が残るためにさっぱり感は得られなかった。
また、10質量%水酸化ナトリウム水溶液でpH7に調整する前の有機系紫外線吸収剤含有ポリアクリル酸ポリマー分散液を3時間室温で静置させたところ、水成分と樹脂粒子が分離した。
【0115】
[比較例2]
紫外線遮蔽ゲル状組成物を作製する際に、エマルジョン型シリコーンKM-72Fをオイル型シリコーンKF−96(信越化学工業株式会社製)に変更した以外は、実施例1に準じて比較例2の紫外線遮蔽ゲル状組成物を作製した。
この紫外線遮蔽ゲル状組成物は、攪拌中に泡立ちが始まり、回転数10,000rpmで撹拌したところ、5分しか撹拌することができなかったが、外観は均一であった。
この紫外線遮蔽ゲル状組成物を肌に塗布したところ、肌に少しべたつき、オイル感が残るためにさっぱり感は得られなかった。
また、10質量%水酸化ナトリウム水溶液でpH7に調整する前の有機系紫外線吸収剤含有ポリアクリル酸ポリマー分散液を3時間室温で静置させたところ、水成分と樹脂粒子が分離した。
【0116】
[比較例3]
紫外線遮蔽ゲル状組成物を作製する際に、エマルジョン型シリコーンKM-72Fを1質量部及び純水を68.6質量部用いる替わりに純水を69.6質量部用いた以外は、実施例1に準じて比較例3の紫外線遮蔽ゲル状組成物を作製しようとしたところ、攪拌直後に泡立ち、均一に混合することはできなかった。
【0117】
[比較例4]
紫外線遮蔽ゲル状組成物を作製する際に、エマルジョン型シリコーンKM-72Fを1質量部及び純水を68.6質量部用いる替わりに、純水68.6質量部にリン酸エステル型分散剤フォスファノール RS−610(東邦化学工業株式会社製)を1質部混合した混合物を用いた以外は、実施例1に準じて比較例4の紫外線遮蔽ゲル状組成物を作製しようとしたところ、攪拌直後に泡立ち、均一に混合することはできなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリアクリル酸ポリマーを0.01質量%以上かつ5質量%以下、水を30質量%以上かつ80質量%以下、エマルジョン型シリコーンを0.1質量%以上かつ5質量%以下、紫外線遮蔽剤含有樹脂粒子を1質量%以上かつ50質量%以下、アルコールを1質量%以上かつ40質量%以下含有してなることを特徴とする紫外線遮蔽ゲル状組成物。
【請求項2】
さらに、前記ポリアクリル酸ポリマー以外の水溶性高分子を0.01質量%以上かつ5質量%以下含有してなることを特徴とする請求項1記載の紫外線遮蔽ゲル状組成物。
【請求項3】
前記エマルジョン型シリコーンは、シリコーン樹脂を10質量%以上かつ50質量%以下、ソルビタン脂肪酸エステルを0.5質量%以上かつ5質量%以下、グリセリン脂肪酸エステルを0.5質量%以上かつ5質量%以下、ショ糖脂肪酸エステルを0.1質量%以上かつ1質量%以下含有していることを特徴とする請求項1または2記載の紫外線遮蔽ゲル状組成物。
【請求項4】
前記紫外線遮蔽剤含有樹脂粒子は、樹脂粒子中に、有機系紫外線吸収剤、紫外線遮蔽能を有する金属酸化物粒子のうちいずれか一方または双方を含有してなる平均粒子径が0.05μm以上かつ5μm以下の粒子であり、
前記金属酸化物粒子は、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウム、酸化鉄の群から選択される1種または2種以上を含有してなる平均粒子径が0.003μm以上かつ0.1μm以下の粒子であり、
前記紫外線遮蔽剤含有樹脂粒子は、前記有機系紫外線吸収剤の含有率が0.1質量%以上かつ80質量%以下、前記金属酸化物粒子の含有率が1質量%以上かつ80質量%以下であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項記載の紫外線遮蔽ゲル状組成物。
【請求項5】
前記有機系紫外線吸収剤は、ジベンゾイルメタン系化合物、ベンゾフェノン誘導体、パラアミノ安息香酸誘導体、メトキシ桂皮酸誘導体、サリチル酸誘導体の群から選択される1種または2種以上であることを特徴とする請求項4記載の紫外線遮蔽ゲル状組成物。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項記載の紫外線遮蔽ゲル状組成物の製造方法であって、
ポリアクリル酸ポリマーが0.01質量%以上かつ5質量%以下、水が30質量%以上かつ80質量%以下、エマルジョン型シリコーンが0.1質量%以上かつ5質量%以下、紫外線遮蔽剤含有樹脂粒子が1質量%以上かつ50質量%以下、アルコールが1質量%以上かつ40質量%以下となるように、これらを混合して混合物とし、次いで、この混合物の水素イオン指数を6以上かつ8以下に調整することを特徴とする紫外線遮蔽ゲル状組成物の製造方法。
【請求項7】
請求項1ないし5のいずれか1項記載の紫外線遮蔽ゲル状組成物を含有してなることを特徴とする化粧料。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−49641(P2013−49641A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−187531(P2011−187531)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000183266)住友大阪セメント株式会社 (1,342)
【Fターム(参考)】