説明

紫外線遮蔽効果と皮脂固化能を有する化粧料用組成物及び化粧料

【課題】
分散性が良く、高い紫外線遮蔽効果に優れるとともに、使用感、化粧効果、化粧持続性に優れた、化粧料を製造することを可能とする紫外線遮蔽効果を有する化粧料用組成物及びそれを用いて得られた化粧料を提供する。
【解決手段】
(A)微粒子酸化チタンと、(B)酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化マグネシウム及び水酸化カルシウムのうち1種、または2種以上とを含む化粧料用組成物、及びそれを用いて得られた化粧料に関する。該化粧料用組成物は、さらに(C)粘土鉱物を含むことがこのましい。組成重量比率(A):(B):(C)は20〜60:3〜40:0〜77が好ましく、また(A)、(B)及び(C)からなる混合粉体を親油化処理した化粧料用組成物が好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分散性が良く、高い紫外線遮蔽効果を有するとともに、その化粧効果が持続し、使用感触に優れた紫外線遮蔽効果と皮脂固化能を有する化粧料用組成物及び化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紫外線は皮膚にさまざまな悪影響をもたらすことが知られている。紫外線は波長が320nm〜400nmのUV−A波、290nm〜320nmのUV−B波、290nm以下のUV−C波に分類される。UV−C波はオゾン層に於いて吸収され、地上には殆ど到達しない。地上に到達するUV−B波は、皮膚に一定量以上の光量が照射されると紅斑や水泡を形成し、メラミン形成を促進する。また、UV−A波は、UV−B波に比較して紅斑を起こしにくいが、実状は皮膚を黒化するとされている。さらには皮膚への浸透性が高く、皮膚中のタンパク質であるコラーゲンの架橋形成を促進し、コラーゲンの弾力性や保水力を低下させ、しわの発生を促進するとともに、しみ、そばかすの原因にもなり皮膚老化をもたらす。またUV−A波は皮膚組織の過酸化脂質を増大させるために皮膚癌の原因になることも知られている。
【0003】
このような紫外線の障害から皮膚を保護する目的で、これまでに各種紫外線遮蔽剤を配合した化粧料が開発され市販されている。各種紫外線遮蔽剤としては、ベンゾフェノン類、アミノ安息好香酸類、ケイ皮酸エステル類、ベンゾトリアゾール類、サリチル酸類等の有機紫外線吸収剤、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニア、酸化鉄等の無機顔料がある。
【0004】
この中、化粧料に配合される紫外線遮蔽に効果的な無機顔料は、例えば、酸化チタンの場合、可視光線の波長より小さいレイリー散乱領域の粒子径に設定されている。設定された粉体粒子は一次粒子径に近い状態で分散されているほど、紫外線散乱効果を最大限に発揮させる事ができる。しかしながら、粉体の一次粒子径が小さくなるほど比表面積が大きくなり、粒子同士の接触点が増えるため凝集しやすくなり、その結果として分散性が悪化する。この凝集を極力回避し、経時でも再凝集させない手段として、多くの技術が提案されている。
【0005】
例えば、微粒子酸化チタンと微粒子酸化亜鉛を配合した日焼け組成物が提案されているが、高濃度(13重量%以上)で配合しないと高SPF値が得られない。また高濃度配合により隠蔽力が強くなり、化粧膜に白さが残るとともに、経時による粒子の再凝集が生じてSPF値が低下するばかりか、化粧油剤の変質をもたらし更に感触も悪くなり好ましくない。(特許文献1)
【0006】
また、シリコーン処理した微粒子酸化チタン、シリコーン処理した微粒子酸化亜鉛及びシリコーン処理した粘土鉱物を含有する化粧料が提案されている。
これは、分散性が良く、高い紫外線遮蔽効果を有するとともに、紫外線防御素材の光活性や触媒活性を抑制し、経時変化がなく安定性の高い化粧料を提供できる。また化粧もちについては、過剰な皮脂の分泌は、皮膚に塗布された化粧膜の経時変化により<むら>、<てかり>、<よれ>、<くすみ>、<消失>等の化粧崩れの原因になるとともに、大気中の酸素により過酸化物を生成する原因にもなる。この過酸化物の原因は、光劣化油脂と同様に、これら刺激物が皮膚に進入すると、炎症や、角質異常を起こしたり、シミ、ソバカスの原因になるので、肌に負担をかけずに、肌の安全を配慮した皮膚の効果的処理として酸化亜鉛を配合し、吸着、固化することで防いでいる。しかしながら近年、酸化亜鉛の安全性について疑問視があり、その使用に制限がある。(特許文献2)
【0007】
化粧もちについては、皮膚から分泌される老廃物を吸着、除去する機能を維持しつつ、感触にすぐれた化粧料を提供するために、ハイドロキシアパタイト層と酸化亜鉛層を有する粉体や、またセリサイト粒子を非結晶質リン酸カルシウムで被覆した粉体の提案がなされている。しかしながら化粧もちについての効果は期待できるが、紫外線遮蔽効果を発揮する微粒子同士の分散性を高めたり、また経時的に再凝集させないための考慮に欠けている。またこれら粉体の製造コストは高い。(特許文献3、特許文献4)
【0008】
また化粧もちを向上させるために、汗・皮脂に対する撥水・撥油性を高めるためにフッ素処理粉体を配合した化粧料が提案されているが、これらを用いた化粧料は皮膚や汗に濡れにくいものの撥水、撥油性が強いため、肌への付着量が少なく、肌上で粉体が上滑りして化粧膜が(よれる)という現象がみられ、メークアップ効果を損なうことがある。また、パーフルオロアルキルリン酸エステルジエタノールアミン塩等のフッ素化合物は、安全性の観点から好ましくないジエタノールアミンを含有しており、これを除去するためには、製造工程が複雑になる問題点がある。(特許文献5)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平3−279323号
【特許文献2】特開平9−301828
【特許文献3】特開2004−315467
【特許文献4】特開2006−327961
【特許文献5】特開昭62−250074
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、パウダー化粧料の配合系でも液体化粧料の配合系においても、分散性が良く、高い紫外線遮蔽効果を有するとともに、その化粧効果が持続し、使用感触に優れた紫外線遮蔽効果と皮脂固化能を有する化粧料用組成物及び化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)本発明は、(A)微粒子酸化チタン(第一成分)と、(B)酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムのうち1種、または2種以上(第二成分)とを少なくとも含有することを特徴とする化粧料用組成物に関する。
なお、「少なくとも含有する」とは、「化粧料用組成物」が第一成分(A)、第二成分(B)のみからなる場合であっても良いし、本発明の目的、効果を阻害せず達成するのであれば、(A)、(B)以外の他の成分を含有する場合も含むことを意味する。
【0012】
(2)本発明は、(A)微粒子酸化チタン(第一成分)と、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムのうち1種、または2種以上(第二成分)と、(C)粘土鉱物(第三成分)とを少なくとも含有することを特徴とする化粧料用組成物に関する。
なお、「少なくとも含有する」とは、「化粧料用組成物」が第一成分(A)、第二成分(B)、第三成分(C)のみからなる場合であっても良いし、本発明の目的、効果を達成するのであれば、(A)、(B)、(C)以外の他の成分を含有する場合も含むことを意味する。
【0013】
以下に、本発明の好ましい態様について記載するが、その任意の組み合わせも特に矛盾がない限り、本発明の形態である。
(3)(A)微粒子酸化チタン(第一成分)と、(B)酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムのうち1種、または2種以上(第二成分)と(C)粘土鉱物(第三成分)の重量組成比率が、20〜97:3〜40:0〜77である。
(4)前記化粧料用組成物が(D)親油化処理剤により親油化処理されている。
(5)親油化表面処理剤が、下記一般式(1)にて示されるアルキルアルコキシシランと、下記一般式(2)にて示される反応性オルガノシリコーンと、アシル化アミノ酸(塩の形態にあるものも含む)と、ポリオレフィンと、水添レシチンと、デキストリン脂肪酸エステルと、パーフルオロアルキル基やパーフルオロポリエーテル基を含有するフッ素化合物と、炭素数が12〜22の飽和又は不飽和脂肪酸(塩の形態にあるものも含む)と、から選ばれる1種の化合物または2種以上の化合物との混合物からなる。
【0014】
【化1】

【0015】
(式中、nは1〜18の整数を示し、mは1〜3の整数を示し、a,bは1〜3の整数を示し、a+b=4である。)
【0016】
【化2】

【0017】
(式中、Rは全て相互に独立にそれぞれ炭素数1〜4の低級アルキル基又は水素原子を表し、Rはアミノ基、水素原子、水酸基及び炭素数1〜4の低級アルコキシ基の何れかを表し、pは1〜300の整数である。)
【0018】
(6)前記親油化処理剤が、下記一般式(1)にて示されるアルキルアルコキシシランと、下記一般式(2)にて示される反応性オルガノシリコーンと、アシル化アミノ酸と、炭素数が12〜22の飽和又は不飽和脂肪酸(塩の形態にあるものも含む)、から選ばれる1種の化合物または2種以上の化合物との混合物からなる。
【0019】
【化3】

【0020】
(式中、nは1〜18の整数を示し、mは1〜3の整数を示し、a,bは1〜3の整数を示し、a+b=4である。)
【0021】
【化4】

【0022】
(式中、Rは全て相互に独立にそれぞれ炭素数1〜4の低級アルキル基又は水素原子を表しRはアミノ基、水素原子、水酸基及び炭素数1〜4の低級アルコキシ基の何れかを表し、pは1〜300の整数である。)
【0023】
(7)前記(A)微粒子酸化チタンと、(B)酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化マグネシウム及び水酸化カルシウムのうち1種、または2種以を混合後に、ジェット気流により粉砕ないし解砕すると同時に前記親油化処理剤を吸着または結合させたものである。
【0024】
(8)前記(A)微粒子酸化チタンと、(B)酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化マグネシウム及び水酸化カルシウムのうち1種、または2種以上とを混合後に、または、前記(A)微粒子酸化チタンと、(B)酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化マグネシウム及び水酸化カルシウムのうち1種、または2種以上と、(C)粘土鉱物とを混合後に、ジェット気流により粉砕ないし解砕すると同時に前記親油化処理剤を吸着または結合させたものである。
【0025】
(9)本発明は、さらに上記(1)〜(8)のいずれかに記載の化粧料用組成物を配合した化粧料に関する。好ましくは、化粧料の総重量に対し前記記載の化粧料用組成物を0.5〜50重量%含有する。
【発明の効果】
【0026】
本発明の微粒子酸化チタン(第一成分)と酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムのうち1種、または2種以上(第二成分)とを少なくとも含有する化粧料用組成物を化粧料に配合することで、分散性が良く、高い紫外線遮蔽効果に優れるとともに、使用感、化粧効果、化粧持続性に優れた化粧料を提供することができる。さらに、粘土鉱物(第三成分)が含まれた場合には、紫外線遮蔽効果及び使用感触がさらに向上する。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらのものに限定されるものではない。
【0028】
(1)微粒子酸化チタン
本発明において、微粒子酸化チタンは紫外線遮蔽効果を付与する機能を有する。酸化チタンの一次粒子径としては、数Å〜200μmのものがあるが、本発明に適応する微粒子酸化チタンとしては、一次粒子径が10〜200nmの範囲にあるものが好ましい。より好ましくは一次粒子径が10〜120nmである。200nm以上の粒子径の酸化チタンは、紫外線遮蔽効果が低く、透明性が低いために、白くなりすぎる。また10nm以下になると、皮膚に紅斑や炎症を生じさせる290〜320nmのUV−B波を透過してしまうために、紫外線遮蔽効果が低い。また、粒子形状としては、不定形、紡錘状、バタフライ状、繭状等あるが、特にどの形状であってもよいし、結晶構造として、ルチル型、アナターゼ型、ルチル/アナターゼ型とあるが、どの結晶構造でもよい。
【0029】
また微粒子酸化チタンは非常に表面活性が高いので、粒子表面を無機処理しているものが好ましい。無機処理としては、シリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム、ジルコニア等、1種またその2種類以上で処理されているものが好ましい。また、微粒子酸化チタンとして、例えばFe、Mg等の金属をドープして、着色しているものがあるが、本発明ではこれらを使用することもでき、これらのものも本発明の「微粒子酸化チタン」に含まれる。
【0030】
(2)酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム
酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムは、皮脂を固化して化粧持ち効果を高め、収斂、消炎、抗菌作用を付与するものである。
使用できる、酸化マグネシウムとしては、(a)金属マグネシウムを空気中で熱して得る事ができ、また、(b)炭酸マグネシウム、ヒドロキシ炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウムのいずれか一種以上を熱分解して得る事ができる。また通常市販されている酸化カルシウムは、(a)カルシウムの炭酸塩の他に硝酸塩、シュウ酸塩、水酸化物のいずれか一種以上を焼いて得る事ができ、また、(b)純硝酸カルシウムを石英ルツボに入れて、電気炉等で完全に分解して得る事ができる。
酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムは、様々な製造方法があり、本発明で使用できるものは、これら上記に示した製造方法で作られたものに限定されるものではない。
【0031】
また、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムの配合により、化粧料によってはpHを下げる必要がある場合があり、この場合に有機酸等で中和することもできる。有機酸としては、例えば、酢酸、酒石酸、乳酸、アシル化アミノ酸、アミノ酸、クエン酸、グルタミン酸等がある。
【0032】
(3)粘土鉱物
本発明の粘土鉱物は、微粒子酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等を安定に分散させ、再凝集を防止し、化粧料の使用感を良好にする機能を有する。本発明に適応する粘土鉱物としては、通常化粧品に用いられる粉体として使用可能なものであれば特に制限されない。例えば、窒化硼素、セリサイト、天然マイカ、焼成マイカ、合成マイカ、合成セリサイト、アルミナ、マイカ、タルク、カオリン、ベントナイト、スメクタイトなどがある。その粒子径としては、好ましくは平均粒子径1〜25μm(レーザー法)のもので、1μmよりも小さいと感触が悪くなり、また25μmより大きくなると、比表面積が極端に小さくなり、微粒子酸化チタンや酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムのうち1種、または1種以上の分散性向上の役目を果たさない傾向がある。これら粘土鉱物の製法は問わないが、出来るだけ薄い板状粒子になっているものが好ましい。アスペクト比(粒子の長径/粒子の厚み)は、好ましくは2〜200であり、より好ましくは5〜100である。
【0033】
(4)混合比率
微粒子酸化チタン(第一成分)と、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムのうち1種、または2種以上(第二成分)と粘土鉱物(第三成分)との混合重量比率は、20〜97:3〜40:0〜77:である。より好ましくは、25〜50:5〜35:30〜70である。微粒子酸化チタン(第一成分)の重量比率がこの範囲外で低い場合は、紫外線遮蔽効果が低く、酸化化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等(第二成分)の重量比率が低いと、化粧持ち効果が低下し、比率が高い場合は、化粧料の安定性を阻害する場合がある。また粘土鉱物(第三成分)の重量比率は、粘土鉱物(第三成分)が含まれない場合でも、紫外線遮蔽効果、及び、皮脂固化能による化粧持続性を発揮できるが、より好ましくは、粘土鉱物(第三成分)が含まれた場合の方が、紫外線遮蔽効果、及び使用感触がよい。この範囲外の場合は、他の成分比率が小さくなるので紫外線遮蔽効果の低下や、皮脂固化能が悪くなり化粧持続性効果が下がる。
【0034】
(5)組成物形態
本発明の化粧料用組成物の一例を走査型電子顕微鏡で観察すると、粘土鉱物を含まない化粧料組成物の場合は、幾つかの小さい粒子がフロックした凝集粒子が観察される。弱いフロック体として存在しており、本発明の化粧料用組成物を含有した化粧料を製造する場合、化粧料製造中に崩れて分散する。また粘土鉱物を含む場合は、幾つかの小さい粒子がフロックした凝集粒子と粘土鉱物の表面に小さい幾つかの粒子(微粒子酸化チタンや酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等)が付着又は固定化された二次凝集粒子の混合物が観察される。粘土鉱物の表面に付着又は固定化されていない粒子は、各々点在しているが、弱いフロック体として存在しており、本発明の化粧料用組成物を含有した化粧料を製造する場合、化粧料製造中に崩れて分散する。ここで述べた付着又は固定化とは、例えば化粧料で使用されるデカメチルペンタシロキサンが入った試験管に、この二次凝集粒子を入れて攪拌し分散した時、付着の場合は粘土鉱物の表面から小さい粒子が離れて上澄み液を濁らせ、粘土鉱物だけが沈降する状態にあり、固定化とは、粘土鉱物の表面の小さい粒子は離れないで、すべて沈降し、上澄み液が透明な状態を示す。また粘土鉱物は、微粒子酸化チタンや酸化マグネシウム等の分散助剤及び経時での再凝集防止役割をしており、粘土鉱物の配合比率を高くするほど、粘土鉱物の表面に微粒子酸化チタン及び酸化マグネシウム等が付着又は固定化された二次凝集粒子が多くなり、紫外線遮蔽効果が高く、使用感触が良くなる傾向にある。しかし、紫外線の遮蔽効果がある微粒子酸化チタンや酸化マグネシウム等の配合比率が減るため、前記(4)混合比率とすることが好ましい。
【0035】
(6)親油化表面処理剤
本発明は、下記一般式(1)にて示されるアルキルアルコキシシランと、下記一般式(2)にて示される反応性オルガノシリコーンと、アシル化アミノ酸(塩の形態にあるものも含む)と、ポリオレフィン、水添レシチン、デキストリン脂肪酸エステル、パーフルオロアルキル基やパーフルオロポリエーテル基を含有するフッ素化合物と、炭素数が12〜22の飽和又は不飽和脂肪酸(塩の形態にあるものも含む)とから選ばれる1種の化合物または2種以上の化合物との混合物からなる親油化表面処理剤で粉体を表面処理する。
【0036】
【化5】

【0037】
(式中、nは1〜18の整数を示し、mは1〜3の整数を示し、a,bは1〜3の整数を示し、a+b=4である。)
【0038】
【化6】

【0039】
(式中、Rは全て相互に独立にそれぞれ炭素数1〜4の低級アルキル基又は水素原子を表し、Rはアミノ基、水素原子、水酸基及び炭素数1〜4の低級アルコキシ基の何れかを表し、pは1〜300の整数である。)
【0040】
アシル化アミノ酸は、アミノ酸のアミノ基及びイミノ基がアシル化されたものである。アシル化アミノ酸を構成するアミノ酸としては1種でも複数混合物でもよい。アシル化アミノ酸を構成するアミノ酸については、L−体、D−体、DL−体が存在する場合、何れの異性体でもよいし、その複数混合物でもよい。天然に存在する異性体L−体がより好ましい。
【0041】
アミノ酸の種類としては、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、プロリン、スレオニン、セリン、アルギニン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、チロシン、メチオニン、シスチン、システイン等を上げる事ができる。
【0042】
アシル体を構成する脂肪酸は、好ましくは炭素数1〜23の、飽和又は不飽和の脂肪酸、或いは炭素数1〜23の、飽和又は不飽和の脂環式構造を有する脂肪酸を上げることができる。例えば、N−アシル化グリシン、N―アシル化−N−メチル−β−アラニン、N−アシル化グルタミン酸やこれらの塩等を上げる事ができる。(特開昭61−73775号)
【0043】
構成する脂肪酸としては長鎖脂肪酸が好ましく、例えばカプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、イソミリスチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、アラキン酸、オレイン酸、ミリストレイン酸、リノール酸、リノレイン酸、アラキド酸、ヤシ油脂肪酸等上げる事ができる。
【0044】
アシル化アミノ酸はフリー体、又は塩の形態で使用することができるが、塩の形態としては、Na、K、Ba、Zn、Ca、Mg、Fe、Zr、Co、Al、Zr、Ti等の金属塩や、アンモニウム塩、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、トリイソプロパノールアミン等の各種アルカンアミン塩等を上げることができる。
【0045】
例えば、簡便に購入、使用できるものとして、N−ヤシ油脂肪酸によるN−アシル化又はN-ラウロイル−β−アラニン(川研ファインケミカル)及びそのCa、Al塩、ミリストイルシルクアミノ酸(PHYTOCOS社)及びそのAl塩並びに、N−ラウロイル−L−リジン及びにN−ステアロイル−L−グルタミン酸(味の素ヘルシーサプライ)、N−ラウロイル−Lグルタミン酸及びリジンとの縮合物のNa塩(旭化成ケミカルズ)等がある。
【0046】
脂肪酸については、前記アシル化アミノ酸を構成する脂肪酸について説明した脂肪酸を採用することができる。塩の形態も、前記アシル化アミノ酸が塩の形態にある場合に説明した塩の内容が採用される。特に炭素数が12〜22の飽和又は不飽和脂肪酸(塩の形態にあるものも含む)が好ましい。例えば、ラウリル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、べヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸等の脂肪酸、或いはそのNa、Ca、Mg、Zn、Al、Tiが好ましい。
【0047】
またその他の親油化表面処理剤として、ポリオレフィン、水添レシチン、デキストリン脂肪酸エステル、パーフルオロアルキル基やパーフルオロポリエーテル基を含有するフッ素化合物なども、配合する化粧料の種類、組成に合わせて適切なもの選定して使用することができる。
【0048】
(7)親油化表面処理方法
親油化表面処理剤で粉体を親油化表面処理する方法としては、公知の方法を使用すればよい。本発明において使用する親油化表面処理剤と粉体を一定時間混合接触させることにより粉体を親油化表面処理する。親油化表面処理剤と粉体を混合接触させる場合に、(a)予め微粒子酸化チタンと、(粘土鉱物と、)酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムのうち1種、または2種以上の化合物との粉体を混合してからでも、(b)粉体を混合するのと同時でも、また(c)それぞれの粉体を別々に親油化表面処理をした後に混合してもかまわない。もっとも好ましい方法としては、予め各成分の粉体を混合してから、親油化表面処理剤と混合接触させるのがよい。
さらには、粉体を親油化表面処理した後に、ジェットミルで粉砕する方法がある。粉体を親油化表面処理した後に、ジェットミル粉砕機で粉砕する方法としては、例えば、次の2つ方法が挙げられる。(1)親油化表面処理剤と粉体を乾式法または湿式法にて混合分散した後、ジェットミル粉砕機で粉砕後に加熱乾燥する方法、(2)親油化表面処理剤と粉体を乾式法または湿式法にて混合分散し加熱乾燥した後、ジェットミル粉砕機で粉砕する方法がある。一次粒子径がサブミクロン以上の粉体を被覆する場合は、ジェットミル粉砕機の代わりピンミルやハンマーミル等の粉砕機を使用することが出来る。
【0049】
上記粉体を混合接触させる際に用いる混合分散機としては、ヘンシルミキサー、リボンブレンダー、Qミル、ニーダー、プラネタリーミキサー、ポニーミキサー、バンバリーミキサー、ボールミル、乾式サンドミル、湿式サンドミル、アトライター、ハイブリダイザー、ディスパーミキサー、ホモミキサー、エクストルーダー等が挙げられる。更に、この表面処理時にメカノケミカル的な機械力、超音波、プラズマ、火炎、紫外線、電子線、過熱水蒸気等のエネルギーを与えながら処理してもよい。
【0050】
前記混合分散機により親油化表面処理した粉体について、親油化表面処理剤と粉体粒子表面の反応を完結させるために、例えば、100℃〜170℃の温度で3時間〜20時間加熱する。
【0051】
本説明の特に好ましい形態として、上記粉体を混合接触させた後、ジェットミル粉砕機を使用して親油化表面処理粉体を粉砕することが挙げられる。この場合、粗大粒子を減少させ、粒度分布をシャープにする事により、更に紫外線遮蔽効果、感触、等の性能が向上する。ジェットミル粉砕機は流動層型、スパイラル型、ジェットオーマイザー型等に大別され、どのタイプのものも使用可能であるが、均一に効率良く処理できる流動層型のものが最も好ましい。
【0052】
ジェット気流は、粉砕機内に設けた1個または複数個の噴出口又は噴出ノズルから噴出させる。またジェット気流に用いる気体としては空気、窒素ガス、ヘリウムガス、スチーム等が挙げられ、処理すべき粉体や表面処理剤の性状に応じて選定すれば良い。
【0053】
気体として空気を用いてノズルから処理物に吹き付ける場合、ノズル出口圧力は0.4〜2.0MPaとするのが好ましいが、好ましくは0.6MPa以上の圧力を用いるのがよい。
【0054】
この粉砕機の中で、混合粉体は粉砕機内で流動させながら攪拌し、ノズル出口圧力は0.6MPa以上を用いて、粒子同士を衝突させ、そのエネルギーにより粉体が粉砕、解砕されると同時に、その表面活性の大きな表面に均一に表面処理剤が固着吸着して結合するので、粉体表面には、他の物質で汚染されることなく、また粉体粒子の2次凝集が起こる前に親油化表面処理剤が均一に吸着して結合する。
【0055】
粉体の粉砕条件としては、上記のノズル圧力以外に粉体の送り量、ノズルの口径、及び分級回転数を、それぞれの微粒子粉体の種類及び親油化表面処理剤の種類、処理量に応じて設定すればよい。
処理される粉体と親油化表面処理剤の重量配合比は、粉体100重量部に対して親油化表面処理剤を0〜30重量部とすることが好ましい。粉体の親油化処理が必要な化粧料については、粉体100重量部に対して親油化表面処理剤を1〜10重量部がより好ましく、粉体の種類や一次粒子径、比表面積、吸油量等により異なるが、これらの比率を超えると分散性が悪くなり、紫外線遮蔽効果が低下、使用感が悪くなる傾向にあるが、化粧料によっては、親油化処理なしで使用する場合もある。また2種以上の親油化表面処理剤の配合比は、特に制限はない。
【0056】
(8)化粧料
本発明の化粧料用組成物を配合する化粧料としては、特に限定は無い。前記記載化粧料用組成物の化粧料への配合重量%は、化粧料の剤型の種類により異なるが、化粧料の総重量に対し前記記載化粧料用組成物を、0.5〜50重量%を配合することができる。化粧料の剤型として、例えば、乳液状、クリーム状、固形状、ペースト状、ゲル状、粉末状、多層状、ムース状、及びスプレー状等の従来公知の剤型を選択することができる。具体的には、メークアップ化粧料として、化粧下地、パウダーファンデーション、リキッドファンデーション、油性ファンデーション、スティックファンデーション、プレストパウダー、フェイスパウダー、白粉、口紅、口紅オーバーコート、リップグロス、コンシーラー、頬紅、アイシャドー、アイブロウ、アイライナー、マスカラ、水性ネイルエナメル、油性ネイルエナメル、乳化型ネイルエナメル、エナメルトップコート、エナメルベースコート等、スキンケア化粧料としてはエモリエントクリーム、コールドクリーム、美白クリーム、乳液、化粧水、美容液、カーマインローション、ボディグロス、日焼け止め又は日焼け用クリーム等の紫外線防御化粧料やローション等、頭髪化粧料としては、ヘアーグロス、ヘアクリーム、ヘアーシャンプー、ヘアリンス、ヘアカラー、ヘアブラッシング剤等、制汗化粧料としてはクリームやローション、パウダー、スプレータイプのデオドラント製品等、紫外線防御効果を付与したすべての化粧料を挙げる事ができる。
【0057】
本発明の化粧料用組成物を配合する化粧料には、発明の効果を損なわない範囲で、通常化粧料等に用いられる顔料分散剤、油剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、防腐剤、酸化防止剤、皮膜形成剤、保湿剤、増粘剤、染料、防腐剤、顔料、香料等を適宜配合することができる。
【0058】
更に、このようにして得られる表面処理無機粉体は、化粧料のみならずプラスチックの添加剤、インク、塗料、トナー(磁性粉)、化学繊維、包装材料、電子材料等の各種分野で広く使用される粉体としても使用可能である。
【実施例】
【0059】
以下に、実施例及び評価試験方法を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0060】
(実施例1)
Qミル(日本コークス工業社製:マルチパーパスミキサ)に微粒子酸化チタン(石原産業社製:TTO−55A)1kg、タルク(三好化成社製:ソフトタルク)0.3kg、酸化マグネシウム(富田製薬社製)0.7kgを攪拌混合しながら、表面処理剤メチルハイドロジェンポリシロキサン(信越化学社製:KF−99P)50gを投入して10分間攪拌した。次にジェットミル(ドイツアルピネ社製:100AFG型)にて粉砕圧0.6MPa、分級回転数7000rpmの条件にて粉砕した後、熱風乾燥機にて130℃で12時間乾燥し、親油化表面処理組成物を得た。
【0061】
(実施例2)
ヘンシェルミキサ(日本コークス工業社製:FM)に微粒子酸化チタン(石原産業社製:TTO−51A)1kg、タルク(浅田製粉社製:JA−13R)0.8kg、酸化マグネシウム(富田製薬社製)0.1kgと酸化カルシウム(試薬)0.1kgを攪拌混合しながら、表面処理剤メチルハイドロジェンポリシロキサン(信越化学社製:KF−99P)50gを投入して10分間攪拌した。次にジェットミル(ドイツアルピネ社製:100AFG型)にて粉砕圧0.6MPa、分級回転数7000rpmの条件にて粉砕した後、熱風乾燥機にて130℃で12時間乾燥し、親油化表面処理組成物を得た。
【0062】
(実施例3)
Qミル(日本コークス工業社製:マルチパーパスミキサ)に微粒子酸化チタン(石原産業社製:TTO−55A)1kg、タルク(三好化成社製:ソフトタルク)0.8kg、酸化マグネシウム(富田製薬社製)0.2kgを攪拌混合しながら、表面処理剤メチルハイドロジェンポリシロキサン(信越化学社製:KF−9901)50gを投入して10分間攪拌した。熱風乾燥機にて110℃で12時間乾燥し、親油化表面処理組成物を得た。
【0063】
(実施例4)
ヘンシェルミキサー(日本コークス工業社製:FM)に微粒子酸化チタン(石原産業社製:TTO−55A)2kg、表面処理剤メチルハイドロジェンポリシロキサン(信越化学社製:KF−9901)50gを投入して10分間攪拌した。次にジェットミル(ドイツアルピネ社製:100AFG型)にて粉砕圧0.6MPa、分級回転数7000rpmの条件にて粉砕した後、熱風乾燥機にて110℃で9時間乾燥した。同条件でタルク(三好化成社製:ソフトタルク)、酸化マグネシウム(富田製薬製)も処理し、処理微粒子酸化チタン1kgと処理ソフトタルク0.6kgと処理酸化マグネシウム0.4kgをヘンシェルミキサーで10分間攪拌混合して、親油化表面処理組成物を得た。
【0064】
(実施例5)
プラネタリーミキサー(井上製作所社製)に微粒子酸化チタン(石原産業社製:TTO−55A)1kg、セリサイト(三信鉱工社製:セリサイトFSE)0.8kg、酸化カルシウム(試薬)0.2kgとイオン交換水0.9kgを攪拌混合しながら、表面処理剤アシル化アミノ酸(味の素ヘルシーサプライ社製:HS−21P)80gを加熱したイオン交換水200gで溶解した液を投入して10分間混練後に、20%硫酸アルミニウム水溶液を140gを投入後10分間攪拌混合した。次に、熱風乾燥機にて120℃で16時間乾燥後、ジェットミル(ドイツアルピネ社製:100AFG型)にて粉砕圧0.6MPa、分級回転数10000rpmの条件にて粉砕して親油化表面処理組成物を得た。
【0065】
(実施例6)
実施例4の表面処理剤をC6フッ素アクリレート/ポリアルキレングリコールアクリレート共重合体(ダイキン工業社製)に変えて親油化表面処理組成物を得た。
【0066】
(実施例7)
容器にn―パラフィン(新日本石油社製:0号ソルベント)3kgを入れ80℃に加熱し、ディスパーで攪拌しながら表面処理剤のミリスチン酸(花王社製:MY−98)150gを溶解後、微粒子酸化チタン(石原産業社製:TTO−80A)1.1kg、タルク(三好化成社製:ソフトタルク)3.5kg、酸化マグネシウム(富田製薬社製)0.4kgの混合粉体を投入して60分間攪拌後、プラネタリーミキサーで加熱減圧(80℃〜120℃、700mmHg)にてn―パラフィンを抜き上げたのち、熱風乾燥機にて120℃で9時間乾燥した。次にジェットミル(ドイツアルピネ社製:100AFG型)にて粉砕圧0.6MPa、分級回転数7000rpmの条件にて粉砕して親油化表面処理組成物を得た。
【0067】
(実施例8)
ポニーミキサーに微粒子酸化チタン(石原産業社製:TTO−80A)1.1kg、タルク(三好化成社製:ソフトタルク)3.5kg、酸化マグネシウム(富田製薬製)0.4kgを攪拌混合しながら、表面処理剤をミリスチン酸(花王製MY−98)150gとオクチルトリエトキシシラン(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製:A−137)50gを投入して60分間攪拌した。次にジェットミル(ドイツアルピネ社製:100AFG型)にて粉砕圧0.6MPa、分級回転数7000rpmの条件にて粉砕した後、熱風乾燥機にて110℃で9時間乾燥し、親油化表面処理組成物を得た。
【0068】
(実施例9)
Qミル(日本コークス工業社製:マルチパーパスミキサ)に微粒子酸化チタン(石原産業社製:TTO−55A)1.6kg、酸化マグネシウム(富田製薬社製)0.4kgを攪拌混合しながら、表面処理剤メチルハイドロジェンポリシロキサン(信越化学社製:KF−99P)120gを投入して10分間攪拌した。次にジェットミル(ドイツアルピネ社製:100AFG型)にて粉砕圧0.6MPa、分級回転数7000rpmの条件にて粉砕した後、熱風乾燥機にて110℃で9時間乾燥し、親油化表面処理組成物を得た。
【0069】
(比較例1)
Qミル(日本コークス工業社製:マルチパーパスミキサ)に微粒子酸化チタン(石原産業社製:TTO−55A)1kg、タルク(浅田製粉社製:JA−13R)1kgを攪拌混合しながら、表面処理剤メチルハイドロジェンポリシロキサン(信越化学社製:KF−9901)50gを投入して10分間攪拌した。次にジェットミル(ドイツアルピネ社製:100AFG型)にて粉砕圧0.6MPa、分級回転数7000rpmの条件にて粉砕した後、熱風乾燥機にて110℃で9時間乾燥し、親油化表面処理組成物を得た。
【0070】
(試験・評価方法)
(1)疎水化試験方法;
100ccビーカーに精製水を約80cc入れ、その中にサンプルを約0.5g投入し、スパチラで50回攪拌する。その時の精製水の濁り度合いを目視にて5段階で判定する。(評価5:水相は完全に透明で、粉が水面にすべて浮いている状態、評価4:評価5と評価3の間の状態、評価3:水相は濁っているが、水面に一部の粉が浮いている状態、評価2:評価3と評価1の間の状態、評価1:すべての粉が水に入り込んで濁っている状態)次に、再度スパチラで50回攪拌し、同様の操作を合計3回繰り返して評価する。
【0071】
(2)固化試験方法;
オレイン酸:エタノール:水=20重量%:78重量%:2重量%の混合溶液を作製し、この混合溶液10gをサンプル瓶に計りとり、評価サンプルを3g投入する。その後、手で20回振ったのちに、室温で静置して、混合溶液の固化時間を測定する。
【0072】
(3)紫外線遮蔽効果測定方法(in−vitroSPF、UVA−PA);
SPFアナライザー(Optometrics社 SPF−290)で測定を行った。測定方法は、石英板に3M社のトランスポアサージカルテープを貼り、スポンジパフでパウダー系は1.5mg/cm2、リキッド系は2.0mg/cm2を塗布する。SPFアナライザーを用いて、9箇所を測定してその平均値をin−vitroSPF値及びPFA値とした。試料によっては、この操作を繰り返して平均値をとった。
【0073】
(4)使用感触評価
指に評価する親油化表面処理組成物を付け、肌にこすりつけた時の感触を下記の基準に従い、10人のパネリストによる結果の平均をとった。◎滑らかで伸びが良い、○滑らか、△少しぎしぎし感がある、×ぎしぎし感がつよい。
【0074】
【表1】

【0075】
組成物単独での評価では、本発明品は、紫外線遮蔽効果が高く、使用感触に優れ、また疎水性・皮脂固化能力を持っていることから、本発明の化粧料用組成物を配合した化粧料は紫外線遮蔽効果に優れ、使用感、化粧効果、化粧持続性、安全性に優れた化粧料が作製できる。以下、各化粧料でのその効果を確認した。
【0076】
製造例1:パウダーファンデーション
表2に示す組成のパウダーファンデーションを下記の方法により製造した。
【0077】
【表2】

【0078】
製法:
上記成分(1)〜(8)を混合し粉砕機を通して粉砕した。これを高速ブレンダーに移し、成分(9)〜(13)を加熱混合し均一にしたものを加えて更に混合し均一にした。これを粉砕機に通し、フルイをかけ粒度を揃えた後、アルミ皿に表面プレス圧2MPaで圧縮成形してUVカットパウダーファンデーションを製造した。
【0079】
【表3】

【0080】
本発明の化粧料用組成物を配合した化粧料は紫外線遮蔽効果が高く、また、比較例品と比較して使用感、化粧効果、化粧持続性にも優れていた。(比較例1は、紫外線遮蔽効果は本発明品と同等だが、化粧効果、化粧持続性に劣っていた。)
【0081】
製造例2:乳化型ファンデーションの製造
表4に示す組成のW/O型リキッドファンデーションを下記の方法により製造した。
【0082】
【表4】

【0083】
製法:
上記成分(6)〜(11)を予め混合し粉砕した。70℃にて成分(1)〜(5)を均一に溶解混合した油相に予め粉砕した成分(6)〜(11)の混合物を加えホモディスパーで均一に分散した。成分(12)〜(16)を70℃で均一に混合溶解した水相を前記油相に徐添し、ホモミキサーで均一分散後、冷却し成分(17)を加え乳化粒子を整えリキッドファンデーションを製造した。
【0084】
本発明の化粧料用組成物を配合した化粧料のIn-vitro SPF値は35で、比較例品は25であった。また、本発明の化粧料用組成物を配合した化粧料は、使用感、化粧効果、化粧持続性も優れていた。
【0085】
製造例3:乳化型サンスクリーンクリームの製造
表5に示す組成の乳化型サンスクリーンクリームを下記の方法により製造した。
【0086】
【表5】

【0087】
(製法)
成分(1)〜(8)の油相成分を75℃で溶解した後、成分(9)を添加して攪拌した。成分(10)〜(14)の水相成分を75℃で溶解し、均一化したものを油相成分に添加しホモミキサーで乳化した。最後に成分(15)を加え冷却しサンスクリーンクリームを製造した。
【0088】
本発明の化粧料用組成物を配合した化粧料のIn-vitro SPF値は15で、比較例品は12であった。また、本発明の化粧料用組成物を配合した化粧料は、使用感、化粧効果、化粧持続性も優れていた。また、本発明の化粧料用組成物を配合した化粧料は、使用感、化粧効果、化粧持続性にも優れていた。
【0089】
製造例6:乳液の製造
表7に示す組成の乳液を下記の方法により製造した。
【0090】
【表6】

【0091】
(製法)
成分(1)〜(9)の油相成分を75℃で溶解した後、成分(10)を添加して攪拌した。成分(11)〜(15)の水相成分を75℃で溶解し、均一化したものを油相成分に添加しホモミキサーで乳化し、最後に冷却しサンスクリーンクリームを製造した。
【0092】
本発明の親油化表面処理組成物を配合した化粧料のIn-vitro SPF値は18で比較例品は14であった。また、本発明の親油化表面処理組成物を配合した化粧料は使用感、化粧効果、化粧持続性も優れていた。




【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)微粒子酸化チタンと、(B)酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化マグネシウム及び水酸化カルシウムのうち1種、または2種以上とを少なくとも含有する、紫外線遮蔽効果及び皮脂固化を有する化粧料用組成物
【請求項2】
(A)微粒子酸化チタンと、(B)酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化マグネシウム及び水酸化カルシウムのうち1種、または2種以上と、(C)粘土鉱物とを少なくとも含有する、紫外線遮蔽効果と皮脂固化を有する化粧料用組成物。
【請求項3】
前記(A)微粒子酸化チタンと、(B)酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化マグネシウム及び水酸化カルシウムのうち1種、または2種以上と、(C)粘土鉱物の組成重量比率が、20〜97:3〜40:0〜77であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の化粧料用組成物。
【請求項4】
前記化粧料用組成物が(D)親油化処理剤により親油化処理されている、請求項1〜3に記載の紫外線遮蔽効果を有する化粧料用組成物。
【請求項5】
前記親油化処理剤が、下記一般式(1)にて示されるアルキルアルコキシシランと、下記一般式(2)にて示される反応性オルガノシリコーンと、アシル化アミノ酸と、ポリオレフィンと、水添レシチンと、デキストリン脂肪酸エステルと、パーフルオロアルキル基あるいはパーフルオロポリエーテル基を含有する化合物及び炭素数が12〜22の飽和又は不飽和脂肪酸(塩の形態にあるものも含む)から選ばれる1種の化合物または2種以上の化合物との混合物からなることを特徴とする請求項3に記載の紫外線遮蔽効果を有する化粧料用組成物
【化1】

(式中、nは1〜18の整数を示し、mは1〜3の整数を示し、a,bは1〜3の整数を示し、a+b=4である。)
【化2】

(式中、Rは全て相互に独立にそれぞれ炭素数1〜4の低級アルキル基又は水素原子を表しRはアミノ基、水素原子、水酸基及び炭素数1〜4の低級アルコキシ基の何れかを表し、pは1〜300の整数である。)
【請求項6】
前記親油化処理剤が、下記一般式(1)にて示されるアルキルアルコキシシランと、下記一般式(2)にて示される反応性オルガノシリコーンと、アシル化アミノ酸(塩の形態にあるものも含む)と、炭素数が12〜22の飽和又は不飽和脂肪酸(塩の形態にあるものも含む)、から選ばれる1種の化合物または2種以上の化合物との混合物からなることを特徴とする請求項4または5に記載の紫外線遮蔽効果を有する化粧料用組成物。
【化3】

(式中、nは1〜18の整数を示し、mは1〜3の整数を示し、a,bは1〜3の整数を示し、a+b=4である。)
【化4】

(式中、Rは全て相互に独立にそれぞれ炭素数1〜4の低級アルキル基又は水素原子を表しRはアミノ基、水素原子、水酸基及び炭素数1〜4の低級アルコキシ基の何れかを表し、pは1〜300の整数である。)
【請求項7】
前記微粒子酸化チタンと、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化マグネシウム及び水酸化カルシウムのうち1種、または1種以上を混合後に、ジェット気流により粉砕ないし解砕すると同時に前記親油化処理剤を吸着または結合させたものであることを特徴とする請求項1、請求項3乃至6のいずれか1項に記載の紫外線遮蔽効果と皮脂固化を有する化粧料用組成物。
【請求項8】
前記微粒子酸化チタンと、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化マグネシウム及び水酸化カルシウムのうち1種、または1種以上と、粘土鉱物を混合後に、ジェット気流により粉砕ないし解砕すると同時に前記親油化処理剤を吸着または結合させたものであることを特徴とする請求項2乃至6のいずれか1項に記載の紫外線遮蔽効果を有する化粧料用組成物。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかに記載の紫外線遮蔽効果を有する化粧料用組成物を配合した化粧料。
【請求項10】
前記化粧料の総重量に対し前記記載化粧料組成物を0.5〜50重量%含有することを特徴とする請求項1〜8の化粧料。

【公開番号】特開2011−51913(P2011−51913A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−200539(P2009−200539)
【出願日】平成21年8月31日(2009.8.31)
【出願人】(391024700)三好化成株式会社 (17)
【Fターム(参考)】