説明

紫外線遮蔽粉体及びこれを配合した化粧料

【構成】 次の成分(A)〜(C)
(A)紫外線吸収剤を含有する油性成分(B)ワックス及び/又は油ゲル化剤(C)粉体を必須成分として含み、かつ(A)成分及び(B)成分を(C)成分に吸着させてなる、平均粒径1〜100μmの加圧崩壊性を有する紫外線遮蔽粉体、及びこれを配合した化粧料。
【効果】 本発明の紫外線遮蔽粉体は、使用時に加圧崩壊することによって紫外線防止効果が増大するとともに耐水性化粧膜を付与するものであり、これを配合することで、経日変化がなく、安定で、使用感、使用性に優れた化粧料を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は紫外線遮蔽粉体及びこれを配合した化粧料、更に詳細には経日変化が少なく、使用時に加圧崩壊性を有することによって紫外線防止効果が増大するとともに耐水性化粧膜を付与する、使用性に優れた紫外線遮蔽粉体及びこれを配合した化粧料に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、化粧料に紫外線防止効果を持たせるためには、メトキシケイ皮酸エステルやオキシベンゾンのような、化学的な構造上紫外線吸収能を持つ紫外線吸収剤や、二酸化チタンのような、物理的な特性によって紫外線を反射させる紫外線散乱剤を配合する方法が用いられ、効果をより大きくするために上記成分を組み合わせたり、配合方法に工夫をすることが行なわれてきた。この例としては、紫外線吸収剤で表面を被覆結合された無機及び有機粉体からなる化粧料素材を配合して紫外線吸収効果を最大限に発揮させる技術(特開平4−198124)や、本出願人が先に出願した、加圧崩壊性球状粉体中に紫外線吸収剤を吸着させ、使用時に加圧崩壊性を付与しつつ崩壊時の紫外線防止効果を向上させる技術(特開平3−181584)等がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、無機及び有機粉体の表面に紫外線吸収剤を被覆結合、あるいは粉体の持つ吸油性等を利用して紫外線吸収剤を含む油性成分を粉体中に吸着させた粉体組成物を化粧料に配合した場合、含水系の化粧料では油性成分が表面に浮くという経日変化を引き起こし、著しく外観を損ねたり、あるいは液状油性成分としての効果を充分に発揮できなくなったりすることがあった。また、乳化型化粧料においては、該粉体組成物が系中の油性成分を吸収したり、逆に粉体組成物中の油性成分を放出したりして系の増粘あるいは粘度低下等の変化をもたらすことがあった。さらに、粉末状あるいは打粉状の化粧料においては、他の粉体の濡れを促進し、外観の色沈みをひきおこしたり、化粧膜のくずれが早くなったり、べたつき等の原因となって使用感を損なったり、ケーキングの原因となったりすることがあった。
【0004】
【課題を解決するための手段】かかる事情において、本発明者等は鋭意研究を行った結果、上記の問題はいずれも粉体からの油性成分の放出、あるいは粉体への油性成分の吸収が原因であることから、紫外線吸収剤を含有する油性成分をワックス及び/又は油ゲル化剤と共に粉体に吸着すれば、粉体からの油性成分の放出等を防ぐことができ、該粉体を化粧料に配合することにより、上記課題が解決されることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0005】すなわち、本発明は(A)紫外線吸収剤を含有する油性成分、(B)ワックス及び/又は油ゲル化剤、(C)粉体を必須成分として含有し、かつ(A)成分及び(B)成分を(C)成分に吸着させてなる、平均粒径1〜100μmの加圧崩壊性を有する紫外線遮蔽粉体及びこれを配合した化粧料を提供するものである。以下、本発明について詳述する。
【0006】本発明において(A)成分中に用いられる紫外線吸収剤は、2−エチルヘキシル−パラ−ジメチルアミノベンゾエート、アミル−パラ−ジメチルアミノベンゾエート、グリセリル−パラ−アミノベンゾエート、エチル−パラ−ジメチルアミノベンゾエート、エチル−パラ−ジエチルアミノベンゾエート、グリセリル−モノ−パラ−アミノベンゾエート等のアミノベンゾエート系、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン等のベンゾフェノン系、2−エチルヘキシル−パラ−メトキシシンナメート、2−エトキシエチル−パラ−メトキシシンナメート、2,2’−ビス(パラ−メトキシスチリル)−エチル−パラ−メトキシシンナメート、メチル−2,5−ジイソプロピルシンナメート等のシンナメート系、パラ−t−ブチルサリチレート、パラ−オクチルフェニルサリチレート、ジプロピレングリコールサリチレート、フェニルサリチレート、パラ−t−ブチルフェニルサリチレート等のサリチレート系、4−メトキシ−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン、2,4−ジメチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、4−イソプロピルジベンゾイルメタン等のジベンゾイルメタン系、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチル等のイミダゾール系、ウンベロフェロン、エスクリンのような多環化合物誘導体、グアイアズレン等の通常化粧品に用いられるものであればいずれのものでも使用でき、これらの一種又は二種以上を選択して用いることができる。
【0007】また、(A)成分中には紫外線吸収剤の他、製造時の扱いやすさを向上させるため等の目的で、通常化粧料中に用いられる常温で液状の任意の油性成分を配合しても良く、その例としては軽質流動パラフィン、流動パラフィン等の非極性油剤、ミリスチン酸イソプロピル、トリオクタン酸グリセライド、ヒマシ油、サフラワー油等の極性油剤、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等のシリコン油剤、酢酸トコフェロール等の油性の薬剤が挙げられる。(A)成分中における紫外線吸収剤の量は10〜100重量%(以下、単に%という)であることが好ましい。(A)成分中の紫外線吸収剤量が10%より少ない場合には、粉体表面に(A)成分が均一に吸着されないなどのために紫外線吸収剤の効果が充分に発揮されず、紫外線遮蔽粉体として良好なものができにくくなる。
【0008】本発明の紫外線遮蔽粉体における(A)成分の配合量は、(C)成分となる各粉体に対してJIS K−5101の定める吸油量の範囲内で定められ、おおむね全組成中の1〜50%、特には10〜40%であることが好ましい。(A)成分量が1%より少ない場合には、粉体表面に(A)成分が均一に吸着されないなどのために紫外線吸収剤の効果が充分に発揮されず、又50%を越えた場合にはズルつき、ベタツキ等が発生して使用感を著しく損なったり、粉体自体がダマになってしまったり、粉体の加圧崩壊性が得られず、本発明の効果が発揮されなくなることがある。
【0009】一方、本発明における(B)成分のワックス及び/又は油ゲル化剤は、(A)成分と混合、あるいは加温溶解することが可能であり、その後室温付近において(A)成分に対してゲル化能を有するものであればいずれのものでも使用することができ、その具体例としてはキャンデリラワックス、セタノール、脂肪酸モノグリセライドのような通常室温以上に融点を持つワックス、高級アルコール、モノ及びジグリセライド、無水ケイ酸の表面にあるシラノール基がジメチルシロキシル基もしくはトリメチルシロキシル基で置換された疎水性無水ケイ酸、架橋構造を持ちゲル化能を有するシリコンポリマー類、通常油ゲル化剤として化粧品に用いられるショ糖脂肪酸エステル、デキストリン脂肪酸エステル、デンプン脂肪酸エステル、有機変性ベントナイト等が挙げられる。
【0010】本発明の紫外線遮蔽粉体における(B)成分の配合量は、化粧料中で粉体から(A)成分の放出を防ぐという本発明の効果を得るために、粉体組成物中の0.1〜10%、特に1〜5%であるのが好ましい。(B)成分量が0.1%より少ない場合には粉体組成物中の(A)成分が充分に固化されないために上記課題の解決には至らない。また、(B)成分量が10%を越える場合には粉体組成物がブツやダマになり肌上で粒子感を感じるようになったり、凝集体になってしまうため乳液状組成物などに配合した場合には粉体組成物が沈降したり、また加圧崩壊性のものは得られず、紫外線防止効果が充分に発揮されない場合がある。
【0011】また、(C)成分の粉体としては、通常化粧品に用いられるものであればいずれのものでも使用することができ、例えば酸化チタン、酸化亜鉛等の白色顔料、黄酸化鉄、ベンガラ、黒酸化鉄、群青、紺青、タール系色素、天然色素等の着色顔料、タルク、マイカ、セリサイト、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、シリカ、アルミナ、カオリン等の体質顔料、雲母チタン、オキシ塩化ビスマス等の光輝性顔料、ナイロン、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、結晶セルロース、デンプン等の有機粉末が挙げられ、一種または二種以上の組み合わせて使用でき、造粒等の処理が施されたものでも良い。本発明に使用される粉体の平均粒径は、好ましくは0.1〜100μmの範囲である。
【0012】本発明に使用される(C)成分の粉体として、上記粉体の一種又は二種以上の組み合わせにより予め造粒された加圧崩壊性球状粉体を用いる場合には、例えば特開平3−181584号に記載されている化粧料用粉体を凝集させた球状複合粉体であって、加圧により破壊され、微細粉化するもの等が使用可能である。加圧崩壊性球状粉体の造粒方法としては、噴霧乾燥法、流動層造粒法等が適用でき、造粒物の硬さ調整のため、無機コロイド液、水溶性高分子等を結合剤として用いることができる。
【0013】本発明において、(A)成分及び(B)成分を(C)成分に吸着させる方法としては、例えば次に示すような方法が挙げられる。
■ 予め製造した加圧崩壊性粉体(C)に、溶剤に溶解した(A)及び(B)を含浸させた後、溶剤を除去する方法。
■ 化粧料用粉体(C)表面を(A)及び(B)にて処理し、分散媒中に分散させた後造粒する方法。
■ 化粧料用粉体(C)表面を(A)にて処理し、分散媒中に分散させた後造粒し、次いでこの造粒粉体に溶剤に溶解した(B)を含浸させた後、溶剤を除去する方法。
【0014】本発明の紫外線遮蔽粉体は、平均粒径1〜100μmであり、かつ加圧崩壊性を有するものである。平均粒径が1μm未満では調製が難しく、また小さすぎて球状である粉体の特性が現われにくく、100μmを越えると粒子感を感じるようになり好ましくない。また、使用時に加圧崩壊性を有することによって紫外線防止効果に優れ、密着感のあるものが得られるものである。
【0015】本発明の紫外線遮蔽粉体の加圧崩壊性は、例えばヘイドン表面性測定機を用い、荷重に対する摩擦抵抗値の変化度からずり破壊強度として求めた場合、10〜260g/cm2の範囲内であるのが好ましい。すなわち、この範囲内であれば、これを配合した化粧料の塗擦時に容易に粒子が崩壊し、粒子感、違和感等の残存感がなく、優れた密着性ときめ細かな化粧膜が得られる。ずり破壊強度が10g/cm2未満では、機械的強度が低いため化粧料の製造中、混合、粉砕、プレス等の工程において粒子の破壊が生じてしまい、260g/cm2を超えると、耐摩擦強度が大きくなりすぎ、塗擦圧で粒子の崩壊が起こらず、本発明の目的が達成されない。
【0016】本発明の紫外線遮蔽粉体の化粧料中への配合量は、化粧料の剤型等により異なり特に限定されるものではないが2〜50%、特に5〜30%であるのが好ましい。
【0017】本発明の化粧料には、必須成分である本発明の紫外線遮蔽粉体以外に通常化粧料に用いられる他の任意成分を、本発明の効果を損なわない範囲において適宜配合することが可能である。このような任意成分としては、上記以外の油剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、キレート剤、着色剤、香料、防腐剤、低級アルコール、界面活性剤、保湿剤、精製水、各種美容成分等が挙げられる。
【0018】本発明の化粧料は、製品形態、形状を問わず、粉末状・プレス状・液状・スティック状等、また乳化タイプ・油性タイプ等、いずれのものでも良く、例えば粉白粉、ファンデーション、ほほ紅、アイシャドウ、口紅、アイライナー、マスカラ、アイブロウ、下地クリーム、粉体入りローション等が挙げられる。
【0019】
【実施例】次いで実施例を挙げて本発明を更に説明するが、本発明はこれによって何ら限定されるものではない。
【0020】実施例1加圧崩壊性球状アルミナ70重量部を、2−エチルヘキシル−パラ−メトキシシンナメート(商品名:エスカロール557、ヴァンダイク社製)15重量部、流動パラフィン10重量部及びデンプン脂肪酸エステル(商品名:レオパールKL、千葉製粉製)5重量部を加熱溶解後イソプロピルアルコール100重量部中と混合したものに添加し、加温攪拌状態下において減圧脱泡してイソプロピルアルコールを除去して紫外線遮蔽粉体を得た。
【0021】実施例2微粒子酸化チタン65重量部に対し、4−メトキシ−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン(商品名:Parsol 1789、ジボダン社製)25重量部、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン(商品名:バイオソープ110、共同薬品製)5重量部及びショ糖脂肪酸エステル(商品名:シュガーワックスS−10E、第一工業薬品製)5重量部をイソプロピルアルコール100重量部中にて加熱溶解したものを加え、加温攪拌状態下において減圧脱泡してイソプロピルアルコールを除去して処理粉体を得た。次いでこの処理粉体20重量部、シリカコロイド15重量部、精製水65重量部をホモミキサーにより混合分散して得たスラリー状物を噴霧乾燥機により造粒し、紫外線遮蔽粉体を得た。
【0022】実施例3微粒子酸化チタン90重量部と2−エチルヘキシル−パラ−メトキシシンナメート10重量部を混合粉砕した。この粉砕物35重量部、シリカコロイド20重量部、精製水45重量部をホモミキサーにより混合分散して得たスラリー状物を噴霧乾燥機により造粒した。次いで、この造粒粉体90部を、流動パラフィン9重量部及びキャンデリラワックス1重量部を加熱溶解後イソプロピルアルコール100重量部と混合したものに添加し、加温攪拌状態下において減圧脱泡してイソプロピルアルコールを除去して紫外線遮蔽粉体を得た。
【0023】比較例1加圧崩壊性球状アルミナ75重量部を、2−エチルヘキシル−パラ−メトキシシンナメート15重量部、流動パラフィン10重量部をイソプロピルアルコール100重量部と混合したものに添加し、加温攪拌状態下において減圧脱泡してイソプロピルアルコールを除去して比較例1の紫外線遮蔽粉体を得た。
【0024】比較例2加圧崩壊性球状アルミナ65重量部を、2−エチルヘキシル−パラ−メトキシシンナメート10重量部、流動パラフィン10重量部及びキャンデリラワックス15重量部を加熱溶解後をイソプロピルアルコール100重量部と混合したものに添加し、加温攪拌状態下において減圧脱泡してイソプロピルアルコールを除去して比較例2の紫外線遮蔽粉体を得た。
【0025】比較例3微粒子酸化チタン70重量部を、2−エチルヘキシル−パラ−メトキシシンナメート15重量部、流動パラフィン10重量部及びデンプン脂肪酸エステル5重量部を加熱溶解後イソプロピルアルコール100重量部と混合したものに添加し、加温攪拌状態下において減圧脱泡してイソプロピルアルコールを除去して比較例3の紫外線遮蔽粉体を得た。
【0026】比較例4加圧崩壊性球状アルミナ45重量部を、2−エチルヘキシル−パラ−メトキシシンナメート25重量部、流動パラフィン25重量部及びデンプン脂肪酸エステル5重量部を加熱溶解後、イソプロピルアルコール100重量部と混合したものに添加し、加温攪拌状態下において減圧脱泡してイソプロピルアルコールを除去して比較例4の紫外線遮蔽粉体を得た。
【0027】(評価方法)
粒径:実体顕微鏡による観察による。
紫外線遮断率の測定:石英板上にポリビニルピロリドンのアルコール溶液を25μmのドクターブレードにて塗布した。アルコール蒸発後、粘着面に柔かいブラシにて試料を均一に塗布し、粉体崩壊前の遮蔽率測定用検体とした。また、上記検体を化粧用マットで20回塗擦し、粉体崩壊後の遮蔽率測定用検体とした。上記検体について島津自記分光光度計UV−265FM及び同ユニット積分計ISR−260にて透過率を測定した。測定波長は紫外線吸収剤の吸収特性によりUV−A領域(320〜400nm)またはUV−B領域(290〜320nm)とし、各領域の透過面積をチャートより求めた。遮断率は、下記式により算出した。この結果を表1に示す。
【0028】
【式1】


【0029】油性成分の浮きの観察:30ml沈降管中に約5gの各粉体組成物を入れた後、精製水を加えて約30mlとする。これを50回振とうした後1昼夜静置し、上層への油性成分の浮きを観察した。粉体層が表面に浮いて表面の油性成分の浮きが観察できない場合には、極微量のアルコールを添加して粉体表面の濡れを進行させたり、遠心分離を行う等の手段を適宜用いた。
【0030】
【表1】


【0031】表1の結果より明らかな如く、本発明品である実施例1〜3は、使用時に加圧崩壊することによって紫外線遮断率が増大するものであり、しかも経時的な油浮きがなく、優れたものであった。これに対し、比較例1は(B)成分であるワックス及び油ゲル化剤がなく、油浮きがおきてしまった。比較例2は(B)成分の量が多く、堅くて崩壊しなくなり、また比較例3は粉体組成物が加圧崩壊性を有するものでないために、いずれも本発明の効果が得られないものであった。
【0032】実施例4 2Wayファンデーション(処方) (重量%)
1 実施例1の紫外線遮蔽粉体 302 タルク 203 マイカ 残量4 着色顔料 適量5 ワセリン 16 流動パラフィン 27 シリコンKF−96(10cs) 3(信越化学(株)製)
8 香料 適量比較例5 上記実施例4の紫外線遮蔽粉体を比較例1の粉体組成物に変えた。
【0033】(製法)
(A)1〜4を混合攪拌する。
(B)5〜7を加熱溶解混合する。
(C)(A)に(B)、8を加えて混合、粉砕する。
(D)(C)をプレス成形して2Wayタイプの固型粉末状ファンデーションを得た。
【0034】上記の如くして得られた実施例4及び比較例5に対して、マットに水を含ませて使用した場合の実使用テストを行なったところ、実施例4の化粧料ではマットへのとれ、肌上での密着感、伸びも良好であり、化粧もち・使用性共に良好であったが、比較例5の化粧料においては化粧もちが悪かった。また、上記プレス品を水を含ませたマットにて50回塗擦し、ケーキングの有無を目視にて観察したところ実施例4のプレス品はケーキングしなかったが、比較例5のプレス品ではケーキングが発生した。
【0035】


【0036】(製法)
(A)2〜4を混合する。
(B)5、6を混合後、(A)を加え三本ロールミルにて処理する。
(C)7〜9を加熱溶解後、(B)を加えて混合する。
(D)11、12を加熱溶解し、(C)に加えて乳化する。
(E)(D)に10、13を加え、冷後1を添加混合してしてリキッドファンデーションを得た。
【0037】実施例5のリキッドファンデーションは塗布時の密着感、伸びも良く、経日による油浮きもなく安定性、使用性共に良好なものであった。
【0038】実施例6 油性ファンデーション(処方) (重量%)
1 実施例1の紫外線遮蔽粉体 102 酸化チタン 203 タルク 154 雲母チタン 55 着色顔料 残量6 カルナウバワックス 27 セレシンワックス 48 マイクロクリスタリンワックス 49 ワセリン 410 ステアリン酸トリグリセリル 1511 流動パラフィン 1512 香料 適量
【0039】(製法)
(A)6〜11を加熱溶解する。
(B)(A)に2〜5を加え三本ロールミルにて処理する。
(C)(B)に1、12を加えて混合攪拌する。
(D)(C)を皿に溶融充填し、油性ファンデーションを得た。
【0040】以上の様にして得た実施例6の油性ファンデーションは塗布時の密着感、伸びも良く、安定性、使用性共に良好なものであった。
【0041】


【0042】(製法)
(A)2、3を混合する。
(B)4、5を混合後、(A)を加え三本ロールミルにて処理する。
(C)6〜10を加熱溶解後、(B)を加えて混合する。
(D)12、13を加熱溶解し、(C)に加えて乳化する。
(E)(D)に1、11を加え、冷後14を添加混合してして日焼け止め乳液を得た。
【0043】以上の様にして得た実施例7の日焼け止め乳液は塗布時の密着感、伸びも良く、安定性、使用性共に良好なものであった。
【0044】
【発明の効果】以上詳述した如く、本発明の紫外線遮蔽粉体は、使用時に加圧崩壊することによって紫外線防止効果が増大するとともに耐水性化粧膜を付与するものであり、これを配合することで、経日変化がなく、安定で、使用感、使用性に優れた化粧料を得ることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】次の成分(A)〜(C)
(A)紫外線吸収剤を含有する油性成分(B)ワックス及び/又は油ゲル化剤(C)粉体を必須成分として含み、かつ(A)成分及び(B)成分を(C)成分に吸着させてなる、平均粒径1〜100μmの加圧崩壊性を有する紫外線遮蔽粉体。
【請求項2】請求項1記載の紫外線遮蔽粉体を配合した化粧料。

【公開番号】特開平7−277936
【公開日】平成7年(1995)10月24日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平6−93646
【出願日】平成6年(1994)4月7日
【出願人】(000145862)株式会社コーセー (734)