説明

紫外線防止粉末化粧料

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は紫外線防止粉末化粧料に関し、特に高いUV−A波の防止効果と透明性とを併せ持つ紫外線防止粉末化粧料に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
近年、化粧料の紫外線防止効果に関し、これまでのUV−B波防止(SPF)効果だけでなく、UV−A波に対する防止(PFA)効果も求められるようになってきた。その際、特に粉末化粧料においては、有機のUV−A波吸収剤の使用は、処方中の油分が少なく、その吸収剤を十分に溶解させることができないので用いるのは困難であり、紫外線防止効果を有する粉末化粧料の開発が望まれるようになっている。
その解決手段として微粒子(nmオーダー)よりも粒子径の大きい二酸化チタン(板状二酸化チタン等)を用いる方法や、あるいはUV−A波吸収剤を内包した樹脂粉末などを用いる方法があるが、前者は多く配合すると効果は高くなるものの、塗布時に透明感がなくなって白くなる傾向にあり、また後者はUV−A波の防止効果が不十分であることから、その両立への試みがなされていた。
【0003】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明者等は、鋭意研究を重ねた結果、UV−A吸収性化合物であるジベンゾイルメタン誘導体を板状粉末上に固定化したジベンゾイルメタン誘導体固定化粉末は、油分を特定量用いた時に高いPFA値を示し、かつ塗布したときの透明性が高く違和感がないことを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0004】
すなわち本発明は、ジベンゾイルメタン誘導体を粉末上に固定化したジベンゾイルメタン誘導体固定化粉末を20.0重量%以上と、油分を5.0〜15.0重量%とを配合したことを特徴とする紫外線防止粉末化粧料である。
【0005】
以下、本発明の構成について詳述する。
本発明で用いられるジベンゾイルメタン誘導体としては、例えば、3−アリル−4−ヒドロキシジベンゾイルメタン、3−ビニル−4−ヒドロキシジベンゾイルメタン、4−アリロキシジベンゾイルメタン、2−ヒドロキシ−3−アリル−4’−t−ヒドロキシジベンゾイルメタン、2−ヒドロキシ−3−ビニル−4’−t−ヒドロキシジベンゾイルメタン、2−ヒドロキシ−3−アリル−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン、2−ヒドロキシ−3−ビニル−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン、3−アリル−4−メトキシ−4’−ヒドロキシジベンゾイルメタン、3−ビニル−4−メトキシ−4’−ヒドロキシジベンゾイルメタン、3−アリル−4−ヒドロキシ−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン、3−ビニル−4−ヒドロキシ−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン、3−アリル−4−メトキシ−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン、3−ビニル−4−メトキシ−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン、2,3−ジヒドロキシ−4−アリル−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン、2,3−ジヒドロキシ−4−ビニル−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン、2,3−ジメトキシ−4−アリル−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン、2,3−ジメトキシ−4−ビニル−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン、3,4−ジメトキシ−5−アリル−4’,5’−ジ−t−ブチルジベンゾイルメタン、3,4−ジメトキシ−5−ビニル−4’,5’−ジ−t−ブチルジベンゾイルメタン、3,5−ジ−t−ブトキシ−4−アリル−4’,5’−ジ−t−ブチルジベンゾイルメタン、3,5−ジ−t−ブトキシ−4−ビニル−4’,5’−ジ−t−ブチルジベンゾイルメタン、3,4,5−トリメトキシ−3’−アリル−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン、3,4,5−トリメトキシ−3’−ビニル−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン等が挙げられる。
このうち特に好ましいのは、3−アリル−4−ヒドロキシジベンゾイルメタン、3−ビニル−4−ヒドロキシジベンゾイルメタンまたは4−アリロキシジベンゾイルメタンである。ジベンゾイルメタン誘導体以外の紫外線吸収剤を用いた場合には、UV−A防止効果が悪くなる。
【0006】
このジベンゾイルメタン誘導体を固定化する粉末は通常化粧料に用いられる粉末であればよく、例えば、タルク、カオリン、雲母、絹雲母(セリサイト)、白雲母(マイカ)、金雲母、合成雲母、紅雲母、黒雲母、リチア雲母、バーミキュライト、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、マグネシウム、シリカ、ゼオライト、硫酸バリウム、焼成硫酸カルシウム(焼セッコウ)、リン酸カルシウム、弗素アパタイト、ヒドロキシアパタイト、セラミックパウダー、金属石鹸(ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム)、窒化ホウ素等の無機粉末、ポリアミド樹脂粉末(ナイロン粉末)、ポリエチレン粉末、ポリメタクリル酸メチル粉末、ポリスチレン粉末、スチレンとアクリル酸の共重合体樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、ポリ四弗化エチレン粉末、セルロース粉末、シリコーン樹脂等の有機粉末、二酸化チタン、酸化亜鉛等の無機白色顔料、酸化鉄(ベンガラ)、チタン酸鉄等の無機赤色系顔料、γ−酸化鉄等の無機褐色系顔料、黄酸化鉄、黄土等の無機黄色系顔料黒酸化鉄、カーボンブラック、低次酸化チタン等の無機黒色系顔料、マンゴバイオレット、コバルトバイオレット等の無機紫色系顔料、酸化クロム、水酸化クロム、チタン酸コバルト等の無機緑色系顔料、群青、紺青等の無機青色系顔料、酸化チタンコーテッドマイカ、酸化チタンコーテッドオキシ塩化ビスマス、酸化チタンコーテッドタルク、着色酸化チタンコーテッドマイカ、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔等のパール顔料、アルミニウムパウダー、カッパーパウダー等の金属粉末顔料、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色228号、赤色405号、橙色203号、橙色204号、黄色205号、黄色401号、及び青色404号などの有機顔料、赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色227号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、緑色3号及び青色1号などのジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレーキ等の有機顔料等が挙げられる。粉末は板状粉末であることが好ましく、特に好ましいのは、セリサイトまたはマイカである。
【0007】
本発明で用いる粉末は、Si−H基を含むシリコーンポリマー被覆粉末であることが好ましく、このSi−H基を含むシリコーンポリマー被覆粉末はそれ自体公知であり、例えば特開昭63−171678号公報に具体的に記載されるものを挙げることができる。被覆するシリコーンポリマーとしてはその種類およびその被覆方法を問わないが、シリコーンポリマーの前駆体なるシリコーンモノマーまたはオリゴマーを固体表面上に吸着させ、その表面上で重合させることにより均一なシリコーン被覆を形成したものが好ましい。この被覆に都合のよいシリコーンモノマーまたはオリゴマーとしては、次の一般式(1)のシリコーン化合物を使用することができる。
【0008】
【化1】
(RHSiO)a(RSiO)b(RSiO1/2)c …(1)
【0009】
(式中、R、R、及びRは相互に独立に水素原子であるかまたはハロゲン原子少なくとも1個で置換されていることのある炭素数1〜10の炭化水素基であるが、ただしR、R及びRが同時に水素原子であることはないものとし、そしてR、R及びRは相互に独立水素原子であるかまたはハロゲン原子少なくとも1個で置換されていることのある炭素数1〜10の炭化水素基であり、aは1以上の整数であり、cは0または2であるが、但し、cが0である場合にはa+bが3以上の整数であるものとし、そしてa+b+cの最大値は10000であるものとし、この化合物は−SiH部分を少なくとも1個含むものとする。)
【0010】
前記一般式(1)において、基R〜Rはそれぞれ、各繰り返し単位においてそれぞれ異なるものであることができる。具体的には次の一般式(2)〜(5)で示される化合物を挙げることができる。
【0011】
【化2】



【0012】
(式中、Rは低級アルキル基例えばメチル基もしくはエチル基またはアリール基例えばフェニル基であり、a=3〜7である。)
【0013】
【化3】



【0014】
(式中、R及びRは低級アルキル基またはアリール基であり、Rはアルキル基またはアリール基であり、a+bは3〜100である。)
【0015】
【化4】



【0016】
(式中、aは好ましくは1〜500、特に好ましくは2〜5である。)
【0017】
【化5】



【0018】
(式中、a+bは1〜500であり、a≧2である。)
また、一般式(4)及び一般式(5)中の1個またはそれ以上のメチル基が、エチル基、プロピル基またはフェニル基等の1個またはそれ以上で置き換えたものを使用することもできる。
【0019】
このような化合物としては、例えば、ジハイドロジェンヘキサメチルシクロテトラシロキサン、トリハイドロジェンペンタメチルシクロテトラシロキサン、テトラハイドロジェンテトラメチルシクロテトラシロキサン、ジハイドロジェンオクタメチルシクロペンタシロキサン、テトラハイドロジェンヘキサメチルシクロペンタシロキサン及びペンタハイドロジェンペンタメチルシクロペンタシロキサンなどの環状シリコーン化合物ならびに1,1,1,3,5,7,7,7−オクタメチルテトラシロキサン、1,1,1,3,5,7,9,9,9−ノナメチルペンタシロキサンおよび1,1,1,3,5,7,9,11,11,11−デカメチルヘキサシロキサンなどの直鎖状シリコーン化合物を挙げることができる。これらのシリコーン化合物は、例えば前記公開公報に示される固体表面上での重合によって、固体表面上に堆積したシリコーンポリマー被覆を形成することができる。このポリマーはその対応するモノマーあるいはオリゴマーの一般式から理解できるように反応性ヒドロシリル(Si−H)基を有する。したがって、Si−H基を含むシリコーンポリマー被覆粉末に由来する部分とは、前記シリコーンポリマー被覆固体に含まれるSi−H基が少なくとも1個Si−となったものをいう。
【0020】
シリコーン化合物との接触、及び重合は気相処理によって行うことが最も好ましいが、前記シリコーン化合物を溶媒に溶かし粉体を分散させた後に乾燥させて粉体表面上にシリコーンポリマー被覆を形成させることもできるし、溶媒に溶かしたシリコーン化合物を直接噴霧し加熱乾燥してシリコーンポリマー被覆を形成させることもできる。即ち、液相処理を利用することができ、液相処理の場合には、処理後乾燥すれば、シリコーンポリマー被覆が表面上に形成され、それだけでも安定な粉体が得られる。気相処理の場合は乾燥工程さえ不要である。たとえば、適当な混合機(回転ボールミル、振動式ボールミル、遊星型ボールミル、サンドミル、アトライター、パグミル、ポニミキサー、プラネタリーミキサー、擂潰機)等の中に粉体を装入し、メカノケミカルに処理することによって実施する。
【0021】
ジベンゾイルメタン誘導体を粉末上に固定化する方法としては、例えば、環状シロキサン処理した粉末とジベンゾイルメタン誘導体とを2−プロパノール、メタノール、エタノール、アセトン、アセトニトリル、ジオキサン、トルエン、水、およびその混合溶媒中、塩化白金酸触媒の存在下で、室温から使用溶媒の沸点までの範囲の温度にて反応させることで得られる(例えば、特開平6−239732号公報参照)。
ジベンゾイルメタン誘導体固定化粉末におけるジベンゾイルメタン誘導体と粉末との配合比(重量比)は、粉末1重量部に対し、ジベンゾイルメタン誘導体0.02〜0.3重量部である。
【0022】
このようにして得られたジベンゾイルメタン誘導体固定化粉末は、通常のファンデーションのような比較的油分量の多い系では十分なUV−A防御効果(PFA)は認められなかったが、油分を比較的少ない範囲で特定量(5.0〜15.0重量%)用いることで、高いPFA値を示し、かつ透明性も優れたものが得られる。
本発明におけるジベンゾイルメタン誘導体固定化粉末の粉末化粧料中への配合量は、20.0重量%以上であり、好ましくは30.0〜50.0重量%である。ジベンゾイルメタン誘導体固定化粉末の配合量が20.0重量%未満では、二酸化チタン等を併用しないと高いPFA値が得られない。
【0023】
本発明で用いられる油分は通常化粧料に用いられる油分であればよく、例えば次のようなものが挙げられる。
液体油脂としては、アボガド油、ツバキ油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリグリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン等が挙げられる。
【0024】
固体油脂としては、カカオ脂、ヤシ油、馬脂、硬化ヤシ油、パーム油、牛脂、羊脂、硬化牛脂、パーム核油、豚脂、牛骨脂、モクロウ核油、硬化油、牛脚脂、モクロウ、硬化ヒマシ油等が挙げられる。
【0025】
ロウ類としては、ミツロウ、カンデリラロウ、綿ロウ、カルナウバロウ、ベイベリーロウ、イボタロウ、鯨ロウ、モンタンロウ、ヌカロウ、ラノリン、カポックロウ、酢酸ラノリン、液状ラノリン、サトウキビロウ、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、還元ラノリン、ジョジョバロウ、硬質ラノリン、セラックロウ、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、POEコレステロールエーテル、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコールエーテル等が挙げられる。
【0026】
炭化水素油としては、流動パラフィン、オゾケライト、スクワレン、プリスタン、パラフィン、セレシン、スクワレン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられる。
【0027】
高級脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン(ベヘニン)酸、オレイン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ウンデシレン酸、トール酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)等が挙げられる。
【0028】
高級アルコールとしては、例えば、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコール等の直鎖アルコール、モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)、2−デシルテトラデシノール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール等の分枝鎖アルコール等が挙げられる。
【0029】
合成エステル油としては、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、12−ヒドロキシステアリル酸コレステリル、ジ−2−エチルヘキシル酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N−アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキシル酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキシル酸ペンタンエリスリトール、トリ−2−エチルヘキシル酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル2−エチルヘキサノエート、2−エチルヘキシルパルミテート、トリミリスチン酸グリセリン、トリ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセライド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸オイル、セトステアリルアルコール、アセトグリセライド、パルミチン酸2−ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソブチル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸−2−オクチルドデシルエステル、アジピン酸ジ−2−ヘプチルウンデシル、エチルラウレート、セバチン酸ジ−2−エチルヘキシル、ミリスチン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−ヘキシルデシル、アジピン酸2−ヘキシルデシル、セバチン酸ジイソプロピル、コハク酸2−エチルヘキシル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、クエン酸トリエチル等が挙げられる。
【0030】
シリコーンとしては、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン、デカメチルポリシロキサン、ドデカメチルポリシロキサン、テトラメチルテトラハイドロジェンポリシロキサンなどの環状ポリシロキサン、シリコーンゴム、トリメチルシロキシケイ酸−オクタメチルシクロテトラシロキサン溶液(50%)等が挙げられる。
【0031】
本発明における油分の化粧料中への配合量は、5.0〜15.0重量%であり、好ましくは8.0〜13.0重量%である。油分の配合量が5.0重量%未満では、成型性が悪くなると共に、UV−A防止効果も低下し、15.0重量%を超えるとUV−A防止効果が低下する。
【0032】
本発明においては上記必須成分のほかに、粉末化粧料を構成する成分として、通常粉末化粧料に基剤として配合される界面活性剤、保湿剤、低級アルコールや、粉末化粧料を修飾する成分として防腐剤、香料、キレート剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、ゲル化剤、増粘剤等が配合できることは言うまでもない。
本発明の紫外線防止粉末化粧料は、白粉、パウダリーファンデーション等の剤型で用いられ得るが、油分の少ない白粉が特に効果的である。
【0033】
【実施例】
次に実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものでない。なお、配合量は特記しない限り重量%で示している。
【0034】
1.ジベンゾイルメタン誘導体固定化粉末の製造
製造例1
(処方)
3−アリル−4−ヒドロキシジベンゾイルメタン 16.7 重量%
シリコーン処理マイカ 83.3
(製法)
シリコーン処理マイカ100gをトルエン300mlに分散し、次いで3−アリル−4−ヒドロキシジベンゾイルメタン20gを添加した後、塩化白金酸適量を加えて110℃で4時間加熱処理する。次いで濾過し、トルエンで洗浄し、脱気乾燥を行い、3−アリル−4−ヒドロキシジベンゾイルメタン固定化マイカを得た。
【0035】
製造例2
(処方)
4−アリロキシジベンゾイルメタン 16.7 重量%
シリコーン処理セリサイト 83.3
(製法)
トルエンの代わりに90%エタノールを用いた他は製造例1と同様にして製造した。
【0036】
比較製造例1
(処方)
アリル−3,4,5−トリメトキシシンナメート 16.7 重量%
シリコーン処理マイカ 83.3
(製法)
製造例1と同様にして製造した。
【0037】
実施例1〜4,比較例1〜4
次に、製造例1〜2および比較製造例1で得られた処理粉末を用いて、表1および表2に示す処方で紫外線防止粉末化粧料を調製した後、その透明感および紫外線防御効果を測定した。その結果を表1および表2に示す。評価方法は次の通りである。
【0038】
(紫外線防御効果の評価)
紫外線防御効果の測定は、日本化粧品工業連合会の紫外線専門委員会で規定された、UVAにより惹起される肌の黒化の防止指標となるPFA(Protection Factor of UVA)測定で得られるPFA値(in vivo)に相関の高い測定法(in vitro)によって評価した。具体的には、スペクトロラジオメーター法によるUV−A防止効果測定を行った。
【0039】
(透明感の評価)
専門パネル20名により使用テスト(5段階官能評価)を行い、次のような評価をした。
1:非常に悪い。
2:悪い。
3:普通。
4:よい。
5:非常によい。
評価結果は、20名の平均値に基づいて下記の記号によって示した。
◎ :4.5以上
○ :3.5以上,4.5未満
△ :2.5以上,3.5未満
× :1.5以上,2.5未満
××:1.0以上,1.5未満
【0040】
【表1】



【0041】
【表2】



【0042】
表1からわかるように、本発明の紫外線防止粉末化粧料は油分量10.0重量%において、最も高いUV−A防止効果を示し、かつ透明性も優れたものである。
【0043】
実施例5,比較例5 プレストパウダー
次の表3に示す処方でプレストパウダーを調製し、(1)肌への広がり、(2)肌へのフィット感、(3)きめ、毛穴の目立ち、(4)透明感、(5)経時でのテカリ、(6)最終的な好みについて、以下の方法で評価した。その結果を併せて表3に示す。
【0044】
(1)肌への広がり
専門パネル20名により使用テスト(5段階官能評価)を行い、次のような評価をした。
1:非常に悪い。
2:悪い。
3:普通。
4:よい。
5:非常によい。
評価結果は、20名の平均値に基づいて下記の記号によって示した。
◎ :4.5以上
○ :3.5以上,4.5未満
△ :2.5以上,3.5未満
× :1.5以上,2.5未満
××:1.0以上,1.5未満
【0045】
(2)肌へのフィット感
専門パネル20名により使用テスト(5段階官能評価)を行い、次のような評価をした。
1:非常に悪い。
2:悪い。
3:普通。
4:よい。
5:非常によい。
評価結果は、20名の平均値に基づいて下記の記号によって示した。
◎ :4.5以上
○ :3.5以上,4.5未満
△ :2.5以上,3.5未満
× :1.5以上,2.5未満
××:1.0以上,1.5未満
【0046】
(3)きめ、毛穴の目立ち
専門パネル20名により使用テスト(5段階官能評価)を行い、次のような評価をした。
1:目立つ。
2:やや目立つ。
3:普通。
4:目立たない。
5:全く目立たない。
評価結果は、20名の平均値に基づいて下記の記号によって示した。
◎ :4.5以上
○ :3.5以上,4.5未満
△ :2.5以上,3.5未満
× :1.5以上,2.5未満
××:1.0以上,1.5未満
【0047】
(4)透明感
前記と同様にして評価した。
【0048】
(5)経時でのテカリ
専門パネル20名により使用テスト(5段階官能評価)を行い、次のような評価をした。
1:テカる。
2:ややテカる。
3:普通。
4:テカらない。
5:全くテカらない。
評価結果は、20名の平均値に基づいて下記の記号によって示した。
◎ :4.5以上
○ :3.5以上,4.5未満
△ :2.5以上,3.5未満
× :1.5以上,2.5未満
××:1.0以上,1.5未満
【0049】
(6)最終的な好み
専門パネル20名により使用テスト(5段階官能評価)を行い、次のような評価をした。
1:嫌い。
2:どちらかといえば嫌い。
3:普通。
4:どちらかといえば好き。
5:好き。
評価結果は、20名の平均値に基づいて下記の記号によって示した。
◎ :4.5以上
○ :3.5以上,4.5未満
△ :2.5以上,3.5未満
× :1.5以上,2.5未満
××:1.0以上,1.5未満
【0050】
【表3】



【0051】
表3に示されるとおり、本発明の実施例5の方が高い評価を受けていることが分かる。特に透明感に優れていた。
【0052】
実施例6,比較例6 パウダリーファンデーション
次の表4に示す処方でパウダリーファンデーションを調製し、上記と同様に評価した。その結果を併せて表4に示す。
【0053】
【表4】



【0054】
表4に示されるとおり、本発明の実施例6の方が高い評価を受けており、特に透明感に優れていた。
【0055】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の紫外線防止粉末化粧料は、高いUV−A波の防止効果を有し、しかも透明性に優れたものであり、特に白粉のような油分量の低い系で用いるのに最適である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジベンゾイルメタン誘導体が粉末上に固定化されたジベンゾイルメタ
ン誘導体固定化粉末を20.0重量%以上と、油分を5.0〜15.0重量%とを配合し

前記ジベンゾイルメタン誘導体が、3−アリル−4−ヒドロキシジベンゾイルメタン、
3−ビニル−4−ヒドロキシジベンゾイルメタンまたは4−アリロキシジベンゾイルメタ
ンであり、
前記粉末がシリコーンポリマー被覆セリサイトまたはシリコーンポリマー被覆マイカで
ある、
ことを特徴とする紫外線防止粉末化粧料。
【請求項2】
粉末がSi−H基を含むシリコーンポリマーで被覆したシリコーンポ
リマー被覆粉末である請求項1記載の紫外線防止粉末化粧料。
【請求項3】
粉末化粧料が白粉である請求項1または2記載の紫外線防止粉末化粧
料。

【特許番号】特許第3542062号(P3542062)
【登録日】平成16年4月9日(2004.4.9)
【発行日】平成16年7月14日(2004.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平10−80343
【出願日】平成10年3月12日(1998.3.12)
【公開番号】特開平11−255630
【公開日】平成11年9月21日(1999.9.21)
【審査請求日】平成14年11月20日(2002.11.20)
【出願人】(000001959)株式会社資生堂 (1,748)
【参考文献】
【文献】特開平06−239732(JP,A)
【文献】特開平11−060439(JP,A)
【文献】特開平09−286928(JP,A)
【文献】特開平07−277936(JP,A)
【文献】特開平02−270817(JP,A)
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