説明

細管型薄膜電極組み合せの製作方法

【課題】細管型薄膜電極組み合せを大量に製造でき、品質制御が容易で製作コストを節約できる細管型薄膜電極組み合せの製作方法を提供する。
【解決手段】ガイドバーと第1の編みユニット、第1の触媒押出しユニット、プロトン交換膜融解押出しユニット、第2の触媒押出しユニット、第2の編みユニット及び冷却引込ユニットが備えられ、一つの連続生産ラインで、それぞれ、互いに積層される内側導電繊維編み管と第1の触媒薄皮層、プロトン交換薄皮層、第2の触媒薄皮層及び外側導電繊維編み管に対して冷却引込を行って、細管型薄膜電極組み合せを形成する細管型薄膜電極組み合せの製作方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細管型薄膜電極組み合せの製作方法に関し、特に、細管型薄膜電極組み合せを大量に作製でき、品質制御が容易で製作コストを節約できるものに関する。該細管型薄膜電極組み合せは、燃料電池の主としての構成素子である。
【背景技術】
【0002】
一般の従来のものは、中華民国専利第M274656号「引出し導線を有する細管型薄膜電極組み合せユニット」があり、円管型プロトン導通膜と電極触媒及び引出し導線を有する導電クラディング管が備えられ、複数の層を重ね合って引出し導線を有する細管型薄膜電極組み合せユニットを形成し、また、高分子を融解押出し法で、高温融解押出して管型プロトン交換膜生地を作製し、該管型プロトン交換膜生地を、イオン交換法により、プロトン交換機能を有する円管型プロトン導通膜に変換し、また、電極触媒とプロトン交換膜含有基材とを撹拌して作製された電極触媒スラリーを、該引出し導線を有する導電クラディング管に塗布して、該円管型プロトン導通膜に挿入し、また、導電クラディング管の内外に熱圧着管金型をセットし、加熱圧着した後、型抜きし、これにより引出し導線を有する細管型薄膜電極組み合せユニットを形成する。
【0003】
上記の第M274656号専利の方式により引出し導線を有する細管型薄膜電極組み合せユニットが形成されるが、その細管型薄膜電極組み合せユニットは、1回1本で作製するため、大量製造にならなく、また、膨大な人力を必要し、そのため時間や工程の無駄になり、また、人力的に加工する場合、人的な因素により品質や産出高が悪くなって、相対的に作製コストが高くなり、そのため、従来の「引出し導線を有する細管型薄膜電極組み合せユニット」は、実用的ではない。
【特許文献1】中華民国専利第M274656号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の主な目的は、一つの連続生産ラインで、細管型薄膜電極組み合せを作製でき、大量製造を実現し、品質制御が容易で製作コストを節約できる細管型薄膜電極組み合せの製作方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の目的を達成するため、ガイドバーと第1の編みユニット、第1の触媒押出しユニット、プロトン交換膜融解押出しユニット、第2の触媒押出しユニット、第2の編みユニット及び冷却引込ユニットが備えられ、一つの連続生産ラインで、それぞれ、互いに積層される内側導電繊維編み管と第1の触媒薄皮層、プロトン交換薄皮層、第2の触媒薄皮層及び外側導電繊維編み管に対して冷却引込を行って、細管型薄膜電極組み合せを形成する細管型薄膜電極組み合せの製作方法である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
図1は、本発明の基本構造の概念図である。図のように、本発明は、細管型薄膜電極組み合せの製作方法であり、少なくとも、ガイドバー1と、ガイドバー1の一端に対応する第1の編みユニット2と、ガイドバー1に対応し、第1の編みユニット2の一側に設けられる第1の触媒押出しユニット3と、ガイドバー1に対応し、第1の触媒押出しユニット3の一側に設けられるプロトン交換膜融解押出しユニット4と、ガイドバー1に対応し、プロトン交換膜融解押出しユニット4の一側に設けられる第2の触媒押出しユニット5と、ガイドバー1に対応し、第2の触媒押出しユニット5の一側に設けられる第2の編みユニット6と、ガイドバー1の一端に対応する冷却引込ユニット7等のユニットにより、連續の生産ラインを構成し、これにより、新しい細管型薄膜電極組み合せの製作方法を構成でき、細管型薄膜電極組み合せを大量に製造でき、品質制御が容易で、製作コストを節約できる。
【0007】
図2と3、4及び5は、それぞれ、本発明の製作状態の概念図と本発明の細管型薄膜電極組み合せの断面概念図及び本発明の他の製作方法の細管型薄膜電極組み合せの断面概念図である。図のように、本発明を利用する場合、第1の編みユニット2の複数の導電繊維トウ20で、ガイドバー1上において、内側導電繊維編み管21を編み、また、第1の編みユニット2の一側に位置する第1の触媒押出しユニット3で、燃料電池に適用される電極触媒30を内側導電繊維編み管20上に押出して、第1の触媒薄皮層31を形成し、また、第1の触媒押出しユニット3の一側に位置するプロトン交換膜融解押出しユニット4で、樹脂コロイド粒子40を融解押出して、第1の触媒薄皮層31の外側に、プロトン交換薄皮層41を形成し、その後、プロトン交換膜融解押出しユニット4の一側に位置する第2の触媒押出しユニット5で、燃料電池に適用される電極触媒50を押出して、プロトン交換薄皮層41の外側に、第2の触媒薄皮層51を形成し、最後に、第2の触媒押出しユニット5の一側に位置する第2の編みユニット6で、複数の導電繊維トウ60を編み、第2の触媒薄皮層51の外側に、外側導電繊維編み管61を形成し、互いに積層される内側導電繊維編み管21と第1の触媒薄皮層31、プロトン交換薄皮層41、第2の触媒薄皮層51及び外側導電繊維編み管61が形成された後、冷却引込ユニット7で冷却引込を行い、これにより、細管型薄膜電極組み合せ8を形成し、また、裁断ユニット90や巻取りユニット91で、作製された細管型薄膜電極組み合せ8に対して、裁断するか、巻き取って保存する。
【0008】
本発明によれば、上記の製作方法で細管型薄膜電極組み合せ8を作製するだけでなく、該第1の触媒押出しユニット3と第2の触媒押出しユニット5とを作動しないように制御し、第1の編みユニット2とプロトン交換膜融解押出しユニット4及び第2の編みユニット6だけで、導電繊維編み管21、61を、プロトン交換薄皮層41の内外の両側に編んで、その後、冷却引込ユニット7で、細管型薄膜電極組み合せの引出し導線8aを形成することもできるため、本発明は、より実用的になる。
【0009】
また、本発明によれば、上記の製作方法で細管型薄膜電極組み合せ8を作製できるだけでなく、該第1の触媒押出しユニット3とプロトン交換膜融解押出しユニット4及び第2の触媒押出しユニット5を作動しないように制御し、第1の編みユニット2と第2の編みユニット6だけで導電繊維編み管21、61を編み、その後、冷却引込ユニット7で細管型薄膜電極組み合せの引出し導線8aを形成することもできるため、本発明はより実用的である。
【0010】
以上のように、本発明に係わる細管型薄膜電極組み合せの製作方法は、有効に従来の諸欠点を改善でき、一つの連続生産ラインで、細管型薄膜電極組み合せを作製でき、大量製造を実現し、品質制御が容易で製作コストを節約できるため、本発明はより進歩のかつより実用ので、法に従って特許請求を出願する。
【0011】
以上は、ただ本発明のより良い実施例であり、本発明は、それによって制限されることが無く、本発明に係わる特許請求の範囲や明細書の内容に基づいて行った等価の変更や修正は、全てが本発明の特許請求の範囲内に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の基本構造の概念図
【図2】本発明の製作状態の概念図
【図3】本発明の細管型薄膜電極組み合せの断面概念図
【図4】本発明の他の製作方法の細管型薄膜電極組み合せの断面概念図
【図5】本発明の他の製作方法の細管型薄膜電極組み合せの断面概念図。
【符号の説明】
【0013】
1 ガイドバー
2 第1の編みユニット
20 導電繊維トウ
21 内側導電繊維編み管
3 第1の触媒押出しユニット
30 電極触媒
31 第1の触媒薄皮層
4 プロトン交換膜融解押出しユニット
40 樹脂コロイド粒子
41 プロトン交換薄皮層
5 第2の触媒押出しユニット
50 電極触媒
51 第2の触媒薄皮層
6 第2の編みユニット
60 導電繊維トウ
61 外側導電繊維編み管
7 冷却引込ユニット
8 細管型薄膜電極組み合せ
8a 引出し導線
90 裁断ユニット
91 巻取りユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、ガイドバーと、
上記のガイドバーの一端に対応し、ガイドバー上において、内側導電繊維編み管を編む第1の編みユニットと、
上記のガイドバーに対応して、第1の編みユニットの一側に設けられ、内側導電繊維編み管上に、第1の触媒薄皮層を形成する第1の触媒押出しユニットと、
上記のガイドバーに対応して、第1の触媒押出しユニットの一側に設けられ、第1の触媒薄皮層の外側に、プロトン交換薄皮層を形成するプロトン交換膜融解押出しユニットと、
上記のガイドバーに対応して、プロトン交換膜融解押出しユニットの一側に設けられ、プロトン交換薄皮層の外側に、第2の触媒薄皮層を形成する第2の触媒押出しユニットと、
上記のガイドバーに対応して、第2の触媒押出しユニットの一側に設けられ、第2の触媒薄皮層の外側に、外側導電繊維編み管を編む第2の編みユニットと、
上記のガイドバーの一端に対応し、上記の互いに積層される内側導電繊維編み管と第1の触媒薄皮層、プロトン交換薄皮層、第2の触媒薄皮層及び外側導電繊維編み管について冷却引込を行い、細管型薄膜電極組み合せを形成する冷却引込ユニットが含有されることを特徴とする、細管型薄膜電極組み合せの製作方法。
【請求項2】
該第1の編みユニットは、複数の導電繊維トウを有することを特徴とする、請求項1に記載の細管型薄膜電極組み合せの製作方法。
【請求項3】
導電繊維トウは、炭素繊維導電繊維トウであることを特徴とする、請求項2に記載の細管型薄膜電極組み合せの製作方法。
【請求項4】
該第1の触媒押出しユニットは、燃料電池に適用される電極触媒を有することを特徴とする、請求項1に記載の細管型薄膜電極組み合せの製作方法。
【請求項5】
該プロトン交換膜融解押出しユニットは、樹脂コロイド粒子を有することを特徴とする、請求項1に記載の細管型薄膜電極組み合せの製作方法。
【請求項6】
樹脂コロイド粒子は、イオン交換機能を有する樹脂やその前駆体であることを特徴とする、請求項5に記載の細管型薄膜電極組み合せの製作方法。
【請求項7】
該第2の触媒押出しユニットは、燃料電池に適用される電極触媒を有することを特徴とする、請求項1に記載の細管型薄膜電極組み合せの製作方法。
【請求項8】
該第2の編みユニットは、複数の導電繊維トウを有することを特徴とする、請求項1に記載の細管型薄膜電極組み合せの製作方法。
【請求項9】
導電繊維トウは、炭素繊維導電繊維トウであることを特徴とする、請求項8に記載の細管型薄膜電極組み合せの製作方法。
【請求項10】
プロトン交換薄皮層の厚さは、細管の内径の10分の1から10倍の範囲にあることを特徴とする、請求項1に記載の細管型薄膜電極組み合せの製作方法。
【請求項11】
触媒薄皮層の厚さは、10分の1マイクロメートルから数ミリメートルであることを特徴とする、請求項1に記載の細管型薄膜電極組み合せの製作方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−176645(P2009−176645A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−15853(P2008−15853)
【出願日】平成20年1月28日(2008.1.28)
【出願人】(595165656)行政院原子能委員会核能研究所 (51)
【Fターム(参考)】