説明

細繊維製液体用微粒子ろ過材

液体から微粒子をろ過する用途のためのフィルタ媒体が提供される。フィルタ媒体は基材と細繊維とを含み、基材と細繊維とは共に圧縮されて設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広くフィルタ媒体(ろ過材)に関し、特に液体から微粒子をろ過する用途のための細繊維(fine fibers)を含む複合フィルタ媒体(composite filter media)及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液体流れ及び気体流れ(例えば、空気流れ)等の流体流れは、その流体の流れの中に混入した、望ましくないことが多い汚染物質である微粒子(particulates)を運ぶことがしばしばである。通常は、フィルタを用いて、流体流れから微粒子の一部又はすべてを除去している。
【0003】
静電紡糸プロセス(electrostatic spinning process)を用いて形成された細繊維を含むフィルタ媒体も知られている。かかる従来技術には、米国特許5,672,399号「フィルタ材料構成及び方法」、米国特許公開2007/0163217号「セルロース/ポリアミド複合体」、米国特許公開2009/0199717号「フィルタ媒体、100ナノメートル未満の細繊維及び方法」、米国特許公開2009/0266759号「積層されたナノ繊維フィルタ媒体」、米国仮特許出願61,047,455号「2構成要素(Bi−Component)ナノ繊維層を有するフィルタ媒体」、米国仮特許出願61/308,488号「ナノ繊維マトリクスを含む拡張された複合フィルタ媒体及び方法」、及び米国仮特許出願61/330,462号「圧縮されたナノ繊維複合媒体」が含まれる。これらの開示の全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0004】
本発明は、様々な液体から微粒子をろ過する用途のための改良されたフィルタ媒体を提供する。本発明のこれらの利点及び他の利点、並びに更なる本発明の特徴は、本明細書に提示する本発明の説明から明らかになるであろう。
【発明の概要】
【0005】
液体は、一般的に気体よりもはるかに粘性が高いので、結果として、より高い抗力(drag force)を生ずる。したがって、液体ろ過用途は、気体又は空気ろ過用途と比較すると、特に細繊維フィルタ媒体に関して、独特の課題をもたらす。例えば、液体は、気体よりも、微粒子を引き入れる傾向がはるかに強い。このため、液体ろ過用途のためのフィルタ媒体の遮断能力(interception capability)は、気体又は空気ろ過用途に比べて著しく劣る。実際に、液体の粘度が高くなるにつれて、フィルタ媒体による遮断性は低下する。例えば、フィルタ媒体のろ過効率は、空気ろ過用途の場合の約90%から、ディーゼル燃料ろ過用途の場合の約20%までに低下し得る。したがって、空気又は気体ろ過用途のために設計されたフィルタ媒体は、一般的に、液体ろ過用途のろ過要求性能を満たすことができない。
【0006】
ナノ繊維を含むフィルタ媒体が、空気/気体ろ過用途で知られている。しかしながら、本願出願人は、液体の流体特性に起因して、液体フィルタにナノ繊維が一般的に使用されてきたとは考えていない。実際に、細繊維を用いた空気フィルタ媒体の液体用途のための微粒子/汚染物質に対する予備試験において、ナノ繊維は、細繊維が存在しない(non‐existent)かのように、ほとんど又は全く効果をもたらさない(no difference)ことが示された。これは、液体により課される微粒子運動量(particulate momentum)及び粘性に起因すると考えられる。本発明の多様な実施の形態による複合フィルタ媒体は、様々な炭化水素燃料の微粒子のろ過等の、液体から微粒子をろ過する用途のために特に好適なナノ繊維を含むフィルタ媒体を提供する。本明細書においては、液体フィルタに対して有利に適用され得る多様な細繊維カバレッジ(細繊維被覆率)、細繊維パラメータ、基材、及び配置について述べる。
【0007】
一の態様では、本発明は、液体から微粒子をろ過する用途のためのフィルタ媒体を提供する。フィルタ媒体は、基材と、基材上に担持された細繊維とを含む。基材は、細繊維の平均繊維直径の少なくとも4倍以上に大きな平均繊維直径を有する粗繊維を含む。細繊維の坪量(basis weight)は少なくとも0.03g/mであり、細繊維の直線カバレッジ(linear coverage)(単位面積当たりの直線に延長した長さ)は少なくとも約5000km/mである。
【0008】
他の態様では、本発明は、液体から微粒子をろ過する用途のためのフィルタエレメントを提供する。フィルタエレメントは、フィルタ媒体、上端キャップ及び下端キャップを含む。フィルタ媒体は、基材と、基材上に担持された細繊維とを含む。基材は、細繊維の平均繊維直径の少なくとも4倍以上に大きな平均繊維直径を有する粗繊維を含む。細繊維の坪量は少なくとも0.03g/mであり、細繊維の直線カバレッジは少なくとも約5000km/mである。更に、上端キャップは流体入口を含む。フィルタ媒体は、上端キャップ及び下端キャップに密閉して(sealingly)取り付けられる。
【0009】
更に他の態様では、本発明は、フィルタ媒体を製造する方法を提供する。方法は、1マイクロメートル未満の平均繊維直径を有する細繊維を静電紡糸するステップと;基材上に細繊維を付与して少なくとも0.03g/mの細繊維の坪量及び少なくとも約5000km/mの細繊維の直線カバレッジをもたらすステップであって、基材は、細繊維の平均繊維直径の少なくとも4倍以上に大きな平均繊維直径を有する粗繊維を有するように構成された、基材上に細繊維を付与するステップと;基材と共に付与された細繊維をプロセシング(processing)(処理)して基材上の細繊維を再配置(rearrenge)するステップとを含む。
【0010】
他の態様では、本発明は、液体をろ過する方法を提供する。方法は、本明細書に開示される実施の形態のいずれか一の実施の形態によるフィルタ媒体を提供するステップと、フィルタ媒体を通して液体流れを流し、液体流れの中の微粒子を補足するステップとを含む。
【0011】
本発明の他の態様、目的及び利点は、添付図面を併せ見れば、以下の詳細な説明により更に明らかになるであろう。
【0012】
本明細書に組み入れられ、本明細書の一部を形成する添付図面は、本発明の複数の態様を例示し、記述と共に、本発明の原理の説明に資する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明の一の実施の形態による細繊維を担持する緊密に圧縮された複数のスクリム層を含むフィルタ媒体を模式的に示す(例えば、関連して示される厚さは実際の縮尺とは異なる)断面図である。
【0014】
【図2】図2は、ローラのセットによって圧縮状態へと圧縮される圧縮前状態の図1に示すフィルタ媒体を模式的に示す断面図である。
【0015】
【図3】図3は、本発明の一の実施の形態による基材を構成する繊維である同心に設けられた鞘/芯(sheath/core)型の2構成要素繊維の模式図である。
【0016】
【図4】図4は、本発明の一の実施の形態による基材を構成する繊維である偏心して設けられた鞘/芯型の2構成要素繊維の模式図である。
【0017】
【図5】図5は、本発明の一の実施の形態による基材を構成する繊維である並列(side−by−side)型の2構成要素繊維の模式図である。
【0018】
【図6】図6は、本発明の一の実施の形態による基材を構成する繊維であるパイ楔(pie‐wedge)型の2構成要素繊維の模式図である。
【0019】
【図7】図7は、本発明の一の実施の形態による基材を構成する繊維である中空パイ楔(hollow pie wedge)型の2構成要素繊維の模式図である。
【0020】
【図8】図8は、本発明の一の実施の形態による基材を構成する繊維である島/海(islands/sea)型の2構成要素繊維の基材の模式図である。
【0021】
【図9】図9は、本発明の一の実施の形態による基材を構成する繊維である三つ葉(trilobal)型の2構成要素繊維の模式図である。
【0022】
【図10】図10は、本発明の一の実施の形態による基材を構成する繊維である端部(tipped)型の2構成要素繊維の模式図である。
【0023】
【図11】図11は、本発明の一の実施の形態によるフィルタ媒体を製造するためのシステムの模式図である。
【0024】
【図12A】図12Aは、図11に示すシステムを用いて製造された2構成要素繊維及び細繊維の複合媒体を300倍に拡大して示す走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示す図である。
【0025】
【図12B】図12Bは、図11に示すシステムを用いて製造された2構成要素繊維及び細繊維の複合媒体を1,000倍に拡大して示す走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示す図である。
【0026】
【図12C】図12Cは、図11に示すシステムを用いて製造された2構成要素繊維及び細繊維の複合媒体を2,000倍に拡大して示す走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示す図である。
【0027】
【図12D】図12Dは、図11に示すシステムを用いて製造された複合媒体の2構成要素繊維と細繊維との間の結合を10,000倍に拡大して示す走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示す図である。
【0028】
【図13】図13は、本発明の別の実施の形態によるフィルタ媒体を製造するためのシステムの模式図である。
【0029】
【図14】図14は、本発明の更に他の実施の形態によるフィルタ媒体を製造するためのシステムの模式図である。
【0030】
【図15】図15は、本発明の一の実施の形態による緊密に圧縮された複数のスクリム層及び細繊維を含むフィルタ媒体を模式的に示す断面図である。
【0031】
【図16】図16は、第1の試験サンプルの効率試験結果を示す図である。
【0032】
【図17】図17は、第2の試験サンプルの効率試験結果を示す図である。
【0033】
【図18】図18は、第3の試験サンプルの効率試験結果を示す図である。
【0034】
【図19】図19は、本発明の別の実施の形態によるフィルタ媒体を模式的に示す断面図である。
【0035】
【図20】図20は、第4の試験サンプルの効率試験結果を示す図である。
【0036】
【図21】図21は、本発明の更に他の実施の形態によるフィルタ媒体を模式的に示す断面図である。
【0037】
【図22】図22は、第5の試験サンプルの効率試験結果を示す図である。
【0038】
【図23】図23は、本発明の一の実施の形態によるひだ付きのフィルタ媒体を含む液体から微粒子をろ過する用途のためのフィルタエレメントの斜視図である。
【0039】
【図24】図24は、図23に示すフィルタエレメント内に設けられるひだ付きのフィルタ媒体の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明は、ある好ましい実施の形態と関連付けて説明されるが、それら実施の形態に限定する意図はない。反対に、意図するところは、全ての代替物、変形、及び均等物を、特許請求の範囲に定義されているように本発明の精神と範囲の内に含まれるものとして、カバーすることである。
【0041】
詳細を説明する前に、本発明の理解を助けるために用語を展開する。本明細書において、「基材(substrate)」という用語は、本質的に広範な意味を持つように意図され、細繊維がその上に担持又は堆積される任意の構造体を含むことが意図されている。「基材」は、媒体(media)のロールから引き出され得るスクリム(scrim)(粗目布)及び同様の物等の、従来の成形されたフィルタ媒体を含んでもよい。かかるフィルタ媒体は繊維交絡(fiber entanglement)を有し、典型的には機械的に、化学的に、接着により、及び/又は他の態様により共に結合又は固定され、それにより手作業で容易には引き裂くことのできないような強度(例えば、1平方フィート(0.093m(ft‐lb単位をSI単位に換算したものであり有効数字を示すことは意図されていない。以下換算数字については同じ。))のシートが典型的には5ポンド(2.268kg)に上る張力の印加に耐える)を有すると共にろ過特性を有する。また、「基材」は、互いに結合又は固定されない、比較的緩やかな繊維交絡を有してもよい(例えば、1平方フィート(0.093m)のシートが、5ポンド(2.268kg)の張力の印加に対してバラバラになる(fall apart))。本明細書において、「スクリム」は、織成繊維交絡(woven fiber entanglement)又は不織繊維交絡(non−woven fiber entanglement)を指し、いずれの繊維も、結合され、平坦に成型された媒体(ろ過材)へと圧縮される。
【0042】
ナノ繊維カバレッジ(nanofiber coverage)(ナノ繊維被覆率)を特徴づけることができるいくつかの方法がある。その第1の方法は坪量(basis weight)(標準重量)である。しかしながら、坪量は、部分的に、ナノ繊維材料の比重量(specific gravity)とナノ繊維の選択されたサイズ(例えば、繊維直径及び/又は繊維太さとも同義的に呼ばれる)とに依存する(左右される)。ナノ繊維カバレッジを特徴づけるための他の有用な度量はキロメートル/平方メートル(km/m)で表すことができるナノ繊維カバレッジの算出直線距離(calculated lineal distance)である。これは、カバレッジのこの度量により、使用され得る異なる複数の材料間における細繊維の直径の多様性及び比重量の差の多様性を解消する理由から有用である。
【0043】
本明細書に例示する多くの実施の形態では、0.08マイクロメートル(80ナノメートル)の平均繊維直径を有する細繊維が用いられる。しかしながら、単純な面積計算(Π×R)に基づき、2倍サイズの繊維(例えば、160ナノメートルサイズの細繊維)の重量は4倍となり、又、4倍サイズの繊維の重量は16倍となることが理解されよう。細繊維を付与し過ぎる(overapplication)と、透過性(pervious)又は多孔性(porous)をあまり有さず、したがって、フィルタ媒体には適さないプラスチックフィルムを得ることとなる。より小さな直径の細繊維を用いることは、それによってより高い直線カバレッジのレベル(程度)を得ることができるので望ましい。より大きな直径の細繊維は、一般的に又は概して、より大きな空隙空間(void space)を占める傾向があることを考慮すると、細繊維直径が大きくなるにつれて、キロメートル標準単位(kilometer basis)(km/m)での細繊維の付与率を低くすることが望ましい。しかしながら、坪量に基づくカバレッジは、直径が2倍に増大することで質量が4倍となることにより、細繊維直径の増大につれてそれでも増大する場合がある。概して、坪量は、繊維直径が2倍に増大すると、2倍乃至2.5倍(繊維直径が4倍に増大すると、約4倍乃至6倍)に増大する。ここでは簡単のために2倍に増大するものとする。したがって、0.15g/mの細繊維カバレッジを80nm平均直径の細繊維に対して用いるならば、160nmの繊維については、0.30g/mのカバレッジを用いることとなり、320nmの繊維については、0.6g/mのカバレッジを用いることとなる。本明細書に示す実施の形態は、1マイクロメートル未満、典型的には500nm未満の範囲の細繊維、及びより好ましくは150nm未満のより細かな繊維に対して有用である。しかしながら、前述の原則にしたがって、本明細書に示す実施の形態に対してカバレッジを調節することができる。
【0044】
本明細書において、フィルタ媒体複合体又は複数層を呼称するときの用語「第1の」、「第2の」又は「第3の」は、特定の位置を指すように意図されてはいない。「第1の層」は、まさに最初の層を意味するようには意図されておらず、他の層(「上流」又は「下流」)に相対する上流の位置又は下流の位置を指すようにも意図されていない。そのようにではなく、「第1の」及び「第2の」というかかる用語は、先行詞としての意味目的で使用される。
【0045】
[複数層複合フィルタ媒体]
【0046】
図1は、本発明の一の実施の形態によるフィルタ媒体100を模式的に示す断面図である。実際の細繊維層は厚さを事実上持たないが、説明と理解を目的として、図1及び他の模式図において厚さが示されているという意味で模式的に示すという。フィルタ媒体100は、炭化水素燃料、水、及び潤滑油等の液体流れの中の固体を捕捉するように構成される。好ましい実施の形態では、フィルタ媒体100は少なくとも2種類の異なる繊維、例えば電界紡糸ナノ繊維(electrospun nanofibers)と、電界紡糸ナノ繊維を担持する粗繊維(coarser fibers)で設けられた基材とを含む。このため、本明細書では、フィルタ媒体100は複合フィルタ媒体(composite filter media)、複合媒体(composite media)、又は他の類似の用語でも呼ばれる。フィルタ媒体100は液体から微粒子をろ過する用途のために特に好適であり、複数の実施例/実施の形態は液体用途の微粒子のろ過に著しい効果を奏するが、フィルタ媒体100を他の流体のろ過の用途に用いるものとしてもよい。
【0047】
図1に示す実施の形態では、フィルタ媒体100は、10層の基材102、104、106、108、110、112、114、116、118、120を備え、その各々が細繊維124、126、128、130、132、134、136、138、140、142及び細繊維142の上端上の媒体122を担持する。基材102、104、106、108、110、112、114、116、118、120及び媒体122は細繊維の平均繊維直径よりも典型的により大きく設けられた平均繊維直径を有する繊維で形成されている。基材層102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、細繊維124、126、128、130、132、134、136、138、140、142、及び媒体122は、積層され、共に緊密に圧縮されることにより、体積当たりの繊維表面積を増やし、ディーゼル燃料等の液体流れから微粒子をろ過するために十分な剛性/構造完全性を得る。本実施の形態は、媒体層122を有するものとして示されるが、この媒体層は追加するか否かは任意であるので、他の実施の形態によるフィルタ媒体100はこの媒体層122を含まなくてもよい。
【0048】
図1に示すフィルタ媒体は、図2に示すプロセス(方法)を用いて形成することができる。図2は、圧縮前状態144及び圧縮状態146のフィルタ媒体100を示す図である。図示するように、フィルタ媒体100は、その圧縮前状態144において、初期厚さt´(本明細書では元厚さ(original thickness)とも呼ぶ)を有する。圧縮前状態144にあるフィルタ媒体100は、ローラ148、150のセットを用いて圧縮状態146へと圧縮される。ここで初期厚さt´は最終厚さ(final thickness)tまで減少される。
【0049】
いくつかの実施の形態では、圧縮前状態144のフィルタ媒体100は圧縮される前に加熱される。いくつかの特定の好ましい実施の形態では、(スクリム生産工程の間に少なくとも部分的に圧縮されたスクリム等の)基材の繊維は加熱中に、弛緩し、再配向(reorient)されて、繊維同士の間の平均距離が増大する。そのため、基材層は膨張(拡張)すると共にかさ高(loft)となり、各基材層の厚さが増大する。更に、基材の表面近傍の繊維が弛緩して再配向されるため、これらの繊維に担持される細繊維はこれらの繊維と共に移動して再配向される。このように、細繊維は、より直径の大きな繊維と共に拡げられ、押され、引かれる。これにより、単なる平坦でも平面でもない、3次元マトリクスの細繊維が生成され得ると考えられる(かかる細繊維の3次元マトリクスは、基材表面内に一体化されているとしても、依然として「層」と見ることができ、本明細書で「層(layer)」と呼ぶ場合がある)。
【0050】
かかる実施の形態では、圧縮前状態144の初期厚さt´は、加熱により少なくとも1.5倍、2倍、3倍、又は更にそれ以上になり得る。かかる実施の形態では、かさ高となったフィルタ媒体100を続いて圧縮した後のフィルタ媒体100の最終厚さtは、加熱時の膨張量及び圧縮時の減少量に応じて、初期厚さt´未満、又は初期厚さt´と同じ、又は初期厚さt´を超える厚さになり得る。他の実施の形態では、圧縮前状態144のフィルタ媒体100は、加熱したカレンダ加工ローラ(calendering rollers)(圧延加工ローラ)のセットにより同時に加熱及び圧縮することができる。かかる実施の形態では、最終厚さtへの厚さの減少の前に、膨張も、初期厚さt´の非常にわずかな増大もないだろう。更に別の実施の形態では、最終厚さtの圧縮されたフィルタ媒体100を圧縮後に加熱することができ、この場合は、最終厚さtは増大し得る。いくつかの実施の形態では、フィルタ媒体100を2度以上加熱することができる。例えば、フィルタ媒体100を圧縮の直前、圧縮中、及び圧縮の直後に加熱するようにオーブン内に配置したローラのセットで圧縮することができる。いずれにしても、より多くの3次元マトリクスへと細繊維を再配置(rearrange)するために、細繊維の堆積後に媒体をプロセシング(processing)(処理)することが有利であると判明している。膨張及び/又は圧縮は、かかるプロセシングの例である。かかるプロセシングにより、より高い空隙率(porosity)を得ることができ、そして流れを更に良好にするために、及び/又は細繊維堆積のより多量のカバレッジを可能とするためにかかるプロセシングを用いてもよい。
【0051】
一の実施の形態では、最終厚さtを、初期厚さt´の約50%乃至300%、好ましくは初期厚さt´の約70%乃至200%、更に好ましくは初期厚さt´の80%乃至150%とすることができる。圧縮前状態144のフィルタ媒体100が最終的な圧縮状態146へと圧縮されると、細繊維124、126、128、130、132、134、136、138、140、142は隣接する基材層102、104、106、108、110、112、114、116、118、120の粗繊維とより一体となってフィルタ媒体100内の3次元細繊維マトリクスを形成する。この実施の形態のフィルタ媒体100は、細繊維を担持する10層の基材層を含むが、他の実施の形態では、細繊維を担持する、それより多数の又は少数の基材層を含むことができる。例えば、フィルタ媒体は、十分に多くの量のカバレッジの細繊維を担持する(例えば、少なくとも約0.3g/m)単層の基材層を含むことができる。
【0052】
基材層102、104、106、108、110、112、114、116、118、120は任意の適切な多孔質材料で形成することができる。各基材層は同じタイプの多孔質物質又は異なるタイプの多孔質物質で形成することができる。一の実施の形態では、各基材層102、104、106、108、110、112、114、116、118、120は、形成された(形成済みの)フィルタ媒体を備える。この形成されたフィルタ媒体は、共に結合された複数の繊維を備える。例えば、形成されたフィルタ媒体の複数の繊維を、溶剤結合(solvent bonding)、熱結合(thermal bonding)、及び/又は圧着(pressure bonding)によって共に結合してもよい。形成されたフィルタ媒体は、細繊維を担持し、構造的支持をもたらすことができる。また、形成されたフィルタ媒体は、本明細書では、基材フィルタ媒体(substrate filter media)、フィルタ媒体基材(filter media substrate)、基材(substrate)、フィルタ媒体(filter media)、又は他の同様の用語で呼ばれる。
【0053】
代替として、基材は、強く綿毛状に膨らめられた(fluffed)厚い状態で共に緩く交絡され、形成されたフィルタ媒体の場合のように共に結合されなくてもよい、1つ又は複数の繊維ウェブ(web of fibers)(布状の繊維)を備えてもよい。したがって、この粗繊維のウェブは、手作業による非常にわずかな労力で容易にバラバラにすることができ、従来の意味では形成されたフィルタ媒体と見ることができない程まで構造的完全性が低い。繊維ウェブの繊維の平均繊維直径は、典型的には、細繊維の平均繊維直径よりも大きく設けられる。このため、繊維ウェブは、本明細書において、粗繊維のウェブ(web of coarse fibers)、又は他の同様の用語で呼ばれる。そのような粗繊維のウェブと一体化された細繊維を含む複合フィルタ媒体は、本願出願人に譲渡されている米国特許公開2009/0266759号「一体化されたナノ繊維フィルタ媒体」で説明されており、その開示の全体を、参照により本明細書に組み込む。
【0054】
好ましくは、基材は、複数構成要素フィルタ媒体から形成される。本明細書では、「複数構成要素フィルタ媒体(multi‐component filter media)」、「複数構成要素媒体(multi‐component media)」、「複数構成要素繊維媒体(multi‐component fiber media)」、及び他の同様の用語は、少なくとも2種類の異なる材料を含むフィルタ媒体を指すものとして同義に用いられる。例えば、複数構成要素フィルタ媒体は、第1の材料から形成された繊維及び第2の材料から形成された繊維を含むことができる。ここで、第1の材料及び第2の材料は異なる材料である。あるいは、複数構成要素フィルタ媒体は、以下に詳細に説明するように、第1の材料から形成された芯(core)及び第2の材料から形成された鞘(sheath)を含む複数の繊維等、少なくとも2種類の異なる材料を含む複数の繊維から形成することができる。2種類の異なる材料を含む複数構成要素フィルタ媒体は、本明細書において「2構成要素フィルタ媒体(bi‐component filter media)」「2構成要素媒体(bi‐component media)」、及び類似の用語で呼ばれる。
【0055】
一の好ましい実施の形態では、各基材層102、104、106、108、110、112、114、116、118、120は、異なる融点を有する2種類の異なる材料を含む2構成要素繊維で形成されたスクリムを備える。細繊維及びかかる複数構成要素繊維で形成された基材を備える複合フィルタ媒体は、本願出願人に譲渡されている国際特許出願PCT/US09/50392号の「ナノ繊維が取り付けられた複数構成要素フィルタ媒体」に記載されており、その開示の全体を参照により本明細書に組み込む。
【0056】
本実施の形態では、スクリムの2構成要素繊維の一の構成要素は他の構成要素よりもより低い融点を有する。この低融点構成要素は、ポリプロピレン、ポリエチレン又はポリエステル等の任意の適切なポリマーとすることができる。他の構成要素は、低融点構成要素よりも高い融点を有するポリマー、あるいはガラス及び/又はセルロース等の他の適切な繊維材料であってもよい。2構成要素繊維は、共に結合され、及び/又は共に圧縮され、それにより特定の厚さを有するスクリム又は基材フィルタ媒体を形成する。
【0057】
基材102、104、106、108、110、112、114、116、118、120として用いられるスクリムの2構成要素繊維は、高融点ポリマー構成要素と低融点ポリマー構成要素とを含むことができる。例えば、2構成要素(bi‐component)は、高融点ポリエステル及び低融点ポリエステルを備えてもよく、ここでは、一方が他方よりも高い融点を有する。図3は、一の実施の形態による2構成要素繊維22の模式図である。図示するように、2構成要素22は、同心に設けられた鞘/芯(sheath/core)型のものであり、芯24は、高融点ポリマー構成要素から形成され、鞘26は、低融点ポリマー構成要素から形成される。
【0058】
この高融点ポリマー構成要素は、低融点ポリマー構成要素よりも高い溶融温度を有するポリマーから形成される。適切な高融点ポリマーには、ポリエステル及びポリアミドが含まれるが、それらに限定されない。適切な低融点ポリマーには、ポリプロピレン、ポリエチレン、コポリエステル、又は選択された高温で溶融するポリマーよりも低い溶融温度を有する任意の他の適切なポリマーが含まれる。例えば、2構成要素繊維は、ポリエステルの芯及びポリプロピレンの鞘で形成されてもよい。本実施の形態では、2構成要素繊維は2種類の異なるタイプのポリエステルから形成され、一方の融点は他方の融点よりも高い。
【0059】
他のタイプの2構成要素繊維を、他の実施の形態で基材を形成するために用いるものとしてもよい。種々のタイプの2構成要素繊維のいくつかの例を図4乃至図10に模式的に示す。芯30及び鞘32を備える偏心して設けられた鞘/芯型の2構成要素繊維28を図4に示す。この繊維は、同心に設けられた鞘/芯繊維22と同様であるが、芯30は中心からずらして設けられる。これら2種類のポリマー構成要素の収縮率(shrinkage rates)が異なることにより、繊維は、加熱されると螺旋状に渦を巻く。これにより、他の場合であれば平坦な繊維が、加熱下では縮れて(crimp)かさ高になる(bulk)ことができ、その結果、異なる繊維再配置(fiber reorientation)、拡張、及び/又は表面の起伏(undulation)が生じる。
【0060】
図5は、第1のポリマー構成要素36及び第2のポリマー構成要素38を含む並列(side‐by‐side)型の2構成要素繊維34の模式図である。用途に応じて、第1のポリマー構成要素の融点は、第2のポリマー構成要素の融点より高くても低くてもよい。これは、偏心して設けられた鞘/芯繊維の更なる拡張であり、両ポリマーは繊維表面の一部を占めるように設けられる。適切なポリマーの選択により、この繊維は、偏心して設けられた鞘/芯繊維28よりも高いレベルの潜在的な縮れを展開させることができる。
【0061】
図6は、パイ楔(pie wedge)型の2構成要素繊維40の模式図である。パイ楔繊維40は、第1のポリマー構成要素42及び第2のポリマー構成要素44で形成された複数の隣接し合う楔(ウェッジ)を備える。各第1のポリマー構成要素42はどちらの側面上にも第2のポリマー構成要素44を有する。第1のポリマー構成要素42は第2のポリマー構成要素44よりもより高い又はより低い融点を有することができる。これらの繊維は、機械的撹拌(典型的には、液流交絡(hydroentangling))により複数の構成要素楔へと分割されて、フィルタ媒体中に0.1乃至0.2デニール(1.111×10−5g/m乃至2.222×10−5g/m)のマイクロ繊維をもたらすように設計される。
【0062】
図7は、第1のポリマー楔48及び第2のポリマー楔50を備える中空パイ楔(hollow pie wedge)型の2構成要素繊維46の模式図である。ここでも、用途に応じて、第1のポリマー楔48は第2のポリマー楔50よりもより高い又はより低い融点を有するポリマーで形成することができる。中空パイ楔繊維46は、パイ楔繊維40に類似するが、中空中心52の中心部を有し、これにより、楔の内側の先端部同士の接合が防止され、したがって分割が比較的容易となる。
【0063】
図8は、島/海(islands/sea)型の2構成要素繊維54の模式図である。この繊維は、「ペパローニピザ」構成ともいうことができ、第1のポリマー構成要素56はペパローニピザに例えるとペパローニに当たり、第2のポリマー構成要素58はペパローニピザに例えるとチーズに当たる。いくつかの実施の形態では、第1のポリマー構成要素56は、第2のポリマー構成要素58よりも高い融点のポリマーで形成されるか、又は第2のポリマー構成要素58は可溶性ポリマーで形成される。かかる実施の形態では、この繊維により、後に溶融又は分解されてしまう低融点ポリマー又は可溶性ポリマー58のマトリクス中に高融点ポリマー56の多数の細いストランド(strands)(より糸)を配置することが可能となる。これにより、細いマイクロ繊維で設けられた媒体を製造することが可能となる。なぜならば、これらの繊維は、個々の「ペパローニ」としてよりも「ピザ」の形態でプロセシングすることの方が容易だからである。ステープル繊維(staple fibers)(繊維の束)が各ピザ上の37個のペパローニからできるので、約0.04デニール(約4.444×10−6g/m)(直径約2マイクロメートル)又は更に細い繊維を生産することができる。
【0064】
2構成要素繊維を様々な形に形成してもよい。例えば、2構成要素繊維は、前述の2構成要素繊維のような断面が円形の円筒形でなくてもよい。図9及び図10は、複数の不規則な形を有する2構成要素繊維の複数の例を示す。これらの繊維は円形断面を有していないが、各繊維は本発明における意味(context)において直径を有している。非円形断面を有する繊維の直径は繊維の外周から測定される。図9は、3つ葉(trilobal)型の2構成要素繊維60、62の模式図である。3つ葉繊維60、62の各々は、第1のポリマー構成要素64、66及び第2のポリマー構成要素68、70を備える。3つ葉繊維60、62の各々は、その直径72、74によって測定される。いくつかの実施の形態では、第1のポリマー構成要素64、66は第2のポリマー構成要素68、70よりもより高い又はより低い融点を有するポリマーで形成される。
【0065】
図10は、端部(tipped)型の2構成要素繊維78、80の模式図である。繊維78は第1のポリマー中央部82と第2のポリマー端部84とを有する3つ葉端部型の2構成要素繊維である。繊維80は、第1のポリマー中央部86と第2のポリマー端部88とを有する十字端部型の2構成要素繊維である。好ましくは、第1のポリマー中央部82、86は第2のポリマー端部84、88よりも高い融点を有するポリマーで形成される。
【0066】
図1に戻って説明する。基材の繊維は細繊維の平均繊維直径よりも大きな平均繊維直径を有するように形成される。一の実施の形態では、基材の繊維は細繊維の平均繊維直径の少なくとも4倍の平均繊維直径を有する。他の実施の形態では、基材の繊維は、約0.6マイクロメートル超、好ましくは約3マイクロメートル超、より好ましくは5マイクロメートル超の平均繊維直径を有することができる。一の実施の形態では、基材の2構成要素繊維の平均直径は約1マイクロメートル乃至約40マイクロメートルであり、より典型的には、約10マイクロメートル乃至約40マイクロメートルである。
【0067】
粗繊維は、例えば、カレンダ加工ローラのセット及び/又はオーブンによって、圧縮及び/又は加熱され、基材102、104、106、108、110、112、114、116、118、120を形成し、基材層のいずれか一は、約0.05乃至1.0mm、好ましくは約0.1乃至0.5mmの厚さを有する。かかる基材は、細繊維に要求される構造的支持を提供することができる。任意の基材層として用いるために適した様々な厚さの2構成要素スクリムは、米国テネシー州RogersvilleのHDK Industries,Inc.又は他のフィルタ媒体供給者等の様々な供給者から市販により入手することができる。したがって、基材は、かかる用意された複数の2構成媒体から選択することができる。
【0068】
一の実施の形態では、各基材層102、104、106、108、110、112、114、116、118、120及び媒体122は、高融点ポリエステルの芯と低融点ポリエステルの鞘とを有する2構成要素ステープル繊維で形成されたスクリムを備える。この2構成要素ステープル繊維は、全体として圧縮されてスクリムを形成する。このとき、この2構成要素ステープル繊維は、化学的に、機械的に、及び/又は熱的に共に結合される。例えば、この2構成要素ステープル繊維は、低融点ポリエステルの溶融温度又はその付近まで加熱され、全体として圧縮される。低融点ポリエステルで形成された鞘は、溶融又は軟化し、結合剤として機能して繊維を一体に結合する。
【0069】
細繊維124、126、128、130、132、134、136、138、140、142は、対応する基材102、104、106、108、110、112、114、116、118、120上にそれらが形成されたままに直接堆積することができる。代替として、細繊維を細繊維ウェブとして別途用意してから、基材と共に積層してもよい。細繊維は、多様な繊維直径を有する繊維を備えることができるが、好ましくは、細繊維は、非常に細い繊維直径を有するナノ繊維とする。かかる細繊維は、電界紡糸プロセス又は他の適切なプロセスにより形成することができる。一の実施の形態では、細繊維は、約1マイクロメートル未満、好ましくは0.5マイクロメートル未満、より好ましくは0.01乃至0.3マイクロメートルの平均繊維直径を有する電界紡糸ナノ繊維とする。本明細書に後述する実施例では、0.08マイクロメートル(80nm)というより小さな平均直径を用いている。かかる小直径の細繊維は、所与の体積においてより多数の繊維を一緒に詰め込むことを可能にすることにより、繊維表面積を増大させることが可能であり、これにより、ろ過効率が向上すると共に、フィルタ媒体の圧力損失(pressure drop)を減少させることができる。
【0070】
細繊維を様々な適切なポリマー材料で形成してもよい。フィルタ媒体100の加熱時及び/又は圧縮時の細繊維の破壊(destruction)を回避するために、細繊維は、典型的には、基材の2構成要素繊維の少なくとも低融点構成要素よりも高い溶融温度を有する材料から形成される。好ましい実施の形態では、細繊維はポリアミドから形成される。他の適切なポリマーには、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリオレフィン、ポリアセタール、ポリエステル、セルロースエーテル、ポリアルキレンスルフィド、ポリアリレンオキシド、ポリスルホン、変性ポリスルホンポリマー及びポリビニルアルコール、ポリアミド、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニリデン、ポリメチルメタクリレート、ポリフッ化ビニリデンが含まれるが、それらに限定されない。静電紡糸用のポリマー溶液を作るための溶剤には、酢酸、ギ酸、m−クレゾール、トリフルオロエタノール、ヘキサフルオロイソプロパノール塩化溶剤、アルコール、水、エタノール、イソプロパノール、アセトン、及びN−メチルピロリドン、並びにメタノールが含まれてもよい。
【0071】
一の実施の形態では、細繊維は、電界紡糸によりナイロン(登録商標)‐6(ポリアミド‐6、本明細書においては「PA‐6」とも呼ぶ)から形成され、電界紡糸される細繊維は基材上に直接堆積される。本実施の形態では、細繊維124は、ナイロン(登録商標)‐6を含有する溶液から静電気により生成され、基材102の表面上に堆積する。細繊維126は、同様に基材層104上に生成及び堆積することができる。電界紡糸されたナノ繊維124、126、128、130、132、134、136、138、140、142で覆われた基材層102、104、106、108、110、112、114、116、118、120は、その後、細繊維の各層が隣接する基材及び/又は媒体122に挟まれて図2に示す圧縮前状態144のフィルタ媒体100を形成するように、媒体122と共に積層される。前述のように、図1及び図2に示す通り、圧縮前状態144のフィルタ媒体100は、その後圧縮されて、その最終的な圧縮状態146のフィルタ媒体100を形成する。好適な実施の形態では、フィルタ媒体100は圧縮前、圧縮中及び/又は圧縮後に加熱される。例えば、圧縮前状態144のフィルタ媒体100は、ローラ148、150のセットを通過する前に加熱される。また、ローラ148、150のセットを加熱して、圧縮中にフィルタ媒体100を更に加熱することができる。
【0072】
細繊維と、隣接する基材及び/又は媒体122のより粗い繊維との間の結合は、溶剤による結合、加圧による結合、及び/又は熱による結合(融着)を含んでもよい。例えば、細繊維を、溶剤を含有するポリマー溶液から静電気により生成する場合、細繊維の表面に残っている溶剤は、細繊維が基材の粗繊維と接触状態になるときに、溶剤による結合を生じさせることができる。更に、基材の2構成要素繊維の低融点構成要素は、細繊維と基材の隣接する粗繊維との間の結合を強化するために用いることができる。かかる実施の形態では、フィルタ媒体100は、低融点構成要素の融点又はその付近まで加熱され、圧縮される。2構成要素の粗繊維の低融点構成要素が溶融又は軟化することにより、隣接する細繊維及び低融点構成要素が共に圧縮される際に、隣接する細繊維が低融点構成要素内に埋め込まれ得るようになり、これにより、粗繊維と細繊維との間の結合が強化される(加圧による結合及び熱による結合による)。好ましい一の実施の形態では、細繊維と細繊維がその上に堆積する基材との間の接着は、細繊維と他の隣接する基材との間の接着よりも強い。例えば、細繊維124と基材102との間の接着は、細繊維124と基材104との間の接着よりも強い。そのため、剥離が強制されると、細繊維124は基材104から剥離され、基材102上に留まる。このように強制されたとき、かかる実施の形態のフィルタ媒体100は、細繊維を担持する10層の基材(102/124、104/126、106/128、108/130、110/132、112/134、114/136、116/138、118/140、120/142)及び媒体122に分離されることができる。
【0073】
一の実施の形態では、各基材層は、約1乃至40マイクロメートルの平均繊維直径と約0.5乃至15オンス/平方ヤード(約16.953g/m乃至508.59g/m)の坪量とを有する2構成要素繊維スクリムから形成される。2構成要素繊維は高融点ポリエステルの芯と低融点ポリエステルの鞘とを備える。細繊維はナイロン(登録商標)‐6で形成された電界紡糸ナノ繊維である。細繊維は約0.01乃至0.5マイクロメートルの平均繊維直径を有し、細繊維の各層124、126、128、130、132、134、136、138、140、142は約0.03g/m乃至0.5g/mの坪量を有し、0.3g/m乃至5g/mの細繊維の総被覆坪量をもたらす。液体から微粒子をろ過する用途のためのフィルタ媒体100の細繊維カバレッジは、気体用途フィルタ媒体又は空気用途フィルタ媒体の細繊維カバレッジよりも著しく大きい。各基材層上の細繊維の目標坪量は、細繊維の平均直径並びにフィルタ媒体の所望の効率及び能力(capacity)に応じて選択される。フィルタ媒体100の所望の効率及び能力は、細繊維直径、各基材上の細繊維カバレッジ、細繊維層の数、かさ高(lofting)の量及び圧縮の量を調節することにより得ることができる。
【0074】
細繊維カバレッジは、坪量に関して特徴付けることができるが、坪量は、ポリマー(又は複数のポリマー)の比重量(specific weight)と細繊維の直径とに依存する。したがって、面積当たりの直線カバレッジ(linear coverage per area)(km/m)に関して細繊維カバレッジを特徴付けることは最も有用である。なぜならば、これにより、比重量及び繊維直径に関連する多様性が排除されるからである。したがって、直線カバレッジにより、繊維量として定義される繊維の量が正しく示される。これによれば、好ましい細繊維直線カバレッジの範囲は、最も多い量のカバレッジ細繊維については、5,000km/m超、より好ましくは10,000km/m超、最も好ましくは20,000km/m乃至60,000km/mである。以下の表1には、本発明の実施の形態による約0.08マイクロメートル(80nm)の平均繊維直径を有する細繊維についての坪量及び直線カバレッジを含む多様な見地(項目)において、細繊維カバレッジが示される。これらの実施の形態の細繊維は、電界紡糸プロセスにより、1.084g/cmの密度を有するPA‐6から形成される。表1は0.03乃至0.225g/mに形成された細繊維質量カバレッジを含む。
【0075】
【表1】

【0076】
表2は、本発明の多様な実施の形態による細繊維で被覆された多層基材を含むフィルタ媒体を示す。細繊維は、表1に示す実施の形態による工程速度(line speeds)の一によって基材層上に付与された。
【0077】
【表2】

【0078】
細繊維カバレッジは、80nm繊維を用いた実施例及び他の計算に基づけば、繊維直径に基づいて変わり得るが、典型的には、500nm未満の平均直径を有する細繊維を用いた実施の形態では、広範な特徴付け及び特許請求の範囲の目的に照らして同様のカバレッジ範囲を持つことになるだろう。
【0079】
[複数層複合フィルタ媒体を製造する方法]
【0080】
図11は、本発明のプロセス(方法)の実施の形態によるフィルタ媒体を製造する典型的なプロセスの模式図である。本実施の形態は、図1に示すフィルタ媒体100を製造するためのプロセスステップを含むが、このプロセスは、非本質的な改変(minor modifications)を伴って本発明の他の実施の形態によるフィルタ媒体を生産することもできる。図11に示すシステム200は、基材と基材上に堆積させた細繊維とを含む複合媒体を製造するための上流システム201と、複合媒体の複数の層を積層し、かさ高にし、及び圧縮して、液体から微粒子をろ過する用途のための複数層複合フィルタ媒体(multilayer composite filter media)を製造するための下流システム203とを含む。
【0081】
上流システム201は巻出しステーション202、電界紡糸ステーション204、オプション(追加するか否かは任意)であるオーブン206、オプションであるローラ207のセット及び巻戻しステーション208を含む。本実施の形態では、基材層として用いられるスクリムロール210が巻出しステーション202から巻き出される。スクリムロール210から巻き出されたスクリム212は、マシン方向214に電界紡糸ステーション204へ向けて移動する。電界紡糸ステーション204では、細繊維216がスクリム212の一方の表面に形成されて堆積し、細繊維216を担持するスクリムを備える複合媒体218を形成する。複合媒体218を巻戻しステーション208上の複合媒体ロール230へ巻き付ける前に、細繊維と基材との間の接着を向上させるためにオプションであるオーブン206及びオプションであるローラ207のセットで加熱及び圧縮してもよい。
【0082】
スクリムを、システム200の上流プロセス(連続ラインプロセスの一部又は断続ラインプロセスのいずれか)で形成してもよく、又はHDK等の供給者又はH&V若しくはAhlstrom等の他の適切な媒体供給者又は同様の供給者からロール形態で購入してもよい。スクリムを、前述の図3乃至図10に示す2構成要素繊維等の様々な適切な材料から形成することができる。例えば、スクリムを、高融点ポリエステルの芯/低融点ポリエステルの鞘の2構成要素ステープル繊維で形成することができ、2構成要素ステープル繊維は圧縮及び/又は加熱されて、所望の厚さと固体性(中実性)とを有するスクリムロール210を形成する。代替として、基材層は、圧縮されて溶剤結合又は熱結合等により定位置に保持される(成形される)他の単一構成要素媒体(single component media)であってもよい。
【0083】
例えば2構成要素繊維の場合、同心に設けられた鞘/芯型の2構成要素繊維を、芯として高融点ポリエステルを用い、鞘として低融点ポリエステルを用いて同時押出成形(coextrude)してもよい。そして、かかる2構成要素繊維を、スクリム又はフィルタ媒体を形成するために用いることができる。一の実施の形態では、2構成要素繊維を、ステープル繊維(staple fibers)(ステープルファイバ)((短く)切断した繊維)として用いることにより、従来の乾式積層プロセス又は空気積層プロセスによって複数構成要素フィルタ媒体又はスクリムを形成する。このプロセスで用いられるステープル繊維は比較的短く不連続なものであるが、従来の装置で扱うためには十分な長さである。2構成要素繊維の複数の包装(bales)は、シュート供給(chute feed)を経由して供給され、カーディング装置(carding device)で個々の繊維に分離されてから、繊維ウェブへと空気積層(air laid)される(この繊維ウェブ自体は、本開示においては基材として用いることができる)。次に、繊維ウェブを、カレンダ加工ローラのセットを用いて圧縮し、スクリムロール210を形成する(このスクリムロール210は基材としても用いることができる)。追加するか否かは任意に、繊維ウェブをカレンダ加工ローラのセットに入れる前に加熱してもよい。本実施の形態のスクリム210は、高融点構成要素及び低融点構成要素を含む2構成要素繊維を備えるため、2構成要素フィルタ媒体とも呼ばれる。いくつかの実施の形態では、繊維ウェブをカレンダリング(圧延加工)する前に折り畳んで、より厚い2構成要素フィルタ媒体を形成する。
【0084】
別の実施の形態では、ポリエステル繊維等の高融点ポリマー繊維を備えるウェブ、及びポリプロピレン繊維等の低融点ポリマー繊維を備えるウェブを分離して形成し、共に積層することにより、2構成要素フィルタ媒体又はスクリムのロールを形成することができる。かかる実施の形態では、細繊維216は、スクリム212の低融点側に堆積される。この実施の形態では、低融点ウェブは、低融点構成要素が加熱及び溶融されたときに高融点ウェブの表面を塞がないように、高融点ウェブよりも実質的に薄く設けられる。
【0085】
他の実施の形態では、2構成要素繊維スクリムは、溶融ブロープロセス(melt blowing process)により形成することができる。例えば、溶融ポリエステル及び溶融ポリプロピレンが、加熱された高速空気を伴って押出し及び引抜き成形されることで粗繊維を形成することができる。この繊維は、移動中の網(screen)上にウェブとして収集されることにより2構成要素スクリム210を形成することができる。
【0086】
また、複数構成要素繊維フィルタ媒体又はスクリムは、少なくとも2種類の異なるポリマー材料を用いてスパンボンド(spun−bonded)(紡糸接着)されてもよい。典型的なスパンボンドプロセスでは、溶融ポリマー材料が複数の押出成型開口(extrusion orifices)を通過することにより複数糸紡糸工程(multifilamentary spinline)が形成される。この複数糸紡糸工程では、その引張り強さを高めるために引き抜かれ、固体化を生じさせる急冷ゾーンを通過させられて、移動する網(screen)等の支持体の上に集められる。スパンボンドプロセスは溶融ブロープロセスに類似するが、溶融ブローによる繊維はスパンボンドによる繊維よりもより細いのが通常である。
【0087】
更に他の実施の形態では、複数構成要素フィルタ媒体は湿式積層(wet−laid)される。湿式積層プロセスでは、高融点繊維及び低融点繊維が搬送ベルト上に分散され、これらの繊維は、湿った状態にある間に均一なウェブへと広げられる。湿式積層操作では、典型的には1/4乃至3/4インチ(6.35mm乃至19.05mm)の長さの繊維が用いられるが、繊維が硬かったり太かったりする場合には時として、より長い繊維を用いる。多様な実施の形態による前述の繊維は、圧縮されることにより、所望の厚さを有するスクリム210又はフィルタ媒体を形成する。
【0088】
再び図11を参照して説明する。スクリム212は、細繊維216が形成されてスクリム212の一方の表面上に堆積する、電界紡糸ステーション204に入る。電界紡糸ステーション204において、細繊維216は、電界紡糸セル222から電界紡糸され、スクリムウェブ212の上に堆積する。システム200の電界紡糸プロセスは、本願出願人に譲渡された米国特許公開2009/0199717号の「100ナノメートル未満の細繊維及び方法」に開示されている電界紡糸プロセスと実質的に同様とすることができ、その開示の全体を参照により本明細書に組み込む。代替として、ノズルバンク(nozzle banks)又は他の電界紡糸設備を用いて細繊維を形成することもできる。このような代替としての電界紡糸装置又はセル222のチェーン電極の経路変更により、繊維を所望の配向に堆積させることが可能となる(例えば、繊維は上方向に紡糸されていることが示されているが、粗繊維を搬送するコンベヤ上へ繊維を下方向、水平方向、又は対角方向に紡糸することも可能である)。
【0089】
この電界紡糸プロセスは、ナノ繊維としても知られる小直径の合成繊維を生産する。静電紡糸の基本プロセスは、高電圧勾配等の強電界が存在する中での、溶融ポリマーの流れ又はポリマー溶液の流れへの静電荷の導入を伴う。電界紡糸セル222においてポリマー流体へ静電荷を導入することにより、荷電流体噴流(荷電流体ジェット)が形成される。この荷電噴流は、静電界中で加速して細くなり、接地コレクタ(ground collector)の方向に引き付けられる。かかるプロセスにおいては、ポリマー流体の粘弾性力により、この噴流は安定化し、小直径の糸(filaments)が形成される。繊維の平均直径は、静電紡糸セル222の設計及びポリマー溶液の配合により制御することができる。
【0090】
細繊維を形成するために用いるポリマー溶液は、様々なポリマー材料及び溶剤を含むことができる。例示のポリマー材料には、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリオレフィン、ポリアセタール、ポリエステル、セルロースエーテル、ポリアルキレンスルフィド、ポリアリレンオキシド、ポリスルホン、変性ポリスルホンポリマー及びポリビニルアルコール、ポリアミド、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニリデン、ポリメチルメタクリレート、ポリフッ化ビニリデンが含まれる。静電紡糸用のポリマー溶液を作るための溶剤には、酢酸、ギ酸、m−クレゾール、トリフルオロエタノール、ヘキサフルオロイソプロパノール塩化溶剤、アルコール、水、エタノール、イソプロパノール、アセトン、及びN−メチルピロリドン、並びにメタノールが含まれてもよい。この溶剤とポリマーは、所与の溶剤及び/又は溶剤混合物(両方とも「溶剤」と呼ぶ場合がある)中のポリマーの十分な可溶性に基づいて、適切に用いるために組み合わせることができる。例えば、ギ酸をナイロン(登録商標)‐6に対して選択してもよい。細繊維の電界紡糸に関する更なる詳細については前述の特許を参照することができる。
【0091】
電界紡糸ステーション204において、高電圧差を生じさせる高電圧を供給することにより、電界紡糸セル222内の電極と真空コレクタコンベヤ(vacuum collector conveyor)224との間に静電界が生成される。図11に示すように、細繊維216が形成される複数の電界紡糸セル222を設けてもよい。電界紡糸セル222の電極で形成された細繊維216は、静電界により与えられる力によって真空コレクタコンベヤ224の方向に引かれる。また、真空コレクタコンベヤ224は、スクリム212を保持し、機械方向214にスクリム212を移送する。この構成では、スクリム212は、細繊維216がスクリム212上に堆積するように電界紡糸セル222と真空コレクタコンベヤ224との間に配置される。スクリム212が一方の表面上の低融点構成要素と他方の表面上の高融点構成要素とを含む複数構成要素フィルタ媒体である実施の形態では、複数構成要素スクリム212は、複数構成要素スクリムの低融点構成要素表面が電界紡糸セル222に対面するように、電界紡糸セル222と真空コレクタコンベヤ224との間に配置される。
【0092】
好ましい一の実施の形態では、電界紡糸セル222は、ポリアミド‐6(PA‐6)と、2/3の酢酸及び1/3のギ酸からなる適切な溶剤とを含むポリマー溶液を収容する。かかる溶剤において、酢酸及びギ酸は共に、PA‐6を溶解するための溶解剤として機能し、酢酸は、ポリマー溶液の導電性及び表面張力を制御する。電界紡糸セル222は、PA‐6から形成される細繊維を生成し、この細繊維は、スクリム212の表面上に堆積される。細繊維216がスクリム212の表面に堆積されると共に、いくらかの細繊維216は、電界紡糸セル222に対面するスクリムの表面近傍の粗繊維と交絡(entangle)する。いくらかの細繊維216が、いくらかの粗繊維と交絡するときに、電界紡糸プロセスからの細繊維216内に残留する溶剤は、細繊維216とスクリム212の粗繊維との間に溶剤結合を生じさせることができる。
【0093】
他の実施の形態では、細繊維は、溶融ブロープロセス等の他の適切なプロセスにより形成することができる。例えば、約0.6乃至0.7マイクロメートルの平均繊維直径を有する細繊維を、電界の影響下で溶融ブローにより形成することができる。かかる実施の形態では、基材用の粗繊維は細繊維の平均繊維直径の少なくとも4倍以上に大きな平均繊維直径を有するように用意される。差異化のために、溶融ブロー繊維(melt blown fibers)及び電界紡糸ナノ繊維(electrospun nanofibers)は、包括的であることを意図する細繊維よりも更に特定的な用語であることを意図している。
【0094】
スクリム212の2構成要素繊維と細繊維216との間の結合は、オプション(追加するか否かは任意)であるオーブン206とオプションであるカレンダ加工ローラ207のセットとにより、熱結合及び加圧結合によって強化することができる。複合媒体218が、オーブン206内で加熱されると、2構成要素繊維の低融点ポリマー構成要素が軟化又は溶融して、細繊維216が低融点ポリマー構成要素内に埋め込まれることを可能とする。したがって、熱処理中は、複合フィルタ媒体218は、低融点構成要素のガラス転移温度を少なくとも上回るまで、より好ましくは低融点構成要素の溶融温度又はその付近まで、加熱される。例えば、複合媒体218は、2構成要素繊維の外側の低融点ポリエステル層が溶融し、PA‐6から形成された細繊維216と結合するように、低融点ポリエステルの融点まで又はその付近まで加熱される。かかる実施の形態では、PA‐6及び高融点ポリエステルの溶融温度は、低融点ポリエステルの溶融温度よりも著しく高いので、PA‐6細繊維216及び2構成要素繊維の高融点ポリエステルの芯は溶融しない。最も低い溶融温度を有する低融点ポリエステルは溶融又は軟化し、隣接するPA‐6細繊維216は、この軟化又は溶融した低融点ポリエステル内に埋め込まれ、それにより細繊維216とスクリム212とが結合して合体する。したがって、低融点ポリエステルは、2構成要素繊維スクリム212と細繊維216との間の結合剤として機能する。細繊維216とスクリム212との間の結合は、ローラ207のセットによる加圧結合により更に強化することができる。複合媒体がローラ207を通過すると、細繊維216及びスクリム212は一緒に圧縮され、細繊維はスクリム212の繊維中へ更に埋め込まれる。更に、この圧縮により複合媒体中の空隙(voids)が減少されて、増大された固体性(中実性)を有する複合媒体220が形成される。
【0095】
図12A乃至図12Dはスクリム212の2構成要素繊維及びスクリム212の表面近傍の細繊維216を多様な倍率で示す走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示す図である。図12A及び図12Bの300倍及び1,000倍で示すSEM画像に見られるように、スクリムウェブ212上に堆積した細繊維216は、スクリム212の表面近傍に位置するより粗い2構成要素繊維の間の蜘蛛の巣状の繊維構造を形成する。より高い倍率で得られたSEM画像(2,000倍の図12C及び10,000倍の図12D)は、細繊維216と2構成要素繊維との間の結合を示す。図12Dに鮮明に示すように、細繊維216は、2構成要素繊維の低融点ポリエステル表面に埋め込まれている。
【0096】
2構成要素スクリム212と細繊維216とを含む複合媒体ロール230は、下流システム203において、他の複合媒体232、234、236、238、240、242、244、246、248及び媒体250と積層される。各複合媒体ロール230、232、234、236、238、240、242、244、246、248及び媒体ロール250は、巻出しステーション252、254、256、258、260、262、264、266、268、270、272から巻き出され、ローラ274のセットによって共に積層される。このローラのセットは積層体に著しい圧力を印加し、複合媒体の層の厚さを大幅に減少させるカレンダ加工ローラであってもよい。あるいは、ローラ274のセットは積層体に小さい圧力を印加し、オーブン276を通り抜けるためにちょうど十分な厚さに合わせるようにこの積層体の厚さを減少するものとしてもよい。かかる実施の形態では、積層された複数の層280はオーブン276で加熱され、カレンダ加工ローラ282のセットにより圧縮される。このとき、積層された複数の層280は、所望の厚さ及び固体性(solidity)(中実性)を有する圧縮状態へ一緒に圧縮される。
【0097】
本実施の形態では、各複合媒体ロール232、234、236、238、240、242、244、246、248は、複合媒体ロール230と同様に用意される。したがって、各複合媒体ロール232、234、236、238、240、242、244、246、248は、2構成要素繊維スクリムで形成された基材284、286、288、290、292、294、296、298、300及び2構成要素繊維スクリム284、286、288、290、292、294、296、298、300に担持される電界紡糸されたナノ繊維302、304、306、308、310、312、314、316、318を含む。
【0098】
一の実施の形態では、各基材212、284、286、288、290、292、294、296、298、300及び媒体250は約0.05mm乃至1.0mmの厚さを有する同一の2構成要素繊維スクリムで形成される。各細繊維層216、302、304、306、308、310、312、314、316、318は電気紡糸PA‐6ポリマー溶液によって形成され、0.03g/m乃至0.5g/mの細繊維カバレッジ(細繊維被覆率)をもたらす。他の実施の形態では、基材は、異なるタイプのフィルタ媒体又はスクリム、及び異なる細繊維カバレッジを有することができる各細繊維層で形成されてもよい。
【0099】
複合媒体280は、オーブン276内で、2構成要素繊維スクリムの低融点ポリエステル構成要素の溶融温度又はその付近まで加熱される。
【0100】
加熱中、基材は弛緩し、その厚さを拡張することができる。したがって、このかさ高となった複合媒体281の厚さは、オーブン276内で加熱される前の複合媒体280の厚さの少なくとも1.5倍、2倍、3倍又はそれ以上になり得る。次に、かさ高となった複合媒体281は、カレンダ加工ローラ282のセットにより圧縮状態320へと圧縮される。複合媒体は、複合媒体280の厚さが、加熱前の複合媒体280の元の厚さの約50%乃至300%、好ましくは約70%乃至200%、更に好ましくは約80%乃至150%((10層の細繊維層を担持する10層のスクリム層の合計の厚さ+媒体の厚さ−圧縮状態320の複合媒体の厚さ)/(10層の細繊維層を担持する10層のスクリム層の合計の厚さ+媒体の厚さ))だけ減少するように圧縮される。厚さの減少は、加熱中のかさ高量に依存することができる。したがって、加熱によるかさ高量が大きい場合、圧縮後の複合媒体の最終厚さは、加熱前の複合媒体の初期厚さよりも厚くなることができる。次に、圧縮状態320にある複合媒体はフィルタ媒体ロール324へと巻かれる。
【0101】
本実施の形態では、複合媒体ロール230、232、234、236、238、240、242、244、246、248及び媒体250は、各細繊維層216、302、304、306、308、310、312、314、316、318が隣接する基材層及び/又は媒体との間に挟まれるように共に積層される。しかしながら、他の実施の形態では、複合媒体層は、細繊維層のいくつかが相互に対面することにより最終複合媒体320内において細繊維の相互結合(fine fiber to fine fiber bonding)又は基材の相互結合(substrate to substrate bonding)を形成するように、積層してもよい。例えば、システム200を用いて、図15に示すフィルタ媒体500を製造することができる。この実施の形態では、第1の5つの巻出しステーション252、254、256、258、260はそれぞれ、ナノ繊維が図11に示すように上方に向くように、複合媒体ロールを巻き出す。しかしながら、巻出しステーション262は、ナノ繊維が下方に向くように複合媒体を巻き出す。そのため、図15に示すように、第1の4つの基材層上の細繊維514、516、518、520は、基材502、504、506、508、510の間に挟まれる。しかしながら、基材510上の細繊維522及び基材512上の細繊維524は、相互に対面して、細繊維‐細繊維を形成する。
【0102】
図13は、本発明の別の実施の形態によるフィルタ媒体を製造するシステム及びプロセス(方法)の模式図である。システム400は、概して、巻出しステーション402、電界紡糸ステーション404、折り畳みステーション406、ローラ408のセット、オーブン410、カレンダ加工ローラ412のセット、及び巻戻しステーション414を含む。
【0103】
この実施の形態では、基材416のロールが、巻出しステーション402から巻き出され、電界紡糸ステーション404へ移送され、この電界紡糸ステーション404において、細繊維が基材416の表面上に形成及び堆積される。電界紡糸ステーション404及びそのプロセスは、前述の電界紡糸ステーション204及びそのプロセスと同様である。この実施の形態では、基材416は、高融点ポリエステルの芯及び低融点ポリエステルの鞘を含む2構成要素繊維で形成されたスクリムである。細繊維418はPA‐6で形成される。
【0104】
基材416と細繊維418とを含む複合媒体420は、折り畳みステーション406で折り畳まれる。複合媒体420は、最終的な媒体の所望の特性に応じて2乃至20折りの厚さに折り畳むことができる。図示のように、この折り畳みにより、細繊維相互(fine fiber to fine fiber)の積層面及び基材相互(substrate to substrate)の積層面が生じる。この実施の形態における折り畳みステーション406は、折り目がローラ408のセットの方向を指すような、ライン(工程)方向における複合媒体420の折り畳みとして示される。しかしながら、他の実施の形態では、複合媒体420を、折り目が電界紡糸ステーション404の方向を指すように折り畳んでもよく、又はライン(工程)を横切る方向に折り畳んでもよい。次いで、折り畳まれた複合媒体422は、オーブン410を通り抜けるのに適した厚さにまで圧縮される。複合媒体424が加熱されると共に、低融点ポリエステルの鞘が溶融又は軟化して、層間の熱結合を生じさせる。オーブン410を出た後で、複合媒体424は、カレンダ加工ローラ412のセットを通過する。カレンダ加工ローラ412は、媒体の所望の最終厚さに応じて相互に離間される。複合媒体424は、カレンダ加工ローラ412のセットを通過する際に、所望の厚さを有する圧縮状態へ圧縮される。
【0105】
更に、媒体層426、428が、媒体430の各表面上に積層され、巻戻しステーション414でロールに巻かれる。媒体430、媒体層426、428を含むフィルタ媒体432の拡大断面図を図13に示す。図示するように、媒体430は、折り畳みプロセスにより、傾斜(斜め)方向に複数層の基材416及び複数層の細繊維418を含む。媒体層426、428は、任意の適切な媒体で形成することができるが、この実施の形態では、媒体層426、428は、基材416に用いられる同一の2構成要素繊維スクリムで形成される。
【0106】
図14は、媒体を製造するためのシステム及びプロセス(方法)の更に別の実施の形態を示す。システム600はシステム400に類似するが、この実施の形態における細繊維は、基材上に堆積されない。代わりに、細繊維は、緩く交絡させた粗繊維ウェブ上に形成及び堆積される。システム600は、全体として、シュート(chute)供給装置602、カーディング装置(carding device)603、電界紡糸ステーション604、折り畳みステーション606、ローラ608のセット、オーブン610及びカレンダ加工ローラ612のセット及び巻戻しステーション614を含んでいる。
【0107】
システム600において、粗繊維ウェブ616は、乾式積層プロセス又は空気積層プロセスを用いてステープル繊維から形成される。この実施の形態のステープル繊維は、高融点ポリエステルの芯及び低融点ポリエステルの鞘を備える2構成要素繊維である。2構成要素ステープル繊維は、比較的短く、不連続であるが、従来の設備で扱うために十分な長さを有する。ステープル繊維の複数の包装(bales)が、シュート供給装置602を通って供給される。カーディング装置603において、2構成要素ステープル繊維は個別の繊維に分離され、空気積層されて、粗繊維ウェブ616を形成する。ここで、粗繊維ウェブ616は強く綿毛状に膨らめられた(fluffed)厚い状態で共に緩く交絡され、共に結合されていなくてもよい。粗繊維のウェブ616は、手作業による非常にわずかな労力で容易にバラバラにすることができ、この点で、従来の意味ではフィルタ媒体又は基材と見ることができない程まで構造的完全性が低い。
【0108】
粗繊維ウェブ616は、コンベヤベルト617により電界紡糸ステーション604に向けて移送され、そこで細繊維618が形成されて、粗繊維ウェブ616の表面上に堆積する。細繊維618が粗繊維ウェブ616の上に堆積すると共に、細繊維618は、基材416を用いた前述の実施の形態以上に、粗繊維ウェブ616の粗繊維と一体化する。その理由は、粗繊維ウェブ616が、はるかに多くの多孔質性とはるかに低い密度とを有し、それにより細繊維618のより深い一体化が可能となるからである。
【0109】
次に、細繊維618と一体化した粗繊維ウェブ616は、折り畳みステーション606で10乃至30折りへと折り畳まれ、ローラ608のセットで圧縮され、オーブン610で加熱され、システム400と同様に、カレンダ加工ローラ612のセットで再び圧縮される。次に、媒体630は、媒体層626及び多孔層628と共に積層されて、フィルタ媒体632を形成する。この実施の形態の媒体630の粗い2構成要素繊維と細繊維とは、はるかに強く一体化される。したがって、媒体630の断面からは複数の層が見えず、ほとんど単体の一体化された媒体630のように見える。媒体630は、炭化水素燃料流れ等の液体の流れから微粒子成分を捕捉するために十分な細繊維カバレッジ及び構造完全性を有する。
【0110】
本発明の多様な実施の形態による媒体は、様々な用途のために様々な形状と大きさに構成することができる。例えば、これらの媒体を、スピンオンフィルタ(螺合取付ろ過材)用途、大型燃料ろ過容器、航空機用フィルタシステム、液圧フィルタエレメント、バイオ燃料システム、ディーゼル燃料フィルタ、潤滑油フィルタ、及び水ろ過システムに使用することができる。媒体にひだ加工(pleated)又はギャザー加工(gathered)を施して、溝付きフィルタ(fluted filter)、ひだ付きフィルタ(pleated filter)、又は他のかかる典型的なフィルタエレメント構成とすることができる。
【実施例】
【0111】
[実施例及び試験結果]
【0112】
図15は、本発明の別の実施の形態によるフィルタ媒体500を模式的に示す断面図である。フィルタ媒体500はフィルタ媒体100と同様に設けられるが、細繊維を担持する10層の基材ではなく、6層の基材502、504、506、508、510、512を含み、各基材は、細繊維514、516、518、520、522、524を担持する。更に、基材層512と細繊維524とを備える最上流の複合媒体層は、細繊維524が細繊維522に対面して細繊維‐細繊維界面を形成するように、反転される。図示するように、基材512は、フィルタ媒体500の上流面526を形成するので、細繊維は露出することなく保護される。
【0113】
フィルタ媒体500の試験サンプルを実験室で製作した。本明細書で説明する全ての実施の形態の試験サンプルは、サンプル面積が0.1平方フィート(9290.3mm)となるように製作される。35.0GSY(41.86g/m)の坪量を有する高融点ポリエステルの芯と低融点ポリエステルの鞘とを備える2構成要素繊維スクリムを、各基材層502、504、506、508、510、512に用いた。細繊維は、電界紡糸プロセスにより、PA‐6を含むポリマー溶液から形成し、各基材層の上に堆積させた。基材512上には、平均繊維直径が0.08マイクロメートルの、約0.05g/mのPA‐6ナノ繊維524を形成して堆積させた。このレベルの細繊維坪量により、約9176km/m(5,702マイル/m)の直線細繊維カバレッジが得られる。基材510上には、平均繊維直径が0.08マイクロメートルの、約0.15g/mのPA‐6ナノ繊維522を形成して堆積させた。このレベルの細繊維坪量により、約27,530km/m(17,106マイル/m)の直線細繊維カバレッジが得られる。各基材層502、504、506、508上には、平均繊維直径が0.08マイクロメートルの、約0.225g/mのPA‐6ナノ繊維514、516、518、520を形成して堆積した。このレベルの細繊維坪量により、各基材上に、約41,290km/m(25,659マイル/m)の直線細繊維カバレッジが得られる。したがって、フィルタ媒体500は約1.1g/mの合計細繊維坪量を有し、この坪量は、約201,866km/m(125,444マイル/m)の直線繊維カバレッジをもたらす。
【0114】
細繊維を担持する6層の基材層を、図15に示すように配置した。それにより、基材層512が上流面526を形成し、基材層502が下流面528を形成する。6層の複合媒体層を、前述の実施の形態で説明したようなカレンダ加工ローラにより加熱及び圧縮して複合フィルタ媒体500を形成した。
【0115】
ろ過性能を評価するためのマルチパス法に関するISO16889国際標準にしたがって、フィルタ媒体500の試験サンプルを製作して、試験を行った。全ての試験は、ISOMTD試験用ダストを添加され、試験温度での粘度は15mm/sである液体の流体Mil−H−5606を用いて実施した。
【0116】
第1の試験では、5.00mg/Lの基本上流汚染濃度を有する試験流体を、0.26GPM(0.984リットル/分)の流量で使用した。図16は、1mL当たりの微粒子数(particle counts)及び6時間の試験期間の間の10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%及び100%の時間間隔でのろ過率(filtation ratio)を示す。試験結果を、ISO4406:99清浄度コード(R4/R6/R14)にしたがって流体清浄度等級(fluid cleanliness rating)に換算すると、10%時間間隔での清浄度等級は7/5/0、100%時間間隔で13/11/7、平均は6/4/0である。
【0117】
第2の試験では、15.00mg/Lの基本上流汚染濃度を有する試験流体を、0.26GPM(0.984リットル/分)の流量で使用した。図17は、1mL当たりの微粒子数及びろ過率の試験結果を示す。10%時間間隔での清浄度等級は7/6/0、100%時間間隔で19/18/14、平均は12/11/7である。
【0118】
第3の試験のためのフィルタ媒体500の試験サンプルを、第1の試験及び第2の試験のための試験サンプルと同様に実験室で製作した。しかし、各基材層の細繊維坪量を変更した。各基材510及び512上に、0.08マイクロメートルの平均繊維直径を有する約0.05g/mのPA‐6ナノ繊維522、524を形成して堆積させた。このレベルの細繊維坪量により、各基材上に約9176km/m(5,702マイル/m)の直線細繊維カバレッジが得られる。基材508上に、0.08マイクロメートルの平均繊維直径を有する約0.075g/mのPA‐6ナノ繊維520を形成して堆積させた。このレベルの細繊維坪量により、約13,760km/m(8,553マイル/m)の直線細繊維カバレッジが得られる。基材506上に、0.08マイクロメートルの平均繊維直径を有する約0.09g/mのPA‐6ナノ繊維518を形成して堆積させた。このレベルの細繊維坪量により、約16,520km/m(10,263マイル/m)の直線細繊維カバレッジが得られる。基材504上に、0.08マイクロメートルの平均繊維直径を有する約0.15g/mのPA‐6ナノ繊維516を形成して堆積させた。このレベルの細繊維坪量により、約27,530km/m(17,106マイル/m)の直線繊維カバレッジが得られる。基材502上に、0.08マイクロメートルの平均繊維直径を有する約0.225g/mのPA‐6ナノ繊維514を形成して堆積させた。このレベル細繊維坪量により、約41,290km/m(25,659マイル/m)の直線細繊維カバレッジが得られる。したがって、フィルタ媒体500は約0.64g/mの合計細繊維坪量を有し、この坪量は、約117,452km/m(72,985マイル/m)の直線繊維カバレッジをもたらす。
【0119】
第3の試験では、15.00mg/Lの基本上流汚染濃度を有する試験流体を、0.26GPM(0.984リットル/分)の流量で使用した。図18は、1mL当たりの微粒子数及びろ過率の試験結果を示す。10%時間間隔での清浄度等級は11/9/4、100%時間間隔で17/16/11、平均は16/15/10である。
【0120】
図19は、本発明の別の実施の形態によるフィルタ媒体600を模式的に示す断面図である。フィルタ媒体600は図15に示すフィルタ媒体500と同様に設けられる。しかしながら、フィルタ媒体600は5層の基材層602、604、606、608、610及び5層の細繊維層612、614、616、618、620を含む。第4の試験のためのフィルタ媒体600の試験サンプルは、第1乃至第3の試験サンプルと同様に実験室で製作した。これらの試験サンプルは、各基材層602、604、606、608、610上に、0.08マイクロメートルの平均繊維直径を有する約0.15g/mのPA‐6ナノ繊維612、614、616、618、620を形成して堆積させた。このレベルの細繊維坪量により、約27,530km/m(17,106マイル/m)の直線細繊維カバレッジが得られる。したがって、フィルタ媒体600は、約0.75g/mの合計細繊維坪量を有し、約137,650km/m(85,530マイル/m)の直線繊維カバレッジをもたらす。
【0121】
第4の試験では、15.00mg/Lの基本上流汚染濃度を有する試験流体を、0.26GPM(0.984リットル/分)の流量で使用した。図20は、1mL当たりの微粒子数及びろ過率の試験結果を示す。10%時間間隔での清浄度等級は10/8/0、100%時間間隔で16/13/11、平均は14/12/8である。
【0122】
図21は、本発明の更に他の実施の形態によるフィルタ媒体700を模式的に示す断面図である。フィルタ媒体700は図15に示すフィルタ媒体500と同様に設けられる。しかしながら、フィルタ媒体700は、3層の基材層702、704、706及び3層の細繊維層708、710、712を含む。第5の試験のためのフィルタ媒体700の試験サンプルは、第1乃至第4の試験サンプルと同様に実験室で製作した。これらの試験サンプルは、基材層706上に、0.08マイクロメートルの平均繊維直径を有する約0.075g/mのPA‐6ナノ繊維712を形成して堆積させた。このレベルの細繊維坪量により、約13,760km/m(8,553マイル/m)の直線細繊維カバレッジが得られる。基材704上に、0.08マイクロメートルの平均繊維直径を有する約0.09g/mのPA‐6ナノ繊維710を形成して堆積させた。このレベルの細繊維坪量により、約16,520km/m(10,263マイル/m)の直線細繊維カバレッジが得られる。基材702上に、0.08マイクロメートルの平均繊維直径を有する約0.15g/mのPA‐6ナノ繊維708を形成して堆積させた。このレベルの細繊維坪量により、約27,530km/m(17,106マイル/m)の直線細繊維カバレッジが得られる。したがって、フィルタ媒体700は、約0.315g/mの合計細繊維坪量を有し、約57,810km/m(35,922マイル/m)の直線繊維カバレッジをもたらす。
【0123】
第5の試験では、5.00mg/Lの基本上流汚染濃度を有する試験流体を、0.26GPM(0.984リットル/分)の流量で使用した。図22は、1mL当たりの微粒子数及びろ過率の試験結果を示す。10%時間間隔での清浄度等級は11/10/5、100%時間間隔で11/9/4、平均は9/8/0である。
【0124】
[フィルタエレメント]
【0125】
本発明の多様な実施の形態によるフィルタ媒体は、ひだ加工、ギャザー加工、又は様々な液体ろ過用途に応じて異なる形状へと形成することができる。図23は、本発明の一の実施の形態による機関車用ディーゼル燃料システムのためのフィルタエレメント800を示す。フィルタエレメント800は、ひだ付きのフィルタ媒体802、下端キャップ804、上端キャップ806及び外側保護層812を含む。ひだ付きのフィルタ媒体802は、図15に示すフィルタ媒体500等、本発明の多様な実施の形態のフィルタ媒体から形成することができる。図24は、フィルタ媒体500から形成されたひだ付きのフィルタ媒体801を示す。このひだ付きのフィルタ媒体801は、多様なひだ深さを有するようにひだ加工され得る。6層の基材層及び6層の細繊維層を含む圧縮されたフィルタ媒体500から形成されたひだ付きのフィルタ媒体801は、他の多層媒体又は単一層媒体から形成されたひだ付きのフィルタ媒体に比べて剛性及び構造完全性がより高い。したがって、ひだ付きのフィルタ媒体801は、ディーゼル燃料等の粘性液体流れの中の微粒子をろ過する目的に非常に適する。次いで、ひだ付きのフィルタ媒体801は、円筒形状を有するひだ付きのフィルタ媒体802へと巻かれる。
【0126】
次に、下端キャップ804及び上端キャップ806が、円筒形ひだ付きのフィルタ媒体802の各端部に配置される。次に、ひだ付きのフィルタ媒体802は、下端キャップ804及び上端キャップ806へ熱で溶着されて液体流れがひだ付きのフィルタ媒体802の両端部と下端キャップ804及び上端キャップ806との間から流出することを防止する。下端キャップ804及び上端キャップ806は、様々な適切なポリマー材料から形成することができる。この実施の形態では、下端キャップ804及び上端キャップ806はポリエステルで設けられている。下端キャップ804は、流れ経路を有しない閉鎖端部を形成する。上端キャップ806は、その上端の表面から延出する中空円筒片808を含み、この中空円筒片808が、流体の流れ経路(流体の流路)810を与える。外側保護層812は複数の大きな開口を含み、フィルタエレメント800の外周部を形成してひだ付きのフィルタ媒体802を保護する。
【0127】
本明細書中で引用する公報、特許出願及び特許を含む全ての文献は、各文献を個々に、具体的に示し、引用して組み込むかのように、又、その全体を本明細書に記載するかのように、引用して組み込まれる。
【0128】
本発明の説明に関連して(特に以下の請求項に関連して)用いられる名詞及び同様な指示語の使用は、本明細書中で特に指摘したり、明らかに文脈と矛盾したりしない限り、単数及び複数の両方に及ぶものと解釈される。語句「備える」、「有する」、「含む」及び「包含する」は、特に断りのない限り、オープンエンドターム(即ち「〜を含むが限らない」という意味)として解釈される。本明細書中の数値範囲の具陳は、本明細書中で特に指摘しない限り、単にその範囲内に該当する各値を個々に言及するための略記法としての役割を果たすことだけを意図しており、各値は、本明細書中で個々に列挙されたかのように、明細書に組み込まれる。本明細書中で説明される全ての方法は、本明細書中で特に指摘したり、明らかに文脈と矛盾したりしない限り、あらゆる適切な順番で行うことができる。本明細書中で使用するあらゆる例又は例示的な言い回し(例えば「等」)は、特に主張しない限り、単に本発明をよりよく説明することだけを意図し、本発明の範囲に対する制限を設けるものではない。明細書中のいかなる言い回しも、請求項に記載されていない要素を、本発明の実施に不可欠であるものとして示すものとは解釈されないものとする。
【0129】
本明細書中では、本発明を実施するため本発明者が知っている最良の形態を含め、本発明の好ましい実施の形態について説明している。当業者にとっては、上記説明を読めば、これらの好ましい実施の形態の変形が明らかとなろう。本発明者は、熟練者が適宜このような変形を適用することを期待しており、本明細書中で具体的に説明される以外の方法で本発明が実施されることを予定している。従って本発明は、準拠法で許されているように、本明細書に添付された請求項に記載の内容の修正及び均等物を全て含む。更に、本明細書中で特に指摘したり、明らかに文脈と矛盾したりしない限り、全ての変形における上記要素のいずれの組み合わせも本発明に包含される。
【符号の説明】
【0130】
22 2構成要素繊維(同心型)
24 芯
26 鞘
28 2構成要素繊維(偏心型)
30 芯
32 鞘
34 2構成要素繊維(並列型)
36 第1のポリマー構成要素
38 第2のポリマー構成要素
40 2構成要素繊維(パイ楔型)
42 第1のポリマー構成要素
44 第2のポリマー構成要素
46 2構成要素繊維(中空パイ楔型)
48 第1のポリマー楔
50 第2のポリマー楔
52 中空中心
54 2構成要素繊維(島/海型)
56 第1のポリマー構成要素
58 第2のポリマー構成要素
60 2構成要素繊維(3つ葉型)
62 2構成要素繊維(3つ葉型)
64 第1のポリマー構成要素
66 第1のポリマー構成要素
68 第2のポリマー構成要素
70 第2のポリマー構成要素
72 直径
74 直径
78 2構成要素繊維(3つ葉端部型)
80 2構成要素繊維(十字端部型)
82 第1のポリマー中央部
84 第2のポリマー端部
86 第1のポリマー中央部
88 第2のポリマー端部
100 フィルタ媒体
102、104、106、108、110、112、114、116、118、120 基材
122 媒体
124、126、128、130、132、134、136、138、140、142 細繊維
144 圧縮前状態
146 圧縮状態
148 ローラ
150 ローラ
200 システム
201 上流システム
202 巻出しステーション
203 下流システム
204 電界紡糸ステーション
206 オーブン
207 ローラ
208 巻戻しステーション
210 スクリムロール
212 スクリム
214 マシン方向
216 細繊維
218 複合媒体
220 複合媒体
222 電界紡糸セル
224 真空コレクタコンベヤ
230、232、234、236、238、240、242、244、246、248 複合媒体ロール
250 媒体ロール
252、254、256、258、260、262、264、266、268、270、272 巻出しステーション
274 ローラ
276 オーブン
280 複合媒体(積層された複数の層)
281 かさ高となった複合媒体
282 カレンダ加工ローラ
284、286、288、290、292、294、296、298、300 基材
302、304、306、308、310、312、314、316、318 電界紡糸ナノ繊維
320 複合媒体(圧縮状態)
324 フィルタ媒体ロール
400 システム
402 巻出しステーション
404 電界紡糸ステーション
406 折り畳みステーション
408 ローラ
410 オーブン
412 カレンダ加工ローラ
414 巻戻しステーション
416 基材
418 細繊維
420 複合媒体
422 折り畳まれた複合媒体
424 複合媒体
426 媒体層
428 媒体層
430 媒体
432 フィルタ媒体
500 フィルタ媒体
502、504、506、508、510、512 基材
514、516、518、520、522、524 細繊維
526 上流面
528 下流面
600 システム
602 シュート供給装置
603 カーディング装置
604 電界紡糸ステーション
606 折り畳みステーション
608 ローラ
610 オーブン
612 カレンダ加工ローラ
614 巻戻しステーション
616 粗繊維ウェブ
617 コンベヤベルト
618 細繊維
626 媒体層
628 多孔層
630 媒体
632 フィルタ媒体
700 フィルタ媒体
702、704、706 基材層
708、710、712 細繊維層
800 フィルタエレメント
801 ひだ付きのフィルタ媒体
802 ひだ付きのフィルタ媒体
804 下端キャップ
806 上端キャップ
808 中空円筒片
810 流体の流れ経路
812 外側保護層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粗繊維を含む基材と;
前記基材に担持された細繊維であって、前記細繊維は前記粗繊維の平均繊維直径の少なくとも1/4以下に小さい平均繊維直径を有する、細繊維とを備え;
前記細繊維の坪量は少なくとも0.03g/mであり、前記細繊維の直線カバレッジは少なくとも約5000km/mである;
液体から微粒子をろ過する用途のためのフィルタ媒体。
【請求項2】
前記フィルタ媒体は少なくとも2層の前記基材の層を備え、前記基材の層の各々は前記細繊維を担持し、前記基材の層の少なくとも一の基材の層上の前記細繊維の坪量は少なくとも0.03g/mであり、前記細繊維の直線カバレッジは少なくとも約5000km/mであり、他の前記基材の層の細繊維坪量及び直線カバレッジは、前記少なくとも一の基材の層と同じか、又は異なる、
請求項1に記載のフィルタ媒体。
【請求項3】
前記細繊維は、電界紡糸プロセスにより形成された電界紡糸細繊維であり、前記細繊維の平均繊維直径は0.1マイクロメートル未満である、
請求項1に記載のフィルタ媒体。
【請求項4】
前記電界紡糸細繊維は前記基材上に堆積され、前記細繊維は、かさ高処理及び圧縮によって再配置され、前記粗繊維と部分的に一体化するように設けられた、
請求項3に記載のフィルタ媒体。
【請求項5】
前記細繊維は、前記基材の前記粗繊維と少なくとも部分的に一体化され、少なくともいくらかの前記細繊維は隣接する前記粗繊維に取り付けられた、
請求項1に記載のフィルタ媒体。
【請求項6】
前記基材は、2構成要素繊維を有するスクリムであり、前記2構成要素繊維は高融点構成要素及び低融点構成要素を有する、
請求項1に記載のフィルタ媒体。
【請求項7】
前記2構成要素繊維は、高融点ポリエステルの芯と低融点ポリエステルの鞘とを有し、少なくとも一の前記基材及び前記細繊維は、加熱され、共に圧縮されて前記フィルタ媒体を形成し、前記低融点ポリエステルの鞘は溶融又は軟化されて、前記粗繊維及び前記細繊維を結合するように設けられた、
請求項6に記載のフィルタ媒体。
【請求項8】
前記細繊維は、ポリアミドで形成された、
請求項7に記載のフィルタ媒体。
【請求項9】
前記フィルタ媒体は少なくとも3層の前記基材の層を備え、前記基材の層の各々は2構成要素粗繊維で形成されたスクリムから形成され、前記基材の層の各々は前記細繊維を担持し、前記基材の層の各々は、約0.05g/m乃至約0.225g/mの坪量及び約9,000km/m乃至約41,300km/mの直線カバレッジで前記細繊維を担持し、前記フィルタ媒体は、約0.3g/m乃至約4.8g/mの合計坪量及び約60,000km/m乃至約300,000km/mの合計直線カバレッジを有し、前記基材の層及び前記細繊維は、加熱によりかさ高にされ、圧縮されることにより、液体をろ過するために構成された圧縮されたフィルタ媒体を形成する、
請求項1に記載のフィルタ媒体。
【請求項10】
前記基材の層の各々の上に担持される前記細繊維は、2層の前記基材の層の間に挟まれて設けられた、
請求項9に記載のフィルタ媒体。
【請求項11】
前記圧縮されたフィルタ媒体は細繊維相互間の界面を含む、
請求項9に記載のフィルタ媒体。
【請求項12】
前記フィルタ媒体は、マルチパス法に関するISO16889国際標準によるろ過効率試験の10%時間間隔で、約11/10/5乃至7/5/0のISO4406:99清浄度コードを有する、
請求項9に記載のフィルタ媒体。
【請求項13】
液体から微粒子をろ過する用途のためのフィルタエレメントであって;
粗繊維を含む基材と;
前記基材上に担持された細繊維であって、前記細繊維の平均繊維直径は、前記粗繊維の平均繊維直径の少なくとも4分の1以下であり、前記細繊維の坪量は少なくとも0.03g/mであり、前記細繊維の直線カバレッジは少なくとも約5000km/mである、細繊維とを有する;
フィルタ媒体と;
流体入口を含む上端キャップと;
下端キャップとを備え;
前記フィルタ媒体は、前記上端キャップ及び前記下端キャップに密閉して取り付けられた;
フィルタエレメント。
【請求項14】
前記フィルタ媒体は、少なくとも3層の前記基材の層を備え、前記基材の層の各々は2構成要素繊維で形成されたスクリムから形成され;前記基材の層の各々は前記細繊維を担持し;前記基材の層の各々は、約0.05g/m乃至約0.225g/mの坪量及び約9,000km/m乃至約41,300km/mの直線カバレッジで前記細繊維を担持し;前記フィルタ媒体は約0.3g/m乃至約4.8g/mの合計坪量及び約60,000km/m乃至約300,000km/mの合計直線カバレッジを有し;前記基材の層及び前記細繊維は、加熱によりかさ高にされ、圧縮されることにより、液体をろ過するために構成された圧縮されたフィルタ媒体を形成する、
請求項13に記載のフィルタエレメント。
【請求項15】
前記細繊維はポリアミドで形成され、0.1マイクロメートル未満の平均繊維直径を有し、前記2構成要素繊維は、高融点ポリエステルの芯及び低融点ポリエステルの鞘を含み、前記圧縮されたフィルタ媒体は、前記低融点ポリエステルの鞘中に埋め込まれた少なくともいくらかの前記細繊維を含む、
請求項14に記載のフィルタエレメント。
【請求項16】
前記フィルタ媒体はひだ加工され、前記ひだ付きのフィルタ媒体は熱可塑性溶接により前記上端キャップ及び前記下端キャップへ密閉して取り付けられた、
請求項13に記載のフィルタエレメント。
【請求項17】
前記上端キャップ及び前記下端キャップへの、前記ひだ付きのフィルタ媒体の前記熱可塑性溶接による取り付けにより、前記液体の流れが前記ひだ付きのフィルタ媒体を迂回することを防止するように設けられた、
請求項16に記載のフィルタエレメント。
【請求項18】
1マイクロメートル未満の平均繊維直径を有する細繊維を静電紡糸するステップと;
基材上に前記細繊維を付与して少なくとも0.03g/mの前記細繊維の坪量及び少なくとも約5000km/mの前記細繊維の直線カバレッジをもたらすステップであって、前記基材は、前記細繊維の平均繊維直径の少なくとも4倍以上に大きな平均繊維直径を有する粗繊維を有するように構成された、基材上に前記細繊維を付与するステップと;
前記基材と共に前記付与された細繊維をプロセシングして前記基材上の前記細繊維を再配置するステップとを備える;
フィルタ媒体を製造する方法。
【請求項19】
前記基材上の前記細繊維を再配置するステップは、加熱により前記基材及び前記細繊維をかさ高にプロセシングするステップと、ローラのセットにより前記基材及び前記細繊維を圧縮するステップとを含む、
請求項18に記載の方法。
【請求項20】
少なくとも2つの前記基材の層を提供するステップであって、前記基材の層の各々が2構成要素粗繊維を有するスクリムから形成される、少なくとも2つの前記基材の層を提供するステップと;
第1の前記基材の層上に前記細繊維を付与して、約0.05g/m乃至約0.225g/mの細繊維の坪量及び少なくとも約9,000km/m乃至約41,300km/mの直線カバレッジをもたらすステップと;
第2の前記基材の層上に前記細繊維を付与して、約0.05g/m乃至約0.225g/mの細繊維の坪量及び少なくとも約9,000km/m乃至約41,300km/mの直線カバレッジをもたらすステップと;
前記細繊維を担持する前記第1の基材の層及び前記細繊維を担持する前記第2の基材の層を積層するステップと;
前記第1の基材の層及び前記第2の基材の層並びに前記細繊維を圧縮して液体をろ過するために構成された圧縮されたフィルタ媒体を形成するステップとを更に備える;
請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記圧縮するステップの前に、前記第1及び第2の基材の層及び前記細繊維をかさ高にプロセシングして前記細繊維を再配置し、前記基材の前記粗繊維と前記細繊維とを少なくとも部分的に一体化させるステップを更に含む、
請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記細繊維を付与するステップは、前記第1の基材の層上の前記細繊維の前記坪量及び前記直線カバレッジが、前記第2の基材の層上の前記細繊維の前記坪量及び前記直線カバレッジを上回るように構成された、
請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記細繊維を付与するステップは、前記第1の基材の層上の前記細繊維の前記坪量及び前記直線カバレッジが、前記第2の基材の層上の前記細繊維の前記坪量及び前記直線カバレッジと等しくなるように構成された、
請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記細繊維を静電紡糸するステップは、ポリアミドを含む溶液から前記細繊維を形成するステップを含む、
請求項18に記載の方法。
【請求項25】
前記フィルタ媒体をひだ加工するステップを更に備える、
請求項18に記載の方法。
【請求項26】
請求項1に記載のフィルタ媒体を提供するステップと;
前記フィルタ媒体を通して液体流れを流し、前記液体流れの中の微粒子を捕捉するステップとを備える;
液体をろ過する方法。
【請求項27】
0.6マイクロメートル超の平均繊維直径を有する2構成要素粗繊維を含む基材と;
前記基材上に担持された細繊維であって、前記細繊維は0.6マイクロメートル未満の平均繊維直径を有し、前記粗繊維は前記細繊維の平均繊維直径よりも少なくとも4倍以上に大きな平均繊維直径を有する、細繊維と;
前記細繊維は少なくとも0.03g/mの坪量及び少なくとも約5000km/mの直線カバレッジを有する、
液体から微粒子をろ過する用途のためのフィルタ媒体。
【請求項28】
少なくとも2層の基材の層であって、前記基材の層の各々は粗繊維で形成された、基材の層と;
前記基材の層の各々に担持された細繊維であって、前記粗繊維の平均繊維直径は、前記細繊維の平均繊維直径の少なくとも4倍以上に大きい、細繊維と;
前記基材の層の少なくとも一の上に担持された前記細繊維は、少なくとも約5000km/mの直線繊維カバレッジをもたらす、少なくとも0.03g/mの坪量を有するように設けられた、
液体から微粒子をろ過する用途のためのフィルタ媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図12D】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公表番号】特表2013−521106(P2013−521106A)
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−555148(P2012−555148)
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際出願番号】PCT/US2011/026091
【国際公開番号】WO2011/106535
【国際公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(510135935)クラーコア インコーポレーテッド (5)
【氏名又は名称原語表記】CLARCOR Inc.
【住所又は居所原語表記】840 Crescent Centre Drive, Suite 600, Franklin, Tennessee 37067 United States of America
【Fターム(参考)】