説明

細胞の収集装置、収集方法および細胞ホルダー

【課題】 短時間で適正細胞を収集可能な細胞の収集装置等を提供する。
【解決手段】 プレート3の下面には樹脂フィルム9が貼り付けられる。樹脂フィルム9は、プレート3の下面に対して接着剤で張り付けられる。ホルダー11の下部には、透明板13が設けられる。透明板13はレーザを透過する板部材であり、例えばガラス板を用いることができる。透明板13の下部には、計測器15とレーザ源17が設けられる。計測器15は、ウェル7に収められる細胞の性状を計測するものである。計測器15で計測された細胞の性状は、番地(どの位置のウェル7の細胞であるか)とともに装置内に記憶される。レーザ源17は、例えば紫外線レーザを照射可能である。レーザ源17の上部にはミラー19が配置される。ミラー19を動作することで、レーザ源17から発振されるレーザを、任意のウェル7に向けて照射することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば再生医療用の細胞を収集するための細胞の収集装置、収集方法およびこれに用いられる細胞ホルダーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば再生医療において細胞が収集されて用いられる。この場合、治療内容にもよるが、例えば数億個の細胞がシャーレ内で培養され、その中から数10万個の多数の適正細胞が集められて細胞が収集される。
【0003】
集められる細胞としては、その形態が適正(例えば細胞の大きさが大き過ぎず、小さ過ぎず)であり、かつ動作が活発な細胞が適正細胞として収集される。このような適正細胞の収集は、通常、顕微鏡を用いて人が目視判断し、先端が細いノズル形状のピペットを用いて手動で行われる(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−34013号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、細胞は培養液内にあるため、細胞の形態及び動作の計測には時間が掛ることも許容される。しかし、細胞の収集の際には、細胞を培養液から別の容器に移す必要がある。このため、例えば数10万個の細胞を数分程度で集める必要がある。しかし、手動でこのような速度で細胞を収集するのは困難である。また、ピペットでの手動による細胞操作は、細胞に多くの損傷を与えるという問題がある。
【0006】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたもので、短時間で適正細胞を効率良く収集可能な細胞の収集装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した目的を達するために第1の発明は、細胞の収集装置であって、細胞を保持するホルダーと前記ホルダーの下部に設けられる透明板と前記ホルダーに収容された細胞の性状を計測する計測器と前記透明板の下部に設けられるレーザ源を具備し、前記ホルダーは、収集対象の細胞に応じた径の複数のウェルを有するプレートと前記プレートの下面に貼り付けられた樹脂フィルムとからなり、それぞれの前記ウェルには、細胞が収容可能であり、前記ホルダーの下部から収集対象となる細胞が収容されたウェルの下部の前記樹脂フィルムにレーザを照射することで、前記樹脂フィルムに穴をあけて、内部の細胞を前記透明板上に落下させることが可能であることを特徴とする細胞の収集装置である。
【0008】
前記レーザ源の波長は、赤外線レーザも使用できるが、可能であれば紫外線レーザを照射することが望ましい。たとえば、前記透明板は紫外線レーザを透過するとともに、前記樹脂フィルムが紫外線レーザを吸収し、樹脂フィルムの紫外線レーザを吸収した個所が瞬時に蒸発、飛散して除去されるため、加工部周辺への熱影響をほとんど与えずに樹脂フィルムを溶融することができることから、紫外線レーザを用いると樹脂フィルムに熱損傷を与えずに穴を形成することができる。したがって、本発明におけるレーザは、赤外光の領域に発振波長を有する赤外線レーザも使用できるが、紫外光の領域に発振波長を有する紫外線レーザであることが熱影響を低減する意味では望ましい。ここで、赤外線レーザは赤外光の領域に発振波長を有するので、赤外光レーザと同義であり、紫外線レーザは紫外光の領域に発振波長を有するので、紫外光レーザと同義である。
【0009】
前記ウェルの下部に位置する前記樹脂フィルムは、張力が付与された状態で前記プレートに貼り付けられてもよい。前記ホルダーの上面側は、加圧状態で保持されてもよい。前記透明板は傾斜して設けられ、前記透明板上に落下した細胞が傾斜によって収集されてもよい。
【0010】
第1の発明によれば、レーザによって樹脂フィルムを破り、適正細胞のみを透明板上に落とすことができるため、細胞に損傷を与えることなく短時間で確実に適正細胞を収集することができる。このように、短時間で、適正細胞を収集することができるため、たとえ、一部の細胞に損傷を与えたとしても、大部分の細胞は損傷を与えることなく収集することが可能となる。
【0011】
特に、紫外線レーザを用いれば、培養液が加熱されることがなく、培養液から蒸気が生じることがない。
【0012】
また、樹脂フィルムが張力を付与された状態でプレート下面に貼り付けられることで、細胞が治められたホルダーの下部に設けられた樹脂フィルムに容易に穴をあけることができることから、細胞を傷つけることがない。
【0013】
また、ホルダー上面側を加圧状態とすることで、樹脂フィルムに穴が形成された際に、内部の細胞を確実に透明板上に落下させることができる。
【0014】
また、透明板を斜めに傾斜して配置することで、落下した細胞を容易に透明板の傾斜した部分の下側に収集することができる。
【0015】
第2の発明は、細胞の収集方法であって、第1の発明にかかる細胞の収集装置を用い、前記ホルダーの前記ウェルに細胞を収容し、それぞれの前記ウェルの内部の細胞を前記計測器で計測し、前記計測器で適正な細胞と判断されたウェルの番地を記憶し、所定範囲の細胞の計測が終了後、記憶した適正な細胞に対応するそれぞれの番地の前記ウェルに対応する番地位置の前記樹脂フィルムにレーザを照射して、当該部位の樹脂フィルムに穴をあけ、対象となる細胞を前記透明板上に落下させて収集することを特徴とする細胞の収集方法である。
【0016】
また、第2の発明は、細胞の収集方法であって、第1の発明にかかる細胞の収集装置を用い、前記ホルダーの前記ウェルに細胞を収容し、それぞれの前記ウェルの内部の細胞の性状を前記計測器で計測し、前記計測器で適正な細胞と判断されたウェルの番地を記憶し、所定範囲の細胞の計測が終了後、記憶した適正な細胞に対応するそれぞれの番地以外の前記ウェルに対応する番地位置の前記樹脂フィルムにレーザを照射して、当該部位の樹脂フィルムに穴をあけ、当該ウェル内の細胞を前記透明板上に落下させ、前記ホルダーに残った細胞を収集することを特徴とする細胞の収集方法としてもよい。
具体的には、細胞の収集は、ホルダーを反転して容器に収集するか、あるいは、ウェル内の適正細胞の吸引することにより、行うことができる。
【0017】
第2の発明によれば、短時間で確実に適正細胞のみを収集することができる。
【0018】
第3の発明は、細胞の収集に用いられる細胞ホルダーであって、複数のウェルを有するプレートと前記プレートの下面に貼り付けられた樹脂フィルムからなり、前記ウェルの径は20〜32μmであり、前記樹脂フィルムは紫外線レーザを吸収可能であり、前記樹脂フィルムと前記プレートとは接着剤で接着され、前記接着剤の硬化に伴う収縮により、前記樹脂フィルムは、前記ウェルの下部に位置する部位に張力が付与された状態で前記プレートに貼り付けられることを特徴とする細胞ホルダーである。
【0019】
第3の発明によれば、適正細胞を短時間で収集可能な細胞ホルダーを得ることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、短時間で効率良く適正細胞を収集可能な細胞の収集装置等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】細胞収集装置1を示す平面図。
【図2】細胞収集装置1を示す図であり、図1のA−A線断面図。
【図3】細胞の計測を行う状態を示す図。
【図4】レーザにより樹脂フィルム9に穴をあける状態を示す図。
【図5】細胞を透明板13上に落とした状態を示す図。
【図6】細胞が落とされた状態を示す平面図。
【図7】細胞収集装置30を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。図1は、細胞収集装置1(プレート3)を示す平面図である。プレート3は、複数のエリア5に区分される。プレート3には複数の孔が形成される。孔は細胞が入れられるウェル7となる。
【0023】
動物細胞の大きさは20μm弱であるので、例えば、ウェル7のサイズとしてはφ20μm〜φ32μm程度(より望ましくはφ28μm〜φ32μm)とすればよい。また、例えば、ウェル7のサイズをφ28μmとし、ウェル7の間隔を7μmとして、各エリア5内に1000×1000個=100万個のウェル7を設けるとすれば、各エリア5は35mm×35mmとなる。
【0024】
エリア5の周囲に0.5mmの縁を設けるとエリア5の幅は36mmとなり、1枚のプレート3に5×5=25のエリア5が形成され、この際のプレート3のサイズは180mm×180mmとなる。すなわち、1枚のプレート3には、2500万個のウェル7が形成される。なお、1つのエリア5から1000個の適正細胞を収集するとすれば、一枚のプレート3から25000個の細胞を収集することが可能であり、このようなプレート3を4枚用いることで約10万個の細胞を集めることができる。上記のように、通常は収集する細胞の種類や目的に応じて、数千個や数十万個の細胞を集めることが可能になる。
【0025】
図2は、図1のA−A線断面図である。プレート3の下面には樹脂フィルム9が貼り付けられる。すなわち、ウェル7と樹脂フィルム9によって細胞が入れられるウェルを構成する。プレート3としては、例えば30μm厚程度の樹脂製の板が用いられ、プレス等によってウェル7が形成される。なお、樹脂フィルム9が貼り付けられたプレート3をホルダー11と称する。
【0026】
樹脂フィルム9は、プレート3の下面に対して接着剤で張り付けられる。ここで、接着剤が硬化する際に接着剤は収縮する。このため、プレート3のウェル7の下部に位置し、プレート3との非接着部の樹脂フィルム9には、周囲の接着部方向に張力が付与される。なお、樹脂フィルム9としては、例えば5〜10μm厚程度であり、後述するレーザ(例えば紫外線レーザ)を吸収する熱可塑性樹脂を用いることができる。
【0027】
ホルダー11の下部には、透明板13が設けられる。透明板13はレーザを透過する板部材であり、例えばガラス板を用いることができる。
【0028】
透明板13の下部には、計測器15とレーザ源17が設けられる。計測器15は、ウェル7に収められる細胞の性状を計測するものである。計測器15としては、例えば、ウェル7内部に収められた細胞の画像解析を行い、細胞の大きさを計測するものである。また、同一の細胞の計測を、時間をおいて複数回行い、この際の細胞の変化を把握して、細胞の動作が活発であるかどうかを計測することもできる。なお、計測器15は、必ずしもホルダー11(透明板13)の下部に位置する必要はなく、ホルダー11の上部に設けられてもよい。
【0029】
計測器15で計測された細胞の性状は、番地(どの位置のウェル7の細胞であるか)とともに装置内に記憶される。
【0030】
レーザ源17は、例えば波長が100〜550nmのパルスレーザであり、さらに望ましくは波長が100〜380nmのパルスレーザであり、特に紫外線レーザを照射可能であることが望ましい。レーザ源17の上部にはミラー19が配置される。ミラー19を動作することで、レーザ源17から発振されるレーザを、任意のウェル7に向けて照射することができる。例えば、レーザ源17としては70〜100kHzのパルスレーザを用いればよく、レーザが発振されていない間にミラー19が駆動される。この場合には、1秒間に7万〜10万の対象方向にレーザを発振することが可能であり、高速かつ確実に所望の位置の樹脂フィルム9に孔を形成することができる。
【0031】
ここで、装置内に記憶された番地情報は、例えば、フレームメモリーで構成・補正するなどしてコントローラーに送られ、コントローラーによる当該情報に応じてミラー19が制御され、レーザ源17からのレーザ光が照射される。ここで、レーザ光を樹脂フィルム9上の各位置に正確に転送するのがミラー19の役割であり、例えば、このミラーには六角形状のアルミニウム合金を精密切削し、酸化シリコンを真空蒸着させたポリゴンミラーが使用される。樹脂フィルム9にレーザ光を照射する時間は、樹脂フィルム9の種類や厚さにより適宜設計される。
【0032】
次に、細胞収集装置1を用いて細胞を収集する方法について説明する。図3は、細胞収集装置1に細胞が入れられた状態を示す図である。まず、培養液とともに細胞21をプレート3上に流して、各ウェル7に細胞21を入れる。なお、以下の図において培養液の図示を省略する。
【0033】
次に、計測器15により各細胞21の大きさや動作(活発度)を測定する(図中矢印BおよびC方向)。計測器15によって計測されたそれぞれの細胞21の性状は、ウェル7の番地とともに記憶される。また、計測結果により、一定以上の適正度の細胞21が選択される。
【0034】
次に、図4(a)に示すように、選択された細胞21(図中矢印D)が入れられるウェル7に対応する位置の樹脂フィルム9に対して、レーザ源17からレーザを照射する。この際、透明板13はレーザを透過するため、レーザは確実に樹脂フィルム9に照射される。レーザの照射方向はミラー19によって調整される。なお、実際に選択される細胞21は、細胞の種類や培養条件により異なるものの、例えば、1000個の細胞に対して1個程度であるが、図では模式的により多くの細胞が選択された状態を示す。
【0035】
レーザが照射されると、図4(b)に示すように樹脂フィルム9が破け、穴23が形成される。この際、樹脂フィルム9に張力が付与されているため、樹脂フィルム9をより容易に破くことができる。樹脂フィルム9の材料としては、アクリル、PET、ポリカーボネート等を使用することができ、その他条件を満たせばいずれの材料を使用することもできる。
【0036】
樹脂フィルム9に穴23を形成することで、図5に示すように、当該ウェル7内に入れられている細胞21が透明板13上に落下する。透明板13上に落下した回収細胞21aは、例えば、透明板13を傾けて傾斜させることで、1か所に収集される。この際、透明板13に回収細胞21aが付着しないように、透明板の表面は、MPC(2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン/n−ブチルメタクリレート共重合体)により被覆される。以上により、適正細胞が回収される。
【0037】
図6は、プレート3の平面図である。図6に示すように、細胞21の収集は、平面上で一括して行われる。すなわち、計測器15による細胞の計測を、例えば1エリア毎に行い、測定結果に基づいて、1エリア内の全ての適正細胞の収集を一度に行うことで、短時間で適正細胞の回収を行うことができる。
【0038】
以上、本発明によれば、適正細胞の収集をレーザの照射により行うため、短時間に多量の細胞を収集することができる。また、手動によりピペット等を用いる必要がないため、クリーンな環境で細胞の収集を行うことができ、異物の混入もない。
【0039】
また、樹脂フィルム9に張力が付与されているため、容易に樹脂フィルム9を破くことができる。また、紫外線レーザを用いれば、熱によらずに樹脂フィルム9を破くことができる。このため、内部の培養液等が熱で蒸気となることがない。
【0040】
また、透明板13の表面に細胞が付着することを防止するための樹脂コーティングが施されるため、透明板13上に落下した回収細胞21aを確実に回収することができる。
【0041】
次に、第2の実施形態について説明する。図7は第2の実施の形態にかかる細胞収集装置30を示す図である。なお、以下の説明において、細胞収集装置1と同一の機能を奏する構成には、図1と同様の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0042】
細胞収集装置30は、細胞収集装置1と略同様の構成であるが、加圧部33が設けられる点で異なる。細胞収集装置30は、プレート3上面側がチャンバ31で覆われる。チャンバ31の一部には加圧部33が設けられる。加圧部33は、外部からチャンバ31内部に不活性ガス等を導入することができる(図中矢印F方向)。
【0043】
細胞がウェル7に入れられた状態で、加圧部33よりチャンバ内に不活性ガス等を導入することで、チャンバ31内部の圧力を大気圧に対して加圧状態とすることができる。なお、加圧部33からのガスの導入は、細胞回収前に一度行い、その後バルブを閉じて加圧状態を維持してもよく、または、常に一定の圧力でガスを導入した状態で保持してもよい。
【0044】
この状態で、前述と同様に、レーザによって樹脂フィルム9に穴をあけると、プレート3上部が加圧状態であるため、ウェル7に対応する部位の樹脂フィルム9に張力を付与するこができるとともに、樹脂フィルム9をレーザによって破いた際に、ウェル7内部の細胞を透明板13方向に勢いよく落下させることができる。このため、樹脂フィルム9を破いた後も、細胞がウェル7内部に留まることがなく、確実に細胞を透明板13上に落下させることができる。このようにすることで、適正度の高い細胞のみを透明板13上に落下させて、回収することができる。この際に適正な細胞がダメージを受けないように、照射するレーザの強度や照射時間を適宜調整できる。
【0045】
なお、前述の実施形態においては、計測器15によって一定以上の適正度である細胞21を選択し、その細胞の入ったウェル7の番地位置に対応する位置の樹脂フィルム9に対して、レーザ源17からレーザを照射する例について説明した。このようにすることで、一定以上の適正度の細胞21を選択的に透明板13に落下させて、収集することができる。
【0046】
しかし、本発明では、計測器15によって一定以上の適正度の細胞21を選択した後、その細胞21の入ったウェル7以外の番地位置に対応する樹脂フィルム9の位置に対して、レーザを照射することができる。すなわち、適正度の低い細胞21が入ったウェル7(樹脂フィルム9)に対してのみレーザを照射することで実現できる。
【0047】
このようにすることで、適正度の低い細胞のみを透明板13上に落下させることができる。この際、レーザの照射によって、細胞がダメージを受ける恐れがあるが、レーザが照射される部位には、そもそも不適正な細胞が入っており、その後廃棄されるものであるため、照射するレーザの強度や照射時間を細胞がダメージを受けないよう調整する必要がない。したがって、一定以上の適正度の細胞21のみを、ホルダー11に残すことができる。この後、ホルダー11を反転するか、または、ウェル7内の適正細胞の吸引等を行うことにより、所望の細胞のみを回収することができる。
【0048】
以上、添付図を参照しながら、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施の形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0049】
1、30………細胞収集装置
3………プレート
7………ウェル
9………樹脂フィルム
11………ホルダー
13………透明板
15………計測器
17………レーザ源
19………ミラー
21………細胞
21a………回収細胞
23………穴
31………チャンバ
33………加圧部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞の収集装置であって、
細胞を保持するホルダーと、
前記ホルダーの下部に設けられる透明板と、
前記ホルダーに収容された細胞の性状を計測する計測器と、
前記透明板の下部に設けられるレーザ源と、
を具備し、
前記ホルダーは、収集対象の細胞に応じた径の複数のウェルを有するプレートと、前記プレートの下面に貼り付けられた樹脂フィルムとからなり、
それぞれの前記ウェルには、細胞が収容可能であり、
前記ホルダーの下部から収集対象となる細胞が収容されたウェルの下部の前記樹脂フィルムにレーザを照射することで、前記樹脂フィルムに穴をあけて、内部の細胞を前記透明板上に落下させることが可能であることを特徴とする細胞の収集装置。
【請求項2】
前記レーザ源は紫外線レーザであり、前記透明板は紫外線レーザを透過するとともに、前記樹脂フィルムが紫外線レーザを吸収し、前記樹脂フィルムが破れて穴が形成されることを特徴とする請求項1記載の細胞の収集装置。
【請求項3】
前記ウェルの下部に位置する前記樹脂フィルムは、張力が付与された状態で前記プレートに貼り付けられることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の細胞の収集装置。
【請求項4】
前記ホルダーの上面側は、加圧状態で保持されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の細胞の収集装置。
【請求項5】
前記透明板は傾斜して設けられ、前記透明板上に落下した細胞が傾斜によって収集されることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の細胞の収集装置。
【請求項6】
細胞の収集方法であって、
請求項1から請求項5のいずれかに記載の細胞の収集装置を用い、
前記ホルダーの前記ウェルに細胞を収容し、
それぞれの前記ウェルの内部の細胞の性状を前記計測器で計測し、
前記計測器で適正な細胞と判断されたウェルの番地を記憶し、
所定範囲の細胞の計測が終了後、記憶した適正な細胞に対応するそれぞれの番地の前記ウェルに対応する番地位置の前記樹脂フィルムにレーザを照射して、当該部位の樹脂フィルムに穴をあけ、
対象となる細胞を前記透明板上に落下させて収集することを特徴とする細胞の収集方法。
【請求項7】
細胞の収集方法であって、
請求項1から請求項5のいずれかに記載の細胞の収集装置を用い、
前記ホルダーの前記ウェルに細胞を収容し、
それぞれの前記ウェルの内部の細胞の性状を前記計測器で計測し、
前記計測器で適正な細胞と判断されたウェルの番地を記憶し、
所定範囲の細胞の計測が終了後、記憶した適正な細胞に対応するそれぞれの番地以外の前記ウェルに対応する番地位置の前記樹脂フィルムにレーザを照射して、当該部位の樹脂フィルムに穴をあけ、当該ウェル内の細胞を前記透明板上に落下させ、
前記ホルダーに残った細胞を収集することを特徴とする細胞の収集方法。
【請求項8】
前記ホルダーに残った細胞を、前記ホルダーを反転して容器に収集するか、あるいは、前記ウェル内の適正細胞を吸引することにより行うことを特徴とする請求項7に記載の細胞の収集方法。
【請求項9】
細胞の収集に用いられる細胞ホルダーであって、
複数のウェルを有するプレートと、前記プレートの下面に貼り付けられた樹脂フィルムとからなり、
前記ウェルの径は20〜32μmであり、
前記樹脂フィルムは紫外線レーザを吸収可能であり、
前記樹脂フィルムと前記プレートとは接着剤で接着され、前記接着剤の硬化に伴う収縮により、前記樹脂フィルムは、前記ウェルの下部に位置する部位に張力が付与された状態で前記プレートに貼り付けられることを特徴とする細胞ホルダー。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−254077(P2012−254077A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−40147(P2012−40147)
【出願日】平成24年2月27日(2012.2.27)
【出願人】(509133768)株式会社古河電工アドバンストエンジニアリング (7)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】