細胞の成長を抑制し、ちらつきを低減するIOL
【課題】本発明は、眼内レンズ(IOL)に関し、とりわけ、細胞が眼からIOLへ移入または成長することを抑制し、眼内のちらつきを低減するIOLに関する。
【解決手段】本発明のIOLは、細胞の成長を抑制し、入射光によるちらつきを低減する眼内レンズであって、眼球のカプセル状嚢内に配置され、眼球の網膜の方へ光を向けるように中央配置された光学部品を備える。光学部品は、中央光軸、前方面、対向する後方面、周辺端部、および前方面と後方面の間にあって光学部品を包囲する周辺端部を有する。周辺端部は、直線的な端部表面と、前方面を直線的な端部表面になめらかに調和させる不連続でない凸状部であって、入射光によるちらつきを低減するために周辺端部上の前方面の曲率より実質的に大きい曲率を有する凸状部と、直線的な端部表面と後方面の間の不連続部に配置された、細胞の成長を抑制するための周辺端部角部とを有することを特徴とする。
【解決手段】本発明のIOLは、細胞の成長を抑制し、入射光によるちらつきを低減する眼内レンズであって、眼球のカプセル状嚢内に配置され、眼球の網膜の方へ光を向けるように中央配置された光学部品を備える。光学部品は、中央光軸、前方面、対向する後方面、周辺端部、および前方面と後方面の間にあって光学部品を包囲する周辺端部を有する。周辺端部は、直線的な端部表面と、前方面を直線的な端部表面になめらかに調和させる不連続でない凸状部であって、入射光によるちらつきを低減するために周辺端部上の前方面の曲率より実質的に大きい曲率を有する凸状部と、直線的な端部表面と後方面の間の不連続部に配置された、細胞の成長を抑制するための周辺端部角部とを有することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、眼内レンズ(IOL)に関し、とりわけ、細胞が眼からIOLへ移入または成長することを抑制し、眼内のちらつきを低減するIOLに関する。
【0002】
眼内レンズは、医学的な症状により保証されるとき、人間の自然の眼と置換するために広く用いられている。カプセル状嚢または後方嚢として知られた眼の一部領域内にIOLを移植することが日常的に行われている。移植後、特定のIOLに関する潜在的な懸念事項は、眼からの細胞、特にカプセル状嚢からの上皮細胞が、IOLの光学部品の前部または後部において成長しがちであるということである。この傾向により、IOLの光学部品が遮蔽され、視界が妨害されてしまう。
【0003】
この症状に対する一般的な治療方法は、レーザを用いて細胞およびカプセル状嚢の中央領域を破壊することである。この治療方法は効果的ではあるが、レーザは、高価であり、世界中のどこでも利用できるというわけではない。レーザに付随するコストだけでなく、ある患者にとっては不便であり、合併症のリスクがある。さらに、レーザ治療により、IOLの特性に影響を与えることがある。
【0004】
特定のIOLを移植した後の別の潜在的な懸念事項は、IOL、特にIOLの端部における光の反射に起因するちらつきに関して、対処する必要があるということである。こうしたちらつきは、患者にとって不快なものであり、IOLを取り出して、置換することにもつながりかねない。
【0005】
細胞が眼からIOL上に成長することを抑制し、さらに/または眼球内のIOLに起因するちらつきを低減するIOLを提供することが好ましい。
【発明の概要】
【0006】
新規なIOLが発見された。そのIOLは、眼からIOLの光学部品上への細胞成長、とりわけ上皮細胞成長を効率よく抑制する。このIOLは、IOLの存在に起因する眼球内のちらつき、特に端部ちらつきを低減するように構成されている。本発明のIOLは、設計および構成において簡単なもので、容易に製造され、従来式の技術を用いて眼球内に移植または挿入でき、眼球内で使用する際に相当な利点が得られる。
【0007】
本発明の広い態様において、本発明のIOLは、眼球内に移植可能で、中央光軸、前方面、対向する後方面、および周辺端部または前方面と後方面の間の端部表面を含む光学部品を有する。この光学部品は、眼球のカプセル状嚢内に配置され、眼球の網膜の方へ光を向けるように構成されている。極めて有用な実施形態において、IOLは、少なくとも1つの固定部材、好適には2つの固定部材をさらに有し、より好適には、IOLを眼球内に固定する際に用いられるために連結された2つの細長い固定部材を有する。
【0008】
好適な態様において、本発明は、ちらつきを抑えた眼球内に移植可能な眼内レンズを提供し、この眼内レンズは、眼球のカプセル状嚢内に配置され、眼球の網膜の方へ光を向けるように構成された光学部品を有する。この光学部品は、中央光軸、前方面、対向する後方面、および周辺端部を有する。周辺端部は、中央光軸に対して平行でない直線的な断面形状を有する少なくとも1つの表面を有する。さらに、周辺端部および前方面、さらに/または周辺端部および後方面が交差して、周辺端部と、交差する前方面または後方面との間の不連続部に配置される少なくとも1つの周辺端部角部を形成する。周辺端部は、前方側において、丸みを有する移行表面を有し、周辺端部角部が、周辺端部および交差する後方面の間にのみ形成される。同様に、周辺端部は、互いに対して傾斜する少なくとも2つの直線的な表面を有していてもよく、このとき、他方の直線的な表面を、光軸に対して平行となるように配置してもよい。
【0009】
本発明の別の態様において、ちらつきを抑えた眼球内に移植可能な眼内レンズは、眼球のカプセル状嚢内に配置され、眼球の網膜の方へ光を向けるように構成された光学部品を有する。この光学部品は、中央光軸、前方面、および後方面を有する。光学部品の外側端部は、周辺端部により形成され、周辺端部は、断面形状において、光軸に対して平行でない直線的な表面と、周辺端部の後方境界を形成する後方角部とを有する。好適にも、後方角部を有さない実質的に同一の眼内レンズと比べて、細胞が眼球から光学部品の前部または後部へ成長することが、より抑制され、中央光軸に対して平行な直線的な周辺表面を有する実質的に同一の眼内レンズと比べて、眼球内のちらつきが低減される。この光学部品は、前方面と直線的な表面の間の移行表面を形成する、周辺端部上に凸状の表面を有していてもよい。光軸に対して平行な第2の直線的な表面を設けてもよい。さらに、光学部品は、第1および第2の直線的な表面を有していてもよく、第1の直線的な表面は、前向きであり、第2の直線的な表面は、光軸に対して平行である。
【0010】
本発明のさらに別の実施形態において、眼内レンズは、眼球内に移植可能で、眼球のカプセル状嚢内に配置され、眼球の網膜の方へ光を向けるように構成された光学部品を有する。この光学部品は、前方面および後方面の間に延び、円錐表面のみからなる周辺端部を有する。円錐表面は、後向きであってもよく、円錐表面は、光軸に対して平行な表面のみからなる周辺端部を含む実質的に同一の眼内レンズと比較して、光学部品から円錐表面を通り抜ける光量を増大させるように、光軸に対して十分に傾斜する。択一的には、周辺ランドが前方面および円錐面の間に延び、円錐表面は後向きであり、円錐表面および円錐表面に隣接する周辺ランドが鋭角をなす。さらに別の形態において、円錐表面は、前向きであってもよく、円錐表面は、光軸に対して平行な表面のみからなる周辺端部を含む実質的に同一の眼内レンズと比較して、光学部品内の光が円錐表面に接する確率を低減するように、光軸に対して十分に傾斜する。
【0011】
本発明の別の態様は、中央光軸、前方面、および後方面を有する光学部品を含む眼内レンズである。前方面および後方面の間に延びる周辺端部は、断面形状において、前方端部角部における前方側で終点を有する直線的な端部表面を有する。直線的な端部表面および前方ランドが90°またはそれ以上の角度をなす実質的に同一の眼内レンズと比較して、光学部品から円錐表面を通り抜ける光量を増大させるように、前方ランドが前方端部角部に隣接し、直線的な端部表面および前方ランドは鋭角をなす。
【0012】
さらに別の形態において、本発明は、光軸、前方面、および後方面を形成する光学部品を有する眼内レンズを提供する。周辺端部は、前方面および後方面の間に存在し、断面形状において、光軸に対して水平でない少なくとも2つの直線的な端部表面を有する。この2つの直線的な端部表面は、頂部で合流し、ともに溝部を形成するように、互いに向かって半径方向内側に傾斜していてもよい。さらに、こうした複数の溝は、直線的な端部表面を隣接することにより形成できる。前向き端部表面、および光学部品の前方面の間において延びる丸みを帯びた移行表面をさらに形成してもよい。
【0013】
本発明のIOLの周辺端部は、湾曲表面、光軸に対して平行な、または平行でない平坦表面、あるいは平坦表面と湾曲表面の組み合わせを有していてもよい。例えば、周辺端部の一部が実質的に連続した湾曲形状を有する場合、別の一部、例えば、周辺端部の残りの部分は、光軸に対して平行でない光学部品の前方面および後方面の間の方向において、直線的な形状を有する。
【0014】
本発明のIOLは、好適にも、光学部品の前方面および後方面の間の方向において光軸に対して平行な(平坦な)周辺端部を有する実質的に同一のIOLにおいて生じるちらつきと比較して、眼球内のちらつきを抑える。1つまたはそれ以上の周辺端部の少なくとも一部、周辺端部付近の後方面の一部、および周辺端部付近の部分面の一部は、透過光に対して、少なくとも部分的に不透明であってもよく、その不透明性により、ちらつきを抑えることができる。こうした不透明性は、任意の手法により実現することができ、例えば、光学部品の選択された一部を「フロスト処理(frosted)」するか、あるいは物理的または化学的に粗面化することにより実現できる。
【0015】
さらに、周辺端部と、前方面および後方面の少なくとも一方または両方の交差点が、周辺端部および交差する面の間の不連続部に配置される周辺角部または角部端部を形成する。こうした周辺角部は、鋭く、急なまたは傾斜を有する周辺角部と考えられ、眼球からIOLへの細胞移入または細胞成長を効果的に抑制する。本発明のIOLは、好適には、1つまたは2つのこうした傾斜を有する周辺角部を有し、鋭く、急なまたは傾斜を有さない実質的に同一のIOLと比較して、光学部品の前部または後部における細胞成長をより抑制する。
【0016】
周辺端部と、交差する1つまたは複数の面は、好適には、約45°ないし約135°の範囲で、より好適には、約60°ないし約120°の範囲で交差する。1つの実施形態において、交差鈍角(90°より大きく、180°より小さい)が形成される。こうした交差鈍角は、本発明によるIOLの光学部品の前方面および/または後方面の上、さらに/またはその上方における細胞移入または細胞成長を抑制することを効果的に支援する。
【0017】
極めて有用な実施形態において、前方面および後方面の少なくとも一方は、周辺端部から中央光軸に向かって延びる周辺領域を有する。この周辺領域は、好適には、実質的に平坦で、中央光軸に対して実質的に垂直であってもなくてもよい。好適には、前方面だけが、周辺端部から中央光軸に向かって延びる周辺領域を有し、この周辺領域は、実質的に平坦で、より好適には、中央光軸に対して実質的に垂直である。周辺領域は、好適には、少なくとも約0.1mm、より好適には、約2mmの半径寸法を有する。
【0018】
前方面と後方面の間の中央光軸に対して平行な光学部品の大きさは、周辺端部またはその近傍においてより小さく、例えば、周辺領域における大きさは、中央光軸における大きさよりも小さい。
【0019】
好適には、周辺端部および/または周辺領域は、中央光軸の境界を画する。前方面および後方面は、ともに一般的な円形形状を有するが、長円または楕円などの他の形状を用いることができる。前方面および後方面の少なくとも一方は、周辺領域の半径方向内側に配置された、実質的に平坦でない追加的領域を有する。
【0020】
ここに開示された2つまたはそれ以上の特徴が互いに矛盾しない限り、これらの特徴のすべての組み合わせが、本発明の範疇に含まれる。
【0021】
同様の構成部品に対して同様の参照符号を付与した例示的な添付図面を見ながら以下の説明を参照すると、本発明ならびに本発明の追加的な特徴および利点がともに十分に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の教示内容に基づいて構成された1つの実施形態による眼内レンズ(IOL)の平面図である。
【図2】先行技術によるIOLの光学部品の断面図である。
【図3】本発明の例示的な実施形態によるIOLの中間的なジオプタ値を有する光学部品の正面図である。
【図4】本発明の別の例示的なIOLの小さいジオプタ値を有する光学部品の正面図である。
【図5】本発明の別の例示的なIOLの大きいジオプタ値を有する光学部品の正面図である。
【図6】図3に示すIOLの周辺端部領域の正面図であって、この領域を通過する複数の光線の経路を示す。
【図7】光軸に対して平行な端部表面と、光軸に対して平行でない前向き端部表面と、光軸に対して垂直な前方周辺ランドとを有する、本発明によるIOLの周辺端部領域の正面図である。
【図8】光軸に対して平行でない前向き端部表面と、光軸に対して垂直な前方周辺ランドとを有する本発明によるIOLの周辺端部領域の正面図である。
【図9】光軸に対して平行でない前向き端部表面を有し、周辺ランドを有さない、本発明によるIOLの周辺端部領域の正面図である。
【図10】光軸に対して平行な端部表面と、光軸に対して垂直でない前方周辺ランドとを有する、本発明によるIOLの周辺端部領域の正面図である。
【図11】光軸に対して平行な端部表面と、光軸に対して垂直な前方周辺ランドと、光軸に対して垂直でない前方周辺ランドとを有する、本発明によるIOLの周辺端部領域の正面図である。
【図12】光軸に対して平行でない後向き端部表面を有し、周辺ランドを有さない、本発明によるIOLの周辺端部領域の正面図である。
【図13】光軸に対して平行でない後向き端部表面と、光軸に対して垂直な前方周辺ランドとを有する、本発明によるIOLの周辺端部領域の正面図である。
【図14a】本発明によるIOLの半径方向の断面図であって、周辺端部から延びる固定部材を示す。
【図14b】図14aに示すIOLの周辺端部領域の正面図である。
【図15】光軸に対して平行でない前向き端部表面と、IOLの端部表面と前向き表面の間の丸みを帯びた移行表面と、後方周辺ランドとを有する、本発明によるIOLの周辺端部領域の正面図である。
【図16】光軸に対して平行でない前向き端部表面と、IOLの端部表面および前向き表面の間の丸みを帯びた移行表面と、後方周辺ランドとを有する、本発明によるIOLの周辺端部領域の正面図である。
【図17】光軸に対して平行でない前向き端部表面と、IOLの端部表面および前向き表面の間の丸みを帯びた移行表面と、後方周辺ランドとを有する、本発明によるIOLの周辺端部領域の正面図である。
【図18】前向き端部表面に沿って配置されたバッフル構造を有する、本発明によるIOLの周辺端部領域の正面図である。
【図19】前向き端部表面と、IOLの端部表面と前向き表面の間の丸みを帯びた移行表面とを有する、本発明によるIOLの周辺端部領域の正面図である。
【図20】前向き端部表面と後向き端部表面の両方を有する、本発明によるIOLの周辺端部領域の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1はIOL20を示し、これは、概略、光学部品22と固定部材24a,24bを有する。この実施形態において、光学部品22は、眼球の網膜上またはその付近に光を集光する上で有効なものと考えられる。光軸26は、光学部品22の中心を光学部品の平面に対して通常横断する方向に通る。
【0024】
この実施形態において、光学部品22は、円形の平面形状を有し、光軸26に接近する両凸形状を有する。しかし、この構成は、単に例示的なものであって、他の構成または形状も採用することができる。光学部品22は、ポリメチルメタクリレートなどの硬い光学部品用として広く採用された材料、またはシリコーン樹脂重合材料、アクリル樹脂重合材料、ヒドロゲル形成重合材料、およびこれらの混合材料などの、弾性を有し変形可能な光学部品用として広く知られた材料の任意のものを用いて構成することができる。
【0025】
この実施形態における固定部材24aおよび24bは、一般に、C字状で、光学部品22と一体である。しかし、固定部材24aおよび24bに関して、これは純粋に例示的であり、固定部材は、他の構成を有することもできるし、そして/または多様な従来方法のうちの任意の方法で光学部品22に固定された別の部材であってもよい。換言すると、本発明のIOLを、一体の光学部品および固定部材を含む単一部品で構成してもよいし、光学部品に接続された2つまたはそれ以上の固定部材を含む3つまたはそれ以上の部品で構成してもよい。IOL20は、当業者により広く知られた従来技術を用いて形成することができる。
【0026】
ここで明確に開示しない場合、IOL20の一般的な構造的特徴は、ここで説明する他のIOLに対して適用される。
【0027】
図2は、先行技術によるIOLの光学部品30を示し、これは、光軸OA、凸状前方面AF、凸状後方面PF、および周辺端部32を有する。周辺端部32は、通常、円形形状を有し、光学部品30の境界を画する一定の断面を有する。図示された光学部品30は、方形断面を有する種類のもので、細胞が光学部品30上に成長すること、つまり後嚢混濁(PCO)として知られる症状を抑制する。周辺端部32は、光軸OAに対して平行な端部表面34と、前方端部角部36aおよび後方端部角部36bとを有する。さらに、前方ランド38aおよび後方ランド38bが、それぞれ、前方面AFおよび前方端部角部36a、後方面PFおよび後方端部角部36bの間において延びている。前方ランド38aおよび後方ランド38bは、光軸OAに対して実質的に垂直な方向に延びている。
【0028】
本出願において、前方(anterior)および後方(posterior)という用語は、一般的な意味で用いられており、前方(anterior)とは眼球の前側を意味し、後方(posterior)とは眼球の後側を意味する。本発明の眼内レンズに関する数多くの表面は、レンズの光軸に対する方向を示唆するために、「前向き(anteriorly-facing)」や「後向き(posteriorly-facing)」と表現される。説明する上で、光軸と平行な表面は、前向きでも後向きでもない。一方または他方に少しでも傾斜する表面は、その表面が向く方向により、レンズの前方側または後方側と特定することができる。
【0029】
図3は、本発明のIOLの光学部品40を図示し、これは好適な周辺端部42を有する。光学部品40は、光軸OA、凸状前方面AF、および凸状後方面PFを有する。周辺端部42は、好適には、円形形状を有し、光学部品40の境界を画する一定の断面を有する。しかし、当業者ならば理解されるように、周辺端部42は、光学部品40の周囲全体に延びていなくてもよく、本発明による周辺端部構造体の組み合わせを含む択一的な周辺端部構造体が、周辺端部42に割り込んでいてもよい。
【0030】
凸状前方面AF、および凸状後方面PFに対する周辺端部42をより明確に図示するために、光学部品40が図示されている。前方側において、周辺端部42は、湾曲した、あるいは丸みを帯びた移行表面44を有し、この移行表面は、直線的で、光軸OAに対して実質的に垂直であることが好ましい前方周辺ランドまたは領域46に移行する。後方側において、不連続的な周辺端部角部50は、周辺ランドを介することなく、周辺端部42を後方面PFから分離する。端部角部50は、周辺端部42の後方の境界を規定する。周辺端部42は、さらに、後方端部角部50に隣接して、直線的で、光軸OAに対して実質的に平行な端部表面52と、丸みを帯びた移行表面44に隣接して、直線的で、光軸OAに対して平行でない前向き端部表面54とを有する。角度の浅い角部または不連続部56は、平行な端部表面52を平行でない端部表面54から分離する。
【0031】
この文脈において、「不連続部(discontinuity)」という用語は、光学部品上の角部または周辺ラインとして視認可能な2つの端部表面間の移行部を意味する。当然に、すべての角部は半径を有するが、より丸みを帯びた領域とは異なり、独立したラインとして視認可能な角部だけが、この文脈における不連続部を有する。さらに、この文脈における「視認可能(visible)」とは、裸眼または接眼鏡などの所定の低倍率の拡大デバイスを用いて見ることができるという意味である。すなわち、少なくとも本出願の図面で図示された拡大図に関して、この意味による角部は、2つの直線的な表面の間の交差部として定義される。周辺端部の角部における「不連続部」の別の効果は、不連続部を有さない実質的に同一の眼内レンズと比べて、眼から光学部品の前方または後方への細胞成長が、より十分に抑制されることである。
【0032】
ここで用いられるように、さまざまな端部表面を示唆するための用語「直線的な(linear)」が、特定の端部の断面に見られるようなすべての事例において用いられる。すなわち、本発明のレンズは、一般に、円形であるので、周辺端部は、回転体の円形表面を有する。したがって、直線的な断面端部は、円筒表面または円錐表面を形成する。端部が光軸に対して平行である場合、表面は円筒状となる。一方、表面が光軸に対して平行でない場合、表面は円錐状となる。したがって、直線的な平行でない端部表面は、周辺端部の少なくとも一部に対して、円錐状となる。理解すべきことであるが、上述のように、本発明によるすべての特定のレンズが有する周辺部の周りの端部形状は、一定ではなく、ここに開示される端部表面は、レンズの周辺部全体の周りにおいて、必ずしも一定の形状で延びるように構成される必要はない。
【0033】
前向き周辺ランドまたは領域46が直線的で、光軸OAに対して実質的に垂直であるように図示されているが、他の構成も実施することができる。例えば、周辺ランド46が直線以外の、例えば、光学部品の中央平面を通る平面に対して凹状または凸状であってもよい。あるいは、周辺ランド46は、前方側に向かって、または前方側から遠ざかって傾斜していてもよい。さらに、湾曲表面および直線表面などの周辺ランド46を形成する1つ以上の表面があってもよい。
【0034】
図4および図5は、図3に示す光学部品40と実質的に同一の構成を有する2つの光学部品60aおよび60bを図示する。つまり、光学部品60aおよび60bの両方は、光軸OA、凸状前方面AF、凸状後方面PF、および周辺端部62aおよび62bをそれぞれ有する。周辺端部62aおよび62bは、それぞれ、丸みを帯びた移行表面64aおよび64bと、光軸OAに対して実質的に垂直な前方周辺ランド66aおよび66bと、後方端部角部70aおよび70bと、光軸OAに対して実質的に平行な端部表面72aおよび72bと、光軸OAに対して平行でない前向き端部表面74aおよび74bとを有する。
【0035】
図3、図4、および図5は、同様の構造を有し、光学的矯正値、すなわちジオプタ値の異なる大きさに依存して異なる寸法を有する光学部品を図示する。図3に示す光学部品40は、20の中間的な矯正ジオプタ値を有し、図4に示す光学部品60aは、10の矯正ジオプタ値を有し、光学部品60bは、30の矯正ジオプタ値を有する。これらの相対的なジオプタ値は、それぞれの相対的な凸の程度に反映されている。つまり、図4に示す最小のジオプタを有する光学部品40は、比較的に浅い凸状を有する前方面AFおよび後方面PFを有する。対照的に、図5に示すより大きいジオプタ値を有する光学部品60bは、前方面AFおよび後方面PFの両方に関して、より大きい凸の程度を有する。
【0036】
図3ないし図5に図示された例示的な光学部品の各周辺端部に関するさまざまな寸法が、図4および図5で与えられている。すなわち、各周辺端部の厚みがt、平行端部表面の厚みがA、平行でない端部表面の角度がθ、そして移行表面の曲率半径がRとして与えられる。
【0037】
以下の表は、図4および図5に示す光学部品60aおよび60bに関するこれらの寸法に対する例示的な値を示すものである。これらの寸法は、シリコーン樹脂で形成された光学部品60aおよび60bに対して適したものであると考えられている。図3に示す光学部品40に関する寸法は、好適には、図5に示す光学部品60bの寸法と近似的に等しいものと理解される。同様に理解すべきことであるが、こうした特定の目的のいずれかを達成するために、必ずしもこの寸法すべてを選択する必要はないが、IOL内のちらつきおよびPCOを低減する限りにおいて、以下の寸法により、特定の利点が得られるものと考えられている。例えば、いくつかの寸法は、各IOLの製造を支援する上で好適である。
【0038】
表1は、シリコーン樹脂からなる光学部品に対する例示的な値を示唆する。
【表1】
【0039】
表2は、アクリル樹脂からなる光学部品に対する図4および図5に示す同様の寸法に関する例示的な値を示唆する。この場合、下付き文字「1」はジオプタ値が10である光学部品に関し、下付き文字「2」はジオプタ値が20または30である光学部品に関する。
【表2】
【0040】
図3ないし図5から明らかなように、さまざまなレンズの光軸OAに沿った凸の程度は、ジオプタ値が大きくなるにつれて増大する(後方面、特に前方面は、より大きい凸の度合いを有する)。しかし、ある外科医は、ジオプタ倍率に関係なく、光軸においてほぼ同じ嵩または中央厚みを有する眼内レンズを好むことがある。これにより、外科医は、ジオプタの範囲全体において、同じ外科技術を用いることができる。したがって、本発明によれば、異なるジオプタ値を得るために、光学部品の全体の直径を変化させる。つまり、異なるジオプタ値を得るための眼内レンズの中央厚みは、直径によらず一定である。したがって、凸の度合いがより大きいレンズの直径を小さくして、中央厚みを小さくし、そしてより平坦なレンズの直径を中間値に大きくする必要がある。例えば、図3に示す中間的なジオプタ値を有する光学部品40の中央厚みに近づくように、図4に示すジオプタ値の低い光学部品60aの直径を大きくしてもよい。同様に、図3に示す光学部品40の中央厚みに近づくように、図5に示すジオプタ値の高い光学部品60bの直径を小さくしてもよい。
【0041】
このように本発明は、ジオプタ値の異なる一連の眼内レンズを実現し、このとき、光学部品の直径は、一般に、ジオプタ値に対して反比例的に(ただし、必ずしも1次関数的でなく)変化する。こうして、ほぼ同じ中央厚みを有する眼内レンズを外科医に提供することができ、移植手術をより一般化させ、予測可能にすることを支援できる。一連の眼内レンズの1つの具体例として、図3ないし図5に示す光学部品が含まれる。図4に示すジオプタ値のより小さいレンズ60aは、約6.25mmの直径を有し、図3に示す中間的なジオプタ値を有するレンズ40は、約6.0mmの直径を有し、図5に示すジオプタ値のより大きいレンズ60bは、約5.75mmの直径を有する。都合のよいことに、ジオプタ値のより小さいレンズに対して、直径を大きくすることは、人間の生理機能に合致するものである。つまり、ジオプタ値のより小さいレンズを必要とする人々は、より大きい眼球を有しており、ジオプタ値のより大きいレンズを必要とする人々は、より小さい眼球を有する傾向がある。
【0042】
図6は、図3に示す光学部品40の周辺端部の一部を示し、前方側から周辺端部に入射する複数の個別の光線80a,80b,80cを示している。周辺端部42を通る各光線の屈折/反射した経路が示され、周辺端部42から出射する各光線82a,82b,82cが示されている。
【0043】
図6は、反射光の強度を弱めるように、入射平行光線を拡散する周辺端部42の好適な特徴を図示する。つまり、通常ならば、ほぼ元の強度で光軸方向に反射する光を、IOL内のちらつきを低減するために拡散させる。本発明は、湾曲した、あるいは丸みを有する表面44などの表面を、光軸に対して平行でない1つまたはそれ以上の端部表面54などの端部表面と組み合わせて用いる。図示された実施形態において、周辺端部42は、光軸に対して実質的に平行な端部表面52をさらに有する。前方側上の丸みを有する移行表面44と、これにつながる前向き端部表面54を組み合わせることにより、光学部品40内のちらつきが実質的に低減されるものと考えられている。
【0044】
図7ないし図9のそれぞれは、ちらつきを低減する構造を有するIOLの光学部品の半分を部分的に図示する。1つのデザインにおいて、従来式のレンズと比較して、光が周辺端部表面において光軸方向へ反射する確率が低減されるように、入射光は屈折する。別のデザインにおいて、入射光は、浅い入射角で内側の周辺端部表面において光軸方向でない方向へ反射し、従来式のレンズと比較して、光が他の端部表面において反射する確率が低減される。図7ないし図9に示すすべての光学部品は、光軸OA、凸状前方面AF、および凸状後方面PFを有する。
【0045】
図7に示す光学部品90は、直線的で、光軸OAに対して実質的に平行な第1の端部表面94と、直線的で、光軸OAに対して平行でない前向きの第2の端部表面96とを有する。図7に示す光学部品90の部分的な断面において、前向きの第2の端部表面96は、光軸OAに対して反時計方向(ccw)に傾斜している。端部表面94および96は、周辺端部92の中間部における不連続部98で連結している。後方端部角部100は、後方面PFから周辺端部92を分離し、前方端部角部102は、光軸に対して実質的に垂直な周辺ランド104から周辺端部を分離する。
【0046】
入射光線106は、周辺ランド104を通り、光学部品90内の第2の端部表面96において反射する。その結果、反射光線108は、光学部品90を通って偏向し、第1の端部表面94に到達しない。このように、周辺端部92の領域において光学部品90に入射する光の大部分が、第2の端部表面96において比較的に浅い入射角度で反射し、第1の端部表面94から光軸に向かって反射することはない。こうして、ちらつきが抑制される。この結果を得るために、前向きの第2の端部表面96は、光軸OAに対して少なくとも約10°傾斜していることが好ましい。
【0047】
図8は、直線的で、光軸OAに対して平行でない単一の前向き端部表面114からなる周辺端部112を有する光学部品110を図示する。すなわち、光学部品110は、単一の円錐状の前向き端部表面114を有する。後方端部角部116は、後方面PFから端部表面114を分離し、前方端部角部118は、光軸OAに対して実質的に垂直な周辺ランド120から端部表面114を分離する。入射光線122は、周辺ランド120に入射し、光学部品110を貫通するように図示されている。端部表面114が前向きに傾斜しているため、光線は、光学部品110を貫通するとき、わずかに屈折するが、符号124で示すように、表面端部114において反射することはない。つまり、後方端部角部116は、前方端部角部118よりも半径方向の外側に配置され、周辺端部112の領域内に入射する光の大部分は、光学部品110の材料を単に通過することになる。この結果を得るために、前向き端部表面114は、光軸OAに対して少なくとも約5°傾斜していることが好ましい。
【0048】
図9は、図8に示す光学部品110と実質的に同様の光学部品130を図示し、この光学部品は、直線的で、光軸OAに対して平行でない単一の前向き端部表面134により形成された周辺端部23を有する。すなわち、光学部品130は、単一の円錐状の前向き端部表面134を有する。同様に、後方端部角部136は、後方面PFから周辺端部132を分離する。前方端部角部138は、前方面AFから周辺端部132を分離し、前方周辺ランドは存在しない。周辺端部132の領域を貫通する光線140の経路は、周辺端部表面において全く反射されないことを示している。前方側から光学部品130に入射する光の大部分は、光軸OAに向かって反射することなく、光学部品を単に通過することとなる。この結果を得るために、前向き単部表面134は、光軸OAに対して少なくとも約5°傾斜していることが好ましい。
【0049】
図10ないし図13は、光軸に向かって光を反射するのではなく、光を周辺端部から半径方向の外側に伝播させるように構成された本発明による数多くの光学部品を図示する。これは、数多くの方法で実施でき、これらのすべての方法において、レンズ材料の屈折率に関する臨界角より小さい角度で、光学部品の内側から周辺端部に光を当てることができる。同様に、図10ないし図13に示す各光学部品は、光軸OA、凸状前方面AF、および凸状後方面PFを有する。
【0050】
図10および図11は、2つの実質的に同様の光学部品150a,150bを図示し、対応する部品符号が与えられている。各光学部品150a,150bは、直線的で、光軸OAに対して実質的に平行な端部表面154a,154bにより形成される周辺端部152a,152bを有する。後方端部角部156a,156bは、それぞれの後方面PFから端部表面154a,154bを分離する。光学部品150a,150bの両方は、先の尖った前方端部角部158a,158bを有し、これらの前方端部角部は、前方周辺ランド160a,160bから端部表面154a,154bを分離する。周辺ランド160a,160bは、直線的で、光軸OAに対して垂直でないものとして図示されているが、直線的でないランドも同様に機能し、入射光を拡散させることができることを理解すべきである。図10に示す光学部品150aの周辺ランド160aは、不連続部162において、前方面AFと合流する。一方、直線的で、光軸OAに対して実質的に垂直な周辺ランド164により、図11に示す光学部品150bの周辺ランド160bがその前方面AFと合流する。つまり、図11に示す光学部品150b上には、2つの周辺ランド160bおよび164が存在する。
【0051】
入射光166a,166bは、図10および図11において、各周辺ランド160a,160bに入射し、各光学部品150a,150bの材料を貫通し、端部表面154a,154bへ向かうように図示されている。周辺ランド160a,160bが特定の角度で傾斜しているために、光線は、レンズ材料の屈折率に関する臨界角より小さい角度で、端部表面154a,154bから出射する。したがって、端部表面154a,154bにおいて反射するのではなく、光線は、出射光線168a,168bとして図示されるように、周辺端部152a,152bを貫通する。端部表面154a,154bと周辺ランド160a,160bとの間の傾斜角は、α1およびα2と示されている。これらの角度は、好適には、90°未満で、より好適には、約45°ないし88°の範囲内にあり、最も好適には、約70°ないし88°の範囲内にある。当然に、これらの範囲は、構成材料の屈折率により変化し得る。
【0052】
図12および図13は、同様の光学部品170a,170bを図示し、これらの光学部品は、直線的で、光軸OAに対して平行でない後向きの端部表面174a,174bにより形成される周辺端部172a,172bを有する。後方端部角部176a,176bは、後方面PFから端部表面174a,174bを分離する。図12に示す光学部品170a上において、前方端部角部178aは、周辺ランドを有さず、前方面AFから端部表面174aを分離する。対照的に、図13から分かるように、前方端部角部178bは、直線的で、光学部品170bの光軸に対して実質的に垂直な周辺ランドから、端部表面174bを分離する。周辺ランド180は、不連続部182において、前方面AFに連結される。
【0053】
前方端部角部178a,178bの角度は、β1およびβ2で図示されている。角度β1の大きさは、前方面AFの凸の程度、および光軸OAに対する後向き端部表面174aの傾斜角度の両方に依存する。前方面AFは、多様に異なる凸の度合いを有していてもよいが、後向きの端部表面174aは、光軸OAに対して(図面において時計方向に)少なくとも2°の傾斜角度を有する。したがって、角度β1は、好適には、約120°未満であり、より好適には、70°ないし120°の範囲内にある。図13に示す角度β2の大きさは、周辺ランド180の角度、および後向き端部表面174bの光軸OAに対する角度の両方に依存する。この周辺ランド180は、直線的で、光軸OAに対して垂直であるとして図示されているが、直線的でなく、平行でないランドも同様に機能することを理解する必要がある。好適には、後向き端部表面174bは、光軸OAに対して(図面において時計方向に)少なくとも2°の傾斜角度を有する。したがって、角度β2は、好適には、鋭角であり、より好適には、30°ないし88°の範囲内にある。当然に、これらの範囲は、構成材料の屈折率に依存して変化し得る。
【0054】
図12および図13は、入射する光線184a,184bを図示し、これらの光線は、各光学部品170a,170bの前方側の周辺端部172a,172bに隣接したところで入射した後、光学部品の材料を貫通し、端部表面174aおよび174bで反射することなく、これらを貫通する。同様に、この現象は、光線が端部表面174aおよび174bに当たる角度に起因するもので、これらの角度は、レンズ構成材料の屈折率に関する臨界角よりも小さい。その結果、光線は、光軸OAに向かって反射することなく、周辺端部172a,172bを単に通り抜けることとなる。
【0055】
図14aは、本発明のさらなる実施形態によるIOL200を図示し、このIOLは、光学部品202と、これより半径方向外側に延びる複数の(ここでは1つしか図示しないが)固定部材204とを有する。図14bは、光学部品202の周辺端部領域の拡大図である。光学部品202は、同様に、光軸OA、凸状前方面AF、および凸状後方面PFを有する。
【0056】
図14bを参照すると、光学部品202は、直線的で、光軸OAに対して平行でない前向き端部表面208により形成される周辺端部206を有する。湾曲した、あるいは丸みを帯びた移行表面210により、直線的な端部表面208が凸状前方面AFとなめらかに調和する。鋭利な後方端部角部212は、直線的で、光軸に対して実質的に垂直な周辺ランド214から端部表面208を分離する。周辺ランド214は、不連続部216において、凸状後方面PFと合流する。図14aは、円形の後方端部角部212と一致する平面218を図示する。この平面は、光学部品202を形成するために用いられる2つのモールド半身部分の間の分離ラインを示す。こうして、先の尖った周辺端部角部212をモールド半身部分の間に容易に形成することができる。
【0057】
図14aおよび図14bに示す実施形態は、上述のいくつかの好適な特徴を組み合わせたものを採用している。すなわち、図3ないし図5で示す実施形態に関して説明したように、丸みを帯びた移行表面210は、前方側から入射した光線を拡散する傾向がある。さらに、移行表面210を通過する光の一部が端部表面に当たらないように、そしてちらつきを抑制するために比較的に浅い入射角度で反射するように、端部表面208は傾斜を有する。
【0058】
図15ないし図17は、類似した形状を有する3つの光学部品の周辺端部を図示している。図15に示す光学部品220aは、直線的で、光軸に対して平行でない前向き表面222aにより形成された周辺端部と、鋭利な後方端部角部224aと、前方面AFと調和する丸みを帯びた前方移行表面226aとを有する。光軸に対して通常垂直な周辺ランド228aは、後方面PFと端部角部224aの間で延び、不連続部230aにおいて後方面PFと合流する。表面222aおよび周辺ランド228aの間に形成される角度は比較的に小さく、丸みを有する移行表面226aは、表面222aから外側方向にわずかに突出している。
【0059】
図16に示す光学部品220bの周辺端部は、同様に、直線的で、光軸に対して平行でない前向き表面222bと、鋭利な後方端部角部224bと、前方面AFと調和する丸みを帯びた前方移行表面226bとを有する。光軸に対して垂直でない周辺ランド228bは、後方面PFと端部角部224bの間で延びる。周辺ランド228bは、不連続部230bにおいて後方面PFと合流する。主に、表面222bの光軸に対する角度が表面222aのそれよりも浅いために、表面222bおよび周辺ランド228bの間に形成される角度は、図15に示す角度よりも若干大きい。
【0060】
図17に示す光学部品220cの周辺端部は、同様に、直線的で、光軸に対して平行でない前向き表面222cと、鋭利な後方端部角部224cと、前方面AFと調和する丸みを帯びた前方移行表面226cとを有する。光軸に対して垂直でない周辺ランド228cは、後方面PFと端部角部224cの間で延びる。周辺ランド228cは、不連続部230cにおいて後方面PFと合流する。光学部品220cは、光学部品220bと相当に類似しているが、凸の程度が若干小さい後方面PFを有する。
【0061】
図18は、鋸歯またはバッフルを含む端部表面242を有する光学部品240の周辺端部を図示する。端部表面242は、一般に、光学部品240の前方側に面するように配置され、ピーク246およびトラフ248を形成する複数の歯状ファセットまたは歯状表面244a,244bを有する。各歯状表面244aは、各歯の同じ側の他の表面と平行であり、同様に、各歯状表面244bは、各歯の他方側の他の表面に対して平行であることが好ましい。光学部品240の周辺端部は、後方端部角部250と、前方面AFと調和する丸みを帯びた移行表面252とを有する。光軸に対して通常垂直な周辺ランド254は、後方面PFと端部角部250の間で延びる。前方側から光学部品240の周辺端部に当たる光は、バッフルを有する端部表面242および丸みを有する移行表面を通過する際に、散乱または拡散される。これにより、光学部品240内のちらつきが抑制されやすくなる。加えて、端部表面242は、光軸に対して平行でない傾斜を有するので、光学部品240内の光線の一部は、この端部に当たることすらなく、ちらつきをいっそう低減することができる。
【0062】
直線的な後向き端部表面262を有する光学部品260が図19に図示されている。光学部品260の周辺端部は、端部表面262、前方面AFと調和する丸みを帯びた移行表面264、および狭小周辺ランド268に隣接する周辺端部角部266を有する。後向き端部表面262の利点は、図12および図13を参照して上述した通りで、主に、光が端部表面において内部反射するためではなく、光が端部表面を通過することに関係する。当然に、端部表面262において反射するのではなく、端部表面を通り抜ける光は、ちらつきを生じさせない。加えて、丸みを有する移行表面264により、周辺端部に当たる光線を拡散させ、ちらつきをさらに低減しやすくなる。
【0063】
最後に、図20は、前方端部角部282および後方端部角部284の両方を有する光学部品280を図示する。後向き端部表面286は、前方端部角部282から頂部288まで延び、前向き端部表面290は、頂部288から後方端部角部284まで延びる。頂部288は、溝部の中間点を形成し、結果として得られる断面形状は、分岐する舌部のようになる。一対の周辺ランド292a,292bは、端部角部282,284と、光学部品280の前方および後方面の間に延びる。周辺ランド292a,292bは、好適には、光軸に対して垂直である。同様に、光軸に対して平行でない直線的な端部表面を形成することにより、光学部品280内のちらつきの低減が支援される。さらに、比較的に鋭利な端部角部282,284により、光学部品280の前方側および後方側の両方において、細胞の成長を抑制することにより、PCOを抑えることができる。
【0064】
本発明による眼内レンズの周辺端部の幾何学的形状を、ちらつきおよびPCOを抑制するように設計することに加えて、端部、および端部付近の表面に「テキスチャ処理(textured)」するか、「フロスト処理(frosted)」して、周辺領域に当たる光を散乱させてもよい。こうした散乱により、端部のちらつきの低減が支援される。加えて、さまざまな幾何学的形状に組み合わせて、テキスチャを利用することにより、後嚢混濁(PCO)を抑制しやすくする。ここに一体のものとして統合される「副次的混濁を抑制するためのIOL」と題する米国特許第5,693,094号に開示されたような多様なテキスチャ療法を用いることができる。特定の実施形態に関して、シリコーン樹脂からなるIOLは、好適には、後方面の周辺領域または中間ランドに加えて、少なくとも1つの端部表面の上にテキスチャ/フロストを有する。一方、アクリル樹脂製IOLは、好適には、少なくとも1つの端部表面上に、そして好適には、光軸に対して平行な端部表面上にテキスチャ/フロストを有する。
【0065】
本発明の眼内レンズは、注入モールド成型、圧縮成型、旋盤加工、および粉砕処理などのさまざまな技術を用いて製造することができる。当業者ならば、本発明によるレンズを成型するために、どのようにモールド金型を形成し、または切断ツールをプログラムするか理解しているであろう。重要なことであるが、研磨プロセスにおいて、特定の光学部品に関するさまざまな角部または不連続部が、丸くならないように注意する必要がある。したがって、レンズを研磨する間、角部にマスクを付けるか、あるいは保護する必要がある。択一的には、マスクを付けないレンズを研磨した後、多様な端部表面をあらためてカットして鋭利な角部を形成する。
【0066】
再び図1を参照すると、任意の特定のレンズに関するPCOのリスクを低減する上で、固定部材24a,24bのデザインが重要な役割を果たすことができる。すなわち、嚢が収縮するとき、レンズの後方端部角部の周囲において嚢をシールするために、レンズが後嚢に対して軸方向に十分動き、これに付随して後嚢に対して付勢されるように、固定部材24a,24bを設計する必要がある。レンズに対する必要な後方付勢を与え得るさまざまな固定部材24a,24bが当業者により知られている。固定部材24a,24bの正確な構造は、全体的なレンズの直径、光学部品の直径、固定部材の角度、固定部材の材料の硬さ、固定部材のゲージ、固定部材の幾何学的形状、および固定部材がレンズに取り付けられる方法に依存して変化する。
【0067】
本発明によれば、細胞がカプセル状嚢からIOL光学部品の上、および/またはその上方に成長または移入することを抑制するIOLを極めて効率よく提供することができる。さらに、このIOLによれば、断面図において、IOL光学部品の光軸に対して実質的に平行な周辺端部を有するレンズと比較して、ちらつき、とりわけ端部ちらつきが低減される。これらの利点は、容易に製造され、眼球内に挿入されるIOLを用いて実現される。こうしたIOLは、任意の適当な材料で形成することができ、有用な機能、および患者に対する実質的な利点を提供することができる。
【0068】
さまざまな実施例および実施形態を参照しながら、本発明を説明してきたが、本発明はこれらに限定すべきではなく、添付クレームの範疇に含まれる範囲において、さまざまに実施することができることを理解されたい。
【符号の説明】
【0069】
20,30,40…IOL、22…光学部品、24a,24b…固定部材、26…光軸、32…周辺端部、34…端部表面、36a…前方端部角部、36b…後方端部角部、38a…前方ランド、38b…後方ランド、44…移行表面、46…前方周辺ランド、50…周辺端部角部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、眼内レンズ(IOL)に関し、とりわけ、細胞が眼からIOLへ移入または成長することを抑制し、眼内のちらつきを低減するIOLに関する。
【0002】
眼内レンズは、医学的な症状により保証されるとき、人間の自然の眼と置換するために広く用いられている。カプセル状嚢または後方嚢として知られた眼の一部領域内にIOLを移植することが日常的に行われている。移植後、特定のIOLに関する潜在的な懸念事項は、眼からの細胞、特にカプセル状嚢からの上皮細胞が、IOLの光学部品の前部または後部において成長しがちであるということである。この傾向により、IOLの光学部品が遮蔽され、視界が妨害されてしまう。
【0003】
この症状に対する一般的な治療方法は、レーザを用いて細胞およびカプセル状嚢の中央領域を破壊することである。この治療方法は効果的ではあるが、レーザは、高価であり、世界中のどこでも利用できるというわけではない。レーザに付随するコストだけでなく、ある患者にとっては不便であり、合併症のリスクがある。さらに、レーザ治療により、IOLの特性に影響を与えることがある。
【0004】
特定のIOLを移植した後の別の潜在的な懸念事項は、IOL、特にIOLの端部における光の反射に起因するちらつきに関して、対処する必要があるということである。こうしたちらつきは、患者にとって不快なものであり、IOLを取り出して、置換することにもつながりかねない。
【0005】
細胞が眼からIOL上に成長することを抑制し、さらに/または眼球内のIOLに起因するちらつきを低減するIOLを提供することが好ましい。
【発明の概要】
【0006】
新規なIOLが発見された。そのIOLは、眼からIOLの光学部品上への細胞成長、とりわけ上皮細胞成長を効率よく抑制する。このIOLは、IOLの存在に起因する眼球内のちらつき、特に端部ちらつきを低減するように構成されている。本発明のIOLは、設計および構成において簡単なもので、容易に製造され、従来式の技術を用いて眼球内に移植または挿入でき、眼球内で使用する際に相当な利点が得られる。
【0007】
本発明の広い態様において、本発明のIOLは、眼球内に移植可能で、中央光軸、前方面、対向する後方面、および周辺端部または前方面と後方面の間の端部表面を含む光学部品を有する。この光学部品は、眼球のカプセル状嚢内に配置され、眼球の網膜の方へ光を向けるように構成されている。極めて有用な実施形態において、IOLは、少なくとも1つの固定部材、好適には2つの固定部材をさらに有し、より好適には、IOLを眼球内に固定する際に用いられるために連結された2つの細長い固定部材を有する。
【0008】
好適な態様において、本発明は、ちらつきを抑えた眼球内に移植可能な眼内レンズを提供し、この眼内レンズは、眼球のカプセル状嚢内に配置され、眼球の網膜の方へ光を向けるように構成された光学部品を有する。この光学部品は、中央光軸、前方面、対向する後方面、および周辺端部を有する。周辺端部は、中央光軸に対して平行でない直線的な断面形状を有する少なくとも1つの表面を有する。さらに、周辺端部および前方面、さらに/または周辺端部および後方面が交差して、周辺端部と、交差する前方面または後方面との間の不連続部に配置される少なくとも1つの周辺端部角部を形成する。周辺端部は、前方側において、丸みを有する移行表面を有し、周辺端部角部が、周辺端部および交差する後方面の間にのみ形成される。同様に、周辺端部は、互いに対して傾斜する少なくとも2つの直線的な表面を有していてもよく、このとき、他方の直線的な表面を、光軸に対して平行となるように配置してもよい。
【0009】
本発明の別の態様において、ちらつきを抑えた眼球内に移植可能な眼内レンズは、眼球のカプセル状嚢内に配置され、眼球の網膜の方へ光を向けるように構成された光学部品を有する。この光学部品は、中央光軸、前方面、および後方面を有する。光学部品の外側端部は、周辺端部により形成され、周辺端部は、断面形状において、光軸に対して平行でない直線的な表面と、周辺端部の後方境界を形成する後方角部とを有する。好適にも、後方角部を有さない実質的に同一の眼内レンズと比べて、細胞が眼球から光学部品の前部または後部へ成長することが、より抑制され、中央光軸に対して平行な直線的な周辺表面を有する実質的に同一の眼内レンズと比べて、眼球内のちらつきが低減される。この光学部品は、前方面と直線的な表面の間の移行表面を形成する、周辺端部上に凸状の表面を有していてもよい。光軸に対して平行な第2の直線的な表面を設けてもよい。さらに、光学部品は、第1および第2の直線的な表面を有していてもよく、第1の直線的な表面は、前向きであり、第2の直線的な表面は、光軸に対して平行である。
【0010】
本発明のさらに別の実施形態において、眼内レンズは、眼球内に移植可能で、眼球のカプセル状嚢内に配置され、眼球の網膜の方へ光を向けるように構成された光学部品を有する。この光学部品は、前方面および後方面の間に延び、円錐表面のみからなる周辺端部を有する。円錐表面は、後向きであってもよく、円錐表面は、光軸に対して平行な表面のみからなる周辺端部を含む実質的に同一の眼内レンズと比較して、光学部品から円錐表面を通り抜ける光量を増大させるように、光軸に対して十分に傾斜する。択一的には、周辺ランドが前方面および円錐面の間に延び、円錐表面は後向きであり、円錐表面および円錐表面に隣接する周辺ランドが鋭角をなす。さらに別の形態において、円錐表面は、前向きであってもよく、円錐表面は、光軸に対して平行な表面のみからなる周辺端部を含む実質的に同一の眼内レンズと比較して、光学部品内の光が円錐表面に接する確率を低減するように、光軸に対して十分に傾斜する。
【0011】
本発明の別の態様は、中央光軸、前方面、および後方面を有する光学部品を含む眼内レンズである。前方面および後方面の間に延びる周辺端部は、断面形状において、前方端部角部における前方側で終点を有する直線的な端部表面を有する。直線的な端部表面および前方ランドが90°またはそれ以上の角度をなす実質的に同一の眼内レンズと比較して、光学部品から円錐表面を通り抜ける光量を増大させるように、前方ランドが前方端部角部に隣接し、直線的な端部表面および前方ランドは鋭角をなす。
【0012】
さらに別の形態において、本発明は、光軸、前方面、および後方面を形成する光学部品を有する眼内レンズを提供する。周辺端部は、前方面および後方面の間に存在し、断面形状において、光軸に対して水平でない少なくとも2つの直線的な端部表面を有する。この2つの直線的な端部表面は、頂部で合流し、ともに溝部を形成するように、互いに向かって半径方向内側に傾斜していてもよい。さらに、こうした複数の溝は、直線的な端部表面を隣接することにより形成できる。前向き端部表面、および光学部品の前方面の間において延びる丸みを帯びた移行表面をさらに形成してもよい。
【0013】
本発明のIOLの周辺端部は、湾曲表面、光軸に対して平行な、または平行でない平坦表面、あるいは平坦表面と湾曲表面の組み合わせを有していてもよい。例えば、周辺端部の一部が実質的に連続した湾曲形状を有する場合、別の一部、例えば、周辺端部の残りの部分は、光軸に対して平行でない光学部品の前方面および後方面の間の方向において、直線的な形状を有する。
【0014】
本発明のIOLは、好適にも、光学部品の前方面および後方面の間の方向において光軸に対して平行な(平坦な)周辺端部を有する実質的に同一のIOLにおいて生じるちらつきと比較して、眼球内のちらつきを抑える。1つまたはそれ以上の周辺端部の少なくとも一部、周辺端部付近の後方面の一部、および周辺端部付近の部分面の一部は、透過光に対して、少なくとも部分的に不透明であってもよく、その不透明性により、ちらつきを抑えることができる。こうした不透明性は、任意の手法により実現することができ、例えば、光学部品の選択された一部を「フロスト処理(frosted)」するか、あるいは物理的または化学的に粗面化することにより実現できる。
【0015】
さらに、周辺端部と、前方面および後方面の少なくとも一方または両方の交差点が、周辺端部および交差する面の間の不連続部に配置される周辺角部または角部端部を形成する。こうした周辺角部は、鋭く、急なまたは傾斜を有する周辺角部と考えられ、眼球からIOLへの細胞移入または細胞成長を効果的に抑制する。本発明のIOLは、好適には、1つまたは2つのこうした傾斜を有する周辺角部を有し、鋭く、急なまたは傾斜を有さない実質的に同一のIOLと比較して、光学部品の前部または後部における細胞成長をより抑制する。
【0016】
周辺端部と、交差する1つまたは複数の面は、好適には、約45°ないし約135°の範囲で、より好適には、約60°ないし約120°の範囲で交差する。1つの実施形態において、交差鈍角(90°より大きく、180°より小さい)が形成される。こうした交差鈍角は、本発明によるIOLの光学部品の前方面および/または後方面の上、さらに/またはその上方における細胞移入または細胞成長を抑制することを効果的に支援する。
【0017】
極めて有用な実施形態において、前方面および後方面の少なくとも一方は、周辺端部から中央光軸に向かって延びる周辺領域を有する。この周辺領域は、好適には、実質的に平坦で、中央光軸に対して実質的に垂直であってもなくてもよい。好適には、前方面だけが、周辺端部から中央光軸に向かって延びる周辺領域を有し、この周辺領域は、実質的に平坦で、より好適には、中央光軸に対して実質的に垂直である。周辺領域は、好適には、少なくとも約0.1mm、より好適には、約2mmの半径寸法を有する。
【0018】
前方面と後方面の間の中央光軸に対して平行な光学部品の大きさは、周辺端部またはその近傍においてより小さく、例えば、周辺領域における大きさは、中央光軸における大きさよりも小さい。
【0019】
好適には、周辺端部および/または周辺領域は、中央光軸の境界を画する。前方面および後方面は、ともに一般的な円形形状を有するが、長円または楕円などの他の形状を用いることができる。前方面および後方面の少なくとも一方は、周辺領域の半径方向内側に配置された、実質的に平坦でない追加的領域を有する。
【0020】
ここに開示された2つまたはそれ以上の特徴が互いに矛盾しない限り、これらの特徴のすべての組み合わせが、本発明の範疇に含まれる。
【0021】
同様の構成部品に対して同様の参照符号を付与した例示的な添付図面を見ながら以下の説明を参照すると、本発明ならびに本発明の追加的な特徴および利点がともに十分に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の教示内容に基づいて構成された1つの実施形態による眼内レンズ(IOL)の平面図である。
【図2】先行技術によるIOLの光学部品の断面図である。
【図3】本発明の例示的な実施形態によるIOLの中間的なジオプタ値を有する光学部品の正面図である。
【図4】本発明の別の例示的なIOLの小さいジオプタ値を有する光学部品の正面図である。
【図5】本発明の別の例示的なIOLの大きいジオプタ値を有する光学部品の正面図である。
【図6】図3に示すIOLの周辺端部領域の正面図であって、この領域を通過する複数の光線の経路を示す。
【図7】光軸に対して平行な端部表面と、光軸に対して平行でない前向き端部表面と、光軸に対して垂直な前方周辺ランドとを有する、本発明によるIOLの周辺端部領域の正面図である。
【図8】光軸に対して平行でない前向き端部表面と、光軸に対して垂直な前方周辺ランドとを有する本発明によるIOLの周辺端部領域の正面図である。
【図9】光軸に対して平行でない前向き端部表面を有し、周辺ランドを有さない、本発明によるIOLの周辺端部領域の正面図である。
【図10】光軸に対して平行な端部表面と、光軸に対して垂直でない前方周辺ランドとを有する、本発明によるIOLの周辺端部領域の正面図である。
【図11】光軸に対して平行な端部表面と、光軸に対して垂直な前方周辺ランドと、光軸に対して垂直でない前方周辺ランドとを有する、本発明によるIOLの周辺端部領域の正面図である。
【図12】光軸に対して平行でない後向き端部表面を有し、周辺ランドを有さない、本発明によるIOLの周辺端部領域の正面図である。
【図13】光軸に対して平行でない後向き端部表面と、光軸に対して垂直な前方周辺ランドとを有する、本発明によるIOLの周辺端部領域の正面図である。
【図14a】本発明によるIOLの半径方向の断面図であって、周辺端部から延びる固定部材を示す。
【図14b】図14aに示すIOLの周辺端部領域の正面図である。
【図15】光軸に対して平行でない前向き端部表面と、IOLの端部表面と前向き表面の間の丸みを帯びた移行表面と、後方周辺ランドとを有する、本発明によるIOLの周辺端部領域の正面図である。
【図16】光軸に対して平行でない前向き端部表面と、IOLの端部表面および前向き表面の間の丸みを帯びた移行表面と、後方周辺ランドとを有する、本発明によるIOLの周辺端部領域の正面図である。
【図17】光軸に対して平行でない前向き端部表面と、IOLの端部表面および前向き表面の間の丸みを帯びた移行表面と、後方周辺ランドとを有する、本発明によるIOLの周辺端部領域の正面図である。
【図18】前向き端部表面に沿って配置されたバッフル構造を有する、本発明によるIOLの周辺端部領域の正面図である。
【図19】前向き端部表面と、IOLの端部表面と前向き表面の間の丸みを帯びた移行表面とを有する、本発明によるIOLの周辺端部領域の正面図である。
【図20】前向き端部表面と後向き端部表面の両方を有する、本発明によるIOLの周辺端部領域の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1はIOL20を示し、これは、概略、光学部品22と固定部材24a,24bを有する。この実施形態において、光学部品22は、眼球の網膜上またはその付近に光を集光する上で有効なものと考えられる。光軸26は、光学部品22の中心を光学部品の平面に対して通常横断する方向に通る。
【0024】
この実施形態において、光学部品22は、円形の平面形状を有し、光軸26に接近する両凸形状を有する。しかし、この構成は、単に例示的なものであって、他の構成または形状も採用することができる。光学部品22は、ポリメチルメタクリレートなどの硬い光学部品用として広く採用された材料、またはシリコーン樹脂重合材料、アクリル樹脂重合材料、ヒドロゲル形成重合材料、およびこれらの混合材料などの、弾性を有し変形可能な光学部品用として広く知られた材料の任意のものを用いて構成することができる。
【0025】
この実施形態における固定部材24aおよび24bは、一般に、C字状で、光学部品22と一体である。しかし、固定部材24aおよび24bに関して、これは純粋に例示的であり、固定部材は、他の構成を有することもできるし、そして/または多様な従来方法のうちの任意の方法で光学部品22に固定された別の部材であってもよい。換言すると、本発明のIOLを、一体の光学部品および固定部材を含む単一部品で構成してもよいし、光学部品に接続された2つまたはそれ以上の固定部材を含む3つまたはそれ以上の部品で構成してもよい。IOL20は、当業者により広く知られた従来技術を用いて形成することができる。
【0026】
ここで明確に開示しない場合、IOL20の一般的な構造的特徴は、ここで説明する他のIOLに対して適用される。
【0027】
図2は、先行技術によるIOLの光学部品30を示し、これは、光軸OA、凸状前方面AF、凸状後方面PF、および周辺端部32を有する。周辺端部32は、通常、円形形状を有し、光学部品30の境界を画する一定の断面を有する。図示された光学部品30は、方形断面を有する種類のもので、細胞が光学部品30上に成長すること、つまり後嚢混濁(PCO)として知られる症状を抑制する。周辺端部32は、光軸OAに対して平行な端部表面34と、前方端部角部36aおよび後方端部角部36bとを有する。さらに、前方ランド38aおよび後方ランド38bが、それぞれ、前方面AFおよび前方端部角部36a、後方面PFおよび後方端部角部36bの間において延びている。前方ランド38aおよび後方ランド38bは、光軸OAに対して実質的に垂直な方向に延びている。
【0028】
本出願において、前方(anterior)および後方(posterior)という用語は、一般的な意味で用いられており、前方(anterior)とは眼球の前側を意味し、後方(posterior)とは眼球の後側を意味する。本発明の眼内レンズに関する数多くの表面は、レンズの光軸に対する方向を示唆するために、「前向き(anteriorly-facing)」や「後向き(posteriorly-facing)」と表現される。説明する上で、光軸と平行な表面は、前向きでも後向きでもない。一方または他方に少しでも傾斜する表面は、その表面が向く方向により、レンズの前方側または後方側と特定することができる。
【0029】
図3は、本発明のIOLの光学部品40を図示し、これは好適な周辺端部42を有する。光学部品40は、光軸OA、凸状前方面AF、および凸状後方面PFを有する。周辺端部42は、好適には、円形形状を有し、光学部品40の境界を画する一定の断面を有する。しかし、当業者ならば理解されるように、周辺端部42は、光学部品40の周囲全体に延びていなくてもよく、本発明による周辺端部構造体の組み合わせを含む択一的な周辺端部構造体が、周辺端部42に割り込んでいてもよい。
【0030】
凸状前方面AF、および凸状後方面PFに対する周辺端部42をより明確に図示するために、光学部品40が図示されている。前方側において、周辺端部42は、湾曲した、あるいは丸みを帯びた移行表面44を有し、この移行表面は、直線的で、光軸OAに対して実質的に垂直であることが好ましい前方周辺ランドまたは領域46に移行する。後方側において、不連続的な周辺端部角部50は、周辺ランドを介することなく、周辺端部42を後方面PFから分離する。端部角部50は、周辺端部42の後方の境界を規定する。周辺端部42は、さらに、後方端部角部50に隣接して、直線的で、光軸OAに対して実質的に平行な端部表面52と、丸みを帯びた移行表面44に隣接して、直線的で、光軸OAに対して平行でない前向き端部表面54とを有する。角度の浅い角部または不連続部56は、平行な端部表面52を平行でない端部表面54から分離する。
【0031】
この文脈において、「不連続部(discontinuity)」という用語は、光学部品上の角部または周辺ラインとして視認可能な2つの端部表面間の移行部を意味する。当然に、すべての角部は半径を有するが、より丸みを帯びた領域とは異なり、独立したラインとして視認可能な角部だけが、この文脈における不連続部を有する。さらに、この文脈における「視認可能(visible)」とは、裸眼または接眼鏡などの所定の低倍率の拡大デバイスを用いて見ることができるという意味である。すなわち、少なくとも本出願の図面で図示された拡大図に関して、この意味による角部は、2つの直線的な表面の間の交差部として定義される。周辺端部の角部における「不連続部」の別の効果は、不連続部を有さない実質的に同一の眼内レンズと比べて、眼から光学部品の前方または後方への細胞成長が、より十分に抑制されることである。
【0032】
ここで用いられるように、さまざまな端部表面を示唆するための用語「直線的な(linear)」が、特定の端部の断面に見られるようなすべての事例において用いられる。すなわち、本発明のレンズは、一般に、円形であるので、周辺端部は、回転体の円形表面を有する。したがって、直線的な断面端部は、円筒表面または円錐表面を形成する。端部が光軸に対して平行である場合、表面は円筒状となる。一方、表面が光軸に対して平行でない場合、表面は円錐状となる。したがって、直線的な平行でない端部表面は、周辺端部の少なくとも一部に対して、円錐状となる。理解すべきことであるが、上述のように、本発明によるすべての特定のレンズが有する周辺部の周りの端部形状は、一定ではなく、ここに開示される端部表面は、レンズの周辺部全体の周りにおいて、必ずしも一定の形状で延びるように構成される必要はない。
【0033】
前向き周辺ランドまたは領域46が直線的で、光軸OAに対して実質的に垂直であるように図示されているが、他の構成も実施することができる。例えば、周辺ランド46が直線以外の、例えば、光学部品の中央平面を通る平面に対して凹状または凸状であってもよい。あるいは、周辺ランド46は、前方側に向かって、または前方側から遠ざかって傾斜していてもよい。さらに、湾曲表面および直線表面などの周辺ランド46を形成する1つ以上の表面があってもよい。
【0034】
図4および図5は、図3に示す光学部品40と実質的に同一の構成を有する2つの光学部品60aおよび60bを図示する。つまり、光学部品60aおよび60bの両方は、光軸OA、凸状前方面AF、凸状後方面PF、および周辺端部62aおよび62bをそれぞれ有する。周辺端部62aおよび62bは、それぞれ、丸みを帯びた移行表面64aおよび64bと、光軸OAに対して実質的に垂直な前方周辺ランド66aおよび66bと、後方端部角部70aおよび70bと、光軸OAに対して実質的に平行な端部表面72aおよび72bと、光軸OAに対して平行でない前向き端部表面74aおよび74bとを有する。
【0035】
図3、図4、および図5は、同様の構造を有し、光学的矯正値、すなわちジオプタ値の異なる大きさに依存して異なる寸法を有する光学部品を図示する。図3に示す光学部品40は、20の中間的な矯正ジオプタ値を有し、図4に示す光学部品60aは、10の矯正ジオプタ値を有し、光学部品60bは、30の矯正ジオプタ値を有する。これらの相対的なジオプタ値は、それぞれの相対的な凸の程度に反映されている。つまり、図4に示す最小のジオプタを有する光学部品40は、比較的に浅い凸状を有する前方面AFおよび後方面PFを有する。対照的に、図5に示すより大きいジオプタ値を有する光学部品60bは、前方面AFおよび後方面PFの両方に関して、より大きい凸の程度を有する。
【0036】
図3ないし図5に図示された例示的な光学部品の各周辺端部に関するさまざまな寸法が、図4および図5で与えられている。すなわち、各周辺端部の厚みがt、平行端部表面の厚みがA、平行でない端部表面の角度がθ、そして移行表面の曲率半径がRとして与えられる。
【0037】
以下の表は、図4および図5に示す光学部品60aおよび60bに関するこれらの寸法に対する例示的な値を示すものである。これらの寸法は、シリコーン樹脂で形成された光学部品60aおよび60bに対して適したものであると考えられている。図3に示す光学部品40に関する寸法は、好適には、図5に示す光学部品60bの寸法と近似的に等しいものと理解される。同様に理解すべきことであるが、こうした特定の目的のいずれかを達成するために、必ずしもこの寸法すべてを選択する必要はないが、IOL内のちらつきおよびPCOを低減する限りにおいて、以下の寸法により、特定の利点が得られるものと考えられている。例えば、いくつかの寸法は、各IOLの製造を支援する上で好適である。
【0038】
表1は、シリコーン樹脂からなる光学部品に対する例示的な値を示唆する。
【表1】
【0039】
表2は、アクリル樹脂からなる光学部品に対する図4および図5に示す同様の寸法に関する例示的な値を示唆する。この場合、下付き文字「1」はジオプタ値が10である光学部品に関し、下付き文字「2」はジオプタ値が20または30である光学部品に関する。
【表2】
【0040】
図3ないし図5から明らかなように、さまざまなレンズの光軸OAに沿った凸の程度は、ジオプタ値が大きくなるにつれて増大する(後方面、特に前方面は、より大きい凸の度合いを有する)。しかし、ある外科医は、ジオプタ倍率に関係なく、光軸においてほぼ同じ嵩または中央厚みを有する眼内レンズを好むことがある。これにより、外科医は、ジオプタの範囲全体において、同じ外科技術を用いることができる。したがって、本発明によれば、異なるジオプタ値を得るために、光学部品の全体の直径を変化させる。つまり、異なるジオプタ値を得るための眼内レンズの中央厚みは、直径によらず一定である。したがって、凸の度合いがより大きいレンズの直径を小さくして、中央厚みを小さくし、そしてより平坦なレンズの直径を中間値に大きくする必要がある。例えば、図3に示す中間的なジオプタ値を有する光学部品40の中央厚みに近づくように、図4に示すジオプタ値の低い光学部品60aの直径を大きくしてもよい。同様に、図3に示す光学部品40の中央厚みに近づくように、図5に示すジオプタ値の高い光学部品60bの直径を小さくしてもよい。
【0041】
このように本発明は、ジオプタ値の異なる一連の眼内レンズを実現し、このとき、光学部品の直径は、一般に、ジオプタ値に対して反比例的に(ただし、必ずしも1次関数的でなく)変化する。こうして、ほぼ同じ中央厚みを有する眼内レンズを外科医に提供することができ、移植手術をより一般化させ、予測可能にすることを支援できる。一連の眼内レンズの1つの具体例として、図3ないし図5に示す光学部品が含まれる。図4に示すジオプタ値のより小さいレンズ60aは、約6.25mmの直径を有し、図3に示す中間的なジオプタ値を有するレンズ40は、約6.0mmの直径を有し、図5に示すジオプタ値のより大きいレンズ60bは、約5.75mmの直径を有する。都合のよいことに、ジオプタ値のより小さいレンズに対して、直径を大きくすることは、人間の生理機能に合致するものである。つまり、ジオプタ値のより小さいレンズを必要とする人々は、より大きい眼球を有しており、ジオプタ値のより大きいレンズを必要とする人々は、より小さい眼球を有する傾向がある。
【0042】
図6は、図3に示す光学部品40の周辺端部の一部を示し、前方側から周辺端部に入射する複数の個別の光線80a,80b,80cを示している。周辺端部42を通る各光線の屈折/反射した経路が示され、周辺端部42から出射する各光線82a,82b,82cが示されている。
【0043】
図6は、反射光の強度を弱めるように、入射平行光線を拡散する周辺端部42の好適な特徴を図示する。つまり、通常ならば、ほぼ元の強度で光軸方向に反射する光を、IOL内のちらつきを低減するために拡散させる。本発明は、湾曲した、あるいは丸みを有する表面44などの表面を、光軸に対して平行でない1つまたはそれ以上の端部表面54などの端部表面と組み合わせて用いる。図示された実施形態において、周辺端部42は、光軸に対して実質的に平行な端部表面52をさらに有する。前方側上の丸みを有する移行表面44と、これにつながる前向き端部表面54を組み合わせることにより、光学部品40内のちらつきが実質的に低減されるものと考えられている。
【0044】
図7ないし図9のそれぞれは、ちらつきを低減する構造を有するIOLの光学部品の半分を部分的に図示する。1つのデザインにおいて、従来式のレンズと比較して、光が周辺端部表面において光軸方向へ反射する確率が低減されるように、入射光は屈折する。別のデザインにおいて、入射光は、浅い入射角で内側の周辺端部表面において光軸方向でない方向へ反射し、従来式のレンズと比較して、光が他の端部表面において反射する確率が低減される。図7ないし図9に示すすべての光学部品は、光軸OA、凸状前方面AF、および凸状後方面PFを有する。
【0045】
図7に示す光学部品90は、直線的で、光軸OAに対して実質的に平行な第1の端部表面94と、直線的で、光軸OAに対して平行でない前向きの第2の端部表面96とを有する。図7に示す光学部品90の部分的な断面において、前向きの第2の端部表面96は、光軸OAに対して反時計方向(ccw)に傾斜している。端部表面94および96は、周辺端部92の中間部における不連続部98で連結している。後方端部角部100は、後方面PFから周辺端部92を分離し、前方端部角部102は、光軸に対して実質的に垂直な周辺ランド104から周辺端部を分離する。
【0046】
入射光線106は、周辺ランド104を通り、光学部品90内の第2の端部表面96において反射する。その結果、反射光線108は、光学部品90を通って偏向し、第1の端部表面94に到達しない。このように、周辺端部92の領域において光学部品90に入射する光の大部分が、第2の端部表面96において比較的に浅い入射角度で反射し、第1の端部表面94から光軸に向かって反射することはない。こうして、ちらつきが抑制される。この結果を得るために、前向きの第2の端部表面96は、光軸OAに対して少なくとも約10°傾斜していることが好ましい。
【0047】
図8は、直線的で、光軸OAに対して平行でない単一の前向き端部表面114からなる周辺端部112を有する光学部品110を図示する。すなわち、光学部品110は、単一の円錐状の前向き端部表面114を有する。後方端部角部116は、後方面PFから端部表面114を分離し、前方端部角部118は、光軸OAに対して実質的に垂直な周辺ランド120から端部表面114を分離する。入射光線122は、周辺ランド120に入射し、光学部品110を貫通するように図示されている。端部表面114が前向きに傾斜しているため、光線は、光学部品110を貫通するとき、わずかに屈折するが、符号124で示すように、表面端部114において反射することはない。つまり、後方端部角部116は、前方端部角部118よりも半径方向の外側に配置され、周辺端部112の領域内に入射する光の大部分は、光学部品110の材料を単に通過することになる。この結果を得るために、前向き端部表面114は、光軸OAに対して少なくとも約5°傾斜していることが好ましい。
【0048】
図9は、図8に示す光学部品110と実質的に同様の光学部品130を図示し、この光学部品は、直線的で、光軸OAに対して平行でない単一の前向き端部表面134により形成された周辺端部23を有する。すなわち、光学部品130は、単一の円錐状の前向き端部表面134を有する。同様に、後方端部角部136は、後方面PFから周辺端部132を分離する。前方端部角部138は、前方面AFから周辺端部132を分離し、前方周辺ランドは存在しない。周辺端部132の領域を貫通する光線140の経路は、周辺端部表面において全く反射されないことを示している。前方側から光学部品130に入射する光の大部分は、光軸OAに向かって反射することなく、光学部品を単に通過することとなる。この結果を得るために、前向き単部表面134は、光軸OAに対して少なくとも約5°傾斜していることが好ましい。
【0049】
図10ないし図13は、光軸に向かって光を反射するのではなく、光を周辺端部から半径方向の外側に伝播させるように構成された本発明による数多くの光学部品を図示する。これは、数多くの方法で実施でき、これらのすべての方法において、レンズ材料の屈折率に関する臨界角より小さい角度で、光学部品の内側から周辺端部に光を当てることができる。同様に、図10ないし図13に示す各光学部品は、光軸OA、凸状前方面AF、および凸状後方面PFを有する。
【0050】
図10および図11は、2つの実質的に同様の光学部品150a,150bを図示し、対応する部品符号が与えられている。各光学部品150a,150bは、直線的で、光軸OAに対して実質的に平行な端部表面154a,154bにより形成される周辺端部152a,152bを有する。後方端部角部156a,156bは、それぞれの後方面PFから端部表面154a,154bを分離する。光学部品150a,150bの両方は、先の尖った前方端部角部158a,158bを有し、これらの前方端部角部は、前方周辺ランド160a,160bから端部表面154a,154bを分離する。周辺ランド160a,160bは、直線的で、光軸OAに対して垂直でないものとして図示されているが、直線的でないランドも同様に機能し、入射光を拡散させることができることを理解すべきである。図10に示す光学部品150aの周辺ランド160aは、不連続部162において、前方面AFと合流する。一方、直線的で、光軸OAに対して実質的に垂直な周辺ランド164により、図11に示す光学部品150bの周辺ランド160bがその前方面AFと合流する。つまり、図11に示す光学部品150b上には、2つの周辺ランド160bおよび164が存在する。
【0051】
入射光166a,166bは、図10および図11において、各周辺ランド160a,160bに入射し、各光学部品150a,150bの材料を貫通し、端部表面154a,154bへ向かうように図示されている。周辺ランド160a,160bが特定の角度で傾斜しているために、光線は、レンズ材料の屈折率に関する臨界角より小さい角度で、端部表面154a,154bから出射する。したがって、端部表面154a,154bにおいて反射するのではなく、光線は、出射光線168a,168bとして図示されるように、周辺端部152a,152bを貫通する。端部表面154a,154bと周辺ランド160a,160bとの間の傾斜角は、α1およびα2と示されている。これらの角度は、好適には、90°未満で、より好適には、約45°ないし88°の範囲内にあり、最も好適には、約70°ないし88°の範囲内にある。当然に、これらの範囲は、構成材料の屈折率により変化し得る。
【0052】
図12および図13は、同様の光学部品170a,170bを図示し、これらの光学部品は、直線的で、光軸OAに対して平行でない後向きの端部表面174a,174bにより形成される周辺端部172a,172bを有する。後方端部角部176a,176bは、後方面PFから端部表面174a,174bを分離する。図12に示す光学部品170a上において、前方端部角部178aは、周辺ランドを有さず、前方面AFから端部表面174aを分離する。対照的に、図13から分かるように、前方端部角部178bは、直線的で、光学部品170bの光軸に対して実質的に垂直な周辺ランドから、端部表面174bを分離する。周辺ランド180は、不連続部182において、前方面AFに連結される。
【0053】
前方端部角部178a,178bの角度は、β1およびβ2で図示されている。角度β1の大きさは、前方面AFの凸の程度、および光軸OAに対する後向き端部表面174aの傾斜角度の両方に依存する。前方面AFは、多様に異なる凸の度合いを有していてもよいが、後向きの端部表面174aは、光軸OAに対して(図面において時計方向に)少なくとも2°の傾斜角度を有する。したがって、角度β1は、好適には、約120°未満であり、より好適には、70°ないし120°の範囲内にある。図13に示す角度β2の大きさは、周辺ランド180の角度、および後向き端部表面174bの光軸OAに対する角度の両方に依存する。この周辺ランド180は、直線的で、光軸OAに対して垂直であるとして図示されているが、直線的でなく、平行でないランドも同様に機能することを理解する必要がある。好適には、後向き端部表面174bは、光軸OAに対して(図面において時計方向に)少なくとも2°の傾斜角度を有する。したがって、角度β2は、好適には、鋭角であり、より好適には、30°ないし88°の範囲内にある。当然に、これらの範囲は、構成材料の屈折率に依存して変化し得る。
【0054】
図12および図13は、入射する光線184a,184bを図示し、これらの光線は、各光学部品170a,170bの前方側の周辺端部172a,172bに隣接したところで入射した後、光学部品の材料を貫通し、端部表面174aおよび174bで反射することなく、これらを貫通する。同様に、この現象は、光線が端部表面174aおよび174bに当たる角度に起因するもので、これらの角度は、レンズ構成材料の屈折率に関する臨界角よりも小さい。その結果、光線は、光軸OAに向かって反射することなく、周辺端部172a,172bを単に通り抜けることとなる。
【0055】
図14aは、本発明のさらなる実施形態によるIOL200を図示し、このIOLは、光学部品202と、これより半径方向外側に延びる複数の(ここでは1つしか図示しないが)固定部材204とを有する。図14bは、光学部品202の周辺端部領域の拡大図である。光学部品202は、同様に、光軸OA、凸状前方面AF、および凸状後方面PFを有する。
【0056】
図14bを参照すると、光学部品202は、直線的で、光軸OAに対して平行でない前向き端部表面208により形成される周辺端部206を有する。湾曲した、あるいは丸みを帯びた移行表面210により、直線的な端部表面208が凸状前方面AFとなめらかに調和する。鋭利な後方端部角部212は、直線的で、光軸に対して実質的に垂直な周辺ランド214から端部表面208を分離する。周辺ランド214は、不連続部216において、凸状後方面PFと合流する。図14aは、円形の後方端部角部212と一致する平面218を図示する。この平面は、光学部品202を形成するために用いられる2つのモールド半身部分の間の分離ラインを示す。こうして、先の尖った周辺端部角部212をモールド半身部分の間に容易に形成することができる。
【0057】
図14aおよび図14bに示す実施形態は、上述のいくつかの好適な特徴を組み合わせたものを採用している。すなわち、図3ないし図5で示す実施形態に関して説明したように、丸みを帯びた移行表面210は、前方側から入射した光線を拡散する傾向がある。さらに、移行表面210を通過する光の一部が端部表面に当たらないように、そしてちらつきを抑制するために比較的に浅い入射角度で反射するように、端部表面208は傾斜を有する。
【0058】
図15ないし図17は、類似した形状を有する3つの光学部品の周辺端部を図示している。図15に示す光学部品220aは、直線的で、光軸に対して平行でない前向き表面222aにより形成された周辺端部と、鋭利な後方端部角部224aと、前方面AFと調和する丸みを帯びた前方移行表面226aとを有する。光軸に対して通常垂直な周辺ランド228aは、後方面PFと端部角部224aの間で延び、不連続部230aにおいて後方面PFと合流する。表面222aおよび周辺ランド228aの間に形成される角度は比較的に小さく、丸みを有する移行表面226aは、表面222aから外側方向にわずかに突出している。
【0059】
図16に示す光学部品220bの周辺端部は、同様に、直線的で、光軸に対して平行でない前向き表面222bと、鋭利な後方端部角部224bと、前方面AFと調和する丸みを帯びた前方移行表面226bとを有する。光軸に対して垂直でない周辺ランド228bは、後方面PFと端部角部224bの間で延びる。周辺ランド228bは、不連続部230bにおいて後方面PFと合流する。主に、表面222bの光軸に対する角度が表面222aのそれよりも浅いために、表面222bおよび周辺ランド228bの間に形成される角度は、図15に示す角度よりも若干大きい。
【0060】
図17に示す光学部品220cの周辺端部は、同様に、直線的で、光軸に対して平行でない前向き表面222cと、鋭利な後方端部角部224cと、前方面AFと調和する丸みを帯びた前方移行表面226cとを有する。光軸に対して垂直でない周辺ランド228cは、後方面PFと端部角部224cの間で延びる。周辺ランド228cは、不連続部230cにおいて後方面PFと合流する。光学部品220cは、光学部品220bと相当に類似しているが、凸の程度が若干小さい後方面PFを有する。
【0061】
図18は、鋸歯またはバッフルを含む端部表面242を有する光学部品240の周辺端部を図示する。端部表面242は、一般に、光学部品240の前方側に面するように配置され、ピーク246およびトラフ248を形成する複数の歯状ファセットまたは歯状表面244a,244bを有する。各歯状表面244aは、各歯の同じ側の他の表面と平行であり、同様に、各歯状表面244bは、各歯の他方側の他の表面に対して平行であることが好ましい。光学部品240の周辺端部は、後方端部角部250と、前方面AFと調和する丸みを帯びた移行表面252とを有する。光軸に対して通常垂直な周辺ランド254は、後方面PFと端部角部250の間で延びる。前方側から光学部品240の周辺端部に当たる光は、バッフルを有する端部表面242および丸みを有する移行表面を通過する際に、散乱または拡散される。これにより、光学部品240内のちらつきが抑制されやすくなる。加えて、端部表面242は、光軸に対して平行でない傾斜を有するので、光学部品240内の光線の一部は、この端部に当たることすらなく、ちらつきをいっそう低減することができる。
【0062】
直線的な後向き端部表面262を有する光学部品260が図19に図示されている。光学部品260の周辺端部は、端部表面262、前方面AFと調和する丸みを帯びた移行表面264、および狭小周辺ランド268に隣接する周辺端部角部266を有する。後向き端部表面262の利点は、図12および図13を参照して上述した通りで、主に、光が端部表面において内部反射するためではなく、光が端部表面を通過することに関係する。当然に、端部表面262において反射するのではなく、端部表面を通り抜ける光は、ちらつきを生じさせない。加えて、丸みを有する移行表面264により、周辺端部に当たる光線を拡散させ、ちらつきをさらに低減しやすくなる。
【0063】
最後に、図20は、前方端部角部282および後方端部角部284の両方を有する光学部品280を図示する。後向き端部表面286は、前方端部角部282から頂部288まで延び、前向き端部表面290は、頂部288から後方端部角部284まで延びる。頂部288は、溝部の中間点を形成し、結果として得られる断面形状は、分岐する舌部のようになる。一対の周辺ランド292a,292bは、端部角部282,284と、光学部品280の前方および後方面の間に延びる。周辺ランド292a,292bは、好適には、光軸に対して垂直である。同様に、光軸に対して平行でない直線的な端部表面を形成することにより、光学部品280内のちらつきの低減が支援される。さらに、比較的に鋭利な端部角部282,284により、光学部品280の前方側および後方側の両方において、細胞の成長を抑制することにより、PCOを抑えることができる。
【0064】
本発明による眼内レンズの周辺端部の幾何学的形状を、ちらつきおよびPCOを抑制するように設計することに加えて、端部、および端部付近の表面に「テキスチャ処理(textured)」するか、「フロスト処理(frosted)」して、周辺領域に当たる光を散乱させてもよい。こうした散乱により、端部のちらつきの低減が支援される。加えて、さまざまな幾何学的形状に組み合わせて、テキスチャを利用することにより、後嚢混濁(PCO)を抑制しやすくする。ここに一体のものとして統合される「副次的混濁を抑制するためのIOL」と題する米国特許第5,693,094号に開示されたような多様なテキスチャ療法を用いることができる。特定の実施形態に関して、シリコーン樹脂からなるIOLは、好適には、後方面の周辺領域または中間ランドに加えて、少なくとも1つの端部表面の上にテキスチャ/フロストを有する。一方、アクリル樹脂製IOLは、好適には、少なくとも1つの端部表面上に、そして好適には、光軸に対して平行な端部表面上にテキスチャ/フロストを有する。
【0065】
本発明の眼内レンズは、注入モールド成型、圧縮成型、旋盤加工、および粉砕処理などのさまざまな技術を用いて製造することができる。当業者ならば、本発明によるレンズを成型するために、どのようにモールド金型を形成し、または切断ツールをプログラムするか理解しているであろう。重要なことであるが、研磨プロセスにおいて、特定の光学部品に関するさまざまな角部または不連続部が、丸くならないように注意する必要がある。したがって、レンズを研磨する間、角部にマスクを付けるか、あるいは保護する必要がある。択一的には、マスクを付けないレンズを研磨した後、多様な端部表面をあらためてカットして鋭利な角部を形成する。
【0066】
再び図1を参照すると、任意の特定のレンズに関するPCOのリスクを低減する上で、固定部材24a,24bのデザインが重要な役割を果たすことができる。すなわち、嚢が収縮するとき、レンズの後方端部角部の周囲において嚢をシールするために、レンズが後嚢に対して軸方向に十分動き、これに付随して後嚢に対して付勢されるように、固定部材24a,24bを設計する必要がある。レンズに対する必要な後方付勢を与え得るさまざまな固定部材24a,24bが当業者により知られている。固定部材24a,24bの正確な構造は、全体的なレンズの直径、光学部品の直径、固定部材の角度、固定部材の材料の硬さ、固定部材のゲージ、固定部材の幾何学的形状、および固定部材がレンズに取り付けられる方法に依存して変化する。
【0067】
本発明によれば、細胞がカプセル状嚢からIOL光学部品の上、および/またはその上方に成長または移入することを抑制するIOLを極めて効率よく提供することができる。さらに、このIOLによれば、断面図において、IOL光学部品の光軸に対して実質的に平行な周辺端部を有するレンズと比較して、ちらつき、とりわけ端部ちらつきが低減される。これらの利点は、容易に製造され、眼球内に挿入されるIOLを用いて実現される。こうしたIOLは、任意の適当な材料で形成することができ、有用な機能、および患者に対する実質的な利点を提供することができる。
【0068】
さまざまな実施例および実施形態を参照しながら、本発明を説明してきたが、本発明はこれらに限定すべきではなく、添付クレームの範疇に含まれる範囲において、さまざまに実施することができることを理解されたい。
【符号の説明】
【0069】
20,30,40…IOL、22…光学部品、24a,24b…固定部材、26…光軸、32…周辺端部、34…端部表面、36a…前方端部角部、36b…後方端部角部、38a…前方ランド、38b…後方ランド、44…移行表面、46…前方周辺ランド、50…周辺端部角部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞の成長を抑制し、入射光によるちらつきを低減する眼内レンズであって、
眼球のカプセル状嚢内に配置されるような寸法と構造を有し、眼球の網膜の方へ光を向けるような形状を有する中央配置された光学部品を備え、
光学部品は、中央光軸、前方面、対向する後方面、周辺端部、および前方面と後方面の間にあって光学部品を包囲する周辺端部を有し、
周辺端部は、
直線的な端部表面と、
前方面を直線的な端部表面になめらかに調和させる不連続でない凸状部であって、入射光によるちらつきを低減するために周辺端部上の前方面の曲率より実質的に大きい曲率を有する凸状部と、
直線的な端部表面と後方面の間の不連続部に配置された、細胞の成長を抑制するための周辺端部角部とを有することを特徴とする眼内レンズ。
【請求項2】
請求項1に記載の眼内レンズであって、
前方面は、光軸の中央に配置された、実質的に一定の曲率を有する矯正部を有し、
光学部品は、矯正部と不連続でない凸状部との間に前方周辺領域をさらに有することを特徴とする眼内レンズ。
【請求項3】
請求項2に記載の眼内レンズであって、
前方周辺領域は、実質的に平坦であり、中央光軸に対して垂直であることを特徴とする眼内レンズ。
【請求項4】
請求項2に記載の眼内レンズであって、
前方周辺領域は、光の透過に対して少なくとも部分的に不透明であり、入射光によるちらつきの低減を支援することを特徴とする眼内レンズ。
【請求項5】
請求項1に記載の眼内レンズであって、
周辺端部と後方面の間の不連続部は、これらが約45°〜約135°の角度で交差するところに形成されることを特徴とする眼内レンズ。
【請求項6】
請求項1に記載の眼内レンズであって、
周辺端部と後方面は、約60°〜約120°の角度で交差することを特徴とする眼内レンズ。
【請求項1】
細胞の成長を抑制し、入射光によるちらつきを低減する眼内レンズであって、
眼球のカプセル状嚢内に配置されるような寸法と構造を有し、眼球の網膜の方へ光を向けるような形状を有する中央配置された光学部品を備え、
光学部品は、中央光軸、前方面、対向する後方面、周辺端部、および前方面と後方面の間にあって光学部品を包囲する周辺端部を有し、
周辺端部は、
直線的な端部表面と、
前方面を直線的な端部表面になめらかに調和させる不連続でない凸状部であって、入射光によるちらつきを低減するために周辺端部上の前方面の曲率より実質的に大きい曲率を有する凸状部と、
直線的な端部表面と後方面の間の不連続部に配置された、細胞の成長を抑制するための周辺端部角部とを有することを特徴とする眼内レンズ。
【請求項2】
請求項1に記載の眼内レンズであって、
前方面は、光軸の中央に配置された、実質的に一定の曲率を有する矯正部を有し、
光学部品は、矯正部と不連続でない凸状部との間に前方周辺領域をさらに有することを特徴とする眼内レンズ。
【請求項3】
請求項2に記載の眼内レンズであって、
前方周辺領域は、実質的に平坦であり、中央光軸に対して垂直であることを特徴とする眼内レンズ。
【請求項4】
請求項2に記載の眼内レンズであって、
前方周辺領域は、光の透過に対して少なくとも部分的に不透明であり、入射光によるちらつきの低減を支援することを特徴とする眼内レンズ。
【請求項5】
請求項1に記載の眼内レンズであって、
周辺端部と後方面の間の不連続部は、これらが約45°〜約135°の角度で交差するところに形成されることを特徴とする眼内レンズ。
【請求項6】
請求項1に記載の眼内レンズであって、
周辺端部と後方面は、約60°〜約120°の角度で交差することを特徴とする眼内レンズ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14a】
【図14b】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14a】
【図14b】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2010−279788(P2010−279788A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−212201(P2010−212201)
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【分割の表示】特願2001−539379(P2001−539379)の分割
【原出願日】平成12年11月16日(2000.11.16)
【出願人】(502049837)アボット・メディカル・オプティクス・インコーポレイテッド (50)
【氏名又は名称原語表記】ABBOTT MEDICAL OPTICS INC.
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−212201(P2010−212201)
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【分割の表示】特願2001−539379(P2001−539379)の分割
【原出願日】平成12年11月16日(2000.11.16)
【出願人】(502049837)アボット・メディカル・オプティクス・インコーポレイテッド (50)
【氏名又は名称原語表記】ABBOTT MEDICAL OPTICS INC.
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