細胞の検出方法
生存細胞、アポトーシス細胞及び死細胞を分離する方法、及びこのような方法に用いる抗体につき記述する。抗体は、炎症性疾患、癌の治療及び創傷治癒に用いることもできる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、死細胞及び瀕死細胞の検出方法、このような方法に用いる試薬及びこのような試薬の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
アポトーシスは、細胞の陽性常な発達及びホメオスタシスにおける基本的に重要なプロセスである。アポトーシスが多くの病状に関与していることも知られている。例えば、アポトーシス及びアポトーシス経路における欠陥は、癌、心臓病、脳卒中、アルツハイマー病、虚血性疾患及び自己免疫疾患に特に関連すると考えられている。例えば、癌は、増殖速度が増大しない場合でも、アポトーシス経路における欠陥に起因することがある。
【0003】
アポトーシスを誘発できない抗癌剤候補は、臨床効果を低下させる可能性があり、アポトーシスアッセイは薬剤の高スループットスクリーニングのための重要なツールとなっている。アポトーシス調節剤の開発には、アポトーシス細胞及び/又は死細胞の存在を判定するための確固たるアッセイを必要とする。例えば、血液試料又は生検試料のような生体試料におけるアポトーシス細胞及び/又は死細胞の存在を同定及び/又は定量化するのに、従来技術の多数の方法を利用可能であるけれども、これらの各方法には、特有な欠点がある。
【0004】
アポトーシスをアッセイするための方法が従来多数知られている。核酸染色剤は、アポトーシスの間における核の特徴的な分解を活用して、細胞集団内のアポトーシス細胞を同定するのに用いることができるが、この分解が、クロマチンの崩壊と分裂、核膜の分解、及び細胞核のブレブ形成をもたらし、「(細胞の)小核」を形成することになる。
【0005】
従来技術で用いられる他の方法は、例えば、カスパーゼ−3及びカスパーゼ−8のようなアポトーシス経路のエフェクターの活性測定のような、細胞内のプロテアーゼ活性の測定を含む。アポトーシスの特徴は、活性ミトコンドリアの崩壊なので、ミトコンドリア染色剤をアポトーシス細胞の同定のために用いることができる。他のアポトーシスアッセイは、アポトーシス細胞内の変化を測定するために、フリーラジカルのプローブ又はイオン指示薬を用いる。最も一般的に用いられるアポトーシスアッセイの1つは、血管抗凝血剤のアネキシンVの使用に基づくものである。アネキシンVは、ホスファチジルセリンに高親和性を有するリン脂質結合タンパク質である。しかしながら、生存細胞においては、アネキシンVは、ホスファチジルセリンが細胞膜の細胞質面にあるので、ホスファチジルセリンと結合しない。しかし、アポトーシス細胞においては、ホスファチジルセリンは細胞膜の外側表面に外面化されているので、そこで、ホスファチジルセリンはアネキシンVと結合することができる。しかし、アポトーシスの検出のためのアッセイにアネキシンVを用いることには、多くの欠点がある。特に、アネキシンVのホスファチジルセリンへの結合は、Ca2+ に依存するので、アッセイに用いる緩衝液の選択が制限される。これにより、通常、試料をアッセイする前に緩衝液を交換する必要があり、それは時間がかかるだけでなく、細胞に対するストレスを増して、非生存細胞を増大させることになる。
【0006】
抗体ベースの技術は、細胞の検出方法に用いられると同様に、特定試料内の細胞の亜母集団の分離といったような、分離技術も通常用いられる。磁性粒子は、多くの異なる種(ヒト、マウス、ラット、ヒト以外の霊長類など)からの、多系統の生存細胞の集団内における細胞(一般に、リンパ球サブセット、単核白血球、樹枝状細胞、幹細胞、腫瘍細胞など)を分画するために、通常使用される。一般に、分画効率を高めるために、細胞集団の選択は、間接的手段により行われる。すなわち、典型的に1つ以上の一次抗体は、細胞に結合することができ、この抗体が結合された細胞は、二次抗体に結合された、又は一次抗体がビオチニル化されていれば、(ストレプト)アビジンに結合された磁性粒子を用いて引き出される。その上、このような技術は、一般に、少なくとも一部分において、低い非生理的温度で、及び/又は、当面の細胞の生存能力を維持するのに最適な培養地とは組成が異なる緩衝液の存在下で、行なう必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第5,641,870号明細書
【特許文献2】欧州特許第404097号明細書
【特許文献3】国際公開第93/11161号パンフレット
【特許文献4】米国特許第4,816,567号明細書
【特許文献5】米国特許第5,215,927号明細書
【特許文献6】米国特許第5,225,353号明細書
【特許文献7】米国特許第3,773,919号明細書
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Zapata et al., Protein Eng 8(10):1057-1062 [1995]
【非特許文献2】Pluckthun in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies, vol.113, Rosenburg and Moore eds., Springer-Verlag, New York, pp. 269-315 (1994)
【非特許文献3】Hollinger et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90 : 6444-6448 (1993)
【非特許文献4】Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, US Dept of Health and Human Services, Public Health Service, Nat'l Inst, of Health, NIH Publication No. 91-3242, 1991 and online at www.kabatdatabase.com http://immuno.bme.nwu.edu.
【非特許文献5】Morrison et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81 : 6851-6855 (1984)
【非特許文献6】Kohler and Milstein (1975) Nature, 256 :495-499
【非特許文献7】Clackson et al. (1991 ) Nature, 352: 624-628
【非特許文献8】Marks et al. (1992) Bio/ Technology, 10: 779-783
【非特許文献9】Antibodies: A Laboratory Manual, eds. Harlow et al., Cold Spring Harbor Laboratory, 1988
【非特許文献10】Knappik et al, J. MoI. Biol. (2000) 296, 57-86
【非特許文献11】Krebs et al., J. Immunol. Meth. (2001) 2154 67-84
【非特許文献12】Gram et al, 1992, P.N.A.S. 89 3576-3580
【非特許文献13】Barbas et al 1991 PNAS 3809-3813
【非特許文献14】Scier 1996 J MoI Biol 263 551- 567
【非特許文献15】Current Protocols in Molecular Biology, 5th ed.,Ausubel et al. eds., John Wiley & Sons, 2005
【非特許文献16】Molecular Cloning: a Laboratory Manual: 3<rd> edition Sambrook et al., Cold Spring Harbor Laboratory Press, 2001
【非特許文献17】Remington: the Science and Practice of Pharmacy, 21<st> edition, Gennaro AR, etal, eds., Lippincott Williams & Wilkins, 2005.
【非特許文献18】Dive, C, C. D. Gregory, et al. (1992). "Analysis and discrimination of necrosis, and apoptosis (programmed cell death) by multiparameter flow cytometry." Biochimica et Biophvsica Acta 1133(3): 275-285.
【非特許文献19】Ogden et al (2005) J. Immunol. 174, 3015
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、試料内における非生存細胞の存在を検出するために用いることができる更なるアッセイ、例えば、特に、最適培養条件のような細胞の生理的条件を最小の摂動で用いることができる(摂動は生存能力を低下させるから)技術に対する、従来の技術のいくつかの課題を克服する高スループットのアッセイ及び単純な分離技術で使用できるアッセイが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、死細胞及び瀕死の細胞に選択的に結合し、選択的に結合するために、(例えばアネキシンVを用いる現在既知の方法により必要とされるような)非生理学的温度又は高いカルシウム濃度を必要としない検出可能試薬を特定した。さらに、本発明者は、細胞が培養で典型的に維持されるような、実質的な生理学的条件下で用いることができる、単純で新規な細胞分離技術を開発した。実施例で示すように、本発明者は、自身で驚いたことに、アポトーシス細胞成分又は死細胞成分のエピトープ向けの抗体が、生理学的条件下の試料内の他の細胞又は細胞成分から、そのような細胞成分又は細胞を分離するために、高効率で直接用いることができることを実証した。
【0011】
従って、本発明の第1の実施態様では、試料から標的細胞又は細胞成分を分離する方法を提供し、当該方法が、前記試料を、前記標的細胞又は細胞成分に特に結合する抗体分子と接触させる工程と、 前記抗体分子が前記標的細胞と複合体を形成することを可能にする工程と、前記試料から前記複合体を分離する工程と、を含み、前記分離する工程は、生理学的条件下で実施可能である。
【0012】
一実施態様では、前記抗体分子が前記標的細胞と複合体を形成することを可能にする工程は、生理学的条件下で実施される。
【0013】
本発明の文脈では、「生理学的条件」は、30〜45℃の範囲、例えば、35〜41℃の範囲の温度を言う。
【0014】
多くの従来の分離技術−例えば、アネキシンVを利用する方法−は、例えば2.3mMよりも大きい例えばカルシウム濃度のような、非常に特別な条件を必要とする。なお、このような従来の分離技術に対して、本発明の方法は、最小のCa2+又は自由なCa2+が無いことを含む広いカルシウム濃度の範囲で行うことができ、この条件は、細胞分離で基本的問題である細胞の凝集を最小にする。一実施態様では、「生理学的」の用語は、さらに、例えば2.0mMの2.3mMよりも小さいカルシウム濃度、又は、例えば1mMの1.5mMよりも小さいカルシウム濃度を言う。一実施態様では、本方法は、例えば、1.8〜2.2mMの範囲のカルシウムの生理学的に通常のレベルで行われる。
【0015】
別の実施態様では、本方法は、例えば、2mMの自由なCa2+を本質的にキレートする濃度で、EDTAのようなカルシウムキレート剤の存在下で行われる。
【0016】
さらに、本発明者が驚いたことに、死細胞成分又は全細胞を試料から分離するためのこのような抗体ベースの技術は、例えば、二次抗体又はストレプト(アビジン)のような二次タンパク質のような二次結合部分を必要とせずに、効率的に行うことができることが分かった。一般的に、今まで、生存細胞又は生存細胞成分の異なるサブタイプの分離に主として限定してきた抗体ベースの細胞分離技術は、二次抗体の使用を必要とするものであった。典型的に、標的細胞は一次抗体により結合され、その後の分離工程は、二次抗体の捕捉を含み、又は、一次抗体が、例えばビオチンの標識を付ける場合、例えば、ストレプト(アビジン)のような捕捉部分の捕捉を含む。実施例で説明するように、本発明者は、本発明の第1の実施態様の方法を用いて、瀕死細胞、死細胞、又は、瀕死細胞若しくは死細胞からの成分を、二次抗体又は実際に例えばビオチンの標識を付けた一次抗体を使用する必要がなく、試料から分離することができることを示した。本発明者は、磁気ビーズに直接結合した一次抗体が、試料内の標的死細胞成分を効率的に結合し、磁界を加えることにより、そのような細胞又は細胞成分を試料から分離するために用いることができることを示した。実際に、実施例で示すように、テストされる抗体に関して、本発明者が非常に驚いたことに、このような「直接の」技術は、生存細胞分離技術に従来適用されたような、一次抗体及び二次抗体システムを用いる分離の効率より大きくなくとも、実質的に等しかった。
【0017】
従って、本発明の一実施態様では、分離工程は、二次結合部分の使用を含まない。
【0018】
このような実施態様では、本発明で用いるための抗体分子は、複合体として、分離を可能にする基質を設ける。このような基質は、磁性粒子又は磁気ビーズにすることができる。他の実施態様では、基質は、固体の基質であり、コラム分離技術で用いるような場合、ポリスチレンのビーズ等である。抗体は、従来の方法を用いて、このような基質に結合することができる。
【0019】
本発明の特別の実施態様では、抗体分子は、例えば、磁気ビーズのような磁性粒子に結合する。
【0020】
例えば、Miltenyiのようないくつかの従来の技術のシステムは、二次抗体又はストレプトアビジンを時々用いないで、細胞集団の効率的な陽性(効率的な陰性ではないけれども)選択を可能にする非常に小さいビーズ(100nm未満)を用いるけれども、このようなシステムは、磁気分離を仲介するために、高勾配磁界(HGMF)を必要とする。典型的に、細胞分離のための高勾配磁界は、0.6〜1テスラの範囲の強力な磁界が加えられる鋼線のコラム(細胞懸濁液がコラムを通過する)を用いて、発生される。
【0021】
本発明者は、そのようなシステムと大いに異なって、本発明は、直接陰性選択により生存細胞の高効率分離を達成するために用いることができることを驚きをもって示した。さらに、本発明は、ビーズを用いて高効率陰性選択を達成するために用いることができ、ビーズは、単純磁界、すなわち高勾配磁界の必要はない、により分離するために、十分に高い超常磁性である。
【0022】
従って、本発明の一実施態様では、分離工程は、従来の磁界を用いて、すなわち高勾配磁界がない場合で、行うことができる。従来の磁界は、任意の従来の磁石を用いて発生することができる。使用できる従来の磁石の例は、StemCell TechnologiesからのEasySep磁石(カタログ番号18000)及びAdemtechからのAdem-Mag SV(カタログ番号20101)磁石を含む。
【0023】
一実施態様では、本方法は、直径が、例えば250nmを超える、150nmを超えるような、125nmを超える磁気ビーズ又は磁性粒子を用いて行う。しかしながら、従来の磁石を用いて分離することができるより小さい磁気ビーズ又は磁性粒子も用いることができる。例えば、約40nmのサイズの超常磁性のビーズが従来技術として既知であり、本発明の1つ以上の実施態様で用いることができる。
【0024】
本発明で使用のための抗体分子は、例えば、IgM(免疫グロブリンM)、IgE(免疫グロブリンE)、IgA(免疫グロブリンA)又はIgG(免疫グロブリンG)のような任意の免疫グロブリンクラスにすることができる。本発明の特別の一実施態様では、抗体分子は、IgM抗体である。
【0025】
本発明者は、IgM抗体が、例えば、二次抗体のような二次結合部分を必要とせずに、細胞又は細胞成分の亜母集団を混合母集団から分離するのに特別の効率を示すことを見出した。このようなIgM抗体分子を用いて観察した驚くべき効率的な分離は、生存細胞又はその成分を細胞の集団から分離すること、及び、非生存細胞又はその成分を生存細胞及び非生存細胞又はそれらの成分の混合集団から分離することにおいて、それらの使用を可能にする。
【0026】
従って、本発明の第2の独立の実施態様では、試料から標的細胞又は細胞成分を分離する方法を提供し、当該方法が、前記試料を、前記標的細胞又は細胞成分を特異的に結合するIgM抗体分子と接触させる工程と、前記IgM抗体分子が前記標的細胞と複合体を形成することを可能にする工程と、前記試料から前記複合体を分離する工程と、を含み、前記分離する工程は二次結合部分の使用を含まない。
【0027】
一実施態様では、前記方法は、温度及び/又はカルシウム濃度の生理学的条件下で行われる。
【0028】
本発明者は、磁気ビーズに直接接合した抗体分子を、試料内の標的抗原を結合するために用いることができ、磁界を加えることにより、抗原が存在するそのような標的細胞又は細胞成分を他の試料成分から分離するために用いることができることを示した。
【0029】
本発明の第1又は第2の実施態様では、抗体分子は、例えば死細胞又はアポトーシス細胞である非生存細胞の細胞又は細胞成分に対する結合特異性を有する分子である。このような実施態様では、本発明の方法は、そのような細胞を細胞集団から除去するのに用いることができる。従って、本発明の一実施態様では、前記標的細胞は、非生存細胞であり、且つ前記方法は、生存細胞から非生存細胞又はその細胞成分を分離する方法である。
【0030】
実施例で説明するように、本発明者は、アポトーシス細胞又は死細胞のエピトープに対する結合特異性を有する新規な抗体を開発した。本明細書でIMAB6と呼ぶ抗体を産生するハイブリドーマ細胞株は、仮受託番号07120410で2007年12月4日にECACCに預託された。
【0031】
本発明者は、死細胞にさらされるが、アポトーシス無傷細胞を含む無傷細胞にさらされないエピトープに対する結合特異性を有する新規な抗体をさらに開発した。本明細書でIMAB7と呼ぶ抗体を産生するハイブリドーマ細胞株は、仮受託番号07120410で2007年12月4日にECACCに預託された。
【0032】
いずれか1つの理論に限定されることなく、IMAB6及びIMAB7は、両方共、ホスファチジルセリンの異なるエピトープに対する結合特異性を有し、IMAB6が結合するエピトープは、細胞がアポトーシスであるか又は溶解させられている場合のみ、細胞外にあるホスファチジルセリンの一部に存在し、IMAB7が結合するエピトープは、細胞内にあり、従って溶解後のみにさらされるホスファチジルセリンの一部に存在する。
【0033】
本発明の方法の一実施態様では、抗体分子はIMAB6である。別の実施態様では、抗体分子はIMAB7である。実際に、このような抗体は、本発明の第3及び第4の独立の実施態様を表わす。
【0034】
本発明の抗体の提供は、死細胞及び瀕死細胞にも選択的に結合する関連する抗体及び抗体分子の開発を可能にする。
【0035】
本発明の第3の実施態様が含むのは、死細胞及びアポトーシス細胞に対する結合特異性を有する抗体分子であり、前記抗体分子は、受託番号第07120409号でECACCに預託された細胞株から得ることができるIMAB6抗体分子の1つ以上のCDRL1、CDRL2、CDRL3、CDRH1、CDRH2及びCDRH3を含む。本発明の特別の実施態様では、前記抗体分子は、受託番号第07120409号でECACCに預託された細胞株から得ることができるIMAB6抗体分子の(i)CDRL1、CDRL2及びCDRL3、及び/又は(ii)CDRH1、CDRH2及びCDRH3を含む。
【0036】
本発明の第4の実施態様が含むのは、死細胞及びアポトーシス細胞に対する結合特異性を有する抗体分子であり、前記抗体分子は、受託番号第07120410号でECACCに預託された細胞株から得ることができるIMAB7抗体分子の1つ以上のCDRL1、CDRL2、CDRL3、CDRH1、CDRH2及びCDRH3を含む。本発明の特別の実施態様では、前記抗体分子は、受託番号第07120410号でECACCに預託された細胞株から得ることができるIMAB7抗体分子の(i)CDRL1、CDRL2及びCDRL3、及び/又は(ii)CDRH1、CDRH2及びCDRH3を含む。
【0037】
本発明のこの一実施態様では、抗体分子は、IgM分子である。しかしながら、抗体は、任意のクラスにすることができ、従ってIgG、IgE、IgA又はIgMにすることができる。
【0038】
本発明の抗体は、アポトーシス細胞、死細胞又は死細胞成分を試料から分離する任意の方法に用いることができる。従って、本発明の第5の実施態様では、試料から標的細胞又は細胞成分を分離する方法を提供する。当該方法は、前記試料を、本発明の第3又は第4の実施態様の抗体分子と接触させる工程と、前記抗体分子が前記標的細胞又はその細胞成分と複合体を形成することを可能にする工程と、前記試料から前記複合体を分離する工程と、を含み、前記標的細胞又はその細胞成分は非生存細胞又はその細胞成分である。
【0039】
本発明の方法及び抗体は、死細胞を生存細胞から分離することを可能にすることにより、例えば、細胞培養において生存細胞の数を最大に確保するために、細胞集団の濃縮における特別の有用性を見出す。抗体は、実質的に生理学的条件、特に、生理学的温度で使用できるため、培養における細胞の濃縮において特別の有用性を見出す。死細胞を除去するために、通常の生理学的条件に摂動を与える不利がないので、細胞培養中の細胞は、最適条件下で維持することができる。
【0040】
従って、本発明の第6の実施態様では、試料中の細胞集団を濃縮する方法を提供し、当該方法が、本発明の第1、第2又は第5の実施態様の方法を用いて、前記試料からの標的細胞の除去を含む。
【0041】
細胞の分離において有用性が見出されると共に、本発明の抗体は、単純な検出技術で用いることもできる。上記のように、IMAB6は、死細胞及びアポトーシス細胞の両方を結合する非生存細胞に対する特異性を有することが見出されたが、一方、IMAB7は、死細胞のみに対する結合選択性を有する。
【0042】
従って、本発明の第7の実施態様は、生体試料中の非生存細胞又はその細胞成分を検出する方法を提供し、当該方法が、前記試料を、本発明の第3又は第4の実施態様の抗体分子と接触させる工程と、前記非生存細胞又はその細胞成分への前記抗体分子の結合を検出する工程と、を含む。
【0043】
死細胞及びアポトーシス細胞の両方を同定する必要がある場合、本発明の第3の実施態様の抗体を使用することができる。多くの状況において、例えば、死細胞及びアポトーシス細胞のような生存細胞の異なるタイプ間で区別する必要はない。
【0044】
しかしながら、いくつかの実施態様では、このような細胞間で区別することは有用であり得る。従って、本発明の第7の好ましい実施態様では、当該方法が、溶解を受けた細胞とアポトーシスを起こしていない細胞とを区別する工程をさらに含む。
【0045】
既知の技術である溶解を受けた細胞とアポトーシスを起こしていない細胞とを区別する任意の適切な方法を用いることができる。例えば、溶解した細胞の検出可能マーカーを用いることができる。一実施態様では、検出可能マーカーはプロピジウムヨー化物である。使用できる他の検出可能マーカーは、例えば、エチジウムホモ二量体-1、7-アミノアクチノマイシンD、TO-PRO-3ヨー化物(全て分子プローブ(Molecular Probe)から利用可能)のような、細胞非透過性のエチジウム薬剤を含む。
【0046】
代替として又は追加として、検出可能マーカーは、溶解した細胞に結合できる抗体分子を含むことができる。
【0047】
本発明の特別の実施態様では、死細胞のみ検出したい場合、本発明の第4の実施態様による抗体分子を用いることができる。
【0048】
抗体IMAB6及びIMAB7の特別な利点は、各々、結合後の固化を存続するのに十分に強いことである。典型的に、抗体ベースの技術のようなアポトーシス標準染色技術の研究において、典型的に、アネキシンVとプロピジウムヨウ化物との組み合わせは、固化に適していなくて、それゆえに、標識化後の試料の即時の分析を必要とする。しかしながら、対照的に、抗体IMAB6及びIMAB7は強く、付着される細胞及び細胞成分との結合は、固化により破壊されない。これは、細胞試料がその後の分析のために保存される点において特に有利である。細胞分析方法において、固化、すなわち、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド等のような架橋試薬による保存が望ましいことが多い。例えば、アネキシンVは高Ca緩衝剤の存在下でのみ、結合する必要があり、結合したままであるため、アネキシンV/プロピジウムヨウ化物の標識化後の試料は、新しいうちに分析する必要があり、固化プロセスは生存細胞が染料に対して透過性になることに導くことが多いため、プロピジウムヨウ化物の標識化は固定試料に対して誤った方向に導く。
【0049】
従って、本発明の特別の実施態様では、本発明で使用の及び使用のための抗体分子は、非生存細胞に結合することができ、ホルムアルデヒドを用いて固化状態に持ちこたえることができる。
【0050】
ある高悪性度の悪性腫瘍では、アポトーシスによる細胞死は、頻繁に起きる。宿主の免疫細胞(マクロファージ)は、アポトーシス細胞を取り込み、抗炎症性及び免疫抑制反応を引き出すために、これらの腫瘍に対し補充されて、抗癌免疫攻撃から腫瘍を保護する。本発明者の実験室からの研究によれば、アポトーシス細胞に対する抗体は、腫瘍のマクロファージ反応を抗炎症性(癌擁護)から炎症性擁護(抗癌)へ切り替える潜在能力を有することを示した。この点において、本発明の抗体は、治療法の潜在能力を有し、腫瘍内の細胞死を目標とし、抗癌免疫を促進するために用いることができる。
【0051】
従って、本発明の抗体は、アポトーシス細胞及び死細胞に特異的に結合することにより、このような細胞に対する免疫反応を増強するために、用いることができる。
【0052】
従って、本発明の第8の実施態様では、アポトーシス細胞又は死細胞に対する免疫反応を増強する方法を提供し、該方法は、前記細胞への本発明の第3の実施態様の抗体分子又は本発明の第4の実施態様の抗体分子の投与を含む。
【0053】
免疫反応を増強することにより、抗体は、例えば、炎症性病状のような多くの病状の治療での使用を見出すことができ、その場合、炎症性部位又は腫瘍にマクロファージの浸潤を増強することが望ましい。抗体は、創傷の治癒を増強するのにも有用であり得る。
【0054】
従って、本発明の第9の実施態様では、披験者の炎症性疾患を治療する方法を提供し、該方法は、前記披験者に本発明の第3又は第4の実施態様の抗体分子を投与することを含む。
【0055】
本発明の第10の実施態様では、披験者の癌を治療する方法を提供し、該方法は、前記披験者に本発明の第3又は第4の実施態様の抗体分子を投与することを含む。
【0056】
本発明の第11の実施態様では、披験者の創傷を治療し、又は創傷の治癒を促進する方法を提供し、該方法は、前記創傷に本発明の第3又は第4の実施態様の抗体分子を投与することを含む。
【0057】
本発明の第12の実施態様では、本発明の第3又は第4の実施態様の抗体分子を含む、医薬組成物を提供する。
【0058】
本発明の第13の実施態様では、医薬に用いる本発明の第3又は第4の実施態様の抗体分子を提供する。
【0059】
本発明の第14の実施態様では、炎症性疾患の治療に用いる本発明の第3又は第4の実施態様の抗体分子を提供する。
【0060】
本発明の第15の実施態様では、癌の治療に用いる本発明の第3又は第4の実施態様の抗体分子を提供する。
【0061】
本発明の第16の実施態様では、創傷の治療に用いる本発明の第3又は第4の実施態様の抗体分子を提供する。
【0062】
本発明の第8から第16のいずれか1つの実施態様では、抗体分子は、本発明の第3の実施態様の抗体分子である。
【0063】
本発明の第17の実施態様では、受託番号第07120409号でECACCに預託されたハイブリドーマ細胞株を提供する。
【0064】
本発明の第18の実施態様では、受託番号第07120410号でECACCに預託されたハイブリドーマ細胞株を提供する。
【0065】
本発明の第19の実施態様では、本発明の第3又は第4の実施態様の抗体分子をコードする核酸分子を提供する。
【0066】
本発明の第20の実施態様は、生体試料中のアポトーシス細胞を検出するためのキットを含み、当該キットが、
(i)本発明の第3の実施態様の抗体分子と、
(ii)溶解を受けた細胞の検出可能マーカー、又は、本発明の第4の実施態様の抗体分子のいずれかを、選択的に含む。
【0067】
本発明の第20の一実施態様では、当該キットは、抗体を標識化するための標識をさらに含む。
【0068】
本発明の各実施態様の好ましい及び代替の特徴は、文脈上他の意味に解すべき場合を除き、変更すべきところは変更して他の実施態様の各々に対するものとしてである。
【0069】
[詳細な説明]
[抗体分子]
本発明の文脈において、抗体分子は別の分子に対して結合特異性を有する分子である。抗体分子は、免疫グロブリン又はその一部、又は抗体結合ドメインであるか若しくは抗体結合ドメインと同種の結合ドメインを含む任意のポリペプチドのことを言うと理解すべきである。特異抗体分子は、限定はされないが、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、単一特異性抗体、多特異性抗体、及びそれらの抗体フラグメント、及び別のポリペプチドに融合した免疫グロブリン結合ドメインを含むキメラ抗体を含む。抗体擬態物も抗体分子に含まれる。抗体分子は無傷抗体又はそのフラグメントとすることができる。
【0070】
無傷抗体は、H鎖及びL鎖から成り、各々がそれぞれVH及びVLで示される可変領域を担持する免疫グロブリン分子を含む。可変領域は、3つの相補性決定領域(超可変領域としても知られるCDR)及び4つのフレームワーク領域(FR)又は骨格領域から成る。CDRは、抗原分子と相補性立体構造を形成し、抗体の特異性を決定する。
【0071】
抗体フラグメントは、無傷抗体の結合能力を保有することができ、無傷抗体の代わりに使用できる。従って、本発明の目的のため、文脈上他の意味に解すべき場合を除き、用語「抗体分子」は抗体フラグメントを含むと解釈すべきである。抗体フラグメントの例は、Fab, Fab’, F(ab’)2, Fd, dAb, 及びFvフラグメント, scFvs, 二重特異性scFvs,ダイアボディ(diabodies)、線形抗体(特許文献1の実施例2;非特許文献1を参照)、単鎖抗体分子、及び抗体フラグメントから形成される多特異性抗体を含む。
【0072】
Fabフラグメントは、VH及びCH1と共に全L鎖(VL及びCL)から成る。Fab’ フラグメントは、抗体ヒンジ領域からの1つ以上のシステインを含む、CH1ドメインのカルボキシ末端に追加のいくつかの残基を有することにより、Fabフラグメントと異なる。F(ab’)2フラグメントは、2つのジスルフィド結合のFabフラグメントを含む。
【0073】
Fdフラグメントは、VHドメイン及びCH1ドメインから成る。
【0074】
Fvフラグメントは、単一抗体のVL及びVHドメインから成る。
【0075】
単鎖Fvフラグメントは、scFvが抗原結合部位を形成できるようにするリンカーによりつながれたVHドメイン及びVLドメインを含む抗体フラグメントである(非特許文献2を参照)。
【0076】
ダイアボディは、Vドメインを鎖間ではなくて鎖内に対形成させて、多価のフラグメント、すなわち、2つの抗原−結合部位を有するフラグメントが得られるように、VHドメインとVLドメインとの間に短いリンカー(約5〜10の残基)を有する、scFvフラグメント(前段落を参照)を構成することにより調製される小形の抗体フラグメントである(例えば、特許文献2、特許文献3及び非特許文献3を参照)。
【0077】
フラグメントにはさらに、個々のCDRも含まれる。
【0078】
上記のように、本発明において使用の及び使用のための抗体分子は、IMAB6又はIMAB7の抗体に限定されず、アポトーシス細胞又は死細胞又はそれらの細胞成分に結合する能力を維持するが、生存細胞に結合しない他の抗体分子にも拡張される。
【0079】
従って、本発明の第3の態様の実施形態では、抗体分子は、死細胞及びアポトーシス細胞に対して結合特異性を有する抗体分子であって、該抗体分子は、Seq ID No:1又はその変異型と、Seq ID No:2又はその変異型と、Seq ID No:3又はその変異型とからなるグループから選択したアミノ酸配列を有するCDRの少なくとも1つ、及び/又はSeq ID No:4又はその変異型と、Seq ID No:5又はその変異型と、Seq ID No:6又はその変異型とからなるグループから選択したアミノ酸配列を有するCDRの少なくとも1つを含む抗原結合ドメインを含む。
【0080】
Seq ID No:1〜6に対応するアミノ酸配列は、以下のとおりである。
Seq ID No: 1:
T G Y T F S S Y W I E
Seq ID No: 2:
E I L P G S G S T N Y N E K F K G
Seq ID No: 3:
G G T A R A T H Y A M D Y
Seq ID No: 4:
K A S Q S V S N D V A
Seq ID No: 5:
Y A S N R Y T
Seq ID No: 6:
Q Q D Y S S P Y T
【0081】
抗体分子は、Seq ID No:1と、Seq ID No:2と、Seq ID No:3とからなるグループから選択したアミノ酸配列を有するCDRの少なくとも1つ、及び/又はSeq ID No:4と、Seq ID No:5と、Seq ID No:6とからなるアミノ酸配列を有するCDRの少なくとも1つを含む抗原結合ドメインを含むことができる。
【0082】
抗体分子は、Seq ID No:1と、Seq ID No:2と、Seq ID No:3とからなるグループから選択したアミノ酸配列を有するCDRの少なくとも1つ、及びSeq ID No:4と、Seq ID No:5と、Seq ID No:6とからなるアミノ酸配列を有するCDRの少なくとも1つを含む抗原結合ドメインを含むことができる。
【0083】
抗体分子は、Seq ID No:1と、Seq ID No:2と、Seq ID No:3とからなるグループから選択したアミノ酸配列を有するCDRの少なくとも2つ、及び/又はSeq ID No:4と、Seq ID No:5と、Seq ID No:6とからなるアミノ酸配列を有するCDRの少なくとも2つを含む抗原結合ドメインを含むことができる。
【0084】
抗原結合ドメインは、抗体VHドメイン及び抗体VLドメインを含むことができる。このような実施形態では、抗体VHドメインは、Seq ID No:1と、Seq ID No:2と、Seq ID No:3とからなるグループから選択したアミノ酸配列を有するCDRの少なくとも1つを含み、抗体VLドメインは、Seq ID No:4と、Seq ID No:5と、Seq ID No:6とからなるアミノ酸配列を有するCDRの少なくとも1つを含むことができる。一実施形態では、抗体VHドメインは、CDR1、2及び3としてそれぞれアミノ酸配列Seq ID No:1、Seq ID No:2及びSeq ID No:3を有するCDRを含むことができる。
【0085】
一実施形態では、抗体VHドメインは、アミノ酸配列Seq ID No:7を有する。抗体VLドメインは、CDR1、2及び3としてそれぞれアミノ酸配列Seq ID No:4、Seq ID No:5及びSeq ID No:6を有するCDRを含むことができる。
【0086】
本発明の第3の態様の一実施形態では、抗体VLドメインは、アミノ酸配列Seq ID No:8を有することができる。一実施形態では、第3の態様の抗体分子は、受託番号第07120409号でECACCに預託された細胞株から得ることができるIMAB6抗体分子である。
【0087】
Seq ID No:7及び8に対応するアミノ酸配列は、以下のとおりである。
Seq ID No: 7:
QVQLQQSGAELMKPGASVKISCKATGYTFSSYWIEWVKQRPGHGLEWIGEILPGSGSTNYNEKFKGKATFTADTSSNTAYMQLSSLTSEDSAVYYCARGGTARATHYAMDYWGQGTSVTVSS
Seq ID No: 8:
DIVITQTPKFLLVSAGDRVTITCKASQSVSNDVAWYQQKPGQSPKLLIYYASNRYTGVPDRFTGSGYGTDF TFTISTVQAEDLAVYFCQQDYSSPYTFGGGTKLEIKR
【0088】
既知の抗体のCDRを決定することは、当業者にとって、いつものことであり、従って、本明細書で提供されるように、IMAB7抗体を用いて、これらの抗体のCDRを容易に同定することができる。
【0089】
一実施形態では、抗体分子は、IMAB7抗体のL鎖のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を有するCDR(すなわち、CDRL1、CDRL2、CDRL3)のうちの少なくとも1つ、例えば、少なくとも2つか、又は3つ全てを含む抗原結合ドメインを含む。
【0090】
一実施形態では、抗体分子は、IMAB7抗体のH鎖のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を有するCDR(すなわち、CDRH1、CDRH2、CDRH3)のうちの少なくとも1つ、例えば、少なくとも2つか、又は3つの全てを含む抗原結合ドメインを含む。
【0091】
一実施形態では、抗体分子は、IMAB7のCDRL1、CDRL2及びCDRL3のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を有するCDRのうちの少なくとも1つ、例えば、2つの又は3つのCDRを有する抗体VLドメインを含み、又は、抗体VHドメインは、IMAB7のCDRH1、CDRH2及びCDRH3のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を有する少なくとも1つの、例えば、2つの又は3つのCDRを有する。
【0092】
一実施形態では、抗体VLドメインは、IMAB7の抗体VLドメインに相当し、及び/又は、抗体VHドメインは、IMAB7の抗体VHドメインを含む。
【0093】
一実施形態では、抗体分子は、抗体VHドメイン、抗体VLドメイン又は両方を含む。
【0094】
1つ以上のアミノ酸残基が変更されるこのような抗体のCDRのアミノ酸配列は、CDR配列として用いることもできる。CDRの変異型のアミノ酸配列において変更されるアミノ酸残基は、全CDRの内で、好ましくは30%以下であり、より好ましくは20%以下であり、最も好ましくは10%以下である。このような変異型は、本出願及び既知の技術の教示を用いて提供することができる。CDRは、抗体のH鎖又はL鎖の配列又はそれらの一部を含むフレームワーク構造内に担持することができる。好ましくは、このようなCDRは、自然発生のVHドメイン及びVLドメインのCDRの位置に相当する位置に位置付ける。このようなCDRの位置は、非特許文献4に説明されているように、決定することができる。
【0095】
さらに、変更は、可変領域のフレームワーク領域(FR)に対して代替的に又は追加的に行うことができる。フレームワーク領域(FR)内でのこのような変更は、抗体の安定性を向上し、抗体の免疫原性を減らすことができる。
【0096】
本発明で使用の及び使用のための抗体は、「キメラ」抗体を含み、キメラ抗体内で、H鎖及び/又はL鎖の部分は、特定種から導かれた抗体又は特定の抗体のクラス若しくはサブクラスに属する抗体における相当する配列と同一又は同種であり、一方、鎖の残余は、所望の生物活性を示す限りそのような抗体フラグメントと同様に、別の種から導かれた抗体又は別の抗体のクラス若しくはサブクラスに属する抗体における相当する配列と同一又は同種である(特許文献4及び非特許文献5を参照)。ここで対象とするキメラ抗体は、非ヒトの霊長類(例えば、旧世界ザル、類人猿など)及びヒト定常領域配列から導かれる可変領域の抗原結合配列を含む「霊長類化」抗体を含む。
【0097】
[抗体の生産]
上で論じたように、IMAB6抗体及びIMAB7抗体を生産するハイブリドーマは、それぞれ受託番号第07120409号及び第07120410号で2007年12月4日にECACCに預託された。本発明で使用の及び使用のための他の抗体分子は、天然に又は合成的に任意の適切な方法で生産することができる。このような方法は、例えば、従来のハイブリドーマ技術(非特許文献6)、組み換えDNA技術(例えば、特許文献4を参照)又は抗体ライブラリを用いるファージ提示技術(例えば、非特許文献7及び非特許文献8を参照)を含むことができる。他の抗体生産技術は非特許文献9に説明されている。
【0098】
従来のハイブリドーマ技術は、抗原を結合できるリンパ球の生産を導き出すために、典型的には、マウス又は他の動物の免疫付与に抗原を関係させる。リンパ球は、単離されて、骨髄腫細胞株と融合して、ハイブリドーマ細胞を形成して、それから、ハイブリドーマ細胞は、親の骨髄腫細胞の成長を抑制するが、ハイブリドーマ細胞を生産する抗体の成長を可能にする条件下で培養される。ハイブリドーマは、生産される抗体の結合特異性を変更したり、しなかったりする場合もある、遺伝子の突然変異の影響を受ける可能性がある。合成抗体は、既知の技術を用いて作ることができる(例えば、非特許文献10及び非特許文献11を参照)。
【0099】
抗体分子のVH、VL又はCDRにおいて、又は実際にはフレームワーク領域(FR)において、既知の任意の適切な技術を用いて、変更をすることができる。例えば、可変VHドメイン及び/又は可変VLドメインは、CDR、例えばCDR3を、そのようなCDRを欠くVHドメイン又はVLドメインに導入することにより、作ることができる。非特許文献8は、シャッフリング技術を説明しており、そのシャッフリング技術において、CDR3を欠くVH可変ドメインのレパートリーが生成されて、それから、新規なVH領域を作る特別な抗体のCDR3に結合される。類似の技術を用いて、本発明のCDRが生成された配列を含む新規なVHドメイン及びVLドメインを作ることができる。
【0100】
従って、本発明で使用するための抗体分子は以下の工程(a)〜(e)を備える方法によって生産することができる。
(a)可変ドメインをコードする核酸の開始レパートリーを提供する工程であって、前記可変ドメインは、置換すべきCDR1、CDR2又はCDR3を含み、又は、核酸は、そのようなCDRのコード領域を欠く工程。
(b)前記レパートリーを、Seq ID No:1,2,3,4,5又は6として本明細書に示すような配列を有するアミノ酸配列をコードするドナー核酸と結合して、可変ドメインをコードする核酸の生成物レパートリーを提供するために、ドナー核酸を、レパートリー内のCDR領域に挿入する工程。
(c)生成物レパートリーの核酸を発現する工程。
(d)アポトーシス細胞又は死細胞に特有な特異的抗原結合フラグメントを選択する工程。
(e)特異的抗原結合フラグメント又はそれをコードする核酸を回収する工程。
【0101】
本発明の変異型抗体を生産する代替技術は、例えば、変異性PCR(非特許文献12を参照)を用いて、VHドメイン又はVLドメインをコードするランダム突然変異遺伝子を含むことができる。追加的に又は代替的に、CDRは、例えば、非特許文献13及び非特許文献14により説明された分子進化的手法を用いて、突然変異生成の標的にすることができる。
【0102】
このような変異型を生産して、抗体及びフラグメントは、所望の活性、例えば、非生存のアポトーシス細胞及び/又は死細胞を選択的に結合する能力に対して、テストすることができる。
【0103】
いくつかの実施形態で、本発明の抗体は標識化することができる。使用できる標識は、放射性標識、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリ性ホスファターゼ又はビオチンのような酵素標識を含む。本発明で用いる検出可能な試薬は、技術的に任意の適切な方法を用いて検出することができる。例えば、一実施形態で、試薬は、試薬特有の抗体を用いて検出することができる。別の実施形態で、試薬は標識化することができる。任意の適切な標識を用いることができる。例えば、使用できる標識は、フェリチン、ビオチン、アビジン、ストレプトアビジン及びそれらの誘導体のようなタンパク質に限定されることなく、例えばフルオレセインのような蛍光マーカー、125I、131I、32P、又は35Sのような放射性標識、アルコールデヒドロゲナーゼ、ペルオキシダーゼ又はアルカリ性ホスファターゼのような酵素、エバンスブルー又はクマシーブリリアントブルーのような染料、検出可能な金属又は検出可能な免疫グロブリンを含む。
【0104】
核酸
一実施形態で、本発明は、本発明の抗体をコードする核酸分子を提供する。本発明の及び本発明用の核酸は、DNA又はRNAを含むことができる。核酸は、組み換え技術により、合成的に、又は標準技術を用いるクローニングを含めて技術的に利用可能な任意の手段により、生産することができる。
【0105】
核酸は、任意の適切なベクターに挿入することができる。本発明の核酸を含むベクターは、本発明のさらなる態様を形成する。一実施形態で、ベクターは発現ベクターであり、核酸は、宿主細胞内に核酸を発現させることができる制御配列に動作可能にリンクされる。様々なベクターを用いることができる。例えば、適切なベクターは、例えばワクシニアウイルス、アデノウイルス、バキュロウイルスのようなウイルス、酵母ベクター、ファージ、染色体、人工染色体、プラスミド又はコスミドDNAを含むことができる。
【0106】
ベクターは、本発明の核酸を宿主細胞内に導入するために、用いることができる。多種多様の宿主細胞を本発明の核酸の発現のために用いることができる。本発明用の適切な宿主細胞は、原核細胞又は真核細胞とすることができる。それらは、例えば、大腸菌、酵母菌のような細菌、昆虫細胞及び哺乳類細胞を含む。使用できる哺乳類細胞株は、チャイニーズハムスター卵巣細胞、ベビーハムスター腎臓細胞、NS0骨髄腫細胞、サル細胞株、ヒト細胞株、それらの派生物及び他の多くのものを含む。
【0107】
遺伝子産物の発現を調整し、遺伝子産物を組み換え、及び/又は遺伝子産物を特殊に処理する宿主細胞株を使用することができる。このような処理は、グリコシル化、ユビキチン化、ジスルフィド結合形成及び一般的翻訳後修飾を含むことができる。
【0108】
従って、本発明は、また、本発明の1つ以上の核酸、又はベクターを含む宿主細胞を提供する。
【0109】
本発明には、また、本発明の抗体分子の生産方法も含み、その方法は、核酸からの抗体分子の発現が起きる条件下で、本発明の核酸を含む宿主細胞を培養すること、及び、抗体分子を随意単離及び/又は純化することを含む。
【0110】
例えば核酸構築物の調製のような核酸の操作、突然変異生成、シークエンシング、DNAの細胞への導入及び遺伝子の発現、並びにタンパク質の解析のための既知の技術及びプロトコルに関するさらなる詳細については、例えば、非特許文献15及び非特許文献16を参照されたい。
【0111】
分離法
上記のように、本発明は、細胞又は細胞成分を、細胞培養調合液、血液、血清又は任意の他の生体試料のような試料から分離する方法を含む。このような方法において、本発明の及び本発明用の抗体分子は、一旦標的細胞又は標的細胞成分に結合された抗体分子の分離を可能にするために、基質に共役させることができる。
【0112】
固定化技術又は分離技術で用いることができる任意の適切な固体基質を使用することができる。このような基質は、ビーズ、シート、粒子、膜などの形状にすることができる。一実施形態において、基質は、結合能力を高めるために、特別の材料から作られる。本発明の特別の実施形態において、抗体分子は、磁性粒子又は磁性ビーズに共役させる。このような磁性粒子又は磁性ビーズは、磁界を加えることにより、試料から容易に分離することができる。
【0113】
それらの抗体及びフラグメントは、既知の適切な技術を用いて、磁性粒子のような基質に結合することができる。結合は、直接的に又は間接的にすることができる。一実施形態において、抗体は、例えば、基質上にある官能基により、基質に共有結合させることができる。このような官能基は、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基又はアルデヒド基を含むことができる。
【0114】
使用できる特別の方法は、抗体をスルホニルエステルを有する基質に結合することを含む。スルホニルエステルは、抗体上で、アミノ基又は−SH基と反応して、CH2−NH又はCH2−S−を生み出す。抗体を基質に結合する別の方法は、基質上にカルボキシル基を供給することであり、カルボジイミド及びN−ヒドロキシスルホスクシンイミドと共に活性化することにより、支持体(基質)と抗体との間にアミノ結合を形成する。アミノ基を含む支持体は、グルタルアルデヒドを用いて活性化することができて、抗体のアミノ基と共有結合を形成する。
【0115】
上記のように、本発明の特別な実施形態において、抗体は、標的細胞又は標的細胞成分と接触させられて、二次抗体を必要とせずに、分離される。このような実施形態において、抗体は、標的細胞又は標的細胞成分と接触する前に、基質に結合することができる。代替の実施形態において、標的細胞又は標的細胞成分に結合する抗体は、二次抗体により、又は、任意の抗体がビオチンで標識される場合、実際には、(ストレプト)アビジンのような結合パートナーにより、分離することができる。
【0116】
本発明の方法は、陽性細胞選択又は陰性細胞選択のために用いることができる。陽性細胞選択では、関心のある細胞が結合されて、試料から除去される。対照的に、陰性細胞選択では、瀕死細胞若しくは死細胞又は瀕死細胞若しくは死細胞からの実成分のような汚染細胞が、試料から除去される。
【0117】
上記のように、本発明の特別な実施形態は、試料内の生存細胞の数を最適化するために、細胞培養試料のような細胞試料に対し、死細胞、瀕死細胞又はアポトーシス細胞の除去に関する。従って、本発明の方法は、細胞培養の高質化戦略に用いることができる。特別な実施形態において、本発明は、非生存細胞及びその成分の除去により、細胞培養の質を高めるために磁性活性化細胞選別法を含む。
【0118】
状況次第で、特別な陽性選択プロトコルでは、結合細胞(又は細胞成分)を抗体分子から分離することが所望される。このような分離を達成するためのいくつかの技術は、周知である。このような技術は、例えば、機械技術であり得(例えば、特許文献5及び特許文献6を参照)、又は、例えば、パパイン若しくはキモパパインを用いる酵素技術であり得る。
【0119】
治療
「治療」とは、ヒト又はヒト以外の動物に利益をもたらすことができる任意の養生法を含む。治療は、既存の状態に関することもあり、又は予防(予防的措置)でもあり得る。治療は、治療効果、軽減効果又は予防効果を含むことができる。
【0120】
「癌の治療」は、癌性増殖及び/又は血管新生により引き起こされる病気の治療を含み、かつ、腫瘍性成長又は腫瘍の治療を含む。本発明を用いて治療することができる腫瘍の例は、例えば、骨肉腫及び軟部組織肉腫を含む非上皮性悪性腫瘍、例えば乳癌、肺癌、膀胱癌、甲状腺癌、前立腺癌、結腸癌、直腸癌、膵臓癌、胃癌、肝臓癌、子宮癌、子宮頸部癌及び卵巣癌の上皮性悪性腫瘍、非小細胞肺癌、肝細胞癌、ホジキンリンパ腫及び非ホジキンリンパ腫を含むリンパ腫、神経芽細胞腫、黒色腫、骨髄腫、腎芽細胞腫、急性リンパ性白血病及び急性骨髄芽球性白血病を含む白血病、星状細胞腫、神経膠腫、及び網膜芽細胞腫である。
【0121】
本発明が利用法を見つける炎症性疾患は、限定はされないが、腹膜炎、関節炎、胸膜炎、肺線維症、全身性硬化症及び慢性閉塞性肺疾患(COPD)のような炎症性疾患を含む。本発明が有用な他の疾患は、炎症性肺疾患、アトピー性皮膚炎、NERDS(結節、好酸球増多症、リウマチ、皮膚炎及び腫脹)、肺線維症、炎症性腸疾患(IBD)、多発動脈炎及びヴェーゲナー肉芽腫症を含む脈管炎肉芽腫性疾患、サルコイド、特発性肺線維症、自己免疫疾患、好酸球性肺炎、心筋梗塞による再かん流傷害、アテローム、糸球体腎炎、関節リウマチ及び痛風を含む。
【0122】
[医薬組成物]
本発明による、及び、本発明で用いる医薬組成物は、活性成分に加えて、医薬品として許容できる賦形剤、キャリア、緩衝安定剤、又は他の当業者に周知の物質を含むことができる(例えば、非特許文献17を参照)。このような物質は、アセテート、トリス、リン酸塩、クエン酸塩及び他の有機酸のような緩衝剤;抗酸化物質;防腐剤;血清アルブミン、ゼラチン又は免疫グロブリンのようなタンパク質;ポリビニルピロリドンのような親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、又はリジンのようなアミノ酸;炭水化物;キレート剤;強壮剤及び界面活性剤を含むことができる。
【0123】
医薬組成物は、特定の適応症に必要であるとして選択され、好ましくは、本発明の医薬組成物の活性に悪影響を与えない相補的な活性を有する1つ以上のさらなる活性化合物も含むことができる。活性成分は、ミクロスフェア、マイクロカプセルリポソーム、他の微粒子送達システムにより投与することができる。例えば、活性成分は、マイクロカプセル内に封入することができ、マイクロカプセルは、例えば、液滴形成技術又は界面重合法により調製することができ、例えば、コロイド状薬剤送達システム(例えば、リポソーム、アルブミン小球体、マイクロエマルジョン、ナノ粒子及びナノカプセル)内に、又は、マクロエマルジョン内に、それぞれ、ヒドロキシ・メチルセルロース、又は、ゼラチンマイクロカプセル及びポリ(メチルメタクリル酸塩)−マイクロカプセルを封入し得る。詳細は、非特許文献17を参照されたい。
【0124】
徐放性製剤を、活性薬剤の送達のために用いることができる。徐放性製剤の適切な例は、抗体を含む固体の疎水性ポリマーによる半透過性の基質を含み、その基質は、例えば、フィルム、坐薬又はマイクロカプセルのような造形品の形である。徐放性基質の例は、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリル酸塩)又はポリ(ビニルアルコール))、ポリラクチド(特許文献7)、L−グルタミン酸及びL−グルタミン酸塩の共重合体、非分解性のエチレン−ビニルアセテート、分解性乳酸−グリコール酸共重合体、及びポリ−D−(−)−3−ヒドロキシ酪酸を含む。
【0125】
投与量
本発明の、及び、本発明で用いる抗体は、必要に応じて、個人に利益を示すのに十分な「治療に有効な量」で個人に適切に投与される。実際の投与レジメンは、治療される疾患、疾患の重症度、治療される患者、用いる薬剤を含む多数の要因に応じ、医師の裁量下にある。
【0126】
本発明は、以下の限定しない実施例でさらに説明する。以下の添付図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0127】
【図1】スタウロスポリンによるアポトーシスの誘導後のPI−陰性のBL細胞にIMAB6及びIMAB7の区別を示す標識を付けることを例示する図である。
【図2】光散乱及びPI蛍光アッセイを用いる ‘生存’BL細胞又は死BL細胞の識別を例示する図である。
【図3】スタウロスポリンによるアポトーシスの誘導後のPI−陰性(アポトーシス細胞)及びPI−陽性(死細胞)のBL細胞にIMAB6及びIMAB7の区別を示す標識を付けることを例示する図である。
【図4】スタウロスポリンによるアポトーシスの誘導後の‘生存’細胞光散乱区域及び死細胞光散乱区域にIMAB6及びIMAB7の区別を示す標識を付けることを例示する図である。
【図5】スタウロスポリンを用いて、BL細胞でのアポトーシスの誘導後の‘生存’細胞光散乱区域での、アポトーシス細胞の徐々の出現を例示する図である。
【図6】冷凍保存後に、BL細胞でのアポトーシスの誘導後の‘生存’細胞光散乱区域での、アポトーシス細胞の徐々の出現を例示する図である。
【図7】アポトーシスの胸腺細胞についてのアネキシンVとIMAB6との同程度の反応性を例示する図である。
【図8】PI−陰性のアポトーシスのBL細胞についてのアネキシンVとIMAB6との同程度の反応性を例示する図である。
【図9】IMAB6及びIMAB7が、リン脂質ホスファチジルセリン(PS)及びホスファチジルグリセロール(PG)と反応することを例示する図である。
【図10A】IMAB6に結合した磁性粒子による、死細胞の直接の枯渇を例示し、3つの異なる方法により死細胞を枯渇した細胞の試料における、トリパンブルー(trypan blue)の染色で陽性の細胞の割合を例示する棒グラフの図である。
【図10B】IMAB6に結合した磁性粒子による、死細胞の直接の枯渇を例示し、図10Aと同じ方法を用いて、死細胞を枯渇した後の細胞の試料における、FACSにより評価した死細胞の割合を例示する図である。
【図11】死細胞の枯渇のための細胞と磁性粒子との相互作用は、試料の回転により改善されないことを例示する図である。
【図12】37℃で完全な培養基でのIMAB6に結合した磁性粒子によるBL死細胞の効率的な枯渇を例示する図である。
【図13】37℃で完全な培養基でのIMAB6に結合した磁性粒子によるBL死細胞の効率的な枯渇の相互作用の時間の効果を例示する図である。
【図14】IMAB6に結合した300nm及び500nmの磁性粒子によるBL培養からの直接の死細胞の枯渇を例示する図である。
【図15】フローサイトメトリーによる生存細胞と死細胞とを分離するためのIMAB6の使用を実証するための実験結果を例示する図である。
【図16】IMAB6の標識化によりアポトーシス細胞から放出される微粒子の検出を例示する図である。
【図17】微粒子、ブレブ及びアポトーシス細胞の分離を例示する図である。
【図18】IMAB6が生体内のアポトーシス細胞への免疫反応を調整することを例示する図である。
【図19】IMAB6のH鎖の可変(V)領域の核酸及びアミノ酸の配列を例示し、CDRH1,CDRH2及びCDRH3を示す図である。
【図20】IMAB6のL鎖の可変(V)領域及び固定領域の核酸及びアミノ酸の配列を例示し、CDRH1,CDRH2及びCDRH3を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0128】
[1.MAB6及びIMAB7は、アポトーシスを起こしている細胞の異なるエピトープを認識して、生存細胞と、アポトーシス細胞と、死細胞とを見分ける]
IMAB6及びIMAB7のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを、当業者に標準的な手続きを用いて、BALB/cマウスの免疫付与及び免疫脾臓細胞とNS0骨髄腫細胞との融合により生成した。抗体のイソタイプは、どちらの場合にもIgM(免疫グロブリンM)とした。
【0129】
[実施例1]
ヒトのバーキットリンパ腫(BL)細胞株BL2を誘導して、プロテインキナーゼ阻害剤である、スタウロスポリン(1μM)で30分〜4時間の指示時間(図1)の間、37℃での刺激によって、アポトーシスを迅速且つ同時に起こさせた。スタウロスポリンは、多くの細胞型において周知のアポトーシス誘導剤である(同一の機構により誘導されたアポトーシスBL細胞にアネキシンVが結合することの実証は後を参照)。次に、細胞を採取して、標準の処理により、IMAB6又はIMAB7の抗体で標識化した。これらの抗体は、10%のウシ胎仔血清(FCS)を含んでいるRPMI1640培地で培養するIMAB6又はIMAB7のハイブリドーマ培養の無細胞の上澄み製剤から調合した。IMAB6は、セントリプラス(Centriplus)限外ろ過装置(ミリポア(Millipore)、MWカットオフ100,000kDa)を用いて濃縮した。IMAB7は、硫酸アンモニウムの沈殿により調合されて、その後にリン酸緩衝食塩水(PBS、Ca2+及びMg2+がない)に対する透析が続く。抗体(40μl)は、BL2細胞(5×105)に加えられて4℃で30分間インキュベートされた。細胞は、5%の陽性常ヤギ血清(NGS)を含むPBS内で洗浄されて、その後、40μlの二次抗体(ヤギ抗マウスIgG(免疫グロブリンG)(全分子)フルオレセインイソチオシアネート(FITC)共役(GAM)、シグマ、PBS/5% NGS内で1:25)内で、4℃でさらに15分間インキュベートされた。PBS/5% NGS内でさらに洗浄後、細胞は、プロピジウムヨウ化物を含む同一の緩衝剤(PI、シグマ、0.8μg/ml)で再懸濁されて、当業者に標準の手続きを用いて、ベックマン・コールター(Beckman Coulter)XLフロー血球計算器でアッセイされた。
【0130】
図1は、スタウロスポリン治療後、指示時間でのPIが陰性(すなわち、細胞膜の完全性を保つ)である染色した細胞調合液の蛍光ヒストグラムを示す。GAM(赤のヒストグラム)は、背景標識を示す。ほとんどすべての細胞は、スタウロスポリンの刺激後、3時間でIMAB6は確実に染色されるが、一方、IMAB7は、この時間では、どの細胞も標識を付けられない。
【0131】
追加のフローサイトメトリーアッセイ(図3及び4)は、IMAB7が陽性常細胞膜を保つ細胞に結合することができないのに、この抗体が溶解した細胞に結合することを示す(これは、インビトロのアポトーシスプログラムの遅発性の特徴である)。フローサイトメトリーは、光散乱パラメータを用いて染色しない調合液で、死BL細胞と生存BL細胞又はアポトーシスBL細胞との識別を可能にすることは、以前に実証されている(非特許文献18)。これを例示するために、図2は、BL細胞が、前方への及び側方への光散乱に基づき、死細胞又は‘生存’細胞を表わす細胞集団区域に分割することができることを実証する(図2の左のパネル)。PI蛍光アッセイは、死細胞の区域に収まる細胞はPI−陽性であり、一方、‘生存’細胞の区域に収まる細胞はPI−陰性である(図2の右のパネル)。実際には、‘生存’細胞は、真の生存細胞かそれとも瀕死細胞を含み、瀕死細胞は、アポトーシスに達しているが、細胞膜の完全性を保っている細胞である。このような瀕死細胞は、アネキシンVかそれともIMAB6(IMAB7ではない)を用いて視覚化することができる。
【0132】
[実施例2]
スタウロスポリン治療後、3時間でのPI−陰性及びPI−陽性のBL細胞集団を比較する。これらの細胞の蛍光ヒストグラムは、PI−陽性(死細胞)及び‘生存’細胞の区域PI−陰性(アポトーシス細胞、瀕死細胞)は共にIMAB6の標識を付けるが、一方、PI−陽性はIMAB7の標識を付けるが、PI−陰性はIMAB7の標識を付けない。
【0133】
これらの結果は、図4で確認されるが、同じスタウロスポリン治療の細胞のIMAB6/7の標識特性は、光散乱の特徴によりアッセイされる。図示するように、死細胞の区域及び‘生存’細胞の区域(この場合、主に、アポトーシス細胞)は共にIMAB6の標識を付けるが、一方、死細胞の区域はIMAB7の標識を付けるが、‘生存’細胞の区域はIMAB7の標識を付けない。
【0134】
まとめると、これらの結果は、IMAB6及びIMAB7が、瀕死(アポトーシス)細胞及び死細胞の異なるエピトープに結合し、これらの抗体が(1)生存細胞、(2)瀕死細胞、及び(3)死細胞を区別するために、用いることができることを実証する。
【0135】
[2.IMAB6は、異なる種での多数の刺激により誘導されたアポトーシスの段階をモニターするために用いることができ、アネキシンVと同じ細胞に標識を付ける]
[実施例3]
図5は、上記のように、スタウロスポリンで刺激され、IMAB6の標識を付けられたBL2細胞を示す。この場合、結合したIMAB6は、ヤギ抗マウスIgG(免疫グロブリンG)(全分子)フィコエリトリン共役(シグマ、PBSで1:25/5%NGS)を二次抗体として用いて、可視化する。この実験は、‘生存’細胞の光散乱区域で、0時間での約5%から、1時間での26%を経て、3時間での95%を超えるまで、アポトーシス細胞の徐々の出現を実証する。
【0136】
[実施例4]
図6では、冷凍保存後の解凍に続いて、BL細胞においてアポトーシスが誘発された。5%ジメチル・スルホキシド(DMSO)を含むFCSで懸濁されたBL2細胞は、1分当たり約1℃の割合の標準手続きの後に、−80℃に冷凍された。その後、細胞は、37℃で急速に解凍され、DMSOを除去するために、洗浄され、培地(2mMのL−グルタミン酸及び10%のFCSを含むRPMI1640)に再懸濁された。指示された時間に、細胞は、上記のように、IMAB6の標識を付けられて、フローサイトメトリーによりアッセイされた。図6に示すように、‘生存’細胞の光散乱区域での、アポトーシス細胞の徐々の出現は、死細胞の区域での、死細胞のかなりの数の出現の前に、IMAB6の標識を付けることにより、明らかにされる。
【0137】
[実施例5]
BL2細胞は、B細胞由来のヒト腫瘍細胞株である。図7は、IMAB6がアポトーシスの主マウス胸腺細胞も結合し、その反応性は、(a)ヒト細胞、(b)悪性細胞、(c)細胞株、又は(d)B系統細胞に制限されない。胸腺は、BALB/cマウスから注意深く解剖されて、胸腺細胞の懸濁は、2つのガラスの顕微鏡スライドの冷凍した両端間で器官をすりつぶした後、標準手続きにより分離された。胸腺細胞は、デキサメタゾン(100nM)を用いる一晩中のインキュベーションによりアポトーシスを起こすように誘導された。胸腺細胞は、その後、(1)上記のように、IMAB6及びFITC共役GAMの標識を付けられるか、又は(2)製造業者の指示により、FITC共役アネキシンV(ベンダー(Bender))の標識を付けられて、アネキシンV共役は、アネキシンV結合段階中に及び後に2.5mM Ca2+の常駐を必要とする(注記:上記の標識化方法により実証されたように、IMAB6は、アネキシンVの場合のように、標識化される細胞への結合されるIMAB6の標識化プロセスかそれともメンテナンスにおいて、Ca2+に対するこのような要求を有しない。)。図7に示すように、標識化される細胞のフローサイトメトリーの分析は、胸腺細胞についてのアネキシンVとIMAB6との同程度の反応性(青のヒストグラム)を明らかにする。赤のヒストグラムは、背景の蛍光を示す(アネキシンVの場合は、標識化されない胸腺細胞であり、IMAB6の場合は、二次抗体のみにさらされた胸腺細胞である。)。
【0138】
[実施例6]
図8は、IMAB6がアネキシンVと同程度の反応性を有することを、さらに、実証する。この実験シリーズで、BL2細胞は、スタウロスポリンを用いてアポトーシスに誘導されて、IMAB6/FITCかそれともアネキシンV/FITCで標識化され、さらに、フローサイトメトリーにより説明され分析される方法を用いてプロピジウムヨウ化物で標識化される。プロピジウムヨウ化物の染色がない場合のアネキシンVでの標識化は、アポトーシスを評価するために一般的に使用される。図8は、スタウロスポリンによる刺激後、様々な時間でのIMAB6の陽性細胞の%(黒色)及びアネキシンVの陽性細胞の%(市松模様)で、アポトーシスを起こしているPI陰性細胞について、アネキシンV及びIMAB6の反応性を比較する。その結果は、IMAB6の反応性が、アネキシンVの反応性に近似しており、抗体が、経時変化の初期段階の間、わずかにより反応しやすく見えることを実証する。
【0139】
[3.IMAB6及びIMAB7は、リン脂質に結合する]
[実施例7]
IMAB6の特異性は、標準的アプローチを用いて、ELISAでリン脂質に対してテストした。手短に、ELISAプレートの源泉は、リン脂質(a)ホスファチジルセリン(PS)、(b)ホスファチジルグリセロール(PG)又は(c)PSとPGとの組み合わせでコーティングした。リン脂質ストック(クロロホルムの中で1mM)は、100μg/mlに希釈し、50μlアリコートは、ELISAプレートの源泉の中で室温で蒸発乾固した。源泉は、0.3%のゼラチンを含む100μlPBSを用いて、2時間、魚の皮(シグマ)からブロックし、3XPBSを用いて洗浄し、その後、各々PBS/ゼラチン内で1:10に希釈された50μlのIMAB6又はIMAB7に、1時間、37℃でさらした。IMAB6及びIMAB7の抗体は、セリーヌ(Celline)バイオリアクター(インテグラ(Integra)、IMAB6)か、それとも、加熱不活性化したFCSが補充されたRPMIの中の組織培養瓶(IMAB7)かの、どちらかで成長する、対応のハイブリドーマ細胞の無細胞の上澄みであった。PBS内でさらに3回洗浄した後、源泉は、ヤギ抗マウスIgM(免疫グロブリンM)-ペルオキシダーゼ抗体共役(シグマ、PBS/ゼラチン内で1:1000)にさらに1時間、37℃でさらした。3XPBS洗浄後、源泉は、ペルオキシダーゼ基質(SIGMAFAST(登録商標)OPD(o-フェニレンジアミン二塩酸塩、シグマ)を用いて、35分間、室温でインキュベートし、H2SO4でブロックし、Anthos 96-源泉プレートリーダーを用いて492nmで読み取る。図9に示すように、IMAB6及びIMAB7は、PS及びPG両方共と反応する。このアッセイでは、リン脂質を受け入れないが、別の方法で同等に処理される源泉から、背景の吸光度値を記録した。IMAB6抗体の調合液を用いて達成したより高い吸光度値は、通常の培養瓶からよりも、セリーヌ(Celline)バイオリアクターから得られる、より高い抗体力価のためである。フローサイトメトリーのデータを考え合わせて、細胞についてではなく、ELISAにおいて同一の反応性であるため、これらの結果は、IMAB6及びIMAB7が、アポトーシスの間、細胞に異なってさらされるPS及び/又はPGに異なるエピトープを指定することを実証する。
【0140】
[4.IMAB6は、死細胞を直接の枯渇により有効に除去するために、超常磁性の粒子に直接結合することができる]
[実施例8]
ヒトのB細胞株、BL2から死細胞を奪う以下の3つの方法がある。
方法1:磁石上の瀕死/死細胞を枯渇するために、ヤギ抗マウス免疫グロブリン(GAM)に結合した300nmの超常磁性の粒子を用いた分離に続いて、モノクロナール抗体IMAB6の標識を瀕死の細胞及び死細胞に第一に付ける方法。
方法2:IMAB6に結合した300nmの超常磁性の粒子を直接結合し、それから、磁石上の瀕死/死細胞を枯渇する方法。
方法3:Ficoll-Paque上の標準密度勾配の遠心分離による方法。
各々の方法に対して、分離後、枯渇した試料を、PBS内で0.2%のトリパンブルー(trypan blue)を用いて染色し、試料中にとどまる死細胞の割合を顕微鏡によって評価した。並列の試料は、死細胞を上記のように、光散乱特性により規定して、フロー血球計算器(XL、ベックマン・コールター(Beckman Coulter))を用いてテストした(非特許文献18)。結果を図10に示す。
【0141】
カルボキシル活性化した300nmの超常磁性の粒子(Ademtech, Pessac, France)は、その粒子の製造業者の指示により、EDC(1-エチル-3-[3-ジメチルアミノプロピル])カルボジイミド塩酸塩、Pierce, Rockford IL)を用いて、IMAB6(単独で、又は牛ラクトフェリン(LF)の存在下で、)か、それとも、ヤギ抗マウス免疫グロブリン(シグマ、Aldrich, UK)のどちらかに結合した。磁気分離のために、細胞(100μl、7.5×107/ml)は、−標識されていないか、それとも、洗浄後に、30分間、4℃でIMAB6抗体の標識を事前に付けるかのどちらかであるが、−0.5%ウシ血清アルブミン(BSA)を有するPBS(Ca2+及びMg2+が含まれていない)及び0.1mgのGAM結合又はIMAB6結合の磁性粒子を含む2mM EDTA(「マグセップ(Magsep)緩衝剤」)で再懸濁し、1.5mlエッペンドルフ管で4℃30分間、弱い回転でインキュベートした。細胞及び粒子は、その後、0.5ml PBS/BSA/EDTA(マグセップ(Magsep)緩衝剤)で穏やかに再懸濁し、エッペンドルフ管を磁石上に4分間、置いて(Ademtech, Adem-Mag SV)、その後、懸濁液中の細胞を除去し、上記のように、生死判別試験を行った。Ficoll-PaquePLUS(Amersham)上の密度勾配の分離を、製造業者の指示により、行った。
【0142】
図10A及び図10Bの両方から理解できるように、300nmの超常磁性の粒子に直接結合したIMAB6抗体は、最初の試料から死細胞を非常に有効に除去し、その効率は、標準密度勾配の遠心分離による方法(方法3)とほぼ同様である。相互作用/分離の緩衝剤中のEDTAの存在は、このシステムにおける効率的な死細胞の枯渇が、Ca2+を必要としないことを実証する。
【0143】
本実施例では、方法1(細胞にIMAB6の標識を事前に付けて、GAMに結合した磁性粒子を用いて磁気枯渇を試みる方法)は、二次抗体の磁性粒子への非効率的な結合のため、失敗した可能性がある。方法1の試料の死細胞の明らかにより大きい数は、重要ではない。本実施例は、IMAB6を用いる間接的方法が、必然的に非効率的であることを証明せず、強化した粒子の結合により、改善できることが可能である。本実施例は、直接的方法が、非常に効率的であることを明白に証明する。IMAB6と共のLFの存在は、死細胞の枯渇において、粒子の有効性を改善することができなかった。
【0144】
[実施例9]
IMAB6に結合した磁性粒子による、死細胞の直接の枯渇には、磁石を用いての枯渇工程の前に、粒子と死細胞との間の効率的な相互作用を必要とする。本実施例において、定常状態下、又は弱い回転での細胞と粒子との共同でインキュベートする効果を実証する。細胞及び粒子は、いくつかの修正をして実施例8と同様に取り扱った。修正は以下の通りである:相互作用/分離の緩衝剤は、上記のように、PBS/BSA/EDTAマグセップ(Magsep)緩衝剤であり、細胞は5×107/mlであり、0.05mgのIMAB6に結合した300nmの粒子との相互作用は、静圧管の中でか、それとも連続する弱い回転のどちらかで、4℃で10、20又は40分間、行われた。死細胞は、上記のように、トリパンブルー(trypan blue)が陽性であるとして、顕微鏡によって数え上げた。図11に示すように、回転は、死細胞の枯渇において、効率を促進することができなかった。実際、細胞の回転は、生死判別にマイナスの効果があった(少しのビーズ試料も、静的かそれとも完全に40分間のローターのどちらかでも、インキュベートされなかった。)。
【0145】
[5.インビトロの生理的条件下でIMAB6に結合した磁性粒子を用いる、死細胞の直接の枯渇]
[実施例10]
本実施例では、IMAB6に結合した粒子による直接の死細胞の枯渇についての環境条件を変える効果を実証する。具体的に言うと、温度と緩衝剤培養基の両方共、変える。方法論は、以前の例で少し修正して説明したものと大まかに似ている。手短に、BL細胞(5×107/ml)は、マグセップ(Magsep)緩衝剤又は完全なBL培養基(図12のBL培養基:10%FCSが補充されたRPMI)における、0.05mgのIMAB6に結合した300nmの粒子を有する静的1.5ml管の中で、45分間、4℃、室温(RT)又は37℃でインキュベートした。ビーズのない制御細胞は、37℃でインキュベートした。磁石上の分離の後(4−5分)、陰性に選択された細胞は、0.8μg/ml PIで標識化後、PI陽性細胞のフローサイトメトリーによる分析に従った。
【0146】
図12に示すように、マグセップ(Magsep)緩衝剤(黒の棒)において、死細胞の枯渇(PI−陽性細胞の減少)の効率のわずかな変化のみ、温度の変化により得られた。しかしながら、細胞が完全なBL培養基(市松模様の棒)での枯渇工程に従う際、最適な状態は、生理学的温度37℃で達成した。これらの結果は、死細胞が、完全な培養基において最適な生理学的状態でIMAB6に結合した粒子により、細胞培養から直接、効率的に枯渇することができることを実証する。
【0147】
[実施例11]
さらに、図13に示すように、前の実施例で説明した同一の方法論を用いた、37℃での完全なBL培養基における細胞と磁性粒子との相互作用の時間変化は、磁気分離の前に40〜60分の相互作用の時間を選ぶ場合、最適な効率に近づくことを示した。
【0148】
[実施例12]
本実施例では、(a)2つの磁性粒子のサイズを比較し、(b)粒子結合反応におけるIMAB6抗体の濃度の効果をテストし、(c)2つの順次的な磁気分離工程の効果を実証する。方法論は、300nm及び500nmの両方のカルボキシル活性粒子(Ademtech)のバッチを、第1の結合反応の2倍のIMAB6抗体の濃度を受ける第2の結合反応を有する各サイズの粒子に対する2つの結合反応で用いたことを除いて、上記の実施例で説明したものと類似である。バッチは、図14において、300/1、300/2、500/1及び500/2で区別する。37℃で40分間の完全な培養基における粒子と共に共同でインキュベートされたBL細胞と共に、試料につき0.1mgの粒子を用いて、相互作用/分離の2つのモードを比較した。第1のモードは、上記実施例で説明したように、アデムテック(Ademtech)磁石(Adem-Mag SV)の中の1.5mlポリプロピレンのエッペンドルフ管の中であり、第2のモードは、イージーセップ(EasySep)磁石を用いるシステムセルテクノロジー(SystenCell Technologies)により提供される汎用磁気細胞分離プロトコルに続いて、12×75mm Falcon 2052 FACS管(Becton Dickinson)の中であった。各々の場合に、細胞をPIで染色し、1〜2回の磁気分離後に、フローサイトメトリーにより分析した。
【0149】
図14に示すように、PI−陽性死細胞は、2種類の管、エッペンドルフ管及びFACS管を用いて類似の効率を有する300nm及び500nmの両方の粒子により枯渇した。より高いIMAB6抗体の濃度に結合した300nmの粒子が、最も効率的に機能した。大抵の死細胞は、第1の磁気分離の間に枯渇し、第2の枯渇工程では、陰性に選択された集団には、ほとんど影響がない。
【0150】
[実施例13]
[フローサイトメトリーによる生存細胞と死細胞とを分離するためのIMAB6の使用]
約50%が生存で約50%が死んでいるバーキットリンパ腫の細胞の混合体(プロピジウムヨウ化物(PI)の蛍光により評価するように)は、FITCに結合した二次抗体により続いてIMAB6でインキュベートされ、蛍光活性の細胞分類に従った。結果を図15に示す。死細胞のパーセントをIMAB6の陰性細胞の分類の前(58.5%)及び後(4.39%)で示す。これにより、IMAB6は、生存細胞を死細胞から分類するために有効に使用できることを実証する。
【0151】
[実施例14]
[IMAB6の標識化によりアポトーシス細胞から放出される微粒子の検出]
細胞内微粒子(<1μ)は、スタウロスポリンを3時間用いてバーキットリンパ腫の細胞を誘導し、その後、IMAB6/FITCを用いて免疫染色した後に、収集した。細胞から抽出した微粒子(MP)の標識化は、超遠心分離洗浄工程(100,000g、20分)を用いて行った。微粒子は、無血清培養内のスタウロスポリンで処理するBL細胞の3時間のインキュベーション、弱い遠心分離(50g)による細胞の除去及びその後の無細胞上澄みの超遠心分離(100,000g、20分、4℃)により、準備した。微粒子は、蛍光ビーズ標準(ベックマン・コールター(Beckman Coulter)、バッキンガムシャー州、英国)を用いて、100〜1000nmの範囲にあると推定した。結果を図16に示す。上部パネルは、細胞及び微粒子の光散乱特性を示す。下部パネルは、微粒子の選択的ゲーティングを示す。下部左パネルは、光散乱の対数を示し、下部中央パネルは、IMAB6の赤の染色を示し、下部右パネルは、光散乱との関連でのIMAB6の染色の粒子の背景を示し、1μより小さいサイズの微粒子の範囲にわたる標識化を実証する。
【0152】
[実施例15]
[微粒子、ブレブ及びアポトーシス細胞の分離]
IMAB6は、ポリスチレンに吸着し、生存及びアポトーシスのハイブリドーマ細胞の混合体、アポトーシス細胞から抽出したブレブ及び微粒子にさらした。結果を図17に示す。微粒子の「砂」の中のブレブ及びアポトーシス細胞(矢印)に注意されたい。
【0153】
[実施例16]
[生体内のアポトーシス細胞への免疫反応の調整]
バーキットリンパ腫の異種移植片が、非特許文献19に記載されているように、重症複合免疫不全(SCID)マウスに発生し、PBS(制御)又はIMAB6抗体が接種された。その後、アポトーシスのレベル(カスパーゼ−3、TUNEL)及びマクロファージ浸潤(CD68、ガレクチン−3)を、免疫染色の組織切片の形態学的分析により評価した。結果を図18に示す。IMAB6の(1)顕著に増加したアポトーシスのレベル及び(2)顕著に増加したマクロファージ浸潤のレベルの効果に注意されたい。これらの結果の1つの非制限的な解釈は、IMAB6が、強化したマクロファージ浸潤をもたらす腫瘍内のアポトーシス細胞のクリアランスを抑制することである。
【0154】
本明細書で参照した全ての文献は、本明細書に参照することにより組み込まれる。本発明の記載された実施形態の様々な修正及び変更は、本発明の範囲及び精神から逸脱せずに、当業者には明らかであろう。本発明は、特定の好ましい実施形態に関連して説明したが、特許請求の範囲の発明は、このような特定の実施形態に過度に限定すべきでないことを理解すべきである。実際に、当業者に明らかな、本発明を実行するのに説明したモードの様々な修正は、本発明によりカバーされることを意図している。
【技術分野】
【0001】
本発明は、死細胞及び瀕死細胞の検出方法、このような方法に用いる試薬及びこのような試薬の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
アポトーシスは、細胞の陽性常な発達及びホメオスタシスにおける基本的に重要なプロセスである。アポトーシスが多くの病状に関与していることも知られている。例えば、アポトーシス及びアポトーシス経路における欠陥は、癌、心臓病、脳卒中、アルツハイマー病、虚血性疾患及び自己免疫疾患に特に関連すると考えられている。例えば、癌は、増殖速度が増大しない場合でも、アポトーシス経路における欠陥に起因することがある。
【0003】
アポトーシスを誘発できない抗癌剤候補は、臨床効果を低下させる可能性があり、アポトーシスアッセイは薬剤の高スループットスクリーニングのための重要なツールとなっている。アポトーシス調節剤の開発には、アポトーシス細胞及び/又は死細胞の存在を判定するための確固たるアッセイを必要とする。例えば、血液試料又は生検試料のような生体試料におけるアポトーシス細胞及び/又は死細胞の存在を同定及び/又は定量化するのに、従来技術の多数の方法を利用可能であるけれども、これらの各方法には、特有な欠点がある。
【0004】
アポトーシスをアッセイするための方法が従来多数知られている。核酸染色剤は、アポトーシスの間における核の特徴的な分解を活用して、細胞集団内のアポトーシス細胞を同定するのに用いることができるが、この分解が、クロマチンの崩壊と分裂、核膜の分解、及び細胞核のブレブ形成をもたらし、「(細胞の)小核」を形成することになる。
【0005】
従来技術で用いられる他の方法は、例えば、カスパーゼ−3及びカスパーゼ−8のようなアポトーシス経路のエフェクターの活性測定のような、細胞内のプロテアーゼ活性の測定を含む。アポトーシスの特徴は、活性ミトコンドリアの崩壊なので、ミトコンドリア染色剤をアポトーシス細胞の同定のために用いることができる。他のアポトーシスアッセイは、アポトーシス細胞内の変化を測定するために、フリーラジカルのプローブ又はイオン指示薬を用いる。最も一般的に用いられるアポトーシスアッセイの1つは、血管抗凝血剤のアネキシンVの使用に基づくものである。アネキシンVは、ホスファチジルセリンに高親和性を有するリン脂質結合タンパク質である。しかしながら、生存細胞においては、アネキシンVは、ホスファチジルセリンが細胞膜の細胞質面にあるので、ホスファチジルセリンと結合しない。しかし、アポトーシス細胞においては、ホスファチジルセリンは細胞膜の外側表面に外面化されているので、そこで、ホスファチジルセリンはアネキシンVと結合することができる。しかし、アポトーシスの検出のためのアッセイにアネキシンVを用いることには、多くの欠点がある。特に、アネキシンVのホスファチジルセリンへの結合は、Ca2+ に依存するので、アッセイに用いる緩衝液の選択が制限される。これにより、通常、試料をアッセイする前に緩衝液を交換する必要があり、それは時間がかかるだけでなく、細胞に対するストレスを増して、非生存細胞を増大させることになる。
【0006】
抗体ベースの技術は、細胞の検出方法に用いられると同様に、特定試料内の細胞の亜母集団の分離といったような、分離技術も通常用いられる。磁性粒子は、多くの異なる種(ヒト、マウス、ラット、ヒト以外の霊長類など)からの、多系統の生存細胞の集団内における細胞(一般に、リンパ球サブセット、単核白血球、樹枝状細胞、幹細胞、腫瘍細胞など)を分画するために、通常使用される。一般に、分画効率を高めるために、細胞集団の選択は、間接的手段により行われる。すなわち、典型的に1つ以上の一次抗体は、細胞に結合することができ、この抗体が結合された細胞は、二次抗体に結合された、又は一次抗体がビオチニル化されていれば、(ストレプト)アビジンに結合された磁性粒子を用いて引き出される。その上、このような技術は、一般に、少なくとも一部分において、低い非生理的温度で、及び/又は、当面の細胞の生存能力を維持するのに最適な培養地とは組成が異なる緩衝液の存在下で、行なう必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第5,641,870号明細書
【特許文献2】欧州特許第404097号明細書
【特許文献3】国際公開第93/11161号パンフレット
【特許文献4】米国特許第4,816,567号明細書
【特許文献5】米国特許第5,215,927号明細書
【特許文献6】米国特許第5,225,353号明細書
【特許文献7】米国特許第3,773,919号明細書
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Zapata et al., Protein Eng 8(10):1057-1062 [1995]
【非特許文献2】Pluckthun in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies, vol.113, Rosenburg and Moore eds., Springer-Verlag, New York, pp. 269-315 (1994)
【非特許文献3】Hollinger et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90 : 6444-6448 (1993)
【非特許文献4】Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, US Dept of Health and Human Services, Public Health Service, Nat'l Inst, of Health, NIH Publication No. 91-3242, 1991 and online at www.kabatdatabase.com http://immuno.bme.nwu.edu.
【非特許文献5】Morrison et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81 : 6851-6855 (1984)
【非特許文献6】Kohler and Milstein (1975) Nature, 256 :495-499
【非特許文献7】Clackson et al. (1991 ) Nature, 352: 624-628
【非特許文献8】Marks et al. (1992) Bio/ Technology, 10: 779-783
【非特許文献9】Antibodies: A Laboratory Manual, eds. Harlow et al., Cold Spring Harbor Laboratory, 1988
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【非特許文献12】Gram et al, 1992, P.N.A.S. 89 3576-3580
【非特許文献13】Barbas et al 1991 PNAS 3809-3813
【非特許文献14】Scier 1996 J MoI Biol 263 551- 567
【非特許文献15】Current Protocols in Molecular Biology, 5th ed.,Ausubel et al. eds., John Wiley & Sons, 2005
【非特許文献16】Molecular Cloning: a Laboratory Manual: 3<rd> edition Sambrook et al., Cold Spring Harbor Laboratory Press, 2001
【非特許文献17】Remington: the Science and Practice of Pharmacy, 21<st> edition, Gennaro AR, etal, eds., Lippincott Williams & Wilkins, 2005.
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【非特許文献19】Ogden et al (2005) J. Immunol. 174, 3015
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、試料内における非生存細胞の存在を検出するために用いることができる更なるアッセイ、例えば、特に、最適培養条件のような細胞の生理的条件を最小の摂動で用いることができる(摂動は生存能力を低下させるから)技術に対する、従来の技術のいくつかの課題を克服する高スループットのアッセイ及び単純な分離技術で使用できるアッセイが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、死細胞及び瀕死の細胞に選択的に結合し、選択的に結合するために、(例えばアネキシンVを用いる現在既知の方法により必要とされるような)非生理学的温度又は高いカルシウム濃度を必要としない検出可能試薬を特定した。さらに、本発明者は、細胞が培養で典型的に維持されるような、実質的な生理学的条件下で用いることができる、単純で新規な細胞分離技術を開発した。実施例で示すように、本発明者は、自身で驚いたことに、アポトーシス細胞成分又は死細胞成分のエピトープ向けの抗体が、生理学的条件下の試料内の他の細胞又は細胞成分から、そのような細胞成分又は細胞を分離するために、高効率で直接用いることができることを実証した。
【0011】
従って、本発明の第1の実施態様では、試料から標的細胞又は細胞成分を分離する方法を提供し、当該方法が、前記試料を、前記標的細胞又は細胞成分に特に結合する抗体分子と接触させる工程と、 前記抗体分子が前記標的細胞と複合体を形成することを可能にする工程と、前記試料から前記複合体を分離する工程と、を含み、前記分離する工程は、生理学的条件下で実施可能である。
【0012】
一実施態様では、前記抗体分子が前記標的細胞と複合体を形成することを可能にする工程は、生理学的条件下で実施される。
【0013】
本発明の文脈では、「生理学的条件」は、30〜45℃の範囲、例えば、35〜41℃の範囲の温度を言う。
【0014】
多くの従来の分離技術−例えば、アネキシンVを利用する方法−は、例えば2.3mMよりも大きい例えばカルシウム濃度のような、非常に特別な条件を必要とする。なお、このような従来の分離技術に対して、本発明の方法は、最小のCa2+又は自由なCa2+が無いことを含む広いカルシウム濃度の範囲で行うことができ、この条件は、細胞分離で基本的問題である細胞の凝集を最小にする。一実施態様では、「生理学的」の用語は、さらに、例えば2.0mMの2.3mMよりも小さいカルシウム濃度、又は、例えば1mMの1.5mMよりも小さいカルシウム濃度を言う。一実施態様では、本方法は、例えば、1.8〜2.2mMの範囲のカルシウムの生理学的に通常のレベルで行われる。
【0015】
別の実施態様では、本方法は、例えば、2mMの自由なCa2+を本質的にキレートする濃度で、EDTAのようなカルシウムキレート剤の存在下で行われる。
【0016】
さらに、本発明者が驚いたことに、死細胞成分又は全細胞を試料から分離するためのこのような抗体ベースの技術は、例えば、二次抗体又はストレプト(アビジン)のような二次タンパク質のような二次結合部分を必要とせずに、効率的に行うことができることが分かった。一般的に、今まで、生存細胞又は生存細胞成分の異なるサブタイプの分離に主として限定してきた抗体ベースの細胞分離技術は、二次抗体の使用を必要とするものであった。典型的に、標的細胞は一次抗体により結合され、その後の分離工程は、二次抗体の捕捉を含み、又は、一次抗体が、例えばビオチンの標識を付ける場合、例えば、ストレプト(アビジン)のような捕捉部分の捕捉を含む。実施例で説明するように、本発明者は、本発明の第1の実施態様の方法を用いて、瀕死細胞、死細胞、又は、瀕死細胞若しくは死細胞からの成分を、二次抗体又は実際に例えばビオチンの標識を付けた一次抗体を使用する必要がなく、試料から分離することができることを示した。本発明者は、磁気ビーズに直接結合した一次抗体が、試料内の標的死細胞成分を効率的に結合し、磁界を加えることにより、そのような細胞又は細胞成分を試料から分離するために用いることができることを示した。実際に、実施例で示すように、テストされる抗体に関して、本発明者が非常に驚いたことに、このような「直接の」技術は、生存細胞分離技術に従来適用されたような、一次抗体及び二次抗体システムを用いる分離の効率より大きくなくとも、実質的に等しかった。
【0017】
従って、本発明の一実施態様では、分離工程は、二次結合部分の使用を含まない。
【0018】
このような実施態様では、本発明で用いるための抗体分子は、複合体として、分離を可能にする基質を設ける。このような基質は、磁性粒子又は磁気ビーズにすることができる。他の実施態様では、基質は、固体の基質であり、コラム分離技術で用いるような場合、ポリスチレンのビーズ等である。抗体は、従来の方法を用いて、このような基質に結合することができる。
【0019】
本発明の特別の実施態様では、抗体分子は、例えば、磁気ビーズのような磁性粒子に結合する。
【0020】
例えば、Miltenyiのようないくつかの従来の技術のシステムは、二次抗体又はストレプトアビジンを時々用いないで、細胞集団の効率的な陽性(効率的な陰性ではないけれども)選択を可能にする非常に小さいビーズ(100nm未満)を用いるけれども、このようなシステムは、磁気分離を仲介するために、高勾配磁界(HGMF)を必要とする。典型的に、細胞分離のための高勾配磁界は、0.6〜1テスラの範囲の強力な磁界が加えられる鋼線のコラム(細胞懸濁液がコラムを通過する)を用いて、発生される。
【0021】
本発明者は、そのようなシステムと大いに異なって、本発明は、直接陰性選択により生存細胞の高効率分離を達成するために用いることができることを驚きをもって示した。さらに、本発明は、ビーズを用いて高効率陰性選択を達成するために用いることができ、ビーズは、単純磁界、すなわち高勾配磁界の必要はない、により分離するために、十分に高い超常磁性である。
【0022】
従って、本発明の一実施態様では、分離工程は、従来の磁界を用いて、すなわち高勾配磁界がない場合で、行うことができる。従来の磁界は、任意の従来の磁石を用いて発生することができる。使用できる従来の磁石の例は、StemCell TechnologiesからのEasySep磁石(カタログ番号18000)及びAdemtechからのAdem-Mag SV(カタログ番号20101)磁石を含む。
【0023】
一実施態様では、本方法は、直径が、例えば250nmを超える、150nmを超えるような、125nmを超える磁気ビーズ又は磁性粒子を用いて行う。しかしながら、従来の磁石を用いて分離することができるより小さい磁気ビーズ又は磁性粒子も用いることができる。例えば、約40nmのサイズの超常磁性のビーズが従来技術として既知であり、本発明の1つ以上の実施態様で用いることができる。
【0024】
本発明で使用のための抗体分子は、例えば、IgM(免疫グロブリンM)、IgE(免疫グロブリンE)、IgA(免疫グロブリンA)又はIgG(免疫グロブリンG)のような任意の免疫グロブリンクラスにすることができる。本発明の特別の一実施態様では、抗体分子は、IgM抗体である。
【0025】
本発明者は、IgM抗体が、例えば、二次抗体のような二次結合部分を必要とせずに、細胞又は細胞成分の亜母集団を混合母集団から分離するのに特別の効率を示すことを見出した。このようなIgM抗体分子を用いて観察した驚くべき効率的な分離は、生存細胞又はその成分を細胞の集団から分離すること、及び、非生存細胞又はその成分を生存細胞及び非生存細胞又はそれらの成分の混合集団から分離することにおいて、それらの使用を可能にする。
【0026】
従って、本発明の第2の独立の実施態様では、試料から標的細胞又は細胞成分を分離する方法を提供し、当該方法が、前記試料を、前記標的細胞又は細胞成分を特異的に結合するIgM抗体分子と接触させる工程と、前記IgM抗体分子が前記標的細胞と複合体を形成することを可能にする工程と、前記試料から前記複合体を分離する工程と、を含み、前記分離する工程は二次結合部分の使用を含まない。
【0027】
一実施態様では、前記方法は、温度及び/又はカルシウム濃度の生理学的条件下で行われる。
【0028】
本発明者は、磁気ビーズに直接接合した抗体分子を、試料内の標的抗原を結合するために用いることができ、磁界を加えることにより、抗原が存在するそのような標的細胞又は細胞成分を他の試料成分から分離するために用いることができることを示した。
【0029】
本発明の第1又は第2の実施態様では、抗体分子は、例えば死細胞又はアポトーシス細胞である非生存細胞の細胞又は細胞成分に対する結合特異性を有する分子である。このような実施態様では、本発明の方法は、そのような細胞を細胞集団から除去するのに用いることができる。従って、本発明の一実施態様では、前記標的細胞は、非生存細胞であり、且つ前記方法は、生存細胞から非生存細胞又はその細胞成分を分離する方法である。
【0030】
実施例で説明するように、本発明者は、アポトーシス細胞又は死細胞のエピトープに対する結合特異性を有する新規な抗体を開発した。本明細書でIMAB6と呼ぶ抗体を産生するハイブリドーマ細胞株は、仮受託番号07120410で2007年12月4日にECACCに預託された。
【0031】
本発明者は、死細胞にさらされるが、アポトーシス無傷細胞を含む無傷細胞にさらされないエピトープに対する結合特異性を有する新規な抗体をさらに開発した。本明細書でIMAB7と呼ぶ抗体を産生するハイブリドーマ細胞株は、仮受託番号07120410で2007年12月4日にECACCに預託された。
【0032】
いずれか1つの理論に限定されることなく、IMAB6及びIMAB7は、両方共、ホスファチジルセリンの異なるエピトープに対する結合特異性を有し、IMAB6が結合するエピトープは、細胞がアポトーシスであるか又は溶解させられている場合のみ、細胞外にあるホスファチジルセリンの一部に存在し、IMAB7が結合するエピトープは、細胞内にあり、従って溶解後のみにさらされるホスファチジルセリンの一部に存在する。
【0033】
本発明の方法の一実施態様では、抗体分子はIMAB6である。別の実施態様では、抗体分子はIMAB7である。実際に、このような抗体は、本発明の第3及び第4の独立の実施態様を表わす。
【0034】
本発明の抗体の提供は、死細胞及び瀕死細胞にも選択的に結合する関連する抗体及び抗体分子の開発を可能にする。
【0035】
本発明の第3の実施態様が含むのは、死細胞及びアポトーシス細胞に対する結合特異性を有する抗体分子であり、前記抗体分子は、受託番号第07120409号でECACCに預託された細胞株から得ることができるIMAB6抗体分子の1つ以上のCDRL1、CDRL2、CDRL3、CDRH1、CDRH2及びCDRH3を含む。本発明の特別の実施態様では、前記抗体分子は、受託番号第07120409号でECACCに預託された細胞株から得ることができるIMAB6抗体分子の(i)CDRL1、CDRL2及びCDRL3、及び/又は(ii)CDRH1、CDRH2及びCDRH3を含む。
【0036】
本発明の第4の実施態様が含むのは、死細胞及びアポトーシス細胞に対する結合特異性を有する抗体分子であり、前記抗体分子は、受託番号第07120410号でECACCに預託された細胞株から得ることができるIMAB7抗体分子の1つ以上のCDRL1、CDRL2、CDRL3、CDRH1、CDRH2及びCDRH3を含む。本発明の特別の実施態様では、前記抗体分子は、受託番号第07120410号でECACCに預託された細胞株から得ることができるIMAB7抗体分子の(i)CDRL1、CDRL2及びCDRL3、及び/又は(ii)CDRH1、CDRH2及びCDRH3を含む。
【0037】
本発明のこの一実施態様では、抗体分子は、IgM分子である。しかしながら、抗体は、任意のクラスにすることができ、従ってIgG、IgE、IgA又はIgMにすることができる。
【0038】
本発明の抗体は、アポトーシス細胞、死細胞又は死細胞成分を試料から分離する任意の方法に用いることができる。従って、本発明の第5の実施態様では、試料から標的細胞又は細胞成分を分離する方法を提供する。当該方法は、前記試料を、本発明の第3又は第4の実施態様の抗体分子と接触させる工程と、前記抗体分子が前記標的細胞又はその細胞成分と複合体を形成することを可能にする工程と、前記試料から前記複合体を分離する工程と、を含み、前記標的細胞又はその細胞成分は非生存細胞又はその細胞成分である。
【0039】
本発明の方法及び抗体は、死細胞を生存細胞から分離することを可能にすることにより、例えば、細胞培養において生存細胞の数を最大に確保するために、細胞集団の濃縮における特別の有用性を見出す。抗体は、実質的に生理学的条件、特に、生理学的温度で使用できるため、培養における細胞の濃縮において特別の有用性を見出す。死細胞を除去するために、通常の生理学的条件に摂動を与える不利がないので、細胞培養中の細胞は、最適条件下で維持することができる。
【0040】
従って、本発明の第6の実施態様では、試料中の細胞集団を濃縮する方法を提供し、当該方法が、本発明の第1、第2又は第5の実施態様の方法を用いて、前記試料からの標的細胞の除去を含む。
【0041】
細胞の分離において有用性が見出されると共に、本発明の抗体は、単純な検出技術で用いることもできる。上記のように、IMAB6は、死細胞及びアポトーシス細胞の両方を結合する非生存細胞に対する特異性を有することが見出されたが、一方、IMAB7は、死細胞のみに対する結合選択性を有する。
【0042】
従って、本発明の第7の実施態様は、生体試料中の非生存細胞又はその細胞成分を検出する方法を提供し、当該方法が、前記試料を、本発明の第3又は第4の実施態様の抗体分子と接触させる工程と、前記非生存細胞又はその細胞成分への前記抗体分子の結合を検出する工程と、を含む。
【0043】
死細胞及びアポトーシス細胞の両方を同定する必要がある場合、本発明の第3の実施態様の抗体を使用することができる。多くの状況において、例えば、死細胞及びアポトーシス細胞のような生存細胞の異なるタイプ間で区別する必要はない。
【0044】
しかしながら、いくつかの実施態様では、このような細胞間で区別することは有用であり得る。従って、本発明の第7の好ましい実施態様では、当該方法が、溶解を受けた細胞とアポトーシスを起こしていない細胞とを区別する工程をさらに含む。
【0045】
既知の技術である溶解を受けた細胞とアポトーシスを起こしていない細胞とを区別する任意の適切な方法を用いることができる。例えば、溶解した細胞の検出可能マーカーを用いることができる。一実施態様では、検出可能マーカーはプロピジウムヨー化物である。使用できる他の検出可能マーカーは、例えば、エチジウムホモ二量体-1、7-アミノアクチノマイシンD、TO-PRO-3ヨー化物(全て分子プローブ(Molecular Probe)から利用可能)のような、細胞非透過性のエチジウム薬剤を含む。
【0046】
代替として又は追加として、検出可能マーカーは、溶解した細胞に結合できる抗体分子を含むことができる。
【0047】
本発明の特別の実施態様では、死細胞のみ検出したい場合、本発明の第4の実施態様による抗体分子を用いることができる。
【0048】
抗体IMAB6及びIMAB7の特別な利点は、各々、結合後の固化を存続するのに十分に強いことである。典型的に、抗体ベースの技術のようなアポトーシス標準染色技術の研究において、典型的に、アネキシンVとプロピジウムヨウ化物との組み合わせは、固化に適していなくて、それゆえに、標識化後の試料の即時の分析を必要とする。しかしながら、対照的に、抗体IMAB6及びIMAB7は強く、付着される細胞及び細胞成分との結合は、固化により破壊されない。これは、細胞試料がその後の分析のために保存される点において特に有利である。細胞分析方法において、固化、すなわち、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド等のような架橋試薬による保存が望ましいことが多い。例えば、アネキシンVは高Ca緩衝剤の存在下でのみ、結合する必要があり、結合したままであるため、アネキシンV/プロピジウムヨウ化物の標識化後の試料は、新しいうちに分析する必要があり、固化プロセスは生存細胞が染料に対して透過性になることに導くことが多いため、プロピジウムヨウ化物の標識化は固定試料に対して誤った方向に導く。
【0049】
従って、本発明の特別の実施態様では、本発明で使用の及び使用のための抗体分子は、非生存細胞に結合することができ、ホルムアルデヒドを用いて固化状態に持ちこたえることができる。
【0050】
ある高悪性度の悪性腫瘍では、アポトーシスによる細胞死は、頻繁に起きる。宿主の免疫細胞(マクロファージ)は、アポトーシス細胞を取り込み、抗炎症性及び免疫抑制反応を引き出すために、これらの腫瘍に対し補充されて、抗癌免疫攻撃から腫瘍を保護する。本発明者の実験室からの研究によれば、アポトーシス細胞に対する抗体は、腫瘍のマクロファージ反応を抗炎症性(癌擁護)から炎症性擁護(抗癌)へ切り替える潜在能力を有することを示した。この点において、本発明の抗体は、治療法の潜在能力を有し、腫瘍内の細胞死を目標とし、抗癌免疫を促進するために用いることができる。
【0051】
従って、本発明の抗体は、アポトーシス細胞及び死細胞に特異的に結合することにより、このような細胞に対する免疫反応を増強するために、用いることができる。
【0052】
従って、本発明の第8の実施態様では、アポトーシス細胞又は死細胞に対する免疫反応を増強する方法を提供し、該方法は、前記細胞への本発明の第3の実施態様の抗体分子又は本発明の第4の実施態様の抗体分子の投与を含む。
【0053】
免疫反応を増強することにより、抗体は、例えば、炎症性病状のような多くの病状の治療での使用を見出すことができ、その場合、炎症性部位又は腫瘍にマクロファージの浸潤を増強することが望ましい。抗体は、創傷の治癒を増強するのにも有用であり得る。
【0054】
従って、本発明の第9の実施態様では、披験者の炎症性疾患を治療する方法を提供し、該方法は、前記披験者に本発明の第3又は第4の実施態様の抗体分子を投与することを含む。
【0055】
本発明の第10の実施態様では、披験者の癌を治療する方法を提供し、該方法は、前記披験者に本発明の第3又は第4の実施態様の抗体分子を投与することを含む。
【0056】
本発明の第11の実施態様では、披験者の創傷を治療し、又は創傷の治癒を促進する方法を提供し、該方法は、前記創傷に本発明の第3又は第4の実施態様の抗体分子を投与することを含む。
【0057】
本発明の第12の実施態様では、本発明の第3又は第4の実施態様の抗体分子を含む、医薬組成物を提供する。
【0058】
本発明の第13の実施態様では、医薬に用いる本発明の第3又は第4の実施態様の抗体分子を提供する。
【0059】
本発明の第14の実施態様では、炎症性疾患の治療に用いる本発明の第3又は第4の実施態様の抗体分子を提供する。
【0060】
本発明の第15の実施態様では、癌の治療に用いる本発明の第3又は第4の実施態様の抗体分子を提供する。
【0061】
本発明の第16の実施態様では、創傷の治療に用いる本発明の第3又は第4の実施態様の抗体分子を提供する。
【0062】
本発明の第8から第16のいずれか1つの実施態様では、抗体分子は、本発明の第3の実施態様の抗体分子である。
【0063】
本発明の第17の実施態様では、受託番号第07120409号でECACCに預託されたハイブリドーマ細胞株を提供する。
【0064】
本発明の第18の実施態様では、受託番号第07120410号でECACCに預託されたハイブリドーマ細胞株を提供する。
【0065】
本発明の第19の実施態様では、本発明の第3又は第4の実施態様の抗体分子をコードする核酸分子を提供する。
【0066】
本発明の第20の実施態様は、生体試料中のアポトーシス細胞を検出するためのキットを含み、当該キットが、
(i)本発明の第3の実施態様の抗体分子と、
(ii)溶解を受けた細胞の検出可能マーカー、又は、本発明の第4の実施態様の抗体分子のいずれかを、選択的に含む。
【0067】
本発明の第20の一実施態様では、当該キットは、抗体を標識化するための標識をさらに含む。
【0068】
本発明の各実施態様の好ましい及び代替の特徴は、文脈上他の意味に解すべき場合を除き、変更すべきところは変更して他の実施態様の各々に対するものとしてである。
【0069】
[詳細な説明]
[抗体分子]
本発明の文脈において、抗体分子は別の分子に対して結合特異性を有する分子である。抗体分子は、免疫グロブリン又はその一部、又は抗体結合ドメインであるか若しくは抗体結合ドメインと同種の結合ドメインを含む任意のポリペプチドのことを言うと理解すべきである。特異抗体分子は、限定はされないが、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、単一特異性抗体、多特異性抗体、及びそれらの抗体フラグメント、及び別のポリペプチドに融合した免疫グロブリン結合ドメインを含むキメラ抗体を含む。抗体擬態物も抗体分子に含まれる。抗体分子は無傷抗体又はそのフラグメントとすることができる。
【0070】
無傷抗体は、H鎖及びL鎖から成り、各々がそれぞれVH及びVLで示される可変領域を担持する免疫グロブリン分子を含む。可変領域は、3つの相補性決定領域(超可変領域としても知られるCDR)及び4つのフレームワーク領域(FR)又は骨格領域から成る。CDRは、抗原分子と相補性立体構造を形成し、抗体の特異性を決定する。
【0071】
抗体フラグメントは、無傷抗体の結合能力を保有することができ、無傷抗体の代わりに使用できる。従って、本発明の目的のため、文脈上他の意味に解すべき場合を除き、用語「抗体分子」は抗体フラグメントを含むと解釈すべきである。抗体フラグメントの例は、Fab, Fab’, F(ab’)2, Fd, dAb, 及びFvフラグメント, scFvs, 二重特異性scFvs,ダイアボディ(diabodies)、線形抗体(特許文献1の実施例2;非特許文献1を参照)、単鎖抗体分子、及び抗体フラグメントから形成される多特異性抗体を含む。
【0072】
Fabフラグメントは、VH及びCH1と共に全L鎖(VL及びCL)から成る。Fab’ フラグメントは、抗体ヒンジ領域からの1つ以上のシステインを含む、CH1ドメインのカルボキシ末端に追加のいくつかの残基を有することにより、Fabフラグメントと異なる。F(ab’)2フラグメントは、2つのジスルフィド結合のFabフラグメントを含む。
【0073】
Fdフラグメントは、VHドメイン及びCH1ドメインから成る。
【0074】
Fvフラグメントは、単一抗体のVL及びVHドメインから成る。
【0075】
単鎖Fvフラグメントは、scFvが抗原結合部位を形成できるようにするリンカーによりつながれたVHドメイン及びVLドメインを含む抗体フラグメントである(非特許文献2を参照)。
【0076】
ダイアボディは、Vドメインを鎖間ではなくて鎖内に対形成させて、多価のフラグメント、すなわち、2つの抗原−結合部位を有するフラグメントが得られるように、VHドメインとVLドメインとの間に短いリンカー(約5〜10の残基)を有する、scFvフラグメント(前段落を参照)を構成することにより調製される小形の抗体フラグメントである(例えば、特許文献2、特許文献3及び非特許文献3を参照)。
【0077】
フラグメントにはさらに、個々のCDRも含まれる。
【0078】
上記のように、本発明において使用の及び使用のための抗体分子は、IMAB6又はIMAB7の抗体に限定されず、アポトーシス細胞又は死細胞又はそれらの細胞成分に結合する能力を維持するが、生存細胞に結合しない他の抗体分子にも拡張される。
【0079】
従って、本発明の第3の態様の実施形態では、抗体分子は、死細胞及びアポトーシス細胞に対して結合特異性を有する抗体分子であって、該抗体分子は、Seq ID No:1又はその変異型と、Seq ID No:2又はその変異型と、Seq ID No:3又はその変異型とからなるグループから選択したアミノ酸配列を有するCDRの少なくとも1つ、及び/又はSeq ID No:4又はその変異型と、Seq ID No:5又はその変異型と、Seq ID No:6又はその変異型とからなるグループから選択したアミノ酸配列を有するCDRの少なくとも1つを含む抗原結合ドメインを含む。
【0080】
Seq ID No:1〜6に対応するアミノ酸配列は、以下のとおりである。
Seq ID No: 1:
T G Y T F S S Y W I E
Seq ID No: 2:
E I L P G S G S T N Y N E K F K G
Seq ID No: 3:
G G T A R A T H Y A M D Y
Seq ID No: 4:
K A S Q S V S N D V A
Seq ID No: 5:
Y A S N R Y T
Seq ID No: 6:
Q Q D Y S S P Y T
【0081】
抗体分子は、Seq ID No:1と、Seq ID No:2と、Seq ID No:3とからなるグループから選択したアミノ酸配列を有するCDRの少なくとも1つ、及び/又はSeq ID No:4と、Seq ID No:5と、Seq ID No:6とからなるアミノ酸配列を有するCDRの少なくとも1つを含む抗原結合ドメインを含むことができる。
【0082】
抗体分子は、Seq ID No:1と、Seq ID No:2と、Seq ID No:3とからなるグループから選択したアミノ酸配列を有するCDRの少なくとも1つ、及びSeq ID No:4と、Seq ID No:5と、Seq ID No:6とからなるアミノ酸配列を有するCDRの少なくとも1つを含む抗原結合ドメインを含むことができる。
【0083】
抗体分子は、Seq ID No:1と、Seq ID No:2と、Seq ID No:3とからなるグループから選択したアミノ酸配列を有するCDRの少なくとも2つ、及び/又はSeq ID No:4と、Seq ID No:5と、Seq ID No:6とからなるアミノ酸配列を有するCDRの少なくとも2つを含む抗原結合ドメインを含むことができる。
【0084】
抗原結合ドメインは、抗体VHドメイン及び抗体VLドメインを含むことができる。このような実施形態では、抗体VHドメインは、Seq ID No:1と、Seq ID No:2と、Seq ID No:3とからなるグループから選択したアミノ酸配列を有するCDRの少なくとも1つを含み、抗体VLドメインは、Seq ID No:4と、Seq ID No:5と、Seq ID No:6とからなるアミノ酸配列を有するCDRの少なくとも1つを含むことができる。一実施形態では、抗体VHドメインは、CDR1、2及び3としてそれぞれアミノ酸配列Seq ID No:1、Seq ID No:2及びSeq ID No:3を有するCDRを含むことができる。
【0085】
一実施形態では、抗体VHドメインは、アミノ酸配列Seq ID No:7を有する。抗体VLドメインは、CDR1、2及び3としてそれぞれアミノ酸配列Seq ID No:4、Seq ID No:5及びSeq ID No:6を有するCDRを含むことができる。
【0086】
本発明の第3の態様の一実施形態では、抗体VLドメインは、アミノ酸配列Seq ID No:8を有することができる。一実施形態では、第3の態様の抗体分子は、受託番号第07120409号でECACCに預託された細胞株から得ることができるIMAB6抗体分子である。
【0087】
Seq ID No:7及び8に対応するアミノ酸配列は、以下のとおりである。
Seq ID No: 7:
QVQLQQSGAELMKPGASVKISCKATGYTFSSYWIEWVKQRPGHGLEWIGEILPGSGSTNYNEKFKGKATFTADTSSNTAYMQLSSLTSEDSAVYYCARGGTARATHYAMDYWGQGTSVTVSS
Seq ID No: 8:
DIVITQTPKFLLVSAGDRVTITCKASQSVSNDVAWYQQKPGQSPKLLIYYASNRYTGVPDRFTGSGYGTDF TFTISTVQAEDLAVYFCQQDYSSPYTFGGGTKLEIKR
【0088】
既知の抗体のCDRを決定することは、当業者にとって、いつものことであり、従って、本明細書で提供されるように、IMAB7抗体を用いて、これらの抗体のCDRを容易に同定することができる。
【0089】
一実施形態では、抗体分子は、IMAB7抗体のL鎖のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を有するCDR(すなわち、CDRL1、CDRL2、CDRL3)のうちの少なくとも1つ、例えば、少なくとも2つか、又は3つ全てを含む抗原結合ドメインを含む。
【0090】
一実施形態では、抗体分子は、IMAB7抗体のH鎖のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を有するCDR(すなわち、CDRH1、CDRH2、CDRH3)のうちの少なくとも1つ、例えば、少なくとも2つか、又は3つの全てを含む抗原結合ドメインを含む。
【0091】
一実施形態では、抗体分子は、IMAB7のCDRL1、CDRL2及びCDRL3のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を有するCDRのうちの少なくとも1つ、例えば、2つの又は3つのCDRを有する抗体VLドメインを含み、又は、抗体VHドメインは、IMAB7のCDRH1、CDRH2及びCDRH3のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を有する少なくとも1つの、例えば、2つの又は3つのCDRを有する。
【0092】
一実施形態では、抗体VLドメインは、IMAB7の抗体VLドメインに相当し、及び/又は、抗体VHドメインは、IMAB7の抗体VHドメインを含む。
【0093】
一実施形態では、抗体分子は、抗体VHドメイン、抗体VLドメイン又は両方を含む。
【0094】
1つ以上のアミノ酸残基が変更されるこのような抗体のCDRのアミノ酸配列は、CDR配列として用いることもできる。CDRの変異型のアミノ酸配列において変更されるアミノ酸残基は、全CDRの内で、好ましくは30%以下であり、より好ましくは20%以下であり、最も好ましくは10%以下である。このような変異型は、本出願及び既知の技術の教示を用いて提供することができる。CDRは、抗体のH鎖又はL鎖の配列又はそれらの一部を含むフレームワーク構造内に担持することができる。好ましくは、このようなCDRは、自然発生のVHドメイン及びVLドメインのCDRの位置に相当する位置に位置付ける。このようなCDRの位置は、非特許文献4に説明されているように、決定することができる。
【0095】
さらに、変更は、可変領域のフレームワーク領域(FR)に対して代替的に又は追加的に行うことができる。フレームワーク領域(FR)内でのこのような変更は、抗体の安定性を向上し、抗体の免疫原性を減らすことができる。
【0096】
本発明で使用の及び使用のための抗体は、「キメラ」抗体を含み、キメラ抗体内で、H鎖及び/又はL鎖の部分は、特定種から導かれた抗体又は特定の抗体のクラス若しくはサブクラスに属する抗体における相当する配列と同一又は同種であり、一方、鎖の残余は、所望の生物活性を示す限りそのような抗体フラグメントと同様に、別の種から導かれた抗体又は別の抗体のクラス若しくはサブクラスに属する抗体における相当する配列と同一又は同種である(特許文献4及び非特許文献5を参照)。ここで対象とするキメラ抗体は、非ヒトの霊長類(例えば、旧世界ザル、類人猿など)及びヒト定常領域配列から導かれる可変領域の抗原結合配列を含む「霊長類化」抗体を含む。
【0097】
[抗体の生産]
上で論じたように、IMAB6抗体及びIMAB7抗体を生産するハイブリドーマは、それぞれ受託番号第07120409号及び第07120410号で2007年12月4日にECACCに預託された。本発明で使用の及び使用のための他の抗体分子は、天然に又は合成的に任意の適切な方法で生産することができる。このような方法は、例えば、従来のハイブリドーマ技術(非特許文献6)、組み換えDNA技術(例えば、特許文献4を参照)又は抗体ライブラリを用いるファージ提示技術(例えば、非特許文献7及び非特許文献8を参照)を含むことができる。他の抗体生産技術は非特許文献9に説明されている。
【0098】
従来のハイブリドーマ技術は、抗原を結合できるリンパ球の生産を導き出すために、典型的には、マウス又は他の動物の免疫付与に抗原を関係させる。リンパ球は、単離されて、骨髄腫細胞株と融合して、ハイブリドーマ細胞を形成して、それから、ハイブリドーマ細胞は、親の骨髄腫細胞の成長を抑制するが、ハイブリドーマ細胞を生産する抗体の成長を可能にする条件下で培養される。ハイブリドーマは、生産される抗体の結合特異性を変更したり、しなかったりする場合もある、遺伝子の突然変異の影響を受ける可能性がある。合成抗体は、既知の技術を用いて作ることができる(例えば、非特許文献10及び非特許文献11を参照)。
【0099】
抗体分子のVH、VL又はCDRにおいて、又は実際にはフレームワーク領域(FR)において、既知の任意の適切な技術を用いて、変更をすることができる。例えば、可変VHドメイン及び/又は可変VLドメインは、CDR、例えばCDR3を、そのようなCDRを欠くVHドメイン又はVLドメインに導入することにより、作ることができる。非特許文献8は、シャッフリング技術を説明しており、そのシャッフリング技術において、CDR3を欠くVH可変ドメインのレパートリーが生成されて、それから、新規なVH領域を作る特別な抗体のCDR3に結合される。類似の技術を用いて、本発明のCDRが生成された配列を含む新規なVHドメイン及びVLドメインを作ることができる。
【0100】
従って、本発明で使用するための抗体分子は以下の工程(a)〜(e)を備える方法によって生産することができる。
(a)可変ドメインをコードする核酸の開始レパートリーを提供する工程であって、前記可変ドメインは、置換すべきCDR1、CDR2又はCDR3を含み、又は、核酸は、そのようなCDRのコード領域を欠く工程。
(b)前記レパートリーを、Seq ID No:1,2,3,4,5又は6として本明細書に示すような配列を有するアミノ酸配列をコードするドナー核酸と結合して、可変ドメインをコードする核酸の生成物レパートリーを提供するために、ドナー核酸を、レパートリー内のCDR領域に挿入する工程。
(c)生成物レパートリーの核酸を発現する工程。
(d)アポトーシス細胞又は死細胞に特有な特異的抗原結合フラグメントを選択する工程。
(e)特異的抗原結合フラグメント又はそれをコードする核酸を回収する工程。
【0101】
本発明の変異型抗体を生産する代替技術は、例えば、変異性PCR(非特許文献12を参照)を用いて、VHドメイン又はVLドメインをコードするランダム突然変異遺伝子を含むことができる。追加的に又は代替的に、CDRは、例えば、非特許文献13及び非特許文献14により説明された分子進化的手法を用いて、突然変異生成の標的にすることができる。
【0102】
このような変異型を生産して、抗体及びフラグメントは、所望の活性、例えば、非生存のアポトーシス細胞及び/又は死細胞を選択的に結合する能力に対して、テストすることができる。
【0103】
いくつかの実施形態で、本発明の抗体は標識化することができる。使用できる標識は、放射性標識、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリ性ホスファターゼ又はビオチンのような酵素標識を含む。本発明で用いる検出可能な試薬は、技術的に任意の適切な方法を用いて検出することができる。例えば、一実施形態で、試薬は、試薬特有の抗体を用いて検出することができる。別の実施形態で、試薬は標識化することができる。任意の適切な標識を用いることができる。例えば、使用できる標識は、フェリチン、ビオチン、アビジン、ストレプトアビジン及びそれらの誘導体のようなタンパク質に限定されることなく、例えばフルオレセインのような蛍光マーカー、125I、131I、32P、又は35Sのような放射性標識、アルコールデヒドロゲナーゼ、ペルオキシダーゼ又はアルカリ性ホスファターゼのような酵素、エバンスブルー又はクマシーブリリアントブルーのような染料、検出可能な金属又は検出可能な免疫グロブリンを含む。
【0104】
核酸
一実施形態で、本発明は、本発明の抗体をコードする核酸分子を提供する。本発明の及び本発明用の核酸は、DNA又はRNAを含むことができる。核酸は、組み換え技術により、合成的に、又は標準技術を用いるクローニングを含めて技術的に利用可能な任意の手段により、生産することができる。
【0105】
核酸は、任意の適切なベクターに挿入することができる。本発明の核酸を含むベクターは、本発明のさらなる態様を形成する。一実施形態で、ベクターは発現ベクターであり、核酸は、宿主細胞内に核酸を発現させることができる制御配列に動作可能にリンクされる。様々なベクターを用いることができる。例えば、適切なベクターは、例えばワクシニアウイルス、アデノウイルス、バキュロウイルスのようなウイルス、酵母ベクター、ファージ、染色体、人工染色体、プラスミド又はコスミドDNAを含むことができる。
【0106】
ベクターは、本発明の核酸を宿主細胞内に導入するために、用いることができる。多種多様の宿主細胞を本発明の核酸の発現のために用いることができる。本発明用の適切な宿主細胞は、原核細胞又は真核細胞とすることができる。それらは、例えば、大腸菌、酵母菌のような細菌、昆虫細胞及び哺乳類細胞を含む。使用できる哺乳類細胞株は、チャイニーズハムスター卵巣細胞、ベビーハムスター腎臓細胞、NS0骨髄腫細胞、サル細胞株、ヒト細胞株、それらの派生物及び他の多くのものを含む。
【0107】
遺伝子産物の発現を調整し、遺伝子産物を組み換え、及び/又は遺伝子産物を特殊に処理する宿主細胞株を使用することができる。このような処理は、グリコシル化、ユビキチン化、ジスルフィド結合形成及び一般的翻訳後修飾を含むことができる。
【0108】
従って、本発明は、また、本発明の1つ以上の核酸、又はベクターを含む宿主細胞を提供する。
【0109】
本発明には、また、本発明の抗体分子の生産方法も含み、その方法は、核酸からの抗体分子の発現が起きる条件下で、本発明の核酸を含む宿主細胞を培養すること、及び、抗体分子を随意単離及び/又は純化することを含む。
【0110】
例えば核酸構築物の調製のような核酸の操作、突然変異生成、シークエンシング、DNAの細胞への導入及び遺伝子の発現、並びにタンパク質の解析のための既知の技術及びプロトコルに関するさらなる詳細については、例えば、非特許文献15及び非特許文献16を参照されたい。
【0111】
分離法
上記のように、本発明は、細胞又は細胞成分を、細胞培養調合液、血液、血清又は任意の他の生体試料のような試料から分離する方法を含む。このような方法において、本発明の及び本発明用の抗体分子は、一旦標的細胞又は標的細胞成分に結合された抗体分子の分離を可能にするために、基質に共役させることができる。
【0112】
固定化技術又は分離技術で用いることができる任意の適切な固体基質を使用することができる。このような基質は、ビーズ、シート、粒子、膜などの形状にすることができる。一実施形態において、基質は、結合能力を高めるために、特別の材料から作られる。本発明の特別の実施形態において、抗体分子は、磁性粒子又は磁性ビーズに共役させる。このような磁性粒子又は磁性ビーズは、磁界を加えることにより、試料から容易に分離することができる。
【0113】
それらの抗体及びフラグメントは、既知の適切な技術を用いて、磁性粒子のような基質に結合することができる。結合は、直接的に又は間接的にすることができる。一実施形態において、抗体は、例えば、基質上にある官能基により、基質に共有結合させることができる。このような官能基は、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基又はアルデヒド基を含むことができる。
【0114】
使用できる特別の方法は、抗体をスルホニルエステルを有する基質に結合することを含む。スルホニルエステルは、抗体上で、アミノ基又は−SH基と反応して、CH2−NH又はCH2−S−を生み出す。抗体を基質に結合する別の方法は、基質上にカルボキシル基を供給することであり、カルボジイミド及びN−ヒドロキシスルホスクシンイミドと共に活性化することにより、支持体(基質)と抗体との間にアミノ結合を形成する。アミノ基を含む支持体は、グルタルアルデヒドを用いて活性化することができて、抗体のアミノ基と共有結合を形成する。
【0115】
上記のように、本発明の特別な実施形態において、抗体は、標的細胞又は標的細胞成分と接触させられて、二次抗体を必要とせずに、分離される。このような実施形態において、抗体は、標的細胞又は標的細胞成分と接触する前に、基質に結合することができる。代替の実施形態において、標的細胞又は標的細胞成分に結合する抗体は、二次抗体により、又は、任意の抗体がビオチンで標識される場合、実際には、(ストレプト)アビジンのような結合パートナーにより、分離することができる。
【0116】
本発明の方法は、陽性細胞選択又は陰性細胞選択のために用いることができる。陽性細胞選択では、関心のある細胞が結合されて、試料から除去される。対照的に、陰性細胞選択では、瀕死細胞若しくは死細胞又は瀕死細胞若しくは死細胞からの実成分のような汚染細胞が、試料から除去される。
【0117】
上記のように、本発明の特別な実施形態は、試料内の生存細胞の数を最適化するために、細胞培養試料のような細胞試料に対し、死細胞、瀕死細胞又はアポトーシス細胞の除去に関する。従って、本発明の方法は、細胞培養の高質化戦略に用いることができる。特別な実施形態において、本発明は、非生存細胞及びその成分の除去により、細胞培養の質を高めるために磁性活性化細胞選別法を含む。
【0118】
状況次第で、特別な陽性選択プロトコルでは、結合細胞(又は細胞成分)を抗体分子から分離することが所望される。このような分離を達成するためのいくつかの技術は、周知である。このような技術は、例えば、機械技術であり得(例えば、特許文献5及び特許文献6を参照)、又は、例えば、パパイン若しくはキモパパインを用いる酵素技術であり得る。
【0119】
治療
「治療」とは、ヒト又はヒト以外の動物に利益をもたらすことができる任意の養生法を含む。治療は、既存の状態に関することもあり、又は予防(予防的措置)でもあり得る。治療は、治療効果、軽減効果又は予防効果を含むことができる。
【0120】
「癌の治療」は、癌性増殖及び/又は血管新生により引き起こされる病気の治療を含み、かつ、腫瘍性成長又は腫瘍の治療を含む。本発明を用いて治療することができる腫瘍の例は、例えば、骨肉腫及び軟部組織肉腫を含む非上皮性悪性腫瘍、例えば乳癌、肺癌、膀胱癌、甲状腺癌、前立腺癌、結腸癌、直腸癌、膵臓癌、胃癌、肝臓癌、子宮癌、子宮頸部癌及び卵巣癌の上皮性悪性腫瘍、非小細胞肺癌、肝細胞癌、ホジキンリンパ腫及び非ホジキンリンパ腫を含むリンパ腫、神経芽細胞腫、黒色腫、骨髄腫、腎芽細胞腫、急性リンパ性白血病及び急性骨髄芽球性白血病を含む白血病、星状細胞腫、神経膠腫、及び網膜芽細胞腫である。
【0121】
本発明が利用法を見つける炎症性疾患は、限定はされないが、腹膜炎、関節炎、胸膜炎、肺線維症、全身性硬化症及び慢性閉塞性肺疾患(COPD)のような炎症性疾患を含む。本発明が有用な他の疾患は、炎症性肺疾患、アトピー性皮膚炎、NERDS(結節、好酸球増多症、リウマチ、皮膚炎及び腫脹)、肺線維症、炎症性腸疾患(IBD)、多発動脈炎及びヴェーゲナー肉芽腫症を含む脈管炎肉芽腫性疾患、サルコイド、特発性肺線維症、自己免疫疾患、好酸球性肺炎、心筋梗塞による再かん流傷害、アテローム、糸球体腎炎、関節リウマチ及び痛風を含む。
【0122】
[医薬組成物]
本発明による、及び、本発明で用いる医薬組成物は、活性成分に加えて、医薬品として許容できる賦形剤、キャリア、緩衝安定剤、又は他の当業者に周知の物質を含むことができる(例えば、非特許文献17を参照)。このような物質は、アセテート、トリス、リン酸塩、クエン酸塩及び他の有機酸のような緩衝剤;抗酸化物質;防腐剤;血清アルブミン、ゼラチン又は免疫グロブリンのようなタンパク質;ポリビニルピロリドンのような親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、又はリジンのようなアミノ酸;炭水化物;キレート剤;強壮剤及び界面活性剤を含むことができる。
【0123】
医薬組成物は、特定の適応症に必要であるとして選択され、好ましくは、本発明の医薬組成物の活性に悪影響を与えない相補的な活性を有する1つ以上のさらなる活性化合物も含むことができる。活性成分は、ミクロスフェア、マイクロカプセルリポソーム、他の微粒子送達システムにより投与することができる。例えば、活性成分は、マイクロカプセル内に封入することができ、マイクロカプセルは、例えば、液滴形成技術又は界面重合法により調製することができ、例えば、コロイド状薬剤送達システム(例えば、リポソーム、アルブミン小球体、マイクロエマルジョン、ナノ粒子及びナノカプセル)内に、又は、マクロエマルジョン内に、それぞれ、ヒドロキシ・メチルセルロース、又は、ゼラチンマイクロカプセル及びポリ(メチルメタクリル酸塩)−マイクロカプセルを封入し得る。詳細は、非特許文献17を参照されたい。
【0124】
徐放性製剤を、活性薬剤の送達のために用いることができる。徐放性製剤の適切な例は、抗体を含む固体の疎水性ポリマーによる半透過性の基質を含み、その基質は、例えば、フィルム、坐薬又はマイクロカプセルのような造形品の形である。徐放性基質の例は、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリル酸塩)又はポリ(ビニルアルコール))、ポリラクチド(特許文献7)、L−グルタミン酸及びL−グルタミン酸塩の共重合体、非分解性のエチレン−ビニルアセテート、分解性乳酸−グリコール酸共重合体、及びポリ−D−(−)−3−ヒドロキシ酪酸を含む。
【0125】
投与量
本発明の、及び、本発明で用いる抗体は、必要に応じて、個人に利益を示すのに十分な「治療に有効な量」で個人に適切に投与される。実際の投与レジメンは、治療される疾患、疾患の重症度、治療される患者、用いる薬剤を含む多数の要因に応じ、医師の裁量下にある。
【0126】
本発明は、以下の限定しない実施例でさらに説明する。以下の添付図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0127】
【図1】スタウロスポリンによるアポトーシスの誘導後のPI−陰性のBL細胞にIMAB6及びIMAB7の区別を示す標識を付けることを例示する図である。
【図2】光散乱及びPI蛍光アッセイを用いる ‘生存’BL細胞又は死BL細胞の識別を例示する図である。
【図3】スタウロスポリンによるアポトーシスの誘導後のPI−陰性(アポトーシス細胞)及びPI−陽性(死細胞)のBL細胞にIMAB6及びIMAB7の区別を示す標識を付けることを例示する図である。
【図4】スタウロスポリンによるアポトーシスの誘導後の‘生存’細胞光散乱区域及び死細胞光散乱区域にIMAB6及びIMAB7の区別を示す標識を付けることを例示する図である。
【図5】スタウロスポリンを用いて、BL細胞でのアポトーシスの誘導後の‘生存’細胞光散乱区域での、アポトーシス細胞の徐々の出現を例示する図である。
【図6】冷凍保存後に、BL細胞でのアポトーシスの誘導後の‘生存’細胞光散乱区域での、アポトーシス細胞の徐々の出現を例示する図である。
【図7】アポトーシスの胸腺細胞についてのアネキシンVとIMAB6との同程度の反応性を例示する図である。
【図8】PI−陰性のアポトーシスのBL細胞についてのアネキシンVとIMAB6との同程度の反応性を例示する図である。
【図9】IMAB6及びIMAB7が、リン脂質ホスファチジルセリン(PS)及びホスファチジルグリセロール(PG)と反応することを例示する図である。
【図10A】IMAB6に結合した磁性粒子による、死細胞の直接の枯渇を例示し、3つの異なる方法により死細胞を枯渇した細胞の試料における、トリパンブルー(trypan blue)の染色で陽性の細胞の割合を例示する棒グラフの図である。
【図10B】IMAB6に結合した磁性粒子による、死細胞の直接の枯渇を例示し、図10Aと同じ方法を用いて、死細胞を枯渇した後の細胞の試料における、FACSにより評価した死細胞の割合を例示する図である。
【図11】死細胞の枯渇のための細胞と磁性粒子との相互作用は、試料の回転により改善されないことを例示する図である。
【図12】37℃で完全な培養基でのIMAB6に結合した磁性粒子によるBL死細胞の効率的な枯渇を例示する図である。
【図13】37℃で完全な培養基でのIMAB6に結合した磁性粒子によるBL死細胞の効率的な枯渇の相互作用の時間の効果を例示する図である。
【図14】IMAB6に結合した300nm及び500nmの磁性粒子によるBL培養からの直接の死細胞の枯渇を例示する図である。
【図15】フローサイトメトリーによる生存細胞と死細胞とを分離するためのIMAB6の使用を実証するための実験結果を例示する図である。
【図16】IMAB6の標識化によりアポトーシス細胞から放出される微粒子の検出を例示する図である。
【図17】微粒子、ブレブ及びアポトーシス細胞の分離を例示する図である。
【図18】IMAB6が生体内のアポトーシス細胞への免疫反応を調整することを例示する図である。
【図19】IMAB6のH鎖の可変(V)領域の核酸及びアミノ酸の配列を例示し、CDRH1,CDRH2及びCDRH3を示す図である。
【図20】IMAB6のL鎖の可変(V)領域及び固定領域の核酸及びアミノ酸の配列を例示し、CDRH1,CDRH2及びCDRH3を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0128】
[1.MAB6及びIMAB7は、アポトーシスを起こしている細胞の異なるエピトープを認識して、生存細胞と、アポトーシス細胞と、死細胞とを見分ける]
IMAB6及びIMAB7のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを、当業者に標準的な手続きを用いて、BALB/cマウスの免疫付与及び免疫脾臓細胞とNS0骨髄腫細胞との融合により生成した。抗体のイソタイプは、どちらの場合にもIgM(免疫グロブリンM)とした。
【0129】
[実施例1]
ヒトのバーキットリンパ腫(BL)細胞株BL2を誘導して、プロテインキナーゼ阻害剤である、スタウロスポリン(1μM)で30分〜4時間の指示時間(図1)の間、37℃での刺激によって、アポトーシスを迅速且つ同時に起こさせた。スタウロスポリンは、多くの細胞型において周知のアポトーシス誘導剤である(同一の機構により誘導されたアポトーシスBL細胞にアネキシンVが結合することの実証は後を参照)。次に、細胞を採取して、標準の処理により、IMAB6又はIMAB7の抗体で標識化した。これらの抗体は、10%のウシ胎仔血清(FCS)を含んでいるRPMI1640培地で培養するIMAB6又はIMAB7のハイブリドーマ培養の無細胞の上澄み製剤から調合した。IMAB6は、セントリプラス(Centriplus)限外ろ過装置(ミリポア(Millipore)、MWカットオフ100,000kDa)を用いて濃縮した。IMAB7は、硫酸アンモニウムの沈殿により調合されて、その後にリン酸緩衝食塩水(PBS、Ca2+及びMg2+がない)に対する透析が続く。抗体(40μl)は、BL2細胞(5×105)に加えられて4℃で30分間インキュベートされた。細胞は、5%の陽性常ヤギ血清(NGS)を含むPBS内で洗浄されて、その後、40μlの二次抗体(ヤギ抗マウスIgG(免疫グロブリンG)(全分子)フルオレセインイソチオシアネート(FITC)共役(GAM)、シグマ、PBS/5% NGS内で1:25)内で、4℃でさらに15分間インキュベートされた。PBS/5% NGS内でさらに洗浄後、細胞は、プロピジウムヨウ化物を含む同一の緩衝剤(PI、シグマ、0.8μg/ml)で再懸濁されて、当業者に標準の手続きを用いて、ベックマン・コールター(Beckman Coulter)XLフロー血球計算器でアッセイされた。
【0130】
図1は、スタウロスポリン治療後、指示時間でのPIが陰性(すなわち、細胞膜の完全性を保つ)である染色した細胞調合液の蛍光ヒストグラムを示す。GAM(赤のヒストグラム)は、背景標識を示す。ほとんどすべての細胞は、スタウロスポリンの刺激後、3時間でIMAB6は確実に染色されるが、一方、IMAB7は、この時間では、どの細胞も標識を付けられない。
【0131】
追加のフローサイトメトリーアッセイ(図3及び4)は、IMAB7が陽性常細胞膜を保つ細胞に結合することができないのに、この抗体が溶解した細胞に結合することを示す(これは、インビトロのアポトーシスプログラムの遅発性の特徴である)。フローサイトメトリーは、光散乱パラメータを用いて染色しない調合液で、死BL細胞と生存BL細胞又はアポトーシスBL細胞との識別を可能にすることは、以前に実証されている(非特許文献18)。これを例示するために、図2は、BL細胞が、前方への及び側方への光散乱に基づき、死細胞又は‘生存’細胞を表わす細胞集団区域に分割することができることを実証する(図2の左のパネル)。PI蛍光アッセイは、死細胞の区域に収まる細胞はPI−陽性であり、一方、‘生存’細胞の区域に収まる細胞はPI−陰性である(図2の右のパネル)。実際には、‘生存’細胞は、真の生存細胞かそれとも瀕死細胞を含み、瀕死細胞は、アポトーシスに達しているが、細胞膜の完全性を保っている細胞である。このような瀕死細胞は、アネキシンVかそれともIMAB6(IMAB7ではない)を用いて視覚化することができる。
【0132】
[実施例2]
スタウロスポリン治療後、3時間でのPI−陰性及びPI−陽性のBL細胞集団を比較する。これらの細胞の蛍光ヒストグラムは、PI−陽性(死細胞)及び‘生存’細胞の区域PI−陰性(アポトーシス細胞、瀕死細胞)は共にIMAB6の標識を付けるが、一方、PI−陽性はIMAB7の標識を付けるが、PI−陰性はIMAB7の標識を付けない。
【0133】
これらの結果は、図4で確認されるが、同じスタウロスポリン治療の細胞のIMAB6/7の標識特性は、光散乱の特徴によりアッセイされる。図示するように、死細胞の区域及び‘生存’細胞の区域(この場合、主に、アポトーシス細胞)は共にIMAB6の標識を付けるが、一方、死細胞の区域はIMAB7の標識を付けるが、‘生存’細胞の区域はIMAB7の標識を付けない。
【0134】
まとめると、これらの結果は、IMAB6及びIMAB7が、瀕死(アポトーシス)細胞及び死細胞の異なるエピトープに結合し、これらの抗体が(1)生存細胞、(2)瀕死細胞、及び(3)死細胞を区別するために、用いることができることを実証する。
【0135】
[2.IMAB6は、異なる種での多数の刺激により誘導されたアポトーシスの段階をモニターするために用いることができ、アネキシンVと同じ細胞に標識を付ける]
[実施例3]
図5は、上記のように、スタウロスポリンで刺激され、IMAB6の標識を付けられたBL2細胞を示す。この場合、結合したIMAB6は、ヤギ抗マウスIgG(免疫グロブリンG)(全分子)フィコエリトリン共役(シグマ、PBSで1:25/5%NGS)を二次抗体として用いて、可視化する。この実験は、‘生存’細胞の光散乱区域で、0時間での約5%から、1時間での26%を経て、3時間での95%を超えるまで、アポトーシス細胞の徐々の出現を実証する。
【0136】
[実施例4]
図6では、冷凍保存後の解凍に続いて、BL細胞においてアポトーシスが誘発された。5%ジメチル・スルホキシド(DMSO)を含むFCSで懸濁されたBL2細胞は、1分当たり約1℃の割合の標準手続きの後に、−80℃に冷凍された。その後、細胞は、37℃で急速に解凍され、DMSOを除去するために、洗浄され、培地(2mMのL−グルタミン酸及び10%のFCSを含むRPMI1640)に再懸濁された。指示された時間に、細胞は、上記のように、IMAB6の標識を付けられて、フローサイトメトリーによりアッセイされた。図6に示すように、‘生存’細胞の光散乱区域での、アポトーシス細胞の徐々の出現は、死細胞の区域での、死細胞のかなりの数の出現の前に、IMAB6の標識を付けることにより、明らかにされる。
【0137】
[実施例5]
BL2細胞は、B細胞由来のヒト腫瘍細胞株である。図7は、IMAB6がアポトーシスの主マウス胸腺細胞も結合し、その反応性は、(a)ヒト細胞、(b)悪性細胞、(c)細胞株、又は(d)B系統細胞に制限されない。胸腺は、BALB/cマウスから注意深く解剖されて、胸腺細胞の懸濁は、2つのガラスの顕微鏡スライドの冷凍した両端間で器官をすりつぶした後、標準手続きにより分離された。胸腺細胞は、デキサメタゾン(100nM)を用いる一晩中のインキュベーションによりアポトーシスを起こすように誘導された。胸腺細胞は、その後、(1)上記のように、IMAB6及びFITC共役GAMの標識を付けられるか、又は(2)製造業者の指示により、FITC共役アネキシンV(ベンダー(Bender))の標識を付けられて、アネキシンV共役は、アネキシンV結合段階中に及び後に2.5mM Ca2+の常駐を必要とする(注記:上記の標識化方法により実証されたように、IMAB6は、アネキシンVの場合のように、標識化される細胞への結合されるIMAB6の標識化プロセスかそれともメンテナンスにおいて、Ca2+に対するこのような要求を有しない。)。図7に示すように、標識化される細胞のフローサイトメトリーの分析は、胸腺細胞についてのアネキシンVとIMAB6との同程度の反応性(青のヒストグラム)を明らかにする。赤のヒストグラムは、背景の蛍光を示す(アネキシンVの場合は、標識化されない胸腺細胞であり、IMAB6の場合は、二次抗体のみにさらされた胸腺細胞である。)。
【0138】
[実施例6]
図8は、IMAB6がアネキシンVと同程度の反応性を有することを、さらに、実証する。この実験シリーズで、BL2細胞は、スタウロスポリンを用いてアポトーシスに誘導されて、IMAB6/FITCかそれともアネキシンV/FITCで標識化され、さらに、フローサイトメトリーにより説明され分析される方法を用いてプロピジウムヨウ化物で標識化される。プロピジウムヨウ化物の染色がない場合のアネキシンVでの標識化は、アポトーシスを評価するために一般的に使用される。図8は、スタウロスポリンによる刺激後、様々な時間でのIMAB6の陽性細胞の%(黒色)及びアネキシンVの陽性細胞の%(市松模様)で、アポトーシスを起こしているPI陰性細胞について、アネキシンV及びIMAB6の反応性を比較する。その結果は、IMAB6の反応性が、アネキシンVの反応性に近似しており、抗体が、経時変化の初期段階の間、わずかにより反応しやすく見えることを実証する。
【0139】
[3.IMAB6及びIMAB7は、リン脂質に結合する]
[実施例7]
IMAB6の特異性は、標準的アプローチを用いて、ELISAでリン脂質に対してテストした。手短に、ELISAプレートの源泉は、リン脂質(a)ホスファチジルセリン(PS)、(b)ホスファチジルグリセロール(PG)又は(c)PSとPGとの組み合わせでコーティングした。リン脂質ストック(クロロホルムの中で1mM)は、100μg/mlに希釈し、50μlアリコートは、ELISAプレートの源泉の中で室温で蒸発乾固した。源泉は、0.3%のゼラチンを含む100μlPBSを用いて、2時間、魚の皮(シグマ)からブロックし、3XPBSを用いて洗浄し、その後、各々PBS/ゼラチン内で1:10に希釈された50μlのIMAB6又はIMAB7に、1時間、37℃でさらした。IMAB6及びIMAB7の抗体は、セリーヌ(Celline)バイオリアクター(インテグラ(Integra)、IMAB6)か、それとも、加熱不活性化したFCSが補充されたRPMIの中の組織培養瓶(IMAB7)かの、どちらかで成長する、対応のハイブリドーマ細胞の無細胞の上澄みであった。PBS内でさらに3回洗浄した後、源泉は、ヤギ抗マウスIgM(免疫グロブリンM)-ペルオキシダーゼ抗体共役(シグマ、PBS/ゼラチン内で1:1000)にさらに1時間、37℃でさらした。3XPBS洗浄後、源泉は、ペルオキシダーゼ基質(SIGMAFAST(登録商標)OPD(o-フェニレンジアミン二塩酸塩、シグマ)を用いて、35分間、室温でインキュベートし、H2SO4でブロックし、Anthos 96-源泉プレートリーダーを用いて492nmで読み取る。図9に示すように、IMAB6及びIMAB7は、PS及びPG両方共と反応する。このアッセイでは、リン脂質を受け入れないが、別の方法で同等に処理される源泉から、背景の吸光度値を記録した。IMAB6抗体の調合液を用いて達成したより高い吸光度値は、通常の培養瓶からよりも、セリーヌ(Celline)バイオリアクターから得られる、より高い抗体力価のためである。フローサイトメトリーのデータを考え合わせて、細胞についてではなく、ELISAにおいて同一の反応性であるため、これらの結果は、IMAB6及びIMAB7が、アポトーシスの間、細胞に異なってさらされるPS及び/又はPGに異なるエピトープを指定することを実証する。
【0140】
[4.IMAB6は、死細胞を直接の枯渇により有効に除去するために、超常磁性の粒子に直接結合することができる]
[実施例8]
ヒトのB細胞株、BL2から死細胞を奪う以下の3つの方法がある。
方法1:磁石上の瀕死/死細胞を枯渇するために、ヤギ抗マウス免疫グロブリン(GAM)に結合した300nmの超常磁性の粒子を用いた分離に続いて、モノクロナール抗体IMAB6の標識を瀕死の細胞及び死細胞に第一に付ける方法。
方法2:IMAB6に結合した300nmの超常磁性の粒子を直接結合し、それから、磁石上の瀕死/死細胞を枯渇する方法。
方法3:Ficoll-Paque上の標準密度勾配の遠心分離による方法。
各々の方法に対して、分離後、枯渇した試料を、PBS内で0.2%のトリパンブルー(trypan blue)を用いて染色し、試料中にとどまる死細胞の割合を顕微鏡によって評価した。並列の試料は、死細胞を上記のように、光散乱特性により規定して、フロー血球計算器(XL、ベックマン・コールター(Beckman Coulter))を用いてテストした(非特許文献18)。結果を図10に示す。
【0141】
カルボキシル活性化した300nmの超常磁性の粒子(Ademtech, Pessac, France)は、その粒子の製造業者の指示により、EDC(1-エチル-3-[3-ジメチルアミノプロピル])カルボジイミド塩酸塩、Pierce, Rockford IL)を用いて、IMAB6(単独で、又は牛ラクトフェリン(LF)の存在下で、)か、それとも、ヤギ抗マウス免疫グロブリン(シグマ、Aldrich, UK)のどちらかに結合した。磁気分離のために、細胞(100μl、7.5×107/ml)は、−標識されていないか、それとも、洗浄後に、30分間、4℃でIMAB6抗体の標識を事前に付けるかのどちらかであるが、−0.5%ウシ血清アルブミン(BSA)を有するPBS(Ca2+及びMg2+が含まれていない)及び0.1mgのGAM結合又はIMAB6結合の磁性粒子を含む2mM EDTA(「マグセップ(Magsep)緩衝剤」)で再懸濁し、1.5mlエッペンドルフ管で4℃30分間、弱い回転でインキュベートした。細胞及び粒子は、その後、0.5ml PBS/BSA/EDTA(マグセップ(Magsep)緩衝剤)で穏やかに再懸濁し、エッペンドルフ管を磁石上に4分間、置いて(Ademtech, Adem-Mag SV)、その後、懸濁液中の細胞を除去し、上記のように、生死判別試験を行った。Ficoll-PaquePLUS(Amersham)上の密度勾配の分離を、製造業者の指示により、行った。
【0142】
図10A及び図10Bの両方から理解できるように、300nmの超常磁性の粒子に直接結合したIMAB6抗体は、最初の試料から死細胞を非常に有効に除去し、その効率は、標準密度勾配の遠心分離による方法(方法3)とほぼ同様である。相互作用/分離の緩衝剤中のEDTAの存在は、このシステムにおける効率的な死細胞の枯渇が、Ca2+を必要としないことを実証する。
【0143】
本実施例では、方法1(細胞にIMAB6の標識を事前に付けて、GAMに結合した磁性粒子を用いて磁気枯渇を試みる方法)は、二次抗体の磁性粒子への非効率的な結合のため、失敗した可能性がある。方法1の試料の死細胞の明らかにより大きい数は、重要ではない。本実施例は、IMAB6を用いる間接的方法が、必然的に非効率的であることを証明せず、強化した粒子の結合により、改善できることが可能である。本実施例は、直接的方法が、非常に効率的であることを明白に証明する。IMAB6と共のLFの存在は、死細胞の枯渇において、粒子の有効性を改善することができなかった。
【0144】
[実施例9]
IMAB6に結合した磁性粒子による、死細胞の直接の枯渇には、磁石を用いての枯渇工程の前に、粒子と死細胞との間の効率的な相互作用を必要とする。本実施例において、定常状態下、又は弱い回転での細胞と粒子との共同でインキュベートする効果を実証する。細胞及び粒子は、いくつかの修正をして実施例8と同様に取り扱った。修正は以下の通りである:相互作用/分離の緩衝剤は、上記のように、PBS/BSA/EDTAマグセップ(Magsep)緩衝剤であり、細胞は5×107/mlであり、0.05mgのIMAB6に結合した300nmの粒子との相互作用は、静圧管の中でか、それとも連続する弱い回転のどちらかで、4℃で10、20又は40分間、行われた。死細胞は、上記のように、トリパンブルー(trypan blue)が陽性であるとして、顕微鏡によって数え上げた。図11に示すように、回転は、死細胞の枯渇において、効率を促進することができなかった。実際、細胞の回転は、生死判別にマイナスの効果があった(少しのビーズ試料も、静的かそれとも完全に40分間のローターのどちらかでも、インキュベートされなかった。)。
【0145】
[5.インビトロの生理的条件下でIMAB6に結合した磁性粒子を用いる、死細胞の直接の枯渇]
[実施例10]
本実施例では、IMAB6に結合した粒子による直接の死細胞の枯渇についての環境条件を変える効果を実証する。具体的に言うと、温度と緩衝剤培養基の両方共、変える。方法論は、以前の例で少し修正して説明したものと大まかに似ている。手短に、BL細胞(5×107/ml)は、マグセップ(Magsep)緩衝剤又は完全なBL培養基(図12のBL培養基:10%FCSが補充されたRPMI)における、0.05mgのIMAB6に結合した300nmの粒子を有する静的1.5ml管の中で、45分間、4℃、室温(RT)又は37℃でインキュベートした。ビーズのない制御細胞は、37℃でインキュベートした。磁石上の分離の後(4−5分)、陰性に選択された細胞は、0.8μg/ml PIで標識化後、PI陽性細胞のフローサイトメトリーによる分析に従った。
【0146】
図12に示すように、マグセップ(Magsep)緩衝剤(黒の棒)において、死細胞の枯渇(PI−陽性細胞の減少)の効率のわずかな変化のみ、温度の変化により得られた。しかしながら、細胞が完全なBL培養基(市松模様の棒)での枯渇工程に従う際、最適な状態は、生理学的温度37℃で達成した。これらの結果は、死細胞が、完全な培養基において最適な生理学的状態でIMAB6に結合した粒子により、細胞培養から直接、効率的に枯渇することができることを実証する。
【0147】
[実施例11]
さらに、図13に示すように、前の実施例で説明した同一の方法論を用いた、37℃での完全なBL培養基における細胞と磁性粒子との相互作用の時間変化は、磁気分離の前に40〜60分の相互作用の時間を選ぶ場合、最適な効率に近づくことを示した。
【0148】
[実施例12]
本実施例では、(a)2つの磁性粒子のサイズを比較し、(b)粒子結合反応におけるIMAB6抗体の濃度の効果をテストし、(c)2つの順次的な磁気分離工程の効果を実証する。方法論は、300nm及び500nmの両方のカルボキシル活性粒子(Ademtech)のバッチを、第1の結合反応の2倍のIMAB6抗体の濃度を受ける第2の結合反応を有する各サイズの粒子に対する2つの結合反応で用いたことを除いて、上記の実施例で説明したものと類似である。バッチは、図14において、300/1、300/2、500/1及び500/2で区別する。37℃で40分間の完全な培養基における粒子と共に共同でインキュベートされたBL細胞と共に、試料につき0.1mgの粒子を用いて、相互作用/分離の2つのモードを比較した。第1のモードは、上記実施例で説明したように、アデムテック(Ademtech)磁石(Adem-Mag SV)の中の1.5mlポリプロピレンのエッペンドルフ管の中であり、第2のモードは、イージーセップ(EasySep)磁石を用いるシステムセルテクノロジー(SystenCell Technologies)により提供される汎用磁気細胞分離プロトコルに続いて、12×75mm Falcon 2052 FACS管(Becton Dickinson)の中であった。各々の場合に、細胞をPIで染色し、1〜2回の磁気分離後に、フローサイトメトリーにより分析した。
【0149】
図14に示すように、PI−陽性死細胞は、2種類の管、エッペンドルフ管及びFACS管を用いて類似の効率を有する300nm及び500nmの両方の粒子により枯渇した。より高いIMAB6抗体の濃度に結合した300nmの粒子が、最も効率的に機能した。大抵の死細胞は、第1の磁気分離の間に枯渇し、第2の枯渇工程では、陰性に選択された集団には、ほとんど影響がない。
【0150】
[実施例13]
[フローサイトメトリーによる生存細胞と死細胞とを分離するためのIMAB6の使用]
約50%が生存で約50%が死んでいるバーキットリンパ腫の細胞の混合体(プロピジウムヨウ化物(PI)の蛍光により評価するように)は、FITCに結合した二次抗体により続いてIMAB6でインキュベートされ、蛍光活性の細胞分類に従った。結果を図15に示す。死細胞のパーセントをIMAB6の陰性細胞の分類の前(58.5%)及び後(4.39%)で示す。これにより、IMAB6は、生存細胞を死細胞から分類するために有効に使用できることを実証する。
【0151】
[実施例14]
[IMAB6の標識化によりアポトーシス細胞から放出される微粒子の検出]
細胞内微粒子(<1μ)は、スタウロスポリンを3時間用いてバーキットリンパ腫の細胞を誘導し、その後、IMAB6/FITCを用いて免疫染色した後に、収集した。細胞から抽出した微粒子(MP)の標識化は、超遠心分離洗浄工程(100,000g、20分)を用いて行った。微粒子は、無血清培養内のスタウロスポリンで処理するBL細胞の3時間のインキュベーション、弱い遠心分離(50g)による細胞の除去及びその後の無細胞上澄みの超遠心分離(100,000g、20分、4℃)により、準備した。微粒子は、蛍光ビーズ標準(ベックマン・コールター(Beckman Coulter)、バッキンガムシャー州、英国)を用いて、100〜1000nmの範囲にあると推定した。結果を図16に示す。上部パネルは、細胞及び微粒子の光散乱特性を示す。下部パネルは、微粒子の選択的ゲーティングを示す。下部左パネルは、光散乱の対数を示し、下部中央パネルは、IMAB6の赤の染色を示し、下部右パネルは、光散乱との関連でのIMAB6の染色の粒子の背景を示し、1μより小さいサイズの微粒子の範囲にわたる標識化を実証する。
【0152】
[実施例15]
[微粒子、ブレブ及びアポトーシス細胞の分離]
IMAB6は、ポリスチレンに吸着し、生存及びアポトーシスのハイブリドーマ細胞の混合体、アポトーシス細胞から抽出したブレブ及び微粒子にさらした。結果を図17に示す。微粒子の「砂」の中のブレブ及びアポトーシス細胞(矢印)に注意されたい。
【0153】
[実施例16]
[生体内のアポトーシス細胞への免疫反応の調整]
バーキットリンパ腫の異種移植片が、非特許文献19に記載されているように、重症複合免疫不全(SCID)マウスに発生し、PBS(制御)又はIMAB6抗体が接種された。その後、アポトーシスのレベル(カスパーゼ−3、TUNEL)及びマクロファージ浸潤(CD68、ガレクチン−3)を、免疫染色の組織切片の形態学的分析により評価した。結果を図18に示す。IMAB6の(1)顕著に増加したアポトーシスのレベル及び(2)顕著に増加したマクロファージ浸潤のレベルの効果に注意されたい。これらの結果の1つの非制限的な解釈は、IMAB6が、強化したマクロファージ浸潤をもたらす腫瘍内のアポトーシス細胞のクリアランスを抑制することである。
【0154】
本明細書で参照した全ての文献は、本明細書に参照することにより組み込まれる。本発明の記載された実施形態の様々な修正及び変更は、本発明の範囲及び精神から逸脱せずに、当業者には明らかであろう。本発明は、特定の好ましい実施形態に関連して説明したが、特許請求の範囲の発明は、このような特定の実施形態に過度に限定すべきでないことを理解すべきである。実際に、当業者に明らかな、本発明を実行するのに説明したモードの様々な修正は、本発明によりカバーされることを意図している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
死細胞及びアポトーシス細胞に対して結合特異性を有する抗体分子であって、
該抗体分子は、Seq ID No:1又はその変異型と、Seq ID No:2又はその変異型と、Seq ID No:3又はその変異型とからなるグループから選択したアミノ酸配列を有するCDRの少なくとも1つ、及び/又はSeq ID No:4又はその変異型と、Seq ID No:5又はその変異型と、Seq ID No:6又はその変異型とからなるグループから選択したアミノ酸配列を有するCDRの少なくとも1つを含む抗原結合ドメインを含む、抗体分子。
【請求項2】
前記抗体分子は、Seq ID No:1と、Seq ID No:2と、Seq ID No:3とからなるグループから選択したアミノ酸配列を有するCDRの少なくとも1つ、及び/又はSeq ID No:4と、Seq ID No:5と、Seq ID No:6とからなるグループから選択したアミノ酸配列を有するCDRの少なくとも1つを含む抗原結合ドメインを含む、請求項1に記載の抗体分子。
【請求項3】
前記抗体分子は、Seq ID No:1と、Seq ID No:2と、Seq ID No:3とからなるグループから選択したアミノ酸配列を有するCDRの少なくとも1つ、及びSeq ID No:4と、Seq ID No:5と、Seq ID No:6とからなるグループから選択したアミノ酸配列を有するCDRの少なくとも1つを含む抗原結合ドメインを含む、請求項1又は2に記載の抗体分子。
【請求項4】
前記抗体分子は、Seq ID No:1と、Seq ID No:2と、Seq ID No:3とからなるグループから選択したアミノ酸配列を有するCDRの少なくとも2つ、及び/又はSeq ID No:4と、Seq ID No:5と、Seq ID No:6とからなるグループから選択したアミノ酸配列を有するCDRの少なくとも2つを含む抗原結合ドメインを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の抗体分子。
【請求項5】
前記抗原結合ドメインは、抗体VHドメイン及び抗体VLドメインを含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の抗体分子。
【請求項6】
前記抗体VHドメインは、Seq ID No:1と、Seq ID No:2と、Seq ID No:3とからなるグループから選択したアミノ酸配列を有するCDRの少なくとも1つを含み、前記抗体VLドメインは、Seq ID No:4と、Seq ID No:5と、Seq ID No:6とからなるグループから選択したアミノ酸配列を有するCDRの少なくとも1つを含む、請求項5に記載の抗体分子。
【請求項7】
前記抗体VHドメインは、CDR1、2及び3としてそれぞれアミノ酸配列Seq ID No:1、Seq ID No:2及びSeq ID No:3を有するCDRを含む、請求項5又は6に記載の抗体分子。
【請求項8】
前記抗体VHドメインは、アミノ酸配列Seq ID No:7を有する、請求項7に記載の抗体分子。
【請求項9】
前記抗体VLドメインは、CDR1、2及び3としてそれぞれアミノ酸配列Seq ID No:4、Seq ID No:5及びSeq ID No:6を有するCDRを含む、請求項5〜8のいずれか一項に記載の抗体分子。
【請求項10】
前記抗体VLドメインは、アミノ酸配列Seq ID No:8を有する、請求項9に記載の抗体分子。
【請求項11】
前記抗体分子は、IgM分子である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の抗体分子。
【請求項12】
前記抗体分子は、受託番号第07120409号でECACCに預託された細胞株から得ることができるIMAB6抗体分子である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の抗体分子。
【請求項13】
死細胞に対して結合特異性を有する抗体分子であって、
該抗体分子は、IMAB7抗体分子のCDRL1のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を有するCDRと、IMAB7抗体分子のCDRL2のアミノ酸配列に相当するか、又はその変異型であるアミノ酸配列を有するCDRと、IMAB7抗体分子のCDRL3のアミノ酸配列に相当するか、又はその変異型であるアミノ酸配列を有するCDRと、IMAB7抗体分子のCDRH1のアミノ酸配列に相当するか、又はその変異型であるアミノ酸配列を有するCDRと、IMAB7抗体分子のCDRH2のアミノ酸配列に相当するか、又はその変異型であるアミノ酸配列を有するCDRと、IMAB7抗体分子のCDRH3のアミノ酸配列に相当するか、又はその変異型であるアミノ酸配列を有するCDRとからなるグループから選択した1つ以上のCDRを含み、
前記IMAB7抗体分子は、受託番号第07120409号でECACCに預託された細胞株から得ることができるIMAB7抗体分子である、抗体分子。
【請求項14】
前記抗体分子は、前記CDRL1のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を有するCDRと、前記CDRL2のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を有するCDRと、前記CDRL3のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を有するCDRとからなるグループから選択した少なくとも1つのCDR、及び/又は前記CDRH1のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を有するCDRと、前記CDRH2のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を有するCDRと、前記CDRH3のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を有するCDRとからなるグループから選択した少なくとも1つのCDRを含む抗原結合ドメインを含む、請求項13に記載の抗体分子。
【請求項15】
前記抗体分子は、前記CDRL1のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を有するCDRと、前記CDRL2のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を有するCDRと、前記CDRL3のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を有するCDRとからなるグループから選択した少なくとも1つのCDR、及び前記CDRH1のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を有するCDRと、前記CDRH2のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を有するCDRと、前記CDRH3のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を有するCDRとからなるグループから選択したCDRを含む抗原結合ドメインを含む、請求項13又は14に記載の抗体分子。
【請求項16】
前記抗体分子は、前記CDRL1のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を有するCDRと、前記CDRL2のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を有するCDRと、前記CDRL3のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を有するCDRとからなるグループから選択した少なくとも2つのCDR、及び/又は前記CDRH1のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を有するCDRと、前記CDRH2のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を有するCDRと、前記CDRH3のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を有するCDRとからなるグループから選択した少なくとも2つのCDRを含む抗原結合ドメインを含む、請求項13〜15のいずれか一項に記載の抗体分子。
【請求項17】
前記抗原結合ドメインは、抗体VHドメイン及び抗体VLドメインを含む、請求項13〜16のいずれか一項に記載の抗体分子。
【請求項18】
前記抗体VLドメインは、前記CDRL1のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を有するCDRと、前記CDRL2のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を有するCDRと、前記CDRL3のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を有するCDRとからなるグループから選択した少なくとも1つのCDRを含み、且つ前記抗体VHドメインは、前記CDRH1のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を有するCDRと、前記CDRH2のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を有するCDRと、前記CDRH3のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を有するCDRとからなるグループから選択した少なくとも1つのCDRを含む、請求項17に記載の抗体分子。
【請求項19】
前記抗体VHドメインは、CDR1、2及び3としてそれぞれ前記CDRH1、CDRH2及びCDRH3のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を有するCDRを含む、請求項17又は18に記載の抗体分子。
【請求項20】
前記抗体VHドメインは、前記IMAB7抗体分子の抗体VHドメインに相当する抗体VHドメインを含む、請求項19に記載の抗体分子。
【請求項21】
前記抗体VLドメインは、CDR1、2及び3としてそれぞれ前記CDRL1、CDRL2及びCDRL3のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を有するCDRを含む、請求項17〜20のいずれか一項に記載の抗体分子。
【請求項22】
前記抗体VLドメインは、前記IMAB7抗体分子の抗体VLドメインに相当する抗体VLドメインを含む、請求項21に記載の抗体分子。
【請求項23】
前記抗体分子は、受託番号第07120410号でECACCに預託された細胞株から得ることができるIMAB7抗体分子のCDRL1、CDRL2、CDRL3、CDRH1、CDRH2及びCDRH3を含む、請求項13〜22のいずれか一項に記載の抗体分子。
【請求項24】
前記抗体分子は、IgM分子である、請求項13〜22のいずれか一項に記載の抗体分子。
【請求項25】
前記抗体分子は、受託番号第07120410号でECACCに預託された細胞株から得ることができるIMAB7抗体分子である、請求項24に記載の抗体分子。
【請求項26】
試料から標的細胞又は細胞成分を分離する方法であって、当該方法が、
(i) 前記試料を、前記標的細胞又は細胞成分に特に結合する抗体分子と接触させる工程と、
(ii) 前記抗体分子が前記標的細胞と複合体を形成することを可能にする工程と、
(iii)前記試料から前記複合体を分離する工程と、
を含み、前記工程(i)及び(ii)の少なくとも一方は、生理学的条件下で実施可能である、試料から標的細胞又は細胞成分を分離する方法。
【請求項27】
前記工程(i)及び(ii)は、生理学的条件下で実施される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記生理学的条件は、35〜41℃の範囲内の温度を含む、請求項26又は27に記載の方法。
【請求項29】
前記生理学的条件はさらに、2.3mM未満のカルシウム濃度を含む、請求項26〜28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記分離する工程は二次結合成分の使用を伴わない、請求項26〜29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記抗体分子は、IgM分子である、請求項26〜30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
試料から標的細胞又は細胞成分を分離する方法であって、当該方法が、
前記試料を、前記標的細胞に特に結合するIgM抗体分子と接触させる工程と、
前記IgM抗体分子が前記標的細胞と複合体を形成することを可能にする工程と、
前記試料から前記複合体を分離する工程と、
を含み、前記分離する工程は二次結合成分の使用を伴わない、試料から標的細胞又は細胞成分を分離する方法。
【請求項33】
前記標的細胞は、非生存細胞であり、且つ前記方法は、生存細胞から非生存細胞を分離する方法である、請求項26〜32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記非生存細胞は、死細胞又はアポトーシス細胞である、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記抗体分子は、請求項1〜12のいずれか一項に記載の抗体分子である、請求項36に記載の方法。
【請求項36】
前記非生存細胞は、死細胞である、請求項33に記載の方法。
【請求項37】
前記抗体分子は、請求項13〜25のいずれか一項に記載の抗体分子である、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
試料から標的細胞又は細胞成分を分離する方法であって、当該方法が、
前記試料を、請求項1〜25のいずれか一項に記載の抗体分子と接触させる工程と、
前記抗体分子が前記標的細胞と複合体を形成することを可能にする工程と、
前記試料から前記複合体を分離する工程と、
を含み、前記標的細胞は非生存細胞である、試料から標的細胞又は細胞成分を分離する方法。
【請求項39】
前記抗体分子は、磁気ビーズに結合される抗体を含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記方法は、生存細胞から非生存細胞又は細胞成分を分離する方法である、請求項38又は39に記載の方法。
【請求項41】
試料中の非生存細胞の細胞集団を濃縮する方法であって、当該方法が、請求項26〜40のいずれか一項に記載の方法を用いて、前記試料からの標的細胞の除去を含む、試料中の非生存細胞の細胞集団濃縮方法。
【請求項42】
生体試料中の非生存細胞又はその細胞成分を検出する方法であって、当該方法が、
前記試料を、請求項1〜25のいずれか一項に記載の抗体分子と接触させる工程と、
前記試料の前記非生存細胞又はその細胞成分への前記抗体分子の結合を検出する工程と、
を含む、生体試料中の非生存細胞検出方法。
【請求項43】
前記方法は、前記試料を、請求項9〜26のいずれか一項に記載の抗体分子と接触させる工程と、前記試料の前記非生存細胞又はその細胞成分への前記抗体分子の結合を検出する工程と、を含み、請求項9〜26のいずれか一項に記載の抗体分子の結合は、アポトーシス細胞又は溶解細胞の存在を示す、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
溶解を受けた細胞とアポトーシスを起こしていない細胞とを区別する工程をさらに含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記溶解を受けた細胞又はその細胞成分と、アポトーシスを起こしていない細胞又はその細胞成分とを検出可能試薬によって区別する、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
検出可能試薬は、プロピジウムヨウ化物、エチジウムホモ二量体-1、7-アミノアクチノマイシンD、TO-PRO-3ヨー化物、又はその任意の組み合わせを含む、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
検出可能試薬は、特に溶解した細胞又はその細胞成分には結合するも、アポトーシスを起こしていない細胞には結合しない抗体分子を含む、請求項45に記載の方法。
【請求項48】
特に溶解した細胞又はその細胞成分には結合するも、アポトーシスを起こしていない細胞又はその細胞成分には結合しない抗体分子は、請求項13〜25のいずれか一項に記載の抗体分子である、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
請求項1〜25のいずれか一項に記載の抗体分子を含む、医薬組成物。
【請求項50】
医薬に用いる請求項1〜25のいずれか一項に記載の抗体分子。
【請求項51】
炎症性疾患の治療に用いる請求項1〜25のいずれか一項に記載の抗体分子。
【請求項52】
癌の治療に用いる請求項1〜25のいずれか一項に記載の抗体分子。
【請求項53】
創傷の治療に用いる請求項1〜25のいずれか一項に記載の抗体分子。
【請求項54】
アポトーシス細胞又は死細胞に対する免疫反応を増強する方法であって、該方法は、前記細胞への請求項1〜25のいずれか一項に記載の抗体分子の投与を含む、免疫反応増強方法。
【請求項55】
披験者の炎症性疾患を治療する方法であって、該方法は、前記披験者に請求項1〜25のいずれか一項に記載の抗体分子を投与することを含む、炎症性疾患の治療方法。
【請求項56】
披験者の癌を治療する方法であって、該方法は、前記披験者に請求項1〜25のいずれか一項に記載の抗体分子を投与することを含む、癌の治療方法。
【請求項57】
披験者の創傷を治療する方法であって、該方法は、前記創傷に請求項1〜25のいずれか一項に記載の抗体分子を投与することを含む、創傷の治療方法。
【請求項1】
死細胞及びアポトーシス細胞に対して結合特異性を有する抗体分子であって、
該抗体分子は、Seq ID No:1又はその変異型と、Seq ID No:2又はその変異型と、Seq ID No:3又はその変異型とからなるグループから選択したアミノ酸配列を有するCDRの少なくとも1つ、及び/又はSeq ID No:4又はその変異型と、Seq ID No:5又はその変異型と、Seq ID No:6又はその変異型とからなるグループから選択したアミノ酸配列を有するCDRの少なくとも1つを含む抗原結合ドメインを含む、抗体分子。
【請求項2】
前記抗体分子は、Seq ID No:1と、Seq ID No:2と、Seq ID No:3とからなるグループから選択したアミノ酸配列を有するCDRの少なくとも1つ、及び/又はSeq ID No:4と、Seq ID No:5と、Seq ID No:6とからなるグループから選択したアミノ酸配列を有するCDRの少なくとも1つを含む抗原結合ドメインを含む、請求項1に記載の抗体分子。
【請求項3】
前記抗体分子は、Seq ID No:1と、Seq ID No:2と、Seq ID No:3とからなるグループから選択したアミノ酸配列を有するCDRの少なくとも1つ、及びSeq ID No:4と、Seq ID No:5と、Seq ID No:6とからなるグループから選択したアミノ酸配列を有するCDRの少なくとも1つを含む抗原結合ドメインを含む、請求項1又は2に記載の抗体分子。
【請求項4】
前記抗体分子は、Seq ID No:1と、Seq ID No:2と、Seq ID No:3とからなるグループから選択したアミノ酸配列を有するCDRの少なくとも2つ、及び/又はSeq ID No:4と、Seq ID No:5と、Seq ID No:6とからなるグループから選択したアミノ酸配列を有するCDRの少なくとも2つを含む抗原結合ドメインを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の抗体分子。
【請求項5】
前記抗原結合ドメインは、抗体VHドメイン及び抗体VLドメインを含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の抗体分子。
【請求項6】
前記抗体VHドメインは、Seq ID No:1と、Seq ID No:2と、Seq ID No:3とからなるグループから選択したアミノ酸配列を有するCDRの少なくとも1つを含み、前記抗体VLドメインは、Seq ID No:4と、Seq ID No:5と、Seq ID No:6とからなるグループから選択したアミノ酸配列を有するCDRの少なくとも1つを含む、請求項5に記載の抗体分子。
【請求項7】
前記抗体VHドメインは、CDR1、2及び3としてそれぞれアミノ酸配列Seq ID No:1、Seq ID No:2及びSeq ID No:3を有するCDRを含む、請求項5又は6に記載の抗体分子。
【請求項8】
前記抗体VHドメインは、アミノ酸配列Seq ID No:7を有する、請求項7に記載の抗体分子。
【請求項9】
前記抗体VLドメインは、CDR1、2及び3としてそれぞれアミノ酸配列Seq ID No:4、Seq ID No:5及びSeq ID No:6を有するCDRを含む、請求項5〜8のいずれか一項に記載の抗体分子。
【請求項10】
前記抗体VLドメインは、アミノ酸配列Seq ID No:8を有する、請求項9に記載の抗体分子。
【請求項11】
前記抗体分子は、IgM分子である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の抗体分子。
【請求項12】
前記抗体分子は、受託番号第07120409号でECACCに預託された細胞株から得ることができるIMAB6抗体分子である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の抗体分子。
【請求項13】
死細胞に対して結合特異性を有する抗体分子であって、
該抗体分子は、IMAB7抗体分子のCDRL1のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を有するCDRと、IMAB7抗体分子のCDRL2のアミノ酸配列に相当するか、又はその変異型であるアミノ酸配列を有するCDRと、IMAB7抗体分子のCDRL3のアミノ酸配列に相当するか、又はその変異型であるアミノ酸配列を有するCDRと、IMAB7抗体分子のCDRH1のアミノ酸配列に相当するか、又はその変異型であるアミノ酸配列を有するCDRと、IMAB7抗体分子のCDRH2のアミノ酸配列に相当するか、又はその変異型であるアミノ酸配列を有するCDRと、IMAB7抗体分子のCDRH3のアミノ酸配列に相当するか、又はその変異型であるアミノ酸配列を有するCDRとからなるグループから選択した1つ以上のCDRを含み、
前記IMAB7抗体分子は、受託番号第07120409号でECACCに預託された細胞株から得ることができるIMAB7抗体分子である、抗体分子。
【請求項14】
前記抗体分子は、前記CDRL1のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を有するCDRと、前記CDRL2のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を有するCDRと、前記CDRL3のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を有するCDRとからなるグループから選択した少なくとも1つのCDR、及び/又は前記CDRH1のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を有するCDRと、前記CDRH2のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を有するCDRと、前記CDRH3のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を有するCDRとからなるグループから選択した少なくとも1つのCDRを含む抗原結合ドメインを含む、請求項13に記載の抗体分子。
【請求項15】
前記抗体分子は、前記CDRL1のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を有するCDRと、前記CDRL2のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を有するCDRと、前記CDRL3のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を有するCDRとからなるグループから選択した少なくとも1つのCDR、及び前記CDRH1のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を有するCDRと、前記CDRH2のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を有するCDRと、前記CDRH3のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を有するCDRとからなるグループから選択したCDRを含む抗原結合ドメインを含む、請求項13又は14に記載の抗体分子。
【請求項16】
前記抗体分子は、前記CDRL1のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を有するCDRと、前記CDRL2のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を有するCDRと、前記CDRL3のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を有するCDRとからなるグループから選択した少なくとも2つのCDR、及び/又は前記CDRH1のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を有するCDRと、前記CDRH2のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を有するCDRと、前記CDRH3のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を有するCDRとからなるグループから選択した少なくとも2つのCDRを含む抗原結合ドメインを含む、請求項13〜15のいずれか一項に記載の抗体分子。
【請求項17】
前記抗原結合ドメインは、抗体VHドメイン及び抗体VLドメインを含む、請求項13〜16のいずれか一項に記載の抗体分子。
【請求項18】
前記抗体VLドメインは、前記CDRL1のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を有するCDRと、前記CDRL2のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を有するCDRと、前記CDRL3のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を有するCDRとからなるグループから選択した少なくとも1つのCDRを含み、且つ前記抗体VHドメインは、前記CDRH1のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を有するCDRと、前記CDRH2のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を有するCDRと、前記CDRH3のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を有するCDRとからなるグループから選択した少なくとも1つのCDRを含む、請求項17に記載の抗体分子。
【請求項19】
前記抗体VHドメインは、CDR1、2及び3としてそれぞれ前記CDRH1、CDRH2及びCDRH3のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を有するCDRを含む、請求項17又は18に記載の抗体分子。
【請求項20】
前記抗体VHドメインは、前記IMAB7抗体分子の抗体VHドメインに相当する抗体VHドメインを含む、請求項19に記載の抗体分子。
【請求項21】
前記抗体VLドメインは、CDR1、2及び3としてそれぞれ前記CDRL1、CDRL2及びCDRL3のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を有するCDRを含む、請求項17〜20のいずれか一項に記載の抗体分子。
【請求項22】
前記抗体VLドメインは、前記IMAB7抗体分子の抗体VLドメインに相当する抗体VLドメインを含む、請求項21に記載の抗体分子。
【請求項23】
前記抗体分子は、受託番号第07120410号でECACCに預託された細胞株から得ることができるIMAB7抗体分子のCDRL1、CDRL2、CDRL3、CDRH1、CDRH2及びCDRH3を含む、請求項13〜22のいずれか一項に記載の抗体分子。
【請求項24】
前記抗体分子は、IgM分子である、請求項13〜22のいずれか一項に記載の抗体分子。
【請求項25】
前記抗体分子は、受託番号第07120410号でECACCに預託された細胞株から得ることができるIMAB7抗体分子である、請求項24に記載の抗体分子。
【請求項26】
試料から標的細胞又は細胞成分を分離する方法であって、当該方法が、
(i) 前記試料を、前記標的細胞又は細胞成分に特に結合する抗体分子と接触させる工程と、
(ii) 前記抗体分子が前記標的細胞と複合体を形成することを可能にする工程と、
(iii)前記試料から前記複合体を分離する工程と、
を含み、前記工程(i)及び(ii)の少なくとも一方は、生理学的条件下で実施可能である、試料から標的細胞又は細胞成分を分離する方法。
【請求項27】
前記工程(i)及び(ii)は、生理学的条件下で実施される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記生理学的条件は、35〜41℃の範囲内の温度を含む、請求項26又は27に記載の方法。
【請求項29】
前記生理学的条件はさらに、2.3mM未満のカルシウム濃度を含む、請求項26〜28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記分離する工程は二次結合成分の使用を伴わない、請求項26〜29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記抗体分子は、IgM分子である、請求項26〜30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
試料から標的細胞又は細胞成分を分離する方法であって、当該方法が、
前記試料を、前記標的細胞に特に結合するIgM抗体分子と接触させる工程と、
前記IgM抗体分子が前記標的細胞と複合体を形成することを可能にする工程と、
前記試料から前記複合体を分離する工程と、
を含み、前記分離する工程は二次結合成分の使用を伴わない、試料から標的細胞又は細胞成分を分離する方法。
【請求項33】
前記標的細胞は、非生存細胞であり、且つ前記方法は、生存細胞から非生存細胞を分離する方法である、請求項26〜32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記非生存細胞は、死細胞又はアポトーシス細胞である、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記抗体分子は、請求項1〜12のいずれか一項に記載の抗体分子である、請求項36に記載の方法。
【請求項36】
前記非生存細胞は、死細胞である、請求項33に記載の方法。
【請求項37】
前記抗体分子は、請求項13〜25のいずれか一項に記載の抗体分子である、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
試料から標的細胞又は細胞成分を分離する方法であって、当該方法が、
前記試料を、請求項1〜25のいずれか一項に記載の抗体分子と接触させる工程と、
前記抗体分子が前記標的細胞と複合体を形成することを可能にする工程と、
前記試料から前記複合体を分離する工程と、
を含み、前記標的細胞は非生存細胞である、試料から標的細胞又は細胞成分を分離する方法。
【請求項39】
前記抗体分子は、磁気ビーズに結合される抗体を含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記方法は、生存細胞から非生存細胞又は細胞成分を分離する方法である、請求項38又は39に記載の方法。
【請求項41】
試料中の非生存細胞の細胞集団を濃縮する方法であって、当該方法が、請求項26〜40のいずれか一項に記載の方法を用いて、前記試料からの標的細胞の除去を含む、試料中の非生存細胞の細胞集団濃縮方法。
【請求項42】
生体試料中の非生存細胞又はその細胞成分を検出する方法であって、当該方法が、
前記試料を、請求項1〜25のいずれか一項に記載の抗体分子と接触させる工程と、
前記試料の前記非生存細胞又はその細胞成分への前記抗体分子の結合を検出する工程と、
を含む、生体試料中の非生存細胞検出方法。
【請求項43】
前記方法は、前記試料を、請求項9〜26のいずれか一項に記載の抗体分子と接触させる工程と、前記試料の前記非生存細胞又はその細胞成分への前記抗体分子の結合を検出する工程と、を含み、請求項9〜26のいずれか一項に記載の抗体分子の結合は、アポトーシス細胞又は溶解細胞の存在を示す、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
溶解を受けた細胞とアポトーシスを起こしていない細胞とを区別する工程をさらに含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記溶解を受けた細胞又はその細胞成分と、アポトーシスを起こしていない細胞又はその細胞成分とを検出可能試薬によって区別する、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
検出可能試薬は、プロピジウムヨウ化物、エチジウムホモ二量体-1、7-アミノアクチノマイシンD、TO-PRO-3ヨー化物、又はその任意の組み合わせを含む、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
検出可能試薬は、特に溶解した細胞又はその細胞成分には結合するも、アポトーシスを起こしていない細胞には結合しない抗体分子を含む、請求項45に記載の方法。
【請求項48】
特に溶解した細胞又はその細胞成分には結合するも、アポトーシスを起こしていない細胞又はその細胞成分には結合しない抗体分子は、請求項13〜25のいずれか一項に記載の抗体分子である、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
請求項1〜25のいずれか一項に記載の抗体分子を含む、医薬組成物。
【請求項50】
医薬に用いる請求項1〜25のいずれか一項に記載の抗体分子。
【請求項51】
炎症性疾患の治療に用いる請求項1〜25のいずれか一項に記載の抗体分子。
【請求項52】
癌の治療に用いる請求項1〜25のいずれか一項に記載の抗体分子。
【請求項53】
創傷の治療に用いる請求項1〜25のいずれか一項に記載の抗体分子。
【請求項54】
アポトーシス細胞又は死細胞に対する免疫反応を増強する方法であって、該方法は、前記細胞への請求項1〜25のいずれか一項に記載の抗体分子の投与を含む、免疫反応増強方法。
【請求項55】
披験者の炎症性疾患を治療する方法であって、該方法は、前記披験者に請求項1〜25のいずれか一項に記載の抗体分子を投与することを含む、炎症性疾患の治療方法。
【請求項56】
披験者の癌を治療する方法であって、該方法は、前記披験者に請求項1〜25のいずれか一項に記載の抗体分子を投与することを含む、癌の治療方法。
【請求項57】
披験者の創傷を治療する方法であって、該方法は、前記創傷に請求項1〜25のいずれか一項に記載の抗体分子を投与することを含む、創傷の治療方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公表番号】特表2011−507805(P2011−507805A)
【公表日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−536525(P2010−536525)
【出願日】平成20年12月5日(2008.12.5)
【国際出願番号】PCT/GB2008/004007
【国際公開番号】WO2009/071892
【国際公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【出願人】(510157340)イミュノソルブ リミテッド (2)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月5日(2008.12.5)
【国際出願番号】PCT/GB2008/004007
【国際公開番号】WO2009/071892
【国際公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【出願人】(510157340)イミュノソルブ リミテッド (2)
【Fターム(参考)】
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