説明

細胞の活性酸素種産生に対する構成成分の作用を測定する方法

細胞内のROSレベルに対する試験構成成分の作用を測定する方法を開示する。この方法は、ROS生成の増加により悪影響を受けた細胞中でのROSレベルを減少させる際に有用な構成成分に関して、上市する際またはスクリーニングする際に使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
[0001] 活性酸素種(ROS)は、酸素の代謝により形成される細胞の副生成物であり、細胞の酸化的損傷の原因であり、そして細胞の損傷、細胞の機能障害、および細胞死(アポトーシス)の原因となりうる。ROSの細胞代謝に対する作用は、十分に解明されてきた。組織中のROSの蓄積は、酸化的損傷を引き起こす可能性があり、その結果、組織中のROS量を減少させることが望ましいと考えられている。細胞中のROS生成をモニタリングして、ROSが心臓血管疾患、炎症性疾患、および感染性疾患を含む疾患に関与するかどうかを調べることが好ましい。細胞は、通常は、スーパーオキシドジスムターゼまたはカタラーゼなどの酵素により、ROSによる酸化的損傷を防止することができる。ビタミン類、尿酸、およびグルタチオンなどの抗酸化物質を含め、その他の化合物もまた、そのような損傷を防止する際に有用である。そのような化合物(例えば、抗酸化物質)は、フリーラジカルを除去する際にそして病原体から宿主生物を保護する際に、重要な役割を果たす可能性がある。
【0002】
[0002] 組織中のROS量を測定するための多数の方法が開発されてきたが、細胞内のROS濃度をリアルタイムに測定する方法は存在しない。ROS濃度は時間とともに、例えば、増加または減少するなど変化する可能性がある点で、ROS量を測定する能力は重要である。
【0003】
[0003] したがって、有効な抗酸化物質組成物を開発しそして投与して、ROS損傷を防止することには、依然として興味がもたれている。しかしながら、組成物のROS産生に対する作用をリアルタイムに測定することができる方法は存在していない。したがって、構成成分の細胞内のROS産生に対する作用を測定することができる方法を開発することが望まれている。
【発明の概要】
【0004】
[0004] 特定の態様にしたがって、細胞内のROS濃度をリアルタイムに測定するために使用することができる方法が提供される。この態様のこの方法は、試験構成成分の、細胞内のROS産生および細胞に対する酸化的ストレスに対する作用を測定する際に有用である。この方法はまた、試験構成成分が細胞内のROS構成成分を減少させる能力を測定するために有用であり、この場合、ROSは細胞に対して内因性であっても外因性であってもよい。
【0005】
[0005] したがって、本明細書中で記載される特定の態様には、試験構成成分が細胞内のROSの産生に対して有する作用を測定する方法が含まれる。この方法には、細胞を蛍光を発する能力を有する物質と接触させる工程、この細胞を試験構成成分と接触させる工程、この細胞をROSまたはROS刺激剤と接触させる工程、そして細胞蛍光を測定する工程、が含まれる。この態様にはさらに、細胞と蛍光を発する能力を有する物質とおよびROSまたはROS刺激剤のいずれかと接触させる工程の後に細胞蛍光を測定する工程、細胞と試験構成成分とを接触させる工程の後に細胞蛍光を測定する工程、2種の蛍光値を比較する工程、そして試験構成成分がROSを減少させたか否かを決定する工程、が含まれていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】[0006] 図1は、実施例1において得られた蛍光値を示す;そして
【図2】[0007] 図2は、実施例1において記載される場合の、様々な試験構成成分についての蛍光値を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[0008] 本明細書の全体を通じて使用される場合、範囲は、その範囲内にあるそれぞれの値および全ての値についての簡潔な表現として使用される。その範囲内のいずれの値も、その範囲の境界値として選択することができる。さらに、本明細書中で引用する全ての参考文献は、その全体を参照により援用される。本明細書の開示における定義と引用される参考文献の定義とが競合する場合、本明細書の開示が優先する。
【0008】
[0009] 明記しない場合、本明細書中および明細書中の他の部分で記載される全ての割合および量は、重量%を意味するものと理解されるべきである。所定の量は、物質の実際の重量(active weight)に基づく。
【0009】
[0010] 本明細書の全体を通じて、定冠詞または不定冠詞など(“the”、“a”、“an”)は、態様を品目の単数形に限定することを目的としていない。例えば、“構成成分”という表現は、単一の構成成分または複数の構成成分を意味することができる。この態様における構成成分には、化学化合物、低分子および高分子のペプチドおよびタンパク質、低分子および高分子のペプチドおよびタンパク質を発現するDNA、などが含まれる。
【0010】
[0011] この方法には、細胞が酸化された場合または還元された場合に蛍光を発する能力を有する物質と細胞とを接触させる工程、この細胞と試験構成成分とを接触させる工程、この細胞とROSまたはROS刺激剤とを接触させる工程、そして細胞蛍光を測定する工程、が含まれる。好ましくは、蛍光を発する能力を有する物質は、酸化された場合に蛍光を発する色素であり、より好ましくは、2,7-ジクロロフルオレセインジアセタート(DCF-DA)、ジヒドロローダミン(DHR 123)、およびこれらの混合物から選択される色素である。この方法にはまた、還元された場合に蛍光を発することができる物質を使用することも含まれる。
【0011】
[0012] 好ましい方法には、試験化合物として、抗酸化物質を使用することが含まれる。別の好ましい方法には、ROSとして、酸素イオン生成性化合物、フリーラジカル生成性化合物、過酸化物、またはこれらの組合せが含まれる。好ましくは、ROSは、過酸化物であり、そしてより好ましくは過酸化水素である。その他の好ましい方法には、炎症性メディエータなどのROS刺激剤を使用することが含まれる。
【0012】
[0013] 好ましい態様の方法にはまた、ROS刺激剤として:(i)バクテリアエンドトキシン、エクソトクシン、またはこれらの組合せ;または(ii)リポ多糖、リポオリゴ糖、またはこれらの組合せ;が含まれる。好ましくは、ROSはリポ多糖である。
【0013】
[0014] 好ましい態様の様々な方法に有用な細胞には、免疫細胞、リンパ球、リンパ芽球、マクロファージ、ミトコンドリアなどの有核細胞、またはこれらの混合物が含まれる。細胞は、不死化されているか、または組織培養中に存在していてもよい。好ましくは、細胞は、色素が透過する細胞壁を有する。さらに、色素は、細胞ミトコンドリア中に蓄積することができる。いずれの過剰な色素も、細胞から洗浄することが好ましい。
【0014】
[0015] 好ましい態様の方法において、試験化合物は、能動的にまたは受動的に、細胞中に輸送される。好ましくは、いずれの過剰な試験化合物も細胞から洗浄される。同じように、ROSまたはROS刺激剤(例えば、炎症性メディエータ)は、好ましくは、能動的にまたは受動的に細胞中に輸送され、そしていずれの過剰なROSまたはROS刺激剤も細胞から洗浄されることが好ましい。
【0015】
[0016] 好ましい態様の様々な側面に従って、細胞を、最初に、酸化された場合または還元された場合に蛍光を発する能力を有する物質、好ましくは色素と、接触させる。この態様において有用な色素には、酸化された場合または還元された場合に蛍光を発する色素が含まれる。好ましくは、そのような色素は、例えばROSにより、酸化された場合または還元された場合に蛍光を発する。非-蛍光性型で細胞と接触させ、その後、例えば細胞内で生成されるROSかまたは外部供給源から導入されたROSなどのROSと反応させた場合に蛍光を発する色素を使用することが好ましい。これらの特徴を有するいくつかの有用な色素が当業者には知られており、そしてそれらにはフルオレセイン型の色素、例えば2,7-ジクロロフルオレセインジアセタート(DCF-DA)が含まれていてもよい。DCF-DAは、細胞脂質膜を通過して拡散することができる膜-透過性色素である。それは、不活性の場合に非-蛍光性であり、そしてROSにより酸化された場合に非常に蛍光性のジクロロフルオレセイン(DCF)を形成する。本発明において有用なその他の色素には、フルオレセイン誘導体または類似体、例えばDCF-DAの類似体であるジヒドロローダミン(DHR 123)が含まれていてもよい。DHR123は、ミトコンドリア中に蓄積され、そしてしたがって同様にROSレベルを決定する際に特に有用である可能性がある。その他の有用な色素には、Oregon Green、Tokyo Green、カルボキシセミナフトフルオレセイン(SNAFL - Molecular Probes, (Invitrogen Corp.), Carlsbad, CAより入手可能)、カルボキシナフトフルオレセイン、Alexa Fluor色素(例えば、Alexa 488 - Molecular Probes, (Invitrogen Corp.), Carlsbad, CAからも入手可能)、DyLight Fluor色素(例えば、DyLight 488、Thermo Fisher Scientific, Waltham, MAから市販)、およびHiLyte Fluor色素(AnaSpec, San Jose, CAから市販)などの、フルオレセインの誘導体が含まれていてもよい。細胞は、色素とインキュベーションして、細胞中に色素を取り込ませてもよい。その後、細胞を洗浄して、残った色素を除去することができる。
【0016】
[0017] 色素により標識した後、その細胞を、1またはそれ以上の試験化合物に対して曝露することができる。そのような試験化合物は、好ましくは、能動輸送または例えば拡散などの受動輸送により細胞中に取り込ませ、そして好ましくは細胞中に維持させる。細胞を、そのような試験化合物の存在下にてインキュベーションすることができ、そしてその後洗浄して残った試験化合物を除去することができる。
【0017】
[0018] 試験化合物を用いた処置の後、次いで、細胞を好ましくはROSに対して曝露する。ROSには、典型的には、酸素イオン、フリーラジカル、および無機および有機両方の過酸化物、そしてそのような酸素イオンおよびフリーラジカルを細胞内で生成する化合物、が含まれる。ROS(またはROS剤)は、当業者に知られており、そして一般には、原子価殻不対電子の存在により非常に反応性である低分子である。過酸化物の例には、ヒドロペルオキシド、過酸化水素、アルカリおよびアルカリ土類金属の過酸化物、有機ペルオキシ化合物、ペルオキシ酸、およびこれらの混合物が含まれる。細胞を、外部供給源由来のROS剤に対して曝露することができ、この場合、細胞をROS剤を含有する培養液中でインキュベーションして、細胞が例えば能動輸送または受動輸送のいずれかにより、ROS剤を細胞内に取り込むことができるようにすることができる。次いで、この細胞を洗浄して、細胞中に取り込まれなかった残ったROSを除去することができる。
【0018】
[0019] 本発明の一態様において、ROSを、ROS産生を誘導する化合物、例えば、細胞中でのROS産生を引き起こすかまたは引き起こすことが知られている炎症性メディエータなどのROS刺激剤、と組み合わせて、細胞に接触させることができる。さらに別の態様において、この細胞を、追加的なROS剤の非存在下にて、ROS刺激剤と接触させる。当該技術分野において知られているように、炎症性メディエータには、バクテリア毒素、例えば、リポ多糖またはリポオリゴ糖などのエンドトキシンまたはエクソトクシン、が含まれていてもよい。この細胞をROSおよび炎症性メディエータとともにインキュベーションさせて、ROSおよび炎症性メディエータを細胞中に取り込ませることができる。次いで、この細胞を洗浄して、残りのROSおよび炎症性メディエータを除去することができる。あるいは、この細胞を炎症性メディエータと共にインキュベーションさせて、細胞中に炎症性メディエータを取り込ませることができる。次いで、この細胞を洗浄して、残りの炎症性メディエータを除去することができる。
【0019】
[0020] 本明細書中で記載されるこの態様のこの方法は、様々な構成成分と接触させた細胞の蛍光を測定することを企図する。この方法には、細胞を蛍光を発することができる物質およびROSまたはROS刺激剤と接触させた後に蛍光を測定する工程、そしてその後、細胞をこれらの構成成分および試験化合物と接触させた後に蛍光を測定する工程が含まれる。蛍光を、当業者により知られている方法および容易に利用可能な方法のいずれかにより、測定することができる。そのような公知のそして商業的に利用可能な方法には、光学的生細胞アレイ技術または顕微鏡画像化システムが含まれる。周知であるように、蛍光は、一般的に、励起と放出で測定される。当業者は、本明細書中で提供されるガイドラインを使用して、蛍光を測定しそして決定することができる。
【0020】
[0021] いかなる理論により拘束されることをも意図していないが、本発明の方法は、試験化合物の細胞内のROSレベルに対する作用のリアルタイム解析を可能にすると、考えられている。蛍光を発することができる構成成分、試験化合物、そして次いでROS/炎症性メディエータを細胞中に取り込ませることにより、当業者は、細胞蛍光を測定することにより、試験化合物の抗酸化物質活性を測定することができる。酸化または還元に際して蛍光を発することができる構成成分、好ましくは色素、は、いくらかのバックグラウンドの蛍光を有しているが、しかしフリーラジカルに結合する際、蛍光強度は増加する。蛍光強度のそのような増加を、容易に測定することができる。試験化合物を細胞に対して添加して、ROSフリーラジカルの形成を減少させるそれらの能力(またはそれらを反応により消滅させるそれらの能力)を評価することができ、そしてフリーラジカル形成を減少させることができるならば、蛍光強度は減少する。
【0021】
[0022] したがって、ROSを阻害するより高い能力を有する試験化合物は、結果として、色素と反応することができるROSがより少なく、そしてしたがって蛍光が減少するという反応が得られる。逆に、ROSを阻害しない試験化合物は、色素と反応することができるROS量がより多く、そしてしたがって蛍光が増加するという反応が得られる。細胞の蛍光は、分の単位の期間、時間の単位の期間、または日の単位の期間にわたりモニタリングして、試験化合物のROS/炎症性メディエータに対する作用を決定することができる。
【0022】
[0023] 一態様において、細胞を、試験化合物と接触させる前に、色素と接触させる。場合によっては、細胞を、ROSおよび/またはROS刺激剤に接触させる前に、試験化合物に接触させる。別の態様において、ROSを細胞に導入するが、例えば、ROSは細胞に対して外来性である。
【0023】
[0024] 好ましい方法において有用な細胞には、ミトコンドリアを有する有核細胞が含まれる。細胞は、例えば、癌細胞など、不死化されていてもよく、そしてリンパ球、またはリンパ芽球細胞など、免疫細胞であってもよい。そのような細胞は、当業者により公知の方法のどの様なものにおいて培養してもよい。細胞はまた、手術手順または試験手順の間にその場(on-site)で培養することもでき、そしてその後リアルタイムに試験して、特定の試験化合物の細胞のROS産生を阻害することに対する作用を評価することができる。
【0024】
[0025] この態様のこの方法は、細胞におけるROS産生に対して化合物が有する作用を測定する際に有用である。上述したように、細胞におけるフリーラジカルの生成は望ましくなく、しばしば細胞死を生じることが知られている。例えば、特定のバクテリアは、ヒト細胞中でのフリーラジカル形成を誘導する作用を有し、そして結果的に、細胞を損傷する。本明細書中で記載されるこの方法は、フリーラジカル形成を減少させることができる(より低い蛍光強度を生じる)試験化合物を決定することができ、したがってバクテリアの有害効果に対して反作用する際に有用である可能性がある。
【0025】
[0026] 多数のそのようなバクテリアは、口腔および口腔粘膜中に存在する。バクテリアは、有害効果を生じる可能性がある。例えば、バクテリア細胞は、好ましい態様の細胞として、好ましくは通性嫌気性菌細胞として、使用することができる。次いで、この方法は、特定の試験化合物のそのような細胞のフリーラジカル生成を減少させる能力を測定することができる。
【0026】
[0027] したがって、この態様のこの方法をその場(on-site)で使用して、フリーラジカル生成を生じやすい特定の細胞を治療するための有効な治療法(適切に蛍光を減少させる有効な試験化合物の投与)を決定することができる。この態様のこの方法はまた、特定の化合物(またはこれらの化合物を含む組成物)の既知の細胞、例えばバクテリア細胞、に対する作用を示す際にも有用である。例えば、この方法を使用して、歯科の専門家に対して、特定の歯磨剤がヒトの口において一般的に見られるバクテリア細胞におけるフリーラジカル生成を減少させる際にどの様に効果的であるのかを示すことができる。製品(例えば、様々な競合企業の歯磨剤)との間での比較を示すことにより、製品のマーケティングにおける比較ツールとして、この方法を使用することもできる。
【0027】
[0028] 本発明の好ましい態様は、以下の限定的ではない事例に関して記載する。この実施例は、単に説明を目的としたものであり、明細書に記載されそして請求の範囲に記載された発明の範囲を限定する目的ではない。
【実施例】
【0028】
実施例1
[0029] ヒト組織球(histocytic)リンパ腫U937細胞(ATCC, Manassas, VA)を、10%血清および1%ペニシリンを含有するRPMI-1640培養液(ATCC, Manassas, VA)中で初めに培養し、そして次いで2×105個の細胞/mlの濃度で1 ng/mlのPMAを含有する培養液中に、37℃にて48時間、移した。この細胞を、血清不含培養液中で一晩枯渇培養し、その後色素に曝露した。
【0029】
[0030] 細胞をPBSバッファーにより2回洗浄し、そして2セットに分けて、DCF-DAまたはDHR123(Calibochem, La Jolla, CA)とともに30℃にて30分間、インキュベーションした。細胞をPBSにより2回洗浄し、残った色素を除去する。適切な実験対照も維持する。
【0030】
[0031] 次いで、細胞をいくつかの群に分け、そして様々な量のα-トコフェロール(ビタミンE)の1%溶液、物質1の1%溶液、または物質2の1%溶液を各群に添加し、そして37℃にて15分間インキュベーションした。次いで、細胞をPBSにより2回洗浄して、残った量の試験化合物を除去した。次いで、ROS剤、H2O2およびLPSを添加し、そして様々な時間のあいだインキュベーションした。。次いで、細胞の蛍光を、励起485 nmおよび放出530 nmで5時間まで読み取った。
【0031】
[0032] 図1および図2に示されるように、色素、例えばDCF-DAおよびDHR123、によってのみ染色した細胞は、バックグラウンド蛍光を示す。図1を参照すると、2時間のインキュベーションの後、試験化合物は存在しないが2.5 mMのROSおよびROS刺激剤は存在する状況の下でインキュベーションされた細胞は、試験化合物(α-トコフェロール)および2.5 mMのROSおよびROS刺激剤の存在下でインキュベーションされた細胞よりも高い蛍光を発する。
【0032】
[0033] したがって、細胞蛍光の解析は、試験化合物をスクリーニングするために使用することができる細胞内の酸化的ストレスのリアルタイムモニタリングを可能にする。細胞蛍光の測定は、光学的生細胞アレイ技術、および/または個々の細胞の顕微鏡イメージングシステムにより、達成することができる。
【0033】
[0034] 図2を参照すると、2 ppm、10 ppm、または100 ppmのα-トコフェロール、物質1、および物質2を、細胞とインキュベーションした。図2は、2.5 mMの過酸化水素の存在下において、2 ppmのα-トコフェロールおよび物質1は、ROSと反応し、そして酸化レベルをおよそ30%減少させたことが示される。10 ppmおよび100 ppmにおいて、α-トコフェロールは、ROSまたはフリーラジカルを除去する能力の亢進を示さなかった;しかしながら、100 ppmの物質1は、酸化レベルを50%低下させた。図2は、物質2は酸化レベルを亢進し、そして物質2は、2 ppmの場合と比較して100 ppmの場合に、フリーラジカルレベルをほぼ3倍に増加させた。
【0034】
[0035] 上述した態様の幅広い発明の概念から離れることなく上述した態様に対して、変化または改変を加えることができることは、当業者には明らかであろう。したがって、本発明は、開示された特定の態様に限定されるのではなく、本発明の精神および範囲内における修飾をカバーすることが意図されることが、理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞中においてROS構成成分を減少させる際の、試験構成成分の効率を測定する方法であって:
a. 細胞を蛍光を発する能力を有する物質と接触させる工程;
b. この細胞を試験構成成分と接触させる工程;
c. この細胞をROSまたはROS刺激剤と接触させる工程;そして
d. 細胞蛍光を測定する工程;
を含む、前記方法。
【請求項2】
蛍光を発する能力を有する物質が、酸化された際に蛍光を発生する色素である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
色素が、2,7-ジクロロフルオレセインジアセタート(DCF-DA)、ジヒドロローダミン(DHR 123)、およびこれらの組合せからなる群から選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
蛍光を発する能力を有する物質が、還元された際に蛍光を発する色素である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
試験構成成分が抗酸化物質である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
ROSが、酸素イオン生成性化合物、フリーラジカル生成性化合物、過酸化物、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
ROSが過酸化物である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
過酸化物が過酸化水素である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
ROSがROS刺激剤をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
ROSが、バクテリアエンドトキシン、エクソトクシン、およびこれらの混合物からなる群から選択されるROS刺激剤をさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
ROS刺激剤が、リポ多糖を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
細胞が免疫細胞である、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
細胞が、リンパ球、リンパ芽球、マクロファージ、バクテリア、通性嫌気性菌、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
細胞が、蛍光を発する能力を有する物質により透過性である壁を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
試験構成成分が細胞中へ輸送される、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
試験構成成分が細胞中に能動的にまたは受動的に輸送される、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
ROSが能動輸送または受動輸送により細胞中に輸送される、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
細胞が蛍光を発する、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
この方法が、細胞のROS含有量を測定する、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
細胞中においてROS構成成分を減少させる際の、試験構成成分の効率を測定する方法であって:
a. 細胞を蛍光を発する能力を有する物質と接触させる工程;
b. この細胞を試験構成成分と接触させる工程;
c. 細胞蛍光を測定する工程;
d. この細胞をROSまたはROS刺激剤と接触させる工程;
e. 細胞蛍光を測定する工程;そして
f. cで得られた細胞蛍光を、eで得られた蛍光と比較し、そしてROSを減少させる際の試験構成成分の効率を決定する工程;
を含む、前記方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2011−516868(P2011−516868A)
【公表日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−503257(P2011−503257)
【出願日】平成21年5月6日(2009.5.6)
【国際出願番号】PCT/US2009/042958
【国際公開番号】WO2009/137560
【国際公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【出願人】(590002611)コルゲート・パーモリブ・カンパニー (147)
【氏名又は名称原語表記】COLGATE−PALMOLIVE COMPANY
【Fターム(参考)】