説明

細胞の選択的溶解

本発明は、細菌などの微生物を含んでなるサンプル中で細胞を選択的に溶解するための方法および装置を開示する。選択的溶解は、アルカリ性条件下で、非イオン性界面活性剤中でサンプルをインキュベートすることにより得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真核細胞、より具体的には、血液細胞などの動物細胞の溶解に関する。本発明はさらに、他の細胞が高濃度で含まれるサンプル中で、低濃度の細菌などの微生物を検出にも関する。
【背景技術】
【0002】
分子診断は、血液などのサンプル中の病原体(典型的には細菌)の微小量の高速検出を目的とする。しかし、血液は、複雑な基質であり、獲得免疫系のための白血球(white blood cell)(白血球(leukocyte))、酸素の伝達のための赤血球(red blood cell)(赤血球(erythrocyte))、および創傷治癒のための血小板(platelet)(血小板(thrombocyte))を含んでなる。これは、全血液(大量の細胞性物質を含有する)などのサンプル中の病原体の直接的な検出を困難にする。
【0003】
古典的な検出法は、選択培地および/または指示薬を伴う培地における細菌の増殖を含んでなる。典型的にはそのような分析は、同定を行う前に少なくとも1日または2日の培養が必要である。
【0004】
PCRベースの方法では、新鮮な血液サンプル中の細菌量は、理論上は、そのようなサンプル中に存在する細菌のさらなる培養なしに検出されるほど十分に高い。しかし、微小量の細菌を早期に検出するためには、大量の血液が必要である。特に白血球中の大量のDNAは、DNAベースの検出法においてバックグラウンドを劇的に増加させる。また、ヘモグロビン由来のヘムの存在は、DNAポリメラーゼの活性を強力に低減させる。1マイクロリットルのヒトの血液は、約4,000〜11,000の白血球および約150,000〜400,000の血小板を含む。血中のDNA濃度は、30〜60μg/mLの間である。10mLの容量の全血液中で約10〜100,000の細菌種の存在を検出することは、極めて挑戦的である。
【0005】
白血球の大量のDNAは、意味のないPCR産物を引き起こし、あるいは、細菌DNAの検出用に設計されたプライマーを除去し得る。これは、細菌DNAをPCRまたは他の方法により検出する前に、完全なDNA精製と哺乳類DNAの分離を必要とする。
【0006】
PCR反応それ自体の妨害は別として、哺乳類DNAの量は、サンプルの粘度を増加させる。加えて、溶解した哺乳類細胞由来のタンパク質および膜は、サンプルの濾過を妨げる複合体を形成する。これは、特に小型装置にとって問題である。既に大容量のサンプルのさらなる希釈は、許容できない長い操作工程に帰着する。
【0007】
上記理由のために、血液サンプルからヒトDNAを除去する方法が必要である。
【0008】
哺乳類DNAの存在下で細菌DNAを特異的に分析する方法が知られている。SIRSLab社のLooxter(商標)はサンプル由来のメチル化DNAを濃縮する方法を用いる。細菌DNAは高度にメチル化されているので、この手段は、細菌DNAの濃縮をもたらす。Molzym社のMolysis(商標)は、カオトロピック剤および界面活性剤を用いて、哺乳類細胞を選択的に溶解させる。この溶解工程の後には、このカオトロピック剤/界面活性剤に影響されないDNAseを用いた消化を行う。ロッシュ社(Septifast(商標))により市販されている代替手段は、ヒトDNAへの特異的結合およびヒトDNAの増幅を防ぐように特異的に設計されたPCRプライマーペアに依存する。
【0009】
米国特許第6,803,208号公報は、細菌を添加した血小板の高倍率で希釈した懸濁液を37℃で15分間溶解させる方法(その後、フィルター上に保持される細菌の目視検査のために0.4μmのフィルターで少量の溶解サンプルを濾過することが可能である)を開示する。しかし、この方法では、室温で大量のサンプルを処理することはできない。
【発明の簡単な説明】
【0010】
本発明の特定のおよび好ましい側面は、添付された独立形式および引用形式の請求項中に提示されている。引用形式の請求項の特定事項は、独立形式の請求項の特定事項と、および、特に限定されないが、請求項に明示された適切な他の引用形式の請求項の特定事項と、組み合わされ得る。
【0011】
本発明の一つの側面は、微生物を含む、または含むと疑われるサンプル中で、真核細胞、特に動物細胞を選択的に溶解する方法に関する。この方法は、微生物を含む、または含むと疑われる、真核細胞、特に動物細胞を伴うサンプルを提供する工程、非イオン性界面活性剤と緩衝液をサンプルに添加してpH約9.5以上の溶液を得る工程、および、溶液を、真核細胞、特に動物細胞を溶解させるために十分に長い時間、例えば、30秒〜10分、より好ましくは2〜6分インキュベートする工程を含んでなる。溶解は、特定の態様では、15〜30℃、より好ましくは、室温付近で行うことができる。
【0012】
特定の態様では、サンプルは全血液などの哺乳類の血液サンプルである。
【0013】
他の特定の態様では、微生物は、細菌または真菌である。
【0014】
特定の態様によれば、添加する界面活性剤および添加する緩衝液の容量とサンプルの容量との比は、2/1〜1/10である。
【0015】
特定の態様では、非イオン性界面活性剤は、Nonidet、Brij、Tween、Igepal、還元triton、オクチルグルコシド、コール酸塩およびTritonからなる群から選択される。より好ましい例としては、Triton−X 100、Nonidet P40、デオキシコール酸ナトリウム、および/または、Igepal CA630である。
【0016】
特定の態様では、本発明で用いられるアルカリ性緩衝液は、9を超えるpKa値を有する。本発明の例は、ホウ酸塩、炭酸塩、CAPS(N−シクロヘキシル−3−アミノプロパンスルホン酸)、CAPSO(3−(シクロヘキシルアミノ)−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホン酸)、CHES(2−(N−シクロヘキシルアミノ)エタンスルホン酸)、ピロリン酸およびエタノールアミンである。特定の例は、炭酸ナトリウムである。緩衝液は、本発明の比率でサンプルと混合したときに最終溶液のpHが約9.5以上となる十分な緩衝能力を有すべきである。
【0017】
特定の態様では、方法は、微生物をフィルター上に保持する孔サイズを有するフィルター、例えば、0.7μm未満、より好ましくは、0.5μm未満の孔サイズを有するフィルターで、インキュベートした溶液を濾過する工程をさらに含んでなる。本発明の方法は、酵素的または加熱に関連した工程なしに、大量のサンプルの濾過を容易にする。
【0018】
特定の態様では、方法は、本発明の選択的溶解の後に、酸または酸性緩衝液を添加して約7〜9のpHを得る工程「中和工程」をさらに含んでなる。
【0019】
特定の態様では、上記方法は、その後に微生物の検出がなされる。その例は、細胞数計測、顕微鏡法、PCRまたは培養である。
【0020】
特定の態様では、上記方法は、その後に微生物の溶解がなされる。
【0021】
本発明の他の側面は、サンプル中の微生物を検出するための装置(1)であって、40mL未満、好ましくは20mL未満、より好ましくは1〜20mLの容量のサンプル液を受けるための溶解チャンバー(2)、溶解チャンバーに接続された、pH約9.5以上のアルカリ性緩衝液を含んでなるおよび非イオン性界面活性剤を含んでなるリザーバー(3)、または、pH約9.5以上のアルカリ性バッファーを含んでなるリザーバー(31)、非イオン性界面活性剤を含んでなるリザーバー(32)、溶解チャンバーに接続された、溶解後にサンプルを濾過するためのフィルター(4)(ここで、前記フィルターは、細菌をフィルター上に保持する孔サイズを有する)、および、DNAの存在を分析するための検出チャンバー(5)を含んでなる装置に関する。
【0022】
本発明では、アルカリ性緩衝液は、典型的には9.5を超えるpKaを有するため、最終溶液は、約9.5以上のpHを有するであろうし、非イオン性界面活性剤は、典型的には、TritonX−100、デオキシコール酸ナトリウム、Nonidet P40および/またはIgepal CA630である。
【0023】
本発明で開示される方法は、細菌および真菌は無傷なまま(死んでいても生きていても)であるのに対して、サンプル中の白血球および赤血球は選択的に溶解させることを可能とする。
【0024】
本発明で開示される方法は、そのようなサンプルを実質的に希釈することなくサンプルを処理することを可能とし、結果として、より大量のサンプルを処理することを可能とする。加えて、例えば、DNaseによるDNAの酵素的消化や熱の使用の必要が無く、先行技術として知られた方法と比較して、この方法をより複雑性の少ないものにする。
【0025】
本発明で開示される方法は、低粘度および最小の凝集物を有する溶解サンプルを生み出し、細菌を保持するフィルターで大量の溶解サンプルを濾過することを可能とする。そのようなフィルターでの細菌のさらなる処理は、約100〜1000μLの容量で進めることができ、続く手順で大量のサインプルを処理すること、および中和や洗浄などの、統合カートリッジ中で完全に自動化された必要な操作を行うことを可能とする。
【0026】
本発明の上記および他の特徴、特性、および利点は、本発明の原理を例示的に説明する添付された図面と合わせて考慮することで、下記の詳細の説明により明らかとなるであろう。この記載は、例示のためにのみ与えられるのであって、発明の範囲を制限するものではない。下記で引用される参照図面は、添付された図面に関する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は、本発明の方法の特定の態様に従って様々なpH値で選択的に溶解させた後の大量の血液の濾過効率を示す図である。
【図2】図2は、本発明の方法の特定の態様に従って様々なpH値で溶解させた後の様々な細菌の回収を示す図である。
【図3】図3は、本発明の方法の特定の態様に従って様々なインキュベーション時間で溶解させた後の細菌の回収を示す図である。
【図4】図4は、本発明の選択的溶解によるヒトバックグラウンドDNAの低減を示す図である。
【図5】図5は、1mLの全血液中の様々な種類の病原体の検出を示す図である。
【図6】図6は、5mLの全血液中の様々な種類の病原体の検出を示す図である。
【図7】図7は、本発明の手動による方法と装置による方法との差を示す図である。
【図8】図8は、市販の敗血症検出試験と本発明の方法との比較を示す図である。
【図9】図9は、本発明の選択的溶解およびフィルター上での捕捉の後の病原体の溶解を示す図である。
【図10】図10は、本発明の選択的溶解およびフィルター上での捕捉の後に実施されたときの、他の溶解方法との比較における病原体溶解効率を示す図である。
【図11】図11は、本発明の態様に記載された選択的溶解を実施するための装置の態様の模式的概要を示す図である。
【図12】図12は、本発明の態様に記載された選択的溶解ユニットを含んでなる統合装置の例を示す図である。
【0028】
様々な図面で、同じ参照記号が同じまたは類似の要素を意味する。
【発明の具体的な説明】
【0029】
本発明は、特定の態様に関しておよびある図面を参照して記載されるが、本発明はそれらに制限されることはなく、特許請求の範囲にのみ制限される。特許請求の範囲におけるいかなる参照記号も範囲を制限するものと解釈すべきではない。記載された図面は、単なる図解であって、非限定的なものである。図面では、いくつかの要素のサイズは、誇張されている場合もあるし、図解を目的とし、正しい寸法で描かれたものではない。用語「含んでなる」が本明細書および特許請求の範囲で用いられる場合、それは他の要素または工程を除外しない。単数名詞を参照して定冠詞または不定冠詞、例えば、「a」または「an」、「the」が用いられる場合、これは何か他に特別に述べられない限り、その名詞の複数を含む。
【0030】
さらに、本明細書および特許請求の範囲中の用語第一、第二、第三などは、同様の要素間を区別するために用いられるのであって、必ずしも連続的な順番または時間的順番を意味するために用いられるわけではない。そのように用いられる用語は、適切な環境下では相互互換的であり、本明細書に記載される本発明の態様は、本明細書で記載され、または例示される順番以外の順番で操作することも可能であると理解されるべきである。
【0031】
下記の用語または定義は、本発明の理解を助けるためだけに提供される。これらの定義は、当業者に理解されるよりも狭い範囲を有するものと解釈するべきではない。
【発明の詳細な説明】
【0032】
本発明では、「血球」は血中に存在する哺乳類細胞を意味し、赤血球(red blood cell)(赤血球(erythrocyte))、白血球(white blood cell)(白血球(leukocyte))、および血小板(platelet)(血小板(thrombocyte))を含む。
【0033】
本発明では、「全血液」は血漿および血球をふくんでなる未処理血液を意味し、抗凝血剤で処理され得る。
【0034】
「サンプル」は、細胞性材料を含んでなる、並びに、リンパ、脳脊髄液、血液(全血液および血漿)、唾液などの体液を含んでなる水性懸濁液を意味し、例えば、筋肉、脳、肝臓またはそれ以外の組織などのホモジェナイズした懸濁液の水性画分は含まない。
【0035】
本発明の「真核」は、動物、特に血液を含む動物などの真菌以外のあらゆる種の真核生物を意味し、甲殻類などの非脊椎動物および脊椎動物を含んでなる。脊椎動物は、冷血動物(魚類、は虫類、両生類)および温血動物(鳥類および哺乳類)を含んでなる。哺乳類は、具体的には、霊長類、より具体的にはヒトを含んでなる。
【0036】
本発明で用いられる「選択的溶解」とは、サンプル中で、無傷に保たれるそのサンプル中の微生物細胞(細菌細胞など)の割合が、サンプルを回収した生物の無傷で保たれる真核細胞の割合と比較して、有意に高い(例えば、2、5、10、20、50、100、250、500または1000倍以上)ときに得られる。
【0037】
本発明で用いられる「微生物」は、細菌(グラム陽性およびグラム陰性細菌並びに芽胞胞子)並びに酵母およびカビなどの単細胞の真菌に関するが、これらはサンプルを回収した生物中に典型的には病原体として存在する。
【0038】
本発明の第一の側面は、細菌などの微生物を含む、または含むと疑われるサンプル内の真核細胞、特に、動物細胞を選択的に溶解する方法に関する。方法のねらいは、サンプル中の微小量の細菌(すなわち、1mLのサンプル中で10000未満、1000未満、100未満、またはそれ以下の微生物)を検出するための検査の感度を増加させることである。本発明の背景技術において説明したように、サンプル中の真核細胞、特に動物細胞のDNAは、PCRベースの検出法を妨害し、このDNAは、タンパク質や膜と一緒になって、溶解後の粘性を増加させ、また、溶解サンプルの濾過に劇的な影響を与える凝集体を形成する。この問題を解決するため、真核細胞、特に動物細胞は、選択的に溶解され、それにより、微生物の相当の部分(すなわち、20%、40%、60%、80%、90%を超える、または95%すら超える)は生き残り、あるいは、その処理により死んだとしても細胞壁内に細菌DNAが含まれている。本発明で記載された方法は、上記の問題に取り組むものである。
【0039】
本発明で記載された方法は、とりわけ、微生物、特に細菌のDNAの検出が、DNAを含む他の細胞、特にその微生物が病原体として存在する宿主の細胞の存在により阻害される如何なる種類のサンプルに対しても適用できる。
【0040】
本発明で記載された方法は、哺乳類の血液サンプル中の微小量の細菌の存在を検査する態様に対してさらに説明される。
【0041】
血液サンプルは、全血液として、または、血漿若しくは血小板調製物などの処理画分として、保存され得る。典型的には、本発明で記載された方法は、単離されたばかりの全血液で実施される。そのようなサンプルは、一般的に、凝結するのを防ぐために、例えば、ヘパリン、EDTAまたはクエン酸で処理される。
【0042】
あるいは、方法は、静脈から界面活性剤と緩衝液を有するチューブに直接的に血液を回収することにより、新鮮な血液で実施される。
【0043】
従って、新鮮な血液サンプルまたは保存されたサンプルは、緩衝液および非イオン性界面活性剤で補われる。緩衝液およびその濃度の選択は、血液サンプルの緩衝能力を補い、かつ、pH約9.5以上、より具体的には、9.5〜11.5、さらにより具体的には、9.5〜10.5を得るために選ばれる。11.5を超えるpH値は、グラム陽性細菌や真菌などのより頑強な生物に適している。同様に、緩衝液は、pHに必要な変化を与えるために多くてもサンプル容量の200%、150%、100%、50%、20%または10%の緩衝液容量がサンプルに添加されるように、十分に濃縮される。
【0044】
本発明で好適な緩衝液は、典型的には9を超える、9.5を超える、さらに10を超えるpKaを有し、ホウ酸塩、炭酸塩、CAPS、CAPSO、CHES、ピロリン酸、エタノールアミンおよび上記pH領域に最適な緩衝能力を有する他の通常用いられる緩衝液が挙げられる。
【0045】
好適な界面活性剤は、非イオン性界面活性剤であり、一方では、真核細胞、特に動物細胞だけに溶解作用を有するが、他方では、DNAおよびタンパク質に対し可溶化作用を有する。
【0046】
非イオン性界面活性剤の例は、アルカリグリコシド、Brij 35(C12E23 ポリオキシエチレングリコールドデシルエーテル)(15,7)、Brij 58(C16E20 ポリオキシエチレングリコールドデシルエーテル(16)、Genapol(13〜19)、MEGA−8、−9、−10などのglucanid、オクチルグルコシド(12,6)、Pluronic F127、Triton X−100(C1422O(CO))(13,4)、Triron X−114(C2442)(12,4)、Tween20(ポリソルベート20)(16,7)およびTween80(ポリソルベート80)(15)、Nonidet P40、デオキシコール酸ナトリウム、還元Triton X−100および/またはIgepal CA630である。非イオン性界面活性剤の特に好ましい例は、Triton X−100である。
【0047】
界面活性剤の最も効果的な濃度は、界面活性剤によって異なるが、典型的には、0.1〜5%、より具体的には0.1〜1%の範囲内である。界面活性剤(固形または液体)により異なり、%は、それぞれw/v%またはv/v%を意味する。
【0048】
緩衝液と界面活性剤の存在下での血液サンプルのインキュベーションは、10〜30℃の温度、より好ましくは、室温付近で、10分以内、好ましくは30秒〜10分、より好ましくは、約1〜3、1〜5、1〜8、2〜6または1〜10分間行われる。
【0049】
本発明による方法は、選択的溶解が、30℃以下の温度で10分以内で得られるという利点を有する。従って、方法は、一般的には、サンプルを加熱する必要なく、周辺環境温度で行うことができる。
【0050】
溶解の後には、中和工程で酸または酸性緩衝液の添加により、溶解サンプルのpHを中性値(すなわち、7〜9)にしてもよい。中性pHでは、溶解サンプルは、細菌細胞のさらなる溶解、溶解サンプルの流動特性に劇的な変化を起こすことなく、長期間(1時間、2時間、6時間、12時間または24時間まででさえも)保存することが可能であることが分かっている。
【0051】
本発明の方法で調査された他のパラメータは、溶解後の血液サンプルの流動特性の評価である。これは、どの容量の溶解血が0.22μmフィルターで濾過できるかを確認することにより測定できる。本発明の方法は、1容量のサンプルに1容量の緩衝液/界面活性剤を添加することにより希釈した、少なくとも2、5、7.5または10mLでさえも全血液の濾過を可能とする。
【0052】
一般的に、本発明の方法は、典型的には遠心分離または濾過により実施される、サンプルからの無傷の細菌細胞の分離の工程を含んでなる。特定の態様では、無傷の細菌は、典型的には0.4または0.22μmの孔サイズの市販のフィルターなどの、0.5〜10μmのサイズを有する細菌を保持するための1μm未満の孔サイズのフィルターに溶解サンプルを通過させることにより、サンプルから分離される。サンプルの濾過用には、シリンジに合うように適合したフィルターなどの様々な種類の市販の装置が存在し、シリンジ内での溶解後に、液体をシリンジのピストン棒に手動で圧力をかけることによりフィルターを通過させる。
【0053】
以降、フィルター上の細菌(または真菌)の存在は、検査可能である。特定の態様では、微生物の存在は、PCRにより検査される。この目的で、細菌(または真菌)は、フィルターから洗い出され、PCR増幅のためにさらに処理される。あるいは、フィルターは溶解緩衝液で洗浄され、微生物からDNAを放出させて、PCR反応にさらに用いる。
【0054】
他の検出工程は、細胞計測、顕微鏡観察、PCRまたは培養により実施され得る。
【0055】
サンプルの溶解、濾過および微生物の検出は、一つの装置(図11に模式的に描かれる)の中で実施され得る。従って、本発明の一つの側面は、装置(1)であって、1〜10mLの容量のサンプル液を受けるための溶解チャンバー(2)と、溶解チャンバー(2)に接続された上記アルカリ性緩衝液を界面活性剤と共に含んでなるリザーバー(3)、または、上記のアルカリ性緩衝液を含んでなるリザーバー(31)および上記の界面活性剤を含んでなるリザーバー(32)とを含んでなる装置に関する。装置内では、溶解チャンバーは、溶解後のサンプルを濾過するためのフィルター(4)に接続され、それにより、微生物はフィルターに保持される。装置は、微生物をフィルターから除去するためのチャンネルをさらに含んでなり、それらを別のチャンバーで溶解させる。あるいは、装置は、微生物をフィルター上で溶解する手段、溶解した細菌または真菌細胞のDNAをフィルターから別のチャンバーに移送するチャンネルをさらに含んでなる。装置は、DNAの存在を分析するためのDNA精製および検出チャンバー(5)をさらに含み得る。典型的には、検出チャンバーは、PCRモジュールである。
【0056】
選択的溶解および続くDNA精製並びに同定が行われる装置の例は、図12に描かれている。
【0057】
本発明を具体化する他のシステムおよび方法の取り合わせは、当業者に自明であろう。
【0058】
好ましい態様、特定の構造および構成並びに材料が本発明の装置のために本明細書で議論されてきたが、形態および詳細における様々な変更または改変が本発明の範囲および精神から離脱することなく行われ得る。
【実施例】
【0059】
実施例1
濾過に対するpHの影響
本実験の目的は、濾過効率に対する緩衝液のpHの影響を評価することである。緩衝能力は、最終溶液中で同様のpHを得るに十分であり、最終溶液のpHを当業者に知られた従来技術を用いて測定することにより確認された。
【0060】
緩衝液は、
−1M ホウ酸ナトリウム、pH9.0+1% Triton X−100
−1M ホウ酸ナトリウム、pH9.5+1% Triton X−100
−1M 炭酸ナトリウム、pH10.0+1% Triton X−100
−1M 炭酸ナトリウム、pH10.3+1% Triton X−100
−1M 炭酸ナトリウム、pH10.8+1% Triton X−100
を包含した。
【0061】
1mLの緩衝液を1mLの全血液と混合し、3分間インキュベートした。以降、中和緩衝液を添加し、混合物は、25mmの直径で0.45μmの孔サイズを有するサイズ選択フィルターで、真空濾過設備を用いて濾過した。フィルターが詰まるまでのフィルターを通過することのできた血液容量を測定した。結果は、図1に示されている。この実験は、低濃度の病原体の分析のために十分な量の濾過血を得るためには、最終的なpH値が、9.5付近であるかそれ以上であるべきことを示す。
【0062】
実施例2
血球の選択的溶解後の無傷の病原体(E. coli)の回収に対する緩衝液のpHの影響を示す。
【0063】
用いられた緩衝液は、
−1M ホウ酸ナトリウム、pH9.0+1% Triton X−100
−1M ホウ酸ナトリウム、pH9.5+1% Triton X−100
−1M 炭酸ナトリウム、pH10.0+1% Triton X−100
−1M 炭酸ナトリウム、pH10.5+1% Triton X−100
を包含する。
【0064】
同一量の細菌を1mLの血液に加菌した。この容量は、上記緩衝液で3分間処理した。その後、血液を遠心分離(10分、4000g)し、無傷の細菌を回収した。細菌は、標準的なアルカリ溶解法を用いて溶解し、DNAは、キアゲン社スピンカラム(QiaAmp blood mini kit)を用いて精製した。DNA量は、リアルタイムPCRを用いて定量した。結果は図2に示されている。
【0065】
上記図は、選択的溶解緩衝液のpHの関数として細菌の回収を示す。低pH値では、白血球DNAは分解されず、PCR反応を阻害する。高pH値では、細菌は、選択的溶解の間に溶解し始め、それらは回収されない。
【0066】
実施例3
病原体の回収に対するインキュベーション時間の影響
本実施例では、無傷の病原体の回収に対する、本発明の選択的溶解緩衝液を用いた血液の長期間のインキュベーションの影響を示す。一定数のP. aeruginosa細菌を血液に加菌した。1mLの加菌した血液を、1mLの選択的溶解緩衝液(1M 炭酸ナトリウム pH10.0+1% Triton X−100)と混合して、1、2、3、5、7、または10分間インキュベートした。その後、1mLの中和緩衝液を添加した。病原体は遠心分離(4000gで10分)により回収し、細菌ペレットを洗浄した。最後に、細胞を標準的なアルカリ溶解法により溶解し、その後、QiaAmp Blood mini kitを用いてDNA精製を行った。回収したDNA量は、リアルタイムPCRにより測定した。結果は図3に示され、インキュベーションは、好ましくは、30秒〜10分行われることを示す。
【0067】
実施例4
本発明による選択的溶解によるヒトバックグラウンドの低減
現行法の真核細胞DNA、より具体的には、白血球DNAの量の低減は、これが存在すると、これは病原体DNAまたはRNAの検出のためのその後のPCR反応を阻害するため、重要である。残存するバックグラウンドDNAの量を検査するため、様々な血液サンプルを本発明の選択的溶解プロトコルで処理し、PCR反応中の白血球DNAの量は、RNaseP detection kit(アプライドバイオシステムズ社製)を用いて分析した。これらのサンプルのCt値は、200μLの全血液サンプル(すべての白血球DNAが存在する)から得られる値と比較した。文献では、200μLの全血液に由来するヒトDNAが、病原体DNAの増幅を阻害せずにPCR反応に許容されうるバックグラウンドDNAの最大量である。様々なPCR反応の結果が図4に示されている。
【0068】
この図は、本発明の方法に従って処理された1mLの血液サンプル(1M 炭酸ナトリウム pH10.0+1% Triton X−100)と200μLの全血液の参照サンプルとのヒトバックグラウンド量の差異を示している。様々なサンプルが処理され、PCR結果が個々のデータ点として示されている。これらの結果は、本発明により処理された1mLのサンプル中では、バックグラウンドDNAの量は、200μLの全血液の参照サンプルと比較して、はるかに少なかった(より高いCt値)。この結果は、白血球DNAは、本発明の方法を用いると、サンプルから効果的にかつ十分に除去されることを証明する。
【0069】
実施例5
本実施例の目的は、本発明の方法を用いることによる全血液由来の様々な種類の病原体の検出を実証することである。様々な種類の病原体、グラム陰性(P. aeruginosa)、グラム陽性(S. aureus)および真菌(C. albicans)を共に1mLの血液と中に混合した。血液サンプルは、選択的溶解緩衝液(1mLの1M炭酸ナトリウム pH10.0+1%TZ−100溶液)で3分間処理し、その後、pHを中和し、すべての細胞を保持するに十分な小さい孔を有するサイズ選択フィルターを用いて濾過した。フィルターは洗浄して、ヘモグロビンや白血球のDNAなどの残存する阻害剤を除去した。その後、細胞は標準的なアルカリ溶解プロトコルに従って溶解し、DNAはキアゲン社blood mini kitを用いて精製した。
【0070】
病原体DNAは、リアルタイムPCRにより検出した;Ct値はDNA量の尺度である。定量のために、加菌した血液サンプルの小部分を血液アガープレートに播種して、CFUカウントを得た。図5に示されるデータは、全血液から少数の病原体を検出することが可能であることを示す。参照サンプルは、小容量のPBS緩衝液中に直接溶解した同数の細菌を含み、その後、DNA精製およびリアルタイムPCRを用いて定量した。参照測定と血液からの実際の濃縮実験は、同様のCt値を与え、従って、高回収率を実証した。負の対照(細菌無しの血液)は、PCRシグナルを示さなかった。
【0071】
この分析は、大量の血液を用いることを可能とする。実験設備は、上記実施例と同一であったが、血液量は、5mLまで増やした。参照サンプルは、5mLの血液サンプルと同数の病原体を含んでいたが、細胞は、少量のPBS中に保持され、直接溶解させた。結果は図6に示されている。
【0072】
この実験は、大量の血液からの少数の病原体を回収する可能性を実証するものである。データは、回収された病原体DNAの濃度が参照と同様であることを示す。従って、選択的溶解の間、大多数の病原体は無傷であり、白血球DNAの低減は病原体PCRの阻害を防ぐために有効であることが結論し得る。
【0073】
実施例6
本発明の選択的溶解法は、様々な方法で実施し得るものであって、特に限定されるものではないが、手動の手順、および、方法が本発明の装置により実施される手順(統合された手順)を含むものである。本実施例は、そのような統合された手順と手動の手順を比較するものである。手動の手順は、手動のピペッティング、遠心分離を必要とする一方で、統合された手順は、マイクロ流体カートリッジおよびサイズ選択フィルターを用い、必要な作業のすべてを実施できる。基本的な生化学プロトコルは同様である:1M炭酸ナトリウム+1% Triton X−100溶液を用いた白血球および赤血球の選択的溶解の後に3分間の中和工程が続く。次の工程では、混合物は、遠心分離されるか(手動の)、濾過され(統合された)、細胞は洗浄されて、最後にDNAが標準的なアルカリ溶解手順を用いて放出される。最終工程では、DNAをQuiagen blood mini kitを用いて精製し、リアルタイムPCRで検出する。統合されたおよび手動の手順の結果は、下記の図7に見出され得る。同等の結果が得られ、このことは、結果が分析の実装形式によらないことを示す。
【0074】
実施例7
本実施例では、本発明の方法は、市販の方法、すなわち、MolYsis Complete kit(Molzym社製)に対して比較評価した。このキットは、カオトロピック剤および界面活性剤を用い、哺乳類細胞を選択的に溶解させる。この溶解工程の後は、カオトロピック剤/界面活性剤の影響を受けないDNAseを用いた消化を行う。
【0075】
本実験では、1mLの血液サンプルを様々な濃度のS. aureusで加菌した。1mLの血液は、実施例5に記載の通り処理し、別の1mLは製造業者の指示書に従ってMolYsis kitで処理した。Ct値は、図8では、細胞の濃度に対してプロットされ、本発明の方法は、酵素やカオトロピック塩の添加無しに、既知のMolYsis kitと少なくとも同等の効率であることを示す。
【0076】
実施例8
血球の選択的溶解およびサイズ選択フィルター上での病原体細胞の濃縮の後、アルカリ溶解を行って、フィルター上の様々な病原体の同時溶解を成し遂げ、DNAをPCR分析に利用可能とする。
【0077】
図9は、統合されたカートリッジ上で実施されたアルカリ溶解の手順の結果を示す。1mLの血液に10細胞のS. aureusP. aeruginosaおよびC. albicansを加菌した。血球の選択的溶解およびフィルター上での病原体の濃縮の後、200mM NaOH、0.5% SDSを含む200μLの溶液を用いて、95℃で10分間インキュベートすることによって、アルカリ溶解を実施し、フィルターの病原体の完全な溶解を達成した。病原体DNAを含む溶出液は、20μLの1Mクエン酸溶液で中和し、QIAamp DNA/Blood Mini kitを用いて精製した。対照サンプルとして、10細胞の各病原体をベンチで溶解させ、中和し、上記のように精製した。
【0078】
アルカリ溶解の手順の最適化および比較評価には、Candida albicansをモデル系として選択したが、これらの酵母細胞は溶解困難で厳重な細胞壁で良く知られるからである。図10は、アルカリ溶解の手順(50mM NaOH、0.25% SDSを組合せて使用し、熱処理を伴う)と、他の溶解法、すなわち、高強度超音波(HiFU)処理および市販のキット(BD GeneOhm lysis kit)とを比較する図である。アルカリ溶解と市販のキットによる溶解では、サンプルは、遠心分離を用いて1mLからそれぞれ160μLおよび100μLに濃縮された。HiFUでは、2mLの細胞溶液を事前に濃縮することなく用いた。溶解後、未溶解細胞と残屑を遠心分離によりサンプルから除去した。1μLの粗溶解物をPCRのインプットとして用いた。
【0079】
NaOHとSDSの組合せは、個々の化合物のそれぞれよりも溶解に対して有効であった。いずれかの化合物の濃度を増加させても、溶解効率はさらに増加しなかった。熱インキュベーションの工程の無いアルカリ溶解は、有意に効率が低い。溶解効率は、95℃で2分間インキュベートすることにより増加し得るが、分析をカートリッジに統合するためには、70℃でのより長期のインキュベーションが好ましい。
【0080】
アルカリ溶解では、細胞は、50mM NaOHおよび0.25% SDSを含む100μLの溶解溶液に再懸濁する。続いて、サンプルを70℃で10分間インキュベートし、室温まで急速に冷却し、30μLの500mM Tris−HCl、pH7.0を添加することにより中和した(最終濃度150mM Tris、すなわち、NaOH濃度の三倍を得る)。
【0081】
粗溶解物PCRでは、未溶解細胞および残屑は、遠心分離(5分間、14,000g)によりサンプルから除去された。1μLの上清を25μLのPCR反応に添加した。PCRによる検出は、rRNA遺伝子を標的としたTaqman PCR分析(Apollo社製)に基づくものとした。PCR反応は、500nMのフォワードプライマーと300nMのリバースプライマーおよびFAM−BHQ1標識プローブ(すべてのオリゴヌクレオチドカスタムはBiolegio BV社により合成された)を用いて、Taqman Universal Mastermix(アプライドバイオシステムズ社製)中で行った。PCR反応は、バイオラッド社製CFXリアルタイムPCRシステム中で実施した。95℃での10分間の初期の加熱工程でホットスタートポリメラーゼを活性化した後に、増幅のために95℃15秒および60℃1分を50サイクル用いた。蛍光シグナルは、各サイクルで60℃の工程の間に検出した。データ分析は、バイオラッド社製CFXソフトウェアを用いて実施した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
微生物を含む、または含むと疑われるサンプル内の真核細胞を選択的に溶解させる方法であって、
a)微生物を含む、または含むと疑われる、真核細胞を伴うサンプルを提供する工程、
b)pHが9.5付近またはそれ以上の溶液を得るために、非イオン性界面活性剤と緩衝液とを前記サンプルに添加する工程、
c)前記溶液を、真核細胞を溶解させるために十分な長さの時間インキュベートする工程
を含んでなる、方法。
【請求項2】
前記サンプルが、哺乳類の血液サンプルである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記血液サンプルが全血液である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記微生物が細菌である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記微生物が真菌である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記インキュベーションの工程c)が30秒〜10分間実施される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
添加した界面活性剤および添加した緩衝液の容量とサンプルの容量との比が、2/1〜1/10である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
非イオン性界面活性剤が、0.1および5%(w/v%またはv/v%)の濃度で存在する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
非イオン性界面活性剤が、Noidet P40、デオキシコレート、Igepal CA630および/またはTriton−X 100からなる群から選択される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記インキュベーションした溶液を遠心分離し、前記微生物を単離する工程をさらに含んでなる、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
微生物をフィルター上に保持する孔サイズを有するフィルターで、前記インキュベーションした溶液を濾過する工程をさらに含んでなる、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記微生物を溶解させる工程をさらに含んでなる、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
核酸ベースの分子分析をさらに含んでなる、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
サンプル中の微生物を検出する装置(1)であって、
−40mL未満の容量のサンプル液を受けるための溶解チャンバー(2)、
−溶解チャンバーに接続された、9.5以上のpHのアルカリ性緩衝液を含んでなるおよび非イオン性界面活性剤を含んでなるリザーバー(3)、または、約9.5以上のpHのアルカリ性緩衝液を含んでなるリザーバー(31)および非イオン性界面活性剤を含んでなるリザーバー(32)、
−溶解チャンバーに接続された、溶解後にサンプルを濾過するためのフィルター(4)(ここで、前記フィルターは、細菌をフィルター上に保持する孔サイズを有する)、および
−DNAの存在を分析するための検出チャンバー(5)
を含んでなる、装置。
【請求項15】
アルカリ性緩衝液が9.0を超えるpKaを有し、非イオン性界面活性剤がTriton X−100である、請求項14に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2013−512685(P2013−512685A)
【公表日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−542666(P2012−542666)
【出願日】平成22年12月7日(2010.12.7)
【国際出願番号】PCT/IB2010/055628
【国際公開番号】WO2011/070507
【国際公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(511238284)バイオカルティス、ソシエテ、アノニム (2)
【氏名又は名称原語表記】BIOCARTIS SA
【Fターム(参考)】