説明

細胞を培養するためのプロセス

幹細胞潜在力を保持する分化したヒト細胞を培養するためのプロセスを提供する。該プロセスは、ゼラチン・マイクロキャリアおよび第四級アンモニウム誘導体化ポリスチレン・マイクロキャリアからなる群より選択されるマイクロキャリアに固定された、幹細胞潜在力を保持する分化したヒト細胞を培養する工程を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、幹細胞潜在力を保持する分化したヒト細胞を培養するためのプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
幹細胞および幹細胞潜在力を有する細胞は、多くの療法分野でますます関心が持たれてきている。こうした細胞は、典型的には、固体支持体媒体に固定された細胞の培養によって産生される。マウス胚性幹細胞は、Sigma SoloHill(フィブロネクチンをコーティングしたポリスチレン)およびCytodex 3(コラーゲン)マイクロキャリア上の攪拌懸濁培養中で増殖することが示されてきている(Fok EYら, Stem Cells 2005, 23(9):1333−42)。ブタ骨髄由来初代間葉系幹細胞は、Cytodex 1型、2型および3型(コラーゲン)マイクロキャリア上で増殖することが示されてきている(Frauschuh Sら, Biotechnol Prog. 2007, 23(1):187−193)。胚性ネコ肺線維芽細胞は、ウェーブおよび攪拌タンクバイオリアクター中、Cytodex 1上で増殖することが示されてきている(Hundt Bら, Vaccine 2007, 25(10):3987−95)。マウス胚性幹細胞はまた、スピナーフラスコ中、Cytodex 3マイクロキャリア上で増殖することも示されてきている(Abranches Eら, Biotechnol Bioeng. 2007, 96(6):1211−21)。本発明を生じる研究中に、こうしたマイクロキャリアにはいくつかの欠陥があり、このため、幹細胞潜在力を保持する分化したヒト細胞の、信頼性がありそして拡大可能な産生に不適切なものになっていることが発見された。
【0003】
US2007/0264713は、多くの異なるマイクロキャリアを使用して、多くの異なるタイプの幹細胞を増殖させうることを開示する。ヒト胚性幹細胞の培養において、コラーゲン・マイクロキャリアとともに、ゼラチン・マイクロキャリアが例示される。結果によって、コラーゲン・マイクロキャリアは、ゼラチン・マイクロキャリアよりも3倍多い細胞増加を生じることが示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】US2007/0264713
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Fok EYら, Stem Cells 2005, 23(9):1333−42
【非特許文献2】Frauschuh Sら, Biotechnol Prog. 2007, 23(1):187−193
【非特許文献3】Hundt Bら, Vaccine 2007, 25(10):3987−95
【非特許文献4】Abranches Eら, Biotechnol Bioeng. 2007, 96(6):1211−21
【発明の概要】
【0006】
本発明の1つの側面にしたがって、幹細胞潜在力を保持する分化したヒト細胞を培養するためのプロセスであって、ゼラチン・マイクロキャリアおよび第四級アンモニウム誘導体化ポリスチレン・マイクロキャリアからなる群より選択されるマイクロキャリアに固定(anchored)された、幹細胞潜在力を保持する分化したヒト細胞を培養する工程を含む、前記プロセスを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は2Lガラス細胞培養バイオリアクター中の細胞株AVDP1の増殖を示す図である。
【図2】図2は細胞培養バイオリアクター中の細胞株AVDF2の増殖を示す図である。
【図3】図3は細胞培養バイオリアクター中の細胞株AVDS6の増殖を示す図である。
【図4】図4は細胞培養バイオリアクター中の細胞株AVDS6の増殖を示す図である。
【図5】図5は細胞培養バイオリアクター中の細胞株AVDS6の増殖を示す図である。
【図6】図6は細胞培養バイオリアクター中の細胞株AVDF3の増殖を示す図である。
【図7】図7は細胞培養バイオリアクター中の細胞株AVDS2の増殖を示す図である。
【図8】図8はIntegra皮膚再生テンプレート上に植え付けた細胞のCLSM分析を示す図である。
【図9】図9はAVDS4バイオリアクター後および静的培養(対照)に関するアネキシンVアッセイ結果のドットブロット提示を示す図である。
【図10】図10はバイオリアクター後および対照培養のAVSD4細胞におけるTGF-β1産生を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
細胞は、当該技術分野に知られる方法によって、マイクロキャリアに固定され、これには例えば、マイクロキャリア表面への付着によるか、マクロ多孔性マイクロキャリアの内部構造への付着によるか、またはマクロ多孔性マイクロキャリアの内部構造内の物理的捕捉によるものが含まれる。
【0009】
本発明の方法で使用可能なゼラチン・マイクロキャリアは、キャリア物質、例えばポリスチレンまたはガラス粒子上のコーティングとして用いられるゼラチン粒子、架橋ゼラチン粒子またはゼラチンで構成されてもよい。ゼラチンは、天然供給源のものであっても、あるいは組換え的または合成的に産生されてもよい。ゼラチンまたはコラーゲンは、リジンのアミン基を介して、グルタミン酸またはアスパラギン酸のカルボキシル基を介して、あるいはその組み合わせで架橋されてもよい。ゼラチン・マイクロキャリアは、典型的にはほぼ球形であるが、他の形状を有してもよく、そして多孔性または固形のいずれであってもよい。多孔性および固形型のマイクロキャリアはどちらも、商業的に入手可能である。マイクロキャリアは、細胞の固定を容易にするくぼみを伴う密な表面を有してもよい。マクロ多孔性ゼラチン・マイクロキャリアは、例えば、Percell Biolytica AB、スウェーデンより、商標名Cultispher、特にCultispher GおよびCultispher Sのもとに、商業的に入手可能である。ゼラチン・マクロ多孔性マイクロキャリアは、典型的には、非常に架橋されたゼラチン・マトリックスに基づく粒子を含み、粒子サイズはしばしば、10〜500μmであり、そして典型的には1〜50μmの直径を有する多数の空洞を封入するポリマー・マトリックスを形成する。マイクロキャリアの粒子サイズ範囲は、幹細胞の固定に対応するのに十分に大きい一方、懸濁物を形成するのに十分に小さく、振盪フラスコ、ローラーボトル、スピナーフラスコ、ウェーブ・バイオリアクターおよび攪拌タンクバイオリアクター系などの細胞培養バイオリアクター中で使用するのに適切な特性を伴う。
【0010】
本発明で使用可能な第四級アンモニウム誘導体化ポリスチレン・マイクロキャリアは、ポリスチレンに付着したアミノ基を含み、アミノ基は好ましくは3つのアルキル基、特に3つのC1−4アルキル基によって四級化されている。こうしたマイクロキャリアの例には、Hyclone/ThermoFisher Scientific Incより商業的に入手可能なHyQSphereTM HLX11−170が含まれる。
【0011】
ゼラチン・マイクロキャリアは、細胞を異なるバッチのマイクロキャリア上で培養する適用に特に適しており、この場合、細胞は、第一のバッチのマイクロキャリア上で培養され、そして次いで、培養スケールを拡大するため、細胞を採取し、そして次いで、場合によってある期間、保存した後、例えば冷凍庫で保存した後、マイクロキャリアに、典型的にはより大きいバッチのマイクロキャリアに、または合わせるとより多量のマイクロキャリアとなる多数の培養装置に再付着させる。こうした培養−採取および再付着を必要に応じてしばしば反復して、所望の量の細胞を生じてもよい。ゼラチン・マイクロキャリアを、最初のマイクロキャリアとして、または続くマイクロキャリアとして使用してもよいし、あるいは別のマイクロキャリア、特に第四級アンモニウム誘導体化ポリスチレン・マイクロキャリアを、最初のマイクロキャリアとして使用して、採取後の続く再付着をゼラチン・マイクロキャリアに対して行ってもよい。
【0012】
第四級アンモニウム誘導体化ポリスチレン・マイクロキャリアは、細胞をマイクロキャリア上に植え付け、そして脱離および再付着なしに採取までそのマイクロキャリア上で培養する適用に、または続く採取およびゼラチン・マイクロキャリアへの再付着を伴う最初のマイクロキャリアとして適している。さらに、第四級アンモニウム誘導体化ポリスチレン・マイクロキャリアを最後のマイクロキャリアとして使用して、他のマイクロキャリアをより早い培養工程に使用してもよい。
【0013】
本発明の方法によって産生可能な、幹細胞潜在力を保持する分化したヒト細胞は当該技術分野に知られ、そして好ましくは成人細胞であり、特に間葉系細胞であり、そして最も好ましくは脂肪細胞(adiposyte)を含む皮膚細胞である。特に好ましい細胞には、皮膚鞘細胞、皮膚線維芽細胞および皮膚乳頭細胞、特にEP−A−0980270に記載されるような皮膚鞘細胞、US5851831に記載されるような皮膚乳頭細胞、そしてとりわけ、同時係属英国特許出願第0913469.3号に記載されるような皮膚線維芽細胞が含まれる。
【0014】
本発明記載のプロセスを、当該技術分野に知られる容器中で行ってもよく、こうした容器には、組織培養フラスコ、振盪フラスコ、スピナーフラスコ、攪拌タンクバイオリアクター、使い捨てバッグに基づくバイオリアクター系、例えばウェーブ細胞培養系および拡大ベッドバイオリアクター系が含まれる。大規模産生のためのオプションにはまた、ローラーボトル、中空繊維系、単一、多数プレートまたは積み重ねプレート培養系および細胞キューブも含まれる。
【0015】
本発明のプロセスは、一般的に、攪拌タンク培養容器系において、細胞を培養することによって行われる。典型的には、細胞、マイクロキャリアおよび栄養培地を培養容器に供給し、そして細胞拡大を実行可能な条件下で保存する。望ましい場合、培養が最終的に終結し、そして細胞を採取するまで、さらなる培地を培養容器系に添加してもよい。細胞の増殖を実行可能である一方、細胞の幹細胞潜在力を保持する条件下で、細胞を培養することによって、本発明のプロセスを行う。温度、pH、溶解酸素(低酸素条件を含む)等の培養条件は、特定の細胞に関して最適であることが知られるものであり、そして当業者には明らかであろう(例えば、Animal Cell Culture: A Practical Approach 第2版, Rickwood, D.およびHames, B.D.監修, Oxford University Press, ニューヨーク(1992)を参照されたい)。典型的には、細胞は、中性pH前後のpH、通常、6.5〜7.5の範囲、および約30〜38℃の範囲の温度で培養される。
【0016】
本発明の特定の側面において、細胞は、培養容器の異なる深さに位置する2以上のインペラー、通常は回転スターラーを含む攪拌装置で攪拌される容器中で培養される。好ましくは、インペラーは、共通のシャフト周囲に取り付けられる。2つのインペラーを使用する場合、1つのインペラーは、好ましくは、培養容器中の培地の底部に向かって、例えば容器の下3分の1に取り付けられ、第二のインペラーは、容器中の培地中央に向かって、例えば中央の3分の1に、または容器中の培地の上部に向かって、例えば上3分の1のいずれかに取り付けられる。多くの態様において、各インペラーは、インペラーシャフト(単数または複数)の軸に比較して、角度が付いた、2、3、または4のブレード、例えばプロペラ型ブレードを含む。好ましくは、回転スターラーをインペラーとして使用する場合、スターラーは、少なくとも0.25:1、例えば0.3:1〜0.7:1の範囲のスターラー直径:容器直径比を有するように選択される。
【0017】
本発明の他の側面において、少なくとも1つのらせんブレード、そして好ましくは国際特許出願WO00/66258に記載されるような、らせんスターラーを含む攪拌装置で攪拌される容器中で、細胞を培養する。
【0018】
本発明の1つの態様において、プロセスは、1つの培養容器中で行われ、細胞は、マイクロキャリアを含有する培養容器内に直接接種され、望ましい細胞密度に到達するまで、細胞を増殖させ、そして細胞を採取する。
【0019】
本発明の別の態様において、プロセスは、少なくとも2つの別個の細胞培養容器中で行われる。1以上のシード拡大容器中で培養を行ってもよく、その後、細胞産生容器中で培養し、そしてそこから細胞産物を採取する。最終産生細胞培養容器の接種に十分な数の細胞が得られるまで、培養容器サイズを大きくしながら、多数のシード拡大プロセスを行ってもよい。シード拡大培養容器は、同じタイプのもの(例えば組織培養フラスコ、振盪フラスコ、ローラーボトル、スピナーフラスコ、ウェーブ・バイオリアクター、攪拌タンクバイオリアクター)であってもよいが、シード拡大が進行するにつれてサイズを大きくしてもよいし、または産生バイオリアクターへの移動に備えて、シード培養が拡大するにつれてサイズが増加する培養系の混合であってもよい(例えば組織培養フラスコから振盪フラスコ、そこからスピナーフラスコ、そこから攪拌タンクバイオリアクター系など)。
【0020】
本発明の好ましい側面にしたがって、流加培養または連続細胞培養条件を考案して、培養中の細胞の増殖を増進させる。温度、pH、溶解酸素(dO)等の培養条件は、特定の細胞で用いられるものであり、そして当業者には明らかであろう。一般的に、pHは、酸(例えばCO)または塩基(例えばNaCOまたはNaOH)のいずれかを用いて、約6.5〜7.5の間のレベルに調整される。細胞を培養するのに適した温度範囲は、しばしば、約30℃〜38℃の間であり、そして適切なdOは、しばしば、空気飽和の5〜90%の間である。
【0021】
細胞回収プロセス中の細胞採取物に対する潜在的な損傷を制限する、当該技術分野に知られる方法を用いて、ゼラチン・マイクロキャリアから細胞を遊離させてもよい。細胞は、一般的に、タンパク質分解酵素、例えばコラゲナーゼの補助で、ゼラチン・マイクロキャリアから遊離される。細胞増殖の終結に続いて、望ましい場合、キャリアからこうしたタンパク質分解酵素を用いて細胞を遊離させる。
【0022】
マイクロキャリアが細胞培養容器の底に定着するのを可能にすることによって培地交換を実行し、その後、細胞培養増殖培地体積の選択した割合を取り除き、そして対応する割合の新鮮な細胞培養増殖培地を細胞培養容器に添加する。次いで、マイクロキャリアを培地中で再懸濁し、そして典型的には、培地除去および置換のこのプロセスを反復する。
【0023】
培養中の細胞を記載するのに、多様な用語を用いる。「細胞培養」は、一般的に、生物から採取され、そして制御された条件下で増殖した細胞を指す。初代細胞培養は、最初の継代培養前の、生物から直接採取された細胞、組織または臓器の培養である。細胞は、増殖および/または分裂を促進する条件下で培地中に置かれると、培養中で拡大し、より多い細胞集団を生じる。細胞株は、初代細胞培養の1以上の継代培養によって形成される細胞集団である。各継代培養周期は、継代と称される。当業者には、継代期間中に多くの集団倍加がありうることが理解されるであろう。
【0024】
本発明のプロセスで使用するのに適した培地が当該技術分野に知られ、これには、血清を補充した基本培地、血清不含培地、タンパク質不含培地または化学的に定義される増殖培地が含まれる。「馴化」培地を用いてもよい。馴化培地は、特別な細胞または細胞集団を培養し、そして次いで除去したものである。これらの細胞は、培地中で培養される間、他の細胞に対する補助を提供しうる細胞性因子を分泌する。細胞性因子を含有する培地が、「馴化」培地である。培地を馴化するのに用いる細胞は、続いて培養されるものと同じタイプのものであってもよいし、異なる細胞タイプまたは両方の組み合わせであってもよい。
【0025】
本発明は、以下の実施例によって、限定されることなく例示される。
【実施例】
【0026】
細胞株の樹立
以下に記載する修飾を伴って、本質的にEP980270に記載されるように、毛包間葉系細胞を単離した。1μg/mlアンホテリシンおよび10μg/mlゲンタマイシンを含有する最小必須培地(MEM、Sigma)で、ヒト皮膚組織試料を3回洗浄した。解剖顕微鏡下で、微細な外科用はさみを用いて成長期「末端球(end bulbs)」を切除し、そして少量(典型的には100〜200μl)のMEM内に入れた。針を用いて末端球を反転させ、そして乳頭を切開し、そして鞘を摘出した。次いで、乳頭および鞘を、別個に、4ウェル細胞培養プレート(Nunc)に移した。20%ウシ胎児血清、0.5μg/mlアンホテリシンおよび5μg/mlゲンタマイシンを補充した1mlのMEM中、ウェルあたり、10の乳頭および10の鞘を移した。4ウェル細胞培養プレートを無菌および標準条件(37℃、5%二酸化炭素)下で培養した。10日間の細胞増殖後、細胞を各ウェルから脱離させ(当該技術分野でよく確立された標準法を用いる)、そして別個に35mm直径細胞培養プレート(Nunc)に移した。細胞増殖が集密(confluent)になったら、皮膚鞘(本明細書において、以後「AVDS」と称する)および皮膚乳頭(本明細書において、以後、「AVDP」と称する)を先に示すとおりに脱離させ、そして上述の条件下でさらに拡大するため、T25細胞培養フラスコ(Nunc)に移す。
【0027】
多くの異なるヒト組織試料から、AVDSおよびAVDP細胞株を樹立した。以下の実施例に記載するこれらの細胞の要約を、以下の表1に提供する。
【0028】
皮膚線維芽細胞株の樹立
上述のヒト皮膚組織試料と同じ試料から、皮膚線維芽細胞(本明細書において、以後、「AVDF」と称する)細胞株を樹立した。真皮を脂肪層から分離し、そして次いで、顕微鏡下でおよそ2〜3mm表面積の片に切り裂いた。切り裂いた組織を、皮膚鞘および皮膚乳頭細胞株に関して記載するように補充したMEMを含有するT25細胞培養フラスコ(Nunc)に移した。皮膚線維芽細胞(AVDF)細胞株を含有するT25細胞培養フラスコを、無菌および標準条件(先に記載するとおり)下でインキュベーションした。次いで、培養が集密に到達した際、同じ条件を用いて、皮膚線維芽細胞(AVDF)細胞株をさらに拡大した。
【0029】
多くの異なるヒト組織試料から、AVDF細胞株を樹立した。以下の実施例に記載するこれらの細胞株の要約を、以下の表1に提供する。
【0030】
表1:細胞株の要約
【0031】
【表1】

【0032】
比較実施例1
製造者によって記載される標準的調製および滅菌条件を用いて、Cytodex IおよびCytodex IIIマイクロキャリア(Amersham Biosciences)を調製した。次いで、Cytodex IおよびIIIマイクロキャリアを5cm/mlの濃度で用い、そして10%ウシ胎児血清(FBS)を補充した総体積15mlのMEM(Sigma M4655)中、125ml細胞培養振盪フラスコ(Corning)あたり、2.2x10細胞の細胞濃度で、AVDS2細胞株を植え付けた。細胞培養フラスコを軌道振盪装置に入れ(日=「0」)、そして70rpmの攪拌を伴って37℃でインキュベーションした。10%FBSを補充したMEM増殖培地を、第3日に各フラスコに入れ直した。当該技術分野でよく確立された標準的細胞脱離法を用いて、5日後に細胞を採取し、そして当該技術分野においてよく確立されているように、トリパンブルー染色および細胞計数を用いて、AVDS生存細胞数を決定した。驚くべきことに、Cytodex IまたはCytodex IIIマイクロキャリアのいずれでも、培養から生存AVDS細胞は回収されなかった。
【0033】
Cytodex IおよびCytodex IIIマイクロキャリアは、広範囲の哺乳動物細胞タイプの培養のため、産業界で広く用いられ、成功している。Cytodex IおよびCytodex IIIはどちらも、デキストランで構成される。Cytodex Iは、陽イオン性DEAE基を含むデキストラン・マトリックスで構成され、一方、Cytodex IIIは、変性ブタ・コラーゲンでコーティングしたデキストラン・マトリックスで構成される。Cytodex IおよびCytodex III間の表面化学が異なること、そしてこれらのマイクロキャリアが胚性幹細胞、骨髄由来間葉系幹細胞および肺線維芽細胞を増殖させるために使用されていることを含めて、これらが産業界において広く使用されていることを考慮して、当業者は、これらのマイクロキャリアがまた、皮膚鞘細胞(AVDS)の増殖も補助すると予期していたであろう。
【0034】
比較実施例2
2D MicroHexマイクロキャリア(Nunc)を用いて、細胞株AVDS1、AVDS2およびAVDP1を培養した。製造者に推奨される標準法を用いてマイクロキャリアを調製し、そして滅菌した。2D MicroHexマイクロキャリア(Nunc)は、静置細胞培養で用いたものと同じ材料/表面化学で構成される(実施例1および2)。1.0cm/ml、2.0cm/mlおよび4.4cm/mlのマイクロキャリア濃度を用い、そして10%ウシ胎児血清(FBS)を補充した総体積40mlのMEM(Sigma M4655)中、250ml細胞培養振盪フラスコ(Corning)あたり、4x10のAVDS1、AVDS2、AVDS3およびAVDP1細胞を植え付けた。70rpmの攪拌を伴う37℃の軌道振盪装置中に細胞培養フラスコを入れた。3〜10日後に細胞培養フラスコを採取し、そして当該技術分野でよく確立された方法を用いて、生存細胞濃度を決定した。得た結果を表2に提示する。
【0035】
間葉系皮膚幹細胞株AVDS1、AVDS2およびAVDP1によって達成される増殖が劣っていることは、予期されないものであり、そして静置培養においては、これらの細胞株がフラスコ表面に付着し、そして容易に増殖したことを考慮すると、まったく驚くべきものであった。2D MicroHexマイクロキャリアは、静置細胞培養フラスコで用いたものと同じ材料/表面化学で構成される。
【0036】
表2: MicroHexマイクロキャリア上の細胞株AVDS1、AVDS2、AVDS3およびAVDP1の増殖
【0037】
【表2】

【0038】
実施例3
各製造者に推奨される標準法を用いて、以下のマイクロキャリアを調製し、そして滅菌した。調製したマイクロキャリアは: FACTおよびプロネクチンF(Sigma、SoloHill)CGEN 102−L、HLX11−170、Pro−F 102−L、FACT 102−L、P102−LおよびPプラス102−L(Thermo Fisher)であった。FACTおよびプロネクチンFを、5g/Lで用い、CGEN 102−L、HLX11−170、Pro−F 102−L、FACT 102−L、P102−LおよびPプラス102−Lを、2.5g/Lで用いた。10%ウシ胎児血清(FBS)を補充した40ml MEM細胞培養増殖培地MEM(Sigma M4655)中、250mlフラスコあたり、4x10 AVDS2細胞を用いて、振盪フラスコに植え付けた。37℃および70rpmで軌道振盪インキュベーターにフラスコを入れた。6〜7日後にフラスコを採取し、そして先に記載するように生存細胞濃度を決定した。結果を表3に示す。
【0039】
表3:多様なマイクロキャリア上での細胞株AVDS1、AVDS2およびAVDS3の増殖
【0040】
【表3】

【0041】
HLX11−170マイクロキャリアのみが、AVDS2間葉系皮膚幹細胞の何らかの有意な成長および増殖(元来植え付けた細胞数(4x10細胞)を上回る)を補助するという発見は驚くべきものであった。HLX11−170マイクロキャリアは、陽イオン性トリメチルアンモニウムがコーティングされたポリスチレンで構成される。驚くべきことに増殖を補助しなかった他のマイクロキャリアは、陽イオン電荷を伴うI型ブタ・コラーゲン、非コーティング・ポリスチレン・プラスチック、あるいは表面電荷を伴うか、または組換えフィブロネクチンもしくはフィブロネクチンでコーティングされたかいずれかのプラスチックで構成された。先行技術によって、胚性幹細胞株、骨髄由来間葉系幹細胞株および肺線維芽細胞株などの広い範囲の細胞が、コラーゲンで構成されるマイクロキャリア上で容易に増殖することが立証されているのを考慮すると、AVDS2細胞増殖が劣っているのは、特に驚くべきことであった。
【0042】
実施例4
当該技術分野でよく記載される方法を用いて、静置培養条件で増殖中の皮膚鞘細胞AVDS4の8つの225cm細胞培養フラスコ(Nunc)を脱離させ、そして計数した。2.3x10 AVDS4細胞を用いて、10%ウシ胎児血清(FBS)、0.2%Pluronic F−68(Sigma P1300)および5g/L HLX11−170マイクロキャリア(先に記載するように調製しそして滅菌したもの)を補充した総体積1.0LのMEM細胞培養増殖培地(Sigma M4655)を含有するガラス細胞培養バイオリアクター(Applikon)に接種した。バイオリアクターを36.5℃の温度、pH7.0(二酸化炭素ガス散布および/または水酸化ナトリウム添加によって手動で調節)、および80rpmのインペラー速度で培養した。記載する条件下で2日間インキュベーションした後、10%FBSおよび0.2%pluronic F−68を補充したさらに1.0LのMEM細胞培養増殖培地を、細胞培養バイオリアクターに無菌的に添加した。記載する条件下で、さらに5日間、インキュベーションを続けた。次いで、バイオリアクターを採取し、そして4.4x10 AVDS4生存細胞をバイオリアクターから回収した。結果によって、HLX11−170マイクロキャリアを、緊密に制御されそして拡大可能な条件下で、よく定義された特性を持つ多数の幹細胞の再現可能な生成に使用可能であることが立証される。
【0043】
実施例5
実施例4に記載するHLX11−170マイクロキャリア・バイオリアクター培養から回収したAVDS4細胞を用い、当該技術分野でよく確立された方法を用いて、凍結細胞ストックを調製した。液体窒素中に4日間保存した後、2つのアンプルを融解し、そして10%ウシ胎児血清(FBS)を補充した30mlのMEM細胞培養増殖培地(Sigma M4655)中で希釈した。次いで、このAVDS4細胞懸濁物を用いて、表4に示すように、6つの細胞培養フラスコに植え付けた。HLX11−170マイクロキャリアを含む振盪フラスコを、37℃および70rpmの軌道振盪インキュベーターに入れ、そして225cm細胞培養フラスコを、マイクロキャリアを含まず、静置培養条件(37℃、5%二酸化炭素)下で増殖させた。5〜6日後、フラスコを採取し、そして先に記載するように生存細胞濃度を決定した。
【0044】
表4: HLX11−170マイクロキャリアからの採取後の静置および振盪フラスコ培養におけるAVDS4細胞の増殖
【0045】
【表4】

【0046】
次いで、フラスコ2および3(表4)由来の2.8x10 AVDS4細胞を用いて、10%FBSと5g/L HLX11−170マイクロキャリアを補充した総体積125mlのMEM細胞増殖培地中、1L振盪フラスコ(Corning)に植え付けた。ヘッドスペースを空気ガス中の5%COで平衡化し、そしてフラスコを、37℃、70rpmの軌道振盪装置インキュベーターに移した。記載する条件下で2日間インキュベーションした後、10%FBSを補充した125mLのMEM細胞増殖培地をさらにフラスコに添加した。記載する条件下で、インキュベーションをさらに4日間続けた。フラスコを採取し、そして先に記載するように生存細胞濃度を決定した。生存細胞はまったく回収されなかった。
【0047】
驚くべきことに、HLX11−170マイクロキャリア(フラスコ4、5および6)は、AVSD4細胞の増殖をまったく支持せず(該細胞は、先に、HLX11−170マイクロキャリア・バイオリアクター培養から採取されている−実施例5)、そして元来植え付けたよりも少ない数の細胞しかフラスコから回収されなかった。HLX11−170マイクロキャリア・バイオリアクター培養から採取されたAVDS4細胞(実施例5)は、マイクロキャリアの非存在下、静置培養中で成長し、そして増殖した(フラスコ1、2、3)。
【0048】
フラスコ2および3から採取したAVDS4細胞は、HLX11−170マイクロキャリア上に付着せず、そして増殖しないという発見は、さらにより予期せぬものであった。
【0049】
HLX11−170マイクロキャリアを用いて、細胞を拡大可能である(実施例5)が、HLX11−170マイクロキャリア培養から先に採取されている場合、HLX11−170マイクロキャリア上に付着せず、そして増殖しないことが、データによって示唆される。
【0050】
実施例6
当該技術分野でよく確立された方法を用いて、静置培養で増殖させた皮膚鞘細胞AVDS5の1つの225cm細胞フラスコ(Nunc)および2つの75cm細胞培養フラスコ(Nunc)を脱離させた。次いで、2.2x10および1.1x10 AVDS5細胞を用いて、それぞれ、1L細胞培養振盪フラスコ(Nunc)および500ml細胞培養振盪フラスコ(Nunc)に植え付けた。細胞培養フラスコは、1Lおよび500ml振盪フラスコ中、それぞれ、10%FBSを補充した総体積200mlおよび100mlのMEM細胞培養増殖培地中に、1g/L CultiSpher Sマイクロキャリア(上に記載するように調製)を含有した。ヘッドスペースを空気ガス中の5%COで平衡化し、そしてフラスコを、37℃、40rpmの軌道振盪装置インキュベーターに移した。記載する条件下で7日間インキュベーションした後、フラスコの内容物を採取し、そしてマイクロキャリアから細胞を脱離させた。9.1x10 AVDS5細胞を用いて、10%FBS+0.2%pluronic F−68と2g/L CultiSpher Sマイクロキャリアを補充した総体積500mlのMEM細胞培養増殖培地中、2Lのガラス細胞培養バイオリアクター(Applikon)に接種した。バイオリアクターを36.5℃、pH7.0(実施例6に記載するように維持)、および50rpmの攪拌装置速度で培養した。記載する条件下で3日間インキュベーションした後、上述のような細胞培養増殖培地500mlをバイオリアクターに添加し、そして攪拌装置速度を60rpmに増加させた。全部で7日間インキュベーションした後、バイオリアクターからマイクロキャリアを取り除き、そして細胞をマイクロキャリアから脱離させた。生存度83%で、1.3x10細胞を採取した。
【0051】
実施例7
静置培養中で増殖させた皮膚乳頭細胞AVDP1の3つの225cm細胞培養フラスコ(Nunc)を脱離させた。2.0x10 AVDP1細胞を用いて、10%FBSを補充した総体積250mlのMEM細胞増殖培地中、1.5g/L CultiSpher Sマイクロキャリアを含有する2つの1.5L細胞培養スピナーフラスコ各々に植え付けた。ヘッドスペースを空気ガス中の5%COで平衡化した。スピナーフラスコを細胞培養インキュベーター(37℃)に移し、そして磁気スターラーベースを用いて30rpmで攪拌した。記載する条件下で4日間インキュベーションした後、125mlの消費された細胞培養増殖培地を各フラスコから取り除き、そして上述のように、新鮮な細胞培養増殖培地と交換した。記載する条件下で6日間インキュベーションした後、AVDP1細胞をマイクロキャリアから脱離させた。1.6x10細胞を用いて、10%FBS、0.2%pluronic F−68および1.5g/L CultiSpher Sを補充した総体積2LのMEM細胞増殖培地中、2Lのガラス細胞培養バイオリアクター(Applikon)に接種した。バイオリアクターを37℃、pH7.10(実施例6に記載するように調節)、溶解酸素圧20%(空気飽和)および攪拌装置速度50rpmで培養した。COおよびN散布を用いて、溶解酸素レベルを維持した。記載する条件下で4日間および8日間インキュベーションした後、1Lの消費された培地をバイオリアクターから取り除き、そして1Lの新鮮な培地と交換した(上述のとおり)。4日間インキュベーションした後、攪拌装置速度を70rpmに増加させ、そしてインキュベーション第11日、攪拌装置速度を90rpmに増加させた。バイオリアクターから試料を定期的に取り除き、そして細胞を脱離させ、そして先に記載するように生存細胞数を決定した。生存度および細胞数を図1に提示する。2.9x10 AVDP1細胞の有意に高いピークの生存細胞密度が達成された。
【0052】
実施例5、6および7の結果によって、ゼラチン・マイクロキャリアもまた、緊密に制御されそして拡大可能な条件下で、よく定義された特性を持つ、有意に多数の幹細胞の再現可能な生成に使用可能であることが立証される。
【0053】
実施例8
先に記載するように、CultiSpher Sマイクロキャリアを調製した。次いで、マイクロキャリアを用いて、皮膚線維芽細胞株AVDF1を培養した。10%ウシ胎児血清(FBS)を補充した25mlのMEM細胞培養増殖培地(Sigma M4655)を含む250mlの攪拌フラスコ(Corning)に、5x10 AVDF1細胞および1g/L CultiSpher Sマイクロキャリアを植え付けた。フラスコを37℃および70rpmの軌道攪拌装置インキュベーターに入れた。記載する条件下で24時間インキュベーションした後、さらに25mlの増殖培地(上述のとおり)をフラスコに添加し、そしてフラスコを攪拌装置インキュベーターに戻し、そして上記の条件下でインキュベーションを続けた。5日間インキュベーションした後、フラスコ内容物を採取し、そして生存細胞の総濃度を先に記載するように決定した。総数2.1x10生存細胞を採取した。
【0054】
実施例9
当該技術分野でよく記載される方法を用いて、静置培養中で増殖させた皮膚線維芽細胞AVDF2の2つの225cm細胞培養フラスコ(Nunc)を脱離させ、そして計数した。2.0x10 AVDF2細胞を用いて、2g/L CultiSpher Sマイクロキャリア(先に記載するように調製)を含有し10%FBSを補充した総体積90mlのMEM細胞培養増殖培地を含有する2つの1L細胞培養振盪フラスコ(Nunc)の各々に植え付けた。細胞培養フラスコのヘッドスペースを空気ガス中の5%COで平衡化した。細胞培養フラスコを37℃の温度および40rpmの攪拌の軌道攪拌装置インキュベーターに移した。記載する条件下でフラスコを24時間インキュベーションし、そして各フラスコにさらに90mlの細胞培養増殖培地(上述のとおり)を添加した。上記条件下の振盪装置インキュベーターにフラスコを戻し、そしてインキュベーションを7日間続けた。フラスコの内容物を採取し、そして細胞をマイクロキャリアから脱離させた(先に記載するとおり)。次いで、1.65x10 AVDF2細胞を用いて、2g/L CultiSpher Sマイクロキャリアを含有し10%FBSを補充した総体積750mlのMEM細胞培養増殖培地中、3Lスピナー細胞培養フラスコ(Corning)に接種した。ヘッドスペースを空気ガス中の5%COで平衡化した。スピナーフラスコを細胞培養インキュベーター(37℃)に移し、そして磁気スターラーベースを用いて30rpmで攪拌した。記載する条件下で2日間インキュベーションした後、上述の細胞培養増殖培地をさらに750ml、スピナーフラスコに添加した。上述の条件下でインキュベーションをさらに4日間続けた。細胞培養スピナーフラスコの内容物を採取し、そして細胞を回収した。生存度91%で、4.0x10 AVDF2細胞を回収した。
【0055】
実施例10
当該技術分野でよく記載される方法を用いて、静置培養で増殖させた皮膚線維芽細胞AVDF2の1つの75cmフラスコ(Nunc)を脱離させ、そして計数した。2.2x10 AVDF2細胞を用いて、1.5g/L CultiSpher Sマイクロキャリア(先に記載するように調製)を含有し10%FBSを補充した総体積240mlのMEM細胞培養増殖培地中、1Lスピナー細胞培養フラスコ(Wheaton)に植え付けた。フラスコのヘッドスペースを窒素ガス中の5%COおよび2%Oで平衡化した。スピナーフラスコを細胞培養インキュベーター(37℃)に移し、そして磁気スターラーベースを用いて40rpmで攪拌した。記載する条件下で4日間インキュベーションした後、120mlの細胞培養上清をスピナーフラスコから取り除き、そして120mlの新鮮な細胞培養増殖培地(上記)をスピナーフラスコに添加した。上記条件下でインキュベーションをさらに24時間続けた。細胞培養スピナーフラスコからさらなる試料(90ml)を採取し、そして細胞を回収した。生存度76%で、5.7x10 AVDF2細胞を回収した。次いで、回収した細胞(2.4x10 AVDF2細胞)を用いて、1.5g/L CultiSpher Sマイクロキャリア(先に記載するように調製)を含有する、フラスコあたり総体積300mlの細胞培養増殖培地(上記)中、2つの1Lスピナー細胞培養フラスコ(Wheaton)の各々に植え付けた。フラスコのヘッドスペースを窒素ガス中の5%COおよび2%Oで平衡化した。スピナーフラスコを細胞培養インキュベーター(37℃)に移し、そして磁気スターラーベースを用いて40rpmで攪拌した。記載する条件下で4日間インキュベーションした後、そして7日目まで、そして7日目を含めて、毎日、体積30mlの細胞培養上清を各スピナーフラスコから取り除き、そして30mlの新鮮な細胞培養増殖培地(上記)と交換した。記載する条件下で全部で8日間インキュベーションした後、生存度88%で、6.6x10 AVDF2細胞を回収した。これらの細胞(1.6x10 AVDF2細胞)を用いて、10%FBS、0.2%pluronic F−68および1.5g/L CultiSpher Sマイクロキャリア(先に記載するように調製)を補充した総体積2LのMEM細胞培養増殖培地中、2Lのガラス細胞培養バイオリアクター(Applikon)に接種した。バイオリアクターを37℃、pH7.0(実施例7に記載するように調整)、溶解酸素圧2.0%(空気飽和)および攪拌装置速度50rpmで培養し、攪拌装置速度を培養経過中、90rpmに次第に増加させた。COおよびNガス散布を用いて、溶解酸素レベルを維持した。発泡している場合、エマルジョンC消泡剤(Sigma)をバイオリアクターに添加した。記載する条件下で4日間インキュベーションした後、バイオリアクター中の総培養体積の20%を新鮮な細胞培養増殖培地と24時間ごとに交換した。バイオリアクターから試料を定期的に取り除き、そして先に記載するように細胞を脱離させ、そして生存細胞数を決定した。生存度および細胞数を図2に提示する。培養中で18日後、5.0x10細胞の生存細胞数に到達した。
【0056】
実施例11
細胞株AVDS6のバイアルを融解し、そして10%FBSを補充した50mlのMEM細胞培養増殖培地を添加した。生存度90%で、4.2x10細胞を回収した。2x10 AVDS6細胞を用いて、総体積250mLの増殖培地(上記)中、8.0x10細胞/mLおよび1.5g/L CultiSpher Sマイクロキャリア(先に記載するように調製)を含む2つのスピナー細胞培養フラスコ(Wheaton)の各々に植え付けた。実施例10に記載するようにフラスコをインキュベーションした。記載する条件下で、4、5、6および7日間インキュベーションした後、体積30mlの細胞培養上清を各スピナーフラスコから取り除き、そして30mlの新鮮な細胞培養増殖培地(上記)と交換した。全部で8日間インキュベーションした後、フラスコの内容物を採取し、そして生存度80%で、4.9x10細胞を回収した。次いで、1.6x10 AVDS6細胞を用いて、10%FBS、0.2%pluronic F−68および1.5g/L CultiSpher Sマイクロキャリア(先に記載するように調製)を補充した総体積1.5LのMEM細胞増殖培地中、2Lのガラス細胞培養バイオリアクター(Applikon)に接種した。バイオリアクターを37℃、pH7.0(実施例7に記載するように調整)、溶解酸素圧2.0%(空気飽和)および攪拌装置速度50rpmで培養し、攪拌装置速度を培養経過中、90rpmに次第に増加させた。実施例10に記載するように溶解酸素レベルを維持した。発泡している場合、エマルジョンC消泡剤(Sigma)をバイオリアクターに添加した。記載する条件下で4日間インキュベーションした後、バイオリアクターにさらに500mlの増殖培地(上記)を添加した。培養5日目から、総培養体積の5%を24時間ごとに交換した。バイオリアクターから試料を定期的に取り除き、そして細胞を脱離させ、そして生存細胞数を決定した(先に記載するとおり)。生存度および細胞数を図3に提示する。培養中で17日後、2Lバイオリアクター中、9.0x10細胞の生存細胞数が観察された。
【0057】
実施例12
当該技術分野でよく記載される方法を用いて、静置培養中で増殖させた細胞株AVDS6の5つの225cmフラスコ(Nunc)から細胞を脱離させ、そして計数した。2.0x10 AVDS6細胞を用いて、1.5g/L CultiSpher Sマイクロキャリア(先に記載するように調製)を含有し10%FBSを補充した総体積200mlのMEM細胞培養増殖培地中、2つの1Lスピナー細胞培養フラスコ(Wheaton)の各々に植え付けた。ヘッドスペースを窒素ガス中の5%COおよび2%Oで平衡化した。スピナーフラスコを細胞培養インキュベーター(37℃)に移し、そして磁気スターラーベースを用いて40rpmで攪拌した。記載する条件下で4日間インキュベーションした後、そして6日目まで、そして6日目を含めて、毎日、体積20mlの細胞培養上清を各スピナーフラスコから取り除き、そして20mlの新鮮な細胞培養増殖培地(上記)と交換した。記載する条件下で7日間インキュベーションした後、フラスコを採取し、そして生存度87%で、3.6x10細胞を回収した。次いで、2.8x10 AVDS6細胞を用いて、10%FBS、0.2%pluronic F−68および1.5g/L CultiSpher Sマイクロキャリア(先に記載するように調製)を補充した総体積3.5LのMEM細胞培養増殖培地中、5Lのガラス細胞培養バイオリアクター(Applikon)に接種した。バイオリアクターを36.5℃、pH7.1(実施例7に記載するように調整)、溶解酸素圧5.0%(空気飽和)および攪拌装置速度70rpm(培養経過中、110rpmに次第に増加させた)で培養した。実施例10に記載するように溶解酸素レベルを維持した。発泡している場合、エマルジョンC消泡剤(Sigma)をバイオリアクターに添加した。記載する条件下で4〜7日間インキュベーションした後、総培養体積の10%を24時間ごとに交換した。培養中で8〜10日目、培地全体の15%を、そして培養中で11〜22日目、総培養体積の20%を24時間ごとに交換した。バイオリアクターから試料を定期的に取り除き、そして細胞を脱離させ、そして生存細胞数を決定した(先に記載するとおり)。生存度および細胞数を図4に提示する。培養23日後、5Lバイオリアクター中で4.1x10細胞の最大生存細胞数が観察され、5Lバイオリアクタースケールへのプロセス拡大が成功したことが立証された。
【0058】
実施例13
当該技術分野でよく記載される方法を用いて、静置培養中で増殖させた細胞株AVDS6の3つの225cmフラスコ(Nunc)を脱離させ、そして計数した。生存度84%で、4.3x10細胞を回収した。次いで、3.0x10 AVDS6細胞を用いて、1.5g/L CultiSpher Sマイクロキャリア(先に記載するように調製)を含有し4mMグルタミン(Sigma)を補充した総体積300mlの低血清(2%)増殖培地中、1Lスピナー細胞培養フラスコ(Wheaton)に植え付けた。実施例12に記載するように培養をインキュベーションした。記載する条件下で6日間インキュベーションした後、フラスコの内容物を採取し、そして生存度93%で、総数3.8x10細胞を回収した。2.0x10 AVDS6細胞を用いて、4mMグルタミン(Sigma)、0.2%pluronic F−68および1.5g/L CultiSpher Sマイクロキャリア(先に記載するように調製)を補充した総体積2.0Lの血清不含増殖培地を用い、ガラス細胞培養バイオリアクター(Applikon)に接種した。バイオリアクターを36.5℃、pH7.1(実施例7に記載するように調節)、溶解酸素圧5.0%(空気飽和)および攪拌装置速度70rpmで培養し、攪拌装置速度を培養経過中、130rpmに次第に増加させた。実施例10に記載するように溶解酸素レベルを維持した。発泡している場合、エマルジョンC消泡剤(Sigma)をバイオリアクターに添加した。記載する条件下で4〜7日間インキュベーションした後、総体積の10%を新鮮な細胞培養増殖培地と24時間ごとに交換した。培養中で8〜10日目、総培養体積の15%を、そして培養中で11〜20日目、総培養体積の20%を新鮮な細胞培養増殖培地と24時間ごとに交換した。バイオリアクターから試料を定期的に取り除き、そして先に記載するように細胞を脱離させ、そして生存細胞数を決定した。生存度および細胞数を図5に提示する。培養20日後、1.2x10細胞の最大生存細胞数が観察された。これは、本発明のプロセスの広い有用性を立証する。さらに、当該技術分野によく通じているものは、低血清培地を用いて細胞を増殖させる利点を認識するであろう。
【0059】
実施例14
細胞株AVDF3のバイアルを融解し、そして10%FBSを補充した45mlのMEM細胞培養増殖培地を用いて再懸濁した。生存度94%で、7.7x10 AVDF3細胞を回収した。2.4x10細胞を用いて、総体積300mLの増殖培地(上記)中、8.0x10細胞/mLおよび1.5g/L CultiSpher Sマイクロキャリア(先に記載するように調製)を含む2つの1Lスピナー細胞培養フラスコ(Wheaton)の各々に植え付けた。実施例10に記載するようにフラスコをインキュベーションした。これらの条件下で8日間インキュベーションした後、フラスコを採取し、そして生存度96%で、8.4x10細胞を回収した。1.6x10細胞を用いて、10%FBS、0.2%pluronic F−68および1.5g/L CultiSpher Sマイクロキャリア(先に記載するように調製)を補充した総体積2LのMEM細胞培養増殖培地中、ガラス細胞培養バイオリアクター(Applikon)に接種した。バイオリアクターを36.5℃、pH7.0(実施例7に記載するように調整)、溶解酸素圧5.0%(空気飽和)および攪拌装置速度70rpmで培養し、攪拌装置速度を培養経過中、120rpmに次第に増加させた。実施例10に記載するように溶解酸素レベルを維持した。発泡している場合、エマルジョンC消泡剤(Sigma)をバイオリアクターに添加した。記載する条件下で4〜7日間インキュベーションした後、総培養体積の10%を新鮮な増殖培地と24時間ごとに交換した。培養中で8〜10日目、総培養体積の15%を、そして培養中で11〜20日目、総培養体積の20%を新鮮な増殖培地と24時間ごとに交換した。バイオリアクターから試料を定期的に取り除き、そして先に記載するように細胞を脱離させ、そして生存細胞数を決定した。生存度および細胞数を図6に提示する。第15日、3.3x10細胞の最大生存細胞数が達成された。
【0060】
実施例15
当該技術分野でよく記載される方法を用いて、静置培養条件で増殖させた皮膚線維芽細胞AVDF3の1つの225cm2細胞培養フラスコ(Nunc)を脱離させ、そして計数した。2.3x10細胞を用いて、2mMグルタミン(Sigma)を補充した総体積330mlの血清不含増殖培地中、1.5g/L CultiSpher Sマイクロキャリア(先に記載するように調製)を含有する1.5L細胞培養スピナーフラスコに植え付けた。フラスコのヘッドスペースを5%CO、2%Oガスで平衡化した。スピナーフラスコを37℃の細胞培養インキュベーターに移し、そして磁気スターラーベースを用いて35rpmで攪拌した。記載する条件下で4日間インキュベーションした後、35mlの細胞培養上清をフラスコから取り除き、そして新鮮な血清不含増殖培地(上記のとおり)と交換した。第5日および第7日、50mlの培養上清を取り除き、そして上述のように新鮮な血清不含培地と交換した。第8日、80mlの培養上清を取り除き、そして新鮮な血清不含培地と交換した。10日間培養した後、AVDF3細胞をマイクロキャリアから脱離させた。1.35x10細胞を用いて、2mMグルタミン、0.2%pluronic F−68および1.5g/L CultiSpher Sマイクロキャリア(先に記載するように調製)を補充した総体積2Lの血清不含増殖培地中、ガラス細胞培養バイオリアクター(Applikon)に接種した。バイオリアクターを36.5℃、pH7.0(実施例7に記載するように調整)、溶解酸素圧5.0%(空気飽和)および攪拌装置速度40rpmで培養し、攪拌装置速度を培養経過中、60rpmに次第に増加させた。実施例10に記載するように溶解酸素圧を維持した。発泡している場合、エマルジョンC消泡剤(Sigma)をバイオリアクターに添加した。記載する条件下で4日間インキュベーションした後、バイオリアクターから200mlの培養上清を取り除き、そして新鮮な血清不含増殖培地(上記のとおり)と交換した。第6日、第8日、第10日、第11日、第13日、第15日、第17日および第21日に、さらに200mlの培養上清を取り除き、そして新鮮な血清不含増殖培地(上記のとおり)と交換した。バイオリアクターから試料を定期的に取り除き、細胞をマイクロキャリアから脱離させ、そして先に記載するように生存細胞数を決定した。第15日に、7.3x10細胞のピーク細胞密度が達成された。これは、プロセスの有用性をさらに立証する。血清不含培地を用いる利点、特に産生の再現可能性、より一貫した成績、偶発的な剤での細胞の汚染の可能性の減少は、当業者には明らかであろう。血清不含培地は当該技術分野に知られ、そして商業的供給者から容易に入手可能である。
【0061】
実施例16
当該技術分野でよく記載される方法を用いて、静置培養条件で増殖させた細胞株AVDS2の2つの225cmフラスコ(Nunc)から細胞を脱離させ、そして計数した。生存度90%で、3.1x10細胞を回収した。2.9x10 AVDS2細胞を用いて、1.5g/L CultiSpher Sマイクロキャリア(先に記載するように調製)を含有し10%FBSを補充した総体積300mlのMEM細胞培養増殖培地中、2つの1Lスピナー細胞培養フラスコ(Wheaton)の各々に植え付けた。フラスコのヘッドスペースを窒素ガス中の5%COおよび2%Oで平衡化した。スピナーフラスコを細胞培養インキュベーター(37℃)に移し、そして磁気スターラーベースを用いて40rpmで攪拌した。記載する条件下で4日間インキュベーションした後、そして7日目まで、そして7日目を含めて、毎日、体積30mlの細胞培養上清を各スピナーフラスコから取り除き、そして30mlの新鮮な細胞培養増殖培地(上記)と交換した。記載する条件下で8日間インキュベーションした後、フラスコを採取し、そして生存度96%で、4.7x10細胞を回収した。2.0x10 AVDS2細胞を用いて、10%FBS、0.2%pluronic F−68および1.5g/L CultiSpher S(先に記載するように調製)を補充した総体積2LのMEM細胞培養増殖培地中、ガラス細胞培養バイオリアクター(Applikon)に接種した。バイオリアクターを36.5℃、pH7.1(実施例7に記載するように調整)、溶解酸素圧5.0%(空気飽和)および攪拌装置速度40rpmで培養し、攪拌装置速度を培養経過中、70rpmに次第に増加させた。実施例10に記載するように溶解酸素レベルを維持した。発泡している場合、エマルジョンC消泡剤(Sigma)をバイオリアクターに添加した。記載する条件下で4〜7日間インキュベーションした後、総培養体積の10%を24時間ごとに交換し、そして培養中で8〜10日目、培地全体の15%を24時間ごとに交換した。本実施例で用いるインペラー(攪拌)配置を、実施例7〜15におけるものに改変した。本実施例で用いたインペラー配置は、0.4および0.3のインペラー直径対バイオリアクター直径の比を持つ2つのインペラーからなった。実施例7〜15では、インペラーシャフト基部、すなわち細胞培養容器基部に位置するものに関して、0.3の比のインペラーを用いた。本実施例では、インペラーシャフト基部/細胞培養容器基部では、0.4の直径比を持つインペラーを用い、そして中央位置(シャフト基部のインペラーおよび最終細胞培養培地体積(採取時)に比較して)のインペラーシャフトには、0.3の直径比を持つインペラーが付着した。バイオリアクターから試料を定期的に取り除き、そして先に記載するように細胞を脱離させ、そして生存細胞数を決定した。生存度および細胞数を図7に提示する。培養中で10日後、2.0x108細胞の生存細胞数が観察された。
【0062】
驚くべきことに、インペラー配置を改変すると、プロセスに有意な改善が導かれる。細胞培養中により低い回転速度を使用可能であり、これによって、優れた細胞増殖および生存度を維持するのに必要な最適な混合に影響を及ぼすことなく、細胞に対する剪断ストレスの潜在的に負の影響を減少させる。より驚くべきことに、高い生存細胞数に到達するのに掛かる細胞培養時間が有意に減少した。実施例13では、DS細胞株のピーク細胞数には、第23日に到達することがわかる。本実施例では、第11日に類似のピーク細胞数に到達し、細胞培養時間が有意に減少した。当業者には、療法的適用のために、プロセスを拡大して細胞を商業的に製造する際に、細胞製造時間の減少がどのように製造時間およびコストを減少させるかが明らかであろう。
【0063】
実施例17
皮膚由来前駆体(SKP)は、皮膚細胞から単離可能な自己再生多能性前駆体集団である。SKP細胞は、胚性神経冠幹細胞に類似の遺伝子発現プロフィールを示すとして当該技術分野によく記載されてきており、そしてしたがって、これを用いてシュワン細胞および末梢神経系のニューロンを含む、神経冠派生物を生成することも可能である。増殖培地中、高濃度の線維芽細胞増殖因子2(FGF2)および上皮増殖因子(EGF)を用いて、皮膚細胞を培養することによって、SKP細胞を単離してもよい。SKPは浮遊球体として増殖し、そしてしたがって、当該技術分野でよく確立された方法を用いて、容易に可視化され、そして定量化される。上記実施例で生成した細胞を、先の実施例に記載する条件下で増殖させた後、SKP形成アッセイに用いた。バイオリアクター条件を用いた拡大/増殖後に細胞がSKPを形成する能力を、多能性の1つの測定値として用い、そしてこうして、これらの細胞の療法的潜在力が、バイオリアクター拡大/細胞産物製造後に不都合に影響を受けていないことを確認する。
【0064】
バイオリアクター培養から採取しておいた細胞(実施例6)由来の凍結保存した細胞株AVDS5のバイアルを融解し、そして10%FBSを補充した44mlのMEM細胞培養増殖培地を添加した。細胞懸濁物を225cm細胞培養フラスコ(Nunc)に移し、そして上記の静置培養条件下で6日間インキュベーションした。次いで、細胞を脱離させ、そして計数し、そして生存度80%で、総数8.3x10細胞を回収した。次いで、細胞を180xgで5分間遠心分離し、そして74%DMEM(Sigma)、Glutamaxを含む24%F12(Invitrogen)、0.1%ペニシリン/ストレプトマイシン(Sigma)、40ng/mLヒトFGF−2(R&D Systems)、20ng/mLヒトEGF(R&D Systems)および2%B27補充剤(Invitrogen)からなるSKP増殖培地中に再懸濁した。次いで、2.5x10細胞を25cm細胞培養フラスコ(Nunc)に移し、そして上記のようにインキュベーションした。3〜4日ごとに、1mlの細胞不含上清をフラスコから取り除き、そして5倍高い濃度のEGF、FGF−2およびB27補充剤を含有する1mlのSKP増殖培地と交換した。
【0065】
22日間インキュベーションした後、SKPはフラスコ中で可視であり、実施例6に記載するCultiSpher Sマイクロキャリアを用いたバイオリアクター拡大が、細胞がSKPを形成する能力に不都合に影響を及ぼしていなかったことが示され、そしてその多能性幹細胞特性が確認された。当業者は、拡大に対する細胞特性の保持、特に、限定されるわけではないが幹細胞多能性の保持の重要性を認識するであろう。
【0066】
バイオリアクター中で増殖していないストック細胞(細胞培養フラスコ中の静置培養のみを用いて継代されたもの)由来の凍結保存した細胞株AVDS4のバイアルを融解し、そして10%FBSを補充した15ml MEM細胞培養増殖培地を添加した。細胞懸濁物を2つの25cm細胞培養フラスコ(Nunc)に移し、そして上記の条件下で1日間インキュベーションした。次いで、細胞をフラスコから脱離させ、そしてこれを用いて、総体積45mlの細胞培養増殖培地中、225cm細胞培養フラスコ(Nunc)に植え付けた。記載する条件下で4日間インキュベーションした後、細胞を脱離させ、そして生存度88%で、1.3x10細胞を回収した。次いで、細胞を180xgで5分間遠心分離し、そして上記のようなSKP増殖培地中に再懸濁した。次いで、2.5x10細胞を25cm細胞培養フラスコ(Nunc)に移し、そして上記のようにインキュベーションした。3〜4日ごとに、1mlの細胞上清をフラスコから取り除き、そして5倍高い濃度のEGF、FGF−2およびB27補充剤を含有する1mlのSKP増殖培地と交換した。
【0067】
22日間インキュベーションした後、SKPはフラスコ中で可視であった。
【0068】
本実施例は、CultiSpher Sマイクロキャリア上で増殖させた細胞は、SKPを形成する能力を保持することを立証し、細胞が多能性幹細胞特性に対する能力を保持したことが確認された。HLX11−170マイクロキャリア上で増殖させた細胞は、SKPを形成せず、そしてしたがって、この重要な多能性潜在力を失っているため、これは、特に驚くべきことであった。
【0069】
実施例18
細胞株AVDS4の2つの225cm細胞培養フラスコ(Nunc)を採取し、そして91%の生存度で、4.7x10細胞を回収した。次いで、2x10細胞を用いて、1.5g/L CultiSpher Sマイクロキャリア(先に記載するように調製)を含有し10%FBSを補充した総体積250mlのMEM細胞培養増殖培地中、1Lスピナー細胞培養フラスコ(Wheaton)に植え付けた。フラスコのヘッドスペースを窒素ガス中の5%COおよび2%Oで平衡化した。スピナーフラスコを細胞培養インキュベーター(37℃)に移し、そして磁気スターラーベースを用いて40rpmで攪拌した。記載する条件下で4日間インキュベーションした後、そして6日目まで、そして6日目を含めて、毎日、体積25mlの細胞培養上清を各スピナーフラスコから取り除き、そして25mlの新鮮な細胞培養増殖培地(上記)と交換した。記載する条件下で7日間インキュベーションした後、生存度95%で、2.1x10細胞を回収した。次いで、1.3x10細胞を、総体積17mlの細胞培養増殖培地(上記)中、12.5cm片の三次元生体適合性組織再生骨格(Integra皮膚再生テンプレート(Integra Life Sciences))を含有する125ml細胞培養振盪フラスコ(Corning)に植え付けた。シリコン層が細胞培養フラスコ基部に向き、そしてコラーゲン表面が上方に向き、そしてしたがって細胞懸濁/細胞増殖培地中に浸るように、Integra皮膚再生テンプレートをフラスコ中に配置する。フラスコのヘッドスペースを窒素ガス中の5%COおよび2%Oで平衡化し、そして37℃および60rpmに設定した軌道振盪インキュベーターに移した。3〜4日ごとに、8mlの細胞上清をフラスコから取り除き、そして8mlの新鮮な細胞培養増殖培地と交換した。フラスコをこれらの条件下で14日間インキュベーションし、そして次いで、細胞を植え付けたIntegra皮膚再生テンプレートをフラスコから取り除き、そして当該技術分野でよく記載される方法を用いて、メタノール/アセトン(Fisher)の50/50混合物で固定した。次いで、当該技術分野で確立されているように、ヨウ化プロピジウム(10μg/ml、543nmで励起、610〜640nmの範囲で発光を捕捉)での細胞核染色、二分および共焦点レーザー走査型顕微鏡(CLSM)によって、Integra皮膚再生テンプレート内への細胞の浸潤および増殖を分析した。画像分析ソフトウェア(Image J、NIH)を用いて、捕捉されたCLSM画像を分析した。Integra皮膚再生テンプレートの横断面のCLSMスキャンを分析し、そして細胞数(表面から骨格内への空間分布)を図8に提示する。
【0070】
データによって、Integra皮膚再生テンプレートへの細胞の浸潤および増殖が示される。これらのデータはさらに、プロセスの有用性を例示し、CultiSpher Sマイクロキャリア培養を用いて製造された細胞が、Integra皮膚再生テンプレートなどの生体適合性三次元骨格内で浸潤しそして増殖する能力を保持することを立証する。皮膚再生の当業者には、細胞が骨格の外表面のみに存在するならば、限定されるわけではないが細胞外マトリックス産生および血管新生などの創傷治癒の重要な側面が限定され、そして組織再生成功の可能性は低い/劣っているであろうことが明らかであろう。
【0071】
実施例19
アポトーシスは、細胞成長および増殖の重要でそして能動的な制御経路であることが当該技術分野でよく確立されている。アポトーシスは、(限定されるわけではないが)増殖培地、ストレス条件または他のパラメーターによって達成されうる。細胞培養集団におけるアポトーシス細胞のレベルの決定を、プロセス条件、細胞拡大などの負の影響を監視し、そして評価するツールとして用いてもよい。アネキシンVアッセイは、当該技術分野でよく確立されており、そしてこれを用いて、MEM+10%FBS細胞培養増殖培地を含むバイオリアクター中でのCultiSpher Sマイクロキャリア上で増殖させた細胞におけるアポトーシスを測定した。静置培養中で連続継代し、また、MEM+10%FBS中で増殖させた細胞を、対照として用いて、バイオリアクター中、CultiSpher Sマイクロキャリアを用いて増殖させた細胞集団におけるアポトーシスのレベルと比較した。
【0072】
バイオリアクターから採取しておいた細胞ストック(実施例11)由来の凍結保存した細胞株AVDS4のバイアルを融解し、そしてMEM+10%FBS中、225cmフラスコに植え付けた。MEM+10%FBS中、225cmフラスコに、先に記載するフラスコと同じレベルで植え付けた細胞バンク由来のAVDS4を拡大することによって、対照培養を産生した。この対照培養は、マイクロキャリアまたはバイオリアクター培養を用いてプロセシングされていなかった。どちらのフラスコも、37℃、5%COで5日間インキュベーションし、そして次いで、以下のように、分析のため各細胞培養を調製した。細胞単層から増殖培地を分離した。細胞単層を洗浄し、そして次いで、当該技術分野でよく確立されているように、組織培養フラスコから脱離させた。次いで、増殖培地、洗浄および脱離単層を再度合わせた。細胞を、300xgで5分間、室温で遠心分離した。上清を吸引し、そして細胞ペレットを新鮮なMEM+10%FBS中、5x10細胞/mlで再懸濁した。100μlのこの細胞懸濁物を、100μlのGuavaネキシン試薬(Guava Technologies Inc、米国ヘイワード)を含有する微量遠心管に移した。混合した後、細胞/試薬を暗所中、室温で20分間インキュベーションした。次いで、Guava PCA細胞計数装置を用いて試料を分析した(Guava PCA製造者ガイドにしたがう)。どちらの培養も、5日間インキュベーションした後、類似の生存細胞数を達成した。アッセイ結果のドットプロット提示を図9に示し、そして各集団におけるアポトーシス細胞レベルを表5に示す。
【0073】
表5 細胞株AVDS4バイオリアクター後および静置培養(対照)におけるアポトーシス測定値
【0074】
【表5】

【0075】
驚くべきことに、CultiSpherマイクロキャリアを用いてバイオリアクター中で培養され、そして対照細胞より有意に長期間、培養中にあった細胞が、匹敵し、そして許容されうる細胞生存度/アポトーシス細胞レベルを示している。
【0076】
実施例20
トランスフォーミング増殖因子ベータ1(TGF−β1)は、サイトカインのトランスフォーミング増殖因子ベータ・スーパーファミリーのポリペプチドメンバーである。該因子は、多くの細胞機能を実行し、そして創傷治癒において重要な役割を有すると同定されてきている分泌タンパク質である。TGF−ベータ1デュオELISAアッセイ(R&D Systems)を用いて、MEM+10%FBS細胞培養増殖培地を含むバイオリアクター中、CultiSpher Sマイクロキャリア上で増殖させた細胞由来の培養上清中のタンパク質レベルを決定した。やはりMEM+10%FBS中で増殖させた、組織培養フラスコを用いた静置培養中の連続継代由来の細胞を対照として用いて、2つの細胞集団によって産生されるTGF−β1レベルを比較した。
【0077】
バイオリアクターから採取しておいた細胞ストック(実施例11)由来の凍結保存した細胞株AVDS4のバイアルを融解し、そしてMEM+10%FBS中、225cmフラスコに植え付けた。MEM+10%FBS中、225cmフラスコに、先に記載するフラスコと同じレベルで植え付けた細胞バンク由来のAVDS4を拡大することによって、対照培養を産生した。この対照培養は、マイクロキャリアまたはバイオリアクター培養を用いてプロセシングされていなかった。どちらのフラスコも、37℃、5%COで5日間インキュベーションし、そして次いで、残った細胞培地を採取し、そしてELISAアッセイ(R&D Systems)を用いてアッセイして、TGF−β1濃度を決定した。試料を二つ組で分析し、そして結果を図10に示す。TGF−β1レベルを細胞濃度対フラスコ表面積に対して標準化した。
【0078】
結果は、バイオリアクター培養中、マイクロキャリアを用いて拡大させた細胞が、静置培養を用いて継代されている細胞と同等のレベルでTGF−β1を発現し続け、そしてしたがってこの重要な品質特性を維持してきていることを明らかに立証する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
幹細胞潜在力を保持する分化したヒト細胞を培養するためのプロセスであって、ゼラチン・マイクロキャリアおよび第四級アンモニウム誘導体化ポリスチレン・マイクロキャリアからなる群より選択されるマイクロキャリアに固定された、幹細胞潜在力を保持する分化したヒト細胞を培養する工程を含む、前記プロセス。
【請求項2】
細胞が成人細胞であり、そして好ましくは間葉系細胞である、請求項1記載のプロセス。
【請求項3】
細胞が皮膚細胞、好ましくは皮膚鞘細胞、皮膚線維芽細胞または皮膚乳頭細胞である、請求項2記載のプロセス。
【請求項4】
培養プロセスが、細胞を培養し、前記細胞を採取し、そしてさらなる培養のために、細胞をマイクロキャリアに再付着させる工程を含む、先行する請求項いずれか記載のプロセス。
【請求項5】
培養プロセス全体で、ゼラチン・マイクロキャリアを使用する、請求項4記載のプロセス。
【請求項6】
第四級アンモニウム誘導体化ポリスチレン・マイクロキャリアを、最初のまたは最後のマイクロキャリアとして使用する、請求項4記載のプロセス。
【請求項7】
流加培養または連続細胞培養条件を用いて行う、先行する請求項いずれか記載のプロセス。
【請求項8】
共通のシャフト周囲に取り付けられた2以上のインペラーで培養容器を攪拌し、少なくとも1つのインペラーは培養容器中の培地の下3分の1に位置し、そして少なくとも1つのインペラーは容器中の培地の中央の3分の1または容器中の培地の上3分の1に位置する、先行する請求項いずれか記載のプロセス。
【請求項9】
各インペラーが、インペラーシャフト(単数または複数)の軸に比較して、角度が付いた、2、3、または4のブレードを含む、請求項8記載のプロセス。
【請求項10】
インペラーが、少なくとも0.25:1、例えば0.3:1〜0.7:1の範囲の直径:容器直径比を有する、請求項8または9記載のプロセス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2011−529701(P2011−529701A)
【公表日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−521636(P2011−521636)
【出願日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際出願番号】PCT/GB2009/001938
【国際公開番号】WO2010/015831
【国際公開日】平成22年2月11日(2010.2.11)
【出願人】(508236033)フジフィルム・ダイオシンス・バイオテクノロジーズ ・ユーケイ・リミテッド (8)
【Fターム(参考)】