説明

細胞スクリーニング方法、その方法に用いる制御ソフトウェア、細胞スクリーニング装置、及び画像解析装置、並びに細胞スクリーニングシステム

【課題】ウェル内における測定対象とする細胞を効率よく検出することが可能な細胞スクリーニング方法、その方法に用いる制御ソフトウェア、細胞スクリーニング装置、及び画像解析装置、並びに細胞スクリーニングシステムを提供する。
【解決手段】細胞スクリーニング装置が、細胞が格納されたマルチウェルプレートの各ウェルを所定のウェル順でスキャンし、且つ、スキャンを行っているウェルの全領域を複数ショットに分けて撮像し、画像解析装置が、細胞スクリーニング装置を介して撮像されたショットごとに画像を解析する細胞スクリーニング方法であって、スキャンを行っているウェルにおける各ショットの画像から、検出対象とする細胞が目標数検出された場合、当該ウェルに対する撮像及び画像解析を終了して、次のウェルへのスキャンを開始する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞スクリーニング方法、細胞スクリーニング方法、その方法に用いる制御ソフトウェア、細胞スクリーニング装置、及び画像解析装置、並びに細胞スクリーニングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、マルチウェルプレート等の細胞アレイ用プレートに配列された各容器内の細胞を走査して、細胞の表面又は内部から発せられる蛍光等の光を撮像し、撮像した細胞の画像を解析し、解析結果を出力する、細胞スクリーニング装置が利用されるようになってきている。
【0003】
そして、例えば、特許文献1には、HTS(ハイスループットスクリーニング:high-throughput screening)モードで、スキャン対象となっているウェルの領域全体をスクリーニングし、そのウェルの特徴をウェル全体から抽出し、その抽出結果を所定の閾値あるいは強度応答と比較して「ヒット」又は「対象外」を判定し、「ヒット」と判定されたウェルの位置を記憶し、次に、HCS(ハイコンテントスクリーニング:High Content Screening)モードで、そのウェルを詳細に測定、解析する技術が記載されている。
【0004】
また、細胞スクリーニングを用いた癌の臨床検査、特に大腸癌の臨床検査分野に関しては、例えば、特許文献2に、糞便試料から大腸癌細胞を回収し、細胞観察容器中に固定し、大腸癌細胞と特異的に結合し得る検出用抗体を用いて免疫染色する方法、及び検査キットを用いたこれらの工程後に顕微鏡細胞画像を取得し、画像解析することで大腸癌細胞を見つけ出す技術が記載されている。近年、この方法及び検査キットの発明により、所望の癌細胞のみを検体から抽出できるようになったことで、顕微鏡細胞画像の取得技術と画像解析技術との組合せが、臨床検査へ応用されようとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3466568号公報
【特許文献2】特願2008−331274号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の細胞スクリーニング装置は、測定対象のウェルが「ヒット」のウェルであるか否かを、低分解能(低倍)スクリーニングにより得られた「各ウェル内の多くのまたは全ての細胞または多量の物質の全信号出力」を平均し、その平均値を閾値に用いて判定する。
【0007】
しかし、臨床検体の場合、ウェル内に存在する測定対象の細胞(主に、癌細胞)の数は、1個もしくは数個、場合によっては数千個と、様々である。このため、特許文献1に記載の方法のように、上記平均値を「ヒット」のウェルであるか否かの判定の閾値とすると、ウェル内に存在する細胞数が少ない場合、閾値が正確性に欠けたものとなる。また、測定対象の細胞が非常に微小である場合、特許文献1に記載の方法のように、低倍でスクリーニングすると、細胞自体を発見できなくなる可能性がある。このため、特許文献1に記載の方法を用いたのでは、本来「ヒット」と判定されるべきウェルが「ヒット」と判定されなくなる可能性がある。
また、特許文献1に記載の技術では、「ヒット」と判定されたウェルを、高分解能モードで再度スクリーニングすることになるので、光学系の切り替えやステージ動作の面で二度手間となり、スクリーニングの効率性が悪い。
【0008】
また、特許文献2には、大腸癌の診断方法において、糞便試料中に、大腸粘膜由来の正常細胞と大腸癌細胞とで共通に発現する細胞表面抗原と特異的に結合する回収用抗体がリンカーを介して結合された、固相担体を混合して、正常細胞と大腸癌細胞を回収し、次いで、該固相担体から分離し、次いで、分離した細胞を大腸癌細胞と特異的に結合し得る検出用抗体を用いて免疫染色し、次いで、免疫染色した細胞の顕微鏡画像を取得し、画像解析を行うことが記載されている。
【0009】
しかし、特許文献2に記載の方法を用いて回収される癌細胞は、ウェル内に数個、場合によっては1個だけしか存在しない場合がある。ウェル内に癌細胞が1個でも存在すれば、その検体提供者は癌と診断されることになるが、特許文献2の記載には、ウェル内の癌細胞を効率よく探し出すための具体的なウェルの走査方法については、言及されていない。
【0010】
本発明は、上記従来の問題点を鑑みてなされたものであり、ウェル内における測定対象とする細胞を効率よく検出することが可能な細胞スクリーニング方法、その方法に用いる制御ソフトウェア、細胞スクリーニング装置、及び画像解析装置、並びに細胞スクリーニングシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本件出願人は、細胞に照明光を照射する照明光学系、細胞から発せられる光を撮像する撮像光学系及び撮像素子、撮像のために細胞に焦点を合わせるオートフォーカス手段、細胞を格納したウェルを載置してスキャン位置に搬送するためのステージ、を備えた細胞スクリーニング装置と、細胞スクリーニング装置に連動して、撮像直後に撮像された画像を解析し、解析結果が所定の条件を満たしていた場合にはその情報を該細胞スクリーニング装置に送信して該当ウェル内のスクリーニングを終了させる画像解析装置及び制御ソフトウェアを有することで、効率よく細胞スクリーニングを行えることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0012】
すなわち、本発明による細胞スクリーニング方法は、細胞スクリーニング装置が、細胞が格納されたマルチウェルプレートの各ウェルを所定のウェル順でスキャンし、且つ、スキャンを行っているウェルの全領域を複数ショットに分けて撮像し、画像解析装置が、前記細胞スクリーニング装置を介して撮像されたショットごとに画像を解析する細胞スクリーニング方法であって、前記スキャンを行っているウェルにおける各ショットの画像から、検出対象とする細胞が目標数検出された場合、当該ウェルに対する撮像及び画像解析を終了して、次のウェルへのスキャンを開始することを特徴としている。
【0013】
また、本発明の細胞スクリーニング方法においては、前記検出対象とする細胞が、少なくとも1色以上の蛍光標識が施された、ヒト・動物由来の細胞であるのが好ましい。
【0014】
また、本発明の細胞スクリーニング方法においては、前記検出対象とする細胞が、大腸癌細胞であるのが好ましい。
【0015】
また、本発明の細胞スクリーニング方法においては、前記検出対象とする細胞が、子宮癌細胞であるのが好ましい。
【0016】
また、本発明の細胞スクリーニング方法においては、前記検出対象とする細胞の検出目標数として、1個以上の設定が可能であり、前記スキャンを行っているウェルにおける各ショットの画像から、検出対象とする細胞が目標数検出された場合は、当該ウェルに対する撮像及び画像解析を終了して、次のウェルへのスキャンを開始し、当該ウェルにおいて検出対象とする細胞が目標数検出されない場合は、当該ウェルへの全ショットの撮像及び画像解析を行うように、前記細胞スクリーニング装置及び前記画像解析装置を制御する制御ソフトウェアを用いるのが好ましい。
【0017】
また、本発明の細胞スクリーニング方法においては、前記制御ソフトウェアは、スキャンショットごとに、重なりなく、且つ隙間なくスキャンするように前記細胞スクリーニング装置を制御するモードと、任意に設定したスキャン範囲をスキャンするように前記細胞スクリーニング装置を制御するモードを選択可能に備えているのが好ましい。
【0018】
また、本発明の細胞スクリーニング方法においては、前記細胞スクリーニング装置が、撮像位置に位置する前記ウェル内の細胞に照明光を照射する照明光学系と、前記ウェル内の細胞から発せられる光を撮像する撮像手段と、前記撮像手段の焦点を前記撮像位置に位置する前記ウェル内の細胞に合わせるオートフォーカス手段と、前記マルチウェルプレートを載置し、各ウェル内の細胞を撮像位置に搬送するステージ、を有するのが好ましい。
【0019】
また、本発明の細胞スクリーニング方法においては、前記制御ソフトウェアは、前記画像解析装置が、前記細胞スクリーニング装置によって撮像された画像を撮像直後に解析し、解析した結果、前記スキャンを行っているウェルにおける各ショットの画像から、検出対象とする細胞が目標数検出された場合、その情報を該細胞スクリーニング装置に送信し、該細胞スクリーニング装置が、当該ウェルに対する撮像を終了して、次のウェルへのスキャンを開始するように、前記細胞スクリーニング装置及び前記画像解析装置を制御するのが好ましい。
【0020】
また、本発明の制御ソフトウェアは、上記本発明の細胞スクリーニング方法に用いる制御ソフトウェアである。
【0021】
また、本発明の細胞スクリーニング装置は、上記本発明の細胞スクリーニング方法に用いる細胞スクリーニング装置である。
【0022】
また、本発明の画像解析装置は、上記本発明の細胞スクリーニング方法に用いる画像解析装置である。
【0023】
また、本発明による細胞スクリーニングシステムは、細胞を格納する複数のウェルを備えたマルチウェルプレートを載置するとともに、該マルチプレートの位置を撮像位置に対して調整可能なステージと、前記撮像位置に位置する前記ウェル内の細胞に照明光を照射する照明部と、前記ウェル内の細胞から発せられる光を撮像する撮像部と、前記撮像部の焦点を前記撮像位置に位置する前記ウェル内の細胞に合わせるオートフォーカス手段と、前記マルチウェルプレートの各ウェルにおける各ショットで撮像される領域が所定のピッチ及び順で撮像位置に位置合わせされるように、前記ステージを駆動させるステージ駆動部を有する細胞スクリーニング装置を有する細胞スクリーニングシステムであって、検出対象とする細胞の条件及び検出目標数を設定可能な検出条件設定部と、前記撮像部を介して撮像された画像を解析し、前記検出条件設定部で設定された条件を満たす細胞を検出する解析部と、前記解析部での解析結果に応じて前記ステージ駆動部による前記ステージの駆動及び前記撮像部による撮像を制御するスキャン制御部を有し、前記スキャン制御部は、前記解析部で検出された細胞の個数が前記検出条件設定部を介して設定された目標数に達したとき、該ウェルに対する前記ステージ駆動部による撮像位置への位置合わせ及び前記撮像部による撮像を終了させて、次のスキャン対象となっているウェルに対する該ステージ駆動部による撮像位置への位置合わせ及び該撮像部による撮像を開始させることを特徴としている。
【0024】
また、本発明の細胞スクリーニングシステムにおいては、前記検出対象とする細胞は、少なくとも一色以上の蛍光標識が施された、人・動物由来の細胞であるのが好ましい。
【0025】
また、本発明の細胞スクリーニングシステムにおいては、前記検出条件設定部は、前記検出対象とする細胞の検出目標数として、1個以上の設定が可能であるのが好ましい。
【0026】
また、本発明の細胞スクリーニングシステムにおいては、前記ステージ駆動部は、前記各ウェルにおける各ショットで撮像される領域が、重なりなく、且つ隙間なく、撮像位置に位置合わせされるように、前記ステージを駆動させるのが好ましい。
【0027】
また、本発明の細胞スクリーニングシステムにおいては、前記マルチウェルプレートにおける各ウェルのスキャン範囲を設定するスキャン範囲設定部を有し、前記ステージ駆動部は、前記マルチウェルプレートの各ウェルにおける前記スキャン範囲設定部で設定された範囲内で、各ショットで撮像される領域が所定のピッチ及び順で撮像位置に位置合わせされるように、前記ステージを駆動させるのが好ましい。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、ウェル内における目的とする細胞を効率よく検出することが可能な細胞スクリーニング方法、その方法に用いる制御ソフトウェア、細胞スクリーニング装置、及び画像解析装置、並びに細胞スクリーニングシステムが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の一実施形態にかかる細胞スクリーニング方法に用いる細胞スクリーニングシステムの概略構成を示す説明図である。
【図2】図1の細胞スクリーニングシステムを用いた本実施形態の細胞スクリーニング方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図3】本実施形態の細胞スクリーニング装置による、マルチウェルプレートにおけるウェルに対するスキャン順を示す説明図である。
【図4】本実施形態の細胞スクリーニング装置における、1ウェルに対する撮像のショット数を概念的に示す説明図である。
【図5】本実施形態の細胞スクリーニング装置における、1ウェルにおけるショット領域に対するスキャン順の一例を示す説明図である。
【図6】本実施形態の細胞スクリーニングシステムのモニターに表示する、検出条件パラメータ設定画面の一例を示す説明図である。
【図7】図6の検出条件パラメータ設定画面における一設定項目である“Water Shed”機能の一例を示す説明図で、(a)は二つの細胞隣接もしくはくっついて存在する撮像画像に対し、“Water Shed”機能を“OFF”に設定して画像解析装置で解析したときの細胞の認識状態を示す図、(b)は二つの細胞隣接もしくはくっついて存在する撮像画像に対し、“Water Shed”機能を“ON”に設定して画像解析装置で解析したときの細胞の認識状態を示す図である。
【図8】本実施形態の細胞スクリーニングシステムを用いて、ショット領域(i,g)を開始位置として、スクリーニングを開始し、ショット領域(iv,j)まで進んだ状態を示す説明図である。
【図9】本実施形態の細胞スクリーニングシステムにおいて、ショット領域(iv,j)まで進んだとき、ショット領域(iv,j)の画像から各種パラメータ設定項目で設定した条件を満足する陽性細胞が目標数検出されたときの画像解析装置が認識した画像認識状態の一例を示す説明図である。
【図10】本実施形態の細胞スクリーニングシステムを用いてマルチウェルプレートの全てのウェルに対するスクリーニングを行った結果、検出対象の細胞が目標数検出されたウェルの一例を示す説明図である。
【図11】本実施形態の細胞スクリーニングシステムのモニターに表示する、スクリーニング後における陽性細胞及び各ウェルの任意のショット領域を再確認するためのリコール機能を備えたGUIの一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明のように、解析に必要な細胞数をスクリーニングの前に設定するなどして、スキャンを行っているウェルにおける各ショットの画像から、検出対象とする細胞が目標数(最低1つ)検出された場合、次のウェルへスキャンを切り替えるようにすれば、スクリーニングに費やされる時間を節約することができる。特に、細胞ベースの診断であって、生体サンプルから抽出される細胞数が非常に少なく、1細胞でも検出されたときには陽性として扱うような診断においては、スクリーニング時間の節約効果が非常に大きくなる。
【0031】
以下、図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明の一実施形態にかかる細胞スクリーニング方法に用いる細胞スクリーニングシステムの概略構成を示す説明図、図2は図1の細胞スクリーニングシステムを用いた本実施形態の細胞スクリーニング方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。
本実施形態の細胞スクリーニングシステムは、細胞スクリーニング装置と、画像解析装置と、制御ソフトウェアを有して構成されている。
【0032】
細胞スクリーニング装置は、電動ステージ101と、照明部と、撮像部と、オートフォーカス手段としてのオートフォーカス(AF)ユニット109と、ステージ駆動部としてのステージコントローラ115を有している。
電動ステージ101は、ステージコントローラ115に接続され、マルチウェルプレート1を載置するとともに、撮像位置に対して調整可能に構成されている。
なお、本実施形態では、マルチウェルプレート1として、96ウェルのマルチウェルプレートを用いている。マルチウェルプレート1には、1ウェルごとに異なる被検者から採取された、例えば、少なくとも1色以上の蛍光標識が施された、ヒト・動物由来の大腸癌細胞や子宮癌細胞などの検出対象とする細胞が含まれている可能性のある検体が格納されている。格納した検体が陰性の被検者のものである場合は、そのウェルには目的とする細胞は存在せず、陽性の被検者のものである場合は、そのウェルには目的とする細胞が1つ以上存在する可能性が高くなる。
【0033】
照明部は、水銀キセノンランプ102と、ランプ電源103と、シャッターユニット104と、コリメータレンズ105を有している。
水銀キセノンランプ102はランプ電源103に接続され、マルチウェルプレート1の各ウェルに格納されている蛍光染色された細胞を照明する。シャッターユニット104は、シャッターブレード104aを内蔵し、細胞の画像を撮像する際の褪色を防ぐために、必要な露光時間以外に照明光を遮断する。コリメータレンズ105は、水銀キセノンランプ102の光を平行光線にして、蛍光キューブ107に導く。
【0034】
蛍光キューブ107は、ダイクロイックミラー107A、励起フィルター107B、吸収フィルター107Cを備えている。また、本実施形態の細胞スクリーニング装置では、複数の蛍光色素に対応できるようにするために、蛍光キューブ107を複数内蔵することができるターレット(図示省略)を備えている。そして、不図示の回転機構を介してターレットを回転することにより蛍光キューブ107の切り替えができるようになっている。
【0035】
撮像部は、結像レンズ108と、CCDカメラ110を有している。
結像レンズ108は、ウェル内の細胞から発せられる光をCCDカメラ110内部のCCD素子に細胞画像として結像させる。CCDカメラ110は、カメラコントローラ111に接続され、カメラコントローラ111により制御されている。本実施形態では、CCDカメラ110には、12ビットのCCDカメラを用いている。
【0036】
カメラコントローラ111は、CCDカメラ110を介して撮像された画像をパーソナルコンピュータl12に送信する。
【0037】
オートフォーカス(AF)ユニット109は、一般的によく知られている瞳分割方式のAFユニットであり、AFコントローラ109Aと、半導体レーザー素子109Bと、偏光ビームスプリッタ109Cと、2分割フォトディテクター109Dとで構成されている。そして、オートフォーカスユニット109は、半導体レーザー素子109Bから発し、偏光ビームスプリッタ109Cを経由したAF用レーザー光線を、プリズム117、対物レンズ118を経由してマルチウェルプレート1に照射し、マルチウェルプレート1から反射され、対物レンズ118、プリズム117を経由した光を、偏光ビームスプリッタ109Cを経由して、2分割フォトディテクター109Dで受光し、AFコントローラ109Aが受光結果に応じて不図示の対物レンズ駆動ユニットを介して対物レンズ118を上下に動作させて、フォーカスを合わせる。
【0038】
ステージコントローラ115は、パーソナルコンピュータ(PC)112に接続されている。そして、PC12に備わる後述の制御ソフトウェアによる制御により、マルチウェルプレート1の各ウェルにおける各ショットでの撮像領域が、所定のピッチ及び順で撮像位置に位置合わせされるように、電動ステージ101を駆動させる。
【0039】
画像解析装置は、カメラコントローラ111とパーソナルコンピュータ(PC)112を有して構成されている。そして、PC12に備わる後述の制御ソフトウェアによる制御により、撮像部を介して撮像された画像を解析し、スキャン対象のウェルごとに、後述の検出条件設定部で設定された検出対象の細胞を検出する。
【0040】
PC112は、カメラコントローラ111と、ステージコントローラ115と、不図示の顕微鏡コントローラと接続されている。また、PC112は、これらのコントローラを介して上述のAF制御や蛍光キューブの切り替え制御、CCDカメラ110からの画像の取り込み制御、画像解析装置での解析結果に応じた電動ステージ101の駆動制御等を行う制御手段として機能するようにプログラミングされた、制御ソフトウェアを備えている。
図1中、113はキーボード、114はモニター、116はマウスである。本実施形態の細胞スクリーニング装置は、モニター114、キーボード113、及びマウス116が検出条件設定部として機能し、検出対象とする細胞の条件及び検出目標数を設定可能に構成されている。
【0041】
また、制御ソフトウェアは、検出対象とする細胞の検出目標数として、1個以上の設定が可能となるように検出条件設定部を制御するようにプログラミングされている。
また、制御ソフトウェアは、スキャンショットごとに、重なりなく、且つ隙間なくスキャンするように細胞スクリーニング装置を制御するモードと、任意に設定したスキャン範囲をスキャンするように細胞スクリーニング装置を制御するモードを選択可能にプログラミングされている。
【0042】
また、制御ソフトウェアは、スキャンを行っているウェルにおける各ショットの画像から、検出対象とする細胞が目標数検出された場合は、当該ウェルに対する撮像及び画像解析を終了して、次のウェルへのスキャンを開始し、当該ウェルにおいて検出対象とする細胞が目標数検出されない場合は、当該ウェルへの全ショットの撮像及び画像解析を行うように、細胞スクリーニング装置及び画像解析装置を制御するようにプログラミングされている。
詳しくは、制御ソフトウェアは、画像解析装置が、細胞スクリーニング装置によって撮像された画像を撮像直後に解析し、解析した結果、スキャンを行っているウェルにおける各ショットの画像から、検出対象とする細胞が目標数検出された場合、その情報を細胞スクリーニング装置に送信し、細胞スクリーニング装置が、当該ウェルに対するステージ駆動部による撮像位置への位置合わせ及び撮像部による撮像を終了して、次のスキャン対象となっているウェルに対するステージ駆動部による撮像位置の位置合わせ及び撮像部での撮像を開始するように、スクリーニング装置及び画像解析装置を制御するようにプログラミングされている。
【0043】
図3は本実施形態の細胞スクリーニング装置による、マルチウェルプレートにおけるウェルに対するスキャン順を示す説明図である。
本実施形態の細胞スクリーニング装置では、制御ソフトウェアが、同じ行位置に並ぶウェルごとに、行方向の向きを変えてスキャン制御(ステージコントローラ115を介した電動ステージ101の駆動、及び撮像部による撮像)をするようにプログラミングされている。例えば、図3に示すように、A行に並ぶ各ウェルを1列目のウェルから12列目のウェルへと順にスキャンし、次いで、B行に並ぶ各ウェルを12列目のウェルから1列目のウェルへと順にスキャンする。以後、同様のスキャン動作を最後のウェル(図3の例ではH行における1列目のウェル)まで繰り返す。全てのこのような順序でスキャンすると、電動ステージ101のウェルの搬送動作が最小限に抑えられて、プレートに配列された全てのウェルを効率よくスキャンすることができ時間の短縮を図ることができる。
【0044】
図4は本実施形態の細胞スクリーニング装置における、1ウェルに対する撮像のショット数を概念的に示す説明図である。図4中、円形で表わされているものがウェルで、小さい四角で表されているものが夫々1ショットで撮像される領域を示している。各ショット領域は、ウェルの少なくとも一部の領域を含んでいる。
本実施形態のスクリーニング装置では、制御ソフトウェアは、これらの各ショットで撮像される領域が隙間なく並ぶように、ステージコントローラ115による電動ステージ101の駆動を制御するようにプログラミングされており、撮像部でウェルの全領域を撮像することができるようになっている。
【0045】
図5は本実施形態の細胞スクリーニング装置における、1ウェルにおけるショット領域に対するスキャン順の一例を示す説明図である。
本実施形態の細胞スクリーニング装置では、制御ソフトウェアは、ウェルにおける中心から水平方向に最も離れた一方の領域から他方の領域に向けて、同じ列位置に並ぶショット領域ごとに、列方向の向きを変えてスキャンするように、プログラミングされている。例えば、図5に示すように、i列に並ぶ各ショット領域をg行目のショット領域からj行目のショット領域へと順に、撮像位置に搬送して撮像し、次いで、ii列に並ぶ各ショット領域をm行目のショット領域からe行目のショット領域へと順に、撮像位置に搬送して撮像する。以後、同様のスキャン動作を最後のショット領域(図5の例ではXVii列におけるm行目のウェル)まで繰り返す。
【0046】
図6は本実施形態の細胞スクリーニングシステムのモニター114に表示する、検出条件パラメータ設定画面の一例を示す説明図である。
本実施形態の細胞スクリーニングシステムでは、制御ソフトウェアは、モニター114に検出条件パラメータを表示し、キーボード113、マウス116を介して、検出対象とする細胞の条件及び検出目標数を設定することができるようにプログラミングされている。
図6中、“Intensity”は、撮像されるショット中のピクセルのうち、検出対象とするピクセルの輝度の最小値の設定項目、“Maximum Cell Size”は、検出対象とする物体における、“Intensity”で設定した輝度の最小値以上の輝度値を有する面積の最大値の設定項目、“Minimum Cell Size”は、検出対象とする物体における、“Intensity”で設定した輝度の最小値以上の輝度値を有する面積の最小値の設定項目である。“Water Shed”は、ウェル内の細胞密度が高く、細胞が混み合っている場合において、複数の細胞が一つの細胞として誤認識されることを防ぐ機能についてのON/OFFの設定項目である。
【0047】
図7に“Water Shed”機能の一例を示す。例えば、複数の細胞が隣接もしくはくっついて存在している場合、モニター114に表示された検出条件パラメータ設定画面において、“Water Shed”機能設定項目を“OFF”に設定した場合には、図7(a)に示すように、二つの細胞が一つの細胞として誤認識されてしまう。しかし、“Water Shed”機能設定項目を“ON”に設定すると、図7(b)に示すように、細胞画像のくびれやエッジを認識することによって正しく細胞を分割することができる。通常、“Water Shed”機能設定項目は“ON”に設定しておくのが好ましい。なお、明らかに細胞密度が低い場合には、“Water Shed”機能を用いることなく個々の細胞を正しく認識することができるので、この機能を“OFF”に設定すれば、その分、画像処理速度を高めることができる。
【0048】
“Ce11 Count”は、1ウェルにおける検出対象とする細胞の検出目標数の設定項目である。図6の例では、1個に設定している。
本実施形態の細胞スクリーニングシステムでは、制御ソフトウェアは、PC112がスキャン制御部として機能し、画像解析装置を介して検出された1ウェル中における検出対象とする細胞が“Ce11 Count”で設定した目標の個数に達したときに、当該ウェルに対する撮像及び画像解析を終了して、次のウェルへのスキャンを開始するように、プログラミングされている。
【0049】
このように構成された本実施形態の細胞スクリーニングシステムを用いた細胞スクリーニングは次のようにして行う。
使用者は、システムを起動するとともに、各ウェルに検体を格納したマルチプレートウェル1を電動ステージ101に載置し、PCl12、キーボード113、モニター114、及びマウス116を操作して、スキャンするウェルを選択する(ステップS1)。
次いで、操作者は、図6に示すように、モニター114に表示された検出条件パラメータ設定画面において、各種のパラメータ(検出対象とする細胞の条件及び検出目標数)を設定する。また、その他モニター114、PCl12、キーボード113、モニター114、及びマウス116を操作して、撮像条件、照明条件、オートフォーカス条件、1プレート内での撮像対象とするウェル数を設定する(ステップS2)。
次いで、使用者は、スクリーニングをスタートさせる(ステップS3)。
【0050】
使用者が、スクリーニングをスタートさせると、第一ウェル(本実施の形態の場合はA1ウェル)から、図8に示すように、ショット領域(i,g)を開始位置として、スキャン(電動ステージ101による撮像位置への搬送、撮像部による撮像)を開始する(ステップS4〜S6)。また、撮像部による撮像と同時に、画像解析装置がショット毎の画像を解析し、ショットごとの画像中に、検出条件パラメータ設定画面で設定した条件を満足する陽性細胞が存在するかどうかを認識する(ステップS7)。なお、本実施形態の細胞スクリーニングシステムでは、その際、バックグランド除去などの処理を行うように、制御ソフトウェアを構成してもよい。なお、細胞認識のための検出条件パラメータは、図6に示した他に、サーキュラリティーファクター、円周ペリメータ、エロンゲーションファクターなどを含めるとともに、そのパラメータに応じた解析を行うように制御ソフトウェアを構成すると、なお良い。
【0051】
次いで、画像解析装置による当該ショット領域の画像解析により、上述の各種パラメータ設定項目で設定した条件を満足する陽性細胞が目標数検出されたか否かをチェックする(ステップS8)。目標数の細胞が検出されていないときは、画像解析装置で解析した当該ショット領域がウェル内の最後のショット領域であるか否かをチェックする(ステップS9)。ウェル内の最後のショット領域でない場合は、同一ウェル内の次のショット領域が撮像位置に位置するように電動ステージ101を駆動し(ステップS10)、同一ウェル内の次のショット領域のスクリーニングへと処理を切り替える(ステップS5以降の処理)。ウェル内の最後のショット領域である場合は、この最後のショット領域がマルチウェルプレート1における最後のウェルにおけるものであるかをチェックする(ステップS11)。このウェルが、最後のウェルにおけるものでない場合、次のウェルが撮像位置に位置するように、電動ステージ101を駆動し(ステップS12)、次のウェルのスクリーニングへと処理を切り替える(ステップS5以降の処理)。このウェルが、最後のウェルにおけるものである場合、モニター114を介して後述の結果表示を行う(ステップS13)。
【0052】
ここで、本実施形態の細胞スクリーニングシステムにおいて、ショット領域(i,g)より開始したショットが、図8に示すように、ショット領域(iv,j)まで進んだとき、ショット領域(iv,j)の画像から上述の各種パラメータ設定項目で設定した条件を満足する陽性細胞が目標数検出されるものとする。
図9にそのときの画像解析装置が認識した画像認識状態の一例を示す。図9の例では、陽性細胞は3つ検出されており、認識されたことを示す四角い粋が3つ細胞を囲んで表示されている。本実施形態の細胞スクリーニングシステムでは、この段階で、このウェルに対するスクリーニングを終了し、この最後のショット領域がマルチウェルプレート1における最後のウェルにおけるものであるかをチェックする(ステップS14)。このウェルが、最後のウェルにおけるものでない場合、次のウェルが撮像位置に位置するように、電動ステージ101を駆動し(ステップS12)、次のウェルのスクリーニングへと処理を切り替える(ステップS5以降の処理)。このウェルが、最後のウェルにおけるものである場合、モニター114を介して図10に一例として示すような結果表示を行う(ステップS15)。
【0053】
図10の例では、モニター114において陽性細胞を含むウェルを色づけして示している。このとき、本実施形態の細胞スクリーニング装置では、色づけして表示されているウェルをマウス116でクリックすると、図9に示したような解析画面を表示するように構成されている。
【0054】
なお、本実施形態の細胞スクリーニングシステムにおいては、制御ソフトウェアに、スクリーニング後に、陽性細胞及び各ウェルの任意のショット領域を再確認するためのリコール機能を備えるとさらによい。例えば、図11に示すようなGUI(グラフィカルユーザインタフェース:Graphical User Interface)をPCl12のモニター114に表示し、陽性細胞を目視で再確認することができるようにしてもよい。図11において、201は撮像画面、202はスクリーニング対象のウェルを模式的に表した画面で、中心部分にウェル番号(例:A1)が表示されるようになっている。203は画面202に表示されたウェルにおいて陽性細胞が見つかったショット領域を示す。204は現在、撮像画面201が表示しているウェル内のショット領域を示している。205は撮像画面の表示領域を移動させる場合に用いるスキャンボタンで、上下左右のボタンで電動ステージ101を所定方向に所定量駆動し、ウェル内における撮像領域を移動させることができる。206は照明設定項目であり、Intensity(明るさ)や、Filter(蛍光フィルター)の選択ができるようになっている。207は対物レンズ切り替え設定項目であり、陽性細胞の画像をさらに大きく拡大して詳細に調査する場合など、スクリーニング時の倍率よりも大きい倍率(例えば60×等)にする等所定の対物レンズを設定することができるようになっている。
【0055】
本実施形態の細胞スクリーニングシステム、細胞スクリーニング方法及び細胞スクリーニング装置によれば、スキャン中に検出対象とする細胞が目標数検出された場合、次のウェルへスキャンを切り替えるようにしたので、効率のよいスクリーニングをすることができ、スクリーニングに費やされる時間を節約することができる。特に、細胞ベースの診断であって、生体サンプルから抽出される細胞数が非常に少なく、1細胞でも検出されたときには陽性として扱うような診断においては、スクリーニング時間の節約効果が非常に大きくなる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
マルチウェルプレート等の細胞アレイ用プレートに配列された各容器内の細胞を走査して、細胞の表面又は内部から発せられる蛍光等の光を撮像し、撮像した細胞の画像を解析し、解析結果を出力することが求められる臨床検査の分野において特に有用である。
【符号の説明】
【0057】
1 マルチウェルプレート
101 電動ステージ
102 水銀キセノンランプ
103 ランプ電源
104 シャッターユニット
104a シャッターブレード
105 コリメータレンズ
107 蛍光キューブ
107A ダイクロイックミラー
107B 励起フィルター
107C 吸収フィルター
108 結像レンズ
109 オートフォーカス(AF)ユニット
109A AFコントローラ
109B 半導体レーザー素子
109C 偏光ビームスプリッタ
109D 2分割フォトディテクター
110 CCDカメラ
111 カメラコントローラ
112 パーソナルコンピュータ(PC)
113 キーボード
114 モニター
115 ステージコントローラ
116 マウス
117 プリズム
118 対物レンズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞スクリーニング装置が、細胞が格納されたマルチウェルプレートの各ウェルを所定のウェル順でスキャンし、且つ、スキャンを行っているウェルの全領域を複数ショットに分けて撮像し、画像解析装置が、前記細胞スクリーニング装置を介して撮像されたショットごとに画像を解析する細胞スクリーニング方法であって、
前記スキャンを行っているウェルにおける各ショットの画像から、検出対象とする細胞が目標数検出された場合、当該ウェルに対する撮像及び画像解析を終了して、次のウェルへのスキャンを開始することを特徴とする細胞スクリーニング方法。
【請求項2】
前記検出対象とする細胞が、少なくとも1色以上の蛍光標識が施された、ヒト・動物由来の細胞であることを特徴とする請求項1に記載の細胞スクリーニング方法。
【請求項3】
前記検出対象とする細胞が、大腸癌細胞であることを特徴とする請求項2に記載の細胞スクリーニング方法。
【請求項4】
前記検出対象とする細胞が、子宮癌細胞であることを特徴とする請求項2に記載の細胞スクリーニング方法。
【請求項5】
前記検出対象とする細胞の検出目標数として、1個以上の設定が可能であり、前記スキャンを行っているウェルにおける各ショットの画像から、検出対象とする細胞が目標数検出された場合は、当該ウェルに対する撮像及び画像解析を終了して、次のウェルへのスキャンを開始し、当該ウェルにおいて検出対象とする細胞が目標数検出されない場合は、当該ウェルへの全ショットの撮像及び画像解析を行うように、前記細胞スクリーニング装置及び前記画像解析装置を制御する制御ソフトウェアを用いることを特徴とする、請求項1に記載の細胞スクリーニング方法。
【請求項6】
前記制御ソフトウェアは、スキャンショットごとに、重なりなく、且つ隙間なくスキャンするように前記細胞スクリーニング装置を制御するモードと、任意に設定したスキャン範囲をスキャンするように前記細胞スクリーニング装置を制御するモードを選択可能に備えていることを特徴とする請求項5に記載の細胞スクリーニング方法。
【請求項7】
前記細胞スクリーニング装置が、
撮像位置に位置する前記ウェル内の細胞に照明光を照射する照明光学系と、
前記ウェル内の細胞から発せられる光を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段の焦点を前記撮像位置に位置する前記ウェル内の細胞に合わせるオートフォーカス手段と、
前記マルチウェルプレートを載置し、各ウェル内の細胞を撮像位置に搬送するステージ、を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の細胞スクリーニング方法。
【請求項8】
前記制御ソフトウェアは、前記画像解析装置が、前記細胞スクリーニング装置によって撮像された画像を撮像直後に解析し、解析した結果、前記スキャンを行っているウェルにおける各ショットの画像から、検出対象とする細胞が目標数検出された場合、その情報を該細胞スクリーニング装置に送信し、該細胞スクリーニング装置が、当該ウェルに対する撮像を終了して、次のウェルへのスキャンを開始するように、前記細胞スクリーニング装置及び前記画像解析装置を制御することを特徴とする請求項5又は6、請求項5又は6に従属する請求項7のいずれかに記載の細胞スクリーニング方法。
【請求項9】
請求項8に記載の細胞スクリーニング方法に用いる制御ソフトウェア。
【請求項10】
請求項8に記載の細胞スクリーニング方法に用いる細胞スクリーニング装置。
【請求項11】
請求項8に記載の細胞スクリーニング方法に用いる画像解析装置。
【請求項12】
細胞を格納する複数のウェルを備えたマルチウェルプレートを載置するとともに、該マルチプレートの位置を撮像位置に対して調整可能なステージと、前記撮像位置に位置する前記ウェル内の細胞に照明光を照射する照明部と、前記ウェル内の細胞から発せられる光を撮像する撮像部と、前記撮像部の焦点を前記撮像位置に位置する前記ウェル内の細胞に合わせるオートフォーカス手段と、前記マルチウェルプレートの各ウェルにおける各ショットで撮像される領域が所定のピッチ及び順で撮像位置に位置合わせされるように、前記ステージを駆動させるステージ駆動部を有する細胞スクリーニング装置を有する細胞スクリーニングシステムであって、
検出対象とする細胞の条件及び検出目標数を設定可能な検出条件設定部と、
前記撮像部を介して撮像された画像を解析し、前記検出条件設定部で設定された条件を満たす細胞を検出する解析部と、
前記解析部での解析結果に応じて前記ステージ駆動部による前記ステージの駆動及び前記撮像部による撮像を制御するスキャン制御部を有し、
前記スキャン制御部は、前記解析部で検出された細胞の個数が前記検出条件設定部を介して設定された目標数に達したとき、該ウェルに対する前記ステージ駆動部による撮像位置への位置合わせ及び前記撮像部による撮像を終了させて、次のスキャン対象となっているウェルに対する該ステージ駆動部による撮像位置への位置合わせ及び該撮像部による撮像を開始させることを特徴とする細胞スクリーニングシステム。
【請求項13】
前記検出対象とする細胞は、少なくとも一色以上の蛍光標識が施された、人・動物由来の細胞であることを特徴とする請求項12に記載の細胞スクリーニングシステム。
【請求項14】
前記検出条件設定部は、前記検出対象とする細胞の検出目標数として、1個以上の設定が可能であることを特徴とする請求項12に記載の細胞スクリーニングシステム。
【請求項15】
前記ステージ駆動部は、前記各ウェルにおける各ショットで撮像される領域が、重なりなく、且つ隙間なく、撮像位置に位置合わせされるように、前記ステージを駆動させることを特徴とする請求項12に記載の細胞スクリーニングシステム。
【請求項16】
前記マルチウェルプレートにおける各ウェルのスキャン範囲を設定するスキャン範囲設定部を有し、
前記ステージ駆動部は、前記マルチウェルプレートの各ウェルにおける前記スキャン範囲設定部で設定された範囲内で、各ショットで撮像される領域が所定のピッチ及び順で撮像位置に位置合わせされるように、前記ステージを駆動させることを特徴とする請求項12に記載の細胞スクリーニングシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図11】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−268723(P2010−268723A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−123286(P2009−123286)
【出願日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】