細胞バリア機能障害の調整
本発明は、内皮細胞および上皮細胞のバリア疾患および障害のような、細胞バリア疾患および障害を治療するために、μ-オピオイド受容体アンタゴニストを投与するための予防方法および治療方法を提供する。急性肺損傷、アテローム性動脈硬化、腸由来敗血症、熱傷、新生児壊死性腸炎、重症の好中球減少、中毒性大腸炎、炎症性腸疾患、腸疾患、移植拒絶反応、嚢炎、ピッグベリー(ピッグベル)、シュードモナス属を介した眼科感染、シュードモナス属を介した耳科感染およびシュードモナス属を介した皮膚感染のような炎症を含む疾患または障害に、この方法が適用可能であってもよい。より一般的に、予防方法および治療方法に適用可能なものとして、上皮細胞バリア障害が検討される。疾患および障害は、緑膿菌のような病原菌を含む微生物病原体によって誘導されてもよい。本発明は、細菌のPA-Iレクチン/アドヘシンの発現の阻害および細菌のMvfR活性レベルの阻害ための、予防方法および治療方法をさらに提供する。さらに、医薬製品において、μ-オピオイド受容体アンタゴニストを本明細書において記述された方法の用途のために使用する方法が提供される。
Notice: Undefined index: DEJ in /mnt/www/gzt_disp.php on line 298
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オピオイド誘導性の副作用のない被験体に、効果的な量のμ-オピオイド受容体アンタゴニストを投与することを含む、細胞バリア機能障害によって特徴づけられた障害を予防または治療する方法。
【請求項2】
前記オピオイド誘導性の副作用が、オピオイド誘導性の便秘、過敏性大腸症候群、術後腸閉塞、オピオイド誘導性の悪心、オピオイド誘導性の嘔吐、掻痒症、尿貯留、胃腸管排出の遅れ、胃腸管運動性の減少およびオピオイド誘導性の免疫系抑制から成る群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
細胞が、内皮細胞である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
細胞が、上皮細胞である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
μ-オピオイド受容体アンタゴニストが、末梢μ-オピオイド受容体アンタゴニストである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
μ-オピオイド受容体アンタゴニストが、N-メチルナルトレキソン、アルビモパン、ADL 08-0011、ピペリジン-N-アルキルカルボキシレート、四級モルフィナン、アヘンアルカロイド誘導体および四級ベンゾモルファン化合物から成る群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
四級モルフィナン化合物が、N-メチルナルトレキソン、N-メチルナロキソン、N-メチルナロルフィン、N-ジアリルノルモルヒネ、N-アリルレバロルファンおよびN-メチルナルメフェンの四級塩から成る群から選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
四級ベンゾモルファン化合物が、2'-ヒドロキシ-5,9-ジメチル-2,2-ジアリル-6,7-ベンゾモルファニウム-ブロミド、2'-ヒドロキシ-5,9-ジメチル-2-n-プロピル-6,7-ベンゾモルファン、2'-ヒドロキシ-5,9-ジメチル-2-アリル-6,7-ベンゾモルファン、2'-ヒドロキシ-5,9-ジメチル-2-n-プロピル-2-アリル-6,7-ベンゾモルファニウムブロミド、2'-ヒドロキシ-5,9-ジメチル-2-n-プロピル-2-プロパルギル-6,7-ベンゾモルファニウムブロミド、および2'-アセトキシ-5,9-ジメチル-2-n-プロピル-2-アリル-6,7-ベンゾモルファニウムブロミドから成る群から選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記被験体が、ヒト患者である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
少なくとも15キロダルトンの平均分子量がある高分子量ポリエチレングリコール様化合物の投与をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
μ-オピオイド受容体アンタゴニストが、非経口、経口、皮下、経皮、皮下埋め込み、筋肉内、静脈内、鞘内、眼内、ガラス体内、眼科的、脊髄内、局所的、直腸、経皮、舌下腺、筋肉内、腔内、耳、および鼻孔吸入による送達から成る群から選択された経路によって投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
細胞バリア機能障害によって特徴づけられた障害を発症するリスクを減少させる方法であって、前記障害を発症するリスクがある被験体に、予防に効果的な量のμ-オピオイド受容体アンタゴニストを投与することを含む方法。
【請求項13】
細胞バリア障害と関連した症状を予防または減少させる方法であって、そのような処置を必要とする被験体に、μ-オピオイド受容体アンタゴニストを投与することを含み、前記化合物が前記障害の症状の少なくとも1つを減少させるのに効果的な量で投与される方法。
【請求項14】
外科的処置が可能な腫瘍を有する患者に、効果的な量のμ-オピオイド受容体アンタゴニストを周術期に投与することを含む、腫瘍細胞転移を予防する方法。
【請求項15】
細菌性病因からの発症または被害のリスクがある被験体に、効果的な量のμ-オピオイド受容体アンタゴニストを投与することを含む、細菌のPA-Iレクチン/アドヘシンの発現を阻害する方法。
【請求項16】
細菌性病因からの発症または被害のリスクがある被験体に、効果的な量のμ-オピオイド受容体アンタゴニストを投与することを含む、細菌のMvfRタンパク質の活性を調節する方法。
【請求項17】
経上皮細胞電気抵抗を減少または増加を阻害するのに効果的なμ-オピオイド受容体アンタゴニストの量を被験体に投与することを含む、細菌毒素に対する上皮の透過性を減少させるまたは透過性の増加を予防する方法。
【請求項18】
障害が、腸由来敗血症、熱傷、新生児壊死性腸炎、重症の好中球減少、中毒性大腸炎、炎症性腸疾患、腸疾患、移植拒絶反応、嚢炎、ピッグベル、シュードモナス属を介した眼科感染、シュードモナス属を介した耳科感染およびシュードモナス属を介した皮膚感染から成る群から選択される、請求項1、12、13、15、16および17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
オピオイド誘導性の副作用のない被験体に、効果的な量の末梢μ-オピオイド受容体アンタゴニストを投与することを含む、μ-オピオイド受容体依存的効果のない細胞バリア機能障害を緩和する方法。
【請求項20】
末梢μ-オピオイド受容体アンタゴニストが、N-メチルナルトレキソンである、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
細胞バリア機能障害が、トロンビンおよび細菌性脂質多糖体から成る群から選択された誘発剤によって誘導される、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
プロテインフォスファターゼが、前記細胞で活性化される、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
S1P3受容体リン酸化が減少される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
受容体蛋白質チロシンホスファターゼμが活性化される、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
オピオイド誘導性副作用のない被験体に、効果的な量の末梢μ-オピオイド受容体アンタゴニストを投与することを含む、S1P3受容体のトランス活性化によって誘導された細胞バリア機能障害を緩和する方法。
【請求項26】
末梢のμ-オピオイド受容体アンタゴニストが、N-メチルナルトレキソンである、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
炎症、アテローム性動脈硬化、急性肺損傷、腸由来敗血症、熱傷、新生児壊死性腸炎、重症の好中球減少、中毒性大腸炎、炎症性腸疾患、腸疾患、移植拒絶反応、嚢炎、ピッグベル、シュードモナス属を介した眼科感染、シュードモナス属を介した耳科感染およびシュードモナス属を介した皮膚感染から成る群から選択された障害を、治療、改善、または予防するための医薬品の調製において、μ-オピオイド受容体アンタゴニストを使用する方法。
【請求項28】
感染を予防または感染のリスクを低下させる方法であって、そのような処置を必要とする患者に、効果的な量のオピオイド受容体アンタゴニストを投与することを含む方法。
【請求項29】
患者が、外傷、内部損傷、手術、急性肺損傷、熱傷または高レベルのストレスを有する、または有すると予想される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
感染が、細菌の日和見感染因子から起こる、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
感染因子が、クロストリジウム・ディフィシレ(Clostridium dificile)または緑膿菌である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
炎症を予防または治療する方法であって、そのような処置を必要とする患者に、効果的な量のオピオイド受容体アンタゴニストを投与することを含む方法。
【請求項33】
炎症患者が、外傷、内部損傷、手術、急性肺損傷、熱傷または感染を有する、または有すると予想される、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
敗血症を予防または治療する方法であって、そのような処置を必要とする患者に、効果的な量のオピオイド受容体アンタゴニストを投与することを含む方法。
【請求項35】
投与が、周術期である、請求項34に記載の方法。
【請求項1】
オピオイド誘導性の副作用のない被験体に、効果的な量のμ-オピオイド受容体アンタゴニストを投与することを含む、細胞バリア機能障害によって特徴づけられた障害を予防または治療する方法。
【請求項2】
前記オピオイド誘導性の副作用が、オピオイド誘導性の便秘、過敏性大腸症候群、術後腸閉塞、オピオイド誘導性の悪心、オピオイド誘導性の嘔吐、掻痒症、尿貯留、胃腸管排出の遅れ、胃腸管運動性の減少およびオピオイド誘導性の免疫系抑制から成る群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
細胞が、内皮細胞である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
細胞が、上皮細胞である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
μ-オピオイド受容体アンタゴニストが、末梢μ-オピオイド受容体アンタゴニストである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
μ-オピオイド受容体アンタゴニストが、N-メチルナルトレキソン、アルビモパン、ADL 08-0011、ピペリジン-N-アルキルカルボキシレート、四級モルフィナン、アヘンアルカロイド誘導体および四級ベンゾモルファン化合物から成る群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
四級モルフィナン化合物が、N-メチルナルトレキソン、N-メチルナロキソン、N-メチルナロルフィン、N-ジアリルノルモルヒネ、N-アリルレバロルファンおよびN-メチルナルメフェンの四級塩から成る群から選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
四級ベンゾモルファン化合物が、2'-ヒドロキシ-5,9-ジメチル-2,2-ジアリル-6,7-ベンゾモルファニウム-ブロミド、2'-ヒドロキシ-5,9-ジメチル-2-n-プロピル-6,7-ベンゾモルファン、2'-ヒドロキシ-5,9-ジメチル-2-アリル-6,7-ベンゾモルファン、2'-ヒドロキシ-5,9-ジメチル-2-n-プロピル-2-アリル-6,7-ベンゾモルファニウムブロミド、2'-ヒドロキシ-5,9-ジメチル-2-n-プロピル-2-プロパルギル-6,7-ベンゾモルファニウムブロミド、および2'-アセトキシ-5,9-ジメチル-2-n-プロピル-2-アリル-6,7-ベンゾモルファニウムブロミドから成る群から選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記被験体が、ヒト患者である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
少なくとも15キロダルトンの平均分子量がある高分子量ポリエチレングリコール様化合物の投与をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
μ-オピオイド受容体アンタゴニストが、非経口、経口、皮下、経皮、皮下埋め込み、筋肉内、静脈内、鞘内、眼内、ガラス体内、眼科的、脊髄内、局所的、直腸、経皮、舌下腺、筋肉内、腔内、耳、および鼻孔吸入による送達から成る群から選択された経路によって投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
細胞バリア機能障害によって特徴づけられた障害を発症するリスクを減少させる方法であって、前記障害を発症するリスクがある被験体に、予防に効果的な量のμ-オピオイド受容体アンタゴニストを投与することを含む方法。
【請求項13】
細胞バリア障害と関連した症状を予防または減少させる方法であって、そのような処置を必要とする被験体に、μ-オピオイド受容体アンタゴニストを投与することを含み、前記化合物が前記障害の症状の少なくとも1つを減少させるのに効果的な量で投与される方法。
【請求項14】
外科的処置が可能な腫瘍を有する患者に、効果的な量のμ-オピオイド受容体アンタゴニストを周術期に投与することを含む、腫瘍細胞転移を予防する方法。
【請求項15】
細菌性病因からの発症または被害のリスクがある被験体に、効果的な量のμ-オピオイド受容体アンタゴニストを投与することを含む、細菌のPA-Iレクチン/アドヘシンの発現を阻害する方法。
【請求項16】
細菌性病因からの発症または被害のリスクがある被験体に、効果的な量のμ-オピオイド受容体アンタゴニストを投与することを含む、細菌のMvfRタンパク質の活性を調節する方法。
【請求項17】
経上皮細胞電気抵抗を減少または増加を阻害するのに効果的なμ-オピオイド受容体アンタゴニストの量を被験体に投与することを含む、細菌毒素に対する上皮の透過性を減少させるまたは透過性の増加を予防する方法。
【請求項18】
障害が、腸由来敗血症、熱傷、新生児壊死性腸炎、重症の好中球減少、中毒性大腸炎、炎症性腸疾患、腸疾患、移植拒絶反応、嚢炎、ピッグベル、シュードモナス属を介した眼科感染、シュードモナス属を介した耳科感染およびシュードモナス属を介した皮膚感染から成る群から選択される、請求項1、12、13、15、16および17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
オピオイド誘導性の副作用のない被験体に、効果的な量の末梢μ-オピオイド受容体アンタゴニストを投与することを含む、μ-オピオイド受容体依存的効果のない細胞バリア機能障害を緩和する方法。
【請求項20】
末梢μ-オピオイド受容体アンタゴニストが、N-メチルナルトレキソンである、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
細胞バリア機能障害が、トロンビンおよび細菌性脂質多糖体から成る群から選択された誘発剤によって誘導される、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
プロテインフォスファターゼが、前記細胞で活性化される、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
S1P3受容体リン酸化が減少される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
受容体蛋白質チロシンホスファターゼμが活性化される、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
オピオイド誘導性副作用のない被験体に、効果的な量の末梢μ-オピオイド受容体アンタゴニストを投与することを含む、S1P3受容体のトランス活性化によって誘導された細胞バリア機能障害を緩和する方法。
【請求項26】
末梢のμ-オピオイド受容体アンタゴニストが、N-メチルナルトレキソンである、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
炎症、アテローム性動脈硬化、急性肺損傷、腸由来敗血症、熱傷、新生児壊死性腸炎、重症の好中球減少、中毒性大腸炎、炎症性腸疾患、腸疾患、移植拒絶反応、嚢炎、ピッグベル、シュードモナス属を介した眼科感染、シュードモナス属を介した耳科感染およびシュードモナス属を介した皮膚感染から成る群から選択された障害を、治療、改善、または予防するための医薬品の調製において、μ-オピオイド受容体アンタゴニストを使用する方法。
【請求項28】
感染を予防または感染のリスクを低下させる方法であって、そのような処置を必要とする患者に、効果的な量のオピオイド受容体アンタゴニストを投与することを含む方法。
【請求項29】
患者が、外傷、内部損傷、手術、急性肺損傷、熱傷または高レベルのストレスを有する、または有すると予想される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
感染が、細菌の日和見感染因子から起こる、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
感染因子が、クロストリジウム・ディフィシレ(Clostridium dificile)または緑膿菌である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
炎症を予防または治療する方法であって、そのような処置を必要とする患者に、効果的な量のオピオイド受容体アンタゴニストを投与することを含む方法。
【請求項33】
炎症患者が、外傷、内部損傷、手術、急性肺損傷、熱傷または感染を有する、または有すると予想される、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
敗血症を予防または治療する方法であって、そのような処置を必要とする患者に、効果的な量のオピオイド受容体アンタゴニストを投与することを含む方法。
【請求項35】
投与が、周術期である、請求項34に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公表番号】特表2008−542395(P2008−542395A)
【公表日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−514938(P2008−514938)
【出願日】平成18年6月5日(2006.6.5)
【国際出願番号】PCT/US2006/021604
【国際公開番号】WO2007/053194
【国際公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【出願人】(501242712)ザ ユニヴァーシティー オヴ シカゴ (19)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年6月5日(2006.6.5)
【国際出願番号】PCT/US2006/021604
【国際公開番号】WO2007/053194
【国際公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【出願人】(501242712)ザ ユニヴァーシティー オヴ シカゴ (19)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]