説明

細胞分離装置および細胞分離システム

【課題】細胞に与えるダメージを低減し、細胞収集率の増加を図る。
【解決手段】有底円筒状の遠心容器1を所定の揺動軸回りに揺動自在に支持可能な回転アームと、該揺動軸に対して離間した回転軸23回りに回転アームを回転させるモータと、該モータの作動により回転軸23回りに回転中の回転アームによって支持された遠心容器1に接触可能に配置され、該遠心容器1に振動を与える回転部材31とを備える細胞分離装置20を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞分離装置および細胞分離システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、生体組織から脂肪由来幹細胞群(以下、単に「細胞」という。)を取り出す際に、細胞懸濁液を遠心分離し、細胞を濃縮する細胞分離装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。細胞懸濁液内の組織から細胞を取り出すために消化酵素を使用するが、消化酵素は人体に有害であるため、取り出した細胞から消化酵素を洗浄・除去する必要がある。
【0003】
遠心分離により容器の底部に細胞が塊状に押し固められると、その細胞塊の中に消化酵素等が取り込まれてしまう。細胞塊の中に取り込まれた消化酵素等を除去するためには、例えば、細胞を1つ1つに分散させ、比重差を利用して細胞と消化酵素等を分離させる方法がある。特許文献1に記載の遠心分離システムは、遠心工程中に容器に洗浄液を注入し、遠心力により加速した洗浄液の水流により細胞を分散させることで、細胞塊の中に取り込まれた消化酵素等を細胞から分離させることとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2005/012480号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の遠心分離システムのように、洗浄液の水流により細胞と消化酵素等とを分離させた場合、水流によって細胞にダメージが与えられ、細胞が壊れてしまうことがある。その結果、採取可能な細胞数が低減するという問題がある。
【0006】
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであって、細胞に与えるダメージが少なく、細胞収集率の増加を図ることができる細胞分離装置および細胞分離システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を採用する。
本発明は、有底円筒状の遠心容器を所定の揺動軸線回りに揺動自在に支持可能な回転アームと、前記揺動軸線に対して離間した回転軸線回りに前記回転アームを回転させる回転駆動部と、該回転駆動部の作動により回転中の前記回転アームによって支持された前記遠心容器に接触可能に配置され、該遠心容器に振動を与える振動伝達部とを備える細胞分離装置を提供する。
【0008】
本発明によれば、回転駆動部の作動により、遠心容器を支持させた回転アームを回転させると、遠心容器が回転軸線回りに回転させられ、その底部が半径方向外方に向かうように揺動軸線回りに揺動させられる。遠心容器に細胞懸濁液を収容して回転駆動部を作動させれば、細胞懸濁液に半径方向外方に向かう遠心力が作用し、比重の大きな細胞が底部に集められ、比重の小さい他の成分が細胞の上層に集められる。
【0009】
本発明に係る細胞分離装置は、遠心力により細胞と他の成分とを分離させていく過程で、遠心容器を振動伝達部に接触させて振動させることで、細胞懸濁液を攪拌し、遠心力により押し固められた塊状の細胞を分散させることができる。これにより、塊状の細胞の中に取り込まれていた他の成分を効果的に細胞から分離させることができる。したがって、水流による強い衝撃を与える方法と比較して細胞に与えるダメージを低減し、より多くの細胞を採取することが可能になる。
【0010】
本発明は、細胞懸濁液を収容する有底円筒状の遠心容器と、上記本発明の細胞分離装置とを備える細胞分離システムを提供する。
本発明によれば、細胞分離装置により、遠心容器を回転させながら振動させることで、細胞懸濁液中の細胞を分散させて細胞と他の成分とを効果的に分離させることができる。したがって、細胞へのダメージが少なく、細胞収集率の増加を図ることができる。
【0011】
上記発明においては、前記遠心容器が、軸方向の一端に配置される底部および他端に配置される開口部を有する筒状の容器本体と、該容器本体の開口部に弾性部材を介して着脱可能に設けられ、該開口部外方から前記底部近傍に向かって延びる棒状部材とを備え、前記回転アームの回転中に、前記棒状部材が前記振動伝達部に接触することとしてもよい。
【0012】
このように構成することで、棒状部材が振動伝達部に接触して振動すると、弾性部材により、棒状部材の振動が容器本体に伝わるのを抑制され、棒状部材と容器本体とが相対変位する。したがって、棒状部材により、容器本体内の細胞懸濁液を効果的に攪拌し、細胞の分散を促進することができる。これにより、細胞と他の成分との分離を助長することができる。
【0013】
また、上記発明においては、前記棒状部材が、該長手方向に対して交差する方向に延びる鍔状部材を備えることとしてもよい。
このように構成することで、鍔状部材により、棒状部材の振動に対する細胞懸濁液の抵抗が大きくなる。したがって、細胞懸濁液に水流を起こし、細胞懸濁液を効果的に攪拌することができる。抵抗部材には、例えば、振動方向に交差する方向に延びる複数の凹凸部を設けることとしてもよい。このようにすることで、凹凸部により細胞懸濁液の抵抗を大きくし、水流をより起こし易くすることができる。
【0014】
また、上記発明においては、前記遠心容器が、軸方向の両端に開口部を有する筒状の容器本体と、該容器本体の一方の前記開口部に弾性部材を介して着脱可能に設けられる底部とを備え、前記回転アームの回転中に、前記底部が前記振動伝達部に接触することとしてもよい。
【0015】
このように構成することで、遠心容器の底部が振動伝達部に接触して振動すると、弾性部材により、底部の振動が容器本体に伝わるのを抑制され、容器本体と底部とが相対変位する。したがって、塊状の細胞が堆積している底部周辺の洗浄液を効果的に攪拌し、細胞の分散を促進することができる。これにより、細胞と他の成分との分離を助長することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、細胞に与えるダメージを低減し、細胞収集率の増加を図ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る細胞分離システムの概略構成図である。
【図2】図1の遠心容器の縦断面図である。
【図3】図2の遠心容器を第1の回転軸線周りに回転させた状態を示す図である。
【図4】図1の細胞分離システムにより細胞懸濁液から細胞を遠心分離する工程を示すフローチャートである。
【図5】遠心容器の配管が振動する様子を示す図である。
【図6】配管の振動により細胞懸濁液が拡販されて細胞が分散する様子を示す図である。
【図7】超音波振動子により配管に振動を与える様子を示す図である。
【図8】遠心容器の配管の先端に攪拌部材を設けた状態を示す図である。
【図9】(a)はなめらかな表面形状の攪拌部材を示し、(b)は幅方向に延びる溝が形成された表面形状の攪拌部材を示し、(c)は幅方向に対して傾斜する方向に延びる溝が形成された表面形状の攪拌部材を示し、(d)は風車のような形状の攪拌部材を示す図である。
【図10】本発明の第2の実施形態に係る細胞分離システムの概略構成図である。
【図11】図10の遠心容器の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
〔第1の実施形態〕
本発明の第1の実施形態に係る細胞分離装置および細胞分離システムについて、図面を参照して以下に説明する。
本実施形態に係る細胞分離システム100は、図1に示すように、一端が先細になって閉塞されている有底円筒状の2つの遠心容器1と、これらの遠心容器1を各遠心容器1から離れた回転軸線A回りに回転させる細胞分離装置20とを備えている。
【0019】
遠心容器1は、図2に示すように、軸方向の一端を閉塞する底部3および他端に開口する開口部5を有する容器本体7と、容器本体7内に挿脱可能に設けられる筒状の配管(棒状部材)9とを備えている。最終生成物としての細胞C(図3参照)は、容器本体7の開口部5から取り出すことができるようになっている。
【0020】
配管9は、開口部5に弾性接着剤Sを介して着脱可能に取り付けられている太径の基端部13と、基端部13から底部3近傍に向かって延びる細径のパイプ15とを備えている。
基端部13は、開口部5の外方に突出する長さの略円筒形状に形成されている。基端部13には、PVC管(ポリ塩化ビニル管)等の管路18Aが接続されている。
パイプ15は、基端部13を介して管路18Aと接続され、細胞Cを含む細胞懸濁液を吸引することができるようになっている。
【0021】
これらの基端部13およびパイプ15は、例えば、SUS(Steel special Use Stainless)やチタン等の金属材料により形成されている。弾性接着剤Sとしては、例えば、シリコーン系接着剤やウレタンゴム等を用いることができる。符号16は、洗浄液を供給したり上清を吸引したりする他の配管を示し、符号18Bは他の配管9に接続されるPVC管等の他の管路を示している。
【0022】
細胞分離装置20は、内部にモータ21を収容するベース22と、ベース22により鉛直方向に支持され、モータ21によりベース22に対して回転軸線A回りに回転駆動させられる回転軸23と、回転軸23に固定され、回転軸線Aに対して直交する方向に延びる梁状の回転アーム25と、回転アーム25の両端に設けられ、遠心容器1を揺動可能に支持する水平な2つの揺動軸(揺動軸線)27とを備えている。
【0023】
回転アーム25は、回転軸23が回転することにより、遠心容器1を回転軸線A回りに回転させるようになっている。この場合において、遠心容器1は、遠心力の作用により揺動軸27回りに揺動させられ、図1に示すように回転軸線A方向下方に底部3を向けた姿勢から、図3に示すように半径方向外方に底部3を向けた姿勢に変化して回転させられるようになっている。
【0024】
また、細胞分離装置20には、図3に示すように、回転軸23の内部に設けられたモータ31と、回転軸23の外壁に弾性接着剤Sを介して設けられ、モータ31により回転アーム25の長手軸に平行な回転軸線B回りに回転させられる円板形状の回転部材(振動伝達部)35とを備えている。符号29は、モータ31に電力を供給する電源を示している。
【0025】
モータ31としては、例えば、ブラシ付きモータ、または、ブラシレスモータを用いることができる。
回転部材35は、その中心位置を回転軸線Bに対して偏心させた円板カムを構成している。この回転部材35は、回転アーム25とほぼ同じ高さに設けられ、遠心容器1が半径方向外方に底部3を向けた姿勢に変化した場合に、配管9の基端部13に周期的に接触するように配置されている。すなわち、回転部材35は、回転軸線B回りに1回転する間に、回転軸線Bに近い外縁部が遠心容器1に対して非接触となり、回転軸線Bから離れた外縁部が遠心容器1に接触するようになっている。
【0026】
次に、このように構成された本実施形態に係る細胞分離装置20および細胞分離システム100の作用について、図4のフローチャートを参照して以下に説明する。
本実施形態に係る細胞分離システム100を用いて細胞懸濁液から細胞を遠心分離するには、まず、消化酵素により処理した細胞懸濁液を、ペリスタポンプやシリンジポンプ等を用いて遠心容器1に注入する(ステップS1)。この段階では、図1に示すように、遠心容器1は回転軸線A方向下方に底部3を向けた姿勢で停止している。
【0027】
次に、モータ21を作動させ、回転軸23を回転軸線A回りに回転させる(ステップS2)。モータ31は作動させず、回転部材35が遠心容器1の基端部13に接触しないように停止させておく。回転軸23と共に回転アーム25が回転すると、図3に示すように、遠心力により遠心容器1が揺動軸27回りに揺動し、底部3を半径方向外方に向けた姿勢に変化して回転軸線A回りに回転させられる。
【0028】
これにより、遠心容器1内の細胞懸濁液に遠心力が作用し、細胞Cと消化酵素等の他の成分とが比重差によって遠心容器1の軸方向に積層状態に分離される。具体的には、比重の大きな細胞Cが遠心容器1の底部3に集められ、比重の小さい消化酵素等が細胞Cの上層に集められる。
【0029】
底部3に集められた細胞Cは塊状に押し固められ、その細胞塊の中に消化酵素等が取り込まれているため、次に、細胞Cを1つ1つに分散させる。まず、モータ21の作動を一旦停止し、遠心容器1を底部3が回転軸線A方向下方に向けた姿勢に戻す。そして、遠心容器1に洗浄液を注入する(ステップS3)。
【0030】
次に、モータ21を再び作動させ、遠心容器1を底部3が半径方向外方に向いた姿勢に変化させて回転軸線A回りに回転させる。また、モータ31を作動させ、回転部材35を回転軸線B回りに回転させる(ステップS4)。遠心加速度は、例えば、400Gとする。
【0031】
回転部材35が回転することにより、底部3を半径方向外方に向けた姿勢で遠心分離中の遠心容器1の配管9の基端部13に回転部材35が周期的に接触し、配管9に振動が与えられる。配管9は、例えば、図5に示すように、パイプ15の長手方向に対して交差する方向に振動する。これにより、細胞懸濁液が攪拌され、図6に示すように、底部3に堆積している塊状の細胞Cが分散させられる。したがって、細胞塊の中に取り込まれていた消化酵素等を細胞Cから分離させ、細胞Cから他の成分を除去することができる。
【0032】
この場合において、弾性接着剤Sにより、配管9の振動が容器本体7に伝わるのを抑制されるので、配管9と容器本体7とが相対変位する。したがって、配管9により、容器本体7内の細胞懸濁液を効果的に攪拌することができ、細胞Cの分散を促進して細胞Cと他の成分との分離を助長することができる。
【0033】
次に、細胞Cから消化酵素等が十分に除去されたら、モータ31の作動を停止する。そして、モータ21の作動により遠心容器1を回転軸線A回りに回転させ、遠心力により、遠心容器1の底部に細胞Cを堆積させて塊状に押し固める(ステップS5)。
次に、モータ31の作動を停止し、遠心容器1を静止状態に戻して、底部3に堆積している細胞Cを取り出す(ステップS6)。
【0034】
以上説明したように、本実施形態に係る細胞分離装置20および細胞分離システム100によれば、遠心力により細胞Cと他の成分とを分離させていく過程で、遠心容器1の配管9を振動させて細胞懸濁液を攪拌することで、底部3に堆積している細胞Cを分散させて、細胞Cから他の成分を効果的に分離させることができる。したがって、水流による強い衝撃を与える方法と比較して細胞Cへのダメージが少なく、細胞収集率の向上を図ることができる。
【0035】
本実施形態においては、振動伝達部として、モータ31により回転する円板カムの回転部材35を例示して説明したが、振動伝達部は、回転中の遠心容器1の配管9の基端部13に接触して遠心容器1に振動を与えることができればよく、例えば、回転中心位置を偏心させた多角形状の回転部材を用いることとしてもよい。
【0036】
また、モータ31と回転部材35に代えて、図7に示すように、振動を発生させる超音波素子のような振動子37と、振動子37において発生した振動を遠心容器1に伝える樹脂あるいは金属等からなる振動伝達部材(振動伝達部)39を採用することとしてもよい。このようにすることで、振動子37により発生させる振動の方向を変えることにより、パイプ15の長手方向に交差する方向やパイプ15が延びる方向に配管9を振動させることができる。
【0037】
また、本実施形態においては、例えば、図8および図9(a)に示すように、パイプ15の先端に、パイプの長手方向に対して交差する方向に延びる直方体形状の攪拌部材(鍔状部材)41を設けることとしてもよい。このようにすることで、攪拌部材41により、配管9の振動に対する細胞懸濁液の抵抗が大きくなるので、細胞懸濁液に水流を起こし、底部3周辺の細胞懸濁液を効果的に攪拌することができる。
【0038】
攪拌部材41は、図9(a)に示すような表面が滑らかな形状であってもよいが、例えば、配管9の振動方向に交差する方向に延びる複数の溝(凹凸部)を表面に有することとしてもよい。例えば、図9(b)に示すように攪拌部材41の幅方向に溝43が形成されていてもよいし、または、図9(c)に示すように攪拌部材41の幅方向に対して傾斜する方向に溝43が形成されていてもよい。このようにすることで、表面の溝43により、配管9の振動に対する細胞懸濁液の抵抗を大きくし、水流をより起こし易くすることができる。
また、鍔状部材としては、例えば、図9(d)に示すように、パイプ15の長手方向に対して交差する方向に複数の羽47が延びる風車のような形状の攪拌部材45であってもよい。
【0039】
〔第2の実施形態〕
本実施形態に係る細胞分離システム200は、図10および図11に示すように、遠心容器101の底部103が容器本体107に着脱可能に設けられている点と、細胞分離装置120の回転アーム25が回転軸線Aに対して直交する方向にさらに長く形成され、その長手方向の途中位置に揺動軸27を備えるとともに、長手方向の両端に振動子37と振動伝達部材(振動伝達部)39を備える点で、第1の実施形態と異なる。
以下、第1の実施形態に係る細胞分離装置20および細胞分離システム100と構成を共通する箇所には、同一符号を付して説明を省略する。
【0040】
容器本体107は、テーパ状に先細になるようにつぼまった先端部が開口している。
底部103は、例えば、SUSやチタン等の金属材料からなり、お椀型に形成されている。この底部103は、遠心容器101の先端部の開口に弾性接着剤Sを介して取り付けられるようになっている。
【0041】
振動子37および振動伝達部材39は、回転アーム25に弾性接着剤Sを介して取り付けられている。振動伝達部材39は、遠心容器101が半径方向外方に底部3を向けた姿勢に変化すると、その底部103が接触する位置に配置されている。また、振動伝達部材39は、接触した遠心容器101の底部103に振動子37により発生された振動を伝え、底部103を振動させることができるようになっている。
【0042】
このように構成された細胞分離装置120および細胞分離システム200によれば、遠心容器101を回転軸線A回りに回転させ、底部103を半径方向外方に向けた姿勢に変化させて振動伝達部材39に接触させることにより、振動子37において発生した振動を底部103に伝え、底部103を振動させることができる。これにより、遠心容器103の底部103周辺の細胞懸濁液を攪拌し、底部3に堆積している塊状の細胞Cを分散させることができる。
【0043】
この場合において、弾性接着剤Sにより、底部103の振動が容器本体7に伝わるのを抑制されるので、底部103と容器本体107とを相対変位させて、底部103周辺の細胞懸濁液を集中的に攪拌することができる。これにより、細胞Cの分散を促進し、細胞塊の中に取り込まれていた消化酵素等を細胞Cから効果的に分離させることができる。
【0044】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。例えば、本実施形態においては、容器本体7に対して弾性接着剤Sを介して配管9を取り付けることとしたが、弾性接着剤Sを介さずに容器本体7に配管9を取り付けることとしてもよい。このようにした場合、配管9を振動させると容器本体7にその振動が伝わるため、遠心容器1ごと振動させて細胞懸濁液を攪拌し、底部3に堆積している細胞Cを分散させることができる。同様に、上記変形例においては、容器本体107に対して弾性接着剤Sを介さずに底部103を取り付けることとしてもよい。この場合も、底部103を振動させると容器本体107にその振動が伝わるため、遠心容器101ごと振動させて細胞懸濁液を攪拌することができる。
【符号の説明】
【0045】
1,101 遠心容器
3,103 底部
5 開口部
9 配管(棒状部材)
20 細胞分離装置
21 モータ(回転駆動部)
25 回転アーム
27 揺動軸(揺動軸線)
35 回転部材(振動伝達部)
39 振動伝達部材(振動伝達部)
100,200 細胞分離システム
A 回転軸線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有底円筒状の遠心容器を所定の揺動軸線回りに揺動自在に支持可能な回転アームと、
前記揺動軸線に対して離間した回転軸線回りに前記回転アームを回転させる回転駆動部と、
該回転駆動部の作動により回転中の前記回転アームによって支持された前記遠心容器に接触可能に配置され、該遠心容器に振動を与える振動伝達部とを備える細胞分離装置。
【請求項2】
細胞懸濁液を収容する有底円筒状の遠心容器と、
請求項1に記載の細胞分離装置とを備える細胞分離システム。
【請求項3】
前記遠心容器が、軸方向の一端に配置される底部および他端に配置される開口部を有する筒状の容器本体と、
該容器本体の開口部に弾性部材を介して着脱可能に設けられ、該開口部外方から前記底部近傍に向かって延びる棒状部材とを備え、
前記回転アームの回転中に、前記棒状部材が前記振動伝達部に接触する請求項2に記載の細胞分離システム。
【請求項4】
前記棒状部材が、該長手方向に対して交差する方向に延びる鍔状部材を備える請求項3に記載の細胞分離システム。
【請求項5】
前記遠心容器が、軸方向の両端に開口部を有する筒状の容器本体と、
該容器本体の一方の前記開口部に弾性部材を介して着脱可能に設けられる底部とを備え、
前記回転アームの回転中に、前記底部が前記振動伝達部に接触する請求項2に記載の細胞分離システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−70664(P2012−70664A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−217743(P2010−217743)
【出願日】平成22年9月28日(2010.9.28)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】