説明

細胞培養の増殖を制御する方法

本発明は、培地中で高細胞密度に増殖した微生物の増殖を流加培養技術によって制御する方法であって、液相(培養培地)および固相またはゲル相を有する二相系において、該固相またはゲル相が、酵素によって、制御された方法で、増殖制限基質またはpH調節剤へと変化される基質送達重合体源を提供する、前記方法を提供する。本発明はまた、増殖制限代謝産物の合成を制限し、そして、微生物細胞培養中における酸素欠乏を抑制する方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の技術分野
本発明は、高細胞密度培養の分野に関する。より具体的には、本発明は、流加培養技術によって、培地中で高細胞密度に増殖した微生物の増殖を制御する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
振盪培養は、通常、全ての成分が培養開始時に添加される回分培養である。非常に高い基質濃度、不十分な給気、無制御の増殖、有害な代謝産物の合成(オーバーフロー代謝または嫌気的代謝)、異化代謝産物抑制、および基質による中毒さえも、無制御の振盪培養では容易に起こる。大腸菌の振盪培養におけるバイオマス収量は、通常1〜2g/lの範囲内であり、微小規模では大抵よりずっと低い値となる。基質供給およびpHの調節をうまく計画することで、最大50倍のバイオマスが、一般的に使用される標準的な実験室レベルで、または工業用バイオリアクターで産生され得る。より大きな規模において適用される制御方法(継続的な監視および制御)は、小規模の振盪培養においては容易に適用できない。継続的な監視および供給を行う設定は、小規模において実現することは困難である。無制御の増殖および不十分な給気は、速やかに酸素欠乏を引き起こす。酸素が制限されている間に、細菌の増殖を阻害し、組み換えタンパク質の製造を減ずる発酵産物(酢酸、二酸化炭素、ギ酸、乳酸、エタノール、コハク酸)が大量に製造される。グルコースの取り込み、およびグリコリシスが、クエン酸回路の能力以上に早いならば、これらの代謝産物のいくつかは、好気条件下においても合成される。そのようなオーバーフロー代謝中において、アセチルCoAは、培養液中に分泌される酢酸塩に変換される。呼吸における異化代謝産物抑制(クラブトリー効果)もまた、好気条件下においても、高グルコース濃度に長期間曝露されている間に起こり得る。
【0003】
酸素の制限、オーバーフロー代謝、およびクラブトリー効果を回避するために、バイオリアクター中での高細胞密度培養においては、通常、流加培養技術を利用する。基質制限流加培養において、細菌の増殖速度は、ひとつの制限基質(通常、唯一の炭素源として使用されるグルコース)を用いて調節され得る。酸素の消費量は、呼吸活動(基質使用量)および増殖速度に比例して増加する。したがって、基質制限によって微生物の増殖を抑制することにより、酸素の制限は回避され得る。しかし、単純培養の大半は、監視または供給のできない振盪フラスコ中で行われる。適用される培養法は、通常、回分培養である。バイオマス収量は通常低く、そして、そのようにして製造される培養の質は予測不能であり、大抵低い。高細胞密度にするには、培養開始時において高い栄養素濃度を必要とするが、それは微生物にとっては有毒であるため、高細胞密度は回分培養法では達成されない。
【0004】
測定および供給装置は、通常、単純な振盪培養には利用できないので、代替的な方法が開発された。薬物療法において、薬物は、大抵長時間かけてゆっくりと基質を放出することで供給される。基質が、通常、グルコースおよびアンモニアのような小分子であるため、そしてそれらの放出速度を制御することは困難であるため、薬物輸送様系はほとんど微生物の培養には適用されない。「薬物輸送」様系を用いて、Lubbeら(App Microbiol Biotechnol(1985)22:424−427)は、ストレプトマイセス・クラブリゲルスの培養において塩化アンモニウムを供給し、そして近年、Jeude et al.(Biotechnol Bioeng (2006)Vol.96,No.3:433−443)は、流加培養に似た培養条件を構築するために、グルコースを含んだシリコーンエラストマー(ポリジメチルシロキサン)ディスクを使用した(Buch et al.WO2006/119867「発酵法、およびその実施のための装置」を参照)。これらのディスクは、培養容器に添加され得るが、それらは容器の一部分に結合されてはいない。しかし、比較的少量のグルコースが、そのようなマトリックス中に詰め込まれ得る。さらに、そのようなマトリックスからのグルコースの放出速度は、通常、培養開始時に最も早く、そしてその時は微生物の量が最も少なく、オーバーフロー代謝の危険性が最も高い。このことが、そのような系が生物工学的に最も重要な細菌種である大腸菌の単純培養で速やかに一般的にならなかった理由を説明しているかもしれない。
【0005】
Tyrellら(J.Bacteriol 75(1958):1〜4;「濃縮培養液中において細菌を増殖させるための二相系」)は、イースト抽出物のような栄養素をゲル中に詰め込む方法を提唱した。この方法は、しかし、栄養素の放出速度を制御することができず、特に、そのようなゲルからのグルコース放出は非常に早く起こる。したがって、それは高細胞密度培養には利用できない。栄養素の豊富な、よく緩衝化されたスーパーブロスまたはテリフィックブロスのような複合培養培地の方が、使用がより簡便であり、そしてより高い細胞密度を提供するので、この方法はまったく一般的にはならなかった。
【0006】
動物細胞培養における興味深い出願が、GreenおよびJamesにより提出された(米国特許第3926723号明細書「細胞培養培地への、グルコースの、制御可能な放出方法」)。彼らは、細胞に対する炭素源として少量の溶解性のデンプンを使用した。培養培地中で使用された馬、豚、またはウシの血清は、少量のグルコースを徐々に放出するために十分な触媒活性をもたらした。添加酵素もまた、血清酵素の代わりに使用され得た。この方法では、たった2g/lのデンプンのみ使用し、そしてそれは、理論上、最大1g/lのバイオマス(細胞)を支持するだろう。ヒトの細胞培養において、細胞数の劇的な増加は得られなかった。それは、培養増殖速度を制御または制限するために使用されることはなく、代わりに、増殖抑制物質のひとつである乳酸の蓄積を抑制するためにのみ使用された。したがって、前記筆者らは、高細胞密度を達成するための方法として流加培養技術に気づかなかったようであり、そして、彼らが使用した低デンプン濃度では、彼らの方法が高細胞密度培養であるとは考えらない。細菌(たとえば、大腸菌)の培養には、この方法はうまくいかないだろう:血清、イースト抽出物、またはペプトンのような複合培養培地は、炭素源として機能し得るいくつかの構成要素を含む。したがって、増殖の制御は、一つの炭素源(たとえばグルコース)を制限することによってでは達成され得ない。微生物の流加培養において、既知組成培地およびただ一つの増殖制限基質が、通常、同時に使用される。さらに、本発明において示されるように、少量のデンプンのみが、高細胞密度微生物培養のための十分なグルコースを供給するために培地中に溶解し得る。好気的に増殖する微生物にとって、多量のデンプンの存在は、培地の酸素輸送能力を著しく弱め、それにより嫌気的代謝の危険性を高める。この理由のため、多量の炭素源を培養容器中に詰め込む優れた系が必要とされている。
【0007】
これまでに公表された徐放技術は、1)スケール可変性、2)系に詰め込まれ得る、送達される基質の量、または、3)正確に基質の放出を制御する方法、の点において制限される。上記の方法のいずれも、単純振盪培養中における、微生物の高細胞密度培養のための、全ての必須の条件に対する総合的な解決法を提供しない。基質送達重合体の酵素的分解に基づく方法において、多量の重合体が、培養培地の特性(たとえば、酸素の送達能力)を損なうこと無く培養容器に積み込まれなければならない。
【発明の概要】
【0008】
発明の概要
本発明において、有利な、制御された基質の徐放は、驚くべきことに、コンピュータによる制御または外部からの供給装置の無い振盪バイオリアクターの底部のゲル中に固定化された重合体の酵素消化によってなされた。二相系が、1)高細胞密度を支持するようになる細胞によって直接的に消化されない多量の炭素源の積込み、2)前記の非消化性炭素源の液相への徐放、を可能にするために開発された。一例として、グルコアミラーゼが触媒する、デンプンからのグルコースの放出が挙げられる。酸素制限は避けられ、そしてより多量のバイオマスが、大腸菌の培養において、振盪フラスコおよびディープウェルプレート中において得られる。(グルコアミラーゼの添加より先に)培地中の少量のグルコースが、放出されたグルコースを速やかに消費するための十分な量の細菌を、早急に得るために使用され得る。最適化された手順により、より著しく高い細胞密度が、組み換え遺伝子の発現の誘導のために使用され、そしてその結果として、より高い産物収量が得られる。
【0009】
本発明は、培地中で高細胞密度に増殖した微生物の増殖を、流加培養技術によって制御する方法であって、液相(培養培地)および固相またはゲル相を有する二相系において、該固相またはゲル相が、酵素によって、制御された方法で、増殖制限基質またはpH調節剤へと変化される基質送達重合体源を提供する、前記方法を提供する。固相またはゲル相の使用により、基質送達重合体は、液相の物理学的特性を損なうことなく、高細胞密度を支持する量で系に積み込まれ得る。
【0010】
本発明は、外部からの供給無しに高細胞密度(すなわち、回分培養で得られる細胞密度よりもかなり高い密度)へと達するために、流加培養を無制御の振盪微生物培養に適用する。増殖制限基質(たとえば、グルコース)は、ゲルに結合した、または固定化した重合体(たとえば、デンプン)から、酵素を用いた放出により得られる。二相系の使用により、多量の重合体が、液相の物理学的特性(たとえば、酸素輸送特性)を損なうこと無く、固相またはゲル相から液相中へゆっくりと放出されるように、前記重合体を培養容器中に詰め込むことができる。前記重合体は、速やかに利用されることはなく、そして基質は、所望の放出速度を得るための制御された手法により、酵素により放出される。培地中に放出される増殖制限基質の総量も調整される。最適化され、制御された基質放出速度は、たとえば単純にゲルの組成を制御することにより、酵素濃度を制御する(すなわち、変化させる)ことにより、または酵素の活性を、たとえば酵素を修飾することによって制御する(すなわち、変化させる)ことにより獲得され得る。そのような系は、スケール可変性があり、種々のバイオリアクター系に適用可能である。
【0011】
本発明の方法の利点は、細胞培養中の増殖制限代謝産物の合成が制限され得ることである。これは、過剰の基質の供給(オーバーフロー代謝の原因)および無制御の増殖(酸素欠乏の原因)を抑制することにより得られる。本発明はまた、細胞培養のpHの制御に有効である。別の利点は、ポンプまたは他の外部装置が必要無く、したがって、培養系は簡素で、そして費用効率が良くなり得る。
【0012】
本発明の一実施形態は、培地中で培養された微生物の増殖を制御する方法であって、増殖制限基質が、酵素作用によって、基質送達重合体から培地中へと、制御された方法で放出される、前記方法を提供する。前記の増殖制限基質は、たとえば、栄養素またはpH調節剤であってもよい。
【0013】
本発明の別の実施形態は、細胞培養中の増殖制限代謝産物の合成を制限する方法であって、当該代謝産物の合成を制限するために、前記の増殖を制御する方法が、増殖制限基質を徐々に細胞に放出するために使用される、前記方法を提供する。
【0014】
本発明のさらに別の実施形態は、上記の方法を利用して、細胞培養中の酸素制限(または、欠乏という言葉を代わりに使用してもよい)を抑制する方法を提供する。
【0015】
本発明のさらに別の実施形態は、細胞培養中のpHを調節する方法であって、pH調節剤が、重合体分解酵素の酵素作用によって、重合体から培地中に、制御された方法で放出される、前記方法を提供する。
【0016】
本発明のさらに別の実施形態は、本発明の方法により、培地中で培養された微生物の増殖を制御するために、重合体分解酵素の酵素作用によって、増殖制限基質を重合体から細胞培養培地中に、制御された方法で放出することができる、ゲル様物質の使用を提供する。
【0017】
本発明のさらに別の実施形態は、本発明の方法により、培地中で培養された微生物の増殖を制御するための、高細胞密度流加培養技術に基づいた培養系を提供する。
【0018】
本発明のさらに別の実施形態は、本発明の方法により、培地中で培養された微生物の増殖を制御するための、高細胞密度流加培養技術に基づいた培養キットを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、いかにして本発明の方法が適用され得るかの原理を示す。基質の送達は、液体培養培地および基質を送達するゲルを含む二相系に基づく。増殖制限基質は、ゲルと結合した重合体から送達される。重合体は、前記培地から徐々に放出され、そしてそこで、ある特定の酵素が、A)単一のゲル、B)重層されたゲルが、重合体の放出を遅らせる二層のゲル系、C)微生物自体が、基質消化酵素を産生する系、から基質を放出する。図1において、前記のゲルまたは二層のゲル系は、底板の形態にある。
【図2a】図2aは、デンプンからの、グルコースの所望の放出速度が、デンプンから一分子のグルコースを取り除く、グルコアミラーゼ酵素の濃度を最適化することによって獲得され得ることを示している(A)。ゲルから培地へのデンプンの放出は、デンプン寒天−ゲルの上に寒天(トップゲル)の薄層を流し込むことにより、遅らせることができる(B)。
【図2b】図2bは、デンプンからの、グルコースの所望の放出速度が、デンプンから一分子のグルコースを取り除く、グルコアミラーゼ酵素の濃度を最適化することによって獲得され得ることを示している(A)。ゲルから培地へのデンプンの放出は、デンプン寒天−ゲルの上に寒天(トップゲル)の薄層を流し込むことにより、遅らせることができる(B)。
【図3a】図3aは、前記の方法が、大腸菌の振盪培養において、増殖を制御し、高細胞密度を提供するように働くことを示している。細菌の増殖は、光学的に、600nmまたは490nmの波長で測定された。A)初期グルコース濃度が10g/lである、無機塩培地中における、最適化されていない振盪回分培養。無制御の増殖が、速やかに全酸素を消費する。有害な代謝産物の蓄積が、増殖を停止させる。
【図3b】図3bは、前記の方法が、大腸菌の振盪培養において、増殖を制御し、高細胞密度を提供するように働くことを示している。細菌の増殖は、光学的に、600nmまたは490nmの波長で測定された。B)振盪フラスコ培養における、本発明の方法によって得られる、微生物増殖の制御。グルコース濃度が、程なく増殖を制限するようになり、そして高細胞密度が得られる。
【図3c】図3cは、前記の方法が、大腸菌の振盪培養において、増殖を制御し、高細胞密度を提供するように働くことを示している。C)マイクロタイタープレート培養(液量100μl)における、細胞収量および増殖速度。的確な酵素の用量により、高細胞濃度が得られる。
【図4】図4は、ディープウェルプレート培養(培地量0.7ml、0.5cm2の二層デンプン寒天層)において大腸菌中で産生された、組み換えムラミダーゼの収量に対する誘導細胞密度の効果を示す。組み換え遺伝子の発現誘導は、0.5mMのIPTGを用いてなされた。参考として、LB培地(誘導細胞密度OD600=0.6)中における培養の誘導が示される。本発明の方法を用いて、通常の手順(0.2〜0.6の誘導細胞密度(OD600)が、通常使用される)以上に、かなり高い細胞密度が使用され得る。
【発明を実施するための形態】
【0020】
発明の詳細な説明
本発明は、流加培養技術によって培地中で高細胞密度に増殖した微生物の増殖を制御する方法を提供する。
【0021】
本明細書において使用される用語「高細胞密度培養」とは、多数の微生物細胞を産生する培養のことである。これは多量の栄養素を必要とする。高栄養素濃度による阻害または毒性効果を避けるために、膜バイオリアクター中における、栄養素および代謝産物の継続的な放出、またはゆっくりとした基質の供給(流加培養)のような方法が、通常、適用されなければならない。高細胞密度値は微生物に左右される。それは、微生物を害することなく、徐々に栄養素を付加(流加培養)することなしには到達することのできない細胞密度として定義され得る。
【0022】
本明細書において使用される用語「回分培養」とは、全ての構成要素が培養の開始時に加えられる培養法のことである。外部からの供給は培養中に行われない。本明細書で使用される用語「流加培養」は、栄養素が培養の間徐々に供給される培養のことである。本明細書で使用される用語「基質制限流加培養」とは、微生物の増殖が一つの制限栄養素を用いて、たとえば唯一の炭素源としてグルコースを使用することで、制限されている培養法のことである。
【0023】
本発明は、液相および固相またはゲル相を有する二相系を含む。
【0024】
本明細書で使用される用語「液相」とは、培養培地として働くことのできる全ての好適な液相のことをいう。液相の例は、一般的に使用される既知組成培地(無機塩培地としても知られている)の誘導体を含む。そのような培地は、一またはそれ以上の構成要素(たとえば、培養された微生物の炭素源である化学物質)を除外することによって、容易に変更し得るものであり、ゆえに、本発明の方法による、制御された基質制限流加培養の基礎を提供する。一般的に、液相は細胞および酵素を含む。
【0025】
「固相」とは、基質送達重合体源を提供することのできる全ての好適の固相のことをいう。固相の一実施形態は、ゲル、またはゲル様マトリックスである。本明細書で使用される用語「ゲル様マトリックス」とは、本発明において有用な、全ての好適なゲルまたはゲル様マトリックス、たとえば寒天ゲル、カラギーナンゲル、もしくはゼラチンゲルのことをいう。好適な固相の非限定的な例はまた、液相に自由に分散されない全ての基質送達重合体を含む。一の実施形態において、増殖制限基質の放出を遅らせるために、第一の固相またはゲル相の上にさらに第二のゲルがある(2−ゲル系)。第二のゲルは、たとえば、プレート底部のトップゲルまたはビーズ上の層かもしれない。
【0026】
前記の固相は、基質送達重合体源を提供する。一の実施形態において、基質送達重合体は、ゲル様マトリックスに結合または固定化されている。これは、水または寒天のようなゲル形成物質を含む培地中へ、基質送達重合体を添加することにより達成され得る。そのような液体を加熱してゲル形成物質を溶解し、冷却後、基質送達重合体をゲルマトリックス中に封入する。ゲルは、または、他の化学薬品または光の作用により重合された物質により形成されてもよい。そのような場合において、前記マトリックスは、上述した酵素作用により分解されなくてもよいが、それは単なる安定材または支持材として働く。基質送達重合体は、酵素によって直接マトリックス上でまたはマトリックス中で分解されてもよく、そしてそこで、前記酵素は重合体を分解することができるか、またはそれはマトリックス中を貫通することができ、あるいは、基質送達重合体は、拡散によりマトリックスから培地中への放出の後、酵素によって分解される。一の実施形態において、液体部分の添加後、基質送達重合体は液相へと分散し始める。一の実施形態において、基質送達重合体は微生物に直接使用され得ない。
【0027】
酵素に基質送達重合体として作用することのできる好適な重合体は、いくつかの種類の重合体を含む。一の実施形態において、重合体は、多糖、デンプン、カラギーン、グリコーゲンまたはペプチドグリカンもしくは同様のものである。多糖重合体の一の具体例は、グルコアミラーゼ酵素によって消化されてグルコースを産生するデンプンである。重合体の別の実施形態において、重合体は、コラーゲン、ゼラチンもしくはそれらと同様のもののようなタンパク質またはポリペプチドであり、そして、アミノ酸またはペプチドは酵素的に放出される。さらに別の実施形態において、重合体は、核酸、ポリリン酸、またはそれらと同様のもののようなリン酸を含む物質である。さらに別の実施形態において、ポリマーは、ポリアクリルアミドもしくはポリアミンまたはタンパク質のような窒素含有の化合物である。
【0028】
本発明の方法における使用のための好適な酵素は、栄養素またはpH調節剤を供給するために使用される重合体を消化することのできる、当技術分野で知られている全ての酵素を含む。そのような酵素の非限定的な例は、デンプンに対するアミラーゼおよびグルコアミラーゼ、ならびにタンパク質、ポリペプチドおよびアミノ基の豊富な化合物に対するアミダーゼを含む。潜在的な用途を説明する、さらなる非限定的な例は、ヌクレアーゼによる核酸の分解、重合体からアンモニウム基を放出するためのアミダーゼの使用、または脂質の分解のためのリパーゼの使用がある。酵素は培地に添加されてもよく、またはそれは微生物によって産生されてもよい。後者の場合、それは微生物によって自然に産生された天然の酵素であってもよく、または組み換え酵素であってもよい。添加される酵素の量、または微生物によって産生される酵素のレベルは、重合体からの栄養素の放出を制御するために使用され得る。微生物が産生した酵素を有する培地中に直接懸濁された重合体(たとえばデンプン)の、自然に起こる消化と区別して、本発明は、培養培地の物理的特性を損なうことなく、高細胞密度に増殖したための基質供給を行い得る二相系を提供する。特定の用途のための最適条件を提供するために、酵素の混合物も使用されることができ、そしていくつかの重合体は、同一の培養中に共に適用され得る。
【0029】
微生物の増殖を制御するために、基質送達重合体は、酵素によって、増殖制限基質またはpH調節剤へと変化する。基質制限条件を提供するために、使用される酵素の活性または量は制御され得る(図2)。
【0030】
本明細書で使用される用語「増殖制限基質」とは、培養された微生物の成長能力に影響を与える全ての好適な物質のことである。一の実施態様において、増殖制限基質は、主要栄養素、たとえばグルコースのような栄養素である。別の実施態様において、増殖制限基質は、アンモニアのようなpH調節剤であって、そしてそれは培養培地のpHに影響を与え、その結果、その有効性に基づいて増殖を制御するのみならず、環境(pH)を調節することによって、細胞の増殖速度に影響を与える。細胞増殖のより良い制御性を獲得するために、ただ1種類の制御増殖制限基質を使用することが有利かもしれない。
【0031】
増殖制限基質源、すなわち、基質を放出することのできる重合体は、固相またはゲル相に固定化または結合されていてもよい。これは、液体の培養培地および基質を蓄積するゲルを含む二相系を提供する。固定化または結合は、基質源のゲル形成の特性に、または他のゲル形成物質(たとえば、寒天、カラギーン、ゼラチン、コラーゲン)の使用に基づき得る。直接、液相中に重合体を懸濁させるかわりに、基質供給ゲルを使用することで、粘性を著しく増大させる危険性無く、または培養培地の酸素輸送速度を損なう危険性無く、高細胞密度培養のための十分な基質量が提供され得る。
【0032】
増殖制限基質の供給は、ゲルに固定化された重合体(または基質重合体)(図1)の酵素消化によってなされてもよく、そしてそれが培地へ徐々に放出され、そしてそこで、特定の酵素が細胞によって使用され得る基質を産生する重合体を分解する。基質の放出速度は、酵素の投入によってしっかりと制御され、そしてそれは、シリコ−エラストマー(silico−elastomer)マトリックス系からのグルコース放出に基づく系と比較してよりずっと優れた基質放出の制御を提供する。一の実施形態において、重合体は単一のゲルに結合している(図1A)。別の実施形態において、ポリマーは、重層されたゲルがポリマーの放出を遅らせる、2−ゲル系と結合している(図1B)。さらに別の実施形態において、重合体は培地から放出され、そしてそこで、微生物自体が消化酵素を産生する。一の実施形態において、ゲルまたはゲル様マトリックスは、ビーズの形態にあり、そしてそれは、溶液中に浮遊することができる。そのようなビーズは、当技術分野においてよく知られており、そしてその大きさは、たとえば、0.5〜10mmの範囲内であってもよい。一般的に、この大きさのビーズは、寒天またはカラギーナンゲル中で微生物の固定化のために使用される。
【0033】
酵素を基礎とした送達法の原理はまた、窒素を供給するために、およびpHを上昇させるために適用され得る。窒素を供給する重合体化学製品は、適当な酵素によって消化され得る。そのような系の例は、1)多糖またはこれに相当する化学製品であって、アミノ基が、たとえばアミダーゼ酵素によって酵素的に放出され得る製品、そして、2)徐々にプロテアーゼ、ペプチダーゼまたはアミダーゼによって消化されるゲル形成タンパク質(たとえばゼラチン)を含む。そのような化合物からのアンモニアの放出は、単純培養において、pHを上昇させ、そしてpHの調節を容易にする。
【0034】
本発明の方法は、ゲルの組成、酵素の濃度、酵素の活性のような、幾つかの条件を最適化することによって、または速やかに放出された基質を消費する、そのような多量の微生物を植菌することによって、もしくは酵素添加前に少量の制限基質の存在下、回分培養をすることによって調節されるかもしれない。
【0035】
本発明の方法は、広範囲の容量に拡張可能であり、そして、いくつかの異なる培養装置および容量で適用可能である。たとえば、培養容器は、単純振盪バイオリアクターまたは発酵槽であってもよい。培養容量は、研究室発酵槽のような1〜1000リットルの範囲内であってもよく、工業用生産装置のような1〜100m3以上の範囲内であってもよく、振盪フラスコのような10ml〜5lの範囲内であってもよく、キュベット、ガラスバイアル、ファルコンチューブまたはそれと同様のもののような1〜10mlの範囲内であってもよく、あるいは、マイクロタイタープレート、ミニバイオリアクター、またはそれと同様のもののような5μ〜1mlの範囲内であってもよい。
【0036】
本発明はまた、増殖制限代謝産物の合成を制限するために、本発明の方法が増殖制限基質を細胞に放出するために使用されている流加培養技術により、培地中で高細胞密度に増殖した微生物培養中の増殖制限代謝産物の合成を制限する方法を提供する。
【0037】
本発明はまた、高細胞密度に増殖した微生物細胞培養における酸素制限を抑制する方法を提供し、そのなかで、本発明の方法が、酸素の消費を制限するために、徐々に細胞へ増殖制限基質を放出するために使用される。
【0038】
本発明はまた、本発明の方法において、基質送達重合体を微生物細胞培地へ放出することができるゲル様物質を提供する。
【0039】
本発明はまた、培地中で培養された微生物の増殖を制御するための高細胞密度流加培養技術を基礎とした培養系であって、液相(培養培地)および固相またはゲル相を有する二相系を含み、それが酵素によって、制御された方法で、増殖制限基質に変化されるように配置されている基質送達重合体を提供する、前記培養系を提供する。
【0040】
本発明はまた、培地中で培養された微生物の増殖を制御するための高細胞密度流加培養技術培養キットであって、液相(培養培地)および固相またはゲル相を有する二相系を含み、それが酵素によって、制御された方法で、増殖制限基質に変化されるように配置されている基質送達重合体を提供する、前記培養キットを提供する。当該キットはまた、適当な酵素(複数)および全ての好適なボトル、バイアル、チューブ、コンテナー、マイクロタイタープレートまたはそれらと同様のものを含み、ならびに、その使用法についての印刷された取扱説明書も含む。
【0041】
非限定的な例として、グルコアミラーゼを用いたデンプンの消化が記載される。溶解性のデンプンは、振盪フラスコの底部上に、または他の単純なバイオリアクターに固定化される。二相系の設備により、高細胞密度培養のための十分な重合体の詰め込みが可能である。それはまた、培地の酸素送達潜在能力が直接破壊されないように、液相への重合体の放出を遅らせる。デンプンは安定なゲルを形成し得るが、寒天がゲルを補強するために、および培養培地へのデンプンの放出速度を制御するために加えられ得る。当該重合体は、重合体分解酵素を欠く微生物によって、速やかに炭素源として使用され得ない。重合体分解酵素の正確な投入により、増殖制限基質の規定の放出速度が達成され得る。異なる酵素量およびゲル組成の変更によって、基質(たとえばグルコース)の放出速度は制御され得る。
【実施例】
【0042】
デンプンをゲルに固定化する、実施可能な調製法の例は、デンプン(5〜10% w/v)および寒天(5〜7% w/v)を培養培地または水とともに混合した。当該混合物をオートクレーブにて滅菌し、60℃に冷却し、振盪し、それから冷水中で速やかに冷却し、均一なゲル構造物を得た。固化した後、培養培地(通常、グルコースなしか、または低グルコース容量の無機塩培地)および微生物を添加した。
【0043】
図1は、いかにして本発明の方法が適用され得るかを示す。増殖制限基質は、重合体から生じる。重合体は、前記の重合体の全部または一部からなるゲルマトリックス中に固定化されている。重合体は徐々に培養培地中へ放出され、そしてそこで、(手動で添加された)適当な酵素が増殖制限栄養素を重合体から放出する。重合体放出速度を遅らせるために、追加のゲルが重合体ゲル上に敷かれ得る(図1B)。さらに増殖制限栄養素の利用可能性を制限するために酵素投入が調整され得る。図1Cは、重合体分解酵素が微生物によってコードされている場合を示す。酵素は、微生物の天然の生産物か、または組み換え生産物のいずれかであり得る。そのような系の例は、デンプンの使用であって、そしてそれは、グルコアミラーゼ(E.C.3.2.1.3)酵素によって消化される。
【0044】
図2に示すように、グルコースの制御された放出は、グルコアミラーゼ酵素を用いたデンプンからグルコースの酵素消化によって得られる。酵素濃度を調整することによって、反応速度は制御され得る。ゲルからのデンプンの機械的な放出速度は、デンプンゲルの組成を変えることによって、たとえば、ゲル上にデンプンの入っていない、または低デンプン濃度のトップゲルを流し込むことによって制御され得る。
【0045】
図3は、振盪フラスコ中での通常の回分培養(A)が、無制御の増殖、酸素欠乏、酸性代謝産物の蓄積および少ない細胞収量(低いOD600として観測される)によって特徴付けられることを示す。対照的に、本発明の方法は、グルコースの制限を提供し、ゆっくりとだが、持続的な増殖を提供し、酸素欠乏を抑制し、そして培地を酸性化する代謝産物の蓄積を減らすことができる。図3cは、酵素投入を最適化することによって制御された増殖が、マイクロタイタープレート培養(液量100μl)中でも得られることを示す。
【0046】
誘導組み換えタンパクの産生方法の適用性が、ラクトバチルス(Lactobacillus) バクテリオファージ LL−H ムラミダーゼ(リゾチーム)をコードするmur遺伝子を有する組み換え大腸菌株のBL(DE3)pET21cを用いて調べられた。Murの過剰産生は、ペリプラズム中に漏れると、それは細胞壁のムレインを加水分解し細胞融解へとつながるため、細胞分裂にとって有害である。Mur活性は、容易に定量することができ(Vasala A,Valkkila M,Caldentey J,Alatossava T:ラクトバチルス・デルブリッキー(Lactobacillus delbrueckii)亜種、ラクチス(lactis) バクテリオファージ LL−H溶解素の遺伝的および生化学的特性 Appl Environ Microbiol 1995,61:4004〜4011)、そして、高細胞密度流加培養組み換えタンパク質バイオリアクタープロセスについては、以前記述されている(Viitanen Ml,Vasala A,Neubauer P,Alatossava T:乳清により誘導された、大腸菌中での組み換えタンパクの高細胞密度産生 Microb Cell Fact 2003,2:2)。これらの研究に従って、1細胞集団あたりのMur−産生は十分に改善され得ない。したがって、良好な産生手法は高い誘導細胞密度に基づく。48穴ディープウェルプレート(容量2mL)を使用した。サンプルウェルには、0.6mlのデンプン−寒天ゲル(0.5mlの下部ゲルおよび0.1mlの上部ゲルを含む二層ゲル)および、グルコアミラーゼ酵素を含む0.7mlの培養培地が入っている。種々の細胞密度による組み換えMurの産生(図4)は、本発明が、無制御の培養における小規模の組み換えタンパク質の産生において適用され得ることを裏付けている。本発明の方法によって培養された細菌を、1mM IPTG(mur遺伝子のインデューサー)を用いて、異なる細胞密度で誘導し、そして炭素源がタンパク質産生を制限しないことを確保するために、0.5g/lのグルコースを添加した。4時間の誘導の後、誘導細胞密度(OD600)が0.9よりも高い時に、誘導細胞密度およびMurの活性との間に直線関係が得られた。最も高いMur産生は、最も高い誘導細胞密度を用いて得られた。回分培養において、誘導細胞密度がより高いと、通常、組み換えタンパク質がより低収量となるため、対照の系として、ルリア−ベルターニ(LB)培地で成長され、およびOD600が0.6で誘導された培養を使用した。この実験は、本発明の方法が単純振盪培養における組み換えタンパクの産生に適用可能であり、標準の研究室での手順に比べてより大幅に高い細胞密度の使用ができることを裏付けた。
【0047】
本発明は、幾つかの好ましい実施形態および適用に強調を置いて記述された。しかし、開示された実施形態における変形が作成され、および使用され得ること、ならびに、本発明が、以下の特許請求の範囲に特に記載された範囲を超えて他の方法で実施され得ることは、当業者にとって明らかである。
【図1A】

【図1B】

【図1C】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
流加培養技術によって、培地中で高細胞密度に増殖した微生物の増殖を制御する方法であって、液相および固相またはゲル層を有する二相系において、該固相またはゲル層が、酵素によって、制御された方法で、増殖制限基質またはpH調節剤へと変化される基質送達重合体源を提供することを特徴とする、前記方法。
【請求項2】
前記基質送達重合体が、固相またはゲル相中に固定化されているか、または結合されていることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記の制御された基質の放出速度が、前記ゲルの組成の調節、前記酵素の濃度の調節または前記酵素の活性の調節によって得られることを特徴とする、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記基質送達重合体が、前記微生物によって直接使用されないことを特徴とする、請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記液体部分の添加後、前記基質送達重合体が、前記液相中へ分散し始めることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記酵素が、前記培地に添加されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記酵素が、前記微生物によって産生されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記固相またはゲル相が、底板の形態にあることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記固相またはゲル相が、ビーズの形態にあることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
第一の固相またはゲルの上に、第二のゲルがさらに存在することを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記基質送達重合体が、多糖であることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記多糖が、デンプン、寒天、カラギーン、グリコーゲンおよびペプチドグリカンから選択されることを特徴とする、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記基質送達重合体が、タンパク質またはポリペプチドであることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記タンパク質またはポリペプチドが、コラーゲンまたはゼラチンから選択されることを特徴とする、請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記基質送達重合体が、リン酸含有化合物であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記リン酸含有化合物が、核酸またはポリリン酸から選択されることを特徴とする、請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記基質送達重合体が、窒素含有化合物であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記窒素含有化合物が、ポリアクリルアミドもしくはポリアミンまたはタンパク質から選択されることを特徴とする、請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記増殖制限基質が、栄養素であることを特徴とする、請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記増殖制限基質が、pH調節剤であることを特徴とする、請求項1〜19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記酵素が、アミラーゼ、プロテアーゼ、ペプチダーゼ、ヌクレアーゼおよびアミダーゼから選択されることを特徴とする、請求項1〜20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
流加培養技術によって、培地中で高細胞密度に増殖した微生物培養中の増殖制限代謝産物の合成を制限する方法であって、前記増殖制限代謝産物の合成を制限するために、請求項1〜21のいずれか一項に記載の方法が、前記増殖制限基質を前記細胞へ放出するために使用されることを特徴とする、前記方法。
【請求項23】
高細胞密度に増殖した微生物細胞培養中における酸素制限を抑制する方法であって、酸素消費を制限するために、請求項1〜22のいずれか一項に記載の方法が、前記増殖制限基質を徐々に前記細胞へ放出するために使用されることを特徴とする、前記方法。
【請求項24】
培地中で培養された微生物の増殖を制御するための、高細胞密度流加培養技術を基礎とした培養系であって、液相および固相またはゲル相を有する二相系を含み、それが、酵素によって制御された方法で、増殖制限基質に変化されるように配置されている基質送達重合体を提供することを特徴とする、前記培養系。
【請求項25】
培地中で培養された微生物の増殖を制御するための、高細胞密度流加培養技術培養キットであって、液相および固相またはゲル相を有する二相系を含み、それが、酵素によって制御された方法で、増殖制限基質に変化されるように配置されている基質送達重合体を提供することを特徴とする、前記培養キット。

【図2a】
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【図2b】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−510792(P2010−510792A)
【公表日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−538737(P2009−538737)
【出願日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際出願番号】PCT/FI2007/050648
【国際公開番号】WO2008/065254
【国際公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【出願人】(309035811)
【Fターム(参考)】