説明

細胞培養容器の製造方法

【課題】機能性基体を固定する際における容器の底面等への異物付着を低減し、気泡の発生を防止することができる細胞培養容器の製造方法を提供することを目的とする。また、機能性基体を固定する際における機能性有機化合物層への別部材の接触を最小限とし、機能性有機化合物層の機能を良好に維持することができる細胞培養容器の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】細胞及び培地を収容するための容器部を備える細胞培養容器の製造方法であって、容器部は、容器本体部材103と、該容器本体部材103の底面に設けられた、粘着層503、該粘着層503上に配置された基材層502、及び該基材層502上に配置された機能性有機化合物層501を少なくとも備える機能性基体140と、を少なくとも有し、細胞及び培地を収容する側を下方へ向けた容器本体部材103に対して、粘着層503を上方へ向けた状態で機能性基体140を移動させ、粘着層503を介して容器本体部材103と機能性基体140とを接合することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機能性有機化合物層を備える機能性基体が固定された細胞培養容器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
温度応答性ポリマー等の機能性有機化合物層を表面に被覆した、シャーレ等の細胞培養容器が(特許文献1)に記載されている。この細胞培養容器を用いることにより、温度を変化させるだけで培養・増殖後の細胞を破壊することなく細胞支持体から容易に剥離して回収することができる。しかし、(特許文献1)に記載のように、シャーレ等の細胞培養容器に、別個にバッチ処理により表面処理を行って機能性化合物層を設けることは、多くの手間を必要とし、作業性の観点からはなお改善する余地がある。
【0003】
そこで、(特許文献2)等のように、機能性化合物層を表面に備える、フィルム状、板状等の形状の機能性基体を別途作製し、該機能性基体を、容器の底面上に粘着剤や接着剤等を介して固定して目的の細胞培養容器を形成する技術が提案されている。この技術によれば、細胞培養容器を個別にバッチ処理して機能性有機化合物層を設ける場合と比較して作業性が高まる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平2−211865号公報
【特許文献2】特開2010−98979号公報
【特許文献3】特開2009−154904号公報
【特許文献4】特開2004−134020号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
シール類を所望の製品に貼り付けるためのシール貼り付け装置等が、例えば、(特許文献3)及び(特許文献4)に開示されている。別途作製した機能性基体を容器底面に固定するために、(特許文献3)及び(特許文献4)に開示されるような、ラベル片(機能性基体)の表面を吸引して保持するラベル貼り付け器(ラベラー)を用いることが考えられ、その場合には、通常の状態、すなわち、上方に向かって開口するように載置された容器の内側底面上に、機能性基体を保持したまま降下させ、そこで吸引を解除して機能性基体を貼付する。あるいは、容器の底面上に機能性基体を手動により貼付する。
【0006】
上記のように、通常の状態で載置された容器に対し、機能性基体を上方から近づけて容器の内側底面上に固定する場合には、容器の内側底面上に微小なごみ・異物等が存在すると、その部位が機能性基体を固定した後に気泡となり、細胞観察等の際の妨げとなるという問題がある。
【0007】
また、ラベラーにより機能性基体を保持する場合には、機能性基体の機能性有機化合物層側を吸引して保持することになるため、ラベラーの吸引力によって機能性有機化合物層が部分的に破壊され、あるいは細胞培養等の機能が損なわれる恐れがあった。手動で機能性基体を貼付する場合にも、貼付する過程で機能性有機化合物層への接触が多くなり、同様に細胞培養等の機能が損なわれる恐れがあった。
【0008】
そこで本発明は、機能性基体を固定する際における容器の底面等への異物付着を低減し、気泡の発生を防止することができる細胞培養容器の製造方法を提供することを目的とする。また、機能性基体を固定する際における機能性有機化合物層への別部材の接触を最小限とし、機能性有機化合物層の機能を良好に維持することができる細胞培養容器の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、細胞及び培地を収容する側を下方へ向けた逆さ状態の容器に対し、機能性基体を下方から近づけて接合することによって、上記課題が解決することを見出した。また、機能性基体を近づける際、機能性基体を下側から支持する治具を用いることによって、機能性有機化合物層の機能を良好に維持するという上記課題が解決することを見出した。すなわち、本発明は以下の発明を包含する。
【0010】
(1)細胞及び培地を収容するための容器部を備える細胞培養容器の製造方法であって、
容器部は、
容器本体部材と、
該容器本体部材の底面に設けられた、粘着層、該粘着層上に配置された基材層、及び該基材層上に配置された機能性有機化合物層を少なくとも備える機能性基体と、
を少なくとも有し、
細胞及び培地を収容する側を下方へ向けた容器本体部材に対して、粘着層を上方へ向けた状態で機能性基体を移動させ、粘着層を介して容器本体部材と機能性基体とを接合する前記製造方法。
(2)機能性基体は、粘着層が剥離シートで保護され、
細胞及び培地を収容する側を下方へ向けた容器本体部材の下部に、剥離シートを上方へ向けた状態で機能性基体を位置させ、
剥離シートを剥離し、
その後、細胞及び培地を収容する側を下方へ向けた容器本体部材に対して、粘着層を上方へ向けた状態で機能性基体を移動させ、粘着層を介して容器本体部材と機能性基体とを接合する上記(1)に記載の細胞培養容器の製造方法。
(3)粘着層を上方へ向けた状態で機能性基体を移動させる際、機能性基体を支持するための支持部を備えた治具を用い、支持部上に機能性基体を載置させて機能性基体を下側から支持する上記(1)又は(2)に記載の細胞培養容器の製造方法。
(4)支持部は、機能性基体の下側の周縁部のみに接触するように設けられる上記(3)に記載の細胞培養容器の製造方法。
(5)容器本体部材と機能性基体との接合が、支持部によって機能性基体を容器本体部材に対し押圧して行われる上記(3)又は(4)に記載の細胞培養容器の製造方法。
(6)容器本体部材と機能性基体との接合が、機能性基体を、容器本体部材の細胞及び培地を収容する側の底面に向かって気体で吹き上げることにより支持部上から離脱させて行われる上記(3)又は(4)に記載の細胞培養容器の製造方法。
(7)容器本体部材と機能性基体との接合が、機能性基体を、容器本体部材の細胞及び培地を収容する側の底面に向かって昇降ピンで押し上げることにより支持部上から離脱させて行われる上記(3)又は(4)に記載の細胞培養容器の製造方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る細胞培養容器の製造方法によれば、細胞及び培地を収容する側を下方へ向けた容器本体部材に対し、粘着層を上方へ向けた状態で機能性基体を移動させて両者を接合するため、下向きである容器本体部材の内側底面に異物が付着し難く、また、機能性基体の貼付時に上方に存在する容器本体部材によって粘着層の表面への異物の付着も低減することができる。したがって、機能性基体を固定した後の異物に起因する気泡の発生を防止することができる。
【0012】
また、容器本体部材に対して機能性基体を移動させる際、支持部を備えた治具を用い、その支持部上に機能性基体を載置させることで、機能性基体の自重により支持することができる。そのため、機能性有機化合物層の表面全体を吸引力により保持する従来技術と異なり、機能性有機化合物層にかかる力を最小限にすることができ、機能性有機化合物の機能を損なうことがない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1A】本発明により製造される細胞培養容器の一実施形態を示す斜視図である。
【図1B】図1AのI−I’断面図である。
【図1C】図1AのII−II’断面図である。
【図2】図1A〜図1Cに示す細胞培養容器の製造過程を説明するための斜視図である。
【図3】本発明により製造される細胞培養容器の別の実施形態の製造過程を説明するための斜視図である。
【図4A】本発明により製造される細胞培養容器のさらに別の実施形態を示す斜視図である。
【図4B】図4AのIII−III’断面図である。
【図5】機能性基体の断面図である。
【図6A】本発明の細胞培養容器の製造方法の一実施形態を説明するための断面図である。
【図6B】本発明の細胞培養容器の製造方法の一実施形態を説明するための断面図である。
【図6C】本発明の細胞培養容器の製造方法の一実施形態を説明するための断面図である。
【図6D】本発明の細胞培養容器の製造方法の一実施形態を説明するための断面図である。
【図7A】本発明の細胞培養容器の製造方法の別の実施形態を説明するための断面図である。
【図7B】本発明の細胞培養容器の製造方法の別の実施形態を説明するための断面図である。
【図8】本発明の細胞培養容器の製造方法のさらに別の実施形態を説明するための断面図である。
【図9】本発明の細胞培養容器の製造方法のさらに別の実施形態を説明するための断面図である。
【図10】本発明における治具の別の実施形態を示す断面図である。
【図11】本発明における治具のさらに別の実施形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面に基づき本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0015】
<細胞培養容器の形状>
まず、本発明において製造される細胞培養容器の全体の形状について説明する。
本発明により製造される細胞培養容器は、細胞及び培地を収容するための容器部を少なくとも備え、さらに適宜蓋等を備える。
【0016】
容器部は、図1A〜図1Cに示すように、細胞及び培地を収容するための空間が壁面により閉塞された形状であってもよいし、図4A及び図4Bに示すように該空間の一端が開放された形状であってもよい。
【0017】
細胞培養容器の好ましい一実施形態を図1A〜図1Cに示す。図1Aに示す容器部100は、底部101、及び底部101の周縁に立設された側壁部102から構成される容器本体部材103と、容器本体部材103の上端部に接合された、底部101に対向配置される天面部材104とを少なくとも備える。側壁部102の一部に通孔105が穿設されており、通孔105の周縁から容器部外側に延びる首部106を備える、「フラスコ型」と呼ばれる形状の容器部である。容器部100の首部106には蓋110を係止するための係止部107が形成されており、係止部107を介して蓋110が着脱可能に装着される。容器部100と蓋110とを組み合わせることによりフラスコ型の細胞培養容器120が形成される。
【0018】
図1Bは、容器部100のI−I’断面図を示し、図1Cは、II−II’断面図を示す。容器部100の、底部101及び側壁部102から構成される容器本体部材103は、底部101及び側壁部102によって画定され、かつ上方へ開放された開口部108を備える。開口部108は、天面部材104の接合によって閉塞され、その結果、細胞及び培地を収容するための空間130が形成されている。容器本体部材103の開口部108側の底面(すなわち、空間130に面する底部101上)には、機能性基体140が固定されている。
【0019】
容器部100を形成するには、図2に示すように、まず、底部及び側壁部から構成される容器本体部材103の内底面に、機能性基体140を接合し、次いで、容器本体部材103に天面部材104を接合する。
【0020】
図3は、図1A〜図1Cと同様のフラスコ型の容器部の別の実施形態の製造過程を示している。この実施形態では、容器本体部材109は平板状に形成されており、その平板状の容器本体部材109の底面(表面)上に、機能性基体140が固定されている。そして、機能性基体140が固定された容器本体部材109に対し、側壁部材111及び天面部材104が接合され、図1A〜図1Cと同一の外形状を有する容器部が得られる。なお、図3において、容器本体部材109及び側壁部材111の接合工程と、側壁部材111及び天面部材104の接合工程とは、いずれが先でもよいことは無論である。
【0021】
容器部の他の実施形態としては、図4A及び図4Bに示すように、底部201、及び底部201の周縁に立設した側壁部202から構成される容器本体部材203を備える皿状の容器部200が挙げられる。容器本体部材203は、底部201及び側壁部202によって画定され、かつ上方へ開放された開口部204を備え、その開口部204が、細胞及び培地を収容するための空間220として機能する。容器本体部材203の開口部204側の底面(すなわち、空間220に面する底部201上)には、機能性基体210が固定されている。
【0022】
機能性基体140、210は、接着剤又は粘着剤を含む粘着層503と、粘着層503上に配置された基材層502と、基材層502上に配置された機能性有機化合物層501とを少なくとも備え、容器本体部材の底部101、201、あるいは図3に示す平板状の容器本体部材109に対し、粘着層503を介して接合されている。
【0023】
<細胞培養容器の材料>
容器本体部材、側壁部材、天面部材、首部及び蓋等の細胞培養容器の部材を形成する材料は特に限定されず、細胞培養において一般的に用いられる材料を用いることができる。例えば、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリプロピレン樹脂、ABS樹脂、ナイロン、アクリル樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、メチルペンテン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂等の樹脂材料、表面親水化処理を施した上記の少なくとも1種を含む樹脂材料、及びガラスや石英等の無機材料であることができるが、好ましくは樹脂材料である。樹脂材料としては、ポリスチレン樹脂又はポリエチレンテレフタレート樹脂であることが好ましい。
【0024】
容器本体部材は、該部材を通じて容器外から培養細胞を観察することが可能な透明な材料で構成されていることが好ましい。
【0025】
<機能性基体>
本発明における機能性基体140、210の厚さ方向に沿った断面は、図5に示すように、粘着層503、該粘着層503上に配置された基材層502、及び該基材層502上に配置された機能性有機化合物層501を少なくとも備える。機能性基体は、典型的には、透明な機能性基体である。ここで「基体」とは、所定の構造を有している限り、フィルムであってもよいし、板状体であってもよい。フィルム状の機能性基体(以下「機能性フィルム」と呼ぶことがある)は、好ましくはロール状に巻き取り可能な可撓性を有するものである。可撓性の機能性フィルムは、ロール・ツー・ロール法による大量生産が容易であるため好ましい。
【0026】
機能性基体は、基材層502に粘着層503及び機能性有機化合物層501を適当な方法により形成することによって製造することができる。基材層502と機能性有機化合物層501との間には、必要に応じて1つ以上の他の層(例えば後述するプライマー層)が存在していてもよい。
【0027】
機能性基体の形状は、固定される部材の領域の形状に応じた任意の形状であることができる。例えば、三角形、四角形(長方形、正方形、平行四辺形、菱形等)、五角形、六角形、七角形、八角形等の多角形や、円形、楕円形等の形状であることができる。
【0028】
<基材層>
基材層502は、最終的な機能性基体に応じて適宜選択される。機能性基体が板状であれば板状の基材層が用いられ、機能性基体がフィルム状であればフィルム状の基材層(以下「フィルム基材層」という)が用いられる。
【0029】
基材層502は、一方の表面に上述の機能性有機化合物層501を形成することが可能な材料を含むものであればよく、材料の種類は特に限定されない。典型的には、基材層の材料として、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリスチレン(PS)、ポリカーボネート(PC)、TAC(トリアセチルセルロース)、ポリイミド(PI)、ナイロン(Ny)、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルサルフォン、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、アクリル樹脂等の樹脂材料や、ガラスや石英等の無機材料が挙げられ、樹脂材料が好ましい。
【0030】
基材層502の、機能性有機化合物層501が形成される側の表面は、易接着処理された表面であることができる。「易接着処理」とは、例えば、ポリエステル、アクリル酸エステル、ポリウレタン、ポリエチレンイミン、シランカップリング剤、ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)等の易接着剤による処理を指す。
【0031】
基材層502の厚さは適宜選択することができる。基材層がフィルム基材層である場合、その厚さ(フィルム基材層が基材の層に加えて易接着層を備える場合は、易接着層を含むフィルム基材層の全体の厚さを指す)は特に制限は無いが、可撓性を付与する厚さであることが好ましく、例えば5〜500μm、より好ましくは20〜500μm、特に好ましくは50〜250μmである。
【0032】
<機能性有機化合物層>
機能性有機化合物層501を構成する有機化合物としては、所望の機能を有する層であれば特に限定されないが、より好ましくは、所定の刺激によって細胞接着性から細胞非接着性へと変化することが可能な表面を有する刺激応答性ポリマーや、1つ以上のエチレングリコール単位(CH−CH−O)からなるエチレングリコール鎖等の親水性化合物が挙げられる。
【0033】
機能性有機化合物層501の膜厚は、例えば、0.5nm〜300nmの範囲内とするよく、特に1nm〜100nmの範囲内であることが好ましい。
【0034】
以下「刺激応答性ポリマー層」及び「親水性化合物層」の好適な実施形態について説明する。
【0035】
<刺激応答性ポリマー層>
機能性有機化合物層501は、刺激応答性ポリマー層であることが特に好ましい。刺激応答性ポリマー層とは、所定の刺激によって表面の細胞の接着度合いが変化するポリマーを含む層である。刺激応答性ポリマーとしては、温度応答性ポリマー、pH応答性ポリマー、イオン応答性ポリマー、光応答性ポリマー等を挙げることができる。なかでも温度応答性ポリマーが、刺激の付与が容易であることから好ましい。
【0036】
温度応答性ポリマーとして、例えば、細胞を培養する温度では細胞接着性を示し、作製した細胞シートの剥離する時の温度では細胞非接着性を示すものを用いるとよい。例えば、温度応答性ポリマーは、臨界溶解温度未満の温度では周囲の水に対する親和性が向上し、ポリマーが水を取り込んで膨潤して表面に細胞を接着しにくくする性質(細胞非接着性)を示し、同温度以上の温度ではポリマーから水が脱離することでポリマーが収縮して表面に細胞を接着しやすくする性質(細胞接着性)を示すものを用いるとよい。このような臨界溶解温度は、下限臨界溶解温度と呼ばれる。下限臨界溶解温度Tが0℃〜80℃、さらに好ましくは0℃〜50℃である温度応答性ポリマーを用いるとよい。Tが0℃〜80℃であると、細胞を安定的に培養できるからである。
【0037】
好適な温度応答性ポリマーとしてはアクリル系ポリマー又はメタクリル系ポリマーが挙げられる。具体的に好適な温度応答性ポリマーとしては、例えばポリ−N−イソプロピルアクリルアミド(T=32℃)、ポリ−N−n−プロピルアクリルアミド(T=21℃)、ポリ−N−n−プロピルメタクリルアミド(T=32℃)、ポリ−N−エトキシエチルアクリルアミド(T=約35℃)、ポリ−N−テトラヒドロフルフリルアクリルアミド(T=約28℃)、ポリ−N−テトラヒドロフルフリルメタクリルアミド(T=約35℃)、及びポリ−N,N−ジエチルアクリルアミド(T=32℃)等が挙げられる。
【0038】
これらのポリマーを形成するためのモノマーとしては、放射線照射によって重合し得るモノマーを用いることができる。モノマーとしては例えば、(メタ)アクリルアミド化合物、N−(若しくはN,N−ジ)アルキル置換(メタ)アクリルアミド誘導体、環状基を有する(メタ)アクリルアミド誘導体、及びビニルエーテル誘導体等が挙げられ、これらの1種以上を使用してよい。モノマーが一種類単独で使用された場合、基材上に形成されるポリマーはホモポリマーとなり、モノマーが複数種一緒に使用された場合、基材上に形成されるポリマーはヘテロポリマーとなるが、どちらの形態も本発明に包含される。
【0039】
また、増殖細胞の種類によってTを調節する必要がある場合や、被覆物質と細胞培養支持体との相互作用を高める必要が生じた場合や、細胞支持体の親水・疎水性のバランスを調整する必要がある場合等には、上記以外の他のモノマー類をさらに加えて共重合してよい。さらに本発明に使用する上記ポリマーとその他のポリマーとのグラフト又はブロック共重合体、あるいは本発明のポリマーと他のポリマーとの混合物を用いてもよい。また、ポリマー本来の性質が損なわれない範囲で架橋することも可能である。
【0040】
pH応答性ポリマー及びイオン応答性ポリマーは作製しようとする細胞シートに適したものを適宜選択することができる。
【0041】
刺激応答性ポリマー層は、重合して目的の刺激応答性ポリマーを形成するモノマーと、該モノマーを溶解しうる有機溶媒と含む塗布用組成物を調製し、これを慣用の塗布方法に従って、基材層の表面に塗布して塗膜を形成し、次に、該塗膜に放射線照射等の適当な手段により塗膜中のモノマーを重合してポリマーを形成するとともに、基材層の表面とポリマーとの間にグラフト化反応を生じさせることにより形成することができる。
【0042】
<親水性化合物層>
機能性有機化合物層の他の実施形態として、1つ以上のエチレングリコール単位からなるエチレングリコール鎖(複数のエチレングリコール単位からなるエチレングリコール鎖は、「ポリエチレングリコール鎖」ということができる)等の親水性化合物の層が挙げられる。エチレングリコール鎖の末端は水酸基により封鎖された形態であってもよいし、エチレングリコール鎖の末端に生体関連物質等の他の物質が共有結合により連結された形態であってもよい。末端が水酸基により封鎖されたエチレングリコール鎖を含む層は、細胞が接着し難い親水性の表面を提供することができる。
【0043】
エチレングリコール鎖の末端に共有結合されうる生体関連物質としては、抗原、抗体、DNA、RNA、ペプチド、ホルモン、酵素、サイトカイン、糖鎖、脂質、補酵素、酵素阻害剤、細胞、その他の機能を有するタンパク質が含まれる。さらに、このような生体関連物質と親和性を有する低分子化合物、及び高分子化合物も生体関連物質の範囲に含まれる。
【0044】
エチレングリコール鎖等の親水性化合物の層を、樹脂製の基材層の表面に固定化するためには、予め、樹脂製の基材層の表面に、該表面に物理的に吸着可能であって、エチレングリコール鎖の末端の水酸基と反応して共有結合を形成可能な官能基を側鎖に含むポリシロキサンを含むプライマー層を設ける。ポリシロキサンの側鎖上の官能基としては、グリシジル基又はエポキシ基が好ましい。プライマー層は、基材層の表面に、所望の側鎖を有するシラノール化合物を適用し、該表面上で縮合重合してポリシロキサンに変換することにより形成することができる。
【0045】
次いで、プライマー層の官能基と、エチレングリコール又はエチレングリコール単位が2以上繰り返されたポリエチレングリコールの水酸基とを反応させて共有結合を形成し、エチレングリコール鎖を固定化する。このとき、触媒量の濃硫酸を含むエチレングリコール又はポリエチレングリコールをプライマー層に接触させる。末端が水酸基により封鎖されたエチレングリコール鎖を含む層はこのようにして形成される。
【0046】
さらに、必要に応じて、エチレングリコール鎖の一端に、他の物質との共有結合を形成することが可能な、少なくとも1つの官能基を直接的又は間接的に連結させる。官能基の導入方法は特に限定されない。
【0047】
<粘着層>
粘着層503は、接着剤又は粘着剤を含む。接着剤及び粘着剤としては、それぞれ機能性基体の基材層と容器本体部材とを接合可能なものであれば特に限定されないが、具体的には接着剤としてはポリアクリル酸エステル系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリイミド系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリウレタン系接着剤、メタクリル系接着剤、ゴム系接着剤、シリコーン系接着剤、無機系接着剤等の接着剤等が例示でき、粘着剤としてはアクリル系粘着剤や、ウレタン系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ゴム系粘着剤が例示できる。これらの接着剤又は粘着剤が、基材層502上に塗布されて、粘着層503が形成される。
【0048】
なお、機能性基体を製造する場合において、基材層502の表面上への、機能性有機化合物層501の形成工程と、接着剤又は粘着剤を含む粘着層503の形成工程の順序は特に限定されない。例えば、(1)粘着層が形成され、必要に応じ粘着層の表面が剥離シートにより覆われて保護された基材を用意し、該基材の、粘着層が形成されていない側の面に機能性有機化合物層を積層してもよいし、(2)基材の一方の表面に機能性有機化合物層を積層した後、基材の他方の表面に粘着層を形成し、必要に応じ粘着層の表面を剥離シートにより覆って保護してもよい。上記(1)で用いられる「粘着層が形成され、必要に応じ粘着層の表面が剥離シートにより覆われて保護された基材」は独自に製造してもよいし、市販品を購入してもよい。
【0049】
<細胞培養容器の製造方法>
次に、本発明の細胞培養容器の製造方法について説明する。
本発明の製造方法の第1の実施形態を図6A〜図6Dに基づき説明する。なお、下記の説明は、図1A〜図1Cに示す細胞培養容器を製造する場合についてのものであるが、図4A及び図4Bに示す細胞培養容器や、他の形態の細胞培養容器を製造する場合にも同様に適用することができる。図6A〜図6Dの各製造過程を示す断面図は、図1Bの断面図に対応している。
【0050】
まず、図6Aに示すように、細胞及び培地を収容する側である開口部108の側を下方へ向けた容器本体部材103の下部に、機能性基体140を位置させる。機能性基体140は、上側が粘着層503であり、下側が機能性有機化合物層501になっている。図6Aの例では、さらに、粘着層503の上に剥離シート504を備えており、この剥離シート504によって、粘着層503が覆われて保護されている。
【0051】
図6Aのように、容器本体部材103の下部に機能性基体140を位置させるには、位置が固定された容器本体部材103に対し、機能性基体140を搬送してきてもよいし、位置が固定された機能性基体140に対し、容器本体部材103を搬送してきてもよい。あるいは、容器本体部材103及び機能性基体140の双方を搬送し、両者の相対的な位置が合うように搬送動作を停止させてもよい。機能性基体140を搬送する場合、容器本体部材103の底面に適合する形状・面積になるよう予め形成された機能性基体を一枚ずつ搬送してもよいが、例えば、ロール状に巻かれた長尺状の機能性基体を搬送し、容器本体部材の下部に到達する直前に、所定の形状・面積に裁断してもよい。
【0052】
続いて、図6Bに示すように、剥離シート504を剥離し、粘着層503を露出させる。なお、剥離シート504を剥離するタイミングは、機能性基体の上部空間を容器本体部材103が傘のように覆うことによって粘着層503上に異物・ごみ等が付着し難くなるため、図6Bの例のように容器本体部材103の下部に機能性基体140を位置させた後に、剥離シート504を剥離することが最も好ましい。しかし、必要に応じて、剥離シートを剥離した後に、容器本体部材103の下部に機能性基体140を位置させてもよい。
【0053】
図6A〜図6Cの例では、支持部401を備えた治具400Aを用い、機能性基体140を下側から支持している。機能性基体140は、支持部401に吸着状態又は非吸着状態で支持され得るが、機能性有機化合物層501の機能を維持するためには機能性基体140の自重により支持部401上に載置されて支持されることが好ましい。支持部401は、突起状に形成され、その突起の先端に機能性基体140が載置された状態となっている。支持部401は、複数点在するように分散配置されていてもよく、この場合、機能性基体に生じる応力を分散することができる。また、機能性基体140の周縁部に触れるように、支持部401は環状に配置されていてもよく、この場合、機能性基体の中央部を非接触の状態で支持することができる。治具の材料は特に限定されるものではなく、各種金属、樹脂等の材料を適宜選択して構成することができる。機能性有機化合物層501と接触する支持部401の先端についても、同様に種々の材料が適用可能であるが、必要に応じて、シリコーンゴム等のようなより軟らかい弾性材料を用いてもよい。
【0054】
次に、図6Cに示すように、容器本体部材103に対して、粘着層503を上方へ向けた状態で機能性基体140を移動させ、突起状の支持部401によって機能性基体140を容器本体部材103に底面に押圧することによって、容器本体部材103と機能性基体140との接合が行われる。容器本体部材に対する機能性基体の移動は、相対的に近接する移動であればよく、容器本体部材を固定し機能性基体を近づける場合、機能性基体を固定して容器本体部材を近づける場合、及び両者を互いに近づける場合のいずれも採用することができる。
【0055】
細胞及び培地を収容する側である開口部108の側を下方へ向けた容器本体部材103に対して機能性基体140を近接させるため、容器本体部材103の底面に異物が付着しにくい。また、接合させるため上方に移動中の機能性基体についても、その上部の空間が容器本体部材によって覆われるため、粘着層503上に異物が付着しにくい。その結果、接合した容器本体部材と機能性基体との界面に発生する異物に起因する気泡が低減される。
【0056】
さらに、機能性基体140は、治具400Aの支持部401上に載置され、機能性基体140の自重によって支持されるため、従来のような機能性有機化合物層の表面全体を吸引して保持する場合と異なり、機能性有機化合物層501に強い応力が加わることがなく、機能性有機化合物層の機能が損なわれることがない。また、機能性基体の自重によって支持可能であるがゆえに、支持部401と機能性有機化合物層501との接触面積を最小限にすることができ、その結果、接触により機能性有機化合物層501に対して悪影響を及ぼすことがなく、所期の機能を良好に維持することができる。
【0057】
支持部401は、図6A〜図6Cに示すように、機能性基体140の下側の周縁部のみに接触するように設けることにより、機能性基体140の中央部分は別部材と全く接触することなく容器本体部材103に接合されるため、機能性有機化合物層501をより良好な状態に保護することができる。なお、機能性基体140の下側の周縁部のみに接触するよう支持部401を設ける場合は、図示しないが、例えば支持部を機能性基体140の周縁形状に沿って環状に突出する形状とすることができ、あるいは、環の一部が途切れたように突出する複数の支持部とすることができる。
【0058】
その後、図6Dに示すように、容器本体部材103に対して天面部材104を接合することにより、細胞培養容器を製造することができる。容器本体部材103と天面部材104との接合は、細胞培養の目的に応じて、必要な場合は培養液が漏出しないように液密に接合される。
【0059】
図7A及び図7Bには、本発明の製造方法の別の実施形態を示す。この実施形態は、図3に示すような平板状の容器本体部材109の底面に対して機能性基体140を接合する場合に相当する。図6A〜図6Dの実施形態における容器本体部材103に代えて、側壁部のない平板状の容器本体部材109を用いる点を除いては、構成及び効果は上記の図6A〜図6Dの実施形態と同様である。
【0060】
すなわち、図7Aに示すように、細胞及び培地を収容する側を下方へ向けた平板状の容器本体部材109の下部に、剥離シート504を上方へ向けた状態で機能性基体140を位置させ、剥離シート504を剥離した後(図示せず)、図7Bに示すように、容器本体部材109に対して粘着層503を上方へ向けた状態で機能性基体140を移動させ、支持部401によって機能性基体140を容器本体部材109に対し押圧することにより、粘着層503を介して容器本体部材109と機能性基体140とを接合することができる。
【0061】
機能性基体140が固定された平板状の容器本体部材109は、図3に示すように側壁部材111及び天面部材104を接合することにより、細胞培養容器を製造することができる。
【0062】
次に、本発明の製造方法のさらに別の実施形態を図8に基づき説明する。図8の治具400Bは、中央部に孔が形成され、その孔を通して、空気等の基体Aが矢印方向に放出可能とされている。この実施形態では、容器本体部材103と機能性基体140とを接合させる際に、支持部411上に機能性基体140を載置させ、機能性基体140を下側から支持しつつ容器本体部材103と機能性基体140とを近接させる点は図6A〜図6Dの実施形態と同様であるが、ある程度近接した段階で、治具400Bの孔から気体Aを放出し、機能性基体140を容器本体部材103の細胞及び培地を収容する側の底面に向かって吹き上げ、機能性基体140を支持部411上から離脱させる。これにより、粘着層503を介して、容器本体部材103と機能性基体140とを接合することができる。なお、図8では、気体を放出する孔が1つ形成されているが、これに限定されず、複数の孔を形成することができる。
【0063】
次に、本発明の製造方法のさらに別の実施形態を図9に基づき説明する。図9の治具400Cは、中央部に孔が形成され、その孔を通して、昇降ピン422が上下に移動可能とされている。この実施形態では、容器本体部材103と機能性基体140とを接合させる際に、支持部421上に機能性基体140を載置させ、機能性基体140を下側から支持しつつ容器本体部材103と機能性基体140とを近接させる点は図6A〜図6Dの実施形態と同様であるが、ある程度近接した段階で、治具400Cの孔から昇降ピン422が突出し、機能性基体140を容器本体部材103の細胞及び培地を収容する側の底面に向かって押し上げることにより、機能性基体140を支持部421上から離脱させる。これにより、粘着層503を介して、容器本体部材103と機能性基体140とを接合することができる。なお、昇降ピン422の形状及び数は限定されるものではなく、例えば、複数の昇降ピンが協働して機能性基体140を押し上げる構成としてもよい。
【0064】
図8及び図9の実施形態は、側壁部を有する容器本体部材103に代えて、平板状の容器本体部材109に対し機能性基体を接合する場合にも同様に適用することができる。
【0065】
上記の各実施形態では、治具の支持部を、機能性基体140の下側の周縁部のみに接触するように設けているが、これに限定されるものではない。例えば、図10の治具400Dのように、機能性基体の周縁部に加えて、中央部にも接触するような支持部を設けることができる。また、図11に示すように、治具400Eの支持部441の形状を、機能性基体140の下側(機能性有機化合物層501)の全面に接触するような形状としてもよい。機能性有機化合物層501の全面に接触する場合であっても、機能性基体はその自重のみによって下側から支持されるので、機能性有機化合物層501に加わる応力は小さく、機能性有機化合物層の機能を損なうことはない。
【符号の説明】
【0066】
100、200 容器部
101、201 底部
102、202 側壁部
103、109、203 容器本体部材
104 天面部材
105 通孔
106 首部
107 係止部
108、204 開口部
110 蓋
111 側壁部材
130、220 空間
140、210 機能性基体
400A〜400E 治具
401、411、421、431、441 支持部
422 昇降ピン
501 機能性有機化合物層
502 基材層
503 粘着層
504 剥離シート
A 気体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞及び培地を収容するための容器部を備える細胞培養容器の製造方法であって、
容器部は、
容器本体部材と、
該容器本体部材の底面に設けられた、粘着層、該粘着層上に配置された基材層、及び該基材層上に配置された機能性有機化合物層を少なくとも備える機能性基体と、
を少なくとも有し、
細胞及び培地を収容する側を下方へ向けた容器本体部材に対して、粘着層を上方へ向けた状態で機能性基体を移動させ、粘着層を介して容器本体部材と機能性基体とを接合する前記製造方法。
【請求項2】
機能性基体は、粘着層が剥離シートで保護され、
細胞及び培地を収容する側を下方へ向けた容器本体部材の下部に、剥離シートを上方へ向けた状態で機能性基体を位置させ、
剥離シートを剥離し、
その後、細胞及び培地を収容する側を下方へ向けた容器本体部材に対して、粘着層を上方へ向けた状態で機能性基体を移動させ、粘着層を介して容器本体部材と機能性基体とを接合する請求項1に記載の細胞培養容器の製造方法。
【請求項3】
粘着層を上方へ向けた状態で機能性基体を移動させる際、機能性基体を支持するための支持部を備えた治具を用い、支持部上に機能性基体を載置させて機能性基体を下側から支持する請求項1又は2に記載の細胞培養容器の製造方法。
【請求項4】
支持部は、機能性基体の下側の周縁部のみに接触するように設けられる請求項3に記載の細胞培養容器の製造方法。
【請求項5】
容器本体部材と機能性基体との接合が、支持部によって機能性基体を容器本体部材に対し押圧して行われる請求項3又は4に記載の細胞培養容器の製造方法。
【請求項6】
容器本体部材と機能性基体との接合が、機能性基体を、容器本体部材の細胞及び培地を収容する側の底面に向かって気体で吹き上げることにより支持部上から離脱させて行われる請求項3又は4に記載の細胞培養容器の製造方法。
【請求項7】
容器本体部材と機能性基体との接合が、機能性基体を、容器本体部材の細胞及び培地を収容する側の底面に向かって昇降ピンで押し上げることにより支持部上から離脱させて行われる請求項3又は4に記載の細胞培養容器の製造方法。

【図1A】
image rotate

【図1B】
image rotate

【図1C】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6A】
image rotate

【図6B】
image rotate

【図6C】
image rotate

【図6D】
image rotate

【図7A】
image rotate

【図7B】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2013−106528(P2013−106528A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−251899(P2011−251899)
【出願日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】