説明

細胞培養用回転駆動器

【課題】細胞培養用回転駆動器を提供する。
【解決手段】外部から電力を受けて作動される動力供給部と、動力供給部により回転する回転部129と、回転部の上部に位置し、回転部が回転する時、停止状態を維持することにより、回転部の回転方向によってのみ傾きが変わる駆動部121と、を含む細胞培養用回転駆動器120。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、培養液及び各種ガスを使用して細胞を培養する細胞培養用回転駆動器に関し、細胞成長過程を観察することが可能であり、一遍に多量の細胞を培養することができて、自動化されたシステムにより、たくさんの時間と努力を払うことなく細胞を培養できる細胞培養用回転駆動器に関する。
【背景技術】
【0002】
細胞培養とは、多細胞生物の個体から無菌的に組織片を取り出し、これに栄養を与え、容器内で培養、増殖させることで、植物の場合、無制限に組織を増殖させることができる。
【0003】
培養法には、カバーグラス法、フラスコ法、回転管法などがある。一般に、培養組織の成長を促進させるには、胚エキスや白血球または脾臓エキスが有効であるが、その本体は明らかに明かされていない。最近は、抗生物質を利用するか、ビタミン、アミノ酸を混合したイーグル培養液などを使用したりもする。
【0004】
組織培養により、一つの細胞から細胞集団までの培養、小さい器官の培養、植物組織の培養も可能になった。
【0005】
試験管内における生きている細胞の培養は、細胞新陳代謝の付加的な副産物の回収、ウイルスワクチンの製造、人工器官を作るための意図的な細胞の培養、動物細胞の遺伝子操作による医薬品生産や植物の細胞融合による育種などの工業化を始めとした多様な目的のために行われる。
【0006】
一般に、動物細胞の培養は、アミノ酸、糖類、無機塩類、ビタミンなどの栄養分を含有した培養地が必要であり、培養条件が難しいが、植物細胞の場合は、動物とは異なって光合成をするため、生存能力が高くて培養が容易であるが、増殖速度は遅い。
【0007】
1980年代以後、急速に発展している生命工学分野において、生物医薬品の産業化と関連し、動物細胞培養技術が重要な役割を占しつつ、1980年代中盤から動物細胞の大量培養技術の重要性が高まり始めた。
【0008】
人間あるいは動物の組織由来の動物細胞は、培地内で浮遊させるかまたは担体に付着して育てることができる。主に、血球由来の細胞(造血幹細胞含み)が浮遊性細胞であり、皮膚、肝または肺のような組織由来の細胞と胚芽幹細胞または間葉幹細胞などは付着性細胞である。浮遊性細胞は、細胞が単独で培地中に浮遊した状態で増殖することができるが、付着性細胞の場合、固体表面に付着しないと、増殖が不可能である。したがって、scale−upする時、単位容量当たり、最高の細胞密度を維持するためには、浮遊性細胞が有利するため、大量培養方法の開発は、主に浮遊性細胞を対象になされてきた。
【0009】
生物医薬品の生産によく使用するChinese hamster ovary(CHO)細胞は、もともと付着性細胞であるが、浮遊性細胞に適応させることができる。付着性細胞を浮遊性細胞に適応させた場合、Scale-upの容易性と高密度の細胞濃度を維持できる長所があるが、培養中にclusterを形成し、cluster内部の細胞には栄養素と酸素が伝達されない場合もあり、付着性細胞が浮遊性細胞に適応しない場合が大部分である。したがって、付着性細胞の大量培養のための方法やシステムは、未だに効率的な方法が開発されておらず、付着性細胞を利用した産業化が容易ではない点がある。
【0010】
細胞培養のためには、細胞が培養できる一定な空間と細胞に栄養分を供給する培養液及び各種ガスなどが必要である。もちろん、植物細胞培養の場合も同様である。
【0011】
特に、培養液と各種ガスは、培養空間に注入され、細胞培養に使用された後、細胞組織を新鮮な状態に維持するために適切な周期で入れ換えなければならない。
【0012】
したがって、細胞培養装置には、持続的な培養液及び各種ガスの供給と排出過程が円滑にできる構成が必須的である。
【0013】
このような培養液の入れ換えのために、ピペットを利用して培養液を吸入し、培養空間に注入して排出する方式があるが、このような方式は、細胞の遺失危険が大きく、培養液の円滑な入れ換えが難しくて非効率的である。
【0014】
従来の技術によると、培養空間の一側に培養液注入口を形成し、培養液を自動または手動システムにより一定液注入して、培養空間の他側に培養液排出口を形成し、使用された培養液を自動または手動システムにより排出する方式がある。
【0015】
このような方式は、培養液注入口または培養液排出口を通じて異物が入り込み、細胞が汚染される恐れがあり、使用者が装置の作動にいつも関与しなければならないため、不便である。また、単一装置の使用により、作業面積の効率性が劣り、大量培養が不可能であるという問題点がある。
【0016】
また、多量の細胞培養のためには、たくさんの時間と努力を払わなければならず、さらに、細胞の成長過程を観察することが難しくて、培養された細胞の回収時期を定めることが難しいという問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は、上記のような点に鑑みて案出されたもので、特に、一遍に多量の細胞を培養することができて、自動化されたシステムにより、たくさんの時間と努力を払うことなく細胞を培養することができ、さらに、細胞培養装置の観察が可能であって、回収時期を判別することができる細胞培養用回転駆動器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記のような目的を達成するために提供される本発明の細胞培養用回転駆動器は、外部から電力を受けて作動される動力供給部と、動力供給部により回転する回転部と、回転部の上部に位置し、回転部が回転する時、停止状態を維持することにより、回転部の回転方向によってのみ傾きが変わる駆動部と、を含むことを特徴とする。
【0019】
前記動力供給部は、外部から電力を供給されて作動するモーターであることが好ましい。
【0020】
前記回転部は、前記動力供給装置に一側端部が固定されており、前記動力供給装置から動力を伝達されて回転する回転軸と、前記回転軸下端に付着されており、前記回転軸の回転を支持する円板状第1支持台と、前記第1支持台の上部に設けられて、前記第1支持台と多数個のヒンジ部材で連結されており、中央に開口部が備えられた円板状第2支持台と、前記第2支持台の上部面の円周上に設けられて、ボールベアリングの一部面を収容できるように球状の溝が形成された円筒形のボールベアリング収容部と、前記ボールベアリング収容部で回転作動するボールベアリングと、を含むことが好ましい。
【0021】
回転駆動器は、前記第1支持台の下端に備えられて、前記回転軸に前記第1支持台が固定できるようにする第1支持台固定部をさらに含むことが好ましい。
【0022】
前記回転軸は、円形断面の棒状であり、動力供給装置と連結されていない回転軸の他側の末端は、球形であることが好ましい。
【0023】
前記ボールベアリング収容部は、第2支持台の上部面の円周上に少なくとも3ヶ所に形成されて、互いに一定な間隔をおいて存在することが好ましい。
【0024】
前記ヒンジ部材は、第1及び第2支持台の間に位置して、中心軸が両接合部の中央に備えられ、両方向に角度調節が可能であることが好ましい。
【0025】
前記駆動部は、細胞培養装置が取り付けられる空間を有する円板形態の細胞培養装置収容部と、
上部表面は細胞培養装置収容部の下部表面に固定されて、下部表面は球状の溝を有し、回転部上端の回転軸の球形末端が中央に挿入される電力伝送部と、を含むことが好ましい。
【0026】
前記細胞培養装置収容部の下部表面は、ボールベアリングの円周上に形成されたボールベアリング通路に連結されており、回転部のボールベアリングが転がれるように適した幅を有することが好ましい。
【0027】
前記細胞培養器収容部の側面に多数の溝が形成されて、細胞培養器が容易に着脱可能であることが好ましい。
【発明の効果】
【0028】
以上説明した本発明の実施例による細胞培養用回転駆動器によると、特に、一遍に多量の細胞を培養することができて、自動化されたシステムにより、たくさんの時間と努力を払うことなく細胞を培養することができ、さらに、細胞培養装置内の細胞の成長程度の観察が可能であって、細胞の回収時期を判別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の一参考例による細胞培養フラスコの斜視図である。
【図2】図1に示された細胞培養フラスコの斜視図である。
【図3】図1に示された細胞培養フラスコの正面図である。
【図4】本発明の一参考例による細胞培養フラスコ収容部の斜視図である。
【図5】本発明の一参考例による細胞培養装置の平面図である。
【図6】本発明の一参考例による大容量自動化細胞培養器の正面図である。
【図7】図6に示された大容量自動化細胞培養器の斜視図である。
【図8】図6に示された大容量自動化細胞培養器のドアが閉められた状態の斜視図である。
【図9】細胞培養フラスコ収容部にプッシュユニットが備えられた状態を示した斜視図である。
【図10】細胞培養装置にプッシュユニットが備えられた状態を示した斜視図である。
【図11】図10の正面図である。
【図12】本発明の一実施例による回転駆動器の斜視図である。
【図13】本発明の一実施例による回転駆動器の正面図である。
【図14】図13の回転駆動器に備えられた回転部の斜視図である。
【図15】図13の回転駆動器に備えられた駆動部の斜視図である。
【図16】細胞培養装置が設けられていない大容量自動化細胞培養器の正面図である。
【図17】大容量自動化細胞培養器の温度調節部を示した図面である。
【図18】大容量自動化細胞培養器が作動している状態を示した図面である。
【図19】本発明による大容量自動化細胞培養器を使用した場合と、一般的なフラスコを使用した場合、膝軟骨細胞の増加倍数を示した図面である。
【図20】本発明による大容量自動化細胞培養器を使用した場合と、一般的なフラスコを使用した場合、膝軟骨細胞の培養期間の間、一日毎に測定したブドウ糖レベル(glucose level)を示した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の上記のような目的、特徴及び他の長所は、添付図面を参照して本発明の好ましい参考例及び実施例を詳細に説明することによりさらに明白にされる。以下、添付の図面を参照し、本発明の実施例による細胞培養用回転駆動器を詳細に説明する。
【0031】
図1は、本発明の一参考例による細胞培養装置100の斜視図を示している。
【0032】
図1を参照すると、本発明の一参考例による細胞培養装置100は、培養液と各種ガスを使用して細胞を培養できる、全体的に密閉されるように形成されて内部が見えるように透明な物質からなる円筒形の細胞培養フラスコ10と、前記細胞培養フラスコ10内部に細胞及び培養液を供給できる注入装置50と、前記細胞培養フラスコ10内部から細胞及び培養液を抽出できる回収装置60と、前記注入装置50と回収装置60を収容できる多数の注入部33と回収部35が垂直方向に備えられた、互いに向かい合っている注入部垂直フレーム32と回収部垂直フレーム34、前記向かい合って設けられた二つの垂直フレームの上端と下端との間を一定間隔で連結する板状の連結部36から構成される細胞培養フラスコ収容部30とを含む。
【0033】
図1に示された前記細胞培養フラスコ10の斜視図である図2と、前記細胞培養フラスコ10の正面図である図3をみると、細胞培養フラスコ10は、内部で細胞が培養できるように培養空間11が形成された一定高さを有する円筒形状であって、前記細胞培養フラスコ10の周り面には、前記培養空間11に培養液または細胞が流入できるようにする培養液流入口12、前記培養空間11に流入された培養液または細胞が排出できるようにする培養液排出口13、前記培養空間11に各種ガスが流入または排出できるようにするガス流入口14とガス排出口15、異物を投入できるようにする異物流入口16が備えられる。
【0034】
細胞培養フラスコ10内部に備えられた培養空間11は、一般に屈曲がなく、傾いていない平面であって、場合によっては培養空間11の一部面が傾斜していてもよい。
【0035】
培養液流入口12と培養液排出口13は、細胞培養フラスコ10の外部面に突出して形成されており、端部が狭く形成されている。これは、培養液流入口12と培養液排出口13を通じて培養液が流動しない場合、異物の流入を防ぐことができ、培養液が漏れることを防止する役割をする。
【0036】
培養液流入口12、培養液排出口13は、必要によって一つまたは2以上設けられる。
【0037】
培養液流入口12と培養液排出口13は、互いに反対側に位置し、培養液の流入または抽出時、培養液の流動方向が区分されるようにすることがよい。互いに近接して位置する場合、培養液の流入のために培養液流入口12を開放したものの、培養液排出口13側に培養液が流動すると、外部に培養液が漏れてしまう可能性があるからである。このような心配がなければ、培養液流入口12と培養液排出口13を近づけて設けてもよい。
【0038】
ガス流入口14、ガス排出口15は、細胞培養フラスコ10の外部面に突出して形成されており、端部が狭く形成されて、培養液流入口12や培養液排出口13とは別に、一つまたは二つ以上設けられる。
【0039】
細胞培養フラスコ10内部で培養される細胞が動物細胞である場合、酸素(O2)が必要であり、植物細胞である場合、二酸化炭素(CO2)が必要なのが一般的であるため、ガス流入口14を通じてこのようなガスを供給することができる。もちろん、窒素(N2)やその他のガスも供給が可能である。
【0040】
細胞培養フラスコ10内部で生長する細胞組織を新鮮に維持するためには、円滑なガス供給と排出が必須的である。このために、細胞培養フラスコ10内部に供給されたガスを外部に排出するためのガス排出口15が設けられる。
【0041】
細胞培養フラスコ10が使い捨て用である場合、一定量の培養液とガスを供給して、生長した細胞を採取するため、ガス排出口15が別に要らないかもしれないが、細胞培養フラスコ10を持続的に使用する場合、細胞の新鮮度を維持して、細胞培養フラスコ10内部の清潔を維持するためには、ガス排出口15が必要である。
【0042】
また、ガスが過度に供給されるか、細胞そのものから発生したガスを除去しようとする場合、ガス排出口15を利用することができる。
【0043】
細胞の円滑な生長のために、異物を投入できるように異物流入口16が別途に設けられる。異物流入口16は、別のキャップ形態の栓17が備えられ、開閉できるようにする。栓17は、一般に使用されるゴム栓を使用することができる。異物流入口16に異物を投入しようとする場合、ピペットのような採取手段を使用することができる。
【0044】
使用者は、異物流入口16を通じて、必要な量だけの細胞を採取することもできる。この場合もピペットが使用できる。
【0045】
図1乃至図3に示した細胞培養フラスコ10は、実験者が細胞の成長程度を観察できるようにするために、透明な材質で構成される。透明な材質としては、レキサンやアクリルなどの透明プラスチックを使用することができ、よく割れない強化ガラスを使用することも可能である。
【0046】
図1乃至図3に示した細胞培養フラスコ10は、円筒形の構造を有しているが、他の形態、即ち直六面体や多面体の構造を有してもよい。但し、細胞培養フラスコ10の構造が円筒形である場合、角がなく、使用できる細胞培養空間11が広くて、外部から衝撃を受けても破損する恐れが少なく、容易に移動させることができる。
【0047】
図4は、図1に示された本発明の一参考例による細胞培養フラスコ収容部30の斜視図である
【0048】
細胞培養装置100において、細胞培養フラスコ10が設けられる細胞培養フラスコ収容部30は、多数の注入部33が垂直方向に備えられる注入部垂直フレーム32と、多数の回収部35が垂直方向に備えられる回収部垂直フレーム34と、向かい合って設けられた注入部垂直フレーム32と回収部垂直フレーム34の上端と下端との間を一定間隔で連結する板状の連結部36とから構成される。
【0049】
注入部垂直フレーム32と回収部垂直フレーム34の軸方向の長さは、注入部33と回収部35の数によって異なってくる。
【0050】
注入部33と回収部35は、注入装置50と回収装置60が装着できるように、注入装置50と回収装置60の外形に合わせて形成される。
【0051】
板状の連結部36は、細胞培養フラスコ10が安定的に支持されるように中央部分が円形に形成される。連結部36は、細胞培養フラスコ10を安定感あるように収容することにその目的があるため、このような目的を達成することができれば、板構造ではない棒構造を使用することもできることは自明である。
【0052】
各連結部36間の間隔は、細胞培養フラスコ10が設けられるように、細胞培養フラスコ10の高さに合わせて調節される。
【0053】
細胞培養フラスコ収容部30の最上面には、取っ手38が備えられる。細胞培養フラスコ収容部30を移動させる時、細胞培養フラスコ10を個別的に分離して移送する必要がなく、取っ手38を利用して一遍に安定的に移送させることができる。
【0054】
細胞培養フラスコ収容部30は、細胞培養フラスコ10内部の観察を邪魔しないように、透明な物質のレキサンやアクリルなどのプラスチックで形成することができ、錆がつかないようにステンレスで形成することができる。
【0055】
図5は、細胞培養フラスコ収容部30に細胞培養フラスコ10、注入装置50と回収装置60が備えられた細胞培養装置100の平面図を示したものである。
【0056】
注入装置50と回収装置60は、全体的に注射器形態であり、動力供給装置52、62が内部に取り付けられるシリンジ部51、61と、シリンジ部51、61と連結されており、培養液を収容できる培養液貯蔵部53、63と、培養液貯蔵部53、63と連結され、細胞培養フラスコ10の培養液流入口12または培養液排出口13と接触して培養液が流動される接触部56、66と、培養液貯蔵部53、63の内部で往復運動できるピストン部材55、65と、ピストン部材55、65に一側が連結されて、動力供給装置52、62に他側が連結された連結部材54、64を含む。
【0057】
注入装置50と回収装置60は、細胞培養フラスコ10と接触または分離できて、同様に細胞培養フラスコ収容部30に着脱が可能である。即ち、平常時は、細胞培養フラスコ収容部30に細胞培養フラスコ10だけを装着して、培養液の供給または抽出を望む場合、注入装置50または回収装置60を細胞培養フラスコ収容部30の注入部33と回収部35に取り付けて使用できる。
【0058】
シリンジ部51、61の内部には、小型の動力供給装置52、62が備えられるが、これは、ケーブル70を通じて外部から電気が供給されて作動する着脱可能なモーターを使用することができる。また、モーターの他にも、電動機またはポンプなどが使用できる。
【0059】
連結部材54、64は、単純往復運動をする直線棒であるか、回転運動をしながら往復運動をするリードスクリューである。但し、連結部材54、64としてリードスクリューを使用する場合、モーターで回転力を発生してリードスクリューを作動する必要がある。
【0060】
連結部材54、64にモーターのような動力供給装置を使用せず、使用者が連結部材54、64の外部端部分を掴んで力を加え、ピストン部材55、65が動くようにすることができることはもちろんである。細胞培養の目的が大量生産ではなく、実験のために少量の特定細胞が必要な場合なら、使用者が直接連結部材54、64を作動して培養液や細胞を抽出することができる。
【0061】
シリンジ部51、61と連結された培養液貯蔵部53、63は、ピストン部材55、65によって流動される培養液を貯蔵する役割をする。
【0062】
培養液貯蔵部53、63と連結された接触部56、66は、細胞培養フラスコ10の培養液流入口12または培養液排出口13と接触して培養液が流動できるようにする通路の役割をする。
【0063】
接触部56、66は、注射器の端部分、即ち漏斗状になっており、培養液が通過する穴が狭まるようにして、流動する培養液の流速を速くすることができる。
【0064】
注入装置50と回収装置60として自動制御装置を使用して培養液の注入と抽出を容易にすることができて、ガス流入口14とガス排出口15にも自動制御装置を付着し、ガスの供給と排出を容易にすることもできる。
【0065】
図6は、本発明の一参考例による大容量自動化細胞培養器200の正面図を示し、図7は、図6に示された大容量自動化細胞培養器200の斜視図を示しており、図8は、図6に示された大容量自動化細胞培養器200のドア105が閉められた状態を示した斜視図である。
【0066】
図6乃至図8を参照すると、本発明の他の参考例による大容量自動化細胞培養器200は、内部に空いた空間が備えられて、一面を開閉できるようにドア115が設けられた直六面体形状の本体110と、前記本体110の空いた空間の下部面に備えられて、回転運動をする回転駆動器120と、細胞培養フラスコ収容部30に細胞培養フラスコ10と注入装置50と回収装置60が備えられた細胞培養装置100と、細胞培養フラスコ収容部30の連結部36上に備えられて、前記細胞培養フラスコ10の一部面を取り囲む多数の半円板状の支持部132、前記支持部132の側面に付着され、支持部132が前後に作動するように往復運動する多数の第1ロボットアーム134と、前記多数の第1ロボットアーム134の一端を収容し、各第1ロボットアーム134を個別的に作動させる駆動機構136で構成されるプッシュユニット130と、回転駆動器120の側面に設けられた垂直フレーム142上で垂直に往復運動する第2ロボットアーム146の端部に設けられた観察ユニット140とを含む。
【0067】
支持部132上に備えられた細胞培養フラスコ10は、前記プッシュユニット130の第1ロボットアーム134の作動により、個別的に外部に突出される。
【0068】
細胞培養装置100は、透明な物質からなる密閉された円筒形の細胞培養フラスコ10と、前記細胞培養フラスコ10内部に培養液を供給できる注入装置50と、前記細胞培養フラスコ10内部から培養液を抽出できる回収装置60と、前記注入装置50と回収装置60を収容できる多数の注入部33と回収部35が垂直方向に備えられた、互いに向かい合っている注入部垂直フレーム32と回収部垂直フレーム34、前記向かい合って設けられた二つの垂直フレームの上端と下端との間を一定間隔で連結する板状の連結部36から構成される細胞培養フラスコ収容部30とを含む。
【0069】
大容量自動化細胞培養器200は、本体110内部の一側面に備えられて、本体110内部の温度を調節する温度調節部160と、本体110内部の一側面に備えられて、細胞培養装置100にガスを供給するガス供給部170と、本体110内部の上部面に備えられて、紫外線を供給する紫外線供給ユニット150と、細胞培養装置100に備えられた注入装置50または回収装置60とチューブ182で連結されており、培養液を臨時貯蔵できるビン形態の培養液貯蔵部180とをさらに含むことができる。
【0070】
大容量自動化細胞培養器200のドア115は、取っ手が備えられて、本体110と連結される端面に、リンクで連結された棒状の部材117が設けられて、本体の上部面上に両側鉤118が形成されて、前記ドア115の棒状の部材117が前記両側鉤118に拘束されて開閉が可能である。
【0071】
細胞培養装置100は、図1乃至図5で詳細に説明したため、ここでは具体的な説明を省く。
【0072】
図9は、細胞培養フラスコ収容部30にプッシュユニット130が備えられた状態を示した斜視図であり、図10は、細胞培養装置100にプッシュユニット130が備えられた状態を示した斜視図であって、図11は、図10に示した細胞培養装置100にプッシュユニット130が備えられた状態の正面図を透視して示したものである。
【0073】
図9をみると、プッシュユニット130の駆動機構136上に垂直に備えられた多数の第1ロボットアーム134の端部に付着された多数の支持部132は、細胞培養フラスコ収容部30の各連結部36の上面に設けられる。
【0074】
プッシュユニット130の駆動機構136を作動させることにより、多数の第1ロボットアーム134は、前後往復運動が可能である。一回作動する時、第1ロボットアーム134が一つだけ作動することも、数個の第1ロボットアーム134が同時に作動することもできる。
【0075】
駆動機構136は、油圧で動く装置である。
【0076】
第1ロボットアーム134は、頻繁に前後往復運動をするため、摩擦に強い材質から形成することが好ましく、錆がつかないようにステンレスのような材質から形成することができる。
【0077】
図10をみると、細胞培養フラスコ収容部30に細胞培養フラスコ10と注入装置50、回収装置60が備えられた細胞培養装置100を示している。
【0078】
プッシュユニット130の駆動機構136を作動することにより、第1ロボットアーム134が前後に動き、第1ロボットアーム134の端部に付着された支持部132に備えられた細胞培養フラスコ10も支持部132と共に前後に動くことができる。
【0079】
図11を見ると、プッシュユニット130の支持部132上に細胞培養フラスコ10が備えられたことが分かる。中央部から垂直方向に表現された長い長方形の線は、駆動機構136を表現したものである。注入装置50と回収装置60は、注射器形態の同一な形態を有しており、ケーブル70により電気を供給される。
【0080】
図12は、回転駆動器120の斜視図を示しており、図13は、回転駆動器120の正面図、図14は、回転駆動器120に備えられた回転部129の斜視図である。また、図15は、回転駆動器120に備えられた駆動部121の斜視図である。
【0081】
図12と図13を見ると、回転駆動器120は、外部から電気が供給されて作動するモーター119、モーター119から動力が伝達されて回転する回転部129、回転部129の上側に備えられて、回転部129が回転する場合、停止された状態を維持して、回転部129の回転方向によって傾きだけが変化する駆動部121を含む。
【0082】
電気が供給されて作動するモーター119の代わりに、電動機または発電機のような他の動力供給装置を使用することができる。
【0083】
図14を見ると、回転部129は、モーター119に一側端部が固定されており、モーター119から動力が伝達されて回転する回転軸128、回転軸128下端に付着されており、回転軸128を回転支持する円板状第1支持台126、第1支持台126の下端に備えられ、前記回転軸128に前記第1支持台126が固定できるようにする第1支持台固定部127、第1支持台126の上部に設けられて、第1支持台126とヒンジ部材125で連結されており、中央に穴の開いた円板状第2支持台124、第2支持台124の上部面の円周上に設けられて、ボールベアリング123の一部面が収容できるように球形態の溝が形成された円筒形のボールベアリング収容部122、ボールベアリング収容部122で回転作動するボールベアリング123を含む。
【0084】
回転部129は、モーター119から動力が供給されて回転運動をし、駆動部121は、回転部129に対応して動くが、回転部129の回転運動に係わらず停止した状態を維持する。モーター119に固定された回転軸128は、断面が円形の棒形態であって、モーターに固定が可能であれば、正方形や三角形断面の棒が使用でいる。
【0085】
駆動部121と接する回転軸128の端部は、角だった形状である場合、回転により磨耗されるか構成部品が破損する恐れがあるため、球形態の端部を使用することが好ましい。
【0086】
第1支持台126は、モーター119に固定された回転軸128が回転支持されるようにするために回転軸128の下端に備えられて、回転軸128は、第1支持台126の中央部を貫通する。回転時、安定した平衡状態を維持するためには、円板形を使用することが好ましいが、他の形態の板を使用することもできる。
【0087】
第1支持台固定部127は、第1支持台126の下部に設けられて、第1支持台126を回転軸128に固定する役割をする。即ち、単純に回転軸128に第1支持台126のみを付着して回転させたら、重力または遠心力により第1支持台126が回転軸128から分離される恐れがあるため、第1支持台126を支持するための役割をする。
【0088】
また、第1支持台126の荷重を支える機能をする。したがって、第1支持台固定部127は、ゴムまたは弾性力のある他の部材が使用できる。
【0089】
第2支持台124は、第1支持台126の上部に設けられて、第2支持台124を支持するようにするために、第1支持台126と台2支持台124との間にはヒンジ部材125が設けられる。第2支持台124の荷重は、ヒンジ部材125により第1支持台126に分散される。
【0090】
本発明におけるヒンジ部材125は、その中心軸が外部面と結合される両接合部の中央に備えられる。したがって、中心軸が一側に存在し、一側方向にのみ回転可能な一般的なヒンジ部材とは異なって、時計または反時計方向に自由に角度調節が可能である。
【0091】
第2支持台124の中央は、開口部が備えられており、回転軸128の球状の端部は、開口部を通じて上側に突出しており、駆動部121と噛み合って作動する。
【0092】
第2支持部124の上部面の円周上には、ボールベアリング123の一部面が収容できるように、球形態の溝が形成された円筒形ボールベアリング収容部122が備えられる。
【0093】
ボールベアリング123は、ボールベアリング収容部122の溝に嵌められて回転運動をする。ボールベアリング収容部122は、ボールベアリング123との摩擦によりかなりの熱が発生するため、熱に強い耐熱性物質で製造されたものがよい。
【0094】
ボールベアリング収容部122とこれに設けられて作動するボールベアリング123は、ボールベアリング123に対応して動く駆動部121が均衡を失わないように、三つ以上備えられることが好ましい。各ボールベアリング収容部122が三つであれば、120°の同一間隔で離隔されて設けられるため、駆動部121が中心を失わずに安定して作動できる。
【0095】
回転駆動器120を示した図15を参照すると、回転駆動器120の駆動部121は、細胞培養装置100が装着できる円板の形態であり、円板の底部分には、回転部129の回転軸128の球状の端部に接して動くように内部が球状に削られた部材が設けられる。
【0096】
回転部129のボールベアリング123は、回転駆動器120の駆動部121の底面に直接接触して作動し、駆動部121の底面には、ボールベアリング123が円滑に回転できるように円周に沿って一定な幅のボールベアリング123経路が形成される。
【0097】
以下、図12乃至図15を参照して回転駆動器120の作動原理を説明する。
【0098】
モーター119が作動する場合、モーター119に固定された回転軸128は、動力が伝達されて回転するようになる。回転軸128の回転時、回転軸128に固定されている第1支持台126と第1支持台固定部127も回転するようになり、第2支持台124は、第1支持台126とヒンジ部材125により連結されて回転するようになる。
【0099】
回転部129が全体的に回転する時、第2支持台124の上部面に設けられたボールベアリング123は、回転部129の回転方向と逆方向に回転するようになる。これは、ボールベアリング123のボールベアリング収容部122に接した面とボールベアリング123の駆動部121に接した面上で発生する摩擦力のためである。
【0100】
ボールベアリング123が回転部129の回転方向と反対方向に回転するため、ボールベアリング123と接する駆動部121は回転せず、停止した状態を維持することができる。回転軸128の球状の端部は、駆動部121の底面に形成された、内部が球状に削られた部材と噛み合って作動するが、ボールベアリング123の回転により、駆動部121全体の動きには影響を与えず、駆動部121は停止した状態を維持する。
【0101】
回転軸128が回転する時、ヒンジ部材125が中心軸を基準に一側方向に傾くと、第2支持台124とこれに対応して動く細胞培養装置100も同様に傾くようになる。
【0102】
回転部129が傾いた状態で回転する時、ボールベアリング123の回転により、駆動部121が回転しない状態を維持するため、駆動部121は、回転部129の回転方向に傾きだけが変化しながら周期的に動くようになる。
【0103】
即ち、回転部129のヒンジ部材125が傾いた方向に駆動部121が傾くようになり、回転部129の回転により、傾いた方向は変化するため、駆動部121の傾いた方向も変化するようになる。但し、駆動部121は、ボールベアリング123の回転によって回転運動をするものではない。
【0104】
このような動きの繰り返しにより駆動部121の上面に備えられた細胞培養装置100の内部で培養される細胞は適宜混ざるようになり、培養液が均一に分配されて、細胞培養装置内の細胞が均一に成長できるようにすることができる。
【0105】
即ち、駆動部121の回転駆動により、細胞培養装置100内に付着された細胞の一部は培養液内に浸されており、一部は細胞培養装置100の内部空間中に露出するため、全体面積が培養液内に浸されて培養される一般的なフラスコ培養に比べ、培養液の消耗量を減少させることができるという長所がある。そして、回転駆動により酸素供給が十分になされるため、既存培養法に比べて培養細胞のブドウ糖代謝において安定性が増加する。
【0106】
また、実験者が手動で細胞培養装置を振る必要がないため便利であり、大きい摩擦力が発生しないため破損の心配がなく、長期間使用することができる。
【0107】
また、別途に自動制御装置を備えて、回転部129の回転速度を調節することもできる。
【0108】
図16は、細胞培養装置100が設けられていない大容量自動化細胞培養器200の正面図であり、図17は、大容量自動化細胞培養器200の温度調節部160を示した図面である。
【0109】
図16を参照すると、回転駆動器120の駆動部121の上部に細胞培養装置100が備えられていない状態であって、大容量自動化細胞培養器200の内部には、プッシュユニット130、回転駆動器120の側面に設けられた観察ユニット140、内部温度を調節する温度調節部160、ガス供給ができるガス供給部170、本体内部に紫外線を供給する紫外線供給ユニット150、回収された培養液を貯蔵できる培養液貯蔵部180が備えられる。
【0110】
回転駆動器120の側面には、垂直フレーム142が備えられて、垂直フレーム142上で垂直に往復運動をする移送部材144には、第2ロボットアーム146が備えられる。第2ロボットアーム146の回転駆動器120方向の端部には、観察ユニット140が設けられる。垂直フレーム142上で移送部材144が垂直運動する時、第2ロボットアーム146は、左右に動けるように作動される。これにより、第2ロボットアームの端部に備えられた観察ユニット140は、使用者が観察しようとする所に移動可能である。即ち、垂直運動と水平運動が可能であって、自由に2次元運動が可能である。
【0111】
観察ユニット140は、倍率調節が可能なCCDカメラを使用することができる。
【0112】
細胞培養装置100が設けられた場合、CCDカメラを利用して細胞培養フラスコ10内で生長している細胞を外部から容易に観察することができる。
【0113】
また、蓄積プログラムを設定して、観察した細胞の数量と培養状態の写真を蓄積するようにできる。
【0114】
ガス供給部170は、本体内部の下部面または側面に備えられて、細胞培養装置100の細胞培養フラスコ10内部にガスを供給する。これにより各種ガスを一定に供給可能である。ガスの供給量を表示するために、本体110の正面にはガス量表示部172が設けられる。また、液晶表示部190を利用してガス量を外部に表示することができる。
【0115】
本体110内部の上部面には、紫外線を供給する紫外線供給ユニット150が備えられる。紫外線供給ユニット150には、青色を帯びる紫外線などが利用できて、本体110内部を滅菌する役割をする。
【0116】
培養液貯蔵部180は、本体110内部の底面にビン形態として備えられて、細胞培養装置100の注入装置50または回収装置60とチューブで連結されており、培養液を臨時貯蔵することができる。必要に応じて、一つまたは多数が備えられる。
【0117】
図16と図17を参照すると、温度調節部160は、大容量自動化細胞培養器200の裏面に設けられて、本体110内部の温度を調節する。
【0118】
温度調節部160は、本体110の一側面に備えられて、本体110内部に外部空気を供給するファン162と、ファン162が設けられた本体110の内部面上でファン162と近接するように備えられて、ファン162から供給された外部空気を浄化するヘパフィルター164と、ヘパフィルター164と近接して設けられて、ヘパフィルター164から供給された浄化された空気に熱を供給する熱パイプ166と、本体110内部の一側面に備えられて、本体110内部の温度を測定する温度センサー168と、温度センサー168から受信された温度が設定温度より低い場合、ファン162と熱パイプ166を作動するようにする制御部195とを含む。
【0119】
ヘパフィルター164が設けられることにより、空気清浄機能のある装置を別途に設ける必要がなく、本体110内部をきれいに維持することができる。
【0120】
熱パイプ166は、曲がった状態として備えられて、一遍に多い量の熱を供給することができ、熱効率がよい。
【0121】
温度センサー168により測定された温度は、本体110の前面に備えられた温度表示部169に表示される。また、液晶表示部190を利用して測定温度を外部に表示できる。
【0122】
制御部195は、細胞培養装置100に供給されるガス量を制御することができ、細胞培養装置100の注入装置50と回収装置60を制御し、培養液を供給するか抽出することができる。
【0123】
図18は、大容量自動化細胞培養器200が作動している状態を示した図面である。使用者が大容量自動化細胞培養器200を作動した場合、回転駆動器120が回転することにより、細胞培養装置100は、円周方向に沿って傾きが変化する。
【0124】
使用者が細胞培養装置100に備えられた細胞培養フラスコ10内部を観察しようとする時、垂直フレーム142とロボットアーム146の2次元的な動きを調節して、観察ユニット140を観察しようとする細胞培養フラスコ10の近所に移動させることができる。その後、外部から観察ユニット140を通じて細胞培養フラスコ10内部で生長している細胞を観察し、培養液の不足程度、細胞の成長程度を判別することができる。
【0125】
その他、大容量自動化細胞培養器200内にプログラムを設定し、これにより、回転駆動器120の回転駆動、培養液の注入と排出、細胞培養器200内の温度調節、ガス調節が自動に作動できるようにする。これは、もちろん制御部195により制御される。
【0126】
図19は、本発明による大容量自動化細胞培養器200を使用した場合と、一般的なフラスコを使用した場合、膝軟骨細胞の増加倍数を示した図面であり、図20は、本発明による大容量自動化細胞培養器200を使用した場合と、一般的なフラスコを使用した場合、膝軟骨細胞の培養期間の間、一日毎に測定したブドウ糖レベル(glucose level)を示した図面である。
【0127】
ヒトの膝軟骨から採取した細胞(Articular Cartilage Cells;AC cells)を、本発明による大容量自動化細胞培養器200を利用して培養した。冷凍保存された第8経路(passase)の膝軟骨細胞を解凍した後、850cells/cm2の低い密度で細胞培養装置100にシーディング(seeding)し、培地交換をせずに9日間培養した。
【0128】
細胞を培養する間、細胞培養装置100内のCO2濃度は6.5%、温度は37℃、細胞培養フラスコ10回転速度は1rpmに維持されるようにパラメータ(parameter)を入力した。対照装置として、一般的なフラスコ(T-25フラスコ)に同一な細胞を、面積に対して同一な数でシーディングして培養条件(CO2濃度6.5%、温度37℃)を同一に維持しながら、CO2インキュベーターで静置培養した。
【0129】
シーディングした膝軟骨細胞は9日間培養しながら、1日毎に細胞数を測定して増加倍数を計算し、1日毎に血糖測定器(glucometer)を利用してブドウ糖水準(glucose level)を測定した。その結果、細胞増加倍数は、二つの群がほぼ等しかったが、ブドウ糖(glucose level)は、T−25フラスコに比べ、本発明の細胞培養装置100でさらに高く現れた。即ち、本発明の細胞培養装置100では、回転駆動により酸素供給が十分なされるため、細胞培養過程上のブドウ糖(glucose)の減少幅が減って、既存のフラスコ(T-25)を利用した静置培養よりエネルギー代謝効率がさらによいことが分かる。
【0130】
ブドウ糖(glucose)は、培地内に一般的に含まれている細胞のエネルギー源として酸素供給が十分である場合、体内で該当過程(glycolysis)を通じてピルビン酸(pyruvate)に代謝された後、クエン酸回路(citric acid cycle)に入って酸化され、二酸化炭素と水に変わる。しかしながら、酸素呼吸で必要な酸素が速く供給されないと、細胞はエネルギーを生産するために、該当過程を経たピルビン酸(pyruvate)がクエン酸回路に正常的に入れず、乳酸発酵(lactate fermentation)過程を経る。この場合、ブドウ糖(glucose)の代謝のために該当過程のみが繰り返されて、クエン酸回路が正常的に作動せず、乳酸(lactate;lactic acid)が蓄積される。
【0131】
同一な細胞の増加率に比べ、ブドウ糖レベル(glucose level)が減少する現象は、酸素の不足により、培養中の細胞内のクエン酸回路が体内でのようによく機能していないことを意味する。即ち、回転駆動による本発明の培養方法が、既存のフラスコ(T-25)を使用した静置培養より、正常的なブドウ糖代謝が起こる有利な方法であることを意味する。
【0132】
本発明の参考例及び実施例で使用した細胞培養フラスコ10は、円筒形の培養管内部に細胞が付着できるため、細胞が付着して成長できる空間が極大化されて、回転駆動により、培養管に付着された細胞の一部は培養液内に浸されており、一部は培養管の内部空間中に露出するため、細胞は、培地と空気を交互に接触することができ、円滑に酸素の供給がなされるため、上記のような結果が現れることが分かる。
【0133】
以上、本発明の好ましい実施例について記述したが、本発明は、上述の特定の実施例に限定されない。即ち、本発明の属する技術分野で通常の知識を有するものなら、添付の特許請求の範囲の思想及び範囲を逸脱することなく様々な変更や修正が可能であり、このような全ての適切な変更及び修正の等価物も本発明に属すると言える。
【符号の説明】
【0134】
10 細胞培養フラスコ
11 培養空間
12 培養液流入口
13 培養液排出口
14 ガス流入口
15 ガス排出口
16 異物流入口
17 栓
30 細胞培養フラスコ収容部
32 注入部垂直フレーム
33 注入部
34 回収部垂直フレーム
35 回収部
36 連結部
50 注入装置
60 回収装置
70 ケーブル
100 細胞培養装置
110 本体
115 ドア
120 回転駆動器
130 プッシュユニット
134 第1ロボットアーム
140 観察ユニット
150 紫外線供給ユニット
160 温度調節部
170 ガス供給部
180 培養液貯蔵部
190 液晶表示部
200 大容量自動化細胞培養器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から電力を受けて作動される動力供給部と、
動力供給部により回転する回転部と、
回転部の上部に位置し、回転部が回転する時、停止状態を維持することにより、回転部の回転方向によってのみ傾きが変わる駆動部と、を含む細胞培養用回転駆動器。
【請求項2】
前記動力供給部は、外部から電力を供給されて作動するモーターであることを特徴とする、請求項1に記載の細胞培養用回転駆動器。
【請求項3】
前記回転部は、
前記動力供給装置に一側端部が固定されており、前記動力供給装置から動力を伝達されて回転する回転軸と、
前記回転軸下端に付着されており、前記回転軸の回転を支持する円板状第1支持台と、
前記第1支持台の上部に設けられて、前記第1支持台と多数個のヒンジ部材で連結されており、中央に開口部が備えられた円板状第2支持台と、
前記第2支持台の上部面の円周上に設けられて、ボールベアリングの一部面を収容できるように球状の溝が形成された円筒形のボールベアリング収容部と、
前記ボールベアリング収容部で回転作動するボールベアリングと、を含むことを特徴とする、請求項1に記載の細胞培養用回転駆動器。
【請求項4】
回転駆動器は、前記第1支持台の下端に備えられて、前記回転軸に前記第1支持台が固定できるようにする第1支持台固定部をさらに含むことを特徴とする、請求項3に記載の細胞培養用回転駆動器。
【請求項5】
前記回転軸は、円形断面の棒状であり、動力供給装置と連結されていない回転軸の他側の末端は、球形であることを特徴とする、請求項3に記載の細胞培養用回転駆動器。
【請求項6】
前記ボールベアリング収容部は、第2支持台の上部面の円周上に少なくとも3ヶ所に形成されて、互いに一定な間隔をおいて存在することを特徴とする、請求項3に記載の回転駆動器。
【請求項7】
前記ヒンジ部材は、第1及び第2支持台の間に位置して、中心軸が両接合部の中央に備えられ、両方向に角度調節が可能であることを特徴とする、請求項3に記載の細胞培養用回転駆動器。
【請求項8】
前記駆動部は、細胞培養装置が取り付けられる空間を有する円板形態の細胞培養装置収容部と、
上部表面は細胞培養装置収容部の下部表面に固定されて、下部表面は球状の溝を有し、回転部上端の回転軸の球形末端が中央に挿入される電力伝送部と、を含むことを特徴とする、請求項1に記載の細胞培養用回転駆動器。
【請求項9】
前記細胞培養装置収容部の下部表面は、ボールベアリングの円周上に形成されたボールベアリング通路に連結されており、回転部のボールベアリングが転がれるように適した幅を有することを特徴とする、請求項8に記載の細胞培養用回転駆動器。
【請求項10】
前記細胞培養器収容部の側面に多数の溝が形成されて、細胞培養器が容易に着脱可能であることを特徴とする、請求項8に記載の細胞培養用回転駆動器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2012−161330(P2012−161330A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−94945(P2012−94945)
【出願日】平成24年4月18日(2012.4.18)
【分割の表示】特願2010−535881(P2010−535881)の分割
【原出願日】平成20年11月28日(2008.11.28)
【出願人】(509289641)コアステム シーオー エルティディ (4)
【Fターム(参考)】