説明

細胞培養装置及び細胞培養カセット

【課題】細胞培養作業を自動化することが可能であり、汚染の危険が殆どなく、然も細胞培養のためのセッティング作業が極めて簡易となる細胞培養装置を提供する。
【解決手段】筐体1と細胞培養カセット2から構成され、筐体1は、恒温室と、保冷室14と、恒温室と保冷室14の間に形成された中間室13とを有し、恒温室、中間室13及び保冷室14に跨って、細胞培養カセット2を収容するための空間が形成されている。細胞培養カセット2は、複数の培養容器21と、複数の試薬容器22と、培養容器21及び試薬容器22がそれぞれ着脱可能に連結された継ぎ手ユニット3とを具えている。該細胞培養カセット2が筐体1内に装着された状態で、培養容器21、継ぎ手ユニット3及び試薬容器22はそれぞれ、筐体1の恒温室、中間室13及び保冷室14に収容される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞に対し、培養液を含む複数種類の流動性物質を順次供給して、該細胞を培養する細胞培養装置、並びにその細胞培養装置に用いる細胞培養カセットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、細胞のクローン化や細胞の変異化等を目的として継代培養が行なわれている。細胞には浮遊系細胞と付着系細胞の2種類が存在し、付着系細胞の継代培養においては、PBS(Phosphate Buffered Salts)を用いて細胞を洗浄する作業、トリプシンを用いて培養容器から細胞を剥離する作業、トリプシンと細胞を分離する作業、培養した細胞を複数の培養容器に分配する作業等、多数の作業が行なわれる。
【0003】
これまでの細胞培養作業は、ピペットを用いた吸引、排出作業によって細胞を培養容器に収容し、培地や血清を添加した後、インキュベータ(37℃、95%湿度、5%CO)内で増殖させ、ピペット作業で定期的に培地交換を行なうという、極めて煩雑な作業であった。
【0004】
そこで、細胞培養作業のために種々の培養装置が提案されている。例えば、培養容器内の培地を循環させることが可能な培養装置(特許文献1、2)、培養容器内の培地を自動的に交換することが可能な培養装置(特許文献3、4)、培養時のコンタミネーションの低減を図った培養装置(特許文献5)、細胞の連続培養を行なうための培養装置(特許文献6)等が提案されている。
【0005】
又、図25に示す細胞培養装置は、複数の培養容器(94)を収容する開閉可能なチャンバー(9)と、複数の試薬容器(95)を収容する開閉可能な保冷庫(91)と、保冷庫(91)とチャンバー(9)の間を伸びて保冷庫(91)内の試薬容器(95)とチャンバー(9)内の培養容器(94)とを互いに連結する複数本のチューブ(93)と、これら複数本のチューブ(93)の途中に設けられた2台のポンプ(92)(92)とを具えており、試薬容器(95)からチューブ(93)を経て培養容器(94)へ、PBS、培地、トリプシン等の試薬(流動性物質)を所定の順序で供給して、細胞の継代培養を行なうものである。
【0006】
尚、チャンバー(9)内は、細胞の培養に必要な37℃に維持されているのに対し、保冷庫(91)はPBS、培地、トリプシン等の試薬の品質を保つために10℃以下に維持されている。
【0007】
【特許文献1】特開平5−260958号公報
【特許文献2】特開平5−276922号公報
【特許文献3】特開平8−4172956号公報
【特許文献4】特開2002−262856号公報
【特許文献5】特開2006−141328号公報
【特許文献6】特表2001−502526号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、図25に示す従来の細胞培養装置においては、保冷庫(91)内の試薬容器(95)からチャンバー(9)内の培養容器(94)へ試薬を供給する際、10℃以下の温度の試薬をそのまま培養容器(94)内へ供給して細胞に接触させると、細胞に与える損傷が大きく、場合によって細胞が死滅する虞がある。そこで、試薬が試薬容器(95)から培養容器(94)へ至る過程で試薬を加熱器により加熱することが考えられるが、加熱器の装備によって装置構成が複雑となる問題がある。
加熱器を省略するためには、チューブ(93)の経路を長く形成して試薬を室温で加熱することが必要となる。この結果、チューブ(93)の誤接続が生じたり、チューブ(93)が外れやすくなる問題や、チューブ(93)が損傷し易くなって汚染の危険が大きくなる問題や、培養作業の度にチューブ内に多量の試薬が残存して無駄が多くなる問題がある。
【0009】
コンタミネーションの低減を図った培養装置(特許文献5)や細胞の連続培養を行なうための培養装置(特許文献6)においても、容器ごとに長いチューブが必要であり、同様の問題がある。
【0010】
又、図25に示す従来の細胞培養装置においては、細胞培養のためのセッティング作業、即ち、保冷庫(91)内に試薬容器(95)を収容すると共にチャンバー(9)内に培養容器(94)を収容して、試薬容器(95)と培養容器(94)とをチューブ(93)によって互いに接続する作業が極めて煩雑である問題があった。
【0011】
そこで本発明の目的は、細胞培養作業を自動化することが可能であり、汚染の危険が殆どなく、然も細胞培養のためのセッティング作業が極めて簡易となる、細胞培養装置及び細胞培養カセットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る細胞培養装置は、細胞に対し、例えばPBS、培地、トリプシン等の複数種類の試薬(液体等の流動性物質)を順次供給して、該細胞を培養するものであって、筐体(1)と、該筐体(1)の内部に着脱可能に装着された細胞培養カセット(2)から構成されている。
前記筐体(1)は、恒温室(12)と、保冷室(14)と、恒温室(12)と保冷室(14)の間に形成された中間室(13)とを有し、恒温室(12)、中間室(13)及び保冷室(14)に跨って、前記細胞培養カセット(2)を収容するための空間が形成されている。
前記細胞培養カセット(2)は、前記細胞を培養するための1或いは複数の培養容器(21)と、前記流動性物質を収容した複数の試薬容器(22)と、前記培養容器(21)及び試薬容器(22)がそれぞれ着脱可能に連結された継ぎ手ユニット(3)とを具え、該継ぎ手ユニット(3)には、前記1或いは複数の培養容器(21)と複数の試薬容器(22)とを互いに繋ぐための流路系と、該流路系の適所に配置されて流動性物質の輸送及び流路変更を行なうための流体機構とが設けられている。
そして、該細胞培養カセット(2)が前記筐体(1)内に装着された状態で、該細胞培養カセット(2)の全培養容器(21)、継ぎ手ユニット(3)及び全試薬容器(22)はそれぞれ、前記筐体(1)の恒温室(12)、中間室(13)及び保冷室(14)に収容されることになる。
【0013】
ここで、前記筐体(1)は、前記カセット収容空間に細胞培養カセット(2)を収容するためのカセット挿入口(10)を有すると共に、該カセット挿入口を閉じるためのカバー(11)を具えている。
【0014】
上記本発明の細胞培養装置においては、細胞培養のためのセッティングに際し、継ぎ手ユニット(3)に対して1或いは複数の培養容器(21)を連結すると共に、複数の試薬容器(22)を連結して、細胞培養カセット(2)を組み立てる。これによって、1或いは複数の培養容器(21)と複数の試薬容器(22)とが流路系と流体機構を介して互いに繋がり、流路系の切り替えと流体機械の駆動により、各試薬容器(22)から必要な培養容器(21)への試薬の供給が可能となる。
【0015】
組み立てられた細胞培養カセット(2)を筐体(1)内に装着すると、該細胞培養カセット(2)の全培養容器(21)、継ぎ手ユニット(3)及び全試薬容器(22)はそれぞれ、前記筐体(1)の恒温室(12)、中間室(13)及び保冷室(14)に収容されることになる。保冷室(14)に試薬容器(22)が収容されることによって、保冷室(14)内の試薬容器(22)は試薬の保管に必要な所定温度以下に保たれる。又、恒温室(12)に培養容器(21)が収容されることによって、恒温室(12)内の培養容器(21)は細胞培養に必要な温度範囲に保たれる。
【0016】
ここで、継ぎ手ユニット(3)が収容される中間室(13)は、恒温室(12)と保冷室(14)の間に介在して形成されているので、恒温室(12)から熱が伝わって、中間室(13)内の温度は恒温室(12)内の温度に向けて上昇することになる。
この結果、保冷室(14)内の試薬容器(22)の試薬が中間室(13)を通過する過程で、細胞に損傷を与えない温度まで加熱され、その後、恒温室(12)内の培養容器(21)へ供給される。
従って、中間室(13)内の流路系を過度に長く形成したり、中間室(13)内に加熱器を設置する必要はない。
【0017】
具体的構成において、前記筐体(1)には、恒温室(12)を一定の温度範囲に保つための温度調節装置と、保冷室(14)を一定の温度以下に冷却するための冷却装置と、恒温室(12)内の空気を中間室(13)へ向けて流動させて中間室(13)の温度を恒温室(12)の温度に近づけるための送風装置とが配備されている。
該具体的構成によれば、恒温室(12)内の空気を中間室(13)へ向けて流動させることにより、該空気の熱が中間室(13)に伝わって、中間室(13)の温度が恒温室(12)の温度に近づくことになる。
【0018】
他の具体的構成において、前記筐体(1)に前記細胞培養カセット(2)を装着した状態で、該筐体(1)の恒温室(12)、中間室(13)及び保冷室(14)は、該細胞培養カセット(2)によって互いに仕切られる。
これによって、恒温室(12)と中間室(13)の間の空気の流動が遮断されて、恒温室(12)内の温度低下が防止されると共に、中間室(13)と保冷室(14)の間の空気の流動が遮断されて、保冷室(14)内の温度上昇が防止される。
【0019】
又、具体的な構成において、前記筐体(1)には、恒温室(12)に収容された細胞培養カセット(2)の培養容器(21)を、継ぎ手ユニット(3)との連結部を中心として上下に揺動させるための揺動機構(5)が配備されている。
該具体的構成によれば、揺動機構(5)を動作させて、培養容器(21)の後部を上下させることにより、培養容器(21)を傾斜させて、培養容器(21)内への試薬の注入や培養容器(21)外への試薬の排出を容易なものとすることが出来る。
【0020】
又、他の具体的構成において、前記筐体(1)には、中間室(13)に収容された細胞培養カセット(2)の継ぎ手ユニット(3)の流体機構を駆動する駆動機構(39)が配備されている。
該具体的構成によれば継ぎ手ユニット(3)側に駆動機構を配備する必要がないので、細胞培養カセット(2)の軽量化、構成の簡易化を図ることが出来、これによって細胞培養カセット(2)の使い捨てが可能となる。
【0021】
更に具体的な構成において、前記筐体(1)には、恒温室(12)に収容された細胞培養カセット(2)の培養容器(21)内の細胞を観察するための顕微観察装置(8)が配備されている。
これによって、培養容器(21)を恒温室(12)から取り出すことなく、培養容器(21)内の細胞の観察が可能となる。
【0022】
本発明に係る細胞培養カセットは、細胞に対し、例えばPBS、培地、トリプシン等の複数種類の試薬(流動性物質)を順次供給して、該細胞を培養するためのものであって、前記細胞を培養するための1或いは複数の培養容器(21)と、前記流動性物質を収容した複数の試薬容器(22)と、前記培養容器(21)及び試薬容器(22)がそれぞれ着脱可能に連結された継ぎ手ユニット(3)とを具えている。
該継ぎ手ユニット(3)には、前記1或いは複数の培養容器(21)と複数の試薬容器(22)とを互いに繋ぐための流路系と、該流路系の適所に配置されて流動性物質の輸送及び流路変更を行なうための流体機構とが設けられ、該継ぎ手ユニット(3)によって前記1或いは複数の培養容器(21)と複数の試薬容器(22)が支持されており、該継ぎ手ユニット(3)を把持することによって持ち運びが可能である。
【0023】
上記本発明の細胞培養は、継ぎ手ユニット(3)を把持して持ち運びが可能であるので、継ぎ手ユニット(3)を培養装置にセッティングする作業が極めて容易となり、作業者一人でセッティングすることが出来る。
【0024】
具体的構成において、培養容器(21)及び試薬容器(22)はそれぞれアダプタ(4)を介して継ぎ手ユニット(3)に連結され、該アダプタ(4)は、容器開口部に係合するゴム栓部(43)と、継ぎ手ユニット(3)に着脱可能に連結されるアタッチメント部(42)とを有し、該ゴム栓部(43)は、容器開口部の開口内に嵌入する嵌入部(44)と、容器開口部に覆い被さるカバー部(45)とを有し、ゴム栓部(43)とアタッチメント部(42)を貫通して前記流動性物質の流路(41)が形成されると共に、容器内の空気を排出し若しくは容器内へ空気を導入するための空気流路(46)が形成され、該空気流路(46)には、細菌やウィルスの通過を阻止し得るフィルター(40)が配備されている。
該具体的構成によれば、培養容器(21)と継ぎ手ユニット(3)の間、並びに試薬容器(22)と継ぎ手ユニット(3)との間を完全な密閉構造で連結することが出来、その作業を安全キャビネット内で行なうことにより、略完全な無菌状態で組立を行なうことが出来る。
【0025】
更に具体的には、継ぎ手ユニット(3)に、継ぎ手ユニット(3)と共に培養容器(21)及び試薬容器(22)を持ち運ぶための把持部を設けた構成や、継ぎ手ユニット(3)をカセットベース(31)と流路箱(32)とから構成し、アダプタ(4)に把持部を設けると共に、流路箱(32)に前記流路系と流体機構を配備した構成が採用可能である。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る細胞培養装置及び細胞培養カセットによれば、細胞培養作業を略完全に自動化することが可能であり、汚染の危険が殆どなく、然も細胞培養のためのセッティング作業が極めて簡易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態につき、図面に沿って具体的に説明する。
本発明に係る細胞培養装置は、図1に示す如くコンパクトな筐体(1)を具え、図2に示す如くカバー(11)を取り外すことによってカセット挿入口(10)が露出し、該カセット挿入口(10)から筐体(1)内へ図1の如く細胞培養カセット(2)を挿入することが可能である。
筐体(1)の側部には、種々のデータや指示を入力するための入力装置(84)と、後述の顕微観察装置によって撮影された細胞の画像等を表示するためのディスプレイ(83)が配備されている。
【0028】
筐体(1)の内部には、図4に示す如く、恒温室(12)、中間室(13)及び保冷室(14)が形成されており、中間室(13)は恒温室(12)と保冷室(14)の間に介在し、恒温室(12)、中間室(13)及び保冷室(14)に跨って図3の如く細胞培養カセット(2)が収容される。
【0029】
恒温室(12)は、ヒータ(16)を内蔵した周壁(15)によって包囲されており、 該ヒータ(16)の加熱によって恒温室(12)内は37℃に維持されている。又、恒温室(12)内には、上部クロスフローファン(7)と下部クロスフローファン(71)が配備されており、図3中に矢印で示す様に、上部クロスフローファン(7)によって天井壁(15a)から前方壁(15b)に沿う空気の流れが形成されると共に、下部クロスフローファン(71)によって底壁(15c)から前方壁(15b)に沿う空気の流れが形成される。
【0030】
又、恒温室(12)には、図4に示す如く培養容器(21)内の細胞を観察するための細胞顕微観察装置(8)が配備されている。該顕微観察装置(8)は、フレーム(80)に、培養容器(21)の上方に位置すべき照明部(81)と、培養容器(21)の下方に位置すべき顕微部(82)とを取り付けて構成され、照明部(81)と顕微部(82)は一体となって水平面に沿う2軸方向へ自由に移動する。
これによって、培養環境を変えることなく、全ての培養容器内の任意の位置における細胞培養状態や細胞剥離状態を観察することが出来る。
【0031】
中間室(13)には、下面カセットガイド(18)と上面カセットガイド(19)が設けられ、両カセットガイド(18)(19)の間には、シャッター(17)が開閉可能に配備されている。該シャッター(17)は、図19に示す如く閉じ方向にバネ付勢されており、細胞培養カセット(2)を挿入することによって開き、細胞培養カセット(2)を抜き出すことによって閉じるものである。
【0032】
図4に示す如く、保冷室(14)は断熱材(14a)によって包囲されており、該保冷室(14)には、その底部にペルチェ素子からなる2つの冷却器(72)(72)が配備されており(図2参照)、該冷却器(72)(72)によって保冷室(14)内が10℃以下に保たれる。
【0033】
細胞培養カセット(2)は、図7に示す如く、継ぎ手ユニット(3)に対して複数の培養容器(21)と複数の試薬容器(22)を連結したものであって、図示する例では、継ぎ手ユニット(3)の一方の側部に、1次培養用の1つの培養容器(21a)と2次培養用の4つの培養容器(21b)〜(21e)が連結されると共に、継ぎ手ユニット(3)の他方の側部に、PBS用の1つの試薬容器(22a)、培地用の2つの試薬容器(22b)(22c)、血清用の1つの試薬容器(22d)、トリプシン用の1つの試薬容器(22e)、及び廃棄用の1つの試薬容器(22f)が連結されている。
【0034】
継ぎ手ユニット(3)は、図8に示す如く多数の透孔(31a)が開設されたカセットベース(31)と、該カセットベース(31)上に設置されるべき流路箱(32)とから構成され、流路箱(32)には、培養容器(21)の数に応じた雄アタッチメント部(33a)が突設されると共に、試薬容器(22)の数に応じた雄アタッチメント部(33b)が突設されている。
尚、カセットベース(31)の両側部には一対の把持部(30)(30)が突設されている。
【0035】
一方、培養容器(21)及び試薬容器(22)にはそれぞれアダプタ(4)が装着されており、該アダプタ(4)を介して、流路箱(32)の雄アタッチメント部(33a)(33b)との連結が可能となっている。流路箱(32)の内部には、後述の如く複数の培養容器(21)と複数の試薬容器(22)とを互いに繋ぐための流路系や、該流路系の適所に配置されて試薬の輸送及び流路変更を行なうための流体機構が配備されている。
【0036】
図3に示す如く、筐体(1)内に細胞培養カセット(2)を収容した状態で、該細胞培養カセット(2)の全培養容器(21)、継ぎ手ユニット(3)及び全試薬容器(22)はそれぞれ、筐体(1)の恒温室(12)、中間室(13)及び保冷室(14)に収容されることになる。そして、該細胞培養カセット(2)によって、筐体(1)の恒温室(12)、中間室(13)及び保冷室(14)が互いに仕切られることになる。
【0037】
図13は、本発明に係る細胞培養装置の系統図を表わしている。図示の如く、流路箱(32)にはアダプタ(4a)を介して5つの培養容器(21)〜(21)が連結されると共に、アダプタ(4b)を介して6つの試薬容器(22)〜(22)が連結されており、流路箱(32)には、これらの培養容器(21)〜(21)と試薬容器(22)〜(22)とを互いに繋ぐための複数本のチューブからなる流路系(38)が配備されると共に、該流路系(38)には、試薬の輸送及び流路変更を行なうための2台のダイヤフラム式のポンプ(34)(34)と14個のバルブ(35)とが配備されており、流体機構を構成している。
尚、流路系(38)を構成する複数本のチューブは殆ど固定された状態で整然とした配置にて流路箱(32)に収容されている。
又、流路箱(32)には、COボンベ(図示省略)が接続されており、培養容器(21)へのCOの供給が可能となっている。
【0038】
一方、図3に示す如く筐体(1)の中間室(13)には、前記流体機構を駆動するための駆動機構(39)が配備されている。
該駆動機構(39)の駆動によって、図13に示すバルブ(35)を切り替えて任意の培養容器(21)と任意の試薬容器(22)を繋ぐ1本の流路を形成し、該流路に介在するポンプ(34)を起動することによって、試薬容器(22)から培養容器(21)への試薬の輸送が可能となる。又、2つの培養容器(21)(22)を互いに繋ぐ1本の流路を形成し、該流路に介在するポンプ(34)を起動することによって、これらの培養容器(21)(21)間での細胞の移送が可能となる。
【0039】
具体的には図11(a)(b)に示す如く、中間室(13)には、流路箱(32)のバルブ(35)の近傍位置に、バルブ(35)へ向けて電磁ソレノイド(36)が配備されており、該電磁ソレノイド(36)のオン/オフ動作によってバルブ(35)を開状態(図11(a))と閉状態(図11(b))の間で切り替える。
又、図12(a)(b)に示す如く、中間室(13)には、流路箱(32)のポンプ(34)の近傍位置に、ポンプ(34)へ向けて電磁ソレノイド(37)が配備され、該電磁ソレノイド(37)のオン/オフ動作によってポンプ(34)を吸引状態(図12(a))と吐出状態(図12(b))に交互に設定して、ポンピングを行なう。
【0040】
尚、図5は、流路箱(32)に培養容器(21)及び試薬容器(22)を連結した状態における、ポンプ(34)の位置での細胞培養カセット(2)の断面図を示し、図6は、バルブ(35)の位置での細胞培養カセット(2)の断面図を示している。該細胞培養カセット(2)を図3の如く筐体(1)内に収容することによって、図11及び図12に示す如く、流路箱(32)のバルブ(35)及びポンプ(34)にそれぞれ中間室(13)の電磁ソレノイド(36)(37)が対向することになる。
【0041】
図9に示す様に継ぎ手ユニット(3)に試薬容器(22)を連結するためのアダプタ(4b)と、図10に示す様に継ぎ手ユニット(3)に培養容器(21)を連結するためのアダプタ(4a)とは、基本的には同一構造を有しており、何れも、培養容器(21)の開口部(21a)若しくは試薬容器(22)の開口部(22a)に係合するゴム栓部(43)と、継ぎ手ユニット(3)の雄アタッチメント部(33)に着脱可能に連結される雌アタッチメント部(42)とを有している。
【0042】
ゴム栓部(43)は、試薬容器(22)若しくは培養容器(21)の開口部の開口内に嵌入する嵌入部(44)と、容器開口部に覆い被さるカバー部(45)とを有しており、ゴム栓部(43)と雌アタッチメント部(42)を貫通して試薬の流路(41)が形成されると共に、容器内の空気を排出し若しくは容器内へ空気を導入するための空気流路(46)が形成されている。該空気流路(46)の端部には、細菌やウィルスの通過を阻止し得るフィルター(40)が配備されている。
【0043】
図9及び図15に示す如く、試薬容器(22)に装着すべきアダプタ(4b)には、試薬容器(22)内に収容されるべきL字状の試薬容器用チューブ(48)が、前記流路(41)に連結されている。又、図10及び図14に示す如く、培養容器(21)に装着すべきアダプタ(4a)には、培養容器(21)内に収容されるべきL字状の培養容器用チューブ(47)が、前記流路(41)に連結されている。
【0044】
図16の如く、培養容器(21)にアダプタ(4a)を取り付けることによって、アダプタ(4a)のゴム栓部(43)を構成する嵌入部(44)は容器開口部内へ嵌入すると共に、ゴム栓部(43)を構成するカバー部(45)が容器開口部に覆い被さって、緊密な連結状態が得られる。
そして、アダプタ(4a)の雌アタッチメント部(42)を流路箱(32)の雄アタッチメント部(33)と嵌合せしめることにより、流路箱(32)と培養容器(21)との間を完全な密閉構造で連結することが出来、その作業を安全キャビネット内で行なうことにより、略完全な無菌状態で組立を行なうことが出来る。
【0045】
同様に、試薬容器(22)にアダプタ(4b)を取り付けることにより、アダプタ(4b)のゴム栓部(43)を構成する嵌入部(44)は容器開口部内へ嵌入すると共に、ゴム栓部(43)を構成するカバー部(45)が容器開口部に覆い被さって、緊密な連結状態が得られる。
そして、アダプタ(4b)の雌アタッチメント部(42)を流路箱(32)の雄アタッチメント部(33)と嵌合せしめることにより、流路箱(32)と試薬容器(22)との間を完全な密閉構造で連結することが出来、その作業を安全キャビネット内で行なうことにより、略完全な無菌状態で組立を行なうことが出来る。
【0046】
更に、筐体(1)の奥部には、図17及び図18に示す如く、恒温室(12)に収容された細胞培養カセット(2)の培養容器(21)を、継ぎ手ユニット(3)との連結部を中心として上下に揺動させて、培養容器(21)内への試薬の注入や培養容器(21)外への試薬の排出を容易なものとし、或いは培養容器(21)内の試薬を攪拌するための揺動機構(5)が配備されている。
【0047】
具体的には、図20及び図21に示す如く、恒温室(12)の両側部に配備された一対の側面ガイドプレート(69)(69)にそれぞれスライドガイド(54)が昇降移動可能に取り付けられており、左側のスライドガイド(54)には左ラックギア(57)が固定され、右側のスライドガイド(54)には右ラックギア(58)が固定されている。そして、両ラックギア(57)(58)間に昇降シャフト(51)が水平に架設されている。ここで、昇降シャフト(51)は、恒温室(12)内の培養容器(21)の後端部を下から支え得る位置に配備されている(図3参照)。
【0048】
又、一対の側面ガイドプレート(69)(69)には連結シャフト(52)が水平に架設されると共に、左側の側面ガイドプレート(69)にはモータ(50)が取り付けられ、該モータ(50)の出力軸がウォームギア(53)を介して連結シャフト(52)に繋がっている。
【0049】
モータ(50)の回転は、ウォームギア(53)を介して連結シャフト(52)に伝えられ、該連結シャフト(52)の回転によって左ラックギア(57)及び右ラックギア(58)が昇降駆動され、これに伴って昇降シャフト(51)が昇降移動する。
【0050】
昇降シャフト(51)の両端部にはそれぞれセンサープレート(56)が取り付けられると共に、左側のガイドプレート(69)には、左側のセンサープレート(56)に対向してリミットセンサー(55)が取り付けられており、これによって昇降シャフト(51)の下降端と上昇端が規定される。
又、右側の側面ガイドプレート(69)には、右側のセンサープレート(56)に対応して原点センサー(59)が取り付けられており、これによって昇降シャフト(51)の原点位置が規定される。
【0051】
上記揺動機構(5)によれば、昇降シャフト(51)を原点位置に設定することにより、培養容器(21)を水平に保持することが可能である。又、昇降シャフト(51)を上昇端まで上昇させて、培養容器(21)を継ぎ手ユニット(3)側の端部を中心として後端部を持ち上げることによって、培養容器(21)内の液体の排出が容易なものとなる。又、昇降シャフト(51)を上下させることによって、培養容器(21)を揺動させて、培養容器(21)内の液体を攪拌することが出来る。
【0052】
更に又、筐体(1)の奥部には、図17及び図18に示す如く、恒温室(12)に収容された細胞培養カセット(2)の培養容器(21)に振動を与えて、細胞の剥離を促進するための剥離機構(6)が配備されている。
具体的には、図22及び図23に示す様に、右側の側面ガイドプレート(69)にモータ(60)が取り付けられており、該モータ(60)の出力軸にウォームギア(62)が固定されている。該ウォームギア(62)はカム(63)に繋がっており、該カム(63)を回転駆動する。
【0053】
又、右側の側面ガイドプレート(69)には、板バネ(64)を介してハンマー(61)が支持されており、前記カム(63)の回転によって板バネ(64)に弾性変形を与え、板バネ(64)の弾性復帰に伴って、ハンマー(61)を1次培養容器(21)へ向けて勢いよく移動させ、該培養容器(21)の側面を殴打する。
これによって、1次培養容器(21)に振動を与え、該培養容器(21)内の細胞の剥離を促進することが出来る。
【0054】
図24は、上述の細胞培養装置を用いた細胞培養の一連の工程を表わしている。
先ず、ステップS1では、安全キャビネット内にて、試薬の入った全ての試薬容器(22)と全ての培養容器(21)にアダプタ(4)を取り付けて、これらの容器(22)(21)を継ぎ手ユニット(3)に連結して、細胞培養カセット(2)を組み立て、細胞培養カセット(2)の準備を行なう。
【0055】
ステップS2では、筐体(1)内に細胞培養カセット(2)を設置し、1次培養容器(21)を用いて、細胞の1次培養を行なう。
その後、ステップS3では、1次培養容器(21)内の培地を交換する。即ち、1次培養容器(21)内の培地を廃棄し、PBSを1次培養容器(21)に注入した後、該培養容器(21)を揺動させて洗浄を行なう。続いて、1次培養容器(21)からPBSを廃棄し、1次培養容器(21)に血清を注入し、更に培地を注入した後、COを供給する。
【0056】
ステップS4では、細胞の継代を行なう。先ず1次培養容器(21)から培地を廃棄した後、1次培養容器(21)をPBSで洗浄し、洗浄後のPBSを廃棄する。続いて、1次培養容器(21)にトリプシンを注入し、1次培養容器(21)を揺動させて容器内の液体を攪拌する。その後、顕微観察装置(8)を用いて1次培養容器(21)内を観察しつつ、剥離機構(6)を動作させて、細胞の剥離を行なう。
【0057】
次に、1次培養容器(21)に培地を注入した後、1次培養容器(21)を揺動させて攪拌を行ない、これによってトリプシンを不活性化する。その後、1次培養容器(21)内の細胞を4つの2次培養容器(21)へ分注する。続いて、2次培養容器(21)内に血清を注入し、更に培地を注入した後、PBSにより流路内を洗浄する。
【0058】
ステップS5では、2次培養容器(21)内にCOを供給して、2次培養を行なう。
次にステップS6では、2次培養容器(21)の培地を交換する。先ず2次培養容器(21)の培地を廃棄した後、PBSにより2次培養容器(21)を洗浄する。その後、2次培養容器(21)内のPBSを廃棄し、続いて2次培養容器(21)内に血清を注入し、更に培地を注入した後、2次培養容器
(21)を揺動させて攪拌を行なう。最後に2次培養容器(21)にCOを供給した後、顕微観察装置(8)により細胞を適時に観察し、コンフルエントと判断した時点で、一連の培養作業を終了する。
【0059】
本発明に係る細胞培養装置によれば、筐体(1)に細胞培養カセット(2)をセッティングする作業を行なうだけで、全ての培養作業を自動的に行なうことが出来る。即ち、1次培養容器(21)に細胞を播種した後は、増殖させる培地交換及びCO供給、継代のための細胞剥離、更に2次培養容器(21)への分注、2次培養容器(21)での培地交換及びびCO供給を自動的に行なうことが出来る。従って、コンタミネーションの虞は殆どない。
又、継代時には、顕微観察装置(8)によって剥離状態を観察しつつ剥離機構(6)を利用して短時間(例えば約30秒)で剥離作業を完了することが出来るので、細胞に与える損傷も最小限に抑えることが出来る。
【0060】
細胞培養カセット(2)の組立においては、継ぎ手ユニット(3)に対して培養容器(21)及び試薬容器(22)をワンタッチで連結することが出来るので、その作業は極めて簡単である。そして、組立後の細胞培養カセット(2)は、カセットベース(31)の把持部(30)(30)を把持して容易に持ち運ぶことが出来るので、作業者一人で筐体(1)へのセッティングが可能である。又、試薬容器(22)の交換や試薬の補充を容易に行なうことが出来る。
【0061】
筐体(1)に細胞培養カセット(2)が収容された状態で、培養容器(21)は恒温室(12)内に収容されて、培養に必要な温度に保たれる。又、試薬容器(22)は保冷室(14)内に収容されて、試薬の品質維持に必要な温度に保たれる。
ここで、継ぎ手ユニット(3)のカセットベース(31)には多数の透孔(31a)が開設されているので(図6参照)、細胞培養カセット(2)の試薬容器(22)が保冷室(14)に収容された状態で、冷却器(72)(72)からの冷気はカセットベース(31)の多数の透孔(31a)を通過して、試薬容器(22)に直接に当たり、試薬容器(22)は効率的に冷却される。
【0062】
又、図3の如く、筐体(1)の恒温室(12)と中間室(13)とは互いに隣接しているので、恒温室(12)の熱が中間室(13)に伝わって、中間室(13)を加熱するだけでなく、恒温室(12)内に配備された上部クロスフローファン(7)及び下部クロスフローファン(71)の運転により恒温室(12)内で空気が循環し、恒温室(12)内が均一な温度に維持されると共に、恒温室(12)内の空気は中間室(13)との壁面に沿って流れて中間室(13)を加熱するので、中間室(13)は、恒温室(12)と略同じ温度に維持されることになる。
この結果、保冷室(14)内の試薬容器(22)から供給される低温の試薬は、中間室(13)を通過する過程で加熱され、その温度が恒温室(12)の温度に近づくことになる。従って、該試薬が恒温室(12)内の培養容器(21)へ供給されたとき、培養容器(21)内の細胞が試薬との接触によって損傷を受けることはない。
【0063】
細胞培養カセット(2)は、継ぎ手ユニット(3)の流路箱(32)内に試薬容器(22)と培養容器(21)を繋ぐ複数本のチューブからなる流路系を具えているが、該流路系は、最短の経路長に形成されており、ポンプ(34)やバルブ(35)と共にコンパクトに流路箱(32)に内蔵されているので、従来の様に長いチューブに起因する汚染等の問題はなく、培養作業後に無駄となる試薬の量は最小限に抑えられる。然も、送液に要する時間も短縮される。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明に係る細胞培養装置の外観を表わす斜視図である。
【図2】筐体からカバーを取り外した状態の斜視図である。
【図3】細胞培養カセットを収容した状態の細胞培養装置の断面図である。
【図4】細胞培養カセットを取り出した状態の細胞培養装置の断面図である。
【図5】ポンプの位置のおける細胞培養カセットの断面図である。
【図6】バルブの位置における細胞培養カセットの断面図である。
【図7】細胞培養カセットの斜視図である。
【図8】細胞培養カセットの分解状態の平面図である。
【図9】細胞培養カセットの試薬容器側の分解状態の断面図である。
【図10】細胞培養カセットの培養容器側の分解状態の断面図である。
【図11】流路箱内のバルブの動作を説明する断面図である。
【図12】流路箱内のポンプの動作を説明する断面図である。
【図13】流路箱の系統図である。
【図14】培養容器用のアダプタの斜視図である。
【図15】試薬容器用のアダプタの斜視図である。
【図16】培養容器をアダプタを介して流路箱に連結した状態の断面図である。
【図17】筐体から細胞培養カセットを取り出した状態を示す平面図である。
【図18】筐体に細胞培養カセットを収容した状態を示す平面図である。
【図19】シャッターの取り付け状態を示す側面図である。
【図20】揺動機構の平面図である。
【図21】揺動機構の正面図である。
【図22】剥離機構の平面図である。
【図23】剥離機構の正面図である。
【図24】細胞培養の工程図である。
【図25】従来の細胞培養装置の斜視図である。
【符号の説明】
【0065】
(1) 筐体
(11) カバー
(10) カセット挿入口
(12) 恒温室
(13) 中間室
(14) 保冷室
(2) 細胞培養カセット
(21) 培養容器
(22) 試薬容器
(3) 継ぎ手ユニット
(31) カセットベース
(32) 流路箱
(33) 雄アタッチメント部
(34) ポンプ
(35) バルブ
(36) 電磁ソレノイド
(37) 電磁ソレノイド
(38) 流路系
(39) 駆動機構
(4) アダプタ
(42) 雌アタッチメント部
(43) ゴム栓部
(44) 嵌入部
(45) カバー部
(5) 揺動機構
(6) 剥離機構
(7) 上部クロスフローファン
(71) 下部クロスフローファン
(72) 冷却器
(8) 顕微観察装置
(81) 照明部
(82) 顕微部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞に対し、培養液を含む複数種類の流動性物質を順次供給して、該細胞を培養する細胞培養装置において、筐体(1)と、該筐体(1)の内部に着脱可能に装着された細胞培養カセット(2)から構成され、前記筐体(1)は、恒温室(12)と、保冷室(14)と、恒温室(12)と保冷室(14)の間に形成された中間室(13)とを有し、恒温室(12)、中間室(13)及び保冷室(14)に跨って、前記細胞培養カセット(2)を収容するための空間が形成されており、前記細胞培養カセット(2)は、前記細胞を培養するための1或いは複数の培養容器(21)と、前記流動性物質を収容した複数の試薬容器(22)と、前記培養容器(21)及び試薬容器(22)がそれぞれ着脱可能に連結された継ぎ手ユニット(3)とを具え、該継ぎ手ユニット(3)には、前記1或いは複数の培養容器(21)と複数の試薬容器(22)とを互いに繋ぐための流路系と、該流路系の適所に配置されて流動性物質の輸送及び流路変更を行なうための流体機構とが設けられ、該細胞培養カセット(2)が前記筐体(1)内に装着された状態で、該細胞培養カセット(2)の全培養容器(21)、継ぎ手ユニット(3)及び全試薬容器(22)はそれぞれ、前記筐体(1)の恒温室(12)、中間室(13)及び保冷室(14)に収容されることを特徴とする細胞培養装置。
【請求項2】
前記筐体(1)は、前記カセット収容空間に細胞培養カセット(2)を収容するためのカセット挿入口(10)を有すると共に、該カセット挿入口を閉じるためのカバー(11)を具えている請求項1に記載の細胞培養装置。
【請求項3】
前記筐体(1)には、恒温室(12)を一定の温度範囲に保つための温度調節装置と、保冷室(14)を一定の温度以下に冷却するための冷却装置と、恒温室(12)内の空気を中間室(13)へ向けて流動させて中間室(13)の温度を恒温室(12)の温度に近づけるための送風装置とが配備されている請求項1又は請求項2に記載の細胞培養装置。
【請求項4】
前記筐体(1)に前記細胞培養カセット(2)を装着した状態で、該筐体(1)の恒温室(12)、中間室(13)及び保冷室(14)は、該細胞培養カセット(2)によって互いに仕切られる請求項1乃至請求項3の何れかに記載の細胞培養装置。
【請求項5】
前記筐体(1)には、恒温室(12)に収容された細胞培養カセット(2)の培養容器(21)を、継ぎ手ユニット(3)との連結部を中心として上下に揺動させるための揺動機構(5)が配備されている請求項1乃至請求項4の何れかに記載の細胞培養装置。
【請求項6】
前記筐体(1)には、中間室(13)に収容された細胞培養カセット(2)の継ぎ手ユニット(3)の流体機構を駆動する駆動機構(39)が配備されている請求項1乃至請求項5の何れかに記載の細胞培養装置。
【請求項7】
前記筐体(1)には、恒温室(12)に収容された細胞培養カセット(2)の培養容器(21)内の細胞を観察するための顕微観察装置(8)が配備されている請求項1乃至請求項6の何れかに記載の細胞培養装置。
【請求項8】
細胞に対し、培養液を含む複数種類の流動性物質を順次供給して、該細胞を培養するための細胞培養カセット(2)であって、前記細胞を培養するための1或いは複数の培養容器(21)と、前記流動性物質を収容した複数の試薬容器(22)と、前記培養容器(21)及び試薬容器(22)がそれぞれ着脱可能に連結された継ぎ手ユニット(3)とを具え、該継ぎ手ユニット(3)には、前記1或いは複数の培養容器(21)と複数の試薬容器(22)とを互いに繋ぐための流路系と、該流路系の適所に配置されて流動性物質の輸送及び流路変更を行なうための流体機構とが設けられ、該継ぎ手ユニット(3)によって前記1或いは複数の培養容器(21)と複数の試薬容器(22)が支持されており、該継ぎ手ユニット(3)を把持することによって持ち運びが可能な細胞培養カセット。
【請求項9】
培養容器(21)及び試薬容器(22)はそれぞれアダプタ(4)を介して継ぎ手ユニット(3)に連結され、該アダプタ(4)は、容器開口部に係合するゴム栓部(43)と、継ぎ手ユニット(3)に着脱可能に連結されるアタッチメント部(42)とを有し、該ゴム栓部(43)は、容器開口部の開口内に嵌入する嵌入部(44)と、容器開口部に覆い被さるカバー部(45)とを有し、ゴム栓部(43)とアタッチメント部(42)を貫通して前記流動性物質の流路(41)が形成されると共に、容器内の空気を排出し若しくは容器内へ空気を導入するための空気流路(46)が形成され、該空気流路(46)には、細胞の通過を阻止し得るフィルター(40)が配備されている請求項8に記載の細胞培養カセット。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2008−113600(P2008−113600A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−299219(P2006−299219)
【出願日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成17年度、経済産業省 近畿経済産業局、地域新生コンソーシアム研究開発事業(臨床現場でヒト細胞の培養が可能なオンサイト自動細胞培養装置)委託研究、産業活力再生特別措置法第30条           の適用を受けるもの)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】