説明

細胞増殖障害を治療する方法およびシステム

対象における細胞増殖障害を治療する方法であって、(1)活性化されると所定の細胞変化をもたらすことができる少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質を、単独または少なくとも1種類のエネルギー調節作用物質との組合せで対象に投与するステップと、(2)開始エネルギー源からの開始エネルギーを対象に適用するステップとを伴い、適用するステップが活性化可能な作用物質をin situで活性化し、こうして所定の細胞変化を発生させ、好ましくは細胞増殖速度の上昇または低下を引き起こすステップを介する所定の細胞変化により細胞増殖関連障害を治療する方法と、該方法を実施するためのキットと、該方法を実施するためのコンピュータ実装システムと、該方法に有用な医薬組成物および該方法を用いる対象において自家ワクチン効果を引き起こす方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その内容が参照により本明細書に組み込まれる、2007年4月8日に出願され、「METHOD OF TREATING CELL PROLIFERATION DISORDERS」と題された米国出願第60/910,663号、および2007年11月6日に出願され、「METHODS AND SYSTEMS FOR TREATING CELL PROLIFERATION DISORDERS」と題された米国出願第11/935,655号からの優先権を主張する。
【0002】
本発明は、正常で健康な細胞と細胞増殖障害に罹患した細胞(以後、「標的細胞」)とのより良好な識別を提供し、非侵襲的または最小限に侵襲的な技法を用いて実施し得ることが好ましい、細胞増殖障害を治療する方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
細胞増殖障害
いくつかの種類の細胞増殖障害が存在する。例示的な細胞増殖障害は、癌、細菌感染、臓器移植による免疫拒絶反応、充実性腫瘍、ウイルス感染、自己免疫障害(関節炎、狼瘡、炎症性大腸炎、シェーグレン症候群、多発性硬化症)、またはこれらの組合せのほか、無形成性貧血など、細胞増殖が健康な細胞と比べて低度である無形成性状態も含み得るが、これらに限定されない。これらのうち、癌がおそらく最もよく知られている。「癌」という用語は、一般に、疾患細胞の異常な増殖を一般的な特徴とする多様なクラスの疾患を指す。既知のすべての種類の癌における統一的な事象は、癌細胞およびその子孫細胞の遺伝物質中における異常の獲得である。細胞が癌化すると、正常な限界と無関係に増殖し、隣接する組織に浸潤してこれを破壊し、転移と呼ばれる過程により、解剖学的に遠隔の部位にまで拡大し得る。これら生命にかかわる悪性の特徴により、癌は、その増殖において自己限定的であり浸潤または転移しない良性腫瘍とは異なる。
【0004】
社会に対する癌の影響は計り知れない。該疾患は、すべての年齢の人々に影響を及ぼす可能性があり、患者の年齢と共に著明に増大する危険因子を伴う。それは、先進国における死亡の主要原因の1つであり、我々の人口は老化を続けているので、我々の社会および経済に対してさらにより大きな脅威となることが予想される。したがって、癌の治癒および有効な治療を見出すことは、生物医学的な研究者コミュニティー内における優先項目であったし、今もそうであり続けている。
【0005】
治療法
癌などの細胞増殖障害に対する既存の治療は、手術、化学療法、放射線療法、免疫療法、モノクローナル抗体療法、および他のいくつかのそれほど知られていない方法を含む。療法の選択は通常、障害の部位および重症度、疾患段階のほか、治療に対する患者の応答にも依存する。
【0006】
治療によっては、障害の症状を管理し緩和しようとだけする場合もあるが、任意の有効な療法の最終目標は、体の他の部位への損傷を伴わない、すべての疾患細胞の完全な除去または治癒である。癌では、場合によって、手術がこの目標を達成し得るが、隣接組織を浸潤するか、または微視的な転移により遠隔の部位まで拡大する癌細胞の傾向により、この選択肢の有効性は制限されることが多い。同様に、現行の化学療法の有効性は、体内の他の組織への毒性により制限されることが多い。放射線療法は、前述の他の治療法と同様の欠点を克服できずにいる。放射線療法を含むこれらの癌治療法の大半は、DNAに対する損傷を引き起こすことが知られ、これは、細胞増殖時における細胞分裂である有糸分裂中の重要な段階において修復されない場合、プログラム細胞死、すなわちアポトーシスをもたらす。さらに、放射線は、悪性腫瘍細胞のほか、健康な細胞も損傷する傾向がある。
【0007】
多数の特許により、体液、例えば、血液のex vivoでの治療が説明されている。患者から血液を採取し、感光剤で処理し、UV放射に曝露し、患者に再注射する(すなわち、体外フォトフォレシス法)。代替的に、患者をin vivoで感光剤により処置した後、患者からの試料採取、in vitro(ex vivo)でのUV放射による処置、および処置した試料の患者への再注射を行うことも可能である。この方法は、自家ワクチンの作製法として知られている。感光剤により患者を処置し、患者をエネルギー源に曝露し、自家ワクチン効果を発生させる方法であって、すべてのステップがin vivoで実施される方法は説明されていない。WO 03/049801、U.S. 6,569,467、U.S. 6,204,058、U.S. 5,980,954、U.S. 6,669,965、U.S. 4,838,852、U.S. 7,045,124、およびU.S. 6,849,058を参照されたい。さらに、体外フォトフォレシス法の副作用はよく知られており、悪心、嘔吐、皮膚発赤、日光に対する過敏症、および続発性血液悪性腫瘍を含む。研究者らは、心臓、肺、および腎臓の同種移植拒絶、自己免疫疾患、および潰瘍性大腸炎に罹患した患者に対する実験的な治療においてフォトフォレシスを用いようとしている。
【0008】
既知の治療法に対する概観により、これらの方法は、しばしば、細胞に対するその攻撃において非選択性であることが知られる一重項酸素の生成のほか、ex vivoで、または対象体内で数センチメートルを超える深さの組織に到達するための外科手術など、高度に侵襲的な手順により過程を実施する必要のために、治療を行う場合、正常細胞と標的細胞とを識別する困難にまず直面する傾向があることが明らかとなっている。
【0009】
U.S. 5,829,448は、赤外光または近赤外光(NRI)などの低エネルギー光子による照射を用いる、光作用物質に対する同時二光子励起法について説明している。細胞を光作用物質で処理し、NRI放射またはUV放射で照射する、一光子励起法および同時二光子励起法がソラーレン誘導体について比較している。該特許では、低エネルギー照射の方がUV放射よりも吸収および散乱の程度が小さいために、低エネルギー照射による処置が有利であることが示唆される。しかし、NRI放射またはUV放射の使用は、数センチメートルの深さまでしか組織を透過しないことが知られている。したがって、対象内深部でのいかなる治療も、照射源が対象組織に到達することを可能とするex vivo法または高度に侵襲的な技法の使用を必要とせざるを得ない。
【0010】
Chenら、J. Nanosci. and Nanotech.、第6巻:1159〜1166頁(2006); Kimら、JACS、第129巻:2669〜2675頁(2007); U.S. 2002/0127224;およびU.S. 4,979,935は、各々、対象内における作用物質に対する各種のエネルギーによる活性化を用いる治療法について説明している。しかし、各治療共に、治療される組織に対する所望の効果をもたらす一重項酸素の生成に依存するという欠点を克服しておらず、したがって、健康な細胞および治療が望ましい疾患組織のいずれに対する作用も大部分が無差別的である。
【0011】
米国特許第6,908,591号は、照射により組織を滅菌し、ウイルス、細菌、酵母、モールド菌、真菌、胞子、プリオンまたは単独もしくは組合せで感染性海綿状脳症の原因となる類似の作用物質、および/あるいは単細胞または多細胞の寄生虫など、1種類または複数の生物学的に活性な汚染物質または病原体のレベルを低減することで、続いて組織を移植に用い、動物における疾患組織および/または他の形での欠損組織を代替し得る方法について開示している。該方法は、照射の有効性を向上させるため、または組織を滅菌するのに必要な曝露量を低減するために、ソラーレン、ソラーレン誘導体、または他の感光剤などの増感剤の使用を含み得る。しかし、該方法は、患者を治療するのには適さず、感光剤を間接的に刺激する機構については教示していない。
【0012】
米国特許第6,235,508号は、ソラーレンおよび他の光活性化分子の抗ウイルス的適用について開示している。該特許は、生体液に由来するウイルス性および細菌性の汚染物質を不活化する方法について教示している。該方法は、血液を感光剤および遮断剤と混合するステップと、該混合物を照射して感光剤を刺激し、赤血球を破壊することなく血中のすべての汚染物質を実質的に不活化するステップとを含む。遮断剤は、それが存在しなければ生じる感光剤の有害な副反応を防止または軽減する。該参考文献によれば、遮断剤の作用方式は、任意の反応性酸素種のクエンチングを主とするわけではない。
【0013】
また、米国特許第6,235,508号は、ハロゲン化感光剤および遮断剤が、フォトフォレシス法および一部の増殖癌、とりわけ、光ファイバーによる光デバイスを介して接近可能な限局性の充実性腫瘍または表皮癌の治療における8-メトキシソラーレン(8-MOP)の代替に適し得ることを示唆している。しかし、該参考文献は、リンパ腫または他の任意の癌を治療するのに用いる任意の具体的な分子を扱っていない。それどころか、該参考文献は、フォトフォレシスの過程が、未処理の血液および血漿に対する抗ウイルス治療用であると示唆している。
【0014】
米国特許第6,235,508号は、8-MOPおよび4'-アミノメチル-4,5',8-トリメチルソラーレン(ATM)および特定の欠点を有することが教示される他の多くの光活性化分子から離れて教示している。該参考文献は、蛍光型感光剤を好ましいと述べるが、蛍光型感光剤を用いる蛍光刺激システムまたは光活性化システムをどのように選択するかについては教示していない。それどころか、蛍光型感光剤は、DNAに結合する挿入剤に限定されている。該参考文献は、蛍光発光ではこうした挿入剤が酸素ラジカルを刺激する可能性は低いことが示されると示唆する。こうして、該参考文献は、UV光によるプローブまたはX線の使用が組織内により深く透過することは示唆するが、UV光による直接の光活性化以外による挿入剤の光活性化機構については開示していない。UV光プローブの使用またはX線の使用については例が提示されていない。X線放射による刺激の例がまったく教示されていない。
【0015】
ソラーレンおよび類縁化合物
米国特許第6,235,508号は、ソラーレンが、アジアおよびアフリカでは数千年間にわたり治療的に用いられてきた自然発生の化合物であることをさらに教示している。ソラーレンおよび光の作用は、白斑および乾癬の治療(PUVA [ソラーレン紫外線A波]療法)に用いられてきた。ソラーレンは、アデニン、グアニン、シトシン、およびチミン(DNA)またはウラシル(RNA)による塩基対間への挿入により核酸二重螺旋に結合することができる。2個のUV-A光子の連鎖的な吸収と同時に、その励起状態にあるソラーレンはチミンまたはウラシルの二重結合と反応し、核酸螺旋の両方の鎖に共有結合する。該架橋結合反応は、チミン(DNA)塩基またはウラシル(RNA)塩基に特異的であると考えられる。以下に示す通り、結合はソラーレンがチミンまたはウラシルを含有する部位に挿入される場合に限り進行するが、二重螺旋の二本鎖の各々を架橋結合するためには、最初の光付加体が第2のUVA光子を吸収し、二重螺旋の対向する鎖上における第2のチミンまたはウラシルと反応しなければならない。2個以上の光子の同時的な吸収に対するものとして示される通り、これが2個の単一光子の連鎖的な吸収である。
【0016】
【化1】

【0017】
加えて、該参考文献は、細胞およびウイルスを共に損傷するため、8-MOPは抗ウイルス剤としての使用には適さないことも教示している。細胞またはウイルスへの致死的な損傷は、ソラーレンが、対向する鎖上において2個のチミン(またはウラシル)を含有する部位において核酸二重鎖中に挿入される場合に生じるが、それは、ソラーレンが2個のUVA光子を連鎖的に吸収し、チミン(またはウラシル)が存在する場合に限る。Wiesehanによる米国特許第4,748,120号は、血液または血液生成物の処置のための光化学的な除染工程による、一部の置換ソラーレンの使用例である。
【0018】
場合によっては、抗酸化剤などの添加剤を8-MOP、AMT、およびI-IMTなどのソラーレンと共に用いて、ソラーレンが光活性化されると形成される一重項酸素および他の高度に反応性の酸素種を除去することがある。UVによる活性化は、そうでなければ健康な細胞を重篤に損傷することができる、こうした反応性酸素種を創出することがよく知られている。ウイルスの失活の多くは、ソラーレンの任意の光活性化効果よりもこれらの反応酸素種の結果であり得る。ともあれ、自家ワクチン効果は観察されていないと考えられる。
【0019】
最もよく知られる光活性化化合物は、核酸挿入剤であるソラーレンまたはクマリンの誘導体である。ソラーレンおよびクマリンによる感光剤の使用は、ウイルス不活化の目標に有益でないか、または該過程に対して実際に有害である励起状態の散逸のための代替的な化学経路をもたらし得る。ソラーレンおよびクマリンの場合、この化学経路は、クマリンについて以下に示される分子種など、各種の開環分子種の形成をもたらす可能性が高い。
【0020】
【化2】

【0021】
この分野における研究は、光活性化機構および一重項酸素などの高度に反応性の酸素分子種の形成に関与する機構を過度に単純化している。いずれもが、腫瘍細胞、ウイルス、および健康な細胞の損傷を不活化し得る。しかし、単独または組合せのいずれも自家ワクチン効果をもたらさない。これは、脅威としての悪性細胞またはウイルスを同定し、その脅威に対して向けられた長期的な細胞毒性効果をもたらすことができる免疫反応を創出する、身体自身の免疫系の活性化を必要とする。いかなる形であれ限定することなしに、体外フォトフォレシス法において生じる光活性化およびその結果として生じる悪性細胞のアポトーシスは、治療されない悪性細胞に対する細胞毒性効果を伴う免疫反応の活性化をもたらすと考えられている。免疫反応と細胞毒性効果との複雑性については研究者により十分に理解されているが、標的とされた悪性細胞に対する自家ワクチン効果の刺激に奏功する系を生かす療法は、リンパ腫を治療する体外フォトフォレシス法を除き、見出し難い。
【0022】
Midden (W. R. Midden、「Psoralen DNA photobiology」、第II巻(F. P. Gaspalloco編)、CRC press社、1頁(1988))は、ソラーレンが不飽和脂質と光反応し、酸素分子とも光反応して、膜に対して致死的な損傷を引き起こす過酸化物および一重項酸素などの活性酸素種を生成するという証拠を示している。米国特許第6,235,508号は、8-MOPおよびAMTが、各々、細胞およびウイルスを共に無差別的に損傷するので、許容できない感光剤であることを教示している。感光剤としてのフロクマリンに対する陽イオン側鎖の効果についての研究が、「Psoralen DNA Photobiology」、第I巻、F. Gaspano編、フロリダ州、ボカラトン、CRC Press社、第2章で概説されている。米国特許第6,235,508号は、この概説から以下の点を摘出している:大半のアミノ化合物のDNAに対する結合および架橋形成の能力が共に8-MOPと比較してはるかに低かったことは、主要なアミノ官能基が、光結合および架橋結合の両方にとって好ましいイオン種であることを示唆する。
【0023】
Heindelによる米国特許第5,216,176号は、上皮成長因子の光活性化型阻害剤としてある有効性を有する大多数のソラーレンおよびクマリンについて開示している。ハロゲンおよびアミンは、ソラーレン/クマリン骨格に含まれ得る広範な官能基中に含まれる。この参考文献は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0024】
米国特許第5,984,887号は、8-MOPによる体外フォトフォレシス法を用いてCMVに感染した血液を治療するステップについて開示している。そこでは、処置された細胞のほか、死滅および/もしくは弱毒化したウイルス、ペプチド、ウイルス自体の天然のサブユニット(細胞分解時に放出される、かつ/または血中に発散される)、ならびに/または病原性の非感染性ウイルスを用いて、治療前には存在しなかったウイルスに対する免疫反応を発生させる。
【0025】
光線力学療法(PDT)
光線力学療法(PDT)は、感光剤およびレーザー光を用いて細胞を死滅させる治療方式である。PDT法では、正常組織中におけるよりも長時間にわたり、腫瘍内で複数の感光剤を保持し、これにより治療選択性の潜在的な改善を提供する。Comer C.、「Determination of [3H]- and [14C] hematoporphyrin derivative distribution in malignant and normal tissue」、Cancer Res、1979年、第39巻: 146〜151頁; Young SWら、「Lutetium texaphyrin (PCI-0123) a near-infrared, water-soluble photosensitizer」、Photochem Photobiol、1996年、第63巻:892〜897頁;およびBerenbaum MCら、「Meso-Tetra (hydroxyphenyl) porphyrins, a new class of potent tumor photosensitisers with favourable selectivity」、Br J Cancer、1986年、第54巻:717〜725頁を参照されたい。光線力学療法では、特定の波長を有する光を用いて感光剤を活性化させる。PDT法には、色素レーザーおよびダイオードレーザーを含む各種の光源が開発されている。レーザーにより生じる光は、所望の部位に光を伝送することを可能とする光ファイバーと組み合わせることができる。Pass H.、「Photodynamic therapy in oncology: mechanisms and clinical use」、J Natl Cancer Inst、1993年、第85巻:443〜456頁を参照されたい。研究者らによれば、PDT法の細胞毒性効果は、Foote CS、「Mechanisms of photooxygenation」、Proa Clin Biol Res、1984年、第170巻:3〜18頁で開示されている光酸化反応の結果である。光は、酸素存在下において感光剤を励起させ、一重項酸素およびヒドロキシルラジカルなど、各種の毒性種を生成する。DNAに対する直接の損傷が主要な効果であることは明確でなく、したがって、このことは、DNA架橋結合の光活性化が効率的に刺激されるわけではないことを示し得る。
【0026】
さらに、組織表面の外部照明によりレーザー光を投与する場合、PDT法の治療効果は、数ミリメートル(すなわち、表面的なもの)に限定される。この表面への限定の理由は、主に、感光剤を活性化するのに用いられる可視光の透過の限定である。こうして、PDTを用いて、基礎構造に損傷を与えることなく、肺または腹腔内臓器など、重要臓器の表面を治療することができる。しかし、これらの治療もまた、罹患した臓器の表面を治療する著明に侵襲的な技法を必要とする。臨床的状況では、該処置をデバルキング手術と組み合わせて用いて、微細または極小の肉眼的遺残病変を破壊する。レーザー光ならびに少量の微細および極小の肉眼的遺残病変により、過度に少量のまたは高度に損傷された構造を結果としてもたらすことが可能である。前臨床データは、ある免疫反応が生じることを示すが、臨床試験は、臨床条件における体外フォトフォレシス法により生成される効果と同様の自家ワクチン効果について報告していない。それどころか、免疫反応が活発であると考えられるのは、限定的な条件下のみにおいてであり、限定された時間経過のみにわたってである。
【0027】
問題
細胞増殖障害の既存の診断法および治療法と関連する主要な問題が、正常細胞の標的細胞からの区別にあることは、よく認められている。手術では、すべての疾患細胞を含むように十分大きな分量の罹患領域を切除し、疾患細胞が他の遠隔部位に拡散していないことを願うしかないので、該戦略によりこうした標的特異性を達成することは困難である。
【0028】
化学療法の場合、ある程度の区別を達成することは可能であるが、健康な細胞は、一般に、化学作用物質による有害作用を受ける。手術の場合と同様、疾患細胞よりもはるかに多くの正常細胞が存在するので、生体は化学的攻撃から回復することができるという理解により、化学療法における治療戦略もまた、細胞の大集団を死滅させることである。
【0029】
放射線療法は、高エネルギー光子、高エネルギー電子、または高エネルギー陽子など、高レベルの高エネルギー放射により細胞を照射するステップにより働く。これらの高エネルギービームがDNA鎖を構成する原子をイオン化し、これにより細胞死がもたらされる。手術と異なり、放射線療法は、患者を麻酔下に置くステップを必要とせず、身体に対する侵襲を最小限にして体内深くの腫瘍を治療することができる。しかし、こうした療法に必要とされる高線量の放射線は、疾患細胞を損傷するのとまったく同様の有効性で健康な細胞も損傷する。こうして、手術と同様に、放射線療法における健康な細胞と疾患細胞との区別も部位によるに過ぎない。放射線ビームが健康な細胞を疾患細胞から区別する固有の手段もまた存在しない。
【0030】
他の方法は、より精緻化され得る。例えば、体外フォトフォレシス法として知られるリンパ腫の先進的治療の一形態は、患者の血液を彼の体内から採取し、白血球(軟膜)を血漿および赤血球から分離する装置内に入れるステップを伴う。次いで、この過程で分離される少量の血漿を単離して、光により活性化され得る薬剤である感光剤(PS)と混合する。次いで、軟膜を光に曝露して、薬剤を活性化する。次いで、処置された血液を患者に戻す。この例では、血液を身体の残りの部分から分離することで標的成分の曝露を容易とするステップにより、標的特異性の問題を解決されたものとして考えることができる。
【0031】
しかし、この手順にも欠点があり、患者から血液を採取するステップを必要とし、こうして、煩瑣な機構を作動させるステップを必要とし、該機構内における血流量を維持するためには、輸血を必要とし得る。さらに、体外量が大きく、血液の採取過多により血液過少性ショックの危険性が増大するので、この手順はまた、治療され得る患者の体格も限定する。該方法はまた、リンパ腫など、血液感染性の細胞増殖関連障害の治療にも限定され、充実性腫瘍または他の種類の非血液関連細胞増殖障害を治療する能力も有さない。
【0032】
PDT療法において遭遇する問題は、著明に侵襲的な技法なしに皮膚表面下数センチメートルを超える標的領域を治療することの不可能性であり、PDT法が、細胞溶解を引き起こすのに十分な量の一重項酸素の生成により典型的に機能するという事実である。しかし、十分な濃度の一重項酸素は、標的細胞だけでなく健康な細胞もまた、むしろ無差別的に溶解する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0033】
【特許文献1】米国出願第60/910,663号
【特許文献2】米国出願第11/935,655号
【特許文献3】WO 03/049801
【特許文献4】U.S. 6,569,467
【特許文献5】U.S. 6,204,058
【特許文献6】U.S. 5,980,954
【特許文献7】U.S. 6,669,965
【特許文献8】U.S. 4,838,852
【特許文献9】U.S. 7,045,124
【特許文献10】U.S. 6,849,058
【特許文献11】U.S. 5,829,448
【特許文献12】U.S. 2002/0127224
【特許文献13】U.S. 4,979,935
【特許文献14】米国特許第6,908,591号
【特許文献15】米国特許第6,235,508号
【特許文献16】米国特許第4,748,120号
【特許文献17】米国特許第5,216,176号
【特許文献18】米国特許第5,984,887号
【特許文献19】米国特許第4,522,811号
【非特許文献】
【0034】
【非特許文献1】Chenら、J. Nanosci. and Nanotech.、6:1159〜1166頁(2006)
【非特許文献2】Kimら、JACS、129:2669〜2675頁(2007)
【非特許文献3】W. R. Midden、「Psoralen DNA photobiology」、第II巻(F. P. Gaspalloco編)、CRC press社、1頁(1988)
【非特許文献4】「Psoralen DNA Photobiology」、第I巻、F. Gaspano編、フロリダ州、ボカラトン、CRC Press社、第2章
【非特許文献5】Comer C.、「Determination of [3H]- and [14C] hematoporphyrin derivative distribution in malignant and normal tissue」、Cancer Res、1979年、第39巻: 146〜151頁
【非特許文献6】Young SWら、「Lutetium texaphyrin (PCI-0123) a near-infrared, water-soluble photosensitizer」、Photochem Photobiol、1996年、第63巻:892〜897頁
【非特許文献7】Berenbaum MCら、「Meso-Tetra (hydroxyphenyl) porphyrins, a new class of potent tumor photosensitisers with favourable selectivity」、Br J Cancer、1986年、第54巻:717〜725頁
【非特許文献8】Pass H.、「Photodynamic therapy in oncology: mechanisms and clinical use,」、J Natl Cancer Inst、1993年、第85巻:443〜456頁
【非特許文献9】Foote CS、「Mechanisms of photooxygenation」、Proa Clin Biol Res、1984年、第170巻:3〜18頁
【非特許文献10】http://socrates.berkeley.edu/~argon/nanoradio/radio.html
【非特許文献11】J. Am. Chem. Soc.、2005年、第127巻9760〜9768頁
【非特許文献12】M.O. Guler、「Singlet-Singlet and Triplet-Triplet Energy Transfer in Bichromophoric Cyclic Peptides」、ウースター工科大学修士論文、2002年5月18日
【非特許文献13】YoungおよびDeiters、「Photochemical Control of Biological Processes」、Org. Biomol. Chem.、第5巻、999〜1005頁(2007)
【非特許文献14】YoungおよびDeiters、「Photochemical Hammerhead Ribozyme Activation」、Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters、第16巻(10)、2658〜2661頁(2006)
【非特許文献15】Giacchettiら、Journal of Clinical Oncology、第24巻、第22号、2006年8月1日、3562〜3569頁
【非特許文献16】M. E. van Eijkerenら、Acta Oncologica、第31巻、539頁(1992)
【非特許文献17】K. Kobotaら、J. Nucl. Med.、第32巻、2118頁(1991)
【非特許文献18】K. Higashiら、J. Nucl. Med.、第34巻、773頁(1993)
【非特許文献19】B. A. Cooperら、Nature、第191巻、393頁(1961)
【非特許文献20】H. Flodh、Acta Radiol. Suppl.、第284巻、55頁(1968)
【非特許文献21】L. Bloomquistら、Experientia、第25巻、294頁(1969)
【非特許文献22】J. Lindemansら、Exp. Cell. Res.、第184巻、449頁(1989)
【非特許文献23】T. Amagasakiら、Blood、第26巻、138頁(1990)
【非特許文献24】J. A. Beglyら、J. Cell Physiol.、第156巻、43頁(1993)
【非特許文献25】D. Swansonら、「Pharmaceuticals in Medical Imaging」、ニューヨーク、MacMillan Pub.社(1990)、621〜628頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0035】
したがって、健康組織に対して実質的な副作用または付随する損傷を引き起こすことなしに、より正確に疾患細胞を標的とすることが可能で、また、充実性腫瘍または他の種類の非血液関連細胞増殖障害までも治療することができる、より良好でより有効な治療に対する必要が依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0036】
したがって、本発明の一目的は、非侵襲的で健康な細胞と比べて標的細胞に対する高度の選択性を有しながら、体内の任意の領域における対象の治療を可能とする、細胞増殖障害の治療法を提供することである。
【0037】
本発明のさらなる目的は、活性化可能な医薬作用物質を活性化し、これにより、細胞増殖障害に罹患した細胞を治療する所定の細胞変化を引き起こす開始エネルギー源として適切な任意のエネルギーを用い得る、細胞増殖障害の治療法を提供することである。
【0038】
本発明のさらなる目的は、エネルギーカスケードを用いて活性化可能な医薬作用物質を活性化し、次いで、これが細胞増殖障害に罹患した細胞を治療する、細胞増殖障害の治療法を提供することである。
【0039】
本発明のさらなる目的は、in vivoであり、このため対象の組織または細胞に対するex vivoでの治療の必要を回避することも可能であり、ex vivoであることも可能な自家ワクチン効果を対象において発生させる方法を提供することである。
【0040】
本発明のさらなる目的は、本発明の方法を実施するコンピュータ実装システムを提供することである。
【0041】
本発明のまたさらなる目的は、本発明の方法において用いるキットおよび医薬組成物を提供することである。
【0042】
単独またはそれらの組合せでの好ましい実施形態についての以下の詳細な説明と合わせてより明らかとなる、本発明のこれらおよび他の目的は、対象における細胞増殖障害を治療する方法であって、
(1)単独またはエネルギー調節作用物質との組合せで活性化されると所定の細胞変化をもたらすことができる活性化可能な医薬作用物質を対象に投与するステップと、
(2)開始エネルギー源からの開始エネルギーを対象に適用するステップと
を含み、
該適用するステップにより活性化可能な作用物質をin situで活性化し、
こうして所定の細胞変化を発生させ、所定の細胞変化の発生により細胞増殖速度を上昇または低下させて細胞増殖関連障害を治療する方法と、
該方法を実施するキット、該方法を実施する医薬組成物、コンピュータ実装システム、ならびに対象に自家ワクチン効果をもたらす方法およびシステムとの発見により満たされている。
【0043】
本発明のより完全な理解およびそれに付随する多くの利点は、以下の詳細な説明への参照により付属の図面との関連で考察されるとよりよく理解される通り、容易に得られる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】メートル単位(1nmが1メートルに相当)による例示的な電磁スペクトルを提供する図である。
【図2A】各波長のエネルギーが生組織内を透過する深さのグラフ表示である。
【図2B】各波長のエネルギーが生組織内を透過する深さのグラフ表示である。
【図3】本発明の例示的な一実施形態に従うシステムを示す図である。
【図4】本発明の実施形態に従う例示的なコンピュータ実装システムを示す図である。
【図5】本発明の各種実施形態を実装するための例示的なコンピュータシステム(1201)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本発明は、有効で特異的で副作用の少ない、細胞増殖障害の新規の治療法を提示する。本明細書では、細胞増殖障害に罹患したこれらの細胞を標的細胞と称する。充実性腫瘍を含む細胞増殖障害の治療物質は、標的細胞のDNAもしくはミトコンドリアDNAまたはRNAを含むがこれらに限定されない細胞内核酸に化学的に結合することができる。例えば、ソラーレンまたはソラーレン誘導体などの光活性化可能な作用物質を、選択された光活性化可能な作用物質または複数の同作用物質を活性化することができるエネルギー源にin situで曝露する。別の例において、光活性化可能な作用物質は感光剤である。光活性化可能な作用物質は、金属ナノクラスターまたは金属分子であり得る。
【0046】
上記で注意した通り、本発明の目的は、細胞増殖障害を治療することである。例示的な細胞増殖障害は、癌のほか、侵襲する細菌が、感染された宿主細胞よりもはるかに速い速度で増殖する細菌感染およびウイルス感染を含み得るがこれらに限定されない。加えて、合指症など、細胞増殖に関連する一部の発達段階疾患の治療もまた意図する。
【0047】
したがって、一実施形態において、本発明では、既存の方法の欠点を克服することができる方法を提供する。一般に、本発明に従う方法では、分子作用物質へのエネルギー移動および同物質間におけるエネルギー移動の原理を用いて、所望の薬理効果の送達が従来の技法よりも重点的で正確および有効となるように、薬剤活性作用物質の送達および活性化を制御する。
【0048】
全般に、本発明では、開始エネルギー源が活性化可能な医薬作用物質を活性化して対象内における標的細胞を治療する開始エネルギーを供給する、細胞増殖障害の治療法を提供する。好ましい一実施形態では、好ましくは標的細胞に近接する開始エネルギー源を活性化可能な医薬作用物質に間接的に適用する。本発明の文脈内において、開始エネルギーの適用を指す場合の「間接的に適用される(applied indirectly)」という表現(または、「間接的に適用する(applying indirectly)」、「間接的に適用する(indirectly applies)」、「間接的に適用される(indirectly applied)」、「間接的に適用する(indirectly applying)」など、この表現の変化形)は、開始エネルギーによる対象表面下の対象内への透過、および対象内の活性化可能な医薬作用物質への透過を意味する。一実施形態において、開始エネルギーは既に投与されたエネルギー調節作用物質と相互作用し、次いで、これが、活性化可能な医薬作用物質を活性化する。別の実施形態では、開始エネルギー自体が活性化可能な医薬作用物質を活性化する。いずれの実施形態においても、開始エネルギー源は、活性化可能な医薬作用物質の視野内には存在することができない。「視野内には存在することができない」とは、仮説的な観察者が活性化可能な医薬作用物質の部位に位置した場合、その観察者は開始エネルギー源を見ることができないことを意味する。
【0049】
特定の理論に拘束されることも、他のいかなる形であれ限定されることも意図しないが、科学的原理および定義についての以下の理論的な考察は、読者が本発明の理解および認識を得る一助として提供される。
【0050】
本明細書で用いられる「対象」という用語は、ヒトに限定されることを意図せず、動物、植物、または任意の適切な生体もまた含み得る。
【0051】
本明細書で用いられる「細胞増殖障害」という表現は、細胞集団の増殖速度が所与の生理的状態および条件下において所望の速度よりも小さいかまたは大きい任意の状態を指す。治療目的の対象となる増殖速度は所望の速度よりも速いことが好ましいが、所望の速度よりも遅い状態もまた、本発明の方法により治療することができる。例示的な細胞増殖障害は、癌、細菌感染、臓器移植による免疫拒絶反応、充実性腫瘍、ウイルス感染、自己免疫障害(関節炎、狼瘡、炎症性大腸炎、シェーグレン症候群、多発性硬化症)、またはこれらの組合せのほか、無形成性貧血など、細胞増殖が健康な細胞と比べて低度である無形成性状態も含み得るがこれらに限定されない。本方法を用いる治療に特に好ましい細胞増殖障害は、癌、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(特に、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌またはMRSAなどの抗生剤耐性株)、および自己免疫疾患である。
【0052】
本明細書で用いられる「活性化可能な医薬作用物質」とは、活性化信号の不在下では通常不活性状態で存在する作用物質である。該作用物質が活性化状態下において適合する活性化信号により活性化されると、それは、標的細胞に対する所望の薬理効果(すなわち、好ましくは所定の細胞変化)をもたらすことができる。対応する作用物質を活性化するのに用い得る信号は、特定の波長を有する光子(例えば、x線または可視光)、電磁エネルギー(例えば、ラジオ波またはマイクロ波)、熱エネルギー、音響エネルギー、またはこれらの任意の組合せを含み得るがこれらに限定されない。該作用物質の活性化は、該作用物質への信号の送達のように単純な場合もあり、一連の活性化条件をさらに前提とする場合もある。例えば、前者の場合、感光剤などの活性化可能な医薬作用物質は、UV-A放射により活性化され得る。活性化されると、その活性状態にある作用物質は、次いで、直接的に細胞変化をもたらし始めることが可能となる。活性化が他の条件をさらに前提とし得る場合、活性化信号の送達だけでは所望の細胞変化を引き起こすのに十分でないことがある。例えば、その活性状態において特定の細胞構造に結合することによりその薬理効果を活性化する光活性化合物は、活性化信号が送達されるときに、標的細胞構造に対する物理的な近接を必要とすることがある。こうした活性化可能な作用物質の場合、非活性化条件下における活性化信号の送達は、結果として所望の薬理効果をもたらさない。活性化条件の一部の例は、温度、pH、部位、細胞の状態、補因子の存在または不在を含み得るがこれらに限定されない。
【0053】
活性化可能な医薬作用物質の選択は、所望の細胞変化、所望の活性化形態のほか、あてはまり得る物理的および生化学的な制約など、多数の因子に大きく依存する。例示的な活性化可能な医薬作用物質は、光子エネルギー、電磁エネルギー、音響エネルギー、化学反応もしくは酵素反応、熱エネルギー、または他の任意の適切な活性化機構により活性化され得る作用物質を含み得るがこれらに限定されない。
【0054】
活性化されると、活性化可能な医薬作用物質は、アポトーシス、代謝経路の変更、一部の遺伝子の上方調節、一部の遺伝子の下方調節、サイトカインの分泌、サイトカイン受容体応答の変更、またはこれらの組合せを含み得るがこれらに限定されない細胞変化をもたらし得る。
【0055】
活性化可能な医薬作用物質がその所望の効果を達成し得る機構は、特に限定されない。こうした機構は、所定の標的に対する直接作用のほか、生化学的経路への変更を介する間接作用も含み得る。好ましい直接作用機構は、核DNA、mRNA、rRNA、リボソーム、ミトコンドリアDNA、または他の任意の機能的に重要な構造などの重要な細胞構造に対して作用物質を結合させるステップによる。間接的機構は、活性化されると代謝物質を放出して正常な代謝経路に干渉するステップ、活性化されると化学信号(例えば、アゴニストまたはアンタゴニスト)を放出して標的とする細胞応答を変更するステップ、および他の適切な生化学的または代謝的変更を含み得る。
【0056】
好ましい一実施形態において、活性化可能な医薬作用物質は、DNAまたはミトコンドリアに治療的な有効量で化学的に結合することができる。本実施形態では、活性化可能な医薬作用物質、好ましくは光活性化可能な作用物質がエネルギー調節作用物質から放射される活性化エネルギーにin situで曝露され、エネルギー調節作用物質は開始エネルギー源に由来するエネルギーを受ける。
【0057】
適切な活性化可能な作用物質は、光活性作用物質、音活性作用物質、熱活性作用物質、およびラジオ波/マイクロ波活性作用物質を含むがこれらに限定されない。活性化可能な作用物質は、小分子;タンパク質、核酸、または脂質などの生体分子;超分子会合体;ナノ粒子;または活性化されると薬剤活性を有する他の任意の分子実体であり得る。
【0058】
活性化可能な作用物質は、天然起源にも合成起源にも由来し得る。本発明では、所定の細胞変化をもたらすのに適する活性化信号源により活性化され得る任意のこうした分子実体を有利に用いることができる。
【0059】
適切な光活性作用物質は、ソラーレンおよびソラーレン誘導体、ピレンコレステリルオレアート、アクリジン、ポルフィリン、フルオレセイン、ローダミン、16-ジアゾルコルチゾン、エチジウム、ブレオマイシンの遷移金属複合体、デグリコブレオマイシンの遷移金属複合体、有機白金複合体、7,8-ジメチル-10-リビチルイソアロキサジン(リボフラビン)、7,8,10-トリメチルイソアロキサジン(ルミフラビン)、7,8-ジメチルアロキサジン(ルミクロム)、イソアロキサジン-アデニンジヌクレオチド(フラビンアデニンジヌクレオチド[FAD])、アロキサジンモノヌクレオチド(フラビンモノヌクレオチド[FMN]およびリボフラビン-5-ホスフェートとしても知られる)などのアロキサジン、ビタミンK、ビタミンL、それらの代謝物および前駆体、ならびにナフソキノン、ナフタレン、ナフソールおよび平面状の分子配座を有するそれらの誘導体、ニュートラルレッド、メチレンブルー、トルイジン、フラビン(アクリフラビン塩化水素)などの染料およびフェノチアジン誘導体、クマリン、キノロン、キノン、およびアンスロキノン、アルミニウム(111)フタロシアニンテトラスルホネート、ヘマトポルフィリン、およびフタロシアニン、ならびにタンパク質に対してほとんどまたはまったく影響を及ぼさずに核酸に優先的に吸着する化合物を含むがこれらに限定されない。「アロキサジン」という用語は、イソアロキサジンを含む。
【0060】
内因性物質に基づく誘導体は、それらが由来する感光剤の低級(1〜5個の炭素)アルキルまたはハロゲンによる置換体を有することも欠くこともあり、該機能および実質的な非毒性を保持する、内因性光活性化分子から合成的に誘導された類似体および同族体を含む。内因性分子は本来非毒性であり、光線照射後も毒性の光分解生成物をもたらさずに済む。
【0061】
表1で、光活性化されて自家ワクチン効果を誘導することができる、一部の光活性化分子を列挙する。
【0062】
【表1】

【0063】
【化3】

【0064】
表2で、さらなる内因性光活性化分子を列挙する。
【0065】
【表2】

【0066】
図1は、メートル単位(1nmが1メートルに相当)による例示的な電磁スペクトルを示す。
【0067】
所定の細胞変化の性質は所望の薬剤効果に依存する。例示的な細胞変化は、アポトーシス、壊死、一部の遺伝子の上方調節、一部の遺伝子の下方調節、サイトカインの分泌、サイトカイン受容体応答の変化、またはこれらの組合せを含み得るがこれらに限定されない。
【0068】
本明細書で用いられる「エネルギー調節作用物質」とは、供給源からエネルギー入力を受容し、次いで、異なるエネルギーを受容標的へと再放射することができる作用物質を指す。分子間におけるエネルギー移動は、多くの形で生じ得る。エネルギー形態は、電子、熱、電磁気、運動、または化学的な性格であり得る。エネルギーは、一分子から別の分子へ(分子間移動)も、分子の一部から同じ分子の別の部分へ(分子内移動)も移動し得る。例えば、調節作用物質は、電磁エネルギーを受容し、熱エネルギーの形態で該エネルギーを再放射し得る。好ましい実施形態において、エネルギー調節作用物質は、高エネルギー(例えば、x線)を受容し、低エネルギー(例えば、UV-A)で再放射する。一部の調節作用物質が極めて短いエネルギー保持時間(fsのオーダー、例えば、蛍光分子)を有し得るのに対し、他の調節作用物質は極めて長い半減期(分〜時間のオーダー、例えば、発光分子またはリン光分子)を有し得る。適切なエネルギー調節作用物質は、生体適合性蛍光金属ナノ粒子、蛍光色素分子、金ナノ粒子、ポリアミドアミンデンドリマーにより封入された水溶性量子ドット、ルシフェラーゼ、生体適合性リン光分子、統合電磁エネルギーハーベスター分子、および強い発光能を有するランタニドキレートを含むがこれらに限定されない。これらの各種の例示的な使用については、以下の好ましい実施形態で説明する。
【0069】
調節作用物質は、細胞標的化の目的で、さらに担体へと結合させることができる。例えば、UV-Aバンドで発光する蛍光金属ナノ粒子または蛍光色素分子などの生体適合性分子は、エネルギー調節作用物質として選択され得る。
【0070】
エネルギー調節作用物質は、対象への全身投与を介して、好ましくは所望の部位(例えば、腫瘍)に方向づけることができる。例えば、UV-A放射エネルギー調節作用物質は、物理的挿入によっても、UV-A放射エネルギー調節作用物質を脂質、キチンもしくはキチン誘導体、キレート、またはUV-A放射源を特定の標的腫瘍内で濃縮させることができる他の機能化担体などの腫瘍特異的担体と抱合させるステップによっても、腫瘍部位内で濃縮させることができる。
【0071】
加えて、エネルギー調節作用物質は、単独でも用いることができ、エネルギー調節作用物質がエネルギーカスケードを提供する2種類以上のエネルギー調節作用物質の連鎖としても用いることができる。こうして、該カスケード中で第1のエネルギー調節作用物質が活性化エネルギーを吸収し、それを異なるエネルギーに変換し、次いで、これが、カスケード中の第2のエネルギー調節作用物質により吸収されるなどして、活性化可能な医薬作用物質を活性化するのに必要なエネルギーを放射する、カスケード中で最後のエネルギー調節作用物質によりカスケードの終点に達するまで続く。
【0072】
活性化可能な医薬作用物質とエネルギー調節作用物質とは異なり個別であり得るが、2つの作用物質が独立で個別の実体である必要はないことを理解されたい。実際、2つの作用物質は、多数の異なる立体配置を介して互いに関連し得る。2つの作用物質が互いに独立で個別に移動し得る場合、これらは、一般に共通の周囲媒質内での拡散および偶然の遭遇を介して互いに相互作用する。活性化可能な医薬作用物質と活性化可能な医薬作用物質とが個別でない場合、これらは単一の実体内に統合され得る。
【0073】
開始エネルギー源は、活性化可能な作用物質を直接的に活性化するのに十分なレベルのエネルギー、または活性化可能な作用物質の活性化エネルギーを放射するのに必要な入力をエネルギー調節作用物質に供給する(間接的活性化)のに十分なレベルのエネルギーを供給することができる任意のエネルギー源であり得る。好ましい開始エネルギー源は、UV-Aランプまたは光ファイバー線、光ニードル、内視鏡、およびx線、ガンマ線、または電子ビームを発生させる線形加速器を含むがこれらに限定されない。ある実施形態では、対象中を完全に透過することができる開始エネルギーが好ましい。本発明の文脈内では、「対象中を完全に透過することができる」という表現を用いて、対象内の任意の深さまで透過して活性化可能な医薬作用物質を活性化し得るエネルギーを指す。適用された任意のエネルギーが、実際に対象中を完全に通過することは必要でなく、ただ、活性化可能な医薬作用物質を活性化するのに望ましい任意の深さまでの透過を可能とするためには、そうすることができることが必要であるに過ぎない。対象中を完全に透過することができる例示的な開始エネルギー源は、x線、ガンマ線、電子ビーム、マイクロ波、およびラジオ波を含むがこれらに限定されない。
【0074】
一実施形態において、開始エネルギー源は、カリフォルニア大学バークレー校物理学部のK. Jensen、J. Weldon、H. Garcia、およびA. Zettl(参照によりその全内容が本明細書に組み込まれるhttp://socrates.berkeley.edu/~argon/nanoradio/radio.htmlを参照されたい)により説明されるナノチューブなど、ラジオ波を放射するナノチューブであり得る。これらのナノチューブを対象に投与し、好ましくは、活性化可能な医薬作用物質もしくはエネルギー調節作用物質またはその両方に結合させることで、開始エネルギーが適用されるとナノチューブが開始エネルギー(好ましくはラジオ波)を受容し、次いで、活性化可能な医薬作用物質に近接するかまたはエネルギー調節作用物質に近接してラジオ波を放射し、次いで、活性化可能な医薬作用物質の活性化を引き起こすことができる。こうした実施形態において、ナノチューブは、活性化可能な医薬作用物質またはエネルギー調節作用物質に近接するラジオ波の集束器または増幅器として基本的に作用する。
【0075】
代替的に、エネルギー放射源は、移動剤による吸収に適する形態でエネルギーを放射するエネルギー調節作用物質であり得る。例えば、開始エネルギー源は音響エネルギーである場合があり、1つのエネルギー調節作用物質は、音響エネルギーを受容し、光子エネルギーを受容することができる別のエネルギー調節作用物質により受容される光子エネルギーを放射する能力を有し得る(音発光分子)。他の例は、x線波長でエネルギーを受容し、UV波長、好ましくはUV-A波長でエネルギーを放射する移動剤を含む。上記で注意した通り、複数のこうしたエネルギー調節作用物質を用いて、開始エネルギー源から一連のエネルギー調節作用物質を介してエネルギーを移動させることで活性化可能な作用物質を活性化させるカスケードを形成することができる。
【0076】
カスケード事象を代謝経路の知識と連携させて注意深くモデル化し、多数の活性化可能な医薬作用物質を逐次または同時に活性化することで細胞機能の多点での変更を達成するステップにより、薬剤送達媒体としての信号伝達スキームを有利に開発することができる。
【0077】
光活性化可能な作用物質は、照射、共鳴エネルギー移動、減衰転移、電子注入、または化学反応などのエネルギー源により、所定の望ましい細胞変化をもたらすことができる活性化エネルギー状態へと刺激される。好ましい実施形態において、光活性化可能な作用物質は、活性化されると、DNAもしくはRNAまたは他の細胞内構造に結合する。該作用物質の活性化エネルギー状態は、アポトーシスを誘導する細胞への損傷を引き起こすことができる。アポトーシス機構は、細胞増殖障害の増殖速度を低減して充実性腫瘍を退縮させ得る免疫反応の増強と関連し、患者の免疫系の状態、腫瘍内における作用物質濃度、刺激に対する作用物質の感受性、および刺激の長さに依存する。
【0078】
本発明の細胞増殖障害を治療する好ましい方法では、患者に光活性化可能な作用物質を投与し、光活性化可能な作用物質を刺激して細胞損傷を誘導し、自家ワクチン効果を発生させる。さらに好ましい一実施形態では、共鳴エネルギー移動を介して光活性化可能な作用物質を刺激する。
【0079】
1つの利点は、多種類の波長による放射線の放射を用いて、1種類または複数の光活性化可能な作用物質を刺激することができる1種類または複数の光活性化可能な作用物質またはエネルギー調節作用物質を選択的に刺激し得ることである。健康な細胞をほとんどまたはまったく損傷しない波長およびエネルギーでエネルギー調節作用物質を刺激し、1種類または複数のエネルギー調節作用物質からのエネルギーを、フェルスター共鳴エネルギー移動などを介して、細胞を損傷して細胞のアポトーシスなど所望の細胞変化を開始させる光活性化可能な作用物質に移動させることが好ましい。
【0080】
別の利点は、健康な細胞を損傷することが知られる、フリーラジカル、一重項酸素、水酸化物、および他の高度に反応性である基の生成を制限するステップにより、副作用を大きく軽減し得ることである。さらに、抗酸化剤などのさらなる添加剤を用いて、照射の望ましくない影響をさらに軽減することができる。
【0081】
共鳴エネルギー移動(RET)とは、放射バンドと吸収バンドとが重複する2分子間のエネルギー移動機構である。電磁放射体は、着信波長をより長い波長へと変換することができる。例えば、第1の分子により吸収されるUV-Bエネルギーを、双極子間相互作用を介して、UV-B吸収分子に近接するUV-A放射分子へと移動させることができる。代替的に、短波長を吸収する物質を選択して、吸収バンドが移動分子の放射バンドと重複する非放射分子にRETを供給することもできる。代替的に、リン光、化学発光、または生物発光を用いて、光活性化分子へとエネルギーを移動させることもできる。
【0082】
代替的に、対象に開始エネルギー源を投与することもできる。本発明の文脈内において、開始エネルギー源の投与とは、それ自体が開始エネルギーを生成する作用物質が、手術により対象内に挿入されることなく対象内の標的細胞に到達することを可能とする形での、該作用物質の投与を意味する。投与は、経口、静脈内、腹腔内、吸入などを含むがこれらに限定されない任意の形態をとり得る。さらに、本実施形態における開始エネルギー源は、錠剤、粉末、溶液、懸濁液、分散液、気体、または蒸気などを含むがこれらに限定されない任意の形態であり得る。本実施形態において、開始エネルギー源は、化学エネルギー源、ナノ放射体、ナノチップ、および所望の周波数のエネルギーを生成し放射する他のナノマシンを含むがこれらに限定されない。ナノテクノロジーにおける近年の発展により、EC研究開発プロジェクトのKeith Firman博士による分子スイッチ(またはMol-Switch)、または1つが金電極に取り付けられた膜の下層中にあり、もう1つが抗体もしくはヌクレオチドなどの生体受容体に係留された同上層中にある2つのグラミシジン分子により人工膜内に形成されたイオンチャネルを用いる、大きさわずか1.5nmのイオンチャネルスイッチの周囲に基礎を有するナノマシン構築物について説明するCornellら、(1997)の成果など、ナノスケールでエネルギーを生成または放射する各種デバイスの例が提供されている。受容体が標的の分子または細胞を捕捉すると、イオンチャネルが破壊され、その導電性が低下し、生化学信号が電気信号へと変換される。これらのナノデバイスはまた、本発明と連携することで標的細胞の標的化をもたらし、所望の部位に直接的に開始エネルギー源を送達することも可能であろう。別の実施形態において、本発明は、化学発光、リン光、または生物発光などの化学エネルギー源の投与と共に、活性化可能な医薬作用物質の投与を含む。化学エネルギー源は、2つ以上の化合物間における化学反応であることも可能であり、対象の外部または対象の内部において適切な活性化エネルギーにより化学発光化合物、リン光化合物、または生物発光化合物を活性化し、活性化可能な医薬作用物質を投与後in vivoで化学発光、リン光、または生物発光により活性化させるステップにより誘導することも可能である。活性化可能
な医薬作用物質および化学エネルギー源の投与は、任意の順序で逐次に実施することもでき、同時に実施することもできる。こうした化学エネルギーの一部の供給源の場合、例えば、ある種のリン光物質でエネルギー放射の寿命が数時間に及ぶ場合は、対象の外部での活性化の後に化学エネルギー源の投与を行う。任意の種類の共鳴エネルギー移動を用いて、DNAに結合する挿入剤を活性化する既存の試みは知られていない。
【0083】
さらに別の例は、一部の原子によるナノ粒子またはナノクラスターを、1ナノメートルより大きい、より好ましくは5ナノメートルよりも大きい、さらにより好ましくは少なくとも10ナノメートルなどの比較的大きな距離にわたる共鳴エネルギー移動能を有するように導入し得ることである。機能的に述べると、共鳴エネルギー移動が十分に大きな「フェルスター」距離(R0)を有することで、距離がR0を大きく超えない限りにおいて、細胞の一部におけるナノ粒子が、該細胞の遠隔部分に配置される光活性化可能な作用物質の活性化を刺激することができることが可能となる。例えば、近年、金原子5個分のサイズを有する金ナノスフェアは、紫外領域に放射バンドを有することが示されている。
【0084】
本発明の治療はまた、充実性腫瘍内の悪性細胞を含む悪性細胞に対する自家ワクチン効果を誘導するのにも用いることができる。全身治療により任意の急速に分裂する細胞または幹細胞が損傷され得る限り、刺激エネルギーを腫瘍へと直接的に向け、光活性化可能な作用物質の光活性化または共鳴エネルギー移動を回避するステップにより、大半の正常な健康な細胞または幹細胞への損傷を防止することが好ましい場合がある。
【0085】
代替的に、有糸分裂を緩徐化または休止させる治療も適用し得る。こうした治療は、治療時において、癌性細胞の有糸分裂を休止させることなく、急速に分裂する健康な細胞または幹細胞の分裂を緩徐化することができる。代替的に、有糸分裂を緩徐化させる治療を実施する前に、悪性細胞に対して優先的に遮断剤を投与することもできる。
【0086】
一実施形態では、侵襲的な細胞増殖障害の方がはるかに高度の有糸分裂速度を有し、これにより、全身投与された治療時においても不均衡な割合で悪性細胞の選択的な破壊がもたらされる。幹細胞および健康な細胞は、光活性化された作用物質に曝露される場合でも、こうした光活性化された作用物質が、結合、有糸分裂、または健康幹細胞の大半の細胞に損傷をもたらす他の機構よりも前に励起状態からより低いエネルギー状態へと縮退するならば、大規模なプログラム細胞死を免れ得る。こうして、自己免疫反応が誘導されない場合もある。
【0087】
代替的に、そうしなければ障害される幹細胞または健康な細胞に対する損傷を選択的に防止または軽減し得る遮断剤を用いることもできる。例えば、遮断剤が悪性細胞に対しても同様の有益性を賦与しないように、遮断剤を選択または投与する。
【0088】
一実施形態では、幹細胞を、ドナー細胞株またはあらかじめ保管しておいた患者の健康な細胞により置換する意図で、特異的に破壊の標的とする。この場合、遮断剤は用いない。代わりに、該幹細胞を特異的に標的とする担体または感光剤を用いる。
【0089】
任意の光活性化可能な作用物質を、腫瘍内に植え込んだ励起エネルギー源に曝露することができる。受容体部位に対して強い親和性を有する担体により、光活性作用物質を受容体部位に方向づけることができる。本発明の文脈内において、「強い親和性」とは、好ましくは少なくともナノモル(nM)範囲以上の平衡解離定数Kiを有する親和性である。担体は、ポリペプチドである場合があり、例えば、光活性作用物質と共有結合を形成し得る。該ポリペプチドは、例えば、インスリン、インターロイキン、サイモポエチン、またはトランスフェリンであり得る。代替的に、光活性作用物質は、担体に結合しなくとも標的細胞に対する強い親和性を有し得る。
【0090】
受容体部位は以下:有核血液細胞の核酸、有核血液細胞の分子受容体部位、有核血液細胞上の抗原部位、エピトープ、または光活性作用物質が標的細胞を破壊することができる他の部位のいずれかであり得る。
【0091】
一実施形態では、薄型光ファイバー線を腫瘍内に挿入し、レーザー光を用いて作用物質を光活性化する。別の実施形態では、患者へと投与された1つまたは複数の分子を介して、電磁放射エネルギーまたはエネルギー移動を供給する複数の供給源を供給する。該分子は、光活性化可能な作用物質を刺激するのに適正なバンドの波長において刺激放射線を放射することもでき、該分子は、共鳴エネルギー移動もしくは他の機構により直接的に、または他の分子相互作用を介するカスケード効果により間接的に、エネルギーを光活性化可能な作用物質へと移動させることもできる。
【0092】
別の実施形態では、患者自身の細胞を除去し、遺伝子改変して光子放射を提供する。例えば、腫瘍細胞または健康な細胞を除去し、遺伝子改変して生物発光を誘導し、治療される腫瘍部位に再挿入することができる。調節作用物質が存在する限りにおいて、改変された生物発光細胞をさらに改変して、さらなる細胞分裂を阻止することができる。生物発光細胞による光活性化のことができる挿入剤の全身投与または腫瘍細胞を標的とする投与により、悪性細胞のアポトーシスによる自家ワクチン効果を創出するのに適する状態がもたらされる場合がある。アポトーシスが、悪性細胞を標的とする免疫反応を身体に発現させる一因となりこれを刺激することが好ましい。
【0093】
さらなる実施形態では、蛍光金属ナノ粒子または蛍光色素分子など、UV-Aバンドで発光する生体適合性放射源を選択する。UV-A放射源を腫瘍部位に方向づける。UV-A放射源を全身投与することにより、UV-A放射源を腫瘍部位に方向づけることができる。好ましくは、当技術分野で知られる通り、UV-A放射源は、物理的挿入、あるいはUV-A放射エネルギー調節作用物質を脂質、キチンもしくはキチン誘導体、キレート、またはUV-A放射源を特定の標的腫瘍内で濃縮させることができる他の機能化担体などの腫瘍特異的担体と抱合させるステップなどにより、腫瘍部位内で濃縮させることができる。
【0094】
好ましい一実施形態において、UV-A放射源は、ポリアミドアミンデンドリマーにより封入された水溶性量子ドットなど、5個の金原子によるクラスターを含む金ナノ粒子である。金原子クラスターは、例えば、金の塩(例えば、HAuCl4またはAuBr3)または他の封入アミンの緩徐な還元により作製することができる。こうした金ナノ粒子の1つの利点はフェルスター距離(すなわち、R0)の増大であり、該距離は100オングストロームを超えることがある。フェルスター距離を決定する式は、100オングストローム未満の距離での使用に限定される分子蛍光発光用の式とは実質的に異なる。金ナノ粒子は、1/R6による距離依存よりも1/R4による距離依存を伴う、双極子に対するナノ粒子表面の式により統御されていると考えられる。例えば、これにより、金属ナノ粒子とソラーレンとの間、およびより好ましくは、安全であり白血球のアポトーシスを誘導するのに有効であることが知られる、患者に経口投与された8-メトキシソラーレン(8-MOP)などの光活性化分子との間における、細胞質から核へのエネルギー移動が可能となる。
【0095】
別の実施形態では、光活性化可能な作用物質を励起する放射源として、UV放射ルシフェラーゼまたは発光ルシフェラーゼを選択する。ルシフェラーゼはATPまたは別の分子と組み合わせることができ、次いで、これをさらなる分子により酸素化して、所望の波長における発光を刺激することができる。代替的には、リン光発光源を用いることもできる。リン光発光源の1つの利点は、全身投与または腫瘍領域内への直接の挿入による腫瘍内への挿入前に、リン光発光分子または他の供給源を電気活性化または光活性化し得ることである。三重項状態の緩和は、より低いエネルギー状態へと復帰するのに限られた数の量子力学的なエネルギー移動過程しか得られずに励起された三重項状態にエネルギーを保存する、エネルギー状態の遷移禁制に従うので、リン光物質の方が蛍光物質よりも長い緩和時間を有し得る。エネルギー放射は、数分の1秒〜数時間にわたり遅延または延長される。他の点において、リン光緩和時において放射されるエネルギーは蛍光発光と異ならず、波長の範囲は具体的なリン光体を選択するステップにより選択し得る。
【0096】
別の実施形態では、その全内容が参照により本明細書に組み込まれるJ. Am. Chem. Soc.、2005年、第127巻9760〜9768頁で開示されている統合光ハーベスターなどの統合電磁エネルギーハーベスター分子を設計する。蛍光分子群を分子構造内に統合することにより、共鳴エネルギー移動カスケードを用いて広いバンドの電磁放射線を収集する結果として、狭いバンドの蛍光エネルギー放射をもたらすことができる。統合エネルギーハーベスターを光活性化分子と対合させることにより、光活性化分子が統合エネルギーハーベスター分子と近接して刺激される場合、さらなる共鳴エネルギー移動により光活性化分子が励起される。ハーベスター分子の別の例が、参照により本明細書に組み込まれる2002年5月18日付のM.O. Gulerによるウースター工科大学修士論文「Singlet-Singlet and Triplet-Triplet Energy Transfer in Bichromophoric Cyclic Peptides」の図4で開示されている。
【0097】
別の実施形態では、放射源またはカスケードで配置した一連の放射源のストークスシフトを選択して、X線などの短波長エネルギーを、腫瘍細胞部位において光活性化分子を刺激するのに用いる、光またはUV-Aなどより長波長の蛍光発光に変換する。正常な健康な細胞に実質的な害をもたらすことなく、腫瘍細胞におけるアポトーシス連鎖を引き起こす光活性化分子を選択することが好ましい。次いで、アポトーシス連鎖により、患者の体内全体における悪性腫瘍細胞を標的とする自家ワクチン効果がもたらされることがより好ましい。
【0098】
さらなる実施形態において、光活性化可能な作用物質は、光ケージ内に活性作用物質(細胞毒性作用物質でもありえ、活性化可能な医薬作用物質でもあり得る)を含有させる光ケージ化複合体であり得る。活性作用物質は、それが特異的な標的に結合することを阻止し、これによりその活性を遮蔽する、他の分子と共にバルクアップされる。光ケージ複合体が光活性化されると該バルクは崩落し、活性作用物質を露出させる。こうした光ケージ複合体では、光ケージ分子が光活性である(すなわち、光活性化されると光ケージ複合体から解離させられ、これにより、内部の活性作用物質を露出させる)こともあり、活性作用物質が光活性化可能な作用物質である(光活性化されると光ケージを崩落させる)こともあるか、または、光ケージおよび活性作用物質の両方が同一のまたは異なる波長で光活性化される。例えば、毒性の化学療法剤を光ケージ化することができ、これにより、送達された場合の全身毒性が軽減される。作用物質を腫瘍内で濃縮させたら、活性化エネルギーにより該作用物質を照射する。これにより「ケージ」が崩落し、腫瘍細胞中には毒性作用物質が残る。適切な光ケージは、その内容が参照により本明細書に組み込まれるYoungおよびDeiters、「Photochemical Control of Biological Processes」、Org. Biomol. Chem.、第5巻、999〜1005頁(2007)、ならびに「Photochemical Hammerhead Ribozyme Activation」、Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters、第16巻(10)、2658〜2661頁(2006)により開示される光ケージを含む。
【0099】
さらなる実施形態では、UV-A源を用いて一部の腫瘍細胞をin vitroで処置して8-MOPを刺激する。腫瘍細胞のアポトーシスをモニターし、アポトーシス過程によるフラグメントまたは遺残物の一部またはすべてを腫瘍部位内に再導入する。健康組織を実質的に害することなく腫瘍細胞のさらなるアポトーシスをもたらす自家ワクチン効果を発生させ、充実性腫瘍を退縮させるように、フラグメントの分量、細胞構造、および遺残物選択することが好ましい。
【0100】
一実施形態では、強い発光能を有するランタニドキレートを用いる。例えば、ランタニドキレート剤は、クマリンもしくはクマリン誘導体による増感剤、またはキノロンもしくはキノロン誘導体による増感剤に共有結合し得る。増感剤は、2-キノロンもしくは4-キノロン、2-クマリンもしくは4-クマリン、またはこれらの例の誘導体もしくは組合せであり得る。カルボスチリル124(7-アミノ-4-メチル-2-キノロン)、クマリン120(7-アミノ-4-メチル-2-クマリン)、クマリン124(7-アミノ-4-(トリフルオロメチル)-2-クマリン)、アミノインエチルトリメチルソラーレンまたは他の同様の増感剤を用いることができる。DTPAなどのキレート剤群を介して、テルビウムまたはユーロピウムなどのランタニドと高親和性複合体を形成するようにキレートを選択することができる。こうしたキレートは、多種多様のよく知られた任意のプローブまたは担体に結合させることができ、8-MOPなどのソラーレンもしくはソラーレン誘導体、またはDNAに結合して急速に分裂する癌細胞のアポトーシス過程の開始を引き起こすことができる他の光活性分子への共鳴エネルギー移動に用いることができる。こうした形で、従来の化学療法、放射線法、または手術法では治療が奏功しない、とりわけ侵襲的な形態の細胞増殖障害を治療の標的とすることができる。代替的な一例では、適切な担体分子、担体粒子、または担体ポリマーを用いてランタニドキレートを腫瘍部位に配置し、侵襲性が最小限度の手順により電磁エネルギー源を導入して、ランタニドキレートおよび光活性分子への曝露後における腫瘍細胞を照射する。
【0101】
別の実施形態では、生体適合性の内因性フルオロフォア発光体を選択して、光活性化可能な作用物質への共鳴エネルギー移動を刺激する。生体適合性の内因性フルオロフォア発光体の吸収範囲内に最大放射波長を有する生体適合性放射体を選択して、フルオロフォア発光体の励起状態を刺激することができる。核酸(DNAまたはRNA)中に積み重ねられたヌクレオチド塩基間への挿入能を有する任意の環構造に1つまたは複数のハロゲン原子を付加して、該挿入剤に新規の光活性特性を賦与することができる。当技術分野で知られる通り、任意の挿入分子(ソラーレン、クマリン、または他の多環構造)を、ハロゲン化または水素結合以外によるイオン性置換体の付加により選択的に改変して、その光化学反応および細胞膜上の核酸または荷電タンパク質に対するその競合的な結合親和性における利点を賦与することができる。
【0102】
近年、光線力学療法を用いる細胞増殖障害の治療用に感光剤が開発されている。表3では、細胞増殖障害を治療するのに有用な既知の感光剤の見本を提供する。
【0103】
【表3】

【0104】
皮膚の光過敏性が、感光剤の主要な毒性である。数分間であっても皮膚を直射日光に曝露すると、重度の日焼けが生じる。初期のマウスによる研究では免疫反応の長期にわたる活発な刺激が示唆されたが、実際の臨床試験では、光線力学療法の初期の見込みは達成されていない。初期の光線力学療法用感光剤はII型反応を標的とし、これが酸素の存在下において光活性化されると、一重項酸素が創出された。一重項酸素は細胞壊死を引き起こし、炎症および免疫反応と関連した。しかし、今日では、腫瘍が経時的に免疫反応を下方調節することが知られており、これが、初期のマウス研究により予測されたほど臨床成績が劇的でない理由の1つであると考えられる。I型反応を誘導し、直接的に細胞構造を損傷し、この結果として腫瘍細胞のアポトーシスをもたらす、さらなる感光剤も開発されている。
【0105】
ポルフィマーナトリウム(Photofrin;カナダ、ブリティッシュコロンビア州、バンクーバー、QLT Therapeutics社製)は、ヘマトポルフィリン誘導体(HpD)の部分精製製剤である。Photofrinは、閉塞性食道癌、微小浸潤気管支内非小細胞肺癌、および閉塞性気管支内非小細胞肺癌の治療について、米国食品医薬品局による承認を受けている。Photofrinは630nmで活性化され、約2〜5mmの組織透過を有する。Photofrinは、比較的長期間(約4〜6週間)の皮膚光過敏性を有する。
【0106】
テトラ(m-ヒドロキシフェニル)クロリン(Foscan;英国、スターリング、Scotia Pharmaceuticals社製)は、652nmの光により活性化される合成クロリン化合物である。臨床試験では、Foscanおよび652nmの光による10mmまでの組織効果が示されている。Foscanは、正常組織よりも腫瘍組織においてより選択的な感光剤であり、比較的短い光活性化時間を必要とする。0.1mg/kgの推奨用量は比較的低量であり、比較的低線量の光を用いることができる。にもかかわらず、皮膚光過敏性は相応の期間(約2週間)にわたる。しかし、Foscanh比較的高収量の一重項酸素を誘導し、これがこの分子のDNA損傷の主要機構であり得る。
【0107】
モテキサフィンルテチウム(ルテチウムテキサフィリン)は、近赤外領域(732nm)の光により活性化される。この波長での吸収は、他の感光剤を活性化するのに用いられる量の光と比較して、潜在的により深く組織内へと透過する利点を有する(図2Aおよび2B)。ルテチウムテキサフィリンはまた、正常組織に対する選択性と比較して、腫瘍について報告される最大の選択性の1つも有する(Young SWら、「Lutetium texaphyrin (PCI-0123) a near-infrared, water-soluble photosensitizer」、Photochem Photobiol、1996年、第63巻:892〜897頁)。加えて、その臨床使用は短期間(24〜48時間)の皮膚光過敏性と関連する。ルテチウムテキサフィリンは、転移性皮膚癌について評価されている。該剤は、再発性乳癌および局所再発性前立腺癌の治療について現在探索されている。腫瘍に対する高選択性により、臨床試験成績の向上が約束されている。
【0108】
一般に、該手法は、個別で、または活性化分子を活性化するシステムに統合した状態での、電気的供給源、化学的供給源、および/または放射線供給源など、より高い電子エネルギー状態への励起のための任意の供給源と共に用いることができる。該過程は、フォトフォレシス過程であることもあり、フォトフォレシスに類似することもある。フォトフォレシスがUV光などによる光子励起に限定されると一般に考えられるのに対し、他の放射線形態をシステムの一部として用いて活性化分子を活性化することができる。放射線は、X線またはガンマ線など高エネルギー放射線であり、相互作用して物質中でイオン対を生成するイオン化放射線を含む。放射線はまた、高線エネルギー付与照射、低線エネルギー付与照射、アルファ線、ベータ線、中性子ビーム、加速化電子ビーム、紫外線も含む。放射線はまた、陽子、光子、および核分裂スペクトル中性子も含む。例えば、高エネルギーイオン化放射線を化学過程と組み合わせて、共鳴エネルギー移動に好適なエネルギー状態をもたらすことができる。8-MOPなどの活性化分子の活性化を刺激するためには、これらの励起エネルギー源の他の組合せおよび変化形を、当技術分野で知られる通りに組み合わせることができる。一例では、イオン化放射線を充実性腫瘍に向け、悪性腫瘍細胞のDNAを直接的に損傷するほか、8-MOPの活性化を直接または間接的に刺激する。この例では、イオン化放射線または8-MOPに対するフォトフォレシス様の活性化の一方を、他方に対する補助療法として考えることができる。
【0109】
一実施形態において、本発明では、対象における細胞増殖障害を治療する方法であって、
(1)活性化されると所定の細胞変化をもたらすことができる活性化可能な医薬作用物質を対象に投与するステップと、
(2)開始エネルギー源からの開始エネルギーを対象に適用するステップと
を含み、
開始エネルギー源が対象中を完全に透過することができるエネルギー源であり、該適用するステップにより活性化可能な作用物質をin situで活性化し、
こうして所定の細胞変化を発生させ、所定の細胞変化の発生により細胞増殖の速度上昇または速度低下を引き起こして細胞増殖障害を治療する方法が提供される。
【0110】
さらなる実施形態において、本発明では、対象における細胞増殖障害を治療する方法であって、
(1)1種類または複数のエネルギー調節作用物質、および活性化されると所定の細胞変化をもたらすことができる活性化可能な医薬作用物質を対象に投与するステップと、
(2)開始エネルギー源からの開始エネルギーを対象に適用するステップと
を含み、
1種類または複数のエネルギー調節作用物質が、適用された開始エネルギーをUV-Aエネルギーまたは可視エネルギーに変換し、次いで、これが活性化可能な作用物質をin situで活性化し、
こうして所定の細胞変化を発生させ、所定の細胞変化の発生により細胞増殖の速度上昇または速度低下を引き起こして細胞増殖障害を治療する方法が提供される。
【0111】
さらなる実施形態において、本発明では、対象における細胞増殖障害を治療する方法であって、
(1)活性化されると所定の細胞変化をもたらすことができる活性化可能な医薬作用物質を対象に投与するステップと、
(2)開始エネルギー源からの開始エネルギーを対象に適用するステップと
を含み、
適用された開始エネルギーと活性化された活性化可能な医薬作用物質とが対象において細胞溶解をもたらすのに不十分な一重項酸素を生成し、該開始エネルギーが活性化可能な医薬作用物質をin situで活性化し、
こうして所定の細胞変化を発生させ、所定の細胞変化の発生により細胞増殖の速度上昇または速度低下を引き起こして細胞増殖障害を治療する方法が提供される。
【0112】
光線力学療法の領域における成果により、細胞溶解、およびしたがって細胞死を引き起こすのに必要な一重項酸素の量は、0.32×10-3モル/リットル以上、または一重項酸素分子109個/細胞個以上であることが示されている。しかし、本発明では、標的細胞および健康な細胞を共に溶解するその無差別的な攻撃性のために、細胞溶解を引き起こす量の一重項酸素の生成を回避するのが最も好ましい。したがって、本発明では、用いられる開始エネルギーまたは活性化された活性化可能な医薬作用物質によりもたらされる一重項酸素生成のレベルは、細胞溶解を引き起こすのに必要なレベル未満であることが最も好ましい。
【0113】
さらに別の実施形態では、受容体部位に対して強い親和性を有する担体により、活性化可能な医薬作用物質、好ましくは光活性作用物質を受容体部位に方向づける。担体は、ポリペプチドであることがあり、例えば、光活性作用物質と共有結合を形成し得る。該ポリペプチドは、例えば、インスリン、インターロイキン、サイモポエチン、またはトランスフェリンであり得る。代替的に、光活性作用物質は、担体に結合しなくとも標的細胞に対する強い親和性を有し得る。
【0114】
例えば、有糸分裂を緩徐化または休止させる治療を適用し得る。こうした治療は、癌性細胞の有糸分裂を休止させることなく、急速に分裂する健康な細胞または幹細胞の分裂を緩徐化することができる。こうして、非標的細胞と標的細胞との間の増殖速度の差をさらに差別化することで、本発明の方法の有効性を増強する。
【0115】
別の例では、侵襲的な細胞増殖障害の方がはるかに高度の有糸分裂速度を有し、これにより、全身投与された治療時においても不均衡な割合で悪性細胞の選択的な破壊がもたらされる。幹細胞および健康な細胞は、アポトーシスを引き起こす光活性化された作用物質に曝露される場合でも、こうした光活性化された作用物質が、結合、有糸分裂、または健康幹細胞の大半の細胞に損傷をもたらす他の機構よりも前に励起状態からより低いエネルギー状態へと縮退するならば、大規模なプログラム細胞死を免れ得る。光活性化可能な作用物質の影響から健康な細胞をさらに保護するために、それらの活性化よりも前に光活性化可能な作用物質の取り込みを遮断する遮断剤を投与することができる。
【0116】
米国特許第6,235,508号は、各種の遮断剤がこの目的に適すると判明しており、その一部は従来の抗酸化剤であり、他の一部はそうではないことを開示している。適切な遮断剤は、ヒスチジン、システイン、チロシン、トリプトファン、アスコルビン酸、N-アセチルシステイン、没食子酸プロピル、メルカプトプロピオニルグリシン、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、およびブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)を含むがこれらに限定されない。
【0117】
さらなる実施形態において、本発明に従う方法は、治療の副作用を緩和する添加剤を添加するステップをさらに含み得る。例示的な添加剤は、抗酸化剤、アジュバント、またはこれらの組合せを含み得るがこれらに限定されない。例示的な一実施形態では、ソラーレンを活性化可能な医薬作用物質として用い、UV-Aを活性化エネルギーとして用い、抗酸化剤を添加して照射の望ましくない副作用を軽減する。
【0118】
活性化可能な医薬作用物質およびその誘導体のほか、エネルギー調節作用物質を投与に適する医薬組成物中に組み込むことができる。こうした組成物は、典型的に、活性化可能な医薬作用物質と薬学的に許容される担体とを含む。該医薬組成物はまた、相補的な治療効果または診断効果を有する少なくとも1種類の添加剤も含み、該添加剤は抗酸化剤、アジュバント、およびこれらの組合せから選択される添加剤である。
【0119】
本明細書で用いられる「薬学的に許容される担体」とは、薬剤投与に適合する任意ですべての溶媒、分散媒、被覆、抗菌剤および抗真菌剤、等張性の吸収遅延剤などを含むことを意図する。薬剤としての活性物質のためのこうした媒体および作用物質の使用は、当技術分野でよく知られている。従来の媒体または作用物質が活性化合物に適合しない場合を除き、組成物におけるその使用を意図する。補充的な活性化合物もまた、該組成物中に組み込むことができる。本発明の化合物に改変を行うことで、該化合物の溶解度またはクリアランスに作用を及ぼすことができる。これらの分子はまた、D-アミノ酸により合成することで、酵素による分解に対する耐性を増大させることもできる。必要な場合、活性化可能な医薬作用物質は、シクロデキストランなどの可溶化剤と共投与することができる。
【0120】
本発明の医薬組成物は、その意図する投与経路に適合するように調合する。投与経路の例は、非経口投与、例えば、静脈内投与、皮内投与、皮下投与、経口(例えば、吸入)投与、経皮(局所)投与、経粘膜投与、直腸内投与、および腫瘍内への直接注射など、罹患領域への直接注射を含む。非経口適用、皮内適用または皮下適用に用いられる溶液または懸濁液は、以下の成分:注射用水、生理食塩液、固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、または他の合成溶媒などの滅菌希釈剤;ベンジルアルコールまたはメチルパラベンなどの抗菌剤;アスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウムなどの抗酸化剤;エチレンジアミンテトラ酢酸などのキレート化剤;酢酸、クエン酸、またはリン酸などの緩衝剤;および塩化ナトリウムまたはデキストロースなどの等張性調節剤を含み得る。pHは、塩酸または水酸化ナトリウムなどの酸または塩基により調節することができる。非経口製剤は、ガラスまたはプラスチック製のアンプル、ディスポーザブルの注射器、または複数回投与用のバイアル中に封入することができる。
【0121】
注射使用に適する医薬組成物は、滅菌水溶液(水溶性の場合)または分散液および滅菌注射溶液または分散液の即時調製用の滅菌粉末を含む。静脈内投与の場合、適切な担体は、生理食塩液、静菌水、またはリン酸緩衝生理食塩液(PBS)を含む。すべての場合において、組成物は無菌でなければならず、容易な注射可能性が存在する程度の流体であるものとする。それは製造および保管条件下で安定でなければならず、細菌および真菌などの微生物の汚染作用に対して保護されなければならない。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体のポリエチレングリコールなど)、およびこれらの適切な混合物を含有する溶媒または懸濁媒であり得る。適正な流体性は、例えば、レシチンなどの被覆の使用により、分散液の場合なら必要とされる粒子サイズの維持により、また界面活性剤の使用により維持することができる。微生物作用の防止は、各種の抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなどにより達成することができる。多くの場合、等張化剤、例えば、糖、マンニトール、ソルビトールなどの多価アルコール、塩化ナトリウムを組成物中に含めることが好ましい。注射用組成物の持続吸収は、組成物中に吸収を遅延させる作用物質、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを含めるステップによりもたらすことができる。
【0122】
滅菌注射溶液は、必要量の活性化合物を、必要に応じて上記で列挙した成分の1つまたは組合せと共に適切な溶媒中に組み込むステップの後、濾過による滅菌を経ることにより調製することができる。一般に、分散液は、基本分散媒と、上記に列挙した成分に由来する他の必要な成分とを含有する滅菌媒体中に活性化合物を組み込むステップにより調製する。滅菌注射溶液調製用の滅菌粉末の場合、調製法は、あらかじめ滅菌濾過したそれらの溶液に由来する有効成分と、任意のさらなる所望の成分とによる粉末をもたらす真空乾燥法および凍結乾燥法である。
【0123】
経口組成物は、一般に、不活性の希釈剤または可食性の担体を含む。それらをゼラチンカプセルに封入することもでき、錠剤に圧縮することもできる。治療用の経口投与のためには、活性化合物を賦形剤と共に組み込み、錠剤、トローチ、またはカプセルの形態で用いることができる。経口組成物はまた、口腔洗浄剤としての使用のために流体の担体を用いて調製することもでき、この場合、流体担体中の化合物は経口で適用し、ゆすぎ、吐出または嚥下する。組成物の一部として、薬剤として適合的な結合剤および/またはアジュバント物質を含めることができる。錠剤、丸薬、カプセル、トローチなどは、以下の任意の成分または同様の性質を有する化合物:微晶質セルロース、トラガカントガム、もしくはゼラチンなどの結合剤、デンプンもしくはラクトースなどの賦形剤;アルギニン酸、Primogel、もしくはトウモロコシデンプンなどの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムもしくはSterotesなどの潤滑剤;コロイド状二酸化ケイ素などの流動促進剤;スクロースもしくはサッカリンなどの甘味剤;またはペパーミント、サリチル酸メチル、もしくはオレンジフレーバーなどの芳香剤を含有し得る。
【0124】
吸入による投与の場合、適切な高圧ガス、例えば、二酸化炭素などの気体または噴霧剤を含有する加圧容器またはディスペンサーからのエアゾールスプレーの形態で化合物を送達する。
【0125】
全身投与はまた、経粘膜法または経皮法によっても可能である。経粘膜または経皮投与の場合、透過すべき障壁に適切な浸透剤を製剤中で用いる。こうした浸透剤は当技術分野において一般に知られており、例えば、経粘膜投与の場合、洗浄剤、胆汁塩、およびフシジン酸誘導体を含む。経粘膜投与は、鼻腔内スプレーまたは坐薬の使用により達成することができる。経皮投与の場合、活性化合物を、当技術分野で一般に知られる軟膏(ointment, salves)、ゲル、またはクリームに調合する。
【0126】
該化合物はまた、直腸内送達用の坐薬(例えば、ココアバターおよび他のグリセリドなど、従来の坐薬ベースによる)または停留浣腸の形態でも調製することができる。
【0127】
一実施形態では、インプラントおよびマイクロ封入式送達系を含む制御放出製剤など、体内からの急速な除去に対して化合物を保護する担体により該化合物を調製する。エチレンビニルアセテート、ポリ酸無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、およびポリ乳酸などの生体分解性で生体適合性のポリマーを用いることができる。こうした製剤の調製法は、当業者には明らかであろう。材料もまた市販されている。リポソーム懸濁液(ウイルス抗原に対するモノクローナル抗体を伴う、感染細胞を標的とするリポソームを含む)もまた、薬学的に許容される担体として用いることができる。これらは、例えば、米国特許第4,522,811号に説明されている通り、当業者に知られた方法に従い調製することができる。
【0128】
投与の容易さおよび用量の均一性のために、経口または非経口の組成物を用量単位形態で調合することがとりわけ有利である。本明細書で用いられる用量単位形態とは、治療される対象に単回用量として適する物理的に個別の単位を指し、各単位は、必要とされる薬剤担体と連携して所望の治療効果をもたらすように計算された所定量の活性化合物を含有する。本発明の用量単位形態の規格は、活性化合物固有の特徴および達成される具体的な治療効果、ならびにこうした活性化合物を個体の治療用に化合する技術に固有の制約により決定され、これらに直接的に依存する。
【0129】
医薬組成物は、投与についての指示と共に、容器、パック、またはディスペンサーに封入することができる。
【0130】
本発明に従う作用物質の投与法は、注射または経口注入など従来の手法に限定されず、エネルギー移動のより先進的で複雑な形態を含む。例えば、エネルギー調節作用物質を保有し発現する遺伝子改変細胞を用いることができる。宿主に由来する細胞に、生物発光作用物質を発現する遺伝子改変したベクターをトランスフェクトすることができる。トランスフェクションは、ウイルスベクターの注射または遺伝子銃など、in situでの遺伝子治療法によっても達成することができ、宿主細胞から試料を取り出し、次いで、トランスフェクションが成功したら宿主に戻すステップにより、ex vivoでも実施することができる。
【0131】
こうしたトランスフェクトされた細胞は、疾患細胞が位置する部位に挿入することもでき、他の形で標的とすることもできる。本実施形態において、開始エネルギー源は、ATPなどの生化学的供給源であることがあり、この場合、開始エネルギー源は、トランスフェクトされた細胞内に直接的に植え込まれていると考える。代替的に、開始エネルギー源として作用することができる従来のマイクロ放射体デバイスを、疾患細胞部位に移植することもできる。
【0132】
異なる作用物質を投与する順序が特に制限されないこともまた理解されたい。こうして、一部の実施形態では、活性化可能な医薬作用物質をエネルギー調節作用物質よりも先に投与することもできる一方、他の実施形態では、エネルギー調節作用物質を活性化可能な医薬作用物質よりも先に投与することもできる。作用物質の吸収速度、作用物質の局在化および分子輸送特性、ならびに薬物動態または薬力学に関する他の考慮点などの因子に応じて、異なる順序の組合せを有利に用い得ることを理解されたい。
【0133】
本発明の方法の利点は、急速に分裂する細胞など、細胞増殖障害に罹患した細胞を特異的に標的とし、これらの細胞においてin situでアポトーシスなどの細胞変化を始動させるステップにより、宿主の免疫系が刺激されて、疾患細胞に対する免疫反応を有することである。宿主自身の免疫系が刺激されてこうした反応を有すると、活性化可能な医薬作用物質により治療されていない他の疾患細胞を認識することができ、宿主自身の免疫系によりこれを破壊することができる。例えば、ソラーレンおよびUV-Aを用いる治療において、こうした自家ワクチン効果を得ることができる。
【0134】
別の態様において、本発明ではまた、自家ワクチンを発生させる方法であって、(1)標的細胞集団を提供するステップと、(2)該細胞をソラーレンまたはその誘導体によりex vivoで処置するステップと、(3)ソラーレンをUV-A源により活性化することで標的細胞内においてアポトーシスを誘導するステップと、(4)アポトーシス細胞を宿主に戻して、標的細胞に対する自家ワクチン効果を誘導し、アポトーシス細胞が自家ワクチン効果を引き起こすステップとを含む方法も提供される。
【0135】
さらなる実施形態は、本発明の皮膚癌治療への使用である。この例では、光活性化可能な作用物質、好ましくはソラーレンを患者に投与し、血液供給を介して皮膚病変へと送達する。限定的な透過能を有する活性化供給源(UVまたはIRなど)を皮膚に直接的に照射する―ソラーレンの場合、UV光またはIR源である。IR源の使用により照射はより深く透過し、ソラーレンによる2個の単一光子事象を介してUVを発生させる。
【0136】
さらなる実施形態において、本発明のこの態様に従う方法は、アポトーシス細胞の成分を画分に分離するステップと、各画分を宿主における自家ワクチン効果について調べるステップとをさらに含む。次いで、このようにして単離され同定された成分を、有効な自家ワクチンとして用い、宿主の免疫系を刺激して標的細胞の増殖を抑制する。
【0137】
本発明の方法は、単独で、または細胞増殖障害の治療のための他の療法と組み合わせて用いることができる。加えて、本発明の方法は、所望の場合、Giacchettiら、Journal of Clinical Oncology、第24巻、第22号、2006年8月1日、3562〜3569頁で詳述される場合などの時間医学における近年の進展と連携させて用いることができる。時間医学において、癌などある種の障害に罹患した細胞は、一日のある時間帯における方が他の時間帯におけるよりも良好に応答することが判明している。こうして、本発明の治療効果を増強するために、時間医学を本方法と連携させて用いることができるであろう。
【0138】
別の態様において、本発明では、上述の方法を実施するためのシステムおよびキットがさらに提供される。
【0139】
一実施形態において、本発明に従うシステムは、(1)開始エネルギー源と、(2)1種類または複数のエネルギー調節作用物質と、(3)1種類または複数の活性化可能な医薬作用物質とを含み得る。
【0140】
別の実施形態において、本発明に従うシステムは、開始エネルギー源と、1種類または複数の活性化可能な医薬作用物質とを含み得る。
【0141】
図3は、本発明の1つの例示的な実施形態に従うシステムを示す。図3を参照すると、本発明の一実施形態に従う例示的なシステムは、対象4に方向づけられた開始エネルギー源1を有し得る。活性化可能な医薬作用物質2およびエネルギー調節作用物質3を対象4に投与する。開始エネルギー源は、開始エネルギーの送達を方向づけることができるコンピュータシステム5によりさらに制御することができる。
【0142】
好ましい実施形態において、開始エネルギー源は、正確に較正されたビームをあらかじめ選択された座標へと送達する画像誘導式のコンピュータによる制御機能を装備する線形加速器であり得る。こうした線形加速器の一例は、Varian medical systems社(カリフォルニア州、パロアルト、Varian Medical Systems社)製のSmartBeam(商標)IMRT(強度調節式放射線療法)システムである。
【0143】
他の実施形態では、適切な開始エネルギー放射体を装備した内視鏡装置または大腸鏡装置を開始エネルギー源として用いることができる。こうしたシステムでは、開始エネルギーをあらかじめ選択した座標へと誘導および配置して、該部位に所望量の開始エネルギーを送達することができる。
【0144】
さらなる実施形態では、用量計算装置およびロボット操作装置もまたシステム中に含めることができる。
【0145】
さらに別の実施形態では、開始エネルギー源、エネルギー移動剤、および活性化可能な医薬作用物質の適切な組合せを設計および選択するコンピュータ実装システムであって、
励起性化合物のデータベースと、
標的細胞の構造または成分と結合することができる励起性化合物を同定および設計する第1の計算モジュールと、
励起性化合物の共鳴吸収エネルギーを予測する第2の計算モジュールと
がその上に装備される記憶媒体を有する中央処理ユニット(CPU)を含み、
標的細胞の構造または成分が選択されると、システムが標的構造と結合することができる励起性化合物を算定した後で、励起性化合物の共鳴吸収エネルギーを予測する計算を行うコンピュータ実装システムが提供される。
【0146】
図4は、本発明の本実施形態に従う例示的なコンピュータ実装システムを示す。図4を参照すると、本発明の一実施形態に従う例示的なコンピュータ実装システムは、中央処理ユニット(CPU)が使用者入力を処理し、本発明の方法における使用のためのエネルギースペクトル比較に基づき開始供給源、活性化可能な医薬作用物質、およびエネルギー移動剤の組合せを選択することができるように構成され、記憶ユニットに接続されたCPUを有し得る。
【0147】
図5は、本発明の各種の実施形態を実装するコンピュータシステム1201を示す。コンピュータシステム1201は、上述のCPU機能のいずれかまたはすべてを実行する制御器5として用いることができる。コンピュータシステム1201は、バス1202または情報を通信する他の通信機構と、バス1202と連結されて情報を処理するプロセッサー1203とを含む。コンピュータシステム1201はまた、ランダムアクセスメモリ(RAM)または他の動的記憶装置(例えば、動的RAM(DRAM)、静的RAM(SRAM)、および同期DRAM(SDRAM))など、バス1202と連結されて情報およびプロセッサー1203により実行される命令を記憶するメインメモリ1204も含む。加えて、メインメモリ1204は、プロセッサー1203による命令の実行時における暫定的な変数または他の中間的な情報を記憶するのに用いることができる。コンピュータシステム1201は、バス1202と連結されて静的情報およびプロセッサー1203に対する命令を記憶する読み取り専用メモリ(ROM)1205または他の静的記憶装置(例えば、プログラム可能ROM(PROM)、消去可能PROM(EPROM)、および電気消去可能PROM(EEPROM))をさらに含む。
【0148】
コンピュータシステム1201はまた、磁気ハードディスク1207、およびリムーバブルメディアドライブ1208(例えば、フロッピー(登録商標)ディスクドライブ、読み取り専用コンパクトディスクドライブ、読み取り/書き込み用コンパクトディスクドライブ、コンパクトディスクジュークボックス、テープドライブ、およびリームバブル磁気-光ドライブ)など、情報および命令を記憶する1種類または複数の記憶装置を制御するバス1202と連結されたディスク制御器1206も含む。適切な装置インターフェース(例えば、小型コンピュータシステム用インターフェース(SCSI)、統合型装置電子機器(IDE)、増強IDE(E-IDE)、直接型メモリアクセス(DMA)、または超DMA)を用いて、記憶装置をコンピュータシステム1201に付加することができる。
【0149】
コンピュータシステム1201はまた、特殊目的の論理素子(例えば、アプリケーション特異的集積回路(ASIC))または設定可能論理素子(例えば、単純型プログラム可能論理素子(SPLD)、複合型プログラム可能論理素子(CPLD)、およびフィールドプログラム可能ゲートアレイ(FPGA))も含み得る。
【0150】
コンピュータシステム1201はまた、ブラウン管(CRT)など、コンピュータ使用者に情報を表示するディスプレイ1210を制御するバス1202に連結されたディスプレイ制御器1209も含み得る。コンピュータシステムは、キーボード1211およびポインティングデバイス1212など、コンピュータ使用者と相互作用してプロセッサー1203に情報を供給する入力装置を含む。ポインティングデバイス1212は、例えば、指示情報およびコマンド選択をプロセッサー1203に送信し、ディスプレイ1210上におけるカーソルの動きを制御するマウス、トラックボール、またはポインティングスティックであり得る。加えて、プリンターが、コンピュータシステム1201により記憶および/または作製されたデータの印字による列挙を供給し得る。
【0151】
コンピュータシステム1201は、メインメモリ1204などのメモリ中に含まれる1つまたは複数の命令の1つまたは複数の連鎖を実行するプロセッサー1203への応答により本発明の処理するステップ(例えば、図5との関係で説明したステップなど)の一部またはすべてを実行する。こうした命令は、ハードディスク1207またはリムーバブルメディアドライブ1208など、別のコンピュータ読み取り用媒体からメインメモリ1204へと読み込むことができる。メインメモリ1204に含まれる命令の連鎖を実行するには、マルチプロセッシングアレンジメントにおける1つまたは複数のプロセッサーもまた用いることができる。代替的な実施形態では、ソフトウェアによる命令の代わりに、またはこれと組み合わせてハードの配線回路も用いることができる。こうして、実施形態は、ハードウェア回路とソフトウェアとの任意の特定の組合せに限定されない。
【0152】
上記で述べた通り、コンピュータシステム1201は、本発明の教示に従いプログラムされた命令を保持し、データ構造、表、記録、または本明細書で説明される他のデータを含有する、少なくとも1つのコンピュータ読み取り式媒体またはメモリを含む。コンピュータ読み取り式媒体の例は、コンパクトディスク、ハードディスク、フロッピー(登録商標)ディスク、テープ、磁気-光ディスク、PROM(EPROM、EEPROM、フラッシュEPROM)、DRAM、SRAM、SDRAM、もしくは他の任意の磁気媒体、コンパクトディスク(例えば、CD-ROM)、もしくは他の任意の光媒体、パンチカード、紙テープ、もしくは小孔のパターンによる他の物理的媒体、搬送波(下記で説明する)、またはそこからコンピュータが読み取り得る他の任意の媒体である。
【0153】
任意の1種類またはこれらの組合せによるコンピュータ読み取り式媒体上に記憶された本発明は、コンピュータシステム1201を制御し、デバイスまたは複数のデバイスを駆動して本発明を実装し、コンピュータシステム1201が使用者(例えば、プリントアウト作製者)と相互作用することを可能とするソフトウェアを含む。こうしたソフトウェアは、デバイスドライバー、演算システム、開発ツール、およびアプリケーションソフトウェアを含むがこれらに限定されない。こうしたコンピュータ読み取り式媒体は、本発明を実装するステップにおいて実行される、処理するステップのすべてまたは一部(処理するステップを分配する場合)を実行する、本発明のコンピュータプログラム製品をさらに含む。
【0154】
本発明のコンピュータコード装置は、スクリプト、解釈可能プログラム、ダイナミックリンクライブラリー(DLL)、Java(登録商標)クラス、および完全実行可能プログラムを含むがこれらに限定されない任意の解釈可能または実行可能なコード機構であり得る。さらに、本発明の処理するステップの一部は、より良好な性能、信頼性、および/または費用のために分配することもできる。
【0155】
本明細書で用いられる「コンピュータ読み取り式媒体」という用語は、命令をプロセッサー1203に与えて実行させるステップに参与する任意の媒体を指す。コンピュータ読み取り式媒体は、不揮発性媒体、揮発性媒体、および伝送媒体を含むがこれらに限定されない多くの形態をとり得る。不揮発性媒体は、例えば、ハードディスク1207またはリムーバブルメディアドライブ1208など、光ディスク、磁気ディスク、および磁気-光ディスクを含む。揮発性媒体は、メインメモリ1204など、動的メモリを含む。伝送媒体は、バス1202を構成するワイヤーを含む同軸ケーブル、銅線、および光ファイバーを含む。伝送媒体はまた、ラジオ波および赤外線によるデータ通信時に発生する音波または光波などの音波または光波の形態もとり得る。
【0156】
各形態のコンピュータ読み取り式媒体は、プロセッサー1203に実行させる1つまたは複数の命令の1つまたは複数の連鎖を実行するステップに関与し得る。例えば、命令はまず、リモートコンピュータの磁気ディスク上で実行することができる。リモートコンピュータは、本発明のすべてまたは一部を実装する命令を遠隔的に動的メモリ内にロードし、モデムを用いて電話回線全体に命令を送信することができる。コンピュータシステム1201に対してローカルのモデムは、電話回線上のデータを受信して、赤外線送信機を用いて該データを赤外線信号に変換することができる。バス1202に連結された赤外線検出器は、赤外線信号により搬送されたデータを受信し、データをバス1202上に置く。バス1202は、データをメインメモリ1204に搬送し、ここからプロセッサー1203が命令を取り出して実行する。メインメモリ1204により受信された命令は、場合によって、プロセッサー1203による実行の前または後で、記憶装置1207または1208上に記憶される。
【0157】
コンピュータシステム1201はまた、バス1202に連結された通信インターフェース1213も含む。通信インターフェース1213は、例えば、ローカルエリアネットワーク(LAN)1215またはインターネットなど別の通信ネットワーク1216に接続されたネットワークリンク1214に双方向式のデータ通信連結を提供する。例えば、通信インターフェース1213は、任意のパケットスイッチ式LANに取り付けられるネットワークインターフェースカードであり得る。別の例として、通信インターフェース1213は、対応する種類の通信回線へのデータ通信接続を提供する、非対称型デジタル加入者回線(ADSL)カード、総合サービスデジタルネットワーク(ISDN)カード、またはモデムであり得る。無線回線もまた実装し得る。任意のこうした実装において、通信インターフェース1213は、各種の情報を表わすデジタルデータストリームを搬送する電気信号、電磁信号、または光信号を送受信する。
【0158】
ネットワークリンク1214は、典型的に、他のデータデバイスに1つまたは複数のネットワークを介するデータ通信を提供する。例えば、ネットワークリンク1214は、ローカルネットワーク1215(例えば、LAN)または、通信ネットワーク1216を介して通信サービスを提供する、サービスプロバイダーにより操作される装置を介して、別のコンピュータへの接続を提供し得る。ローカルネットワーク1215および通信ネットワーク1216では、例えば、デジタルデータストリームを搬送する電気信号、電磁信号、または光信号、および関連する物理レイヤー(例えば、CAT 5ケーブル、同軸ケーブル、光ファイバーなど)を用いる。コンピュータシステム1201へと、また同システムからデジタルデータを搬送する各種ネットワークを介する信号、ならびにネットワークリンク1214上の信号および通信インターフェース1213を介する信号は、ベースバンド信号または搬送波ベースの信号中に実装することができる。ベースバンド信号は、デジタルデータのビットストリームを記述する非変調電気パルスとしてのデジタルデータを搬送するが、ここで、「ビット」という用語は、各符牒が少なくとも1つまたは複数の情報ビットを搬送する符牒を広く意味することを意図する。デジタルデータはまた、導電性媒体全体に伝搬されるか、または伝搬媒体を介する電磁波として伝送される振幅偏移符号化信号、位相偏移符号化信号、および/または周波数偏移符号化信号など、搬送波を変調させるのにも用いることができる。こうして、デジタルデータは、「配線」通信チャネルを介する非変調ベースバンドデータとしても送信することができ、かつ/または搬送波を変調させることによりベースバンドとは異なる所定の周波数バンド内において送信することもできる。コンピュータシステム1201は、(1つまたは複数の)ネットワーク1215および1216、ネットワークリンク1214、ならびに通信インターフェース1213を介して、プログラムコードを含むデータを送受信することができる。さらに、ネットワークリンク1214は、携帯端末(PDA)、ラップトップコンピュータ、または携帯電話などのモバイルデバイス1217へのLAN 1215を介する接続も提供し得る。
【0159】
既に図1で注意した例示的なエネルギースペクトルは、このコンピュータ実装システムにおいても用いることができる。
【0160】
本発明の方法およびシステムに有用な試薬および化学物質をキットに包装して、本発明の適用を容易にすることができる。例示的な一実施形態では、ソラーレンならびに自家ワクチンの容易な画分化および単離用の画分化容器を含むキットを意図する。キットのさらなる実施形態は、所定の細胞変化を引き起こすことができる少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質、エネルギーを与えられると少なくとも1種類の活性化可能な作用物質を活性化することができる少なくとも1種類のエネルギー調節作用物質、および作用物質を安定的な形態で保管するのに適する容器を含み、好ましくは、少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質および少なくとも1種類のエネルギー調節作用物質を対象に投与するステップと、開始エネルギー源からの開始エネルギーを適用して活性化可能な医薬作用物質を活性化するステップとについての指示書をさらに含む。指示書は、キットの添付書に印刷された形態、1つまたは複数の容器に印刷された形態のほか、コンピュータ読み取り式記憶媒体など、電子記憶媒体において提供される電子的に記憶された指示書を含むがこれらに限定されない任意の望ましい形態であり得る。また場合によっては、使用者が情報を統合し、対照線量を計算し、照射源強度を計算および制御することを可能とする、コンピュータ読み取り式記憶媒体上のソフトウェアパッケージが含まれる。
【0161】
本発明を一般的に説明したので、別段に指定しない限り、例示のみを目的とし、限定することを意図せずに本明細書で提示される特定の具体的な実施例への参照により、さらなる理解を得ることができる。
【0162】
(実施例)
(実施例1)
第1の実施例では、双極子間共鳴エネルギー移動を用いるその放射波長と重複する光活性作用物質用の刺激エネルギー源として、ビタミンB12を用いる。
【0163】
【表4】

【0164】
上記の表2に示す通り、ビタミンB12は、約275nmの最大励起波長および305nmの最大放射波長を有する。表4は、ガンマ線源からのUV放射および発光を示す。この実施例では、113Snおよび/または137CsをビタミンB12と共にキレート化する。ビタミンB12は、腫瘍細胞により優先的に吸収される。こうして、ビタミンB12は、光活性化分子としてあらかじめ投与される8-MOPに近接し、これを活性化することができる。ビタミンB12の放射バンドは、8-MOPの励起バンドと重複し、したがって、ビタミンB12が8-MOPに近接する場合、光エネルギー移動および共鳴エネルギー移動が生じる。8-MOPは活性化され、腫瘍細胞のDNAに結合し、in vivoでの自家ワクチン効果を誘導する。
【0165】
(実施例2)
本実施例では、金ナノ粒子をビタミンB12複合体と共にキレート化する。適切な光源を用いて金ナノ粒子を刺激するか、または、金ナノ粒子に加えて、表4に列挙したUV放射体の1つと共にビタミンB12をキレート化することができる。腫瘍細胞はビタミンB12複合体を優先的に吸収するので、活性化された金ナノ粒子は、8-MOPおよび/またはあらかじめ投与された他の光活性化分子から50ナノメートル以内にある。したがって、共鳴エネルギー移動により8-MOPなどの光活性化分子が活性化され、活性化された8-MOPは腫瘍細胞中のDNAに結合して、アポトーシスおよび自家ワクチン効果を誘導する。
【0166】
さらなる例では、金ナノ粒子が、ポリアミドアミンデンドリマーにより封入された5個の金原子によるクラスターである。こうして、金ナノ粒子は、8-MOPならびにフォトフォレシス効果および/または光線力学効果を示すことができる他のUV活性化可能な作用物質を活性化するのに適正なバンドでUVを放射する。
【0167】
急速な増殖を経る細胞は、チミジンおよびメチオニンの取り込みが増大することが示されている(例えば、M. E. van Eijkerenら、Acta Oncologica、第31巻、539頁(1992); K. Kobotaら、J. Nucl. Med.、第32巻、2118頁(1991);およびK. Higashiら、J. Nucl. Med.、第34巻、773頁(1993)を参照されたい)。メチルコバラミンがメチオニン合成に直接的に関与し、チミジル酸およびDNAの合成に間接的に関与しているので、メチルコバラミンならびにコバルト57-シアノコバラミンもまた、急速に分裂する組織内での取り込みが増大することが示されていることも驚くには価しない(例えば、B. A. Cooperら、Nature、第191巻、393頁(1961); H. Flodh、Acta Radiol. Suppl.、第284巻、55頁(1968); L. Bloomquistら、Experientia、第25巻、294頁(1969)を参照されたい)。加えて、複数の悪性細胞株では、その加速化されたチミジン取り込みおよびDNA合成時において、トランスコバラミンII受容体数の上方調節が示されている(例えば、J. Lindemansら、Exp. Cell. Res.、第184巻、449頁(1989); T. Amagasakiら、Blood、第26巻、138頁(1990);およびJ. A. Beglyら、J. Cell Physiol.、第156巻、43頁(1993)を参照されたい)。ビタミンB12は水溶性であり、既知の毒性を有さず、過剰時には糸球体濾過により排出される。加えて、ビタミンB12の取り込みは、亜酸化窒素および他の薬理作用物質の投与により潜在的に調節し得る(例えば、D. Swansonら、「Pharmaceuticals in Medical Imaging」、ニューヨーク、MacMillan Pub.社(1990)、621〜628頁を参照されたい)。
【0168】
本発明の好ましい実施形態では、活性化可能な医薬作用物質としてのソラーレン化合物(最も好ましくは、8-MOPまたはAMT)、ポリアミドアミンデンドリマーにより封入された5個の金原子によるクラスターを有するエネルギー調節作用物質としての金ナノ粒子、開始エネルギー源としてのx線、エネルギー調節作用物質により結果として放射されるエネルギーとして、ソラーレン化合物を活性化する結果として標的細胞におけるアポトーシスをもたらすUV-Aを用いる。
【0169】
上記の教示に照らし、本発明のさらなる改変および変更が可能であることは明らかである。したがって、付随の特許請求の範囲内である限り、本明細書で具体的に説明した形と別の形で本発明を実施し得ることを理解されたい。
【符号の説明】
【0170】
1 開始エネルギー源
2 活性化可能な医薬作用物質
3 エネルギー調節作用物質
4 対象
5 コンピュータシステム、制御器
1201 コンピュータシステム
1202 バス
1203 プロセッサー
1204 メインメモリ
1205 読み取り専用メモリ(ROM)
1206 ディスク制御器
1207 ハードディスク、記憶装置
1208 リムーバブルメディアドライブ、記憶装置
1209 ディスプレイ制御器
1210 ディスプレイ
1211 キーボード
1212 ポインティングデバイス
1213 通信インターフェース
1214 ネットワークリンク
1215 ローカルエリアネットワーク(LAN)、ローカルネットワーク、ネットワーク、LAN
1216 通信ネットワーク、ネットワーク
1217 モバイルデバイス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象における細胞増殖障害を治療する方法であって、
(1)活性化されると所定の細胞変化をもたらすことができる少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質を対象に投与するステップと、
(2)開始エネルギー源からの開始エネルギーを対象に適用するステップと
を含み、
開始エネルギーが対象中を完全に透過する能力を有し、
適用された開始エネルギーが活性化可能な作用物質をin situで活性化し、
こうして所定の細胞変化を発生させ、前記所定の細胞変化により細胞増殖関連障害を治療する方法。
【請求項2】
開始エネルギー源が、x線、ガンマ線、電子ビーム、マイクロ波、またはラジオ波である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
細胞増殖障害が、癌、細菌感染、ウイルス感染、免疫拒絶反応、自己免疫障害、無形成性状態、およびこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1つのメンバーである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が光活性化可能な作用物質である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が、ソラーレン、ピレンコレステリルオレアート、アクリジン、ポルフィリン、フルオレセイン、ローダミン、16-ジアゾルコルチゾン、エチジウム、ブレオマイシンの遷移金属複合体、デグリコブレオマイシンの遷移金属複合体、有機白金複合体、アロキサジン、ビタミンK、ビタミンL、ビタミン代謝物、ビタミン前駆体、ナフソキノン、ナフタレン、ナフソールおよび平面状の分子配座を有するそれらの誘導体、ポルフォリンポルフィリン、染料およびフェノチアジン誘導体、クマリン、キノロン、キノン、およびアンスロキノンから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が、ソラーレン、クマリン、またはこれらの誘導体である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が、8-MOPまたはAMTである、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が、7,8-ジメチル-10-リビチルイソアロキサジン、7,8,10-トリメチルイソアロキサジン、7,8-ジメチルアロキサジン、イソアロキサジン-アデニンジヌクレオチド、アロキサジンモノヌクレオチド、アルミニウム(III)フタロシアニンテトラスルホネート、ヘマトポルフィリン、およびフタロシアニンから選択される作用物質である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が、受容体部位に結合することができる担体に結合する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
担体が、インスリン、インターロイキン、サイモポエチン、またはトランスフェリンから選択される担体である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が、共有結合により担体に結合する、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が、非共有結合により担体に結合する、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
受容体部位が、有核細胞の核酸、有核細胞上の抗原部位、またはエピトープから選択される部位である、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が、標的細胞に対する親和性を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が、標的細胞により優先的に吸収されることができる、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
所定の細胞変化が、標的細胞におけるアポトーシスである、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が、標的細胞と反応する対象において自家ワクチン効果を引き起こす、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が、DNA挿入剤またはそのハロゲン化誘導体である、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記開始エネルギーを適用するステップの前に、開始エネルギーを、少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質を活性化するエネルギーへと変換する、少なくとも1種類のエネルギー調節作用物質を対象に投与するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記少なくとも1種類のエネルギー調節作用物質が単一のエネルギー調節作用物質であり、前記少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質に結合する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が、1つまたは複数の連鎖的な単一光子吸収事象により活性化される、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が、光ケージ内部に活性作用物質を含有し、前記開始エネルギー源に曝露されると光ケージが活性作用物質から解離し、活性作用物質が供給される、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記所定の細胞変化が、標的細胞内における細胞増殖速度の上昇または低下を引き起こすことにより細胞増殖障害を治療する、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
対象における細胞増殖障害を治療する方法であって、
(1)少なくとも1種類のエネルギー調節作用物質と、活性化されると所定の細胞変化をもたらすことができる少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質とを対象に投与するステップと、
(2)開始エネルギー源からの開始エネルギーを対象に適用するステップと
を含み、
エネルギー調節作用物質が、適用された開始エネルギーをUV-Aエネルギーまたは可視エネルギーに変換し、次いで、これが活性化可能な作用物質をin situで活性化し、
こうして所定の細胞変化を発生させ、前記所定の細胞変化により細胞増殖関連障害を治療する方法。
【請求項25】
前記所定の細胞変化が、標的細胞の細胞増殖速度の上昇または低下を引き起こすことにより細胞増殖障害を治療する、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
少なくとも1種類のエネルギー調節作用物質が、生体適合性蛍光金属ナノ粒子、蛍光色素分子、金ナノ粒子、ポリアミドアミンデンドリマーにより封入された水溶性量子ドット、ルシフェラーゼ、生体適合性リン光分子、統合電磁エネルギーハーベスター分子、および強い発光能を有するランタニドキレートから選択される1種類または複数の作用物質である、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
開始エネルギー源が、結果として得られるUV-Aエネルギーまたは可視エネルギーよりも高エネルギーの源である、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
開始エネルギー源が、結果として得られるUV-Aエネルギーまたは可視エネルギーよりも低エネルギーの源である、請求項24に記載の方法。
【請求項29】
開始エネルギーが薄型光ファイバーを介して適用される、請求項24に記載の方法。
【請求項30】
細胞増殖障害が、癌、細菌感染、ウイルス感染、免疫拒絶反応、自己免疫障害、無形成性状態、およびこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1つのメンバーである、請求項24に記載の方法。
【請求項31】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が光活性化可能な作用物質である、請求項24に記載の方法。
【請求項32】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が、ソラーレン、ピレンコレステリルオレアート、アクリジン、ポルフィリン、フルオレセイン、ローダミン、16-ジアゾルコルチゾン、エチジウム、ブレオマイシンの遷移金属複合体、デグリコブレオマイシンの遷移金属複合体、有機白金複合体、アロキサジン、ビタミンK、ビタミンL、ビタミン代謝物、ビタミン前駆体、ナフソキノン、ナフタレン、ナフソールおよび平面状の分子配座を有するそれらの誘導体、ポルフォリンポルフィリン、染料およびフェノチアジン誘導体、ポルフォリンポルフィリン、クマリン、キノロン、キノン、およびアンスロキノンから選択される、請求項24に記載の方法。
【請求項33】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が、ソラーレン、クマリン、またはこれらの誘導体である、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が8-MOPまたはAMTである、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が、7,8-ジメチル-10-リビチルイソアロキサジン、7,8,10-トリメチルイソアロキサジン、7,8-ジメチルアロキサジン、イソアロキサジン-アデニンジヌクレオチド、アロキサジンモノヌクレオチド、アルミニウム(III)フタロシアニンテトラスルホネート、ヘマトポルフィリン、およびフタロシアニンから選択される作用物質である、請求項24に記載の方法。
【請求項36】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が、受容体部位に結合することができる担体に結合する、請求項24に記載の方法。
【請求項37】
担体が、インスリン、インターロイキン、サイモポエチン、またはトランスフェリンから選択される担体である、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が、共有結合により担体に結合する、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が、非共有結合により担体に結合する、請求項36に記載の方法。
【請求項40】
受容体部位が、有核細胞の核酸、有核細胞上の抗原部位、またはエピトープから選択される部位である、請求項36に記載の方法。
【請求項41】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が、標的細胞に対する親和性を有する、請求項24に記載の方法。
【請求項42】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が、標的細胞により優先的に吸収されることができる、請求項24に記載の方法。
【請求項43】
所定の細胞変化が、標的細胞におけるアポトーシスである、請求項24に記載の方法。
【請求項44】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が、標的細胞と反応する対象において自家ワクチン効果を引き起こす、請求項24に記載の方法。
【請求項45】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が、DNA挿入剤またはそのハロゲン化誘導体である、請求項24に記載の方法。
【請求項46】
開始エネルギーが、電磁エネルギー、音響エネルギー、または熱エネルギーの1つである、請求項24に記載の方法。
【請求項47】
それが活性化される前に、少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質の取り込みを遮断することができる遮断剤をさらに含む、請求項24に記載の方法。
【請求項48】
遮断剤が、非標的細胞における有糸分裂を緩徐化する一方で、標的細胞には異常な有糸分裂速度を維持させることができる、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記少なくとも1種類のエネルギー調節作用物質が単一のエネルギー調節作用物質であり、前記少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質に結合する、請求項24に記載の方法。
【請求項50】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が、光ケージ内部に活性作用物質を含有し、前記UV-Aエネルギーまたは可視エネルギーに曝露されると光ケージが活性作用物質から解離し、活性作用物質が供給される、請求項24に記載の方法。
【請求項51】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が、1つまたは複数の連鎖的な単一光子吸収事象により活性化される、請求項24に記載の方法。
【請求項52】
対象における細胞増殖障害を治療する方法であって、
(1)活性化されると所定の細胞変化をもたらすことができる少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質を対象に投与するステップと、
(2)開始エネルギー源からの開始エネルギーを対象に適用するステップと
を含み、
適用された開始エネルギーと活性化された活性化可能な医薬作用物質とが、対象において細胞溶解をもたらすのに不十分な一重項酸素を生成し、開始エネルギーが活性化可能な医薬作用物質をin situで活性化し、
こうして所定の細胞変化を発生させ、前記所定の細胞変化により細胞増殖関連障害を治療する方法。
【請求項53】
前記所定の細胞変化が、標的細胞の細胞増殖速度の上昇または低下を引き起こすことにより細胞増殖障害を治療する、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
一重項酸素生成量が、一重項酸素分子109個/細胞個未満である、請求項52に記載の方法。
【請求項55】
一重項酸素生成量が、0.32×10-3モル/リットル未満である、請求項52に記載の方法。
【請求項56】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が、標的細胞と反応する対象において自家ワクチン効果を引き起こす、請求項52に記載の方法。
【請求項57】
前記開始エネルギーを適用するステップの前に、開始エネルギーを、少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質を活性化するエネルギーへと変換する、少なくとも1種類のエネルギー調節作用物質を対象に投与するステップをさらに含む、請求項52に記載の方法。
【請求項58】
前記少なくとも1種類のエネルギー調節作用物質が単一のエネルギー調節作用物質であり、前記少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質に結合する、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が、光ケージ内部に活性作用物質を含有し、前記開始エネルギー源に曝露されると光ケージが活性作用物質から解離し、活性作用物質が供給される、請求項52に記載の方法。
【請求項60】
開始エネルギー源が、x線、ガンマ線、電子ビーム、リン光化合物、化学発光化合物、生物発光化合物、および発光酵素からなる群から選択される、請求項52に記載の方法。
【請求項61】
所定の細胞変化が、標的細胞におけるアポトーシスである、請求項52に記載の方法。
【請求項62】
細胞増殖障害が、癌、細菌感染、ウイルス感染、免疫拒絶反応、自己免疫障害、および無形成性状態からなる群から選択される少なくとも1つのメンバーである、請求項52に記載の方法。
【請求項63】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が光活性化可能な作用物質である、請求項52に記載の方法。
【請求項64】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が、ソラーレン、ピレンコレステリルオレアート、アクリジン、ポルフィリン、フルオレセイン、ローダミン、16-ジアゾルコルチゾン、エチジウム、ブレオマイシンの遷移金属複合体、デグリコブレオマイシンの遷移金属複合体、有機白金複合体、アロキサジン、ビタミンK、ビタミンL、ビタミン代謝物、ビタミン前駆体、ナフソキノン、ナフタレン、ナフソールおよび平面状の分子配座を有するそれらの誘導体、ポルフォリンポルフィリン、染料およびフェノチアジン誘導体、クマリン、キノロン、キノン、およびアンスロキノンから選択される、請求項52に記載の方法。
【請求項65】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が、ソラーレン、クマリン、またはこれらの誘導体である、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が、8-MOPまたはAMTである、請求項64に記載の方法。
【請求項67】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が、7,8-ジメチル-10-リビチルイソアロキサジン、7,8,10-トリメチルイソアロキサジン、7,8-ジメチルアロキサジン、イソアロキサジン-アデニンジヌクレオチド、アロキサジンモノヌクレオチド、アルミニウム(III)フタロシアニンテトラスルホネート、ヘマトポルフィリン、およびフタロシアニンから選択される作用物質である、請求項52に記載の方法。
【請求項68】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が、受容体部位に結合することができる担体に結合する、請求項52に記載の方法。
【請求項69】
担体が、インスリン、インターロイキン、サイモポエチン、またはトランスフェリンから選択される担体である、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が、共有結合により担体に結合する、請求項68に記載の方法。
【請求項71】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が、非共有結合により担体に結合する、請求項68に記載の方法。
【請求項72】
受容体部位が、有核細胞の核酸、有核細胞上の抗原部位、またはエピトープから選択される部位である、請求項68に記載の方法。
【請求項73】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が、標的細胞に対する親和性を有する、請求項52に記載の方法。
【請求項74】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が、標的細胞により優先的に吸収されることができる、請求項52に記載の方法。
【請求項75】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が、DNA挿入剤またはそのハロゲン化誘導体である、請求項52に記載の方法。
【請求項76】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が、1つまたは複数の連鎖的な単一光子吸収事象により活性化される、請求項52に記載の方法。
【請求項77】
対象における細胞増殖障害を治療する方法であって、
(1)1つまたは複数の細胞を改変して光子放射改変または光子放射物質を組み込むステップと、
(2)改変された細胞を対象の標的とされる部位に挿入するステップと、
(3)改変された細胞から放射される光子により活性化されることができる少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質を投与して所定の細胞変化を引き起こすステップと
を含む方法。
【請求項78】
前記1つまたは複数の細胞が、前記改変するステップの前に除去された対象自身の細胞である、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
光子放射改変または光子放射物質が、発光遺伝子、リン光化合物、化学発光化合物、生物発光化合物、および発光酵素からなる群から選択されるメンバーである、請求項77に記載の方法。
【請求項80】
標的とされる部位が腫瘍である、請求項77に記載の方法。
【請求項81】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が活性化されると、標的細胞と反応する対象において自家ワクチン効果を引き起こす、請求項77に記載の方法。
【請求項82】
所定の細胞変化が、標的細胞におけるアポトーシスである、請求項77に記載の方法。
【請求項83】
対象用の自家ワクチンを発生させる方法であって、
(1)標的細胞集団を提供するステップと、
(2)対象と分離および隔離された環境において、ex vivoで、ソラーレンまたはその誘導体により標的細胞を処置するステップと、
(3)ソラーレンまたはその誘導体をUV-A源により活性化することで標的細胞内において所定の細胞変化を誘導するステップと、
(4)こうして変化した細胞を対象に戻し、標的細胞に対する自家ワクチン効果を対象において誘導し、変化した細胞を自家ワクチンとして作用させるステップと
を含む方法。
【請求項84】
ソラーレンが8-MOPである、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
アポトーシス細胞を画分化するステップと、画分を単離された各成分の自家ワクチン効果について調べ、成分を対象に戻す前に、自家ワクチンと関連する成分(複数可)を決定するステップとをさらに含む、請求項83に記載の方法。
【請求項86】
所定の細胞変化が、細胞増殖障害に罹患した標的細胞におけるアポトーシスである、請求項83に記載の方法。
【請求項87】
対象において自家ワクチンを生成するシステムであって、
前記対象の標的細胞内において所定の細胞変化を誘導することができる少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質と、
前記少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質を前記対象に配置する手段と、
前記標的細胞内における少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質を活性化することができる開始エネルギーを供給する、活性化が直接または間接である開始エネルギー源と
を含むシステム。
【請求項88】
所定の細胞変化が、標的細胞におけるアポトーシスである、請求項87に記載のシステム。
【請求項89】
開始エネルギーが、少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質を直接的に活性化することができる、請求項87に記載のシステム。
【請求項90】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質にエネルギーを放射する少なくとも1種類のエネルギー調節作用物質をさらに含み、これにより、開始エネルギーを少なくとも1種類のエネルギー調節作用物質により吸収させ、少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質の活性化エネルギーとして再放射させることで、開始エネルギー源に、少なくとも1種類のエネルギー調節作用物質を介して、少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質を間接的に活性化させる、請求項87に記載のシステム。
【請求項91】
前記少なくとも1種類のエネルギー調節作用物質が単一のエネルギー調節作用物質であり、前記少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質に結合する、請求項90に記載のシステム。
【請求項92】
開始エネルギーが、x線、ガンマ線、電子ビームである、請求項87に記載のシステム。
【請求項93】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が光活性化可能な作用物質である、請求項87に記載のシステム。
【請求項94】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が、ソラーレン、ピレンコレステリルオレアート、アクリジン、ポルフィリン、フルオレセイン、ローダミン、16-ジアゾルコルチゾン、エチジウム、ブレオマイシンの遷移金属複合体、デグリコブレオマイシンの遷移金属複合体、有機白金複合体、アロキサジン、ビタミンK、ビタミンL、ビタミン代謝物、ビタミン前駆体、ナフソキノン、ナフタレン、ナフソールおよび平面状の分子配座を有するそれらの誘導体、ポルフォリンポルフィリン、染料およびフェノチアジン誘導体、クマリン、キノロン、キノン、およびアンスロキノンから選択される、請求項87に記載のシステム。
【請求項95】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が、ソラーレン、クマリン、またはこれらの誘導体である、請求項94に記載のシステム。
【請求項96】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が、8-MOPまたはAMTである、請求項94に記載のシステム。
【請求項97】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が、7,8-ジメチル-10-リビチルイソアロキサジン、7,8,10-トリメチルイソアロキサジン、7,8-ジメチルアロキサジン、イソアロキサジン-アデニンジヌクレオチド、アロキサジンモノヌクレオチド、アルミニウム(III)フタロシアニンテトラスルホネート、ヘマトポルフィリン、およびフタロシアニンから選択される作用物質である、請求項87に記載のシステム。
【請求項98】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が、受容体部位に結合することができる担体に結合する、請求項87に記載のシステム。
【請求項99】
担体が、インスリン、インターロイキン、サイモポエチン、またはトランスフェリンから選択される担体である、請求項98に記載のシステム。
【請求項100】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が、共有結合により担体に結合する、請求項98に記載のシステム。
【請求項101】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が、非共有結合により担体に結合する、請求項98に記載のシステム。
【請求項102】
受容体部位が、有核細胞の核酸、有核細胞上の抗原部位、またはエピトープから選択される部位である、請求項98に記載のシステム。
【請求項103】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が、標的細胞に対する親和性を有する、請求項87に記載のシステム。
【請求項104】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が、標的細胞により優先的に吸収されることができる、請求項87に記載のシステム。
【請求項105】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が、標的細胞と反応する対象において自家ワクチン効果を引き起こす、請求項87に記載のシステム。
【請求項106】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が、DNA挿入剤またはそのハロゲン化誘導体である、請求項87に記載のシステム。
【請求項107】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が、1つまたは複数の連鎖的な単一光子吸収事象により活性化される、請求項87に記載のシステム。
【請求項108】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が、光ケージ内部に活性作用物質を含有し、前記開始エネルギー源に曝露されると光ケージが活性作用物質から解離し、活性作用物質が供給される、請求項87に記載のシステム。
【請求項109】
励起性化合物のデータベースと、
標的細胞の構造または成分と結合することができる励起性化合物を同定および設計する第1の計算モジュールと、
励起性化合物の共鳴吸収エネルギーを予測する第2の計算モジュールと
がその上に装備される記憶媒体を有する中央処理ユニット(CPU)を含み、
標的細胞の構造または成分が選択されると、システムが標的構造と結合することができる励起性化合物を算定した後で、励起性化合物の共鳴吸収エネルギーを予測する計算を行うコンピュータ実装システム。
【請求項110】
CPUに接続された開始エネルギー源をさらに含み、励起性化合物の共鳴吸収エネルギーの計算後に、システムが開始エネルギー源を導いて、計算された共鳴吸収エネルギーを励起性化合物に供給させる、請求項109に記載のコンピュータ実装システム。
【請求項111】
細胞増殖障害の治療を実施するためのキットであって、
所定の細胞変化を引き起こすことができる少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質と、
エネルギーを与えられると少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質を活性化することができる少なくとも1種類のエネルギー調節作用物質と、
作用物質を安定的な形態で保管するのに適する容器と
を含むキット。
【請求項112】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質および少なくとも1種類のエネルギー調節作用物質を対象に投与するステップと、開始エネルギーの適用により少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質を活性化するステップとについての指示書をさらに含む、請求項111に記載のキット。
【請求項113】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が、ソラーレン、クマリン、またはこれらの誘導体からなる群から選択されるメンバーである、請求項111に記載のキット。
【請求項114】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が、ソラーレンまたは8-MOPから選択されるソラーレンである、請求項113に記載のキット。
【請求項115】
少なくとも1種類のエネルギー調節作用物質が、生体適合性蛍光金属ナノ粒子、蛍光色素分子、金ナノ粒子、ポリアミドアミンデンドリマーにより封入された水溶性量子ドット、ルシフェラーゼ、生体適合性リン光分子、統合電磁エネルギーハーベスター分子、および強い発光能を有するランタニドキレートから選択される1つまたは複数のメンバーである、請求項111に記載のキット。
【請求項116】
前記少なくとも1種類のエネルギー調節作用物質が単一のエネルギー調節作用物質であり、前記少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質に結合する、請求項111に記載のキット。
【請求項117】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が、受容体部位に結合することができる担体に結合する、請求項111に記載のキット。
【請求項118】
担体が、ポリペプチド、インスリン、インターロイキン、サイモポエチン、またはトランスフェリンから選択される担体である、請求項117に記載のキット。
【請求項119】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が、共有結合により担体に結合する、請求項117に記載のキット。
【請求項120】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が、非共有結合により担体に結合する、請求項117に記載のキット。
【請求項121】
受容体部位が、有核細胞の核酸、有核細胞上の抗原部位、またはエピトープから選択される部位である、請求項117に記載のキット。
【請求項122】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が、標的細胞に対する親和性を有する、請求項111に記載のキット。
【請求項123】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が、標的細胞により優先的に吸収されることができる、請求項111に記載のキット。
【請求項124】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が、標的細胞と反応する対象において自家ワクチン効果を引き起こす、請求項111に記載のキット。
【請求項125】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が、DNA挿入剤またはそのハロゲン化誘導体である、請求項111に記載のキット。
【請求項126】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が、1つまたは複数の連鎖的な単一光子吸収事象により活性化される、請求項111に記載のキット。
【請求項127】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が、光ケージ内部に活性作用物質を含有し、前記開始エネルギー源に曝露されると光ケージが活性作用物質から解離し、活性作用物質が供給される、請求項111に記載のキット。
【請求項128】
細胞増殖障害を治療するための医薬組成物であって、
所定の細胞変化を引き起こすことができる少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質と、
抗酸化剤、アジュバント、化学エネルギー源、およびこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1つのメンバーである、相補的な治療効果または診断効果を有する少なくとも1種類の添加剤と、
薬学的に許容される担体と
を含む医薬組成物。
【請求項129】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が光活性化可能な作用物質である、請求項128に記載の医薬組成物。
【請求項130】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が、ソラーレン、ピレンコレステリルオレアート、アクリジン、ポルフィリン、フルオレセイン、ローダミン、16-ジアゾルコルチゾン、エチジウム、ブレオマイシンの遷移金属複合体、デグリコブレオマイシンの遷移金属複合体、有機白金複合体、アロキサジン、ビタミンK、ビタミンL、ビタミン代謝物、ビタミン前駆体、ナフソキノン、ナフタレン、ナフソールおよび平面状の分子配座を有するそれらの誘導体、ポルフォリンポルフィリン、染料およびフェノチアジン誘導体、クマリン、キノロン、キノン、およびアンスロキノンから選択される、請求項128に記載の医薬組成物。
【請求項131】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が、ソラーレン、クマリン、またはこれらの誘導体である、請求項130に記載の医薬組成物。
【請求項132】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が、8-MOPまたはAMTである、請求項130に記載の医薬組成物。
【請求項133】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が、7,8-ジメチル-10-リビチルイソアロキサジン、7,8,10-トリメチルイソアロキサジン、7,8-ジメチルアロキサジン、イソアロキサジン-アデニンジヌクレオチド、アロキサジンモノヌクレオチド、アルミニウム(III)フタロシアニンテトラスルホネート、ヘマトポルフィリン、およびフタロシアニンから選択される作用物質である、請求項128に記載の医薬組成物。
【請求項134】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が、受容体部位に結合することができる担体に結合する、請求項128に記載の医薬組成物。
【請求項135】
担体が、インスリン、インターロイキン、サイモポエチン、またはトランスフェリンから選択される担体である、請求項134に記載の医薬組成物。
【請求項136】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が、共有結合により担体に結合する、請求項134に記載の医薬組成物。
【請求項137】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が、非共有結合により担体に結合する、請求項134に記載の医薬組成物。
【請求項138】
受容体部位が、有核細胞の核酸、有核細胞上の抗原部位、またはエピトープから選択される部位である、請求項134に記載の医薬組成物。
【請求項139】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が、標的細胞に対する親和性を有する、請求項128に記載の医薬組成物。
【請求項140】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が、標的細胞により優先的に吸収されることができる、請求項128に記載の医薬組成物。
【請求項141】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が、標的細胞と反応する対象において自家ワクチン効果を引き起こす、請求項128に記載の医薬組成物。
【請求項142】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が、DNA挿入剤またはそのハロゲン化誘導体である、請求項128に記載の医薬組成物。
【請求項143】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が、1つまたは複数の連鎖的な単一光子吸収事象により活性化される、請求項128に記載の医薬組成物。
【請求項144】
所定の細胞変化が、標的細胞におけるアポトーシスである、請求項128に記載の医薬組成物。
【請求項145】
エネルギーを与えられると少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質を活性化することができる少なくとも1種類のエネルギー調節作用物質をさらに含む、請求項128に記載の医薬組成物。
【請求項146】
前記少なくとも1種類のエネルギー調節作用物質が単一のエネルギー調節作用物質であり、前記少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質に結合する、請求項145に記載の医薬組成物。
【請求項147】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が、光ケージ内部に活性作用物質を含有し、前記開始エネルギー源に曝露されると光ケージが活性作用物質から解離し、活性作用物質が供給される、請求項128に記載の医薬組成物。
【請求項148】
少なくとも1種類の添加剤が化学エネルギー源である、請求項128に記載の医薬組成物。
【請求項149】
化学エネルギー源が、リン光化合物、化学発光化合物、生物発光化合物、および発光酵素からなる群から選択されるメンバーである、請求項148に記載の医薬組成物。
【請求項150】
対象における細胞増殖障害を治療する方法であって、
(1)活性化されると所定の細胞変化をもたらすことができる少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質を対象に投与するステップと、
(2)開始エネルギー源を対象に投与するステップと
を含み、
開始エネルギー源が、活性化可能な医薬作用物質をin situで活性化する開始エネルギーをもたらし、
こうして所定の細胞変化を発生させ、前記所定の細胞変化により細胞増殖関連障害を治療する方法。
【請求項151】
前記開始エネルギー源が化学エネルギー源である、請求項150に記載の方法。
【請求項152】
前記所定の細胞変化が、標的細胞内における細胞増殖速度の上昇または低下を引き起こすことにより細胞増殖障害を治療する、請求項150に記載の方法。
【請求項153】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が、標的細胞と反応する対象において自家ワクチン効果を引き起こす、請求項150に記載の方法。
【請求項154】
開始エネルギーを、少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質を活性化するエネルギーへと変換する、少なくとも1種類のエネルギー調節作用物質を対象に投与するステップをさらに含む、請求項150に記載の方法。
【請求項155】
前記少なくとも1種類のエネルギー調節作用物質が単一のエネルギー調節作用物質であり、前記少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質に結合する、請求項154に記載の方法。
【請求項156】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が、光ケージ内部に活性作用物質を含有し、前記開始エネルギー源に曝露されると光ケージが活性作用物質から解離し、活性作用物質が供給される、請求項150に記載の方法。
【請求項157】
化学エネルギー源が、リン光化合物、化学発光化合物、生物発光化合物、および発光酵素からなる群から選択されるメンバーである、請求項151に記載の方法。
【請求項158】
所定の細胞変化が、標的細胞におけるアポトーシスである、請求項150に記載の方法。
【請求項159】
細胞増殖障害が、癌、細菌感染、ウイルス感染、免疫拒絶反応、自己免疫障害、および無形成性状態からなる群から選択される少なくとも1つのメンバーである、請求項150に記載の方法。
【請求項160】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が光活性化可能な作用物質である、請求項150に記載の方法。
【請求項161】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が、ソラーレン、ピレンコレステリルオレアート、アクリジン、ポルフィリン、フルオレセイン、ローダミン、16-ジアゾルコルチゾン、エチジウム、ブレオマイシンの遷移金属複合体、デグリコブレオマイシンの遷移金属複合体、有機白金複合体、アロキサジン、ビタミンK、ビタミンL、ビタミン代謝物、ビタミン前駆体、ナフソキノン、ナフタレン、ナフソールおよび平面状の分子配座を有するそれらの誘導体、ポルフォリンポルフィリン、染料およびフェノチアジン誘導体、クマリン、キノロン、キノン、およびアンスロキノンから選択される、請求項150に記載の方法。
【請求項162】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が、ソラーレン、クマリン、またはこれらの誘導体である、請求項161に記載の方法。
【請求項163】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が、8-MOPまたはAMTである、請求項161に記載の方法。
【請求項164】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が、7,8-ジメチル-10-リビチルイソアロキサジン、7,8,10-トリメチルイソアロキサジン、7,8-ジメチルアロキサジン、イソアロキサジン-アデニンジヌクレオチド、アロキサジンモノヌクレオチド、アルミニウム(III)フタロシアニンテトラスルホネート、ヘマトポルフィリン、およびフタロシアニンから選択される作用物質である、請求項150に記載の方法。
【請求項165】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が、受容体部位に結合することができる担体に結合する、請求項150に記載の方法。
【請求項166】
担体が、インスリン、インターロイキン、サイモポエチン、またはトランスフェリンから選択される担体である、請求項165に記載の方法。
【請求項167】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が、共有結合により担体に結合する、請求項165に記載の方法。
【請求項168】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が、非共有結合により担体に結合する、請求項165に記載の方法。
【請求項169】
受容体部位が、有核細胞の核酸、有核細胞上の抗原部位、またはエピトープから選択される部位である、請求項165に記載の方法。
【請求項170】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が、標的細胞に対する親和性を有する、請求項150に記載の方法。
【請求項171】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が、標的細胞により優先的に吸収されることができる、請求項150に記載の方法。
【請求項172】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が、DNA挿入剤またはそのハロゲン化誘導体である、請求項150に記載の方法。
【請求項173】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が、1つまたは複数の連鎖的な単一光子吸収事象により活性化される、請求項150に記載の方法。
【請求項174】
対象における細胞増殖障害を治療する方法であって、
(1)活性化されると所定の細胞変化をもたらすことができる少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質を対象に投与するステップと、
(2)開始エネルギー源からの開始エネルギーを対象内における少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質に間接的に適用するステップと
を含み、
開始エネルギーが活性化可能な医薬作用物質をin situで活性化し、
こうして所定の細胞変化を発生させ、前記所定の細胞変化により細胞増殖関連障害を治療する方法。
【請求項175】
前記開始エネルギーが、1種類または複数のエネルギー調節作用物質の共投与により間接的に適用される、請求項174に記載の方法。
【請求項176】
前記開始エネルギーが、化学エネルギー源により間接的に適用される、請求項174に記載の方法。
【請求項177】
前記化学エネルギー源が、リン光化合物、化学発光化合物、生物発光化合物、および発光酵素からなる群から選択されるメンバーである、請求項176に記載の方法。
【請求項178】
前記所定の細胞変化が、標的細胞内における細胞増殖速度の上昇または低下を引き起こすことにより細胞増殖障害を治療する、請求項174に記載の方法。
【請求項179】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が、標的細胞と反応する対象において自家ワクチン効果を引き起こす、請求項174に記載の方法。
【請求項180】
前記開始エネルギーを間接的に適用するステップの前に、開始エネルギーを、少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質を活性化するエネルギーへと変換する、少なくとも1種類のエネルギー調節作用物質を対象に投与するステップをさらに含む、請求項174に記載の方法。
【請求項181】
前記少なくとも1種類のエネルギー調節作用物質が単一のエネルギー調節作用物質であり、前記少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質に結合する、請求項180に記載の方法。
【請求項182】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が、光ケージ内部に活性作用物質を含有し、前記開始エネルギーに曝露されると光ケージが活性作用物質から解離し、活性作用物質が供給される、請求項174に記載の方法。
【請求項183】
開始エネルギー源が、x線、ガンマ線、電子ビーム、リン光化合物、化学発光化合物、生物発光化合物、および発光酵素からなる群から選択される、請求項174に記載の方法。
【請求項184】
所定の細胞変化が、標的細胞におけるアポトーシスである、請求項174に記載の方法。
【請求項185】
細胞増殖障害が、癌、細菌感染、ウイルス感染、免疫拒絶反応、自己免疫障害、および無形成性状態からなる群から選択される少なくとも1つのメンバーである、請求項174に記載の方法。
【請求項186】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が光活性化可能な作用物質である、請求項174に記載の方法。
【請求項187】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が、ソラーレン、ピレンコレステリルオレアート、アクリジン、ポルフィリン、フルオレセイン、ローダミン、16-ジアゾルコルチゾン、エチジウム、ブレオマイシンの遷移金属複合体、デグリコブレオマイシンの遷移金属複合体、有機白金複合体、アロキサジン、ビタミンK、ビタミンL、ビタミン代謝物、ビタミン前駆体、ナフソキノン、ナフタレン、ナフソールおよび平面状の分子配座を有するそれらの誘導体、ポルフォリンポルフィリン、染料およびフェノチアジン誘導体、クマリン、キノロン、キノン、およびアンスロキノンから選択される、請求項174に記載の方法。
【請求項188】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が、ソラーレン、クマリン、またはこれらの誘導体である、請求項187に記載の方法。
【請求項189】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が、8-MOPまたはAMTである、請求項187に記載の方法。
【請求項190】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が、7,8-ジメチル-10-リビチルイソアロキサジン、7,8,10-トリメチルイソアロキサジン、7,8-ジメチルアロキサジン、イソアロキサジン-アデニンジヌクレオチド、アロキサジンモノヌクレオチド、アルミニウム(III)フタロシアニンテトラスルホネート、ヘマトポルフィリン、およびフタロシアニンから選択される作用物質である、請求項174に記載の方法。
【請求項191】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が、受容体部位に結合することができる担体に結合する、請求項174に記載の方法。
【請求項192】
担体が、インスリン、インターロイキン、サイモポエチン、またはトランスフェリンから選択される担体である、請求項191に記載の方法。
【請求項193】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が、共有結合により担体に結合する、請求項191に記載の方法。
【請求項194】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が、非共有結合により担体に結合する、請求項191に記載の方法。
【請求項195】
受容体部位が、有核細胞の核酸、有核細胞上の抗原部位、またはエピトープから選択される部位である、請求項191に記載の方法。
【請求項196】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が、標的細胞に対する親和性を有する、請求項174に記載の方法。
【請求項197】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が、標的細胞により優先的に吸収されることができる、請求項174に記載の方法。
【請求項198】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が、DNA挿入剤またはそのハロゲン化誘導体である、請求項174に記載の方法。
【請求項199】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が、1つまたは複数の連鎖的な単一光子吸収事象により活性化される、請求項174に記載の方法。
【請求項200】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質を活性化するラジオ波を送受信するように構成されたナノチューブを対象に投与するステップをさらに含む、請求項174に記載の方法。
【請求項201】
前記少なくとも1種類のエネルギー調節作用物質により受容され、前記少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質を活性化するエネルギーに変換されるラジオ波を送受信するように構成されたナノチューブを対象に投与するステップをさらに含む、請求項180に記載の方法。
【請求項202】
in vivoで対象にアポトーシスを引き起こす方法であって、
(1)アポトーシスを誘導することができる少なくとも1種類の医薬作用物質を対象に投与するステップと、
(2)少なくとも1種類の医薬作用物質にin vivoでアポトーシスを誘導させるステップと
を含む方法。
【請求項203】
少なくとも1種類の医薬作用物質が少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質であり、前記誘導させるステップ(2)が少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質を活性化するステップを含む、請求項202に記載の方法。
【請求項204】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が光活性化可能な作用物質である、請求項203に記載の方法。
【請求項205】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が、ソラーレン、ピレンコレステリルオレアート、アクリジン、ポルフィリン、フルオレセイン、ローダミン、16-ジアゾルコルチゾン、エチジウム、ブレオマイシンの遷移金属複合体、デグリコブレオマイシンの遷移金属複合体、有機白金複合体、アロキサジン、ビタミンK、ビタミンL、ビタミン代謝物、ビタミン前駆体、ナフソキノン、ナフタレン、ナフソールおよび平面状の分子配座を有するそれらの誘導体、ポルフォリンポルフィリン、染料およびフェノチアジン誘導体、クマリン、キノロン、キノン、およびアンスロキノンから選択される、請求項202に記載の方法。
【請求項206】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が、ソラーレン、クマリン、またはこれらの誘導体である、請求項205に記載の方法。
【請求項207】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が、8-MOPまたはAMTである、請求項203に記載の方法。
【請求項208】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が、7,8-ジメチル-10-リビチルイソアロキサジン、7,8,10-トリメチルイソアロキサジン、7,8-ジメチルアロキサジン、イソアロキサジン-アデニンジヌクレオチド、アロキサジンモノヌクレオチド、アルミニウム(III)フタロシアニンテトラスルホネート、ヘマトポルフィリン、およびフタロシアニンから選択される作用物質である、請求項203に記載の方法。
【請求項209】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が、受容体部位に結合することができる担体に結合する、請求項203に記載の方法。
【請求項210】
担体が、インスリン、インターロイキン、サイモポエチン、またはトランスフェリンから選択される担体である、請求項209に記載の方法。
【請求項211】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が、共有結合により担体に結合する、請求項209に記載の方法。
【請求項212】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が、非共有結合により担体に結合する、請求項209に記載の方法。
【請求項213】
受容体部位が、有核細胞の核酸、有核細胞上の抗原部位、またはエピトープから選択される部位である、請求項209に記載の方法。
【請求項214】
少なくとも1種類の医薬作用物質が、標的細胞に対する親和性を有する、請求項202に記載の方法。
【請求項215】
少なくとも1種類の医薬作用物質が、標的細胞により優先的に吸収されることができる、請求項202に記載の方法。
【請求項216】
少なくとも1種類の医薬作用物質が、標的細胞と反応する対象において自家ワクチン効果を引き起こす、請求項202に記載の方法。
【請求項217】
少なくとも1種類の医薬作用物質が、DNA挿入剤またはそのハロゲン化誘導体である、請求項202に記載の方法。
【請求項218】
前記活性化するステップが、対象に開始エネルギーを適用して少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質をin vivoで活性化するステップを含む、請求項203に記載の方法。
【請求項219】
前記開始エネルギーを適用するステップの前に、開始エネルギーを、少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質を活性化するエネルギーへと変換する、少なくとも1種類のエネルギー調節作用物質を対象に投与するステップをさらに含む、請求項218に記載の方法。
【請求項220】
前記少なくとも1種類のエネルギー調節作用物質が単一のエネルギー調節作用物質であり、前記少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質に結合する、請求項219に記載の方法。
【請求項221】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が、1つまたは複数の連鎖的な単一光子吸収事象により活性化される、請求項218に記載の方法。
【請求項222】
少なくとも1種類の活性化可能な医薬作用物質が、光ケージ内部に活性作用物質を含有し、前記開始エネルギー源に曝露されると光ケージが活性作用物質から解離し、活性作用物質が供給される、請求項203に記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−523690(P2010−523690A)
【公表日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−503137(P2010−503137)
【出願日】平成20年4月7日(2008.4.7)
【国際出願番号】PCT/US2008/059561
【国際公開番号】WO2008/124681
【国際公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【出願人】(509279561)イミュノライト・エルエルシー (5)
【Fターム(参考)】