説明

細胞展開デバイスおよび細胞展開方法、ならびに細胞観察システム

【課題】目的細胞を、展開溝内で、全体的に偏りが少なく、密に細胞が集積された状態とすることができ、細胞集積率の向上が図れ、しかも、大面積に細胞を短時間で、かつ、複雑な工程を要することなく、集積することができる細胞展開デバイスおよび細胞展開方法、ならびに細胞観察システムを提供する。
【解決手段】細胞展開部を有する平板状の展開部本体と、展開部本体の一方側から、前記細胞懸濁液を細胞展開部に供給する供給部とを備え、細胞展開部には、細胞展開部の一端側から他端側に至る少なくとも一つの細胞展開溝が形成されており、細胞展開溝が、細胞展開溝の長さ方向に垂直な断面において、少なくとも一方の側面が、外側に向かって溝幅が広がるように傾斜する傾斜部を形成している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、細胞懸濁液中に含まれる種々の大きさの細胞を、平面状に展開させるために用いる細胞展開デバイスおよび細胞展開方法、ならびに細胞観察システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、検体細胞の状態から病変の有無,病変部の病理学的診断,臨床診断などを行う細胞診断が行われている。
【0003】
このような細胞診断では、例えば、検体細胞中に病変の元となる目的細胞が有るか否かを調べるが、全ての検体細胞を調べるには多大な労力を要する。これは、検査対象となる細胞数が多い場合に、これを展開して観察する観察範囲が広大になってしまうことが原因の一つである。
【0004】
このため、実際には、検体細胞を含んだ細胞懸濁液を細胞の重さの違い、細胞の大きさの違いなどの条件である程度分離して目的細胞を見つけ易くした後、この細胞懸濁液を観察して、目的細胞の有無が調べられる。
【0005】
細胞懸濁液中の細胞の分離技術としては、例えば、遠心分離,フィルター,磁気ビーズフローサイトメーター,マイクロ流路チップ,誘電泳動などが知られている。
【0006】
一方、特許文献1(特開2008−212022号公報)では、細胞分離構造体が提案されている。
【0007】
すなわち、特許文献1の細胞分離構造体100では、図15(A)に示したように、底面106に同じ大きさの断面矩形状の溝104が複数並設された流路部材102を備えており、この流路部材102の複数の溝104を横切るように、一方側110から他方側112に向かって細胞懸濁液150として血液を流入させることで、この溝104内に血液中の赤血球150Aを捕獲し、血液を赤血球150Aとそれ以外の組織由来幹細胞150Bとに分離するようにしている。
【0008】
また、非特許文献1(cytometry,6:226−233(1985))では、微小溝構造に希薄な細胞懸濁液を添加して細胞を単層にして観察する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008−212022号公報
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】cytometry,6:226−233(1985)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献1に開示された細胞分離構造体100は、図15(B)に示したように、細胞懸濁液150である血液中の赤血球150Aだけを単に溝104内で捕獲して、血液を組織由来幹細胞150Bの集団と、赤血球150Aの集団とに分離しただけである。
【0012】
従って、組織由来幹細胞150Bの集団から、ある目的細胞を観察しようとした場合には、組織由来幹細胞150Bの集団を、例えば、別途用意したガラス基板上にさらに展開させ、この中から目的細胞を見つけ出し、それから見つけ出した目的細胞を観察する追加の手順を再び経る必要がある。
【0013】
このため、結局、目的細胞を観察するに至るまで、煩雑な工程を何度も繰り返す必要がある。
【0014】
また、特許文献1、非特許文献1のように、プリズムシートのような微細な溝状構造を有する平面状基板に細胞懸濁液を添加するのみでは、大量の細胞を集積して展開するには不十分であった。
【0015】
すなわち、適切な設計を行った構造物であっても、細胞を密に、かつ、単層に配列し、細胞観察に最も有利な条件を効率的に作り出すことは困難である。
【0016】
例えば、細胞懸濁液添加箇所から遠くなるにつれて、細胞の集積度合いが下がることや、大量の細胞を扱う際に煩雑である点などの問題がある。
【0017】
本発明は、このような現状に鑑み、目的細胞を、展開溝内で、全体的に偏りが少なく、密に細胞が集積された状態とすることができ、細胞集積率の向上が図れ、しかも、大面積に細胞を短時間で、かつ、複雑な工程を要することなく、集積することができる細胞展開デバイスおよび細胞展開方法、ならびに細胞観察システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、前述したような従来技術における課題及び目的を達成するために発明されたものであって、本発明の細胞展開デバイスは、
細胞懸濁液中に含まれる種々の大きさの細胞を、平面状に展開させるために用いる細胞展開デバイスであって、
前記細胞展開デバイスが、
細胞展開部を有する平板状の展開部本体と、
前記展開部本体の一方側から、前記細胞懸濁液を細胞展開部に供給する供給部と
を備え、
前記細胞展開部には、細胞展開部の一端側から他端側に至る少なくとも一つの細胞展開溝が形成されており、
前記細胞展開溝が、細胞展開溝の長さ方向に垂直な断面において、少なくとも一方の側面が、外側に向かって溝幅が広がるように傾斜する傾斜部を形成していることを特徴とする。
【0019】
このように構成することによって、供給部を介して、展開部本体の一方側から、細胞懸濁液を細胞展開部に供給するので、目的細胞を、展開溝内で、全体的に偏りが少なく、密に細胞が集積された状態とすることができ、細胞集積率の向上が図れ、しかも、大面積に細胞を短時間で、かつ、複雑な工程を要することなく、集積することができる。
【0020】
しかも、細胞展開溝が、細胞展開溝の長さ方向に垂直な断面において、少なくとも一方の側面が、外側に向かって溝幅が広がるように傾斜する傾斜部を形成しているので、目的細胞がこの傾斜部で支持(捕捉)されることになり、目的細胞を展開溝内に広範囲に、かつ、整列して展開させることができる。
【0021】
従って、検体細胞の状態から病変の有無,病変部の病理学的診断,臨床診断などを行う細胞診断において、観察、診断の精度が向上することになる。
【0022】
例えば、10個中の数個の細胞を対象とするような検査、例えば、循環がん細胞(CTC(Circulating Tumor Cell))検査を行う際に必要な大量細胞の展開の実現を図ることができる。
【0023】
また、本発明の細胞展開デバイスは、前記傾斜部の水に対する接触角が、20°以下であるのが望ましい。
【0024】
このような細胞展開デバイスによれば、必要以上に表面張力によって細胞懸濁液が盛り上がる(厚みを増す)のを抑制することができる。
【0025】
また、本発明の細胞展開デバイスは、前記細胞展開溝の最大溝W1が、目的細胞の直径をW2とした時に、W2<W1<2W2であるのが望ましい。
【0026】
すなわち、このような細胞展開デバイスによれば、細胞展開溝内に目的細胞を確実に支持(捕捉)することができるので望ましい。
【0027】
また、本発明の細胞展開デバイスは、前記細胞展開溝の長さ方向に垂直な断面形状が鋸歯状であるのが望ましい。
【0028】
このような細胞展開デバイスによれば、複数の細胞展開溝が所定間隔離間して形成されていることになるので、目的細胞を、これらの複数の細胞展開溝内に、全体的に偏りが少なく、密に細胞が集積された状態とすることができ、細胞集積率の向上が図れ、しかも、大面積に細胞を短時間で、かつ、複雑な工程を要することなく、集積することができる。
【0029】
また、本発明の細胞展開デバイスは、前記供給部が、前記細胞展開溝の長さ方向において、前記展開部本体の一方側から、細胞懸濁液を細胞展開部に供給するように構成されていることを特徴とする。
【0030】
このように、本発明の細胞展開デバイスでは、供給部を介して、細胞展開溝の長さ方向において、展開部本体の一方側から、細胞懸濁液を細胞展開部に供給するようにしても良い。
【0031】
また、本発明の細胞展開デバイスは、前記供給部が、前記細胞展開溝の長さ方向に垂直な方向において、前記展開部本体の一方側から、細胞懸濁液を細胞展開部に供給するように構成されていることを特徴とする。
【0032】
このように、本発明の細胞展開デバイスでは、供給部を介して、細胞展開溝の長さ方向に垂直な方向において、展開部本体の一方側から、細胞懸濁液を細胞展開部に供給するようにしても良い。
【0033】
また、本発明の細胞展開デバイスは、前記供給部が、前記展開部本体の一方側の幅方向全体に、細胞懸濁液を細胞展開部に供給するように構成されていることを特徴とする。
【0034】
このように構成することによって、展開部本体の一方側の幅方向全体にわたって、細胞懸濁液を細胞展開部に供給することができるので、複数の細胞展開溝がある場合にもその全体にわたって、また、細胞展開溝の長さ方向全体にわたって、細胞懸濁液を細胞展開部に供給することができる。
【0035】
従って、目的細胞を、短時間で、かつ、細胞展開溝内に、全体的に偏りが少なく、密に細胞が集積された状態とすることができる。
【0036】
また、本発明の細胞展開デバイスは、前記供給部が、前記展開部本体の一方側の幅方向の一部に細胞懸濁液を細胞展開部に供給するとともに、前記展開部本体の一方側の幅方向に移動して、前記展開部本体の一方側の幅方向全体に細胞懸濁液を細胞展開部に供給するように構成されていることを特徴とする。
【0037】
このように構成することによって、供給部自体をコンパクトにすることができるとともに、複数の細胞展開溝がある場合にもその全体にわたって、また、細胞展開溝の長さ方向全体にわたって、細胞懸濁液を細胞展開部に供給することができる。
【0038】
また、本発明の細胞展開デバイスは、前記細胞展開溝の長さ方向において、前記展開部本体の他方側には、鉛直方向に立設された壁部が形成されていることを特徴とする。
【0039】
このように構成することによって、細胞展開部の細胞展開溝に支持(捕捉)された目的細胞が、細胞懸濁液とともに排出されるのを、この壁部で防止することができる。
【0040】
また、本発明の細胞展開デバイスは、前記壁部の高さが、前記細胞展開溝の凸部の上面から、少なくとも目的細胞の直径と同じ高さを有するように形成されていることを特徴とする。
【0041】
このような細胞展開デバイスによれば、目的細胞が、細胞懸濁液とともに排出されるのを、この壁部で防止することができるとともに、目的細胞以外の小さな細胞を含む余分な細胞懸濁液をこの壁部を越えて外部に排出することができる。
【0042】
また、本発明の細胞展開デバイスは、前記壁部の下方から、前記細胞展開溝を介して、前記細胞展開部を通過した細胞懸濁液を細胞展開部から排出するように構成されていることを特徴とする。
【0043】
このように構成することによって、壁部の下方から、前記細胞展開溝を介して、前記細胞展開部を通過した細胞懸濁液を細胞展開部から排出することできるので、目的細胞以外の小さな細胞を含む余分な細胞懸濁液は、この壁部の下方の細胞展開溝を介して外部に排出することができる。
【0044】
また、本発明の細胞展開デバイスは、前記壁部が、水分を吸収する部材から構成されていることを特徴とする。
【0045】
このように、壁部を、例えば、スポンジなどの水分を吸収する部材で構成することによって、余分な細胞懸濁液を吸収することができるので、細胞展開部の細胞展開溝に目的細胞を支持(捕捉)することができる。
【0046】
また、本発明の細胞展開デバイスは、前記展開部本体の他方側には、前記細胞展開部を通過した細胞懸濁液を、細胞展開部から排出する排出部を備えることを特徴とする。
【0047】
このように構成することによって、展開部本体の他方側に設けられた排出部から、細胞懸濁液を排出することができる。従って、例えば、排出部から回収された細胞懸濁液を用いて、往復流路を形成したり、環流送液を行うように設計することができる。これにより、細胞懸濁液の使用効率が向上することになる。
【0048】
また、本発明は、前述のいずれかに記載の細胞展開デバイス用いて、細胞展開部に展開した目的細胞に蛍光標識抗体試薬および/または化学染色試薬を添加反応させることで細胞を染色することもできる。
【0049】
また、本発明の細胞展開デバイスは、前記供給部が、前記展開部本体に対して脱着自在に構成されていることを特徴とする。
【0050】
このような細胞展開デバイスによれば、供給部を取り外して、展開部本体のみを取り出して、例えば、別途用意した顕微鏡などの観察手段で観察することができ、コンパクトで便利である。
【0051】
また、本発明の細胞展開デバイスは、前記排出部が、前記展開部本体に対して脱着自在に構成されていることを特徴とする。
【0052】
このような細胞展開デバイスによれば、排出部を取り外して、展開部本体のみを取り出して、例えば、別途用意した顕微鏡などの観察手段で観察することができ、コンパクトで便利である。
【0053】
また、本発明は、前述のいずれかに記載の細胞展開デバイス用いて、前記展開部本体の一方側から、前記細胞懸濁液を細胞展開部に供給することを特徴とする。
【0054】
また、本発明は、前述のいずれかに記載の細胞展開デバイス用いて、細胞展開部に展開した目的細胞を観察手段で観察することを特徴とする。
【発明の効果】
【0055】
本発明によれば、供給部を介して、展開部本体の一方側から、細胞懸濁液を細胞展開部に供給するので、目的細胞を、展開溝内で、全体的に偏りが少なく、密に細胞が集積された状態とすることができ、細胞集積率の向上が図れ、しかも、大面積に細胞を短時間で、かつ、複雑な工程を要することなく、集積することができる。
【0056】
しかも、細胞展開溝が、細胞展開溝の長さ方向に垂直な断面において、少なくとも一方の側面が、外側に向かって溝幅が広がるように傾斜する傾斜部を形成しているので、目的細胞がこの傾斜部で支持(捕捉)されることになり、展開溝内に広範囲に、かつ、整列して展開させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】図1は、本発明の細胞展開デバイスの実施例を模式的に示す概略斜視図である。
【図2】図2は、図1のA−A線についての部分拡大断面図である。
【図3】図3は、本発明の細胞展開デバイスの別の実施例を模式的に示す部図2と同様な分拡大断面図である。
【図4】図4は、本発明の細胞展開デバイスの別の実施例を模式的に示す図2と同様な部分拡大断面図である。
【図5】図5は、本発明の細胞展開デバイスの別の実施例を模式的に示す図2と同様な部分拡大断面図である。
【図6】図6は、本発明の細胞展開デバイスの別の実施例を模式的に示す図2と同様な部分拡大断面図である。
【図7】図7は、本発明の細胞展開デバイスの別の実施例を模式的に示す部分拡大断面図である。
【図8】図8は、本発明の細胞展開デバイスの別の実施例を模式的に示す部分拡大断面図である。
【図9】図9は、本発明の細胞展開デバイスの別の実施例を模式的に示す斜視図である。
【図10】図10は、本発明の細胞展開デバイスの別の実施例を模式的に示す斜視図である。
【図11】図11は、本発明の細胞展開デバイスの別の実施例を模式的に示す図1と同様な概略斜視図である。
【図12】図12は、本発明の細胞展開デバイスの別の実施例を模式的に示す図1と同様な概略斜視図である。
【図13】図13は、本発明の細胞展開デバイスの別の実施例を模式的に示す図1と同様な概略斜視図である。
【図14】図14は、本発明の細胞展開デバイスの別の実施例を模式的に示す図1と同様な概略斜視図である。
【図15】図15は、従来の細胞の分離構造体であり、図15(A)は斜視図、図15(B)は、細胞の分離状態を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0058】
以下、本発明の実施の形態(実施例)を図面に基づいてより詳細に説明する。
【0059】
図1は、本発明の細胞展開デバイスの実施例を模式的に示す概略斜視図、図2は、図1のA−A線についての部分拡大断面図である。
【0060】
図1に示したように、本発明の細胞展開デバイス10は、細胞懸濁液中の目的細胞を平面状に密に整列させ、この整列された細胞を、図示しない、例えば、顕微鏡などの観察手段でこのまま観察できるようにしたものである。
【0061】
細胞展開デバイス10は、図1に示したように、平板状の展開部本体12を備えており、この展開部本体12の上面に、細胞展開部14が形成されている。
【0062】
この細胞展開部14は、細胞展開部14の一端側から他端側に至る複数の細胞展開溝16が、所定間隔離間して列状に並列するように形成されている。
【0063】
そして、細胞展開溝16の長さ方向において、展開部本体12の一方側12aから、細胞懸濁液Aを細胞展開部14に供給する供給部18を備えている。
【0064】
この実施例の場合には、供給部18として、ラインコーター20から構成されている。このラインコーター20は、展開部本体12の一方側12aの幅方向全体に延びており、このスリット状の開口部22から、細胞懸濁液Aが、細胞展開部14の一方側14aの幅方向全体にわたって、すなわち、複数の細胞展開溝16全体にわたって、細胞懸濁液Aを供給することができるようになっている。
【0065】
これにより、細胞懸濁液Aが、細胞展開部14の全体にわたって流涎して、目的細胞Bを、複数の細胞展開溝16内で、全体的に偏りが少なく、密に細胞が集積された状態とすることができる。
【0066】
すなわち、図1に示したように、ラインコーター20から供給された細胞懸濁液Aに含まれる目的細胞Bは、複数の細胞展開溝16内で全体的に偏りが少なく、密に細胞が集積された状態とすることができる。これにより、細胞集積率の向上が図れ、しかも、大面積に細胞を短時間で、かつ、複雑な工程を要することなく、集積することができる。
【0067】
この場合、図2に示したように、細胞展開溝16が、細胞展開溝16の長さ方向に垂直な断面において、両方の側面24(24a、24b)が、外側に向かって溝幅が広がるように傾斜する傾斜部26を形成している。すなわち、この実施例の場合には、細胞展開溝16の長さ方向に垂直な断面形状が、鋸歯状を形成している。
【0068】
このように構成することによって、目的細胞Bがこの傾斜部26で支持(捕捉)されることになり、目的細胞Bを細胞展開溝16内に広範囲に、かつ、整列して展開させることができる。
【0069】
従って、検体細胞の状態から病変の有無,病変部の病理学的診断,臨床診断などを行う細胞診断において、観察、診断の精度が向上することになる。
【0070】
例えば、10個中の数個の細胞を対象とするような検査、例えば、循環がん細胞(CTC(Circulating Tumor Cell))検査を行う際に必要な大量細胞の展開の実現を図ることができる。
【0071】
この場合、図2に示したように、目的細胞Bがこの傾斜部26で支持(捕捉)されやすくするためには、側面24の水平方向となす傾斜角度αは、15〜80°、好ましくは、45°〜60°とするのが望ましい。
【0072】
なお、この実施例では、両方の側面24が外側に向かって溝幅が広がるように傾斜する傾斜部26を形成するようにしたが、少なくとも一方の側面24が、外側に向かって溝幅が広がるように傾斜する傾斜部26を形成すれば良い。
【0073】
例えば、図3に示したように、一方の側面24aが、外側に向かって溝幅が広がるように傾斜する傾斜部26を形成し、他方の側面24bが、鉛直な面をするようにしても良い。
【0074】
また、図4に示したように、両方の側面24(24a、24b)において、それぞれの傾斜角度αを異なるように形成することも可能である。
【0075】
また、図5に示したように、細胞展開溝16の上部に平端部28を形成することも可能である。
【0076】
さらに、図6に示したように、細胞展開溝16の底部を平坦な底部16bとすることも可能である。
【0077】
以上の何れの細胞展開溝16においても、目的細胞Bは溝の底部に接触することなく(細胞展開溝16の底部に支持されることなく)、少なくとも一方の側面に傾斜部26を有する一対の側面24a、24bにより、目的細胞Bが溝の深さ方向の途中で支持される形態となっている。
【0078】
また、この場合、傾斜部26の水に対する接触角が、20°以下であるのが望ましい。
【0079】
このように構成することによって、必要以上に表面張力によって細胞懸濁液が盛り上がる(厚みを増す)のを抑制することができる。
【0080】
なお、このように傾斜部26の水に対する接触角が、20°以下とするには、例えば、ガラスの加工や、PMMA、ポリスチレン等の樹脂を加工後UVオゾンクリーナーによりUVを照射するなど、公知の親水化処理を用いればよい。
【0081】
また、図2に示したように、細胞展開溝16の最大溝W1が、目的細胞Bの直径をW2とした時に、W2<W1<2W2であるのが望ましい。
【0082】
すなわち、このように構成することによって、細胞展開溝16内に目的細胞を確実に支持(捕捉)することができるので望ましい。
【0083】
さらに、図1に示したように、細胞展開溝16の長さ方向において、展開部本体12の他方側12bには、鉛直方向に立設された壁部30が形成されている。
【0084】
このように構成することによって、細胞展開部14の細胞展開溝16に支持(捕捉)された目的細胞Bが、細胞懸濁液Aとともに排出されるのを、この壁部30で防止することができる。
【0085】
この場合、図7に示したように、壁部30の高さhが、細胞展開溝16の凸部の上面16aから少なくとも目的細胞Bの直径W2と同じ高さを有するように形成されているのが望ましい。
【0086】
このように構成することによって、目的細胞Bが、細胞懸濁液Aとともに排出されるのを、この壁部30で防止することができるとともに、目的細胞B以外の小さな細胞を含む余分な細胞懸濁液Aを、この壁部30を越えて外部に排出することができる。
【0087】
また、この場合、図8で示したように、壁部30を細胞展開溝16の底部から離間させておき、壁部30の下方に、開口部16cを形成するようにして、この細胞展開溝16の開口部16cを介して、細胞展開部14を通過した細胞懸濁液Aを細胞展開部から排出するように構成することもできる。これにより、目的細胞以外の小さな細胞を含む余分な細胞懸濁液Aは、この壁部の下方の細胞展開溝16を介して外部に排出することができる。
【0088】
このような壁部30を細胞展開溝16の底部から離間させる方法として、例えば、図9に示したように、壁部30をワイヤー状にして、展開部本体12に巻き付けることによって、壁部30の下方に、細胞展開溝16の開口部16cを形成することもできる。
【0089】
なお、この壁部30を、例えば、図10に示したように、水分を吸収する吸収部材32から構成することもできる。
【0090】
なお、図9、図10では、説明の便宜上、供給部18、排出部34を省略して示している。
【0091】
このように、壁部30を、例えば、スポンジなどの水分を吸収する吸収部材32で構成することによって、余分な細胞懸濁液Aを吸収することができるので、細胞展開部14の細胞展開溝16に目的細胞Bを支持(捕捉)することができる。
【0092】
なお、この実施例では、図1に示したように、細胞展開溝16の長さ方向において、展開部本体12の他方側12bに、壁部30を形成したが、図示しないが、細胞展開溝16の長さ方向において、展開部本体12の一方側12aにも、このような壁部30を形成することも可能である。
【0093】
さらに、この実施例では、細胞展開溝16の長さ方向において、展開部本体12の他方側12bに、壁部30の外側に、細胞展開部14を通過した細胞懸濁液Aを、細胞展開部14から排出する排出部34を構成する、例えば、水溜め部36が設けられている。
【0094】
このように構成することによって、展開部本体12の他方側12bに設けられた排出部34から、細胞懸濁液Aを排出することができる。従って、例えば、排出部34から回収された細胞懸濁液Aを用いて、図示しないが、往復流路を形成したり、環流送液を行うように設計することができる。これにより、細胞懸濁液Aの使用効率が向上することになる。
【0095】
なお、細胞懸濁液Aとしては、特に限定されるものではなく、例えば、ヒトや動物などの生体試料、より詳しくは、血液,体液(腹水、唾液、汗、尿、糞、髄液、乳汁など),リンパ液,組織液などを用いることができる。
【0096】
また、細胞懸濁液Aは、生体試料そのままでも良いし、生体試料をリン酸緩衝食塩水(PBS)で希釈して、展開され易い粘度に調整したものであっても良い。
【0097】
さらに、細胞懸濁液Aは、生体由来の生体試料に限定されず、試験や研究などのために、人工的に細胞を懸濁させて調製した細胞の分散液であっても良い。
【0098】
また、細胞懸濁液Aは、がん細胞,免疫細胞を含んでいてもよい。例えば、血液のように、がん細胞(目的細胞)の他に、白血球(免疫細胞)、赤血球、血小板などの細胞(非目的細胞)が分散されていても良い。ここで、「免疫細胞」とは、白血球、すなわち、顆粒球,リンパ球,単球などの細胞をいう。
【0099】
この場合、「がん細胞」とは、がん(悪性腫瘍)を構成する細胞をいう。がんは、転移する性質を有し、がん細胞は、がんが転移する際に、上述した血液などの体液に混入する。例えば、血液に混入して生体内を循環できる状態になったがん細胞は、循環がん細胞(CTC)(または循環腫瘍細胞)と呼ばれている。従って、細胞懸濁液Aは、循環がん細胞を含む血液であってもよい。
【0100】
さらに、特定のがん細胞(目的細胞)を予め蛍光標識しておいても良い。
【0101】
なお、この実施例では、細胞展開部14は、細胞展開部14の一端側から他端側に至る複数の細胞展開溝16が、所定間隔離間して列状に並列するように形成したが、細胞展開溝16は、少なくとも1つあればよい。
【0102】
また、この実施例では、細胞展開溝16の長さ方向において、展開部本体12の他方側12bに、壁部30を形成したが、後述する図12に図示したように、展開部本体12の一方側12aにも、壁部30を形成することも可能である。
【0103】
なお、ラインコーター20から供給された細胞懸濁液Aが、細胞展開部14の全体にわたって流涎しやすくするために、展開部本体12の一方側12aから展開部本体12の他方側12bに向かって下方に傾斜するように、展開部本体12を傾けて配置してもよい。
【0104】
図11は、本発明の細胞展開デバイスの別の実施例を模式的に示す図1と同様な概略斜視図である。
【0105】
この実施例の細胞展開デバイス10は、図1に示した細胞展開デバイス10と基本的には同様な構成であり、同一の構成部材には、同一の参照番号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0106】
上記の図1に示した細胞展開デバイス10では、供給部18を構成するラインコーター20が、展開部本体12の一方側12aの幅方向全体に延びていたが、この実施例2の細胞展開デバイス10では、図11に示したように、供給部18を構成するラインコーター20が、展開部本体12の一方側12aの幅方向の一部に延びている。
【0107】
これにより、展開部本体12の一方側12aの幅方向の一部に、細胞懸濁液Aを細胞展開部14に供給するようになっている。
【0108】
そして、図11の矢印に示したように、ラインコーター20が、展開部本体12の一方側12aの幅方向に移動して、展開部本体12の一方側12aの幅方向全体に細胞懸濁液Aを、細胞展開部14に供給するように構成されている。
【0109】
このように構成することによって、供給部18自体をコンパクトにすることができるとともに、複数の細胞展開溝16がある場合にもその全体にわたって、細胞懸濁液Aを細胞展開部14に供給することができる。
【0110】
なお、この実施例では、供給部18として、ラインコーター20を用いたが、図12に示したように、供給部18として、ディスペンサー38を用いて、展開部本体12の一方側12aの幅方向の一部に、細胞懸濁液Aを細胞展開部14に供給し、図12の矢印に示したように、ディスペンサー38が、展開部本体12の一方側12aの幅方向に移動して、展開部本体12の一方側12aの幅方向全体に細胞懸濁液Aを、細胞展開部14に供給するように構成しても良い。
【0111】
図13は、本発明の細胞展開デバイスの別の実施例を模式的に示す図1と同様な概略斜視図である。
【0112】
なお、図13では、説明の便宜上、壁部30、排出部34を省略して示している。
【0113】
この実施例の細胞展開デバイス10は、図1に示した細胞展開デバイス10と基本的には同様な構成であり、同一の構成部材には、同一の参照番号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0114】
上記の図1に示した細胞展開デバイス10では、細胞展開溝16の長さ方向において、展開部本体12の一方側12aから、細胞懸濁液Aを細胞展開部14に供給する供給部18、ずなわち、ラインコーター20を備えていたが、この実施例3の細胞展開デバイス10では、図13に示したように、細胞展開溝16の長さ方向に垂直な方向において、展開部本体12の一方側12cから、細胞懸濁液Aを細胞展開部14に供給するように構成されている。
【0115】
このように、本発明の細胞展開デバイス10では、供給部18を介して、細胞展開溝16の長さ方向に垂直な方向において、展開部本体12の一方側12aから、細胞懸濁液Aを細胞展開部14に供給するようにしても良い。
【0116】
図14は、本発明の細胞展開デバイスの別の実施例を模式的に示す図1と同様な概略斜視図である。
【0117】
この実施例の細胞展開デバイス10は、図1に示した細胞展開デバイス10と基本的には同様な構成であり、同一の構成部材には、同一の参照番号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0118】
上記の図1に示した細胞展開デバイス10では、図14に示したように、展開部本体12の上面に、例えば、シリコンシートなどのシート材料からなるスペーサー40が設けられている。
【0119】
このスペーサー40は、平面視で略コ字形状であり、細胞展開溝16に相当する部分に開口部42が設けられ、展開部本体12の他方側12bに開放部44が形成されている形状である。
【0120】
また、この展開部本体12と、スペーサー40は、平板状の上方部材46と下方部材48により挟持され、締結部材50によって一体化されている。
【0121】
また、この実施例の細胞展開デバイス10では、壁部30を超えて、排出部34を構成する水溜め部36に流入した細胞懸濁液Aを循環するための循環経路52が設けられている。
【0122】
すなわち、水溜め部36には、還流経路54が接続され、この還流経路54が、細胞懸濁液Aの貯留漕56に接続されている。
【0123】
そして、この貯留漕56に貯留された細胞懸濁液Aは、供給部18を構成する、例えば、チュービングポンプなどの定量供給ポンプ58を介して、供給経路60を通り、上方部材46に形成された供給孔62を介して、展開部本体12の細胞展開部14の細胞展開溝16に供給されるようになっている。これにより、細胞懸濁液の使用効率が向上することになる。
【0124】
なお、還流経路54、供給経路60の材質は特に限定されるものではないが、例えば、シリコンチューブを用いることができる。
【0125】
このように構成される本発明の細胞展開デバイス10では、上記のようにして目的細胞Bを整列させたのち、細胞展開溝16中で目的細胞Bが支持(捕捉)されている位置(高さ)に、例えば、顕微鏡の焦点を合わせることにより、目的細胞Bを観察することができる。その際、細胞懸濁液A中に非目的細胞が存在していたとしても、目的細胞Bよりも細胞展開溝16の底部側に保持されているので、目的細胞Bの観察を妨げないようになっている。
【実施例1】
【0126】
図1に示した細胞展開デバイス10を、下記の方法で作製した。
【0127】
すなわち、展開部本体12として、UV/O3によって親水化した市販のPMMAプリズムシート(15cm×15cm角)を用いた。その一端に、同材質のPMMAにより、高さ100μmの壁部30を、細胞展開溝16に対して垂直に接着し、排出部34を構成する水溜め部36を設けた。
【0128】
幅10cm、100μmのスリット状の開口部22を有するラインコーター20を壁部30と平行に配置した後、細胞懸濁液Aをスリット状の開口部22から展開部本体12の細胞展開部14上に供給した。
【0129】
その結果、展開部本体12の細胞展開部14の全体に、目的細胞Bが集積して、細胞展開溝16に並んでいる構造を確認することができた。
【実施例2】
【0130】
図9に示した細胞展開デバイス10を、下記の方法で作製した。
【0131】
プリズムシートを、」壁部30として、細さ100μmのワイヤーにて巻き、壁部30を作成した。この壁部30の上方からだけでなく、壁部30の下方の細胞展開溝16の開口部16cを介して、細胞展開部14を通過した細胞懸濁液Aが流れることを確認した。なお、その他は、実施例1と同様の方法で作製した。
【実施例3】
【0132】
図10に示した細胞展開デバイス10を、下記の方法で作製した。
【0133】
壁部30として、水分を吸収する吸収部材32を利用した以外は、実施例1と同様の方法で行った。細胞展開部14を通過した余分な細胞懸濁液Aが、この吸収部材32で吸収されることが確認できた。
【実施例4】
【0134】
図12に示した細胞展開デバイス10を、下記の方法で作製した。
【0135】
すなわち、展開部本体12として、UV/O3によって親水化した市販のPMMAプリズムシート(15cm×15cm角)を用いた。その一端に、同材質のPMMAにより、高さ100μmの壁部30を、細胞展開溝16に対して垂直に接着した。
【0136】
直径1mmの孔を有するディスペンサー38を、展開部本体12の一方側12aの幅方向の中央部端部に配置し、細胞懸濁液Aを供給しつつ、図12の矢印に示したように、ディスペンサー38が、展開部本体12の一方側12aの幅方向に移動して、展開部本体12の一方側12aの幅方向全体に細胞懸濁液Aを、細胞展開部14に供給した。
【0137】
その結果、展開部本体12の細胞展開部14の全体に、目的細胞Bが集積して、細胞展開溝16に並んでいる構造を確認することができた。
【実施例5】
【0138】
図14に示した細胞展開デバイス10を、下記の方法で作製した。
【0139】
すなわち、展開部本体12として、UV/O3によって親水化した市販のPMMAプリズムシート(2cm×15cm角)を用いた。その一端に、同材質のPMMAにより、高さ100μmの壁部30を、細胞展開溝16に対して垂直に接着し、排出部34を構成する水溜め部36を設けた。
【0140】
上記のPMMAプリズムシート上に、厚さ300μmのシリコンシートを1cm×10cm角にくりぬき、開口部42を形成した(片側は、開口している開放部44が形成されている)。
【0141】
この展開部本体12と、スペーサー40は、PMMA部材からなる平板状の上方部材46と下方部材48により挟持するように、締結部材50によって一体化した。
【0142】
なお、上方部材46には、排出部34の反対側に、供給部18の一部を構成する供給孔62(直径1mm)を形成した。
【0143】
この供給孔62にシ、供給経路60として、シリコンチューブを差し込み、定量供給ポンプ58としてチュービングポンプ52を接続して、細胞懸濁液Aを供給した。
【0144】
その結果、展開部本体12の細胞展開部14の全体に、目的細胞Bが集積して、細胞展開溝16に並んでいる構造を確認することができた。
【実施例6】
【0145】
比較として、UV/O3によって親水化した市販のPMMAプリズムシート(15cm×15cm角)上から、細胞懸濁液Aを10μL添加した。その結果、プリズムシートの一部に、目的細胞Bの集積が確認されたが、端部の集積度合いは低かった。
【0146】
以上、本発明の好ましい実施の態様を説明してきたが、本発明はこれに限定されることはなく、例えば、上記実施例では、供給部18と、展開部本体12と、壁部30と、排出部34とが設けられているが、これらを全て一体化することも、また、これらを相互に脱着自在に構成して、例えば、展開部本体12を取り外して、別途用意した顕微鏡などの観察手段で観察することもできるなど本発明の目的を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0147】
本発明は、例えば、細胞懸濁液中に含まれる種々の大きさの細胞を、平面状に展開させるために用いる細胞展開デバイスおよび細胞展開方法、ならびに細胞観察システムに適用することができる。
【符号の説明】
【0148】
10 細胞展開デバイス
12 展開部本体
12a 一方側
12b 他方側
12c 一方側
14 細胞展開部
14a 一方側
16 細胞展開溝
16a 上面
16b 底部
16c 開口部
18 供給部
20 ラインコーター
22 開口部
24 側面
24a 側面
24b 側面
26 傾斜部
28 平端部
30 壁部
32 吸収部材
34 排出部
36 水溜め部
38 ディスペンサー
40 スペーサー
42 開口部
44 開放部
46 上方部材
48 下方部材
50 締結部材
52 循環経路
54 還流経路
56 貯留漕
58 定量供給ポンプ
60 供給経路
56 供給孔
100 細胞分離構造体
102 流路部材
104 溝
106 底面
110 一方側
112 他方側
150 細胞懸濁液
150A 赤血球
150B 組織由来幹細胞
A 細胞懸濁液
B 目的細胞
W1 最大溝
W2 直径
α 傾斜角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞懸濁液中に含まれる種々の大きさの細胞を、平面状に展開させるために用いる細胞展開デバイスであって、
前記細胞展開デバイスが、
細胞展開部を有する平板状の展開部本体と、
前記展開部本体の一方側から、前記細胞懸濁液を細胞展開部に供給する供給部と
を備え、
前記細胞展開部には、細胞展開部の一端側から他端側に至る少なくとも一つの細胞展開溝が形成されており、
前記細胞展開溝が、細胞展開溝の長さ方向に垂直な断面において、少なくとも一方の側面が、外側に向かって溝幅が広がるように傾斜する傾斜部を形成していることを特徴とする細胞展開デバイス。
【請求項2】
前記傾斜部の水に対する接触角が、20°以下であることを特徴とする請求項1に記載の細胞展開デバイス。
【請求項3】
前記細胞展開溝の最大溝W1が、目的細胞の直径をW2とした時に、W2<W1<2W2であることを特徴とする請求項1から2のいずれかに記載の細胞展開デバイス。
【請求項4】
前記細胞展開溝の長さ方向に垂直な断面形状が鋸歯状であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の細胞展開デバイス。
【請求項5】
前記供給部が、前記細胞展開溝の長さ方向において、前記展開部本体の一方側から、細胞懸濁液を細胞展開部に供給するように構成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の細胞展開デバイス。
【請求項6】
前記供給部が、前記細胞展開溝の長さ方向に垂直な方向において、前記展開部本体の一方側から、細胞懸濁液を細胞展開部に供給するように構成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の細胞展開デバイス。
【請求項7】
前記供給部が、前記展開部本体の一方側の幅方向全体に、細胞懸濁液を細胞展開部に供給するように構成されていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の細胞展開デバイス。
【請求項8】
前記供給部が、前記展開部本体の一方側の幅方向の一部に細胞懸濁液を細胞展開部に供給するとともに、前記展開部本体の一方側の幅方向に移動して、前記展開部本体の一方側の幅方向全体に細胞懸濁液を細胞展開部に供給するように構成されていることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の細胞展開デバイス。
【請求項9】
前記細胞展開溝の長さ方向において、前記展開部本体の他方側には、鉛直方向に立設された壁部が形成されていることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の細胞展開デバイス。
【請求項10】
前記壁部の高さが、前記細胞展開溝の凸部の上面から、少なくとも目的細胞の直径と同じ高さを有するように形成されていることを特徴とする請求項9に記載の細胞展開デバイス。
【請求項11】
前記壁部の下方から、前記細胞展開溝を介して、前記細胞展開部を通過した細胞懸濁液を細胞展開部から排出するように構成されていることを特徴とする請求項10に記載の細胞展開デバイス。
【請求項12】
前記壁部が、水分を吸収する部材から構成されていることを特徴とする請求項9から11のいずれかに記載の細胞展開デバイス。
【請求項13】
前記展開部本体の他方側には、前記細胞展開部を通過した細胞懸濁液を、細胞展開部から排出する排出部を備えることを特徴とする請求項1から12のいずれかに記載の細胞展開デバイス。
【請求項14】
前記供給部が、前記展開部本体に対して脱着自在に構成されていることを特徴とする請求項1から13のいずれかに記載の細胞展開デバイス。
【請求項15】
前記排出部が、前記展開部本体に対して脱着自在に構成されていることを特徴とする請求項1から14のいずれかに記載の細胞展開デバイス。
【請求項16】
請求項1から15のいずれかに記載の細胞展開デバイス用いて、前記展開部本体の一方側から、前記細胞懸濁液を細胞展開部に供給することを特徴とする細胞展開方法。
【請求項17】
請求項1から15のいずれかに記載の細胞展開デバイス用いて、細胞展開部に展開した目的細胞を観察手段で観察することを特徴とする細胞観察システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−81438(P2013−81438A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−225022(P2011−225022)
【出願日】平成23年10月12日(2011.10.12)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成23年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「血中分子・遺伝子診断自動化システムの研究開発(血中がん遺伝子診断の検体処理自動化システム)」共同研究 産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願)
【出願人】(000001270)コニカミノルタホールディングス株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】