説明

細胞成長因子類にノイラミン酸類、プラセンタを配合してなる美容組成物

【課題】本発明は、ノイラミン酸類によってEGF関連物質やFGFを含む細胞成長因子類の活性化を図り、ノイラミン酸類の強化を図った美容組成物(化粧料、美容健康飲料)を提供する。
【解決手段】 酸による加水分解又はイオン交換樹脂による加水分解してなるノイラミン酸類を、EGF関連物質、FGFを含む細胞成長因子類、プラセンタ、コラーゲン、LCPなどに配合してなる。前記ノイラミン酸類は卵、牛乳及び燕窩由来もので、当該ノイラミン酸類は卵、牛乳及び燕窩を酸又はカチオン型イオン交換樹脂による加水分解して得られた単糖類であり、これらの原料に含まれるたんぱく質の加水分解によるアミノ酸を随伴する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上皮細胞成長因子(以下、EGF関連物質と云う)を配合してなる美容組成物に関するもので、殊にEGF関連物質やFGFを含む細胞成長因子類にノイラミン酸類、プラセンタなどの成分を配合した、化粧料及び美容健康食品、美容健康飲料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、美容についての関心は老若男女を問わず極めて高いものがあり、殊に顔・美肌に対しては化粧料の作用をいかに高めるか、顔や肌に対する安全をいかに図るかの追求がなされてきた。また、化粧料や内服の美容健康食品、美容健康飲料などに関しても幅広い層に関心が高く、効果的な成分の出現が待たれていた。
【0003】
このような観点から、これまでの美容組成物、つまり化粧料や美容健康食品、美容健康飲料などを根本から見直す画期的な成分の開発が試みられている。
【0004】
云うまでもなく、本来人の肌はデリケートなものであり、人によっては化粧料の種類により、かぶれや痒みなどを生じたり、場合によっては顔や肌に対して大きなダメージを与えることとなる。
また、有効的な成分であってもその成分の安定化に欠ける場合にはその成分の作用効果を活かすことが出来なかった。
なおまた、有効な成分の活性化を充分に図るものが見られなかった。
さらにまた、有効的な成分であってもその成分が皮膚へ有効的に浸透することに欠ける場合には、その成分の作用効果を活かすことが出来なかった。
【0005】
上皮細胞成長因子(正式名称:上皮細胞成長因子または表皮成長因子)の英語名は Epidermal Growth Factor (EGF)であり、人間および哺乳動物の体内に存在するものであり、アメリカのコーエン博士は1962年、初めて上皮細胞再生因子を発見し、1985年にノーベル生理学賞を受賞している。博士は、マウスの顎下腺抽出物から一種の新しいタンパク質(mEGF)を単独分離することに成功し、その物質が新生マウスの眼を開かせたり、歯の出現を促進するキーを握っていることを突き止めた。さらに、mEGFは皮膚細胞の増殖を促進する働きをもつことが明らかになった。
EGFは人間が本来持っている細胞を再生させる因子であり、皮膚の表面にある細胞に働きかけて新しい細胞の新生を促進する。人間は年齢を重ねるにしたがって、EGFの分泌量が減少していく(Life Sciences vol. 31, 679−683, 1982)。これが肌の老化現象の原因となる。
EGFを肌に補給することにより、みずみずしい皮膚細胞の新生を促すことができる。つまり老化現象を逆行させることができるといえる。
その他、EGFと同様の生理作用及び構造を有するEGFファミリーには、トランスフォーミング成長因子(Transforming Growth Factor:TGF)などがある。
詳細は本出願人の特許出願にかかる、特願2006−312745を参照されたい。
また、FGFとは繊維芽細胞成長因子(FGF:Fibroblast Growth Factor、以下、FGFという)を指し、肌の真皮に存在する繊維芽細胞や内皮細胞の増殖を促進する分子量16000〜20000のタンパク質である。ファミリーを形成し、酸性繊維芽細胞成長因子(aFGF:FGF−1)、塩基性繊維芽細胞成長因子(bFGF:FGF−2)、角質細胞成長因子(KGF:FGF−7)などが知られている。aFGFは脳に多く含まれ、bFGFは脳下垂体、腎臓、平滑筋などに広く存在している。
一方で、繊維芽細胞は、動物個体内のほとんど全ての組織中に分散して存在する細胞で、臓器の形態形成に重要な役割を果たしている。増殖力と運動性が非常に強く、組織に外傷が加えられたり、外傷を加えたり内因性の傷害によって臓器の実質細胞が失われた場合、この細胞が分裂増殖して欠落した部分を修復する。さらに、体内の間質物質(コラーゲン、フィブロネクチン、ムコ多糖など)を多量産生する。
FGFは、さまざまな組織に存在する繊維芽細胞の成長を促進させるので、その作用は神経細胞の分化、血管新生など多岐に及ぶ。また、FGFは、EGFと同様に年齢を重ねるにしたがって減少していく。そのため、真皮での繊維芽細胞によるコラーゲン合成が行われなくなり肌の弾力や保湿力は衰えてしまうのである。
この他の成長因子としては、インシュリン様成長因子(Insulin−like Growth Factor:IGF)や血管内皮細胞成長因子(Vascular Endothelial Growth Factor:VEGF)なども含まれる。
【0006】
燕窩は、アナツバメが産卵期に発達した唾液腺から分泌される唾液を固めて約1ケ月かけて作り上げるものである。その食用は古くから東南アジア・中国において珍重され、滋養・美容・強壮効果があることが知られている。感染防御、テストテロン(男性ホルモン)の産生効果も知られている。この燕窩には、シアル酸が10%と極めて多く含まれていることが知られており、ヒト、ミツバチ含有のものに比し、200〜1,500倍ものシアル酸が含まれており、従ってシアル酸の供給源としては最良のものと云える。このほか卵にも乾燥卵黄中0.2%,牛乳中には20mg/100mL、牛乳の初乳中には150mg/100mL含まれている。
【0007】
プラセンタとは、胎盤を意味するが健康食品や化粧品では、胎盤から細胞分裂を促進する成長因子や他の栄養素を抽出したものであり、またLCPとは、パイナップル酵素でコラーゲンの分子量を小さくして吸収の良いペプチドに分解した後、熟成発酵させることにより吸収力を増加させることができ、これにより味や臭いの悪いコラーゲンを味や臭いの優れたものとすることができ、生成された微量有効成分を人体の内側から美容効果を高めることが出来る。なお、このプラセンタにもシアル酸が含まれている。
【0008】
特許文献1には、燕窩の含水溶剤抽出物をスキンケア成分として含有することを特徴とする化粧料が開示されている。
しかしながら、本件発明はノイラミン酸類やその他の成分を充分に活性化することに特徴があり、特許文献1には見られない特徴である。
【0009】
また、特許文献2には、燕窩の酵素分解物を有効成分として含有させる美肌促進剤が開示されている。
しかしながら、本願発明は酸又はカチオン型イオン交換樹脂による加水分解して得られたものであり、各成分活性の度合いが異なり、この特徴は特許文献2には見られない。
【0010】
また、特許文献3には、EGFを有効成分とする安定した組成物に関するものであり、生物学的活性のあるEGFを有効成分とし、カルボキシビニルポリマーを基剤として含む安定した外用剤組成物並びに天然資源から分離するかまたはDNA組換技術を用いて製造した、生物学的活性のあるEGFを有効成分とし、カルボキシビニルポリマーを基剤として含む安定した外用剤組成物が開示されている。
また、特許文献4には、EGFが新生細胞の成長を平均284%促進していることの確認が示されており、臨床試験においても、EGFを60日間使用した後の細胞は、細胞量を大幅に増加させることが実証されている。
また、特許文献5には、ラクトフェリン類、ラクトフェリン類の加水分解物、またはこれらの混合物と上皮細胞成長因子とを含有する創傷治癒剤、化粧料および養毛剤が開示されている。
また、特許文献6には、レチノールおよび表皮成長因子(EGF)を含有する化粧料組成物が開示されており、EGFによるレチノールの皮膚保護効果を向上させることが開示されている。
これらの特許文献3〜6に係わるものは、EGF関連の化粧料が開示されているが、本件発明の構成、作用効果による特徴が見られず、本願発明とは明らかに相違する発明である。
【特許文献1】特許第3449624号公報
【特許文献2】特開2003−95961号公報
【特許文献3】特許第3761816号公報
【特許文献4】米国特許第5618544号公報
【特許文献5】特開平5−352423号公報
【特許文献6】特開2000−365977号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明が解決しようとする課題は、使用する化粧料成分や美容健康飲料成分を特定することにより、より効果的な美容作用を図り、またその成分の活性化、収率向上を図るものである。
殊に、細胞成長因子類を活性化するためにノイラミン酸類を配合し、またプラセンタ中のノイラミン酸類を強化することを目的とし、酸分解或いは又カチオン型イオン交換樹脂を使用するものである。これにより、本発明は美容組成物に極めて重要であり不可欠であるアミノ酸類を、原料に含まれるたんぱく質の加水分解により得るものである。
そもそもシアル酸は生体にとって極めて重要な物質であり、従来多くの研究がなされてきた。シアル酸は前記のごとくN−アセチルノイラミン酸の別名であり、脱アセチル化されたノイラミン酸も重要な化合物として知られている。これらのノイラミン酸類は単糖類の形態で存在するのではなく、個々が重合したオリゴ糖の形で存在している。燕窩を酵素分解して可溶化する試みがなされ、前記のように特許公報に記載されているが、可溶化の目的は果たせてもノイラミン酸類を単糖類として存在させることはできないのである。
本発明者はこの点に鑑み種々検討を重ねた結果、燕窩を酸で加熱・加水分解させることにより目的のノイラミン酸類を遊離させることに成功し目的を達成したのである。
【0012】
また、本発明は、これまでの化粧料や健康食品、殊に美容健康飲料における有用性に加え、更により良い作用・効果を得るために、細胞成長因子類にノイラミン酸類などを組み合わせ、更に動・植物由来成分を添加することによる相乗作用的な働きに着目した新規な発明であり、細胞成長因子類、ノイラミン酸類、プラセンタを主成分とする美容組成物を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的は、本発明によれば前記細胞成長因子類にノイラミン酸類及び/又はプラセンタ成分を配合してなることを特徴とする美容組成物により達成される。
本発明においては、前記細胞成長因子類にノイラミン酸類及び/又はプラセンタ成分を配合してなるので、細胞成長因子類やノイラミン酸類の作用効果がより相乗的に発揮される。
【0014】
また、本発明によれば前記ノイラミン酸類は卵、牛乳、プラセンタ及び燕窩由来のもので、その1種又は2種以上の組み合わせよりなることを特徴とする美容組成物により達成される。
本発明においては、前記ノイラミン酸類は卵、牛乳、プラセンタ及び燕窩由来のもので、その1種又は2種以上の組み合わせよりなるので、細胞成長因子類やノイラミン酸類の作用効果がより相乗的に発揮される。
【0015】
また、本発明によれば前記ノイラミン酸類は、卵、牛乳及び燕窩を酸又はカチオン型イオン交換樹脂による加水分解して得られた単糖類である。酸による加水分解は主に塩酸、硫酸などの鉱酸が使用される。1〜4N濃度のこれらの鉱酸中30分〜2時間加熱後、中和すれば目的が達成できる。またイオン交換樹脂はカチオン型イオン交換樹脂たとえばアンバーライトIR120などが使用できて燕窩の水懸濁液中1〜10g/100mL加えて30分〜2時間加熱し中和すれば目的が達成できる。これらの原料に含まれるたんぱく質の加水分解によるアミノ酸を随伴するものであることを特徴とする美容組成物により達成される。
本発明においては、前記ノイラミン酸類は、卵、牛乳及び燕窩を酸又はカチオン型イオン交換樹脂による加水分解して得られた単糖類であり、これらの原料に含まれるたんぱく質の加水分解によるアミノ酸を随伴するものであるので、EGF関連物質並びに各成分の活性化の向上が図られ、それらの作用効果がより相乗的に発揮される。殊に、プラセンタ中のシアル酸及びノイラミン酸を強化することが可能となる。云うまでもなくアミノ酸は肌の栄養補給に不可欠であり、本発明によるときは、この点においてより有効的にアミノ酸を摂ることが可能となる。
【0016】
また、本発明によれば前記美容組成物は、化粧料及び美容健康食品(液状・粒状・顆粒状・粉末状・カプセル状のものを含む)により達成される。
本発明においては、前記細胞成長因子類にノイラミン酸類及び/又はプラセンタ成分を配合してなる化粧料及び美容健康食品であるので、各成分の活性化が充分に図られ、細胞成長因子類やノイラミン酸類の作用効果がより相乗的に発揮される、化粧料及び美容健康食品を得ることができる。
【0017】
また、本発明によれば前記美容組成物において、前記細胞成長因子類にノイラミン酸類、プラセンタ、コラーゲン、LCPの内、1種以上の成分を配合してなる美容組成物により達成される。
本発明においては、前記細胞成長因子類にノイラミン酸類、プラセンタ、コラーゲン、LCPを特定的に配合してなるので、細胞成長因子類やノイラミン酸類の作用効果がより相乗的に発揮される。
【0018】
また、本発明によれば前記美容組成物は、前記細胞成長因子類にプラセンタエキス、果糖ブドウ糖液糖、精製蜂蜜、LCP、トレハロース、ピーチ果汁、シルクペプチド、オリゴペプチド、ローヤルゼリー、ガラナ抽出液、ショウガ抽出液、ノイラミン酸類、イワベンケイ根エキス、ムコ多糖体、酸味料、増粘多糖類、香料、ビタミンC、甘味料(スクラロース)、ビタミンB群、ヒアルロン酸の内1種以上の成分を配合してなる美容健康ドリンクにより達成される。
本発明においては、前記美容組成物はその成分を具体的に限定したので、細胞成長因子類やプラセンタエキスなどの作用効果がより相乗的に発揮される、美容健康ドリンクを得ることができる。
【0019】
また、本発明によれば前記美容組成物は、前記細胞成長因子類にベヘニルアルコール、スクワラン、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、マカデミアナッツ油、セスキオレイン酸ソルビタン、ステアリン酸グリセリル、トコフェロール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、フェノキシエタノール、アクリル酸・メタクリル酸共重合体、水酸化カリウム、ノイラミン酸類、イワベンケイ根エキス、プラセンタエキス、サイタイ抽出液、水溶性コラーゲンの1種以上の成分を配合してなる化粧料により達成される。
本発明においては、前記美容組成物はその成分を具体的に特定したので、細胞成長因子類やプラセンタエキスなどの作用効果がより相乗的に発揮される化粧料を得ることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明においては、細胞成長因子類の作用効果がより相乗的に発揮される。また、本発明においては配合のノイラミン酸類により、細胞成長因子類並びにプラセンタを活性化することができる効果がある。
また、細胞成長因子類の作用効果が相乗的により発揮される化粧料及び美容健康食品を得ることができる。
なおまた、本発明においては、前記ノイラミン酸類は、卵、牛乳及び燕窩を酸又はカチオン型イオン交換樹脂による加水分解して得られた単糖類であり、これらの原料に含まれるたんぱく質の加水分解によるアミノ酸を随伴するものであるので、細胞成長因子類並びに各成分の活性化並びに収率向上が図られ、それらの作用効果がより相乗的に発揮される。殊に、プラセンタ中のノイラミン酸類を強化することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、この発明の好適な実施形態を詳細に説明する。
尚、以下に述べる実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0022】
以下に、本発明に使用するEGFの作用と生物学的反応を示す。なお、上述のように、詳細は本出願人の特許出願に係る特願2006−312745を参照されたい。
EGFは多機能の細胞再生因子で、細胞膜のEGF受容体と結合し、新しい細胞の生産を促進する。EGFの受容体は一種の糖タンパクで、細胞膜の表面に存在する。EGFと細胞膜上のEGF受容体の結合は、飽和性と高度の敏感性を備えている。つまり、EGFは微量で細胞に作用し、しかもいったんEGFと受容体が結合すれば、その他のEGF分子と細胞上のEGF受容体の結合を阻止する。同一の受容体は二つ以上のEGF分子と同時に結合することはできず、その他のEGF分子は、その細胞には余計なものとなる。EGFは広範な生物学的反応を備えており、上皮や上皮組織の成長を促進する作用がある。またEGFは皮膚の上皮細胞の新陳代謝を促進し、消炎、鎮静作用があるため、皮膚の老化防止や若返りなどの目的で、化粧品用途にも益々の使用が期待される。
【0023】
本発明においては、前述のようにノイラミン酸類は酸分解又はカチオン型イオン交換樹脂分解してなるので、プラセンタ中のノイラミン酸類を強化することが可能となる。
酵素は基質特異性がありシアルオリゴ糖を分解してノイラミン酸類を作る酵素はたんぱく質にアタックしないのでアミノ酸を生成しない。肌を美しく健康的に保つための化粧料や美容健康食品にはアミノ酸が不可欠であり、上記の酸による加水分解又はカチオン型イオン交換樹脂による加水分解は酵素法と違って基質特異性がなく、シアルオリゴ糖とたんぱく質両方を加水分解するものであり、ノイラミン酸類の収率は酵素法を凌駕するものである。つまり酸分解は直鎖、分枝オリゴ糖の両方及び結合型のシアル酸を分解するので、ノイラミン酸類の収率が高いものとなる。
なお、本発明において使用するカチオン(陽イオン)型イオン交換樹脂はH型が使用される。
【0024】
[表1]
イオン交換樹脂分解燕窩のアミノ酸組成
構成アミノ酸 量(重量%)
アルギニン 7.51
セリン 9.60
リジン 3.19
スレオニン 8.13
バリン 7.68
ロイシン 10.10
プロリン 10.74
ヒスチジン 2.89
フェニルアラニン 8.07
チロシン 5.57
シスチン 1.23
メチオニン 0.19
アスパラギン酸 12.32
グルタミン酸 8.65
その他 4.22
計 100.00
【0025】
またオリゴ糖には枝分かれしたものも含まれており、酵素では切断できないケースもあり、これが収率に影響するものと予測される。 なお、ノイラミン酸類は例えば出産後産婦の初乳には多糖類のフコイダンの先端に含まれており、乳児の免疫能付与に関係すると云われており、重要な単糖類であることなどから、ノイラミン酸類についてはこれまで多くの研究がなされている。唾液に多く含まれておりヒトは勿論のこと牛などの哺乳類、ツバメなどの鳥類、蜂などの昆虫類の免疫付与や健康維持に関係している。従って、例えば涎をよく出す赤ちゃんほど健康であるとの例もある。
しかしながら、このノイラミン酸類の含有量には差があり、例えば通常ヒトにおいては約6mg/100g含まれており、またミツバチにおいては約50mg/100g含まれているとされているのに対し、アナツバメのそれには約10,000mg/100g含まれているとされている。このように、アナツバメの出す唾液中のノイラミン酸類の含有量が高いことが理解できよう。
【0026】
以下に、本発明において、美容健康飲料に使用される他の成分の特徴について述べる。
果糖ブドウ糖液糖は、生体内の活動エネルギーになるブドウ糖や果糖が含まれる。甘味の質は砂糖に極めて近く、すっきりとした清涼感を与える。
LCPは、コラーゲンよりも体内からの吸収が約2.5倍と高く、コラーゲンのもつ体の保湿性向上や爪や毛髪への美容効果なども得られる。
トレハロースは、自然界に存在する糖質の一種で、タンパク質、核酸、細胞膜など生体成分を安定化させる作用が高く、外界から受ける乾燥などのストレスから生体を保護する機能を持っている。
シルクペプチドは、消化吸収されるシルク分解成分であり、コラーゲンの構成要素として知られる必須アミノ酸をはじめとする18種のアミノ酸を含んでいる。また、これらのアミノ酸が吸収され易い形で存在しており、より高い美容効果を発揮する。
ローヤルゼリーは、蜜蜂の体内で合成され、女王蜂にだけ与えられる物質で、多くのビタミン類、ミネラル、アミノ酸などをバランス良く含んでいる。抗炎症作用や免疫賦活作用などの健康作用がある。
オリゴペプチドは、30〜50以下の様々なアミノ酸が決まった順番で結合して出来たもので、アミノ酸単体よりも消化吸収が速いといわれている。血中コレステロール値・中性脂肪の値を正常化し、便秘の解消の作用がある。
ガラナ抽出液は、カフェイン、タンニン、サポニンや油脂などを含み、強壮、健胃、下痢止め、興奮、鎮痛、疲労回復などに幅広く用いられている。
ショウガ抽出液は、6−ジンゲロールと云う含有成分により、鎮静、鎮痛、胃運動抑制などの薬理作用があるとされている。
ヒアルロン酸は、ムコ多糖の一種であり、保水性に優れている。また、コラーゲンの変性を抑えて肌のハリを維持し、シミやしわの予防と肌の弾力を維持する作用を持つ。
イワベンケイ根エキスは、高山植物であるイワベンケイソウから抽出したもので、優れた抗酸化作用と温度ストレス防護作用を持つ。またコラーゲン、エラスチンの吸収促進だけではなく、その形成促進をも行なう。詳細は、本出願人の特許出願に係る、特願2005−317431(特開2007−119433号公報)を参照されたい。
ムコ多糖体は、無数のコンドロイチンやヒアルロン酸などで構成されるゼリー状のタンパク球である。細胞を結合させる役割を持ち、体内の保水力や弾力性の維持に重要な成分である。
増粘剤(カラギーナン)は、ゲル化剤、安定剤としての添加物である。
ビタミンCは、美容のビタミンとも呼ばれる水溶性ビタミンである。細胞間を支えるコラーゲンの合成に作用している。また、抗酸化作用を持つ。
甘味料(D・キシロース)は、植物中に存在する多糖類であるキシランの構成成分で食品添加物として幅広く用いられている。
ビタミンB群とは、ビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、パントテン酸、ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸、ビオチンの8種の総称である。ビタミンB群は特に抗炎症作用や皮脂分泌調節作用が顕著で、外用した場合は、肌をなめらかにして、肌荒れを治す効果がある。
【0027】
(実施例1)以下により、細胞成長因子類やノイラミン酸類などが効果的に配合された美容健康飲料(ドリンク)を得た。
成分名 配合量
(単位mg/50mL中)
1 精製水 適量
2 果糖ブドウ糖液糖 9000.0
3 増粘多糖類 215.0
4 トレハロース 1000.0
5 シルクペプチド 25.0
6 オリゴペプチド 25.0
7 ローヤルゼリー 25.0
8 シアル酸成分 (ノイラミン酸類) 10.0
9 精製蜂蜜 5000.0
10 コラーゲンLCP液 2000.0
11 プラセンタエキス 30000.0
12 ヒアルロン酸 0.5
13 ガラナ抽出液 25.0
14 ショウガ抽出液 25.0
15 イワベンケイ根エキス 10.0
16 ムコ多糖体 10.0
17 ビタミンC 50.0
18 ビタミンB群 50.0
19 甘味料(スクラロース) 2.5
20 EGF 0.02
21 ピーチ果汁 600.0
22 酸味料 350.0
23 香料 176.0
製法および工程は、以下に示すとおりである。
1) 1を60℃まで加温する。
2) 1)に2〜4を加え、80〜85℃まで加温する。
3) 5〜8を2)に加えて溶解させる。
4) 9〜16をあらかじめ混合し、加える。
5) 40℃以下まで冷却する。
6) 17〜23を順次混合して完成させる。
【0028】
以下に、本発明の美容クリームにおいて使用される他の成分の特徴について述べる。
ベヘニルアルコールは、ナタネ油を高圧水素還元して得られる還元アルコールで、製品の粘度を高める目的で使用される。
スクワランは、アイザメや深海に生息するサメ類の肝油から採取したスクワレンを水素添加して得られる飽和炭化水素である。皮膚に対する刺激は少なく、非常に感触も良いため、様々な化粧品に用いられる天然物由来の油性基材である。
モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタンは、比較的安全性の高い非イオン型界面活性剤で、乳化の目的のほかに、香料などの可溶化にも用いられる。
マカデミアナッツ油は、マカデミアの種実より得られる油である。オレイン酸やパルミトオレイン酸を多く含み、皮膚への親和性が高く油っぽい感触を与えないので、他の油脂よりも皮膚への感触が優れている。
セスキオレイン酸ソルビタンは、非イオン性界面活性剤で、親油性の乳化剤、溶解助剤として用いられる。
ステアリン酸グリセリルは、非イオン型界面活性剤の一種で、クリームや乳液などの乳化に使用される。
トコフェロールは、植物油脂中に含まれており、抗酸化剤として用いられる。
グリセリンは、保湿剤として古くから用いられている。クリーム、乳液などに配合して製品の粘稠度を維持する目的と皮膚面での保湿性と使用感を調整する目的で用いる。
1,3−ブチレングリコールは、皮膚に対して刺激・毒性が少なく、抗菌性を有する保湿剤である。クリーム、乳液などに広く用いられている。
フェノキシエタノールは、防腐剤の一種である。
アクリル酸・メタクリル酸共重合体は、クリームやジェルなどの粘稠度の調整に用いられる基材である。
水酸化カリウムは、化粧水のアルカリ化などに用いるpH調節剤である。
サイタイ抽出液は、哺乳動物の臍帯を原料として抽出した酸性ムコ多糖類を含む粘稠な液体で、優れた水分保持力を有する。
水溶性コラーゲンは、哺乳動物の結合組織から抽出して得られるポリペプチドの一種である。皮膚との親和性に優れ、皮膚の保護効果と保湿機能の改善に貢献する。
【0029】
(実施例2) 以下により、細胞成長因子類やノイラミン酸類などが効果的に配合された美容クリームを得た。
成分名 配合量(%)
1 ベヘニルアルコール 3.00
2 スクワラン 5.00
3 モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン 1.50
4 マカデミアナッツ油 2.00
5 セスキオレイン酸ソルビタン 0.70
6 ステアリン酸グリセリル 0.30
7 トコフェロール 0.10
8 精製水 適量
9 グリセリン 7.00
10 1,3−ブチレングリコール 5.00
11 アクリル酸・メタクリル酸共重合体 0.20
12 フェノキシエタノール 適量
13 精製水 適量
14 シアル酸成分(ノイラミン酸類) 1.00
15 イワベンケイ根エキス 0.50
16 EGF(50ppm溶液) 0.40
17 プラセンタエキス 1.00
18 サイタイ抽出液 0.50
19 水溶性コラーゲン 0.50
20 精製水 適量
21 水酸化カリウム 適量
計 100.00
製法および工程は、以下に示すとおりである。
1) 1〜7を混合し、80℃まで加温溶解する。
2) 8〜11を混合し、80℃まで加温溶解する。
3) 2)に1)を加え、均一に乳化する。
4) 60℃まで攪拌冷却し、12を加え均一にする。
5) 40℃まで攪拌冷却し、13〜19を加え均一にする。
6) 35℃にて冷却を止め、20〜21を加え均一にする。
7) 静置し完成とする。
【0030】
[使用試験1](美容健康ドリンク)
使用試験1は、肌の乾燥やしわ・たるみといった症状を呈する30才〜50才代の女性からなる被験者15名を1群として用いた。それぞれの群において、実施例により得られたドリンク又は比較例(EGF未配合品)をそれぞれ1日2回朝と就寝前に、3ケ月間飲用させた。実施例1及び比較例のそれぞれを飲用させ、使用試験の開始前と使用から3ケ月後に、肌の状態の観察およびTEWAMETER により前腕内側部の経表皮蒸散水分量(TEWL)の使用前値を測定し、TEWL値により皮膚の潤いを評価した。これらの結果から、肌のしわ・たるみや保湿力および肌のハリについて、「向上」、「やや向上」、「どちらとも云えない」の3段階にて評価し、その効果を表2に示した。
【0031】
発明の効果(美容ドリンク)
【表2】

【0032】
[使用試験2](美容クリーム)
使用試験2は、肌の乾燥やしわ・たるみといった症状を呈する30才〜50才代の女性からなる被験者21名を1群として用いた。それぞれの群において、実施例により得られた美容クリーム又は比較例(EGF未配合品)をそれぞれ1日2回朝と就寝前に、3ケ月間使用させた。さらに、使用試験の開始前と使用から3ケ月後に、肌の状態の観察およびTEWAMETER により前腕内側部の経表皮蒸散水分量(TEWL)の使用前値を測定し、TEWL値により皮膚の潤いを評価した。
これらの結果から、肌のしわ・たるみや保湿力および肌のハリについて、「向上」、「やや向上」、「どちらとも云えない」の3段階にて評価し、その効果を表3に示した。また、「向上」と判定された被験者の一例を図1〜図3に示す。
【0033】
発明の効果(美容クリーム)
【表3】

【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、上記のように美容組成物、すなわち化粧料、美容健康食品(主に美容健康飲料)として有効的に利用可能であるが、細胞成長因子類の特質に鑑み、化粧料・美容健康飲料のみならず、免疫強化食品として健康維持、疾病予防用健康食品として、幅広く利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1〜図3は、本発明にかかる美容クリームを使用した被験者の結果である肌のしわ・たるみや保湿力及び肌のハリについて、「向上」「やや向上」「どちらとも云えない」の3段階評価中、「向上」と評価された被験者の肌の一例を示す写真であり、
【図1】はしわの改善(62才、女性)を示す写真
【図2】はしわ・たるみの改善(62才、女性)を示す写真
【図3】はしわ・たるみの改善(55才、女性)を示す写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上皮細胞成長因子(以下、EGF関連物質と云う)及び/又は繊維芽細胞成長因子(以下、FGFと云う)を含む細胞・組織成長・増殖因子(以下、細胞成長因子類と云う)にN−アセチルノイラミン酸(シアル酸)、及び/又はノイラミン酸及び/又はプラセンタ成分を配合してなることを特徴とする、美容組成物。
【請求項2】
前記N−アセチルノイラミン酸及びノイラミン酸(以下、ノイラミン酸類と云う)は卵、牛乳、プラセンタ及びアナツバメの巣エキス(以下、燕窩と云う)由来のもので、その1種又は2種以上の組み合わせよりなることを特徴とする、請求項1に記載の美容組成物。
【請求項3】
前記ノイラミン酸類は、卵、牛乳及び燕窩を酸又はカチオン型イオン交換樹脂による加熱・加水分解して得られた単糖類であり、これらの原料に含まれるたんぱく質の加水分解によるアミノ酸を随伴するものであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の美容組成物。
【請求項4】
前記美容組成物は、化粧料及び美容健康食品(液状、粒状・顆粒状・粉末状、カプセル状のものを含む)であることを特徴とする、請求項1〜3の何れかに記載の美容組成物。
【請求項5】
前記細胞成長因子類にノイラミン酸類、プラセンタ、コラーゲン、発酵熟成コラーゲン(以下、LCPと云う)の内、1種以上の成分を配合してなることを特徴とする、請求項1〜4の何れかに記載の美容組成物。
【請求項6】
前記細胞成長因子類にプラセンタエキス、果糖ブドウ糖液糖、精製蜂蜜、LCP、トレハロース、ピーチ果汁、シルクペプチド、オリゴペプチド、ローヤルゼリー、ガラナ抽出液、ショウガ抽出液、ノイラミン酸類、イワベンケイ根エキス、ムコ多糖体、酸味料、増粘多糖類、香料、ビタミンC、甘味料(スクラロース)、ビタミンB群、ヒアルロン酸の内1種以上の成分を配合してなることを特徴とする、請求項1〜5の何れかに記載の美容健康ドリンク。
【請求項7】
前記細胞成長因子類にベヘニルアルコール、スクワラン、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、マカデミアナッツ油、セスキオレイン酸ソルビタン、ステアリン酸グリセリル、トコフェロール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、フェノキシエタノール、アクリル酸・メタクリル酸共重合体、水酸化カリウム、ノイラミン酸類、イワベンケイ根エキス、プラセンタエキス、サイタイ抽出液、水溶性コラーゲンの内1種以上の成分を配合してなることを特徴とする、請求項1〜5の何れかに記載の化粧料。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−234980(P2009−234980A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−82583(P2008−82583)
【出願日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(506386860)株式会社日本天然物研究所 (3)
【Fターム(参考)】