説明

細胞株、黒色腫の治療のためにそれを含む組成物、組成物の製造手順および治療方法

細胞株、黒色腫の治療のためにそれを含む組成物、組成物の製造手順および治療方法。より具体的には、本発明は、悪性疾患の治療のための種々のヒト黒色腫細胞株であって、(a)Mel-XY1(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2830で寄託された)、(b)MEL-XY2(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2831で寄託された)、(c)Mel-XY3(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2832で寄託された)、(d)Mel-XX4(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2829で寄託された)または(e)それらのサブ母集団である前記細胞株に関する。細胞株を照射して、これらの株のアポトーシス表現型を有する集団および壊死性表現型を有する集団を調製することができる。本組成物は、アジュバントおよび/または免疫調節剤および/または自己樹状細胞を含むことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞株、黒色腫の治療のためにそれを含む組成物、組成物の製造手順および治療方法に関する。より具体的には、本発明は、悪性疾患の治療のための種々のヒト黒色腫細胞株であって、(a)Mel-XY1(2007年3月23日に、ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ);German Collection of Microorganisms and Cell Cultures DSMZ - Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH, Inhoffenstrase 7 B 38124 Braunschweig,Germanyにアクセス番号DSM ACC 2830で寄託された)、(b)Mel-XY2(2007年3月23日に、ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ);German Collection of Microorganisms and Cell Cultures DSMZ - Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH, Inhoffenstrase 7 B 38124 Braunschweig,Germanyにアクセス番号DSM ACC 2831で寄託された)、(c)Mel-XY3(2007年3月23日に、ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ);German Collection of Microorganisms and Cell Cultures DSMZ - Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH, Inhoffenstrase 7 B 38124 Braunschweig,Germanyにアクセス番号DSM ACC 2832で寄託された)、(d)Mel-XX4(2007年3月23日に、ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ);German Collection of Microorganisms and Cell Cultures DSMZ - Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH,Inhoffenstrase 7 B 38124 Braunschweig,Germanyにアクセス番号DSM ACC 2829で寄託された)または(e)それらのサブ母集団(subpopulation)である前記細胞株に関する。細胞株を照射して、これらの株のアポトーシス表現型を有する集団および壊死性表現型を有する集団を調製することができる。本組成物は、アジュバントおよび/または免疫調節剤(immuno-modifier; immuno-modulator)および/または自己樹状細胞を含むことができる。
【背景技術】
【0002】
現在、癌免疫療法の領域に関する研究に多くの努力がなされ、多くの資源が用いられている。重要な既存の根拠は、癌に有効な免疫反応におけるTリンパ球の中心的役割を示している(Oliver RT、Nouri AM. T; Cancer Surv 1992; 13:173-204)。この目的で、同種細胞単独で、アジュバントと共に、あるいはある種のサイトカインと組み合わせて治療が行われてきた。
【0003】
他方では、樹状細胞(DC)は、ナイーブTリンパ球を刺激するその並はずれた能力により、T細胞応答を開始することができる抗原提示細胞であることが知られている(Schuler G, Steinman RM. J Exp. Med 1997; 186:1183-7 およびBanchereau J, Steinman RM. Nature 1998; 392:245-52)。
【0004】
DCはアポトーシス細胞を取り込み、それによりHLAクラスI複合体/ペプチドの生成のための抗原が提示され、細胞障害性Tリンパ球の誘導が可能となることを、マウスモデルおよびヒトにおいて様々な著者が示している(Albert ML, Pearce SF, Francisco LM, Sauter B, Roy P, Silverstein RL, Bhardwaj N. J Exp Med. 1998, 188: 1359-1368; Chen Z, Moyana T, Saxena A, Warrington R, Jia Z, Xiang J. Int J Cancer. 2001, 93: 539-548 およびShaif-Muthana M, McIntyre C, Sisley K, Rennie I, Murray A. Cancer Res. 2000, 60: 6441-6447)。このプロセスに関しては、アポトーシス細胞が樹状細胞(DC)の成熟を誘導することが必須である。しかしながら、ヒトアポトーシス細胞はDCを成熟させないか、あるいはこのようなDCの成熟欠損を誘導することが、多くの著者により報告されている(Pietra G, Mortarini R, Parmiani G, Anichini A. Cancer Res 2001, 61: 8218-8226; Labarriere N, Bretaudeau L, Gervois N, Bodinier M, Bougras G, Diez E, Lang F, Gregoire M, Jotereau F. Int J Cancer 2002, 101: 280-286 and Demaria S, Santori FR, Ng B, Liebes L, Formenti SC, Vukmanovic S. J Leukoc Biol. 2005, 77: 361-368)。
【0005】
Pardollらによる米国特許第6,187,306号は、黒色腫免疫優性抗原を発現している少なくとも1以上の同種細胞株であって、サイトカインを発現するように改変された前記細胞株を用い、黒色腫患者またはこの疾患を発症する恐れがある患者にこのような形質転換株を投与することを含む黒色腫の治療および防御方法を開示している。免疫優性抗原の大部分を発現する、用いられた細胞株(単数または複数)の重要性にもかかわらず、このような抗原の大部分を発現する新規な細胞株または細胞株の組み合わせは開示されていない。この発明は、本質的に、GM-CSFなどのサイトカインを発現する形質転換細胞株を含む。
【0006】
米国特許第5,882,654号および米国特許第5,840,317号は、同種ワクチンとして用いる、照射した黒色腫細胞株を開示している。開示された治療により、NED患者が50%より下(16/37)のレベルになり、効果的な体液性抗腫瘍活性が示される。
【0007】
Wallackらによる米国特許第2006/0034811号は、サイトゾルおよび膜を含む溶解または破壊した腫瘍細胞で負荷した抗原提示細胞を含むワクチンを開示している。腫瘍細胞は、患者由来の細胞、細胞株またはIL-2をコードする組換えワクシニアウイルスに感染した細胞であることができる。Paluckaらによる米国特許第2006/0140983号は、1以上の熱ショックタンパク質および死んだ腫瘍細胞での負荷でプライミングされた抗原提示細胞の分離精製を含む、癌患者において免疫を誘導する組成物を開示している。抗原提示細胞は樹状細胞であり、腫瘍細胞は同系または同種細胞であることができ、例えば細胞株であることができる。この文献は、腫瘍細胞の熱破壊による熱ショックタンパク質を含むことの必要性を開示している。示されたアッセイは、この組成物が、黒色腫患者において免疫誘導活性を有するということを必ずしも開示してはいない。
【0008】
Albertらによる米国特許第6,602,709号は、T細胞の誘導のための、樹状細胞に抗原を取り込ませるためのアポトーシス細胞の使用を開示している。この方法は、抗原特異的細胞障害性ヘルパーTリンパ球細胞を誘導するのに有用である。樹状細胞は、アポトーシス細胞またはその断片によりプライミングされる。樹状細胞は、プロセシングし、プロセシングした抗原を提示し、細胞障害性Tリンパ球の活性を誘導することができ、これは治療用ワクチンとして使用できる。
【発明の概要】
【0009】
本発明の一側面において、悪性疾患の治療のためのいくつかのヒト黒色腫細胞株であって、(a)Mel-XY1(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2830で寄託された)、(b) Mel-XY2(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2831で寄託された)、(c)Mel-XY3(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2832で寄託された)、(d)Mel-XX4(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2829で寄託された)または(e)それらのサブ母集団である前記細胞株が提供される。細胞株をさらに照射して、これらの株のアポトーシス表現型を有する集団および壊死性表現型を有する集団を調製することができる。
【0010】
本発明の他の側面において、黒色腫の治療のための組成物であって、少なくとも1つの同種黒色腫細胞株、例えば(a)Mel-XY1(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2830で寄託された)、(b)MEL-XY2(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2831で寄託された)、(c)Mel-XY3(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2832で寄託された)、(d)Mel-XX4(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2829で寄託された)またはそれらの組み合わせであって、増殖できない前記細胞株を含む前記組成物が提供される。本組成物は、賦形剤、アジュバント、例えばBCG、および免疫調節剤、例えばGM-CSFまたはIFNαを含むこともできる。好ましい実施形態において、4つの同種黒色腫細胞株(a)Mel-XY1(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2830で寄託された)、(b)MEL-XY2(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2831で寄託された)、(c)Mel-XY3(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2832で寄託された)および(d)Mel-XX4(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2829で寄託された)の組み合わせであって、照射されており、増殖できない前記細胞株の組み合わせを本組成物は含む。他の好ましい実施形態において、本発明の組成物は、3つの同種黒色腫細胞株(a)Mel-XY1(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2830で寄託された)、(b)MEL-XY2(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2831で寄託された)および(c)Mel-XY3(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2832で寄託された)の組み合わせであって、照射されており、増殖できない前記細胞株の組み合わせを含む。
【0011】
本発明の他の側面において、黒色腫のアジュバント療法のための組成物であって、少なくとも1つの同種黒色腫細胞株、例えば(a)Mel-XY1(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2830で寄託された)、(b)MEL-XY2(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2831で寄託された)、(c)Mel-XY3(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2832で寄託された)、(d)Mel-XX4(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2829で寄託された) およびそれらの組み合わせであって、照射されており、増殖できない前記細胞株を含む前記組成物が提供される。本組成物は、賦形剤、アジュバント、例えばBCG、ならびに免疫調節剤、例えばGM-CSFおよび/またはIFNαを含むこともできる。好ましい一実施形態において、本発明の組成物は、同種黒色腫細胞株(a)Mel-XY1(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2830で寄託された)、(b)MEL-XY2(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2831で寄託された)、(c)Mel-XY3(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2832で寄託された)または(d)Mel-XX4(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2829で寄託された)の組み合わせであって、照射されており、増殖できない前記細胞株の組み合わせを含む。他の好ましい実施形態において、本発明の組成物は、同種黒色腫細胞株(a)Mel-XY1(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2830で寄託された)、(b)MEL-XY2(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2831で寄託された)または(c)Mel-XY3(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2832で寄託された)の組み合わせであって、照射されており、増殖できない前記細胞株の組み合わせを含む。
【0012】
本発明の他の側面において、ヒト黒色腫の治療のための組成物であって、少なくとも1つの異種ヒト黒色腫細胞株、前記少なくとも1つの異種ヒト黒色腫細胞株のアポトーシス細胞少なくとも1つの異種ヒト黒色腫細胞株からの細胞で負荷(charge with)した自己樹状細胞である成熟自己樹状細胞を含むことを特徴とする前記組成物が提供される。
ヒト黒色腫細胞株は、株:(a)Mel-XY1(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2830で寄託された)、(b)MEL-XY2(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2831で寄託された)、(c)Mel-XY3(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2832で寄託された)、(d)Mel-XX4(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2829で寄託された)または(e)それらのサブ母集団の1以上である。
【0013】
本発明の他の側面において、ヒト黒色腫のアジュバント療法のための組成物であって、少なくとも1つの同種ヒト黒色腫細胞株、1つの異種ヒト黒色腫細胞株のアポトーシス細胞および1つの異種ヒト黒色腫細胞株の壊死性細胞で負荷した樹状細胞である成熟樹状細胞を含む前記組成物が提供される。黒色腫細胞株は、細胞株:(a)Mel-XY1(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2830で寄託された)、(b)MEL-XY2(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2831で寄託された)、(c)Mel-XY3(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2832で寄託された)、(d)Mel-XX4(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2829で寄託された)またはそれらのサブ母集団の1以上である。
【0014】
本発明の他の側面において、
a)細胞株(a)Mel-XY1(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2830で寄託された)、(b)MEL-XY2(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2831で寄託された)および(c)Mel-XY3(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2832で寄託された)を解凍し培養し;
b)この3つの細胞株を混合し;
c)この3つの細胞株を照射し;
d)この細胞株混合物にアジュバントおよび賦形剤を添加する
段階で実施される組成物の製造手順(procedure for preparing)が提供される。段階a)において、細胞株Mel-XX4(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2829で寄託された)を加えることもまた前記手順は含むことができる。
【0015】
本発明の他の対象において、
a)細胞株(a)Mel-XY1(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2830で寄託された)、(b)MEL-XY2(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2831で寄託された)、(c)Mel-XY3(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2832で寄託された)およびMel-XX4(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2829で寄託された)を解凍し培養し;
b)この細胞株を混合し;
c)この細胞株を照射し;
d)自己樹状細胞を調製し;
e)段階c)の照射細胞と自己樹状細胞とをある時間共培養する
段階を含む組成物の製造手順が提供される。
【0016】
本発明の他の側面において、黒色腫患者において抗腫瘍免疫反応を誘導する方法であって、抗腫瘍免疫反応を必要とする患者に、細胞株(a)Mel-XY1(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2830で寄託された)、(b)MEL-XY2(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2831で寄託された)および(c)Mel-XY3(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2832で寄託された)の組み合わせであって、増殖できない前記細胞株の組み合わせの有効量を投与することを含む前記方法が提供される。アジュバントおよび/または免疫調節剤と共に投与を行うことができる。
【0017】
本発明の他の側面において、黒色腫患者において抗腫瘍免疫反応を誘導する方法であって、抗腫瘍免疫反応を必要とする患者に、細胞株(a)Mel-XY1(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2830で寄託された)、(b)MEL-XY2(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2831で寄託された)、(c)Mel-XY3(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2832で寄託された)および(d)Mel-XX4(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2829で寄託された)の組み合わせであって、増殖できない前記細胞株の組み合わせの有効量を投与することを含む前記方法が提供される。
【0018】
本発明の他の側面において、黒色腫患者において抗腫瘍免疫反応を誘導する方法であって、抗腫瘍免疫反応を必要とする患者に、自己樹状細胞ならびに細胞株(a)Mel-XY1(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2830で寄託された)、(b)MEL-XY2(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2831で寄託された)、(c)Mel-XY3(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2832で寄託された)および(d)Mel-XX4(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2829で寄託された)の組み合わせであって、増殖できない前記細胞株の組み合わせの6〜72時間の共培養物の有効量を投与することを含む前記方法が提供される。
【0019】
発明の詳細な説明
本願において、用語“組み合わせ”および“混合物”は交換可能である。
【0020】
本発明において、哺乳動物における免疫系を修飾する組成物について述べるとき、当業者には、これらの組成物はワクチン組成物、細胞ワクチンまたは単にワクチンとしても知られていることを理解しなければならない。
【0021】
本発明の4つの細胞株は、ブダペスト条約に従い、2007年3月23日に、ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号: Mel-XY1 DSM ACC2830細胞株、Mel XY2 DSM ACC2831株、Mel XY3 DSM ACC2832株および Mel XX4 DSM ACC2829株で寄託された。
【0022】
細胞株の解析アッセイ結果を次表に示す。
【表1】

【0023】
MEL-XY1細胞株の解析から、細胞はサイズと形が不均一な無色素性細胞単層として増殖し、大部分は立法形または細長い形であり、突起物はないことが示されている。細胞は、高密度ではわずかに黒色性である。MEL-XY1細胞は、半固体寒天では大量のコロニーを形成する。MEL-XY1細胞は胸腺欠損マウス(ヌード)に腫瘍を形成し、転移は生じない。
【0024】
MEL-XY2細胞株の解析から、細胞はサイズが不均一な無色素性細胞単層として増殖することが示されている。細胞はサイズが小さく、数が少なく、多核であり、顕著な核小体を有する。黒色腫における特徴的な樹状突起を有する細胞も見られる。高密度で増殖させることにより、細胞は積み上がって微小腫瘍を生じることができる。MEL-XY2細胞は胸腺欠損マウス(ヌード)に腫瘍を形成し、転移を生じない。
【0025】
MEL-XY3細胞株の解析から、細胞が単層で増殖することが示されている。細胞は、均一で、小さく、いくぶん丸みを帯びている。高密度で増殖させることにより、細胞は積み上がって微小腫瘍を形成することができる。MEL-XY3細胞は半固体寒天では多数のコロニーを形成する。MEL-XY3細胞は胸腺欠損マウス(ヌード)に腫瘍を形成し、転移を生じない。
【0026】
Mel-XX4細胞株の解析から、この株は、高密度で紡錘体が形成された単層で増殖することは明白である。低密度においては、メラノサイトに類似した樹状突起を示す。細胞は黒色性であり、その一部は多核であり、顕著な核小体を有する。集団倍加時間は172〜173時間であり、細胞は軟寒天アッセイでコロニーを形成する。
【0027】
本発明のMel-XX4細胞株をヌードマウス(免疫不全)の移植後に、in vivoで腫瘍細胞株は生じなかった。初代腫瘍からの継代培養により、移植された動物の100%が、最初の1ヶ月間に腫瘍を発症したことが明らかとなった。腫瘍増殖は遅く、84日目に平均値372±63mm3に達した。本発明の細胞株Mel-XX4は、皮下に3x106細胞量を注入するとき、腫瘍を形成する。
【0028】
最頻染色体数(modal chromosome number)の分析から、以下が示されている:本発明のMEL-XY1株は、染色体数にばらつき(105〜110)があるので、明確な最頻染色体数は明らかにならなかった(男性)。本発明のMEL-XY2株は、染色体数89および91(男性)の双峰性傾向を示す。本発明のMEL-XY3細胞株は、(男性)の最頻染色体数を示す。最頻染色体数の変化は、第2および第6染色体の欠損ならびに第20および第22染色体の過剰であった。本発明のMEL-XY4細胞株は、最頻染色体数57〜58(女性)を示す。
【0029】
本発明の細胞株においてγ線誘導アポトーシスを研究した。50Gyの放射線照射は、本発明の各細胞株の軟寒天中でのコロニー形成能を完全に抑制するのに十分であった。細胞を70Gyまたは100Gyで照射したとき、アポトーシス/壊死誘導の程度に有意差は見られなかった。図1Aにより、非照射黒色腫細胞が、アネキシンV+/IP-染色(右下パネル)を特徴とする初期アポトーシス細胞6〜9%を含むことが示された。70Gyで照射し、72時間培養した後、初期アポトーシス細胞が45〜53%得られた(図1B、右下パネル参照)。アネキシンVおよびIP染色壊死性細胞は、非照射細胞においては7.5%であったが、照射細胞においては約15%に増加した(上左パネル)。従って、本特許出願に関して、本発明の照射黒色腫細胞はApo-Nec細胞と呼ばれ、Apo-Nec細胞株(Mel-XY1、Mel-XY2、Mel-XY3および/またはMel-XX4)の任意の1以上を含む組成物はApo-Nec組成物として知られている。
【0030】
細胞照射により増殖できない細胞を調製することが可能であり、本発明のApo-Nec組成物などの組成物の製造に有用であった。本発明のApo-Nec組成物は、本発明の株のいずれかまたはそれらの種々の組み合わせを含むことができることは当業者には明らかであろう。好ましい実施形態において、本発明の組成物Apo-Necは、Mel-XY1、Mel-XY2およびMel-XY3細胞株の混合物または組み合わせを含む。他の好ましい実施形態において、本発明の組成物Apo-Necは、Mel-XY1、Mel-XY2、Mel-XY3およびMel-XX4細胞株の混合物または組み合わせを含む。本発明の好ましいApo-Nec細胞株の混合物は、優れた抗腫瘍免疫反応を誘導する多数の抗原の組み合わせを提供する。
【0031】
驚くべきことに、本発明の4つのApo-Nec細胞株の混合物により提供される腫瘍抗原の組み合わせは、腫瘍に対する特定のT細胞免疫反応を誘導し、本発明のApo-Nec組成物で治療するとき、80%を超える無病患者を得ることが可能である(図8参照)。
【0032】
本発明の株は、本発明の細胞株の少なくとも1つおよび自己樹状細胞を含む、DC/Apo-Necとして知られる本発明の組成物を調製するためにも使用した。
【0033】
好ましい実施形態において、本細胞株は株Mel-XY1、Mel-XY2、Mel-XY3およびMel-XX4の種々の組み合わせである。例として、限定するものではないが、本組み合わせは、細胞株Mel-XY1およびMel-XY2の混合物または株Mel-XY1、Mel-XX4の混合物を含むことができる。好ましい実施形態において、本細胞株の組み合わせは、細胞株Mel-XY1、Mel-XY2、Mel-XY3およびMel-XX4の混合物(従って、4つの細胞が存在する)を含む。
【0034】
好ましい実施形態において、本発明の組成物DC/Apo-Necは、照射細胞株Mel-XY1、Mel-XY2、Mel-XY3、Mel-XX4と自己樹状細胞の組み合わせを含む。
【0035】
本発明の4つの細胞株の特別な組み合わせは、樹状細胞に負荷する自然抗原の独特な供給元を提供し、さらにコロニー形成細胞の抗原を提供する。本発明の4つの照射細胞株の組み合わせは、自然抗原の特別な組み合わせを提供するばかりでなく、アポトーシス細胞約50%および壊死性細胞約15%が存在する細胞集団の特別な組み合わせもまた含むことを考慮に入れなければならない。集団のこの組み合わせは、DCの成熟を誘導する。
【0036】
表2に特徴を示す16名の黒色腫患者において、本発明の組成物DC/Apo-Necを用いる第1ステージ試験を行った。
【表2】

【0037】
平均年齢は42歳であった(17歳から60歳まで)。女性5名と男性11名を治療した。患者のうち1名はAJCC IIC期黒色腫を有し、8名はIII期黒色腫を有し、7名はIV期黒色腫を有していた。患者#5および#11は肺転移手術を受けていた。患者#16は皮下転移を有しており、患者#1、#10および#15は、リンパ節被膜の断裂により、腋窩領域に術後放射線療法を受けていた。4名の患者のコホートを、Apo-Nec細胞と共培養した樹状細胞(CD)(本発明の組成物DC/Apo-Nec)5、10、15または20x106個で処置し、洗浄した。患者全員に、アジュバントなしの組成物DC/Apo-Nec(0.3ml)を2週間ごとに1回投与した。患者#7は、右大腿へのスポーツ傷害後に病状が急速に悪化し、感染を抑えられないため、第2回目の投与後にプロトコルから除去した。この患者は入れ替えなかった。
【0038】
未熟な樹状細胞(DCin)は、95.1±3.6%がCD14-/CD11c+であり、70±6%がCD1a+であるというパターンを示した。純度は約60%と評価された。
【0039】
無血清培地に分散したPBMC 1x108個からDC約3x106個を得た。
【0040】
患者からDCinを得、本発明の組成物DC/Apo-Necに含まれる細胞を解析して、患者(n=15)からのDcin細胞の42.3%±13.7が本発明のApo-Nec細胞を貪食できることが見出された。電子顕微鏡検査により、全Apo-Nec細胞または空胞内のDC中のそれらの断片を観察することによりApo-Nec細胞の食作用を評価した。
【0041】
単球派生DC細胞の成熟過程に影響を与える本発明のApo-Nec細胞の能力を、フローサイトメトリー(FACS)(FACSCalibur、BD Biosciences社、カリフォルニア州サンノゼ)を用い、特定のDCの細胞マーカーを測定することにより試験した。本発明のApo-Nec細胞の食作用により、LPSと共にインキュベートした対照と比較してDC細胞の成熟表現型が得られた。DC細胞の成熟は、CD83、CD80、CD86、HLAクラスIおよびIIならびにCD40発現の増加により証明された。食作用後に、DCinと比較して、FITC-Dxのエンドサイトーシスの75.2%±16の減少が見られた。
【0042】
全患者における本発明のApo-Nec細胞の食作用後に、DCにおいてケモカイン受容体(C-Cモチーフ)受容体7(CCR7)の発現が増加し、これはin vitroでのCD細胞のMIP-3βの方向への遊走に関連していた。DCin細胞(CCR7+ 9.6%、MFI:23.3)は、MIP-1αの方向には遊走したが、MIP-3βの方向には遊走しなかった。対照的に、DC/Apo-Nec細胞(CCR7+ 81.8%、MFI:41.2)は、MIP-3βの方向に明確に遊走したが、MIP-1αの方向には遊走しなかった。
【0043】
低いPBMC収量を示し、従って、10x106DC/Apo-Nec細胞量を得ることができず、1投与当たり3x106細胞量を投与しなければならなかった患者#6を除いて、残ったすべての患者には、本発明コホート1:5x106、コホート2:10x106、コホート3:15x106およびコホート4:20x106のDC/Apo-Nec組成物の予定投与量を投与した。本発明のDC/Apo-Nec組成物は認容性が良好であった。見出された毒性症例の平均値は、常に重症度1であった。投与部位に、紅斑症および丘疹からなる弱い局所反応およびDTHがみられた。自己免疫疾患の症状を発現した患者はいなかった(表3)。
【表3】

【0044】
術後経過観察41.5ヶ月目(25ヶ月〜71ヶ月)に、IIC期患者は疾患の所見無し(NED)が認められた。III期患者の7/8(87.5%)でNEDが認められ、IV期患者の7/7では疾患の進行が認められた(図2参照)。
【0045】
各投与に関して、本発明の異種細胞Apo-Necに対するDTH反応を評価し、実施例に記載されているように、DTHスコアを用いて反応の強度を評価した。本発明のApo-Nec細胞の投与前に、6/15の患者のみが軽いDTH反応を示した。初回投与後に観察された基礎反応と比較して、DC/Apo-Nec組成物の2回目の投与後にDTHスコアは有意に高かったので(マン・ホィットニー検定、P=0.029、n=15)、Apo-Nec細胞の投与は、すべての患者において特定の反応性を誘導することをDTHアッセイは明らかにした。疾患が進行した患者よりもNED患者においてDTHスコアは高かった(P=0.28、マン・ウィルコクソン順位和検定)。
【0046】
投与1回当たりのDC/Apo-Nec細胞量を増加させても、DTHスコアは有意に高くならなかった。
【0047】
FACS分析により評価するとき、投与の前後に、本発明の組成物に含まれる生存黒色腫細胞に対して液性反応は観察されなかった。ウェスタンブロット法により、投与の前後において、血清におけるApo-Nec細胞に対する反応性抗体の存在もまた評価した。4名の患者(#3、#4、#および#16)において、投与後の血清において、黒色腫タンパク質(>200kDa)の薄いバンドのみが検出・観察され、これは、非特異的対照として用いた乳癌細胞抽出物中には認められなかった。
【0048】
患者#1の自己黒色腫細胞株を樹立した。それと共に、この患者にDC/Apo-Nec細胞を投与することにより、自己腫瘍細胞に対するリンパ球増殖反応を誘導するかどうかを評価することができた。Apo-Nec#1細胞(実施例に記載されているようにして得た患者#1からの照射腫瘍細胞)の投与前後に、リンパ球インキュベーション5日後にリンパ球増殖を評価した。図3は、投与前のリンパ球と比較して、DC/Apo-Nec#1細胞への反応としてのリンパ球増殖が高かったことを示している。これは、Apo-Nec細胞により与えられる腫瘍抗原に対する特異的免疫が存在し、DC/Apo-Nec細胞投与後に患者#1の腫瘍中にも存在することを示唆している。
【0049】
本研究に登録した15名の患者のうち7名がハプロタイプHLA-A*0201クラスIを有していたが、これにより、限定的な、自己PBMC試料によるHLA腫瘍特異的反応を研究することが可能になった。末梢血試料において直接に、CD/Apo-Nec組成物により誘導される抗gp100反応および特異的Melan A/MART-1 CD8+T細胞を、HLAテトラマー/ペプチドの特異的結合およびELISpotにより測定されるIFN-γの分泌により評価した。
【0050】
5/7の患者において、テトラマー染色により、gp100およびMelan A/MART-1に反応する特異的CD8+Tリンパ球の存在を分析するために、投与前(初回投与の7日前)および投与後(4回目の投与の15日後)に十分なPBMCを得た。結果を図4Aに示す。患者#2および#6においては、投与後に、gp100およびMelan A/MART-1特異的CD8+T細胞の頻度は1%を超えて顕著に増加しており、これらの患者はなおNEDであったが(それぞれ手術後53ヶ月目および36ヶ月目)、患者#5、#8および#16においては、投与前のテトラマー染色よりも低下しており、彼らの全員において投与後に疾患が進行した(図3A)。図4Bに、患者#2の結果を用いて1例を示す。投与後に、gp100またはMelan A/MART-1ペプチドを認識するCD8+T細胞の百分率は、それぞれ0.17および0.26から1.15および1.16に増加した。同じ条件で行った健常陽性HLA-A*0201ドナーでの実験においては、反応性は認められなかった。
【0051】
投与前および投与後の全PBMCにgp100またはMelan A/MART-1を適用した自己DC細胞で24時間インキュベーションした後、インフルエンザペプチドを対照(flu58-66)として用いて、ELISpotでIFN-γの分泌を分析した。HLA-A*0201患者の5/7においてこのアッセイを行った。2名の患者(#5および#16)において、本発明のDC/Apo-Nec組成物の投与後に、gp100およびMelan a/MART-1に対する特異的CD8+T細胞により分泌されるIFN-γが誘導されたことが観察された。患者#5および#16において、IFN-γを分泌する7〜3.5x10-4の頻度のCD8+T細胞が誘導された。患者#2において、投与の前後に、gp100およびMelan A/MART-1に対する大量の特異的CD8+T細胞が認められた。この患者は、術後54ヶ月目においてもなお無病である。患者#8および#15においては、低い量のベースポイント(投与前)が認められ、本発明のDC/Apo-Nec組成物を4回投与した後に変化は見られなかった。
【0052】
食作用後異なる時間に、サイトカインを細胞質内に蓄積させるためにブレフェルディンAで8時間処理して、本発明のDC/Apo-Nec細胞におけるIL-12およびIL-10のバランスをFACSにより定量した。図5に示すように、32時間後にDCinのうち6.1%のみがIL-12を産生した。共培養からは、DC/Apo-Nec細胞のうち30.8%がIL-12を産生するように誘導された。他方では、DCinのうち81.6%が細胞質内にサイトカインを含有し、食作用後に修飾を受けなかった。IL-10およびIL-12を産生する両陽性細胞は、24時間において27.8%であった(図5参照)。
【0053】
本発明のDC/Apo-Nec組成物は安全であり、患者の認容性は良好であった。
【0054】
本発明のDC/Apo-Nec組成物は、患者における細胞反応を誘導した。なぜなら、2回目の投与後に全患者において、基準値と比較して、免疫原としてApo-Nec細胞を用いるDTH反応が増強されたからである。
【0055】
術後の処置において、本発明のDC/Apo-Nec組成物で治療した患者の85%(IIc期およびIII期)は、平均41.5ヶ月の経過観察後に無病であった(図2参照)。本発明のDC/Apo-Nec組成物は、それ自体で黒色腫患者の治療に有用であり、かつ根治療法後のアジュバントとしても有用である。なぜなら本組成物は患者の免疫反応を増強し、残存する腫瘍細胞を免疫系が除去するので、起こりうる再発から患者を守るからである。より具体的には、本発明のDC/Apo-Nec組成物は、比較的小さな腫瘤を有するIIB期、IIC期およびIII期の患者の治療に有用であり、かつIV期患者の根治療法後のアジュバントとして有用である。
【0056】
本発明のDC/Apo-Nec組成物をヒト黒色腫の治療に使用できることは当業者には明らかである。本発明のDC/Apo-Nec組成物はまた、他の治療薬と共にアジュバントとして使用でき、免疫促進剤として、例えば患者の病期および治療のステージに応じて使用できる。
【0057】
本発明のApo-Nec細胞の組み合わせは、自己DC細胞の成熟を誘導することを指摘すべきであることは重要である。本発明のApo-Nec細胞の混合物または組み合わせは、樹状細胞に負荷する黒色腫抗原の優れた供給元である。特別の刺激物、例えば一般的に成熟カクテルとして用いられる、インターロイキン1、腫瘍壊死因子α、CD40リガンドまたはプロスタグランジンEなどを添加せずに、本発明のApo-Nec細胞の組み合わせと接触し、貪食するだけで、樹状細胞は成熟することに留意されたい。本発明のApo-Nec細胞を貪食したDCは、ケモカインMIP-3βおよび細胞内IL-12産生に応答してin vitroで細胞遊走が促進される。本発明のDC/Apo-Nec細胞は、特異的CTL抗原に交差した自然腫瘍抗原を提示することができる。
【0058】
上記のように、各患者のDCinによるApo-Nec細胞の食作用は、このようなDCの成熟を誘導した。
【0059】
他方で、本発明の細胞株のコロニー形成能に関して分析した。軟寒天中での本発明のMEL-XY3細胞株コロニーは、細胞間の接着性の弱い不均一な形態を示す。黒色性コロニーは低い割合で観察される。軟寒天中での本発明のMEL-XY1細胞株コロニーは、含まれる細胞間の接着性の高い密な形態を示す。黒色性コロニーはほとんど見られない。
【0060】
コロニー解析の1手段として、本発明の細胞株および軟寒天中での本発明の細胞株コロニーにおけるβ-アクチンの発現で正規化した黒色腫抗原発現レベルを比較した。クローン解析結果を表4および図6に示す。
【表4】

【0061】
見てわかるように、集団内および本発明の各細胞株内でコロニー形成細胞のサブ母集団が存在し、これらのコロニー形成細胞もまた本発明の範囲に含まれる。コロニー形成細胞の存在により、幹細胞とも呼ばれる未分化細胞の典型的な抗原を患者に提供することができる。
【0062】
黒色腫腫瘍の不均一性は強いので、免疫療法には、細胞株およびそれらのサブ母集団の混合物または組み合わせにより提供される複雑な抗原混合物を用いることが基本である。例として、図7は、メラノサイト分化抗原の発現と比較してこのような腫瘍の不均一性を証明する原発性黒色腫生検標本の図である。
【0063】
下記の実施例中に開示したスキームに従って、アジュバントとしてのBCGおよび免疫調節剤としてのGM-CSFと共に本発明のApo-Nec組成物で患者を治療したとき、患者の75%(IIC期およびIII期)は、最大経過観察51ヶ月目(図8参照)で無病であり、毒性は低く、重症度1であった。
【0064】
選択されたプロトコル患者の一人からの典型的な結果を示す。患者#200は67歳の女性で、カフカス人であり、2003年11月に診察を受けた。2002年6月に、背部腫瘍の増大により手術を受けた。組織学により、クラークレベルIV、Breslowレベル5.7mmの皮膚黒色腫であることが明らかとなった。2002年8月に転移がいくつか検出され、これを切除した。患者にApo-Nec+BCG+GM-CSFを投与し(組成物当たりGM-CSF 600μgを投与)、投与を終えても、毒性はほとんど認められなかった。最後の臨床検査において背部に転移が疑われる結節が検出され、これを切除した。その顕微鏡画像を図9に示す。生存腫瘍部位への強いリンパ球浸潤ばかりでなく強い腫瘍組織壊死およびメラニンで満たされたマクロファージの存在もまた観察される。
【0065】
例として、本発明のApo-Nec組成物+BCG+IFN-αで治療した患者での結果も示す。患者#300は17歳の男性であり、左鼠径部リンパ節腫脹で診察を受けた。2ヶ月後、新たな左鼠径部切除を行ったが、結節の4/11に黒色腫転移が認められた。彼は、低用量のインターロイキン-2を用いる治療を受けた。
【0066】
2回目の切除の14ヶ月後、左鼠径部に再発が検出され、再度手術を行ったが、切除された結節の5/7に黒色腫転移が認められた。この患者に背痛が出現した。CT断層撮影法により後腹膜リンパ節腫張が明らかとなり、Dartmouthスキームを用いる化学療法を行った。化学療法を終えた後、彼には、本発明のApo-Nec組成物+BCGでの治療を開始した。本発明の組成物での治療開始後14カ月目に、左鼠径部に結節が検出された。彼は手術を受け、大きなリンパ形質細胞浸潤のある黒色腫転移が検出された。この患者に、Apo-Nec組成物+IFN-αでの治療を継続した。図10は左肺結節の寛解を示す。現在この患者は無病である。
【0067】
本発明は、大部分の黒色腫関連抗原を組み合わせで発現する黒色腫細胞株、これらの照射株を含む組成物および、黒色腫細胞株のアポトーシス/壊死性細胞の混合物を貪食した、ex vivoで調製した自己DCを含む組成物を開示する。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】アポトーシス誘導および壊死に関する、本発明の細胞株の混合物のγ線照射の結果の代表例を示す図である(Apo-Nec細胞)。パネルAは非照射細胞を示し、パネルBは70Gyのγ線照射後の細胞を示している。アネキシンV-FITCおよびIP(ヨウ化プロピジウム)で染色した。初期アポトーシス細胞はアネキシンV-FITC+/IP-を特徴とし、壊死性細胞は両陽性であった。
【図2】本発明のDC/Apo-Nec組成物で治療した患者のカプラン・マイヤーグラフである。
【図3】DCにより提示された自己腫瘍細胞に応答したin vitroリンパ球増殖を示す図である。結果を、3連の平均±SD cpm(1分当たりの計数)で示す。陽性対照として、フィトヘムアグルチニン(PHA)で7x104以上のリンパ球をインキュベートした。
【図4】抗原Melan A/MART-1およびgp100のテトラマー染色を示す図である。パネルAは、試験に参加したHLA-A*0201患者からのPBMN試料で得た結果を示す。*NDは、投与後の試料におけるCD8+T細胞量が不十分だったため未測定であることを示す。パネルBは、患者#2からのPBMCにおけるCD8+HLA Tリンパ球/テトラマーペプチド+の増加を示す。量は、CD8+HLA/テトラマーペプチド+の百分率を示す。健常ドナーからのHLA-A*0201 PBMCを対照として染色した。
【図5】本発明のApo-Nec細胞におけるIL-10およびIL-12の細胞質内測定を示す図である。パネルAはDCinからのFACSの結果を示し、パネルBはDC/Apo-Nec細胞からのFACSの結果を示す。
【図6】株Mel-XY1およびその細胞株派生クローンにおける抗原HMB45およびMART-1の発現を示す図である。上部の3つのパネルは、本細胞株に対応し、下部の3つのパネルは、そのクローンに対応する。カラム1は本細胞株および対照クローンに対応し、カラム2は本細胞株のHMB45発現およびそのクローンにそれぞれ対応し;カラム3は本細胞株のMART-1発現およびクローンに対応する。
【図7】患者#100からの黒色腫生検標本を示す図である。パネルAは低倍率画像(25X)を示す。ここでは、Ag gp100陽性および陰性腫瘍細胞が見られる。パネルBは、gp100の異種発現を示す。ここでは、高、中および無発現を示す細胞が見られる(400x)。パネルCは、異種Ag MART-1発現を示す。ここでは、陰性細胞に囲まれた高発現細胞クローンが見られる(400x)。
【図8】本発明のApo-Nec組成物で治療された患者のカプラン・マイヤーグラフである。
【図9】GM-CSFおよびBCGと共に本発明のApo/Nec組成物で治療した患者#200から切除した皮膚転移を示す図である。パネルAは、腫瘍細胞(2)と接触したリンパ球で浸潤された腫瘍の壊死部位におけるマクロファージ(1)および生存腫瘍部位(3)を示す。パネルBは、強い腫瘍浸潤部位の100xの細部である。パネルCは同じ部位の400xの細部である。ここでは、浸潤リンパ球が観察される。パネルDは同じ転移の細部を示す。ここでは、その大部分がメラニンで満たされたマクロファージ(1)で壊死しており、生存部位(2)も見られる(25X)。
【図10】BCGと共に本発明のApo-Nec組成物で治療した患者#300からのCT断層撮影画像である。パネルAは、肺転移部位を矢印で示している。パネルBは、5ヶ月後に撮影されたCT断層撮影画像である。
【0069】
以下の実施例によって本発明をより詳しく説明するが、これを、その範囲を限定するものと理解してはならない。むしろ、本明細書を読んだ後に当業者に示唆することができる、本発明の精神および/または添付の特許請求の範囲を逸脱することのない他の実施形態、修飾および均等物に言及できることは明らかである。
【実施例1】
【0070】
本発明の細胞株の採取、樹立および維持
Mel-XY1:カフカス人男性患者の、背部原発性黒色腫の二次性肺転移からMel-XY1株を得た。この患者は、2年後に脳転移により死亡した。
【0071】
Mel-XY2:背部に潰瘍化した黒色腫(クラークレベルIII)が出現した44歳のカフカス人男性患者からこの株を得た。2年後に、彼は腋窩リンパ節腫脹および肺転移を同時に発症した。この腋窩リンパ節腫脹を切除し、解離し、この細胞をこの細胞株の起源とした。
【0072】
Mel-XY3:患者は、原発性腕部黒色腫を発症した43歳のカフカス人男性であった。2年後に腋窩リンパ節転移が出現した。この患者にDTICによる化学療法を行ったが、明白な臨床効果は得られなかった。腋窩転移を切除し、この細胞をMel-XY3細胞株の起源とした。
【0073】
Mel-XX4:黒色腫転移と診断された33歳の白人女性の鼠径部リンパ節腫脹の手術によりこれを得た。原発巣は不明であった。15ヶ月後、この患者は鼠径部リンパ節に再発を来たした。黒色性結節全体を切除し、小片に切り分け、脂肪組織および結合組織を除去し、ダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)に懸濁し、ナイロンメッシュに圧力をかけて機械的に分離し、細胞集合体を終夜37℃で酵素処理した。
【0074】
10%ウシ胎児血清(FBS)(Natocor社、アルゼンチン・コルドバ)を加えた黒色腫培地に細胞を再懸濁し、25cm2培養フラスコに懸濁し、5%CO2-95%空気の雰囲気下、37℃で加湿してインキュベートした。24時間後、非付着細胞を除去するために培地を除去した。
【0075】
抗線維芽細胞マイクロスフェアカラム(Miltenyi Biotec社、ドイツ)に細胞浮遊液を4回通過させた。得られた細胞をMel-XX4と名付けた。
【0076】
Centro de Investigaciones Oncologicas-FUCAのGMP研究室において、10%ウシ胎児血清(FBS)(Natocor社、アルゼンチン・コルドバ)に加えて、2mMグルタミン、20nM亜セレン酸ナトリウム、100μMアスコルビン酸、0.3mg/mlガラクトース、0.15mg/mlピルビン酸ナトリウム、および5μg/mlインスリン)、100IU/mlペニシリン、10μg/mlストレプトマイシンを添加したDMEM:F12培地混合物(1:1)黒色腫培地での培養により、本発明の4つの細胞株(Mel-XY1、Mel-XY2、Mel-XY3およびMel-XX4)の維持を行った。
【0077】
Melan A/MART-1(M27:AAGIGILTV)およびgp100(G154:KTWGQYWQV)抗原に特異的なCTLクローン(HLA A*0201拘束性)を、10%不活化ABヒト血清および抗生物質を含有するRPMI培地中で、3日ごとに30ng/ml抗CD3抗体(OKT-3、BD Biosciences社)および一連の300UI/ml IL-2(Chiron BV社、オランダ・アムステルダム)を加え、14日サイクルで増殖させた。
【実施例2】
【0078】
細胞株の解析:
in vitroでの増殖動態:
細胞104個を24ウェルプレート(コーニング社)のウェルで培養した。2〜3日ごとに細胞をEDTA(0.02%)で処理し、採取し、計数した。対数期の増殖曲線の勾配から集団倍加時間を推定した。
【0079】
コロニー形成能
軟寒天法(Hamburger, and Slamon, Science 197: 461, 1977)により、足場非依存性細胞増殖を測定した。上層で3〜10x103細胞を培養した。プレートを21日間インキュベートし、次いで毎日培地50μlを添加した。36を超える細胞のコロニーを顕微鏡下で計数した。
【0080】
免疫細胞化学(ICC)およびFACSによる黒色腫抗原の解析
ICC評価のために、対数的に増殖している細胞をEDTAで処理し、遠心分離し、ホルムアルデヒドで固定し、パラフィン包埋し、細切片に切り分けた。患者からの正常組織試料を対照として用いた。
【0081】
ケラチン、ビメンチンおよびgp100/HMB45(Biogenex社)、MART-1/Melan-A(Dako社)に対するモノクローナル抗体(Mab)ならびに抗S100ポリクローナル抗体(Biogenex社)を用いて組織および細胞をアッセイした。
【0082】
アビジン-ビオチン複合体(Vectastain ABC)を用いて反応を可視化した。内因性ペルオキシダーゼを0.6%H2O2でブロックした。
【0083】
EDTA処理細胞を再懸濁することにより、間接免疫蛍光法を行った。10%正常ヤギ血清でブロッキングした後、細胞を一次抗体と共にインキュベートし、洗浄し、二次抗体(FITC抗マウス/ヤギ免疫グロブリン(Dako社)と共にインキュベートし、洗浄し、1%パラホルムアルデヒドで固定し、FACS(FACS Vantage SE、ベクトン・ディッキンソン社、米国)で分析した。一次抗体は、マウス抗p53Mab(DO-7、BD Pharmingen社)、抗GD2抗体3F8、抗GD3抗体R24であった。p53の場合は、細胞を透過性にした。PCR-SSPにより、ヒト白血球抗原(HLA)クラスIおよびクラスIIのタイピングを行った。
【0084】
RT-PCRによる黒色腫関連抗原の測定:
Trizol(Invitrogen社)を用いて全RNAを抽出した。cADN合成を開始するために、RNA1〜3μgに適切なプライマーを加え、200U MMLV-RT酵素(Promega社)、25〜40U RNAsin(Promega社)および250〜500μM dNTP(Invitrogen社)と共に、70℃で5分間、次いで42℃で60分間インキュベートした。特異的プライマー対を用い、Taq DNAポリメラーゼ(Invitrogen社)によりcDNAアリコート(2〜10μl)を増幅した。
【0085】
特異的プライマーを以下に示す:
Gp100
5'-GCTTGGTGTCTCAAGGCAACT-3'(配列番号1)
5'-CTCCAGGTAAGTATGAGTGAC-3'(配列番号2)
MART-1
5'-CAAGATGCCAAGAGAAGATGCTCACT-3'(配列番号3)
5'-GCTTGCATTTTTCCTACACCATTCCA-3'(配列番号4)
チロシナーゼ
5'-TTGGCAGATTGTCTGTAGCC-3'(配列番号5)
5'-AGGCATTGTGCATGCTGCTT-3'(配列番号6)
5'-GTCTTTATGCAATGGAACGC-3'(配列番号7)
5'-GCTATCCCAGTAAGTGGACT-3'(配列番号8)
TRP-2
5'-GAGTGGTCCCTACATCCTACG-3'(配列番号9)
5'-GCGTCCTGGTCCTAATAATGT-3'(配列番号10)
MAGE-1
5'-GAGTCCTCAGGGAGCCTCC-3'(配列番号11)
5'-TTGCCGAAGATCTCAGGAAA-3'(配列番号12)
NY-ESO-1
5'-AGCCGCCTGCTTGAGTTCTACCTC-3¨(配列番号13)
5'-AGGGAAAGCTGCTGGAGACAG-3'(配列番号14)
MDR-1
5'-TCCAAGAAGCCCTGGACAAAG-3'(配列番号15)
5'-TTGATGATGTCTCTCACTCTGTTCC-3'(配列番号16)
MIA
5'-CATGCATGCGGTCCTATGCCCAAGCTG-3'(配列番号17)
5'-GATAAGCTTTCACTGGCAGTAGAAATC-3'(配列番号18)
β-アクチン
5-´ATGTTTGAGACCTTCAACACCCC-3´(配列番号19)
5´-GCCATCTCTTGCTCGAAGTCCAG-3´(配列番号20)
アンチセンスプライマーは下部の列に示してある。
【0086】
チロシン検出のために、第1PCR反応からの1/100アリコートもまた、内部プライマー(ネステッドPCR)を用いて増幅した。
【0087】
PCR産物をアガロースゲルで分析し、臭化エチジウムで染色した。100bp DNA PMマーカー(Promega社)と共に電気泳動して比較することによりフラグメントのサイズを算出した。
【0088】
細胞遺伝学解析および細胞分子解析:
対数増殖期における細胞遺伝学解析のために、本発明の4つの株に対応する細胞を、コルヒチン(0.1μg/ml)と共に37℃で8〜16時間インキュベートし、トリプシン-EDTA溶液で回収し、標準プロトコルに従って処理した。Gバンド法を用いた。ヒト染色体に関する国際命名規約(Mitelman, 1995 ISCN.: An International System for Human Cytogenetic Nomenclature, (ed. S Karger, Basel)に従って染色体の同定を行った。
【実施例3】
【0089】
単球からの樹状細胞(DC)の作製、その解析およびApo-Nec細胞の負荷
健常ドナーからのバフィーコートまたは白血球フェレーシス産物から樹状細胞を得た。フィコール・ハイパック密度勾配を用いて末梢血単核細胞(PBMC)を精製した。新鮮なAIM-V(登録商標)無血清培地(Invitrogen社)にPBMCを懸濁し、培養フラスコ(TPP社、ドイツ)に付着させた。37℃で2時間後、非付着細胞を除去し、800U/ml rhuGM-CSFおよび50ng/ml IL-4(Peprotech社、メキシコ)を添加したAIM-V中で付着単球を5日間培養することによりCDinを得た。光学顕微鏡およびFACSにより表現型の変化を分析した。DCinに成熟を誘導するために、2μg/ml LPS(大腸菌J5株リポ多糖、Sigma社、カリフォルニア州セントルイス)を添加し、最後に細胞を48時間培養した。
【0090】
細胞が未熟な状態(DCin)なときDC細胞の表現型解析を行い、アポトーシス/壊死性細胞(Apo-Nec細胞)の食作用後に、蛍光色素で標識した、CD14、CD11c、CD1a、HLAクラスII、CD80、CD86、CD83、CD40、HLAクラスIおよびCCR7抗原(BD Biosciences社、カリフォルニア州サンノゼ)に対する抗体を用いて5x105細胞を染色し、FACS分析(Becton Dickinson社、カリフォルニア州サンノゼ)することによるアッセイを行った。適切なアイソタイプ対照は、ラットIgG2a PEならびにマウスIgG1およびIgG2a(BD Biosciences社、カリフォルニア州サンノゼ)であった。非標識抗CD83モノクローナル抗体(IgG1)を用い、適切なアイソタイプを対照として用いて、Apo/Nec細胞を貪食したDCにおけるCD83の発現を分析した。発色には、抗マウスIgG1-PerCP(BD Biosciences社、カリフォルニア州サンノゼ)を用いた。
【0091】
デキストランに結合させたFITC(Dx-FITC)(Sigma社、カリフォルニア州セントルイス)1mg/mlを用いてDC1x106個を37℃で30分間インキュベートすることによりDCのエンドサイトーシス能を評価した。インキュベーション後、細胞をPBSで洗浄し、FACSで分析した。エンドサイトーシスプロセスを阻害するために、4℃で30分間Dx-FITCと共にインキュベートしたDCを対照に含めた。他方では、アッセイの時間0を基礎取り込み量と見なした。DX-FITCの取り込み(エンドサイトーシス)をFACSにより定量した。
【0092】
DC細胞の食作用の評価:
DCin細胞を、新鮮なAIM-V培地中、Apo-Nec細胞(上記のように調製した)と異なる時間共培養した。いくつかのアッセイにおいて、DCはPKH26により赤色に染色され、Apo-Nec細胞はPKH67により緑色に染色された(Sigma社、カリフォルニア州セントルイス)。共培養後にFACSによる分析を行い、Apo-Nec細胞を貪食したDCの百分率を両陽性細胞の百分率と定義した。各色について、適切な対照実験を行った。4℃で同じ期間細胞をインキュベートすることにより、DCとApo-Nec細胞の非特異的結合の対照実験を行った。
【0093】
DCのin vitro遊走
48ウェル走化性チャンバー(AP48 Neuroprobe Inc.社、メリーランド州ゲーサーズバーグ)を用いて、Apo-Nec細胞との共培養の前後にDCのin vitro遊走をアッセイした。RPMIに希釈した10ng/mlのMIP-1αまたはMIP-3β(Peprotech社、米国ニュージャージー州ロッキーヒル)を底部コンパートメントに入れた。底部チャンバーにRPMIを入れることにより遊走基準値をアッセイした。上部チャンバーのRPMIにDCを懸濁した(CD 3x104個/ウェル)。上部と下部のチャンバーの間に孔径5μmのポリカーボネート膜を置いた(Neuroprobe, Inc.社、メリーランド州ベセズダ)。37℃で90分後、膜の上部の細胞を除去し、膜の下部に遊走して付着した細胞を中性水に10%に希釈したギムザ液で染色した。膜を風乾し、カナダバルサムを載せたスライド上に置き、顕微鏡を用いて遊走数を計数した。40倍の拡大で視野数5/ウェルを分析し、3ウェル/条件で分析した。t検定により統計分析を行った。
【0094】
電子顕微鏡検査:
食作用プロセスもまた電子顕微鏡検査で研究した。2.5%グルタルアルデヒド0.1Mリン酸緩衝溶液で共培養試料を固定し、次いで1%四酸化オスミウムを用いる後固定染色を行い、これらを蒸留水で2回洗浄し、5%酢酸ウラニルで2時間対比染色した。洗浄および脱水後、試料を樹脂(Durkupan)に包埋した。超薄切片を調製し(70〜90nm)、銅メッシュに乗せ、Reynoldsのクエン酸鉛で対比染色した。Zeiss109透過型電子顕微鏡でメッシュを分析した。また、全細胞画像を得るために、ウルトラミクロトーム(Reichert-Jung社)で薄切片(0.5μm)を調製し、0.4%トルイジンブルー0.1M炭酸塩緩衝液で染色し、Durkupanに乗せ、光学顕微鏡(1000x)で分析した。Sony Cybershot Digitalデジタルカメラ(5メガピクセル)で画像を得、Adobe photoshop6.0プログラムで操作を行った。
【0095】
in vitroクロスプレゼンテーションアッセイ、IFN-γ分泌:
抗CD14マイクロスフェア(Miltenyi Biotec社、ドイツ)を用いてHLA A*0201ドナーから98%CD14+単球を精製し、前述のように5日間培養してDCin細胞に分化させた。Apo-Nec細胞と共にDCin細胞を6、12、24および48時間インキュベートし、AIMV培地1ml中、特異的CTL MelanA/MART-1またはgp100クローンに終夜露出させた。供給業者の提案に従って、ELISA技術(OptEIA IFN-γ、Pharmingen BD Biosciences社、カリフォルニア州サンディエゴ)を用い、上清へのIFN-γ分泌を3連で測定した。各実験の検量線を引き、Cembal 2.2ソフトウェアを用いてlog-log回帰分析により試料濃度を算出した。DC+20μg/ml MART-1またはgp100ペプチド、HLA A*0201+MART-1を発現している生存黒色腫細胞株およびgp100抗原(陽性対照)あるいは非特異的ペプチドと共に培養したDC細胞およびHLA A*0201+適切な抗原を発現していない生存黒色腫細胞株(陰性対照)を対照に含めた。
【0096】
細胞質内サイトカインIL-10およびIL-12の測定:
PKH26(赤色)で標識したDCを、PKH67で標識したApo-Nec細胞と異なる時間(6、12、24および48時間)共培養した。培養後、ブレフェルディンA(8時間)によりその産出を抑制(Golgi Plug、BD Biosciences社、カリフォルニア州サンノゼ)した後、細胞内免疫蛍光法により蓄積したサイトカインを測定した。0.05%サポニンで細胞を透過性にし、抗IL10(ラットアイソタイプIgG2a)-APCおよび抗IL12サブユニットp40-p70(マウスアイソタイプIgG1)-PerCp(BD Biosciences社、カリフォルニア州サンノゼ)で染色した。FACSによる検査によりPKH26/PKH67二重染色集団を選択し、この集団について4色実験でサイトカインを評価した。4℃での共培養を対照として用いた。
【実施例4】
【0097】
本発明の組成物の製造手順および投与スキーム:
Apo-Nec組成物:
細胞株の照射:
本発明の4つの細胞株(Mel-XY1、Mel-XY2、Mel-XY3およびMel-XX4)を70Gyのγ線(Siemens社、Instituto Alexander Fleming、アルゼンチン・ブエノスアイレス)で照射し、続いて、使用するまで液体窒素で細胞を凍結した(DMEM50%、ヒトアルブミン40%およびDMSO10%)。
【0098】
細胞の投与日に、細胞を解凍し、洗浄し、本発明の分離された細胞株の細胞のそれぞれまたはそれらの組み合わせを5〜10x106個含有する組成物量に製造し、それをDMEM培地に再懸濁した。
【0099】
300ulを皮内に注射した。
【0100】
DC/Apo-Nec組成物:
アポトーシス/壊死性腫瘍細胞の製造方法:
前述のように照射され凍結された細胞(Mel-XY1、Mel-XY2、Mel-XY3およびMel-XX4)を解凍し、アポトーシスプロセスが完了するまで黒色腫培地+10%ウシ胎児血清中に懸濁した。培養後72時間目に、フラスコの底部から細胞を引き離し、洗浄し、計数し、新鮮なAIMV(登録商標)無血清培地に再懸濁した(治療等級、GIBCO, Invitrogen Corporation社、ニューヨーク州グランドアイランド)。アポトーシスおよび壊死を、アネキシンV FITC標識法およびヨウ化プロピジウム(IP)取り込み(アネキシンVアポトーシス検出キット、BD Biosciences社、カリフォルニア州サンノゼ)によりアッセイし、FACSにより分析した。非照射対照細胞と比較した照射細胞の増殖能力を分析するために、軟寒天中でのコロニー形成アッセイを6連で行った(1.5x104細胞/ウェル)。
【0101】
AIMV培地中、37℃で48時間、各患者の5、10、15、または20x106DC量をApo-Nec細胞と共培養した。投与日に、共培養した細胞を1200rpmで5分間遠心分離し、DMEM培地(300μl)に再懸濁し、正常なリンパ路を有する四肢の1つの皮内に注射した。
【0102】
すべての組成物製剤について品質管理および無菌試験を行った。
【実施例5】
【0103】
患者の研究デザインおよび選択基準:
毒性、生存率および治療する免疫反応を評価するために患者における研究を行った。本研究は、Institutional Revision Council of Instituto Alexander Fleming および倫理委員会に承認された。生存率の基準は、(a)組織学によりIIB期、IIC期、III期またはIV期(AJCC)であると確認された皮膚黒色腫;(b)CT断層撮影法および乳酸脱水素酵素(LDH)酵素値で評価して術後に最小または検出不能疾患(ND)を有する患者;であった。原発巣が不明な黒色腫患者も本研究に組み入れることができ、;(c)年齢は15歳から60歳の間であり;(d)平均余命は>6ヶ月であり、(e)グレード(ECOG)0または1であり;(f)疾患進行、毒性または他の臨床的理由から治療を終了または中断した、IFN-αでの治療をほとんど受けていないIII期の患者または手術の6ヶ月前にIFN-αでの治療を開始していなかった患者であり;(g)白血球フェレーシス処置のための適切な静脈アクセスが存在し;(h)検査室での選択基準は:ヘモグロビン>10gr%;白血球数>4800/mm3、血小板>150,000/mm3;総および直接ビリルビン、オキザロ酢酸トランスアミナーゼ、グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ<通常の最高値の1.5倍;LDH≦450mU/mlであり;i)各投与の1週間前に測定した血清β-HCGによる閉経前女性における非妊娠であり;(i)クレアチニン<1.4mg%;(k)前月での化学療法、放射線療法または生物学的処置なしであり;(k)コルチコステロイドまたは非ステロイド系抗炎症薬(AINE)の投薬なしであり;(l)活動的な脳転移なしであり;(m)正常なECGであり;(n)全患者はインフォームドコンセントにサインしなければならなかった。
【0104】
患者評価および治療スキーム:
初回投与の35日前以内に患者の基本的評価を行った。臨床評価には、全臨床歴、健康診断、心電図(ECG)、CT断層撮影法(胸部、腹部、骨盤および脳)、腫瘍期の決定、腫瘍サイズおよび疾患部位の記録、血液化学試験ならびに血液学を含めた。選ばれた患者には、DCを調製するPBMCを得るために白血球フェレーシスを行った。
【0105】
患者には、2週間おきにDC/Apo-Necを4回投与した。接種は皮内(300μl)に行い、各投与と共に、アジュバントなしのDC/Apo-Nec細胞5〜20x106個を前腕に接種することによるDTH試験を行った。投与後2、24および48時間目に生命徴候およびDTH皮膚反応を分析した。70日目に腹部超音波検査および胸部X線により患者状態を調査し、75日目に臨床検査を行いプロトコルを終えた。
【0106】
本発明のApo/Nec細胞の投与のために、正常なリンパ節を有する患者の四肢の1つの皮内(id)に注射した。患者20名(20)にrhGM-CSFを400μg投与した(1日当たり100μg、4日間)。投与日に、hGM-CSF0.1mlをApo-Nec(16x106照射細胞/0.3ml)およびBCG(1x106コロニー形成単位)/0.05mlと混合した。それに続く3日間、投与部位にrhGM-CSF0.1mlを皮内注射した。各患者に、3週間おきに4回投与し、次いで1年間2ヶ月ごとに組成物を1回投与し、2年目には3ヶ月ごとに組成物を1回投与し、その後続けて6ヶ月ごとに組成物を1回投与した。
【0107】
統計分析:
米国立癌研究所(NCI)の共通毒性規準に従ってすべての有害な結果を分類した。
【0108】
評価可能な集団を、4回の投与を受けた全患者と定義した。大部分の患者データは正規分布していなかったので、ウィルコクソン順位和検定を用いて全データを分析した。異なる量のDC/Apo-Necを投与した異なる群のDTH値を、各群間で、1変数ANOVAおよびDunettの多重比較検定と比較した。AP<0.05の値を有意とした。
【0109】
治療される患者の免疫反応を評価する方法
患者の免疫反応を評価するために、投与前7日目(前血清)および治療終了後15日目(後血清)に血清を採取し、試料を-80℃で保存した。フィコール・ハイパック密度勾配を用い、続く遠心分離により白血球フェレーシス(投与前)を行うか、または最終投与後15日目に得た血液100mlからPBMC細胞を精製した(投与後)。免疫学的アッセイに使用するまで、DMEM50%、ヒトアルブミン40%およびDMSO10%中にPBMCを凍結した。患者試料とFITC標識マウス抗HLA*A0201モノクローナル抗体(BD-Pharmingen社、カリフォルニア州サンノゼ)とをインキュベートした後にHLA-A*0201のHLA表現型を決定した。
【0110】
DTH反応:
各投与日に、Apo-Nec細胞2x106個を用いて前腕でDTH試験を行い、投与後2、24および48時間目に反応を評価した。DTH強度値は、次のとおりにして得た:0:紅斑症<0.5cm;1:斑状紅斑症0.5〜1.0cm;(2)斑状紅斑症1.0〜2.0cm;3:斑状紅斑症>2.0cmまたは丘疹状紅斑症<1.5cm;4:丘疹状紅斑症>1.5cm。保存したDTHは各DTH強度値/4の総和に相当する。
【0111】
増殖アッセイ:
組成物の投与前および投与後にフィコール・ハイパック密度勾配によりPBMCを得、使用するまで液体窒素で凍結保存した。細胞をアッセイのために解凍し、AIM-V培地(Gibco社、ニューヨーク州グランドアイランド)中、37℃で1時間インキュベートした。フィトヘマグルチニン(PHA)(5μg/ml)(Gibco社、ニューヨーク州グランドアイランド)の存在または非存在下、96ウェルプレートに細胞5x105個を懸濁し、37℃で72時間インキュベートした。最後の16時間に、(3H)dThd(Amersham社、1μCi/ウェル)で細胞をパルスし、細胞溶解後、液体シンチレーションカウンタでDNAに取り込まれた放射能を測定した(Cell Harvester、Nunc社、ニューヨーク州ロチェスター)。
【0112】
サイトカインの測定:
投与前(投与前血清)および4回の投与後2週間目(投与後血清)に患者の血清IL-10およびIL-12濃度を測定した。ELISAアッセイ(OptEIA IL-10およびIL-12、BD Biosciences社、カリフォルニア州サンディエゴ)を行うまで-80℃で血清を凍結した。各アッセイの検量線を引き、Cembal 2.2ソフトウェアを用いてlog-log回帰分析により試料濃度を算出した。
【0113】
ELISpot法によるIFN-γの測定:
抗CD14被覆マイクロスフェア(Miltenyi Biotec社、フランス・パリ)を用いて、HLA-A2陽性患者からのPBMCから刺激細胞としてCD14+細胞を精製した。100ng/ml GM-CSFおよび20ng/ml IL-4を含有する合成SYN-H培地(AbCys社、フランス・パリ)中で5日間培養し、10μg/ml LPSでさらに48時間成熟させた。SYH-H培地で希釈した10μg/mlの適切なペプチドを用い、37℃で1時間成熟DCをパルスし、洗浄し、全部で105個のCD8+リンパ球細胞/ウェルを用いて、患者E/T比が10:1になるようにPBMCと混合した。
【0114】
10μg/mlヒト抗IFN-γ mAb(Mabtech社、スウェーデン・ナッカ)の炭酸塩・重炭酸塩緩衝溶液(pH9.6)を含有するニトロセルロース(MAIPS450;Millipore社、マサチューセッツ州ベッドフォード)を用いて終夜4℃で96ウェルプレートを被覆し、洗浄し、IMDM培地+10%ABヒト血清(Biowest社、フランス・ニュアイエ)を用いて37℃で1時間ブロックした。エフェクター細胞を培地100μLに懸濁し、全部で200μL/ウェルを標的細胞がE/T比10:1になるように加えた。インキュベーション24時間後、0.1%ツイーン-20/PBSでウェルを5回洗浄した。ヒトビオチン化抗IFN-γマウスmAb(Mabtech社)の1μg/ml PBS/HSA(0.4g/L)溶液を用いて室温で2時間プレートをインキュベートした。0.1%ツイーン-20/PBSで数回洗浄した後、1:1000アルカリホスファターゼ-ストレプトアビジン(Mabtech社)のPBS/HSA溶液を加え、室温で1時間インキュベートした。次いでプレートを洗浄し、室温で30分間リン酸5-ブロモ-4-クロロ-3-インドール/ニトロテトラゾリウムブルー基質を加えた(Mabtech社)。プレートを水で洗浄することにより発色をクエンチした。乾燥後、ELISpot自動画像読み取りシステム(AID社、ドイツ・シュトラースベルク)を用いて、ニトロセルロース膜上の着色スポットを視覚化することにより、IFN-γを分泌しているCD8+T細胞を計数した。
【0115】
HLAテトラマー/ペプチド染色:
MART-1(AAGIGILTV)またはgp-100(KTWGQYWQV)に特異的なCD8+Tリンパ球のクローンを同定するために、PE(フィコエリトリン)またはAPC(アロフィコシアニン)でそれぞれ標識したHLA-A0201テトラマーを用いた。37℃で15分間、染色手順を行い、ただちに氷上に置いた。次いで試料を4℃でさらに40分間、抗CD8 FITC(BD Biosciences社、カリフォルニア州サンノゼ)と共にインキュベートし、FACSで分析した。Melan A/MART-1(M27:AAGIGILTV)およびgp100(G154:KTWGQYWQV)抗原に特異的なCTLクローン(HLA A*0201拘束性)を、10%不活化ABヒト血清および抗生物質を含有するRPMI培地中で、3日ごとに30ng/ml抗CD3抗体(OKT-3、BD Biosciences社)および一連の300UI/ml IL-2(Chiron BV社)を加え、10%不活化ヒトAB血清および抗生物質を加えたものを14日サイクルで増殖させたものを陽性対照とした。健常HLA-A0201ドナーからのPBMC試料を用いて陰性対照とした。
【0116】
液性反応の測定:
Apo-Nec細胞を含む生存細胞を等しい割合で混合し、10%ウサギ血清で30分間ブロックし、1/10に希釈した投与前および投与後血清と共に4℃で1時間インキュベートした。次いでこれらを洗浄し、細胞を、ウサギ(DakoCytomation社、デンマーク・グロストルプ)から得られたヒト抗免疫グロブリン抗体(IgG+A+M)と共に4℃で1時間インキュベートした。細胞を洗浄し、1%パラホルムアルデヒドで固定し、FACSで分析した。あるいは、ブロッキング段階で、0.05%サポニン(Sigma-Aldrich社、ミズーリ州セントルイス)/PBSで最初に細胞を透過性にし、各反応段階後に0.05%サポニン/PBSを加えた。第1抗体対照として正常血清を用いた。
【0117】
本発明のApo-Nec細胞株からタンパク質抽出物を調製した。細胞ペレットを-80℃で凍結し、解凍し、4℃で20分間、溶解緩衝液(50mMトリス-ClH、pH7.5、1%NP40、150mM NaCl、5mM EDTAおよび1mM PMSF)で処理した。ポリトロン(Brinkmann Instruments社、米国)で懸濁液をホモジナイズし、10,000gで40分間遠心分離した。上清を-20℃で凍結し、アリコートとして保存した。ローリー法によりタンパク質濃度を測定した。IIB-BR-Gヒト乳癌細胞株タンパク質抽出物も同様に調製した。
【0118】
SDS-PAGE3%〜12%勾配でタンパク質抽出物(50μg)を分離し、ニトロセルロース膜(孔径0.45μm、Sigma-Aldrich社、米国ミズーリ州セントルイス)に転写した。3%ウシスキムミルク(Moliko社、アルゼンチン)でブロックした後、1/10に希釈した患者血清と共に4℃で終夜インキュベートした。数回の洗浄の後、ヤギから得られた、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)(Zymed社、カリフォルニア州サンフランシスコ)で標識したヒト抗IgG+A+M抗体と共に膜をインキュベートし、4-Cl-ナフトール+H2O2で発色させた。
【0119】
黒色腫転移の組織病理学的分析:
パラフィン包埋生検標本を用いてリンパ系細胞およびDC細胞浸潤を分析した。3〜5枚の切片をヘマトキシリン/エオジンで染色するか、あるいは抗CD4抗体(クローン1F6)、抗CD8抗体(クローンC8E-144b)、抗CD20抗体(クローンL26)、抗CD1a抗体(クローン010)(DakoCytomation社、デンマーク・グロストルップ)および抗CD57抗体(クローンNK1、Zymed社、カリフォルニア州サンフランシスコ)で免疫染色し、ジアミノベンジジン(DAB)またはNovaredを基質(Vectastain、Vector社、カリフォルニア州バーリンゲーム)として用いABC試薬で発色させた。対照として、一次抗体を除いて反応を行った。切片をOlympus BX40顕微鏡で分析した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
悪性疾患の治療のためのヒト黒色腫細胞株であって、(a)Mel-XY1(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2830で寄託された)、(b)Mel-XY2(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2831で寄託された)、(c)Mel-XY3(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2832で寄託された)、(d)Mel-XX4(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2829で寄託された)および(e)それらのサブ母集団を含む群から選択されることを特徴とする前記細胞株。
【請求項2】
ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2830で寄託された細胞株Mel-XY1であることを特徴とする請求項1記載の細胞株。
【請求項3】
ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2831で寄託された細胞株Mel-XY2であることを特徴とする請求項1記載の細胞株。
【請求項4】
ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2832で寄託された細胞株Mel-XY3であることを特徴とする請求項1記載の細胞株。
【請求項5】
ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2829で寄託された細胞株Mel-XX4であることを特徴とする請求項1記載の細胞株。
【請求項6】
細胞株が照射されており、増殖できないことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1つに記載の細胞。
【請求項7】
細胞株がアポトーシス表現型細胞集団を含むことを特徴とする、請求項6ののいずれか1つに記載の細胞。
【請求項8】
アポトーシス細胞集団が前記細胞の35%〜60%の量を含むことを特徴とする請求項7記載の細胞株。
【請求項9】
細胞株が壊死性表現型細胞集団を含むことを特徴とする請求項6のいずれか1つに記載の細胞。
【請求項10】
壊死性細胞集団が前記細胞の10%〜25%の量を含むことを特徴とする請求項9記載の細胞株。
【請求項11】
サブ母集団が軟寒天中でコロニーを形成できるヒト黒色腫細胞を含むことを特徴とする請求項1記載の細胞株。
【請求項12】
黒色腫の治療のための組成物であって、(a)Mel-XY1(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2830で寄託された)、(b)MEL-XY2(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2831で寄託された)、(c)Mel-XY3(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2832で寄託された)、(d)Mel-XX4(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2829で寄託された)およびそれらの組み合わせを含む群から選択される少なくとも1つの同種黒色腫細胞株であって、増殖できない前記細胞株を含むことを特徴とする前記組成物。
【請求項13】
さらに賦形剤、アジュバントおよび免疫調節剤を含むことを特徴とする請求項12記載の組成物。
【請求項14】
アジュバントがBCGであることを特徴とする請求項13記載の組成物。
【請求項15】
免疫調節剤がGM-CSF、G-CSF、IFNα、シクロホスファミドおよびそれらの混合物を含む群から選択されることを特徴とする請求項13記載の組成物。
【請求項16】
細胞株が照射されていることを特徴とする請求項12記載の組成物。
【請求項17】
細胞株がアポトーシス表現型細胞集団を含むことを特徴とする請求項12記載の組成物。
【請求項18】
アポトーシス細胞集団が前記細胞の35%〜60%の量を含むことを特徴とする請求項17記載の組成物。
【請求項19】
細胞株が壊死性表現型細胞集団を含むことを特徴とする請求項12記載の組成物。
【請求項20】
壊死性細胞集団が前記細胞の10%〜25%の量を含むことを特徴とする請求項19記載の組成物。
【請求項21】
同種黒色腫細胞株(a)Mel-XY1(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2830で寄託された)、(b)MEL-XY2(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2831で寄託された)、(c)Mel-XY3(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2832で寄託された)および(d)Mel-XX4(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2829で寄託された)であって、照射されており、増殖できない前記細胞株の少なくとも1つの組み合わせを含むことを特徴とする請求項12記載の組成物。
【請求項22】
さらに賦形剤、アジュバント、および免疫調節剤を含むことを特徴とする請求項21記載の組成物。
【請求項23】
同種黒色腫細胞株(a)Mel-XY1(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2830で寄託された)、(b)MEL-XY2(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2831で寄託された)および(c)Mel-XY3(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2832で寄託された)であって、照射されており、増殖できない前記細胞株の少なくとも1つの組み合わせを含むことを特徴とする請求項12記載の組成物。
【請求項24】
さらに賦形剤、アジュバント、および免疫調節剤を含むことを特徴とする請求項23記載の組成物。
【請求項25】
黒色腫のアジュバント療法のための組成物であって、(a)Mel-XY1(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2830で寄託された)、(b)MEL-XY2(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2831で寄託された)、(c)Mel-XY3(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2832で寄託された)、(d)Mel-XX4(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2829で寄託された)およびそれらの組み合わせを含む群から選択される少なくとも1つの同種黒色腫細胞株を含むことを特徴とする前記組成物。
【請求項26】
細胞株が照射されており、増殖できないことを特徴とする請求項25記載の組成物。
【請求項27】
細胞株がアポトーシス表現型細胞集団を含むことを特徴とする請求項25記載の組成物。
【請求項28】
アポトーシス細胞集団が前記細胞の35%〜60%の量を含むことを特徴とする請求項27記載の組成物。
【請求項29】
細胞株が壊死性表現型細胞集団を含むことを特徴とする請求項25記載の組成物。
【請求項30】
壊死性細胞集団が10%〜25%の量で見出されることを特徴とする請求項29記載の組成物。
【請求項31】
さらに賦形剤、アジュバントおよび免疫調節剤を含むことを特徴とする請求項25記載の組成物。
【請求項32】
アジュバントがBCGであることを特徴とする請求項31記載の組成物。
【請求項33】
免疫調節剤がGM-CSF、G-CSF、IFNα、シクロホスファミドおよびそれらの混合物を含む群から選択されることを特徴とする請求項31記載の組成物。
【請求項34】
同種黒色腫細胞株(a)Mel-XY1(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2830で寄託された)、(b)MEL-XY2(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2831で寄託された)、(c)Mel-XY3(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2832で寄託された)および(d)Mel-XX4(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2829で寄託された)であって、照射されており、増殖できない前記細胞株の少なくとも1つの混合物を含むことを特徴とする請求項25記載の組成物。
【請求項35】
さらに賦形剤、アジュバントおよび免疫調節剤を含むことを特徴とする請求項34記載の組成物。
【請求項36】
同種黒色腫細胞株(a)Mel-XY1(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2830で寄託された)、(b)MEL-XY2(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2831で寄託された)および(c)Mel-XY3(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2832で寄託された)であって、照射されており、増殖できない前記細胞株の少なくとも1つの混合物を含むことを特徴とする請求項25記載の組成物。
【請求項37】
さらに賦形剤、アジュバントおよび免疫調節剤を含むことを特徴とする請求項36記載の組成物。
【請求項38】
手術、放射線療法、化学療法、生物化学療法および免疫療法を含む群から選択される治療と組み合わせて、アジュバント療法として用いられることを特徴とする請求項25記載の組成物。
【請求項39】
ヒト黒色腫の治療のための組成物であって、少なくとも1つの異種ヒト黒色腫細胞株由来の細胞、前記少なくとも1つの異種ヒト黒色腫細胞株由来のアポトーシス細胞および前記少なくとも1つの異種ヒト黒色腫細胞株由来の壊死性細胞で負荷した自己樹状細胞である成熟自己樹状細胞を含むことを特徴とする前記組成物。
【請求項40】
(a)Mel-XY1(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2830で寄託された)、(b)MEL-XY2(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2831で寄託された)、(c)Mel-XY3(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2832で寄託された)、(d)Mel-XX4(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2829で寄託された)、(e)それらのサブ母集団および(a)〜(d)の組み合わせを含む群からヒト黒色腫細胞株が選択されることを特徴とする請求項39記載の組成物。
【請求項41】
成熟樹状細胞がCD14-、CD11c+、CD1a+およびCD83+表現型を有することを特徴とする請求項39記載の組成物。
【請求項42】
さらに賦形剤、アジュバントおよび免疫調節剤を含むことを特徴とする請求項39記載の組成物。
【請求項43】
ヒト黒色腫のアジュバント療法のための組成物であって、少なくとも1つの異種ヒト黒色腫細胞株由来の細胞、1つの異種ヒト黒色腫細胞株由来のアポトーシス細胞および1つの異種ヒト黒色腫細胞株由来の壊死性細胞で負荷した樹状細胞である成熟樹状細胞を含むことを特徴とする前記組成物。
【請求項44】
(a)Mel-XY1(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2830で寄託された)、(b)MEL-XY2(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2831で寄託された)、(c)Mel-XY3(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2832で寄託された)、(d)Mel-XX4(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2829で寄託された)、(e)それらのサブ母集団および(a)〜(d)の組み合わせを含む群から細胞株が選択されることを特徴とする請求項43記載の組成物。
【請求項45】
成熟樹状細胞がCD14-、CD11c+、CD1a+およびCD83+表現型を有することを特徴とする請求項43記載の組成物。
【請求項46】
さらに賦形剤、アジュバントおよび免疫調節剤を含むことを特徴とする請求項43記載の組成物。
【請求項47】
手術、放射線療法、化学療法、生物化学療法および免疫療法から選択される治療と組み合わせて、アジュバント療法として用いられることを特徴とする請求項43記載の組成物。
【請求項48】
a)細胞株(a)Mel-XY1(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2830で寄託された)、(b)MEL-XY2(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2831で寄託された)および(c)Mel-XY3(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2832で寄託された)を解凍し培養し;
b)この3つの細胞株を混合し;
c)この3つの細胞株を照射し;
d)この細胞株混合物にアジュバントおよび賦形剤を添加する
段階を特徴とする、請求項12、21、23、25、34または36のいずれか1つに記載の組成物の製造手順。
【請求項49】
細胞が50〜100Gy値まで照射されることを特徴とする請求項48記載の手順。
【請求項50】
アジュバントがBCGであることを特徴とする請求項48記載の手順。
【請求項51】
段階d)において免疫調節剤がさらに添加されることを特徴とする請求項48記載の手順。
【請求項52】
免疫調節剤がGM-CSF、G-CSF、IFNα、シクロホスファミドおよびそれらの混合物を含む群から選択されることを特徴とする請求項51記載の手順。
【請求項53】
段階a)が、さらに株Mel-XX4(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2829で寄託された)を含むことを特徴とする請求項48記載の手順。
【請求項54】
a)細胞株(a)Mel-XY1(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2830で寄託された)、(b)MEL-XY2(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2831で寄託された)、(c)Mel-XY3(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2832で寄託された)およびMel-XX4(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2829で寄託された)を解凍し培養し;
b)この細胞株を混合し;
c)この細胞株を照射し;
d)自己樹状細胞を調製し;
e)段階c)の照射細胞と自己樹状細胞とを特定の時間共培養する
段階を含むことを特徴とする、請求項39または43のいずれか1つに記載の組成物の製造手順。
【請求項55】
細胞が50〜100Gy値で照射されることを特徴とする請求項54記載の手順。
【請求項56】
35〜39℃の温度で6〜72時間共培養を行うことを特徴とする請求項54記載の手順。
【請求項57】
段階e)において、自己樹状細胞と細胞株との比率が1:1〜3:1であることを特徴とする請求項54記載の手順。
【請求項58】
段階e)の樹状細胞が未熟な樹状細胞を含むことを特徴とする請求項54記載の手順。
【請求項59】
黒色腫患者において抗腫瘍免疫反応を誘導する方法であって、抗腫瘍免疫反応を必要とする患者に、細胞株(a)Mel-XY1(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2830で寄託された)、(b)MEL-XY2(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2831で寄託された)および(c)Mel-XY3(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2832で寄託された)であって、増殖できない前記細胞株の組み合わせの有効量を投与することを含むことを特徴とする前記方法。
【請求項60】
皮内に投与することを特徴とする請求項59記載の治療方法。
【請求項61】
アジュバントと共に投与することを特徴とする請求項59記載の治療方法。
【請求項62】
アジュバントが、投与量当たり0.1〜2x106コロニー形成単位の量のBCGであることを特徴とする請求項61記載の治療方法。
【請求項63】
免疫調節剤と共に投与することを特徴とする請求項59記載の治療方法。
【請求項64】
免疫調節剤が投与量当たり100〜600μgの量のGM-CSFであることを特徴とする請求項63記載の治療方法。
【請求項65】
細胞の有効量が5〜50x106個の細胞の組み合わせを含むことを特徴とする請求項59記載の治療方法。
【請求項66】
黒色腫患者において抗腫瘍免疫反応を誘導する方法であって、抗腫瘍免疫反応を必要とする患者に、細胞株(a)Mel-XY1(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2830で寄託された)、(b)MEL-XY2(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2831で寄託された)、(c)Mel-XY3(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2832で寄託された)および(d)Mel-XX4(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2829で寄託された)であって、増殖できない前記細胞株の組み合わせの有効量を投与することを含むことを特徴とする前記方法。
【請求項67】
皮内に投与することを特徴とする請求項66記載の治療方法。
【請求項68】
アジュバントと共に投与することを特徴とする請求項66記載の治療方法。
【請求項69】
アジュバントが投与量当たり0.1〜2x106コロニー形成単位の量のBCGであることを特徴とする請求項66記載の治療方法。
【請求項70】
免疫調節剤と共に投与することを特徴とする請求項66記載の治療方法。
【請求項71】
免疫調節剤が投与量当たり100〜600μgの量のGM-CSFであることを特徴とする請求項66記載の治療方法。
【請求項72】
細胞の有効量が5〜50x106個の細胞の組み合わせを含むことを特徴とする請求項66記載の治療方法。
【請求項73】
黒色腫患者において抗腫瘍免疫反応を誘導する方法であって、抗腫瘍免疫反応を必要とする患者に、自己樹状細胞ならびに細胞株(a)Mel-XY1(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2830で寄託された)、(b)MEL-XY2(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2831で寄託された)、(c)Mel-XY3(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2832で寄託された)および(d)Mel-XX4(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2829で寄託された)であって、増殖できない前記細胞株の組み合わせの6〜72時間の共培養物の有効量を投与することを含むことを特徴とする前記方法。
【請求項74】
自己樹状細胞が、共培養の初めには未熟な樹状細胞であり、共培養の終わりには成熟自己樹状細胞ならびに細胞株(a)Mel-XY1(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2830で寄託された)、(b)MEL-XY2(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2831で寄託された)、(c)Mel-XY3(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2832で寄託された)および(d)Mel-XX4(ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)にアクセス番号DSM ACC 2829で寄託された)で負荷した自己樹状細胞の混合物であることを特徴とする請求項73記載の方法。
【請求項75】
共培養の終わりに、各細胞株の細胞がアポトーシス細胞集団および壊死性細胞集団の混合物を含むことを特徴とする請求項73記載の方法。
【請求項76】
皮内に投与することを特徴とする請求項73記載の方法。
【請求項77】
共培養からの細胞の有効量が5〜50x106個の総細胞を含むことを特徴とする請求項73記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2010−523141(P2010−523141A)
【公表日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−502629(P2010−502629)
【出願日】平成20年4月11日(2008.4.11)
【国際出願番号】PCT/IB2008/051385
【国際公開番号】WO2008/126039
【国際公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【出願人】(509191207)コンセホ ナシオナル デ インベスティガシオネス シェンティフィサス イ テクニカス (コニセト) (3)
【出願人】(509283719)
【出願人】(509191148)イニス バイオテック リミテッド ライアビリティ カンパニー (3)
【Fターム(参考)】